JP2020016532A - 質量分析用のペプチド試料の調製方法 - Google Patents

質量分析用のペプチド試料の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便性や迅速性に優れ、かつ、1細胞に相当する量の哺乳動物細胞タンパク質からであっても、当該タンパク質を構成するペプチド断片を効率よく回収することができる、質量分析用のペプチド試料の調製方法を提供すること。【解決手段】哺乳動物細胞を界面活性剤で可溶化し、タンパク質分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行い、かつ、タンパク質分解処理により生成されたペプチド断片を、ペプチド結合性固相担体に結合させ、その後、有機溶媒液からペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を分離する。【選択図】なし

Description

本発明は、哺乳動物細胞タンパク質を構成するペプチド断片を含む質量分析用試料の調製方法に関する。
プロテオミクスは、質量分析計を用いて、タンパク質を網羅的に解析する手法であり、生命科学、特にバイオマーカーの研究に重要な手法である。質量分析用のペプチド試料を調製する場合、まずは、組織や細胞からタンパク質を可溶化させ、トリプシン等のタンパク質分解酵素で可溶化したタンパク質を断片化処理する。その後、断片化されたペプチドを、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析計(LC−MS/MS)等の質量分析計を用いて測定し、得られたペプチドのマススペクトルやマスクロマトグラムを基に、タンパク質の同定及び定量の他、タンパク質の各種変異体の同定及び定量が可能となる(特許文献1)。
質量分析において、通常、多数の細胞を含む試料を用いるため、そこから得られる情報は、多数の細胞の平均的な情報となる。1細胞レベルでタンパク質の発現を解析する場合、例えば、フローサイトメトリーや免疫蛍光染色法を用いて行われる。しかしながら、これらの方法は、特定のタンパク質を測定対象としたものであり、タンパク質の発現を網羅的に解析できるものではない。1細胞プロテオミクスは、微量なタンパク質からのペプチド断片の回収率が低いことが主な問題となり、未だ実現できていないのが現状である。
本発明者らは、脂溶性に改変可能な界面活性剤を用いてタンパク質を可溶化し、タンパク質分解処理後に、前記界面活性剤を脂溶性に改変して有機溶媒液中に分離すると、ペプチド断片の回収率が改善することを報告している(特許文献2)。
国際公開第2017/022562号パンフレット 国際公開第2009/044903号パンフレット
本発明の課題は、簡便性や迅速性に優れ、かつ、1細胞に相当する量の哺乳動物細胞タンパク質からであっても、当該タンパク質を構成するペプチド断片を効率よく回収することができる、質量分析用のペプチド試料の調製方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けている。その過程において、界面活性剤で可溶化した哺乳動物細胞タンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴(すなわち、容器表面に接しない液滴)中で、ペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理し、かかるタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製し、その後、有機溶媒液から当該ペプチド結合性固相担体を分離すると、1細胞に相当する量の哺乳動物細胞タンパク質からであっても、当該タンパク質を構成するペプチド断片が効率よく回収され、その結果、質量分析により同定されるペプチド断片数や細胞タンパク質の種類が増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕以下の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法(以下、「本件調製法1」ということがある)。
(a)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、ペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
〔2〕以下の工程(a−1)、(a−2)、及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法(以下、「本件調製法2」ということがある)。
(a−1)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、タンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理する工程;
(a−2)ペプチド結合性固相担体を、工程(a−1)で得られた液滴に加え、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
〔3〕以下の工程(A)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法(以下、「本件調製法3」ということがある)。
(A)1又は2以上の哺乳動物細胞を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、界面活性剤、タンパク質分解酵素、及びペプチド結合性固相担体の存在下、可溶化処理及びタンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
〔4〕ペプチド結合性固相担体が、その表面がカルボキシル基でコートされた磁性ビーズであることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の調製方法。
〔5〕界面活性剤が相間移動溶解剤であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の調製方法。
〔6〕相間移動溶解剤が、デオキシコール酸ナトリウムを含み、かつ
工程(p)において、哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離する前に、酸を液滴に加え、前記デオキシコール酸ナトリウムを有機溶媒液中に油溶化させる工程(x)をさらに含むことを特徴とする上記〔5〕に記載の調製方法。
〔7〕有機溶媒液が酢酸エチルを含む液であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の調製方法。
本件調製法1〜3(以下、これらを総称して「本件調製法」ということがある)を用いると、1つの哺乳動物細胞からであっても、比較的簡便かつ迅速に、当該哺乳動物細胞中のタンパク質を構成するペプチド断片を効率よく回収することができるため、1細胞プロテオミクスが可能となるだけでなく、質量分析に必要な哺乳動物細胞数を減少させることも可能となる。また、本件調製法を用いると、がん幹細胞や造血幹細胞等の細胞数が限られた貴重な細胞種についてのプロテオミクスが可能となるため、本件調製法はこれらの細胞を標的とする治療薬の開発に大きく貢献することが期待される。
4種類のペプチド断片試料(実施例サンプル、及び比較例1〜3サンプル)について、質量分析を行い、全マススペクトルのシグナル強度を解析した結果を示す図である。 可溶化した細胞タンパク質の非存在下(0ng)又は存在下(1ng)で[比較例2サンプルの調製法]及び[実施例サンプルの調製法]を行い、質量分析によりペプチド断片を同定した結果を示す図である。縦軸は同定されたペプチド断片数の平均値(n=3)を示す。 可溶化した細胞タンパク質を、Magnosphere(図中の「Magnosphere-COOH」)、又はFGビーズ(図中の「FG beads-COOH」)に結合させ、回収・精製した後、CBB染色により細胞タンパク質量を解析した結果を示す図である。 デオキシコール酸ナトリウム(図4の「SDC」)又は尿素(図4の「尿素」)で可溶化された細胞タンパク質から、実施例サンプルを調製し、質量分析によりペプチド断片の回収率を解析した結果(n=3)を示す図である。 0.1ngのHeLa細胞タンパク質抽出物から、実施例サンプル及び比較例2サンプルを調製し、質量分析により同定されたペプチド断片数(図5A)及び細胞タンパク質数(図5B)を解析した結果を示す図である。
本件調製法1の工程(a)においては、界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質(以下、単に「可溶化タンパク質」ということがある)のタンパク質分解処理と、かかる分解処理時により生成されたペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合反応とを、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行い、前記タンパク質を構成するペプチド断片(以下、単に「ペプチド断片」ということがある)が結合したペプチド結合性固相担体(以下、「ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体」ということがある)を調製する。かかる工程(a)の具体的な方法としては、例えば、容器(例えば、ガラスやプラスチック等の材質からなるチューブ、試験管などの容器;以下同じ。)内の有機溶媒液中で、可溶化タンパク質及びペプチド結合性固相担体を含む液滴と、タンパク質分解酵素を含む液滴とを接触させ、可溶化タンパク質及びペプチド結合性固相担体、並びにタンパク質分解酵素を含む液滴を調製し、タンパク質分解処理;及びにペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合;に適切な条件下でインキュベートする方法や、容器内の有機溶媒液中で、可溶化タンパク質を含む液滴と、ペプチド結合性固相担体を含む液滴と、タンパク質分解酵素を含む液滴とを接触させ、可溶化タンパク質、ペプチド結合性固相担体、及びタンパク質分解酵素を含む液滴を調製し、タンパク質分解処理;及びにペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合;に適切な条件下でインキュベートする方法や、容器内の有機溶媒液中で、可溶化タンパク質を含む液滴と、ペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素を含む液滴とを接触させ、可溶化タンパク質、並びにペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素を含む液滴を調製し、タンパク質分解処理;及びにペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合;に適切な条件下でインキュベートする方法;を挙げることができる。なお、接触前の各液滴の数や、接触後に得られた液滴の数は、それぞれ少なくとも1つあればよい。
本件調製法2においては、まず工程(a−1)において、可溶化タンパク質のタンパク質分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行った後、次いで、工程(a−2)において、かかる分解処理により生成されたペプチド断片をペプチド結合性固相担体に結合させる。かかる工程(a−1)及び(a−2)の具体的な方法としては、例えば、容器内の有機溶媒液中で、可溶化タンパク質を含む液滴と、タンパク質分解酵素を含む液滴とを接触させ、可溶化タンパク質及びタンパク質分解酵素を含む液滴を調製し、タンパク質分解処理に適切な条件下でインキュベートした(工程[a−1])後、かかる分解処理により生成されたペプチド断片を含む液滴と、ペプチド結合性固相担体を含む液滴とを接触させ、ペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合に適切な条件下でインキュベートする(工程[a−2])方法を挙げることができる。なお、接触前の各液滴の数や、接触後に得られた液滴の数は、それぞれ少なくとも1つあればよい。
本件調製法1及び2における可溶化タンパク質は、哺乳動物細胞タンパク質を、容器表面に接した状態の界面活性液中で可溶化処理し、調製することができるし、哺乳動物細胞タンパク質を、界面活性剤を含み、かつ有機溶媒液でその表面が覆われた(すなわち、有機溶媒液でその表面が覆われることによって容器表面に非接触な状態の)液滴中で可溶化処理し、調製することもできる。
本件調製法3の工程(A)においては、1又は2以上の哺乳動物細胞(以下、単に「細胞」ということがある)の可溶化処理、タンパク質分解処理、及びかかる分解処理時により生成されたペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行い、前記ペプチド断片を前記ペプチド結合性固相担体に結合させる。かかる工程(A)の具体的な方法としては、例えば、容器内の有機溶媒液中で、細胞を含む液滴と、タンパク質分解酵素を含む液滴と、ペプチド結合性固相担体を含む液滴とを接触させるか、細胞を含む液滴と、タンパク質分解酵素及びペプチド結合性固相担体を含む液滴とを接触させるか、あるいは、細胞及びペプチド結合性固相担体を含む液滴と、タンパク質分解酵素を含む液滴とを接触させ、細胞、タンパク質分解酵素、及びペプチド結合性固相担体を含む液滴を調製し、可溶化処理;タンパク質分解処理;及びにペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合;に適切な条件下でインキュベートする方法を挙げることができる。なお、接触前の各液滴の数や、接触後に得られた液滴の数は、それぞれ少なくとも1つあればよい。
上記「タンパク質分解処理に適切な条件」としては、ほとんど(例えば、70〜100%の範囲内、好ましくは90〜100%の範囲内)の可溶化タンパク質を、タンパク質分解酵素特異的に断片化処理できる条件であればよく、温度は、通常20〜39℃の範囲内(好ましくは、30〜37℃の範囲内)であり、処理時間は、通常15秒〜48時間の範囲内(好ましくは、16〜36時間の範囲内)である。
上記「ペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合に適切な条件」としては、ほとんど(例えば、70〜100%の範囲内、好ましくは90〜100%の範囲内)のペプチド断片が、ペプチド結合性固相担体に結合できる条件であればよく、温度は、通常20〜39℃の範囲内であり、処理時間は、通常15秒〜48時間の範囲内である。
上記「可溶化処理に適切な条件」としては、哺乳動物細胞(細胞質及び/又は細胞核)中のほとんど(例えば、70〜100%の範囲内、好ましくは90〜100%の範囲内)のタンパク質が、可溶化される条件であればよく、温度は、通常20〜39℃の範囲内であり、処理時間は、通常15秒〜48時間の範囲内である。
本件調製法において、タンパク質分解処理と、ペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合とを同時に行う場合の条件や、タンパク質分解処理と、可溶化処理及びペプチド断片のペプチド結合性固相担体への結合とを同時に行う場合の条件としては、タンパク質分解処理に適切な条件が好ましい。
本件調製法において、一方の液滴と、他方の液滴とを接触させる方法としては、両液滴を有機溶媒液中で直接的に接触させる方法であってもよいし、両液滴が互いに接触しないように有機溶媒液中に滴下した後、重力等の力を利用して、両液滴を有機溶媒液中で間接的に接触させる方法であってもよい。
本件調製法において、哺乳動物細胞タンパク質の可溶化の効率をより高めるためや、哺乳動物細胞の細胞核内に存在するDNA結合タンパク質やヒストンタンパク質を可溶化するために、哺乳動物細胞を、界面活性剤による可溶化処理の前若しくは後に、或いは、界面活性剤による可溶化処理と同時に、高塩濃度(例えば、200〜800mMの範囲内、好ましくは300〜600mMの範囲内)処理;DNA分解酵素(例えば、ベンゾナーゼ[Benzonase]、マイクロコッカルヌクレアーゼ[Micrococcal Nuclease])処理;超音波処理;加熱処理(例えば、90℃〜100℃の範囲内[好ましくは93℃〜100℃の範囲内]で30秒〜20分間の範囲内[好ましくは1〜10分間の範囲内]加熱処理);等の処理により可溶化してもよい。これら処理は、1種類の処理であっても、2種類以上の処理であってもよい。
本件調製法において、タンパク質分解酵素によるタンパク質の断片化をより効果的に行うために、タンパク質分解処理を行う前に、あるいは、タンパク質分解処理と同時に、還元剤(例えば、ジチオトレイトール[Dithiothreitol;DTT]、2−メルカプトエタノール、トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン[TCEP])を用いて、哺乳動物細胞タンパク質を構成するシステイン(S)残基におけるジスルフィド結合(S−S結合)をSH基へ還元処理し、アルキル化剤(例えば、ヨードアセトアミド[IAM]、ヨード酢酸[IAA]、2‐ブロモアセトアミド、グルタチオンブロモアセトアミド、ブロモ酢酸、1,3‐プロパンスルトン)を用いて、前記SH基をアルキル化することが好ましい。
本件調製方法において、タンパク質分解処理は、通常、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中でのみ行い、容器表面に接した状態の液中では行わない。
本件調製法1及び2において、分析対象の可溶化タンパク質の量としては、特に制限されないが、1細胞に相当する量の哺乳動物細胞タンパク質からであっても、当該タンパク質を構成するペプチド断片を効率よく回収することができるため、1細胞に相当する量の可溶化タンパク質(例えば、0.01〜10ngの範囲内、好ましくは0.1〜1ngの範囲内)を好適に例示することができる。また、本件調製法3において、分析対象の哺乳動物細胞の数としては、特に制限されず、例えば、1〜1000個の範囲内でもよいが、上述した本発明に効果により、1〜2個の範囲内を好適に例示することができる。
本件調製法において、有機溶媒液中に形成される液滴の体積は、例えば0.3μL以上であり、好ましくは0.6μL以上、より好ましくは0.9μL以上であり、また、極少の可溶化タンパク質(1細胞由来の可溶化タンパク質量)から質量分析用のペプチド試料を調製する場合、可溶化タンパク質の濃度を高める観点から、例えば100μL以下であり、好ましくは30μL以下、より好ましくは10μL以下、さらに好ましくは7.0μL以下である。したがって、本明細書において、有機溶媒液中に形成される液滴の体積としては、通常0.3〜100μLの範囲内であり、好ましくは0.6〜30μLの範囲内であり、より好ましくは0.6〜10μLの範囲内であり、さらに好ましくは0.9〜7.0μLの範囲内である。
上記界面活性剤は、細胞内に存在するタンパク質を可溶化でき、かつ、通常、常温常圧で液体のもの(界面活性液)であり、例えば、CHAPS(3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonate)、CHAPSO(3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]-2-hydroxy-1-propanesulfonate)、CYMAL−5(5-Cyclohexylpentyl β-D-maltoside)、Deoxy-BIGCHAP(N,N-Bis(3-D-gluconamidopropyl)deoxycholamide)、n-Dodecyl-β-D-maltopyranoside、MEGA10(n-Decanoyl-N-methyl-D-glucamine)、Nonylthiomaltoside、NP−40、n-Octyl-・D-glucopyranoside、OTG(Octylthioglucoside)、Oxatridecylmannoside、N−ラウロイルサルコシン(lauroylsarcosinate)ナトリウム、コール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、Sucrose monochoalte、Triton X-100、及びTween 20や、相間移動溶解剤(Phase Transfer Surfactant;PTS)(例えば、デオキシコール酸ナトリウム[Sodium deoxycholate;SDC]、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム[Sodium lauroyl sarcosinate;SLS]、コール酸ナトリウム[Sodium cholate;SC]、ケノデオキシコール酸ナトリウム[Sodium chenodeoxycholate;SCDC]、ウルソデオキシコール酸ナトリウム[Sodium ursodeoxycholate;SUDC]、ドデシル硫酸ナトリウム[Sodium dodecyl sulfate;SDS])等の界面活性剤や、これら界面活性剤を2種以上含むものを挙げることができ、水相(液滴)から有機相(有機溶媒液)へ移動させる(除去する)ことができるため、PTSを含むものが好ましく、デオキシコール酸ナトリウムを含むものが特に好ましい。デオキシコール酸ナトリウムは、pHを下げることにより、疎水性の程度が上昇した(すなわち、親水性の程度が低下した)結果、水相から有機相へ移動する物質である。工程(p)において、添加するPTSは、1種類であっても、複数種類(例えば、2、3、4、5種類)であってもよい。
上記界面活性剤としては、生理的水溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水[Phosphate buffered saline;PBS]、トリス塩酸緩衝液[Tris−HCl]、トリス緩衝生理食塩水[Tris Buffered Saline;TBS]、HEPES緩衝生理食塩水、重炭酸アンモニウム緩衝液等の緩衝効果のある生理的水溶液;リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、5%グルコース水溶液等の生理的水溶液)を、等張となるように上記界面活性剤に添加して調整した液であってもよい。本明細書において「等張」とは、浸透圧が250〜380mOsm/Lの範囲内であることを意味する。
本明細書において、「相間移動溶解剤(PTS)」とは、pH、周辺イオン等の状態変化により、疎水性又は親水性の程度が変化した結果、水相から有機相へ、又は、有機相から水相へ移動する溶解剤(脂溶性物質を溶解する物質)を意味する。
本明細書において、哺乳動物としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類、ウサギ等のウサギ目、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の有蹄目、イヌ、ネコ等のネコ目、ヒト、サル、アカゲザル、カニクイザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類等を例示することができ、中でも、マウス、ブタ、ヒトを好適に例示することができる。
上記有機溶媒液としては、水相と分離して有機相を形成できる有機化合物を含み、かつ、常温常圧で液体のものであればよく、例えば、オクタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルム、ヘキサノール、ヘプタノール、ジクロロメタン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ピリジンを挙げることができ、本実施例でその効果が実証されているため、酢酸エチルを好適に例示することができる。また、上記有機溶媒液は、1種類の有機溶媒液からなる単体であっても、複数種類(少なくとも2種類)の有機溶媒液を含む混合物であってもよい。
上記ペプチド結合性固相担体としては、可溶化したタンパク質及びタンパク質分解処理後に生成されたペプチドを結合させることができ、かつ液滴中で不溶のものであれば特に制限されず、ここで、タンパク質及びペプチドとの結合は、非共有結合(例えば、疎水結合、水素結合)であっても、共有結合であってもよいが、質量分析用のペプチドを高効率で回収する観点から、共有結合が好ましい。タンパク質及びペプチドと共有結合するペプチド結合性固相担体としては、例えば、当該固相担体の表面が、ペプチド中の官能基(例えばアミノ[NH]基、カルボキシル[COOH]基)に対して親和性を有する官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、トシル基、エポキシ基、N−ヒドロキシスクシンイミド[NHS]基、アジド[N]基、水酸[OH]基)でコートされたものを挙げることができ、後述する本実施例においてその効果が実証されているため、当該固相担体の表面が、カルボキシル基でコートされた固相担体が好ましい。
上記ペプチド結合性固相担体の基材としては、例えば、磁性体、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリアロマー、ポリエチレン、ガラス、アガロース等を挙げることができる。
また、ペプチド結合性固相担体の形状としては、例えば、ビーズ(粒子)、プレート、チューブ、メンブレン、ゲル等を挙げることができる。
ペプチド結合性固相担体の基材及び形状としては、迅速性及び簡便性の観点から、磁性体のビーズ(磁性ビーズ)が好ましい。
上記ペプチド結合性固相担体として、カルボキシル基でコートされた磁性ビーズの市販品(例えば、FG beads-COOH[多摩川精機社製]、Dynabeads-COOH[Thermo Fisher Scientific社製]、Magnosphere MX200/Carboxyl[JSRライフサイエンス社製])や、アミノ基でコートされた磁性ビーズの市販品(例えば、FG beads-NH2[多摩川精機社製])を用いることができる。
上記タンパク質分解酵素としては、タンパク質におけるペプチド結合を加水分解できる酵素であればよく、具体的には、トリプシン(Trypsin)、キモトリプシン(Chymotrypsin)、リシルエンドペプチダーゼ(Lysyl endopeptidase)、クロストリパイン(Clostripain)、Endo Arg-C、Endo Lys-C、Endo Asn-C等を挙げることができ、これらの中でもトリプシンを好適に例示することができる。
本件調製法の工程(b)において、ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する方法としては、ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を、有機溶媒液から分離し、質量分析に可能な、ペプチド断片を含む試料に調製する方法であればよく、例えば、有機溶媒液を、ピペットマンやピペット等で回収・除去し、残りの、ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を含む液を、質量分析用の溶媒と混合する方法や、ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を含む液を、ピペットマンやピペット等で回収し、別の新しい容器へ移し、質量分析用の溶媒と混合する方法を挙げることができる。ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を含む液は、必要に応じて、脱塩、可溶化、抽出、濃縮、乾燥等の処理をさらに行い、質量分析用の溶媒に再融解してもよい。
上記質量分析用の溶媒としては、例えば、アセトニトリル、トリフルオロ酢酸(TFA)、ギ酸(FA)、ヘプタフルオロ酪酸(HFBA)、純水を挙げることができる。
本明細書において、「質量分析用のペプチド試料」とは、ペプチド試料を、イオン源を用いて気体状のイオンとし(イオン化)、分析部において、真空中で運動させ電磁気力を用いて、或いは飛行時間差によりイオン化したペプチド試料を質量電荷比に応じて分離したときに、質量分析計で検出できる、ペプチド試料(哺乳動物細胞タンパク質を構成するペプチド断片を含む試料)を意味する。ここで、イオン源を用いてイオン化する方法としては、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法、電界脱離イオン化(FD)法、高速原子衝撃(FAB)法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法等の方法を適宜選択することができ、また、分析部において、イオン化したペプチド試料を分離する方法としては、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型等の分離方法を適宜選択することができる。また、2以上の質量分析法を組み合わせたタンデム型質量分析(MS/MS)を利用することができる。また、必要に応じて、ガスクロマトグラフィー(GC)や液体クロマトグラフィー(LC)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、ペプチド断片を夾雑物から分離・精製して分析することもできる。
本件調製法の工程(b)において、界面活性剤としてPTS(例えば、デオキシコール酸ナトリウム)が液滴中に含まれている場合、ペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体と、有機溶媒液とを分離する前に、酸(例えば、TFA、FA、塩酸)を液滴に加え、液滴中の当該PTSを有機溶媒液中に油溶化させる工程(x)をさらに含む方法が好ましい。酸を加えた後の液滴のpHは、例えば、3.0以下であり、好ましくは2.0以下である。
本件調製法において、ペプチド結合性固相担体は、後述する本実施例において実証されているとおり、質量分析の妨げにはほとんどならない。このため、本件調製法において、ペプチド断片−ペプチド結合性固相担体複合体を含む質量分析用ペプチド試料から、ペプチド結合性固相担体を除去する必要はない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例1及び2において、ヒト胎児腎細胞由来細胞株(HEK293細胞)(ATCC[American Type Culture Collection]より入手)は、10cmディッシュ中に播種し、10% FBSを含むDMEM培養液中で、COインキュベーター(37℃条件下)内で80%コンフルエントになるまで培養したものを用いた。
1−1 方法
[実施例サンプルの調製法]
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、かつ、ペプチド結合性固相担体の存在下で行った後、ペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を回収し、質量分析用のペプチド試料(実施例サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔7〕に従って実験を行った。
〔1〕HEK293細胞をトリプシン処理し、培養容器から剥離した後、細胞を回収し、1mLの界面活性液(12mM デオキシコール酸ナトリウム[SDC]、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱し、細胞タンパク質の可溶化処理を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、カルボキシル基でコートされた磁性ビーズ(粒子径:180nm±30nm、FG beads-COOH、多摩川精機社製、以下、単に「FGビーズ」という)17.2μg/μLを含む液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)29μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した50μLの酢酸エチル液に添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液滴を調製した。かかる液滴は、1ngの細胞タンパク質が結合したFGビーズ(166.7ng)が、液滴(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT(Dithiothreitol)及びヨードアセトアミド(IAA)を含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液滴と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液滴と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片が結合したFGビーズ(ペプチド断片結合FGビーズ)を含む液滴を調製した。
〔5〕液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、トリフルオロ酢酸(TFA)液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片結合FGビーズを含む液滴と混合した。なお、当該液滴のpHは2.0以下であった。エッペンドルフチューブを、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔6〕水相(ペプチド断片結合FGビーズを含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔7〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチド断片を精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより実施例サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「実施例サンプル」参照)。
[比較例1サンプルの調製法]
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、上記[実施例サンプルの調製法]のように、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、かつ、ペプチド結合性固相担体の存在下で行うのではなく、容器表面に接した状態の液中で、かつ、ペプチド結合性固相担体の非存在下で行った後、ペプチド断片を回収し、質量分析用のペプチド試料(比較例1サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔8〕に従って実験を行った。
〔1〕HEK293細胞をトリプシン処理し、培養容器から剥離した後、細胞を回収し、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱し、細胞タンパク質の可溶化処理を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)100μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。かかる液は、1ngの細胞タンパク質が、チューブ表面に接した状態の液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT及びIAAを含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質を含む液と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質を含む液と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片を含む液を調製した。
〔5〕液中に含まれるSDCを除くために、まずは、50μLの酢酸エチル液を添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、ペプチド断片を含む液滴を調製した。
〔6〕次いで、液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、TFA液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片を含む液滴と混合した。チューブ全体を、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔7〕水相(ペプチド断片を含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔8〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチドを精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより比較例1サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「比較例1サンプル」参照)。
[比較例2サンプルの調製法]
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、上記[実施例サンプルの調製法]のように、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行うのではなく、容器表面に接した状態の液中で行った後、ペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を回収し、質量分析用のペプチド試料(比較例2サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔8〕に従って実験を行った。
〔1〕HEK293細胞をトリプシン処理し、培養容器から剥離した後、細胞を回収し、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱し、細胞タンパク質の可溶化処理を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、17.2μg/μLのFGビーズを含む液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)29μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。かかる液は、1ngの細胞タンパク質が結合したFGビーズ(166.7ng)が、チューブ表面に接した状態の液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT及びIAAを含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片が結合したFGビーズ(ペプチド断片結合FGビーズ)を含む液を調製した。
〔5〕液中に含まれるSDCを除くために、まずは、50μLの酢酸エチル液を添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、ペプチド断片結合FGビーズを含む液滴を調製した。
〔6〕次いで、液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、TFA液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片結合FGビーズを含む液滴と混合した。チューブ全体を、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔7〕水相(ペプチド断片結合FGビーズを含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔8〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチドを精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより比較例2サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「比較例2サンプル」参照)。
[比較例3サンプルの調製法]
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、上記[実施例サンプルの調製法]のように、ペプチド結合性固相担体の存在下で行うのではなく、ペプチド結合性固相担体の非存在下で行った後、ペプチド断片を回収し、質量分析用のペプチド試料(比較例3サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔7〕に従って実験を行った。
〔1〕HEK293細胞をトリプシン処理し、培養容器から剥離した後、細胞を回収し、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱し、細胞タンパク質の可溶化処理を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)100μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した50μLの酢酸エチル液に添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、細胞タンパク質を含む液滴を調製した。かかる液滴は、1ngの細胞タンパク質が、液滴(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT(Dithiothreitol)及びヨードアセトアミド(IAA)を含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質を含む液滴と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質を含む液滴と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片を含む液滴を調製した。
〔5〕液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、TFA液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片を含む液滴と混合した。エッペンドルフチューブを、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔6〕水相(ペプチド断片を含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔7〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチド断片を精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより比較例3サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「比較例3」参照)。
1−2 結果
比較例2サンプル及び比較例3サンプルにおける全マススペクトルのシグナル強度は、それぞれ3176.5及び1617.3であり、比較例1サンプルにおける全マススペクトルの当該強度(920.8)と比べ、それぞれ約3.4倍及び約1.8倍高かった(図1参照)。
この結果は、可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行い、得られたペプチド断片を回収するか(比較例3サンプルの調製法)、或いは、当該分解処理により得られたペプチド断片を、ペプチド結合性固相担体に結合させ、そのペプチド結合性固相担体を回収すると(比較例2サンプルの調製法)、可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行わずに、かつ、当該分解処理により得られたペプチド断片を、ペプチド結合性固相担体を用いて回収しなかった場合(比較例1サンプルの調製法)と比べ、ペプチド断片の回収率が高くなることを示している。
また、実施例サンプルにおける全マススペクトルのシグナル強度は、7880.2であり、比較例2サンプル及び比較例3サンプルにおける当該強度(それぞれ3176.5及び1617.3)と比べ、それぞれ約2.5倍及び約4.9倍高かった(図1参照)。
この結果は、可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行い(条件1)、かつ、当該分解処理により得られたペプチド断片を、ペプチド結合性固相担体に結合させ、そのペプチド結合性固相担体を回収する(条件2)と(実施例サンプルの調製法)、これら条件1及び条件2のいずれか一方しか行わなかった場合(比較例サンプル2の調製法、及び比較例サンプル3の調製法)と比べ、ペプチド断片の回収率がさらに高くなることを示している。
[考察]
比較例2サンプルが、比較例サンプル1と比べ、ペプチド断片の回収率が高かった要因としては、分解処理により生成されたペプチド断片が、FGビーズと複合体を形成したため、ペプチド断片を回収・精製する過程において、容器表面に結合するペプチド断片の割合が抑えられ、最終的に回収されるペプチド断片の割合が増加したことが考えられる。
また、比較例サンプル3が、比較例サンプル1と比べ、ペプチド断片の回収率が高かった要因としては、可溶化した細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行ったため、分解処理時に容器表面に結合するペプチド断片の割合が抑えられ、最終的に回収されるペプチド断片の割合が増加したことが考えられる。
また、実施例サンプルが、比較例2サンプルや比較例3サンプルと比べ、ペプチド断片の回収率が高かった要因としては、可溶化した細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行い、かつ、分解処理時により生成されたペプチド断片が、FGビーズと複合体を形成したため、可溶化した細胞タンパク質の分解処理時と、ペプチド断片を回収・精製する過程において、容器表面に結合するペプチド断片の割合がさらに抑えられ、最終的に回収されるペプチド断片の割合がさらに増加したことが考えられる。
2.細胞タンパク質由来のペプチド断片を検出していることの確認
実施例1で検出された全マススペクトルのシグナル強度が、細胞タンパク質を構成するペプチド断片由来のものであることを確認するために、可溶化した細胞タンパク質を添加しないで上記[実施例サンプルの調製法]を行い、ペプチド断片を同定した(図2参照)。なお、比較対照として、上記[実施例サンプルの調製法]や、上記[比較例2サンプルの調製法]、及び可溶化した細胞タンパク質を添加しないで上記[比較例2サンプルの調製法]を行い、それぞれについてペプチド断片を同定した。
上記[実施例サンプルの調製法]を行った場合、同定されたペプチド断片数の平均値は43.3であり、可溶化した細胞タンパク質を添加しないで上記[実施例サンプルの調製法]を行った場合の当該値(6.3)と比べ、約7倍高かった(図2参照)。
この結果は、上記[実施例サンプルの調製法]を行って同定されたペプチド断片は、その大部分(85%以上)が細胞タンパク質を構成するペプチド断片であり、それ以外に由来するペプチド断片(例えば、FGビーズ由来のペプチド断片や、サンプルキャリーオーバーに由来するペプチド断片)はほとんどないことを示している。
3.FGビーズ以外のペプチド結合性固相担体についての検討
FGビーズ以外のペプチド結合性固相担体について検討するために、カルボキシル基でコートされた磁性ビーズ(粒子径:約2.2μm、Magnosphere MX200/Carboxyl、JSRライフサイエンス社製、以下、単に「Magnosphere」という)に対する細胞タンパク質の結合性を解析した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔2〕に従って実験を行った。
3−1 方法
〔1〕HEK293細胞をトリプシン処理し、培養容器から剥離した後、細胞を回収し、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱し、細胞タンパク質の可溶化処理を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が300ng/μLとなるように、1120μg/μLのMagnosphere、又は120μg/μLのFGビーズを含む液(12mM SDC、12mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、及び100mM Tris−HCl[pH 9.0])100μLで希釈・調整した後、そのうち20μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加し、製品添付の説明書に従って、各磁性ビーズに結合した細胞タンパク質を回収・精製し、その後、クマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue;CBB)染色を定法に従って行った(図3参照)。
3−2 結果
可溶化した細胞タンパク質を、Magnosphereに結合させ、精製すると、FGビーズに結合させ、精製した場合と、ほぼ同量の細胞タンパク質が精製できることが示された(図3参照)。この結果は、上記[実施例サンプルの調製法]において、FGビーズに代えて、Magnosphere等のペプチド結合性固相担体を用いた場合であっても、同様のペプチド回収効果が期待できることを示している。
4.界面活性剤以外の細胞可溶化剤の検討
SDC等の界面活性剤以外の細胞可溶化剤について検討を行った。具体的には、上記[実施例サンプルの調製法]において、HEK293細胞を、24mMのSDC、又は1Mの尿素を用いて可溶化処理し、それぞれの可溶化処理により得られた、0.1ngの細胞タンパク質から、実施例サンプルを調製し、質量分析によりペプチド断片の回収率を解析した(図4の「尿素」)。なお、ペプチド断片の回収率は、回収前のすべての可溶化細胞タンパク質が断片化及び回収され、当該タンパク質を構成するすべてのペプチド断片が検出された量(0.1ng)を1としたときの相対値として示す。また、実施例1及び2の分析システムにおいては、サンプルを、オートサンプラーを使用して、内径が75μmの分析カラムへ導入したのに対して、実施例4の分析システムと、後述する実施例5の分析システムにおいては、サンプルを、直接的に、内径が50μmの分析カラムへ導入しており、実施例4及び5の分析システムは、実施例1及び2の分析システムと比べ、理論上感度が1.5倍高いものである。
尿素で可溶化した細胞タンパク質を用いて上記[実施例サンプルの調製法]を行った場合、ペプチド断片の回収率の中央値は、0.19であり、界面活性剤(SDC)で可溶化した細胞タンパク質を用いて上記[実施例サンプルの調製法]を行った場合の当該値(0.40)と比べ、約1/2まで低下していた(図4参照)。
この結果は、上記[実施例サンプルの調製法]において、効率よくペプチド断片を回収するためには、SDC等の界面活性剤を用いて細胞タンパク質を可溶化させることが必要であることを示している。
5.1細胞レベルでの質量分析
本件調製方法を用いて、1細胞中の細胞タンパク質を検出できるか否かを検討するために、HeLa細胞の1細胞に相当する0.1ngの細胞タンパク質抽出物を用いて、上記[実施例サンプルの調製法]と、比較対照として、上記[比較例2サンプルの調製法]を行った。なお、かかる細胞タンパク質抽出物は、HeLa細胞(ATCCより入手)を、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱することにより得られた可溶化タンパク質である。
実施例サンプルにおける同定されたペプチド断片数は343であり、比較例2サンプルにおける当該数(160)と比べ、約2.1倍多かった(図5A参照)。また、実施例サンプルにおける同定された細胞タンパク質数(細胞タンパク質の種類)は44であり、比較例2サンプルにおける当該値(19)と比べ、約2.3倍多かった(図5B参照)。
この結果は、1細胞に相当する量の細胞タンパク質から、本件調製方法を用いて質量分析用のペプチド試料を調製した場合であっても、細胞タンパク質の分解処理を、容器表面に接した状態の液中で行う従来法を用いた場合と比べ、細胞タンパク質を構成するペプチド断片を効率よく回収できることを示している。
本発明は、細胞や造血幹細胞等の細胞数が限られた細胞を標的とする治療薬の開発に資するものである。

Claims (7)

  1. 以下の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法。
    (a)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、ペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
    (b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
  2. 以下の工程(a−1)、(a−2)、及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法。
    (a−1)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、タンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理する工程;
    (a−2)ペプチド結合性固相担体を、工程(a−1)で得られた液滴に加え、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
    (b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
  3. 以下の工程(A)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法。
    (A)1又は2以上の哺乳動物細胞を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、界面活性剤、タンパク質分解酵素、及びペプチド結合性固相担体の存在下、可溶化処理及びタンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
    (b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
  4. ペプチド結合性固相担体が、その表面がカルボキシル基でコートされた磁性ビーズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調製方法。
  5. 界面活性剤が相間移動溶解剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調製方法。
  6. 相間移動溶解剤が、デオキシコール酸ナトリウムを含み、かつ
    工程(b)において、哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離する前に、酸を液滴に加え、前記デオキシコール酸ナトリウムを有機溶媒液中に油溶化させる工程(x)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の調製方法。
  7. 有機溶媒液が酢酸エチルを含む液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調製方法。
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