JP2020014530A - 無針注射器 - Google Patents

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Abstract

【課題】注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態を好適に形成及び維持することができる無針注射器を提供する。【解決手段】注射針を介することなく、注射対象領域を押圧した状態で注射目的物質を射出することによって、該注射目的物質を該注射対象領域に注射する無針注射器であって、ノズル部と押圧部とを備え、該ノズル部は、その先端面が想定位置を含んだ想定範囲に属するように形成される。想定位置は、押圧部の先端面が形成する所定領域の幅に基づいて定められ、想定範囲は、その範囲の全てが、無針注射器のハウジングの所定端部と押圧部の先端面との間の範囲に含まれる。そして、注射対象領域が押圧部によって押圧されると、所定端部と押圧部の先端面との間の範囲に属し、且つ押圧部によって囲まれた空間が、所定領域に存在する注射対象領域を収容し、更にノズル部の先端面に注射対象領域が当接する。【選択図】図6

Description

本発明は、注射針を介することなく、注射目的物質を注射対象領域に注射する無針注射器に関する。
注射針を介することなく注射液を射出し、対象物に注射を行う無針注射器が広く知られている。例えば、特許文献1には、その先端側に吸引カップが取り付けられた無針注射器が開示されている。当該技術では、吸引カップが患者の皮膚に押し当てられた状態で、該吸引カップ内が負圧にされる。
また、特許文献2には、アンプルのオリフィスから注入液が射出される注射装置において、アンプルの先端にアダプタが取り付けられることが開示されている。
米国特許出願公開第2015/0246183号明細書 米国特許第6752780号明細書
無針注射器では、注射目的物質を射出する射出口が形成されたノズル部が備えられる。このような無針注射器において、射出口から射出される注射目的物質を的確に注射対象領域の目的部位に届けるためには、注射対象領域とノズル部との間で適切な接触状態が形成されなければならない。なお、このように、注射対象領域の目的部位への注射目的物質の的確な送達を可能にする注射対象領域とノズル部との間の接触状態を、以下「所望の接触状態」と称することもある。
しかしながら、注射対象領域とノズル部との間の接触状態は、ユーザの手技差等に起因して変化し得る。したがって、ユーザによってノズル部が注射対象領域の表面に単に押し付けられるだけでは、所望の接触状態の形成が困難となることがある。
ここで、特許文献1に記載の無針注射器によれば、吸引カップ内が負圧にされることで患者の皮膚が該吸引カップ内に吸引される。その結果、患者の皮膚と射出ポートとが接触せしめられる。このような無針注射器では、注射が実行される前に吸引カップ内に負圧を形成する必要があるため、注射を行う際のユーザの負担が増加してしまう。
本発明は、上記した問題に鑑み、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態を好適に形成することができる無針注射器を提供することを目的とする。
本発明の無針注射器は、ノズル部と押圧部とを備え、該ノズル部は、その先端面が想定範囲に属するように形成される。ここで、想定範囲は、注射対象領域の所定領域の幅に基づいて定められる想定位置を含んだ位置範囲であって、その範囲の全てが、ハウジングの所定端部と押圧部の先端面との間の範囲に含まれる。そして、注射対象領域が押圧部によって押圧されると、押圧部によって囲まれた空間が、所定領域に存在する注射対象領域を収容し、更にノズル部の先端面に注射対象領域が当接する。このような構成により、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態を好適に形成することができる。
具体的には、本発明の無針注射器は、注射針を介することなく、注射対象領域を押圧した状態で注射目的物質を射出することによって、該注射目的物質を該注射対象領域に注射する無針注射器であって、前記無針注射器のハウジングに設けられた、前記注射目的物質を収容する収容部と、前記ハウジングに設けられ、前記収容部に収容された前記注射目的物質を射出するための射出エネルギーを発生させる駆動部と、前記ハウジングの前記収容部の側の所定の端部である所定端部から突出して設けられたノズル部であって、前記駆動部により発生された射出エネルギーが付与された前記注射目的物質を前記注射対象領域に向かって射出する射出口が形成されたノズル部と、前記ノズル部を囲むように前記所定端部から突出して設けられた押圧部であって、その先端面が前記注射対象領域と接触したときに、該注射対象領域において該先端面によって囲まれた所定領域を形成するように構成された押圧部と、を備える。そして、本発明の無針注射器では、前記ノズル部は、その先端面が、前記ハウジングの軸方向において該先端面が位置することが想定される想定位置を含んだ位置範囲である想定範囲に属するように形成され、前記想定位置は、前記所定領域の幅に基づいて定められ、前記想定範囲は、前記想定位置から前記ハウジングの軸方向に所定距離変位した位置を含んで定められる位置範囲であって、且つ、その範囲の全てが、前記ハウジングの軸方向における前記所定端部と前記押圧部の先端面との間の範囲に含まれ、前記注射対象領域が前記押圧部によって押圧されると、前記ハウジングの軸方向における前記所定端部と前記押圧部の先端面との間の範囲に属し、且つ前記押圧部によって囲まれた空間が、前記所定領域に存在する前記注射対象領域を収容し、更に前記ノズル部の先端面に前記注射対象領域が当接するように構成される。
ここで、例えば押圧部が円筒状に形成される場合、上記の所定領域の幅は押圧部の内径と等しくなる。また、仮に押圧部の内径が一定でない場合には、所定領域の幅に押圧部の代表内径(例えば、内径の最大値)を用いてもよい。そして、この所定領域の幅は、注射対象領域が押圧部によって押圧されたときに、押圧部によって囲まれた空間において盛り上がる注射対象領域の盛り上がり高さと相関を有する。そこで、本発明の無針注射器では、ノズル部の先端面が位置することが想定される想定位置が所定領域の幅に基づいて定められる。そして、このように定められる想定位置が、ハウジングの軸方向における所定端部と押圧部の先端面との間の範囲(以下、「注射器先端範囲」と称する場合もある。)に含まれる。そうすると、ノズル部の先端面が想定位置に設けられる場合、ノズル部の先端面は、押圧部の先端面からハウジングの軸方向に凹んで形成されることになる。この場合、注射器先端範囲に属し且つ押圧部によって囲まれた空間(以下、「注射器先端空間」と称する場合もある。)には注射対象領域が盛り上がるための余地が確保され易くなり、注射器先端空間においてノズル部の先端面に向かって盛り上がった注射対象領域が、該先端面に当接することになる。
なお、注射対象領域の盛り上がり高さは、注射対象領域に対する押圧部による押圧条件が変化することによっても変化し得る。そこで、想定位置からハウジングの軸方向に所定距離変位した位置を含んで定められる位置範囲として、想定範囲が定義される。ここで、所定距離は、押圧条件の変化等によって生じ得る盛り上がり高さのばらつきに応じて定義される。つまり、想定範囲は、注射対象領域の盛り上がり高さのばらつきを考慮した想定位置の範囲である。そして、想定範囲も、想定位置と同様に注射器先端範囲に含まれる。
そして、ノズル部が、その先端面が上述した想定範囲に属するように形成されると、所定領域に存在する注射対象領域の盛り上がりがノズル部によって阻害される事態が可及的に抑制され、注射器先端空間において、注射対象領域がノズル部の先端面に向かって自然に盛り上がる。そうすると、注射対象領域とノズル部の先端面とが自然に接触せしめられる。これによれば、押圧部によって注射対象領域が押圧された状態において仮に注射器に傾きが生じたとしても、注射対象領域とノズル部の先端面との間に隙間を生じさせること
なく、注射対象領域とノズル部の先端面とが接触せしめられる。つまり、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態が形成される。
以上に述べた無針注射器によれば、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態を好適に形成することができ、注射対象領域の目的部位への注射目的物質の投与を、的確に且つ安定して再現良く行うことが可能となる。
ここで、本発明の無針注射器において、前記押圧部が、円筒状に形成され、前記想定位置が、前記ハウジングの軸方向における、前記ノズル部の先端面と前記押圧部の先端面との間の距離が、前記押圧部の内径の1/30以上で且つ1/16以下となる位置として定義されてもよい。こうすることで、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態がより好適に形成され、これにより、注射対象領域の目的部位への注射目的物質の投与を、的確に且つ安定して再現良く行うことが可能となる。
なお、前記押圧部は、円筒状に形成され、且つ、その内周面と外周面との間隔が、軸方向に沿って先端面に向かうに従って徐々に小さくなるテーパ形状を有していてもよい。これによれば、押圧部による注射対象領域に対する押圧状態が安定して維持され易くなり、以て、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態を安定して形成及び維持することができる。
また、前記ノズル部は、その径が、先端面に向かうに従って徐々に小さくなるように形成されてもよい。このような構成によれば、ノズル部が、その先端面の周縁を取り囲む注射対象領域によって固定され易くなり、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態が維持され易くなる。
本発明によれば、注射対象領域とノズル部との間で所望の接触状態を好適に形成することができる。
本発明の実施形態に係る注射器の概略構成を示す図である。 対象物の注射対象領域に注射液が注射されるときの該注射対象領域とノズル部の先端面との接触状態を説明するための図である。 リムの内径と、注射対象領域の盛り上がり高さと、の関係を説明するための第一の図である。 リムの内径と、注射対象領域の盛り上がり高さと、の関係を説明するための第二の図である。 リムの内径と、注射対象領域の盛り上がり高さと、の関係を説明するための第三の図である。 リムの内径と、注射対象領域の盛り上がり高さと、の相関を表すグラフである。 想定範囲を説明するための図である。 生体の皮膚がリムによって押圧されているときの、生体の皮膚とノズル部の先端面との接触状態を表す図であって、注射器に傾きが生じている場合を示す図である。 本発明の実施形態の変形例1に係る注射器の概略構成を示す図である。 変形例1における、生体の皮膚がリムによって押圧されているときの、生体の皮膚とノズル部の先端面との接触状態を表す図である。 本発明の実施形態の変形例2に係る注射器の概略構成を示す図である。 変形例2における、生体の皮膚がリムによって押圧されているときの、生体の皮膚とノズル部の先端面との接触状態を表す図である。 実施例1におけるAの値の範囲と、そのときのリム内径d1と距離Lとの関係を表す図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る注射器として、針のない無針注射器1(以下、単に「注射器1」という)を例に挙げて説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
<実施形態>
図1(a)は注射器1の断面図であり、図1(b),(c)は注射器1を、先端側から見た図である。なお、本願の以降の記載においては、注射器1によって対象物の注射対象領域に注射される注射目的物質を「注射液」と総称する。しかし、これには注射される物質の内容や形態を限定する意図は無い。注射目的物質では、皮膚構造体に届けるべき成分が溶解していても溶解していなくてもよく、また注射目的物質も、加圧することで射出口から皮膚構造体に対して射出され得るものであれば、その具体的な形態は不問であり、液体、ゲル状、粉末状等様々な形態が採用できる。
ここで、注射器1は、先端側ハウジング3と基端側ハウジング4とシリンジ部5とを含むハウジング2を有しており、先端側ハウジング3と基端側ハウジング4との間にシリンジ部5が配置されている。そして、これらがネジで固定されて一体となることで、ハウジング2が構成される。ただし、先端側ハウジング3、基端側ハウジング4、及びシリンジ部5は、ネジ以外の公知の方法によっても接続され得る。ここで、基端側ハウジング4の内部には、その軸方向に延在する内部空間である孔40が形成されている。
シリンジ部5は、注射液MLを収容する収容室(収容部)50を内部に有する。シリンジ部5は、基端側ハウジング4に対して螺合されて取り付けられており、その取付状態において基端側ハウジング4内の孔40と、シリンジ部5内の収容室50とは連続した空間となる。なお、その取付状態では、注射液MLは、プランジャ7によって収容室50内に液密に収容されており、このプランジャ7が孔40側に露出した状態となっている。ここで、プランジャ7は、収容室50内を摺動可能に配置され、さらに、摺動することにより注射液MLを加圧し、射出口からの注射液の射出が行われることになる。また、プランジャ7は、円滑に収容室50内を摺動できるように、表面にシリコンオイルを薄く塗布したゴム部材により形成される。なお、プランジャ7の摺動性を向上させるため、例えばプランジャ7の表面をフッ素加工してもよい。
そして、基端側ハウジング4内の孔40には、金属製のピストン6が配置され、該ピストン6は、孔40内を摺動可能に保持されている。ピストン6は、孔40の軸方向に沿って延在する概ね軸状に形成され、シリンジ部5に配置されるプランジャ7に接触する第1端部6aと、該第1端部6aの反対側に設けられ後述する燃焼室41を画定する第2端部6bと、を有する。また、第2端部6b側におけるピストン6の周囲には、後述する点火薬の燃焼による燃焼生成物を燃焼室41内に封止するとともに、ピストン6が孔40内を円滑に摺動可能となるように構成されたOリング6cが配置されている。
更に、基端側ハウジング4において、シリンジ部5が取り付けられた側とは反対側には、イニシエータ20が配置される。図1(a)に示すように、イニシエータ20は、ハウジング2の基端側の端部に設けられている。そして、イニシエータ20によって孔40の一端に形成された燃焼室41が閉じられる。ここで、孔40におけるイニシエータ20とピストン6の第2端部6bとによって画定される空間が、燃焼室41となる。そして、イニシエータ20に電圧が印加されると、イニシエータ20が有する点火薬が燃焼する。そうすると、点火薬の燃焼によって生じる燃焼生成物が燃焼室41に流入し、燃焼室41内
の圧力が上昇する。このようにして、収容室50に収容された注射液MLを射出するための射出エネルギーが発生する。なお、イニシエータ20が、この射出エネルギーを発生させる駆動部となる。
ここで、注射器1において用いられる点火薬として、好ましくは、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)、もしくはこれらの火薬のうちの複数の組合せからなる火薬が挙げられる。これらの火薬は、点火直後の燃焼時には高温高圧のプラズマを発生させるが、常温となり燃焼性生物が凝縮すると気体成分を含まないために発生圧力が急激に低下する特性を示す。なお、これら以外の火薬を点火薬として用いても構わない。
また、図1に示す燃焼室41内には何も配置されていないが、点火薬の燃焼によって生じる燃焼生成物によって燃焼しガスを発生させるガス発生剤を、燃焼室41内に配置するようにしてもよい。仮に燃焼室41内にガス発生剤を配置させる場合、その一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%からなるシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。このようなガス発生剤の併用は、上記点火薬のみの場合と異なり、燃焼時に発生した所定のガスは常温においても気体成分を含むため、発生圧力の低下率は小さい。さらに、当該ガス発生剤の燃焼時の燃焼完了時間は、上記点火薬と比べて極めて長いが、燃焼室41内に配置されるときの該ガス発生剤の寸法や大きさ、形状、特に表面形状を調整することで、該ガス発生剤の燃焼完了時間を変化させることが可能である。このようにガス発生剤の量や形状、配置を調整することで、燃焼室41内での発生圧力を適宜調整できる。
以上に述べたように構成される注射器1において、シリンジ部5には、更に先端側ハウジング3がシリンジ部5に対して螺合されて取り付けられる。なお、先端側ハウジング3は、ガスケット3aを挟んでシリンジ部5に取り付けられている。そして、先端側ハウジング3には、ノズル部8及びリム9(押圧部)が該先端側ハウジング3と一体に形成されている。ここで、ノズル部8及びリム9は、ハウジング2の先端側(収容室50側)の所定の端部である所定端部2aから突出して設けられている。なお、ノズル部8及びリム9は、先端側ハウジング3とはそれぞれ別体の部品として設けられてもよい。また、ノズル部8及びリム9の突出向きはハウジング2の軸方向と平行であるが、必ずしもその軸に平行である必要はなく、多少傾いていてもよい。
ここで、ノズル部8は、注射器1の中心軸と同軸に形成され、その径が先端側ハウジング3のシリンジ部5側よりも縮径している。そして、ノズル部8の先端面8aには、射出口8bが形成されている。プランジャ7によって加圧された注射液MLは、先端側ハウジング3に形成された流路を流れて射出口8bから射出される。詳しくは、イニシエータ20の点火薬が燃焼することで燃焼室41内の圧力が上昇すると、ピストン6が注射器1の先端側に向かって摺動する。そして、ピストン6が摺動していくと、プランジャ7が収容室50に収容された注射液MLを押圧する。その結果、注射液MLが、先端側ハウジング3に形成された流路を流通し、射出口8bから注射対象領域に向けて射出されることになる。
なお、射出口8bは、ノズル部8の先端面8aに複数形成されてもよく、または、一つ
形成されてもよい。複数の射出口が形成される場合には、各射出口に対して注射液MLが可及的に均等に送り込まれるように、各射出口に対応する流路がノズル部8に形成される。さらに、複数の射出口が形成される場合には、図1(c)に示すように、注射器1の中心軸の周囲に等間隔で各射出口が配置されるのが好ましい。
そして、先端側ハウジング3におけるノズル部8の周囲にはリム9が形成されている。リム9は、所定端部2aから突出して円筒状に形成され、図1(b)に示すように、その内径がd1として表される。また、リム9の内側には空間10が形成される。空間10は、ハウジング2の軸方向における所定端部2aとリム9の先端面9aとの間の範囲に属し、且つリム9によって囲まれた空間であって、該空間10にノズル部8が配置されている。なお、本実施形態では、リム9における内周面と外周面との間隔(幅)は、軸方向に沿って変化せず一定である。また、本実施形態では、リム9は円周方向に連続した環状であるが、後述する本発明の効果が得られる限りは、複数の独立した円弧状に形成することも出来る。ただし、その場合も、円弧の長さは隣接する弧間の距離よりも長くなるように設定される。
ここで、本発明に係る注射器1では、ノズル部8の先端面8aが、ハウジング2の軸方向における所定端部2aとリム9の先端面9aとの間の位置に形成される。本実施形態においては、ハウジング2の軸方向におけるノズル部8の先端面8aとリム9の先端面9aとの距離が、距離Lとなっている。以下の説明において、ハウジング2の軸方向にリム9の先端面9aから注射器1の基端側に距離Lの位置を、ノズル部8の先端面8aの「想定位置」と称する。なお、この想定位置の詳細については後述する。
そして、本発明に係る注射器1では、このようにノズル部8の先端面8aが形成されるとともに、対象物の注射対象領域に注射液MLが注射されるときにリム9によって注射対象領域が押圧されることによって、このときに空間10に該注射対象領域の一部が侵入することになる。言い換えれば、空間10が注射対象領域の一部を収容することになる。なお、リム9が、注射対象領域を押圧する押圧部となる。これについて、以下に詳しく説明する。
図2は、対象物の注射対象領域に注射液MLが注射されるときの該注射対象領域とノズル部8の先端面8aとの接触状態を説明するための図である。本発明では、リム9によって注射対象領域が押圧された状態で、注射液MLの射出が行われる。ここで、図2(a)は、注射対象領域の表面とリム9の先端面9aとが当接した状態を表しており、図2(b)は、図2(a)によって表された状態から更にリム9によって注射対象領域が押圧された状態を表している。また、図2(c)は、図2(b)によって表された状態においてイニシエータ20が作動され、注射液MLの射出が完了した状態を表している。
ここで、リム9は、その先端面9aが注射対象領域と接触したときに、該注射対象領域において該先端面9aによって囲まれた所定領域を形成するように構成されている。リム9の先端面9aが注射対象領域と接触した状態を表す図2(a)によって示される例では、この所定領域が領域A1によって表される。図2(a)の状態は、注射器1が注射対象領域に対して押圧されていない状態であり、このとき、ノズル部8の先端面8aは注射対象領域に当接していない。なお、本実施形態では、領域A1によって表される所定領域の幅がリム9の内径d1と等しくなっている。ただし、これに限定する意図はなく、仮にリム9の内径が一定ではない場合(例えば、リム9の横断面形状における内周縁が楕円である場合)には、所定領域の幅にリム9の代表内径(例えば、内径の最大値)を用いてもよい。
そして、注射対象領域がリム9によって押圧されると、図2(b)に示されるように、
リム9に当接する部分の注射対象領域が押し下げられ、領域A1に存在する注射対象領域が空間10に侵入する。そうすると、注射対象領域とノズル部8の先端面8aとが接触せしめられる。なお、図2(b)によって表された状態では、注射対象領域とノズル部8との間で後述する所望の接触状態が形成されているものとする。
そして、図2(b)によって示された状態においてイニシエータ20に電圧が印加されると、点火薬の燃焼によって生じる燃焼生成物が燃焼室41に流入し、燃焼室41内の圧力が上昇する。そうすると、プランジャ7によって注射液MLが押圧され、注射液MLは、射出口8bから注射対象領域に向けて射出される。その結果、注射器1は、図2(c)によって示される状態に至る。
このように、注射器1では、対象物の注射対象領域に注射液MLが注射されるとき、該注射対象領域とノズル部8の先端面8aとが接触した状態において、射出口8bから注射液MLが射出される。ただし、注射対象領域とノズル部8との間の接触状態は、ユーザの手技差等に起因して変化する可能性がある。仮に、注射対象領域とノズル部8との間で、図2に示したような適切な接触状態が形成されないと、注射液MLを的確に注射対象領域の目的部位に届けることができなくなる虞がある。したがって、ユーザの手技差等によらず、再現性良く図2に示したような注射対象領域とノズル部8との適切な接触状態を形成することができる無針注射器が望まれていた。
そこで、本発明に係る注射器1では、ノズル部8の先端面8aの想定位置が、上述した所定領域の幅に基づいて定められる。これについて、図3Aから図3C及び図4に基づいて説明する。
図3Aから図3Cは、リム9の内径と、注射対象領域がリム9によって押圧されたときの所定領域に存在する注射対象領域の盛り上がり高さ(以下、単に「盛り上がり高さ」と称する。)と、の関係を説明するための図である。図3Aは、リム9の内径がd1のときの盛り上がり高さを、図3Bは、リム9の内径がd1よりも小さいd2のときの盛り上がり高さを、図3Cは、リム9の内径がd1よりも大きいd3のときの盛り上がり高さを図示する。なお、盛り上がり高さを説明するため、図3Aから図3Cにおいては、リム9の内側にノズル部8が配置されない場合を仮定している。
図3Aに示されるように、リム9の内径がd1のときには盛り上がり高さがh1となる。ここで、盛り上がり高さは、リム9の先端面9aからの、所定領域に存在する注射対象領域の盛り上がり高さの最大値として定義される。また、押圧力が同一である場合、注射対象領域表面に対するリム9の先端面9aの食い込み深さはh0で同一となる。そして、図3Bに示されるように、リム9の内径がd1よりも小さいd2のときには、盛り上がり高さがh1よりも小さいh2となる。また、図3Cに示されるように、リム9の内径がd1よりも大きいd3のときには、盛り上がり高さがh1よりも大きいh3となる。
このようなリム9の内径dと注射対象領域の盛り上がり高さhとの関係は、図4に示す相関グラフによって表される。図4に示すように、リム9の内径dが、所定の下限値dmin以上で所定の上限値dmax以下の場合、盛り上がり高さhは、リム9の内径dの関数として下記式1によって表される。
h=d×1/A ・・・式1
なお、上記式1におけるAは1よりも大きい定数であって、リム9による押圧力や注射対象領域の弾性、表面硬さ等に応じて定められる。また、所定の下限値dminは例えば8mmであって、所定の上限値dmaxは例えば15mmである。ただし、リム9の内径dが極端に小さい場合は実質的に盛り上がり高さhが0に近い値になると考えられ、リム9の内径dは、ノズル部8の外径よりも大きな値に設定される。一方、リム9の内径dが
大きくなると、図4に記載した線形関係が崩れてくる部分が出てくると考えられるので、そのような場合は除いて考える。
ここで、本発明の発明者は、注射器1のリム9内の空間10において上記の図3Aから図3Cのように盛り上がった注射対象領域を、ノズル部8の先端面8aに自然に接触させることによって、注射液MLを的確に注射対象領域の目的部位に届けることができると考えた。そうすると、上記式1に示した相関に鑑みると、ノズル部8の先端面8aの想定位置を表す上記の距離Lは、所定領域の幅、すなわちリム9の内径d1に基づいて下記式2によって表される。
L=d1×1/A ・・・式2
また、上述した盛り上がり高さは、押圧条件が変化することによっても変化し得る。そこで、本実施形態では、盛り上がり高さのばらつきを考慮して、距離Lを下記式3によって表される範囲に含めることができる。
d1×1/A−b≦L≦d1×1/A+b ・・・式3
ここで、bは、押圧条件の変化等によって生じ得る盛り上がり高さのばらつきを考慮するための定数であって、以下に示す図5によって説明される。また、上記式3によって表される範囲を、以下「想定範囲」と称する。
図5は、想定範囲を説明するための図である。図5に示すように、本実施形態では、ノズル部8の先端面8aが、リム9の先端面9aからの距離が上記式2によって表される位置に設けられている。ただし、ノズル部8の先端面8aの位置はこれに限定されず、ノズル部8は、先端面8aが図5に示す想定範囲に属するように形成されてもよい。ここで、想定範囲は、想定位置(図5において、リム9の先端面9aからの距離がLの位置として表される。)からハウジング2の軸方向に所定距離(図5におけるb)変位した位置を含んで定められる位置範囲である。そして、図5に示すように、想定範囲の全てが、ハウジング2の軸方向における所定端部2aとリム9の先端面9aとの間の範囲に含まれる。
そして、ノズル部8が、その先端面8aが以上に説明した想定範囲に属するように形成されると、所定領域に存在する注射対象領域の盛り上がりがノズル部8によって阻害される事態が可及的に抑制されつつ、該注射対象領域とノズル部8の先端面8aとが自然に接触せしめられる。なぜなら、空間10には、所定領域に存在する注射対象領域の自然な盛り上がりを可能にする空間が確保されているからである。
以上に鑑みると、本発明に係る注射器1によれば、対象物の注射対象領域に注射液MLを注射するときに、注射対象領域の目的部位への注射液MLの的確な送達を可能にする注射対象領域とノズル部8との間の接触状態(以下、「所望の接触状態」と称する場合もある。)を好適に形成した状態で注射を行うことが可能となる。そして、例えばリム9によって注射対象領域が押圧された状態において注射器1に傾き等が生じてしまったとしても、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態を再現性良く形成することができる。これについて、図6に基づいて説明する。
図6は、生体の皮膚がリム9によって押圧されているときの、生体の皮膚とノズル部8の先端面8aとの接触状態を表す。なお、図6によって示される例では、リム9によって皮膚が押圧された状態において、注射器1に傾きが生じているものとする。一般的に、ノズルの先端面を皮膚に接触させて注射を行う無針注射器において傾きが生じてしまうと、皮膚とノズル先端面との間に隙間が生じ易くなり、皮膚とノズル先端面との間で所望の接触状態が形成され難くなる。
これに対して、本発明に係る注射器1では、リム9によって皮膚が押圧された状態にお
いて注射器1に傾きが生じたとしても、図6に示すように、空間10においては皮膚がノズル部8の先端面8aに向かって自然に盛り上がるため、皮膚と先端面8aとの間に隙間を生じさせることなく、皮膚と先端面8aとが接触せしめられる。つまり、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態が形成される。そして、このとき、空間10における注射対象領域の変形態様は、リム9及びノズル部8の幾何学形状による影響が支配的となるため、ユーザの手技差等によらず、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態を再現性良く形成することができる。
以上に述べた注射器1によれば、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態を好適に形成することができる。その結果、注射対象領域の目的部位への注射液MLの投与を、的確に且つ安定して再現良く行うことが可能となる。
<実施形態の変形例1>
次に、上述した実施形態の変形例1について、図7及び図8に基づいて説明する。なお、本変形例において、上述した実施形態と実質的に同一の構成については、その詳細な説明を省略する。図7(a)は本変形例に係る注射器1の断面図であり、図7(b),(c)は本変形例に係る注射器1を、先端側から見た図である。
図7(a)に示すように、本変形例に係る注射器1では、リム9がテーパ部9bを有する。詳しくは、円筒状のリム9の内周面にテーパ部9bが形成され、該テーパ部9bによって、リム9の内周面と外周面との間隔が、軸方向に沿って先端面9aに向かうに従って徐々に小さくされる。なお、円筒状のリム9の外周面に、リム9の内周面と外周面との間隔が、軸方向に沿って先端面9aに向かうに従って徐々に小さくなるようにテーパ部が形成されてもよい。
また、本変形例では、図7(b)に示すように、リム9の先端面9aにおける内径がd2として表される。このとき、ハウジング2の軸方向におけるノズル部8の先端面8aとリム9の先端面9aとの距離L´は、所定領域の幅、すなわちリム9の先端面9aにおける内径d2に基づいて下記式4によって表される。
L´=d2×1/A ・・・式4
そして、このような注射器1によっても、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態を好適に形成及び維持することができる。これについて、図8に基づいて説明する。
図8によって示される例には、図6と同様に、生体の皮膚がリム9によって押圧されているときの、生体の皮膚とノズル部8の先端面8aとの接触状態が表されている。本変形例に係る注射器1によれば、図8に示すように、リム9が皮膚に対して比較的深く食い込むことになる。これは、押圧力が同じ場合、リム9の先端部が細くなるほど(リム9の先端面9aの面積が小さくなるほど)、リム9の先端面9aによって皮膚表面に付加される荷重が集中するからである。そして、このように皮膚が押圧されることによっても、空間10において、上述した実施形態と同様に皮膚がノズル部8の先端面8aに向かって自然に盛り上がり、皮膚とノズル部8との間で所望の接触状態が形成される。
そして、このような注射器1によれば、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態を安定して形成及び維持することができる。なぜなら、リム9が注射対象領域に対して比較的深く食い込むことで、リム9による注射対象領域に対する押圧状態が安定して維持され易くなるからである。これによれば、例えば注射の操作が行われる過程で注射器1の傾き等が生じてしまったとしても、空間10において上述したように盛り上がった注射対象領域を、その変形態様で良好に固定することができる。
つまり、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態が好適に形成及び維持され、以て、注射対象領域の目的部位への注射液MLの投与を、的確に且つ安定して再現良く行うことが可能となる。
<実施形態の変形例2>
次に、上述した実施形態の変形例2について、図9及び図10に基づいて説明する。なお、本変形例において、上述した実施形態と実質的に同一の構成については、その詳細な説明を省略する。図9(a)は本変形例に係る注射器1の断面図であり、図9(b),(c)は本変形例に係る注射器1を、先端側から見た図である。
本変形例に係る注射器1は、ノズル部8は、その径が軸方向に沿って先端面8aに向かうに従って徐々に小さくなるように形成される。このような注射器1によっても、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態を好適に形成及び維持することができる。これについて、図10に基づいて説明する。
図10によって示される例には、図6と同様に、生体の皮膚がリム9によって押圧されているときの、生体の皮膚とノズル部8の先端面8aとの接触状態が表されている。本変形例に係る注射器1によれば、ノズル部8が、その先端面8aの周縁を取り囲む注射対象領域によって固定され易くなり、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態が維持され易くなる。
つまり、注射対象領域とノズル部8との間で所望の接触状態が好適に形成及び維持され、以て、注射対象領域の目的部位への注射液MLの投与を、的確に且つ安定して再現良く行うことが可能となる。
ここで、本発明に係る注射器1を用いたときのブタ生体への投与実験について、以下にその実験条件と実験結果を示す。なお、本実施例では、注射器1の収容室50に墨汁100μLが充填され、注射器1のリム9によってブタの腹部が押圧された状態で、注射器1が作動された。このとき、ノズル部8の先端面8aがブタの皮膚表面に接していることが目視確認された。そして、注射器1の作動により墨汁の全量がノズル部8の射出口8bから吐出された後、注射器1を皮膚表面から離して患部表面を観察した。また、患部の皮膚を切り出して患部断面を観察した。
<実験条件>
(押圧力について)
ブタの腹部の皮膚に対するリム9による押圧力が4〜6Nとなるようにした。
(距離Lについて)
ノズル部8の先端面8aの想定位置を表す距離Lは、上記式2におけるAの範囲を16〜30とした場合に算出される値とした。ここで、本実施例におけるAの値の範囲と、そのときのリム9の内径d1と距離Lとの関係を図11に示す。そうすると、図11において斜線部で表される範囲が、本実施例における距離Lの値の範囲となる。そして、本実施例では、距離Lを0.5mmとし、且つAの値を16、22、30とした場合の患部表面及び患部断面を観察した。なお、A=16且つL=0.5mmの場合、リム9の内径d1は8mmである。また、A=22且つL=0.5mmの場合はd1=11mm、A=30且つL=0.5mmの場合はd1=15mmである。
<実験結果>
以下の表1に実験結果を示す。なお、実験結果における「液漏れ」は、注射器1から吐出された墨汁がブタの皮膚内に投与されずに皮膚外に漏れ出す事象の有無を表しており、
患部表面の観察によって液漏れの有無が判断される。また、「投与深さ」は、注射器1から吐出された墨汁のブタ生体内における到達部位を表しており、患部断面の観察によって投与深さが判断される。
Figure 2020014530
(A=16の場合)
患部表面の観察によって、液漏れが無いことが確認された。つまり、注射器1から吐出された墨汁は、全量がブタの皮膚内部に注入された。また、患部断面の観察によって、ブタ生体内において墨汁が皮内から皮下にかけて分布していることが確認された。
(A=22の場合)
A=16の場合と同様に、液漏れが無く、墨汁が皮内から皮下にかけて分布していることが確認された。
(A=30の場合)
A=16の場合と同様に、液漏れが無く、墨汁が皮内から皮下にかけて分布していることが確認された。
以上の結果より、ノズル部8の先端面8aはブタの皮膚表面と適切な接触状態になっていることが認められる。
<その他の実施形態>
本発明に係る注射器1によれば、例えば、ヒトに対する再生医療の分野において、特開2008−206477号公報に示すように、移植される部位及び再細胞化の目的に応じて当業者が適宜決定し得る細胞、例えば、内皮細胞、内皮前駆細胞、骨髄細胞、前骨芽細胞、軟骨細胞、繊維芽細胞、皮膚細胞、筋肉細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、腸管細胞、幹細胞、その他再生医療の分野で考慮されるあらゆる細胞を、注射器1により注射することが可能である。より具体的には、上記細胞を含む液(細胞懸濁液)を、収容室50に収容し、それに対して加圧することで、移植される部位に所定の細胞を注射、移植する。
さらには、特表2007−525192号公報に記載されているようなDNA等の送達にも、本発明に係る注射器1を使用することができる。この場合、針を用いて送達する場合と比較して、本発明に係る注射器1を使用した方が、細胞や足場組織・スキャフォールド等への影響を抑制できるためより好ましいと言える。
さらには、各種遺伝子、癌抑制細胞、脂質エンベロープ等を送達したり、病原体に対する免疫を高めるために抗原遺伝子を投与したりする場合にも、本発明に係る注射器1は好適に使用される。その他、各種疾病治療の分野(特表2008−508881号公報、特表2010−503616号公報等に記載の分野)、免疫医療分野(特表2005−523679号公報等に記載の分野)等にも、当該注射器1は使用することができ、その使用可能な分野は意図的には限定されない。
1・・・・注射器
2・・・・ハウジング
3・・・・先端側ハウジング
4・・・・基端側ハウジング
5・・・・シリンジ部
6・・・・ピストン
7・・・・プランジャ
8・・・・ノズル部
8a・・・先端面
8b・・・射出口
9・・・・リム
9a・・・先端面
10・・・・空間
20・・・・イニシエータ
50・・・・収容室

Claims (4)

  1. 注射針を介することなく、注射対象領域を押圧した状態で注射目的物質を射出することによって、該注射目的物質を該注射対象領域に注射する無針注射器であって、
    前記無針注射器のハウジングに設けられた、前記注射目的物質を収容する収容部と、
    前記ハウジングに設けられ、前記収容部に収容された前記注射目的物質を射出するための射出エネルギーを発生させる駆動部と、
    前記ハウジングの前記収容部の側の所定の端部である所定端部から突出して設けられたノズル部であって、前記駆動部により発生された射出エネルギーが付与された前記注射目的物質を前記注射対象領域に向かって射出する射出口が形成されたノズル部と、
    前記ノズル部を囲むように前記所定端部から突出して設けられた押圧部であって、その先端面が前記注射対象領域と接触したときに、該注射対象領域において該先端面によって囲まれた所定領域を形成するように構成された押圧部と、
    を備え、
    前記ノズル部は、その先端面が、前記ハウジングの軸方向において該先端面が位置することが想定される想定位置を含んだ位置範囲である想定範囲に属するように形成され、
    前記想定位置は、前記所定領域の幅に基づいて定められ、
    前記想定範囲は、前記想定位置から前記ハウジングの軸方向に所定距離変位した位置を含んで定められる位置範囲であって、且つ、その範囲の全てが、前記ハウジングの軸方向における前記所定端部と前記押圧部の先端面との間の範囲に含まれ、
    前記注射対象領域が前記押圧部によって押圧されると、前記ハウジングの軸方向における前記所定端部と前記押圧部の先端面との間の範囲に属し、且つ前記押圧部によって囲まれた空間が、前記所定領域に存在する前記注射対象領域を収容し、更に前記ノズル部の先端面に前記注射対象領域が当接するように構成される、
    無針注射器。
  2. 前記押圧部は、円筒状に形成され、
    前記想定位置は、前記ハウジングの軸方向における、前記ノズル部の先端面と前記押圧部の先端面との間の距離が、前記押圧部の内径の1/30以上で且つ1/16以下となる位置として定義される、
    請求項1に記載の無針注射器。
  3. 前記押圧部は、円筒状に形成され、且つ、その内周面と外周面との間隔が、軸方向に沿って先端面に向かうに従って徐々に小さくなるテーパ形状を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の無針注射器。
  4. 前記ノズル部は、その径が、先端面に向かうに従って徐々に小さくなるように形成される、
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の無針注射器。
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