JP2020013745A - 蓄電装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】傾斜部の処理を不要にするとともに、溶接時のタブの破れを抑制できる蓄電装置の製造方法を提供する。【解決手段】全てのタブ26が重なる積層部15aと、タブ26の先端が段状に並ぶ傾斜部15bとを有し、端子構造16の一部である導電部材16aに重ねられているタブ群15を備える二次電池の製造方法は、積層部15aに向けてタブ群15側からレーザを照射し、複数枚のタブ26を溶接した第1溶接部31を形成する第1溶接工程と、傾斜部15bに向けてレーザを照射し、タブ群15の一部と導電部材16aとを溶接した第2溶接部32を形成する第2溶接工程とを含む。第1溶接工程では、タブ26の積層方向において、第1溶接部31における導電部材16a側の第1端部31aが、導電部材16aまで到達せず、かつ第2溶接部32における導電部材16aとは反対側の第2端部32bと導電部材16aとの間に位置するようにレーザを照射する。【選択図】図4
Description
本発明は、全てのタブが重なる積層部及びタブの先端が段状に並ぶ傾斜部を有するタブ群を備える蓄電装置の製造方法に関する。
従来から、EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、電動機などへの供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などが搭載されている。特許文献1に開示の二次電池は、複数枚の電極が積層され、かつ電極から突出したタブが電極の積層方向の一端側に集箔されて積層されたタブ群を有する電極組立体と、電極組立体を収容するケースと、電極組立体と外部装置とを電気的に接続する端子構造とを備える。このような二次電池のタブ群では、各タブの先端の位置は、積層方向における電極の位置によって異なっている。積層方向の一端に位置する電極のタブの先端は、積層方向の他端に位置する電極のタブの先端よりも突出している。タブ群は、全てのタブが重なる重なり部と、各タブの先端が段状に並ぶ傾斜部とを有する。また、特許文献1に開示の二次電池は、タブ群を構成する全てのタブと端子構造とが重ねられた状態で溶接された溶接部を備える。タブ群を構成する複数枚のタブのうち、積層方向の一端に位置するタブは端子構造と対向する。タブ群と端子構造とは、溶接部によって電気的に接続されている。溶接部は、例えば、レーザ溶接によって形成される。
このような二次電池では、全てのタブと端子構造とを溶接するため、タブ群の積層部は端子構造と重ねられて配置されるが、タブ群の傾斜部は端子構造からはみ出して配置されることがある。この場合、電極組立体をケースに収容した際に傾斜部とケースとが接触しないように、例えば、傾斜部を折り曲げる等の傾斜部の処理が必要である。また、タブ群を構成するタブの枚数が多くなるほど、全てのタブと端子構造とを一度に溶接するための溶け込み深さは深くなるため、溶接に要するレーザのエネルギーも大きくなる。この場合、タブ群のうちレーザの照射側に近いタブに破れが生じることがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、傾斜部の処理を不要にするとともに、溶接時のタブの破れを抑制できる蓄電装置の製造方法を提供することにある。
上記問題点を解決するための蓄電装置の製造方法は、複数枚の電極が積層され、かつ前記電極から突出したタブが前記電極の積層方向の一端側に集箔されて積層されたタブ群を有する電極組立体と、前記電極組立体と外部装置とを電気的に接続する端子構造と、を備え、前記タブ群は、全ての前記タブが重なる積層部と、前記タブの先端が段状に並ぶ傾斜部とを有するとともに、前記端子構造に重ねられている蓄電装置の製造方法であって、前記積層部に向けて前記タブ群側からレーザを照射し、複数枚の前記タブを溶接した第1溶接部を形成する第1溶接工程と、前記傾斜部に向けてレーザを照射し、前記タブ群の一部と前記端子構造とを溶接した第2溶接部を形成する第2溶接工程と、を含み、前記第1溶接工程では、前記タブの積層方向において、前記第1溶接部における前記端子構造側の端部が、前記端子構造まで到達せず、かつ前記第2溶接部における前記端子構造とは反対側の端部と前記端子構造との間に位置するようにレーザを照射することを要旨とする。
これによれば、タブ群の傾斜部は、タブ群と端子構造との電気的な接続に用いられるため、傾斜部と端子構造とは重ねられた状態で溶接される。このため、傾斜部は、端子構造からほとんどはみ出さなくなり、電極組立体をケースに収容した際に、傾斜部はケースに接触し難くなる。よって、傾斜部の処理が不要になる。また、第1溶接部及び第2溶接部の2箇所の溶接部によって、タブ群と端子構造とを電気的に接続する。このため、第1溶接部の溶け込み深さ、及び第2溶接部の溶け込み深さそれぞれを、全てのタブと端子構造とを一度に溶接する場合の溶接部の溶け込み深さよりも浅くできる。よって、溶接に要するレーザのエネルギーを小さくでき、溶接時にレーザの照射側に近いタブが破れることを抑制できる。
また、上記蓄電装置の製造方法について、前記タブの積層方向から見て、前記第1溶接部の表面積が前記第2溶接部の表面積よりも大きくなるようにレーザを照射するのが好ましい。
これによれば、タブの積層方向において端子構造とは反対側に位置するタブが溶接される第1溶接部の表面積を、端子構造側に位置するタブが溶接される第2溶接部の表面積よりも大きくする。このため、第1溶接部における通電経路の断面積は、第2溶接部における通電経路の断面積よりも大きくなる。一方で、タブの積層方向において端子構造とは反対側に位置するタブから端子構造までの通電経路は、端子構造側に位置するタブから端子構造までの通電経路よりも長い。よって、タブの積層方向において端子構造とは反対側に位置するタブから端子構造までの電気抵抗と、タブの積層方向において端子構造側に位置するタブから端子構造までの電気抵抗との差を小さくできる。
本発明によれば、傾斜部の処理を不要にするとともに、溶接時のタブの破れを抑制できる。
以下、蓄電装置の製造方法を二次電池の製造方法に具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、本実施形態の二次電池の製造方法によって製造された二次電池10は、ケース11と、ケース11に収容された電極組立体12とを備える。ケース11は、直方体状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13aを閉塞する矩形平板状の蓋14とを有する。ケース11を構成するケース本体13と蓋14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、本実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
図1に示すように、本実施形態の二次電池の製造方法によって製造された二次電池10は、ケース11と、ケース11に収容された電極組立体12とを備える。ケース11は、直方体状のケース本体13と、ケース本体13の開口部13aを閉塞する矩形平板状の蓋14とを有する。ケース11を構成するケース本体13と蓋14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、本実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
図2に示すように、電極組立体12は、複数枚(本実施形態では50枚)の電極としての正極電極21と、複数枚(本実施形態では51枚)の電極としての負極電極22と、複数枚(本実施形態では100枚)のセパレータ23とを備える。なお、図2では、正極電極21、負極電極22、及びセパレータ23の枚数を減らして電極組立体12を図示している。電極組立体12は、正極電極21と負極電極22との間にセパレータ23を介在させ、かつ相互に絶縁させた状態で積層した層状構造を有する。正極電極21と負極電極22が積層された方向を「電極の積層方向」とする。
正極電極21は、矩形シート状の正極金属箔(例えばアルミニウム箔)24と、正極金属箔24の両面に存在する正極活物質層25とを有する。正極金属箔24は、一対の長辺に沿う縁部のうちの一方の縁部にタブ側縁部24aを有する。正極電極21は、タブ側縁部24aの一部から突出した矩形状の正極のタブ26を有する。正極のタブ26は、正極活物質層25が存在せず、正極金属箔24そのもので構成されている。タブ側縁部24aからのタブ26の突出量は、全ての正極電極21でほぼ同じである。タブ26の長手方向は、タブ側縁部24aからタブ26が突出する方向と一致し、タブ26の短手方向は、タブ側縁部24aに沿う方向と一致する。
負極電極22は、矩形シート状の負極金属箔(例えば銅箔)27と、負極金属箔27の両面に存在する負極活物質層28とを有する。負極金属箔27は、一対の長辺に沿う縁部のうちの一方の縁部にタブ側縁部27aを有する。負極電極22は、タブ側縁部27aの一部から突出した矩形状の負極のタブ26を有する。負極のタブ26は、負極活物質層28が存在せず、負極金属箔27そのもので構成されている。タブ側縁部27aからのタブ26の突出量は、全ての負極電極22でほぼ同じである。タブ26の長手方向は、タブ側縁部27aからタブ26が突出する方向と一致し、タブ26の短手方向は、タブ側縁部27aに沿う方向と一致する。
セパレータ23は、矩形シート状の絶縁性材料からなる。
電極組立体12は、各正極電極21のタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され積層された正極のタブ群15と、各負極電極22のタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され積層された負極のタブ群15とを備える。正極及び負極のタブ群15は、タブ側縁部24a,27aに沿う方向において間隔を置いて並べて配置されている。電極組立体12は、各タブ群15が折り曲げられた状態でケース11に収容される。
電極組立体12は、各正極電極21のタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され積層された正極のタブ群15と、各負極電極22のタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され積層された負極のタブ群15とを備える。正極及び負極のタブ群15は、タブ側縁部24a,27aに沿う方向において間隔を置いて並べて配置されている。電極組立体12は、各タブ群15が折り曲げられた状態でケース11に収容される。
正極のタブ群15は、全て(50枚)のタブ26が重なる積層部15aと、各タブ26の先端がタブ26の長手方向において段状に並ぶ傾斜部15bとを有する。同様に、負極のタブ群15は、全て(51枚)のタブ26が重なる積層部15aと、各タブ26の先端がタブ26の長手方向において段状に並ぶ傾斜部15bとを有する。タブ群15においてタブ26が積層される方向を「タブの積層方向」とする。上述したように、本実施形態のタブ群15は、タブ26が電極の積層方向の一端側に集箔されることで形成される。このため、電極の積層方向の一端に位置する正極電極21のタブ26の先端は、電極の積層方向の他端に位置する正極電極21のタブ26の先端よりも突出している。同様に、電極の積層方向の一端に位置する負極電極22のタブ26の先端は、電極の積層方向の他端に位置する負極電極22のタブ26の先端よりも突出している。
図1に示すように、二次電池10は、電極組立体12から電気を取り出すための各極性の端子構造16を備える。正極の端子構造16は、正極のタブ群15に接合された矩形板状の導電部材16aと、導電部材16aから突出する棒状の電極端子16bとを有する。負極の端子構造16は、負極のタブ群15に接合された矩形板状の導電部材16aと、導電部材16aから突出する棒状の電極端子16bとを有する。各電極端子16bは、蓋14の貫通孔14aを貫通してケース11外に突出する。各電極端子16bには、電極端子16bと蓋14とを絶縁するための絶縁リング17が取り付けられている。各電極端子16bの先端部には、二次電池10同士を電気的に接続する図示しない外部装置としてのバスバーが固定可能である。各端子構造16は、電極組立体12とバスバーとを電気的に接続する。図2に示すように、タブ群15は、端子構造16の導電部材16aに重ねられている。タブ群15を構成する複数枚のタブ26のうち、積層方向の一端に位置するタブ26は、導電部材16aにおける電極端子16bが突出する面とは反対側の面と対向する。タブの積層方向において、導電部材16a側を一端側とし、導電部材16aとは反対側を他端側とする。
図2〜図4に示すように、二次電池10は、複数枚のタブ26が溶接された第1溶接部31と、タブ群15の導電部材16aとが溶接された第2溶接部32とを備える。なお、図3及び図4では、折り曲げられる前のタブ群15を図示しているとともに、タブ26の枚数を減らしてタブ群15を図示している。本実施形態の二次電池10は、第1溶接部31及び第2溶接部32を2つずつ備える。図3に示すように、2つの第1溶接部31は、タブ26の短手方向に並び、2つの第2溶接部32は、タブ26の短手方向に並ぶ。また、第1溶接部31及び第2溶接部32はそれぞれ、長手がタブ26の短手方向に延びる帯状である。
図4に示すように、第1溶接部31では、タブ群15の積層部15aを構成するとともに、タブの積層方向の他端側に位置する複数枚(本実施形態では30枚)のタブ26同士が接合される。第2溶接部32では、タブ群15の傾斜部15bを構成するとともに、タブの積層方向の一端側に位置する複数枚(本実施形態では30枚)のタブ26と、導電部材16aとが接合される。よって、タブの積層方向の中央付近に位置する複数枚(本実施形態では約10枚)のタブ26には、第1溶接部31及び第2溶接部32の両方が形成される。タブの積層方向の他端側に位置するタブ26は、第1溶接部31、タブの積層方向の中央付近に位置する複数枚のタブ26、及び第2溶接部32を介して導電部材16aと電気的に接続されている。
第1溶接部31は、タブの積層方向において一端側に位置する端部としての第1端部31aと、他端側に位置する第2端部31bとを有する。同様に、第2溶接部32は、タブの積層方向において一端側に位置する第1端部32aと、他端側に位置する端部としての第2端部32bとを有する。第1溶接部31の第1端部31aは、タブの積層方向において中央よりも一端側に位置する。第1溶接部31の第2端部31bは、積層部15aを構成するとともに、タブの積層方向の他端に位置するタブ26の表面上に位置する。第2溶接部32の第1端部32aは、導電部材16aの板厚方向の途中に位置する。第2溶接部32の第2端部32bは、傾斜部15bを構成するとともに、タブの積層方向の中央付近に位置するタブ26の表面上に位置する。タブの積層方向において、第1溶接部31の第1端部31aは、導電部材16aまで到達せず、かつ第2溶接部32の第2端部32bと導電部材16aとの間に位置する。タブ26に沿う方向における第1溶接部31及び第2溶接部32の断面積は、第2端部31b,32bから第1端部31a,32aに向かうにつれて小さくなる。タブの積層方向における第1溶接部31の溶け込み深さをD31とし、第2溶接部32の溶け込み深さをD32とする。また、図3に示すように、タブの積層方向から見た第1溶接部31の表面積は、第2溶接部32の表面積よりも大きい。
次に、二次電池の製造方法について説明する。
二次電池10の製造方法は、電極組立体12のタブ26を集箔してタブ群15を形成する集箔工程と、タブ群15と導電部材16aとを電気的に接続する接続工程と、電極組立体12をケース11に収容する収容工程とを含む。
二次電池10の製造方法は、電極組立体12のタブ26を集箔してタブ群15を形成する集箔工程と、タブ群15と導電部材16aとを電気的に接続する接続工程と、電極組立体12をケース11に収容する収容工程とを含む。
集箔工程では、まず、図示しない作業台に載置された導電部材16a上に、電極組立体12の全てのタブ26を配置する。次に、図示しない押圧治具によって、タブ26を挟んで導電部材16aの反対側から全てのタブ26を押圧する。これにより、全てのタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され、タブ群15が形成される。タブ群15を構成する複数枚のタブ26のうち、タブの積層方向の一端に位置するタブ26は、導電部材16aと対向する。
次に、接続工程では、複数枚のタブ26を溶接して第1溶接部31を形成する第1溶接工程と、タブ群15と導電部材16aとを溶接して第2溶接部32を形成する第2溶接工程とを行う。本実施形態では、第1溶接工程後に第2溶接工程が行われる。第1溶接工程及び第2溶接工程は、タブ群15の上方に配置されたレーザ照射装置40によって行われる。レーザ照射装置40は、タブ群15側からタブ群15に向けて連続波のレーザを照射する。また、レーザ照射装置40は、タブ26の短手方向の一端から他端に向けて移動しつつタブ26の長手方向に往復移動する。
第1溶接工程では、まず、積層部15aの上方に配置された図示しない金属製の押圧治具によって、積層部15aを導電部材16aに向けて押圧する。なお、積層部15aにおいて押圧される部分は、後に第1溶接部31となる部分を囲む部分であり、第1溶接部31となる部分は押圧されない。これにより、積層部15aにおいて隣り合うタブ26同士は密接する。
次に、レーザ照射装置40は、タブ群15の積層部15aに向けて、タブの積層方向の他端側からレーザを照射する。積層部15aにおいてレーザが照射された部分とその周辺では、タブ26の溶融が急激に進むとともに、金属蒸気の反跳力により溶融した金属が押し広げられることでキーホールが形成される。レーザが形成されたキーホール内に侵入するとともにキーホール内で多重反射することで、キーホールの深さは更に深くなる。これにより、タブの積層方向の他端側に位置する複数枚のタブ26が溶融した溶融部が形成される。レーザの通過後、溶融部が凝固することで、積層方向の他端側に位置する複数枚のタブ26が溶接された第1溶接部31が形成される。第1溶接部31の第2端部31bは、積層部15aにおいてタブの積層方向の他端に位置するタブ26の表面上に位置する。なお、レーザの照射により形成されたキーホールは、溶融部が凝固する前に、溶融した金属の表面張力によって埋められる。
第1溶接工程では、レーザの照射条件は、レーザがタブの積層方向の一端に位置するタブ26まで到達しないような条件に設定される。レーザの照射条件とは、レーザの出力、スポット径、導電部材16aの厚さ方向における焦点の位置、レーザ照射装置40の移動速度などを指す。これにより、第1溶接部31の第1端部31aは、導電部材16aまで到達せず、かつタブの積層方向において中央よりも一端側に位置する。
第2溶接工程では、まず、傾斜部15bの上方に配置された図示しない金属製の押圧治具によって、傾斜部15bを導電部材16aに向けて押圧する。なお、傾斜部15bにおいて押圧される部分は、後に第2溶接部32となる部分を囲む部分であり、第2溶接部32となる部分は押圧されない。これにより、傾斜部15bにおいて隣り合うタブ26同士、及びタブの積層方向の一端に位置するタブ26と導電部材16aとは密接する。
次に、レーザ照射装置40は、タブ群15の傾斜部15bに向けてタブ群15側からレーザを照射する。傾斜部15bにおいてレーザが照射された部分とその周辺では、タブ26の溶融が急激に進むとともに、金属蒸気の反跳力により溶融した金属が押し広げられることでキーホールが形成される。レーザが形成されたキーホール内に侵入するとともにキーホール内で多重反射することで、キーホールの深さは更に深くなる。そして、キーホールの最深部が導電部材16aまで到達すると、傾斜部15b及び導電部材16aが溶融した溶融部が形成される。レーザの通過後、溶融部が凝固することで、タブ群15と導電部材16aとが溶接された第2溶接部32が形成される。第2溶接部32の第2端部32bは、傾斜部15bにおいてタブの積層方向の中央付近に位置するタブ26の表面上に位置する。なお、レーザの照射により形成されたキーホールは、溶融部が凝固する前に、溶融した金属の表面張力によって埋められる。
第2溶接工程では、レーザの照射条件は、レーザが導電部材16aを貫通しないような条件に設定される。レーザの照射条件とは、レーザの出力、スポット径、導電部材16aの厚さ方向における焦点の位置、レーザ照射装置40の移動速度などを指す。これにより、第2溶接部32の第1端部32aは、導電部材16aの板厚方向の途中に位置する。
収容工程では、第1溶接部31の第2端部31b及び第2溶接部32の第2端部32bが電極組立体12のタブ側端面12aと対向するようにタブ群15を折り曲げるとともに、電極組立体12をケース本体13に挿入する。次に、各端子構造16の電極端子16bを蓋14の貫通孔14aに挿通し、ケース本体13の開口部13aを蓋14によって閉塞する。そして、ケース本体13と蓋14とを溶接する。これにより、二次電池10が完成する。
本実施形態の作用について比較例とともに説明する。
図5に示すように、比較例の二次電池は、タブ群15の積層部15aと導電部材16aとが溶接された溶接部50を備える。タブ群15を構成する全てのタブ26は、溶接部50を介して導電部材16aと電気的に接続されている。ここで、タブの積層方向における溶接部50の溶け込み深さをD50とする。タブ群15は、傾斜部15bが導電部材16aからはみ出した状態で配置されている。
図5に示すように、比較例の二次電池は、タブ群15の積層部15aと導電部材16aとが溶接された溶接部50を備える。タブ群15を構成する全てのタブ26は、溶接部50を介して導電部材16aと電気的に接続されている。ここで、タブの積層方向における溶接部50の溶け込み深さをD50とする。タブ群15は、傾斜部15bが導電部材16aからはみ出した状態で配置されている。
これに対し、本実施形態の二次電池10は、タブ群15の積層部15aにおいて複数枚のタブ26が溶接された第1溶接部31と、タブ群15の傾斜部15bと導電部材16aとが溶接された第2溶接部32とを備える。このため、タブの積層方向における第1溶接部31の溶け込み深さD31、及び第2溶接部32の溶け込み深さD32それぞれは、比較例の溶接部50の溶け込み深さD50よりも浅い。また、タブ群15の傾斜部15bも導電部材16aに重ねられて溶接されるため、傾斜部15bは、導電部材16aからはみ出していない。
本実施形態の効果について説明する。
(1)タブ群15の積層部15aだけでなく傾斜部15bも、タブ群15と導電部材16aとの電気的な接続に用いられるため、傾斜部15bと導電部材16aとは重ねられた状態で溶接される。このため、傾斜部15bは、導電部材16aからほとんどはみ出さなくなり、電極組立体12をケース11に収容した際に、傾斜部15bはケース本体13に接触し難くなる。よって、傾斜部15bの処理が不要になる。また、第1溶接部31及び第2溶接部32の2箇所の溶接部によって、タブ群15と導電部材16aとを電気的に接続する。このため、第1溶接部31の溶け込み深さD31、及び第2溶接部32の溶け込み深さD32それぞれを、全てのタブ26と導電部材16aとを一度に溶接する場合の溶接部50の溶け込み深さD50よりも浅くできる。よって、溶接に要するレーザのエネルギーを小さくでき、溶接時にレーザの照射側に近いタブ26が破れることを抑制できる。
(1)タブ群15の積層部15aだけでなく傾斜部15bも、タブ群15と導電部材16aとの電気的な接続に用いられるため、傾斜部15bと導電部材16aとは重ねられた状態で溶接される。このため、傾斜部15bは、導電部材16aからほとんどはみ出さなくなり、電極組立体12をケース11に収容した際に、傾斜部15bはケース本体13に接触し難くなる。よって、傾斜部15bの処理が不要になる。また、第1溶接部31及び第2溶接部32の2箇所の溶接部によって、タブ群15と導電部材16aとを電気的に接続する。このため、第1溶接部31の溶け込み深さD31、及び第2溶接部32の溶け込み深さD32それぞれを、全てのタブ26と導電部材16aとを一度に溶接する場合の溶接部50の溶け込み深さD50よりも浅くできる。よって、溶接に要するレーザのエネルギーを小さくでき、溶接時にレーザの照射側に近いタブ26が破れることを抑制できる。
(2)第1溶接部31では、タブの積層方向の他端側に位置する複数枚のタブ26が溶接され、第2溶接部32では、タブの積層方向の一端側に位置する複数枚のタブ26と導電部材16aとが溶接される。タブの積層方向から見た第1溶接部31の表面積は、第2溶接部32の表面積よりも大きい。このため、第1溶接部31における通電経路の断面積は、第2溶接部32における通電経路の断面積よりも大きくなる。一方で、タブの積層方向の他端側に位置するタブ26から導電部材16aまでの通電経路は、タブの積層方向の一端側に位置するタブ26から導電部材16aまでの通電経路よりも長い。よって、タブの積層方向の他端側に位置するタブ26から導電部材16aまでの電気抵抗と、タブの積層方向の一端側に位置するタブ26から導電部材16aまでの電気抵抗との差を小さくできる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ 正極電極21において、正極活物質層25は正極金属箔24の片面に存在してもよい。同様に、負極電極22において、負極活物質層28は負極金属箔27の片面に存在してもよい。
○ 正極電極21において、正極活物質層25は正極金属箔24の片面に存在してもよい。同様に、負極電極22において、負極活物質層28は負極金属箔27の片面に存在してもよい。
○ タブ26の短手方向において形成される第1溶接部31の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。同様に、タブ26の短手方向において形成される第2溶接部32の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
○ タブ26の長手方向において形成される第1溶接部31及び第2溶接部32の数は、2つ以上でもよい。図6に示すタブ群15及び導電部材16aでは、1つの第1溶接部31と、2つの第2溶接部32とが形成される。図7に示すタブ群15及び導電部材16aでは、2つの第1溶接部31と、3つの第2溶接部32とが形成される。なお、図7に示すように、タブ26の長手方向において複数の第1溶接部31を形成する場合、隣り合う第1溶接部31同士は部分的に重なっていてもよい。同様に、タブ26の長手方向において複数の第2溶接部32を形成する場合、隣り合う第2溶接部32同士は部分的に重なっていてもよい。
また、図6及び図7に示すように、第1溶接部31及び第2溶接部32に加えて、タブ群15の傾斜部15bに位置するものの、その最深部が導電部材16aに到達しない第3溶接部33が形成されていてもよい。また、図7に示すように、第1溶接部31及び第2溶接部32に加えて、タブ群15の積層部15a及び傾斜部15bの両方に跨る第4溶接部34が形成されていてもよい。
○ 第1溶接部31において溶接される積層部15aのタブ26の枚数は、適宜変更してよい。ただし、第1溶接部31の第1端部31aは、タブの積層方向において、導電部材16aまで到達せず、かつ第2溶接部32の第2端部32bと導電部材16aとの間に位置するものとする。第1溶接部31において溶接されるタブ26の枚数は、タブ群15を構成するタブ26の全数に対して、端子構造16とは反対側に位置する3分の2程度の枚数とするのが好ましい。
○ 第2溶接部32において導電部材16aと溶接される傾斜部15bのタブ26の枚数は、適宜変更してよい。第2溶接部32において導電部材16aと溶接されるタブ26の枚数は、タブ群15を構成するタブ26の全数に対して、端子構造16側に位置する3分の2程度の枚数とするのが好ましい。
○ 第1溶接部31の表面積は、タブ群15の積層部15aを押圧する押圧治具の形状によって適宜変更できる。
○ 第2溶接部32の表面積は、タブ群15の傾斜部15bを押圧する押圧治具の形状によって適宜変更できる。
○ 第2溶接部32の表面積は、タブ群15の傾斜部15bを押圧する押圧治具の形状によって適宜変更できる。
○ 接続工程において、第2溶接工程を行った後で第1溶接工程を行ってもよいし、第1溶接工程と第2溶接工程を同時に行ってもよい。
○ 第1溶接工程及び第2溶接工程において、レーザ照射装置40はタブ26の長手方向に往復移動しなくてもよい。この場合、第1溶接部31及び第2溶接部32は、ライン状に形成される。
○ 第1溶接工程及び第2溶接工程において、レーザ照射装置40はタブ26の長手方向に往復移動しなくてもよい。この場合、第1溶接部31及び第2溶接部32は、ライン状に形成される。
○ 第2溶接工程において、導電部材16a側からレーザを照射することで第2溶接部32を形成してもよい。タブ群15側からレーザを照射する場合、タブ26同士の間に存在する空間によってスパッタ等が発生し飛散することがある。これに対し、タブ26よりも厚板である導電部材16a側からレーザを照射することで、スパッタ等の発生を抑制できる。
○ 二次電池10は、複数の電極組立体12を備えていてもよい。各電極組立体12は、正極のタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され積層された正極のタブ群15と、負極のタブ26が電極の積層方向の一端側に集箔され積層された負極のタブ群15とを備える。よって、二次電池10は、ケース11内に、電極組立体12と同数の正極のタブ群15及び負極のタブ群15を備える。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池でもよいし、他の二次電池であってもよい。要は、正極用の活物質と負極用の活物質との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
○ 蓄電装置は、例えばキャパシタなど、二次電池以外の蓄電装置にも適用可能である。
10…蓄電装置としての二次電池、12…電極組立体、15…タブ群、15a…積層部、15b…傾斜部、16…端子構造、21…電極としての正極電極、22…電極としての負極電極、26…タブ、31…第1溶接部、31a…端部としての第1端部、32…第2溶接部、32b…端部としての第2端部。
Claims (2)
- 複数枚の電極が積層され、かつ前記電極から突出したタブが前記電極の積層方向の一端側に集箔されて積層されたタブ群を有する電極組立体と、
前記電極組立体と外部装置とを電気的に接続する端子構造と、
を備え、
前記タブ群は、全ての前記タブが重なる積層部と、前記タブの先端が段状に並ぶ傾斜部とを有するとともに、前記端子構造に重ねられている蓄電装置の製造方法であって、
前記積層部に向けて前記タブ群側からレーザを照射し、複数枚の前記タブを溶接した第1溶接部を形成する第1溶接工程と、
前記傾斜部に向けてレーザを照射し、前記タブ群の一部と前記端子構造とを溶接した第2溶接部を形成する第2溶接工程と、
を含み、
前記第1溶接工程では、前記タブの積層方向において、前記第1溶接部における前記端子構造側の端部が、前記端子構造まで到達せず、かつ前記第2溶接部における前記端子構造とは反対側の端部と前記端子構造との間に位置するようにレーザを照射することを特徴とする蓄電装置の製造方法。 - 前記タブの積層方向から見て、前記第1溶接部の表面積が前記第2溶接部の表面積よりも大きくなるようにレーザを照射する請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018136558A JP2020013745A (ja) | 2018-07-20 | 2018-07-20 | 蓄電装置の製造方法 |
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JP2020013745A true JP2020013745A (ja) | 2020-01-23 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN116454550A (zh) * | 2023-06-16 | 2023-07-18 | 深圳海辰储能控制技术有限公司 | 一种集流组件及其制备方法、电池及用电设备 |
CN114497697B (zh) * | 2022-01-20 | 2024-05-24 | 东莞新能安科技有限公司 | 一种电化学装置及电子装置 |
-
2018
- 2018-07-20 JP JP2018136558A patent/JP2020013745A/ja active Pending
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