JP2020034294A - 層間はく離検出装置と方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波探傷試験法の問題点を解消でき、かつ高い検出感度で炭素繊維強化プラスチックの層間はく離を検出することができる層間はく離検出装置と方法を提供する。【解決手段】第1軸心A1を有する励磁コイル12と、第2軸心A2を有する検出コイル14と、を準備する。第1軸心A1に対し第2軸心A2を平行に位置決めして励磁コイル12と検出コイル14を保持し、かつ炭素繊維強化プラスチック板1の表面2に対し第1軸心A1と第2軸心A2を含む平面を平行に位置決めする。励磁コイル12に励磁交流電圧Vinを印加して検出コイル14に発生する発生交流電圧Voutを検出する。表面2における発生交流電圧VoutのRMS値の分布を検出し、RMS値の特異箇所から層間はく離を検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチックの層間はく離検出装置と方法に関する。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は軽量かつ高強度,高剛性を有する材料である。そのため、CFRPは、自動車,航空宇宙機器などの構造材料として広く用いられている。
しかし、CFRPは、衝撃などにより層間はく離が発生する。層間はく離は、目視による判別が困難であり非破壊検査により検出する必要がある。
CFRPの非破壊検査手段として、超音波探傷試験の基本的な試験法である垂直探傷法が、層間はく離の検出に広く適用されている。
垂直探傷法は、CFRP表面に塗布した水やゲルなどの接触媒質(カプラント)を介して超音波を材料中に入射し、はく離箇所からの反射波を測定することで層間はく離を検出する。また、反射波の強度分布を表示したCスキャン画像からはく離を可視化することができる。
しかし、垂直探傷法には、以下の問題点があった。
(1)CFRP表面に塗布する接触媒質が不可欠である。(2)接触媒質の後処理(乾燥、ふき取り)が必要となる。(3)CFRPを水没させて検査する際に大型の水槽が必要になる。(4)CFRPの表面近傍のはく離箇所の検出が困難である。(5)薄板のCFRPへの適用が困難である。
そこで、これらの問題点のない渦電流を用いた検査手段(渦電流探傷試験法)の適用が要望されていた。渦電流探傷試験法は、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1の「炭素繊維強化プラスチックの剥離欠陥検査方法」は、繊維方向が異なる隣接するCFRPのプライ間の剥離欠陥を、各プライの繊維方向に電流を流しプライ間の繊維の接触度合の差異に基づくインピーダンス変化により検出する、ものである。
特開平9−72884号公報
しかし、特許文献1の検査方法の場合、渦電流センサの信号が健全部でも大きくばらつき、層間はく離部が健全部と判別しにくい問題点があった。
CFRPに対する渦電流探傷試験において健全部でも信号変化が生じるのはCFRP内の導電性のばらつきのためである。CFRP単層の導電率は繊維方向,繊維直交方向,厚さ方向の3方向の導電率により記述される。繊維方向の導電率は比較的ばらつきが小さいものの、繊維直交方向および厚さ方向の導電率は繊維の接触状態によって変化するためばらつきが大きい。CFRP内の渦電流分布は繊維方向の導電率だけでなく、繊維直交方向と厚さ方向の導電率にも影響を受けるため、健全部においても信号が大きくばらつくことになる。
そのため、CFRPの層間はく離を検出するために、層間はく離の検出感度に優れた試験手段が強く求められていた。
本発明は上述した要望を満たすために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、超音波探傷試験法の問題点を解消でき、かつ高い検出感度で炭素繊維強化プラスチックの層間はく離を検出することができる層間はく離検出装置と方法を提供することにある。
本発明によれば、第1軸心を有する励磁コイルと、第2軸心を有する検出コイルと、
前記第1軸心に対し前記第2軸心を平行に位置決めして前記励磁コイルと前記検出コイルを保持し、かつ炭素繊維強化プラスチック板の表面に対し前記第1軸心と前記第2軸心を含む平面を平行に位置決めする渦電流プローブと、
前記励磁コイルに励磁交流電圧を印加して前記検出コイルに発生する発生交流電圧を検出する発生電圧検出装置と、を備えた層間はく離検出装置が提供される。
また本発明によれば、第1軸心を有する励磁コイルと、第2軸心を有する検出コイルと、を準備し、
前記第1軸心に対し前記第2軸心を平行に位置決めして前記励磁コイルと前記検出コイルを保持し、かつ炭素繊維強化プラスチック板の表面に対し前記第1軸心と前記第2軸心を含む平面を平行に位置決めし、
前記励磁コイルに励磁交流電圧を印加して前記検出コイルに発生する発生交流電圧を検出する、層間はく離検出方法が提供される。
本発明によれば、炭素繊維強化プラスチック板の表面に励磁コイルと検出コイルを位置決めし、励磁コイルに励磁交流電圧を印加して検出コイルに発生する発生交流電圧を検出する。
また、本発明により高い検出感度で炭素繊維強化プラスチック板の層間はく離を検出することができる、ことが後述する実施例により確認された。
本発明による第1実施形態の層間はく離検出装置の全体構成図である。 本発明による第2実施形態の層間はく離検出装置の全体構成図である。 本発明による層間はく離検出方法の全体フロー図である。 解析モデルの説明図である。 CFRP板における渦電流分布を示す図である。 はく離部の中心が(10,0)の位置にある場合の渦電流分布の実数部を示す図である。 種々の磁界検出位置Xpに対する、はく離部Bの中心座標xdと磁界偏差ΔHyの関係を示す図である。 実験方法の概略図である。 第2試験体に対するd=17mm場合の渦電流試験結果である。 第1試験体に対するd=17mm場合の渦電流試験結果である。 d=17mmであり、はく離部Bが6層目と7層目の間にある場合の検出信号分布を示す図である。 第3試験体に対するd=17mm場合の渦電流試験結果である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明による第1実施形態の層間はく離検出装置10の全体構成図である。
この図において、試験体1は、炭素繊維強化プラスチック板(以下、単にCFRP板1と呼ぶ)であり、複数のプライ数を有する。
本発明の層間はく離検出装置10は、励磁コイル12、検出コイル14、渦電流プローブ16、及び発生電圧検出装置18を備える。
励磁コイル12は第1軸心A1を有し、検出コイル14は第2軸心A2を有する。励磁コイル12と検出コイル14は、好ましくは正方形タンジェンシャルコイルである。
渦電流プローブ16は、第1軸心A1に対し第2軸心A2を平行に位置決めして励磁コイル12と検出コイル14を保持する。また、渦電流プローブ16は、CFRP板1の表面2に対し第1軸心A1と第2軸心A2を含む平面を平行に位置決めする。
この場合、励磁コイル12及び検出コイル14の外面(この図で下面)とCFRP板1の表面2に、一定の隙間(リフトオフe)が形成される。リフトオフeは、後述する実施例では0.5〜1.0mmである。
渦電流プローブ16は、非導電体(例えば、プラスチック等)であることが好ましい。
発生電圧検出装置18は、励磁コイル12に励磁交流電圧Vinを印加して検出コイル14に発生する発生交流電圧Voutを検出する。
図1において、層間はく離検出装置10は、さらに画像処理装置20を備える。画像処理装置20は、例えばコンピュータ(PC)であり、入力装置(例えばキーボード)、出力装置(例えばプリンタ、ディスプレイ装置)、記憶装置、及び演算装置を有する。
画像処理装置20は、CFRP板1の表面2における発生交流電圧VoutのRMS値(root mean square:二乗平均平方根)の分布を検出する。また、画像処理装置20は、RMS値の強弱の特異箇所から層間はく離を検出する。
図1において、渦電流プローブ16は、励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dを変更するコイル間隔調整装置22を有する。コイル間隔調整装置22は、CFRP板1の積層構成(例えばプライ数)に応じて、そのCFRP板1に適した軸間距離dに変更するために用いる。
この構成により、コイル間隔調整装置22により、軸間距離dを適切に選択することができる。
図2は、本発明による第2実施形態の層間はく離検出装置10の全体構成図である。
この例では、図1のコイル間隔調整装置22が省略され、これに代えて励磁コイル12から異なる軸間距離dを有する複数の検出コイル14を備える。
励磁コイル12からの3つの検出コイル14の軸間距離d1,d2,d3は、例えば9,17,25mmである。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
この構成により、複数の検出コイル14から1つを選択することで、軸間距離dを適切に選択することができる。
図3は、本発明による層間はく離検出方法の全体フロー図である。
この図において、本発明の層間はく離検出方法は、S1〜S5の各ステップ(工程)を有する。
コイル準備ステップS1では、第1軸心A1を有する励磁コイル12と、第2軸心A2を有する検出コイル14と、を準備する。
位置決めステップS2では、第1軸心A1に対し第2軸心A2を平行に位置決めして励磁コイル12と検出コイル14を保持し、かつ試験体1(CFRP板1)の表面2に対し第1軸心A1と第2軸心A2を含む平面を平行に位置決めする。
電圧検出ステップS3では、励磁コイル12に交流電圧Vinを印加して検出コイル14に発生する発生交流電圧Voutを検出する。
さらに分布検出ステップS4では、励磁コイル12と検出コイル14を軸間距離dを保持したまま移動して、試験体1(CFRP板1)の表面2における発生交流電圧VoutのRMS値の分布を検出する。
またはく離検出ステップS5では、RMS値の特異箇所から層間はく離を検出する。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(有限要素法解析)
FEM解析によりCFRP板内の電位と渦電流分布,磁界分布を調査し、はく離の存在によるそれらの変化を調査した。
図4は解析モデルの説明図であり、(A)は全体斜視図、(B)は励磁コイル12の正面図、(C)は励磁コイル12の側面図である。
この図は励磁コイル12(この例で、正方形タンジェンシャルコイル:eタイプコイル)がCFRP板1の上に配置されたモデルとなっている。CFRP板1のサイズは長さ100mm,幅80mm,厚さ1.25mmであり、積層構成は[0/90]sである。励磁コイル12は内部領域の長さ,幅,高さが5mmであり、CFRP板1の表面中心にリフトオフe(=1mm)で配置されている。
図中のx方向がCFRP板1の0°方向,y方向が90°方向,z方向が厚さ方向を表しており、z=0はCFRP板1の表面2である。この座標系の原点Oは表面2の励磁コイル12の真下である。
本解析ではCFRP板1の1層の厚さを0.3mmと仮定した。また層間はく離を模擬する場合は第1層(0°層)と第2層(90°層)の間に層間はく離があるものとした。
また、励磁コイル12の中心からx方向に検出距離pを隔てた点を磁界検出位置Xpと呼ぶ。磁界検出位置Xpの座標は(p,0,0)である。
(はく離が無い場合の電磁場)
図5は、CFRP板1における渦電流分布を示す図である。この図において、(A)は第1層、(B)は第1層と第2層の層間、(C)は第2層の、それぞれ複素数平面で励磁電流を基準とした場合の渦電流分布の実数部を表している。
図5(A)(C)において、図中の点線矢印は電流の方向を示している。渦電流は第1層と第2層では繊維方向の高い導電性により繊維方向に沿って流れ、第1層と第2層の層間において厚さ方向に流れることで全体として“バタフライループ”を描くことがわかる。従って、層間の厚さ方向の導電は渦電流がループを描くのに重要な役割を担っていることがわかる。
図5(B)において、実線で囲む領域は正の電流、破線で囲む領域は負の電流を示し、それぞれ線の太さで電流量の大きさを示している。
この図において、第1層と第2層の層間を厚さ方向に流れる電流量が大きい箇所(太線領域)は、別途計測した電位が大きい箇所と良く対応しており、電位勾配によって厚さ方向への電流が生じていることがわかる。従って、電位勾配が大きい箇所の近傍に層間はく離がある場合、厚さ方向への電流の流れが妨げられることになる。
(はく離がある場合の電磁場)
はく離を模擬する場合、第1層と第2層の層間のx方向,y方向の導電率はゼロであると仮定した。また、はく離部Bではz方向導電率も0とし、厚さ方向の渦電流の流れが0となるようにした。
その結果、電流は、はく離部Bを避けるようにして流れ、その電流量は、はく離の端部において大きくなることがわかった。
図6は、20mm×20mmのはく離部Bの中心が(10,0)の位置にある場合の渦電流分布の実数部を示す図である。この図において、(A)は第1層のx方向電流密度、(B)は第2層のy方向電流密度の分布を表している。
図中の斜線部がはく離部Bである。また、実線で囲む領域は正の電流密度、破線で囲む領域は負の電流密度を示し、それぞれ線の太さで電流密度の大きさを示している。
この図から、はく離部Bを避けて第2層から第1層に電流が流れるために第2層では、はく離部Bの外側でy方向電流密度が大きくなっていることがわかる。第1層では、はく離部Bを避けた渦電流が流れるため、図6(A)の渦電流分布は、はく離部Bがある方向に伸長していることがわかる。
磁界検出位置Xpによって、はく離部Bによる磁界変化量がどのように変化するかを調査した。磁界を検出する位置を図4の解析モデルに示す磁界検出位置Xpであるとする。はく離部Bの中心座標xdを変化させ、磁界検出位置Xpにおける磁界のy方向磁界分布Hyを算出した。算出したy方向磁界分布Hyとはく離が無い場合のy方向磁界分布Hyの差を磁界偏差ΔHyと定義する。
図7は種々の磁界検出位置Xpに対する、はく離部Bの中心座標xdと磁界偏差ΔHyの関係を示す図である。
この図から、磁界偏差ΔHとはく離部Bの中心座標xdの関係は磁界検出位置Xpによって大きく異なる。図7で磁界偏差ΔHyが最も大きくなるのは磁界検出位置Xp=20mmではく離部Bの中心座標xd=10mmの場合である。すなわち、励磁コイル12の中心から20mm離れた位置の磁界を測定するように検出コイル14を配置した渦電流センサを用いると、励磁コイル12と検出コイル14の間にはく離部Bがある場合に大きな信号変化が得られることになる。
検出距離p=0,10mmの結果が示すように励磁コイル12と検出コイル14が近接して配置されたセンサを用いる場合、磁界偏差ΔHyの大きさはより小さく、はく離部Bに対する検出感度がより低くなってしまう。
励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dを大きくし過ぎた場合(例えば、検出距離p=35mm)も磁界偏差ΔHyの大きさは小さくなってしまい、はく離部Bに対する感度が低下する。以上の結果から、適切な磁界検出位置Xpを選択することで層間はく離に対する検出感度を向上できることが示された。
(実験)
励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dを変えることで層間はく離の検出感度が変わるかを検証する実験を行った。
図8は、実験方法の概略図である。この図において、(A)は励磁コイル12及び検出コイル14の斜視図、(B)は励磁コイル12及び検出コイル14のy軸方向から見た側面図である。
試験体1は8層のCFRP直交積層板であり、積層構成は[0/90]sである。図8(B)に示すように、0°方向にx軸,90°方向にy軸,厚さ方向にz軸を定義した。試験体1のサイズは長さ200mm,幅200mmである。この試験体1はプリプレグ(T700SC/2592)を積層し、プレス成形により作製した。
はく離部Bの大きさの異なる3種の試験体1を準備した。
第1試験体1Aと第2試験体1Bは、それぞれ10mm×10mm、20mm×20mmのはく離部Bを有する。はく離部Bは積層板の第2層と第3層の0°−90°層間に厚さ50μmのポリイミドフィルムを積層時に挿入することで模擬した。このはく離部Bは積層板のxy平面内中央に挿入した。
第3試験体1Cは、積層板の端部にはく離部Bを有する試験片である。この端部のはく離部Bは積層板のy軸に平行な辺の中央にフィルムを挿入することで模擬した。このはく離部Bのサイズは40mm×40mmであり、フィルムは第2層と第3層の間に挿入した。
励磁コイル12と検出コイル14はともに内部領域が5mm×5mm×5mmの30回巻きの正方形タンジェンシャルコイルを準備した。これら励磁コイル12と検出コイル14からなる渦電流プローブ16のリフトオフeは0.5mmとした。励磁コイル12の中心(第1軸心A1)と検出コイル14の中心(第2軸心A2)の軸間距離をdとし、軸間距離d=9,17,25mmの3通りについて実験を行った。
励磁コイル12には、波形発生器(AFG 3021C,Tektronix Inc.)から4MHzの交流電圧(励磁交流電圧Vin)を印加した。また、検出コイル14に発生する電圧(発生交流電圧Vout)はオシロスコープ(Picoscope5442B,Pico Technology)により測定した。CFRP板1のはく離部Bの周辺の63mm×63mmの領域を1mm間隔でスキャンし、発生交流電圧VoutのRMS値の分布を取得した。
図9は、第2試験体1Bに対するd=17mm場合の渦電流試験結果である。
この図は、63mm×63mmの領域における発生交流電圧VoutのRMS値の分布を示している。なお、図中の斜線領域はサンプル内のはく離部Bである。また、図中の各座標は、検出コイル14の中心位置に相当する。
また、実線で囲む領域はRMS値の大きい部分、破線で囲む領域はRMS値の小さい部分を示し、それぞれ線の太さで大きさを示している。
この図において、はく離部Bの周辺で発生交流電圧VoutのRMS値の高い箇所が発生している。これは、励磁コイル12と検出コイル14の間にはく離部Bの中心がある場合に検出磁界の明瞭な増大が見られることを示している。
第2試験体1Bに対するd=9mmでは、健全部においても発生交流電圧VoutのRMS値のばらつきが確認されており、はく離箇所を特定することは困難である。d=25mmの場合は、d=17mm同様に、はく離部周辺で発生交流電圧VoutのRMS値の増大が見られ、健全部における電圧変化と明瞭に区別が可能であった。以上より、励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dを適切に選択することではく離部Bの検出感度を向上可能であることが示された。
図10は、第1試験体1Aに対するd=17mm場合の渦電流試験結果である。
この図の記載内容は、図9と同じである。
この図は、はく離部Bが2層目と3層目の間にある場合の発生交流電圧VoutのRMS値の分布である。この図から、はく離部Bの近傍で発生交流電圧VoutのRMS値が高い領域を確認することができる。従って、第2試験体1Bの試験結果と同様に健全部での検出信号の変動と比較してはく離部Bの信号変化は明瞭になっており、層間はく離の検出が可能であることがわかる。
第1試験体1Aを裏面から検査し、層間はく離が第6層と第7層の間にあるケースについても試験を行った。図11は、d=17mmであり、はく離部Bが6層目と7層目の間にある場合の発生交流電圧VoutのRMS値の分布を示す図である。
この図から、はく離部Bのみ検出信号が周囲よりも高い値をとっており、はく離の有無を特定可能である。従って、CFRP表面から6層目と7層目の深さにあるはく離も検出可能であることが示された。
図12は、第3試験体1Cに対するd=17mm場合の渦電流試験結果である。この図の記載内容は、図9と同じである。
この図から、はく離位置において発生交流電圧VoutのRMS値が低下した領域が見られ、はく離領域をより明瞭に特定可能である。図12から、埋没はく離だけでなく端部のはく離部Bも渦電流探傷試験により検出可能であることが示された。
本発明では、FEM解析によりCFRP中の層間はく離の検出に適した渦電流試験法を検討し、実験によりその有効性を検証した。
(1)最初に、励磁コイル12(タンジェンシャルコイル)によりCFRP板1に渦電流を発生させた際の電位分布と渦電流分布を調査した。電位分布の大きさは厚さ方向に変化していることが示され、CFRP板1の層間はく離検出に必要な厚さ方向電流の駆動源を明らかにした。また、繊維方向が互いに直交する層と層の間で厚さ方向に電流が流れることによって、渦電流がループを描くことが明らかになった。
(2)次に、はく離部Bがある場合のCFRP中の渦電流分布と磁界分布をFEM解析により調査した。はく離部Bがある場合、渦電流ははく離部Bを避けるような経路で流れることを示した。これにより、渦電流分布の伸長がはく離部Bの周辺で起こり、結果的に磁界分布の伸長も発生することが明らかになった。さらに、励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dによって層間はく離による磁界変化量が異なることを示した。励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dが小さい場合、解析とd=9mmの結果から、層間はく離に対する感度が低いが、適切な軸間距離dを選択することで検出感度を向上可能であることが判明した。
(3)最後に、層間はく離を有するCFRP直交積層板サンプルに対して、タンジェンシャルコイルを用いた渦電流探傷試験を行った。励磁コイル12と検出コイル14の軸間距離dを様々に変え、適切な軸間距離dを選択することで層間はく離に対する検出感度を向上させ、CFRP板1の導電性のばらつきに起因する信号変化と区別可能であることを明らかにした。本発明で検出した最小のはく離サイズは10mm×10mmである。このサイズのはく離が8層の直交積層板の2層目と3層目の間にある場合と、6層目と7層目の間にある場合それぞれについて、はく離による明瞭な検出信号変化を得ることができた。
本発明で示した渦電流探傷試験法により、CFRP板1の層間はく離を検出可能である。
上述した本発明によれば、炭素繊維強化プラスチック板1の表面2に励磁コイル12と検出コイル14を位置決めし、励磁コイル12に励磁交流電圧Vinを印加して検出コイル14に発生する発生交流電圧Voutを検出する。
また、本発明により高い検出感度で炭素繊維強化プラスチック板1の層間はく離を検出することができる、ことが実施例により確認された。
なお本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
A1 第1軸心、A2 第2軸心、B はく離部、
d,d1,d2,d3 軸間距離、e リフトオフ(隙間)、
Hy y方向磁界分布、ΔHy 磁界偏差、p 検出距離、
Vin 励磁交流電圧、Vout 発生交流電圧、
xd 中心座標、Xp 磁界検出位置、
1 試験体(CFRP板)2 表面、
10 層間はく離検出装置、12 励磁コイル、14 検出コイル、
16 渦電流プローブ、18 発生電圧検出装置、
20 画像処理装置(コンピュータ)、22 コイル間隔調整装置

Claims (7)

  1. 第1軸心を有する励磁コイルと、第2軸心を有する検出コイルと、
    前記第1軸心に対し前記第2軸心を平行に位置決めして前記励磁コイルと前記検出コイルを保持し、かつ炭素繊維強化プラスチック板の表面に対し前記第1軸心と前記第2軸心を含む平面を平行に位置決めする渦電流プローブと、
    前記励磁コイルに励磁交流電圧を印加して前記検出コイルに発生する発生交流電圧を検出する発生電圧検出装置と、を備えた層間はく離検出装置。
  2. 前記渦電流プローブは、前記励磁コイルと前記検出コイルの軸間距離を変更するコイル間隔調整装置を有する、請求項1に記載の層間はく離検出装置。
  3. 前記励磁コイルから異なる軸間距離を有する複数の前記検出コイルを備える、請求項1に記載の層間はく離検出装置。
  4. 前記励磁コイル又は前記検出コイルは、正方形タンジェンシャルコイルである、請求項1に記載の層間はく離検出装置。
  5. 第1軸心を有する励磁コイルと、第2軸心を有する検出コイルと、を準備し、
    前記第1軸心に対し前記第2軸心を平行に位置決めして前記励磁コイルと前記検出コイルを保持し、かつ炭素繊維強化プラスチック板の表面に対し前記第1軸心と前記第2軸心を含む平面を平行に位置決めし、
    前記励磁コイルに励磁交流電圧を印加して前記検出コイルに発生する発生交流電圧を検出する、層間はく離検出方法。
  6. 前記励磁コイルと前記検出コイルを軸間距離を保持したまま移動して、前記表面における前記発生交流電圧のRMS値の分布を検出し、
    前記RMS値の特異箇所から層間はく離を検出する、請求項5に記載の層間はく離検出方法。
  7. 前記炭素繊維強化プラスチック板の積層構成に応じて、前記励磁コイルと前記検出コイルの軸間距離を変更する、請求項5に記載の層間はく離検出方法。

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