JP2020015647A - 塗床形成用セメント組成物及びポリオール組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜の形成に好適な塗床形成用セメント組成物及びポリオール組成物を提供する。【解決手段】本発明は、被塗床面に塗床を形成するための塗床形成用セメント組成物であって、(A)水に不溶なポリオール、(B)水に可溶なポリオール、(C)ポリイソシアネート、(D)水硬性セメント、及び、(E)水を含有し、ポリオール(A)は、エステル結合を有する化合物を含み、ポリオール(B)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物を含み、ポリイソシアネート(C)は、下記計算式により求められる有効NCO%が18%以上の脂肪族化合物を含む。【数1】【選択図】なし

Description

本発明は、高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜からなる塗床の形成に好適な塗床形成用セメント組成物及びポリオール組成物に関する。
従来、各種産業における工場や倉庫等の屋内における床面は、防水性、耐熱性、耐薬品性、耐熱水性、耐衝撃性、耐傷付性、光沢性等の機能を付与するため、打設したコンクリート表面に、強化樹脂が施工されてなる複合床であったり、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂とセメントとを配合した樹脂モルタル系の床であったりする。特に、水硬性セメント、水、ポリオール及び芳香族イソシアネートからなるポリウレタン系セメント組成物は、機械的な衝撃強度又は硬さに優れるため、大きな負荷のかかる部位の床面への施工に、広く用いられている。このようなポリウレタン系セメント組成物の例として、特許文献1には、水硬性セメント、水、ポリオール(a)、イソシアネート化合物、及び骨材を必須成分とするポリマーセメント組成物であって、イソシアネート化合物として、ひまし油系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、及び水添ポリブタジエン系ポリオールから選ばれる疎水性のポリオール(b)とジイソシアネート化合物(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、又は、クルードMDIを用いて得られたポリマーセメント組成物が開示されている。また、特許文献2には、水分散ポリオールと、ポリイソシアネート(ポリメチルポリフェニルポリイソシアネート等)と、希釈剤と、セメントと、充填材とを含有し、水分散ポリオールは、ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、希釈剤は、安息香酸グリコールエステルを含み、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、ポリイソシアネートは、粘度が250〜400mPa・s/23℃であり、NCO当量が130〜140であるポリウレタン系セメント組成物が開示されている。
また、高光沢を有する塗床の形成に用いられる塗床形成用セメント組成物は、特許文献3に開示されており、この組成物の製造に用いられるポリオール原料として、疎水性ポリオール(ヒマシ油)と、水と、2官能以上の水酸基を有し、分子量が400未満であり、且つ、水への溶解度(20℃)が0.5g/mL以上である水溶性化合物と、芳香族骨格又はリン原子を有する可塑剤とを含有するポリオール組成物が開示されている。
特開2000−72507号公報 特開2017−154929号公報 特開2015−214451号公報
塗床形成用セメント組成物に含有されるポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及び脂環式ポリイソシアネートのいずれであってもよいが、硬化性及び得られる硬化皮膜の硬度の観点から、芳香族ポリイソシアネートが一般的であった。しかしながら、芳香族ポリイソシアネートを含有する塗床形成用セメント組成物を用いて得られる塗床は、耐候性が低下する傾向にあり、例えば、白色系の塗床を形成した場合、経時により、黄変が顕著となることがあった。
一方、脂肪族ポリイソシアネートを含有する塗床形成用セメント組成物を用いた場合、硬度が十分ではない硬化皮膜が得られることがあり、塗床形成用セメント組成物の構成成分を改良する必要があった。
本発明の目的は、高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜からなる塗床の形成に好適な塗床形成用セメント組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記性質を高度に発揮する塗床形成用セメント組成物を与えるポリオール組成物を提供することである。
本発明者らは、エステル結合を含み、水に不溶なポリオールと、3以上のヒドロキシ基を含み、水に可溶なポリオールと、18%以上の有効NCO%を有する脂肪族ポリイソシアネートと、水硬性セメントと、水とを併用した組成物により、タイプDデュロメータ硬度(ShoreD硬度)が75以上と高く、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜が得られる知見を得た。
本発明は、以下の通りである。
1.被塗床面に塗床を形成するための塗床形成用セメント組成物であって、(A)水に不溶なポリオール、(B)水に可溶なポリオール、(C)ポリイソシアネート、(D)水硬性セメント、及び、(E)水を含有し、上記ポリオール(A)は、エステル結合を有する化合物を含み、上記ポリオール(B)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物を含み、上記ポリイソシアネート(C)は、下記計算式により求められる有効NCO%が18%以上の脂肪族化合物を含むことを特徴とする塗床形成用セメント組成物。
Figure 2020015647
2.上記ポリオール(B)の含有割合が、上記ポリオール(A)100質量部に対して、1〜500質量部である上記項1に記載の塗床形成用セメント組成物。
3.上記ポリイソシアネート(C)の含有割合が、上記ポリオール(A)及び上記ポリオール(B)の合計を100質量部とした場合に、80〜1000質量部である上記項1又は2に記載の塗床形成用セメント組成物。
4.上記水硬性セメント(D)の含有割合が、上記水(E)を100質量部とした場合に、100〜6000質量部である上記項1乃至3のいずれか一項に記載の塗床形成用セメント組成物。
5.更に、可塑剤を含有する上記項1乃至4のいずれか一項に記載の塗床形成用セメント組成物。
6.更に、スズ化合物からなる触媒を含有する上記項1乃至5のいずれか一項に記載の塗床形成用セメント組成物。
7.ポリイソシアネート及び水硬性セメントとともに混合され、被塗床面に塗床を形成するための塗床形成用セメント組成物の製造に用いられるポリオール組成物であって、(X)水に不溶なポリオール、(Y)水に可溶なポリオール、及び、(Z)水を含有し、上記ポリオール(X)は、エステル結合を有する芳香族化合物であり、上記ポリオール(Y)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物であることを特徴とするポリオール組成物。
本発明において、「水に不溶」とは、水に溶解せず、分離もしくは分散することを意味し、「水に可溶」とは、水に溶解し、透明な水溶液を形成することを意味する。
本発明の塗床形成用セメント組成物によれば、高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜からなる塗床を効率よく形成することができる。
また、本発明のポリオール組成物は、ポリオール(X)として、エステル結合を有する芳香族化合物を含有することから、脂肪族化合物又は脂環式化合物からなるポリオールを含有する組成物を用いた場合に比べて、より高硬度の硬化皮膜からなる塗床の形成に好適な塗床形成用セメント組成物を製造する原料として、有用である。
本発明の塗床形成用セメント組成物は、(A)水に不溶なポリオール、(B)水に可溶なポリオール、(C)ポリイソシアネート、(D)水硬性セメント、及び、(E)水を含有する組成物であり、必要に応じて、骨材、可塑剤、分散剤、シランカップリング剤、流動化剤、レベリング剤、増粘剤、触媒、消泡剤、脱泡剤、起泡剤、発泡剤、湿潤剤、減水剤、凍結防止剤、高温脆化防止剤、防腐剤、防塵剤、急結剤、防錆剤、速硬剤、遅硬剤、pH調整剤、着色剤等の他の成分を含有することができる。
上記ポリオール(A)は、エステル結合を有し、2以上のヒドロキシ基を有する化合物(以下、「ポリオール(A1)」という)を含む、水に不溶なポリオールである。尚、上記ポリオール(A)は、ポリオール(A1)からなるものであってよいし、ポリオール(A1)と、エステル結合を有さない他の水不溶性ポリオールとからなるものであってもよい。後者の場合、上記ポリオール(A)に含まれるポリオール(A1)の下限量は、通常、5質量%である。
上記ポリオール(A1)は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物及び複素環式化合物のいずれでもよく、特に限定されない。上記ポリオール(A1)に含まれる炭素原子の数、ヒドロキシ基の数、及び、エステル結合の数も、特に限定されない。炭素原子数は、硬度の観点から、好ましくは6〜2000、より好ましくは6〜1000である。また、ヒドロキシ基の数は、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6である。尚、上記ポリオール(A1)が芳香族化合物以外の場合、炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
上記ポリオール(A1)としては、ヒドロキシ基を有さない脂肪酸と、ヒドロキシ基を3つ以上含む化合物とから得られるエステル化物(以下、「エステル化物(A1−1)」という)、ヒドロキシ基を1つ含む脂肪酸と、ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物とから得られるエステル化物(以下、「エステル化物(A1−2)」という)、ヒドロキシ基を2つ含む脂肪酸と、ヒドロキシ基を1つ以上含む化合物とから得られるエステル化物(以下、「エステル化物(A1−3)」という)、ヒドロキシ基を3つ以上含む脂肪酸と、ヒドロキシ基を1つ以上含む化合物とから得られるエステル化物(以下、「エステル化物(A1−4)」という)、縮合系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が挙げられる。本発明の塗床形成用セメント組成物に含まれるポリオール(A1)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記ポリオール(A1)としては、エステル化物(A1−1)及びエステル化物(A1−2)が好ましい。これらのエステル化物の形成に用いられる(ヒドロキシ基を含んでもよい)脂肪酸は、炭化水素基の炭素原子数が、好ましくは8〜36、より好ましくは8〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸である。
上記飽和脂肪酸としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸、ドコサン酸、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸等の、ヒドロキシ基を有さない飽和脂肪酸;C16(2−ヒドロキシオクタン酸等)、C1020(2−ヒドロキシデカン酸等)、C1122(4−ヒドロキシウンデカン酸等)、C1224、C1326(2−ヒドロキシトリデカン酸等)、C1428(2−ヒドロキシテトラデカン酸等)、C1530(15−ヒドロキシペンタデカン酸等)C1632(2−ヒドロキシヘキサデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸等)、C1734、C1836(12−ヒドロキシオクタデカン酸等)、C1836(9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸等)、C1938、C2040等の、ヒドロキシ基を含む飽和脂肪酸等が挙げられる。
上記不飽和脂肪酸は、好ましくは、炭素−炭素二重結合を1〜3つ含む化合物であり、オクテン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸(オレイン酸等)、オクタデカジエン酸(リノール酸等)、オクタデカトリエン酸(リノレン酸等)等の、ヒドロキシ基を有さない不飽和脂肪酸;C14、C1018、C1120、C1222、C1324、C1426、C1528、C1630、C1732、C1832(9−ヒドロキシ−9,12−オクタデカジエン酸等)、C1834(12−ヒドロキシ−9−ヘキサデセン酸等)、C1936、C2038等の、ヒドロキシ基を含む不飽和脂肪酸等が挙げられる。
また、上記エステル化物の形成に用いられるヒドロキシ基含有化合物は、脂肪族化合物、脂環式化合物及び芳香族化合物のいずれでもよく、特に限定されない。尚、上記ヒドロキシ基含有化合物が、脂肪族化合物又は脂環式化合物である場合には、炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
上記ヒドロキシ基含有化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ペンチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,9,9−テトラメチル−1,10−デカンジオール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタテトロール、2,3,4,5−ヘキサテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン、アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族化合物;1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジシクロヘキシルジメチルメタンジオール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、イソソルビド、スピログリコール、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,2’−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン)等の脂環式化合物;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族化合物が挙げられる。
上記ヒドロキシ基含有化合物が、例えば、グリセリンの場合、エステル化物(A1−1)は、モノグリセリドとすることができ、エステル化物(A1−2)は、ジグリセリド又はトリグリセリドとすることができる。
また、上記ヒドロキシ基含有化合物が、芳香族化合物である場合、得られるエステル化物も芳香族化合物となるが、上記ヒドロキシ基含有化合物が、脂肪族化合物である場合に比べて、高硬度の硬化皮膜を得ることができる。
上記ポリオール(A1)としては、エステル化物(A1−1)又はエステル化物(A1−2)であって、炭素−炭素二重結合を含んでもよい脂肪族化合物、及び、芳香環を構成する以外に炭素−炭素二重結合を含んでもよい芳香族化合物(以下、「ポリオール(A1−X)」という)が好ましく、これらのうち、より高硬度の硬化皮膜が得られることから、後者のポリオール(A1−X)が特に好ましい。
上記ポリオール(A1−X)は、好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2020015647
(式中、Rは、水素原子、又は、ヒドロキシ基を含む飽和若しくは不飽和の炭化水素基、あるいは、下記一般式(11)で表される基であり、Rは、ヒドロキシ基を含んでもよい2価の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、Rは、ヒドロキシ基を含んでもよい2価の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、Rは、ヒドロキシ基を含んでもよい2価の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、Rは、ヒドロキシ基を含んでもよい2価の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、Rは、ヒドロキシ基を含む飽和又は不飽和の炭化水素基であり、pは0又は1であり、qは0又は1であり、rは0又は1であり、sは0又は1であり、pが0の場合は、Rは、ヒドロキシ基を含む飽和又は不飽和の炭化水素基である。)
Figure 2020015647
(式中、R21は、ヒドロキシ基を含む飽和若しくは不飽和の炭化水素基であり、R22はヒドロキシ基を含んでもよい2価の飽和又は不飽和の炭化水素基である。)
上記一般式(1)において、Rが炭化水素基を含む場合のこの炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは0〜25である。Rに含まれる炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは0〜10である。Rに含まれる炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜10である。Rに含まれる炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは0〜10である。Rに含まれる炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは0〜10である。Rに含まれる炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは0〜20である。尚、各炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。Rは、炭素−炭素二重結合を含むことが好ましい。
上記一般式(11)において、R21はヒドロキシ基を含んでもよく、R21が炭化水素基を含む場合のこの炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜18である。R22はヒドロキシ基を含んでもよく、R22に含まれる炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜18である。尚、各炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。R21は、炭素−炭素二重結合を含むことが好ましい。
上記一般式(1)で表されるポリオール(A1−X)としては、pが1であり、qが0であり、rが1であり、sが1であり、Rがヒドロキシ基を含む飽和炭化水素基であり、Rが、ヒドロキシ基を有さない2価の飽和炭化水素基であり、Rが、ヒドロキシ基を含んでもよい2価の飽和炭化水素基であり、Rが、ヒドロキシ基を含む飽和又は不飽和の炭化水素基である、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2020015647
(式中、R11は、炭素原子数2〜25の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は、下記一般式(21)で表される2価の基であり、R12は、炭素原子数1〜5の2価の飽和炭化水素基であり、R13は、ヒドロキシ基を含んでもよい炭素原子数2〜10の2価の飽和炭化水素基であり、R14は、炭素原子数2〜20の2価の飽和又は不飽和の炭化水素基である。尚、各炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。)
Figure 2020015647
(式中、R23は、炭素数1〜18の2価の飽和又は不飽和の炭化水素基であり、R24は、ヒドロキシ基を含んでもよい炭素原子数2〜10の2価の飽和炭化水素基である。尚、各炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。)
上記一般式(2)で表される化合物としては、R11及びR13が、互いに同一の炭化水素基であるか、あるいは、炭素原子数の差が1である炭化水素基どうしであり、R14が不飽和炭化水素基である化合物が好ましい。このような化合物は、ヒドロキシ基を1つ含む不飽和脂肪酸と、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物とをエステル化させて得られたもの(エステル化物(A1−2)に相当)とすることができる。
上記一般式(2)で表される化合物としては、R11及びR13が、炭素原子数がいずれも2又は3であるか、あるいは、一方の炭化水素基の炭素原子数2であり、他方の炭化水素基の炭素原子数が3である炭化水素基どうしであり、R14が、炭素原子数2〜20の2価の不飽和炭化水素基である化合物が特に好ましい。
また、上記ポリオール(A1−X)としては、例えば、以下に示される一般式(31)及び(32)で表されるジオールも挙げられる。一般式(31)で表されるポリオールは、ヒマシ油脂肪酸(リシノール酸)とビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物とのエステル化反応物(カルボキシル基と水酸基とのジエステル化物)であり、一般式(32)で表されるポリオールは、ヒマシ油脂肪酸(リシノール酸)とビスフェノールAの末端エポキシ基とのエポキシエステル化反応物(カルボキシル基とエポキシ基とを反応させたエポキシジエステル化物)である。
Figure 2020015647
Figure 2020015647
他のポリオール(A1)である上記縮合系ポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン−ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンアジペートジオール、ポリ3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリエチレンテレフタレートジオール、ポリブチレンテレフタレートジオール、ポリヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチルテレフタレートジオール、ポリエチレン−ブチレンテレフタレートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンテレフタレートジオール、ポリ3−メチルペンタンテレフタレートジオール、ポリエチレンイソフタレートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルイソフタレートジオール、ポリエチレン−ブチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチル−ヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリ3−メチルペンタンイソフタレートジオール等が挙げられる。
他のポリオール(A1)である上記ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン(ピバロラクトン)、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン等のラクトン化合物と、2以上のヒドロキシ基を有するポリオールとの反応生成物等が挙げられる。尚、このポリオールは、カルボキシ基を有してもよい。
他のポリオール(A1)である上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール等)等の多価アルコールと、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート又は炭酸エステルとの反応生成物等が挙げられる。
上記ポリオール(A)は、上記のように、エステル結合を有さない他の水不溶性ポリオールを含むことができる。他の水不溶性ポリオールとしては、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール;ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のジエン系ポリオール又はその水素添加物等が挙げられる。
上記ポリオール(B)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物(以下、「ポリオール(B1)」という)を含む、水に可溶なポリオールである。尚、このポリオール(B)は、ポリオール(B1)からなるものであってよいし、ポリオール(B1)と、他の水溶性ポリオールとからなるものであってもよい。後者の場合、上記ポリオール(B)に含まれるポリオール(B1)の下限量は、通常、1質量%である。
上記ポリオール(B1)は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物及び複素環式化合物のいずれでもよく、特に限定されない。また、上記ポリオール(B1)に含まれる炭素原子の数、及び、ヒドロキシ基の数は、特に限定されないが、炭素原子数は、硬度の観点から、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15である。尚、上記ポリオール(B1)が芳香族化合物以外の場合、炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
上記ポリオール(B1)としては、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタテトロール、2,3,4,5−ヘキサテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、トリグリセリン、エリスリトール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族化合物;2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、イソソルビド、スピログリコール、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,2’−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン)等の脂環式化合物;スクロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等の複素環式化合物等が挙げられる。
本発明の塗床形成用セメント組成物に含まれるポリオール(B1)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
本発明において、上記ポリオール(B1)は、脂肪族化合物及び複素環式化合物であることが好ましい。
上記ポリオール(B)は、上記のように、他の水溶性ポリオールを含むことができる。他の水溶性ポリオールとしては、ヒドロキシ基を2つ有するポリオール、芳香族ポリオール等が挙げられる。
本発明の塗床形成用セメント組成物において、上記ポリオール(B)の含有割合は、高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜からなる塗床上記ポリオール(A)の含有量を100質量部とした場合に、好ましくは1〜500質量部であり、より好ましくは3〜250質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。
上記ポリイソシアネート(C)は、下記計算式により求められる有効NCO%が18%以上の脂肪族化合物(以下、「脂肪族ポリイソシアネート」という)を含む成分である。尚、このポリイソシアネート(C)は、脂肪族ポリイソシアネートからなるものであってよいし、脂肪族ポリイソシアネートと、他の芳香族ポリイソシアネートとからなるものであってもよい。後者の場合、上記ポリイソシアネート(C)に含まれる脂肪族ポリイソシアネートの下限量は、通常、85質量%である。
Figure 2020015647
上記脂肪族ポリイソシアネートは、有効NCO%が18%以上、好ましくは18〜30%、より好ましくは18〜25%の化合物である。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)及びリジントリイソシアネート(LTI)や、これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体又はアダクト体等が挙げられる。
本発明の塗床形成用セメント組成物に含まれる脂肪族ポリイソシアネートは、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基どうしの間に構成される2価の炭化水素基の炭素原子数が2〜6であるポリイソシアネートのビウレット体又はイソシアヌレート体が好ましい。
上記ポリイソシアネート(C)は、上記のように、他のポリイソシアネートを含むことができる。他のポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(CHDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加XDI(HXDI)、水素添加MDI(H12MDI)、1,3−シクロペンテンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)や、これらの化合物のビウレット体、イソシアヌレート体又はアダクト体等の、脂環式ポリイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);粗製ジフェニルメタンジイソシアネート;多核ポリフェニレンポリメチルポリイソシアネート(ポリメリックMDI);2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(TDI);1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート(NDI);1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート;1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート(PDI);キシレンジイソシアネート(XDI);テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI);トリジンジイソシアネート(TODI);2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等の、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
本発明の塗床形成用セメント組成物に含まれるポリイソシアネート(C)の含有割合は、高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜からなる塗床が効率よく形成されることから、上記ポリオール(A)及び上記ポリオール(B)の合計を100質量部とした場合に、80〜1000質量部であり、好ましくは100〜900質量部、より好ましくは300〜800質量部である。
上記水硬性セメント(D)は、水と混和することにより硬化又は凝結するセメントである。
上記水硬性セメント(D)としては、ホワイトセメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント等が挙げられる。これらの水硬性セメントは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の塗床形成用セメント組成物に含まれる水硬性セメント(D)の含有割合は、塗布面の構成材料、水(E)等により、適宜、選択されるが、通常、5〜90質量%、好ましくは10〜50質量%である。
本発明の塗床形成用セメント組成物は、上記必須成分のほか、水(E)を含有する。この水(E)の含有割合もまた、塗布面の構成材料、水硬性セメント(D)等により、適宜、選択されるが、通常、2〜30質量%、好ましくは2〜10質量%である。
本発明の塗床形成用セメント組成物は、上記のように、他の成分を含有することができる。
本発明において、骨材を含有する塗床形成用セメント組成物は好ましい態様である。
上記骨材としては、無機系骨材及び有機系骨材のいずれを用いてもよい。無機系骨材としては、川砂、珪砂等の天然珪酸質、ガラス、セラミックス、電融アルミナ、炭化珪素、消石灰、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク等の無機材料や、ガラスバルーン、シラスバルーン等の無機系中空材料等からなる微粉が挙げられる。また、有機系骨材としては、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、尿素・ホルムアルデヒドポリマー、フェノール・ホルムアルデヒドポリマー、メラミン・ホルムアルデヒドポリマー、アセタールポリマー及びコポリマー、アクリル酸ポリマー及びコポリマー、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンターポリマー、酢酸セルロース、セルロース酢酸酪酸エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる微粉等が挙げられる。
本発明の塗床形成用セメント組成物が骨材を含有する場合、この骨材の含有割合の上限は、水硬性セメント(D)の含有量100質量部に対して、好ましくは650質量部、より好ましくは200質量部である。
本発明において、可塑剤を含有する塗床形成用セメント組成物も好ましい態様である。可塑剤は、従来、熱可塑性樹脂に添加して、柔軟性、耐候性等を改良するものであるが、本発明においては、得られる硬化皮膜の硬度を低下させることなく、作業性を付与することができる。
上記可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリテート系可塑剤、直鎖状二塩基酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、グリコールエステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤等が挙げられる。尚、本発明の塗床形成用セメント組成物に含まれる可塑剤は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
上記フタル酸エステル系可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレート、ビス−2−ブトキシエチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルベンジルフタレート、ノニルベンジルフタレート、ジメチルシクロヘキシルフタレート等が挙げられる。
上記トリメリテート系可塑剤としては、トリ−n−オクチルトリメリテート、トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、ジ−n−オクチル−n−デシルトリメリレート等が挙げられる。
上記直鎖状二塩基酸エステル系可塑剤としては、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジ−n−オクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−n−オクチルセバケート等が挙げられる。
上記クエン酸エステル系可塑剤としては、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレート、プロペニルトリブチルシトレート等が挙げられる。
上記ポリエステル系可塑剤としては、ポリ(プロピレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(1,6−ヘキサンジオール、ブタンジオール、アジピン酸)エステル、ポリ(ブタンジオール、エチレングリコール、アジピン酸)エステル、ポリ(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、アジピン酸)エステル等が挙げられる。
上記グリコールエステル系可塑剤としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート等が挙げられる。
上記リン酸エステル系可塑剤としては、トリブチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、ブチルジキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロエチルホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート等が挙げられる。
上記スルホン酸エステル系可塑剤としては、デカンスルホン酸フェニルエステル、ウンデカンスルホン酸フェニルエステル、ドデカンスルホン酸フェニルエステル、トリデカンスルホン酸フェニルエステル、テトラデカンスルホン酸フェニルエステル、ペンタデカンスルホン酸フェニルエステル、ペンタデカンスルホン酸クレジルエステル、ヘキサデカンスルホン酸フェニルエステル、ヘプタデカンスルホン酸フェニルエステル、オクタデカンスルホン酸フェニルエステル、ノナデカンスルホン酸フェニルエステル、イコサンデシルスルホン酸フェニルエステル等が挙げられる。
上記エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、液状エポキシ樹脂、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
本発明の塗床形成用セメント組成物が可塑剤を含有する場合、この可塑剤の含有割合の上限は、水に不溶なポリオール(A)の含有量100質量部に対して、好ましくは50質量部、より好ましくは100質量部、更に好ましくは180質量部である。上記可塑剤の含有量が多すぎると、本発明の効果が十分に得られない場合がある。
本発明において、更に、触媒(硬化用触媒)を含有する塗床形成用セメント組成物も好ましい態様である。
上記触媒としては、有機金属系触媒及びアミン系触媒のいずれを用いてもよい。有機金属系触媒としては、オクチル酸スズ、オレイン酸スズ、ラウリン酸スズ、ジブチル錫ジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド等のスズ化合物;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等の鉛化合物;オクチル酸ビスマス等のビスマス化合物等が挙げられる。また、アミン系触媒としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。上記触媒としては、有機金属系触媒が好ましく、スズ化合物が特に好ましい。
本発明の塗床形成用セメント組成物を製造する方法は、特に限定されないが、施工性の観点から、初めに、ポリイソシアネート(C)、水硬性セメント(D)、骨材及び触媒を除く成分(ポリオール(A)及び(B)、水(E)の全量又は一部、可塑剤等)からなる第1組成物とし、次いで、この第1組成物と、ポリイソシアネート(C)と、触媒とを混合して、第2組成物とし、その後、この第2組成物と、水硬性セメント(D)とを混合する方法が好ましい。骨材を用いる場合、水硬性セメント(D)と併用することが好ましい。第1組成物を調製する場合、原料を一括して混合する方法、及び、原料を分割添加しながら混合する方法のいずれを適用してもよい。
本発明の塗床形成用セメント組成物を製造する場合、上記必須成分を原料として用いてよいし、必須成分と、他の原料とからなる混合物を、原料として用いてもよい。例えば、ポリオール(A)を含有させるために、植物に由来する、混合物からなる油を、エステル化、エポキシエステル化 エーテル化等に供して得られた変性油であって、ポリオール(A)を含む変性油を用いてもよい。
本発明の塗床形成用セメント組成物を用いて塗床を形成する場合、被塗床形成面に、塗床形成用セメント組成物を塗布し、得られた塗膜を、大気雰囲気下、常温で、4時間以上放置することにより、又は、熱風等を利用した加熱乾燥により、硬化させることによって、タックフリーの硬化皮膜からなる塗床を形成することができる。塗膜の厚さは、特に限定されず、好ましくは1〜10mm、特に好ましくは1〜4mmである。
本発明の塗床形成用セメント組成物を用いて塗膜を形成する方法は、特に限定されず、コンクリート下地等の被塗床形成面に、従来、公知の塗布方法を適用することができる。塗床形成用セメント組成物を塗布する場合には、コテ、ヘラ等を用いることができる。尚、塗膜の表面及びその近傍に存在する骨材等を、塗膜の内部に、沈降又は移動させるために、必要に応じて、ウーローラー、砂骨材ローラー、マスチックローラー、ヘッドカットローラー、脱泡用ローラー、スパイクローラー等により転圧してもよい。
本発明の塗床形成用セメント組成物により得られる硬化皮膜は、高硬度であり、耐候性(黄変抑制性)に優れる。硬化皮膜の硬度は、JIS K 7215に準じて測定されるタイプDデュロメータ硬度(ShoreD硬度)を、好ましくは75以上、より好ましくは77以上、特に好ましくは79以上とすることができる。また、硬化皮膜に紫外線を照射する前後の色差ΔEを、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下とすることができる。
他の本発明のポリオール組成物は、ポリイソシアネート及び水硬性セメントとともに混合され、被塗床面に塗床を形成するための塗床形成用セメント組成物の製造に用いられるポリオール組成物であり、(X)水に不溶なポリオール、(Y)水に可溶なポリオール、及び、(Z)水を含有する組成物であり、必要に応じて、可塑剤、分散剤、シランカップリング剤、流動化剤、レベリング剤、増粘剤、触媒、消泡剤、脱泡剤、起泡剤、発泡剤、湿潤剤、減水剤、凍結防止剤、防腐剤、急結剤、防錆剤、速硬剤、遅硬剤、pH調整剤、着色剤等の添加剤を含有することができる。
本発明のポリオール組成物の性状は、通常、水(Z)にポリオール(Y)が溶解されてなる水溶液の中に、ポリオール(X)が分散した液体であることが好ましい。必要に応じて配合された他の成分は、上記水溶液に、溶解していたり分散していたりすることができる。
上記ポリオール(X)は、エステル結合を有する芳香族化合物である。上記ポリオール(X)に含まれる炭素原子の数は、通常、6以上、好ましくは6〜1500、より好ましくは6〜1000である。上記ポリオール(X)に含まれるヒドロキシ基の数、及び、エステル結合の数も、特に限定されない。ヒドロキシ基の数は、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6である。尚、上記ポリオール(X)は、芳香環を除く部分において、炭素−炭素二重結合を含んでもよい。
上記ポリオール(X)は、好ましくは、上記本発明の塗床形成用セメント組成物に含有されるポリオール(A1)として例示した、上記一般式(1)で表される化合物であり、特に好ましくは、上記一般式(2)で表される化合物である等、構造の詳細は、上記記載のとおりである。
本発明のポリオール組成物に含有されるポリオール(X)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
また、上記ポリオール(Y)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物であり、上記本発明の塗床形成用セメント組成物に含有されるポリオール(B1)を、そのまま、適用することができる。上記ポリオール(Y)は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物及び複素環式化合物のいずれでもよいが、脂肪族化合物及び複素環式化合物が好ましい。
本発明のポリオール組成物に含有されるポリオール(Y)は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
本発明のポリオール組成物において、上記のポリオール(X)及び(Y)の含有割合は、特に限定されないが、塗床形成用セメント組成物が効率よく製造されることから、これらの合計を100質量%とした場合に、好ましくは、1〜50質量%、より好ましくは、10〜40質量%である。
本発明のポリオール組成物は、上記必須成分のほか、水(Z)を含有する。この水(Z)の含有割合は、特に限定されないが、上記必須成分の合計量を対象とする固形分濃度を、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは、50〜75質量%とすることにより、塗床形成用セメント組成物を効率よく製造することができる。
本発明のポリオール組成物は、上記のように、ポリオール(X)及び(Y)と、水(Z)とからなる組成物であってよいし、更に、上記添加剤を含有する組成物であってもよい。本発明のポリオール組成物は、添加剤として、可塑剤及び消泡剤を含有することが好ましい。
本発明のポリオール組成物の製造方法は、特に限定されず、所定の原料を一括して又は分割して混合することにより製造することができる。
本発明のポリオール組成物は、塗床の形成に用いる塗床形成用セメント組成物の調製に好適である。
本発明のポリオール組成物を用いて、上記本発明の塗床形成用セメント組成物を製造する方法は、特に限定されない。好ましい製造方法は、ポリオール組成物と、ポリイソシアネートと、触媒と、水硬性セメントとを混合する方法である。ポリイソシアネート及び水硬性セメントは、上記本発明の塗床形成用セメント組成物を構成するポリイソシアネート(C)及び水硬性セメント(D)を、それぞれ、適用することができる。また、触媒は、上記例示したとおりである。
上記好ましい製造方法において用いられるポリオール組成物に含まれるポリオール(X)及び(Y)の含有割合は、上記本発明の塗床形成用セメント組成物を構成するポリオール(A)及び(B)の含有割合と同一であっても、異なってもよい。
1.塗床形成用セメント組成物の原料成分
1−1.水に不溶なポリオール(A)
(A1)として、下記式で表される化合物を主とする。
Figure 2020015647
(A2)として、下記式で表される化合物を主とする。
Figure 2020015647
(A3)として、リシノレイン酸のトリグリセリドを主とする、伊藤製油社製ヒマシ油を用いた。
1−2.水に可溶なポリオール(B)
(B1)として、トリメチロールプロパンを用いた。
(B2)として、ソルビトールを用いた。
(B3)として、スクロースを用いた。
(B4)として、エチレングリコールを用いた。
(B5)として、プロピレングリコールを用いた。
1−3.ポリイソシアネート(C)
(C1)として、旭化成社製「デュラネート TLA−100」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は23.3%である。
(C2)として、旭化成社製「デュラネート TUL−100」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は23.0%である。
(C3)として、三井化学社製「タケネート D370N」(商品名)を用いた。この製品は、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は25.1%である。
(C4)として、三井化学社製「タケネート D376N」(商品名)を用いた。この製品は、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は23.6%である。
(C5)として、三井化学社製「タケネート D170N」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は21.1%である。
(C6)として、旭化成社製「デュラネート 24A−100」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は23.5%である。
(C7)として、旭化成社製「デュラネート TSE−100」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は12.0%である。
(C8)として、旭化成社製「デュラネート TSS−100」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は17.6%である。
(C9)として、旭化成社製「デュラネート MHG−80B」(商品名)を用いた。この製品は、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(脂環式ポリイソシアネート)であり、有効NCO%が15.1%である。
(C10)として、旭化成社製「デュラネート A201H」(商品名)を用いた。この製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートの2官能型イソシアネート(脂肪族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%が15.1%である。
(C11)として、東ソー社製「ミリオネート MR−200」(商品名)を用いた。この製品は、クルードMDI(芳香族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は31.0%である。
(C12)として、住化コベストロウレタン社製「スミジュール44V40」(商品名)を用いた。この製品は、クルードMDI(芳香族ポリイソシアネート)であり、有効NCO%は31.0%である。
(C13)として、住化コベストロウレタン社製「デスモジュール W」(商品名)を用いた。この製品は、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)であり、有効NCO%は32.0%である。
(C14)として、住化コベストロウレタン社製「デスモジュール I」(商品名)を用いた。この製品は、イソホロンジイソシアネートであり、有効NCO%は37.8%である。
(C15)として、三井化学社製「コスモネートNBDI」(商品名)を用いた。この製品は、ノルボルナンジイソシアネートであり、有効NCO%は40.8%である。
1−4.水硬性セメント(D)
太平洋セメント社製「ホワイトセメント」(商品名)を用いた。
1−5.可塑剤(F)
(F1)として、フタル酸ジイソノニルを用いた。
(F2)として、アルキルスルホン酸フェニルエステルを用いた。
(F3)として、エポキシ化大豆油脂肪酸エステルを用いた。
(F4)として、リシノレイン酸ブチルを用いた。
(F5)として、リン酸トリクレジルを用いた。
(F6)として、セバシン酸ジオクチルを用いた。
(F7)として、フタル酸ビス(2−ブトキシエチル)を用いた。
(F8)として、エチルフタリルエチルグリコレートを用いた。
(F9)として、アジピン酸ジオクチルを用いた。
1−6.消泡剤
伊藤製油社製変性シリコーン「A−S−A DF−1」(商品名)を用いた。
1−7.骨材
珪砂として、丸尾カルシウム社製「珪砂4号」(商品名)、「珪砂6号」(商品名)及び「珪砂7号」(商品名)を質量比3.0:6.5:0.5で混合したものを用いた。
消石灰として、住友大阪セメント社製「消石灰」(商品名)を用いた。
1−8.着色剤
(1)石原産業社製酸化チタン「TIPAQUE CR−95」(商品名)と、(2)トーヨーマテラン社製「トーヨーカラーパウダー ブルー」(商品名)とを併用した。
2.塗床形成用セメント組成物の製造及び評価
実験例1〜40では、下記方法で調製された合計500質量部の骨材組成物を用いた。
即ち、166.6質量部の水硬性セメント(D)と、268.6質量部の混合珪砂と、33.4質量部の消石灰と、19.6質量部の着色剤(1)と、11.8質量部の着色剤(2)とを混合し、骨材組成物を得た。
実験例1
22.4質量部のポリオール(A1)と、4質量部のポリオール(B1)と、41質量部の可塑剤(F1)と、2.6質量部の消泡剤と、30質量部の水とを、ホモジナイザーを用いて、乳化・混合することにより、合計100質量部のポリオール組成物(P1)を得た。
次に、得られたポリオール組成物(P1)と、スズ化合物からなる触媒(適量)と、150質量部のポリイソシアネート(C1)とを混合した。そして、この混合物と、500質量部の骨材組成物とを、ディスパーを用いて、混合することにより、塗床形成用セメント組成物(H1)を得た(表1参照)。
その後、この塗床形成用セメント組成物(H1)を、スレート板(70mm×150mm)の表面に塗布して延展し、厚さ4mmの塗膜を形成した。そして、大気雰囲気下、25℃で放置して、塗膜を硬化させた。
得られた硬化皮膜に対して、以下の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
(a)タイプDデュロメータ硬度(ShoreD硬度)
JIS K 7215に準じて、高分子計器社製アスカーゴム硬度計を用いて測定した。
(b)色差
日本電池社製紫外線照射機を用いて硬化皮膜に、出力100W/cm の高圧水銀ランプを30秒間照射した(硬化皮膜と、高圧水銀ランプとの距離は125mmである)。紫外線照射前後の色差ΔEを、日本電色社製色差計により求めた。
実験例2
4質量部のポリオール(A1)と、4質量部のポリオール(B1)と、41質量部の可塑剤(H1)と、2.6質量部の消泡剤と、30質量部の水とを、ホモジナイザーを用いて、乳化・混合することにより、合計81.6質量部のポリオール組成物(P2)を得た。
次に、得られたポリオール組成物(P2)と、18.4質量部のポリオール(A1)と、スズ化合物からなる触媒(適量)と、150質量部のポリイソシアネート(C1)とを混合した。そして、この混合物と、500質量部の骨材組成物とを、ディスパーを用いて、混合することにより、塗床形成用セメント組成物(H2)を得た(表1参照)。
その後、この塗床形成用セメント組成物(H2)を用いて、実験例1と同様にして、塗膜の作製と、硬化皮膜の作製とを行い、上記評価(a)及び(b)を行った。これらの結果を表1に示す。
実験例3〜40
実験例1と同様にして、ポリオール組成物(P3)〜(P40)を調製し、その後、得られた各ポリオール組成物と、ポリイソシアネートと、骨材組成物とを混合して、塗床形成用セメント組成物(H3)〜(H40)を得た(表1〜表2参照)。そして、実験例1と同様にして、塗膜の作製と、硬化皮膜の作製とを行い、上記評価(a)及び(b)を行った。これらの結果を表1〜表2に示す。
Figure 2020015647
Figure 2020015647
表1〜表2において、実験例1〜28は、本願の第1発明に含まれる例であり、実験例29〜40は、本願の第1発明に含まれない例である。実験例29〜32は、有効NCO%が18%未満のポリイソシアネートを用いた例であり、ShoreD硬度が75未満であり、十分ではなかった。実験例33は、芳香族化合物からなるポリイソシアネートを用いた例であり、硬化皮膜が黄変して、ΔEが1.0を超えて5.30と高かった。実験例34〜36は、脂環式化合物からなるポリイソシアネートを用いた例であり、ShoreD硬度が75未満であり、十分ではなかった。実験例37及び38は、いずれも、水に可溶なポリオールとして、ヒドロキシ基を2つ有する化合物を含有する例であり、ShoreD硬度が75未満であり、十分ではなかった。実験例39及び40は、いずれも、本発明に係るポリオール(B)を含有しない例であり、ShoreD硬度が75未満であり、十分ではなかった。一方、実験例1〜28では、ShoreD硬度が75以上と高く、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜を得ることができた。実験例28は、ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートを併用した例であるが、芳香族ポリイソシアネートを、脂肪族ポリイソシアネートの使用量100質量部に対して、3質量部以下とした割合で用いれば、黄変抑制性が得られることが分かった。
また、水に不溶なポリオールの種類が互いに異なるポリオール組成物を用いた実験例1、5及び6を比較すると、水に不溶なポリオールとして、エステル結合を含む芳香族化合物を主とするポリオール(A1)を用いた実験例1のポリオール組成物(P1)は、ポリオール(A2)又はヒマシ油(A3)を用いた実験例5及び6のポリオール組成物(P5)及び(P6)よりも、ShoreD硬度が75以上と高く、耐候性(黄変抑制性)に優れた硬化皮膜を与える塗床形成用セメント組成物の製造原料として好適であることが分かる。また、塗床形成用セメント組成物が、互いに同一である実験例1及び2においては、ポリオール組成物(P1)及び(P2)の構成が異なるにも関わらず、塗床形成用セメント組成物において同じ性能を得ることができた。
本発明の塗床形成用セメント組成物は、食品工業、化学工業、機械工業等の各種産業の工場、倉庫、研究施設、病院、宿泊施設、スーパーマーケット、レストラン等の廊下、厨房等における室内床面又は、トラックヤード、駐車場、道路等の屋外床面への塗装に好適である。

Claims (7)

  1. 被塗床面に塗床を形成するための塗床形成用セメント組成物であって、
    (A)水に不溶なポリオール、
    (B)水に可溶なポリオール、
    (C)ポリイソシアネート、
    (D)水硬性セメント、
    及び、
    (E)水
    を含有し、
    上記ポリオール(A)は、エステル結合を有する化合物を含み、
    上記ポリオール(B)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物を含み、
    上記ポリイソシアネート(C)は、下記計算式により求められる有効NCO%が18%以上の脂肪族化合物を含むことを特徴とする塗床形成用セメント組成物。
    Figure 2020015647
  2. 上記ポリオール(B)の含有割合が、上記ポリオール(A)100質量部に対して、1〜500質量部である請求項1に記載の塗床形成用セメント組成物。
  3. 上記ポリイソシアネート(C)の含有割合が、上記ポリオール(A)及び上記ポリオール(B)の合計を100質量部とした場合に、80〜1000質量部である請求項1又は2に記載の塗床形成用セメント組成物。
  4. 上記水硬性セメント(D)の含有割合が、上記水(E)を100質量部とした場合に、100〜6000質量部である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の塗床形成用セメント組成物。
  5. 更に、可塑剤を含有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗床形成用セメント組成物。
  6. 更に、スズ化合物からなる触媒を含有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の塗床形成用セメント組成物。
  7. ポリイソシアネート及び水硬性セメントとともに混合され、被塗床面に塗床を形成するための塗床形成用セメント組成物の製造に用いられるポリオール組成物であって、
    (X)水に不溶なポリオール、
    (Y)水に可溶なポリオール
    及び、(Z)水を含有し、
    上記ポリオール(X)は、エステル結合を有する芳香族化合物であり、
    上記ポリオール(Y)は、3以上のヒドロキシ基を有する化合物であることを特徴とするポリオール組成物。
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