JP2020021637A - 電池システム監視装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】セル監視ICを直列接続した構成において、途中のセル監視ICが故障した場合であっても電池システムを停止する必要がない電池システム監視装置を提供する。【解決手段】本発明に係る電池システム監視装置においては、監視結果を出力する通信経路を介して監視回路間が直列接続されるとともに、監視結果を出力せずに監視回路間を直列接続するバイパス経路を備え、監視回路が異常であるときはバイパス経路によってその監視回路を迂回する。【選択図】図3
Description
本発明は、電池の状態を監視する電池システム監視装置に関する。
ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)などにおいては、所望の高電圧を確保するため、二次電池の単電池セルを複数個直列または直並列接続することにより構成される組電池(電池システム)が用いられている。組電池システムにおいては、セル監視IC(Integrated Circuit)が単電池セルの状態を監視し、充放電状態を制御することにより、各単電池セルを管理する。
特許文献1の電池システムにおいては、複数個の単電池セルを一つの電池セルグループとして、電池セルグループごとに集積回路(セル監視IC)が接続されている。マイクロコンピュータからの起動信号に応じて下位のセル監視ICから上位のセル監視ICへと順に起動する。セル監視ICは、マイクロコンピュータが送信するコマンド信号とデータパケットにしたがって動作する。セル監視ICがそれぞれ制御するセルグループのデータを得る場合には、それぞれのセル監視ICがデータパケットに監視データを付加して、次のセル監視ICに送信し、最終的にマイクロコンピュータが全ての監視結果を受信する。マイクロコンピュータは、自分が送信したコマンド信号を含めたデータパケットを受信することにより、正常にコマンド信号が転送されたことを確認し、かつセル監視ICが付加した監視データがある場合にはその監視データを受信する。
上記特許文献1に記載された組電池システムにおいて、集積回路(セル監視IC)はデイジーチェーン接続されている。各セル監視ICは、通信送信ラインTXDと通信受信ラインRXDを介して、上位側から下位側にそれぞれ接続されている。この電池システム監視装置においては、例えば途中のセル監視ICが故障した場合、通信信号を次段セル監視ICに伝達できない。したがってマイクロコンピュータは通信異常と判断し、上位車両コントローラに対して電池システム監視装置が異常である旨を報告する。上位車両コントローラは、電池システム監視装置からセルの発煙発火が懸念されるようなセルの過電圧や過放電などが報告された場合、安全性が確保することができないので、リレーを開放して電池システムを停止し、異常警告灯を点灯し、モータ走行を停止させるなどの安全処理を実施する。
上記特許文献1においては、経路途中のセル監視ICが故障した場合は通信異常と判断されるが、この場合であっても電池セルの状態が安全であるか否かが不明となるので、上位車両コントローラは同様に安全処理を実施する。そうすると、仮に電池セルの状態が安全であってセル監視ICのみが異常であったとしても、上位車両コントローラは電池システムを停止することになるので、車両はモータ走行ができなくなる。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、セル監視ICを直列接続した構成において、途中のセル監視ICが故障した場合であっても電池システムの動作を継続することのできる電池システム監視装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電池システム監視装置においては、監視結果を出力する通信経路を介して監視回路間が直列接続されるとともに、監視結果を出力せずに監視回路間を直列接続するバイパス経路を備え、監視回路が異常であるときはバイパス経路によってその監視回路を迂回する。
本発明に係る電池システム監視装置によれば、いずれかの監視回路が異常となった場合であっても、バイパス経路によってその監視回路を迂回することにより、監視回路間の接続を確保することができるため、電池システムの動作を継続することができる。
<電池システム監視装置の基本構成>
以下の実施形態においては、制御の最小単位となる蓄電・放電デバイスとして3.0〜4.2V(平均出力電圧:3.6V)の範囲に電圧を持つリチウムイオン電池を想定しているが、それ以外でもSOC(充電状態)が高すぎる場合(過充電)や低すぎる場合(過放電)に使用を制限するような蓄電デバイスであれば、本発明を適用することができる。以下ではそれらを総称して単電池あるいは単電池セルと呼ぶ。
以下に説明する実施形態においては、単電池セルを複数個(概ね数個から十数個)直列に接続したものをセルグループと呼び、このセルグループを複数個直列に接続したものを電池モジュールと呼ぶ。さらにセルグループあるいは電池モジュールを複数個直列または直並列に接続したものを組電池と呼称する。セル監視ICは、各単電池セルのセル電圧を検出し、バランシング動作などを実施しながら電池状態を監視制御する。セル監視ICは例えばセルグループ毎に設けることができる。
以下の実施形態においては、制御の最小単位となる蓄電・放電デバイスとして3.0〜4.2V(平均出力電圧:3.6V)の範囲に電圧を持つリチウムイオン電池を想定しているが、それ以外でもSOC(充電状態)が高すぎる場合(過充電)や低すぎる場合(過放電)に使用を制限するような蓄電デバイスであれば、本発明を適用することができる。以下ではそれらを総称して単電池あるいは単電池セルと呼ぶ。
以下に説明する実施形態においては、単電池セルを複数個(概ね数個から十数個)直列に接続したものをセルグループと呼び、このセルグループを複数個直列に接続したものを電池モジュールと呼ぶ。さらにセルグループあるいは電池モジュールを複数個直列または直並列に接続したものを組電池と呼称する。セル監視ICは、各単電池セルのセル電圧を検出し、バランシング動作などを実施しながら電池状態を監視制御する。セル監視ICは例えばセルグループ毎に設けることができる。
図1は、電池システム監視装置100を有する電池システムを備えたハイブリッド自動車の回路構成例を示す図である。電池システム監視装置100は、リレー600と610を介してインバータ700に接続されている。インバータ700はモータ800に接続されている。車両の発進・加速時には電池システム監視装置100から放電電力がインバータ700を通じてモータ800に供給され、これにより図示されないエンジンをアシストする。車両停止・減速時には、モータ800からの回生電力がインバータ700を通じて電池システム監視装置100に充電される。インバータ700は、複数の半導体スイッチング素子を備えたインバータ回路と、半導体スイッチング素子のゲート駆動回路と、ゲート駆動回路をPWM制御するパルス信号を発生するモータコントローラとを備えている(図示は省略)。
電池システム監視装置100は主に、組電池102、セルコントローラ200、バッテリコントローラ500を備える。組電池102は、リチウムイオン電池である複数の単電池セル101から構成されている。本実施形態1においては、定格容量5.5Ahのリチウムイオン電池を単電池セル101として、これを96個直列に接続したものを使用している。セルコントローラ200は、セル監視IC300を複数備える。セル監視IC300は、各単電池セル101の電圧をセルグループごとに検出してバランシング放電動作などを実施する。バッテリコントローラ500は、セルコントローラ200の動作を制御し、各単電池セル101の状態を判定する。バッテリコントローラ500は、絶縁素子400を介して各セル監視IC300と通信する。
セル監視IC300は、セルグループ毎に設けられている。セルコントローラ200は、セル監視IC300を用いて、組電池102の状態を管理する。組電池102とセルコントローラ200との間の電圧検出線は、不図示のコネクタによりセルコントローラ200に接続されている。
バッテリコントローラ500は、総電圧検出回路501、充放電電流検出回路502、マイクロコンピュータ504を備える。総電圧検出回路501は、組電池102の総電圧を測定する。充放電電流検出回路502は、電流センサ503に接続されており、組電池102に流れる充放電電流を検出する。マイクロコンピュータ504は、セルコントローラ200、インバータ700、上位車両コントローラ(不図示)との間で通信し、バッテリコントローラ500の全体を制御する。総電圧検出回路501は、組電池102の総電圧を測定できるのであれば、必ずしも図1のようにバッテリコントローラ500の内部に設けられていなくともよい。インバータ700も、組電池102の総電圧を検出する総電圧検出回路701を備えている。
図1には示されていないが、バッテリコントローラ500は、セル監視IC300に接続された温度検出回路によって測定された単電池セル101の温度に基づいて、電池状態のパラメータの温度補正を実施してもよい。図1では省略されているが、セルコントローラ200とバッテリコントローラ500は、一つの基板の上に設けられており、これらは金属製のケースに収納されている。組電池102も金属製のケースに収納されている。セルコントローラ200と組電池102とは、複数の電圧検出線や単電池セル101の温度センサ(不図示)の接続線などが束ねられたハーネスによって接続されている。
バッテリコントローラ500は、セルコントローラ200に対して、各単電池セル101のOCV(開路電圧)を測定するよう指示する指令を、絶縁素子400を介して送信する。セルコントローラ200は、この指令に応じて各単電池セル101のOCVを測定する。セルコントローラ200は、その計測結果を記述したデータを、例えばセルグループ単位で絶縁素子400を介してバッテリコントローラ500に対して送信する。
バッテリコントローラ500は、受信した各単電池セル101のOCVをSOCに変換し、各単電池セル101のSOCの偏差を算出する。このSOCの偏差が所定の値よりも大きい単電池セル101が、バランシング放電を実施する対象となる。バッテリコントローラ500は、バランシング放電の対象となった単電池セル101のSOCの偏差が0となるまでの時間を計算する。バッテリコントローラ500は、その時間だけセル監視IC300内のバランシングスイッチ回路をオンとするよう指示する指令を、セルコントローラ200に対して送信する。セルコントローラ200はこの指令に応じて、バランシング対象の単電池セル101をバランシング放電させる。
バッテリコントローラ500が組電池102のSOCを算出した後、インバータ700あるいは上位車両コントローラがリレー600とリレー610とをオンし、これにより電池システム監視装置100がインバータ700とモータ800に接続される。上位車両コントローラからの充放電指令をインバータ700が受けると、インバータ700が動作してモータ800を駆動するとともに、電池システム監視装置100の充放電動作が実施される。
リレー600とリレー610をオンとして電池システム監視装置100が充放電を開始した以降、バッテリコントローラ500は、総電圧検出回路501および充放電電流検出回路502を用いて、一定時間毎に組電池102の総電圧と充放電電流を測定する。得られた総電圧と充放電電流の値から、バッテリコントローラ500は組電池102のSOCとDCR(内部抵抗)をリアルタイムに算出する。さらに、これらの値から、組電池102が充放電可能な電流あるいは電力をリアルタイムに算出して、インバータ700に送信する。インバータ700は、その電流あるいは電力の範囲内で充放電電流あるいは電力を制御する。
図2は、従来技術における、セルコントローラ200内のセル監視IC300a〜300dとバッテリコントローラ500内のマイクロコンピュータ504との間の通信接続を示す図である。セル監視IC300a〜300dは、図1のセル監視IC300に対応するものであり、いずれも同じ構成を備えるが、各ICを区別するためアルファベットの添え字を付した。その他の回路部品についても同様に、同じ構成を備える場合は添え字によって区別する。
マイクロコンピュータ504は、セルコントローラ200内のセル監視IC300a〜300dに対してコマンドとデータを送信するためのデータ送信ポートTXD、受信するためのデータ受信ポートRXDを有している。
図2の例において、組電池102は、複数の単電池セル101をそれぞれ直列接続した4個のセルグループ104a、104b、104c、104dを有している。セルグループ104aと104bを直列接続した電池モジュールを、サービスディスコネクトスイッチ回路(SD−SW)103の下側に配置し、セルグループ104cと104dを直列接続した電池モジュールを、SD−SW103の上側に配置している。セルグループ104a、104b、104c、104dにそれぞれ対応して、セル監視IC300a、300b、300c、300dが設けられている。以下単にセル監視IC300と呼ぶ場合は、セル監視IC300a〜300dを総称することとする。
セル監視IC300は、電源端子VCCとグランド端子GNDをそれぞれ有している。電源端子VCCは、セル監視IC300a〜300dがそれぞれ対応するセルグループ104a〜104dの最高電位端子、すなわち当該セルグループ内で最高電位の単電池セル101の正極側に接続されている。グランド端子GNDは、セル監視IC300a〜300dがそれぞれ対応するセルグループ104a〜104dの最低電位端子、すなわち当該セルグループ内で最低電位の単電池セル101の負極側に接続されている。セル監視IC300と単電池セル101との間には、フィルタ回路1、放電抵抗2、過電流保護回路3などを配置してもよい。
SD−SW103は、高電圧の組電池などにおいてよく用いられるスイッチである。保守点検時にこのSD−SW103を開放することによって、組電池102の電流経路を遮断し、作業者の感電を防止することを目的としている。このSD−SW103を開放しておけば、電池モジュール間の直列接続が絶たれるので、組電池102の最上位端子と最下位端子を人間が触っても高電圧が人体に印加されることはないので、感電が防止できる。
マイクロコンピュータ504とセル監視IC300aおよび300dの間の各通信経路で用いられている絶縁素子400は、例えばフォトカプラ、アイソレータ、パルストランスなどによって構成することができる。
セル監視制御部4は、各単電池セル101の状態を計測する。通信制御部5は、データ送信ポートTXDとデータ受信ポートRXDを介して、セル監視IC300間を接続する。内部電源出力回路6、アラーム出力回路7、汎用ポート入出力回路8については後述の実施形態1において説明する。
マイクロコンピュータ504のデータ送信ポートTXDから起動信号がセル監視IC300aのデータ受信ポートRXDに入力されると、これに応じてセル監視IC300aが起動し、次のセル監視IC300bを起動するための通信信号を出力する。このときセル監視IC300aはデータ送信ポートTXDからセル監視IC300bのデータ受信ポートRXDへ通信信号を出力する。
セル監視IC300aからの通信信号がデータ受信ポートRXDへ入力されると、これに応じてセル監視IC300bが起動し、次のセル監視IC300cを起動するための通信信号をセル監視IC300aと同様に出力する。すなわち、セル監視IC300bは、コンデンサを介して、データ送信ポートTXDからセル監視IC300cのデータ受信ポートRXDへ通信信号を出力する。その後、セル監視IC300cも同様に動作する。
セル監視IC300cからの通信信号がデータ受信ポートRXDへ入力され、セル監視IC300dが起動すると、セル監視IC300dのデータ送信ポートTXDからマイクロコンピュータ504のデータ受信ポートRXDへ通信信号が出力される。マイクロコンピュータ504は、この通信信号を受け取ることにより、セル監視IC300a〜300dの起動を確認し、セルコントローラ200が起動されたことを認識することができる。
セルコントローラ200が起動すると、マイクロコンピュータ504は絶縁素子401を通じてセル監視IC300aのデータ受信ポートRXDにコマンド信号とデータパケットを送信する。セル監視IC300aはコマンド信号とデータパケットを受信し、さらにこれらをデータ送信ポートTXDから次のセル監視IC300bに送信する。このようにして全部のセル監視IC300a〜300dはコマンド信号とデータを受信し、このコマンド信号とデータにしたがって動作する。
セル監視IC300a〜300dが、それぞれ制御するセルグループ104a〜104dの各単電池セル101の端子間電圧(セル電圧と呼ぶ)などを得ると、それぞれのセル監視IC300a〜300dはデータパケットに計測結果を付加して、データ送信ポートTXDから次のセル監視ICのRXD端子に送信する。最終的にマイクロコンピュータ504のデータ受信ポートRXDは、全てのセル監視IC300a〜300dによる計測結果を受信する。マイクロコンピュータ504は、自分が送信したコマンド信号を含めたデータパケットを受信することにより、正常にコマンド信号が転送されたことを確認し、かつセル監視IC300a〜300dが付加した計測結果データがある場合にはそのデータを受信する。
図2で説明した従来の接続方法による電池システム監視装置においては、例えば途中のセル監視IC300が通信信号を次段のセル監視IC300に伝達できない故障に至った場合、マイクロコンピュータ504は通信異常を検知する。この場合、電池システム監視装置が異常と判定されることになるので、マイクロコンピュータ504または上位装置は電池システムを停止する。すなわち、組電池102自体が正常であったとしても、セル監視IC300の通信異常によって車両が停止することになる。
<実施の形態1>
図3は、本発明の実施形態1に係る電池システム監視装置100の回路構成図である。本実施形態1における電池システム監視装置100は、図2に示した従来の回路構成に加えて、通信経路制御回路10をセル監視IC300ごとに備える。通信経路制御回路10は、スイッチ50、スイッチ60、バイパス経路40、論理回路70を備える。スイッチ50は、データ送信ポートTXDからセル監視IC300による通信信号を受け取るか、通信信号を受け取らずにバイパス経路40と接続するかを切り替える。スイッチ60は、前段に配置されている回路からの通信信号をデータ受信ポートRXDへ入力するか、データ受信ポートRXDへ入力せずバイパス経路40に接続するかを切り替える。論理回路70については以降で説明する。
図3は、本発明の実施形態1に係る電池システム監視装置100の回路構成図である。本実施形態1における電池システム監視装置100は、図2に示した従来の回路構成に加えて、通信経路制御回路10をセル監視IC300ごとに備える。通信経路制御回路10は、スイッチ50、スイッチ60、バイパス経路40、論理回路70を備える。スイッチ50は、データ送信ポートTXDからセル監視IC300による通信信号を受け取るか、通信信号を受け取らずにバイパス経路40と接続するかを切り替える。スイッチ60は、前段に配置されている回路からの通信信号をデータ受信ポートRXDへ入力するか、データ受信ポートRXDへ入力せずバイパス経路40に接続するかを切り替える。論理回路70については以降で説明する。
論理回路70は、セル監視IC300が正常であるか否かを判定する役割を有する。したがって例えばAND回路によって論理回路70を構成し、論理回路70に対する入力のうちいずれかがセル監視IC300の異常を示している場合は、セル監視IC300が異常である旨を表す信号(例えばLoレベル信号)を論理回路70が出力する。論理回路70に対する入力としては、以下のようなものを用いることができる。
論理回路70は、セル監視IC300が動作するために用いる電源電圧VCCを入力として受け取ることができる。セル監視IC300のVCCラインには前段に過電流保護素子が設けられる。セル監視IC300の電源VCCとGNDが短絡するような故障が生じると、VCCラインに短絡電流が流れて過電流保護素子は開放状態となり、セル監視IC300には電源電圧が印可されない。したがってこのときセル監視IC300は通信不能となる。論理回路70に対する入力はLoレベルとなるので、論理回路70の出力もLoレベルとなる。
論理回路70は、セル監視IC300の内部電源出力回路6の出力電圧を入力として受け取ることができる。セル監視IC300は、例えば電源電圧VCCを降圧することにより、セル監視IC300内のマルチプレクサ(不図示)、アンプ(不図示)、ADコンバータ(不図示)などの回路が動作するために用いる内部電圧を生成する。この内部電圧が動作電圧未満まで低下すると、セル監視IC300内の各回路は動作できないので通信不能となる。内部電源出力回路6は、内部電圧が正常時はHiレベルを出力し、動作電圧未満まで低下するとLoレベルを出力する。内部電源出力回路6の出力がLoレベルになると論理回路70の出力もLoレベルとなる。
論理回路70は、セル監視IC300のアラーム出力回路7の出力を入力として受け取ることができる。アラーム出力回路7は、セル監視IC300による自己診断の結果を出力する。アラーム出力回路7は、自己診断結果が正常であればHiレベルを出力し、異常であればLoレベルを出力する。アラーム出力回路7の出力がLoレベルになると論理回路70の出力もLoレベルとなる。
論理回路70は、セル監視IC300の汎用ポート入出力回路8の出力を入力として受け取ることができる。汎用ポートは、設計者が任意の目的で用いることができる通信ポートである。例えばセル監視IC300の自己診断結果以外の診断結果などを、汎用ポートから出力することができる。汎用ポート入出力回路8は、診断結果が正常であればHiレベルを出力し、異常であればLoレベルを出力する。汎用ポート入出力回路8の出力がLoレベルになると論理回路70の出力もLoレベルとなる。
図4は、論理回路70に対する入力によってスイッチ50とスイッチ60がどのように切り替わるかを示す表である。スイッチ50は、論理回路70に対する入力が全てHiレベルであるときのみデータ送信ポートTXDと接続し、それ以外であればバイパス経路40と接続する。スイッチ60は、論理回路70に対する入力が全てHiレベルであるときのみデータ受信ポートRXDと接続し、それ以外であればバイパス経路40と接続する。これにより、故障したセル監視IC300はバイパス経路40によってスキップされることになる。
セル監視IC300cにおいて内部電源出力が低下する故障が生じたと仮定する。セル監視IC300cは次段のセル監視IC300dに対してコマンドとデータを送信できないので、従来の回路構成であればセル監視IC300cにおいて通信経路が途絶してしまう。これに対して本実施形態1においては、スイッチ回路50cとスイッチ回路60cがバイパス経路40cと接続し、これによりセル監視IC300cを迂回する通信経路が形成される。したがって、セル監視IC300aから300dに至る通信経路が途絶することはない。例えば再度マイクロコンピュータ504よりコマンドとデータを送信することにより、通信を復帰させることができる。
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る電池システム監視装置100は、セル監視IC300が故障した場合、バイパス経路40を介してその前後のセル監視IC300を接続することにより、故障したセル監視IC300を迂回する。これにより、セル監視IC300の通信異常が発生した場合であっても、故障していないセル監視IC300による監視を継続するとともに、電池システムの動作を継続することができる。
本実施形態1に係る電池システム監視装置100は、セル監視IC300が故障した場合、バイパス経路40を介してその前後のセル監視IC300を接続することにより、故障したセル監視IC300を迂回する。これにより、セル監視IC300の通信異常が発生した場合であっても、故障していないセル監視IC300による監視を継続するとともに、電池システムの動作を継続することができる。
一部のセル監視IC300が故障した場合であっても、その他のセル監視IC300が正常であれば、車両の動作を継続することができる。例えば総電圧検出回路501または701が組電池102の総電圧を計測することにより、組電池102全体としての安全性を判断し、その結果に応じて車両の動作を継続することができる。
本実施形態1に係る電池システム監視装置100においては、セル監視IC300と通信経路制御回路10が互いに別の回路として構成され、両回路間は通信ポートによって接続されている。例えば通信経路制御回路10は、セル監視IC300のデータ受信ポートRXDに前段からの通信信号を送信するポート、セル監視IC300のデータ送信ポートTXDから通信信号を受け取るポート、論理回路70に対する各入力を受け取るポート、を備える。両回路を別の回路として構成することにより、論理回路70に対する入力を、任意に入れ替えることができる。例えば通信経路制御回路10は変更することなく、汎用ポートからの出力を他の診断結果に置き換えることができる。これにより、通信経路制御回路10を設計・実装しなおすことなく、電池システム監視装置100の機能構成を柔軟に変更することができる。
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施形態2に係る電池システム監視装置100の回路構成図である。本実施形態2においては、実施形態1とは異なり、通信経路制御回路10はセル監視IC300の一部として統合されている。これにより、回路の実装面積を抑制することができるメリットがある。例えば、通信経路制御回路10の電源VDDとGNDは、セル監視IC300のVCCとGNDを流用することができる。
図5は、本発明の実施形態2に係る電池システム監視装置100の回路構成図である。本実施形態2においては、実施形態1とは異なり、通信経路制御回路10はセル監視IC300の一部として統合されている。これにより、回路の実装面積を抑制することができるメリットがある。例えば、通信経路制御回路10の電源VDDとGNDは、セル監視IC300のVCCとGNDを流用することができる。
<実施の形態3>
図6は、本発明の実施形態3に係る電池システム監視装置100の回路構成図である。本実施形態3において、マイクロコンピュータ504はセル監視IC300aに対して計測命令を送信し、セル監視IC300aから計測結果を受け取る。したがって通信経路制御回路10は、セル監視IC300aから300dに至る通信経路と、セル監視IC300dから300aまで戻ってくる通信経路とを有している。すなわち、セル監視IC300間を接続する通信経路が2重になっている。
図6は、本発明の実施形態3に係る電池システム監視装置100の回路構成図である。本実施形態3において、マイクロコンピュータ504はセル監視IC300aに対して計測命令を送信し、セル監視IC300aから計測結果を受け取る。したがって通信経路制御回路10は、セル監視IC300aから300dに至る通信経路と、セル監視IC300dから300aまで戻ってくる通信経路とを有している。すなわち、セル監視IC300間を接続する通信経路が2重になっている。
具体的には、通信経路制御回路10は、スイッチ50に代えてスイッチ51と52を備え、スイッチ60に代えてスイッチ61と62を備える。スイッチ52は、セル監視IC300aから300dに至る通信経路において、データ送信ポートTXD2とバイパス経路42との間で通信経路を切り替える。スイッチ51は、セル監視IC300dから300aに戻ってくる通信経路において、データ受信ポートRXD2とバイパス経路41との間で通信経路を切り替える。スイッチ62は、セル監視IC300aから300dに至る通信経路において、データ受信ポートRXD1とバイパス経路42との間で通信経路を切り替える。スイッチ61は、セル監視IC300dから300aに戻ってくる通信経路において、データ送信ポートTXD1とバイパス経路42との間で通信経路を切り替える。
セル監視IC300cにおいて内部電源出力が低下する故障が生じたと仮定する。スイッチ62cとスイッチ52cはバイパス経路42cを選択するので、往路においてセル監視IC300cがスキップされる。スイッチ51cと61cはバイパス経路41cを選択するので、復路においてもセル監視IC300cがスキップされる。
本実施形態3に係る電池システム監視装置100によれば、マイクロコンピュータ504との間で通信するセル監視IC300がいずれか1つに統一されている図6のような往復通信経路を採用した場合であっても、実施形態1〜2と同様に、故障したセル監視IC300をスキップすることができる。
<本発明の変形例について>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
以上の実施形態において、本発明をハイブリッド自動車(HEV)などに用いられる電池システムに対して適用した例を説明したが、本発明はHEVに限らず、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、電気自動車(EV)、鉄道車両などに搭載される各種電池システムに対して幅広く適用可能である。
以上の実施形態においては、セルグループ104ごとにセル監視IC300を配置しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば単電池セルごとにセル監視ICを設けてもよいし、複数のセルグループ104を1つのセル監視ICが監視してもよい。また組電池102は複数のセルグループ104を直列接続することによって構成することとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば複数の単電池セル101を直列接続することによって組電池102とみなしてもよい。
以上の実施形態において、SD−SW103の前後にそれぞれ2つのセルグループを配置しているが、このセルグループの数は2個に限定されるものではなく、例えば3個以上であってもよい。
以上の実施形態において、論理回路70に対してVCCを直接入力しているが、VCCは高電圧であるので、例えばVCCを分圧または降圧することにより、論理回路70に対する入力として適した電圧レベルに変換した上で、論理回路70に対して入力するようにしてもよい。
以上の実施形態において、組電池102の電位順序とは逆の通信順序にしたがって、セル監視IC300間でコマンドおよび通信データを伝送することとしたが、この通信順序を反対にしてもよい。すなわち、組電池102の電位順序と同じ通信順序により、セル監視IC300間でコマンドおよび通信データを伝送することもできる。
以上の実施形態において、セル監視IC300間には、対応するセルグループ104に応じた電位差が存在する。セル監視IC300は、この電位差を解消して通信する必要がある。そこでコンデンサを介してセル監視IC300間を接続し、このコンデンサにより通信信号の直流成分を遮断することにより、セル監視IC300間の電位差を解消してもよい。
以上の実施形態において、たとえばマイクロコンピュータ504とセル監視IC300との間の通信信号や、セル監視IC300間の通信信号を、ノイズに強くするために差動型としてもよい。
1:フィルタ回路
2:放電抵抗
3:過電流保護回路
4:セル監視制御部
5:通信制御部
6:内部電源出力回路
7:アラーム出力回路
8:汎用ポート入出力回路
10:通信経路制御回路
50, 51, 52:スイッチ
60, 61, 62:スイッチ
70:論理回路
100:電池システム監視装置
101:単電池セル
102:組電池
103:サービスディスコネクトスイッチ回路(SD−SW)
104a〜104d:セルグループ
200:セルコントローラ
300,300a〜300d:セル監視IC
400:絶縁素子
500:バッテリコントローラ
501:総電圧検出回路
502:充放電電流検出回路
503:電流センサ
504:マイクロコンピュータ
600:リレー
610:リレー
700:インバータ
701:総電圧検出回路
2:放電抵抗
3:過電流保護回路
4:セル監視制御部
5:通信制御部
6:内部電源出力回路
7:アラーム出力回路
8:汎用ポート入出力回路
10:通信経路制御回路
50, 51, 52:スイッチ
60, 61, 62:スイッチ
70:論理回路
100:電池システム監視装置
101:単電池セル
102:組電池
103:サービスディスコネクトスイッチ回路(SD−SW)
104a〜104d:セルグループ
200:セルコントローラ
300,300a〜300d:セル監視IC
400:絶縁素子
500:バッテリコントローラ
501:総電圧検出回路
502:充放電電流検出回路
503:電流センサ
504:マイクロコンピュータ
600:リレー
610:リレー
700:インバータ
701:総電圧検出回路
Claims (10)
- 複数の単電池を直列接続することにより構成されている組電池の状態を監視する電池システム監視装置であって、
前記電池システム監視装置は、前記単電池の状態を計測する1以上の監視回路を、前記単電池ごとまたは2以上の前記単電池を直列接続した単電池グループごとに備えており、
前記電池システム監視装置はさらに、前記監視回路間の通信経路を制御する通信経路制御回路を備え、
各前記監視回路は、前記通信経路制御回路を介して直列接続されており、
前記通信経路制御回路は、前記監視回路による通信信号を他の前記監視回路に対して出力する通信経路と、前記監視回路による通信信号を他の前記監視回路に対して出力せずに前記監視回路間を接続するバイパス経路とを備え、
前記通信経路制御回路は、正常動作している前記監視回路については前記通信経路を介して他の前記監視回路と接続し、正常動作していない前記監視回路については前記バイパス経路を介して他の前記監視回路と接続する
ことを特徴とする電池システム監視装置。 - 前記1以上の監視回路は、
前記組電池の状態を計測するよう指示する計測指令を上位装置から受け取る第1監視回路、
前記組電池の状態を計測した結果を前記上位装置に対して送信する第2監視回路、
を含んでおり、
前記第1監視回路と前記第2監視回路を除く各前記監視回路は、前記第1監視回路と前記第2監視回路との間に直列接続されており、
各前記監視回路は、前記第1監視回路を経由して前記計測指令を受け取ると、前記計測指令にしたがって前記単電池の状態を計測し、前記直列接続の前段に配置された前記監視回路による計測結果を統合した上で、前記通信経路を介して前記単電池の計測結果を出力し、
前記第2監視回路は、各前記監視回路による計測結果を統合することにより前記組電池の状態を表す統合計測結果を生成して前記上位装置に対して送信する
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記通信経路制御回路は、前記監視回路が前記通信経路と前記バイパス経路のいずれを用いて他の前記監視回路と通信するかを切り替えるスイッチを備え、
前記監視回路は、前記監視回路が動作するために用いる電源電圧を受け取り、
前記通信経路制御回路は、前記電源電圧が異常であるときは前記バイパス経路を用いるように前記スイッチを切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記監視回路は、前記電源電圧を用いて、前記監視回路の内部において用いる内部電圧を生成し、
前記通信経路制御回路は、前記内部電圧が異常であるときは前記バイパス経路を用いるように前記スイッチを切り替える
ことを特徴とする請求項3記載の電池システム監視装置。 - 前記通信経路制御回路は、前記監視回路が前記通信経路と前記バイパス経路のいずれを用いて他の前記監視回路と通信するかを切り替えるスイッチを備え、
前記監視回路は、前記監視回路に対して自己診断を実施し、
前記通信経路制御回路は、前記自己診断の結果が異常であるときは前記バイパス経路を用いるように前記スイッチを切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記通信経路制御回路は、前記監視回路が前記通信経路と前記バイパス経路のいずれかを用いて他の前記監視回路と通信するかを切り替えるスイッチを備え、
前記監視回路と前記通信経路制御回路との間は、配線と端子を介して接続されており、
前記監視回路は、前記監視回路が正常動作しているか否かを表す自己診断信号を、前記配線と前記端子を介して出力し、
前記通信経路制御回路は、前記監視回路が異常である旨を前記自己診断信号が表しているときは前記バイパス経路を用いるように前記スイッチを切り替える
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記監視回路は、前記直列接続の前段に配置された前記監視回路による通信信号を入力する第1ポートと、前記通信信号を出力する第2ポートと、前記監視回路が正常動作しているか否かを表す通信信号を出力する第3ポートとを備え、
前記通信経路制御回路は、前記第1ポートに前記通信信号を送信する第4ポートと、前記第2ポートから前記通信信号を受け取る第5ポートと、前記第3ポートから前記通信信号を受け取る第6ポートとを備え、
前記第1ポートと前記第4ポートとの間、前記第2ポートと前記第5ポートとの間、および前記第3ポートと前記第6ポートとの間は、それぞれ配線によって接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記通信経路制御回路は、前記監視回路の一部として構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記1以上の監視回路は、前記組電池の状態を計測するよう指示する計測指令を上位装置から受け取る第1監視回路を有しており、
前記通信経路制御回路はさらに、前記監視回路間を接続する第2通信経路を備え、
各前記監視回路は、前記第1監視回路に続いて直列接続されており、
各前記監視回路は、前記第1監視回路を経由して前記計測指令を受け取ると、前記計測指令にしたがって前記単電池の状態を計測し、前記直列接続の前段に配置された前記監視回路による計測結果を統合した上で、前記通信経路を介して前記単電池の計測結果を出力し、
前記第1監視回路は、前記第2通信経路を介して各前記監視回路による計測結果を受け取って統合することにより、前記組電池の状態を表す統合計測結果を生成して前記上位装置に対して送信する
ことを特徴とする請求項1記載の電池システム監視装置。 - 前記通信経路制御回路はさらに、前記監視回路による計測結果を他の前記監視回路に対して出力せずに前記監視回路間を接続する第2バイパス経路を備え、
前記通信経路制御回路は、正常動作している前記監視回路については前記通信経路と前記第2通信経路を介して他の前記監視回路と接続し、正常動作していない前記監視回路については前記バイパス経路と前記第2バイパス経路を介して他の前記監視回路と接続する
ことを特徴とする請求項9記載の電池システム監視装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018144963A JP2020021637A (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | 電池システム監視装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018144963A JP2020021637A (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | 電池システム監視装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020021637A true JP2020021637A (ja) | 2020-02-06 |
Family
ID=69589943
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018144963A Pending JP2020021637A (ja) | 2018-08-01 | 2018-08-01 | 電池システム監視装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2020021637A (ja) |
-
2018
- 2018-08-01 JP JP2018144963A patent/JP2020021637A/ja active Pending
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