JP2020023150A - 液体吐出ヘッド、液体吐出モジュールおよび液体吐出装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出モジュールおよび液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液流路内に流入させた複数の液体を分離して回収することができる液体吐出ヘッド、液体吐出モジュール、液体吐出装置、インクジェット記録装置、および液体吐出方法を提供すること。【解決手段】第2の液体32が吐出される方向を下方から上方としたときに、圧力室18において、第1の液体31の上方に第2の液体32が流動する。基板15は、圧力室18よりも第1の液体31が流れる方向の下流側に、液流路13から第1の液体31を流出させるための第1の流出口25を有する。液流路13内の、第1の流出口25を介して圧力室18がある側と反対側の基板15にある壁41であって、第1の流出口25を挟んで圧力室18がある側の基板15の表面よりも高い位置にある部分を含む壁41を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出モジュールおよび液体吐出装置に関するものである。
特許文献1には、吐出口に連通する液流路内に、吐出媒体となる液体と発泡媒体となる液体とを界面を介して分離した状態で保持し、発熱素子によって発泡媒体を発泡させることにより、吐出口から吐出媒体を吐出させる構成が記載されている。吐出媒体の吐出動作に伴って移動する界面の位置は、吐出媒体と発泡媒体の流れにより制御される。液流路内から吐出媒体を流出させる流出口と、液流路内から発泡媒体を流出させる流出口は、液流路内においてずれて位置している。
特開平6−305143号公報
しかしながら、特許文献1においては、吐出媒体の吐出動作に伴って、界面の位置が、吐出媒体の流出口と発泡媒体の流出口との間の位置からずれる。このため、吐出媒体と発泡媒体を、各々に対応する流出口から分離して回収することが難しい。
本発明の目的は、液流路内に流入させた複数の液体を良好に分離して回収することができる液体吐出ヘッド、液体吐出モジュール、液体吐出装置、インクジェット記録装置、及び液体吐出方法を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドは、基板と、第1の液体と第2の液体が流動するように前記基板上に形成され、圧力室を有する液流路と、前記圧力室内の前記第1の液体を加圧する圧力発生素子と、前記第2の液体を吐出する吐出口と、を備える液体吐出ヘッドにおいて、前記第2の液体が吐出される方向を下方から上方としたときに、前記圧力室において、第1の液体の上方に前記第2の液体が流動し、前記基板は、前記圧力室よりも前記第1の液体が流れる方向の下流側に、前記液流路から前記第1の液体を流出させるための第1の流出口を有し、前記液流路内の、第1の流出口を介して圧力室がある側と反対側の前記基板にある壁であって、前記第1の流出口を挟んで前記圧力室がある側の前記基板の表面よりも高い位置にある部分を含む壁を有することを特徴とする。
本発明によれば、液流路内に流入させた複数の液体を良好に分離して回収することができる。
本発明の第1の実施形態における液体吐出ヘッドの斜視図である。 本発明の第1の実施形態における液体吐出装置の制御系のブロック図である。 図1における液体吐出モジュールの断面図である。 図1の素子基板における液流路及び圧力室の拡大断面図である。 図1の素子基板における液流路及び圧力室の説明図である。 液体の粘度比と水相厚比との関係、及び液流路(圧力室)内の高さと流速との関係の説明図である。 本発明の第1の実施形態における第1の流出口の他の例の説明図である。 本発明の第1の実施形態における第1の流出口のさらに他の例の説明図である。 本発明の第2の実施形態における液流路の拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態における液流路の拡大断面図である。 本発明の第2の実施形態における第1の流出口の他の例の説明図である。 本発明の第2の実施形態における第1の流出口のさらに他の異なる例の説明図である。 本発明の第3の実施形態における液流路の拡大断面図である。 本発明の比較例における液流路及び圧力室の拡大断面図である。 本発明の比較例における液流路及び圧力室の拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(液体吐出ヘッドの構成)
図1は、本実施形態における液体吐出ヘッド1の斜視図である。本実施形態の液体吐出ヘッド1は、液体吐出モジュール100がx方向に複数配列(複数個が配列)されて構成される。個々の液体吐出モジュール100は、複数の吐出素子が配列された素子基板10と、個々の吐出素子に電力と吐出信号を供給するためのフレキシブル配線基板40と、を有している。フレキシブル配線基板40のそれぞれは、電力供給端子と吐出信号入力端子が配された電気配線基板90に共通して接続されている。液体吐出モジュール100は、液体吐出ヘッド1に対し簡易的に着脱することができる。よって、液体吐出ヘッド1には、これを分解することなく、任意の液体吐出モジュール100を外部から容易に取りつけたり取り外したりすることができる。
このように、液体吐出モジュール100を長手方向に複数配列させて構成される液体吐出ヘッド1であれば、何れかの吐出素子に吐出不良が生じた場合であっても、吐出不良が生じた液体吐出モジュールのみを交換すればよい。よって、液体吐出ヘッド1の製造工程における歩留まりを向上させるとともに、ヘッド交換時のコストを抑えることができる。
(液体吐出装置の構成)
図2は、本発明に使用可能な液体吐出装置2の制御構成を示すブロック図である。CPU500は、ROM501に記憶されているプログラムに従い、RAM502をワークエリアとして使用しながら、液体吐出装置2の全体を制御する。CPU500は、例えば、外部に接続されたホスト装置600より受信した吐出データに、ROM501に記憶されているプログラム及びパラメータに従って所定のデータ処理を施し、液体吐出ヘッド1が液体を吐出するための吐出信号を生成する。この吐出信号に従って液体吐出ヘッド1を駆動しながら、搬送モータ503を駆動して液体の付与対象媒体を所定の方向に搬送することにより、液体吐出ヘッド1から吐出された液体を液体の付与対象媒体に付着させる。液体吐出装置2がインクジェット記録装置を構成する場合、インクジェット記録ヘッドとしての液体吐出ヘッド1がインクを吐出し、液体吐出ヘッド1と記録媒体とを相対移動させるために搬送モータ503が記録媒体を搬送する。
液体循環ユニット504は、液体吐出ヘッド1に対して液体を循環させながら供給し、液体吐出ヘッド1における液体の流動制御を行うためのユニットである。液体循環ユニット504は、液体を貯留するサブタンク、サブタンクと液体吐出ヘッド1との間で液体を循環させる流路、複数のポンプ、及び液体吐出ヘッド1内を流れる液体の流量を調整するための流量調整ユニットなどを備えている。このような液体循環ユニット504は、CPU500の指示の下、液体吐出ヘッド1において液体が所定の流量で流れるように、上記複数の機構を制御する。
(素子基板の構成)
図3は、個々の液体吐出モジュール100に備えられた素子基板10の断面斜視図である。素子基板10は、シリコン(Si)基板15上にオリフィスプレート(吐出口形成部材)14が積層されて構成されている。オリフィスプレート14には、液体を吐出するための吐出口11がx方向に複数配列されている。図3では、x方向に配列された吐出口11は、同種類の液体(例えば、共通のサブタンクや供給口から供給される液体)を吐出する。ここでは、オリフィスプレート14が液流路13も形成した例を示しているが、液流路13を別の部材(流路壁部材)で形成し、その上に吐出口11が形成されたオリフィスプレート14を設けた構成であってもよい。
シリコン基板15上の、個々の吐出口11に対応する位置には、圧力発生素子12(図3では不図示)が配されている。吐出口11と圧力発生素子12とは、対向する位置に設けられている。圧力発生素子12は、吐出信号に応じて電圧が印加されると、液体を流動方向(y方向)と交差するz方向へ加圧して、圧力発生素子12と対向する吐出口11から液体を液滴として吐出する。圧力発生素子12に対する電力及び駆動信号は、シリコン基板15上に配された端子17を介して、フレキシブル配線基板40(図1参照)から供給される。基板15は、ここではシリコン基板を用いているが、他の部材で形成された基板であってもよい。また、基板15がシリコン基板である場合、シリコン基板に酸化膜(層)や絶縁膜(層)などが設けられていても、それらを含めて基板(シリコン基板)とする。
基板上(シリコン基板15上)の、シリコン基板15とオリフィスプレート14との間には、y方向に延在して、吐出口11の夫々に個別に連通する、液体が流れる複数の液流路13が形成されている。この液体は、後述する第1の液体と第2の液体とを含む。x方向に配列される複数の液流路13は、第1の共通供給流路23、第1の共通回収流路24、第2の共通供給流路28、及び第2の共通回収流路29に対して、共通に接続される。第1の共通供給流路23、第1の共通回収流路24、第2の共通供給流路28、及び第2の共通回収流路29における液体の流れは、図2の液体循環ユニット504によって制御される。具体的には、第1の共通供給流路23から液流路13に流入した第1の液体が第1の共通回収流路24に向かって流れ、第2の共通供給流路28から液流路13に流入した第2の液体が第2の共通回収流路29に向かって流れるように、ポンプが制御される。
図3では、このようなx方向に配列する吐出口11及び液流路13と、これらに共通してインクを供給したり回収したりする第1、第2の共通供給流路23、28、及び第1、第2の共通回収流路24、29の組が、y方向に2列配置された例を示している。
(液流路及び圧力室の構成)
図4及び図5は、素子基板10に形成された1つの液流路13及び圧力室18の構成を詳しく説明するための図である。図4(a)は、吐出口11の側(+z方向側)から見た透視図、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線に沿う断面図である。図5(a)は、図4(a)における液流路13の斜視図である。図5(b)は、図4(b)における吐出口11の近傍部分の拡大図である。図5(c)は、図4(b)における第1の流出口25の近傍部分(図4(b)のVcの部分)の拡大図である。
液流路13の底部に相当するシリコン基板15には、液流路13に連通する第2の流入口21、第1の流入口20、第1の流出口25、及び第2の流出口26が、y方向においてこの順に形成されている。吐出口11と圧力発生素子12とを有する圧力室18は、液流路13中で第1の流入口20と第1の流出口25のほぼ中央に配されている。第2の流入口21は第2の共通供給流路28に、第1の流入口20は第1の共通供給流路23に、第1の流出口25は第1の共通回収流路24に、第2の流出口26は第2の共通回収流路29に、それぞれ接続される(図3参照)。
第1の流入口20は、液流路13を液体が流れる方向の上流側から、液流路13に第1の液体31を流入させる。第1の共通供給流路23から第1の流入口20を通して供給される第1の液体31は、矢印A1のように液流路13に流入してから、液流路13内を矢印A方向に流れる。その後、第1の液体31は、圧力室18を通り、矢印A2のように第1の流出口25から流出して、第1の共通回収流路24に回収される(図5参照)。第2の流入口21は、第1の流入口20よりも、液流路13を液体が流れる方向の上流側に配置されている。第2の共通供給流路28から第2の流入口21を通して供給される第2の液体32は、矢印B1のように液流路13に流入してから、液流路13内を矢印B方向に流れる。その後、第2の液体32は、圧力室18を通り、矢印B2のように第2の流出口26から流出して、第2の共通回収流路29に回収される(図5参照)。第1の流入口20と第1の流出口25との間の液流路13においては、第1の液体31と第2の液体32の両方が共にy方向に流動する。その際、圧力室18の中では、第1の液体31は、圧力発生素子12が位置する圧力室18の内面(図5(b)中下側の底面)に接し、第2の液体32は、吐出口11にメニスカスを形成する。
また、圧力室18の中では、圧力発生素子12と、第1の液体31と、第2の液体32と、吐出口11とが、この順で並ぶように、第1の液体31と第2の液体32とが流れている。すなわち、圧力発生素子12がある側を下方、吐出口11がある側を上方とすると、第1の液体31の上方に第2の液体32が流れており、これらの液体は互いに接触している。そして、第1の液体31は、下方の圧力発生素子12によって加圧され、少なくとも第2の液体が下方から上方に向けて吐出される。なお、この上下の方向が、圧力室18及び液流路13の高さ方向である。
第1の液体31と第2の液体32とは特に限定されるものではないが、第1の液体31としては、例えば、水、または染料や顔料のような色材を水に含有させたインクを用いることができる。また、第2の液体32としては、例えば、紫外線硬化型インク、導電性インク、EB(電子線)硬化型インク、磁性インク、ソリッド型インクなどを用いることができる。
本実施形態では、第1の液体31と第2の液体32が、図5(b)に示すように、圧力室の中で互いに接触しながら液流路に沿って流れるように、第1の液体31と第2の液体の物性に応じて、それらの流量を調整する。なお、本実施形態および後述する第2の実施形態における第1および第2の液体、および後述する第3の実施形態における第1、第2、および第3の液体の流れは、いずれも同じ方向に流動する平行流となっているが、本発明はこれに限られることはない。すなわち、本実施形態において、第1の液体の流動方向に対して第2の液体が反対向きに流動してもよい。また、第1の液体の流れと第2の液体の流れが交差するように、流路を設けてもよい。また、液流路(圧力室)の高さ方向において、第1の液体の上に第2の液体が流動するように液体吐出ヘッドを構成したが、これに限られない。後述する第2および第3の実施形態においても同様である。以下、この中で平行流を例にとって説明する。
平行流の場合、第1の液体31と第2の液体32の界面が乱れないこと、すなわち第1の液体31と第2の液体32が流動する圧力室18内の流れが層流状態であること、が好ましい。特に、所定の吐出量を維持するなど、吐出性能を制御しようとする場合には、界面が安定している状態で圧力発生素子を駆動することが好ましい。但し、本発明はこれに限定されるものではない。圧力室18内の流れが乱流状態となって2つの液体の界面が多少乱れたとしても、少なくとも圧力発生素子12の側を主として第1の液体が流動し、吐出口11の側を主として第2の液体が流動している状態であれば、圧力発生素子12を駆動してもよい。以下では、圧力室内の流れが平行流であって、かつ、層流状態となっている例を中心に説明する。
(層流となっている平行流の形成条件)
まず、管内において液体が層流となる条件について説明する。一般に、流れを評価する指標として、粘性力と界面張力の比を表すレイノルズ数Reが知られている。
ここで、液体の密度をρ、流速をu、代表長さをd、粘度をηとすると、レイノルズ数Reは(式1)で表すことができる。
Re=ρud/η ・・・(式1)
ここで、レイノルズ数Reが小さいほど、層流が形成されやすいことが知られている。具体的には、例えば、レイノルズ数Reが2200程度より小さいと円管内の流れは層流となり、レイノルズ数Reが2200程度より大きいと円管内の流れは乱流となることが知られている。
流れが層流になるということは、流線が流れの進行方向に対して互いに平行となり交わらないということである。したがって、接触する2つの液体がそれぞれ層流であれば、2つの液体の界面が安定している平行流を形成することができる。ここで、一般的なインクジェット記録ヘッドについて考えると、液流路(圧力室)における吐出口近傍の流路(圧力室)高さH[μm]は10〜100μm程度である。よって、インクジェット記録ヘッドの液流路に水(密度ρ=1.0×103kg/m3、粘度η=1.0cP)を流速100mm/sで流した場合、レイノルズ数はRe=ρud/η≒0.1〜1.0<<2200となり、層流が形成されるとみなすことができる。
なお、図4に示すように、液流路13や圧力室18の断面が矩形であったとしても、液体吐出ヘッドでは液流路13や圧力室18の高さや幅は十分小さい。このため、液流路13や圧力室18は円管と同等に、すなわち液流路13や圧力室18の高さを円管の直径として扱うことができる。
(層流状態の平行流の理論的な形成条件)
次に、図5(b)を参照しながら、液流路13及び圧力室18の中で2種類の液体の界面が安定している平行流を形成する条件について説明する。シリコン基板15と、オリフィスプレート14の吐出口11の開口面(吐出口面)と、の間の距離、すなわち圧力室18の高さをH[μm]とする。また、第1の液体31と第2の液体32の界面(液液界面)と、吐出口面と、の間の距離(第2の液体の相厚)をh2[μm]とし、その界面とシリコン基板15との間の距離(第1の液体の相厚)をh1[μm]とする。したがって、H=h1+h2となる。
ここで、液流路13及び圧力室18内の境界条件として、液流路13及び圧力室18の壁面における液体の速度はゼロとする。また、第1の液体31と第2の液体32の界面における速度とせん弾応力は、連続性を有するものと仮定する。この仮定において、第1の液体31と第2の液体32が2層の平行な定常流を形成している場合、平行流区間では(式2)の4次方程式が成立する。
Figure 2020023150
なお、(式2)において、η1は第1の液体31の粘度、η2は第2の液体32の粘度、Q1は第1の液体31の流量、Q2は第2の液体32の流量をそれぞれ示す。すなわち、上記の4次方程式(式2)の成立範囲において、第1の液体と第2の液体は、それぞれの流量と粘度に応じた位置関係となるように流動し、界面が安定した平行流が形成される。本発明では、この第1の液体と第2の液体の平行流を、液流路13内、少なくとも圧力室18内で形成することが好ましい。このような平行流が形成された場合、第1の液体と第2の液体は、その液液界面において分子拡散による混合が起こるのみであり、実質的に交じり合うことなくy方向に平行に流れる。なお、本発明は、圧力室18内の一部の領域における液体の流れが層流状態となっていなくてもよい。少なくとも圧力発生素子上の領域を流れる液体の流れが層流状態となっていることが好ましい。
例えば、水と油のような不混和性溶媒を第1の液体と第2の液体として用いる場合であっても、(式2)が満足されれば、互いに不混和であることとは関係なく安定した平行流が形成される。また、水と油の場合であっても、前述したように、圧力室内の流れが多少乱流状態であって界面が乱れたとしても、少なくとも圧力発生素子上を主に第1の液体が流動し、吐出口内を主に第2の液体が流動していることが好ましい。
図6(a)は、(式2)において、流量比Qr=Q2/Q1を複数段階に異ならせた場合の、粘度比ηr=η21と第1の液体の相厚比hr=h1/(h1+h2)との関係の説明図である。なお、第1の液体は水に限定されないが、「第1の液体の相厚比」を以下「水相厚比」と称する。横軸は粘度比ηr=η21、縦軸は水相厚比hr=h1/(h1+h2)をそれぞれ示す。流量比Qrが大きくなるほど、水相厚比hrが小さくなる。また、いずれの流量比Qrにおいても、粘度比ηrが大きくなるほど、水相厚比hrが小さくなる。したがって、液流路13における水相厚比hr(第1の液体と第2の液体の界面位置に対応)は、第1の液体と第2の液体の粘度比ηr及び流量比Qrを制御することによって、所定の値に調整することができる。また図6(a)から、粘度比ηrと流量比Qrとを比較した場合に、流量比Qrは、粘度比ηrよりも水相厚比hrに大きく影響することが分かる。
図6(a)中の状態A、B、Cは、それぞれ以下の状態を示す。
状態A:粘度比ηr=1、流量比Qr=1、水相厚比hr=0.50
状態B:粘度比ηr=10、流量比Qr=1、水相厚比hr=0.39
状態C:粘度比ηr=10、流量比Qr=10、水相厚比hr=0.12
図6(b)は、液流路13(圧力室)の高さ方向(z方向)における流速分布を上記状態A、B、Cのそれぞれについて示した図である。横軸は、状態Aの流速最大値を1(基準)として規格化した規格化値Uxを示す。縦軸は、液流路13(圧力室)の高さHを1(基準)とした場合の底面からの高さを示している。夫々の状態を示す曲線においては、第1の液体と第2の液体の界面位置をマーカーで示している。状態Aの界面位置が状態B及び状態Cの界面位置よりも高いなど、界面位置が状態によって変化することが分かる。その理由は、異なる粘度を有する2種類の液体が層流となって管内を平行に流れる場合、これら2つの液体の界面は、これら液体の粘度差に起因する圧力差と界面張力に起因するラプラス圧が釣り合う位置に形成されるためである。
(吐出動作時の液体の流れ)
第1の液体と第2の液体がそれぞれ流れることにより、それらの粘度比ηrと流量比Qrに応じた位置(水相厚比hrに対応)に液面(液液界面)が形成される。その界面の位置を維持したまま、吐出口11から液体を吐出することができれば、安定した吐出動作を実現することができる。このような安定した吐出動作を実現するための構成として、以下の2つが挙げられる。
構成1:第1の液体と第2の液体が流れている状態で液体を吐出する構成
構成2:第1の液体と第2の液体が静止している状態で液体を吐出する構成
構成1により、所定の界面位置を維持しつつ液体を安定的に吐出することが可能である。その理由は、一般的な液滴の吐出速度(数m/sから十数m/s)は、第1の液体と第2の液体の流速(数mm/s〜数m/s)よりも大きく、吐出動作中に第1の液体と第2の液体を流し続けても液体の吐出に与える影響は小さいからである。
また、構成2によっても、所定の界面位置を維持しつつ液体を安定的に吐出することが可能である。その理由は、界面における液体の拡散の影響によって、第1及び第2の液体は直ちに混合されるわけではなく、それらの液体の非混合状態が極短時間では維持されるからである。したがって、液体の吐出の直前に、それらの液体の流れを止めて静止させた状態において界面が維持されているため、その界面の位置を維持したまま液体を吐出することが可能である。ただし、界面における液体の拡散による第1及び第2の液体の混合の影響を小さく抑えることできること、及び液体の流動と停止のための高度な制御が不必要であることから、第1形態の方が好ましい。
(液体の吐出モード)
界面の位置(水相厚比hrに対応)を変化させることによって、吐出口から吐出される液滴(吐出液滴)に含まれる第1の液体の割合を変化させることができる。液体の吐出モードは、吐出液滴の種類に応じて2つに大きく分けることができる。
モード1:第2の液体のみを吐出するモード
モード2:第2の液体に第1の液体を含めて吐出するモード
モード1は、例えば、圧力発生素子12として電気熱変換体(ヒータ)を用いるサーマル式の液体吐出ヘッド、つまり液体の性質に大きく依存する発泡現象を利用する液体吐出ヘッドを用いる場合に有効となる。このような液体吐出ヘッドにおいては、ヒータの表面に生じる液体のコゲによって液体の発泡が不安定化するおそれがあり、また非水系インクなどの液体を吐出させることが困難である。しかし、モード1を利用して、第1の液体として、ヒータの表面にコゲが生じ難く発泡に適した発泡液を用い、第2の液体として種々の機能をもつ機能液を用いることにより、ヒータの表面のコゲを抑制しつつ、非水系インクなどの液体を吐出させることができる。
モード2は、サーマル式の液体吐出ヘッドにおいてのみならず、圧力発生素子12として圧電素子を用いる液体吐出ヘッドにおいて、高濃度固形分のインクなどの液体を吐出するために有効となる。より具体的には、色材である顔料の含有量が多い高濃度顔料インクを記録媒体上に吐出する場合に、有効となる。一般に、顔料インクにおける顔料を濃度化することにより、その高濃度顔料インクによって普通紙などの記録媒体に記録した画像の発色を向上させることができる。さらに、高濃度顔料インクに樹脂EM(エマルジョン)を添加することにより、樹脂EMの膜化により記録画像の擦過性などを向上させることができる。しかし、顔料及び樹脂EMなどの固形分は、それらの増加により粒子間距離が近接化して凝集しやすくなり、分散しにくくなる。特に、顔料は樹脂EMよりも分散させにくい。そのため、顔料または樹脂EMのいずれか一方の量を少なくすることにより、具体的には、顔料/樹脂EM量を略4/15または8/4wt%とすることにより、それらを分散させる。しかし、モード2を利用して、第1の液体として高濃度樹脂EMインクを用い、第2の液体として高濃度顔料インクを用いることにより、高濃度樹脂EMインクと高濃度顔料インクを所定割合で吐出させることができる。その結果、高濃度顔料インクと高濃度樹脂EMインクを記録媒体に付与して(顔料/樹脂EM量が略8/15wt%)、画像を記録することができ、1つのインクでは実現しにくい画像、つまり擦過性などが優れた高品位の画像を記録することが可能となる。
(液体の分離回収)
次に、第1の流出口25による第1の液体31の回収、及び第2の流出口26による第2の液体32の回収について説明する。
図14及び図15は、第1の液体31及び第2の液体32の回収方法の比較例を説明するための図である。図14(a)は、吐出口11の側(+z方向側)から見た透視図、図14(b)は、第1の液体31の水相厚h1が比較的大きい場合における図14(a)のXIVb−XIVb線に沿う断面図、図14(c)は、図14(b)のXIVc部分の拡大図である。図15(a)は、第1の液体31の水相厚h1が比較的小さい場合における図14(b)と同様の断面図、図15(b)は、図15(a)のXVb部分の拡大図である。
粘度比ηrと流量比Qrが一定の場合、水相厚比hrは一定となる。そのため、液流路(圧力室)13の高さHが同じである限り、第1の液体31の水相厚h1は、一定の厚みを維持して流れる。その第1の液体31が流出口25から流出する形態としては、次のような2つの形態がある。
流出形態1:第1の流出口25から、第1の液体31のみが流出する形態(図14(c)参照)
流出形態2:第1の流出口25から、第1の液体31と第2の液体32が混在して流出する形態(図15(b)参照)
流出形態1のように第1の液体31のみを流出させるためには、図14(c)のように、第1の液体31の水相厚h1と、第1の流出口25のy方向の幅と、を略等しくする必要がある。しかし、前述したモード1のように第2の液体のみを吐出する場合には、第1の液体31の水相厚h1を薄くする必要があり、それに合わせて第1の流出口25のy方向の幅を小さくすると、第1の液体31の供給性が低下する。したがって、第1の液体31の水相厚h1と、第1の流出口25のy方向の幅とを同程度に設定することは難しい。そのため、図15(b)のように、第1の液体31の水相厚h1と、第1の流出口25のy方向の幅とが異なって、流出形態2のように、第1の液体31と第2の液体32とが混在して第1の流出口25から流出することになる。すなわち、第1の液体31と第2の液体32との分離回収が良好に行われていない。
そこで、本実施形態においては、図4及び図5に示すように、液流路13の底面(内面)となる基板15の表面15Aの中で、第1の流出口25の液体が流れる方向(y方向)の下流側の位置に、分離壁41を設ける。即ち、分離壁41は、液流路内において、第1の流出口25を介して圧力室がある側と反対側の基板にある。分離壁41は、第1の流出口25よりも液体が流れる方向(y方向)の上流側の基板15の表面15Aよりも、高い位置にある部分を有する壁である。即ち、分離壁41は、第1の流出口25を挟んで圧力室がある側の基板の表面よりも高い位置にある部分を含む。「高い位置にある部分を有する」とは、分離壁41全てが、第1の流出口25よりも液体が流れる方向の上流側の基板15の表面15Aより高い必要はないことを意味する。前述したように、第1の液体31と第2の液体32とは、液流路13及び圧力室18の中で、第1の液体31の上に第2の液体32が積層するように、互いに接しながら流れる。第1の液体31と第2の液体32とが接する界面は、水平方向に延在している。分離壁41は、第1の液体31を第1の流出口25に導くための壁であり、上述したように第1の流出口25の周部における液体が流れる方向(y方向)の下流側に位置するように、基板15の表面15A上に設けられている。本例の場合、分離壁41は、表面15Aから突出し、液体が流れる方向の上流側の端部が第1の流出口25の下流側の開口端上にあるように設けられている。また、分離壁41は、第1の流出口25と第2の流出口26との間に延在するように設けられている。分離壁41の上面の位置は、上流側の基板15の表面(液流路13の内面)15Aよりも、図5(c)中の距離Zだけ高い位置にある。このような分離壁41を設けることにより、第1の液体31は、分離壁41に当たって第1の流出口25に導かれる傾向になる。一方、第2の液体32は、分離壁41に当たらずに、液体が流れる方向の下流側に流れて、第2の流出口26に導かれる傾向になる。すなわち、第1の液体31と第2の液体32とを、良好に分離して効率よく回収することができる。これは、第1の液体31の水相厚h1が薄い場合であっても同様である。また、分離壁41は、吐出動作によって界面が最も乱れる吐出口付近ではなく、吐出口から離れた位置(第1の流出口を挟んで吐出口がある側とは反対側)にある。そのため、吐出口付近の界面の乱れにあまり影響されることなく、第1の液体を第1の流出口に導くことができる。これは、界面の乱れが最も大きい吐出口付近から離れるにつれて、界面の乱れが小さくなるからである。
本例における第1の流出口25のx方向の幅は、図4(a)のように、液流路13のx方向の幅よりも広い。しかし、第1の流出口25の幅は、液流路13の幅と同等、もしくは液流路13の幅より狭くてもよく、このような場合においても第1の液体31と第2の液体32とを効率よく分離して回収することができる。このような分離回収の効率の観点からは、本例のように、第1の流出口25の幅が液流路13の幅より広いことが好ましい。
また、分離壁41は、第1の流出口25と第2の流出口26との間の全領域に渡って延在するように設ける必要はなく、図7のように、その領域の一部にのみに設けてもよい。このような構成によっても、第1の液体31と第2の液体32とを効率よく分離して回収することができる。ただし、第1の液体31と第2の液体32の分離回収の効率向上のためには、図7のように、第1の流出口25の周部における液体の流れ方向(y方向)の下流側の少なくとも近傍位置に、分離壁41を設けることが好ましい。分離壁41は、基板15の一部(例えば、シリコン基板のシリコンや、シリコン基板上の膜)で形成してもよいし、基板15とは別の部材(例えば樹脂層や金属層)で形成してもよい。
次に、分離壁を設ける別の例として、掘り込み部を設ける例を説明する。図8に示す基板15は、表面15Aの中で、第1の流出口25よりも液体が流れる方向の上流側に掘り込み部42を設けている。すなわち、掘り込み部42は、第1の流出口25の周部における液体の流れ方向(y方向)の上流側に位置する。掘り込み部42の位置は、基板15の表面15Aよりも、図8(a)中の距離Zだけ低い位置に設定する。第1の流出口25の液体が流れる方向の下流側には、基板15の表面15Aに掘り込み部を設けていない。これにより、第1の流出口25よりも液体が流れる方向の下流側に、第1の流出口25よりも液体の流れる方向の上流側の基板15の表面15Aよりも高い位置にある部分(例えば、第1の流出口25の下流側の基板15の側壁)ができる。すなわち、第1の流出口25の周部において、y方向の下流側の部分は、y方向の上流側の部分よりも相対的に距離Zだけ高くなり、分離壁41となっている。言い換えれば、第1の流出口を介して圧力室がある側と反対側の基板に分離壁41があることになり、この分離壁41は、第1の流出口を挟んで圧力室がある側の基板の表面よりも高い位置にある。このような構成によっても、第1の液体31と第2の液体32とを効率よく分離して回収することができる。なお、掘り込み部42は、例えば、基板15の酸化膜のエッチング処理や、基板15をドライエッチングすることによって形成することが可能である。掘り込み部42は、図4及び図5で説明した分離壁41と共に用いてもよい。
以上のようにして分離回収した第1の液体31や第2の液体32は、再び圧力室の中に戻して使用することが好ましい。すなわち、圧力室の中を流れる第1の液体31や第2の液体32は、圧力室の外部との間で循環することが好ましい。
(第2の実施形態)
図9及び図10は、本発明の第2の実施形態の説明図である。図9(a)は、液流路13の断面図、図9(b)は、その液流路13の斜視図、図9(c)は、図9(a)のIXc部分の拡大図である。図9と図10は、第1の液体31の水相厚h1のみが異なる。
(水相厚と分離壁との関係)
本実施形態における分離壁41には、図9および図10のように、液体が流れる方向(y方向)の上流側に向かって突出する突出部43が設けられている。
突出部43は、分離壁41から液体が流れる方向(y方向)の上流側に向かって突出している。このため、第1の液体31が第1の流出口25から流出する前に、第1の液体31と第2の液体32の界面(液液界面)が突出部43に衝突する。その界面は、位置が安定した状態のまま突出部43に衝突するため、第1の液体31および第2の液体32の分離回収の効率が向上する。すなわち、図9のように、界面を突出部43に衝突させることにより、第1の液体31が第1の流出口25からより選択的に流出し、第2の液体32が第2の流出口26からより選択的に流出しやすくなる。一方、図10のように、界面が突出部43に衝突せずに、その突出部43の上を通過した場合には、第1の液体31と第2の液体32が混在して第2の流出口26から流出する。図10に示す例でも、分離壁41が設けられている分、第1の液体31と第2の液体32とを分離して回収することはできるが、分離壁41の突出部43は、第1の液体31と第2の液体32の界面が衝突する位置に配置することが好ましい。なお、このことは突出部43が設けられていない場合であっても同様であり、分離壁41は、第1の液体31と第2の液体32の界面が衝突する位置に配置することが好ましい。
さらに、界面の位置が変動した場合における第1および第2の液体の分離回収のロバスト性を確保するために、界面の位置は、突出部43の厚さWの方向の中心部分に衝突する位置に制御することが好ましい。界面の位置は、前述したように粘度比ηrと流量比Qrに対する水相厚比hrに対応する。しかし、粘度比ηrは、第1の液体31および第2の液体32の長期の使用により変化し、また流量比Qrは、第1の液体31および第2の液体32を流動させるためのポンプによる流量の脈動により変化する。そのため、界面位置の変動に対する第1の液体31および第2の液体32の分離回収のロバスト性は重要である。
このようなロバスト性を確保するためには、突出部43の厚さWを大きくすることが有効となる。しかし、厚さWを大きくすることは、第2の流出口26から流出する前の第2の液体32が流れる液流路13の部分の高さの低下をもたらし、第2の液体32の供給性の低下を招く。したがって、このような観点から、厚さWは適切な大きさに設定する必要がある。また、突出部43の形状は、図11(a),(b)のように、先端が鋭角を成す形状であってもよい。
(水相厚と突出部の突出量との関係)
図12(a),(b),(c)は、分離壁41の突出部43の突出量(第1の流出口25の上方からy方向の上流側に突出する長さ)Lが異なる場合の説明図である。突出量Lが異なる図12(a),(b),(c)のいずれの場合においても、図9(c)の場合と同様に、第1および第2の液体の界面が突出部43に衝突する。図12(a)の突出部43は、第1の流出口25の上方全体を覆う位置から、さらにy方向の上流側に突出量Lだけ突出する。図12(b)の突出部43の吐出量Lはゼロであり、その突出部43が第1の流出口25の上方全体を丁度覆う位置にある。図12(c)の突出部43は、第1の流出口25の上方全体は覆わず、第1の液体31の水相厚h1に相当するL´分だけ、第1の流出口25の液体が流れる方向の上流側の端部から後退した位置にある。
図12(a),(b)の場合、界面は位置が安定したまま突出部43に衝突するため、第1および第2の液体の分離回収の効率が向上する。しかし、突出部43が第1の流出口25の上方全体覆うため、第2の流出口26から流出する前の第2の液体32が流れる液流路13の部分の高さの低下をもたらし、第2の液体32の供給性の低下を招く。したがって、第2の液体32の供給性の観点からは、突出部43の突出量Lは短い方が好ましい。第1の液体31および第2の液体32の分離回収の効率と、第2の液体32の供給性とを両立させるためには、突出部43の位置は、第1の液体31の水相厚h1を考慮することが好ましい。即ち、図12(c)のように、突出部43の位置は、第1の流出口25の液体が流れる方向の上流側の端部からL´だけ後退しており、L´≧h1となることが好ましく、L´=h1となることがより好ましい。
(第3の実施形態)
本実施形態においても、図1〜図3に示した液体吐出ヘッド1および液体吐出装置を使用する。
図13は、本実施形態における液流路13の構成を示す図である。第1の実施形態で説明した液流路13と異なる点は、液流路13に第1の液体31と第2の液体32に加えて第3の液体33を流していることである。第2の液体を圧力室内に流動させることにより、前述したような、臨界圧力の大きい発泡媒体を第1の液体とし、第2の液体および第3の液体には異なる色のインクや高濃度樹脂EM等を採用することができる。
本実施形態の液流路13においては、図13のように、前述した第1の実施形態における第1の液体31と第2の液体32の層流状態の平行流に加えて、第3の液体33によっても層流状態の平行流を形成するように、それらの液体が流動可能である。液流路13の内面(底面)に相当するシリコン基板15の表面15Aには、第2の流入口21、第3の流入口22、第1の流入口20、第1の流出口25、第3の流出口27、第2の流出口26が、y方向においてこの順に形成されている。吐出口11と圧力発生素子12を含む圧力室18は、液流路13の中で第1の流入口20と第1の流出口25との間のほぼ中央に配されている。
第1の液体31および第2の液体32は、前述した実施形態と同様に、第1および第2の流入口20および21から液流路13に流入され、y方向に流動した後、圧力室18を通って第1および第2の流出口25および26から流出される。第3の流入口22を通して流入される第3の液体33は、矢印C1のように液流路13に導入されてから、液流路13内を矢印C方向に流れる。その後、第3の液体33は、圧力室18を通って、矢印C2のように第3の流出口27から導出されて回収される。したがって、液流路13内において、第1の流入口20と第1の流出口25との間には、第1の液体31と第2の液体32と第3の液体33が共にy方向に流動する。その際、圧力室18の中で、第1の液体31は、圧力発生素子12が位置する圧力室18の内面(基板15の表面15A)に接し、第2の液体32は、吐出口11にメニスカスを形成し、第3の液体は、第1の液体31と第2の液体32との間を流動する。
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、基板15上に、第1の流出口25の周部における液体の流動方向(y方向)の下流側に位置する分離壁41Aを設けている。さらに、基板15上に、第3の流出口27の周部におけるy方向の下流側に位置する分離壁41Bを設けている。これらの分離壁41A,41Bは、前述した第1の実施形態の分離壁41と同様に機能する。すなわち、分離壁41Aは、第1の液体31と第3の液体33とを効率よく分離し、分離壁41Bは、第3の液体33と第2の液体32とを効率よく分離する。これらの分離壁41A,42Bは、少なくとも一方を設けてもよく、また前述した第2の実施形態と同様の突出部を設けてもよい。また、液流路13内に4種類以上の液体を積層しているように流す場合も同様である。
本実施形態において、CPU500は、液体循環ユニット504を介して第1の液体31の流量Q1、第2の液体の流量Q2、第3の液体の流量Q3を制御して、図13(d)に示すような三層の平行流を定常的に形成する。このような三層の平行流が形成された状態において、液体吐出ヘッド1の圧力発生素子12を駆動することにより、吐出口11から液滴を吐出させることができる。このような吐出動作によって界面位置が乱れたとしても短時間で3つの液体による三層の平行流が復元され、次の吐出動作を直ちに開始することができる。この結果、第1の液体、第2の液体、および第3の液体を所定の割合で含む液滴の吐出動作を良好に実行して、その液滴が付与された好適な出力物を得ることができる。
(他の実施形態)
圧力室の中を流れる第1の液体や第2の液体は、圧力室の外部との間で循環してもよい。循環を行わない場合には、液流路及び圧力室の中で平行流を形成した第1の液体及び第2の液体のうち、吐出されなかった液体が多く発生してしまう。このため、第1の液体や第2の液体を外部との間で循環させると、吐出されなかった液体を再び平行流を形成するために使用することができる。
また、本発明の液体吐出ヘッド及び液体吐出装置は、インクを吐出するインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置に限定されない。本発明の液体吐出ヘッド及び液体吐出装置は、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには、各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に適用可能である。特に、第2の液体として様々なものが用いられるので、バイオチップ作製及び電子回路印刷などの用途としても用いることもできる。
11 吐出口
12 圧力発生素子
13 液流路
15A 表面(液流路の内面)
25 第1の流出口
26 第2の流出口
31 第1の液体
32 第2の液体
41 分離壁

Claims (12)

  1. 基板と、
    第1の液体と第2の液体が流動するように前記基板上に形成され、圧力室を有する液流路と、
    前記圧力室内の前記第1の液体を加圧する圧力発生素子と、
    前記第2の液体を吐出する吐出口と、
    を備える液体吐出ヘッドにおいて、
    前記第2の液体が吐出される方向を下方から上方としたときに、前記圧力室において、前記第1の液体の上方に前記第2の液体が流動し、
    前記基板は、前記圧力室よりも前記第1の液体が流れる方向の下流側に、前記液流路から前記第1の液体を流出させるための第1の流出口を有し、
    前記液流路内の、第1の流出口を介して圧力室がある側と反対側の前記基板にある壁であって、前記第1の流出口を挟んで前記圧力室がある側の前記基板の表面よりも高い位置にある部分を含む壁を有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記第1の液体および前記第2の液体の前記圧力室における流れは層流である請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第1の液体および前記第2の液体の前記圧力室における流れは平行流である請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記基板は、前記第1の流出口よりも前記第2の液体が流れる方向の下流側に、前記液流路から前記第2の液体を流出させるための第2の流出口を有する請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記壁は、前記第1の液体と前記第2の液体とが接触する界面が当たる位置に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記壁は、前記基板の表面から突出する壁である請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記壁は、前記第1の流出口の少なくとも一部の上方に位置するように、前記第1の液体が流れる方向の上流側に向かって突出する突出部を含む請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記突出部は、前記第1の液体と前記第2の液体との界面が当たる位置に設けられることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記基板は、前記第1の流出口の前記第1の液体が流れる方向の上流側に、前記基板の表面が掘り込まれた掘り込み部を有する請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記圧力室の中を流れる第1の液体は、前記圧力室の外部との間で循環される請求項1から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを構成するための液体吐出モジュールであって、
    複数配列されることによって前記液体吐出ヘッドが構成されることを特徴とする液体吐出モジュール。
  12. 請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする液体吐出装置。
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