JP2020034087A - 軸受構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】腐食性流体から外輪を保護することのできる軸受構造体を提供する。【解決手段】軸受構造体(3)は、内周面が軌道面を構成する外輪(5)、および、軌道面上を転動して回転要素(2)を回転自在に支持する複数のころ(6)を含むころ軸受(4)と、外輪(5)の外周面上に嵌められる円環状の部材であって、外輪の軸方向一方端の位置よりも軸方向外側に突出する突出部(72)を含む外環部材(7)とを備える。突出部(72)には、外輪の軸方向外側を覆うシール部材(8)が嵌め入れられている。【選択図】図1
Description
本発明は、軸受構造体に関し、特に、シール部材を一体的に備えた軸受構造体に関する。
従来から、軸受外部への潤滑剤の流出防止、または、外部からの流体や異物の侵入防止を目的として、シール部材を備えたころ軸受が存在する。たとえば特開2007−64309号公報(特許文献1)には、シェル形外輪と、シェル形外輪の内径面に沿うように配置されるころと、シェル形外輪のフランジ部の内側に組み込まれたシール部材とを含むシェル形ころ軸受が開示されている。
また、特許第6092208号公報(特許文献2)および特許第6092209号公報(特許文献3)には、シール部材が、シェル形外輪のフランジ部を境界とする軸受内部空間から軸受外部空間に連続するように配置されたころ軸受装置が開示されている。このシール部材は、内径側に突出してシャフトに接触するリップと、軸受外部空間において外径側に突出してハウジングの段部に接触するリップとを有している。
自動車用のEGR(Exhaust Gas Recirculation)バルブ、または、自動車の電子制御スロットルバルブのような流体制御弁においては、腐食性のある流体の流量制御が行われるため、制御弁に装着される軸受には、当該流体を封止する性能が要求される。特許文献1に開示されているような、シェル形外輪のフランジ部の内側にシール部材を組み込んだころ軸受(シール付きころ軸受)をこのような制御弁に適用すると、シール部材によって、流体が軸受内部に侵入することを防止できる。しかしながら、外輪のフランジ部の外側はシール部材に覆われていないため、腐食性流体との接触により外輪が腐食するおそれがある。
そこで、軸受の上流側に、軸受とは別体のシール部材を配置することが考えられる。しかしその場合、軸受とシール部材が別々の部品であるため、取り扱い性が良くない。また、軸受およびシール部材をハウジングに嵌め入れる際に手間がかかる。
これに対し、特許文献2、3のころ軸受においては、外輪のフランジ部に取り付けられたシール部材が、軸受外部空間に位置する部分を有し、かつ、当該部分がハウジングの段部に接触するリップを有していることから、軸受に一体的に備えられたシール部材によって、外輪を腐食性流体から保護することができる。しかしながら、特許文献2、3では、ハウジングに段部が設けられていることが前提となっているため、軸受外部空間に位置するシールの締め代を考慮してハウジングを加工する必要があると考えられる。このような加工は容易ではなく、また、コストがかかるため、望ましくない。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、腐食性流体から外輪を保護することのできる軸受構造体を提供することである。
この発明のある局面に従う軸受構造体は、ころ軸受と、外環部材とを備える。ころ軸受は、内周面が軌道面を構成する外輪、および、軌道面上を転動して回転要素を回転自在に支持する複数のころを含む。外環部材は、外輪の外周面上に嵌められる円環状の部材であって、外輪の軸方向一方端の位置よりも軸方向外側に突出する突出部を含む。突出部には、外輪の軸方向外側を覆うシール部材が嵌め入れられている。
好ましくは、突出部の先端には、径方向内側に延びる鍔部が設けられており、シール部材は、外輪と鍔部とに挟まれている。
この場合、シール部材は、外輪と鍔部との間を軸方向に延びる芯金を有していることが望ましい。
あるいは、外環部材の内周面のうち、突出部の基端位置には、外輪の軸方向一方端が突き当たり当接する当接部が設けられていてもよい。
外環部材の鍔部は軸方向他方端に設けられていてもよい。この場合、外輪の軸方向他方端が鍔部に接触していることが望ましい。
この場合、外環部材のハウジングへの嵌め入れ易さを考慮して、突出部の外周面は、先端側の外径寸法が小さくなるよう形成されたテーパ面を有していてもよい。
好ましくは、外環部材の少なくも表面の材料は、外輪の材料よりも耐腐食性を有している。
本発明によれば、腐食性流体から外輪を保護することができる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
(軸受構造体の構成について)
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る軸受構造体3の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る軸受構造体3がハウジング1に嵌め入れられた状態を模式的に示す断面図である。図2は、軸受構造体3を示す部分断面図である。
図1および図2を参照して、本実施の形態に係る軸受構造体3の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る軸受構造体3がハウジング1に嵌め入れられた状態を模式的に示す断面図である。図2は、軸受構造体3を示す部分断面図である。
図1に示されるように、軸受構造体3は、ハウジング1の円筒状の孔部に収容される。軸受構造体3は、ころ軸受4と、外環部材7と、シール部材8とを備えている。図1には、ころ軸受4の中心線(軸線)が一点鎖線で示されている。以下の説明では、ころ軸受4の中心線に沿う方向を「軸方向」、ころ軸受4の中心線に直交する方向を「径方向」という。なお、図1および図2における矢印A1方向が軸方向一方を示し、その反対方向が軸方向他方を示すものとする。図1における矢印A2方向は径方向を示す。
ころ軸受4は、外輪5と、複数のころ6とを含む。外輪5は、典型的にはシェル形外輪であり、円筒部51と、円筒部51の軸方向両端部にそれぞれ設けられた一対のフランジ部52,53とを有する。円筒部51の内周面はころ6の軌道面を構成する。フランジ部52,53は、径方向内側に向かって真っ直ぐ延びている。
外輪5は、標準的な(市場に流通している)シェル形外輪であり、プレス加工によって形成されている。外輪5の材料は、シェル形外輪に通常用いられる材料、たとえば冷間圧延鋼板(JIS G 3141)である。外輪5は、外輪5は耐腐食のためのコーティングを有していない。
複数のころ6は、外輪5の軌道面上を転動し、回転軸2を回転自在に支持する。ころ6は、針状ころである。すなわち、本実施の形態に係るころ軸受4は、シェル形針状ころ軸受である。なお、複数のころ6によって回転自在に支持される回転要素は、回転軸2に限定されず、たとえば、ころ軸受4が備える内輪(図示せず)であってもよい。
複数のころ6は保持器60に保持されていてもよい。保持器60は、複数のころ6をそれぞれ収容する複数のポケットを有する。複数のポケットは周方向に一定間隔で設けられているため、保持器60によって複数のころ6の間隔が一定に保たれる。保持器60は、外輪5のフランジ部52,53と軸方向に対向している。そのため、フランジ部52,53によって、ころ6および保持器60の軸方向移動が規制される。
外環部材7は、外輪5の外周面上に嵌められる円環状の部材である。そのため、外環部材7の中心線はころ軸受4の中心線と一致する。本実施の形態では、外環部材7内に外輪5が圧入されて、両者が固定されている。このように、軸受構造体3の外輪部材は、標準的な外輪5と外環部材7との二層構造となっている。つまり、軸受構造体3がハウジング1に嵌め入れられた状態(取り付け状態)において、外環部材7はハウジング1と外輪5との間に配置される。なお、後述するように、外環部材7の材料は外輪5の材料と異なっていてもよい。
外環部材7の軸方向寸法L2は外輪5の軸方向寸法L1よりも長い。外環部材7は、外輪5と軸方向位置が重なる本体部71と、外輪5の軸方向一方端の位置よりも軸方向外側に突出する突出部72とで構成されている。
本実施の形態では、外環部材7の軸方向一方端部が径方向内側に折り曲げられている。つまり、突出部72の先端には、径方向内側に延びる鍔部73が設けられている。外環部材7の軸方向他方端には鍔部が設けられておらず、外輪部材7は軸方向一方端にのみ鍔部73を有している。外環部材7は、外輪5と同様にプレス加工によって形成される。
加工容易性、コスト低減、または、軸受サイズの大型化防止の観点から、外環部材7の板厚寸法T2は外輪5の板厚寸法T1未満であることが望ましい。
シール部材8は、環状に形成されており、突出部72に嵌め入れられている。つまり、シール部材8は、フランジ部52を覆うように、外輪5の軸方向一方端よりも外側に配置されている。本実施の形態において、シール部材8は、外輪5と外環部材7の鍔部73とに挟まれている。シール部材8は、フランジ部52と外環部材7の鍔部73との双方に接触することが望ましい。
鍔部73の径方向長さは、シール部材8の脱落を防止できる長さであればよい。図示される例では、鍔部73の方がフランジ部52,53よりも若干、径方向内側に延びており、鍔部73の内径寸法がフランジ部52,53の内径寸法よりも小さくなっている。軸方向視において、鍔部73の内径側端部は、後述するシール部材8のリップ81の先端部と重なっている。なお、このような例に限定されず、鍔部73の内径寸法はフランジ部52,53の内径寸法以上であってもよい。
シール部材8は、弾性体であって、その材質としては、たとえば、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。軸受構造体3が、たとえば後述するEGR(Exhaust Gas Recirculation)制御弁に適用される場合など、高温環境下で使用される場合には、シール部材8はフッ素ゴムであることが望ましい。
シール部材8は、回転軸2に摺接する少なくとも1つのリップ81を有している。リップ81の形状は、たとえば軸方向外側を向く外向き形状である。シール部材8は外環部材7の鍔部73の内側に組み込まれているため、ハウジング1に接するリップを有していない。
シール部材8は、外輪5と鍔部73との間を軸方向に延びる芯金80を有している。芯金80は突出部72の内周面に接触するように設けられていることが望ましい。また、芯金80の軸方向一方端部は径方向内側に折り曲げられており、その折り曲げ部が突出部72の鍔部73の内側面に接触していることが、より望ましい。
なお、軸受構造体3の組み立ては、外環部材7の軸方向他方端から、シール部材8およびころ軸受4を順に外環部材7内に圧入することによって行われる。本体部71の軸方向寸法は、外輪5の軸方向寸法L1と略同じであることが望ましい。これにより、軸受構造体3の組み立て時における各部材の軸方向の位置決め、および、軸受構造体3の寸法管理を容易にできる。
このように、本実施の形態では、外輪5の軸方向外側(フランジ部52)を覆うシール部材8が、外輪5とは別部材である外環部材7によって保持されている。このような軸受構造体3を用いることによる効果について、図8の比較例を参照しながら説明する。
図8に示す比較例においては、ハウジング1内に、シール付きころ軸受104が嵌め入れられている。ころ軸受104は、シェル形針状ころ軸受であり、円筒部151およびフランジ部152,153を含む外輪105と、ころ106と、フランジ部152,153の内側に配置されたシール部材108とを含んでいる。なお、当該ころ軸受104は、両側シール付きころ軸受であるため、内部にグリースを保持することができる。
外輪105は、市場に流通しているシェル形外輪(カタログ製品)であり、その材料は、本実施の形態の外輪5と同じである。比較例では、シール部材108によって、たとえば軸方向一方側から流れてくる流体が軸受内部に流入することが阻止される。しかし、シール部材108はフランジ部152,153の内側にのみ配置されているため、フランジ部152の外側面は露出した状態となっている。そのため、フランジ部152(つまり、外輪105)は、流体との接触により腐食するおそれがある。
この対策として、耐腐食性を有する材料で外輪105をコーティングすることが考えられる。しかしこの場合、ころ106との接触によって軌道面のコーティングが剥がれてしまう可能性があり、そのような場合には、軸受の寿命に悪影響を及ぼすおそれがある。コーティングの剥離を防止するために、コーティングの際に外輪105の内周面をマスキングし、軌道面にはコーティングを施さないようにすることも考えられるが、この場合、手間がかかり、製造コストが上昇してしまう。
あるいは、外輪105自体の材料を、たとえばステンレスなど、耐腐食性を有する材料に変更することも考えられる。しかしながら、ステンレスは、シェル形外輪に用いられる一般的な鋼材よりも硬いため、プレス加工によって成形される外輪105の材料をステンレスとすると、加工そのものが困難となるおそれがある。ステンレスの中でも加工性に優れたものもあるが、プレス加工後の焼き入れができなくなる可能性があり、このような場合には、軸受に必要な硬度が得られないため、軸受の短寿命化が懸念される。
これに対し、本実施の形態では、外輪部材を、汎用の外輪5および外環部材7の二層構造とし、外径側の外環部材7の突出部72にシール部材8を嵌め入れている。外環部材7はころ6と接触しないため、外環部材7をコーティングすることができる。つまり、加工性を考慮して外環部材7の材料を外輪5の材料と同じにしながら、外環部材7の表面に、耐腐食のためのコーティングを施すことができる。あるいは、外環部材7自体の材料の選択肢が広がるため、外環部材7の材料として、ステンレスなど、外輪5の材料よりも耐腐食性を有する材料を採用することもできる。
このように、本実施の形態によれば、外環部材7の少なくとも表面の材料を、外輪5の材料よりも耐腐食性を有する材料とすることができる。したがって、外環部材7の鍔部73がシール部材8の外側に配置されている場合であっても、外環部材7の腐食を防止または抑制することができる。
また、軸受構造体3が外環部材7を備えるため、外輪5に特殊な加工を施さなくてもよい。つまり、新たに専用のころ軸受を製造することなく、標準的なころ軸受4を用いることができる。したがって、軸受構造体3全体の製造コストを抑えることができる。
また、シール部材8はハウジング1に接触しないため、シール部材8の締め代等を考慮してハウジング1を加工する必要がない。したがって、軸受構造体3を適用する制御弁の製造コストを抑えることができる。
また、本実施の形態では、シール部材8が、ころ軸受4とともに外環部材7に組み込まれているため、軸受構造体3を一つの製品として取り扱うことが可能である。そのため、シール部材をころ軸受4の上流側に独立して配置する軸受構造に比べて、軸受構造体3のハウジング1への取り付け(圧入)が容易になる。
軸受構造体3をハウジング1に取り付ける際には、外輪5および外環部材7の双方を、軸方向他方側から一方側に向かって押すことが望ましいものの、外環部材7の板厚寸法T2が外輪5の板厚寸法T1未満である場合には、外輪5のみを押して取り付けることが想定される。この場合であっても、シール部材8が芯金80を有しているため、シール部材8が外輪5のフランジ部52に押されて潰れる(軸方向に圧縮し、変形する)ことを防止できる。なお、外輪5および外環部材7の双方を押してハウジング1に取り付け可能である場合には、シール部材8が芯金80を有していなくてもよい。
(軸受構造体の用途例)
本実施の形態に係る軸受構造体3の用途例について説明する。軸受構造体3は、たとえばEGR(Exhaust Gas Recirculation)制御弁などの流体制御弁に適用することができる。
本実施の形態に係る軸受構造体3の用途例について説明する。軸受構造体3は、たとえばEGR(Exhaust Gas Recirculation)制御弁などの流体制御弁に適用することができる。
図3は、本実施の形態に係る軸受構造体3が適用されたEGR制御弁の要部を模式的に示す概略断面図である。EGR制御弁は、ハウジング1の内部に形成された排気ガス流路11の開口面積を連続的または段階的に変更することで、排気ガス流路11を経由して、排気通路から吸気通路へ再循環(還流)される排気ガスの流量を可変制御する排気ガス流量制御弁(排気絞り弁)である。
ハウジング1には、排気ガス流路11に交差する円筒状の孔部12が設けられており、この孔部12に、回転軸2と、回転軸2を回転自在に支持する支持機構とが収容される。ハウジング1の孔部12は、軸方向中央に位置する中央孔部12aと、中央孔部12aの軸方向一方側(紙面左側)に位置し中央孔部12aよりも小径である小径孔部12bと、中央孔部12aの軸方向他方側(紙面右側)に位置し中央孔部12aよりも大径である大径孔部12cとを有している。
回転軸2は、支持機構に支持される大径部21と、大径部21よりも小径であり、大径部21の軸方向一方側に隣接して位置する小径部22とを有している。小径部22の先端部は、ガス流路11にまで突出し、ガス流路11内において弁体13に連結固定されている。ハウジング1の中央孔部12aおよび大径孔部12cに、回転軸2の大径部21が収容され、ハウジング1の小径孔部12bに、回転軸2の小径部22の軸方向他方端部が収容されている。図3には、回転軸2の軸線が一点鎖線で示されている。
弁体13は、平面視において円形状である。弁体13は、回転軸2の回転角度に応じて、全閉位置と全開位置との間で姿勢(位置)が変更させられる。図3では、全閉位置の弁体13が実線で示され、全開位置の弁体13が想像線(二点鎖線)で示されている。
排気ガス流路11は、排気通路側の流路11aと、吸気通路側の流路11bとを有しており、流路11a側から流路11b側へと排気ガスが流れる。この例では、流路11aの方が流路11bよりも直径(内径)が大きく形成されており、これらの流路11a,11b間に段差部11cが設けられている。弁体13の直径(外径)は、流路11aの直径よりも小さく、流路11bの直径よりも大きい。
弁体13が全閉位置に位置するとき、弁体13は排気ガス流路11の段差部11cに嵌まり込む。これにより、排気ガス流路11の内周面と弁体13の外周端面との間の環状隙間が完全に封鎖される。この場合、排気ガスが、エアクリーナを通過した清浄な吸気(新気)に混入されない。
弁体13が開位置に位置するとき、弁体13の外周部はガス流路11の段差部11cに接触しない。この場合、排気ガスが、エアクリーナを通過した清浄な吸気(新気)に混入される。
支持機構は、玉軸受9と上記した軸受構造体3とを一つずつ含む。玉軸受9および軸受構造体3は、回転軸2の大径部21をハウジング1に対して回転自在に支持している。支持機構が、軸受構造体3だけでなく玉軸受9も含むことによって、回転軸2の軸方向位置が固定される。玉軸受9と、軸受構造体3と、これらの軸受に支持される回転軸2と、ハウジング1とで、回転軸支持構造が構成される。
玉軸受9の外径寸法は軸受構造体3の外径寸法よりも大きい。玉軸受9は、ハウジング1の大径孔部12cに圧入され、軸受構造体3は、ハウジング1の中央孔部12aに圧入されている。軸受構造体3は、玉軸受9よりも排気ガス流路11側に設けられている。
EGR制御弁においては、排気ガス流路11内の排気ガスが、ハウジング1の孔部12(小径孔部12b)の内周面と回転軸2の小径部22の外周面との間の環状隙間14を介して、軸受構造体3が配置された中央孔部12aに侵入することが想定される。軸受構造体3は、外環部材7の突出部72に嵌め入れられたシール部材8を備えているため、シール部材8によって、腐食性流体としての排気ガスから外輪5を保護するとともに、排気ガスがころ軸受4の内部に侵入することを防止することができる。
また、突出部72の端部(鍔部73)は排気ガスに接触するものの、外環部材7の少なくとも表面材は外輪5よりも耐腐食性を有しているため、外環部材7の腐食を防止または抑制することができる。
なお、軸受構造体3の用途は、自動車のEGR制御弁に限定されない。軸受構造体3を適用し得る流体制御弁としては、たとえば、自動車の電子制御スロットルバルブのような吸気流量制御弁、あるいは、排気絞り弁または排気ブレーキ弁などの他種の排気制御弁が挙げられる。
また、ころ軸受4が適用される流体制御弁は、自動車以外の車両または装置の制御弁であってもよい。たとえば、燃料電池のエア制御弁が挙げられる。
(変形例1)
図4は、本実施の形態の変形例1に係る軸受構造体3Aを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Aは、上述のシール部材8に代えて、シール部材8Aを備えている。
図4は、本実施の形態の変形例1に係る軸受構造体3Aを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Aは、上述のシール部材8に代えて、シール部材8Aを備えている。
シール部材8のリップ81はいわゆる一枚リップであったのに対し、シール部材8Aのリップは二枚(ダブル)リップである。シール部材8Aは、軸方向一方側(外側)を向く外向き形状のリップ81aと、軸方向他方側(内側)を向く内向き形状のリップ81bとを有している。
この軸受構造体3Aによれば、正圧時における腐食性流体の流入を防止するとともに、負圧時におけるエア漏れを防止することができる。具体的には、シール部材8Aが内向き形状のリップ81bを有しているため、負圧時に、ころ軸受4の内部の潤滑油が、空気とともにシール部材8Aと回転軸2との間から漏出することを防止できる。
なお、シール部材は、回転軸2に摺接する3つ以上のリップを有していてもよい。
(変形例2)
図5は、本実施の形態の変形例2に係る軸受構造体3Bを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Bは、上述のシール部材8に加え、他のシール部材8Bを備えている。
図5は、本実施の形態の変形例2に係る軸受構造体3Bを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Bは、上述のシール部材8に加え、他のシール部材8Bを備えている。
シール部材8,8Bは軸方向において互いに隣接して配置されている。そのため、本変形例における外環部材7Aの突出部72Aは、上記外環部材7における突出部72よりも軸方向に長い。
シール部材8は、軸方向一方側(外側)を向く外向き形状のリップ81を有しているのに対し、シール部材8Bは、軸方向他方側(内側)を向く内向き形状のリップ82を有している。シール部材8Bが外輪5のフランジ部52に接触し、シール部材8が外環部材7の鍔部73に接触して配置されている。このように、シール部材を複数個設けて、正圧および負圧の両条件に対応できるようにしてもよい。
本変形例では、2個のシール部材8,8Bそれぞれの芯金80が互いに隣接し、2つの芯金80が一体となって外輪5と鍔部73との間を軸方向に延びていることが望ましい。なお、シール部材8Bにおいては、芯金80の軸方向他方端部が径方向内側に折り曲げられ、その折り曲げ部が外輪5のフランジ部52の外側面に接触していることが、より望ましい。
(変形例3)
図6は、本実施の形態の変形例3に係る軸受構造体3Cを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Cは、上記外環部材7に代えて、外環部材7Bを備えている。
図6は、本実施の形態の変形例3に係る軸受構造体3Cを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Cは、上記外環部材7に代えて、外環部材7Bを備えている。
外環部材7Bの内周面のうち、突出部72Bの基端位置には、外輪5の軸方向一方端が突き当たり当接する当接部74が設けられている。本変形例では、本体部71と突出部72Bとの境界部分に設けられた段差部が当接部74を構成している。
具体的には、突出部72Bは、その内径寸法が本体部71の内径寸法よりも小さくなるように形成され、外環部材7Bの内周面のうち、突出部72Bと本体部71との境界部分に緩やかな段差部(傾斜面)が設けられている。
このように、外環部材7Bの内周面に当接部74が設けられる形態においては、外輪5のみを押してハウジング1に軸受構造体3を圧入するハウジング1に圧入する際に、外輪5の軸方向一端(つまりフランジ部52)が当接部74に突き当たるため、鍔部73とフランジ部52との間の軸方向間隔が縮まることを防止することができる。本変形例によれば、シール部材がフランジ部52に押されて潰れることを防止できるため、突出部72Bに、芯金なしのシール部材を嵌め入れることができる。
図6の例では、突出部72Bに、芯金を有さない2個のシール部材8C,8Dが嵌め入れられている。シール部材8Cは、外環部材7の鍔部73に接触して配置され、上記シール部材8と同様に外向きのリップ81を有している。シール部材8Dは、外輪5のフランジ部52に接触して配置され、上記シール部材8Bと同様に内向きのリップ82を有している。
なお、本変形例では、突出部72Bと本体部71との間の段差部が当接部74を構成することとしたが、限定的ではない。当接部74は、たとえば、突出部72Bの基端部に設けた凸部によって構成されてもよい。
(変形例4)
図7は、本実施の形態の変形例4に係る軸受構造体3Dを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Dは、上記外環部材7に代えて、外環部材7Cを備えている。
図7は、本実施の形態の変形例4に係る軸受構造体3Dを模式的に示す部分断面図である。軸受構造体3Dは、上記外環部材7に代えて、外環部材7Cを備えている。
外環部材7は、軸方向一方側に(のみ)鍔部73を有していたのに対し、外環部材7Cは、軸方向他方側に(のみ)鍔部75を有している。鍔部75は外輪5のフランジ部53の軸方向外側に配置されている。鍔部75の内側面と、フランジ部53の外側面とが面接触している。
この場合、軸受構造体3Dをハウジング1に取り付ける際に、外環部材7Cの鍔部75を押すことでフランジ部53も同時に押すことができるため、外輪5と外環部材7Cとの位置ずれを防止できる。この変形例においても、軸受構造体3Dの取り付け時にシール部材が外輪5に押されて変形することを防止できるため、変形例3のような当接部74を設けなくても、突出部72Cに、芯金なしのシール部材を嵌め入れることができる。
図7の例では、変形例3と同様に、突出部72Cに2個の芯金なしのシール部材8C,8Dが嵌め入れられている。なお、本変形例においても、図2等に示した芯金80を有する1つまたは複数のシール部材を突出部72Bに嵌め入れてもよい。ただし、芯金80が軸方向外側に露出する場合には、芯金80を、耐腐食性を有する材料で構成することが望ましい。
本変形例では、突出部72Cの先端に鍔部が設けられていないため、突出部72Bの外周面は、先端側の外径寸法が小さくなるよう形成されたテーパ面76を有していることが望ましい。これにより、軸受構造体の軸方向一方端に鍔部が設けられていない場合であっても、ハウジング1への圧入をスムーズに行うことができる。
なお、軸受構造体3Dの組み立ては、外環部材7の軸方向一方端から、ころ軸受4およびシール部材8D、8Cを順に外環部材7内に圧入することによって行われる。
(他の変形例)
軸受構造体3(3A,3B,3C,3D)は、外輪5のフランジ部52,53の内側にシール部材が配置されていないころ軸受4を備えることとしたが、図8の比較例に示したような両側シール付きころ軸受、または、片側シール付きころ軸受を備えていてもよい。この場合、フランジ部52の外側に設けられたシール部材8とフランジ部52の内側に設けられたシール部材とによって、軸受内部への流体の流入をより効果的に防止することができる。また、軸受内部からの潤滑剤の漏れを効果的に防止することができる。
軸受構造体3(3A,3B,3C,3D)は、外輪5のフランジ部52,53の内側にシール部材が配置されていないころ軸受4を備えることとしたが、図8の比較例に示したような両側シール付きころ軸受、または、片側シール付きころ軸受を備えていてもよい。この場合、フランジ部52の外側に設けられたシール部材8とフランジ部52の内側に設けられたシール部材とによって、軸受内部への流体の流入をより効果的に防止することができる。また、軸受内部からの潤滑剤の漏れを効果的に防止することができる。
なお、上記実施の形態および複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ハウジング、2 回転軸、3,3A,3B,3C,3D 軸受構造体、4,104 ころ軸受、5,105 外輪、6,106 ころ、7,7A,7B,7C 外環部材、8,8A,8B,8C,8D,108 シール部材、72,72A,72B,72C 突出部、73,75 鍔部、74 当接部、76 テーパ面、80 芯金。
Claims (7)
- 内周面が軌道面を構成する外輪、および、前記軌道面上を転動して回転要素を回転自在に支持する複数のころを含むころ軸受と、
前記外輪の外周面上に嵌められる円環状の部材であって、前記外輪の軸方向一方端の位置よりも軸方向外側に突出する突出部を含む外環部材とを備え、
前記突出部には、前記外輪の軸方向外側を覆うシール部材が嵌め入れられている、軸受構造体。 - 前記突出部の先端には、径方向内側に延びる鍔部が設けられており、
前記シール部材は、前記外輪と前記鍔部とに挟まれている、請求項1に記載の軸受構造体。 - 前記シール部材は、前記外輪と前記鍔部との間を軸方向に延びる芯金を有している、請求項2に記載の軸受構造体。
- 前記外環部材の内周面のうち、前記突出部の基端位置には、前記外輪の軸方向一方端が突き当たり当接する当接部が設けられている、請求項1または2に記載の軸受構造体。
- 前記外環部材の軸方向他方端に、径方向内側に延びる鍔部が設けられており、
前記外輪の軸方向他方端が前記鍔部に接触している、請求項1に記載の軸受構造体。 - 前記外環部材はハウジング内に嵌め入れられ、
前記突出部の外周面は、先端側の外径寸法が小さくなるよう形成されたテーパ面を有している、請求項5に記載の軸受構造体。 - 前記外環部材の少なくも表面の材料は、前記外輪の材料よりも耐腐食性を有している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の軸受構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018161282A JP2020034087A (ja) | 2018-08-30 | 2018-08-30 | 軸受構造体 |
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Family
ID=69667590
Family Applications (1)
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JP2018161282A Pending JP2020034087A (ja) | 2018-08-30 | 2018-08-30 | 軸受構造体 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020034087A (ja) |
-
2018
- 2018-08-30 JP JP2018161282A patent/JP2020034087A/ja active Pending
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