(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るコミュニケーション方法は、特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループである対象者と、対象者のファンであるユーザとのコミュニケーションに用いられる方法である。言い換えれば、特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループのファンであるユーザと、ユーザにおける嗜好又は支持の対象である対象者とのコミュニケーションの場において、本実施形態に係るコミュニケーション方法が用いられる。
本開示でいう「ファン」とは、音楽、舞踊、演劇及び映画等のエンターテイメント分野、並びにスポーツ、ゲーム、漫画及びアニメーション等の様々な分野において、ある個人(著名人、歌手、タレント、スポーツ選手、俳優、作家、漫画家及び声優等)、キャラクタ又はグループ等をひいきにする人を意味する。本開示でいう「ファン」は、対象者を直接的にひいきにするファンだけでなく、資金援助等により対象者を間接的にひいきにする支持者も含む。本開示でいう「対象者」は、ファンの嗜好又は支持の対象となる特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループであって、特定の個人でもよいし、複数人からなるグループ(チームを含む)でもよい。本開示でいう「キャラクタ」は、小説、映画、演劇、漫画、ゲーム及びアニメーション等の登場人物(役柄を含む)を意味し、きぐるみ(ぬいぐるみ)又はメイク等により、これらの登場人物の扮装をした人(コスチュームプレイヤを含む)、ロボット又は人形等の「物」を含む。
特に、本実施形態に係るコミュニケーション方法は、ファンであるユーザH1(図1参照)と、ユーザH1の嗜好の対象である対象者H2(図1参照)とが、相対する状況、つまり少なくともユーザH1が対象者H2に直接的に触れる、又は会話することが可能な状況で用いられる。ユーザH1と対象者H2とが相対する状況の一例としては、対象者H2が出演する握手会、サイン会、コンサート、トークショー、講演会又はディナーショー等がある。あるいは、人又はキャラクタ等を模した「物」が展示されている場所、及びキャラクタが登場するような遊園地又はテーマパーク等の場所で、ユーザH1が展示物又はキャラクタに直接触れることが可能な状況で用いてもよい。このような状況の一例としては、キャラクタによる来客者のお出迎え挨拶(グリーティング)等がある。本実施形態に係るコミュニケーション方法は、このようにユーザH1と対象者H2とが相対するコミュニケーションの場において使用され、通信技術を利用して、ユーザH1のモチベーションの向上を図ることを可能とする。
すなわち、本実施形態に係るコミュニケーション方法は、図1に示すように、対象者H2と、ユーザH1とが対象空間Sp1にて相対する状況において、少なくとも第1端末11から第2端末12に向けて、識別情報を送信する送信工程を有する。ここで、対象者H2及びユーザH1のうちの一方が第1端末11を有(所持)し、他方が第2端末12を有(所持)する。送信工程では、第1端末11と、第2端末12と、の間で、対象空間Sp1内の通信媒体を用いて通信を行うことにより、識別情報を送信する。識別情報は、第1端末11を有(所持)する人を識別するための情報である。ここで、上述したように対象者H2は特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループであって、ユーザH1は対象者H2のファンである。
本開示でいう「所持」は、人が持っている又は携帯していること全般を意味し、手に持っている場合だけでなく、身に着けている(装着している)こと、及びポケット若しくはバッグ等に収容していることを含む。そして、対象者H2及びユーザH1のうちのユーザH1が第1端末11を所持している場合には、対象者H2が第2端末12を所持することになる。この場合、識別情報は、第1端末11を所持する人、つまりユーザH1を識別するための情報である。反対に、対象者H2及びユーザH1のうちの対象者H2が第1端末11を所持している場合には、ユーザH1が第2端末12を所持することになる。この場合、識別情報は、第1端末11を所持する人、つまり対象者H2を識別するための情報である。対象者H2がロボットのような「物」である場合、ユーザH1が第1端末11を所持し、一方、対象者H2が第2端末12を有することになる。この場合、対象者H2は、第2端末12を「身につけて」持っている必要はなく、対象者H2内に内蔵されるような態様、又は対象者H2へ装着される態様で、第2端末12を所持していてもよい。
また、対象者H2とユーザH1とが相対する対象空間Sp1は、例えば、室内のように壁及び天井等で囲まれた閉じた空間であってもよいし、屋外のように少なくとも一部が開放された空間であってもよい。このような対象空間Sp1内の通信媒体として、例えば、人体通信の場合には、対象空間Sp1に存在する人(対象者H2及びユーザH1)の身体の少なくとも一部、及び床、壁又はテーブル等の物体が含まれる。有線通信の場合には、対象空間Sp1に存在するケーブル及びコネクタ等が、対象空間Sp1内の通信媒体に含まれる。無線通信の場合には、対象空間Sp1を伝播する電波及び光等が、対象空間Sp1内の通信媒体に含まれる。
以上説明したコミュニケーション方法を使用することによって、ユーザH1は、嗜好の対象である対象者H2と相対した状況を利用して、対象者H2との間で直接的に識別情報のやり取りをすることができる。このような状況下において初めてやり取りが可能になる識別情報、及びこれ(識別情報)に関連する情報は、ユーザH1にとっては単なる情報以上の高い価値を有することになる。結果的に、本実施形態に係るコミュニケーション方法によれば、ユーザH1にとっての付加価値が付与されることになり、対象者H2(特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループ)のファン(支持者を含む)であるユーザH1の対象者H2に対する愛着度が強くなる。これにより、ユーザH1のモチベーションの向上を図ることができる。一方、対象者H2にとっては、ユーザH1からの対象者H2に対する嗜好又は支持の度合いが更に強まることが期待できる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係るコミュニケーション方法について詳しく説明する。以下では、アイドル(人気のある若手タレント又は若手歌手)のファンであるユーザH1と、対象者H2としてのアイドルと、の間のコミュニケーションに、本実施形態に係るコミュニケーション方法が用いられる場合を例示する。また、以下では、対象者H2及びユーザH1のうちのユーザH1が第1端末11を所持し、対象者H2が第2端末12を所持する場合を想定する。
(2.1)システム構成
まず、本実施形態に係るコミュニケーション方法に用いられる通信システム10について、図1及び図2を参照して説明する。図1中のユーザH1、対象者H2及び対象空間Sp1は概念的に表しているにすぎず、通信システム10の構成要素にユーザH1、対象者H2及び対象空間Sp1が含まれる訳ではない。
本実施形態に係る通信システム10は、特定の人又はキャラクタである対象者H2と、対象者H2のファンであるユーザH1とが対象空間Sp1にて相対する状況で使用される通信システムである。この通信システム10は、対象者H2及びユーザH1のうちの一方(ここではユーザH1)が有する第1端末11と、他方(ここでは対象者H2)が有する第2端末12と、を備える。第1端末11と第2端末12との間で、対象空間Sp1内の通信媒体を用いて通信を行うことにより、少なくとも第1端末11から第2端末12に向けて、第1端末11を有する人を識別するための識別情報を送信する。
本実施形態に係る通信システム10は、第1端末11及び第2端末12に加えて、第1情報端末21、第2情報端末22及び管理システム3を更に備えている。ただし、第1情報端末21、第2情報端末22及び管理システム3は、通信システム10に必須の構成要素ではなく、第1情報端末21、第2情報端末22及び管理システム3の少なくとも一つが、通信システム10の構成要素に含まれていなくてもよい。
第1端末11は、本実施形態では一例として、図1に示すように、人(ユーザH1)の手首に装着可能なリストバンド型(腕時計型)の端末である。この第1端末11は、ユーザH1の手首に取り付けられた状態で使用される。
同様に、第2端末12は、本実施形態では一例として、図1に示すように、人(対象者H2)の手首に装着可能なリストバンド型(腕時計型)の端末である。この第2端末12は、対象者H2の手首に取り付けられた状態で使用される。
本実施形態では、第1端末11と第2端末12とは、ハードウェアの構成が共通であって、ソフトウェアのみで区別されている。そのため、端末は、ソフトウェアの設定如何によって、第1端末11と第2端末12とのいずれとしても使用可能である。第1端末11及び第2端末12は、いずれも電池駆動式である。第1端末11及び第2端末12の電池は、充電可能な二次電池であることが好ましい。
第1端末11は、図2に示すように、第1通信部111と、第1通信インタフェース112(図中、「インタフェース」を「I/F」と表記する)と、第1処理部113と、を有している。第1通信部111は、第2端末12(の第2通信部121)との通信を行う。第1通信インタフェース112は、第1情報端末21との通信を行う。第1処理部113は、第1通信部111及び第1通信インタフェース112の制御等、種々の処理を実行する。第1処理部113は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成とする。すなわち、マイクロコントローラのメモリに記録されたプログラムを、マイクロコントローラのプロセッサが実行することにより、第1処理部113の機能が実現される。プログラムはメモリにあらかじめ記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第2端末12は、第2通信部121と、第2通信インタフェース122と、を有している。第2通信部121は、第1端末11(の第1通信部111)との通信を行う。第2通信インタフェース122は、第2情報端末22との通信を行う。
第1端末11と第2端末12との間の通信方式、つまり第1通信部111と第2通信部121との間の通信方式は、いわゆる「人体通信」である。第1端末11と第2端末12との間の通信方式について詳しくは「(2.2)通信方式」の欄で説明する。第1端末11と第1情報端末21との間の通信方式、及び第2端末12と第2情報端末22との間の通信方式としては、適宜の通信方式(無線通信又は有線通信)を採用可能である。第1端末11と第1情報端末21との間の通信は、無線通信のみによって実現される構成に限らず、第1端末11と第1情報端末21との間の通信経路の一部は有線通信によって実現されてもよい。無線方式の一例としては、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した無線通信等がある。第1端末11と第2端末12との間の通信方式は、これらの通信方式のうちの2つ以上の方式を併用してもよい。このように複数の通信方式で通信すれば、外来ノイズ等の影響による通信不良の発生を低減できる。
第1端末11は、第1通信部111に通信を開始させるトリガを検知するためのトリガ検知部を更に有していてもよい。この場合、トリガ検知部にてトリガを検知することをもって、第1通信部111が通信を開始する。そのため、トリガ検知部でトリガが検知されるまでは、第1通信部111を起動しなくてもよく、第1通信部111による消費電力を抑えることが可能である。トリガ検知部は、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ又は感圧センサ等のセンサで、ユーザH1の動作に起因したトリガを検知してもよい。また、トリガ検知部は、例えば、第2端末12から近距離無線通信により周期的に送信されるポーリング信号を受信することをもって、トリガを検知する構成であってもよい。あるいは、トリガ検知部は、対象者H2の近くに設置した近距離無線通信装置等から周期的に送信されるポーリング信号を受信することをもって、トリガを検知する構成であってもよい。また、ポーリング信号は、無線通信によって送信される構成に限らず、人体通信によって送信されてもよい。この場合、ポーリング信号を送信する電極は、例えば、対象者H2の近くであって、ユーザH1が触れるような位置に設置される。この電極は、例えば、入場ゲートのバー(入門バー)等に設置されてもよい。
同様に、第2端末12は、第2通信部121に通信を開始させるトリガを検知するためのトリガ検知部を更に有していてもよい。また、対象者H2の近くであり、ユーザH1が通過する位置に、ユーザH1を検知するセンサを更に設けた構成としてもよい。この場合このセンサでユーザH1の到達を検知した際、対象者H2の近くに設置した近距離通信装置からトリガを第1端末11又は第2端末12へと送信する。
第1情報端末21は、第1端末11を所持する人(ここではユーザH1)の所有物である情報端末であって、一例として、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯情報端末である。第1情報端末21は、第1端末11とペアリングされている。第1情報端末21と第1端末11とのペアリングは、例えば、無線通信により実現されてもよいし、第1端末11に付されているシリアルコード又は二次元コード等を第1情報端末21に入力することにより実現されてもよい。
第2情報端末22は、第2端末12を所持する人(ここでは対象者H2)の所有物である情報端末であって、一例として、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯情報端末である。第2情報端末22は、対象者H2の所有物に限らず、対象者H2が所属する企業(プロダクション)等から一時的に貸与される貸与品であってもよい。また、第2情報端末22は、対象者H2に所持されている構成に限られず、対象者H2とユーザH1とが相対する対象空間Sp1に設置されたノート型パーソナルコンピュータ等であってもよい。第2情報端末22は、第2端末12とペアリングされている。第2情報端末22と第2端末12とのペアリングは、例えば、無線通信により実現されてもよいし、第2端末12に付されているシリアルコード又は二次元コード等を第1情報端末21に入力することにより実現されてもよい。
第1情報端末21は、表示部211と、情報登録部212と、設定部213と、入力部214と、を有している。表示部211は、本実施形態では一例として、登録画面SC1(図4参照)等の、ユーザH1に情報を提示するための画面を表示する。本開示でいう「画面」は、表示部211に映し出される像(画像等)である。表示部211は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置により実現される。情報登録部212は、ファン情報D2を登録する機能を有する。設定部213は、識別情報D1を設定する機能を有する。ファン情報D2の登録及び識別情報D1の設定について詳しくは「(2.3)コミュニケーション方法」の欄で説明する。入力部214は、ユーザH1の操作を受け付けて、ユーザH1の操作に応じた入力信号を出力する。
第2情報端末22は、表示部221と、入力部222と、第2処理部223と、を有している。表示部221は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等の画像表示装置により実現される。入力部222は、対象者H2の操作を受け付けて、対象者H2の操作に応じた入力信号を出力する。第2処理部223は、表示部221及び入力部222の制御等、種々の処理を実行する。
本実施形態では、第1情報端末21及び第2情報端末22の各々は、スマートフォン又はタブレット端末等であるため、専用のアプリケーションソフトをインストールし、このアプリケーションソフトを起動することにより、上述した機能を実現する。すなわち、第1情報端末21は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とし、アプリケーションソフトにより、情報登録部212及び設定部213の機能が実現される。同様に、第2情報端末22は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とし、アプリケーションソフトにより、第2処理部223の機能が実現される。
本実施形態では、第1情報端末21がタッチパネルディスプレイを搭載しており、タッチパネルディスプレイが表示部211及び入力部214として機能する。すなわち、第1情報端末21は、表示部211に表示される各画面上でのボタン等のオブジェクトの操作(タップ、スワイプ、ドラッグ等)が入力部214で検出されることをもって、ボタン等のオブジェクトが操作されたことと判断する。同様に、第2情報端末22もタッチパネルディスプレイを搭載しており、タッチパネルディスプレイが表示部221及び入力部222として機能する。
管理システム3は、本実施形態では一例として、クラウド(クラウドコンピューティング)にて実現されている。管理システム3は、インターネット等のネットワークに接続されている。このネットワークには、ルータ等を介して第1情報端末21及び第2情報端末22が接続されている。管理システム3は、第1情報端末21及び第2情報端末22の各々との間で、ネットワークを介して通信可能である。言い換えれば、管理システム3は、第1情報端末21及び第2情報端末22の各々から、直接的又は間接的にアクセス可能である。第1情報端末21及び第2情報端末22は、屋外において、ネットワークに接続されることも想定されるため、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)を介してネットワークに接続されてもよい。携帯電話網には、例えば、3G(第3世代)回線、LTE(Long Term Evolution)回線等がある。
ここで、第1端末11と第2端末12との間で、対象空間Sp1内の通信媒体を用いて通信を行っていればよく、その他の通信については、対象空間Sp1内の通信媒体を用いなくてもよい。つまり、対象空間Sp1内の通信媒体を用いた通信は、第1端末11と第2端末12との間で行われていればよく、第1端末11と第1情報端末21との間、及び第2端末12と第2情報端末22との間の通信は対象空間Sp1内の通信媒体を用いなくてもよい。同様に、第1情報端末21と管理システム3との間、及び第2情報端末22と管理システム3との間の通信についても、対象空間Sp1内の通信媒体を用いなくてもよい。
(2.2)通信方式
次に、第1端末11と第2端末12との間の通信方式について詳しく説明する。
上述したように、本実施形態では、第1端末11と第2端末12との間の通信方式としては、「人体通信」を採用している。つまり、本実施形態に係るコミュニケーション方法では、第1端末11と第2端末12との間で人体通信を行うことにより、識別情報を送信する。本開示でいう「人体通信」は、人体の一部を通信媒体に用いる通信方式であって、HBC(Human Body Communication)と呼ばれる通信方式である。特に、本実施形態では、人体の表面に発生する電界の変化を利用して情報を伝達する、電界方式の人体通信を採用する。電界方式の人体通信は、人体に電流を流さず、人体の表面に発生する電界の変化を利用して情報を伝達する近距離無線通信に属する。
本実施形態では第2端末12としてもハードウェア構成が第1端末11と同一の端末が用いられている。そこで、以下では、特に断りがない限り第1端末11の構成について説明し、第2端末12の構成についての説明は省略する。
第1端末11は、第1端末11を装着している人(ユーザH1)の身体(人体)に接触し得る位置に電極を有している。電極は、人体に対し、電界結合(容量結合)されていればよく、人体との間に多少の隙間が空いていてもよい。また、電極と人体との間に衣服等が介在していてもよい。いずれにせよ、電極は人体に対し近接し、かつ電極面全体が人体と対向して配置されていることが好ましい。第1通信部111は、電極に電気的に接続されており、第1端末11を装着している人(ユーザH1)の身体(人体)を通信媒体として伝送される信号を用いて、相手端末(第2端末12)との通信を行う。
このとき、第1通信部111は、搬送波(キャリア)を変調することにより情報を含む伝送信号を生成し、伝送信号を電極に印加する。一例として、第1通信部111は、10〔MHz〕程度の矩形波を搬送波として使用し、変調方式としてOOK(On Off Keying)を採用する。反対に、相手端末からの伝送信号を受信する場合、第1通信部111は、電界によって電極に誘起される伝送信号を受信し、伝送信号を復調することにより伝送信号に含まれる情報を抽出する。本実施形態では、第1端末11と第2端末12とは、双方向に通信可能である。
ここで、相手端末である第2端末12は、対象者H2に装着されている。そのため、基本的には、第1端末11を装着したユーザH1と、第2端末12を装着した対象者H2と、が身体同士を直接的に接触させるスキンシップをとることで、第1端末11と第2端末12との間の通信が可能になる。言い換えれば、人体通信は、対象者H2とユーザH1とが直接的に接触した状態で行われる。ただし、対象者H2とユーザH1との接触は、素手同士で握手する場合のように人体表面を直接に接触させる構成に限らず、手袋又は衣装等を介して接触する場合も含んでいる。これにより、ユーザH1は、例えば、キャラクタのきぐるみを着た対象者H2と握手又はハグをすることでも、第1端末11と第2端末12との間の通信が可能になる。
要するに、第1端末11は、第1端末11の電極をユーザH1の身体と電界結合させた状態で、第2端末12の電極を対象者H2の身体と電界結合させた状態の相手端末(第2端末12)との間で人体(ユーザH1及び対象者H2)を通信媒体に用いて信号を授受することにより、相手端末と電界通信(人体通信)が可能になる。ここでいう電界通信とは、主として静的静電界又は準静電界を利用して、特定の通信経路(ここでは人体)を信号が伝播する通信であって、例えば、人体と大地(床面)との間に生じる電界により、信号を伝送させる通信である。このような電界(静的静電界又は準静電界)の成分は、空間を伝播する場合、電極からの距離の3乗に比例して減衰する。つまり、人体通信に用いられる電界は、第1端末11を装着したユーザH1と、第2端末12を装着した対象者H2と、の間の距離に依存して急激に減衰する。よって、ユーザH1と対象者H2とがスキンシップをとることで初めて、第1端末11と第2端末12との間の通信経路(通信媒体)が成立し、第1端末11と第2端末12との間の通信が可能になる。
言い換えれば、この種の通信(人体通信)によって伝送される信号は、無線通信の場合の放射波とは異なり、空間中を少ない減衰で伝播する性質がなく、人体通信によれば、空間中の不特定の経路ではなく特定の通信経路にて繋がれた端末間で通信が確立する。そのため、この種の通信(人体通信)を採用することで、ユーザH1と対象者H2とが、例えば、握手、ハイタッチ又はハグ等のスキンシップにより直接的に接触することで、第1端末11と第2端末12とは、初めて通信可能となる。
すなわち、本実施形態では、人体通信は、対象者H2とユーザH1とが直接的に接触した状態で行われるため、単に対象者H2とユーザH1とが近くに居るというだけでは、第1端末11と第2端末12との間の通信は行われない。これにより、ユーザH1は、所望の対象者H2とスキンシップを図ることにより、所望の対象者H2が所持する第2端末12との間で第1端末11に通信させることができ、意に反して、第三者が装着している端末と第1端末11が通信することを抑制できる。また、第1端末11と第2端末12との間で通信が行われた事実、つまり第1端末11から第2端末12に識別情報が送信されたという事実は、対象者H2とユーザH1とが直接的に接触した証拠、つまり対象者H2とスキンシップをとった証拠となる。対象者H2のファンであるユーザH1にとっては、対象者H2とスキンシップをとったことを、まるで夢のように感じることもあり、このような事実の証拠を残すことには十分な価値がある。
また、この種の人体通信においては、通信媒体(人体)を伝播する際における電界の減衰は、空間を伝播する際に比べて十分に小さいため、非接触でありながらも放射波を用いた無線通信に比べて非常に小さなエネルギーでも通信を実現可能である。
(2.3)コミュニケーション方法
次に、本実施形態に係るコミュニケーション方法について、図3〜図5Dを参照して詳しく説明する。ここでは一例として、対象者H2であるアイドルの握手会が開催されている状況を想定し、握手会に訪れたユーザH1(対象者H2のファン)と対象者H2とのコミュニケーションに、コミュニケーション方法が用いられる場合について説明する。この場合、握手会の会場内に、ユーザH1と対象者H2とが相対する対象空間Sp1が設定される。
本実施形態に係るコミュニケーション方法は、上述した通信システム10を用いて具現化される。そして、第1端末11と第2端末12との間の通信は、上述したようにユーザH1と対象者H2とが直接的に接触した状態で行われる。そのため、第1端末11から第2端末12に向けて識別情報を送信する送信工程(図3の「S5」)は、握手会にてユーザH1と対象者H2とが握手をした際に行われる。
本実施形態に係るコミュニケーション方法は、送信工程の前、つまり握手会にてユーザH1と対象者H2とが握手をする前に、ユーザH1が、ファン情報D2の登録及び識別情報D1の設定等を行う事前工程を含んでいる。そのため、コミュニケーション方法の全体的な流れは、図3に示すフローチャートのようになる。
すなわち、本実施形態に係るコミュニケーション方法を利用するにあたり、図3に示すように、ユーザH1は、まずファン情報D2の登録を行う(S1)。本開示でいう「ファン情報」は、ユーザH1に関連する情報であって、例えば、ユーザH1のプロフィール、及びユーザH1から対象者H2に宛てたメッセージ等の情報である。本開示でいう「プロフィール」は、名前(本名又はニックネーム)、電子メールアドレス、国籍、性別、年齢、居住地、出身地、出身校、好きな食べ物、趣味、ファン歴、特技、職種、顔写真及びアバター等を含む。
ファン情報D2の登録は、第1情報端末21が管理システム3にアクセスした状態で、管理システム3から第1情報端末21に配信される登録画面SC1にて行われる。つまり、第1情報端末21の表示部211には、例えば、図4に示すような登録画面SC1が表示される。ユーザH1は、登録画面SC1に含まれている項目を埋めるように、ファン情報D2の入力を行う。図4の例では、登録画面SC1は、ニックネーム(メンバーに呼んで欲しい愛称)、推しメン、メンバーに伝えたいメッセージ、特典会への参加回数及び趣味といった項目を含んでいる。ここでいう「メンバー」は、対象者H2がグループの場合に、グループの構成員を意味する。ここでいう「推しメン」とは、対象者H2がグループの場合に、グループの中でユーザH1が特にひいきしているメンバー(対象者H2)を意味する。
ファン情報D2が登録されると、ファン情報D2に対応付けられた受付番号が管理システム3にて発行される(S2)。受付番号は、例えば、登録画面SC1に表示される。次に、ユーザH1は、第1端末11に割り当てられている識別情報D1を、第1情報端末21に入力する。ここでは一例として、第1情報端末21が第1端末11と通信することにより、第1端末11に記憶されている識別情報D1を、第1情報端末21が取得する。識別情報D1が入力されると、第1情報端末21は、受付番号と共に識別情報D1を管理システム3に送信する。これにより、管理システム3においては、受付情報に基づいて、ファン情報D2と識別情報D1との対応付けが行われる(S3)。言い換えれば、管理システム3には、少なくともファン情報D2と識別情報D1とが対応付けられた状態で格納された、データベースが生成される。
これら処理S1〜S3が事前工程となり、事前工程は、例えば、握手会の前日までに実行される。事前工程が完了していることを前提として、握手会の当日、図5A〜図5Dに示す手順で、コミュニケーション方法が使用される。握手会の当日においては、ユーザH1は第1端末11を所持(装着)し、対象者H2は第2端末12を所持(装着)していることとする。また、第2情報端末22は対象者H2が所持、又は少なくとも対象者H2から見える場所に配置されていることとする。
すなわち、握手会の会場内において、ユーザH1は、自分の順番がくると、まずは図5Aに示すように、対象者H2と相対する。このとき、ユーザH1と対象者H2とが相対している空間が、対象空間Sp1となる。この状態では、ユーザH1と対象者H2とは直接的に接触していないので、第1端末11と第2端末12との通信は開始しない(S4:No)。
一方、図5Bに示すように、ユーザH1が対象者H2と握手すると、ユーザH1と対象者H2とは直接的に接触するため、第1端末11と第2端末12との通信が開始する(S4:Yes)。第1端末11と第2端末12との通信が開始すると、図5Bのように、まずは第1端末11から第2端末12に識別情報D1が送信される、送信工程が行われる(S5)。このとき、送信工程では、第1端末11と第2端末12との間で、対象空間Sp1内の通信媒体を用いて通信を行うことにより、識別情報が送信される。つまり、上述したように、対象空間Sp1内に存在する人体(ユーザH1及び対象者H2)を通信媒体として、第1端末11から第2端末12に識別情報D1が送信される。
第1端末11から識別情報D1を受信した第2端末12は、図5Cに示すように、第2情報端末22(第2処理部223)経由で、管理システム3(クラウド)に、少なくとも識別情報D1を含む要求信号を送信する(S6)。これにより、第2情報端末22から管理システム3には、少なくとも識別情報D1が送信される。第2情報端末22から識別情報D1(要求信号)を受信すると、管理システム3は、この識別情報D1に対応付けられたファン情報D2を検索する。このとき、管理システム3は、対象者H2とユーザH1との相性を判定する相性判定工程を実行する(S7)。つまり、本実施形態に係るコミュニケーション方法は、第1端末11と第2端末12との通信をトリガにして、対象者H2とユーザH1との相性を判定する相性判定工程を更に有する。相性判定工程について詳しくは「(2.6)相性判定機能」の欄で説明する。
さらに、管理システム3からは、図5Dに示すように、識別情報D1に対応するファン情報D2が、第2情報端末22に返信される。これにより、第2情報端末22では、ファン情報D2を取得し、取得したファン情報D2を対象者H2に提示する(S8)。このように、本実施形態に係るコミュニケーション方法では、第2端末12が識別情報D1を受信した場合に、第2端末12は識別情報D1を用いて管理システム3から識別情報D1に関連する情報(ファン情報D2)を取得する。
本実施形態では、第2情報端末22は、ファン情報D2を表示部221に表示することで、対象者H2に対してファン情報D2の提示を行う。つまり、本実施形態に係るコミュニケーション方法は、第2端末12が識別情報D1を受信した場合に、識別情報D1に関連する提示情報を、第2端末12を所持する人(対象者H2)に提示する提示工程を更に有する。本実施形態では、識別情報D1に関連する提示情報は、少なくともファン情報D2を含んでいる。
ここで、対象者H2に提示されるファン情報D2には、例えば、上述したようにユーザH1のプロフィール、及びユーザH1から対象者H2に宛てたメッセージ等が含まれている。そのため、対象者H2においては、ユーザH1と握手している状況において、ユーザH1のプロフィール等を確認でき、ファン情報D2を話題にして、ユーザH1との会話を行うことができる。これにより、ユーザH1にとっては、自信のプロフィールに関する会話を対象者H2と行うことができ、当たり障りのない会話に比べて、より充実度の高い会話を楽しむことができる。
ここにおいて、第2情報端末22又は第2情報端末22の表示内容をミラーリングするモニタが、ユーザH1の背後に配置される等、対象者H2は、提示される提示情報(ファン情報D2)を、ユーザH1から目線を外さずに確認できる状況にあることが好ましい。つまり、対象者H2は、例えば。カンニングペーパを見る要領で、ユーザH1の背後の表示を確認するだけであれば、ユーザH1から大きく目線を外さずにファン情報D2を確認できる。さらに、表示部221の表示内容は、例えば、第2情報端末22の入力部222に対する対象者H2の操作により切替可能であることが好ましい。
ただし、対象者H2に提示されるファン情報D2は、管理システム3にユーザH1が入力した情報から、一部の情報が適宜省略されていてもよい。例えば、ユーザH1が管理システム3へ入力した住所は、番地情報まで含んでいる。しかし、ミラーリングするモニタで表示される情報は、握手会等の公共の場で第三者等に見られる可能性がある。そこで、このような情報は、「県」程度までに省略又は加工してモニタ等へ適宜表示することが好ましい。この場合、対象者H2には、更にユーザH1本人のプロフィールを詳しく知って欲しいので、第2情報端末22を対象者H2のみが見えるような状況であり、かつユーザH1本人が望めば、例えば「市」程度まで含む情報を表示できるようにしてもよい。
その後、本実施形態では、管理システム3から第1情報端末21にコンテンツ情報D3(図2参照)の送信が行われる(S9)。つまり、第2情報端末22から識別情報D1(要求信号)を受信すると、管理システム3は、例えば、この識別情報D1に対応付けられたファン情報D2の電子メールアドレス宛てに、コンテンツ情報D3を送信する。本開示でいう「コンテンツ情報」は、例えば、対象者H2の特典映像、又は限定グッズの購入サイトへのアクセスキー等、ユーザH1にとって有益な情報であることが好ましい。すなわち、本実施形態に係るコミュニケーション方法では、第2端末12が識別情報D1を受信した場合に、ユーザにコンテンツ情報D3を配信する。 ここで、管理システム3は、第1端末11と第2端末12との通信が開始してからの経過時間をカウントしている(S10)。つまり、本実施形態に係るコミュニケーション方法は、第1端末11と第2端末12との間で通信を行った時間又は回数を計測する計測工程を更に有する(S10)。計測工程について詳しくは「(2.5)計測機能」の欄で説明する。
また、本実施形態では、例えば、管理システム3にログ情報を残す機能がある(S10)。本開示でいう「ログ情報」は、少なくとも第1端末11から第2端末12に識別情報D1の送信が行われたことを示す情報である。つまり、本実施形態に係るコミュニケーション方法は、少なくとも識別情報D1を送信したことを示すログ情報を保持するログ保持工程を更に有する。ログ保持工程について詳しくは「(2.4)ログ機能」の欄で説明する。
その後、ユーザH1が対象者H2と握手している状態が継続していれば、第1端末11と第2端末12とは通信を継続するため、第1端末11と第2端末12との通信は終了せず(S12:No)、処理S10〜S12が繰り返し実行される。ユーザH1が対象者H2の手を放すことで、ユーザH1と対象者H2との握手が終了すれば、第1端末11と第2端末12との通信が終了する(S12:Yes)。これをもって、一連のコミュニケーション方法が終了する。
図3に示すフローチャートは、本実施形態に係るコミュニケーション方法の一例に過ぎず、ステップの順序が適宜変更されてもよいし、ステップが適宜追加又は省略されてもよい。
ところで、管理システム3は、対象者H2のオフィシャルグッズの販売サイト等の物販システムと連携していてもよい。この場合、対象者H2のオフィシャルグッズの購入履歴についても、識別情報D1にて検索可能になる。そのため、管理システム3は、例えば、識別情報D1に対応するファン情報D2と共に、識別情報D1に対応するオフィシャルグッズの購入履歴を第2情報端末22に送信することができる。これにより、対象者H2においては、目前のユーザH1が、対象者H2のオフィシャルグッズの購入履歴を知ることができる。オフィシャルグッズに多額をつぎ込んでいるようなユーザH1にとっては、購入履歴が対象者H2に伝わることで、喜びを感じる場合がある。
さらに、管理システム3において、後述するようなポイント制度、又はユーザH1のランク制度を採用する場合には、ユーザH1は、保有しているポイント又はランクに応じて、オフィシャルグッズの購入等に関して特典が受けられることが好ましい。例えば、ユーザH1は、ポイントを利用してオフィシャルグッズを購入することができてもよいし、ランクに応じて限定グッズの購入権利、又は限定イベントのチケットの購入権利等が与えられてもよい。
(2.4)ログ機能
次に、ログ保持工程に関し、より詳細に説明する。
上述したように、本実施形態では、少なくとも第1端末11から第2端末12に識別情報D1の送信が行われたことを示すログ情報が、例えば、管理システム3に保持されている。具体的には、管理システム3は、登録されている識別情報D1に対応付けて、第1端末11から第2端末12に識別情報D1が送信された日時を示す情報をログ情報として記憶する。これにより、握手会で、ユーザH1が対象者H2と相対した日時が、ログ情報として管理システム3に保持されることになる。
このようなログ情報については、例えば、ユーザH1が閲覧可能であることが好ましい。ユーザH1は、例えば、第1情報端末21で管理システム3にアクセスすることで、ログ情報を閲覧可能である。これにより、ユーザH1は、ログ情報をきっかけにして、握手会で対象者H2と相対した事実を、後から振り返ることができ、そのときの様子を思い返すことが可能である。ログ情報には、日時だけなく、第1端末11と第2端末12との通信が行われた場所、つまり握手会の会場名等が含まれていてもよい。
また、ログ情報の少なくとも一部の情報は握手会の場においてファン情報D2と共に第2情報端末22に送信され、ファン情報D2と共に対象者H2に提示されてもよい。例えば、ユーザH1と対象者H2とが相対した日時及び場所、会場、更には回数等を第2情報端末22へ表示する。これにより、対象者H2は、ユーザH1に対して「○日×日にも会いにきてくれたのね」等と具体的な日付を特定して会話することもでき、ユーザH1及び対象者H2はその情報を基点としてその日時のイベントの様子等を回想したり、会話したりすることができる。
ところで、ログ保持工程では、対象者H2とユーザH1との組み合わせに対応付けてログ情報を保持することが好ましい。すなわち、ログ情報は、対象者H2とユーザH1との組み合わせによって価値が生じる情報であるから、これらの組み合わせに対応付けて保持されていることが好ましい。これにより、複数のアイドルのファンであるユーザH1が、ログ情報を閲覧する場合に、アイドルごとにログ情報を閲覧すること等が可能になる。
対象者H2は、表示部221に表示された情報の中から、ユーザH1と対話する話題を考えることができる。この際、対象者H2は、話題の基となった情報を入力部222から入力する。第2情報端末22が、スマートホンフォン又はタブレット端末の場合、入力部222は表示部221上のタッチパネルであるので、表示部221に表示された当該情報の表示された部分のタッチパネルをタッチする。この入力操作情報は、第2情報端末22から管理システム3へと送信されて、管理システム3では、この情報もログ情報として保持される。
そして、次回、対象者H2とユーザH1とが相対した場合に、前回又は前回より前に話題となったファン情報D2は、例えば、第2情報端末22へ表示しない又は色等を変えて表示する。これによって、対象者H2はユーザH1に対し、過去と同じ話題を何度も繰り返して話さないように注意できる。したがって、ユーザH1は、常に新鮮な気分で対象者H2と話すことができるので、更に気分が高揚する。
また、管理システム3において、ポイント制度、又はユーザH1のランク制度を採用する場合、ポイント又はユーザH1のランクに、ログ情報を反映させてもよい。すなわち、例えば、ログ情報に応じて、ポイントが加算又はユーザH1のランクが向上する場合、ユーザH1は、ポイントを貯める目的又はランクを上げる目的で、握手会に積極的に参加する。
(2.5)計測機能
次に、計測工程に関し、より詳細に説明する。
本実施形態では、第1端末11と第2端末12との通信が開始してからの経過時間が、例えば、管理システム3にてカウントされている。この経過時間は、ユーザH1が対象者H2と握手している状態の継続時間に相当する。具体的には、管理システム3は、第1端末11と第2端末12との間で通信を行った時間を計測し、登録されている識別情報D1に対応付けて、時間情報として記憶する。ここで、管理システム3では、1回の握手会での経過時間だけでなく、過去の握手会での経過時間を含めた累積時間を管理してもよい。計測工程では、経過時間に代えて第1端末11と第2端末12との通信回数を計測してもよい。また、管理システム3では、時間そのものを管理する構成に限らず、第1端末11と第2端末12との通信が規定時間以上となった際に、カウントアップされる数値によって管理してもよい。
このような時間情報については、例えば、ユーザH1が閲覧可能であることが好ましい。ユーザH1は、例えば、第1情報端末21で管理システム3にアクセスすることで、時間情報を閲覧可能である。これにより、ユーザH1は、対象者H2と握手した時間を、後から振り返ることができ、例えば、対象者H2がユーザH1のために費やしてくれた貴重な時間と捉えることで、喜びを感じることができる。
時間情報についても、ログ情報と同様に、対象者H2とユーザH1との組み合わせに対応付けて管理されることが好ましい。すなわち、時間情報は、対象者H2とユーザH1との組み合わせによって価値が生じる情報であるから、これらの組み合わせに対応付けて保持されていることが好ましい。これにより、複数のアイドルのファンであるユーザH1が、時間情報を閲覧する場合に、アイドルごとに時間情報を閲覧すること等が可能になる。
また、管理システム3において、ポイント制度、又はユーザH1のランク制度を採用する場合、ポイント又はユーザH1のランクに、時間情報を反映させてもよい。すなわち、例えば、時間情報に応じて、ポイントが加算又はユーザH1のランクが向上する場合、ユーザH1は、ポイントを貯める目的又はランクを上げる目的で、握手会に積極的に参加する。
また、時間情報及び識別情報D1等を利用すれば、ユーザH1のそれぞれに割り当てられた持ち時間を超過して、対象者H2との握手を継続しているユーザH1に対して、警告等のペナルティを与えることも可能である。
(2.6)相性判定機能
次に、相性判定工程に関し、より詳細に説明する。
上述したように、本実施形態では、第1端末11と第2端末12との通信をトリガにして、対象者H2とユーザH1との相性を、例えば、管理システム3が判定している。相性は、例えば、百分率等の数値(相性値)で表され、相性が良い程に相性値が大きくなる。具体的には、管理システム3は、識別情報D1に対応付けられたファン情報D2に基づいて、対象者H2とユーザH1との相性を判定する。一例として、管理システム3に登録されている対象者H2の出身地と、ファン情報D2に含まれているユーザH1の出身地と、が同じである場合には、相性値が加点される等である。
また、第1端末11と第2端末12との通信状態が、相性に反映されてもよい。すなわち、本実施形態のように、第1端末11と第2端末12との通信に人体通信を採用している場合に、通信媒体である人体(ユーザH1及び対象者H2)のインピーダンスによって、第1端末11と第2端末12との通信状態が変化する。そこで、例えば、通信状態が良好である程に相性値が高くなるように、相性が判定されてもよい。
このような相性の判定結果については、例えば、ユーザH1が閲覧可能であることが好ましい。ユーザH1は、例えば、第1情報端末21で管理システム3にアクセスすることで、相性の判定結果を閲覧可能である。あるいは、相性の判定結果は、握手会の場においてファン情報D2と共に第2情報端末22に送信され、ファン情報D2と共に対象者H2に提示されてもよい。
また、管理システム3において、ポイント制度、又はユーザH1のランク制度を採用する場合、ポイント又はユーザH1のランクに、相性の判定結果を反映させてもよい。すなわち、例えば、相性の判定結果に応じて、ポイントが加算又はユーザH1のランクが向上する場合、ユーザH1は、ポイントを貯める目的又はランクを上げる目的で、握手会に積極的に参加する。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、コミュニティ方法と同様の機能は、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、上記コミュニケーション方法を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)第1変形例
図6は、実施形態1の第1変形例に係る通信システム10Xの構成を示す。本変形例では、送信工程において第1端末11から第2端末12に送信される識別情報は、第1端末11に固有の情報以外のID情報D4を含んでいる。ID情報D4は、一例として、ファン情報D2の登録時に、ファン情報D2に対応付けて発行されるユーザID(identification)である。
本変形例に係る通信システム10Xでは、第1情報端末21の情報登録部212によりファン情報D2が登録されると、ファン情報D2に対応付けられたID情報D4(ユーザID)が管理システム3にて発行される。第1情報端末21は、発行されたID情報D4を、設定部213から第1端末11に定期的に送信する。これにより、第1端末11には、ID情報D4が保持される。第1端末11は、第2端末12との通信時に、ID情報D4を識別情報として第2端末12に送信する。第1端末11は、ID情報D4を送信後、ID情報D4を消去する。
ID情報D4は、ファン情報D2の登録(又は更新)の度に発行される。しかも、第1端末11にはID情報D4は残らない。したがって、例えば、第1端末11が第3者に使用された場合であっても、ID情報D4が第1端末11に無い以上、第3者がユーザH1に成りすます「成りすまし」を抑制できる。
(3.2)第2変形例
図7は、実施形態1の第2変形例に係る通信システム10Yの構成を示す。本変形例では、第2処理部123の機能が第2端末12に設けられている。第2処理部123は、送信工程において第2端末12が第1端末11から識別情報D1を受信したときに、識別情報D1を含む要求信号を管理システム3に送信する。
すなわち、実施形態1では、第1端末11から識別情報D1を受信した第2端末12は、第2情報端末22の第2処理部223経由で、管理システム3に、識別情報D1を含む要求信号を送信する。これに対して、本変形例では、第2端末12が、第2情報端末22を介さずに、管理システム3に識別情報D1(要求信号)を送信する。そのため、本変形例では、第2端末12の第2通信インタフェース122は、管理システム3に接続可能なように、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LANを介してネットワークに接続可能に構成される。
第2端末12から識別情報D1(要求信号)を受信すると、管理システム3は、この識別情報D1に対応付けられたファン情報D2を検索し、識別情報D1に対応するファン情報D2を、第2情報端末22に送信する。
(3.3)その他の変形例
以下に、第1変形例及び第2変形例以外の実施形態1の変形例を列挙する。
本開示における通信システム10は、例えば、第1処理部113等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における通信システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、管理システム3又は通信システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは管理システム3又は通信システム10に必須の構成ではない。管理システム3又は通信システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、管理システム3又は通信システム10の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている管理システム3又は通信システム10の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、管理システム3は、実施形態1ではクラウド(クラウドコンピューティング)にて実現されているが、これに限らず、1ないし複数のサーバ装置にて管理システム3が実現されてもよい。
また、実施形態1に係るコミュニケーション方法は、アイドル(対象者H2)とそのファン(ユーザH1)とのコミュニケーションに限らない。例えば、スポーツ選手及びそのファン、又はキャラクタ及びそのファンのコミュニケーションに、実施形態1に係るコミュニケーション方法が用いられてもよい。
また、実施形態1では、対象者H2及びユーザH1のうちのユーザH1が第1端末11を有し、対象者H2が第2端末12を有する場合について説明したが、この態様に限らない。すなわち、対象者H2及びユーザH1のうちの対象者H2が第1端末11を有し、ユーザH1が第2端末12を有していてもよい。この場合、第1端末11から第2端末12に向けて識別情報が送信されることで、対象者H2側からユーザH1側に識別情報が伝送されることになる。
また、第1端末11と第2端末12との間の通信に関しては、対象者H2とユーザH1とが直接的に接触した状態で行われることは必須でなく、例えば、対象空間Sp1に存在する床、壁又はテーブル等の物体を通信媒体に含んでもよい。さらに、第1端末11と第2端末12との間の通信方式は、電界方式の人体通信に限らず、例えば、人体が電極に直接的に触れることによって人体に微弱電流を流し、その電流に変調をかけて情報を伝達する、電流方式の人体通信であってもよい。あるいは、第1端末11と第2端末12との間の通信方式は、対象空間Sp1内の電波を通信媒体として用いた無線通信(近距離無線通信等)、又は有線通信等であってもよい。つまり、第1端末11と第2端末12との間で、対象空間Sp1内の通信媒体を用いて通信を行っていればよく、その通信方式は特定の方式に限定されない。
また、第1端末11と第2端末12とが双方向に通信可能であることは必須ではなく、少なくとも第1端末11から第2端末12に情報を送信可能であればよい。
また、第1端末11及び第2端末12の各々は、ユーザH1又は対象者H2に有されていればよく、ユーザH1又は対象者H2の腕に装着される態様に限らず、例えば、ネックレス型又はグラス型等であってもよい。さらに、第1端末11及び第2端末12の各々は、ウェアラブル端末に限らず、例えば、ユーザH1又は対象者H2が有する携帯情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)であってもよい。
また、第1端末11に割り当てられている識別情報D1を第1情報端末21に入力する手段は、第1情報端末21が第1端末11と通信することに限らない。例えば、第1端末11に付されているシリアルコード又は二次元コード等を第1情報端末21に入力することで、第1情報端末21に識別情報D1が入力されてもよい。
また、実施形態1では、提示情報(ファン情報D2)の提示が、第2情報端末22の表示部221への表示により実現されているが、提示情報の提示は、表示に限らず、例えば
音声若しくは光(光の色等)、又はこれらの組み合わせで実現されてもよい。提示情報の提示が音声で行われる場合、対象者H2が装着しているイヤホンにて、提示情報を表す音声が出力されることが好ましい。
また、ユーザH1へのコンテンツ情報D3の配信は、管理システム3から第1情報端末21に対して行われる構成に限らない。例えば、第2端末12から第1端末11にコンテンツ情報D3が配信されてもよいし、管理システム3から、第2情報端末22及び第2端末12を経由して第1端末11にコンテンツ情報D3が配信されてもよい。
以上のようなコミュニケーション方法又は通信システム10が構築されていれば、さらに、以下のような機能拡張も可能となる。ユーザH1が対象者H2と相対する空間は、現実空間でなく、例えば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)又は複合現実(MR)等の仮想空間であってもよく、このような仮想空間内でもコミュニケーションを図ることができる。この場合、対象者H2は、ゲーム等においてこれら仮想空間内に登場する登場人物又はキャラクタである。そして、第2端末12は、AR機器、VR機器又はMR機器が有する構成でもよい。対象者H2が、例えば、アイドルを育成するゲームでの登場者である場合、ユーザH1は、例えば、ゲーム内のシナリオ中で開催される仮想空間内のイベント等で、対象者H2と仮想的に触れたり、話をしたりすることでコミュニケーションを図る。これにより、ユーザH1は、対象者H2に対する愛着度が強くなる。そして特に仮想空間の対象者H2が、実在する対象者H2の実写である場合、又は実在する対象者H2に似せたキャラクタ等である場合、仮想空間に登場する対象者H2とのコミュニケーションを通じて、現実世界に実在する対象者H2への愛着度も強まる。
仮想空間ではユーザH1と対象者H2とが実際に触れることはできない、そこで、AR機器、VR機器又はMR機器内に表示された対象者H2が握手又はハグの動作をした際に、ユーザH1が同様に握手又はハグ等の動作をしたことで、接触したこととする。ただし、この場合、第1端末11は第2端末12と仮想空間内で直接的に通信するのではなく、インターネット等のネットワークを介して通信する。例えば、第1端末11と第2端末12とは、第1情報端末21及び第2情報端末22等を介して通信する。
これらの場合においても、ユーザH1と対象者H2との接触した時間又は回数を計測してもよく、その計測値を実際にユーザH1と対象者H2とが接触した際に計測された時間又は回数等の値に置換又は合算してもよい。あるいは、計測されたゲーム上での接触の時間又は回数を、第2情報端末22で、実際の接触による計測時間又は回数とは別に表示してもよい。
さらに、ユーザH1と対象者H2とはゲーム等の仮想空間で接触する場合に限られない。ユーザH1が、AR機器、VR機器又はMR機器を装着し、仮想現実の世界の中でアイドル(対象者H2)本人とコミュニケーションする構成でもよい。この場合、対象者H2の動作及び音声は、ゲームデータによって生じるのでなく、対象者H2本人から発せられる。この対象者H2の動作及び音声は第2端末12等に装着されたカメラ及びマイクによって取得される。そして、このカメラで取得された動画(動作)及び音声は、インターネット等のネットワークを介して、略リアルタイムでユーザH1のAR機器、VR機器又はMR機器で表示される。したがって、ユーザH1は、対象者H2と実際に会っているが如く、対象者H2と会話をしたり、コミュニケーションをとったりすることができる。この場合においては、対象者H2は、AR機器、VR機器又はMR機器を装着しないことが好ましい。これは、対象者H2がAR機器、VR機器又はMR機器を装着することで、対象者H2の顔の一部が隠れ、対象者H2の表情がユーザH1へ伝わりにくくなることを防ぐためである。
そして、ユーザH1とアイドル(対象者H2)とが仮想空間内において握手又はハグ等で接触することにより、ユーザH1のファン情報D2が対象者H2の第2情報端末22へと表示される。したがって、アイドルの握手会等が、ユーザH1の居住地から比較的遠方で開催されるような場合でも、ユーザH1は、あたかも実際に握手会へ参加したような感覚を味わうことができる。
ユーザH1は、自らの顔又は表情を対象者H2へ見せたい場合、AR機器、VR機器又はMR機器を装着せず、自らの顔又は表情を第1情報端末21等に装着されたカメラによって撮影してもよい。この場合、ユーザH1はAR機器、VR機器又はMR機器を装着しないので、第1情報端末21の表示部211、又はパソコン若しくはテレビ等で対象者H2から送られる動画又は音声を視聴する。
また、例えば、ユーザH1が、握手会当日にインフルエンザにかかっているような場合、外出を控えるべきであり、もちろん握手会へ参加することで対象者H2等に直接的に接触し、対象者H2等の第三者へウィルスを感染させる等の行為は避けるべきである。そこで、このような場合において、ユーザH1は、第1情報端末21から管理システム3に対し、仮想空間での握手会への参加を申し込むことが好ましい。
仮想空間での握手会への参加を申し込む際に、ユーザH1は、例えば「今日はインフルエンザにかかって、残念ですが行けません」等のコメントを、あらかじめ第1情報端末21から管理システム3へ入力しておく。そして、仮想空間でユーザH1と対象者H2とが仮想的に接触することによって、ユーザH1のファン情報D2が対象者H2の第2情報端末22へと表示される。その際に、仮想空間での握手会への参加を申し込む際に入力した上記コメントも、第2情報端末22に表示される。したがって、対象者H2は、このコメントによって、ユーザH1が握手会へ参加できずに残念な気分であることを察することができる。このとき、対象者H2は、例えば、「大事にしてね」又は「早く元気になって、また合いに来てね」等の励ましのメッセージを、対象者H2の実際の言葉として、ユーザH1に伝えることができる。そうすれば、ユーザH1は大好きなアイドルからの言葉をもらって、病気で落ち込んだ気分も払拭できるし、対象者H2への愛着も更に強くなる。したがって、このような状況においても、ユーザH1はアイドル(対象者H2)と仮想的に握手又はハグ等を行い、また会話等でコミュニケーションを図ることができる。さらに、ユーザH1は、折角得た握手会への参加権を無駄にすることもない。
(実施形態2)
本実施形態に係るコミュニケーション方法においては、第2端末12には、第2端末12を有する人を識別するための対象者識別情報が設定されている。ここで、実施形態1と同様に、第1端末11はユーザH1に所持され、第2端末12は対象者H2に所持されていることを前提とする。実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態に係るコミュニケーション方法を実現する通信システム10Aは、図8に示すように、複数人(ここでは3人)の対象者H21,H22,H23がそれぞれ有する複数(ここでは3つ)の第2端末12A,12B,12Cを備えている。さらに、通信システム10Aは、複数の第2端末12A,12B,12Cにそれぞれ対応する複数の第2情報端末22A,22B,22Cを備えている。つまり、第2情報端末22Aは、第2端末12Aを所持(装着)した対象者H21の所有物であって、第2端末12Aとペアリングされている。第2情報端末22Bは、第2端末12Bを所持(装着)した対象者H22の所有物であって、第2端末12Bとペアリングされている。第2情報端末22Cは、第2端末12Cを所持(装着)した対象者H23の所有物であって、第2端末12Cとペアリングされている。第2情報端末22A,22B,22Cは、対象者H21,H22,H23の所有物に限られず、例えば、プロダクション又はイベント企画会社等からの貸与品であってもよい。
ここで、複数人の対象者H21,H22,H23を特に区別しない場合には、複数人の対象者H21,H22,H23の各々を単に「対象者H2」という。また、複数の第2端末12A,12B,12Cを特に区別しない場合には、複数の第2端末12A,12B,12Cの各々を単に「第2端末12」という。同様に、複数の第2情報端末22A,22B,22Cを特に区別しない場合には、複数の第2情報端末22A,22B,22Cの各々を単に「第2情報端末22」という。
本実施形態では、複数人の対象者H21,H22,H23は、1つのアイドルグループのメンバーであって、このアイドルグループのファンであるユーザH1が、このアイドルグループの握手会に訪れた状況を想定する。ここで、ユーザH1の「推しメン」、つまりグループの中でユーザH1が特にひいきしているメンバーは対象者H21であると仮定する。
本実施形態では、上述したように第2端末12には、第2端末12を有する人(対象者H2)を識別するための対象者識別情報が設定されている。そのため、第2端末12A,12B,12Cにはそれぞれ対象者H21,H22,H23を識別するための、個別の対象者識別情報が設定されている。さらに、本実施形態では、送信工程において第1端末11から識別情報D1を受信した第2端末12は、設定されている対象者識別情報を識別情報D1と共に、要求信号として管理システム3に送信する。
例えば、ユーザH1が対象者H21と握手した場合、第1端末11から第2端末12Aに識別情報D1が送信されるため、第2情報端末22Aからは、対象者H21を識別するための対象者識別情報が識別情報D1と共に管理システム3に送信される。管理システム3では、登録済みのファン情報D2に基づいて、受信した対象者識別情報から、ユーザH1の握手の相手が推しメン(対象者H21)であると判断する。この場合には、管理システム3からは、識別情報D1に対応するファン情報D2のうち、「推しメン」用のメッセージを含む情報が、第2情報端末22Aに返信される。
一方、ユーザH1が推しメン以外の対象者H22と握手した場合、第1端末11から第2端末12Bに識別情報D1が送信され、第2情報端末22Dからは、対象者H22を識別するための対象者識別情報が識別情報D1と共に管理システム3に送信される。管理システム3では、登録済みのファン情報D2に基づいて、受信した対象者識別情報から、ユーザH1の握手の相手が推しメン以外のメンバー(対象者H22又はH23)であると判断する。この場合には、管理システム3からは、識別情報D1に対応するファン情報D2のうち、「推しメン」以外のメンバー用のメッセージを含む情報が、第2情報端末22Bに返信される。
以上説明したように、本実施形態に係るコミュニケーション方法によれば、ユーザH1のコミュニケーションの相手方となる対象者H2についても、対象者識別情報にて識別可能となる。これにより、例えば、上述のように第2情報端末22に返信される情報を、「推しメン」用と、「推しメン」以外のメンバー用とで区別すること等が可能になる。
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
第1の態様に係るコミュニケーション方法は、対象者(H2)と、ユーザ(H1)とが対象空間(Sp1)にて相対する状況において、少なくとも第1端末(11)から第2端末(12)に向けて、識別情報(D1)を送信する送信工程を有する。対象者(H2)は特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループであって、ユーザ(H1)は対象者(H2)のファンである。ここで、対象者(H2)及びユーザ(H1)のうちの一方が第1端末(11)を有し、他方が第2端末(12)を有する。送信工程では、第1端末(11)と、第2端末(12)と、の間で、対象空間(Sp1)内の通信媒体を用いて通信を行うことにより、識別情報を送信する。識別情報は、第1端末(11)を有する人を識別するための情報である。
この態様によれば、ユーザ(H1)は、嗜好の対象である対象者(H2)と相対した状況を利用して、対象者(H2)との間で直接的に識別情報のやり取りをすることができる。このような状況下において初めてやり取りが可能になる識別情報(D1)、及び識別情報(D1)に関連する情報は、ユーザ(H1)にとっては単なる情報以上の高い価値を有することになる。結果的に、コミュニケーション方法によれば、ユーザ(H1)にとっての付加価値が付与されることになり、特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループのファンであるユーザ(H1)のモチベーションの向上を図ることができる。
第2の態様に係るコミュニケーション方法は、第1の態様において、第1端末(11)と第2端末(12)との間で人体通信を行うことにより、識別情報(D1)を送信する。
この態様によれば、対象者(H2)とユーザ(H1)とが単に近くに居るというだけでは、第1端末(11)と第2端末(12)との通信は行われず、識別情報(D1)、及び識別情報(D1)に関連する情報の価値が向上する。
第3の態様に係るコミュニケーション方法では、第2の態様において、人体通信は、対象者(H2)とユーザ(H1)とが直接的に接触した状態で行われる。
この態様によれば、第1端末(11)と第2端末(12)との通信は、対象者(H2)とユーザ(H1)とが直接的に接触した証拠となるため、識別情報(D1)、及び識別情報(D1)に関連する情報の価値が向上する。
第4の態様に係るコミュニケーション方法は、第1〜3のいずれかの態様において、少なくとも識別情報(D1)を送信したことを示すログ情報を保持するログ保持工程を更に有する。
この態様によれば、ログ情報が残ることで、ユーザ(H1)のモチベーションの更なる向上を図ることができる。
第5の態様に係るコミュニケーション方法は、第4の態様において、ログ保持工程では、対象者(H2)とユーザ(H1)との組み合わせに対応付けてログ情報を保持する。
この態様によれば、対象者(H2)とユーザ(H1)との組み合わせに対応したログ情報が残ることで、ユーザ(H1)のモチベーションの更なる向上を図ることができる。
第6の態様に係るコミュニケーション方法は、第1〜5のいずれかの態様において、第1端末(11)と第2端末(12)との間で通信を行った時間又は回数を計測する計測工程を更に有する。
この態様によれば、第1端末(11)と第2端末(12)とで通信を行った時間又は回数が計測されることで、ユーザ(H1)のモチベーションの更なる向上を図ることができる。
第7の態様に係るコミュニケーション方法は、第1〜6のいずれかの態様において、第1端末(11)と第2端末(12)との通信をトリガにして、対象者(H2)とユーザ(H1)との相性を判定する相性判定工程を更に有する。
この態様によれば、対象者(H2)とユーザ(H1)との相性が判定されるため、ユーザ(H1)のモチベーションの更なる向上を図ることができる。
第8の態様に係るコミュニケーション方法は、第1〜7のいずれかの態様において、第2端末(12)が識別情報(D1)を受信した場合に、識別情報(D1)に関連する提示情報を、第2端末(12)を有する人に提示する提示工程を更に有する。
この態様によれば、識別情報(D1)に関連する提示情報を、第2端末(12)を有する人に提示されるため、例えば、対象者(H2)とユーザ(H1)とのコミュニケーションの円滑化を図ることができる。
第9の態様に係るコミュニケーション方法では、第1〜8のいずれかの態様において、第1端末(11)はユーザ(H1)に所持され、第2端末(12)は対象者(H2)に所持されている。第2端末(12)には、第2端末(12)を有する人を識別するための対象者識別情報が設定されている。
この態様によれば、ユーザ(H1)と相対している対象者(H2)を識別可能であるので、ユーザ(H1)のモチベーションの更なる向上を図ることができる。
第10の態様に係るコミュニケーション方法では、第1〜9のいずれかの態様において、識別情報(D1)は、第1端末(11)に固有の情報以外のID情報(D4)を含む。
この態様によれば、第3者が第1端末(11)の利用者に成りすますことを抑制できる。
第11の態様に係るコミュニケーション方法は、第1〜10のいずれかの態様において、第2端末(12)が識別情報(D1)を受信した場合に、第2端末(12)は識別情報(D1)を用いて管理システム(3)から識別情報(D1)に関連する情報を取得する。
この態様によれば、識別情報(D1)に関連する情報を管理システム(3)で管理できるため、識別情報(D1)に関連する情報の管理がしやすくなる。
第12の態様に係るコミュニケーション方法では、第1〜11のいずれかの態様において、第1端末(11)はユーザ(H1)に所持され、第2端末(12)は対象者(H2)に所持されている。第2端末(12)が識別情報(D1)を受信した場合に、ユーザ(H1)にコンテンツ情報(D3)を配信する。
この態様によれば、ユーザ(H1)としてはコンテンツ情報(D3)の配信という特典があるため、ユーザ(H1)のモチベーションの更なる向上を図ることができる。
第13の態様に係るプログラムは、第1〜12のいずれかの態様に係るコミュニケーション方法を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、ユーザ(H1)は、嗜好の対象である対象者(H2)と相対した状況を利用して、対象者(H2)との間で直接的に識別情報のやり取りをすることができる。このような状況下において初めてやり取りが可能になる識別情報(D1)、及び識別情報(D1)に関連する情報は、ユーザ(H1)にとっては単なる情報以上の高い価値を有することになる。結果的に、上記プログラムによれば、ユーザ(H1)にとっての付加価値が付与されることになり、特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループのファンであるユーザ(H1)のモチベーションの向上を図ることができる。
第14の態様に係る通信システム(10,10A,10X,10Y)は、特定の人又はキャラクタである対象者(H2)と、対象者(H2)のファンであるユーザ(H1)とが対象空間(Sp1)にて相対する状況で使用される通信システムである。この通信システム(10,10A,10X,10Y)は、対象者(H2)及びユーザ(H1)のうちの一方が有する第1端末(11)と、他方が有する第2端末(12)と、を備える。第1端末(11)と第2端末(12)との間で、対象空間(Sp1)内の通信媒体を用いて通信を行うことにより、少なくとも第1端末(11)から第2端末(12)に向けて、第1端末(11)を有する人を識別するための識別情報(D1)を送信する。
この態様によれば、ユーザ(H1)は、嗜好の対象である対象者(H2)と相対した状況を利用して、対象者(H2)との間で直接的に識別情報のやり取りをすることができる。このような状況下において初めてやり取りが可能になる識別情報(D1)、及び識別情報(D1)に関連する情報は、ユーザ(H1)にとっては単なる情報以上の高い価値を有することになる。結果的に、通信システム(10,10A,10X,10Y)によれば、ユーザ(H1)にとっての付加価値が付与されることになり、特定の人若しくはキャラクタ又はそのグループのファンであるユーザ(H1)のモチベーションの向上を図ることができる。
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係るコミュニケーション方法の種々の構成(変形例を含む)は、プログラム又は通信システム(10,10A,10X,10Y)にて具現化可能である。
第2〜12の態様に係る構成については、コミュニケーション方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。