JP2020016532A - 質量分析用のペプチド試料の調製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕以下の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法(以下、「本件調製法1」ということがある)。
(a)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、ペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
〔2〕以下の工程(a−1)、(a−2)、及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法(以下、「本件調製法2」ということがある)。
(a−1)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、タンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理する工程;
(a−2)ペプチド結合性固相担体を、工程(a−1)で得られた液滴に加え、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
〔3〕以下の工程(A)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法(以下、「本件調製法3」ということがある)。
(A)1又は2以上の哺乳動物細胞を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、界面活性剤、タンパク質分解酵素、及びペプチド結合性固相担体の存在下、可溶化処理及びタンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程;
〔4〕ペプチド結合性固相担体が、その表面がカルボキシル基でコートされた磁性ビーズであることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の調製方法。
〔5〕界面活性剤が相間移動溶解剤であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の調製方法。
〔6〕相間移動溶解剤が、デオキシコール酸ナトリウムを含み、かつ
工程(p)において、哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離する前に、酸を液滴に加え、前記デオキシコール酸ナトリウムを有機溶媒液中に油溶化させる工程(x)をさらに含むことを特徴とする上記〔5〕に記載の調製方法。
〔7〕有機溶媒液が酢酸エチルを含む液であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の調製方法。
[実施例サンプルの調製法]
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、かつ、ペプチド結合性固相担体の存在下で行った後、ペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を回収し、質量分析用のペプチド試料(実施例サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔7〕に従って実験を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、カルボキシル基でコートされた磁性ビーズ(粒子径:180nm±30nm、FG beads-COOH、多摩川精機社製、以下、単に「FGビーズ」という)17.2μg/μLを含む液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)29μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した50μLの酢酸エチル液に添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液滴を調製した。かかる液滴は、1ngの細胞タンパク質が結合したFGビーズ(166.7ng)が、液滴(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT(Dithiothreitol)及びヨードアセトアミド(IAA)を含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液滴と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液滴と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片が結合したFGビーズ(ペプチド断片結合FGビーズ)を含む液滴を調製した。
〔5〕液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、トリフルオロ酢酸(TFA)液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片結合FGビーズを含む液滴と混合した。なお、当該液滴のpHは2.0以下であった。エッペンドルフチューブを、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔6〕水相(ペプチド断片結合FGビーズを含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔7〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチド断片を精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより実施例サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「実施例サンプル」参照)。
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、上記[実施例サンプルの調製法]のように、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、かつ、ペプチド結合性固相担体の存在下で行うのではなく、容器表面に接した状態の液中で、かつ、ペプチド結合性固相担体の非存在下で行った後、ペプチド断片を回収し、質量分析用のペプチド試料(比較例1サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔8〕に従って実験を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)100μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。かかる液は、1ngの細胞タンパク質が、チューブ表面に接した状態の液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT及びIAAを含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質を含む液と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質を含む液と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片を含む液を調製した。
〔5〕液中に含まれるSDCを除くために、まずは、50μLの酢酸エチル液を添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、ペプチド断片を含む液滴を調製した。
〔6〕次いで、液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、TFA液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片を含む液滴と混合した。チューブ全体を、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔7〕水相(ペプチド断片を含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔8〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチドを精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより比較例1サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「比較例1サンプル」参照)。
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、上記[実施例サンプルの調製法]のように、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で行うのではなく、容器表面に接した状態の液中で行った後、ペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を回収し、質量分析用のペプチド試料(比較例2サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔8〕に従って実験を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、17.2μg/μLのFGビーズを含む液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)29μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した。かかる液は、1ngの細胞タンパク質が結合したFGビーズ(166.7ng)が、チューブ表面に接した状態の液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT及びIAAを含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質結合FGビーズを含む液と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片が結合したFGビーズ(ペプチド断片結合FGビーズ)を含む液を調製した。
〔5〕液中に含まれるSDCを除くために、まずは、50μLの酢酸エチル液を添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、ペプチド断片結合FGビーズを含む液滴を調製した。
〔6〕次いで、液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、TFA液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片結合FGビーズを含む液滴と混合した。チューブ全体を、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔7〕水相(ペプチド断片結合FGビーズを含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔8〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチドを精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより比較例2サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「比較例2サンプル」参照)。
可溶化された細胞タンパク質の分解処理を、上記[実施例サンプルの調製法]のように、ペプチド結合性固相担体の存在下で行うのではなく、ペプチド結合性固相担体の非存在下で行った後、ペプチド断片を回収し、質量分析用のペプチド試料(比較例3サンプル)を調製した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔7〕に従って実験を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が1ng/μLとなるように、液(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)100μLで希釈・調整した後、そのうち1μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加した50μLの酢酸エチル液に添加し、酢酸エチル液でその表面が覆われた、細胞タンパク質を含む液滴を調製した。かかる液滴は、1ngの細胞タンパク質が、液滴(3mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、25mM Tris−HCl[pH 9.0]、及び37.5mM 重炭酸アンモニウム緩衝液)中に含まれるものである。
〔3〕細胞タンパク質におけるシステイン側鎖の還元処理及びアルキル化処理を行うために、DTT(Dithiothreitol)及びヨードアセトアミド(IAA)を含む液を、DTT及びIAAの終濃度がそれぞれ10mM及び50mMとなるように、細胞タンパク質を含む液滴と混合した。
〔4〕トリプシンを含む液を、1ngのトリプシンが添加されるように、細胞タンパク質を含む液滴と混合し、37℃で一晩、タンパク質分解処理を行い、かかる処理により得られたペプチド断片を含む液滴を調製した。
〔5〕液滴中に含まれるSDCを有機相(酢酸エチル液)へ移動させるために、TFA液を、TFAの終濃度が10%となるように、ペプチド断片を含む液滴と混合した。エッペンドルフチューブを、1分間、上下に攪拌し、5分間、室温でインキュベートした後、有機相(酢酸エチル液)を、ピペットマンを用いて吸引・除去した。
〔6〕水相(ペプチド断片を含む液)を、遠心濃縮機(TOMY社製)用いて、3分間、減圧で濃縮乾燥した後、5% アセトニトリル及び0.5% TFAを含む液30μLに懸濁した。
〔7〕SDB-XC StageTip(GLサイエンス社製)を用いて脱塩・濃縮し、ペプチド断片を精製した後、0.1% TFA液に再懸濁することにより比較例3サンプルを調製し、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(Sciex社製)を用いて全マススペクトルのシグナル強度を解析した(図1の「比較例3」参照)。
比較例2サンプル及び比較例3サンプルにおける全マススペクトルのシグナル強度は、それぞれ3176.5及び1617.3であり、比較例1サンプルにおける全マススペクトルの当該強度(920.8)と比べ、それぞれ約3.4倍及び約1.8倍高かった(図1参照)。
比較例2サンプルが、比較例サンプル1と比べ、ペプチド断片の回収率が高かった要因としては、分解処理により生成されたペプチド断片が、FGビーズと複合体を形成したため、ペプチド断片を回収・精製する過程において、容器表面に結合するペプチド断片の割合が抑えられ、最終的に回収されるペプチド断片の割合が増加したことが考えられる。
実施例1で検出された全マススペクトルのシグナル強度が、細胞タンパク質を構成するペプチド断片由来のものであることを確認するために、可溶化した細胞タンパク質を添加しないで上記[実施例サンプルの調製法]を行い、ペプチド断片を同定した(図2参照)。なお、比較対照として、上記[実施例サンプルの調製法]や、上記[比較例2サンプルの調製法]、及び可溶化した細胞タンパク質を添加しないで上記[比較例2サンプルの調製法]を行い、それぞれについてペプチド断片を同定した。
この結果は、上記[実施例サンプルの調製法]を行って同定されたペプチド断片は、その大部分(85%以上)が細胞タンパク質を構成するペプチド断片であり、それ以外に由来するペプチド断片(例えば、FGビーズ由来のペプチド断片や、サンプルキャリーオーバーに由来するペプチド断片)はほとんどないことを示している。
FGビーズ以外のペプチド結合性固相担体について検討するために、カルボキシル基でコートされた磁性ビーズ(粒子径:約2.2μm、Magnosphere MX200/Carboxyl、JSRライフサイエンス社製、以下、単に「Magnosphere」という)に対する細胞タンパク質の結合性を解析した。具体的には、以下の手順〔1〕〜〔2〕に従って実験を行った。
〔1〕HEK293細胞をトリプシン処理し、培養容器から剥離した後、細胞を回収し、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱し、細胞タンパク質の可溶化処理を行った。
〔2〕可溶化した細胞タンパク質濃度を、終濃度が300ng/μLとなるように、1120μg/μLのMagnosphere、又は120μg/μLのFGビーズを含む液(12mM SDC、12mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、及び100mM Tris−HCl[pH 9.0])100μLで希釈・調整した後、そのうち20μLを、1.5mLエッペンドルフチューブに添加し、製品添付の説明書に従って、各磁性ビーズに結合した細胞タンパク質を回収・精製し、その後、クマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue;CBB)染色を定法に従って行った(図3参照)。
可溶化した細胞タンパク質を、Magnosphereに結合させ、精製すると、FGビーズに結合させ、精製した場合と、ほぼ同量の細胞タンパク質が精製できることが示された(図3参照)。この結果は、上記[実施例サンプルの調製法]において、FGビーズに代えて、Magnosphere等のペプチド結合性固相担体を用いた場合であっても、同様のペプチド回収効果が期待できることを示している。
SDC等の界面活性剤以外の細胞可溶化剤について検討を行った。具体的には、上記[実施例サンプルの調製法]において、HEK293細胞を、24mMのSDC、又は1Mの尿素を用いて可溶化処理し、それぞれの可溶化処理により得られた、0.1ngの細胞タンパク質から、実施例サンプルを調製し、質量分析によりペプチド断片の回収率を解析した(図4の「尿素」)。なお、ペプチド断片の回収率は、回収前のすべての可溶化細胞タンパク質が断片化及び回収され、当該タンパク質を構成するすべてのペプチド断片が検出された量(0.1ng)を1としたときの相対値として示す。また、実施例1及び2の分析システムにおいては、サンプルを、オートサンプラーを使用して、内径が75μmの分析カラムへ導入したのに対して、実施例4の分析システムと、後述する実施例5の分析システムにおいては、サンプルを、直接的に、内径が50μmの分析カラムへ導入しており、実施例4及び5の分析システムは、実施例1及び2の分析システムと比べ、理論上感度が1.5倍高いものである。
本件調製方法を用いて、1細胞中の細胞タンパク質を検出できるか否かを検討するために、HeLa細胞の1細胞に相当する0.1ngの細胞タンパク質抽出物を用いて、上記[実施例サンプルの調製法]と、比較対照として、上記[比較例2サンプルの調製法]を行った。なお、かかる細胞タンパク質抽出物は、HeLa細胞(ATCCより入手)を、1mLの界面活性液(12mM SDC、3mM N−ラウロイルサルコシンナトリウム、50mM Tris−HCl[pH 9.0])中で、超音波処理を20分間行った後、95℃で5分間加熱することにより得られた可溶化タンパク質である。
Claims (7)
- 以下の工程(a)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法。
(a)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、ペプチド結合性固相担体及びタンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程; - 以下の工程(a−1)、(a−2)、及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法。
(a−1)界面活性剤で可溶化された、1又は2以上の哺乳動物細胞のタンパク質を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、タンパク質分解酵素の存在下、タンパク質分解処理する工程;
(a−2)ペプチド結合性固相担体を、工程(a−1)で得られた液滴に加え、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程; - 以下の工程(A)及び(b)を含むことを特徴とする質量分析用のペプチド試料の調製方法。
(A)1又は2以上の哺乳動物細胞を、有機溶媒液でその表面が覆われた液滴中で、界面活性剤、タンパク質分解酵素、及びペプチド結合性固相担体の存在下、可溶化処理及びタンパク質分解処理し、前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を調製する工程;
(b)前記哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離し、質量分析用のペプチド試料を調製する工程; - ペプチド結合性固相担体が、その表面がカルボキシル基でコートされた磁性ビーズであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の調製方法。
- 界面活性剤が相間移動溶解剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の調製方法。
- 相間移動溶解剤が、デオキシコール酸ナトリウムを含み、かつ
工程(b)において、哺乳動物細胞のタンパク質を構成するペプチド断片が結合したペプチド結合性固相担体を分離する前に、酸を液滴に加え、前記デオキシコール酸ナトリウムを有機溶媒液中に油溶化させる工程(x)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の調製方法。 - 有機溶媒液が酢酸エチルを含む液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の調製方法。
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