JP2020021051A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】幅方向における印字率の偏りが大きい場合であっても、定着ニップ部における記録材の搬送力の偏りを低減し、画像擦れや記録材しわの発生を抑制する。【解決手段】画像形成装置は、記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、ヒータを有し、記録材に形成されたトナー画像を加熱して記録材に定着する定着部と、装置を制御する制御部と、を有する。複数枚の記録材に連続してトナー画像を形成する時、制御部は、後続の記録材の記録材搬送方向に対して直交する方向における印字率の偏りに応じて、先行する記録材と後続の記録材の間隔を設定する。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば電子写真方式を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等、記録材上に画像形成可能な画像形成装置に関する。
画像形成部における転写ニップ部で記録材に転写されたトナー像を、記録材搬送方向で下流側の定着ニップ部で挟持搬送しながら加熱すると、吸湿した記録材の場合に水蒸気が発生する。この水蒸気によって回転駆動される回転体(加圧ローラ)の表面が結露すると、従動回転する回転体や記録材との摩擦力が低下し、記録材がスリップする現象(いわゆる結露スリップ)が発生することが知られている。
結露スリップの発生は形成される画像によって影響を受け、画像が記録材の広い領域に形成されるベタ画像ではトナーが水蒸気の出口を塞ぐため、発生した水蒸気が加圧ローラ側に逃げる。これにより、加圧ローラの表面に付着する水蒸気の量が多くなる、そして、画像の印字率が大きい場合には、より結露スリップが発生し易くなる。
そこで、特許文献1では、画像情報の取得部を備え、連続プリント時の後続の紙に形成される画像の面積の比率がある閾値よりも大きい場合には、先行紙と後続紙の間隔を広げることで後続紙が定着ニップに到達する前に予め加圧ローラの表面を温め、後続紙が定着ニップで加熱されて後続紙の加圧ローラ側から水蒸気が多量に発生しても加圧ローラに結露し難くすることが開示されている。
しかしながら、記録材の幅方向における異なる位置に印字率(画像の面積)の大きく異なる画像が夫々描かれた場合、印字率の大きい部分では加圧ローラに付着する水蒸気の量が多くなり、結露スリップが発生し易くなる。そして、加圧ローラで部分的に結露スリップが発生した領域のみにおいて、転写ニップ部から定着ニップ部の間で記録材が弛みが発生する状況になる(片弛み)。
そして、片弛みがひどい場合には、弛みで盛り上がった部分が記録材搬送路上の何らかの部品に接触してしまい、記録材上の未定着トナー像が乱れてしまい、画像擦れのような画像不良が発生してしまう。そして、更に片弛みがひどく、記録材の弛みを吸収できない場合には、記録材が折りたたまれた状態で定着ニップ部に突入して、記録材しわになってしまうことがある。
本発明の目的は、幅方向における印字率の偏りが大きい場合であっても、定着ニップ部における記録材の搬送力の偏りを低減し、画像擦れや記録材しわの発生を抑制できる画像形成装置を提供することにある。
本発明の一態様は、記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、ヒータを有し、記録材に形成されたトナー画像を加熱して記録材に定着する定着部と、画像形成装置を制御する制御部と、を有する画像形成装置であって、複数枚の記録材に連続してトナー画像を形成する時、前記制御部は、後続の記録材の記録材搬送方向に対して直交する方向における印字率の偏りに応じて、先行する記録材と後続の記録材の間隔を設定することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、幅方向における印字率の偏りが大きい場合であっても、定着ニップ部における記録材の搬送力の偏りを低減し、画像擦れや記録材しわの発生を抑制することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて説明する。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。この画像形成装置は、4つの画像形成部(画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K)を備えており、これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。以下、イエローの画像形成部10Yを例に説明する。
(画像形成装置)
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。この画像形成装置は、電子写真方式のタンデム型のフルカラープリンタである。この画像形成装置は、4つの画像形成部(画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K)を備えており、これらの4つの画像形成部は一定の間隔をおいて一列に配置されている。以下、イエローの画像形成部10Yを例に説明する。
各画像形成部には、それぞれ感光ドラム2が設置されており、各感光ドラム2の周囲には、帯電ローラ3、現像装置4、1次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6が設置されている。帯電ローラ3と現像装置4の間の下方には、露光装置7がそれぞれ設置されている。各現像装置4には、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが収納されている。感光ドラム2は不図示の駆動モータによって所定の速度で矢印の方向に回転駆動され、その回転過程で帯電ローラ3によって一様に帯電される。
画像信号に対応して変調されたレーザ光が露光装置7から出力され、感光ドラム2を選択的に走査露光して静電潜像を形成する。現像装置4は、この静電潜像に現像体であるトナーを付着させてトナー像として可視像化する。感光ドラム2上に形成されたトナー像は1次転写ニップ部N1にて感光ドラム2から、感光ドラム2と接触して回転する中間転写ベルト50に転写される。
4色分のトナー像が同じ手順で順次中間転写ベルト50に重ねて転写されることにより、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト50上に形成される。すなわち、中間転写ベルト50は、記録材Pに形成すべきカラー画像のトナー像を担持する。中間転写ベルト50は張架ローラ51、52、53で張架されながら駆動され、矢印で示される方向に回転する。
一方、給紙カセットにセットされている記録材Pは給紙ローラ57により給紙され、レジストローラ56に搬送される。レジストローラ56まで搬送された記録材Pは、レジストローラ56の直後に設けられているトップセンサTSにより先端が検知される。不図示の制御手段により、記録材Pの先端の検知に応じて中間転写ベルト50上のトナー像位置とタイミングを合わせ、記録材Pがレジストローラ56により転写ニップ部(2次転写ニップ部)N2に搬送される。
そして、2次転写バイアスが印加された2次転写ローラ54により、記録材Pにフルカラーのトナー像が一括して2次転写される。フルカラーのトナー像が形成された記録材Pは、定着部としての定着装置(画像加熱装置)12に搬送される。
加熱回転体である定着フィルム20と、駆動回転体としての加圧ローラ22の間の定着ニップ部N3で、フルカラーのトナー像を加熱、加圧して記録材Pの表面に溶融定着させる。その後、記録材Pは外部に排出され、画像形成装置の出力画像となる。そして、一連の画像形成動作を終了する。
なお、上記した1次転写時において、感光ドラム2上に残留している1次転写残トナーは、ドラムクリーニング装置6によって除去されて回収される。また、2次転写後に中間転写ベルト50上に残った2次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置55によって除去されて回収される。
本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置の置かれた環境の温度および湿度を検知する不図示の温湿度センサを有している。これまで説明した画像形成の各プロセスは、検知された温度および湿度に応じて制御がなされる。
また、本実施形態の画像形成装置における制御部100は演算手段(取得手段)を有し、外部のホスト装置から送信された画像情報データから、平均画像印字率を算出(取得)する。ここで、印字率とは単位面積当たりに占めるトナー画像の面積の割合であって、例えば、黒ベタ画像が100%であり、白ベタ画像は0%となる。さらに、算出された印字率に応じて、制御部100は、後述する結露スリップの抑制制御を行う。
図1中、S1で示される点線は、以上の画像形成動作中に記録材Pがたどる基本的な動線を示している。S2で示している点線は、定着装置12で結露スリップが発生した場合に、記録材Pがたどる動線を示している。
結露スリップが発生した場合には、定着装置12内の定着ニップ部N3で搬送される速度は遅くなるものの、2次転写ニップ部N2で搬送される速度は変化しない。このため、転写ニップ部と定着ニップ部との間で、記録材Pが転写ニップ部と定着ニップ部との間のガイド部材58の反対側に弛み、膨らんだ動線S2をたどることになる。弛んだ記録材Pが定着装置12のフレーム24などに接触してしまうと、画像擦れなどの問題が発生する。
(定着装置)
図2は定着装置12の概略断面図である。
図2は定着装置12の概略断面図である。
定着装置12は、トナー像を記録材上に加熱定着するもので、通電発熱抵抗層を有する加熱体としてのヒータ16と、記録材とともに移動する回転可能な定着フィルム20とを備えている。ヒータ16は、定着フィルム20を介して定着ニップ部を加熱する加熱手段として機能する。
定着装置12は、更に定着フィルム20に圧接する加圧ローラ22を備え、定着フィルム20と加圧ローラ22とによって形成される定着ニップ部N3において、記録材上のトナー像を加熱定着する構成となっている。
定着フィルム20は、ベルト状部材に弾性層を設けてなる円筒状(エンドレスベルト状)の部材である。具体的には、材質にポリイミドを用い、厚み70μmの円筒状に形成したエンドレスベルト(ベルト基材)上に、厚み約250μmのシリコーンゴム層(弾性層)を形成してある。更にシリコーンゴム層の上に厚み30μmのPFA樹脂チューブ(最表面層)を被覆してなる。
また、ヒータ16はヒータホルダ17に保持される。ヒータホルダ17は、耐熱性・剛性を有する部材で、ヒータ16は、ヒータホルダ17の下面に該ホルダの長手方向に沿って配設されている。定着フィルム20は、このヒータホルダ17にルーズに外嵌させてある。ヒータホルダ17は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成し、定着ヒータ16を保持し、定着フィルム20をガイドする役割を果たす。
図3にヒータ16の図2における上側(以下、裏面と記す)から見た概略図を、図4にヒータ16の断面図を示す。
ヒータ16は細長いセラミック基板である窒化アルミ基板41を有し、その裏面にスクリーン印刷により印刷された抵抗発熱体42および43を有する。ヒータ16は更に、給電端子(不図示)が接触する電極部44と導電部47、48を有し、抵抗発熱体42、43は導電部47によって電極部44に接続されており、導電部48によって互いが直列回路になるように接続されている。
抵抗発熱体42、43、導電部47、48は、さらにその上に塗工されたガラスコート45によって保護され、絶縁性が確保されている。ヒータ16の下向き面(以下表面と記す)においては、定着フィルム20との接触面にガラスからなる摺動層46を設けている。不図示の電源のヒータ駆動回路部から電極部44に給電されることにより、抵抗発熱体42および43が発熱し、ヒータ16がヒータ長手方向全域にわたって迅速に昇温する。
加圧ローラ22は、ステンレス製の芯金の上にシリコーンゴム層及びPFA樹脂チューブ層を有する。この加圧ローラ22は、装置フレーム24に回転自由に軸受を介して保持されている。この加圧ローラ22の上側に、ヒータ16・ヒータホルダ17・定着フィルム20等から成る定着フィルムユニットを、ヒータ16側を下向きにして加圧ローラ22に並行に当接配置する。
ヒータホルダ17のヒータ長手方向における両端部は、不図示の加圧機構により片側12.5kgf、総圧25kgfの力で加圧ローラ22に向かって附勢されている。これにより、加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部N3を形成している。
本実施形態では、メインサーミスタ18、サブサーミスタ19a、19bによってヒータ16の温度を検出している。具体的な配置としては、ヒータ長手方向におけるヒータ16の中心位置にメインサーミスタ18を、その中心位置から互いに等しい距離の位置であって、ヒータ16の端部付近にそれぞれサブサーミスタ19a、19bを配置する(図3の点線部)。
本実施形態ではメインサーミスタ18およびサブサーミスタ19a、19bをヒータ16の裏面に接触するように配置し、ヒータ16の裏面の温度を検出しているが、必ずしもこの位置に限定されるものではない。たとえば、定着フィルム20の裏面に接触するように配置し、定着フィルム20の裏面の温度を検出してもよい。
図2の23と26は、フレーム24に組付けた入り口ガイドと定着排紙ローラである。入り口ガイド23は、2次転写ニップ部N2を抜けた記録材Pが、定着ニップ部N3に正確にガイドされるよう、記録材を導く役割を果たす。本実施形態の入り口ガイド23は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂により形成されている。
加圧ローラ22は、不図示の駆動手段により矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ22の回転駆動による、該加圧ローラ22の外面と定着フィルム20との定着ニップ部N3における圧接摩擦力により、円筒状の定着フィルム20に回転力が作用する。そして、定着フィルム20は、その内面側が定着ヒータ16の表面に密着して摺動しながら、ヒータホルダ17の外回りを矢印の時計方向に従動回転する。定着フィルム20の内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ17と定着フィルム20内面との摺動性を確保している。
このようにして、加圧ローラ22が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム20が従動回転状態になり、また定着ヒータ16に通電がなされる。定着ヒータ16が昇温して所定の温度に立ち上げ温調された状態において、定着ニップ部N3に、未定着トナー像tを担持した記録材Pが入り口ガイド23に沿って案内されて導入される。そして、定着ニップ部N3において、記録材Pのトナー像担持面側が定着フィルム20の外面に密着して接し、定着フィルム20と一緒に定着ニップ部N3を挟持搬送されていく。
この挟持搬送過程において、定着ヒータ16の熱が定着フィルム20を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像が記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部N3を通過した記録材Pは、定着フィルム20から曲率分離され、定着排紙ローラ26で排出される。
(結露スリップのメカニズム)
本発明における結露スリップの抑制方法の説明に先立ち、結露スリップのメカニズムについて説明する。複数の記録材を連続的に搬送して画像形成を行うプリントジョブを実行する場合、記録材から発生した水蒸気が駆動回転体としての加圧ローラに付着すると回転駆動される加圧ローラからの駆動力が定着フィルムや記録材に伝達しにくくなる。この結果、定着ニップ部N3で搬送中の記録材に加圧ローラからの駆動が伝達しにくくなり、記録材が減速してしまう。
本発明における結露スリップの抑制方法の説明に先立ち、結露スリップのメカニズムについて説明する。複数の記録材を連続的に搬送して画像形成を行うプリントジョブを実行する場合、記録材から発生した水蒸気が駆動回転体としての加圧ローラに付着すると回転駆動される加圧ローラからの駆動力が定着フィルムや記録材に伝達しにくくなる。この結果、定着ニップ部N3で搬送中の記録材に加圧ローラからの駆動が伝達しにくくなり、記録材が減速してしまう。
一方、2次転写ニップ部N2における搬送の速度は変化しないため、転写ニップ部と定着ニップ部の間において記録材Pの弛みが発生する。すると、弛んだ記録材に載せられている未定着トナー画像が装置内の種々の部材(例えばフレーム24)と接触して擦れることにより発生する「画像擦れ」や、記録材の弛みが定着ニップ部N3で折りたたまれることによる「紙しわ」などが発生する場合がある。
このような結露スリップは、記録材から発生する水蒸気が多くなる場合や、加圧ローラが低温の場合など、加圧ローラが結露し易い場合に発生する。また、画像が記録材全面に形成されるベタ画像の場合、記録材の定着フィルム側に形成されたトナー像が記録材から発生する水蒸気の出口を塞ぐこととなり、発生する水蒸気のほとんどが加圧ローラ側に放出される。このため、加圧ローラ表面に付着する水蒸気の量が多くなり、結露スリップにより厳しい条件となる。
(記録材幅方向(搬送方向に対して直交する方向)における印字率の偏りがある場合の結露スリップ)
次に、印字率の偏りがある場合の結露スリップの発生について説明する。印字率の偏りがある場合、印字率が高い領域では加圧ローラ表面に付着する水蒸気の量が多くなり、その領域における加圧ローラの搬送力が低下する。すなわち、印字率の偏りに応じて、加圧ローラの搬送力の偏りが生じてしまうのである。
次に、印字率の偏りがある場合の結露スリップの発生について説明する。印字率の偏りがある場合、印字率が高い領域では加圧ローラ表面に付着する水蒸気の量が多くなり、その領域における加圧ローラの搬送力が低下する。すなわち、印字率の偏りに応じて、加圧ローラの搬送力の偏りが生じてしまうのである。
印字率の偏りと搬送力の偏りの関係を図5および図6を用いて説明する。図5に示すのは、幅25mmの印字率100%(ベタ)の縦帯画像の印刷位置を種々変更して作成したA〜Eの5つの画像の例である。A〜Eの5つの画像の下に示している数値はどの程度印字率が偏っているかを表した指標の数値であり、以下この数値を「画像偏差」と呼ぶことにし、画像偏差を表す記号としてxを用いる。図5に示している画像偏差xは次のように定義している。
(1)A4サイズ紙の印字領域200mmを幅25mmの8つの領域に分割する。
(2)8分割した領域に重みづけするために、画像に向かって左側から4、3、2、1、−1、−2、−3、−4、の8つの係数を各領域に与える。
(3)8分割した各領域の平均印字率を、1を最大値として与える。平均印字率が100%の場合には1、平均印字率が50%の場合には0.5とする。
(4)8分割した各領域において(2)で与えた重みづけの数値と、(3)で与えた平均印字率の数値を掛け合わせ、得られた8分割した領域すべての数値を足し合わせて画像偏差を取得する。
制御部100(図1)における上述した演算手段(取得手段)は、記録材の幅方向の一端側と他端側との画像偏差を取得する第1の取得部としても機能する。
(1)〜(4)で得られる数値がプラスに大きいほど、図5の紙面に向かって左側に画像が偏っており、マイナスに大きいほど、右側に画像が偏っていることを示す。
次に、図5に示されるA〜Eの各画像を、上述した本実施形態における画像形成装置で20枚連続でプリントを行い、5枚目における定着ニップ部における搬送力の左右差を調査した。記録材の搬送力については、以下の方法によって測定した。加圧ローラ表面にマーキング用部材を埋め込み、定着ニップ部を記録材が通過する際に加圧ローラの回転ピッチで記録材にマーキングがされるようにしておく。加圧ローラ1周毎のマーキングの距離を測定することにより、加圧ローラが1周するたびにどのくらい記録材が搬送されたかが分かる。
また、記録材幅方向の両端部に相当する2か所にマーキング部材を埋め込むことにより、画像偏りによる搬送速度の左右差を測定することができる。
本実施形態では、加圧ローラの外径がΦ25mmであるため、加圧ローラの外周は約78.5mmである。加圧ローラがスリップすることなく記録材を搬送すると、記録材裏面についたマーキング間の距離は78.5mmになるはずであり、搬送方向の長さが297mmのA4サイズの記録材を加圧ローラ4周弱で搬送することになる。すなわち、A4サイズの記録材には搬送方向に3か所もしくは4か所のマーキングがされることになる。
付与されたマーキングから2周もしくは3周分の加圧ローラによる記録材の搬送距離が分かるため、その計測結果から加圧ローラ1周あたりの記録材搬送距離を計算する。そして、左側端部における加圧ローラ1周あたりの搬送距離から、右側端部における加圧ローラ1周あたりの搬送距離を引いた数値を「搬送力左右差」として定義する。
この値がプラスに大きいほど、左側の搬送力が右側の搬送力よりも相対的に小さいことを示し、この値がマイナスに大きいほど左側の搬送力が右側の搬送力よりも相対的に大きいことを示す。例えばこの値が、0.5であった場合には、左側の搬送距離が相対的に0.5mm短いということになる。
上述した画像形成装置を温度30℃、湿度80%の環境試験室(以下、HH試験室、と呼ぶ)に導入し、HH試験室に2日間放置した紙GFR−070(坪量70g/m3、A4サイズ紙)の連続20枚のプリントを行った。サーミスタ18による温調温度は230℃で、記録材の搬送速度は300mm/秒とし、紙間は10mmに設定した。
ここで、紙間とは、先行の記録材の定着ニップ部における搬送終了後、後続の記録材の定着ニップ部への搬入開始までの間隔である。
実験に先立ち、NDC Infrared Engineering社製の水分量計Moistrex MX−8000にて、放置した紙GFR−070の含有水分量を調べたところ、9.2%の水分を含んでいた。また、比較のために開封直後の紙GFR−070の含有水分量を測定したところ、水分量は5.7%であった。
図5に示すA〜Eの画像における画像偏差xと搬送力左右差の関係を、図6に示す。HH試験室に放置され水分量が高い紙であるGFR−070を用いたプリントでは、画像偏差xがプラスに大きくなるとともに、搬送距離左右差もプラスの方向に大きくなった。これまで説明してきたとおり、画像が左側に偏るほど、左側の搬送力が低下することを示している。
HH試験室に放置された紙GFR−070に画像偏差xが10の画像Aを連続プリントしたところ、搬送力の低下している画像左側において転写ニップ部と定着ニップ部の間の搬送路で記録材の弛み量が多くなった。そして、連続プリント3枚目から定着装置12のフレーム24に接触して画像擦れが発生し、10枚目以降にはかなり程度の劣化した画像擦れが発生していた。
同様に画像偏差xが7の画像Bを描いたときには、画像Aを描いたときと同様に画像擦れが見られたが、そのレベルは画像Aを描いたときよりも良いものであった。
HH試験室に放置された紙GFR−070に画像偏差xが4の画像Cを描いたときの搬送距離左右差は0.33mmであり、画像偏差xが0の画像Dを描いたときの搬送力左右差は0mmであった。画像C、画像Dのいずれの場合においても、サンプルに画像擦れは見られなかった。
一方、画像偏差xが−10の画像Eでは、画像の右側において搬送力が低下し、画像の右側において転写ニップ部と定着ニップ部の間の搬送路で記録材の弛み量が多くなり画像擦れが発生した。右側に画像が偏った場合には、右側の搬送力が低下してしまう。
このように、印字率に偏りがある画像をプリントすると、その画像偏差に応じて搬送力の左右差が大きくなり、記録材の片弛みの原因となって、画像擦れなどの問題が発生してしまう。
(画像偏差がある場合の搬送力分布の抑制制御)
そこで、本実施形態では、画像偏差xが大きい場合、加圧ローラの搬送力分布の偏りを小さくするための制御を実施する。具体的には、連続プリント実施時において画像形成が行われる前に画像情報の面積比率としての印字率を演算手段にて算出する。そして記録材Pの印字率により、画像偏差xが、画像不良の発生が懸念される閾値(基準値)よりも大きい場合には、制御部100(図1)で紙間拡大制御を行う。すなわち、2枚目以降に搬送される後続の記録材Pへの画像書き出しタイミングと記録材Pの搬送開始タイミングを遅延させる制御を実施する。
そこで、本実施形態では、画像偏差xが大きい場合、加圧ローラの搬送力分布の偏りを小さくするための制御を実施する。具体的には、連続プリント実施時において画像形成が行われる前に画像情報の面積比率としての印字率を演算手段にて算出する。そして記録材Pの印字率により、画像偏差xが、画像不良の発生が懸念される閾値(基準値)よりも大きい場合には、制御部100(図1)で紙間拡大制御を行う。すなわち、2枚目以降に搬送される後続の記録材Pへの画像書き出しタイミングと記録材Pの搬送開始タイミングを遅延させる制御を実施する。
これにより、定着ニップ部が先行紙と後続紙の紙間となっている期間で加圧ローラの表面温度を上昇させ、後続紙から水蒸気が発生する前に予め加圧ローラ表面の温度を上昇させておくことによって加圧ローラへの結露を防止し、後続の記録材Pがスリップしないようにすることが可能となる。
ここで、紙間において、ヒータ16はオンのままが好ましい。本実施形態における紙間拡大制御を行う場合、紙間において、ヒータがオンのままの場合、ニップ部で加圧ローラ表面を温めることができる。
本実施形態では、画像擦れが発生した画像Bと、発生の無かった画像Cの間の値である画像偏差x=5.5を閾値とし、この閾値よりも大きな画像偏差xを有する画像を検知した場合に先行紙と後続紙の紙間を10mmから314mmに広げる制御を行うことにした。また、記録材Pの水分が多いと予測される場合に今回の制御を行うこととし、画像形成装置に備えた温湿度センサの検知結果が、温度27℃および湿度70%よりも高いことを今回の制御を行う条件とした。
HH試験室に放置された紙GFR−070に、画像偏差xが10の画像Aを描く20枚の連続プリントにおいて、上記の制御を行ったところ、左側における片弛みは発生せず、画像擦れの発生はなかった。
以上、本実施形態に示した通り、画像偏差xの大きい画像を検知した場合には紙間を空けるように制御することで、画像擦れや紙しわの発生の無い画像形成装置を提供することができるようになる。
すなわち、本実施形態では、記録材の幅方向における印字率の偏りが大きく、加圧ローラにおける搬送力の偏りが発生しうる状況において、印字率の偏りの大きさに応じて拡大した紙間で加圧ローラの表面を温めることができるようになる。このため、加圧ローラへの結露を抑制できるようになる。これにより、印字率の偏りが大きい場合であっても、定着ニップ部における搬送力の偏りを低減し、画像擦れや紙しわの発生のない画像形成装置を提供することが可能となる。
《第2の実施形態》
第1の実施形態では、画像偏差xの大きい画像を検知した場合に紙間を空けるように制御することにより、画像擦れの発生を防止する効果が得られた。しかし、画像偏差xがある閾値を超えた場合には一律紙間を広げるという制御であったため、画像偏差xの大きさによっては紙間を必要以上に空けてしまう状態になっていた。そこで、本実施形態では、紙間拡大制御として画像偏差xに応じて紙間を段階的に変える制御を行うことにした。
第1の実施形態では、画像偏差xの大きい画像を検知した場合に紙間を空けるように制御することにより、画像擦れの発生を防止する効果が得られた。しかし、画像偏差xがある閾値を超えた場合には一律紙間を広げるという制御であったため、画像偏差xの大きさによっては紙間を必要以上に空けてしまう状態になっていた。そこで、本実施形態では、紙間拡大制御として画像偏差xに応じて紙間を段階的に変える制御を行うことにした。
第1の実施形態では画像偏差xが5.5を超えた場合、紙間を314mmに拡大する、という制御を行っていた。これに対し、本実施形態では、画像偏差xが5.5を超えた量に応じて、紙間を段階的に変える制御を行う。画像偏差xが5.5以下では紙間を拡大せず、10mmのままとする。画像偏差xが10では、第1の実施形態で問題ないことが確認された紙間の値である314mmとする。画像偏差が5.5〜10の間の領域は、画像偏差の大きさに応じて紙間を表1の通りに制御する。
本実施形態における制御の効果を確認するために、図7で説明される画像Aおよび画像B、画像F、画像G、画像Hを用いて連続プリントを行った。画像A、B、Fは印字率100%の黒べた縦帯を組み合わせた画像であり、画像G、Hは印字率100%の黒べた縦帯と、印字率50%の黒ハーフトーンを組み合わせた画像である。それぞれの画像の画像偏差xは、画像Aが10、画像Bが7、画像Fが9、画像Gが8、画像Hが5.5となっている。画像以外の連続プリントの条件は、第1の実施形態で行ったものと同じである。
この連続プリントにおいて、本実施形態の特徴である、画像偏差xに応じて紙間を段階的に広げる制御を表1に基づいて実施した。すると、画像A、B、F、G、Hのどの画像においても、転写ニップ部と定着ニップ部の間における記録材Pの片弛みが発生せず、画像擦れの発生も見られなかった。
画像偏差xが小さい場合には、搬送距離の左右差もそれに応じて小さくなる。このため、少ない紙間の拡大量でも、搬送力の左右差を解消することができ、画像擦れなどの問題を防止することができる。
以上の検証結果から、画像偏差xに応じて、紙間を段階的に広げても、片弛みを解消し、画像擦れの発生を防止することができることが明らかになった。すなわち、画像偏差xが小さい場合には、少ない紙間の拡大量でも画像不良を回避することができるため、不必要にスループットを落とすことのない制御を行うことが可能となる。
以上、本実施形態における制御を行うことにより、スループットを必要以上に下げることなく、画像擦れを防止することのできる画像形成装置を提供することができるようになる。
《第3の実施形態》
第1、第2の実施形態で示した定着装置のヒータは、ヒータ長手方向の発熱分布を切り替えることができないものであった。本実施形態では、長手方向において複数に分割された発熱ブロックを有するヒータ(以下、分割ヒータと呼ぶ)を有する画像形成装置について説明する。
第1、第2の実施形態で示した定着装置のヒータは、ヒータ長手方向の発熱分布を切り替えることができないものであった。本実施形態では、長手方向において複数に分割された発熱ブロックを有するヒータ(以下、分割ヒータと呼ぶ)を有する画像形成装置について説明する。
本実施形態における画像形成装置では、得られた画像情報に応じて、分割ヒータのそれぞれの発熱ブロック(発熱体)を個別に制御することができる。記録材の幅方向において印字率の高い領域では高い温度で加熱を行い、印字率の低い領域では低い温度で加熱を行うことによって、必要な領域に必要な熱量を供給することのできる構成になっている。
この構成によれば、画像偏差の大きい画像の連続プリントにおいて、印字率が高く、加圧ローラへの結露量が大きい領域を、紙間で選択的に高い温度(後述の図12(b)に示すように例えば230℃)で加熱する。
図8は、本実施形態における定着装置12の概略断面図である。分割ヒータ300および電気接点C4以外の構成は、第1の実施形態で説明した定着装置12と同じものであるため、説明を省略する。
図9に、本実施形態の分割ヒータ300の概略図を示す。図9(a)には、断面図を示してあり、図9(b)には第1裏面層(裏面層1)および第1摺動層(摺動層1)の平面図を示している。図9(b)の裏面層1の平面図に示されている通り、本実施形態の分割ヒータ300はHB1〜HB8の8個の発熱ブロックを有している。以下、発熱ブロックHB4を例に取って分割ヒータ300の説明を行う。
図9(a)は、図9(b)にXの破線で示される位置(発熱ブロックHB4)の断面図である。分割ヒータ300は、セラミック製の基板305の裏面側の面上に、分割ヒータ300の長手方向に沿って設けられている第1の導電体301(301a、301b)を有する。また、基板305上に、第1の導電体301と分割ヒータ300の短手方向の異なる位置でヒータ300の長手方向に沿って設けられている第2の導電体303を有する。また、分割ヒータ300は、第1の導電体301と第2の導電体303の間に設けられた、第1の導電体301と第2の導電体303を介して供給する電力により発熱する発熱体302を有する。
発熱体302は、本実施形態では記録材Pの搬送方向の上流側に配置された発熱体302aと、下流側に配置された発熱体302bに分離されている。また、分割ヒータ300の第2裏面層(裏面層2)には、発熱体302、第1の導電体301、及び第2の導電体303を覆う絶縁層307(本実施形態ではガラス)が電極Eを避けて設けられている。
図9(b)に示される分割ヒータ300の裏面層1には、第1の導電体301と第2の導電体303と発熱体302の組からなる発熱ブロックHB1〜HB8がヒータ300の長手方向に8個設けられている。本実施形態では、各発熱ブロックのヒータ長手方向の幅は全て同じである(必ずしもすべて同じ幅でなくても良い)。電極EおよびE2−1、E2−2は、不図示の制御回路から電力を供給するために用いられる。各発熱ブロックが個別に電極Eを有しており、少なくとも一つの発熱ブロックに供給する電力と、他の発熱ブロックに供給する電力を独立に制御可能な構成となっている。
分割ヒータ300の表面側の摺動層1には、分割ヒータ300の発熱ブロックの温度を検知するため、サーミスタTが設置されている。発熱ブロックHB1〜HB8の全てにサーミスタTを有しているため、全ての発熱ブロックの温度を検知できる。
サーミスタTに通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ETと、サーミスタの共通導電体EGが形成されている。分割ヒータ300の表面側の第2摺動層(摺動層2)には、摺動層308(本実施形態ではガラス)を有する。
次に、画像情報に応じた分割ヒータ300の各発熱ブロックの定着温度設定方法について説明する。本実施形態において、制御部100は、画像情報から記録材の複数の領域におけるトナー量情報を取得する第2の取得部としても機能する。
本実施形態において、分割ヒータ300の各発熱ブロックの制御温度(T)は、最大トナー量情報Dに基づき、決定される。ここで、最大トナー量情報Dとは、画像印字領域全域で検出した、18×18ドットサイズのエリアにおけるトナー量のうち、最大のものをいう。
最大トナー量情報Dは、次のように算出する。画像印字領域を数ドットサイズの微小領域にエリア分割し、エリア毎に画像データの濃度情報を検出し、それを隙間なく画像印字領域全域で繰り返す。本実施形態の画像形成装置は600dpiで、数ドットサイズの微小領域は18×18ドットのサイズとした。トナー単色当たりの最小印字率を0%、最大印字率を100%としたとき、本例の画像形成装置が複数色のトナーを重ねて印字できる最大印字率の上限を200%とした。上限のトナー量が200%であれば、画像形成装置として充分な色域をカバーすることができる。
この最大トナー量情報Dが100%以下の場合には、発熱ブロックの制御温度(T)を230℃に設定する。180%を超える場合には250℃に設定し、100〜180%の間の場合にはT=0.25×D+205の関係式で設定する。すなわち、最大トナー量情報Dに応じた分割ヒータ300の各発熱ブロックの制御温度(T)の関係は、図10に示すような関係にある。この最大トナー量情報に応じた分割ヒータ300の温調制御は、分割した8領域すべてにおいて実施され、ヒータ300のHB1〜HB8の各発熱ブロックの制御温度が個別に設定される。
(紙間拡大制御)
次に、本実施形態の第1の特徴(第1、第2の実施形態と同様の特徴)である、画像偏差が大きい場合における紙間拡大制御について説明する。本実施形態における紙間拡大制御は、図11に示す画像Iのように、左右の平均印字率と最大トナー量Dが異なる画像をプリントする場合に有効である。
次に、本実施形態の第1の特徴(第1、第2の実施形態と同様の特徴)である、画像偏差が大きい場合における紙間拡大制御について説明する。本実施形態における紙間拡大制御は、図11に示す画像Iのように、左右の平均印字率と最大トナー量Dが異なる画像をプリントする場合に有効である。
画像Iは長手方向に8つの領域に分割されている。そのうち、左側の4つの領域の全域には印字率100%のブラックベタ画像が印字されている。右側の4つの領域には、記録材の搬送方向のおおよそ中央付近に、搬送方向における印字可能領域の10%の長さの横帯画像が4つの領域にわたって印字されている。
この画像は、CMYKの4色合計の印字率が200%になるように印字されたベタのプロセスブラック画像である。分割された8つの領域の平均印字率について、左側の4つの領域は100%となり、右側の4つの領域は20%となる。すなわち、画像Iの画像偏差xは8であり、画像偏差xが5.5よりも大きい画像であるため、本実施形態ではまず、第2の実施形態と同様に、紙間拡大制御として、定着装置の長手方向に発生する搬送力分布の不均一性を解消する制御を行う。紙間は、表1に示される値と同じ179mmに拡大することとした。
ここで、8つの発熱ブロック(発熱体)に対する制御温度(温調温度)に関し、左側4つの領域における最大トナー量Dは100%ということになり、図10に示される制御温度の関係式から230℃がトナー画像を加熱する時(定着ニップ部に記録材がある時)の温調温度として選択される。また、右側4つの領域における最大トナー量Dは200%ということになり、図10に示される制御温度の関係式から250℃がトナー画像を加熱する時(定着ニップ部に記録材がある時)の温調温度として選択される。このため、本実施形態の画像形成装置で画像Iのプリントを行う場合、各発熱ブロックの制御温度は表2のように設定される。
画像Iの左右において、分割ヒータ300を異なる温度で制御するため、紙を介して分割ヒータ300からの熱が伝えられる加圧ローラ22にも長手方向に温度の分布ムラが発生する。加圧ローラ22の長手方向に温度分布ムラが生じると、定着フィルム20の回転速度に左右差が発生し、定着フィルム20が長手方向の左右どちらかに寄せられる力が生じる(以下、寄り力と呼ぶ)。寄り力が発生すると、定着フィルム20の端部に過剰なストレスがかかることになり、そのままプリントを続けてしまうと、破損したり、座屈したりする恐れがある。
また、加圧ローラ22に温度分布ムラが生じると、結露の量に違いが生じる。温度が高い部分には結露しにくいため、その部分の搬送力が低下しにくい。この結果、温度の低い領域と高い領域の搬送力により大きな差がつき、画像擦れや紙しわがより発生し易くなる。
そこで、本実施形態の第2の特徴である、各発熱ブロック(各発熱体)に対し、定着ニップ部が紙間となる期間において、定着動作時(定着ニップ部を紙が通過している時)とは異なる温度で温調する制御を行う。これは、定着ニップ部を紙が通過している期間で高い温度に制御されていた発熱ブロックに対しては紙間の期間において制御温度を低くする。一方、定着ニップ部を紙が通過している期間で低い温度で制御されていた発熱ブロックに対しては紙間の期間において制御温度を高くする、という制御である。
即ち、本実施形態では、179mmに拡大した紙間の期間における各発熱ブロックの制御温度を、定着動作時の各発熱ブロックの制御温度に応じて設定している。
図12(a)は、画像Iの20枚連続プリントにおいて、画像偏差xに応じて紙間を179mmとしたときの、後続の記録材が定着装置12に突入する直前のヒータ制御温度と加圧ローラ温度をプロットしたものである。分割ヒータ300の温度分布の影響を受け、加圧ローラ22に温度分布が生じており、発熱ブロックHB1〜HB8間の温度差は約10℃であった。この場合、転写ニップ部と定着ニップ部の間において片弛みが発生しており、15枚目以降の画像Iの左側端部に軽微な画像擦れが見られた。また、寄り力が発生しており、定着フィルム20が画像に向かって左側に寄せられていた。
これに対し、本実施形態では、紙間の期間で、以下のように各発熱ブロックを制御する。即ち、先行の記録材において最大トナー量が高い領域を加熱した発熱ブロックほど、紙間の期間における制御温度が低くなるように、複数の発熱ブロックを制御する。
このようにして、発熱ブロックHB1〜HB4の紙間の期間における制御温度を240℃、発熱ブロックHB5〜HB8の紙間の期間における制御温度を230℃にし、且つ紙間179mmとなるように制御した。図12(b)は、この条件で20枚連続プリントした場合の、19枚目の記録材Pが定着ニップ部N3に突入する直前のタイミングにおける加圧ローラ温度をプロットしたものである。加圧ローラ22の温度分布は図12(a)と異なり、全域でほぼ同じ温度になっていた。
本実施形態では、転写ニップ部と定着ニップ部の間における片弛みは見られず、画像Iにおいても画像擦れは見られなかった。そして、定着フィルム20も左側に寄せられておらず、ヒータ長手方向において、定着フィルムの両端と対抗する部材と適切なクリアランスをもって回転していた。
今回のプリントでは、紙間の期間における各発熱ブロックの制御温度に10℃の差をつけて温調を行ったが、この温度差はプリント中(定着動作中)の各発熱ブロックの制御温度差に応じて変更することが好ましい。すなわち、プリント中(定着動作中)の各発熱ブロックの制御温度差が小さい場合には、紙間における各発熱ブロックの制御温度差も小さくするとよい。そして、逆にプリント中(定着動作中)の各発熱ブロックの制御温度差が大きい場合には、紙間の期間における各発熱ブロックの制御温度差も大きくするとよい。
このように、分割ヒータ300を用いた画像形成装置において、先行の記録材Pをプリントしているときの各発熱ブロックの制御温度に応じて、後続の記録材との紙間の期間における各発熱ブロックの制御温度を変更する。これにより、画像擦れの発生が無く、また、定着フィルム20の破損のリスクのない画像形成装置を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明を述べたが、本発明はこれに限らず様々な形態の画像形成装置に適用可能である。
上述した実施形態では、像担持体として中間転写ベルトを有するフルカラーの画像形成装置を例にとり説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、像担持体としての感光ドラムからトナー像を直接記録材に転写する記録材搬送方式のタンデムフルカラーの画像形成装置や、モノクロの画像形成装置にも適用が可能である。あるいは、単位領域に対して4回の走査で記録を行う4パス記録方式のフルカラー画像形成装置にも適用が可能である。
また、上述した実施形態では記録材の非印字面側に位置する加圧ローラによって駆動される構成を例にとって説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。記録材の印字面側に位置する回転体が駆動する構成であっても、結露スリップの現象自体は発生し、画像擦れや紙しわなどの問題が発生する場合があるため、本発明の制御は有効である。
また、平均印字率の領域間差を表す手法として、画像偏差xを求めて説明したが、実施形態で説明した方法に限定されるものではなく、左右の搬送力の差の要因となる平均印字率の領域間差を定量的に判断できるものであれば、方法は限定されない。
更に制御の実行条件として、温湿度センサによって画像形成装置の置かれた環境を検知し、その結果によって実行するかどうかを判断すると説明したが、この方法に限定されるものでない。例えば、記録材Pの抵抗を測定するなどの方法で記録材Pの水分量が多いと検知した場合に本発明の制御を実行しても構わない。
また、上述した実施形態では、定着ニップ部を加熱する加熱手段として、フィルムの内周面に接するヒータを用いたが、これに限られるものではない。例えば、定着ニップ部を加熱する加熱手段として、電磁誘導によりフィルムを発熱させる励磁コイルを用いることもできる。
16・・ヒータ、20・・定着フィルム、22・・加圧ローラ、54・・2次転写ローラ、100・・制御部、N2・・2次転写ニップ部、N3・・定着ニップ部
Claims (10)
- 記録材にトナー画像を形成する画像形成部と、
ヒータを有し、記録材に形成されたトナー画像を加熱して記録材に定着する定着部と、
画像形成装置を制御する制御部と、を有する画像形成装置であって、
複数枚の記録材に連続してトナー画像を形成する時、前記制御部は、後続の記録材の記録材搬送方向に対して直交する方向における印字率の偏りに応じて、先行する記録材と後続の記録材の間隔を設定することを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、前記偏りが閾値より大きい時の前記間隔を、前記偏りが前記閾値より小さい時の前記間隔よりも大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記偏りが大きい程、前記間隔を大きく設定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記定着部が、先行する記録材と後続の記録材のインターバルとなっている期間において、前記制御部は前記ヒータを発熱させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記ヒータは、前記記録材搬送方向に対して直交する方向において、互いに独立して制御される複数の発熱ブロックを有し、
前記制御部は、画像情報に応じて、トナー画像を加熱する時の前記複数の発熱ブロックの制御温度を設定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。 - 前記制御部は、前記インターバルとなっている期間における各発熱ブロックの制御温度を、トナー画像を加熱する時の前記複数の発熱ブロックの制御温度に応じて設定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記定着部は、記録材と接触しつつ回転する筒状のフィルムと、前記フィルムとの間に記録材を挟み込む加圧ローラと、を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記フィルムは前記加圧ローラによって駆動されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記ヒータは、前記フィルムの内面に接触していることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成装置。
- 前記フィルムを介して前記ヒータと前記加圧ローラによって記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成していることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
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