JP2020029588A - Ni酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ニッケルの湿式製錬プロセスの原料となるニッケル酸化鉱石の前処理工程において、小粒径鉱石の回収率を高めると共に高温加圧酸浸出工程にて効率よく処理できる大粒径鉱石を回収することが可能な鉱石スラリーの調製方法を提供する。【解決手段】 高温加圧酸浸出工程で処理するニッケル酸化鉱石粒子を含んだ鉱石スラリーの調製方法であって、好適には目開き25mmの篩を有するドラムウォッシャーによる湿式分級で篩下側に回収された原料としてのニッケル酸化鉱石を、水と共に目開き1.5〜2.0mmのスクリーンに導入して湿式分級する。【選択図】 なし
Description
本発明は、高温加圧酸浸出工程を含んだ湿式製錬プロセスによりNiを回収する際の原料となるCo及びMgを少なくとも含むNi酸化鉱石からなる鉱石スラリー調製方法に関する。
Ni製錬プロセスの原料に使用される鉱石は硫化鉱石と酸化鉱石に大別することができ、これらのうち酸化鉱石の占める割合はNi量に換算して全体の7割に達している。また、近年はNi品位2%以上の高品位のNi酸化鉱石が枯渇傾向にあり、そのためNi品位2%未満の低品位Ni酸化鉱石からNiを効率よく回収する技術の確立が重要になっている。低品位Ni酸化鉱石からNiを回収する方法としては、原料鉱石中のNiを高温高圧条件下で酸を用いて浸出する高温加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)プロセスが知られている。
例えば、特許文献1には、原料のニッケル酸化鉱石を粉砕及び分級すると共に水を加えて所定のスラリー濃度を有する鉱石スラリーの調製を行う前処理工程と、該前処理工程で得た鉱石スラリーに硫酸を添加して220〜280℃で攪拌しながら高温加圧酸浸出を行う高温加圧酸浸出工程と、該高温加圧酸浸出工程で生成した浸出スラリーを固液分離して、ニッケル及びコバルトを含む粗硫酸ニッケル水溶液からなる浸出液と浸出残渣とを得る固液分離工程と、該固液分離工程で得た浸出液を中和処理する中和工程と、該中和工程で処理された浸出液に硫化水素ガスを添加して亜鉛を硫化亜鉛として沈殿除去し、脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛工程で得た脱亜鉛終液に硫化水素ガスを添加してニッケル及びコバルトを混合硫化物として回収する硫化工程と、該混合硫化物の回収時に排出されるニッケル貧液と該固液分離工程で発生した浸出残渣との無害化の処理を行う無害化工程とからなる湿式製錬プロセスが開示されている。
上記前処理工程では、先ず原料のニッケル酸化鉱石に対して粉砕及び分級(篩分け)を行う粉砕・分級工程で処理される。この分級では固形分を水と共にスクリーンに導入する湿式篩が用いられるので、粉砕・分級工程の次工程の鉱石スラリー濃縮工程において、上記の湿式篩の篩下側として回収される鉱石スラリーの濃縮が行われる。ところで、上記の粉砕・分級工程では設備上の制約から篩分けの粒子サイズを定めることがある。すなわち、上記高温加圧酸浸出工程の原料となる鉱石スラリーに含まれる鉱石の粒子サイズは、該鉱石スラリーの移送配管系に設けたポンプやバルブ等の設備のスラリー通過部の開口サイズ等の制約を受ける。そのため、前処理工程においては、設備上の制約に基づいて定められた粒子サイズ以下となるように段階的にニッケル酸化鉱石の分級が行われる。
例えば特許文献2には、原料鉱石を先ず第1段目のスタティックグリズリに導入して目開き250mmの篩上を除外し、その篩下を第2段目のシェイクアウトマシーンに導入して目開き150mmの篩上を除外し、その篩下を第3段目のドラムウォッシャーに導入して目開き25mmの篩上を除外し、その篩下を第4段目のバイブレーティングスクリーンに導入して目開き1.4mmの篩上を除外する技術が開示されている。これら分級のうち、ドラムウォッシャー以降は湿式で行われるため、バイブレーティングスクリーンを通過した1.4mmアンダーの鉱石粒子は鉱石スラリーの形態で回収される。また、特許文献3においても、ニッケル酸化鉱石を湿式製錬プロセスの前処理工程において、目開き1.4mmのスクリーンを用いてニッケル酸化鉱石を分級する技術が開示されている。
上記のような湿式篩の篩下から回収される鉱石スラリーは固形分濃度が低いため、このまま高温加圧酸浸出工程で処理するのは非効率であり、高温加圧酸浸出工程において所望のニッケル回収率を確保するためには処理量を下げることが必要になり、処理量を下げなければニッケル回収率が低下する。特に、前処理工程の上記粉砕・分級工程では、例えば特許文献4に記載のように小粒径鉱石が大粒径鉱石の表面に付着して篩上側として系外に払い出されるのを抑えるため、篩の上方から洗浄水を供給して鉱石スラリーを洗浄することが行われている。そのため、鉱石スラリーの固形分濃度がより薄まることになる。そこで、解砕・分級工程で得た鉱石スラリーはシックナーに導入してその固形分濃度を高めてから高温加圧酸浸出工程で処理することが行われている。これにより、高温加圧酸浸出工程において単位時間当たりに処理する鉱石の量を増やすことができるので、ニッケル回収率を高めることができる。
ところで、上記湿式製錬プロセスで処理されるNi酸化鉱石には、Niの他にCo、Mg、Znなどの不純物が含まれている。このNi酸化鉱石のうち、主に粒径が1.4mm未満の小粒径鉱石は、一般的にNi品位が高いので高温加圧酸浸出処理に適しているのに対して、粒径が1.4mm以上の大粒径鉱石は、Ni品位が低く不純物品位が高いため、該高温加圧酸浸出処理には適していない。従って、浸出工程においてニッケル浸出率を高めて資源を有効利用する観点から、小粒径鉱石を効率よく回収しつつ、大粒径鉱石を取り除くのが好ましい。
そのため、特許文献2及び3に記載のように目開き1.4mmのスクリーンを用いて分級が行われており、また、分級時に洗浄水を供給して鉱石スラリーを洗浄することが行われているが、依然としてNiのロスが多く、原料鉱石の前処理工程において所望の小粒径鉱石の回収量を維持するために過剰量の原料鉱石を使用することが行われていた。これは鉱山寿命を短縮する原因の一つであるため、小粒径鉱石の回収率を高めると共に高温加圧酸浸出処理において大粒径鉱石も有効に処理可能であれば鉱山寿命の延長を図ることが可能になる。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、ニッケルの湿式製錬プロセスの原料となるニッケル酸化鉱石の前処理工程において、小粒径鉱石の回収率を高めると共に高温加圧酸浸出工程にて効率よく処理できる大粒径鉱石を回収することが可能な鉱石スラリーの調製方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記湿式製錬プロセスの前処理工程において洗浄水による鉱石スラリーの洗浄を伴う湿式篩設備において、篩上として払い出される大粒径鉱石及び該大粒径鉱石に伴って払い出される小粒径鉱石のNi品位について調査をしたところ、該大粒径鉱石はNi品位が低く且つ不純物品位が高いものの、それは湿式篩に目開き1.4mmのスクリーンを用いたときに該目開きの1.4倍程度(すなわち、粒径2.0mm程度)より大きな粒径の鉱石に顕著に表れる問題であり、目開き1.4mmの1.1〜1.3倍程度に相当する粒径1.5〜1.8mm程度の極めて目開きサイズに近い粒径をもつ鉱石はNi品位及び不純物品位に関して高温加圧酸浸出工程において効率よく処理することができることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のニッケル酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法は、高温加圧酸浸出工程で処理するニッケル酸化鉱石粒子を含んだ鉱石スラリーの調製方法であって、原料としてのニッケル酸化鉱石を水と共に目開き1.5〜2.0mmのスクリーンに導入して湿式分級することを特徴とする。
本発明によれば、Ni酸化鉱石を原料とするニッケルの湿式製錬プロセスの原料となるニッケル酸化鉱石の前処理工程において、小粒径鉱石の回収率を高めると共に高温加圧酸浸出工程にて効率よく処理できる大粒径鉱石を回収することができる。これにより、ニッケル湿式製錬プロセスの効率を損なうことなく鉱山寿命を延長できるので、その工業的価値は極めて大きい。
先ず、本発明の実施形態のNi酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法を含んだニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスについて図1を参照しながら説明する。この図1に示す湿式製錬プロセスは、原料としてのニッケル酸化鉱石に対して粉砕及び篩別等の前処理を行って所定の粒度にすると共に水を加えてスラリーの形態に調製する前処理工程S1と、該前処理工程S1で調製された鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す高温加圧酸浸出工程S2と、該高温加圧酸浸出工程S2で得た浸出スラリーを多段洗浄することでニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む粗硫酸ニッケル水溶液を浸出残渣から分離する固液分離工程S3と、該粗硫酸ニッケル水溶液にpH調整剤を添加することで不純物元素を含む中和澱物を生成し、これを分離除去してニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る中和工程S4と、該中和終液に硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を生成し、これを分離除去してニッケル及びコバルトを含む脱亜鉛終液を得る脱亜鉛工程S5と、該脱亜鉛終液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成した後、固液分離により該混合硫化物を回収する硫化工程S6と、該硫化工程S6から排出される貧液及び該固液分離工程S3から排出される浸出残渣に溶存する金属を無害化する無害化工程S7とを有している。以下、これら工程の各々について説明する。
(1)前処理工程
前処理工程S1では、先ず原料としてのニッケル酸化鉱石をジョークラッシャーなどの粉砕機に投入して粉砕処理した後、該粉砕処理された鉱石を好ましくは乾式分級により粗大な鉱石や夾雑物を除去してから、所定の目開きを有するスクリーンに適量の水と共に導入することで湿式分級を行う。これにより、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を鉱石スラリーの形態で篩下側に回収することができる。この湿式分級については後でより詳細に説明する。上記の湿式分級で得た鉱石スラリーは一般にスラリー濃度が10〜30質量%であり、そのまま後段の高温加圧酸浸出工程S2で処理するのは非効率である。そこで、上記鉱石スラリーをシックナーに導入して重力沈降により鉱石スラリーを濃縮し、これにより製造した高濃度鉱石スラリーを次工程の高温加圧酸浸出工程S2で処理する。
前処理工程S1では、先ず原料としてのニッケル酸化鉱石をジョークラッシャーなどの粉砕機に投入して粉砕処理した後、該粉砕処理された鉱石を好ましくは乾式分級により粗大な鉱石や夾雑物を除去してから、所定の目開きを有するスクリーンに適量の水と共に導入することで湿式分級を行う。これにより、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を鉱石スラリーの形態で篩下側に回収することができる。この湿式分級については後でより詳細に説明する。上記の湿式分級で得た鉱石スラリーは一般にスラリー濃度が10〜30質量%であり、そのまま後段の高温加圧酸浸出工程S2で処理するのは非効率である。そこで、上記鉱石スラリーをシックナーに導入して重力沈降により鉱石スラリーを濃縮し、これにより製造した高濃度鉱石スラリーを次工程の高温加圧酸浸出工程S2で処理する。
この前処理工程S1で処理されるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、一般に0.8〜2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含まれている。このニッケル酸化鉱石は、鉄の含有量が10〜50質量%であり、これは主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態を有しており、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含まれている。前処理工程S1の原料には、上記のラテライト鉱のほか、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する例えば深海底に賦存するマンガン瘤等の酸化鉱石が用いられることがある。
(2)高温加圧酸浸出工程
高温加圧酸浸出工程S2では、上記前処理工程S1で調製された鉱石スラリーをオートクレーブと称する圧力容器に硫酸と共に装入し、該鉱石スラリーに対して攪拌しながら3〜4.5MPaG、220〜280℃程度の高温高圧条件下で高温加圧酸浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。
高温加圧酸浸出工程S2では、上記前処理工程S1で調製された鉱石スラリーをオートクレーブと称する圧力容器に硫酸と共に装入し、該鉱石スラリーに対して攪拌しながら3〜4.5MPaG、220〜280℃程度の高温高圧条件下で高温加圧酸浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。
上記オートクレーブに装入する硫酸の添加量には特に限定はないが、上記原料の鉱石中の鉄が浸出されるように過剰に添加するのが好ましい。なお、高温加圧酸浸出工程S2では、生成したヘマタイトを含む浸出残渣が後工程の固液分離工程S3においてろ過性を低下させることがないように、浸出液のpHを0.1〜1.0に調整することが好ましい。また、この高温加圧酸浸出工程S2で得た浸出スラリーは、後工程の固液分離工程S3で処理する前に、予備中和処理を行ってフリー硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸、以下遊離硫酸ともいう)を中和処理してもよい。
(3)固液分離工程
固液分離工程S3では、直列に連結した複数基のシックナーに上記浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入し、向流洗浄法(CCD法)により浸出スラリーを多段洗浄しながら、凝集剤を用いて重力沈降分離を行うのが好ましい。これにより浸出残渣が除去され、ニッケル及びコバルトのほか亜鉛等の不純物元素を含む粗硫酸ニッケル水溶液が得られる。シックナーから抜き出された浸出残渣スラリーは、後述する無害化工程S7において中和処理を施すことで重金属の除去処理を行った後、テーリングダムに移送される。なお、上記洗浄液にはpH1.0〜3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後工程の硫化工程S6から排出されるニッケル貧液を繰り返して利用するのが好ましい。
固液分離工程S3では、直列に連結した複数基のシックナーに上記浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入し、向流洗浄法(CCD法)により浸出スラリーを多段洗浄しながら、凝集剤を用いて重力沈降分離を行うのが好ましい。これにより浸出残渣が除去され、ニッケル及びコバルトのほか亜鉛等の不純物元素を含む粗硫酸ニッケル水溶液が得られる。シックナーから抜き出された浸出残渣スラリーは、後述する無害化工程S7において中和処理を施すことで重金属の除去処理を行った後、テーリングダムに移送される。なお、上記洗浄液にはpH1.0〜3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後工程の硫化工程S6から排出されるニッケル貧液を繰り返して利用するのが好ましい。
(4)中和工程
中和工程S4では、上記固液分離工程S3において浸出残渣から分離された粗硫酸ニッケル水溶液に炭酸カルシウム等のpH調整剤を添加してpH調整することで遊離硫酸を中和する。その際、不純物元素を含む中和澱物が生成する。この中和澱物を固液分離により除去することで、ニッケル及びコバルトのほか、主に亜鉛からなる不純物元素を含むニッケル回収用母液の元となる中和終液が得られる。この中和工程S4では、中和終液のpHが4.0以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように上記pH調整を行うのが好ましく、これにより上記粗硫酸ニッケル水溶液中に残留する主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンを中和澱物として除去できる。
中和工程S4では、上記固液分離工程S3において浸出残渣から分離された粗硫酸ニッケル水溶液に炭酸カルシウム等のpH調整剤を添加してpH調整することで遊離硫酸を中和する。その際、不純物元素を含む中和澱物が生成する。この中和澱物を固液分離により除去することで、ニッケル及びコバルトのほか、主に亜鉛からなる不純物元素を含むニッケル回収用母液の元となる中和終液が得られる。この中和工程S4では、中和終液のpHが4.0以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように上記pH調整を行うのが好ましく、これにより上記粗硫酸ニッケル水溶液中に残留する主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンを中和澱物として除去できる。
(5)脱亜鉛工程
脱亜鉛工程S5では、微加圧された反応槽内に上記中和工程S4で得た中和終液を導入し、該容器の気相中への硫化水素ガスの吹き込みなどによる硫化剤の添加により硫化処理を施す。これにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化して亜鉛硫化物を生成させることができる。この亜鉛硫化物を分離除去することで、ニッケル及びコバルトを含む硫酸溶液からなる脱亜鉛終液(ニッケル回収用母液)が得られる。
脱亜鉛工程S5では、微加圧された反応槽内に上記中和工程S4で得た中和終液を導入し、該容器の気相中への硫化水素ガスの吹き込みなどによる硫化剤の添加により硫化処理を施す。これにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化して亜鉛硫化物を生成させることができる。この亜鉛硫化物を分離除去することで、ニッケル及びコバルトを含む硫酸溶液からなる脱亜鉛終液(ニッケル回収用母液)が得られる。
(6)硫化工程
硫化工程S6では、加圧された反応槽に上記脱亜鉛終液を導入し、この脱亜鉛終液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込む。これにより、硫化反応が生じるのでニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)が生成する。生成したニッケルコバルト混合硫化物はろ過などの固液分離により回収することができ、その際、液相側にニッケル貧液が排出される。なお、この硫化工程S6で処理される脱亜鉛終液にはFe、Al、Mn等の不純物金属イオンが各々数g/L程度含まれている場合があるが、これら不純物成分はニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記ニッケルコバルト混合硫化物にはほとんど含有されない。
硫化工程S6では、加圧された反応槽に上記脱亜鉛終液を導入し、この脱亜鉛終液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込む。これにより、硫化反応が生じるのでニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)が生成する。生成したニッケルコバルト混合硫化物はろ過などの固液分離により回収することができ、その際、液相側にニッケル貧液が排出される。なお、この硫化工程S6で処理される脱亜鉛終液にはFe、Al、Mn等の不純物金属イオンが各々数g/L程度含まれている場合があるが、これら不純物成分はニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記ニッケルコバルト混合硫化物にはほとんど含有されない。
(7)無害化工程
無害化工程S7では、上記硫化工程S6から排出される鉄、アルミニウム、マンガン等の不純物金属イオン及び未反応のNiイオンを含むニッケル貧液と上記の固液分離工程S3から排出される重金属を含む浸出残渣とに対して、中和処理を施す。これにより、排出基準を満たすまで上記の金属イオンや重金属を除去することができる。上記中和処理は、石灰石を中和剤として用いた第1の中和処理と、消石灰を中和剤として用いた第2の中和処理とからなる2段階で中和処理を行うのが好ましく、上記金属イオンの濃度を1mg/Lまで効率的かつ効果的に除去することができる。
無害化工程S7では、上記硫化工程S6から排出される鉄、アルミニウム、マンガン等の不純物金属イオン及び未反応のNiイオンを含むニッケル貧液と上記の固液分離工程S3から排出される重金属を含む浸出残渣とに対して、中和処理を施す。これにより、排出基準を満たすまで上記の金属イオンや重金属を除去することができる。上記中和処理は、石灰石を中和剤として用いた第1の中和処理と、消石灰を中和剤として用いた第2の中和処理とからなる2段階で中和処理を行うのが好ましく、上記金属イオンの濃度を1mg/Lまで効率的かつ効果的に除去することができる。
次に、上記前処理工程S1において湿式篩を用いて行われる本発明の実施形態に係るNi酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーの調製方法について詳細に説明する。この本発明の実施形態のNi酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーの調製方法は、前述の通り高温加圧酸浸出工程S2の原料として使用する鉱石スラリーの調製方法であり、粉砕分級工程とスラリー濃縮工程で構成される。
これら粉砕分級工程及びスラリー濃縮工程のうち、前者の粉砕分級工程では例えば図2に示すように、原料鉱石を先ず第1段目の分級手段のスタティックグリズリに導入し、目開き250mmのスクリーンで篩別することで篩上を除去する。次に、上記第1段目の分級の篩下を第2段目の分級手段のシェイクアウトマシーンに導入し、目開き150mmのスクリーンで篩別することで篩上を除去する。次に、上記第2段目の分級の篩下を水砕水と共に第3段目の分級手段のドラムウォッシャーに導入し、目開き25mmのスクリーンで篩別することで篩上を除去する。最後に、上記第3段目の分級の篩下の鉱石スラリーを第4段目の分級手段のバイブレーティングスクリーンに導入する。なお、以下の説明では、目開きXmmのスクリーンで篩別したときの篩上及び篩下を、それぞれXmmオーバー及びXmmアンダーとも称する。
この第4段目の分級手段では、目開き1.5〜2.0mmのスクリーンを使用する。更に、図3に示すように、該バイブレーティングスクリーンの上に設けた複数のスプレーノズルから篩面上の鉱石に向けて洗浄水を吹き付ける。これにより、篩上として系外に払い出される大粒径鉱石が洗浄されるので、この大粒径鉱石に付着している篩下として回収可能な目開き1.5〜2.0mmアンダーの小粒径鉱石を該大粒径鉱石から分離させて篩下側として回収することができる。更に、従来は篩上として系外に払い出されていた大粒径鉱石のうちHPAL法での処理に適した一部を回収することができる。
具体的に説明すると、上記の第4段目のバイブレーティングスクリーンにおいて、目開き25mmアンダーのニッケル酸化鉱石を含むスラリーを目開き1.4mmのスクリーンに導入して湿式分級すると、図4に示すように、前処理工程S1で処理されるNi酸化鉱石原料100質量%に対して小粒径鉱石として回収される割合は約85質量%であり、残りの15質量%は第1〜第4段目の分級手段において篩上の大粒径鉱石として系外へ払い出されていた。この15質量%の大粒径鉱石のうち、目開き25mmオーバーの大粒径鉱石として系外へ払い出される割合は約50質量%を占めており、これは上記のNi酸化鉱石原料の7.5質量%に該当する。
従って上記の残りの15質量%のうちの残余の50質量%は、目開き25mmアンダーで且つ目開き1.4mmオーバーの大粒径鉱石と、この大鉱石粒径に付着して系外へ払い出される1.4mmアンダーの小粒径鉱石と考えられる。この小粒径鉱石の占める割合を調べたところ、図4に示すように、上記の残余の50質量%を100質量%としたとき約5.0質量%であり、洗浄水で回収しているにもかかわらず、これらはロスとなっていた。本発明者は、この払い出された残余の50質量%の鉱石を(1)1.4mmアンダー、(2)1.4mmオーバーで且つ2.0mmアンダー、及び(3)2.0mmオーバーの3種類に分類し、それぞれNi品位を測定したところ、(1)の鉱石は1.17%、(2)の鉱石は1.08%、(3)の鉱石は0.98%であった。
このNi品位から判断して、目開き1.4mmの1.1〜1.3倍程度に対応する粒径1.5〜2.0mmの鉱石であればHPAL法で良好に処理可能であると考えられる。すなわち、原料鉱石の前処理工程S1における粉砕分級工程において鉱石分離・回収用スクリーンのスリットを、従来の目開き1.4mmの1.1〜1.3倍程度の目開きを有する目開き1.5〜2.0mmの範囲内のスクリーンを用いることで、本来回収すべき小粒径鉱石の回収率を向上させ、また従来系外へ払い出されていた大粒径鉱石のうちHPAL法での処理に適した大粒径鉱石の一部を効率的に回収することができる。次に、本発明の実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
<実施例>
図1に示す高温加圧酸浸出工程S2で処理する高濃度鉱石スラリーを調製すべく、前処理工程S1の粉砕分級工程において、Ni酸化鉱石原料に対して図2に示すような第1〜第4段目の分級手段によって分級を行った。その際、第4段目の湿式篩は、HPALプロセスの原料として好適な粒径1.4mm以下の鉱石の回収を狙って、該粒径1.4mmの約1.2倍に相当する1.7mmの目開きを有するものを用いた。なお、この粉砕分級工程においては、測定結果に特異点が現れないようにするため7日間連続して運転を行い、サンプリングは1日に1回行った。以降に示すデータはこれらサンプリングした7日分の試料の測定値の算術平均値である。
図1に示す高温加圧酸浸出工程S2で処理する高濃度鉱石スラリーを調製すべく、前処理工程S1の粉砕分級工程において、Ni酸化鉱石原料に対して図2に示すような第1〜第4段目の分級手段によって分級を行った。その際、第4段目の湿式篩は、HPALプロセスの原料として好適な粒径1.4mm以下の鉱石の回収を狙って、該粒径1.4mmの約1.2倍に相当する1.7mmの目開きを有するものを用いた。なお、この粉砕分級工程においては、測定結果に特異点が現れないようにするため7日間連続して運転を行い、サンプリングは1日に1回行った。以降に示すデータはこれらサンプリングした7日分の試料の測定値の算術平均値である。
そして、この第4段目の湿式篩の篩上として払い出された鉱石を乾燥した後、1.4mmアンダーの小粒径鉱石、1.4mmオーバーで且つ2.0mmアンダーの大粒径鉱石、及び2.0mmオーバーの大粒径鉱石に篩分けし、それぞれ秤量して質量割合を求めた。また、上記の第4段目の湿式篩の篩上として払い出された鉱石のNi品位及びMg品位を、蛍光X線分析装置(XRF)を用いた元素定量分析により求めた。
その結果、図5(a)に示すように、第4段目の湿式篩の篩上として払い出された鉱石100質量%に対して、1.4mmアンダーの小粒径鉱石の割合は4.0質量%であり、1.4mmオーバーで且つ2.0mmアンダーの大粒径鉱石の割合は5.3質量%であった。また、2.0mmオーバーの粗大粒径鉱石のNi品位及びMg品位はそれぞれ0.99%及び8.03%であった。
<比較例>
第4段目の湿式篩のスクリーンの目開きを1.7mmに代えて1.4mmとした以外は上記実施例と同様の条件で前処理工程S1の粉砕分級工程を行った。その結果、図5(b)に示すように、第4段目の湿式篩の篩上として払い出された鉱石100質量%に対して、1.4mmアンダーの小粒径鉱石の割合は5.1質量%であり、1.4mmオーバーで且つ2.0mmアンダーの大粒径鉱石の割合は8.0質量%であった。また、2.0mmオーバーの粗大粒径鉱石のNi品位及びMg品位はそれぞれ1.00%及び8.19%であった。
第4段目の湿式篩のスクリーンの目開きを1.7mmに代えて1.4mmとした以外は上記実施例と同様の条件で前処理工程S1の粉砕分級工程を行った。その結果、図5(b)に示すように、第4段目の湿式篩の篩上として払い出された鉱石100質量%に対して、1.4mmアンダーの小粒径鉱石の割合は5.1質量%であり、1.4mmオーバーで且つ2.0mmアンダーの大粒径鉱石の割合は8.0質量%であった。また、2.0mmオーバーの粗大粒径鉱石のNi品位及びMg品位はそれぞれ1.00%及び8.19%であった。
以上の実施例及び比較例の結果から、湿式篩の目開きにHPALプロセスの原料として好適な粒径1.4mm以下を回収することを狙って該粒径の上限に相当する1.4mmを採用した比較例に比べて、その1.2倍に相当する1.7mmを採用した実施例では、該湿式篩の篩上の大粒径鉱石に伴って系外へ払い出されていた1.4mmアンダーの小粒径鉱石の割合が5.1質量%から4.0質量%まで低下した。これは、1.4mmアンダーの鉱石が1.1質量%多く回収されたことを意味している。
また、HPALプロセスで処理可能な1.4mmオーバーで且つ2.0mmアンダーの鉱石については系外に払い出されていたものが8.0質量%から5.3質量%まで低下していた。これは、HPALプロセスで処理可能な鉱石が2.7質量%増加したことを意味しており、上記と合計すると回収率を3.8質量%増加させることが可能になり、少なくともその分だけ鉱山寿命を延長できることが分かる。なお、篩上として系外に払い出されたNi品位及びMg品位について比較例と実施例を比べたところ、いずれもほぼ同等であるので、第4段目の湿式篩のスクリーンの目開きを1.4mmから1.7mmに代えてもHPALプロセスへの影響はほとんどないことが分かる。
S1 前処理工程
S2 高温加圧酸浸出工程
S3 固液分離工程
S4 中和工程
S5 脱亜鉛工程
S6 硫化工程
S7 無害化工程
S2 高温加圧酸浸出工程
S3 固液分離工程
S4 中和工程
S5 脱亜鉛工程
S6 硫化工程
S7 無害化工程
Claims (4)
- 高温加圧酸浸出工程で処理するニッケル酸化鉱石粒子を含んだ鉱石スラリーの調製方法であって、原料としてのニッケル酸化鉱石を水と共に目開き1.5〜2.0mmのスクリーンに導入して湿式分級することを特徴とするニッケル酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法。
- 前記ニッケル酸化鉱石が目開き25mmの篩を有するドラムウォッシャーによる湿式分級で篩下側に回収されたものであることを特徴とする、請求項1に記載のニッケル酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法。
- 前記水の一部を洗浄水として前記スクリーンの上に設けた複数のスプレーノズルから吹き付けることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニッケル酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法。
- 前記スクリーンがバイブレーティングスクリーンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018155342A JP2020029588A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | Ni酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2018155342A JP2020029588A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | Ni酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020029588A true JP2020029588A (ja) | 2020-02-27 |
Family
ID=69623911
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JP2018155342A Pending JP2020029588A (ja) | 2018-08-22 | 2018-08-22 | Ni酸化鉱石を含む鉱石スラリーの調製方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2020029588A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021161481A (ja) * | 2020-03-31 | 2021-10-11 | 住友金属鉱山株式会社 | 鉱石スラリーを調製する処理方法 |
-
2018
- 2018-08-22 JP JP2018155342A patent/JP2020029588A/ja active Pending
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