以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る電子デバイス、電子機器及び移動体を説明する。なお、以下で説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を以下に限定するものではない。本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。図面においては、同一又は類似の要素には同一又は類似の符号をそれぞれ付して、重複する説明を省略する。図面は模式的であり、実際の寸法及び寸法の相対的比率、配置、構造、材料等と異なる場合が含まれ得る。図面相互間における寸法、配置、構造等の関係も厳密に整合しているとは限らない。
なお、以下では、各図面に記載されているように、互いに直交する三つの軸をX軸、Y軸及びZ軸として説明する。X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y軸に平行な方向を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向を「Z軸方向」ということがある。また、例えばX軸及びY軸に平行な平面を「X−Y平面」のようにいうことがある。なお、以下における上下左右等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものでない。例えば、視線方向を軸として観察対象を90°回転すれば上下は左右に、左右は上下に変換して理解され、180°回転すれば上下及び左右はそれぞれ反転して理解されることは勿論である。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電子デバイス1を、図1〜図8を参照して説明する。図1は、電子デバイス1の概略構成を説明する平面図である。図2は、図1のII−II線における断面図である。図1及び図2に示すように、電子デバイス1は、第1素子20と、第1素子20を収容するベース10と、ベース10と共に第1素子20を封止する蓋18と、板50とを備える。電子デバイス1は、第2素子40を備えてもよい。電子デバイス1は、封止された空間に収容された素子を備える、機械的強度が確保された小型のデバイスである。
ベース10は、概略として矩形平板状の底部11と、底部11の周縁部から底部11に対して垂直に設けられた枠状の側壁12とを有する。底部11の上面及び下面に平行な平面をX−Y平面と定義すれば、Z軸方向は、側壁12の高さ方向(上下方向)に沿う方向と定義される。ベース10は、第1素子20を収容する、上方に開口するキャビティーを有する。ベース10のキャビティーは、底部11の上面及び側壁12の内側の表面により定義される。側壁12は、底部11に連結する肉厚部13と、肉厚部13より厚さが薄く、肉厚部13の上端に連結する肉薄部14とを有する。側壁12の外側の表面は、肉厚部13から肉薄部14までそれぞれ連続する4つの平坦な面から構成される。側壁12の内側の表面は、肉厚部13の上面である段差部15を有する。肉薄部14の上面及び段差部15は、底部11に対して平行に配置され得る。
ベース10は、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)、べリリア(BeO)等を含む種々のセラミックス材料から形成可能である。その他、ベース10の材料として、樹脂、金属、ガラス等、設計上必要な剛性及び熱膨張係数の条件を満たす種々の材料が採用され得る。
ベース10は、互いに離間して底部11の下面に配置された複数の外部端子16と、互いに離間して段差部15の上面に配置された複数の内部端子17とを更に有する。外部端子16及び内部端子17のそれぞれは、例えば、スクリーン印刷等によりパターニングされたタングステン(W)、モリブデン(Mo)等の第1金属を焼成し、ニッケル(Ni)、金(Au)等の第2金属のめっきを施すことにより形成され得る。複数の外部端子16のうちの一部は、ベース10に設けられた図示しない内部配線を介して、内部端子17に電気的に接続される。その他、ベース10に設けられた配線、端子等の一部の図示は、説明の簡略化のため省略されている。
蓋18は、Z軸方向から見てベース10に対応する平面パターンを有する平板である。蓋18は、封止材19を介して肉薄部14の上面、即ち側壁12の上面に接合される。蓋18は、ベース10のキャビティーの開口を塞ぐことにより、ベース10と共に第1素子20及び第2素子40等を収容する収容空間Aを定義する。収容空間Aは、底部11の上面、側壁12の内側の表面及び蓋18の下面に囲まれた気密封止空間として定義される。蓋18の材料として、コバール等の金属材料、ガラス、シリコン、樹脂材料、セラミックス等の種々の材料が採用可能である。また、蓋18は、互いに異なる種類の材料からなる複数の平板を張り合わせた積層構造を有していてもよい。封止材19として、例えば、金属材料、樹脂材料、低融点ガラス等からなるシールリングが採用可能である。収容空間Aは、大気圧よりも低い減圧雰囲気、又は窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等の不活性気体の雰囲気である。
第1素子20は、例えば加速度、角速度等の物理量を検知する物理量センサー素子である。第1素子20は、例えば半導体製造技術を発展させた微小電気機械システム(MEMS)を用いて製造されたMEMS素子である。第1素子20は、概略として直方体状である。第1素子20は、第1接着層31を介して底部11の上面に取り付けられている。第1素子20は、収容空間Aに露出された上面に配置された複数の接続端子29を備える。電子デバイス1は、第1素子20の種類に応じて、種々のセンサー装置として構成され得る。例えば第1素子20が加速度センサー素子又は角速度センサー素子の場合、電子デバイス1は、振動センサー装置、慣性センサー装置等として構成され得る。その他、電子デバイス1は、アクチュエーター、スイッチ、ミラーデバイス等であってもよい。即ち、第2素子40は、第1素子20において検出された信号を変換する信号処理回路に限らず、第1素子20の駆動を制御するための制御回路であってもよい。以下において第1素子20を3軸加速度センサー素子として例示的に説明する。
第2素子40は、第1素子20から入力される信号を処理することにより加速度を示すデータを出力する集積回路(IC)素子である。第2素子40は、概略として直方体状である。第2素子40は、第2接着層32を介して、第1素子20の上面、即ち第1接着層31に接する下面と反対側の面に取り付けられ、ベース10に収容されている。第2素子40は、収容空間Aに露出された上面にそれぞれ配置された複数の第1端子41及び複数の第2端子42を備える。第2素子40の上面は、底部11の上面に一致する平面を基準とするレベルにおいて、段差部15より底部11側に位置する。
第1接着層31及び第2接着層32の材料として、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の樹脂系接着剤であるダイアタッチ材が採用可能である。その他、第1接着層31及び第2接着層32として、はんだやナノ銀ペーストが採用され得る。第1素子20及び第2素子40が底部11上に垂直方向、即ちZ軸方向に積層されることにより、垂直方向から見た平面視における電子デバイス1の寸法がコンパクト化される。
電子デバイス1は、第1素子20と、ベース10に設けられた端子、即ち内部端子17との間を電気的に接続するボンディングワイヤーである複数のワイヤー(35,36)を更に備える。ワイヤー(35,36)は、内部端子17と第1端子41との間をそれぞれ電気的に接続する複数の第1ワイヤー35と、第1素子20の接続端子29と第2端子42との間をそれぞれ電気的に接続する複数の第2ワイヤー36とに分類される。ここで、本発明における「電気的に接続」の意味は、2つの対象が同電位の状態に限るものでなく、2つの対象が電気回路を介して配線された状態を含む。
第2素子40は、第1素子20の加速度に応じて接続端子29から出力された信号を、第2ワイヤー36を介して、第2端子42から入力する。第2素子40は、第2端子42から入力した信号を処理し、加速度を示す信号に変換して第1端子41から出力する。第1端子41から出力された信号は、第1ワイヤー35を介して、内部端子17に伝達される。
板50は、底部11と蓋18との間に配置され、側壁12に固定される。具体的には、板50は、第2素子40の上面と蓋18との間において、底部11の上面に対して平行に配置される。板50は、概略として矩形平板状である。板50は、第1ワイヤー35との接触を避けるように設けられた切欠き部51を有する。切欠き部51は、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、側壁12の内側の4辺のうち1つの辺に沿って配置された内部端子17と、第2素子40の上面の内部端子17側の領域に配置された第1端子41とを含む領域に対応して設けられる。板50は、ワイヤー(35,36)と離間している。板50は、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、U字型をなす3つの辺に対応する領域の段差部15及び肉薄部14の内側の表面に接する。板50は、例えば、半田、接着材、共晶合金を用いて側壁12に接合されてもよく、ベース10のキャビティーの開口から段差部15まで挿入され側壁12に嵌め込まれてもよい。板50の嵌め込みによる固定は、例えば冷却した状態で板50を側壁12に嵌め込み、常温に戻すことで板50を膨張させればよい。
ベース10の開口を塞ぐために蓋18を側壁12の上端に接合する方法として、封止材19を高温にして溶融する方法がある。この場合、一般に材料は高温で膨張するため、蓋18は膨張した状態でベース10に接合される。よって、常温まで冷却される間に蓋18が収縮し、ベース10において歪みが生じる可能性がある。板50の熱膨張係数が蓋18よりも低い場合、板50の収縮は蓋18の収縮より小さい。このため板50は、蓋18の収縮に応じた側壁12の変位を規制し、電子デバイス1の歪みを低減することができる。このため、電子デバイス1は、板50がない場合と比べて歪みに対して強い耐性を有する。
板50は、切欠き部51を有するため、図2に示すように、ベース10の側面視において、第1ワイヤー35に重なる。ここで、「ベース10の側面視において」とは、「底部11の上面に平行な方向(X−Y平面に平行な方向)から見て」を意味する。即ち、底部11の上面に一致する平面を基準とするレベルにおいて、板50は第1ワイヤー35に重なる。よって、板50により電子デバイス1の機械的強度を確保しながら、電子デバイス1の高さの増大を抑制することができる。
ベース10の平面視において、即ちZ軸方向から見た平面パターンにおいて、Y軸方向における両端側の板50の2つの辺、即ち、X軸方向に沿う2つの辺は、肉薄部14の対応する内側の辺に接している。よって、板50は、側壁12の内側の表面に対してY軸方向の両側に突っ張る梁として機能する。このため、電子デバイス1は、X軸方向と比べてY軸方向に作用する力により生じる歪みに対して強い耐性を有する。より具体的には、蓋18がY軸方向に収縮する場合、X軸方向に垂直なY−Z平面に沿ってベース10の各部が変位する。板50は、Y軸方向に収縮する蓋18に応じて変位しようとするベース10の動きを内側から規制することにより、ベース10のY−Z平面におけるせん断歪みを低減することができる。
板50は、蓋18より高い剛性を有する材料から構成され得る。例えば蓋18の材料がヤング率159GPaのコバールである場合、板50の材料として、ヤング率200GPaのジルコニア(ZrO2)、ヤング率360GPaのアルミナ(Al2O3)、ヤング率440GPaの炭化ケイ素(SiC)等の材料が採用可能である。また、板50は、ベース10より高い剛性を有する材料から構成され得る。例えばベース10の材料がヤング率360GPaのアルミナである場合、板50の材料として、ヤング率440GPaの炭化ケイ素(SiC)等の材料が採用可能である。板50が蓋18又はベース10より高い剛性を有することにより、板50がベース10の歪みに対抗できる可能性が高くなる。このため、電子デバイス1は、板50の剛性が蓋18又はベース10より低い場合と比べて歪みに対して強い耐性を有する。
板50は、蓋18より低い熱膨張係数を有する材料から構成され得る。例えば蓋18の材料が熱膨張係数4.9×10-6K-1(RT−400℃)のコバールである場合、板50の材料として、熱膨張係数4.1×10-6K-1(RT−400℃)の炭化ケイ素等の材料が採用可能である。また、板50は、ベース10より低い熱膨張係数を有する材料から構成され得る。例えばベース10の材料が熱膨張係数7.0×10-6K-1(RT−400℃)のアルミナである場合、板50の材料として、熱膨張係数4.1×10-6K-1(RT−400℃)の炭化ケイ素(SiC)等の材料が採用可能である。板50が蓋18又はベース10より低い熱膨張係数を有することにより、板50が蓋18の収縮によるベース10の歪みに対抗できる可能性が高くなる。このため、電子デバイス1は、板50の熱膨張係数が蓋18又はベース10より高い場合と比べて、熱応力により生じる歪みに対して強い耐性を有する。
電子デバイス1の内部、即ち収容空間Aの気圧は、1atmより高くてもよい。このとき、収容空間Aの気圧が1atmよりも低い場合と比べて、電子デバイス1が外部から受ける力に対して変形が起こりにくいため、ベース10の歪みを抑制することができる。反対に収容空間Aの気圧は、1atmより低くてもよい。このとき、収容空間の気圧が1atmより高い場合と比べて、蓋18の剥離を抑制することができる。
図3は、電子デバイス1の動作を説明するブロック図である。図3に示すように、第1素子20は、例えば、X軸センサー部21x、Y軸センサー部21y及びZ軸センサー部21zを有する。X軸センサー部21xはX軸方向の加速度を検知し、Y軸センサー部21yはY軸方向の加速度を検知し、Z軸センサー部21zはZ軸方向の加速度を検知する。X軸センサー部21x、Y軸センサー部21y及びZ軸センサー部21zは、それぞれ検知した加速度に応じて変化する信号を第2素子40に出力する。
第2素子40は、信号処理部45及び出力部46を回路素子における論理構造として有する。信号処理部45は、加速度に応じた信号を第1素子20から入力し、所定の形式の信号、例えばバイアス方式の信号に変換する。出力部46は、信号処理部45において変換された信号を、加速度を示すデータとして出力する。
図4は、第1素子20の構造の一例を説明する平面図である。図5は、図4のV−V線における断面図である。図4及び図5に示すように、第1素子20は、ベース基板22及びキャップ部23を有する容器25と、容器25内に収容されたX軸センサー部21x、Y軸センサー部21y及びZ軸センサー部21zとを有する。X軸センサー部21x、Y軸センサー部21y、及びZ軸センサー部21zのそれぞれは、例えば、シリコン基板から形成され、リン(P)やボロン(B)等の不純物イオンがドープされることにより導電性を有している。
ベース基板22は、上面においてそれぞれ開口する第1凹部221、第2凹部222及び第3凹部223を有する。第1凹部221は、その上方に配置されるX軸センサー部21xが可動となるための隙間として機能する。同様に、第2凹部222は、その上方に配置されるY軸センサー部21yが可動となるための隙間として機能する。第3凹部223は、その上方に配置されるZ軸センサー部21zが可動となるための隙間として機能する。
ベース基板22は、上面においてそれぞれ開口する第1溝部211a,211b,211c、第2溝部212a,212b,212c及び第3溝部213a,213b,213cを有する。第1溝部211a,211b,211cは、第1凹部221の周囲から接続端子29に宛てて延伸する。第1溝部211a,211b,211c内にはX軸センサー部21xと接続端子29との間を電気的に接続する第1配線271,272,273が配置されている。第2溝部212a,212b,212cは、第2凹部222の周囲から接続端子29に宛てて延伸する。第2溝部212a,212b,212c内にはY軸センサー部21yと接続端子29との間を電気的に接続する第2配線281,282,283が配置されている。第3溝部213a,213b,213cは、第3凹部223の周囲から接続端子29に宛てて延伸する。第3溝部213a,213b,213c内にはZ軸センサー部21zと接続端子29との間を電気的に接続する第3配線291,292,293が配置されている。
ベース基板22の材料として、例えば硼珪酸ガラスのような、アルカリ金属イオンを含むガラス材料が採用可能である。この場合、ベース基板22は、シリコン基板から形成されるX軸センサー部21x、Y軸センサー部21y及びZ軸センサー部21zのそれぞれに、陽極接合により強固に接合することができる。また、ベース基板22が光透過性を有することができるため、ベース基板22を介して容器25の内部を観察することが可能となる。ベース基板22の材料は、ガラス材料に限定されず、例えば、高抵抗なシリコン材料であってもよい。この場合、ベース基板22と、X軸センサー部21x、Y軸センサー部21y及びZ軸センサー部21zとの接合は、例えば、直接接合、シロキサン結合により実現されてもよく、樹脂系接着材、ガラスペースト、金属層等を介して実現されてもよい。
キャップ部23は、下面において開口する第4凹部231を有する。キャップ部23の下面は、接合材24を介してベース基板22の上面に接合される。第4凹部231は、第1凹部221、第2凹部222及び第3凹部223と共に、X軸センサー部21x、Y軸センサー部21y及びZ軸センサー部21zを収容する気密封止された内部空間Bを定義する。キャップ部23は、例えばシリコン基板から形成される。この場合、接合材24として低融点ガラス接着材であるガラスフリットが採用可能である。
キャップ部23がベース基板22に単に接合された状態において、内部空間Bは、第1溝部211a〜211c、第2溝部212a〜212c及び第3溝部213a〜213cのそれぞれを介してキャップ部23の外側に通じている。このため、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いた化学気相成長(CVD)法等により形成されたシリコン酸化膜(SiO2膜)によって、第1溝部211a〜211c、第2溝部212a〜212c及び第3溝部213a〜213cのそれぞれが閉塞される。
キャップ部23は、第4凹部231からキャップ部23の外側に貫通する封止孔27を有する。封止孔27は、内径が非線形に変化する段差を有する。封止孔27内において段差から内径が大きい側には封止金属26が配置されている。封止金属26は、例えば溶融された金ゲルマニウム合金(AuGe)を用いて形成される。封止金属26は、内部空間Bを窒素(N2)雰囲気とした状態で封止している。
図6は、X軸センサー部21xの概略構成を説明する斜視図である。図6に示すように、X軸センサー部21xは、X軸方向に沿って配列された一対の支持部611,612と、錘として機能する可動部62と、一対の連結部631,632と、複数の第1固定電極指64と、複数の第2固定電極指65とを有する。可動部62は、基部621と、基部621のY軸方向における両端側からY軸方向に沿ってそれぞれ延伸する複数の可動電極指622とを有する。
支持部611,612は、例えばベース基板22の上面22fに陽極接合されることにより、ベース基板22に対して固定される。支持部611は、図示しない導電性バンプを介して、第1配線271(図4参照)に電気的に接続される。支持部611は連結部631に連結され、支持部612は連結部632に連結される。連結部631,632は、Y軸方向に沿って延伸する部分をそれぞれ有するため、X軸方向に弾性変形可能である。可動部62は、X軸方向における両端側において、それぞれ連結部631,632に連結される。このため可動部62は、図6において矢印aで示すように、一対の連結部631,632をそれぞれ介して、X軸方向に変位可能に一対の支持部611,612に支持される。
複数の第1固定電極指64は、可動電極指622それぞれのX軸方向における一方側に対向して配置される。即ち、第1固定電極指64は、可動電極指622に対して間隔を隔てて噛み合う櫛歯状をなして、インターディジタルに並んでいる。第1固定電極指64のそれぞれは、例えば、根元側において、ベース基板22の上面22fに陽極接合され、導電性バンプB12を介して第1配線272に電気的に接続される。
複数の第2固定電極指65は、可動電極指622それぞれのX軸方向における他方側に対向して配置される。即ち、第2固定電極指65は、可動電極指622に対して間隔を隔てて噛み合う櫛歯状をなして、インターディジタルに並んでいる。第2固定電極指65のそれぞれは、例えば、根元側において、ベース基板22の上面22fに陽極接合され、導電性バンプB13を介して第1配線273に電気的に接続される。
X軸センサー部21xにX軸方向の加速度が加わると、その加速度の大きさに応じて、可動部62が、連結部631,632を弾性変形させながら、X軸方向に変位する。可動部62の変位に伴って、可動電極指622と第1固定電極指64との間の静電容量及び可動電極指622と第2固定電極指65との間の静電容量の大きさがそれぞれ変化する。これらの静電容量の変化に基づいて第2素子40にてX軸方向の加速度が求められる。
図7は、Y軸センサー部21yの概略構成を説明する斜視図である。Y軸センサー部21yは、例えば、X軸センサー部21xをZ軸方向に沿う回転軸の回りに回転したものと同様の構成を有する。図7に示すように、Y軸センサー部21yは、Y軸方向に沿って配列された一対の支持部711,712と、錘として機能する可動部72と、一対の連結部731,732と、複数の第1固定電極指74と、複数の第2固定電極指75とを有する。可動部72は、基部721と、基部721のX軸方向における両端側からX軸方向に沿ってそれぞれ延伸する複数の可動電極指722とを有する。
支持部711,712は、例えばベース基板22の上面22fに陽極接合されることにより、ベース基板22に対して固定される。支持部711は、図示しない導電性バンプを介して、第2配線281(図4参照)に電気的に接続される。支持部711は連結部731に連結され、支持部712は連結部732に連結される。連結部731,732は、X軸方向に沿って延伸する部分をそれぞれ有するため、Y軸方向に弾性変形可能である。可動部72は、Y軸方向における両端側において、それぞれ連結部731,732に連結される。このため可動部72は、図7において矢印bで示すように、一対の連結部731,732をそれぞれ介して、Y軸方向に変位可能に一対の支持部711,712に支持される。
複数の第1固定電極指74は、可動電極指722それぞれのY軸方向における一方側に対向して配置される。即ち、第1固定電極指74は、可動電極指722に対して間隔を隔てて噛み合う櫛歯状をなして、インターディジタルに並んでいる。第1固定電極指74のそれぞれは、例えば、根元側において、第2凹部222におけるベース基板22の上面に陽極接合され、導電性バンプB22を介して第2配線282に電気的に接続される。
複数の第2固定電極指75は、可動電極指722それぞれのY軸方向における他方側に対向して配置される。即ち、第2固定電極指75は、可動電極指722に対して間隔を隔てて噛み合う櫛歯状をなして、インターディジタルに並んでいる。第2固定電極指75のそれぞれは、例えば、根元側において、ベース基板22の上面22fに陽極接合され、導電性バンプB23を介して第2配線283に電気的に接続される。
Y軸センサー部21yにY軸方向の加速度が加わると、その加速度の大きさに応じて、可動部72が、連結部731,732を弾性変形させながら、Y軸方向に変位する。可動部72の変位に伴って、可動電極指722と第1固定電極指74との間の静電容量及び可動電極指722と第2固定電極指75との間の静電容量の大きさがそれぞれ変化する。これらの静電容量の変化に基づいて第2素子40にてY軸方向の加速度が求められる。
図8は、Z軸センサー部21zの概略構成を説明する斜視図である。図8に示すように、Z軸センサー部21zは、支持部811と、可動部82と、支持部811と可動部82との間を連結する一対の連結部831,832と、第1検出電極211gと、第2検出電極211hと、対向電極211iとを有する。支持部811は、例えば第3凹部223におけるベース基板22の上面に陽極接合されることにより、ベース基板22に対して固定される。支持部811は、図示しない導電性バンプを介して、第3配線291(図4参照)に電気的に接続される。
可動部82は、上面から下面に貫通する貫通窓を有する。支持部811は、Z軸方向から見て可動部82の貫通窓内に配置される。連結部831,832は、支持部811のX軸方向における両端側からX軸方向にそれぞれ延伸し、可動部82の貫通窓の内側面に連結する。可動部82は、Y軸方向において支持部811より一方側に位置する第1錘部821と、第1錘部821より重く、支持部811より他方側に位置する第2錘部822とを有する。第1錘部821及び第2錘部822は、Z軸方向の加速度が加わったときの慣性モーメントが互いに異なっている。このため可動部82は、Z軸方向の加速度が生じるとZ軸方向に対して傾斜し、一対の連結部831,832をX軸方向に沿う回転軸Jとしてシーソーのように揺動する。
第1検出電極211gは、第3凹部223におけるベース基板22の上面、即ち第3凹部223の底面の、第1錘部821の下面と対向する領域に配置される。第1検出電極211gは、第3配線292(図4参照)に電気的に接続される。第2検出電極211hは、第3凹部223の底面の、第2錘部822の下面と対向する領域に配置される。第2検出電極211hは、第3配線293(図4参照)に電気的に接続される。第1検出電極211g及び第2検出電極211hは、回転軸Jを通るX−Z平面に関して鏡像対称性を有する。
対向電極211iは、第3凹部223の底面の、第2錘部822の下面と対向する領域のうち、第2検出電極211hの隣の、回転軸Jと反対側の領域に配置される。対向電極211iは、ダミー電極であってもよい。第1検出電極211g、第2検出電極211h、及び対向電極211iは、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明な導電性材料で構成され得る。
Z軸センサー部21zにZ軸方向の加速度が加わると、その加速度の大きさに応じて、可動部82が回転軸Jの回りに揺動する。即ち、第1錘部821と第1検出電極211gとの間に距離と、第2錘部822と第2検出電極211hとの間の距離とが変化する。よって、第1錘部821と第1検出電極211gとの間に生じる静電容量と、第2錘部822と第2検出電極211hとの間に生じる静電容量とが変化する。これらの静電容量の変化に基づいて第2素子40にてZ軸方向の加速度が求められる。即ち、Z軸センサー部21zは、可動部82と、検出電極としての第1検出電極211g及び第2検出電極211hとの間の距離の変化に応じた信号を第2素子40に出力する。
上述のように、板50の、Y軸方向における両端側の2つの辺、即ちX軸方向に沿う2つの辺が側壁12に接することにより、ベース10のY−Z平面におけるせん断歪みが抑制されている。板50がない場合、板50がある場合と比べて大きな歪みがベース10に生じ得る。ベース10の歪みは底部11から第1素子20に伝達し、加速度の検知結果にノイズとして表れる。特に、Z軸センサー部21zの可動部82の回転軸Jは、X軸方向に沿っており、Y−Z平面における歪みは、可動部82と第1検出電極211g及び第2検出電極211hとの間の距離を変えてしまう。このため、Z軸センサー部21zの精度は、X軸センサー部21x及びY軸センサー部21yと比べて著しく悪化する恐れがある。板50は、Y−Z平面におけるせん断歪みを抑制することにより、Z軸センサー部21zの検知精度の悪化を抑制している。言い換えれば、加速度の検出精度に与える影響を無視できれば、回転軸Jに沿う方向における板50の両端側は、側壁12に必ずしも接しなくてよい。これにより、材料の削減や組み立て工程の簡略化により製造コストの低減が可能となる場合がある。
以上に説明したように、第1実施形態に係る電子デバイス1によれば、側壁12の内側に板50が固定されるため、電子デバイス1の機械的強度が向上されている。更に、電子デバイス1によれば、ベース10の側面視において、板50が第1ワイヤー35に重なる。このため、電子デバイス1は、板50により機械的強度を確保しながら、高さの増大を抑制することができる。
(変形例)
第1実施形態の変形例に係る電子デバイス1Aを、図9及び図10を参照して説明する。図9は、電子デバイス1Aの概略構成を説明する平面図である。図10は、図9のX−X線における断面図である。図9及び図10に示すように、電子デバイス1Aは、板50Aが切欠き部51に加えて貫通窓52を有する点で上述の第1実施形態と異なる。第1実施形態の変形例において説明しない構成、作用及び効果は、既述の第1実施形態と同様である。
貫通窓52は、板50Aの上面から下面に貫通する窓である。貫通窓52は、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第1素子20の4辺のうち内部端子17と反対側の1つの辺に沿って第1素子20上に配置された接続端子29と、第2素子40の上面の接続端子29側の領域に配置された第2端子42とを含む矩形の領域に設けられる。板50Aは、切欠き部51及び貫通窓52を有するため、図10に示すように、ベース10の側面視において、第1ワイヤー35及び第2ワイヤー36に重なる。即ち、底部11の上面に一致する平面を基準とするレベルにおいて、板50Aは第1ワイヤー35及び第2ワイヤー36に重なる。
第1実施形態の変形例に係る電子デバイス1Aによれば、第2素子40上の第1端子41及び第2端子42と板50Aとの接触、或いはワイヤー(35,36)と板50Aとの接触に起因する導通不良を考慮する必要がない。このため、板50Aと第2素子40との距離を更に近づけることが可能となる。即ち、第1実施形態の変形例に係る電子デバイス1Aによれば、板50Aにより機械的強度を確保しながら、高さを更に低減することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る電子デバイス1Bを、図11及び図12を参照して説明する。図11は、電子デバイス1Bの概略構成を説明する平面図である。図12は、図11のXII−XII線における断面図である。図11及び図12に示すように、電子デバイス1Bは、第1素子20及び第2素子40とベース10との電気的接続がボンディングワイヤーでなく配線基板により行われる点で第1実施形態と異なる。第2実施形態において説明しない構成、作用及び効果は、第1実施形態と同様である。
電子デバイス1Bのベース10は、段差部15の上面に互いに離間して配置された複数の第1内部端子171及び複数の第2内部端子172を備える。第1内部端子171及び第2内部端子172の構成は、第1実施形態における内部端子17と同様である。第1内部端子171は、例えばZ軸方向から見た平面パターンにおいて、枠状の段差部15の1辺に沿って配置される。第2内部端子172は、例えば第1内部端子171と反対側の1辺に沿って配置される。
板50Bは、例えば、切欠き部を有しない矩形平板状である。板50Bは、底部11と蓋18との間に配置され、側壁12に固定される。具体的には、板50Bは、第2素子40の上面と蓋18との間において、底部11の上面に対して平行に配置される。板50Bは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、4辺に対応する領域の段差部15及び肉薄部14の内側の表面に接する。板50Bは、側壁12に固定されるために、側壁12に接合されてもよく、ベース10のキャビティーの開口から段差部15まで嵌め込まれてもよい。板50Bの材料は、第1実施形態の板50と同様であってよい。板50Bは、図示しない封止材を介して段差部15および肉薄部14の内側の表面に接合されてもよい。板50Bは、ベース10を段差部12でキャビティーの開口を塞ぐことにより、ベース10と共に第1素子20及び第2素子40等を収容する収容空間Cを定義する。収容空間Cは、底部11の上面、側壁12の内側の表面及び板50Bの下面に囲まれた気密封止空間として定義される。
電子デバイス1Bは、板50Bの下面に設けられた複数の第1配線層53及び複数の第2配線層54を備える。第1配線層53及び第2配線層54は、例えばパターニングされた金属薄膜からなる。第1配線層53は、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第1内部端子171から第1端子41まで延伸する。第2配線層54は、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第2内部端子172から第2端子42まで延伸する。板50B、第1配線層53及び第2配線層54は、第1素子20及び第2素子40とベース10との間を電気的に接続する配線基板として機能する。板50B、第1配線層53及び第2配線層54の材料として、直接銅接合(DCB)基板を用いてもよい。
電子デバイス1Bは、第1素子20と第2素子40との間に配置される第1接続基板33と、第2素子40と板50Bとの間に配置される第2接続基板34とを備える。第1接続基板33は、第1基板330と、第1基板330の上面から下面に貫通する複数の第1接続電極331とを有する。第1接続電極331は、図11及び図12において図示しない第1素子20の接続端子と第2素子40の端子との間を電気的に接続する。第1基板330は、例えば、複数の貫通孔を有するシリコン基板やガラス基板等である。この場合、第1接続電極331は、はんだや銅等の金属材料を用いて構成されるシリコン貫通電極(TSV)、ガラス貫通電極(TGV)等である。但し、第1基板330の材料は特に限定されず、第1基板330は少なくとも表面に絶縁性を有する基板であればよい。第1接続電極331も同様に、多結晶シリコン等、金属以外の導電性材料であってもよい。
第2接続基板34は、第2基板340と、第1端子41に対応して設けられた複数の第2接続電極341と、第2端子42に対応して設けられた複数の第3接続電極342とを有する。第2接続電極341は、第1端子41と第1配線層53との間を電気的に接続する。第3接続電極342は、第2端子42と第2配線層54との間を電気的に接続する。第2接続基板34の構成は、第1接続基板33と同様である。即ち、第2基板340の材料として、シリコン、ガラス等を含む種々の絶縁材料が採用可能である。また、第2接続電極341及び第3接続電極342の材料として、金属材料を含む種々の導電性材料が採用可能である。第2接続基板34の厚さは、第2素子40と第1配線層53及び第2配線層54との間の最短距離に相当する。
段差部15の上面及び第2接続基板34の上面の各面レベルは、互いに一致する。これにより、同一平面上に位置する配線層、即ち第1配線層53及び第2配線層54は、第1素子20及び第2素子40とベース10との間を電気的に接続する。即ち、第1接続基板33及び第2接続基板34の厚さの総計を小さく調整すれば、底部11からZ軸方向に測った段差部15の高さを低くすることができるため、電子デバイス1Bの高さを更に低減することができる。
第2実施形態に係る電子デバイス1Bによれば、第1素子20及び第2素子40とベース10との間が配線基板と同等の構成により電気的に接続されるため、ボンディングワイヤーに必要な空間を考慮する必要がない。このため、電子デバイス1Bは、機械的強度を確保しながら、Z軸方向の高さを更に削減することができ、更に、ワイヤーの断線や接触による導通不良の可能性を低減することができる。
(第1変形例)
第2実施形態の第1変形例に係る板50Baを、図13〜図16を参照して説明する。図13は、板50Baの概略構成を説明する斜視図である。図14は、板50Baの下層を説明する底面図である。図15は、板50Baの中層を説明する底面図である。図16は、板50Baの上層を説明する底面図である。板50Baは、図13に示すように多層構造を有する点で上述の第2実施形態と異なる。第2実施形態の第1変形例において説明しない構成、作用及び効果は、既述の第2実施形態と同様である。
図13に示すように、板50Baは、下層基板501、中層基板502及び上層基板503が順に積層された3層構造の積層基板である。図14に示すように、下層基板501は、複数の第1貫通電極5011、複数の第2貫通電極5012、複数の第3貫通電極5013及び複数の第4貫通電極5014を有する。第1貫通電極5011は、Z軸方向から見た平面パターンにおいて第1内部端子171(図11参照)に対応して配置される。同様に、第2貫通電極5012は、第2素子40の第1端子41に対応して配置される。第3貫通電極5013は、第2端子42に対応して配置され、第4貫通電極5014は、第2内部端子172に対応して配置される。
図15に示すように、第2実施形態の第2変形例において、第1配線層53及び第2配線層54は、中層基板502の下面に配置される。換言すれば、第1配線層53及び第2配線層54は、下層基板501と中層基板502との間に配置される。上層基板503は、板50Baの剛性を向上する目的で中層基板502上に積層される。但し、上層基板503は必須ではない。板50Baは、中層基板502を上層基板として、下層基板501と上層基板との2層の積層基板であってもよく、4層以上の積層基板であってもよい。
下層基板501、中層基板502及び上層基板503は、例えば、複数の貫通孔を有する基板である。この場合、第1貫通電極5011、第2貫通電極5012、第3貫通電極5013及び第4貫通電極5014は、はんだや銅等の金属材料を用いて構成されるTSV、TGV等である。下層基板501、中層基板502及び上層基板503の材料は、蓋18より高い剛性を有する材料から構成され得る。また、下層基板501、中層基板502及び上層基板503の材料は、ベース10より高い剛性を有する材料から構成され得る。また、下層基板501、中層基板502及び上層基板503の材料は、蓋18より低い熱膨張係数を有する材料から構成され得る。また、下層基板501、中層基板502及び上層基板503の材料は、ベース10より低い熱膨張係数を有する材料から構成され得る。下層基板501、中層基板502及び上層基板503は、少なくとも他の配線と接し得る表面に絶縁性を有する基板であればよい。第1貫通電極5011、第2貫通電極5012、第3貫通電極5013及び第4貫通電極5014も同様に、多結晶シリコン等、金属以外の導電性材料であってもよい。
(第2変形例)
第2実施形態の第2変形例に係る電子デバイス1Cを、図17を参照して説明する。図17は、電子デバイス1Cの概略構成を説明する断面図である。電子デバイス1Cは、第1素子20及び第2素子40の電気的接続が、第1接続基板33及び第2接続基板34でなく金属バンプ等を用いたフリップチップボンディングにより行われる点で上述の第2実施形態と異なる。第2実施形態の第2変形例において説明しない構成、作用及び効果は、既述の第2実施形態と同様である。
図17に示すように、電子デバイス1Cは、図示しない第1素子20の接続端子と第2素子40の端子との間をそれぞれ電気的に接続する複数の第1バンプ320と、第1端子41と第1配線層53との間をそれぞれ電気的に接続する複数の第2バンプ321と、第2端子42と第2配線層54との間をそれぞれ電気的に接続する複数の第3バンプ322とを備える。第1バンプ320、第2バンプ321及び第3バンプ322は、例えば、はんだ、金(Au)等の金属材料からなる。図17において図示を省略しているが、図12における第1基板330及び第2基板340のそれぞれに相当する領域に絶縁性接着材が配置されてもよい。
第2実施形態の第2変形例に係る電子デバイス1Cによれば、導電性バンプを用いることにより、接続基板を用いる場合と比べて容易に、第1素子20及び第2素子40とベース10との間を電気的に接続することができる。よって、電子デバイス1Cは、Z軸方向の高さを更に削減することができ、更に、ワイヤーの断線や接触による導通不良の可能性を低減することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る電子デバイス1Dを、図18〜図20を参照して説明する。図18は、電子デバイス1Dの概略構成を説明する断面図である。図19は、電子デバイス1Dが備える一体蓋500Dの構造を説明する平面図である。図20は、一体蓋500Dの構造を説明する側面図である。図18に示すように、電子デバイス1Dは、蓋18及び板50の代わりに一体蓋500Dを備える点で第1実施形態と異なる。第3実施形態において説明しない構成、作用及び効果は第1実施形態と同様である。
一体蓋500Dは、矩形平板状の蓋部18Dと、蓋部18Dの下面に連結された板部50Dとを有する。蓋部18Dは、肉薄部14の上面、即ち側壁12の上面に接合される。蓋部18Dは、例えば、図示しない封止材を介して側壁12の上面に接合される。即ち、蓋部18Dは、第1実施形態における蓋18として機能する。
板部50Dは、底部11と蓋部18Dとの間に配置され、側壁12に固定される。具体的には、板部50Dは、第2素子40の上面と蓋部18Dとの間において、底部11の上面に対して平行に配置される。板部50Dは、概略として矩形平板状である。図19及び図20に示すように、板部50Dは、第1ワイヤー35との接触を避けるように設けられた切欠き部51Dを有する。板部50Dは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、U字型をなす3つの辺に対応する領域の段差部15及び肉薄部14の内側の表面に接する。板部50Dは、側壁12に固定されるために、側壁12に接合されてもよく、ベース10のキャビティーの開口から段差部15まで嵌め込まれてもよい。即ち、板部50Dは、第1実施形態における板50として機能する。
板部50Dは、切欠き部51Dを有するため、図18に示すように、ベース10の側面視において、第1ワイヤー35に重なる。即ち、底部11の上面に一致する平面を基準とするレベルにおいて、板部50Dは、第1ワイヤー35に重なる。
以上のように、一体蓋500Dは、第1実施形態における蓋18及び板50が互いに接合された物体と等価である。一体蓋500Dは、上層をなす蓋部18Dと、下層をなす板部50Dとが互いに接合された物体であってもよく、蓋部18Dと板部50Dとが一体に形成された物体であってもよい。
第3実施形態に係る電子デバイス1Dによれば、第1実施形態における蓋18及び板50に相当する蓋部18D及び板部50Dが互いに接合された一体蓋500Dを備えるため、第1実施形態における蓋18と板50との間隙をなくすことができる。即ち、機械的強度を確保しながら、肉薄部14の高さを低減することができるため、電子デバイス1Dの高さを更に低減することが可能となる。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る電子デバイス1Eを、図21〜図23を参照して説明する。図21は、電子デバイス1Eの概略構成を説明する断面図である。図22は、電子デバイス1Eが備える一体蓋500Eの構造を説明する平面図である。図23は、一体蓋500Eの構造を説明する側面図である。図21に示すように、電子デバイス1Eは、蓋18及び板50Bの代わりに一体蓋500Eを備える点で第2実施形態と異なる。第4実施形態において説明しない構成、作用及び効果は第2実施形態と同様である。
一体蓋500Eは、矩形平板状の蓋部18Eと、蓋部18Eの下面に連結された矩形平板状の板部50Eとを有する。蓋部18Eは、肉薄部14の上面、即ち側壁12の上面に接合される。蓋部18Eは、例えば、図示しない封止材を介して側壁12の上面に接合される。即ち、蓋部18Eは、第2実施形態における蓋18として機能する。
板部50Eは、底部11と蓋部18Eとの間に配置され、側壁12に固定される。具体的には、板部50Eは、第2素子40の上面と蓋部18Eとの間において、底部11の上面に対して平行に配置される。板部50Eは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、4辺に対応する領域の段差部15及び肉薄部14の内側の表面に接する。板部50Eは、側壁12に固定されるために、側壁12に接合されてもよく、ベース10のキャビティーの開口から段差部15まで嵌め込まれてもよい。即ち、板部50Eは、第2実施形態における板50Bとして機能する。
図22及び図23に示すように、板部50Eの下面には、第1配線層53E及び第2配線層54Eが配置されている。第1配線層53E及び第2配線層54Eは、例えばパターニングされた金属薄膜からなる。第1配線層53Eは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第1内部端子171から第1端子41まで延伸する。第2配線層54Eは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第2内部端子172から第2端子42まで延伸する。板部50E、第1配線層53E及び第2配線層54Eは、第1素子20及び第2素子40とベース10との間を電気的に接続する配線基板として機能する。
第4実施形態における第1素子20及び第2素子40は、第2実施形態の第2変形例と同様に、第1バンプ320、第2バンプ321及び第3バンプ322を介してベース10に電気的に接続される。即ち、第1バンプ320は、図示しない第1素子20の接続端子と第2素子40の端子との間をそれぞれ電気的に接続する。第2バンプ321は、第1端子41と第1配線層53Eとの間をそれぞれ電気的に接続する。第3バンプ322は、第2端子42と第2配線層54Eとの間をそれぞれ電気的に接続する。第1バンプ320、第2バンプ321及び第3バンプ322は、絶縁性接着剤により封止されてもよい。
第4実施形態に係る電子デバイス1Eによれば、第2実施形態における蓋18及び板50Bに相当する蓋部18E及び板部50Eが互いに接合された一体蓋500Eを備えるため、第2実施形態における蓋18と板50Bとの間隙をなくすことができる。即ち、機械的強度を確保しながら、肉薄部14の高さを低減することができるため、電子デバイス1Eの高さを更に低減することが可能となる。
<第5実施形態>
第5実施形態に係る電子デバイス1Fを、図24〜図26を参照して説明する。図24は、電子デバイス1Fの概略構成を説明する断面図である。図25は、電子デバイス1Fが備える一体蓋500Fの構造を説明する平面図である。図26は、一体蓋500Fの構造を説明する側面図である。図24に示すように、電子デバイス1Fは、段差部15を有しないベース10Fを備える点で第4実施形態と異なる。第5実施形態において説明しない構成、作用及び効果は第4実施形態と同様である。
図24に示すように、ベース10Fは、矩形平板状の底部11と、底部11の周縁部から底部に対して垂直に設けられた枠状の側壁12Fとを有する。側壁12Fの外側及び内側の各表面は、Z軸方向から見て矩形をなす4つの平面から構成される。即ち、側壁12Fの厚さは、概ね均一である。ベース10Fは、側壁12Fの上面に互いに離間して配置された複数の第1内部端子171F及び複数の第2内部端子172Fを備える。第1内部端子171Fは、例えばZ軸方向から見た平面パターンにおいて、枠状の側壁12Fの1辺に沿って配置される。第2内部端子172Fは、例えば第1内部端子171Fと反対側の1辺に沿って配置される。
電子デバイス1Fは、側壁12Fの上面に接合され、ベース10Fのキャビティーの開口を塞ぐ一体蓋500Fを備える。一体蓋500Fは、矩形平板状の蓋部18Fと、蓋部18Fの下面に連結された板部55Fとを有する。蓋部18Fは、例えば図示しない封止材を介して側壁12Fの上面に接合される。即ち、蓋部18Fは、第2実施形態における蓋18として機能する。
板部55Fは、底部11と蓋部18Fとの間に配置され、側壁12Fに固定される。図25及び図26に示すように、板部55Fは、概略として矩形平板状である。板部55Fは、Z軸方向から見て矩形の平面パターンを有し、板部55Fの上面から下面に貫通する窓部56Fを有する。板部55Fは、窓部56Fにより、枠型形状を有する。板部55Fは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて外側の4辺に対応する側壁12Fの内側の表面に接する。板部55Fは、側壁12Fに固定されるために、側壁12Fに接合されてもよく、ベース10Fのキャビティーの開口から奥側に嵌め込まれてもよい。即ち、板部55Fは、その一部が第2実施形態における板50Bとして機能する。
蓋部18Fの下面、即ち蓋部18Fと板部55Fとの間には第1配線層53F及び第2配線層54Fが配置されている。第1配線層53F及び第2配線層54Fは、例えばパターニングされた金属薄膜からなる。第1配線層53Fは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第1内部端子171Fから第1端子41まで延伸する。第2配線層54Fは、Z軸方向から見た平面パターンにおいて、第2内部端子172Fから第2端子42まで延伸する。蓋部18F、第1配線層53F及び第2配線層54Fは、第1素子20及び第2素子40とベース10との間を電気的に接続する配線基板として機能する。
側壁12Fの上面及び第2接続基板34の上面の各面レベルは、互いに一致する。これにより、同一平面上に位置する第1配線層53F及び第2配線層54Fは、第1素子20及び第2素子40とベース10Fとの間を電気的に接続する。第5実施形態において、板部55Fは、ベース10Fの側面視において、第2素子40に重なる。即ち、板部55Fは、底部11の上面に一致する平面を基準とするレベルにおいて、第2素子40に重なる。即ち、第5実施形態に係る電子デバイス1Fによれば、機械的強度を確保しながら、第2実施形態と比べて更に高さを低減することができる。
<第6実施形態>
第6実施形態に係る電子デバイス1Gを、図27を参照して説明する。図27は、電子デバイス1Gの概略構成を説明する断面図である。電子デバイス1Gは、第1素子20G及び第2素子40Gの配置が逆転している点で第1実施形態と異なる。第6実施形態において説明しない構成、作用及び効果は、第1実施形態と同様である。
電子デバイス1Gは、第1実施形態と同様に、MEMS素子である第1素子20Gと、集積回路素子である第2素子40Gとを備える。但し、第2素子40Gは、底部11の上面に第1接着層31を介して取り付けられ、第1素子20Gは、第2素子40Gの上面に第2接着層32を介して取り付けられている。例えば、第2素子40Gは、その上面に配置された複数の接続端子47Gを備える。第1素子20Gは、その上面にそれぞれ配置された複数の第1端子49G及び複数の第2端子48Gを備える。例えば、複数の第1ワイヤー35Gは、それぞれ内部端子17と第1端子49Gとの間を電気的に接続する。複数の第2ワイヤー36Gは、それぞれ第2素子40Gの接続端子47Gと第2端子48Gとの間をそれぞれ電気的に接続する。
以上のような構成の場合であっても、板50は、第1ワイヤー35Gとの接触を避けるように設けられた切欠き部51を有するため、ベース10の側面視において、第1ワイヤー35Gに重なる。板50は、底部11の上面に一致する平面を基準とするレベルにおいて、第1ワイヤー35Gに重なる。よって、板50により電子デバイス1Gの機械的強度を確保しながら、電子デバイス1の高さの増大を抑制することができる。
<第7実施形態>
第7実施形態に係る電子デバイス1Hを、図28を参照して説明する。図28は、電子デバイス1Hの概略構成を説明する断面図である。電子デバイス1Hは、第1素子20H及び第2素子40Hが積層されない点で第1実施形態と異なる。第7実施形態において説明しない構成、作用及び効果は、第1実施形態と同様である。
電子デバイス1Hが備える第1素子20H及び第2素子40Hは、共に底部11の上面に第1接着層31を介して取り付けられている。例えば、第2素子40Hは、その上面に配置された複数の接続端子47Hを備える。第1素子20Hは、その上面にそれぞれ配置された複数の第1端子49H及び複数の第2端子48Hを備える。例えば、複数の第1ワイヤー35Hは、それぞれ内部端子17と第1端子49Hとの間を電気的に接続する。複数の第2ワイヤー36Hは、それぞれ第2素子40Hの接続端子47Hと第2端子48Hとの間をそれぞれ電気的に接続する。
第7実施形態に係る電子デバイス1Hによれば、第1素子20H及び第2素子40Hが互いに積層されないため、Z軸方向における高さを更に低減することができる。更に、配線基板、一体蓋等、第2実施形態〜第6実施形態において説明した各構成を任意に応用することにより、電子デバイス1Hの機械的強度を確保しながら、高さ方向の寸法を更に削減できることは勿論である。
<第8実施形態>
第1〜第7実施形態に係る電子デバイスを適用することにより、小型の電子機器を構成可能である。一例として、第8実施形態に係る電子機器1100を、図29を参照して説明する。図29は、電子機器1100を図示した一例である。電子機器1100は、モバイル型のパーソナルコンピューター(PC)である。以下、第1〜第7実施形態に係る電子デバイスの何れかを単に「電子デバイス1」として説明する。また、以下において電子デバイス1を物理量センサーとして例示的に説明する。
図29に示す例において、電子機器1100は、キーボード1102を備える本体部1104と、ディスプレイ1108を備える表示ユニット1106とにより構成される。キーボード1102は、電子機器1100が備える入力インターフェイスの1つである。表示ユニット1106は、例えば、ヒンジ構造部を介して本体部1104に対して回転運動可能に支持される。本体部1104は、電子デバイス1と、電子デバイス1の出力信号に応じて電子機器1100の例えば傾き、姿勢、位置、速度等の運動情報を検出する制御回路1110とをその内部に備える。制御回路1110は、例えば、検出された運動情報に応じて、ディスプレイ1108に表示する映像を制御したり、予め記憶する地図における位置情報を算出したりする。
電子機器1100は、サイズの増大が抑制された電子デバイス1を備えることにより、例えば、本体部1104の厚さを薄くして小型化を実現したり、増加した収容スペースに他の要素を追加して性能を向上したりすることができる。
<第9実施形態>
電子機器の他の例として、第9実施形態に係る電子機器1200を、図30を参照して説明する。図30は、電子機器1200を図示した一例である。電子機器1200は、携帯型電話機の一種であるスマートフォンである。
図30に示す例において、電子機器1200は、電子デバイス1と、処理回路を含む制御部1201と、ディスプレイ1208とを備える。なお、図30では、制御部1201のみを機能ブロックとして図示しているため、制御部1201が電子機器1200の本体の外側に位置するが、実際には制御部1201は電子機器1200の本体に内蔵される。制御部1201は、中央演算処理装置(CPU)を含み得る。制御部1201は、電子デバイス1から出力された信号に応じて、電子機器1200の例えば傾き、姿勢、位置、速度等の運動情報を検出する。
制御部1201は、例えば、検出された運動情報に応じて、ディスプレイ1208に表示する映像を制御したり、予め記憶する地図における位置情報を算出したりする所定の制御を実行する。その他、制御部1201は、電子機器1200が備えるスピーカーを介して警告音や、効果音を再生したり、振動モーターを駆動して電子機器1200を振動させたりすることができる。これにより、例えば制御部1201が、ゲームのアプリケーションを実行する場合にはユーザーに臨場感を与えることができる。
電子機器1200は、サイズの増大が抑制された電子デバイス1を備えることにより、例えば、本体の厚さを薄くして小型化を実現したり、増加した収容スペースに他の要素を追加して性能を向上したりすることができる。
<第10実施形態>
電子機器の他の例として、第10実施形態に係る電子機器1300を、図31を参照して説明する。図31は、電子機器1300及び電子機器1300に接続される外部機器を図示した一例である。電子機器1300は、例えば静止画及び動画を撮影可能なデジタルカメラである。
電子機器1300は、ケース1302と、ケースの正面に配置された受光ユニット1304と、シャッターボタン1306と、メモリー1308と、ケース1302の背面に配置されたディスプレイ1310と、電子デバイス1と、制御回路を含む制御部1316とを備える。受光ユニット1304は、レンズを含む光学系及び固体撮像素子から構成される。例えば、シャッターボタン1306がユーザーにより押下されると、光学系を経た光が固体撮像素子において結像し、撮像信号が固体撮像素子からメモリー1308に転送される。このように、電子機器1300は、撮影された静止画又は動画をメモリー1308に格納することができる。
電子機器1300は、例えば、ケース1302の側面に配置されたビデオ信号出力端子1312及び通信用端子1314を備える。電子機器1300は、テレビモニター1430がビデオ信号出力端子1312に接続されることにより、テレビモニター1430にメモリー1308に格納された静止画又は動画の映像を表示させることが可能となる。また、電子機器1300は、PC1440が通信用端子1314に接続されることにより、静止画又は動画のデータをPC1440と送受信することが可能となる。
制御部1316は、電子デバイス1から出力された信号に応じて、電子機器1300の例えば傾き、姿勢、位置、速度等の運動情報を検出する。制御部1316は、例えば、電子デバイス1の出力信号に基づいて検出された運動情報に応じて、図示しないアクチュエーターを用いて受光ユニット1304を駆動することにより、手振れ補正等の制御を実行することができる。
電子機器1300は、サイズの増大が抑制された電子デバイス1を備えることにより、例えば、本体の厚さを薄くして小型化を実現したり、増加した収容スペースに他の要素を追加して性能を向上したりすることができる。
<第11実施形態>
第1〜第7実施形態に係る電子デバイスを適用することにより、電子機器の他にも種々の装置を構成可能である。一例として、第11実施形態に係る移動体1500を、図32を参照して説明する。図32は、移動体1500を図示した一例である。移動体1500は、自動車である。
移動体1500は、任意の位置に配置された電子デバイス1と、電子デバイス1の出力信号に応じて移動体1500の運動情報を検出する車体姿勢制御装置1502とを備える。制御回路は、移動体1500が備える種々の制御装置に適用可能である。移動体1500は、例えば、車体姿勢制御装置1502を備える。車体姿勢制御装置1502は、電子デバイス1の出力信号に応じて移動体1500の運動情報を検出し、運動情報に応じて車体の姿勢を制御する制御回路である。例えば、車体姿勢制御装置1502は、運動情報に応じて、アクティブサスペンションの減衰力を制御したり、移動体1500の車輪1503のブレーキを個々に制御したりする。
電子デバイス1及び制御回路は、車体姿勢制御の他にも種々の制御に適用可能である。一例として、キーレスエントリーシステム、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS)、エンジンコントロール、自動運転用慣性航法の制御機器、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター等の電子制御ユニット(ECU)等が挙げられる。
移動体1500によれば、サイズの増大が抑制された電子デバイス1を備えることにより、例えば、電子デバイス1が収容されるスペースに他の要素を追加して性能を向上したり、車体サイズを低減又は車室スペースを増加したりすることが可能となる。
<他の実施形態>
以上のように第1〜第11実施形態を説明したが、本発明はこれらの開示に限定されるものではない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成に置換されてよく、また、本発明の技術的範囲内において、任意の構成が省略されたり追加されたりしてもよい。このように、これらの開示から当業者には様々な代替の実施形態が明らかになる。
例えば、第1〜第11実施形態において、第1素子20を3軸加速度センサー素子として説明したが、センサー素子の軸の数は、1又は2、或いは4以上であってもよい。更に、第1素子20は、加速度センサー素子に限るものでなく、圧力センサー素子、角速度センサー素子、又はこれらを組み合わせた複合センサーであってもよい。また、電子デバイス1の平面パターンは、矩形に限るものでなく、設計上の要請に応じて多角形、円形等の種々のパターンであってよい。
また、第8〜第10実施形態において、電子機器の例として、PC、スマートフォン、デジタルカメラを挙げたが、電子機器は他の機器であってもよい。例えば、電子デバイス1を適用する電子機器は、タブレット端末、時計、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地震計、歩数計、傾斜計、ハードディスクの振動を計測する振動計等であってもよい。
また、第11実施形態において、移動体の例として自動車を挙げたが、電子デバイス1は、他の移動体に適用されてもよい。例えば、電子デバイス1を適用する移動体は、二足歩行ロボット、電車、ラジコン飛行機、ラジコンヘリコプター、ドローン、農業機械、建設機械等であってもよい。これらの場合も自動車の場合と同様に、例えば制御回路等と組み合わせて姿勢制御や自己位置検出等の制御を実行することが可能となる。
その他、上述の各構成を相互に応用した構成等、本発明は以上に記載しない様々な実施形態を含むことは勿論である。本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
以下に、上述した実施形態から導き出される内容を、各態様として記載する。
[第1態様]
第1態様は、第1素子と、前記第1素子を収容する、底部及び側壁を有するベースと、前記側壁に接合され、前記ベースと共に前記第1素子を封止する蓋と、前記第1素子と前記ベースに設けられた端子との間を電気的に接続するワイヤーと、前記底部と前記蓋との間に配置され、前記側壁に固定される板と、を備える電子デバイスであることを要旨とする。第1態様では、前記ベースの側面視において、前記板が前記ワイヤーと重なる。
第1態様によれば、板が側壁に固定されるため、電子デバイスの機械的強度が向上される。また、ベースの側面視において、板がワイヤーに重なるため、電子デバイスの高さの増大を抑制することができる。
[第2態様]
第2態様は、第1態様に係る電子デバイスおいて、前記板が、前記ワイヤーと離間することを要旨とする。
第2態様によれば、板がワイヤーに離間するように構成されるため、接触に起因するワイヤーの導通不良を考慮して、板の配置される高さを決定する必要がない。
[第3態様]
第3態様は、第1素子と、前記第1素子を収容する、底部および側壁を有するベースと、前記側壁に接合され、前記ベースと共に前記第1素子を封止する蓋と、前記底部と前記蓋との間に配置され、前記側壁に固定される板と、前記板に設けられ、前記第1素子と前記ベースに設けられた端子との間を電気的に接続する配線層と、を備える電子デバイスであることを要旨とする。
第3態様によれば、板が側壁に固定されるため、電子デバイスの機械的強度が向上される。また、板に設けられた配線層により第1素子とベースとの間を電気的に接続するため、ワイヤーボンディングに必要な空間を考慮する必要がなく、電子デバイスの高さの増大を抑制することができる。
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様の何れかにおいて、前記第1素子が物理量センサー素子であり、前記物理量センサー素子に電気的に接続され、前記ベースに収容される第2素子を更に備えることを要旨とする。
第4態様によれば、ベースが2つの素子を収容する場合であっても、ベースの側面視において板がワイヤーに重なるため、電子デバイスの高さの増大を抑制することができる。更に、第1素子がベースの歪みの影響を受けやすい物理量センサー素子であっても、板により機械的強度が向上されているため、第1素子の検出精度の悪化を抑制することができる。
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記物理量センサー素子が、回転軸の回りに揺動する可動部と、前記可動部に対向する検出電極とを有し、前記可動部と前記検出電極との間の距離の変化に応じた信号を出力し、前記板が、前記ベースの平面視において前記回転軸に直交する方向における両端側において前記側壁に接することを要旨とする。
第5態様によれば、板が回転軸に直交する方向における両端側において側壁に接するため、ベースの、回転軸に直交する平面におけるせん断歪みを抑制することができる。これにより、物理量センサー素子の検出精度の悪化を抑制することができる。
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様の何れかにおいて、前記板が前記蓋より高い剛性を有することを要旨とする。
第6態様によれば、板が蓋より高い剛性を有するため、板がベースの歪みに対抗できる可能性が高く、板が蓋より低い剛性を有する場合と比べて、ベースの歪みに対して強い耐性を有することができる。
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様の何れかにおいて、前記板が前記ベースより高い剛性を有することを要旨とする。
第7態様によれば、板がベースより高い剛性を有するため、板がベースの歪みに対抗できる可能性が高く、板がベースより低い剛性を有する場合と比べて、ベースの歪みに対して強い耐性を有する。
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様の何れかにおいて、前記板が前記蓋より低い熱膨張係数を有することを要旨とする。
第8態様によれば、板が蓋より低い熱膨張係数を有するため、例えば板が蓋の収縮によるベースの歪みに対抗できる可能性が高くなり、板の熱膨張係数が蓋より高い場合と比べて、熱応力により生じる歪みに対して強い耐性を有する。
[第9態様]
第9態様は、第1乃至第8態様の何れかにおいて、前記板が前記ベースより低い熱膨張係数を有することを要旨とする。
第9態様によれば、板がベースより低い熱膨張係数を有することにより、例えば板が蓋の収縮によるベースの歪みに対抗できる可能性が高くなり、板の熱膨張係数がベースより高い場合と比べて、熱応力により生じる歪みに対して強い耐性を有する。
[第10態様]
第10態様は、第1乃至第9態様の何れかにおいて、前記板と前記蓋とが互いに接合されることを要旨とする。
第10態様によれば、板と蓋とが互いに接合されるため、板と蓋との間の間隙がなくなり、更に高い機械的強度を確保しながら、電子デバイスの高さを更に低減することができる。
[第11態様]
第11態様は、第1乃至第10態様の何れかにおいて、前記ベースがアルミナにより構成され、前記板が炭化ケイ素により構成されることを要旨とする。
第11態様によれば、ベースがアルミナからなり、板が炭化ケイ素からなることにより、板の剛性をベースより高く、板の熱膨張係数をベースより低くすることができる。したがって、板がベースの歪みに対して更に強い耐性を有することができる。
[第12態様]
第12態様は、第1乃至第11態様の何れかの電子デバイスを備え、前記電子デバイスが、前記電子デバイスに加わる物理量に応じた信号を出力する物理量センサーであって、前記物理量センサーの出力信号に応じた制御を実行する制御回路を備える電子機器であることを要旨とする。
第12態様によれば、電子機器は、良好な機械的強度が確保されながら、サイズの増大が抑制された電子デバイスを備えることにより、小型化を実現したり、増加した収容スペースを利用して性能を向上したりすることが可能となる。
[第13態様]
第13態様は、第1乃至第11態様の何れかの電子デバイスを備え、前記電子デバイスが、前記電子デバイスに加わる物理量に応じた信号を出力する物理量センサーであって、前記物理量センサーの出力信号に応じた制御を実行する制御回路を備える移動体であることを要旨とする。
第13態様によれば、移動体は、良好な機械的強度が確保されながら、サイズの増大が抑制された電子デバイスを備えることにより、小型化を実現したり、増加した収容スペースを利用して性能を向上したりすることが可能となる。