JP2020025203A - 超音波センサー - Google Patents

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昌道 橋田
Masamichi Hashida
昌道 橋田
知樹 桝田
Tomoki Masuda
知樹 桝田
賢輝 信長
Kenki Nobunaga
賢輝 信長
永原 英知
Hidetomo Nagahara
英知 永原
祐大 石崎
Yudai ISHIZAKI
祐大 石崎
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Abstract

【課題】複数の音響整合層を有する場合において、金属と音響整合層の接着剤と音響整合層同士の接着剤の硬化時間を最適化することで、生産性に優れた超音波センサーを得る。【解決手段】圧電素子2、センサーケース3、第一接着剤4、第一整合層5、第二接着剤6、第二整合層7、電極8からなり、第一接着剤4の厚みに比べて第二接着剤6の厚みを薄くすることで、熱容量が小さくし、単位時間あたりの熱の流入量が小さくても短時間で硬化し、生産性に優れた超音波センサーを得ることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、主に超音波の送受信を行うセンサーに関するものである。
一般に、異なる物質間の音響インピーダンス(それぞれの物質の密度と音速の積)の違いが小さければ、超音波はこれらの物質の界面を透過して伝達し、音響インピーダンスの違いが大きければ、これらの界面で反射する。従って、音響インピーダンスの違いが小さくなるに従って、エネルギー伝達効率は高くなる。
しかし、圧電素子はセラミックス(密度と音速が高い)により構成されるのが一般的であり、超音波を伝達させようとする対象である空気等の気体の密度と音速は、セラミックスのそれらより大幅に小さい。従って、圧電素子から空気へのエネルギー伝達効率は非常に低くなる。この問題を解決するため、圧電素子と気体の間に、圧電素子より音響インピーダンスが小さく、空気より音響インピーダンスが大きい音響整合層を介在させ、エネルギー伝達効率を高める対策が行われてきた。
音響インピーダンスの観点からは、圧電素子から音響整合層を経て気体へ超音波が伝達するために最も効率が高くなる場合は、
Z2^2=Z1×Z3・・・(1)
を満たす場合である。
ここで、Z1:圧電素子の音響インピーダンス、Z2:音響整合層の音響インピーダンス、Z3:気体の音響インピーダンスである。
更に、圧電素子で発生した超音波を高効率で気体に伝播させるためには、音響整合層を伝播する超音波のエネルギー損失を低く抑えることが必要となる。音響整合層を伝播する超音波のエネルギー損失の大きな要素は、音響整合層を変形させることにより熱として散逸してしまうことである。従って、音響整合層として用いる物質は変形し難い(弾性率が大きい)ことが条件となる。しかし、式(1)から判るように、音響整合層の音響インピーダンスZ2は、気体の音響インピーダンスZ3に近づけるため、固体の音響インピーダンスより大幅に小さくする必要がある。音響インピーダンスが小さい物質は、音速が小さく、密度が小さい物質ということになり、一般に変形しやすい物質である場合が多い。このような理由により、音響整合層として必要な特性をいずれも満たす物質は少ない。
音響整合層としての特性を満たす物質が少ない理由として、固体からなる圧電素子と気体の音響インピーダンスは5桁程度異なることなることから、式(1)を満たすためには、音響整合層の音響インピーダンスは圧電素子の音響インピーダンスの2から3桁程度小さくする必要があるためである。
そこで、音響整合層を2層用いることで、圧電素子と一層目(第一整合層)の音響インピーダンス、一層目の音響インピーダンスと二層目(第二整合層)の音響インピーダンスにおいて式(1)が成立し、
一層目の音響インピーダンスと第二整合層の音響インピーダンスと気体の間において式(1)が成立する場合に最も伝達効率が高くなることを用いて、充分な効率で超音波を伝達させる事が試みられてきた。
従って、音響整合層には、以下に示す制約が課せられる。
第一整合層5は、第二整合層に超音波を効率よく伝播させるため、変形によるエネルギー損失が小さくなる硬質(弾性率が大きい)な材料が望ましく、硬質樹脂がこれに該当する。
第二整合層は気体に超音波を伝達するため、第一整合層より音響インピーダンスが小さい材料からなる必要がある。一般に、音速は、物質間において大きくても数倍程度の差である場合が多い。これに対し、第二音響整合層の音響インピーダンスは、第一音響整合層に比較して1/10以下である必要がある。そこで、第二整合層の音響インピーダンスを小さくするためには、密度を小さくする必要があり、硬質樹脂を発泡したものが優れた特性を有している。
以上の特性を有する音響整合層を用いた超音波センサーが作製されてきた。
特許第6032512号公報
しかしながら、圧電素子と第一整合層、第一整合層と第二整合層は、熱硬化性の接着剤により接合されている場合が多く、圧電素子と第一整合層間と、第一整合層と第二整合層間に接着剤を塗布し、恒温槽に設置して加熱することでそれぞれの接着を行う。
第一整合層は樹脂であるため、比較的熱伝導率が小さい。更に、第二整合層は樹脂を発泡したものであるため、非常に熱伝導率が小さい。
一方、第一整合層と第一整合層に比較して、圧電素子(ステンレス等の金属からなるセンサーケース)は熱伝導率が著しく大きい。
従って、圧電素子(センサーケース)、接着剤、第一整合層、接着剤、第二整合層の順に積層された部材を、恒温槽に設置して加熱する際、圧電素子(センサーケース)と第一整合層に挟まれた接着剤(第一接着剤)に比較して、第一整合層と第二整合層に挟まれた接着剤(第二接着剤)の昇温速度が遅くなる。
以上より、熱硬化性接着剤を用いて音響整合層を貼り付ける工程では、第二接着剤を硬化するまでの時間が律速になることが判る。
超音波センサーの生産数量が比較的少数の場合、第二接着剤が充分に硬化するまで時間を掛けて加熱を行っても大きな問題にならないが、生産数量が増大すると、第二接着剤の硬化時間を短くする施策が必要になる。
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波センサーは、少なくとも圧電素子、2枚以上積層された音響整合層、前記圧電素子と整合層を積層する接着剤からなり、前記音響整合層のうち、前記圧電素子に近い側に積層された音響整合層(第一整合層)に比較し、前記圧電素子から遠い側に積層された音響整合層(第二整合層)の密度が小さく、圧電素子と第一整合層を接合する接着剤(第一接着剤)の硬化に必要な熱量が、前記第一整合層と第二整合層を接合する接着剤(第二接着剤)の硬化に必要な熱量に比較して同等以上である超音波センサーである。
圧電素子と第一整合層の間に位置するため、熱伝導により、容易に熱が供給されるのに対して、第一整合層と第二整合層の間に位置するため熱の供給が困難な第二接着剤の硬化に必要な熱量が小さいため、第一整合層と第二整合層が硬化するまでの時間の差異を低減することができる。
これにより、第一接着剤が硬化した後、第二接着剤を硬化させるため熱を加えることによる生産性の低下を低減することができる。
本発明によると、第二接着剤の硬化時間を短縮することにより、第一接着剤との硬化時間の差異を低減することができる。
これにより、第二接着剤の硬化が律速である超音波センサーの生産時間を短縮することができる。
実施の形態1における超音波センサーの断面模式図 実施の形態1におけるセンサーケースの上面図 実施の形態1における第一接着剤塗布後の上面図
第1の発明は、少なくとも圧電素子、2枚以上積層された音響整合層、前記圧電素子と整合層を積層する接着剤からなり、前記音響整合層のうち、前記圧電素子に近い側に積層された音響整合層(第一整合層)に比較し、前記圧電素子から遠い側に積層された音響整合層(第二整合層)の密度が小さく、圧電素子と第一整合層を接合する接着剤(第一接着剤)と、前記第一整合層と第二整合層を接合する接着剤(第二接着剤)を、同一昇温条件で加熱した際、前記第二接着剤は、前記第一接着剤に先んじて、或いは同時に硬化する特性を有する超音波センサーである。
音響インピーダンスの差異が大きい物質の界面では超音波が反射するため、伝達効率が低下してしまう。そこで、式(1)を満たすことにより伝達効率を向上するための音響インピーダンスを用いる場合が多い。しかし、一般に、セラミックスからなる圧電素子と、気体の音響インピーダンスには非常に大きな差異があるため、音響整合層が1層では式(1)を満たすことは困難であるが、密度が比較的大きい第一整合層と、密度が非常に小さい第二整合層を用いることにより、式(1)を満たすことができる。
更に、超音波センサー作製の際、第一接着剤は、熱伝導率が大きい圧電素子(センサーケース)に接しているため、第二接着剤に比較して短時間で温度が上昇する。
従って、第一接着剤と第二接着剤を、同一昇温条件で加熱した際、第二接着剤は、第一接着剤に先んじて、或いは同時に硬化する特性を有することにより、第一接着剤が、第二接着剤に比較して著しく短時間で硬化することを抑制できる。
これにより、超音波センサーの生産性を向上することができる。
第2の発明は、第1の発明において、第一接着剤の厚さが第二接着剤の厚さと同等以上である超音波センサーである。
一般に、物質の昇温速度は、熱容量を単位時間に流入する熱量で除した値になる。一方
、熱容量は、物質固有の値である比熱と重量の積である。更に、この場合の物質である接着剤の重量は、接着剤の厚さに比例する。
以上より、第二接着剤の熱容量は、第一接着剤の熱容量より小さいため、単位時間当たりに流入する熱量が同一であれば、第一接着剤より速く昇温する。
第二接着剤は、比較的熱伝導率が小さい第一整合層と、非常に熱伝導率が小さい第二整合層に挟まれているため、単位時間あたりに流入する熱量が小さい。
従って、第一接着剤の熱容量を、第一接着剤に単位時間あたりに流入する熱量で除した値と、第二接着剤の熱容量を、第二接着剤に単位時間あたりに流入する熱量で除した値を略同一にすることが可能である。
従って、音響整合層を貼り付ける工程を短くすることにより、生産性に優れた超音波センサーを得ることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、第二接着剤の厚さが10μm以下である超音波センサーである。
熱容量を小さくするため、第二接着剤の厚さは第一接着剤の厚さと同等以下であることが望ましいが、超音波の伝播特性を保持するためには、第一整合層も薄いことが望ましい。従って、第一整合層は更に厚くする必要があることから、第二整合層が10μmより薄いことが望ましい。
更に、高効率で超音波を伝達するためには、式(1)に示されているように、圧電素子から気体へと音響インピーダンスを順に小さくする必要がある。ここで、第一音響整合層より第二接着剤の音響インピーダンスが大きい場合は、この関係を満たすことができなくなる。ここで、接着剤の厚さが充分に(一般には超音波の波長より充分に小さい場合)小さい場合、接着剤の影響は無視することができる。従って、第二接着剤が薄い場合、第一整合層より密度が大きい第二接着剤を用いることができる。
第4の発明は、第1から3のいずれかの発明において、接着剤が超音波を伝達する効率への生産時の昇温速度依存性が小さい超音波センサーである。
第1から3の発明では、短時間で熱硬化型の接着剤により整合層を貼り付けることができる。
一般に、液体の接着剤は気体成分を溶解する特性を有しており、温度が高くなるに従い溶解可能量が低減し、気体として析出する。気体の析出速度が小さい場合、短時間あたりに析出する気体が少ないため、圧電素子(センサーケース)と第一整合層、第一整合層と第二整合層の界面から大気中に放出されるため、大きな問題とはならない。これに対し、気体の析出速度が大きい場合、硬化後の接着剤に気泡が残ることにより、超音波を伝達する効率が低下し、超音波の伝達を妨げてしまう。
従って、接着剤が超音波を伝達する効率への生産時の昇温速度依存性が小さい接着剤により、優れた特性を有する超音波センサーを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における超音波センサーの断面模式図、図2は実施の形態1におけるセンサーケースの上面図、図3は実施の形態1における第一接着剤塗布後の上面図である。
図1において、超音波センサー1は、圧電素子2、センサーケース3、第一接着剤4、第一整合層5、第二接着剤6、第二整合層7、電極8からなる。
圧電素子2はチタン酸ジルコン酸鉛からなり、厚さ2.5mm、一辺が8mmの正方形の板を用いた。センサーケース3は厚さ0.2mmのSUS304板をプレス成型して、深さ10mm内径12mmの円筒部3aを設けることにより、作製したものを用いた。
第一接着剤4は、硬化温度が120℃の接着剤を用いた。
第一整合層5は、密度が1g/cm、直径10mm、厚さ1mmの円板状のナイロンを用いた。この第一整合層5の音速は、2500m/sである。
第二接着剤6は、第一接着剤4と同一のものを用いた。
第二整合層7は、ポリメタクリルイミド樹脂を発泡することにより、密度を0.07g/cmとしたものを、直径10mm、厚さ0.8mmとしたものを用いた。この第二整合層7の音速は1600m/sである。
以下、図1に示されている超音波センサーの作製方法を説明する。
まず、超音波センサー1の構成部材を積層する工程は以下の通りである。
圧電素子2は、センサーケース3に、導電性接着剤(図示せず)により接合されている。
次に、第一接着剤4を100Paに減圧、50℃に加熱することにより粘度を低減させ、60分保持することにより、溶存気体成分を除去する。
次に、センサーケース3の、圧電素子2を接合した面の対面を上方に向けて、重力方向に対して略垂直な面(図示せず)に設置し、第一接着剤4を10mg略円形に、均一に塗布する。
次に、第一整合層5を第一接着剤4上に設置する。
次に、第二接着剤6を5mg、又は10mgを第一整合層5上に塗布する。
次に、第二整合層7を第二接着剤6上に設置する。
次に、接着剤と他の構成部材の濡れを向上するため、第二整合層7の面に対して略垂直方向に100gの荷重を加える。この際、第二整合層7にせん断力が加わらないように作業を行う。
次に、上記の通り積層した部材を加熱する工程を説明する。
接着剤の硬化温度は120℃であるので、熱伝導により整合層に挟まれた接着剤を加熱
するためにはこれより幾分高い温度に保持して、保持する必要があると考える。従って、予め140℃、160℃、180℃に保持した恒温槽に保持し、保持時間を変えて接着剤の硬化との相関を評価した。
ここで、第一接着剤4と第二接着剤6の厚さは以下の通り規定した。
最も遅い段階で硬化が完了する第二接着剤6が完全に硬化させるため、リファレンスとして120℃で3時間保持し作製した。
この超音波センサーを樹脂に埋没させてから接着剤の面と略垂直方向に研磨したものをSEM観察して厚さを測定した。
第二接着剤6の塗布量が15mg、恒温層の温度が160℃、保持時間を5分として、センサーケース3と第二整合層7間にせん断力を加えた。この結果、第一整合層5と第二整合層7間は15ニュートンでスライドすることが判った。従って、第二接着剤6は硬化していないことが判った。
一方、第二整合層7を除去したものの起電力は40mVであった。このことから、第一施着材は、センサーケース3からの熱伝導により短時間で硬化するが、第二接着剤6は重量が大きいため、熱容量が大きくなり、保持時間が5分では硬化しないためであると考える。
ここで、第一接着剤4と第二接着剤6へ熱が伝達する経路であるセンサーケース3、第一整合層5、第二整合層7の熱伝導率に関して説明する。
センサーケース3の熱伝導率は16.7W/mK、第一整合層5の熱伝導率は0.4W/mK、第二整合層7の熱伝導率は0.02W/mKである。
第一整合層5としてナイロンを用いたが、ナイロンに限定するものではなく、硬質で耐熱性に優れた樹脂であればよく、例えばPEEK樹脂等、スーパーエンジニアリング樹脂を用いることもできる。
第一接着剤4、第二接着剤6の厚さは、いずれも100gの荷重に対して、接着剤の粘性や、センサーケース3、整合層との濡れ性が総合的に関与することで厚さが決定したが、接着剤の厚さはこれに限定するものではなく、過剰量の接着剤と塗布後、センサーケース3、第一整合層5上に、超音波の伝播への影響が小さい、微小なスペーサーを設置し、1kg程度の力で押し付けることにより、スペーサーと同等の厚さを得ることも可能である。
以下、実施例により、本発明を更に詳しく説明する。実施例では超音波センサーの特性の評価指標として、超音波センサーを対にして100mm離して設置し、一方の超音波センサーから発した超音波が、他方に伝播して起電力が発生するようにする。更に、オシロスコープによりこの起電力を測定することにより、超音波センサーの特性が明らかとなる。
加熱時間と接着剤の硬化度合いは以下の通り評価可能である。
恒温槽での保持時間が短い場合、接着剤(特に第二接着剤6)の硬化が不十分であるため、上記の起電力が小さくなる。恒温槽での保持時間が長くなるに従って、上記の起電力が大きくなり、起電力がリファレンスと同等になる時点を第二接着剤6が完全に硬化した
時点と判断する。
リファレンスの起電力は170mVであった。
更に、実施例で検討を行う条件で、起電力がリファレンスより小さい場合、その要因は、第一接着剤4、第二接着剤6のいずれの硬化が不十分であるためかを明確にするため、起電力を測定後、第二整合層7を除去して起電力を測定する。即ち、上記リファレンスから第二整合層7を除去したものの起電力を測定し、その起電力と同等になった場合、第一接着剤4は完全に硬化したものと判断できる。
第二整合層7を除去したリファレンスの起電力は40mVであった。
一方、140℃以上に保持された恒温槽へ、接着剤で積層された部材を設置する工法をとっているため、第一接着剤4は昇温速度が大きくなることが予測される。そこで、このために生じる不具合を検証するため、室温から140℃へ1時間かけて昇温して超音波センサーを作製し、第二整合層7を除去して起電力を測定した結果、40mVであり、リファレンスの起電力と同等であった。
従って、実施例では、第一接着剤4には、昇温速度が大きいことにより、起電力に影響を及ぼすような変化は生じていないと判断した。
これは、第一接着剤4は、予め100Paに減圧、50℃に加熱し、60分保持することにより、溶存気体成分が除去されているため、昇温速度が大きくても、気泡の析出が少なく、起電力に影響を及ぼすような変化が生じないためであると考えられる。
これに対し、溶存気体が多い接着剤を用い、昇温速度を大きくして接着すると気泡により、整合層間に気泡が析出し、起電力が小さくなることが考えられる。
(実施例1)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が10mg、恒温層の温度が140℃の場合、保持時間ごとの起電力は次の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:10mV、
保持時間が10分の場合、起電力:80mV、
保持時間が15分の場合、起電力:120mV、
保持時間が20分の場合、起電力:140mV、
保持時間が25分の場合、起電力:163mV、
保持時間が30分の場合、起電力:170mV、
以上より、第二接着剤6は恒温槽に30分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
起電力測定後、第二整合層7とセンサーケース3を保持し、せん断力を加えると保持時間が5分のものは、第一整合層5と第二整合層7間で移動した。このことから、第二接着剤6が硬化していないことが確認された。
第二整合層7を除去したあとの起電力は下記の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:30mV、
保持時間が10分の場合、起電力:40mV、
保持時間が15分の場合、起電力:40mV、
保持時間が20分の場合、起電力:40mV、
保持時間が25分の場合、起電力:40mV、
保持時間が30分の場合、起電力:40mV、
以上より、第一接着剤4は10分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
(実施例2)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が10mg、恒温層の温度が160℃の場合、保持時間ごとの起電力は次の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:11mV、
保持時間が10分の場合、起電力:85mV、
保持時間が15分の場合、起電力:125mV、
保持時間が20分の場合、起電力:150mV、
保持時間が25分の場合、起電力:168mV、
保持時間が30分の場合、起電力:170mV、
以上より、第二接着剤6は恒温層に30分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
起電力測定後、第二整合層7とセンサーケース3を保持し、せん断力を加えると保持時間が5分のものは、第一整合層5と第二整合層7間で移動した。このことから、第二接着剤6が硬化していないことが確認された。
第二整合層7を除去したあとの起電力は下記の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:40mV、
保持時間が10分の場合、起電力:40mV、
保持時間が15分の場合、起電力:40mV、
保持時間が20分の場合、起電力:40mV、
保持時間が25分の場合、起電力:40mV、
保持時間が30分の場合、起電力:40mV、
以上より、第一接着剤4は5分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
(実施例3)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が10mg、恒温層の温度が180℃の場合、保持時間ごとの起電力は次の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:12mV、
保持時間が10分の場合、起電力:87mV、
保持時間が15分の場合、起電力:125mV、
保持時間が20分の場合、起電力:150mV、
保持時間が25分の場合、起電力:170mV、
保持時間が30分の場合、起電力:169mV、
以上より、第二接着剤6は恒温層に25分保持することにより完全に硬化したものと考
えられる。
起電力測定後、第二整合層7とセンサーケース3を保持し、せん断力を加えると保持時間が5分のものは、第一整合層5と第二整合層7間で移動した。このことから、第二接着剤6が硬化していないことが確認された。
第二整合層7を除去したあとの起電力は下記の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:40mV、
保持時間が10分の場合、起電力:39mV、
保持時間が15分の場合、起電力:41mV、
保持時間が20分の場合、起電力:40mV、
保持時間が25分の場合、起電力:41mV、
保持時間が30分の場合、起電力:40mV、
以上より、第一接着剤4は5分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
実施例1から3の結果を比較すると判る通り、各時点において、保持温度が高くなるに従って、起電力が向上する一方で、顕著な差は得られていないことがわかる。これは、特に第二接着剤6は熱伝導率が小さい部材に挟まれているため、単位時間当たりの熱の流入量が小さいため、昇温が遅くなり、完全硬化が困難であるためであると考えられる。
これに対し、第一接着剤4は短時間で硬化することが判る。これは、第一接着剤4は、樹脂に比較すると熱伝導率が大きいSUS304に接していることにより、単位時間当たりの熱の流入量が大きいため、昇温が早くなり、完全硬化が容易になるためであると考えられる。
次に、第二接着剤6の塗布量が5mgの場合の実施例を示す。
(実施例4)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤の塗布量が5mg、恒温層の温度が140℃の場合、保持時間ごとの起電力は次の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:70mV、
保持時間が10分の場合、起電力:140mV、
保持時間が15分の場合、起電力:158mV、
保持時間が20分の場合、起電力:170mV、
保持時間が25分の場合、起電力:169mV、
保持時間が30分の場合、起電力:170mV、
以上より、第二接着剤6は恒温層に20分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
起電力測定後、第二整合層7とセンサーケース3を保持し、せん断力を加えたが、保持時間が5分の場合であっても移動しなかった。
第二整合層7を除去したあとの起電力は下記の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:30mV、
保持時間が10分の場合、起電力:39mV、
保持時間が15分の場合、起電力:41mV、
保持時間が20分の場合、起電力:40mV、
保持時間が25分の場合、起電力:40mV、
保持時間が30分の場合、起電力:40mV、
以上より、第一接着剤4は10分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
実施例1と実施例4を比較すると次の事が判る。
保持時間が50分の場合、第二整合層7を除去したものの起電力は同等であるのに対して、第二整合層7を除去していないものの起電力は、実施例4が大幅に大きくなっている。このことから、第二接着剤6の重量が小さい場合、単位時間あたりの熱の流入量が同じであってもより速く硬化することが判る。なお、第二接着剤6の重量の多寡により、第一接着剤4への単位時間当たりの熱の流入量が変化する可能性があるが、この差は非常に軽微であり、同一としてもよい。
(実施例5)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤の塗布量が5mg、恒温層の温度が160℃の場合、保持時間ごとの起電力は次の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:80mV、
保持時間が10分の場合、起電力:155mV、
保持時間が15分の場合、起電力:168mV、
保持時間が20分の場合、起電力:170mV、
保持時間が25分の場合、起電力:170mV、
保持時間が30分の場合、起電力:170mV、
以上より、第二接着剤6は恒温層に20分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
起電力測定後、第二整合層7とセンサーケース3を保持し、せん断力を加えたが、保持時間が5分の場合であっても移動しなかった。
第二整合層7を除去したあとの起電力は下記の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:40mV、
保持時間が10分の場合、起電力:40mV、
保持時間が15分の場合、起電力:38mV、
保持時間が20分の場合、起電力:40mV、
保持時間が25分の場合、起電力:40mV、
保持時間が30分の場合、起電力:41mV、
以上より、第一接着剤4は5分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
(実施例6)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が5mg、恒温層の温度が180℃の場合、保持時間ごとの起電力は次の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:85mV、
保持時間が10分の場合、起電力:158mV、
保持時間が15分の場合、起電力:170mV、
保持時間が20分の場合、起電力:171mV、
保持時間が25分の場合、起電力:169mV、
保持時間が30分の場合、起電力:170mV、
以上より、第二接着剤6は恒温層に15分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
起電力測定後、第二整合層7とセンサーケース3を保持し、せん断力を加えたが、保持時間が5分の場合であっても移動しなかった。
第二整合層7を除去したあとの起電力は下記の通りとなった。
保持時間が5分の場合、起電力:40mV、
保持時間が10分の場合、起電力:40mV、
保持時間が15分の場合、起電力:41mV、
保持時間が20分の場合、起電力:39mV、
保持時間が25分の場合、起電力:40mV、
保持時間が30分の場合、起電力:41mV、
以上より、第一接着剤4は5分保持することにより完全に硬化したものと考えられる。
実施例1から3に比較して、実施例4から6では、リファレンスと同一の起電力が得られる時間が大幅に短縮されている。
これに対し、第一整合層5を除去したものは、いずれも短時間で第一整合層5が完全に硬化している。
従って、熱伝導率が小さい部材にはさまれていることにより、単位時間当たりの熱の流入量が小さい第二接着材を短時間で硬化させるためには、塗布量を少なくすることにより、熱容量を小さくすることが有効であると考えられる。
なお、実施の形態1では、第二接着剤6の重量を5mgまで低減したが、第一整合層5と第二整合層7間に隙間が生じない限り、更に低減することも可能である。
(比較例1)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が15mg、恒温層の温度が140℃、保持時間を5分として、センサーケースと第二整合層7間にせん断力を加えることにより移動することが判った。従って、第二接着剤6は硬化していないことが判った。
一方、第二整合層7を除去したものの起電力は30mVであった。このことから、第二接着剤6の重量が大きいため、熱容量が大きくなり、保持時間が5分では硬化しないためであると考える。
(比較例2)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が15mg、恒温層の温度が160℃、保持時間を5分として、
センサーケースと第二整合層7間にせん断力を加えることにより移動することが判った。従って、第二接着剤は硬化していないことが判った。
一方、第二整合層7を除去したものの起電力は40mVであった。このことから、第一接着剤4は、センサーケース3からの熱伝導により短時間で硬化するが、第二接着剤6は重量が大きいため、熱容量が大きくなり、保持時間が5分では硬化しないためであると考える。
(比較例3)
実施の形態1において、下記の通り評価を行った。
第二接着剤6の塗布量が15mg、恒温層の温度が180℃、保持時間を5分として、センサーケースと第二整合層7間にせん断力を加えることにより移動することが判った。従って、第二接着剤6は硬化していないことが判った。
比較例1から3ではいずれも、センサーケース3と第二整合層7間にせん断力を加えると移動するが、その力の大きさは実施例1の場合が最も小さく、実施例3の場合が最も大きいことが判った。これは、第二接着剤6は硬化に時間はかかるが、部材を保持する恒温槽の温度が高くなるに従って、硬化度合いが高まるためであると考えられる。
一方、第二整合層7を除去したものの起電力は40mVであった。このことから、第一接着材は、センサーケース3からの熱伝導により短時間で硬化するが、第二接着剤6は重量が大きいため、熱容量が大きくなり、保持時間が5分では硬化しないためであると考える。
比較例1から3より、第二接着剤6の重量が大きい場合、短時間で硬化することが難しいことが判る。
以上、説明した通り、第二接着剤6は第一整合層5と第二整合層7に挟まれているため、熱伝導に時間がかかるため、熱硬化性の接着剤は硬化に長時間要することが判った。従って、恒温槽内での保持時間が短いほど、第二接着剤6の硬化が難しくなる現象が顕著となる。
従って、超音波センサーの生産性を向上するため、第二接着剤6の硬化時間を短くする場合、第二接着剤6の使用量を少なくすることで、熱容量を低減することが有効である。
以上のように、本発明にかかる超音波センサーは、種々の超音波センサーの生産工程に適用することができる。特に、生産数量が大きい民生用途などに用いることにより、生産性の向上が可能となる。
1 超音波センサー
2 圧電素子
3 センサーケース
4 第一接着剤
5 第一整合層
6 第二接着剤
7 第二整合層
8 電極

Claims (4)

  1. 少なくとも圧電素子、2枚以上積層された音響整合層、前記圧電素子と整合層を積層する接着剤からなり、前記音響整合層のうち、前記圧電素子に近い側に積層された音響整合層(第一整合層)に比較し、前記圧電素子から遠い側に積層された音響整合層(第二整合層)の密度が小さく、圧電素子と第一整合層を接合する接着剤(第一接着剤)と、前記第一整合層と第二整合層を接合する接着剤(第二接着剤)を、同一昇温条件で加熱した際、前記第二接着剤は、前記第一接着剤に先んじて、或いは同時に硬化する特性を有する超音波センサー。
  2. 第一接着剤の厚さが第二接着剤の厚さと同等以上である請求項1に記載の超音波センサー。
  3. 第二接着剤の厚さが10μm以下である請求項1または2に記載の超音波センサー。
  4. 接着剤が超音波を伝達する効率への生産時の昇温速度依存性が小さい請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波センサー。
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