<全体構成>
図1は、発光装置1を搭載した車両Xの全体構成例を示すアプリケーション図である。本構成例の車両Xは、発光装置1と、バッテリ2と、電源スイッチ3及び4と、コントローラ5を有する。
発光装置1は、車両Xの右左折時や車線変更時ないしはハザード時に点滅されるターンランプないしはハザードランプである。
バッテリ2は、車両Xの電源であり、鉛蓄電池などが好適に用いられる。
電源スイッチ3及び4は、それぞれ、発光装置1とバッテリ2との間に並列接続されており、コントローラ3からの制御を受けてオン/オフされる。
コントローラ5は、ターンレバーの操作に応じて電源スイッチ3のオン/オフ制御を行うとともに、ハザードボタンの押下に応じて電源スイッチ4のオン/オフ制御を行う。例えば、発光装置1が右折用ターンランプである場合、コントローラ5は、ターンレバーが右折方向に倒されている間、電源スイッチ3を周期的にオン/オフさせて発光装置1への断続的な電力供給を行う。一方、発光装置1が左折用ターンランプである場合、コントローラ5は、ターンレバーが左折方向に倒されている間、電源スイッチ3を周期的にオン/オフさせて発光装置1への断続的な電力供給を行う。また、ハザードボタンが押下されている場合、コントローラ5は、発光装置1が右折用ターンランプであっても左折用ターンランプであっても、電源スイッチ4を周期的にオン/オフさせて発光装置1への断続的な電力供給を行う。また、コントローラ5は、発光装置1の異常フラグ(スイッチ駆動装置10のFAIL端子電圧)を監視して運転者への異常報知を行う機能も備えている。
<発光装置>
引き続き、図1を参照しながら、発光装置1の内部構成について説明する。発光装置1は、スイッチ駆動装置10と、発光素子駆動装置20と、発光素子群30と、種々のディスクリート部品(抵抗R1〜R3、キャパシタC1〜C5、ダイオードD1〜D3)と、を含む。
スイッチ駆動装置10は、バッテリ2から入力電圧Vinの供給を受けて動作し、発光素子群30を形成する発光ダイオードLED1〜LED8の短絡/非短絡を各々切り替える半導体集積回路装置(いわゆるマトリクススイッチドライバIC)である。スイッチ駆動装置10は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、複数の外部端子(VIN端子、CNT端子、HAZ端子、VREG端子、SETDLY端子、SETCLK端子、SET端子、SEL1端子〜SEL3端子、FAIL端子、CMPLT端子、SG端子、VCP端子、CH0端子〜CH8端子、GND端子)を備えている。
発光素子駆動装置20は、バッテリ2から入力電圧Vinの供給を受けて動作し、発光素子群30(発光ダイオードLED1〜LED8)の駆動電流Idを生成する半導体集積回路装置(いわゆるLED[light emitting diode]ドライバIC)である。なお、発光素子駆動装置20は、スイッチ駆動装置10のSG端子電圧(電流供給開始トリガ相当)を監視し、スイッチ駆動装置10の動作不定期間が経過するまで、駆動電流Idの供給開始を待機する機能を備えている。
発光素子群30は、発光素子駆動装置20と接地端との間に直列接続された複数の発光素子(本図では、最大8個の発光ダイオードLED1〜LED8)を含む直列発光体(いわゆるLEDストリング)である。なお、発光ダイオードLED1〜LED8を個別に見た場合、それぞれを単一の発光ダイオード素子として理解することもできるし、或いは、複数の発光ダイオード素子を直列ないしは並列に組み合わせた発光素子集合体として理解することもできる。
次に、種々のディスクリート部品やスイッチ駆動装置10の外部端子について、各々の接続状態を説明する。ダイオードD1のアノードは、電源スイッチ3の第1端に接続されている。ダイオードD2及びD3の各アノードは、電源スイッチ4の第1端に接続されている。電源スイッチ3及び4の各第2端は、バッテリ2の正極端に接続されている。ダイオードD1及びD2の各カソードは、スイッチ駆動装置10のVIN端子に接続されるとともに、発光素子駆動装置20の電源端にも接続されている。ダイオードD3のカソードは、HAZ端子に接続されている。
キャパシタC1は、VIN端子と接地端との間に接続されている。キャパシタC2は、VREG端子と接地端との間に接続されている。キャパシタC3は、SETDLY端子と接地端との間に接続されている。キャパシタC4は、SETCLK端子と接地端との間に接続されている。キャパシタC5は、VCP端子とCH8端子との間に接続されている。
抵抗R1は、SET端子と接地端との間に接続されている。抵抗R2は、VIN端子とFAIL端子との間に接続されている。抵抗R3は、VREG端子とSG端子との間に接続されている。
スイッチ駆動装置10のCH0端子とGND端子は、いずれも発光ダイオードLED1のカソード(接地端)に接続されている。スイッチ駆動装置10のCH(k)端子(ただし、k=1、2、…、7)は、発光ダイオードLED(k)のアノードと発光ダイオードLED(k+1)のカソードに各々接続されている。スイッチ駆動装置10のCH8端子は、発光ダイオードLED8のアノードに接続されている。
スイッチ駆動装置10のCNT端子は、VIN端子に接続されている。SEL1端子〜SEL3端子は、いずれも接地端に接続されている。CMPLT端子は、オープン状態とされている。これら接続状態の意義については、以降の説明の中で明らかとなる。
ところで、スイッチ駆動装置10は、発光ダイオードLED1〜LED8の順次点灯制御を実施するに際して、マイコンからの制御信号を一切必要としない(詳細は後述)。従って、従来構成(図19や図20を参照)と異なり、マイコンやマイコン用電源を設ける必要がなくなるので、発光装置1の部品点数を削減することが可能となる。また、発光装置1に接続されるハーネスの本数も大幅に削減することができるので、セット設計が容易となる上、EMC試験対策や異常モード検証などの作業量を軽減することも可能となる。
以下では、マイコン制御を要することなく従来と同様の順次点灯制御を実施することのできるスイッチ駆動装置10の内部構成や動作について、図面を参照しながら詳述する。
<スイッチ駆動装置>
図2は、スイッチ駆動装置10の内部構成例を示すブロック図である。本構成例のスイッチ駆動装置10は、スイッチ部100と、ドライバ部110と、ロジック部120と、内部レギュレータ部130と、UVLO[under voltage lock out]部140と、電流設定部150と、オシレータ部160と、周波数設定部170と、起動遅延部180と、第1ウォッチドッグタイマ部190と、第2ウォッチドッグタイマ部200と、セレクタ部210と、チャージポンプ部220と、オープン/ショート検出部230と、を含む。なお、図示の便宜上、図1と図2では、外部端子の配列が一部で異なっているが、同一名称の外部端子は互いに対応関係にある。
スイッチ部100は、複数チャンネル(本図では8チャンネル)のスイッチ素子SW1〜SW8を含む。スイッチ素子SWx(ただしx=1、2、…、8)は、それぞれ、CH(x−1)端子とCH(x)端子との間に接続されている。そのため、CH(x−1)端子とCH(x)端子との間に発光ダイオードLEDxが外付けされた場合には、スイッチ素子SWxが発光ダイオードLEDxに対して並列接続された状態となる。従って、スイッチ素子SWxのオン期間中には、発光ダイオードLEDxの両端間が短絡されるので、発光ダイオードLEDxが点灯不能状態となる。一方、スイッチ素子SWxのオフ期間中には、発光ダイオードLEDxの両端間が非短絡とされるので、発光ダイオードLEDxが点灯可能状態となる。
ドライバ部110は、ロジック部120からの指示を受けてスイッチ素子SW1〜SW8を各々駆動するドライバDRV1〜DRV8を含む。なお、ドライバDRV1〜DRV8は、チャージポンプ部220から昇圧電圧Vcpの供給を受けて動作する。
ロジック部120は、その主たる機能として、スイッチ駆動装置10への電源投入(より正確にはUVLO信号Suvloが減電解除時の論理レベルとなったこと)を受けて、所定のパターンで各スイッチ素子SW1〜SW8のオン/オフ状態を順次切り替えていくように、一連のスイッチ駆動シーケンスを自動的に開始する機能を備えている。ロジック部120は、上記以外にも種々の機能を具備しているが、その詳細については後述する。
内部レギュレータ部130は、VIN端子に印加される入力電圧Vinを降圧して所望の定電圧Vreg(例えば5V)を生成し、これをVREG端子に出力する。なお、内部レギュレータ部130としては、LDO[low drop out]レギュレータやスイッチングレギュレータを好適に用いることができる。
UVLO部140は、入力電圧Vinと定電圧Vregの双方(或いはいずれか一方)を監視してUVLO信号Suvloを生成し、これをロジック部140に出力する。UVLO信号Suvloは、入力電圧Vinと定電圧Vregが各々の減電解除電圧よりも高くなったときに減電解除時の論理レベル(例えばハイレベル)となり、入力電圧Vinと定電圧Vregが各々の減電検出電圧(<減電解除電圧)よりも低くなったときに減電検出時の論理レベル(例えばローレベル)となる。
電流設定部150は、所定の基準電流Isetを生成し、これを周波数設定部170や起動遅延部180に出力する。なお、基準電流Isetの電流値は、SET端子150に外付けされる抵抗R1(図1を参照)の抵抗値に応じて調整することが可能である。
オシレータ部160は、チャージポンプ部220の動作に必要な内部クロック信号INTCLK(例えば2MHz)を生成する。なお、内部クロック信号INTCLKは、チャージポンプ部220だけでなくセレクタ部210にも出力されている。
周波数設定部170は、外付け素子を用いてスイッチ駆動シーケンスの動作周波数を任意に設定する。具体的に述べると、周波数設定部170は、SETCLK端子に外付けされるキャパシタC4(図1を参照)の容量値と基準電流Isetの電流値(延いてはSET端子に外付けされる抵抗R1の抵抗値)に応じて周波数が変化する可変クロック信号CLK(例えば500Hz〜50kHz)を生成し、これをセレクタ部210に出力する。
起動遅延部180は、外付け素子を用いてスイッチ駆動シーケンスの開始遅延時間tDLYを任意に設定する。具体的に述べると、起動遅延部180は、SETDLY端子に外付けされるキャパシタC3(図1を参照)と基準電流Isetの電流値(延いてはSET端子に外付けされる抵抗R1の抵抗値)に応じて論理変遷タイミングが変化する起動遅延信号Sdlyを生成し、これをロジック部120に出力する。
第1ウォッチドッグタイマ部190は、スイッチ駆動シーケンスの動作周波数の異常を監視する。具体的に述べると、第1ウォッチドッグタイマ部190は、可変クロック信号CLKを監視して第1異常検出信号Swdt1を生成し、これをロジック部120とセレクタ部210に各々出力する。第1異常検出信号Swdt1は、例えば、異常未検出時にハイレベルとなり、異常検出時にローレベルとなる。
第2ウォッチドッグタイマ部200は、スイッチ駆動シーケンスの開始遅延時間tDLYの異常を監視する。具体的に述べると、第2ウォッチドッグタイマ部200は、起動遅延信号Sdlyを監視して第2異常検出信号Swdt2を生成し、これをロジック部120とセレクタ部210に各々出力する。第2異常検出信号Swdt2は、例えば、異常未検出時にハイレベルとなり、異常検出時にローレベルとなる。
セレクタ部210は、内部クロック信号INTCLKと可変クロック信号CLKのいずれか一方をロジック部120に選択出力する。より具体的に述べると、セレクタ部210は、HAZ端子電圧がローレベル(=ハザードランプ非点灯時の論理レベル)であり、かつ第1異常検出信号Swdt1と第2異常検出信号Swdt2がいずれもハイレベル(=異常未検出時の論理レベル)であるときに、可変クロック信号CLKをロジック部120に選択出力する。一方、セレクタ部210は、HAZ端子電圧がハイレベル(=ハザードランプ点灯時の論理レベル)であるとき、若しくは、第1異常検出信号Swdt1と第2異常検出信号Swdt2の少なくとも一方がローレベル(=異常検出時の論理レベル)であるときに、内部クロック信号INTCLKをロジック部120に選択出力する。
チャージポンプ部220は、VCP端子に外付けされているキャパシタC5(図1を参照)を用いて昇圧電圧Vcpを生成し、これをドライバ部110に供給する。
オープン/ショート検出部230は、CH0端子〜CH8端子に各々現れるノード電圧を監視してオープン/ショート検出信号Sdetを生成し、これをロジック部120に出力する。なお、オープン/ショート検出信号Sdetは、発光ダイオードLED1〜LED1〜8のいずれにも異常が生じていないときに異常未検出時の論理レベル(例えばハイレベル)となり、発光ダイオードLED1〜LED8の少なくとも一つに異常が生じているときに異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)となる。
<スイッチ駆動シーケンス>
図3は、スイッチ駆動シーケンスの一例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、入力電圧Vin、定電圧Vreg、UVLO信号Suvlo、内部クロック信号INTCLK、昇圧電圧Vcp、SETCLK端子電圧、可変クロック信号CLK、SETDLY端子電圧、起動遅延信号Sdly、SG端子電圧、CMPLT端子電圧、並びに、LED*(ただし*=8、7、…、1)の点消灯状態(H:点灯、L:消灯)及びスイッチ素子SW*のオン/オフ状態が描写されている。
なお、図示の便宜上、内部クロック信号INTCLKや可変クロック信号CLKのパルスは実際よりも大きく描写されている。従って、本図中における起動遅延時間tDLY、電流供給待機時間tdSG、及び、点灯遷移時間tPSの時間幅と、パルスカウント数とは、必ずしも整合していない。
スイッチ駆動装置10への電源投入後、時刻t1において、UVLO信号Suvloがハイレベル(=減電解除時の論理レベル)に立ち上がると、内部クロック信号INTCLKや可変クロック信号CLKの生成動作が開始されて、スイッチ駆動装置10の各部が動作可能状態となる。
このとき、ロジック部120は、スイッチ素子SW1〜SW8をそれまでのオフ状態からオン状態に初期化するようにドライバ部110を制御する。ただし、時刻t1の時点では、チャージポンプ部220の昇圧動作が開始されたばかりであり、ドライバ部110の出力動作が不安定であることから、スイッチ素子SW1〜SW8の動作不定期間(×印を付したハッチング領域を参照)が生じる。従って、この動作不定期間以前に発光素子駆動装置20から駆動電流Idが出力されると、発光ダイオードLED1〜LED8が意図せずに瞬灯してしまうおそれがある。
そこで、ロジック部120は、スイッチ素子SW1〜SW8の動作不定期間経過後、スイッチ駆動シーケンスの開始前に、装置外部の発光素子駆動装置20に対して、発光ダイオードLED1〜LED8への電流供給開始トリガを出力する。より具体的に述べると、ロジック部120は、スイッチ素子SW1〜SW8の動作不定期間に亘ってSG端子電圧をローレベル(=電流供給待機時の論理レベル)とし、時刻t1から電流供給待機時間tdSGが経過した時刻t2の時点で、SG端子電圧をローレベルからハイレベル(=電流供給待機解除時の論理レベル)に立ち上げる。
このような構成とすることにより、スイッチ素子SW1〜SW8の動作不適期間中には発光素子駆動装置20から駆動電流Idが出力されなくなるので、発光ダイオードLED1〜LED8の瞬灯を回避することが可能となる。
なお、上記した電流供給開始トリガの出力タイミングについては、上記のように時刻t1から電流供給待機時間dSGが経過した時点としてもよいし、若しくは、ドライバDRV1〜DRV8の出力レベルが所定の閾値を上回った時点としてもよい。
その後、時刻t1から所定の起動遅延時間tDLYが経過して起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上がると、ロジック部120は、時刻t3以降、可変クロック信号CLKに応じた点灯遷移時間tPS毎に、スイッチ素子SW1〜SW8を順次累積的にオフさせていく。例えば、点灯遷移時間tPSは、可変クロック信号CLKの256カウント分に設定しておけばよい。その場合、可変クロック信号CLKの発振周波数が5.12kHzであれば、点灯遷移時間tPSが50msとなる。
上記のようにスイッチ素子SW1〜SW8を順次累積的にオフさせていくことにより、発光ダイオードLED1〜LED8の点灯数が徐々に増加されていくので、点灯領域の面積が時間の経過とともに拡大されていく。すなわち、一連のスイッチ駆動シーケンスが完了すると、スイッチ素子SW1〜SW8は全てオフ状態となり、発光ダイオードLED1〜LED8が全点灯された状態となる。なお、点灯領域を流れるように移動させる場合には、スイッチ素子SW1〜SW8を順次排他的にオフさせていけばよい。
時刻t5において、全てのスイッチ素子SW1〜SW8をオフさせた後、ロジック部120は、さらに点灯遷移時間tPSが経過した時刻t6において、CMPLT端子電圧をハイレベルに立ち上げる。なお、CMPLT端子は、複数のスイッチ駆動装置10をシリアル接続する際に利用される外部端子であり、その機能については後ほど詳述する。
その後、スイッチ駆動装置10への電源遮断に伴い、時刻t7において、UVLO信号Suvloがローレベル(=減電検出時の論理レベル)に立ち下がると、内部クロック信号INTCLKや可変クロック信号CLKの生成動作が停止されて、スイッチ駆動装置10の各部が動作不能状態となる。このとき、スイッチ素子SW1〜SW8は、既にオフ状態となっているので、電源投入時のような瞬灯の問題は生じない。
なお、上記一連のスイッチ駆動シーケンスは、電源スイッチ3ないしは電源スイッチ4が周期的にオン/オフされてスイッチ駆動装置10への電源供給と電源遮断が繰り返される毎に実行される。
<起動遅延部>
図4は、起動遅延部180の内部構成例を示す回路図である。起動遅延部180は、電流源181と、スイッチ182と、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ183と、コンパレータ184と、Dフリップフロップ185と、フィルタ186と、を含む。
電流源181は、基準電流Isetに応じた定電流I181を生成する。なお、電流源181の第1端は、電源端(例えば定電圧Vregの印加端)に接続されている。また、電流源181の第2端は、スイッチ182を介してSETDLY端子に接続されている。
スイッチ182は、UVLO信号Suvloに応じて電流源181の第2端とSETDLY端子との間を導通/遮断する。スイッチ182は、UVLO信号Suvloが減電解除時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときにオンし、UVLO信号Suvloが減電検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときにオフする。
トランジスタ183は、SETDLY端子に外付けされるキャパシタC3の放電スイッチとして機能する。トランジスタ183のドレインは、SETDLY端子に接続されている。トランジスタ183のソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ183のゲートは、Dフリップフロップ185の出力端(Q)に接続されている。トランジスタ183は、ラッチ信号S2(Dフリップフロップ185の出力信号)がハイレベルであるときにオンし、ラッチ信号S2がローレベルであるときにオフする。
コンパレータ184は、非反転入力端(+)に入力されるSETDLY端子電圧(キャパシタC3の充電電圧)と、反転入力端(−)に入力される閾値電圧Vthとを比較して比較信号S1を生成する。比較信号S1は、SETDLY端子電圧が閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベルとなり、SETDLY端子電圧が閾値電圧Vthよりも低いときにローレベルとなる。なお、コンパレータ184には、ノイズ耐性を高めるためにヒステリシスを持たせておくことが望ましい。
Dフリップフロップ185は、クロック端に入力される比較信号S1の立上りエッジをトリガとして、データ端(D)に入力されるデータ信号(ハイレベル固定)を取り込み、これをラッチ信号S2として出力端(Q)から出力する。一方、Dフリップフロップ185は、リセット端に入力されるUVLO信号Suvloがローレベルであるときに、ラッチ信号S2をローレベルにリセットする。
フィルタ186は、ラッチ信号S2に重畳するノイズ成分を除去して起動遅延信号Sdlyを生成する。
図5は、起動遅延動作の一例を示すタイミングチャート(図1における時刻t1〜t3の拡大図に相当)であり、上から順番に、UVLO信号Suvlo、SETDLY端子電圧、比較信号S1、ラッチ信号S2、及び、起動遅延信号Sdlyが描写されている。
時刻t11において、UVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がると、スイッチ182がオンする。このとき、ラッチ信号S2はローレベルであり、トランジスタ183はオフしている。従って、キャパシタC3が定電流I181によって充電されるので、SETDLY端子電圧が上昇を開始する。
時刻t12において、SETDLY端子電圧が閾値電圧Vthよりも高くなると、比較信号S1がハイレベルに立ち上がり、ラッチ信号S2がハイレベルにラッチされる。このとき、トランジスタ183がオンしてキャパシタC3が放電されるので、SETDLY端子電圧が低下に転じる。
その後、時刻t13において、フィルタリング処理を経た起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上がると、ロジック部120による一連のスイッチ駆動シーケンスが開始される(先出の図3を参照)。UVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がってから、起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上がるまでに要する時間が起動遅延時間tDLYに相当する。
なお、起動遅延時間tDLYは、定電流I181の電流値(延いては、抵抗R1の抵抗値)やキャパシタC3の容量値に応じて任意に調整することができる。従って、本構成例の起動遅延部180によれば、外付け素子(抵抗R1とキャパシタC3)を用いて、スイッチ駆動シーケンスの開始タイミングを任意に設定することが可能となる。
例えば、電源投入から起動完了までに長時間を要する発光素子駆動装置20が用いられている場合には、上記の起動遅延時間tDLYをそれに合わせて長めに設定すればよい。このような設定を行うことにより、発光素子駆動装置20から発光素子群30に十分な駆動電流Idが供給されていない状態でフライング気味にスイッチ駆動シーケンスを開始してしまう、という不具合を回避することが可能となる。なお、当然のことながら、起動遅延時間tDLYは、電流供給待機時間tdSGよりも長めに設定しておく必要がある。或いは、本図の「UVLO信号Suvlo」を「SG端子電圧」に読み替え、電流供給待機時間tdSGの経過(=SG端子電圧の立ち上がり)をトリガとして、起動遅延時間tDLYの計時(=SETDLY端子電圧の充電)を開始する仕様としてもよい。
<周波数設定部>
図6は、周波数設定部170の内部構成例を示す回路図である。本図(a)欄の周波数設定部170は、電流源171と、スイッチ172と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ173と、コンパレータ174と、を含む。
電流源171は、基準電流Isetに応じた定電流I171を生成する。なお、電流源171の第1端は、電源端(例えば定電圧Vregの印加端)に接続されている。また、電流源171の第2端は、スイッチ172を介してSETCLK端子に接続されている。
スイッチ172は、UVLO信号Suvloに応じて電流源171の第2端とSETCLK端子との間を導通/遮断する。スイッチ172は、UVLO信号Suvloが減電解除時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときにオンし、UVLO信号Suvloが減電検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときにオフする。
トランジスタ173は、SETCLK端子に外付けされるキャパシタC4の放電スイッチとして機能する。トランジスタ173のドレインは、SETCLK端子に接続されている。トランジスタ173のソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタ173のゲートは、コンパレータ174の出力端(=可変クロック信号CLKの出力端)に接続されている。トランジスタ173は、可変クロック信号CLK(コンパレータ174の出力信号)がハイレベルであるときにオンし、可変クロック信号CLKがローレベルであるときにオフする。
コンパレータ174は、非反転入力端(+)に入力されるSETCLK端子電圧(キャパシタC4の充電電圧)と、反転入力端(−)に入力される閾値電圧V1/V2(ただしV1>V2、先出の図3を参照)とを比較して可変クロック信号CLKを生成する。可変クロック信号CLKは、SETCLK端子電圧が閾値電圧V1よりも高くなったときにハイレベルとなり、SETDLY端子電圧が閾値電圧V2よりも低くなったときにローレベルとなる。このように、コンパレータ174には、ヒステリシスが持たされている。
先出の図3を参照しながら、可変クロック信号CLKの生成動作について説明する。時刻t1において、UVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がると、スイッチ172がオンする。このとき、可変クロック信号CLKはローレベルであり、トランジスタ173はオフしている。従って、キャパシタC4が定電流I171によって充電されるので、SETCLK端子電圧が上昇を開始する。
SETCLK端子電圧が閾値電圧V1よりも高くなると、可変クロック信号CLKがハイレベルに立ち上がる。このとき、トランジスタ173がオンしてキャパシタC4が放電されるので、SETCLK端子電圧が低下に転じる。
その後、SETCLK端子電圧が閾値電圧V2よりも低くなると、可変クロック信号CLKがローレベルに立ち下がる。このとき、トランジスタ173がオフしてキャパシタC4の放電が停止されるので、SETCLK端子電圧が再び上昇に転じる。
以降も、上記と同様にしてキャパシタC4の充放電動作が繰り返されることにより、SETCLK端子電圧が閾値電圧V1と閾値電圧V2との間で上下し、可変クロック信号CLKに周期的なパルスが生成される。
なお、可変クロック信号CLKの発振周波数は、定電流I171の電流値(延いては抵抗R1の抵抗値)やキャパシタC4の容量値に応じて任意に調整することができる。ロジック部120では、可変クロック信号CLKに同期して先述のスイッチ駆動シーケンスが実行される。従って、本構成例の周波数設定部170によれば、外付け素子(抵抗R1とキャパシタC4)を用いて、スイッチ駆動シーケンスの動作周波数を任意に設定することが可能となる。
例えば、可変クロック信号CLKの発振周波数が高いほど点灯遷移時間tPSが短くなり、可変クロック信号CLKの発振周波数が低いほど点灯遷移時間tPSが長くなる。すなわち、本構成例の周波数設定部170によれば、発光ダイオードLED1〜LED8の順次点灯制御を任意の速度で実施することができるので、様々なユーザ要求にも柔軟に対応することが可能となる。
なお、外付け素子については、本図(a)欄の例に限定されるものではなく、例えば、本図(b)欄で示したように、外付けのキャパシタだけを用いて可変クロック信号CLKの発振周波数を可変制御する構成としてもよいし、若しくは、本図(c)欄で示したように、外付けの抵抗だけを用いて可変クロック信号CLKの発振周波数を可変制御する構成としてもよい。
<スイッチ駆動装置の多段接続>
図7は、スイッチ駆動装置10a及び10bの多段接続例を示すアプリケーション図である。本図の発光装置1は、スイッチ駆動装置10a及び10b(各々の内部構成については先出のスイッチ駆動装置10(図2)と同様)と、発光素子駆動装置20と、発光素子群30a及び30bと、種々のディスクリート部品(抵抗R1〜R5、キャパシタC1〜C9、ダイオードD1〜D3)と、を含む。以下では、先に説明した図1との相違点を中心に説明を行う。
発光素子群30a及び30bは、発光素子駆動装置20と接地端との間に直列接続されている。発光素子群30aは、6灯の発光ダイオードLED1〜LED6を含む。一方、発光素子群30bは、6灯の発光ダイオードLED7〜LED12を含む。スイッチ駆動装置10aは、CH0端子〜CH6端子の各相互間に外付けされた発光ダイオードLED1〜LED6の短絡/非短絡を各々切り替える。一方、スイッチ駆動装置10bは、CH0端子〜CH6端子の各相互間に外付けされた発光ダイオードLED7〜LED12の短絡/非短絡を各々切り替える。スイッチ駆動装置10a及び10bの双方において、不使用となるチャンネル端子間(CH6端子とCH7端子との間、及び、CH7端子とCH8端子との間)は、それぞれ短絡されている。
このように、12灯の発光ダイオードLED1〜LED12は、その発熱を均等に分散させるべく、スイッチ駆動装置10a及び10bに対して、6灯ずつ均等に分配接続されている。ただし、発光ダイオードLED1〜LED12の分配比率については、これに限定されるものではなく、スイッチ駆動装置10a及び10bに対して、不均等(例えば8灯:4灯)に分配接続してもよい。
なお、スイッチ駆動装置10a及び10bに対して、それぞれ発光ダイオードを6灯ずつ接続する場合には、SEL1端子とSEL3端子をGND端子に接続し、SEL2端子をVREG端子に接続すればよい。これら接続状態の意義については、後ほど詳述する。
次に、スイッチ駆動装置10a及び10bの外部接続状態について説明する。ただし、スイッチ駆動装置10aについては、基本的に図1のスイッチ駆動装置10として理解することができるので、できるだけ重複した説明を割愛し、以下では、本図で新たに追加されたスイッチ駆動装置10bの外部接続関係を中心に詳細な説明を行う。
キャパシタC6は、スイッチ駆動装置10bのVIN端子と接地端との間に接続されている。スイッチ駆動装置10bのVIN端子は、ダイオードD1及びD2のカソード(=入力電圧Vinの印加端)に接続されている。スイッチ駆動装置10bのHAZ端子は、ダイオードD3のカソード(=ハザード信号の入力端)に接続されている。キャパシタC7は、スイッチ駆動装置10bのVREG端子と接地端との間に接続されている。スイッチ駆動装置10bのSETDLY端子は、前段のスイッチ駆動装置10aと異なり、オープン状態とされている。これは、後段のスイッチ駆動装置10bにおいて、起動遅延時間tDLYを設定する必要がないからである。キャパシタC8は、スイッチ駆動装置10bのSETCLK端子と接地端との間に接続されている。キャパシタC9は、スイッチ駆動装置10bのVCP端子とCH8端子との間に接続されている。
抵抗R4は、スイッチ駆動装置10bのSET端子と接地端との間に接続されている。抵抗R5は、スイッチ駆動装置10bのCNT端子と電源端(例えばVREG端子)との間に接続されている。また、スイッチ駆動装置10bのCNT端子は、スイッチ駆動装置10aのCMPLT端子に接続されている。このように、スイッチ駆動装置10a及び10bは、1本のシリアル信号線を介して互いに接続されており、当該シリアル信号線を用いて双方の多段連携動作(=スイッチ駆動装置10aによる発光ダイオードLED1〜LED6の順次点灯制御が完了した後、スイッチ駆動装置10bによる発光ダイオードLED7〜LED12の順次点灯制御への引継ぎを行う動作)が実現される。一方、スイッチ駆動装置10bのCMPLT端子は、オープン状態とされている。
なお、スイッチ駆動装置10a及び10bの各SETCLK端子にそれぞれキャパシタC4及びC8が外付けされていることからも分かるように、スイッチ駆動装置10a及び10bでは、各々の可変クロック信号CLKが互いに非同期で生成される。このような構成とすることにより、スイッチ駆動装置10aからスイッチ駆動装置10bに可変クロック信号CLKを伝達する必要がないので、両者間の信号本数を増加させずに済む。また、スイッチ駆動装置10a及び10bそれぞれの可変クロック信号CLKが非同期であっても、上記のシリアル信号線を介して双方の多段連携動作が実施されている以上、人間に視認されるほどの点灯タイミングずれが生じるおそれは殆どないと言える。
発光素子駆動装置20は、先にも述べたように、スイッチ駆動装置10aのSG端子電圧を監視して駆動電流Idの供給開始を待機する。
スイッチ駆動装置10bのFAIL端子は、スイッチ駆動装置10aのFAIL端子に接続されている。スイッチ駆動装置10bのGND端子は、接地端に接続されている。
このように、スイッチ駆動装置10a及び10bをシリアル接続して双方の多段連携動作(詳細は後述)を実施することにより、スイッチ駆動装置10a及び10bのチャンネル数を増やさずに、9灯以上の発光ダイオードを順次点灯させることができる。従って、様々なユーザ要求(発光装置1に必要となる発光素子の灯数)にも柔軟に対応することが可能となる。
図8は、スイッチ駆動装置10a及び10bによる多段連携動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力電圧Vin、スイッチ駆動装置10aの挙動(CNT端子電圧、起動遅延信号Sdly、CMPLT端子電圧、及び、発光ダイオードLEDi(ただしi=6、…、2、1)の点消灯状態(H:点灯、L:消灯))、並びに、スイッチ駆動装置10bの挙動(CNT端子電圧、起動遅延信号Sdly、CMPLT端子電圧、及び、発光ダイオードLEDj(ただしj=12、…、8、7)の点消灯状態(H:点灯、L:消灯))が描写されている。
時刻t21において、発光装置1への電源投入(図1の電源スイッチ3または4のオン切替)が行われると、入力電圧Vinが上昇し始める。スイッチ駆動装置10aでは、CNT端子がVIN端子に接続されているので、時刻t21以降、入力電圧Vinの上昇と共に、CNT端子電圧も上昇していく。一方、スイッチ駆動装置10bでは、そのCNT端子がスイッチ駆動装置10aのCMPLT端子に接続されているので、時刻t21以降も、CNT端子電圧がローレベルに維持されたままとなる。
時刻t22において、入力電圧Vinが減電解除電圧VTH1よりも高くなると、スイッチ駆動装置10a及び10bが動作可能状態となる。この時点で、スイッチ駆動装置10aのCNT端子電圧は、ハイレベル(=待機解除電圧VTH2よりも高い状態)となっている。一方、スイッチ駆動装置10bのCNT端子電圧は、時刻t22においても、ローレベルに維持されている。
スイッチ駆動装置10a及び10bに各々設けられるロジック部120は、各々監視するCNT端子電圧がハイレベルに立ち上がるまで、スイッチ駆動シーケンスの開始を待機する。従って、スイッチ駆動装置10aは、減電状態が解除された時刻t22以降、スイッチ駆動シーケンスをいつでも開始することのできる状態となる。一方、スイッチ駆動装置10bは、時刻t22以降も、スイッチ駆動シーケンスの開始を待機したままとなる。
その後、スイッチ駆動装置10aでは、時刻t22から起動遅延時間tDLYが経過した時刻t23において、起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上げられて、一連のスイッチ駆動シーケンスが開始される。より具体的に述べると、スイッチ駆動装置10aでは、時刻t23以降、所定の点灯遷移時間tPS毎に、発光ダイオードLED1〜LED6が順次点灯されていく。
一方、スイッチ駆動装置10bでは、そのSETDLY端子がオープン状態(図7を参照)とされているので、時刻t22における減電解除を受けて、起動遅延信号Sdlyが遅滞なくハイレベルに立ち上げられる。ただし、先に述べたように、スイッチ駆動装置10bのCNT端子電圧は、時刻t22以降もローレベルに維持されている。従って、起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上げられても、スイッチ駆動装置10bによるスイッチ駆動シーケンスが開始されることはない。
その後、スイッチ駆動装置10aのロジック部120は、時刻t25において、発光ダイオードLED1〜LED6を全点灯させた後、さらに点灯遷移時間tPSが経過した時刻t26において、CMPLT端子電圧をハイレベルに立ち上げる。すなわち、スイッチ駆動装置10aのロジック部120は、一連のスイッチ駆動シーケンスが完了した後、スイッチ駆動装置10bに対して待機解除トリガを出力する。
時刻t26において、スイッチ駆動装置10aのCMPLT端子電圧がハイレベルに立ち上がると、スイッチ駆動装置10bのCNT端子電圧がハイレベルに立ち上がるので、スイッチ駆動装置10bによる一連のスイッチ駆動シーケンスが開始される。より具体的に述べると、スイッチ駆動装置10bでは、時刻t26以降、所定の点灯遷移時間tPS毎に、発光ダイオードLED7〜LED12が順次点灯されていく。
なお、スイッチ駆動装置10bのロジック部120は、時刻t28において、発光ダイオードLED7〜LED12を全点灯させた後、さらに点灯遷移時間tPSが経過した時刻t29において、CMPLT端子電圧をハイレベルに立ち上げる。ただし、スイッチ駆動装置10bの後段に別のスイッチ駆動装置が接続されていないので、これ以上、発光ダイオードの順次点灯制御が継続されることはない。
このように、本構成例の発光装置1では、スイッチ駆動装置10aによる発光ダイオードLED1〜LED6の順次点灯制御が行われた後、それまでと同様の点灯遷移時間tPSが経過した時点で、スイッチ駆動装置10bによる発光ダイオードLED7〜LED12の順次点灯制御が継続される。従って、発光装置1全体で見ると、単一のスイッチ駆動装置を用いて発光ダイオードLED1〜LED12の短絡/非短絡を切り替えているかのように、自然な順次点灯制御を実現することが可能となる。
なお、本構成例では、CMPLT端子電圧を次段の待機解除トリガとして利用する構成を例に挙げたが、CMPLT端子電圧には「正常にLED点灯が完了した」という意味があるので、これを外部のコントローラ5で監視することにより、LED点灯の正常/異常を判断することも可能である。
図9は、スイッチ駆動装置10a及び10bの多段接続時における問題点を説明するための図である。(a)欄及び(b)欄の発光装置1a及び1bは、リア用のターンランプモジュールとして車両Xに実装されている。発光装置1aはトランクに設けられており、発光装置1bはボディに設けられている。(c)欄で示すように、発光装置1aは、スイッチ駆動装置10aと発光素子群30aを有する。一方、発光装置1bは、スイッチ駆動装置10bと、発光素子駆動装置20と、発光素子群30bと、を有する。発光素子群30a及び30bは、発光素子駆動装置20と接地端との間に直列接続されている。
(a)欄で示したように、トランクが閉じられているときには、発光装置1aと発光装置1bにより単一のターンランプが形成される。ただし、(b)欄で示したように、トランクは、当然のことながら開閉可能な状態でボディに取り付けられる。従って、スイッチ駆動装置10aのCMPLT端子とスイッチ駆動装置10bのCNT端子とをシリアル接続するためには、スイッチ駆動装置10aから一旦ボディを介してスイッチ駆動装置10bまでハーネスを引き回す必要がある。
そこで、以下では、本図に示した発光装置1a及び1bの使用形態において、スイッチ駆動装置10a及び10bを互いにシリアル接続するのではなく、先に説明した起動遅延部180を活用することにより、発光素子群30a及び30bがあたかも一体であるかのように、各々の順次点灯制御を行う手法について説明する。
図10は、起動遅延差の一利用例を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力電圧Vin、スイッチ駆動装置10aの挙動(CNT端子電圧、起動遅延信号Sdly、及び、発光ダイオードLEDi(ただしi=6、…、2、1)の点消灯状態(H:点灯、L:消灯))、並びに、スイッチ駆動装置10bの挙動(CNT端子電圧、起動遅延信号Sdly、及び、発光ダイオードLEDj(ただしj=12、…、8、7)の点消灯状態(H:点灯、L:消灯))が描写されている。
なお、説明の前提条件として、スイッチ駆動装置10bのCNT端子は、スイッチ駆動装置10aのCMPLT端子ではなく、スイッチ駆動装置10bのVIN端子に接続されているものとする。すなわち、スイッチ駆動装置10a及び10bは、先に説明した多段連携動作を行うことなく、あくまで別個独立に動作する。
時刻t31において、発光装置1a及び1bへの電源投入(図1の電源スイッチ3または4のオン切替)が行われると、入力電圧Vinが上昇し始める。先にも述べたように、スイッチ駆動装置10a及び10bでは、CNT端子がVIN端子に各々接続されているので、時刻t31以降、入力電圧Vinの上昇と共に、CNT端子電圧も上昇していく。
時刻t32において、入力電圧Vinが減電解除電圧VTH1よりも高くなると、スイッチ駆動装置10a及び10bが動作可能状態となる。この時点で、スイッチ駆動装置10a及び10bのCNT端子電圧は、ハイレベル(=待機解除電圧VTH2よりも高い状態)となっている。
スイッチ駆動装置10a及び10bに各々設けられるロジック部120は、各々監視するCNT端子電圧がハイレベルに立ち上がるまで、スイッチ駆動シーケンスの開始を待機する。従って、スイッチ駆動装置10a及び10bは、いずれも、減電状態が解除された時刻t32以降、スイッチ駆動シーケンスをいつでも開始することのできる状態となる。
その後、スイッチ駆動装置10aでは、時刻t32から第1起動遅延時間tDLYaが経過した時刻t33において、起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上げられて、一連のスイッチ駆動シーケンスが開始される。より具体的に述べると、スイッチ駆動装置10aでは、時刻t33以降、所定の点灯遷移時間tPS毎に、発光ダイオードLED1〜LED6が順次点灯されていく。
一方、スイッチ駆動装置10bでは、時刻t32から第2起動遅延時間tDLYbが経過する時刻t36まで、起動遅延信号Sdlyがローレベルに維持される。なお、第2起動遅延時間tDLYbは、第1起動遅延時間tDLYaに6灯分の点灯遷移時間tPSを足し合わせた長さ(=tDLYa+6×tPS)に予め設定しておくとよい。このような設定を行うことにより、スイッチ駆動装置10aによる一連のスイッチ駆動シーケンスに続いて、スイッチ駆動装置10bによる一連のスイッチ駆動シーケンスが開始される。より具体的に述べると、発光ダイオードLED1〜LED6が全点灯された後、さらに点灯遷移時間tPSが経過した時刻t36以降、スイッチ駆動装置10bでは、所定の点灯遷移時間tPS毎に、発光ダイオードLED7〜LED12が順次点灯されていく。
このように、起動遅延時間tDLYa及びtDLYbを適切に設定し、スイッチ駆動装置10aのスイッチ駆動シーケンスが終了するタイミングで、スイッチ駆動装置10bのスイッチ駆動シーケンスを開始させる構成であれば、スイッチ駆動装置10a及び10bを多段接続することなく、発光素子群30a及び30bの順次点灯制御を行うことができる。従って、例えば、図9の使用形態においても、スイッチ駆動装置10aとスイッチ駆動装置10bとの間でハーネスを引き回す必要がなくなる。
<SEL端子>
図11は、SEL端子電圧と発光素子灯数との関係を示すテーブルである。ロジック部120は、複数のSEL端子電圧(ここでは、SEL1端子電圧、SEL2端子電圧、SEL3端子電圧)の組み合わせに応じて、CH0端子〜CH8端子に外付けされる発光ダイオードの灯数を判別する。
SEL1=SEL2=SEL3=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH8端子の各相互間に8灯の発光ダイオードLED1〜LED8が外付けされているものとして認識する。
SEL1=VREG、SEL2=SEL3=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH7端子の各相互間に7灯の発光ダイオードLED1〜LED7が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH7端子とCH8端子との間)が短絡されているものとして認識する。
SEL2=VREG、SEL1=SEL3=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH6端子の各相互間に6灯の発光ダイオードLED1〜LED6が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH6端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されているものとして認識する。
SEL1=SEL2=VREG、SEL3=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH5端子の各相互間に5灯の発光ダイオードLED1〜LED5が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH5端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されているものとして認識する。
SEL3=VREG、SEL1=SEL2=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH4端子の各相互間に4灯の発光ダイオードLED1〜LED4が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH4端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されているものとして認識する。
SEL1=SEL3=VREG、SEL2=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH3端子の各相互間に3灯の発光ダイオードLED1〜LED3が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH3端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されているものとして認識する。
SEL2=SEL3=VREG、SEL1=GNDの場合、ロジック部120は、CH0端子〜CH2端子の各相互間に2灯の発光ダイオードLED1〜LED2が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH2端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されているものとして認識する。
SEL1=SEL2=SEL3=VREGの場合、ロジック部120は、CH0端子とCH1端子との間に1灯の発光ダイオードLED1が外付けされており、かつ、不使用となるチャンネル端子間(CH1端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されているものとして認識する。
このように、3系統のSEL1端子〜SEL3端子を用いれば、発光ダイオードの灯数を合計8通りに設定することができるので、様々なユーザ要求(発光装置1に必要となる発光素子の灯数)にも柔軟に対応することが可能となる。なお、本図では、接地端側から順に使用チャンネルを選択していく構成を例に挙げて説明を行ったが、これとは逆に、発光素子駆動装置20側から順に使用チャンネルを選択していく構成としてもよい。
図12は、複数のSEL端子(SEL1端子〜SEL3端子)を用いた灯数設定の一例を示すアプリケーション図である。
(a)欄では、CH0端子〜CH8端子の各相互間に発光ダイオードLED1〜LED8が接続されている。そこで、発光素子灯数が「8」であることをロジック部120に認識させるべく、SEL1端子〜SEL3端子は、いずれも接地端に接続されている(図11の1行目を参照)。この場合、ロジック部120は、発光ダイオードLED1〜LED8を全て点灯させた後にCMPLT端子電圧をハイレベルに立ち上げる。また、ロジック部120は、オープン/ショート検出部230に対してCH0端子〜CH8端子の各相互間をいずれも監視対象とするように指示を送る。
(b)欄では、CH0端子〜CH4端子の各相互間に発光ダイオードLED1〜LED4が接続されており、不使用となるチャンネル端子間(CH4端子〜CH8端子の各相互間)が各々短絡されている。そこで、発光素子灯数が「4」であることをロジック部120に認識させるべく、SEL1端子とSEL2端子が接地端に接続されており、SEL3端子がVREG端子に接続されている(図11の5行目を参照)。この場合、ロジック部120は、発光ダイオードLED1〜LED4を点灯させた後にCMPLT端子電圧をハイレベルに立ち上げる。また、ロジック部120は、オープン/ショート検出部230に対して、CH0端子〜CH4端子の各相互間をいずれも監視対象とする一方、CH4端子〜CH8端子の各相互間を監視対象から除外するように指示を送る。
このように、ロジック部120は、複数のSEL端子(SEL1端子〜SEL3端子)を用いた灯数設定に基づいて、スイッチ駆動シーケンスの完了判定時に無視すべきチャンネルを切り替えたり、オープン/ショート検出機能のマスク要否をチャンネル毎に切り替えたりすることができる。
<全点灯モード(ハザードモード)>
図13は、発光ダイオードLED1〜LED8の全点灯モードについて説明するためのタイミングチャートであり、(a)欄〜(c)欄のそれぞれにおいて、上から順に、CMPLT端子電圧、及び、発光ダイオードLED*(ただし*=8、7、…、2、1)の点消灯状態(H:点灯、L:消灯))が描写されている。
(a)欄では、先述のスイッチ駆動シーケンスに従ってスイッチ素子SW1〜SW8を順次駆動することにより、発光ダイオードLED1〜LED8を所定の点灯遷移時間tPS毎に順次点灯していく順次点灯モード(ノーマルモード)の挙動が示されている。順次点灯モードには、例えば、車両Xの曲がる方向に合わせて発光ダイオードLED1〜LED8を順次点灯させることにより、歩行者や他車が自車の進行方向を直感的に認識しやすくなるというメリットがある。このようなメリットを鑑みると、順次点灯モードは、車両Xの右左折時や車線変更時(ターンレバーの操作に応じた電源スイッチ3のオン時)における動作モードとして好適であると言える。
一方、(b)欄では、全てのスイッチ素子SW1〜SW8を一斉にオフさせることにより、発光ダイオードLED1〜LED8を一斉点灯する全点灯モード(ハザードモード)の挙動が示されている。例えば、車両Xの緊急停止時や緊急減速時(ハザードボタンの押下によって電源スイッチ4がオンされたとき)には、他車に緊急性が高いことを報知すべく、発光ダイオードLED1〜LED8を即時に全点灯することが望ましいと言える。
ただし、スイッチ素子SW1〜SW8を完全に同時オフさせて、発光ダイオードLED1〜LED8を完全に同時点灯させると、チャージポンプ部220や発光素子駆動装置20にとっての負荷変動が急峻となり、その動作安定性を損なうおそれがある。
そこで、ロジック部120は、(c)欄で示したように、発光ダイオードLED1〜LED8を完全に同時点灯するのではなく、各々を所定の高速点灯遷移時間tPSH(<<tPS)毎に順次点灯する。つまり、順点灯モードと全点灯モードのいずれにおいても、各々のスイッチ駆動シーケンス自体は全く同一であり、各々の動作周波数だけが異なることになる。なお、上記の高速点灯遷移時間tPSHは、数百μsに設定するとよい。
このように、人間の目では視認できないほど高速に発光ダイオードLED1〜LED8の順次点灯制御を行うことにより、発光ダイオードLED1〜LED8を見かけ上は一斉点灯させつつ、急峻な負荷変動を抑えることがが可能となる。ただし、負荷変動を考慮する必要がない場合(例えば、チャージポンプ部220や発光素子駆動装置20に十分な出力能力が備わっている場合)には、全点灯モードの選択時において、発光ダイオードLED1〜LED8を完全に同時点灯させても構わない。
なお、上記の順次点灯モードと全点灯モードは、セレクタ部210を用いて切り替えられる。先にも述べた通り、セレクタ部210は、HAZ端子電圧がローレベルであり、かつ、第1異常検出信号Swdt1と第2異常検出信号Swdt2がいずれも異常未検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに、可変クロック信号CLKをロジック部120に選択出力する。この出力状態は、順次点灯モードを選択した状態に相当する。このとき、ロジック部120は、可変クロック信号CLKに同期してスイッチ駆動シーケンスを実施する。従って、発光ダイオードLED1〜LED8は、可変クロック信号CLKに応じた点灯遷移時間tPS(例えば50ms)毎に順次点灯される。
一方、セレクタ部210は、HAZ端子電圧がハイレベルであるとき、若しくは、第1異常検出信号Swdt1と第2異常検出信号Swdt2の少なくとも一方が異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに、内部クロック信号INTCLKをロジック部120に選択出力する。この出力状態は、全点灯モードを選択した状態に相当する。このとき、ロジック部120は、可変クロック信号CLKよりも高周波数の内部クロック信号INTCLKに同期してスイッチ駆動シーケンスを実施する。従って、発光ダイオードLED1〜LED8は、内部クロック信号INTCLKに応じた高速点灯遷移時間tPSH(数百μs)毎に順次点灯される。すなわち、ロジック部120は、装置外部からハザード信号が入力されているとき、ないしは、スイッチ駆動シーケンスの異常が検出されているときに、先述の全点灯モードで全てのスイッチ素子SW1〜SW8を一斉にオフさせ、発光ダイオードLED1〜LED8を一斉点灯させる。
なお、本構成例の発光装置1では、チャージポンプ部220を駆動するための内部クロック信号INTCLKを流用することにより、全点灯モード時のスイッチ駆動シーケンスが高速化されている。従って、全点灯モード時の急負荷変動を抑制するために、専用のオシレータ部を追加する必要がないので、発光装置1の規模を不必要に増大せずに済む。
図14は、HAZ端子の接続バリエーションを示すアプリケーション図である。(a)欄には、先の図1と同じく、発光装置1とバッテリ2との間に電源スイッチ3及び4を並列に接続した構成が描写されている。ハザードボタンの押下に応じて電源スイッチ4がオンされると、HAZ端子電圧がハイレベルとなり、全点灯モードで発光装置1が点灯される。本構成を採用した場合には、発光装置1とバッテリ2との間に、2本の電力線L1及びL2が必要となる。
(b)欄には、電源スイッチ4、ダイオードD2及びD3、並びに、電力線L2を省略し、コントローラ5からHAZ端子に信号線L3を接続した構成が描写されている。本構成を採用した場合、コントローラ5は、ターンレバーの操作時にもハザードボタンの押下時にも、電源スイッチ3をオンすることになる。また、コントローラ5は、ハザードボタンの押下に応じて電源スイッチ3をオンしている期間にてHAZ端子をハイレベルとし、その他の期間にはHAZ端子をローレベルとする。このような構成であれば、(a)欄の構成と比べて、その構成要素を削減することが可能となる。
なお、先述の全点灯モードを使用しないのであれば、(c)欄で示したように、HAZ端子を接地端に接続しておけばよい。
<ウォッチドッグタイマ部>
図15は、ウォッチドッグタイマ動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、本図(a)欄は、第1ウォッチドッグタイマ部190の一動作例を示すものであり、上から順番に、UVLO信号Suvlo、可変クロック信号CLK、及び、第1異常検出信号Swdt1が描写されている。また、本図(b)欄は、第2ウォッチドッグタイマ部200の一動作例を示すものであり、上から順番に、UVLO信号Suvlo、起動遅延信号Sdly、及び、第2異常検出信号Swdt2が描写されている。
SETCLK端子に外部接続されるキャパシタC4の両端間がショートしていた場合には、減電状態が解消されてUVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がった後も、SETCLK端子電圧がグランドレベルに張り付いたままとなる。その結果、いつまで経っても可変クロック信号CLKのパルスが生成されない状態となるので、ロジック部120によるスイッチ駆動シーケンスを開始することができなくなる。
また、SETDLY端子に外部接続されるキャパシタC3の両端間がショートしていた場合には、減電状態が解消されてUVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がった後も、SETDLY端子電圧がグランドレベルに張り付いたままとなる。その結果、いつまで経っても起動遅延信号Sdlyがハイレベルに立ち上がらない状態となるので、ロジック部120によるスイッチ駆動シーケンスを開始することができなくなる。
このように、キャパシタC3及びC4の少なくとも一方がショートしてしまうと、スイッチ駆動装置10が動作しなくなるので、発光ダイオードLED1〜LED8が消灯したままとなってしまう。このような状態に陥ると、運転者がターンレバーやハザードボタンを操作しているにも関わらず、発光装置1(ターンランプ)が点灯されないことになるので、非常に危険である。
そこで、第1ウォッチドッグタイマ部190は、可変クロック信号CLKを監視して第1異常検出信号Swdt1を生成する。より具体的に述べると、第1ウォッチドッグタイマ部190は、UVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がってから可変クロック信号CLKのパルスが生成されないまま所定の異常検出期間T1が経過した場合、または、可変クロック信号CLKのパルス周期T2が所定の正常範囲内に収まっていない場合に、SETCLK端子が異常であると判断して、第1異常検出信号Swdt1を異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)に切り替える。
また、第2ウォッチドッグタイマ部200は、起動遅延信号Sdlyを監視して第2異常検出信号Swdt2を生成する。より具体的に述べると、第2ウォッチドッグタイマ部200は、UVLO信号Suvloがハイレベルに立ち上がってから起動遅延信号Sdlyがローレベルに維持されたまま所定の異常検出期間T3が経過した場合に、SETDLY端子が異常であると判断して、第2異常検出信号Swdt2を異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)に切り替える。
セレクタ部210は、第1異常検出信号Swdt1及び第2異常検出信号Swdt2の少なくとも一方が異常検出時の論理レベルに切り替わったことを受けて、内部クロック信号INTCLKをロジック部120に選択出力する状態となる。このような構成とすることにより、ロジック部120は、内部クロック信号INTCLKに同期して全点灯モードでスイッチ駆動シーケンスを実施することが可能となる。
また、ロジック部120は、第1異常検出信号Swdt1及び第2異常検出信号Swdt2の少なくとも一方が異常検出時の論理レベルに切り替わったことを受けて、FAIL端子電圧を異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)に切り替える。このような構成とすることにより、外部のコントローラ5でスイッチ駆動装置10の異常を把握することができるので、運転者への報知などを行うことが可能となる。
上記のウォッチドッグタイマ機能を実装すれば、FMEA[failure mode and effect analysis]規格などに準拠した安全性の高い車両Xを提供することが可能となる。
なお、本図の例では、可変クロック信号CLKや起動遅延信号Sdlyを監視対象とする構成を例に挙げて説明を行ったが、第1ウォッチドックタイマ部190や第2ウォッチドッグタイマ部200の監視対象はこれに限定されるものではなく、SETCLK端子電圧やSETDLY端子電圧を監視対象としてもよい。
<総括>
以上で説明したように、スイッチ駆動装置10は、比較的単純な順次点灯機能の実装に際して、基本的な点灯パターンを固定とし、ユーザ調整が必要なパラメータのみを数点の外付け素子(抵抗やキャパシタなど)で任意に設定することが可能な構成とされている。このような構成であれば、マイコン制御を要することなく、従来とほぼ同様の順次点灯を行うことができるので、セット設計の簡易化、部品点数の削減、基板面積の縮小、コストダウン、高効率化、ないしは、セット動作の安定性などを実現することが可能となる。
<用途>
発光装置1は、例えば、図16の(a)欄ないし(b)欄で示したように、車両X10のヘッドランプ(ハイビーム/ロービーム/スモールランプ/フォグランプなどを適宜含む)X11、白昼夜走行(DRL[daytime running lamps])ランプX12、テールランプ(スモールランプやバックランプなどを適宜含む)X13、ストップランプX14、及び、ターンランプX15などとして好適に用いることができる。特に、これまで説明してきた通り、発光装置1は、シーケンシャル型のターンランプX15として好適である。
また、先出のスイッチ駆動装置10や発光素子駆動装置20は、駆動対象となる発光素子群30とともに車載ランプモジュール(図17(a)欄のヘッドランプモジュールY10、図17(b)欄のターンランプモジュールY20、及び、図17(c)欄のリアランプモジュールY30など)として提供されるものであってもよいし、或いは、発光素子群30とは独立にIC単体として提供されるものであってもよい。
<その他の変形例>
なお、上記の実施形態では、発光素子として発光ダイオードを用いた構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、発光素子として有機EL[electro-luminescence]素子を用いることも可能である。
このように、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。