JP2020026880A - 偏心回転弁 - Google Patents
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Abstract
Description
この多重偏心回転弁は、一つ目として弁棒中心軸(軸心)に対して弁座中心(軸心)を偏心させ、二つ目として配管(弁箱)中心軸(軸心)に対して弁棒中心を偏心させ、三つ目として配管中心軸に対してシート面(以下、適宜に、弁座面、シール面とも言う)を形成する円錐面を偏心(回転)させた構造である(特許文献1、特許請求の範囲、図1等参照)。
しかし、この多重偏心回転弁の弁箱側と弁体側のシート面(弁座面)は、通常、楕円形となり、弁孔は弁箱中心軸(中心線)に対して垂直方向では楕円形となる(特許文献1、段落0002第11〜21行、図1、図5参照)。
上記楕円球体は、その表面形状が楕円球面(楕円球状面)であって、軸心に対して直交する面で切断すれば、その断面は楕円状となり、前記軸心に対してある角度で切断すると、その断面は真円状となる。一方、楕円錐体は、その表面形状が楕円錐面(楕円錐状面)であって、軸心に対して直交する面で切断すれば、その断面は楕円状となり、同ある角度の斜めの面で適宜に切断すれば、その断面は真円状となる。
この先願発明に係る多重偏心回転弁は、シート当接面5が楕円錐形状等となって真円形シート構造(弁孔6が真円)となっていることから、四重偏心回転弁と呼ぶことができる。
しかし、上記のように、この種の多重偏心回転弁の弁孔は楕円形であり、先願発明の弁孔6はその楕円形の短軸とほぼ同じ径の真円の大きさとなって、弁孔6の流通断面積が小さくなる。このため、弁孔6の流通断面積を大きくすべく、弁孔6を大きくし、弁箱1内径を呼び径と同じとしたフルボア(配管の呼び径と真円の弁孔の径を同一)とすることが考えられる。
このレデュースボアの偏心回転弁は、ボア径が小さいため、同一呼び径の管路に設けた場合、流体の圧力損失係数が大きくなる傾向にあり、水道等の管路延長が長い場合や流速が速い場合、管路末端まで十分な圧力を維持しながら送水することが困難となり、更に、流速が速くなると、弁が全開であっても、キャビテーションが発生し、騒音、振動及び懐食による弁箱(弁本体)や下流配管の寿命短縮となる。
このため、本発明は、弁孔(弁座)を弁棒の軸方向に長くして、その流通断面積の拡大を図ることとしたのである。
このようにすれば、弁体の回転偏位方向のスペースを大きく(面間寸法方向を長く)することなく、弁孔を大きくできるため、当該偏心回転弁の呼び径の流通断面積に対する実流通断面積の比を1又は1に近づけることができるとともに、弁箱を小型化することで、可能な限り、面間寸法も大きくすることなく、従来と同様な呼び径の弁とすることができる。
本発明に係る多重偏心回転弁は、弁が閉止(閉弁)した際、シート面(弁箱弁座と弁体弁座の当接部)を押し付けるトルクシート構造とすることにより、上記ジャンピング現象の発生を抑制する。
つぎに、上記のように、楕円球(楕円球体)は、その表面形状が楕円球面であって、軸心に対して直交する面で切断すれば、その断面は楕円状となり、前記軸心に対してある角度で切断すると、その断面は真円状となる。一方、楕円錐体は、その表面形状が楕円錐面であって、軸心に対して直交する面で切断すれば、その断面は楕円状となり、同ある角度の斜めの面で適宜に切断すれば、その断面は真円状となる。
このようにすると、従来になかったシート面構造(弁座・シール部形状)であり、弁孔を流路方向に垂直な(弁箱の軸心に対して直交方向の)真円状等とし得る。なお、ここで言う「真円」とは、径が全周に亘って同一の円のみを言うのではなく、流通に影響がない程度の径変化の場合も含む。
このため、従来は、弾性体構造によって弁座閉止性能を確保していた偏心回転弁が、先願発明では、弁棒の回転トルクにより弁閉止性能を確保することができる。この閉止性能は、弁棒の回転トルクにより得られるため、高圧流体の閉止が可能となる。また、弁座同士は、弾性力により保持されないため、ジャンピング現象も抑制される。
この楕円球に正接する錐を楕円錐とすれば、シート部縦断面が真円となることで、楕円に比べて弁座接触面圧を安定したものにすることができる。
このようにすれば、従来になかった弁座の形状となり、流路方向に垂直な(弁箱の軸心に対して直交方向の)真円で接するものとすることができる。但し、真円にならなくても、流通に支障がなければ、真円以外、例えば、楕円などを採用し得る。
この長円は上記真円に比べて、幅がその真円の径と同じ長方形であることから、面積が大きくなり、流通断面積も大きくなる。このとき、弁孔の流通断面形状が長円となって、配管内における流体の略真円形である流通断面形状とは異なることとなるが、その長円は、真円の弁孔を弁棒の軸方向に長くしたものであるため、流通断面形状の変化も小さく、キャビテーションも発生し難い。
また、弁体が偏位する弁棒周りは真円の場合とその大きさが変わっていないため、その弁棒周りの弁箱を大きくすることなく、弁体の開閉が可能である。一方、弁棒方向の弁箱は上記長方形の長さ分大きくなるが、その長さ方向(弁棒方向)は上記面間寸法に影響を及ぼさないため、その面間寸法も大きくすることなく、従来と同様な呼び径の弁とすることができる。
弁棒2は、下部の軸受7aと上部の軸受7bによって弁箱1内に取付けられている。上部の軸受7bは弁箱1の蓋を兼用し、弁箱1内に下部軸受7aとともに弁体3及び弁棒2を装填した後、上部軸受7bを弁箱1に装着することによって弁体3及び弁棒2を弁箱1内に装填する(弁体3及び弁棒2をトップエントリ方式で組み込む)。
なお、可能であれば、弁箱1の一の側面開口から弁体3を斜めにして弁箱1内に入れ、その後、弁体3を徐々に立てて(軸心a方向にして)組み立てることもできる。この場合、トップエントリ方式としなくても良い。
その各延長長さL1、L2は、弁体3の弁棒2周りの回転に支障が無い限りにおいて、所要の流通断面積が得られるように適宜に設定する。真円Aの中心c’が弁箱1の軸心c上であれば、L1=L2とし得る。
この長円Bの弁体弁座3aに対応させて弁箱1の弁座1aも同一の長円形とする。
以上の弁座3aが長円Bとなって直交する弁体3の楕円球中心線dに対する傾斜角度θ及び弁座1a、3aの長円Bの外周線は、実験及びシミュレーション等によって適宜に設定する。このとき、シート面(両弁座1a、3aが接する面)5は、ある幅(同一幅)を持った接触面となり、ある幅を有することによって確実なシール(閉弁)作用を行う。
なお、弁体3表面形状も同様に弁箱軸心cの直交方向に長さL1、L2延長したものとするとともに、その弁体3の表面形状の変更に伴って弁箱1の弁棒2軸方向も弁体3の回転に支障が無いように側縁e1に倣って延長することができるが、支障がなければ、弁座1a、3aの長円形状に合わせる必要はなく、適宜な曲面形状とすることもできる。
さらに、弁体3表面が楕円球であるため、従来の二重偏心回転弁の球面弁体と同等の流量特性を得ることができる。
さらに、弁箱1は弁棒2の周りの大きさを図7とほぼ同じ大きさとし得るため、呼び径の変更もなく、面間距離の変更もない。このため、同一呼び径の管路に採用することができる(面間寸法を規格に合わすことができる)。
弁体3は、同様に、その軸心(中心線)dが所要角度θ傾いて弁棒2に取り付けられている。また、弁箱弁座1aの楕円錐面を弁棒2の軸心上下方向に延ばしたものの軸心(中心線)bも所要角度傾いている。
この弁体3の弁座3aが弁箱弁座1aに当接すると、その当接面(シール面5)は、同様に、真円Aをその中心を通る水平面eで切断し、その切断した半円A1、A2を弁棒2の軸心aの上下方向に延ばし、その延ばした側縁e1と前記切断した線e2で区画される長方形A3と前記両半円A1、A2とからなる長円Bとなり、その長円Bは弁箱1の軸心cに対して直交する。この長円Bとなって直交する弁体3の傾斜角度θ及び弁座1a、3aの真円を弁棒2の軸心aの上下方向に延ばしたものは、実験及びシミュレーション等によって適宜に設定する。この実施形態も、上記実施形態V1と同様に、トルクシールとなる等の作用を発揮する。
この実施形態の切断正面図は、図2とほぼ同一態様となる。
弁体3は、同様に、その軸心(中心線)dが所要角度θ傾いて弁棒2に取り付けられている。また、弁箱弁座1aの楕円錐面を弁棒2の軸心a上下方向に延ばしたものの軸心(中心線)bも所要角度傾いている。
この弁体3の弁座3aが弁箱弁座1aに当接すると、その当接面(シール面5)は、同様に、真円Aをその中心を通る水平面eで切断し、その切断した半円A1、A2を弁棒2の軸心aの上下方向に延ばし、その延ばした側縁e1と前記切断した線e2で区画される長方形A3と前記両半円A1、A2とからなる長円Bとなり、その長円Bは弁箱1の軸心cに対して直交する。この長円Bとなって直交する弁体3の傾斜角度θ及び弁座1a、3aの楕円錐(球)を弁棒2の軸心a上下方向に延ばしたものは、実験及びシミュレーション等によって適宜に設定する。
この実施形態は、上記図1などで示した実施形態と同様に、トルクシールとなる等の作用を発揮する。すなわち、楕円球を弁棒2の軸心a上下方向に延ばした弁体3表面のシート部3aのみを楕円錐を弁棒2の軸心a上下方向に延ばしたものとし、その楕円錐を弁棒2の軸心a上下方向に延ばしたものに倣った楕円錐を弁棒2の軸心a上下方向に延ばしたものとした弁箱弁座1aとする構造においても、その楕円錐の中心線bを傾けた作用により、アプローチ角αを大きくし、接触面圧を増加させる作用等がある。
この実施形態の切断正面図も、図2とほぼ同一態様となる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1a 弁箱弁座
2 弁棒(弁軸)
3 弁体
3a 弁体弁座(シート部)
4 弁箱弁座用シートリング
5 シート部(シール部、シート面、シール面、当接面)
6 弁孔
V1〜V3 偏心回転弁(プラグ弁)
a 弁棒の軸心(中心線)
b 弁体弁座、弁箱弁座の楕円錐の軸心(中心線)
c 弁箱の軸心(中心線)
d 弁体弁座、弁箱弁座の楕円球軸心(中心線)
e 弁孔の切断面
θ 弁体の傾斜角度
A 真円
B 長円
α 圧力角(アプローチ角)
Claims (3)
- 流体(w)が内部を流れる筒状の弁箱(1)と、その弁箱(1)内に挿入され、軸心(a)が前記弁箱(1)の軸心(c)から離れた弁棒(2)と、その弁棒(2)に偏心して設けた弁体(3)と、軸心(b)が前記弁箱(1)の軸心(c)に対して傾いた弁体弁座(3a)と、その弁体弁座(3a)が接離する弁箱弁座(1a)と、を有し、
上記弁体(3)の表面形状が楕円球面、楕円錐面又は真球面からなり、上記弁体弁座(3a)と弁箱弁座(1a)が楕円球面同士であり、上記弁箱弁座(1a)と弁体弁座(3a)が前記弁箱(1)の軸心(c)に対して直交方向の真円(A)で接して閉弁する偏心回転弁において、
上記真円(A)をその中心を通る水平面(e)で切断し、その切断した半円(A1、A2)を弁棒(2)の軸心(a)の上下方向に延ばし、その延ばした側縁(e1)と前記切断した線(e2)で区画される長方形(A3)と前記両半円(A1、A2)とからなる長円(B)で、上記弁箱弁座(1a)と弁体弁座(3a)が接して閉弁するようにした偏心回転弁。 - 流体(w)が内部を流れる筒状の弁箱(1)と、その弁箱(1)内に挿入され、軸心(a)が前記弁箱(1)の軸心(c)から離れた弁棒(2)と、その弁棒(2)に偏心して設けた弁体(3)と、軸心(b)が前記弁箱(1)の軸心(c)に対して傾いた弁体弁座(3a)と、その弁体弁座(3a)が接離する弁箱弁座(1a)と、を有し、
上記弁体(3)の表面形状が楕円球面、楕円錐面又は真球面からなり、上記弁体弁座(3a)が楕円球面、上記弁箱弁座(1a)が楕円錐面であり、上記弁箱弁座(1a)と弁体弁座(3a)が前記弁箱(1)の軸心(c)に対して直交方向の真円(A)で接して閉弁する偏心回転弁において、
上記真円(A)をその中心を通る水平面(e)で切断し、その切断した半円(A1、A2)を弁棒(2)の軸心(a)の上下方向に延ばし、その延ばした側縁(e1)と前記切断した線(e2)で区画される長方形(A3)と前記両半円(A1、A2)とからなる長円(B)で、上記弁箱弁座(1a)と弁体弁座(3a)が接して閉弁するようにした偏心回転弁。 - 流体(w)が内部を流れる筒状の弁箱(1)と、その弁箱(1)内に挿入され、軸心(a)が前記弁箱(1)の軸心(c)から離れた弁棒(2)と、その弁棒(2)に偏心して設けた弁体(3)と、軸心(b)が前記弁箱(1)の軸心(c)に対して傾いた弁体弁座(3a)と、その弁体弁座(3a)が接離する弁箱弁座(1a)と、を有し、
上記弁体(3)の表面形状が楕円球面からなり、上記弁体弁座(3a)と弁箱弁座(1a)が楕円錐面同士であり、上記弁箱弁座(1a)と弁体弁座(3a)が前記弁箱(1)の軸心(c)に対して直交方向の真円(A)で接して閉弁する偏心回転弁において、
上記真円(A)をその中心を通る水平面(e)で切断し、その切断した半円(A1、A2)を弁棒(2)の軸心(a)の上下方向に延ばし、その延ばした側縁(e1)と前記切断した線(e2)で区画される長方形(A3)と前記両半円(A1、A2)とからなる長円(B)で、上記弁箱弁座(1a)と弁体弁座(3a)が接して閉弁するようにした偏心回転弁。
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