JP2020018242A - 心筋細胞の製造方法 - Google Patents

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繁 宮川
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勝久 松浦
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Abstract

【課題】大量の心筋細胞を効率的に産生することを課題とする。【解決手段】(1)複数の胚様体をそれぞれ隔離してスフェロイド培養しうる、複数の区画を有する培養基材を用いて、iPS細胞をスフェロイド培養することにより、複数の胚様体を形成する工程;及び(2)前記工程(1)において得られた複数の胚様体を、三次元浮遊培養に供して心筋細胞へと分化誘導する工程を含む、心筋細胞の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は心筋細胞の製造方法に関する。
胚性多能性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞は(iPS細胞)等の多能性幹細胞から心筋細胞を分化誘導する方法が報告されている。多能性幹細胞を分化誘導するには、まず多能性幹細胞を培養して胚様体を形成させ、それから分化誘導を行う必要がある。
胚様体の形成から心筋への分化誘導までを、低接着性の培養基材を用いて培養しつつ行う方法(非特許文献1)が報告されている。
三輪達明、他1名、Bio Clinica、 Vol. 31、No.3、pp.257〜260、2016年
本発明者らは、胚様体の形成から心筋への分化誘導までを、低接着性の培養基材を用いて培養しつつ行う方法においては、大量の心筋細胞を効率的に産生することができないという課題を見出した。
本発明者らは、複数の胚様体をそれぞれ隔離してスフェロイド培養しうる、複数の区画を有する培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、複数の胚様体を形成し、これらの胚様体を、三次元浮遊培養に供して心筋細胞へと分化誘導することにより上記課題を解決できることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。
項1.
(1)複数の胚様体をそれぞれ隔離してスフェロイド培養しうる、複数の区画を有する培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、複数の胚様体を形成する工程;及び
(2)前記工程(1)において得られた複数の胚様体を、三次元浮遊培養に供して心筋細胞へと分化誘導する工程
を含む、心筋細胞の製造方法。
項2.
前記培養基材が、複数の概ね均一の区画を有する培養基材である、項1に記載の製造方法。
項3.
前記培養基材が、低細胞接着性の培養基材である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.
前記多能性幹細胞が、iPS細胞である、項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5.
前記iPS細胞が、フィーダーフリーで樹立されたものであり、かつ維持培養されている場合は当該維持培養がフィーダーフリーで行われたものである、項4に記載の製造方法。
項6.
前記工程(2)を12日間行った時点において三次元浮遊培養から回収される細胞群における心筋トロポニンT陽性率が50%以上である、項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7.
前記三次元浮遊培養が、浮遊攪拌による三次元培養である、項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
項8.
浮遊攪拌による前記三次元培養が、
培養液を収納する円筒形状の培養槽と、
該円筒形状の中心軸を回転中心として回転可能に取り付けられ、かつ培養槽底部側に向かって裾広がり形状を有する攪拌翼と
を備える、細胞培養装置を用いて行われるものである、項7に記載の製造方法。
本発明によれば、大量の心筋細胞を効率的に産生することができる。
心筋細胞の分化誘導プロトコール1を示す図である。 心筋細胞の分化誘導プロトコール2を示す図である。 心筋細胞の分化誘導プロトコール3を示す図である。 EZSPHERE(登録商標)に対するiPS細胞播種量と分化誘導後のトロポニン陽性率との相関を示す図である。 アクチビンA添加量に対する分化誘導後のトロポニン陽性率との相関を示す図である。 BMP-4添加量に対する分化誘導後のトロポニン陽性率の相関を示す図である。 bFGF添加量に対する分化誘導後のトロポニン陽性率との相関を示す図である。 VEGF添加量に対する分化誘導後のトロポニン陽性率との相関を示す図である。
本発明の製造方法は、
(1)複数の胚様体をそれぞれ隔離してスフェロイド培養しうる、複数の区画を有する培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、複数の胚様体を形成する工程;及び
(2)前記工程(1)において得られた複数の胚様体を、三次元浮遊培養に供して心筋細胞へと分化誘導する工程
を含む、心筋細胞の製造方法である。
1.多能性幹細胞
多能性幹細胞は、特に限定されず、幅広く選択できる。多能性幹細胞は、好ましくは、iPS細胞又はES細胞である。多能性幹細胞は、フィーダーフリーで樹立されたものであってもよい。多能性幹細胞は、維持培養されている場合はフィーダーフリーで維持培養が行われたものであってもよい。本発明の製造方法は、フィーダーフリーで樹立された多能性幹細胞であって、維持培養されている場合はフィーダーフリーで維持培養が行われた多能性幹細胞を用いても、効率的に心筋細胞を分化誘導することができるという効果を有する。
2.工程(1)
工程(1)では、複数の区画を有する培養基材を用いる。かかる培養基材は、複数の胚様体をそれぞれ隔離してスフェロイド培養しうる。
上記培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、複数の胚様体を形成することができる。
上記培養基材は、複数の概ね均一の区画を有する培養基材であることが好ましい。そのような培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、サイズが概ね均一な複数の胚様体が得られるため好ましい。この効果の点で、上記培養基材は、各区画の口径(長径)が、400〜800μmであれば好ましい。また、上記の効果の点で、各区画は、深さ(最深)が、100〜400μmであれば好ましい。
上記培養基材は、低細胞接着性の培養基材であることが好ましい。そのような培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、胚様体を効率的に得ることができる。そのような低細胞接着性は、例えば、タンパク質が低い接着性を示す培養基材を採用したり、あるいはタンパク質が低い接着性を示すコーティング層を表面に設けたりすること等によって培養基材に付与できる。
特に限定されないが、上記培養基材として、例えば、EZSPHERE(登録商標)(IWAKI)を使用することができる。
工程(1)のスフェロイド培養は、通常、3〜5日間、好ましくは4日間行うことができる。
工程(1)のスフェロイド培養は、培養開始時の細胞播種量が、細胞培養面積(mm)当り、1〜10×10/mmであれば好ましく、2〜6×10/mmであればより好ましい。
3.工程(2)
工程(2)では、工程(1)において得られた複数の胚様体を、三次元浮遊培養に供して心筋細胞へと分化誘導する。工程(1)で得られる、サイズが概ね均一な複数の胚様体を、工程(2)において三次元浮遊培養に供することにより、大量の心筋細胞を効率的に産生することができる。
上記三次元浮遊培養は、好ましくは浮遊攪拌による三次元培養である。浮遊攪拌による三次元培養の条件は、特に限定されず、幅広く選択できる。浮遊攪拌による三次元培養の一例として、培養液を収納する円筒形状の培養槽と、該円筒形状の中心軸を回転中心として回転可能に取り付けられ、かつ培養槽底部側に向かって裾広がり形状を有する攪拌翼とを備える、細胞培養装置を用いる方法を挙げることができる。そのような細胞培養装置については、例えば、国際公開2013/187359号等に記載されるものを使用できる。
例えば、細胞培養装置として、「iPS細胞培養用 シングルユースバイオリアクター」(エイブル株式会社)等を使用することができる。
細胞培養時における攪拌翼の回転数は、特に限定されず、低シェアストレスが確保されることと、細胞凝集塊の沈殿が防止されることとを基準として、適宜調整して設定することができる。回転数の好ましい一例としては10〜80rpmの範囲等が挙げられる。
工程(2)を12日間行った時点において三次元浮遊培養から回収される細胞群における心筋トロポニンT陽性率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは60%以上である。分化した心筋細胞は心筋トロポニンT陽性となる。よって、心筋トロポニンT陽性率は、心筋細胞への分化の程度の指標である。
本発明において、心筋トロポニンT陽性率は、FACS解析により測定するものとする。具体的には、蛍光標識した、心筋トロポニンTに対する抗体を用いて、フローサイトメトリーによる解析を行う。
工程(2)の三次元浮遊培養は、通常、9〜15日間、好ましくは10〜14日間、より好ましくは11〜13日間、さらに好ましくは12日間行うことができる。
培養槽の容量は特定に限定されず、適宜設定できる。例えば、20ml〜100ml等とすることができる。
心筋細胞への分化誘導は、公知の方法によって行うことができる。一例として、以下の条件で培養する方法が挙げられる。
心筋細胞への分化誘導条件:
・工程(1)胚様体形成
Day 0〜:BMP−4最終濃度2ng/ml
Day 1〜:Activi A最終濃度12ng/ml、BMP−4最終濃度10ng/ml、bFGF最終濃度10ng/ml
・工程(2)三次元浮遊培養
Day 4〜:VEGF最終濃度10ng/ml、IWP−3最終濃度1μM、SB431542最終濃度5.4μM、Dorsomorphin最終濃度3μM
Day 8〜:VEGF最終濃度10ng/ml、bFGF最終濃度5ng/ml
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
試験例 iPS細胞(Ff-I14s04株)の調製
沖田らの方法(Stem Cells, 31(3):458-66m 2013)に従って、ヒトホモドナー末梢血の細胞に初期化因子を有するエピソーマルベクター(pCXLE-hOCT3/4-shp53-F、pCXLE-hSK、pCXLE-hUL)を電気穿孔法で遺伝子導入し、ラミニン511-E8でコーティングされた培養皿で培養することにより、iPS細胞(Ff-I14s04株)を調製した。
実施例1 胚様体形成における低接着性培養皿とEZSPHERE(登録商標)との比較
心筋細胞分化誘導の初期過程である胚様体(EB)形成において、低接着性培養皿および細胞培養容器(EZSPHERE(登録商標)(IWAKI))の効果を検討した。
低接着性培養皿を用いたプロトコール1(図1)およびEZSPHERE(登録商標)を用いたプロトコール3(図3)に従って、それぞれ16日間培養した。培養条件はプロトコールに示すように共通してDay 0ではBMP-4最終濃度2ng/ml、Day 1ではActivin A最終濃度 12ng/ml、BMP-4最終濃度10ng/ml、bFGF最終濃度 10ng/ml、Day 4ではVEGF最終濃度10ng/ml、IWP-3最終濃度 1μM、SB431542最終濃度 5.4μM、Dorsomorphin最終濃度 3μM、Day 8ではVEGF最終濃度10ng/ml、bFGF最終濃度 5ng/mlに調整した。
プロトコール1(図1)およびプロトコール3(図3)に従って、iPS細胞(Ff-I14s04株)をそれぞれ4日間培養してEBとし、次いで、共に3次元浮遊撹拌培養装置に移し、プロトコールに従って12日間(合計16日間)培養して心筋細胞に分化させた。
その結果を表1に示した。day 4までに形成されたEBを細胞画像および細胞数で比較したところ、EBの均一性は EZSPHERE(登録商標)を用いた場合が優れており、細胞数は両プロトコールで大きな差異が認められなかった。day 16までの培養によって得られた回収細胞についてトロポニン陽性率と回収細胞数で比較したところ、トロポニン陽性率は低接着性培養皿を用いた場合では14.7%であったが、EZSPHERE(登録商標)を用いた場合では65.3%であって、4.4倍ほど高い心筋細胞含有率を示した。回収細胞数はそれぞれ2.08 x 108個(低接着培養皿)、1.90 x 108個(EZSPHERE(登録商標))であり、差異が認められなかった。
これらの結果から、iPS細胞から心筋細胞への分化誘導工程ではEB形成おいてEZSPHERE(登録商標)を用いることにより、均一なEBが形成され、トロポニン陽性率の高い回収細胞が得られ、EZSPHERE(登録商標)の有用性が認められた。
実施例2 EB形成後の培養方法の比較
心筋細胞分化誘導のEB形成後の培養過程において、低接着性培養皿を用いた2次元培養および浮遊培養装置((株)エイブル社製)を用いた3次元培養方法を比較した。サイトカイン類の培養条件は実施例1と同一である。
EB形成までは共にEZSPHERE(登録商標)を用いて4日間培養してEBを形成させ、EB形成後に低接着性培養皿を用いたプロトコール2(図2)および浮遊培養装置を用いたプロトコール3(図3)に従って、それぞれ12日(合計16日間)培養して心筋細胞に分化させた。
その結果を表2に示した。day 16までの培養によって得られた回収細胞をトロポニン陽性率と回収細胞数で比較したところ、トロポニン陽性率は低接着性培養皿を用いた場合では27.8%であり、浮遊培養装置を用いた場合では68.9%であり、約2.5倍ほど高い心筋含有率を認めた。回収細胞数は2.26 x 108個(低接着性培養皿)、1.9 x 108個(浮遊培養装置)であり差異は認められなかった。
これらの結果から、EB形成後の培養過程において、浮遊培養装置を用いた3次元培養方法が優れていることが認められた。
実施例3
実施例1および実施例2の結果を基にEB形成までをEZSPHERE(登録商標)を用い、それ以後の心筋への培養を浮遊培養装置を用いることとし、また、実施例4および実施例5の結果を基に培養条件を定め、本発明の心筋細胞分化誘導プロトコール3(図3)を決定した。
iPS細胞から心筋細胞の作製において、Day0からDay4の培養は細胞培養容器(EZSPHERE(登録商標))を用い、Day4からDay17の培養は浮遊培養装置((株)エイブル社製)を用いて行い、培養液Stem Fit AK03N(味の素株式会社)を培地として用いた。
Day0で、上記試験例で調製したiPS細胞(Ff-I14s04株)の胚様体をTrypLE Select(Thermo)溶液と0.5 mM EDTA/PBS溶液との混合溶液(1:1)で4分間処理した後に溶媒を除去し、セルスクレーパーを用いてiPS細胞を剥離して単一細胞に解離した。当該シングルセルを最終濃度が10μM Rock阻害剤(Y-27632(Wako))および2 ng/mL BMP4(R&D)を添加した10 mLの培地(Stem FitAK03N)に加えて懸濁液とし、EZSPHERE(登録商標)1プレート当たり2〜5x106個のiPS細胞を播種し、37℃、5%酸素条件下で1日間培養してEBを作製した。さらに、最終濃度が12ng/ mL アクチビンA(R&D)、10ng/mL BMP4、および10ng/mL bFGF(R&D)になるように添加した培地に交換し、37℃、5%酸素条件下でEBを3日間培養して心筋分化誘導を行った。作製したEBは次工程においてEZSPHERE(登録商標)5プレート分を使用した。
Day4で、浮遊培養装置(容量100mL)を用いて、装置に最終濃度が10ng/mL VEGF(R&D)、5.4μM SB431542(Sigma)、2μM Dorsomorphin(Sigma)および1μM IWP-3(Stemolecule)を添加した培地100mLを加え、次いで前工程で作製したEBを加え、37℃、5%酸素条件下で4日間培養した。Day6で同じ組成の培地に交換した。
Day8で、培地を除去し、新たに最終濃度が10ng/mL VEGFおよび5ng/mL bFGFを添加した培地100mLを加え、37℃、5%酸素条件下で7〜9日間培養して、Day15〜17にiPS細胞より分化誘導した心筋細胞を回収した。この間に2日毎に同じ組成の培地に交換した。
本実施例の分化誘導プロトコール3(図3)に従って作製した5ロットの心筋細胞をFACSで評価し、回収細胞数およびトロポニン陽性率を表3に示した。
EZSPHERE(登録商標)および浮遊培養装置を用いた、iPS細胞から心筋細胞への分化誘導方法によって、1ロットで2.6x108 〜 5.5x108個の多量の心筋細胞を回収できること、また、その心筋細胞のトロポニン陽性率は74〜84%であり高い心筋細胞含有率を有することが明らかになった。これにより、臨床使用を可能とする心筋細胞の製造が可能となった。
実施例4 EZSPHERE(登録商標)を用いた胚様体形成における播種量の検討
心筋細胞分化誘導プロトコール3(図3)に従い、のiPS細胞(単一細胞)の播種量をEZSPHERE(登録商標)1プレートあたり2.5 x 106〜5 x 106個に変化させ、分化誘導して得られる心筋細胞のトロポニン陽性率を検討した。本試験において、サイトカイン類の培地への添加量はActivin Aを12ng/mL、BMP-4を10 ng/mL、bFGFを10 ng/ml(分化期)および5ng/mL(成熟期)、VEGFを10 ng/mL、IWP-3を1μM、SB431542を5.4μM、Dorsomorphinを0.6μMに調整した。
結果を図4に示した。EZSPHERE(登録商標)1プレートあたりの播種量3 x 106、3.5 x 106、4 x 106個に対して、トロポニン陽性率はそれぞれ47.1%、51.3%、40.6%であり、EZSPHERE(登録商標) 1プレートあたり3〜4 x 106個のiPS細胞播種量が最適であった。
実施例5 培地に対するサイトカイン類の添加量の検討
心筋細胞分化誘導プロトコール3(図3)に従い、分化誘導して得られた心筋細胞のトロポニン陽性率を指標として、胚様体形成後における、培地に対する各サイトカイン類添加量の最適化を行った。
(1)アクチビンA添加量の最適化
培地へのアクチビンAの添加量(20〜100 ng/mL)に対して、分化誘導して得られた心筋細胞のトロポニン陽性率を検討した。
本試験において、Activin A以外のサイトカイン類の培地への添加量はBMP-4を10 ng/mL、bFGFを10 ng/ml(分化期)および5ng/mL(成熟期)、VEGFを10 ng/mL、IWP-3を1μM、SB431542を5.4μM、Dorsomorphinを0.6μMに調整した。
結果を図5に示した。アクチビンAの添加量20、30、50、100 ng/mlに対して、cTNT陽性細胞含有率はそれぞれ81.0%、74.9%、71.5%、66.5%であり、20 および30 ng/mlのアクチビンA添加量が高いトロポニン陽性率を与えた。
(2)BMP-4添加量の最適化
培地へのBMP-4の添加量(200〜1000 ng/mL)に対して、分化誘導して得られた心筋細胞のトロポニン陽性率を検討した。本試験において、BMP-4以外のサイトカイン類の培地への添加量はActivin Aを6 ng/mL、bFGFを10 ng/ml(分化誘導期)および5ng/mL(成熟期)、VEGFを10 ng/mL、IWP-3を1μM、SB431542を5.4μM、Dorsomorphinを0.6μMに調整した。
結果を図6に示した。BMP-4の添加量200、300、500、1000 ng/mlに対して、トロポニン陽性率はそれぞれ2.1%、12.6%、58.7%、58.2%であり、500 ng/mlのBMP-4添加量が高いトロポニン陽性率を与えた。
(3)bFGF添加量の最適化
培地へのbFGFの培地への添加量(10〜20 ng/mL)に対して、分化誘導して得られた心筋細胞のトロポニン陽性率を検討した。本試験において、bFGF以外のサイトカイン類の添加量はActivin Aを6 ng/mL、BMP-4を10 ng/mL、VEGFを10 ng/mL、IWP-3を1μM、SB431542を5.4μM、Dorsomorphinを0.6μMに調整した。
結果を図7に示した。bFGFの添加量10、20 ng/mlに対して、トロポニン陽性率はそれぞれ40.5%、58.6%であり、20 ng/mlのbFGF添加量が高いトロポニン陽性率を与えた。
(4)VEGF添加量の検討
培地へのVEGFの添加量(5〜20 ng/mL)に対して、分化誘導して得られた心筋細胞のトロポニン陽性率を検討した。本試験において、VEGF以外のサイトカイン類の培地への添加量はActivin Aを6 ng/mL、BMP-4を10 ng/mL、bFGFを10 ng/ml(分化誘導期)および5ng/mL(成熟期)、IWP-3を1μM、SB431542を5.4μM、Dorsomorphinを0.6μMに調整した。
結果を図8に示した。VEGFの添加量5、10、15、20 ng/mlに対して、トロポニン陽性率はそれぞれ84.3%、82.6%、80.8%、81.8%であり、検討したVEGF添加量では顕著な差異は認められず、いずれも高いトロポニン陽性率を与えた。

Claims (8)

  1. (1)複数の胚様体をそれぞれ隔離してスフェロイド培養しうる、複数の区画を有する培養基材を用いて、多能性幹細胞をスフェロイド培養することにより、複数の胚様体を形成する工程;及び
    (2)前記工程(1)において得られた複数の胚様体を、三次元浮遊培養に供して心筋細胞へと分化誘導する工程
    を含む、心筋細胞の製造方法。
  2. 前記培養基材が、複数の概ね均一の区画を有する培養基材である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記培養基材が、低細胞接着性の培養基材である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記多能性幹細胞が、iPS細胞である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記iPS細胞が、フィーダーフリーで樹立されたものであり、かつ維持培養されている場合は当該維持培養がフィーダーフリーで行われたものである、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記工程(2)を12日間行った時点において三次元浮遊培養から回収される細胞群における心筋トロポニンT陽性率が50%以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記三次元浮遊培養が、浮遊攪拌による三次元培養である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 浮遊攪拌による前記三次元培養が、
    培養液を収納する円筒形状の培養槽と、
    該円筒形状の中心軸を回転中心として回転可能に取り付けられ、かつ培養槽底部側に向かって裾広がり形状を有する攪拌翼と
    を備える、細胞培養装置を用いて行われるものである、請求項7に記載の製造方法。

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