JP2020033492A - 樹脂組成物用のエッチング液 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ不溶性樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物を除去する加工において、該樹脂組成物を含有してなる樹脂組成物層を除去する加工において、人体や環境への負荷が少なく、樹脂組成物層を除去することができるエッチング液を提供することが本発明の課題である。【解決手段】アルカリ不溶性樹脂及び50〜80質量%の無機充填材を含む樹脂組成物用のエッチング液において、該エッチング液が少なくとも15〜45質量%のアルカリ金属水酸化物及び、5〜40質量%のアミン化合物を含み、該アミン化合物に対して1〜25質量%が複素環式アミン化合物であり、残りがエタノールアミン化合物であることを特徴とする樹脂エッチング液。【選択図】なし
Description
本発明は、アルカリ不溶性樹脂及び50〜80質量%の無機充填材を含む樹脂組成物用のエッチング液に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴って、回路基板において、微細配線形成や熱膨張係数の低下が強く求められている。その中で、絶縁材料の低熱膨張係数化の手段として、無機充填材を高充填化する方法が知られている。さらに、絶縁材料として、エポキシ樹脂、フェノールノボラック系硬化剤、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂等を含み、耐湿性に優れたアルカリ不溶性樹脂の使用が提案されている。これらの無機充填材及びアルカリ不溶性樹脂を含む絶縁性の樹脂組成物は、耐熱性、誘電特性、機械強度、耐化学薬品性等に優れた物性を有し、プリント配線板の外層表面に用いられるソルダーレジストや多層ビルドアップ配線板に用いられる層間絶縁材料として広く使用されている。
無機充填材及びアルカリ不溶性樹脂を含む樹脂組成物を含有してなる樹脂組成物層を除去する加工方法としては、ドリル、レーザー、プラズマ、ブラスト等の公知の方法により、また、必要に応じてこれらの方法を組み合わせて行うことができる。中でも、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UVレーザー、YAGレーザー等のレーザーによる加工が最も一般的であり、レーザー光照射によって、樹脂組成物層の一部を除去し、スルーホール形成用の貫通孔やバイアホール形成用の開口、半田パッド形成用の開口等の貫通孔や非貫通孔を形成できる(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかしながら、レーザー光の照射による加工では、例えば、炭酸ガスレーザーを用いた場合、多くのショット数が必要となり、後処理としてクロム酸、過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を用いてデスミア処理を行う必要がある。また、エキシマレーザーを用いた場合、加工に要する時間が非常に長くなる。さらに、UV−YAGレーザーの場合、他のレーザー光に比べ、微細加工ができるという点では優位性があるが、樹脂組成物層だけでなく、近隣に存在する金属層も同時に除去してしまうという問題があった。
また、レーザー光が照射されると、光エネルギーが物体に吸収され、比熱に応じて物体が過度に発熱し、この発熱によって、樹脂の溶解、変形、変質、変色等の欠点が発生する場合があった。また、この発熱に対して、樹脂組成物層中に熱硬化性樹脂を用いることが提案されているが、樹脂組成物層にクラックが発生しやすくなる場合があった。
無機充填材及びアルカリ不溶性樹脂を含む樹脂組成物を含有してなる樹脂組成物層を除去する加工方法として、エッチング液として40℃のヒドラジン系薬液を使用した浸漬処理によって行うエッチング方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、ヒドラジンは毒物であり、人体への影響や環境負荷が大きいため、好ましくない。
アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物を除去する加工において、人体や環境への負荷が少なく、樹脂組成物層を除去することができるエッチング液を提供することが本発明の課題である。
本発明者らは、下記手段によって、上記課題を解決できることを見出した。
(1)アルカリ不溶性樹脂及び50〜80質量%の無機充填材を含む樹脂組成物用のエッチング液において、該エッチング液が少なくとも15〜45質量%のアルカリ金属水酸化物及び、5〜40質量%のアミン化合物を含み、該アミン化合物に対して1〜25質量%が複素環式アミン化合物であり、残りがエタノールアミンであることを特徴とする樹脂組成物用のエッチング液。
(2)複素環式アミン化合物がピペラジン及び、モルホリンの誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物用のエッチング液。
(3)ピペラジン及び、モルホリンの誘導体が、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物用のエッチング液。
(2)複素環式アミン化合物がピペラジン及び、モルホリンの誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物用のエッチング液。
(3)ピペラジン及び、モルホリンの誘導体が、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の樹脂組成物用のエッチング液。
本発明のエッチング液により、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物を除去する加工において、人体や環境への負荷が少なく、樹脂組成物層を除去することができるエッチング液を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。本発明のエッチング液は、アルカリ不溶性樹脂及び50〜80質量%の無機充填材を含む樹脂組成物用のエッチング液であり、15〜45質量%のアルカリ金属水酸化物を含有するアルカリ水溶液である。アルカリ不溶性樹脂はアルカリ水溶液に溶解しない性質を有するため、本来アルカリ水溶液によって除去することはできない。しかし、本発明のエッチング液を使用することによって、アルカリ不溶性樹脂を含む樹脂組成物を除去することができる。これは、樹脂組成物中に50〜80質量%という高い含有量で高充填化された無機充填材が高濃度のアルカリ金属水酸化物を含む水溶液によって溶解除去されるためである。ヒドラジンを含有するエッチング液を使用することでアルカリ不溶性樹脂を含む樹脂組成物を除去することができるが、人体への影響や環境負荷の観点から、好ましくなく、本発明のエッチング液は人体や環境への負荷を軽減することができる。
アルカリ金属水酸化物の含有量が15質量%未満の場合、無機充填材の溶解性が乏しく、アルカリ金属水酸化物の含有量が45質量%を超えると、アルカリ金属水酸化物の析出が起こりやすいことから液の経時安定性に劣る場合がある。アルカリ金属水酸化物の含有量は、20〜45質量%がより好ましく、25〜40質量%がさらに好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムの群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好適に用いられる。アルカリ金属水酸化物は、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、本発明のエッチング液は、アルカリ金属水酸化物に加えて、5〜40質量%のアミン化合物を含有する。アミン化合物を含有するエッチング液を使用した場合、アミン化合物が樹脂組成物中に浸透することにより、樹脂組成物の膨潤が促進され、無機充填材の溶解除去が加速され、樹脂組成物の除去速度が上がる。
アミン化合物の含有量が5質量%未満の場合、アルカリ不溶性樹脂の膨潤性が乏しく、アミン化合物の含有量が0質量%の場合と比較して、樹脂組成物の除去速度が変わらない。アミン化合物の含有量が40質量%を超えた場合、水に対する相溶性が低くなり、相分離が起こりやすいことから、エッチング液の経時安定性に劣る場合がある。アミン化合物の含有量は、20〜40質量%がより好ましく、25〜35質量%がさらに好ましい。
上記アミン化合物としては、エタノールアミン化合物が好ましく、第一級アミンであるエタノールアミン;第一級アミンと第二級アミンの混合物であるN−(β−アミノエチル)エタノールアミン;第二級アミンであるN−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン;第三級アミンであるN−エチルジエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。エタノールアミン化合物は、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、本発明のエッチング液は、アルカリ金属水酸化物、エタノールアミン化合物に加え、複素環式アミン化合物を含有する。複素環式アミン化合物を含有するエッチング液を使用した場合、複素環式アミン化合物が、上記エタノールアミン化合物が樹脂組成物中に過剰に浸透することを抑制し、樹脂組成物の過剰なエッチングを抑えることができる。複素環式アミン化合物の含有量は、アミン化合物に対して1〜25質量%であり、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
樹脂の膨潤を促進する効果の高いエタノールアミンは、エッチング除去された樹脂組成物層の開口を広げやすい。そこで樹脂組成物層への浸透が遅い複素環式アミン化合物と組み合わせることで過剰に開口が広がることを抑制する効果が達成できる。
上記複素環式アミン化合物としては、ピペラジンの誘導体及びモルホリンの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることができる。また、ピペラジンの誘導体であるN−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン;モルホリンの誘導体である4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を用いることが好ましい。複素環式アミン化合物は、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のエッチング液に、必要に応じてカップリング剤、レベリング剤、着色剤、界面活性剤、消泡剤、有機溶媒等を適宜添加することもできる。有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等が挙げられる。この中で、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等は、アルカリ不溶性樹脂の膨潤性が大きく好ましい。
本発明のエッチング液は、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物用のエッチング液である。該樹脂組成物における無機充填材の含有量は、樹脂組成物中の不揮発分100質量%に対して50〜80質量%である。無機充填材の含有量が50質量%未満の場合、樹脂組成物全体に対して、アルカリ金属水酸化物を含有する水溶液によって溶解されるサイトとしての無機充填材が少なすぎるため、エッチングが進行しない。80質量%を超えると、樹脂組成物の流動性の低下により、可撓性が低下する傾向があり、実用性に劣る。
本発明のエッチング液はアルカリ水溶液である。本発明のエッチング液に使用される水としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができる。このうち純水を使用することが好ましい。純水は、一般的に工業用に用いられるものを使用することができる。
本発明のエッチング液は、50〜90℃の範囲で使用することが好ましい。樹脂組成物の種類、樹脂組成物を含有してなる樹脂組成物層の厚み、樹脂組成物を除去する加工を施すことによって得られるパターンの形状等により最適温度が異なるが、エッチング液の温度は60〜85℃がより好ましく、70〜85℃がさらに好ましい。
本発明において、無機充填材としては、例えば、シリカ、ガラス、クレー、雲母等のケイ酸塩;アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ等の酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩等が挙げられる。また、ホウ酸アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。これらの中で、シリカ、ガラス、クレー及び水酸化アルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は、アルカリ金属水酸化物を含有する水溶液に溶解することから好適に用いられる。特に、シリカは低熱膨張性に優れる点で好ましく、球状溶融シリカがより好ましい。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明におけるアルカリ不溶性樹脂について説明する。アルカリ不溶性樹脂は、アルカリ水溶液に対して溶解又は分散されないという性質以外は、特に限定されない。具体的には、アルカリ水溶液に対して溶解するために必要なカルボキシル基含有樹脂等の含有量が非常に少ない樹脂であり、樹脂中の遊離カルボキシル基の含有量の指標となる酸価(JIS K2501:2003)としては、40mgKOH/g未満である。より具体的には、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂を硬化させる熱硬化剤を含む樹脂である。アルカリ水溶液としては、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物の水溶液、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド(コリン)等の有機アルカリ性化合物を含有する水溶液が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂として、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱硬化剤としては、エポキシ樹脂を硬化する機能を有するものであれば特に限定されないが、好ましいものとしては、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。熱硬化剤として、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記硬化剤に加え、さらに硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、例えば、有機ホスフィン化合物、有機ホスホニウム塩化合物、イミダゾール化合物、アミンアダクト化合物、3級アミン化合物等が挙げられる。硬化促進剤として、これらの中の1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、熱硬化剤としてシアネートエステル樹脂を使用する場合には、硬化時間を短縮する目的で、硬化触媒として用いられている有機金属化合物を添加してもよい。有機金属化合物としては、有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等が挙げられる。
上述したように、本発明のエッチング液を使用して、アルカリ不溶性樹脂及び50〜80質量%の無機充填材を含む樹脂組成物をエッチングすると、高充填化された無機充填材が高濃度のアルカリ金属水酸化物を含む水溶液によって溶解除去されることによって、樹脂組成物の除去が進行する。さらに、本発明のエッチング液がアミン化合物を含む場合には、アミン化合物が樹脂組成物中に浸透することにより、樹脂組成物の膨潤が促進され、無機充填材の溶解除去が加速される。
一方、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填材を含む樹脂組成物は、熱硬化によって、絶縁樹脂組成物層を形成することができるが、本発明のエッチング液を使用したエッチングは、Aステージ(硬化反応の開始前)又はBステージ(硬化反応の中間段階)の状態において進行する。Aステージ又はBステージにおいても、アルカリ不溶性樹脂は本発明のエッチング液に溶解又は分散することは無いが、無機充填材が本発明のエッチング液によって溶解除去されることによって、樹脂組成物の除去が進行する。Cステージとなり、樹脂が完全に硬化した状態では、本発明のエッチング液がアミン化合物を含んでいる場合でも、アミン化合物による絶縁樹脂組成物層の膨潤が極めて小さく、無機充填材の溶解除去による樹脂エッチングは困難である。
AステージからBステージへの熱硬化条件としては、100〜160℃で10〜60分であり、より好ましくは、100〜130℃で10〜60分であるが、これに限定されるものではない。160℃を超える高温で加熱すると、さらに熱硬化が進行し、樹脂エッチングが困難になる。
本発明のエッチング液を使用して樹脂組成物を除去する加工処理(エッチング処理)は、浸漬処理、パドル処理、スプレー処理、ブラッシング、スクレーピング等の方法を用いることができる。
エッチング処理後、さらに、除去しきれなかった樹脂組成物や樹脂組成物の表面に残存付着したエッチング液を水洗処理によって洗浄する。水洗処理の方法としては、拡散速度と液供給の均一性の点からスプレー方式が好ましい。水洗水としては、水道水、工業用水、純水等を用いることができる。このうち純水を使用することが好ましい。純水は、一般的に工業用に用いられるものを使用することができる。また、水洗水の温度は、エッチング液の温度以下で、且つその温度差が40℃以下であることが好ましく、より好ましくはその温度差が10〜30℃であるのがよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
無機充填材として、溶融シリカ78質量%、エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂10質量%、熱硬化剤として、フェノールノボラック型シアネート樹脂10質量%、硬化促進剤として、トリフェニルホスフィン1質量%、その他、カップリング剤、レベリング剤を加え、全量を100質量%としたものに、メチルエチルケトンとシクロヘキサノンを媒体として混合し、液状樹脂組成物を得た。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)上に液状樹脂組成物を塗布した後、100℃で5分間乾燥して溶媒を除去し、膜厚20μmで、アルカリ不溶性樹脂及び無機充填剤を含む樹脂組成物からなり、Aステージの樹脂組成物層を形成した。
続いて、厚み3μmの銅箔と剥離層とキャリア箔とがこの順に積層された剥離可能な金属箔を準備し、銅箔と上記樹脂組成物層が接触するように両者を熱圧着させた後、剥離層及びキャリア箔を剥離して、銅箔付き樹脂組成物層を得た。
エポキシ樹脂ガラス布基材銅張積層板(面積170mm×255mm、銅箔厚み12μm、基材厚み0.1mm)の一方の表面にある銅箔をエッチングによりパターニングし、導体パターンが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材を得た。次に、銅箔付き樹脂組成物層からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、導体パターンが形成されたエポキシ樹脂ガラス布基材上に、真空加熱圧着式ラミネーターを使って、温度100℃、圧力1.0MPaで真空熱圧着した後、130℃で30分間加熱し、Bステージの樹脂組成物層を形成した。
続いて、樹脂組成物層上の銅箔をエッチングによりパターニングし、銅箔の所定の領域に開口部を形成し、樹脂組成物層エッチング用の金属マスクとし、金属マスク付きの樹脂組成物層を準備した。
次に、金属マスクを介して、表1に記載したエッチング液によって、樹脂組成物層に対してエッチング処理を行った。エッチング液の温度及びエッチング処理に要した時間を表1に示した。金属マスクの開口部において、樹脂開口径を下記の基準によって評価した。
150μm径の円形の金属マスク部を開口部Aとし、50μm径の円形の金属マスク部を開口部Bとした。開口部Aの樹脂組成物層がエッチング除去されエポキシ樹脂ガラス基材が150μm径露出するのに要した時間を時間I、開口部Bの樹脂組成物層がエッチング除去されエポキシ樹脂ガラス基材が50μm径露出するのに要した時間を時間IIとした。時間I及び時間IIにおける開口部Aの開口径をそれぞれ開口径AI、開口径AIIとした。
複素環式アミン化合物を含まない比較例1及び2では、開口径AIと開口径AIIの差は80μmであるのに対し、複素環式アミン化合物がアミン化合物に対して10質量%含有している実施例1〜3、6では、70〜60μmであり、複素環式アミン化合物を添加することにより開口径の広がりが抑制されている。
実施例3〜5、7、8では、複素環式アミン化合物である4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンの含有率が増えるに従って、開口径AIと開口径AIIの差が小さくなり、複素環式アミンの含有量増加が開口部の過剰なエッチングを抑制するのに効果的であった。
比較例3では、複素環式アミン化合物である4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンの含有量がエタノールアミン化合物に対する含有率が過剰となるとエッチング除去に要する時間が長くなり、時間IとIIの差が大きくなり、実用上問題となる可能性がある。
実施例3、9、10では、N−(β−アミノエチル)エタノールアミンを27質量%、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンを3質量%とし、水酸化カリウムの含有量を変化させた。水酸化カリウムの量が増えるにつれてエッチング除去に要する時間は少なくなったが、開口径AIと開口径AIIの差は、複素環式アミンを含まないときに比べ小さく、複素環式アミン化合物を添加することにより開口径の広がりが抑制されている。
実施例3、11、12では、アミン化合物の含有量が増えるにつれてエッチング除去に要する時間は少なくなったが、開口径AIと開口径AIIの差は、複素環式アミンを含まないときに比べ小さく、複素環式アミン化合物を添加することにより開口径の広がりが抑制されている。
本発明のエッチング液は、無機充填材が高充填化された耐熱性、誘電特性、機械強度、耐化学薬品性等に優れた絶縁樹脂組成物層をエッチング加工することができ、例えば、多層ビルドアップ配線板、部品内蔵モジュール基板、フリップチップパッケージ基板、パッケージ基板搭載用マザーボード等における絶縁樹脂の微細加工に適用できる。
Claims (3)
- アルカリ不溶性樹脂及び50〜80質量%の無機充填材を含む樹脂組成物用のエッチング液において、少なくとも15〜45質量%のアルカリ金属水酸化物及び、5〜40質量%のアミン化合物を含み、該アミン化合物に対して1〜25質量%が複素環式アミン化合物であり、残りがエタノールアミン化合物であることを特徴とする樹脂組成物用のエッチング液。
- 複素環式アミン化合物がピペラジン及び、モルホリンの誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物用のエッチング液。
- ピペラジン及び、モルホリンの誘導体が、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンから選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物用のエッチング液。
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