JP2020031187A - 有機elデバイスの製造方法及び有機elデバイス - Google Patents
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Abstract
Description
一方、バンク付きの画素を持つ有機ELデバイスにおいては、端部で発光した場合にリーク(短絡)につながる危険性から各画素に設けられる有機発光層の断面形状を長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状にすることによって、リークの危険性を抑えていた。しかし、このような有機ELデバイスにおいて、EQEについては改善の余地があった。
本発明の他の目的は、EQEが良好な有機ELデバイスを生産性良く製造することのできる方法を提供することにある。
[1] 第1の電極と有機発光層と第2の電極とを含む画素を備える有機ELデバイスであって、
前記有機ELデバイスは、基板と、前記基板に設けられており前記画素を規定するためのバンクとを備え、
前記画素は、前記バンク内に配置され、
前記有機発光層は、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有し、かつ、前記短手方向の中心を通り前記長手方向に平行な断面において、長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状を有し、
前記画素は、電流値が10mA/cm2であるときの平均輝度が3000cd/m2以上であり、
前記画素は、前記断面における最大輝度の値を1とする規格化がなされた前記断面における輝度分布曲線について、下記式(1):
SL(70)≦0.010 (1)
[式中、SL(70)は、前記長手方向中心の位置を0、前記長手方向における一方端の位置を+100、前記長手方向における他方端の位置を−100とするとき、位置+70における輝度分布曲線の傾きの絶対値と、位置−70における輝度分布曲線の傾きの絶対値との平均値を表す。]
を満たす、有機ELデバイス。
[2] 第1の電極と有機発光層と第2の電極とを含む画素を形成する工程を含む有機ELデバイスの製造方法であって、
前記有機ELデバイスは、基板と、前記基板に設けられており前記画素を規定するためのバンクとを備え、
前記画素は、前記バンク内に配置され、
前記画素を形成する工程は、
前記第1の電極上に前記有機発光層を形成する工程と、
前記有機発光層上に前記第2の電極を形成する工程と、
得られた画素を検査する工程と、
を含み、
前記有機発光層は、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有し、かつ、前記短手方向の中心を通り前記長手方向に平行な断面において、長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状を有するように形成され、
前記画素は、電流値が10mA/cm2であるときの輝度が3000cd/m2以上であり、
前記検査する工程は、前記画素の前記断面における輝度分布曲線の傾きに関する情報を取得し、該情報に基づいて前記画素の良否判定を行う工程を含む、有機ELデバイスの製造方法。
[3] 前記画素の良否判定を行う工程において、前記画素が、前記長手方向中心における輝度で規格化したときの前記断面における輝度分布曲線について、下記式(1):
SL(70)≦0.010 (1)
[式中、SL(70)は、前記長手方向中心の位置を0、前記長手方向における一方端の位置を+100、前記長手方向における他方端の位置を−100とするとき、位置+70における輝度分布曲線の傾きの絶対値と、位置−70における輝度分布曲線の傾きの絶対値との平均値を表す。]
を満たすか否かに基づいて前記画素の良否判定を行う、[2]に記載の有機ELデバイスの製造方法。
[4] 前記第1の電極上に、塗布法によって有機発光層を形成する、[2]又は[3]に記載の有機ELデバイスの製造方法。
また、EQEが良好な有機ELデバイスを生産性良く製造することのできる方法を提供することができる。
図1は、一実施形態に係る有機ELデバイスを画素形成面側から見たときの平面図である。
図1に示される有機ELデバイス1は有機ELディスプレイパネルであり、複数の画素2を有する。それぞれの画素2は、有機EL素子部である。すなわち、有機ELデバイス1は、複数の有機EL素子部が一体的に連結された構成を有する。
本明細書において、「画素」とは、光を発する単位(又は領域)を意味しており、少なくとも第1の電極と有機発光層と第2の電極とを含む。本実施形態において、画素2は、陽極(第1の電極)12、正孔注入層21、正孔輸送層22、有機発光層23及び陰極(第2の電極)30で構成されている。
画素2の発光により画素2は色情報を有する。図1では、画素2を破線で模式的に示している。
(i)赤色画素2RがX方向に所定の間隔をあけて配置される列。
(ii)緑色画素2GがX方向に所定の間隔をあけて配置される列。
(iii)青色画素2BがX方向に所定の間隔をあけて配置される列。
図2は、図1のII−II線に沿った断面の一部拡大図である。図3は、図1の有機ELデバイスが有するバンク付き基板を説明する図面であり、図2からバンク付き基板10以外の構成要素を省略した図面に対応する。
有機ELデバイス1は、バンク付き基板10と、複数の有機EL構造部20と、陰極(第2の電極)30とを備える。有機ELデバイス1は、トップエミッション型のデバイスでもよいし、ボトムエミッション型のデバイスでもよい。以下では断らない限り、ボトムエミッション型、すなわち、バンク付き基板10側から光を取り出す場合について説明する。
図2及び図3に示されるように、バンク付き基板10は、基板11と、複数の陽極(第1の電極)12と、バンク13とを有する。
基板11は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する板状の透明部材である。基板11は、陽極12及びバンク13を支持する支持体である。基板11の厚みは、例えば30μm以上1100μm以下である。基板11は、例えばガラス基板又はシリコン基板等のリジッド基板であってもよいし、プラスチック基板又は高分子フィルム等の可撓性基板であってもよい。可撓性基板を用いることで、有機ELデバイス1が可撓性を有し得る。
陽極12は、基板11の表面11a上において各画素2に対応する画素領域2a上に設けられている。陽極12の平面視形状(基板11の厚み方向から見た形状)としては、例えば、長方形、正方形等の四角形、他の多角形、及び、四角形や他の多角形において角部に丸味を付けた形状等が挙げられる。陽極12の平面視形状は、円形又は楕円形でもよい。また、陽極12の平面視形状は、四角形や他の多角形において、少なくとも1辺を弧状(例えば円弧状)にした形状でもよい。
バンク13は、図2及び図3に示されるように、各陽極12の周囲に設けられる。バンク13は、隣り合う陽極12の間に渡っても設けられている。バンク13の一部は、陽極12の周縁部に被さっていてもよい。バンク13は、画素2(画素領域2a)を規定(区画)するための隔壁である。すなわち、バンク13は、基板11の表面11a上において予め設定されている画素領域2aを区画する開口を有するようなパターンで基板11上に設けられている。本実施形態では、図1に示されるように、複数の画素2が二次元配列で配置されているため、格子状のバンク13が基板11に設けられている。
正孔注入層21は、陽極12から有機発光層23への正孔注入効率を改善する機能を有する有機層である。正孔注入層21の材料は公知の正孔注入材料が用いられ得る。正孔注入材料としては、例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム及び酸化アルミニウム等の酸化物;フェニルアミン化合物;スターバースト型アミン化合物;フタロシアニン化合物;アモルファスカーボン;ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体が挙げられる。
正孔輸送層22は、陽極12、正孔注入層21又は陽極12により近い正孔輸送層22から有機発光層23への正孔注入を改善する機能を有する層である。正孔輸送層22の材料には、公知の正孔輸送入材料が用いられ得る。正孔輸送層22の材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン若しくはその誘導体、ピラゾリン若しくはその誘導体、アリールアミン若しくはその誘導体、スチルベン若しくはその誘導体、トリフェニルジアミン若しくはその誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、及びポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等が挙げられる。また、特開2012−144722号公報に開示されている正孔輸層材料も挙げることができる。
有機発光層23は、正孔輸送層22上に設けられる。有機発光層23は、所定の波長の光を発光する機能を有する有機層である。有機発光層23は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、あるいは、該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。
有機発光層23に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。有機発光層23を構成する発光材料としては、例えば、下記の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料が挙げられる。
すなわち、各画素2は、バンク13内(バンク13によって規定される凹部14内)に配置される。
長手方向と短手方向とを有する形状としては、長方形、長方形の角部に丸味を付けた形状、長方形における少なくとも1辺を弧状(例えば円弧状)にした形状、楕円形等が挙げられる。
上記凹形状を有する有機発光層23における長手方向両端の厚みと中心の厚みとの差は、例えば1nm以上20nm以下であり、輝度向上及びEQE向上の観点から、好ましくは1nm以上10nm以下であり、より好ましくは1nm以上5nm以下である。
有機発光層の平均的な厚みは、例えば1nm以上2μm以下であり、好ましくは5nm以上500nm以下であり、より好ましくは10nm以上100nm以下である。
バンク13内に塗布法によって有機発光層23を形成すると、表面張力の影響によって、通常、有機発光層23は凹形状を有することとなる。
陰極30は、有機発光層23上に設けられる。陰極30の材料としては、仕事関数が小さく、有機発光層23への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また、本実施形態で説明しているように、有機ELデバイス1が陽極12側から光を取り出す場合には、有機発光層23から放射される光を陰極30で陽極12側に反射するために、陰極30の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極30には、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表の13族金属等を用いることができる。また、陰極30として、導電性金属酸化物又は導電性有機物等からなる透明導電性陰極を用いることもできる。
有機発光層23と陰極30との間に、電子注入層、電子輸送層等の他の層を1又は2以上設けてもよい。
電子注入層は、陰極から有機発光層への電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層には公知の電子注入材料を用いることができる。このように電子注入層を設ける場合には、電子注入層と有機発光層との間に、電子輸送層が設けられてもよい。電子輸送層は、陰極、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。電子輸送層には公知の電子輸送材料を用いることができる。
有機ELデバイス1において、複数の画素2のうち少なくとも1つは、下記〔A〕及び〔B〕を充足する。以下、下記〔A〕及び〔B〕を充足する画素を「特定画素」とも称する。
〔A〕電流値が10mA/cm2であるときの平均輝度が3000cd/m2以上である。
〔B〕有機発光層23の短手方向の中心を通り長手方向に平行な断面における最大輝度の値を1とする規格化がなされた該断面における輝度分布曲線について、下記式(1):
SL(70)≦0.010 (1)
を満たす。
上記平均輝度とは、有機発光層23の短手方向の中心を通り長手方向に平行な断面における有機発光層23の長手方向にわたる輝度の平均値を意味する。
電流値が10mA/cm2であるときの平均輝度は、好ましくは4000cd/m2以上であり、より好ましくは5000cd/m2以上である。
ここでいう輝度分布曲線とは、有機発光層(画素)の長手方向における位置(横軸)と、その位置における輝度(縦軸)との関係を示す曲線グラフをいい、縦軸の輝度は、有機発光層23の長手方向中心における最大輝度の値を1とする規格化がなされている(図4参照)。
同様に、位置−70における輝度分布曲線の傾きとは、5つの座標点(−71.6,この位置における輝度)、(−70.8,この位置における輝度)、(−70.0,この位置における輝度)、(−69.2,この位置における輝度)及び(−68.4,この位置における輝度)を用いて線形近似を行って得られる直線の傾きを意味する。
SL(70)は、0の近傍が望ましい。
〔C〕横軸を画素に供給する電流量(単位:mA/cm2)とし、縦軸を平均輝度(単位:cd/m2)とする、電流量と平均輝度との関係を示すグラフにおいて、電流量の増加に従って、その電流値における平均輝度の値をその電流値で除した値(すなわち、上記グラフにおけるその電流値での傾きであり、その電流値での上記平均輝度効率を意味する。)が次第に低下する。
上記低下の程度が大きいほど、EQE向上効果が大きくなる傾向にある。
上記輝度分布曲線の傾きを求める位置が、例えば絶対値で60より小さい場合にも、上記輝度分布曲線の傾きとEQEとの間に関係性が認められないことが明らかとなっている。
これに対して、上記輝度分布曲線の傾きを求める位置が、例えば絶対値で60以上80以下である場合には上記関係性を認めることができ、とりわけ絶対値で70である場合にはその関係性がより明確であり、SL(70)が0.010以下であるときと、そうでないときとで、EQEに有意な差が認められることが明らかとなった。
有機ELデバイスとしてのEQE向上効果の観点及び有機ELデバイスの生産性向上のから、有機ELデバイスは、すべての赤色画素2Rが特定画素であるか、すべての緑色画素2Gが特定画素であるか、又は、すべての青色画素2Bが特定画素であることが好ましい。特に緑色画素2Gではその視感度曲線の特性上、輝度が上昇しやすいため、特定画素であることが好ましく、次いで赤色画素2R、青色画素2Bの順で特定画素であることがより好ましい。さらに、すべての赤色画素2R、すべての緑色画素2G及びすべての青色画素2Bからなる群より選択される2種以上の画素が特定画素であることが特に好ましい。
以上の説明では、有機発光層とバンク付き基板が有する電極との間に、正孔注入層及び正孔輸送層が形成されていたが、それらは形成されなくてもよい。例えば、バンク付き基板が有する電極に隣接して有機発光層が形成されてもよい。あるいは、正孔輸送層が形成されておらず、正孔注入層に隣接して有機発光層が形成されていてもよい。
有機ELデバイスの例としては、有機ディスプレイパネルに限定されず、有機発光装置であればよい。
次に、有機ELデバイス1の製造方法について説明する。ここでは、バンク付き基板10を準備した後の有機ELデバイス1の製造方法について説明する。
有機ELデバイス1の製造方法は画素を形成する工程を含み、画素を形成する工程は、下記の工程を含む。
陽極(第1の電極)12上に有機発光層23を形成する工程(有機発光層形成工程)S101、
有機発光層23上に陰極(第2の電極)30を形成する工程(陰極形成工程)S102、及び
得られた画素を検査する工程S103。
具体的には、有機発光層23となるべき発光材料を含む塗布液をバンク13内、すなわち、凹部14内の正孔輸送層22上に滴下して塗布膜を形成した後、塗布膜を乾燥させることによって、有機発光層23を形成する。
赤色画素2R、緑色画素2G及び青色画素2Bに対応する凹部14には、それぞれ、赤色用発光材料、緑色発光材料、及び青色発光材料を含む塗布液を用いて、赤色発光層23R、緑色発光層23G及び青色発光層23Bを形成する。
また上述のように、少なくとも1つの画素2において、好ましくはすべての画素2において、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有する有機発光層23は、短手方向の中心を通り長手方向に平行な断面において、長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状を有する(図6参照)。
バンク13内に塗布法によって有機発光層23を形成すると、表面張力の影響によって、通常、有機発光層23は凹形状を有することとなる。
画素の輝度分布曲線を測定し、該曲線から得られる情報に基づいて画素の良否判定を行う方法によれば、有機発光層23そのものの形状(例えば厚みや厚み分布等)を測定し、その測定結果に基づいて画素の良否判定を行う方法に比べて簡便にかつ容易に良否判定を行えるため、有機ELデバイス1の生産性を向上させることができる。
SL(70)、その範囲及び好ましい範囲、並びに式(1)については上述の記載が引用される。
上記〔A〕を満たす画素について行う検査工程S103において、例えば、上記式(1)を満たすか否かを良否判定基準とし、SL(70)が0.010を超える場合、上記〔B〕を満たすようにするために、有機発光層23の形成について上記調整を行う工程を実施することが好ましい。
有機ELデバイスとしてのEQE向上効果の観点及び有機ELデバイスの生産性向上のから、有機ELデバイスは、すべての赤色画素2Rが特定画素であるか、すべての緑色画素2Gが特定画素であるか、又は、すべての青色画素2Bが特定画素であることが好ましい。特に緑色画素2Gではその視感度曲線の特性上、輝度が上昇しやすいため、特定画素であることが好ましく、次いで赤色画素2R、青色画素2Bの順で特定画素であることがより好ましい。さらに、すべての赤色画素2R、すべての緑色画素2G及びすべての青色画素2Bからなる群より選択される2種以上の画素が特定画素であることが特に好ましい。
バンク付き基板10の複数の凹部14に、陽極12側から正孔注入層21、正孔輸送層22及び有機発光層23を形成し、有機発光層23上に陰極30を形成して複数の画素を作製した。これにより有機ELデバイスを得た。正孔注入層21、正孔輸送層22及び有機発光層23は、インクジェット印刷法により各層に対応する塗布液を用いて塗布膜を形成し、真空乾燥させることで形成した。各凹部14内の有機発光層23として緑色発光層23Gを使用した。画素を構成する有機EL構造部20は、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有する。
非接触3次元表面形状測定装置(Zygo社製)を用いて確認したところ、有機発光層23は、短手方向の中心を通り長手方向に平行な断面において、長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状を有していた。以下の実施例2、比較例1及び2、並びに参考例1及び2においても同様であった。
有機発光層23を形成する際に行った真空乾燥での乾燥温度を35℃としたこと以外は実施例1と同様にして有機ELデバイス1を作製した。陽極12、正孔注入層21、正孔輸送層22、有機発光層23及び陰極30の材料はそれぞれ、実施例1と実施例2とで同じである。
有機発光層23を形成する際に行った真空乾燥での真空チャンバ内の減圧プロファイルを図7に示されるとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして有機ELデバイス1を作製した。陽極12、正孔注入層21、正孔輸送層22、有機発光層23及び陰極30の材料はそれぞれ、実施例1と比較例1とで同じである。
有機発光層23を形成する際に行った真空乾燥での真空チャンバ内の減圧プロファイルを図7に示されるとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして有機ELデバイス1を作製した。陽極12、正孔注入層21、正孔輸送層22、有機発光層23及び陰極30の材料はそれぞれ、実施例1と比較例2とで同じである。
バンク付き基板10の複数の凹部14に、陽極12側から正孔注入層21、正孔輸送層22及び有機発光層23を形成し、有機発光層23上に陰極30を形成して複数の画素を作製した。これにより有機ELデバイスを得た。正孔注入層21、正孔輸送層22及び有機発光層23は、インクジェット印刷法により各層に対応する塗布液を用いて塗布膜を形成し、真空乾燥させることで形成した。各凹部14内の有機発光層23として青色発光層23Bを使用した。画素を構成する有機EL構造部20は、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有する。
有機発光層23を形成する際に行った真空乾燥での乾燥温度を55℃としたこと以外は参考例1と同様にして有機ELデバイス1を作製した。陽極12、正孔注入層21、正孔輸送層22、有機発光層23及び陰極30の材料はそれぞれ、参考例1と参考例2とで同じである。
(1)電流値が10mA/cm2であるときの平均輝度
Radiant Vision Systems社製の2次元色彩輝度計を用い、複数の画素のうちの1つについて、印加した電流[単位:mA]及び発光面積[単位:cm2]から求められる電流値が10mA/cm2となるときの平均輝度[単位:cd/m2]を求めた。結果を表1に示す。平均輝度は、有機発光層23の短手方向の中心を通り長手方向に平行な断面について求めた。
上記(1)の測定を行った画素について、Radiant Vision Systems社製の2次元色彩輝度計を用いて画素内の輝度分布を取得し、輝度分布曲線を求めた。輝度分布曲線は、平均輝度は、有機発光層23の短手方向の中心を通り長手方向に平行な断面について求めた。
また、得られた輝度分布曲線から、上述の定義に従って、SL(70)を求めた。結果を表1に示す。
上記(1)の測定を行った画素について、Radiant Vision Systems社製の2次元色彩輝度計を用い、電圧[単位:V]、電流[単位:mA]及び発光スペクトルからEQEを求めた。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 第1の電極と有機発光層と第2の電極とを含む画素を備える有機ELデバイスであって、
前記有機ELデバイスは、基板と、前記基板に設けられており前記画素を規定するためのバンクとを備え、
前記画素は、前記バンク内に配置され、
前記有機発光層は、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有し、かつ、前記短手方向の中心を通り前記長手方向に平行な断面において、長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状を有し、
前記画素は、電流値が10mA/cm2であるときの平均輝度が3000cd/m2以上であり、
前記画素は、前記断面における最大輝度の値を1とする規格化がなされた前記断面における輝度分布曲線について、下記式(1):
SL(70)≦0.010 (1)
[式中、SL(70)は、前記長手方向中心の位置を0、前記長手方向における一方端の位置を+100、前記長手方向における他方端の位置を−100とするとき、位置+70における輝度分布曲線の傾きの絶対値と、位置−70における輝度分布曲線の傾きの絶対値との平均値を表す。]
を満たす、有機ELデバイス。 - 第1の電極と有機発光層と第2の電極とを含む画素を形成する工程を含む有機ELデバイスの製造方法であって、
前記有機ELデバイスは、基板と、前記基板に設けられており前記画素を規定するためのバンクとを備え、
前記画素は、前記バンク内に配置され、
前記画素を形成する工程は、
前記第1の電極上に前記有機発光層を形成する工程と、
前記有機発光層上に前記第2の電極を形成する工程と、
得られた画素を検査する工程と、
を含み、
前記有機発光層は、平面視において長手方向と短手方向とを有する形状を有し、かつ、前記短手方向の中心を通り前記長手方向に平行な断面において、長手方向中心の厚みが両端の厚みよりも小さい凹形状を有するように形成され、
前記画素は、電流値が10mA/cm2であるときの輝度が3000cd/m2以上であり、
前記検査する工程は、前記画素の前記断面における輝度分布曲線の傾きに関する情報を取得し、該情報に基づいて前記画素の良否判定を行う工程を含む、有機ELデバイスの製造方法。 - 前記画素の良否判定を行う工程において、前記画素が、前記長手方向中心における輝度で規格化したときの前記断面における輝度分布曲線について、下記式(1):
SL(70)≦0.010 (1)
[式中、SL(70)は、前記長手方向中心の位置を0、前記長手方向における一方端の位置を+100、前記長手方向における他方端の位置を−100とするとき、位置+70における輝度分布曲線の傾きの絶対値と、位置−70における輝度分布曲線の傾きの絶対値との平均値を表す。]
を満たすか否かに基づいて前記画素の良否判定を行う、請求項2に記載の有機ELデバイスの製造方法。 - 前記第1の電極上に、塗布法によって有機発光層を形成する、請求項2又は3に記載の有機ELデバイスの製造方法。
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