本発明の実施形態に係る複合熱源ヒートポンプ装置1の構成について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、複合熱源ヒートポンプ装置1は、第1ヒートポンプ回路40(図2参照)を備える地中熱ヒートポンプユニット4と、第2ヒートポンプ回路50(図2参照)を備える空気熱ヒートポンプユニット5とを有している。また、複合熱源ヒートポンプ装置1は、空調端末36に負荷側循環液L(例えば、水や不凍液)を循環させる負荷側循環回路30と、熱源側循環回路20と、複合熱源ヒートポンプ装置1の動作を制御する制御手段としての制御装置6(61、62)と、制御装置6に信号を送るリモコン60とを有しており、空調端末36が設置された室内の暖房または冷房を行うものである。
図2に示すように、本実施形態に係る複合熱源ヒートポンプ装置1は、外気とは別の熱源、ここでは地中熱源を利用して空調端末36側の負荷側循環液Lを加熱または冷却する第1ヒートポンプ回路40の第1負荷側熱交換器41と、外気を熱源として利用して空調端末36側の負荷側循環液Lを加熱または冷却する第2ヒートポンプ回路50の第2負荷側熱交換器51とを負荷側循環回路30を循環する負荷側循環液Lの流れに対して、第1負荷側熱交換器41が第2負荷側熱交換器51よりも上流側に配設されている。この複合熱源ヒートポンプ装置1は、暖房装置および冷房装置として機能させることができ、以下、構成要素および動作について説明する。
第1ヒートポンプ回路40は、第1冷媒C1を圧縮する回転数可変の第1圧縮機43と、第1四方弁44と、第1負荷側熱交換器41と、第1膨張弁45と、第1熱源側熱交換器46と、これらを環状に接続する第1冷媒配管42とを備えて構成されている。
前記第1冷媒配管42に設けられた第1四方弁44は、第1ヒートポンプ回路40における第1冷媒C1の流れ方向を切り換える切換弁としての機能を有し、第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1を、第1負荷側熱交換器41、第1膨張弁45、第1熱源側熱交換器46の順に流通させ、第1圧縮機43に戻す流路を形成する状態(暖房運転時の状態)と、第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1を、第1熱源側熱交換器46、第1膨張弁45、第1負荷側熱交換器41の順に流通させ、第1圧縮機43に戻す流路を形成する状態(冷房運転時の状態)とに切換可能なものである。
また、図2に示す地中熱ヒートポンプユニット4において、符号42aは、第1圧縮機43から吐出された第1冷媒C1の温度を検出する第1冷媒吐出温度センサであり、符号42bは、第1膨張弁45から第1熱源側熱交換器46までの第1冷媒配管42に設けられ、低圧側(暖房運転時)または高圧側(冷房運転時)の第1冷媒C1の温度を検出する第1冷媒温度センサである。
第2ヒートポンプ回路50は、第2冷媒C2を圧縮する回転数可変の第2圧縮機53と、第2四方弁54と、第2負荷側熱交換器51と、第2膨張弁55と、送風ファン56の作動により送られる外気との熱交換を行う第2熱源側熱交換器としての空気熱交換器57と、これらを環状に接続する第2冷媒配管52とを備えて構成されている。
前記第2冷媒配管52に設けられた第2四方弁54は、第2ヒートポンプ回路50における第2冷媒C2の流れ方向を切り換える切換弁としての機能を有し、第2圧縮機53から吐出された第2冷媒C2を、第2負荷側熱交換器51、第2膨張弁55、空気熱交換器57の順に流通させ、第2圧縮機53に戻す流路を形成する状態(暖房運転時の状態)と、第2圧縮機53から吐出された第2冷媒C2を、空気熱交換器57、第2膨張弁55、第2負荷側熱交換器51の順に流通させ、第2圧縮機53に戻す流路を形成する状態(冷房運転時または除霜運転時)とに切換可能なものである。
また、図2に示す空気熱ヒートポンプユニット5において、符号52aは、第2圧縮機53から吐出された第2冷媒C2の温度を検出する第2冷媒吐出温度センサであり、符号52bは、第2膨張弁55から空気熱交換器57までの第2冷媒配管52に設けられ、低圧側(暖房運転時)または高圧側(除霜運転時または冷房運転時)の第2冷媒C2の温度を検出する第2冷媒温度センサであり、符号52cは外気温度を検出する外気温度検出手段としての外気温度センサである。
なお、第1ヒートポンプ回路40および第2ヒートポンプ回路50の冷媒としては、R410AやR32等のHFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒を用いることができる。
前記第1負荷側熱交換器41、第1熱源側熱交換器46、および第2負荷側熱交換器51は、例えばプレート式熱交換器で構成されている。このプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートが積層され、冷媒を流通させる冷媒流路と循環液等の流体を流通させる流体流路とが各伝熱プレートを境にして交互に形成されている。
熱源側循環回路20は、回転数可変の熱源側循環ポンプ22と、第1熱源側熱交換器46と、前記第1熱源側熱交換器46を流通する第1冷媒C1と熱交換する熱源として(この例では地中に)設置された地中熱交換器23とが、熱媒配管としての熱源側配管21によって環状に接続されている。この熱源側配管21には、熱源側循環ポンプ22によって、熱媒として熱源側循環液H(水や不凍液)が循環されると共に、熱源側循環液Hを貯留し熱源側循環回路20の圧力を調整する熱源側シスターン24が設けられている。
負荷側循環回路30は、第1負荷側熱交換器41と、第2負荷側熱交換器51と、床暖房パネルや冷温水パネルやファンコイル等の負荷端末としての空調端末36とが、負荷側配管31によって上流側から順に環状に接続されている。この負荷側配管31には、負荷側循環回路30に負荷側循環液Lを循環させる負荷側循環ポンプ32が設けられており、空調端末36毎に分岐した負荷側配管31の各々には、その開閉により空調端末36への負荷側循環液Lの供給を制御する熱動弁33がそれぞれ設けられ、熱動弁33は、空調端末36が設置された室内の室温が所定の温度になるように開閉が制御されるものであり、図2では空調端末36外に設けられているが、空調端末36に内蔵されていてもよいものである。なお、空調端末36は、図2では2つ設けられているが、1つであってもよく、3つ以上であってもよく、数量や仕様が特に限定されるものではない。
また、図2に示す負荷側循環回路30において、符号34は、負荷側配管31に設けられ空調端末36から第1負荷側熱交換器41に流入する負荷側循環液Lの温度を検出する戻り温度センサであり、符号35は、負荷側循環液Lを貯留し負荷側循環回路30の圧力を調整する負荷側シスターンである。
制御装置6は、熱源側循環回路20、負荷側循環回路30、および第1ヒートポンプ回路40の動作を制御する地中熱ヒートポンプ制御装置61と、第2ヒートポンプ回路50の動作を制御する空気熱ヒートポンプ制御装置62とを備えている。制御装置6は、各種のデータやプログラムを記憶する記憶部と、演算・制御処理を行う制御部とを備えており、外気温度センサ52c等の温度センサ、およびリモコン60からの信号を受けて、複合熱源ヒートポンプ装置1の動作を制御できるようになっている。
次に、暖房運転時における地中熱ヒートポンプ制御装置61について説明すると、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、第1負荷側熱交換器41の直上流側の負荷側循環液Lの温度を検出する戻り温度センサ34の検出値に応じて、第1圧縮機43の回転数を制御する。特にこの例では、戻り温度センサ34により検出される負荷側循環液Lの戻り温水温度が、例えば、リモコン60の設定温度に基づいて設定される目標温水温度になるように、第1圧縮機43の回転数を制御する。
また、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、第1冷媒吐出温度センサ42aにより検出される第1冷媒C1の冷媒吐出温度に応じて、第1膨張弁45の弁開度を制御する。特にこの例では、第1冷媒吐出温度センサ42aにより検出される第1冷媒C1の冷媒吐出温度が、例えばリモコン60の設定温度に対応した制御上の目標冷媒吐出温度となるように、第1膨張弁45の弁開度を制御する。
さらに、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、第1冷媒温度センサ42bにより検出される第1冷媒C1の温度に応じて、熱源側循環ポンプ22の回転数を制御する。特にこの例では、第1冷媒温度センサ42bにより検出される第1冷媒C1の温度が略一定値になるように、熱源側循環ポンプ22の回転数を制御する。
そして、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、負荷側循環ポンプ32の回転数を制御する。特にこの例では、暖房運転が行われているときは、定速(一定回転数)にて回転するように負荷側循環ポンプ32の回転数を制御する。
また、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、暖房運転時において、外気温度センサ52cの検出する外気温度を基準として、地中熱ヒートポンプユニット4および空気熱ヒートポンプユニット5のうちどちらの熱効率(採熱効率)が高いかを判断して、熱効率が高い方を主側(優先側)のヒートポンプユニット、熱効率が低い方を補助側のヒートポンプユニットに設定する。言い換えると、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、外気温度センサ52cの検出する外気温度を基準として、地中熱ヒートポンプユニット4(第1ヒートポンプ回路40)の第1圧縮機43および空気熱ヒートポンプユニット5(第2ヒートポンプ回路50)の第2圧縮機53のうち一方を主動力源、他方を補助動力源に設定するものである。
ここで、図3(a)を用いて、暖房運転時の主動力源/補助動力源の切り換えについて説明する。なお、図3(a)において、「地中熱HP主」、「地中熱HP補助」、「空気熱HP主」、「空気熱HP補助」と表記されているものは、それぞれ、「第1圧縮機43が主動力源」、「第1圧縮機43が補助動力源」、「第2圧縮機53が主動力源」、「第2圧縮機53が補助動力源」と読み換えが可能である。
まず、基本的な考え方として、冬期などで外気温度が比較的低い場合には、外気から吸熱することにより空気熱交換器57が着霜する問題があることから第1圧縮機43が主動力源とされ、第2圧縮機53が補助動力源とされる。逆に、秋期や春期、冬期であっても外気温度があまり低くない場合には、外気から吸熱しても空気熱交換器57が着霜しにくいことから第2圧縮機53が主動力源とされ、第1圧縮機43が補助動力源とされる。
すなわち、本実施形態では、暖房運転を開始する際に、外気温度センサ52cの検出する外気温度が所定の切換温度θ1(例えば、θ1=5℃)未満である場合、第1ヒートポンプ回路40の第1圧縮機43を主動力源とすると共に、第2ヒートポンプ回路50の第2圧縮機53を補助動力源とし、暖房運転を開始させる。また、外気温度センサ52cの検出する外気温度が所定の切換温度θ1以上である場合、第2ヒートポンプ回路50の第2圧縮機53を主動力源とすると共に、第1ヒートポンプ回路40の第1圧縮機43を補助動力源とし、暖房運転を開始させる。
そして、本実施形態では、上記のようにして暖房運転を開始した後、外気温度が変化した場合には、その変化の度合いに応じて、適宜、主動力源と補助動力源とを入れ換える。つまり、第1圧縮機43と第2圧縮機53の何れの動力源を主とするか、補助とするかを入れ換える。
すなわち、(暖房運転開始時の外気温度がθ1未満で)第1圧縮機43が主動力源、第2圧縮機53が補助動力源として暖房運転を開始した後、図3(a)に示すように、外気温度が上昇して切換温度であるθ1(5℃)以上となるまで(5℃未満の場合)はそのまま第1圧縮機43を主動力源とし第2圧縮機53を補助動力源とする。その後、外気温度がθ1以上に上昇したら、第2圧縮機53を補助動力源から主動力源に切り換え、第1圧縮機43を主動力源から補助動力源に切り換える。
逆に、(暖房運転開始時の外気温度がθ1以上で)第2圧縮機53が主動力源、第1圧縮機43が補助動力源として暖房運転を開始した後、図3(a)に示すように、外気温度が低下してθ2(例えば、θ2=2℃)未満とならないうち(2℃以上の場合)はそのまま第2圧縮機53を主動力源とし第1圧縮機43を補助動力源とする。その後、外気温度がθ2未満に低下したら、第1圧縮機43を補助動力源から主動力源に切り換え、第2圧縮機53を主動力源から補助動力源に切り換える。
すなわち、暖房運転中において、図3(a)の矢印で示すように、上記のような外気温度の上昇方向では、主動力源と補助動力源を切り換える区切りとなる切換温度をθ1とする一方、外気温度の低下方向では、切換温度を変えてθ2とする(=主動力源/補助動力源の切り換え挙動にヒステリシスを持たせている)。なお、上記切換温度はθ1、θ2は制御装置6の記憶部に予め記憶されている。
以上のように、外気温度が変化し、それまでの主動力源・補助動力源の割り当てを入れ換えたほうが効率がよいとみなされた場合には、第1圧縮機43及び第2圧縮機53に対する割り当てが入れ換えられ、それまで主動力源だった圧縮機が補助動力源とされ、補助動力源だった圧縮機が主動力源とされる。
なお、本実施形態では、地中熱ヒートポンプ制御装置61が、暖房運転時の主動力源/補助動力源の切換制御を行うものとして説明したが、空気熱ヒートポンプ制御装置62が暖房運転時の主動力源/補助動力源の切換制御を行うものであってもよく、地中熱ヒートポンプ制御装置61と空気熱ヒートポンプ制御装置62とが、必要に応じて互いに連係して、暖房運転時の主動力源/補助動力源の切換制御を行うものであってもよい。
続いて、暖房運転時における空気熱ヒートポンプ制御装置62について説明すると、空気熱ヒートポンプ制御装置62は、戻り温度センサ34の検出値に応じて、第2圧縮機53の回転数を制御する。特にこの例では、戻り温度センサ34により検出される負荷側循環液Lの戻り温水温度が、例えばリモコン60の設定温度に基づいて設定される目標温水温度になるように、第2圧縮機53の回転数を制御する。なお、この空気熱ヒートポンプ制御装置62と地中熱ヒートポンプ制御装置61とは、必要に応じて互いに連係しつつ、対象となる第1圧縮機43または第2圧縮機53の制御を行う。
また、空気熱ヒートポンプ制御装置62は、第2冷媒吐出温度センサ52aにより検出される第2冷媒C2の冷媒吐出温度に応じて、第2膨張弁55の弁開度を制御する。特にこの例では、第2冷媒吐出温度センサ52aにより検出される第2冷媒C2の冷媒吐出温度が、例えばリモコン60の設定温度に対応した制御上の目標冷媒吐出温度となるように、第2膨張弁55の弁開度を制御する。なお、この空気熱ヒートポンプ制御装置62と地中熱ヒートポンプ制御装置61とは、必要に応じて互いに連係しつつ、対象となる第1膨張弁45または第2膨張弁55の制御を行う。
さらに、空気熱ヒートポンプ制御装置62は、外気温度センサ52cにより検出された外気温度に応じて、送風ファン56の回転数を制御する。
次に、冷房運転時における地中熱ヒートポンプ制御装置61について説明するが、前記暖房運転時と比較して、負荷側循環液Lが温水か冷水かの違いしかなく、制御方法が変わらないもの(第1圧縮機43の回転数制御、第1膨張弁45の開度制御、熱源側循環ポンプ22の回転数制御、負荷側循環ポンプ32の回転数制御)については説明を省略する。空気熱ヒートポンプ制御装置62についても同様である。
ここで、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、冷房運転時において、外気温度センサ52cの検出する外気温度を基準として、地中熱ヒートポンプユニット4および空気熱ヒートポンプユニット5のうちどちらの熱効率(採熱効率)が高いかを判断して、熱効率が高い方を主側(優先側)のヒートポンプユニット、熱効率が低い方を補助側のヒートポンプユニットに設定する。言い換えると、地中熱ヒートポンプ制御装置61は、外気温度センサ52cの検出する外気温度を基準として、地中熱ヒートポンプユニット4(第1ヒートポンプ回路40)の第1圧縮機43および空気熱ヒートポンプユニット5(第2ヒートポンプ回路50)の第2圧縮機53のうち一方を主動力源、他方を補助動力源に設定するものである。
ここで、図3(b)を用いて、冷房運転時の主動力源/補助動力源の切り換えについて説明する。なお、図3(b)において、「地中熱HP主」、「地中熱HP補助」、「空気熱HP主」、「空気熱HP補助」と表記されているものは、それぞれ、「第1圧縮機43が主動力源」、「第1圧縮機43が補助動力源」、「第2圧縮機53が主動力源」、「第2圧縮機53が補助動力源」と読み換えが可能である。
まず、基本的な考え方として、春期や秋期などで外気温度があまり高くない場合には、外気への大きな放熱を期待できることから空気熱源を利用する第2圧縮機53が主動力源とされ、地中熱源を利用する第1圧縮機43は補助動力源とされる。逆に夏期などで外気温度が比較的高い場合には、外気への放熱をあまり期待できないことから地中熱源を利用する第1圧縮機43が主動力源とされ、空気熱源を利用する第2圧縮機53は補助動力源とされる。
すなわち、本実施形態では、冷房運転を開始する際に、外気温度センサ52cの検出する外気温度が所定の切換温度θ3(例えば、θ3=33℃)未満である場合、第2ヒートポンプ回路50の第2圧縮機53を主動力源とすると共に、第1ヒートポンプ回路40の第1圧縮機43を補助動力源とし、冷房運転を開始させる。また、外気温度センサ52cの検出する外気温度が所定の切換温度θ3以上である場合、第1ヒートポンプ回路40の第1圧縮機43を主動力源とすると共に、第2ヒートポンプ回路50の第2圧縮機53を補助動力源とし、冷房運転を開始させる。
そして、本実施形態では、上記のようにして冷房運転を開始した後、外気温度が変化した場合には、その変化の度合いに応じて、適宜、主動力源と補助動力源とを入れ換える。つまり、第1圧縮機43と第2圧縮機53の何れの動力源を主とするか、補助とするかを入れ換える。
すなわち、(冷房運転開始時の外気温度がθ3未満で)第2圧縮機53が主動力源、第1圧縮機43が補助動力源として冷房運転を開始した後、図3(b)に示すように、外気温度が上昇して切換温度であるθ3(33℃)以上となるまで(33℃未満の場合)はそのまま第2圧縮機53を主動力源とし第1圧縮機43を補助動力源とする。その後、外気温度がθ3以上に上昇したら、第1圧縮機43を補助動力源から主動力源に切り換え、第2圧縮機53を主動力源から補助動力源に切り換える。
逆に、(冷房運転開始時の外気温度がθ3以上で)第1圧縮機43が主動力源、第2圧縮機53が補助動力源として冷房運転を開始した後、図3(b)に示すように、外気温度が低下してθ4(例えば、θ4=30℃)未満とならないうち(30℃以上の場合)はそのまま第1圧縮機43を主動力源とし第2圧縮機53を補助動力源とする。その後、外気温度がθ4未満に低下したら、第2圧縮機53を補助動力源から主動力源に切り換え、第1圧縮機43を主動力源から補助動力源に切り換える。
すなわち、冷房運転中において、図3(b)の矢印で示すように、上記のような外気温度の上昇方向では、主動力源と補助動力源を切り換える区切りとなる切換温度をθ3とする一方、外気温度の低下方向では、切換温度を変えてθ4とする(=主動力源/補助動力源の切り換え挙動にヒステリシスを持たせている)。なお、上記切換温度はθ3、θ4は制御装置6の記憶部に予め記憶されている。
以上のように、外気温度が変化し、それまでの主動力源・補助動力源の割り当てを入れ換えたほうが効率がよいとみなされた場合には、第1圧縮機43及び第2圧縮機53に対する割り当てが入れ換えられ、それまで主動力源だった圧縮機が補助動力源とされ、補助動力源だった圧縮機が主動力源とされる。
なお、本実施形態では、地中熱ヒートポンプ制御装置61が、冷房運転時の主動力源/補助動力源の切換制御を行うものとして説明したが、空気熱ヒートポンプ制御装置62が冷房運転時の主動力源/補助動力源の切換制御を行うものであってもよく、地中熱ヒートポンプ制御装置61と空気熱ヒートポンプ制御装置62とが、必要に応じて互いに連係して、冷房運転時の主動力源/補助動力源の切換制御を行うものであってもよい。
次に、図1および図2に示す複合熱源ヒートポンプ装置1の暖房運転時の動作について図4を用いて説明する。空調端末36に供給される温水(以下適宜、暖房運転時の負荷側循環液Lを「温水」という。)を生成する暖房運転は、第1ヒートポンプ回路40または第2ヒートポンプ回路50の何れか一方を作動させて行う場合と、第1ヒートポンプ回路40および第2ヒートポンプ回路50の双方を作動させて行う場合があるが、ここでは、第1ヒートポンプ回路40および第2ヒートポンプ回路50の双方を作動させて行う場合について説明する。なお、図4中の矢印は、冷媒や循環液の流れる方向を示したものである。
リモコン60から空調端末36による被空調空間としての室内の加熱の指示がなされると、まず、制御装置6は、外気温度を基準として、地中熱ヒートポンプユニット4の第1圧縮機43と空気熱ヒートポンプ装置5の第2圧縮機53のうち、一方を主動力源に設定し、他方を補助動力源に設定する。
具体的には、外気温度センサ52cで検出した外気温度が所定の切換温度θ1(例えば、5℃)以上であれば、空気熱ヒートポンプユニット5の方が採熱効率が高いと判断し、第2圧縮機53を主動力源に設定すると共に第1圧縮機43を補助動力源に設定し、外気温度センサ52cで検出した外気温度が所定の切換温度θ1(例えば、5℃)未満であれば、地中熱ヒートポンプユニット4の方が採熱効率が高いと判断し、第1圧縮機43を主動力源に設定すると共に第2圧縮機53を補助動力源に設定する。
そして、制御装置6は、第1四方弁44および第2四方弁54を暖房運転時の状態となるように流路を切り換え、第1圧縮機43、第1膨張弁45、熱源側循環ポンプ22、第2圧縮機53、第2膨張弁55、送風ファン56、および負荷側循環ポンプ32を駆動させて暖房運転を開始させる。この時、熱動弁33も開弁される。
前記暖房運転中、第1ヒートポンプ回路40では、第1圧縮機43で圧縮された高温・高圧のガス状の第1冷媒C1が第1圧縮機43から吐出され、第1冷媒C1は凝縮器として機能する第1負荷側熱交換器41にて、負荷側循環回路30を流れる温水と熱交換を行って温水に熱を放出して加熱しながら気液混合状態で高圧の冷媒に変化する。そして、この状態の第1冷媒C1が第1膨張弁45において減圧されて低圧の冷媒となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する第1熱源側熱交換器46において、熱源側循環回路20を流れる熱源側循環液Hと熱交換を行って熱源側循環液Hから吸熱して低温・低圧のガス状の第1冷媒C1となって、再び第1圧縮機43へ戻るものである。
一方、第2ヒートポンプ回路50では、第2圧縮機53で圧縮された高温・高圧のガス状の第2冷媒C2が第2圧縮機53から吐出され、第2冷媒C2は凝縮器として機能する第2負荷側熱交換器51にて、負荷側循環回路30を流れる温水と熱交換を行って温水に熱を放出して加熱しながら気液混合状態で高圧の冷媒に変化する。そして、この状態の第2冷媒C2が第2膨張弁55において減圧されて低圧の冷媒となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する空気熱交換器57において、送風ファン56の作動により送られる外気と熱交換を行って外気から吸熱して低温・低圧のガス状の第2冷媒C2となって、再び第2圧縮機53へ戻るものである。
前記熱源側循環回路20では、地中熱交換器23によって地中熱が採熱され、その熱を帯びた熱源側循環液Hが熱源側循環ポンプ22の駆動により第1熱源側熱交換器46に供給される。そして第1熱源側熱交換器46にて第1冷媒C1と熱源側循環液Hとで熱交換が行われ、地中熱交換器23にて採熱された地中熱が第1冷媒C1側に汲み上げられ、第1冷媒C1が加熱され蒸発するものである。
前記負荷側循環回路30では、一定回転数で駆動される負荷側循環ポンプ32の駆動により第1負荷側熱交換器41に流入した低温の温水は、凝縮器として機能する第1負荷側熱交換器41において第1冷媒C1と熱交換されて加熱された後、凝縮器として機能する第2負荷側熱交換器51において第2冷媒C2と熱交換されてさらに加熱され、加熱された温水は、その後、空調端末36に供給されて室内の暖房に用いられ、空調端末36を流通するときに放熱されて温度低下した温水は再び第1負荷側熱交換器41へと戻るものである。
次に、図1および図2に示す複合熱源ヒートポンプ装置1の冷房運転時の動作について図5を用いて説明する。空調端末36に供給される冷水(以下適宜、冷房運転時の負荷側循環液Lを「冷水」という。)を生成する冷房運転は、第1ヒートポンプ回路40または第2ヒートポンプ回路50の何れか一方を作動させて行う場合と、第1ヒートポンプ回路40および第2ヒートポンプ回路50の双方を作動させて行う場合があるが、ここでは、第1ヒートポンプ回路40および第2ヒートポンプ回路50の双方を作動させて行う場合について説明する。なお、図5中の矢印は、冷媒や循環液の流れる方向を示したものである。
リモコン60から空調端末36による被空調空間としての室内の冷却の指示がなされると、まず、制御装置6は、外気温度を基準として、地中熱ヒートポンプユニット4の第1圧縮機43と空気熱ヒートポンプ装置5の第2圧縮機53のうち、一方を主動力源に設定し、他方を補助動力源に設定する。
具体的には、外気温度センサ52cで検出した外気温度が所定の切換温度θ3(例えば、33℃)以上であれば、地中熱ヒートポンプユニット4の方が採熱効率が高いと判断し、第1圧縮機43を主動力源に設定すると共に第2圧縮機53を補助動力源に設定し、外気温度センサ52cで検出した外気温度が所定の切換温度θ3(例えば、33℃)未満であれば、空気熱ヒートポンプユニット5の方が採熱効率が高いと判断し、第2圧縮機53を主動力源に設定すると共に第1圧縮機43を補助動力源に設定する。
そして、制御装置6は、第1四方弁44および第2四方弁54を冷房運転時の状態となるように流路を切り換え、第1圧縮機43、第1膨張弁45、熱源側循環ポンプ22、第2圧縮機53、第2膨張弁55、送風ファン56、および負荷側循環ポンプ32を駆動させて冷房運転を開始させる。この時、熱動弁33も開弁される。
前記冷房運転中、第1ヒートポンプ回路40では、第1圧縮機43で圧縮された高温・高圧のガス状の第1冷媒C1が第1圧縮機43から吐出され、第1冷媒C1は凝縮器として機能する第1熱源側熱交換器46にて、熱源側循環回路20を流れる熱源側循環液Hと熱交換を行って熱源側循環液Hに熱を放出して冷却しながら気液混合状態で高圧の冷媒に変化する。そして、この状態の第1冷媒C1が第1膨張弁45において減圧されて低圧の冷媒となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する第1負荷側熱交換器41において、負荷側循環回路30を流れる冷水と熱交換を行って冷水から吸熱して低温・低圧のガス状の第1冷媒C1となって、再び第1圧縮機43へ戻るものである。
一方、第2ヒートポンプ回路50では、第2圧縮機53で圧縮された高温・高圧のガス状の第2冷媒C2が第2圧縮機53から吐出され、第2冷媒C2は凝縮器として機能する空気熱交換器57にて、送風ファン56の作動により送られる外気と熱交換を行って外気に熱を放出して冷却しながら気液混合状態で高圧の冷媒に変化する。そして、この状態の第2冷媒C2が第2膨張弁55において減圧されて低圧の冷媒となって蒸発しやすい状態となり、蒸発器として機能する第2負荷側熱交換器51において、負荷側循環回路30を流れる冷水と熱交換を行って冷水から吸熱して低温・低圧のガス状の第2冷媒C2となって、再び第2圧縮機53へ戻るものである。
前記負荷側循環回路30では、一定回転数で駆動される負荷側循環ポンプ32の駆動により第1負荷側熱交換器41に流入した冷水は、蒸発器として機能する第1負荷側熱交換器41において第1冷媒C1と熱交換されて冷却された後、蒸発器として機能する第2負荷側熱交換器51において第2冷媒C2と熱交換されてさらに冷却され、冷却された冷水は、その後、空調端末36に供給されて室内の冷房に用いられ、空調端末36を流通するときに吸熱し温度上昇した冷水は再び第1負荷側熱交換器41へと戻るものである。
次に、特徴的な動作として、主動力源に設定された圧縮機のみが駆動しての暖房運転時または冷房運転時において、主動力源/補助動力源の切り換えが発生する場面の動作について、図6〜図9のタイムチャートを用いて説明する。
図6は、暖房運転中に、外気温度が低下して主動力源/補助動力源の切り換えが発生する場面を示すもので、本実施形態における戻り温度センサ34で検出される温水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を実線で示し、比較例における戻り温度センサ34で検出される温水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を一点鎖線で示している。なお、時間t1は暖房運転が開始されてから所定時間経過した後の時間を表すものとする。
時間t1では、外気温度センサ52cで検出される外気温度が切換温度θ1(5℃)以上で、第2圧縮機53が主動力源、第1圧縮機43が補助動力源に設定された状態であり、補助動力源の第1圧縮機43の駆動を停止させた状態で主動力源の第2圧縮機53のみを駆動させての暖房運転が行われており、時間t1〜t2において、第2圧縮機53を60rpsで駆動させて温水温度が目標温水温度(ここでは、30℃)に維持されている。
そして、時間t2に近づくにつれ、外気温度センサ52cで検出される外気温度が徐々に低下し、時間t2において、外気温度が負荷が増加する方向に変化して切換温度θ2に達した、すなわち、外気温度の低下により外的負荷が増加し、外気温度が低下して切換温度θ2に達したら(切換温度θ2未満となったら)、制御装置6は、主動力源/補助動力源の切換条件が成立したと判断し、第1圧縮機43の設定を補助動力源から主動力源に切り換え、第2圧縮機53の設定を主動力源から補助動力源に切り換える。
この時、制御装置6は、切換後に主動力源となった第1圧縮機43を停止状態から駆動を開始させると共に、切換後に補助動力源となった第2圧縮機53の駆動を継続させ(時間t2)、第1所定時間の間(時間t2〜t3)、切換後に主動力源となった第1圧縮機43および切換後に補助動力源となった第2圧縮機53の双方を駆動させた状態、すなわち、第1圧縮機43および第2圧縮機53の双方の駆動がオーバーラップするように制御する(本実施形態を示す実線参照。)。なお、第1圧縮機43の駆動開始に際し、制御装置6は、それまで主動力源であった第2圧縮機53の回転数と同じである60rpsを第1圧縮機43の指示回転数とし、第1圧縮機43を60rpsで駆動させるように制御する。
上記第1所定時間の間(時間t2〜t3)において、戻り温度センサ34で検出される温水温度は、外気温度の低下に伴う外的負荷の増加により、目標温水温度から低下するが、第1圧縮機43および第2圧縮機53の双方をオーバーラップさせて駆動させているため、出力が増加し、出力と負荷のバランスがとれ、温水温度が大きく変動(アンダーシュート)することはない(本実施形態を示す実線参照。)。
そして、前記第1所定時間が経過した時点(時間t3)で、制御装置6は、切換後に補助動力源となった第2圧縮機53の駆動を停止させ、時間t3以降は、第1圧縮機43のみを60rpsで駆動させて温水温度が目標温水温度に維持される(本実施形態を示す実線参照。)。
このように、本実施形態では、主動力源として第2圧縮機53のみが駆動しての暖房運転時に、外気温度が低下して切換温度θ2に達したことに基づき、主動力源と補助動力源とを切り換えた場合(主動力源を第2圧縮機53から第1圧縮機43に切り換え、補助動力源を第1圧縮機43から第2圧縮機53に切り換えた場合)に、切換後の主動力源(第1圧縮機43)の駆動を開始させると共に、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の駆動を停止させるにあたり、第1所定時間の間(時間t2〜t3)、切換後の主動力源(第1圧縮機43)および切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の双方の駆動がオーバーラップするように制御した後、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の駆動を停止(時間t3)させるように制御するようにしている。
暖房運転時において、外気温度の低下に伴い外的負荷が増加した場合、温水温度は低下傾向となる。この場合、主動力源と補助動力源とを切り換えるときに、図6の一点鎖線で示す比較例のように、切換後の主動力源(第1圧縮機43)を停止状態から駆動を開始させるのと同時に、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の駆動を停止させてしまうと(時間t2参照。)、出力が不足して、温水の温度が目標温水温度から大きく変動(アンダーシュート)してしまい、目標温水温度に温度調節するのに時間がかかり(時間t2以降の温水温度参照。)、安定した運転を行えず快適性を損なってしまう。それに対して、本実施形態では、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)を即停止させずに、切換後の主動力源(第1圧縮機43)および切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の双方が駆動状態となる時間(第1所定時間)を設けることで、主動力源/補助動力源の切り換え時に生じる温水温度の低下を抑制することができ、目標温水温度からの温度変動が少ない安定した暖房運転を行うことができるものである。
続いて、図7のタイムチャートについて説明する。図7は、暖房運転中に、外気温度が上昇して主動力源/補助動力源の切り換えが発生する場面を示すもので、本実施形態における戻り温度センサ34で検出される温水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を実線で示し、比較例における戻り温度センサ34で検出される温水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を一点鎖線で示している。なお、時間t11は暖房運転が開始されてから所定時間経過した後の時間を表すものとする。
時間t11では、外気温度センサ52cで検出される外気温度が切換温度θ1(5℃)未満で、第1圧縮機43が主動力源、第2圧縮機53が補助動力源に設定された状態であり、補助動力源の第2圧縮機53の駆動を停止させた状態で主動力源の第1圧縮機43のみを駆動させての暖房運転が行われており、時間t11〜t12において、第1圧縮機43を60rpsで駆動させて温水温度が目標温水温度(ここでは、30℃)に維持されている。
そして、時間t12に近づくにつれ、外気温度センサ52cで検出される外気温度が徐々に上昇し、時間t12において、外気温度が負荷が減少する方向に変化して切換温度θ1に達した、すなわち、外気温度の上昇により外的負荷が減少し、外気温度が上昇して切換温度θ1に達したら(切換温度θ1以上となったら)、制御装置6は、主動力源/補助動力源の切換条件が成立したと判断し、第2圧縮機53の設定を補助動力源から主動力源に切り換え、第1圧縮機43の設定を主動力源から補助動力源に切り換える。
この時、制御装置6は、切換後に主動力源となった第2圧縮機53を停止状態から駆動を開始させると同時に、切換後に補助動力源となった第1圧縮機43の駆動を停止させる(時間t12)、すなわち、第1圧縮機43および第2圧縮機53の双方の駆動がオーバーラップしないように、切換後に補助動力源となった第1圧縮機43の駆動を停止させる(本実施形態を示す実線参照。)。なお、第2圧縮機53の駆動開始に際し、制御装置6は、それまで主動力源であった第1圧縮機43の回転数と同じである60rpsを第2圧縮機53の指示回転数とし、第2圧縮機53を60rpsで駆動させるように制御する。
そして、時間t12において、第2圧縮機53の駆動を開始させると同時に第1圧縮機43の駆動を停止させたことで、時間t12〜t13において、戻り温度センサ34で検出される温水温度は、出力の減少により、目標温水温度から低下するが、外気温度の上昇に伴う外的負荷の減少により、出力と負荷のバランスがとれ、温水温度が大きく変動することはない(本実施形態を示す実線参照。)。時間t13以降は、第2圧縮機53のみを60rpsで駆動させて温水温度が目標温水温度に維持される(本実施形態を示す実線参照。)。
このように、本実施形態では、主動力源として第1圧縮機43のみが駆動しての暖房運転時に、外気温度が上昇して切換温度θ1に達したことに基づき、主動力源と補助動力源とを切り換えた場合(主動力源を第1圧縮機43から第2圧縮機53に切り換え、補助動力源を第2圧縮機53から第1圧縮機43に切り換えた場合)に、切換後の主動力源(第2圧縮機53)の駆動を開始させると共に、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるにあたり、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップしないように、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるように制御するようにしている。
暖房運転時において、外気温度の上昇に伴い外的負荷が減少した場合、温水温度は上昇傾向となる。この場合、主動力源と補助動力源とを切り換えるときに、図7の一点鎖線で示す比較例のように、第1所定時間の間(時間t12〜t13)、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップするように制御した後、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止(時間t13参照。)させるように制御してしまうと、出力が過多となり、温水の温度が目標温水温度から大きく変動(オーバーシュート)してしまい、目標温水温度に温度調節するのに時間がかかり(時間t12以降の温水温度参照。)、安定した運転を行えず快適性を損なってしまう。それに対して、本実施形態では、切換後の主動力源(第2圧縮機53)の駆動を開始するのと同時に切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止するようにしたことで、主動力源/補助動力源の切り換え時に生じる温水温度の上昇を抑制することができ、目標温水温度からの温度変動が少ない安定した暖房運転を行うことができるものである。
続いて、図8のタイムチャートについて説明する。図8は、冷房運転中に、外気温度が上昇して主動力源/補助動力源の切り換えが発生する場面を示すもので、本実施形態における戻り温度センサ34で検出される冷水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を実線で示し、比較例における戻り温度センサ34で検出される冷水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を一点鎖線で示している。なお、時間t21は冷房運転が開始されてから所定時間経過した後の時間を表すものとする。
時間t21では、外気温度センサ52cで検出される外気温度が切換温度θ3(33℃)未満で、第2圧縮機53が主動力源、第1圧縮機43が補助動力源に設定された状態であり、補助動力源の第1圧縮機43の駆動を停止させた状態で主動力源の第2圧縮機53のみを駆動させての冷房運転が行われており、時間t21〜t22において、第2圧縮機53を60rpsで駆動させて冷水温度が目標冷水温度(ここでは、20℃)に維持されている。
そして、時間t22に近づくにつれ、外気温度センサ52cで検出される外気温度が徐々に上昇し、時間t22において、外気温度が負荷が増加する方向に変化して切換温度θ3に達した、すなわち、外気温度の上昇により外的負荷が増加し、外気温度が上昇して切換温度θ3に達したら(切換温度θ3以上となったら)、制御装置6は、主動力源/補助動力源の切換条件が成立したと判断し、第1圧縮機43の設定を補助動力源から主動力源に切り換え、第2圧縮機53の設定を主動力源から補助動力源に切り換える。
この時、制御装置6は、切換後に主動力源となった第1圧縮機43を停止状態から駆動を開始させると共に、切換後に補助動力源となった第2圧縮機53の駆動を継続させ(時間t22)、第1所定時間の間(時間t22〜t23)、切換後に主動力源となった第1圧縮機43および切換後に補助動力源となった第2圧縮機53の双方を駆動させた状態、すなわち、第1圧縮機43および第2圧縮機53の双方の駆動がオーバーラップするように制御する(本実施形態を示す実線参照。)。なお、第1圧縮機43の駆動開始に際し、制御装置6は、それまで主動力源であった第2圧縮機53の回転数と同じである60rpsを第1圧縮機43の指示回転数とし、第1圧縮機43を60rpsで駆動させるように制御する。
上記第1所定時間の間(時間t22〜t23)において、戻り温度センサ34で検出される冷水温度は、外気温度の上昇に伴う外的負荷の増加により、目標冷水温度から上昇するが、第1圧縮機43および第2圧縮機53の双方をオーバーラップさせて駆動させているため、出力が増加し、出力と負荷のバランスがとれ、温水温度が大きく変動(オーバーシュート)することはない(本実施形態を示す実線参照。)。
そして、前記第1所定時間が経過した時点(時間t23)で、制御装置6は、切換後に補助動力源となった第2圧縮機53の駆動を停止させ、時間t23以降は、第1圧縮機43のみを60rpsで駆動させて冷水温度が目標冷水温度に維持される(本実施形態を示す実線参照。)。
このように、本実施形態では、主動力源として第2圧縮機53のみが駆動しての冷房運転時に、外気温度が上昇して切換温度θ3に達したことに基づき、主動力源と補助動力源とを切り換えた場合(主動力源を第2圧縮機53から第1圧縮機43に切り換え、補助動力源を第1圧縮機43から第2圧縮機53に切り換えた場合)に、切換後の主動力源(第1圧縮機43)の駆動を開始させると共に、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の駆動を停止させるにあたり、第1所定時間の間(時間t22〜t23)、切換後の主動力源(第1圧縮機43)および切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の双方の駆動がオーバーラップするように制御した後、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の駆動を停止(時間t23)させるように制御するようにしている。
冷房運転時において、外気温度の上昇に伴い外的負荷が増加した場合、冷水温度は上昇傾向となる。この場合、主動力源と補助動力源とを切り換えるときに、図8の一点鎖線で示す比較例のように、切換後の主動力源(第1圧縮機43)を停止状態から駆動を開始させるのと同時に、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の駆動を停止させてしまうと(時間t22参照。)、出力が不足して、冷水の温度が目標冷水温度から大きく変動(オーバーシュート)してしまい、目標冷水温度に温度調節するのに時間がかかり(時間t22以降の冷水温度参照。)、安定した運転を行えず快適性を損なってしまう。それに対して、本実施形態では、切換後の補助動力源(第2圧縮機53)を即停止させずに、切換後の主動力源(第1圧縮機43)および切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の双方が駆動状態となる時間(第1所定時間)を設けることで、主動力源/補助動力源の切り換え時に生じる冷水温度の上昇を抑制することができ、目標冷水温度からの温度変動が少ない安定した冷房運転を行うことができるものである。
続いて、図9のタイムチャートについて説明する。図9は、冷房運転中に、外気温度が低下して主動力源/補助動力源の切り換えが発生する場面を示すもので、本実施形態における戻り温度センサ34で検出される冷水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を実線で示し、比較例における戻り温度センサ34で検出される冷水温度、第1圧縮機43の回転数、第2圧縮機53の回転数の経時推移を一点鎖線で示している。なお、時間t31は冷房運転が開始されてから所定時間経過した後の時間を表すものとする。
時間t31では、外気温度センサ52cで検出される外気温度が切換温度θ3(33℃)以上で、第1圧縮機43が主動力源、第2圧縮機53が補助動力源に設定された状態であり、補助動力源の第2圧縮機53の駆動を停止させた状態で主動力源の第1圧縮機43のみを駆動させての冷房運転が行われており、時間t31〜t32において、第1圧縮機43を60rpsで駆動させて冷水温度が目標冷水温度(ここでは、20℃)に維持されている。
そして、時間t32に近づくにつれ、外気温度センサ52cで検出される外気温度が徐々に低下し、時間t32において、外気温度が負荷が減少する方向に変化して切換温度θ4に達した、すなわち、外気温度の低下により外的負荷が減少し、外気温度が低下して切換温度θ4に達したら(切換温度θ4未満となったら)、制御装置6は、主動力源/補助動力源の切換条件が成立したと判断し、第2圧縮機53の設定を補助動力源から主動力源に切り換え、第1圧縮機43の設定を主動力源から補助動力源に切り換える。
この時、制御装置6は、切換後に主動力源となった第2圧縮機53を停止状態から駆動を開始させると同時に、切換後に補助動力源となった第1圧縮機43の駆動を停止させる(時間t32)、すなわち、第1圧縮機43および第2圧縮機53の双方の駆動がオーバーラップしないように、切換後に補助動力源となった第1圧縮機43の駆動を停止させる(本実施形態を示す実線参照。)。なお、第2圧縮機53の駆動開始に際し、制御装置6は、それまで主動力源であった第1圧縮機43の回転数と同じである60rpsを第2圧縮機53の指示回転数とし、第2圧縮機53を60rpsで駆動させるように制御する。
そして、時間t32において、第2圧縮機53の駆動を開始させると同時に第1圧縮機43の駆動を停止させたことで、時間t32〜t33において、戻り温度センサ34で検出される冷水温度は、出力の減少により、目標冷水温度から低下するが、外気温度の低下に伴う外的負荷の減少により、出力と負荷のバランスがとれ、冷水温度が大きく変動することはない(本実施形態を示す実線参照。)。時間t33以降は、第2圧縮機53のみを60rpsで駆動させて冷水温度が目標冷水温度に維持される(本実施形態を示す実線参照。)。
このように、本実施形態では、主動力源として第1圧縮機43のみが駆動しての冷房運転時に、外気温度が低下して切換温度θ4に達したことに基づき、主動力源と補助動力源とを切り換えた場合(主動力源を第1圧縮機43から第2圧縮機53に切り換え、補助動力源を第2圧縮機53から第1圧縮機43に切り換えた場合)に、切換後の主動力源(第2圧縮機53)の駆動を開始させると共に、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるにあたり、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップしないように、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるように制御するようにしている。
冷房運転時において、外気温度の低下に伴い外的負荷が減少した場合、冷水温度は減少傾向となる。この場合、主動力源と補助動力源とを切り換えるときに、図9の一点鎖線で示す比較例のように、第1所定時間の間(時間t32〜t33)、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップするように制御した後、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止(時間t13参照。)させるように制御してしまうと、出力が過多となり、冷水の温度が目標冷水温度から大きく変動(アンダーシュート)してしまい、目標冷水温度に温度調節するのに時間がかかり(時間t32以降の冷水温度参照。)、安定した運転を行えず快適性を損なってしまう。それに対して、本実施形態では、切換後の主動力源(第2圧縮機53)の駆動を開始するのと同時に切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止するようにしたことで、主動力源/補助動力源の切り換え時に生じる冷水温度の低下を抑制することができ、目標冷水温度からの温度変動が少ない安定した冷房運転を行うことができるものである。
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものでなく、本実施形態では、外気温度が切換温度(θ1、θ2、θ3、θ4)に達したときに、これを契機として、制御装置6によって、第1圧縮機43および第2圧縮機53における主動力源/補助動力源の切り換えが行われるようにしたが、外気温度の変化により主動力源/補助動力源の切り換えが必要であると判定しても、直ちに実際の切り換え動作を行わずに、その必要であるという判定となっている状態が所定の期間(例えば、30分)継続した場合に切り換えを行うようにしてもよい。これは、突風により外気温度が短時間だけ上昇しすぐ低下する場合等、偶発的要因による瞬時的な外気温度の変動を除外し、傾向的な外気温度の変化だけに対応して切り換えを行うようにすることで、第1圧縮機43、第2圧縮機53の作動安定性を確保するためである。
また、本実施形態では、図7に示したように、主動力源として第1圧縮機43のみが駆動しての暖房運転時に、外気温度が上昇して主動力源/補助動力源の切り換えが発生した場合に、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップしないように、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるようにしたが、主動力源として第2圧縮機53のみが駆動しての暖房運転時に、外気温度が上昇して主動力源/補助動力源の切り換えが発生した場合に、切換後の主動力源(第1圧縮機43)および切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の双方の駆動をオーバーラップさせた「第1所定時間(時間t2〜t3)」と比較して、第1所定時間よりも短い第2所定時間の間、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップするように制御した後、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるようにしてもよい。そうすることで、第1所定時間(時間t2〜t3)の間、第1圧縮機43および第2圧縮機53の駆動をオーバーラップさせた場合よりも、温水温度の変動を抑制することができ、安定した運転を実現することができる。ただし、上記第2所定時間を設定する場合、予め実験を行うなどして、目標温水温度に対する温水温度の変動が大きくならないような時間を設定することが望ましい。
さらに、本実施形態では、図9に示したように、主動力源として第1圧縮機43のみが駆動しての冷房運転時に、外気温度が低下して主動力源/補助動力源の切り換えが発生した場合に、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップしないように、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるようにしたが、主動力源として第2圧縮機53のみが駆動しての冷房運転時に、外気温度が上昇して主動力源/補助動力源の切り換えが発生した場合に、切換後の主動力源(第1圧縮機43)および切換後の補助動力源(第2圧縮機53)の双方の駆動をオーバーラップさせた「第1所定時間(時間t22〜t23)」と比較して、第1所定時間よりも短い第2所定時間の間、切換後の主動力源(第2圧縮機53)および切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の双方の駆動がオーバーラップするように制御した後、切換後の補助動力源(第1圧縮機43)の駆動を停止させるようにしてもよい。そうすることで、第1所定時間(時間t22〜t23)の間、第1圧縮機43および第2圧縮機53の駆動をオーバーラップさせた場合よりも、冷水温度の変動を抑制することができ、安定した運転を実現することができる。ただし、上記第2所定時間を設定する場合、予め実験を行うなどして、目標冷水温度に対する冷水温度の変動が大きくならないような時間を設定することが望ましい。
また、本実施形態では、図7に示したように、主動力源として第1圧縮機43のみが駆動しての暖房運転時に、外気温度が上昇して主動力源/補助動力源の切り換えが発生した場合、および、図9に示したように、主動力源として第1圧縮機43のみが駆動しての冷房運転時に、外気温度が低下して主動力源/補助動力源の切り換えが発生した場合に、切換後の主動力源の駆動開始と、切換後の補助動力源の駆動停止を同時に行って、主動力源および補助動力源の双方の駆動がオーバーラップしないようにしたが、切換後の主動力源の駆動開始と、切換後の補助動力源の駆動停止を同時とせず、予め実験を行うなどして、目標温水温度に対する実温水温度または目標冷水温度に対する実冷水温度が大きく変動しない時間を見定め、補助動力源を駆動停止した一定時間後に、主動力源の駆動を開始させるようにして、主動力源および補助動力源の双方の駆動がオーバーラップしないようにしてもよいものである。
また、本実施形態では、地中熱ヒートポンプユニット4の熱源として地中熱交換器23を示したが、熱源としては、地中熱の他に、湖沼、貯水池、井戸等の水熱源も利用可能であり、外気以外の熱源を利用するものであれば種類は問わないものであり、さらに、第1熱源側熱交換器46に供給される熱源側循環液Hは熱源側循環回路20のような閉回路を循環する形態でなくてもよく、熱源側循環液Hは第1熱源側熱交換器46で熱交換した後は外部に排出されるような開放式の形態であってもよいものである。