JP2020030130A - 光学システム - Google Patents

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Abstract

【課題】干渉光の遅延光路を調整する作業にかかる時間の短縮が可能な光学システムを提供する。【解決手段】光学システムSは、測定面4及び参照面3に光を照射するビーム光源12と、測定面4及び参照面3で反射した反射光の強度を検出する検出器13と、結像レンズ107と、コリメータレンズ106と、結像レンズ107とコリメータレンズ106との間に存在するコリメータレンズ106のフーリエ変換面に配置され、反射光の正反射光を遮光する遮光スリット15とを備える干渉計、及び検出器13により検出された反射光の強度に基づいて、ビーム光源12の光軸方向における、測定光のピークと参照光のピークとのピーク間距離を特定する距離特定部と、特定された距離に基づいて、測定光の光路長と参照光の光路長との光路長差を特定する解析部とを備える情報処理装置2を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光学システムに関する。
白色光源から照射された低可干渉性の光の一部を迂回させ、光路長を変化させる遅延光路を備える干渉計が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平9−21606号公報
従来の干渉計は、干渉光のコントラストを最大にするために、測定面で反射した測定光の光路長と、参照面で反射した参照光の光路長とが等しくなるように遅延光路を調整する。低可干渉性の光による反射光の強度は弱いので、従来の干渉計は、干渉光のコントラストを確認できるだけの干渉光を取得するために、所定の時間の間に取得した干渉光の強度を積算する必要がある。そのため、従来の干渉計は、遅延光路を変化させる走査速度を所定の時間に対して十分に遅くする必要があり、調整作業に時間がかかっていた。
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、調整作業にかかる時間を短縮する技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様の光学システムは、干渉計と情報処理装置とを備える光学システムであって、前記干渉計は、測定面及び参照面に光を照射するビーム光源と、前記測定面から反射した反射光の強度及び前記参照面から反射した反射光の強度を検出する検出器と、前記ビーム光源から前記検出器までの間の光路上に配置された結像レンズと、前記結像レンズから前記ビーム光源までの間の光路上に配置されたコリメータレンズと、前記結像レンズと前記コリメータレンズとの間に存在する前記コリメータレンズのフーリエ変換面に配置され、前記反射光の正反射光を遮光する遮光スリットと、を備え、前記情報処理装置は、前記検出器により検出された前記反射光の強度に基づいて、前記ビーム光源の光軸方向における、前記測定面から反射した前記反射光の強度に由来する分布と、前記参照面から反射した前記反射光の強度に由来する分布との距離を特定する距離特定部と、前記距離特定部により特定された前記距離に基づいて、前記測定面から反射した反射光の光路長と前記参照面から反射した反射光の光路長との光路長差を特定する解析部と、を備える。
例えば、前記干渉計は、前記結像レンズと前記検出器との光路上に配置され、前記ビーム光源の光軸を中心とする所定の距離より外側の光を遮光する遮光部を有するピンホール部材をさらに備え、前記距離特定部は、前記ピンホール部材を光軸に沿って移動させる。
例えば、前記距離特定部は、前記検出器を光軸に沿って移動させる。
前記距離特定部は、前記測定面から反射した前記反射光の強度に由来する分布のピークと、前記参照面から反射した前記反射光の強度に由来する分布のピークとのピーク間距離を特定してもよい。
光路長差が特定されると、前記干渉計の光路上から前記遮光スリットを取り除く調整部をさらに備えてもよい。
例えば、前記遮光スリットは、前記フーリエ変換面に配置されたときに、前記ビーム光源の光軸に対する垂直な面において、前記遮光スリットと前記光軸とが交わる点を含む所定の遮光範囲内に入射した光を遮光する遮光部を備える。
本発明によれば、調整作業にかかる時間を短縮することができるという効果を奏する。
第1の実施の形態に係る光学システムの構成を示す図である。 遮光スリットの一例を模式的に示す図である。 測定面から検出器までの光学系を抜粋し、光軸に対して垂直な方向から見た模式図である。 図1に示したビームスプリッタから検出器までの光学系を抜粋して拡大した模式図である。 ビーム光源の光軸方向において検出される反射光の強度分布を模式的に示す図である。 情報処理装置の機能構成を示す図である。 光学系を調整する処理のフローチャートである。 反射光が収束する位置とカメラの位置との関係について説明するための図である。 入射した光を検出する範囲を説明するための図である。 位相シフト光学系を模式的に示す図である。 Twyman−Green(TG)干渉計を模式的に示す図である。
<第1の実施の形態>
まず、第1の実施の形態に係る光学システムの概要について説明する。光学システムは、干渉計と、干渉計を制御する情報処理装置とを備える。
干渉計は、低可干渉性の光を用いるフィゾー干渉計に対して、低可干渉性の光を照射する光源とは異なる光源であるビーム光を照射するビーム光源と、光軸に沿って移動可能な光学系とをさらに備える。ビーム光の強度は、低可干渉性の光の強度より強い。
情報処理装置は、測定面と参照面とにビーム光を照射し、測定面で反射した測定光に由来する強度分布と、参照面で反射した参照光に由来する強度分布とを、移動可能な光学系を光軸に沿って移動させて取得する。
ビーム光による反射光の強度は、低可干渉性の光による干渉光の強度より強い。そのため、情報処理装置は、低可干渉性の光による干渉光を検出する時間より短い時間で反射光を検出することができる。
そして、情報処理装置は、測定面で反射した測定光に由来する強度分布と、参照面で反射した参照光に由来する強度分布との距離を特定する。情報処理装置が特定した二つの強度分布の距離は、測定光の光路長と参照光の光路長との光路長差に対応している。したがって、情報処理装置は、特定した距離に基づいて光路長差を特定することができる。
このように、光学システムは、従来の干渉計より短い時間で反射光の強度を検出することができるので、一回の測定にかかる時間を短くできる。そのため、光学システムは、移動可能な光学系を光軸に沿って移動させる速度を、従来の干渉計が遅延光路を移動させる走査速度より速くすることができる。よって、光学システムは、調整時間を短縮することができる。さらに、光学システムは、光路長差に対応する二つの強度分布の距離を特定する。そのため、光学システムは、特定した光路長差と遅延光路の光路長とが一致するように調整することで、低可干渉性の光を照射したときに測定光の光路長と参照光の光路長とを一致させることができる。
[光学システムSの構成]
図1は、第1の実施の形態に係る光学システムSの構成を示す図である。光学システムSは、干渉計1と、情報処理装置2とを備える。まず、干渉計1の構成について説明する。干渉計1は、光源11と、ビーム光源12と、検出器13と、カメラ14と、遮光スリット15と、複数のビームスプリッタ102(102a、102b、102c、及び102d)と、コーナーキューブ103と、拡大レンズ104と、ハーフミラー105と、コリメータレンズ106と、結像レンズ107と、ピンホール部材109と、参照面3と、測定面4とを備える。面間距離δSは、参照面3と測定面4との面間距離を示す。以下の説明において、ビームスプリッタ102a及び102bとコーナーキューブ103とで構成される光学系を遅延光路ということがある。
光源11は、光学システムSが測定面4の形状を測定するときに、測定面4及び参照面3に低可干渉性の光を照射する。光源11は、例えばSLD(Super Luminescent Diode)である。
ビーム光源12は、光学システムSが光学系を調整するときに、参照面3及び測定面4にビーム光を照射する。ビーム光源12は、例えばレーザー光を照射するレーザー発信機である。具体的には、ビーム光源12は、参照面3及び測定面4上において、ビーム光の直径が数mm程度となるビーム光を照射する。図1において、破線で示す光路は、ビーム光源12が照射したビーム光の光路を示す。また、一点鎖線で示す光路Aはビーム光が測定面4で反射した測定光の光路を示し、二点鎖線で示す光路Bはビーム光が参照面3で反射した参照光の光路を示す。
検出器13は、光学システムSが光学系を調整するときに、測定面4から反射した測定光の強度及び参照面3から反射した参照光の強度を検出する。検出器13は、高感度のフォトダイオードが好適であるが、これに限らない。
カメラ14は、例えば複数の検出素子を備えるデジタルカメラである。カメラ14は、カメラ14に入射した光の強度を複数の検出素子により検出する。カメラ14は、光学システムSが測定面4の形状を測定するときに、低可干渉性の光が測定面4及び参照面3で反射して干渉した干渉光を検出する。
結像レンズ107は、ビーム光源12から検出器13までの間の光路上に配置される。具体的には、図1に示すように、結像レンズ107は、測定面4及び参照面3から検出器13までの間の光路上に配置される。コリメータレンズ106は、結像レンズ107からビーム光源12までの間の光路上に配置される。具体的には、図1に示すように、コリメータレンズ106は、結像レンズ107から測定面4及び参照面3までの間の光路上に配置される。
遮光スリット15は、結像レンズ107とコリメータレンズ106との間に存在するコリメータレンズ106のフーリエ変換面に配置される。コリメータレンズ106のフーリエ変換面と光軸との交点は、コリメータレンズ106の焦点である。遮光スリット15は、コリメータレンズ106の焦点から所定の範囲内に設置されてもよい。例えば、遮光スリット15は、コリメータレンズ106の焦点から、コリメータレンズ106の被写界深度より短い距離内に設置される。
遮光スリット15は、測定光及び参照光の正反射光を遮光する。具体的には、遮光スリット15は、フーリエ変換面に配置されたときに、ビーム光源12の光軸に対する垂直な面において、遮光スリット15と光軸とが交わる交点を含む所定の遮光範囲内に入射した光を遮光する遮光部を備える。遮光範囲は、例えば、交点を中心とする所定の長さを半径とする円内であるが、これに限定するものではない。所定の長さは、ビーム光が測定面4及び参照面3で反射した反射光のビーム光の光軸に対する角度に基づいて定めればよい。本実施の形態においては、反射した反射光の角度を5度として、光軸に対する角度が5度以内の反射光を遮光するように遮光部を構成した。
図2は、遮光スリット15の一例を模式的に示す図である。図2に示すように、遮光スリット15は、斜線で塗りつぶした遮光部151及び遮光部153と、白抜きの開口部152とを備える。遮光スリット15は、遮光部151及び153に入射した光を遮光し、開口部152に入射した光を通過させる。なお、遮光スリット15は、遮光部153を備えていなくてもよい。
図3を参照しながら、測定面4で反射した測定光を例に、遮光スリット15が正反射光を遮光することを説明する。図3は、測定面4から検出器13までの光学系を抜粋し、光軸に対して垂直な方向から見た模式図である。図3において、破線で示す正反射光Rは測定面4で反射した正反射光を示し、実線で示す散乱光Sは測定面4で反射した散乱光を示す。
点P1で反射した正反射光Rは、コリメータレンズ106に入射すると、コリメータレンズ106を通過してコリメータレンズ106の焦点に向かう。点P2及び点P3で反射した正反射光Rは、コリメータレンズ106に入射すると、屈折してコリメータレンズ106の焦点に収束する。一方、点P1で反射した散乱光Sは、測定面4に対して垂直ではない角度で反射する。散乱光Sは、コリメータレンズ106に入射してもコリメータレンズ106の焦点に収束されない。そのため、コリメータレンズ106のフーリエ変換面に遮光スリット15を設置すると、測定面4上で反射した反射光のうち正反射光Rは遮光部151により遮られ、散乱光Sは開口部を通過する。
遮光スリット15を通過した散乱光Sは、結像レンズ107に入射する。結像レンズ107に入射した散乱光Sは屈折して、ある一点に収束する。結像レンズ107を通過した散乱光Sは、結像レンズ107から検出器13までの光路上に配置されたピンホール部材109を通過して検出器13に入射する。
ピンホール部材109は、入射した散乱光Sの一部を遮光し、一部を通過する。例えば、ピンホール部材109は、ビーム光源12の光軸を中心とする所定の距離より外側の光を遮光する遮光部と、光軸を中心とする所定の距離内の光を通過する開口部とを有する。光軸を中心とする所定の距離は、例えば、ビーム光が回折により広がる距離より短くする。具体的には、ピンホール部材109の開口部は、直径1mmの円としたが、これに限定するものではない。
ここで、反射光の焦点とピンホール部材109の位置との関係について説明する。図4は、図1に示したビームスプリッタ102dから検出器13までの光学系を抜粋して拡大した模式図である。
図4(a)の2点鎖線で示す参照光Bは、ビーム光源12から照射されたビーム光が参照面3で反射した参照光を示す。参照光Bは、ビーム光源12の光軸方向における位置Xrにおいて収束する。ピンホール部材109が位置Xrにある場合、参照光Bの多くは、ピンホール部材109の開口部を通過して検出器13に入射する。一方、ピンホール部材109が位置Xrにない場合、参照光Bの多くはピンホール部材109の開口部を通過できずに遮られ、参照光Bの一部が検出器13に入射する。
したがって、検出器13により検出される参照光Bの強度は、ピンホール部材109の光軸方向における位置により変化する。具体的には、参照光Bの強度は、ピンホール部材109の位置と参照光Bが収束する位置Xrとが一致する場合に大きくなり、ピンホール部材109の位置が位置Xrから離れるほど小さくなる。
図4(b)の1点鎖線で示す測定光Aは、ビーム光源12から照射されたビーム光が測定面4で反射した測定光を示す。測定光Aは、ビーム光源12の光軸方向における位置Xtにおいて収束する。ピンホール部材109が位置Xtにある場合、測定光Aの多くは、ピンホール部材109の開口部を通過して検出器13に入射する。一方、ピンホール部材109が位置Xtにない場合、測定光Aの多くはピンホール部材109の開口部を通過できずに遮られ、測定光Aの一部が検出器13に入射する。
したがって、検出器13において検出される測定光Aの強度は、ピンホール部材109の光軸方向における位置により変化する。具体的には、測定光Aの強度は、ピンホール部材109の位置と測定光Aが収束する位置Xtとが一致する場合に大きくなり、ピンホール部材109の位置が位置Xtから離れるほど小さくなる。
図5は、ビーム光源12の光軸方向において検出される反射光の強度分布を模式的に示す図である。図5において、横軸はビーム光源12の光軸方向(X軸)の位置を示し、縦軸は反射光の強度を示す。図5において、ピンホール部材109を移動させながら検出された反射光の強度をプロットした。
図5の強度分布は、測定光Aに由来する強度分布と、参照光Bに由来する強度分布とが合成されている。図5に示すように、位置Xtに測定光Aに由来する強度分布のピークが表れ、位置Xrに参照光Bに由来する強度分布のピークが表れる。
このとき、位置Xtと位置Xrとの距離ΔX(以下、距離ΔXをピンホール部材109の移動量と言うことがある)は、測定光Aの光路長と参照光Bの光路長との光路長差に対応する。光学システムSの情報処理装置2は、反射光の強度分布に基づいて距離ΔXを特定し、特定した距離ΔXに基づいて光路長差を特定する。
以下、情報処理装置2の機能構成について説明する。
[情報処理装置2の機能構成]
図6は、情報処理装置2の機能構成を示す図である。情報処理装置2は、記憶部21と、制御部22とを備える。記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体を含む。また、記憶部21は、制御部22が実行するプログラムを記憶する。
制御部22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部22は、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することによって、距離特定部221、解析部222、及び調整部223の機能を実現する。
距離特定部221は、検出器13により検出された反射光の強度を取得する。具体的には、距離特定部221は、ピンホール部材109を光軸に沿って移動させながら、検出器13に検出させた反射光の強度を取得する。
距離特定部221は、検出器13により検出された反射光の強度に基づいて、ビーム光源12の光軸方向における、測定面4から反射した測定光の強度に由来する分布と、参照面3から反射した参照光の強度に由来する分布との距離を特定する。例えば、距離特定部は221、測定光の強度に由来する分布のピークと、参照光の強度に由来する分布のピークとのピーク間距離を特定する。また、距離特定部221は、ピーク間距離に替えて、分布の中央値間の距離、又は分布の平均値間の距離を特定してもよい。
解析部222は、距離特定部221により特定された距離に基づいて、測定光の光路長と参照光の光路長との光路長差を特定する。例えば、解析部222は、光路長差に対応する測定面4と参照面3との面間距離δSを特定することで、光路長差を特定する。以下、図3を参照しながら、解析部222が面間距離δSを特定することを説明する。
図3に示す距離aは、測定面4からコリメータレンズ106までの距離を示す。焦点距離f1は、コリメータレンズ106の焦点距離を示す。距離bは、結像レンズ107から測定光に由来する強度分布のピークを検出したピンホール部材109の位置までの距離を示す。焦点距離f2は、結像レンズ107の焦点距離を示す。距離aと距離bとの関係は、レンズの公式を用いて式(1)で表される。
Figure 2020030130
同様に、図3において、測定面4を参照面3と置き換えて、参照面3からコリメータレンズ106までの距離を距離a´とし、結像レンズ107から参照光に由来する強度分布のピークを検出したピンホール部材109の位置までの距離を距離b´とする。距離a´と距離b´との関係は、レンズの公式を用いて式(2)で表される。
Figure 2020030130
測定面4と参照面3との面間距離δSは、距離aと距離a´との差に対応する。また、距離bと距離b´との差は、位置Xtと位置Xrとの距離ΔXに対応する。したがって、面間距離δSは、式(1)と、式(2)と、距離ΔXとを用いて、式(3)で表される。
Figure 2020030130
解析部222は、式(3)と、距離特定部221が特定した距離ΔXとを用いて面間距離δSを特定する。なお、測定光の光路長と参照光の光路長との光路長差は、面間距離δSの2倍に相当する。
光学システムSが測定面4の形状を測定するときには遮光スリット15は不要なので、調整部223は、光路長差が特定されると干渉計1の光路上から遮光スリット15を取り除く。そして、調整部223は、特定された光路長差に基づいて干渉計1の光学系を調整する。例えば、調整部223は、解析部222により特定された面間距離δSと、図1に示すビームスプリッタ102aとコーナーキューブ103との距離L1及びビームスプリッタ102bとコーナーキューブ103との距離L2とが等しくなるように干渉計1の光学系を調整する。例えば、調整部223は、距離L1及び距離L2と面間距離δSとが等しくなるようにコーナーキューブ103を移動させる。
[光学系を調整する処理]
図7を参照しながら、光学システムSが光学系を調整する処理の流れについて説明する。図7は、光学系を調整する処理のフローチャートである。図7のフローチャートは、例えば光学システムSを使用する使用者が、情報処理装置2に光学系を調整する指示を入力すると開始する。以下、ビーム光源12からビーム光が測定面4及び参照面3に照射されたものとして説明する。
まず、距離特定部221は、ピンホール部材109を移動させる(ステップS1)。距離特定部221がピンホール部材109を移動させる移動距離は、例えば反射光の強度分布のピークを特定できる分解能が得られる特定可能距離である。距離特定部221は、特定可能距離を光源11が照射する低可干渉性の光の可干渉距離に基づいて定めてもよい。本実施の形態においては、低可干渉性の光の可干渉距離10μmに基づいて、特定可能距離を10μmと定めた。
続いて、距離特定部221は、検出器13に反射光の強度を検出させる(ステップS2)。距離特定部221は、検出器13が反射光の強度を検出すると、ピンホール部材109を移動させた回数が所定の回数以上か否かを判定する(ステップS3)。距離特定部221は、移動させた回数が所定の回数未満であると判定すると(ステップS3でNo)、ステップS1に戻ってピンホール部材109を移動させる。
距離特定部221は、ピンホール部材109を移動させた回数が所定の回数以上であると判定すると(ステップS3でYes)、光軸方向における反射光の強度分布に表れる二つのピークのピーク間距離を特定する(ステップS4)。距離特定部221がピーク間距離を特定すると、解析部222は、測定面4と参照面3との面間距離δSを特定する(ステップS5)。解析部222が面間距離δSを特定すると、調整部223は、干渉計1の光路上から遮光スリット15を取り除き(ステップS6)、距離L1及び距離L2と面間距離δSとが等しくなるようにコーナーキューブ103を移動させる(ステップS7)。
[第1の実施の形態に係る光学システムSの効果]
以上説明したように、低可干渉性の光の強度より強い強度を持つビーム光を測定面4及び参照面3に照射する。光学システムSは、遮光スリット15により、測定面4で反射した測定光の正反射光及び参照面3で反射した参照光の正反射光を遮光する。光学システムSは、結像レンズ107と検出器13との間に配置されたピンホール部材109を光軸に沿って移動させて、光軸方向における測定光に由来する強度の分布と参照光に由来する強度の分布とを取得する。そして、光学システムSは、二つの強度の分布の間の距離を特定し、分布間の距離に対応する測定光の光路長と参照光の光路長との光路長差を特定する。
このように、光学システムSは、低可干渉性の光による干渉光の強度より強いビーム光による反射光の強度を検出するので、干渉光を検出する時間より短い時間で反射光を検出することができる。そのため、光学システムは、ピンホール部材109を光軸に沿って移動させる速度を従来の干渉計が遅延光路を移動させる走査速度より速くすることができるので、調整時間を短縮することができる。さらに、光学システムSは、光路長差に対応する二つの強度の分布の間の距離を特定する。そのため、光学システムSは、特定した光路長差が0になるように遅延光路を移動することで測定光の光路長と参照光の光路長とを一致させることができる。
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態に係る光学システムSの干渉計1は、ピンホール部材109と、ピンホール部材109を通過した反射光を検出する専用の検出器13とを備えた。これに限らず、光学システムSは、干渉計1が検出器13とピンホール部材109とを備えず、カメラ14を検出器13として機能させてもよい。光学システムSは、カメラ14を光軸に沿って移動させることにより、光軸方向における反射光の強度分布を取得する。
図8は、反射光が収束する位置とカメラ14の位置との関係について説明するための図である。図8に示すように、第2の実施の形態に係る干渉計1において、一点鎖線で示す測定光A及び二点鎖線で示す参照光Bは、遮光スリット15を通過した後、結像レンズ107に入射する。図8に示すように、カメラ14の検出面141の位置と参照光Bが収束する位置Xrとが一致する場合、参照光Bはカメラ14上に収束し、測定光Aは検出面141上に収束せずに拡散する。このとき、カメラ14上に収束した参照光Bの強度は、カメラ14上に収束せずに拡散している測定光Aの強度より強くなる。
また、検出面141の位置と、測定光Aが収束する位置Xtとが一致する場合、測定光Aは検出面141上に収束し、参照光Bは検出面141上に収束せずに拡散する。このとき、検出面141上に収束した測定光Aの強度は、検出面141上に収束せずに拡散している参照光Bの強度より強くなる。
第2の実施の形態に係る光学システムSの情報処理装置2は、カメラ14を光軸に沿って移動させ、カメラ14に反射光の強度を検出させる。このようにすることで、第2の実施の形態に係る光学システムSは、第1の実施の形態に係る光学システムSと同様に、光軸方向における反射光の強度分布を取得することができる。そのため、光学システムSは、反射光の強度分布に表れる二つのピークのピーク間距離に基づいて測定光Aの光路長と参照光Bの光路長との光路長差を特定することができる。以下、第2の実施の形態に係る光学システムSの機能構成について、第1の実施の形態と異なる点について説明し、同様の点については適宜省略する。
第2の実施の形態に係る距離特定部221は、カメラ14を光軸に沿って移動させる。カメラ14は、カメラ14の検出面141に入射した反射光の強度を検出する。
図9は、カメラ14が検出した反射光の強度を模式的に示す図である。図9の網点で塗りつぶした強度IAは測定光Aの強度を示し、ひし形で塗りつぶした強度IBは測定光Bの強度を示す。図9に示すように、強度IBは、測定光Bが検出面141上に収束しているため、検出面141上に収束していない測定光Aの強度IAより強い。
距離特定部221は、カメラ14に検出させた反射光の強度の一部の強度を取得する。例えば、距離特定部221は、カメラ14に入射した反射光のうち、カメラ14の検出面141とビーム光源12の光軸との交点を含む検出範囲内に入射した反射光の強度を取得する。具体的には、距離特定部221は、検出面141と光軸との交点を中心とする所定の長さを半径とする円内、又は対角線の長さが所定の長さであり対角線の交点が検出面141と光軸との交点と一致する正方形内に入射した反射光の強度を取得する。図9の破線で示す領域Cは、対角線の交点が検出面141と光軸との交点と一致する正方形を示す。本実施の形態に係る距離特定部221は、図9の領域Cに入射した反射光の強度を取得する。
このように、検出範囲内に入射した反射光の強度を取得することで、距離特定部221は、図5に示した強度分布と同様の強度分布を取得することができる。なお、距離特定部221が光軸方向における反射光の強度分布を取得した後の処理は、第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
[第2の実施の形態に係る光学システムSの効果]
以上説明したように、第2の実施の形態に係る光学システムSは、カメラ14を光軸に沿って移動させながら、光軸方向における反射光の強度分布を取得する。このようにすることで、光学システムSは、第1の実施の形態と同様に、従来の干渉計より短い時間で反射光の強度を検出することができる。また、光学システムSは、ピンホール部材109及びビーム光を検出する専用の検出器13を備える必要がないので、干渉計1の製造コストを下げることができる。
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態、及び第2の実施の形態においては、コリメータレンズ106の焦点距離及び結像レンズ107の焦点距離が既知であることを前提としていた。しかし、コリメータレンズ106の焦点距離及び結像レンズ107の焦点距離は、レンズを製造するときに生じる製造誤差などの影響により変化してしまう場合がある。そこで、第3の実施の形態に係る光学システムSは、既知の面間距離δSを持つ標準試料を測定し、面間距離δSと距離ΔXとの関係を特定することで、誤差による影響を低減する。以下、標準試料を用いて面間距離δSと距離ΔXとの関係を特定する方法について説明する。
まず、光学システムSは、図1に示す干渉計1において、参照面3及び測定面4に替えて、標準試料として既知の面間距離δSを持つ透明なガラス板を配置する。このとき、ガラス板の一方の面は参照面3に対応し、もう一方の面は測定面4に対応する。続いて、光学システムSは、第1の実施の形態と同様に、ピンホール部材109を光軸に沿って移動させながら、検出器13にガラス板の両面で反射した反射光の強度を検出させる。検出器13により検出された光軸方向における反射光の強度分布に表れる二つのピークの光軸上の位置のそれぞれを位置Xr、及び位置Xtとすると、面間距離δSは、位置Xrと位置Xtとを用いて式(4)で表される。
Figure 2020030130
そして、式(3)は、式(4)を用いて、式(5)で表される。
Figure 2020030130
解析部222は、式(5)を用いて、ピンホール部材109が移動した距離ΔXに基づく面間距離δSを特定する。
[第3の実施の形態に係る光学システムSの効果]
以上説明したように、第3の実施の形態に係る光学システムSは、既知の面間距離δSを持つガラス板を配置し、検出器13にガラス板の両面で反射した反射光の強度を検出させる。光学システムSは、ガラス板の両面で反射した反射光の光軸方向における強度分布に基づいて面間距離δSと距離ΔXとの関係を特定する。このようにすることで、光学システムSは、レンズの製造誤差の影響を低減することができる。そのため、光学システムSは、光路長差を特定する精度を向上することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、実施の形態で説明したフィゾー干渉計に限らず、本発明は、ミロー干渉計にも用いることができる。また、フィゾー干渉計の遅延光路は、マイクロソン干渉計に置き換えてもよい。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
(変形例1)
図10は、変形例1に係る光学システムSの干渉計1の一部を抜粋した模式図である。変形例1に係る光学システムSの干渉計1は、第1の実施の形態に係る干渉計1と同様に検出器13を備えるが、ピンホール部材109を備えない。変形例1に係る情報処理装置2の距離特定部221は、検出器13を光軸に沿って移動させながら、検出器13に反射光の強度を検出させる。このようにすることで、距離特定部221は、光軸方向における反射光の強度分布を取得することができる。なお、破線で囲んだ光学系8は、位相シフト光学系を示す。詳細な説明は省略するが、位相シフト光学系は、複数の偏光ビームスプリッタ81と、複数の偏光板82とにより、位相の異なる複数の干渉光を取得することができる。なお、光学システムSは、干渉計1が検出器13を備えず、第2の実施の形態と同様に、複数のカメラ14の少なくともいずれか一つを移動させることにより、光軸方向における反射光の強度分布を取得してもよい。
(変形例2)
以上の説明においては、干渉計1がフィゾー干渉計である場合について説明したが、これに限らず、本発明は、他の干渉計にも適用することができる。図11は、Twyman−Green(TG)干渉計を模式的に示す図である。検出部9は、図1の遮光スリット15以降の光学系と同様の光学系を備える。また、光路長差を特定する処理は、第1の実施の形態で説明した処理と同様なので説明を省略する。変形例2に係る情報処理装置2の調整部223は、解析部222が特定した光路長差に基づいて参照面3を光軸に沿って移動させる。
なお、TG干渉計において、ビームスプリッタ102dと参照面3との光路が、第1の実施の形態に係るビームスプリッタ102a及び102bとコーナーキューブ103との遅延光路に相当する。したがって、変形例2において調整部223が参照面3を移動させることは、第1の実施の形態においてコーナーキューブ103を移動させることに相当する。
(変形例3)
光学システムSは、ビーム光を照射して光路長差を特定した後、低可干渉性の光を照射して光路長差を特定してもよい。具体的には、まず、光学システムSは、干渉計1の光学系を被写界深度が深くなるように調整する。このようにすることで、光学システムSは、ピンホール部材109を一回に移動する移動距離を長くしても、幅の広い反射光の強度分布を取得することができる。光学システムSは、幅の広い反射光の強度分布に基づいて第1の光路長差を特定する。続いて、光学システムSは、低可干渉性の光を照射して、干渉光のコントラストが最大になるように遅延光路を調整する。このとき、光学システムSは、第1の光路長差を基準として遅延光路の初期値を設定する。
このように、光学システムSは、広い範囲の反射光の強度分布を取得して光路長差の大まかな値を特定することで、測定光の光路長と参照光の光路長とを大まかに合わせることができる。そして、光学システムSは、干渉光のコントラストを確認しながら、測定光の光路長と参照光の光路長とを精密に一致させることができる。
(変形例4)
以上の説明において、光学システムSは、測定光に由来する分布と、参照光に由来する分布との距離を特定することで、光路長差を特定した。しかし、これに限らず、光学システムSは、測定光に由来する分布のみを特定することで光路長差を特定してもよい。具体的には、光学システムSの干渉計1において、レンズの焦点距離及び各部材の距離が既知である場合、参照光に由来する分布のピークの位置Xrは一意に定まる。そのため、光学システムSは、測定光に由来する分布のピークの位置Xtを特定するだけで、光路長差を特定することができる。
1 干渉計
2 情報処理装置
3 参照面
4 測定面
8 光学系
9 検出部
11 光源
12 ビーム光源
13 検出器
14 カメラ
15 遮光スリット
21 記憶部
22 制御部
81 偏光ビームスプリッタ
82 偏光板
103 コーナーキューブ
104 拡大レンズ
105 ハーフミラー
106 コリメータレンズ
107 結像レンズ
109 ピンホール部材
141 検出面
151 遮光部
152 開口部
153 遮光部
221 距離特定部
222 解析部
223 調整部

Claims (6)

  1. 干渉計と情報処理装置とを備える光学システムであって、
    前記干渉計は、
    測定面及び参照面に光を照射するビーム光源と、
    前記測定面から反射した反射光の強度及び前記参照面から反射した反射光の強度を検出する検出器と、
    前記ビーム光源から前記検出器までの間の光路上に配置された結像レンズと、
    前記結像レンズから前記ビーム光源までの間の光路上に配置されたコリメータレンズと、
    前記結像レンズと前記コリメータレンズとの間に存在する前記コリメータレンズのフーリエ変換面に配置され、前記反射光の正反射光を遮光する遮光スリットと、
    を備え、
    前記情報処理装置は、
    前記検出器により検出された前記反射光の強度に基づいて、前記ビーム光源の光軸方向における、前記測定面から反射した前記反射光の強度に由来する分布と、前記参照面から反射した前記反射光の強度に由来する分布との距離を特定する距離特定部と、
    前記距離特定部により特定された前記距離に基づいて、前記測定面から反射した反射光の光路長と前記参照面から反射した反射光の光路長との光路長差を特定する解析部と、
    を備える光学システム。
  2. 前記干渉計は、前記結像レンズと前記検出器との光路上に配置され、前記ビーム光源の光軸を中心とする所定の距離より外側の光を遮光する遮光部を有するピンホール部材をさらに備え、
    前記距離特定部は、前記ピンホール部材を光軸に沿って移動させる、
    請求項1に記載の光学システム。
  3. 前記距離特定部は、前記検出器を光軸に沿って移動させる、
    請求項1に記載の光学システム。
  4. 前記距離特定部は、前記測定面から反射した前記反射光の強度に由来する分布のピークと、前記参照面から反射した前記反射光の強度に由来する分布のピークとのピーク間距離を特定する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の光学システム。
  5. 光路長差が特定されると、前記干渉計の光路上から前記遮光スリットを取り除く調整部をさらに備える、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の光学システム。
  6. 前記遮光スリットは、前記フーリエ変換面に配置されたときに、前記ビーム光源の光軸に対する垂直な面において、前記遮光スリットと前記光軸とが交わる点を含む所定の遮光範囲内に入射した光を遮光する遮光部を備える、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の光学システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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