JP2020010010A - 熱電変換材料用粉体、熱電変換材料、及び熱電変換材料の製造方法 - Google Patents

熱電変換材料用粉体、熱電変換材料、及び熱電変換材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】硫化物を用いつつ熱電変換材料の熱電特性を高めるのに有利な熱電変換材料用粉体を提供する。【解決手段】本発明の硫化物は、第一粉体と、第二粉体とを含有している。第一粉体は、200nm以下の一次粒子径の第一超微粒子を有し、銅を含む第一硫化物でできている。第二粉体は、200nm以下の一次粒子径の第二超微粒子を有し、金属元素を含む第二硫化物でできている。第一粉体及び第二粉体は、下記(i)及び(ii)の少なくとも1つの条件を満たす。(i)第一粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造を有する焼結体が得られるとともに、第二粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造とは異なる第二結晶構造を有する焼結体が得られる。(ii)第一硫化物は、第二硫化物の組成と異なる組成を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、熱電変換材料用粉体、熱電変換材料、及び熱電変換材料の製造方法に関する。
従来、ゼーベック効果により材料両端の温度差によって電圧を生じさせ熱エネルギーを電気エネルギーに変換する、又は、ペルチェ効果により電気エネルギーによって温度差を生じさせる熱電変換材料が知られている。熱電変換材料としては、熱エネルギーの高い方から低い方へ電子の移動により電流が生じるn型熱電変換材料と、正孔の移動により電流が生じるp型熱電変換材料とが存在する。代表的な熱電変換材料として、合金系の熱電変換材料、シリサイド系の熱電変換材料、テルル系の熱電変換材料、及び酸化物系の熱電変換材料が知られている。
例えば、特許文献1には、Bi/Te系熱電変換材料からなる母相中にナノサイズのフォノン散乱粒子が分散している熱電変換材料が記載されている。Bi2(Te,Se)3系材料の母相中にSnの酸化物が分散した熱電変換材料が製造されている。
非特許文献1には、Cu2+xZn1-xGeSe4の熱電特性に対してナノサイズの不純物
の偏析が及ぼす影響について報告されている。この不純物により、フォノンの散乱が強まって格子熱伝導率が低下し、材料の熱電性能が高まる。
一方、近年、熱電変換材料として硫化物が注目されている。例えば、特許文献2には、銅、スズ、及び硫黄を含んだ熱電変換材料が記載されている。この熱電変換材料は、200〜400℃において1.0W/(m・K)未満の熱伝導率を有する。特許文献2において、硫化物でできた熱電変換材料用粉体を焼結させて熱伝導率測定用のサンプルが作製されている。
非特許文献2は、熱電変換材料に関する文献ではないが、(ZnS)x(CuSnS31-x及び(CuInS2x(Cu2SnS31-xの均一な合金であるナノ結晶(nanocrystals)を合成できたことが報告されている。非特許文献2によれば、このナノ結晶のバンドギャップは広い範囲で調整可能であり、目標とするバンドギャップを有するナノ結晶の合成により、太陽電池及び光触媒の性能を決めるバンドギャップを最適化できることが記載されている。
特開2016−4816号公報 国際公開第2017/203938号
Journal of the American Chemical Society,(米), 2012, 134(16), pp 7147-7154 Chemical Communications,(英), 2011, 47, 964-966
特許文献1及び非特許文献1には、硫化物である熱電変換材料は記載されていない。特許文献2には、硫黄を含んだ熱電変換材料が記載されているが、その熱電変換材料の格子熱伝導率、キャリア熱伝導率、及び熱伝導率以外の特性については不明である。非特許文献2に記載のナノ結晶の熱電特性は評価されていない。
以上の事情に鑑み、本発明は、硫化物を用いつつ熱電変換材料の熱電特性を高めるのに有利な熱電変換材料用粉体を提供する。加えて、本発明は、この熱電変換材料用粉体から得られる熱電変換材料及びこの熱電変換材料用粉体を用いて熱電変換材料を製造する方法を提供する。
本発明は、
200nm以下の一次粒子径の第一超微粒子を有する、銅を含む第一硫化物の第一粉体と、
200nm以下の一次粒子径の第二超微粒子を有する、金属元素を含む第二硫化物の第二粉体と、を含有し、
下記(i)及び(ii)の少なくとも1つの条件を満たす、熱電変換材料用粉体を提供する。
(i)前記第一粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造を有する焼結体が得られるとともに、前記第二粉体を400℃以上の温度で焼結したときに前記第一結晶構造とは異なる第二結晶構造を有する焼結体が得られる。
(ii)前記第一硫化物は、前記第二硫化物の組成と異なる組成を有する。
本発明は、
上記の熱電変換材料用粉体の焼結体を備えた、熱電変換材料を提供する。
本発明は、
上記の熱電変換材料用粉体を提供することと、
前記熱電変換材料用粉体を400℃以上で焼結することと、を備えた、
熱電変換材料の製造方法を提供する。
上記の熱電変換材料用粉体によれば、硫化物を用いつつ熱電変換材料の熱電特性を高めるのに有利である。
図1Aは、本発明に係る熱電変換材料を用いた熱電変換素子の一例を示す断面図である。 図1Bは、本発明に係る熱電変換材料を用いた熱電変換素子の別の一例を示す断面図である。 図2Aは、実施例及び参考例に係るサンプルのゼーベック係数と温度との関係を示すグラフである。 図2Bは、実施例及び参考例に係るサンプルの電気伝導率と温度との関係を示すグラフである。 図2Cは、実施例及び参考例に係るサンプルの熱伝導率と温度との関係を示すグラフである。 図2Dは、実施例及び参考例に係るサンプルの無次元性能指数と温度との関係を示すグラフである。 図2Eは、実施例及び参考例に係るサンプルのゼーベック係数と温度との関係を示すグラフである。 図2Fは、実施例及び参考例に係るサンプルの電気伝導率と温度との関係を示すグラフである。 図2Gは、実施例及び参考例に係るサンプルの熱伝導率と温度との関係を示すグラフである。 図2Hは、実施例及び参考例に係るサンプルの無次元性能指数と温度との関係を示すグラフである。 図2Iは、実施例及び参考例に係るサンプルにおける銅原子の含有量とゼーベック係数との関係を示すグラフである。 図2Jは、実施例及び参考例に係るサンプルにおける銅原子の含有量と電気伝導率との関係を示すグラフである。 図2Kは、実施例及び参考例に係るサンプルにおける銅原子の含有量と熱伝導率との関係を示すグラフである。 図2Lは、実施例及び参考例に係るサンプルにおける銅原子の含有量と無次元性能指数との関係を示すグラフである。 図3Aは、実施例及び参考例に係る粉体のX線回折パターンを示すグラフである。 図3Bは、実施例及び参考例に係る粉体のX線回折パターンを示すグラフである。 図4Aは、実施例及び参考例に係るサンプルのX線回折パターンを示すグラフである。 図4Bは、実施例及び参考例に係るサンプルのX線回折パターンを示すグラフである。 図5は、実施例1に係るサンプルの断面の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。 図6Aは、実施例1に係るサンプルの制限視野回折パターン(SADP)である。 図6Bは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図6Cは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図6Dは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図6Eは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図7Aは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図7Bは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図7Cは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図7Dは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図7Eは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図8Aは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図8Bは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図8Cは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図8Dは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図8Eは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図9Aは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図9Bは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図9Cは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図9Dは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図9Eは、実施例1に係るサンプルのSADPである。 図10Aは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図10Bは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図10Cは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図10Dは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図10Eは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図11Aは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図11Bは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図11Cは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図11Dは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図11Eは、実施例1に係るサンプルのSADPの特定の結晶面に由来する回折強度の分布を示すグラフである。 図12は、実施例1に係るサンプルの平均強度の比IWZ(103)/(IZB(111)+IWZ(002))と測定箇所との関係を示すグラフである。
特許文献2に記載の技術のように、硫化物の粉体を焼結させることによって実用的な熱電変換材料を提供することが考えられる。熱電変換材料の性能を示す指標として下記の式(1)で定義される無次元性能指数ZTがある。ここで、Sはゼーベック係数を示し、σは電気伝導率を示し、Tは絶対温度を示し、κは熱伝導率を示す。
ZT=S2σT/κ (1)
熱電変換材料の性能を高めるためには、無次元性能指数ZTを高めることが望ましい。上記の(1)の式に示す通り、ゼーベック係数及び電気伝導率の両方を高めることが、無次元性能指数ZTを高めるうえで有利である。一方、本発明者らの検討によれば、単一種類の硫化物の粉体を焼結させて熱電変換材料を製造する場合、熱電変換材料においてゼーベック係数及び電気伝導率の両方を高めることは容易でない。そこで、本発明者らは、複数種類の硫化物の粉体を用いて、熱電変換材料のゼーベック係数及び電気伝導率の両方を高めることができないか検討を重ねた。本発明者らは、多大な試行錯誤を繰り返した結果、硫化物を用いつつ熱電変換材料の熱電特性を高めるのに有利な熱電変換材料用粉体を遂に見出した。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<熱電変換材料用粉体>
本発明に係る熱電変換材料用粉体は、第一粉体と、第二粉体とを含有している。第一粉体は、200nm以下の一次粒子径の第一超微粒子を有し、銅を含む第一硫化物でできている。第二粉体は、200nm以下の一次粒子径の第二超微粒子を有し、金属元素を含む第二硫化物でできている。第一粉体及び第二粉体は、下記(i)及び(ii)の少なくとも1つの条件を満たす。
(i)第一粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造を有する焼結体が得られるとともに、第二粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造とは異なる第二結晶構造を有する焼結体が得られる。
(ii)第一硫化物は、第二硫化物の組成と異なる組成を有する。
第二硫化物に含まれる金属元素は、例えば、銅、鉄、スズ、及び亜鉛からなる群より選択される1つである。第二硫化物に含まれる金属元素は、銅又は鉄であってもよく、第二硫化物に含まれる金属元素は、銅であってもよい。
第一粉体及び第二粉体が上記の(i)の条件を満たす場合、例えば、第二結晶構造の単位格子における原子の数が第一結晶構造の単位格子における原子の数と異なっている点で、第二結晶構造が第一結晶構造と異なっている。また、例えば、第二結晶構造の単位格子の空間群が第一結晶構造の単位格子の空間群と異なっている点で、第二結晶構造が第一結晶構造と異なっている。この場合、望ましくは、第二結晶構造の結晶系が第一結晶構造の結晶系と異なっている。
第一粉体及び第二粉体が上記の(i)の条件を満たす場合、第一結晶構造及び第二結晶構造のそれぞれは、望ましくは、閃亜鉛鉱型構造、ウルツ鉱型構造、スピネル構造、テトラヘドライト構造、カルコパイライト構造、コルーサイト構造、スタナイト構造、ケステライト構造、クラマイト構造、モハイト構造、ボーナイト構造、ヘムサイト構造、キュバナイト構造、スタノイダイト構造、ピロータイト構造、マーカサイト構造、デュレアイト構造、ダイジェナイト構造、カルコサイト構造、トロイライト構造、ロクスバイト構造、コベライト構造、パイライト構造、ヌクンダマイト構造、イソキュバナイト構造、及びジャーマナイト構造からなる群から選ばれる。第一結晶構造は、より望ましくは閃亜鉛鉱型構造又はダイジェナイト構造であり、第二結晶構造は、より望ましくはウルツ鉱型構造又はピロータイト構造である。
第一粉体及び第二粉体が上記の(ii)の条件を満たす場合、例えば、第一硫化物の分子量を第一硫化物の組成式に含まれる原子の数で除して得られる平均原子量(MW1)と第二硫化物の分子量を第二硫化物の組成式における原子の数で除して得られる平均原子量(MW2)との差の絶対値が0.3以上である。例えば、第一硫化物がCu2Sn0.85Zn0.153の組成(分子量:336.69)を有する場合、この組成における原子数は6であるので、第一硫化物における平均原子量(MW1)は56.115である。第二硫化物がCu2Sn0.9Zn0.13の組成(分子量:334.025)を有する場合、この組成における原子数は6であるので、第二硫化物における平均原子量(MW2)は55.67である。この場合、第一硫化物における平均原子量(MW1)と第二硫化物における平均原子量(MW2)との差の絶対値は0.445であるので、第一硫化物及び第二硫化物は上記の条件(ii)を満たす。なお、第一硫化物における平均原子量(MW1)と第二硫化物における平均原子量(MW2)との大小関係は、特定の関係に限定されない。第一硫化物における平均原子量(MW1)が第二硫化物における平均原子量(MW2)より大きくてもよいし、第二硫化物における平均原子量(MW2)が第一硫化物における平均原子量(MW1)より大きくてもよい。
熱電変換材料用粉体が、上記の(i)及び(ii)の条件の少なくとも1つの条件を満たすと、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料は、第一粉体と第二粉体との相乗効果により、高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTを示しやすい。
熱電変換材料用粉体において、望ましくは、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率と異なる。第一焼結体は、第一粉体を400℃以上の温度で焼結して得られる。第二焼結体は、第二粉体を400℃以上の温度で焼結して得られる。この場合、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料は、第一粉体と第二粉体との相乗効果により、高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTを示しやすい。
例えば、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率より高い。第一粉体及び第二粉体が上記の(i)の条件を満たす場合、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率より高いように、第一結晶構造及び第二結晶構造が決定される。また、第一粉体及び第二粉体が上記の(ii)の条件を満たす場合、例えば、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率より高いように、第一硫化物における平均原子量(MW1)及び平均原子量(MW2)が決定される。
例えば、第二焼結体のゼーベック係数が第一焼結体のゼーベック係数よりも高い。この場合、例えば、熱電変換材料用粉体において、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率より高いと、熱電変換材料用粉体を焼結して製造された熱電変換材料のゼーベック係数は第二焼結体のゼーベック係数とそれほど変わらないのに対し、熱電変換材料の電気伝導率は第二焼結体の電気伝導率よりも高くなりやすい。その結果、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料が、高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTをより確実に示しやすい。場合によっては、第二焼結体のゼーベック係数が第一焼結体のゼーベック係数よりも高く、かつ、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率以下であってもよい。さらに、場合によっては、第二焼結体のゼーベック係数が第一焼結体のゼーベック係数以下であってもよい。
熱電変換材料用粉体の全量における第一粉体の含有率は、例えば5〜99質量%である。この場合、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料が、高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTをより確実に示しやすい。熱電変換材料用粉体の全量における第一粉体の含有率は、望ましくは20〜98質量%であり、より望ましくは30〜98質量%である。なお、第一焼結体の電気伝導率が第二焼結体の電気伝導率より高い場合には、第一粉体の量が第二粉体の量よりも多いことが好ましい。これにより、熱電変換材料用粉体を焼結して製造された熱電変換材料において、高い電気伝導率を有する第一粉体が電子の伝導パスを形成し、熱電変換材料全体の電気伝導率を向上させやすい。
第一粉体及び第二粉体の種類によっては、熱電変換材料用粉体の全量における第一粉体の含有率を調整することによって、熱電変換材料用粉体から得られる熱電変換材料のタイプを決定できる。例えば、第二粉体が金属元素として鉄を含む場合に、熱電変換材料用粉体の全量における第一粉体の含有率が所定値を超えている熱電変換材料用粉体からはp型の熱電変換材料が得られやすい。一方、熱電変換材料用粉体の全量における第一粉体の含有率が所定値以下である熱電変換材料用粉体からはn型の熱電変換材料が得られやすい。
第一粉体において、第一超微粒子の一次粒子径は、望ましくは5〜200nmであり、より望ましくは10〜150nmであり、さらに望ましくは15nm〜100nmである。第二粉体において、第二超微粒子の一次粒子径は、望ましくは5〜200nmであり、より望ましくは10〜150nmである。
熱電変換材料用粉体は、例えば、下記(I)及び(II)の少なくとも1つの条件を満たす。
(I)第一粉体は、第一超微粒子が凝集して形成された、0.1〜10μmの粒子径を有する第一凝集粒子を含む。
(II)第二粉体は、第二超微粒子が凝集して形成された、0.1〜10μmの粒子径を有する第二凝集粒子を含む。
熱電変換材料用粉体が上記の(I)及び(II)の少なくとも1つの条件を満たす場合、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料が第一凝集粒子の粒子径又は第二凝集粒子の粒子径に起因してフォノンの散乱を強めるのに有利な構造を有しやすいと考えられる。その結果、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料が、高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTをより確実に示しやすい。第一凝集粒子は、より望ましくは0.2〜5μmの粒子径を有する。第二凝集粒子は、より望ましくは0.2〜5μmの粒子径を有する。熱電変換材料用粉体がこのような凝集体を含むことによって、好ましいことに、熱電変換材料用粉体を焼結して製造された熱電変換材料において、ナノサイズの粒子では散乱できない長距離のフォノン振動を散乱することができる。第一粉体が第一凝集粒子を含む場合に、第二粉体は第二凝集粒子を含んでいなくてもよい。すなわち、第二粉体は、0.1μm未満の粒子径を有する、第二超微粒子の凝集体又は凝集していない第二超微粒子によって構成されていてもよい。第二粉体が第二凝集粒子を含む場合に、第一粉体は第一凝集粒子を含んでいなくてもよい。すなわち、第一粉体は、0.1μm未満の粒子径を有する、第一超微粒子の凝集体又は凝集していない第一超微粒子によって構成されていてもよい。熱電変換材料用粉体において、第一粉体が第一凝集粒子を含み、かつ、第二粉体が第二凝集粒子を含んでいてもよい。この場合、熱電変換材料用粉体において、第一粉体と第二粉体との混合状態が完全混合状態又は完全混合状態に近い状態になりやすい。
熱電変換材料用粉体において、第一硫化物及び第二硫化物の少なくとも1つは、例えば、スズをさらに含む。これにより、熱電変換材料用粉体から製造された熱電変換材料が、高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTをより確実に示しやすい。第一硫化物及び第二硫化物の双方がスズをさらに含んでいてもよい。
第一硫化物がスズを含む場合、第一硫化物は銅及びスズ以外の金属をさらに含んでいてもよい。この場合、例えば、第一硫化物は、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、アルミニウム、及びインジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。第一硫化物は、望ましくは亜鉛を含む。第一硫化物における金属の全量における銅及びスズ以外の金属の含有率は、例えば、その金属が遷移金属である場合には、1〜10モル%であり、望ましくは2〜5モル%である。第一硫化物における金属の全量における銅及びスズ以外の金属の含有率は、例えば、その金属が典型金属である場合には、1〜30モル%であり、望ましくは2〜20モル%である。
第二硫化物が銅及びスズを含む場合、第二硫化物は銅及びスズ以外の金属をさらに含んでいてもよい。この場合、例えば、第二硫化物は、鉄、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、アルミニウム、及びインジウムからなる群から選択される少なくとも1つの金属を含む。第二硫化物は、望ましくは亜鉛を含む。第二硫化物における金属の全量における銅及びスズ以外の金属の含有率は、例えば、その金属が遷移金属である場合には、1〜10モル%であり、望ましくは2〜5モル%である。第二硫化物における金属の全量における銅及びスズ以外の金属の含有率は、例えば、その金属が典型金属である場合には、1〜30モル%であり、望ましくは2〜20モル%である。
第一硫化物がスズ及び亜鉛をさらに含み、かつ、第二硫化物がスズ及び亜鉛をさらに含む場合、第一硫化物における亜鉛の存在比が第二硫化物における亜鉛の存在比と異なることによって、第一粉体及び第二粉体が上記の(ii)の条件を満たす。例えば、第一硫化物における亜鉛の存在比が第二硫化物における亜鉛の存在比より大きい。場合によっては、第二硫化物における亜鉛の存在比が第一硫化物における亜鉛の存在比より大きくてもよい。
熱電変換材料用粉体において、例えば、第一硫化物はCu2Sn0.85Zn0.153の組成を有し、かつ、第二硫化物はCu2Sn0.9Zn0.13の組成を有する。
熱電変換材料用粉体において、例えば、第一硫化物はCu2Sの組成を有し、かつ、第二硫化物はFeSの組成を有する。
熱電変換材料用粉体は、第一粉体及び第二粉体とは別に、金属元素を含む第三硫化物の第三粉体をさらに含有していてもよい。第三粉体は、200nm以下の一次粒子径の第一超微粒子を有する。この場合、熱電変換材料用粉体は、下記(iii)及び(iv)の少なくとも1つの条件を満たしてもよい。
(iii)第三粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造及び第二結晶構造とは異なる第三結晶構造を有する焼結体が得られる。
(iv)第三硫化物は、第一硫化物の組成及び第二硫化物の組成とは異なる組成を有する。
第三硫化物に含まれる金属元素は、例えば、銅、鉄、スズ、及び亜鉛からなる群より選択される1つである。第三硫化物に含まれる金属元素は、銅又は鉄であってもよく、第三硫化物に含まれる金属元素は、銅であってもよい。
<熱電変換材料>
本発明に係る熱電変換材料は上記の熱電変換材料用粉体の焼結体を備える。焼結体は、例えば、直方体状、平板及び円板等の板状、円柱及び角柱等の柱状、又は円筒及び角筒等の筒状である。
熱電変換材料用粉体の焼結体は、典型的には2種類以上の結晶構造を有する。これにより、異なる結晶構造同士の界面によって、フォノンの散乱が強まり、熱電変換材料が高い熱電特性を有しやすいと考えられる。
望ましくは、熱電変換材料用粉体の焼結体中に、閃亜鉛鉱型構造、ウルツ鉱型構造、スピネル構造、テトラヘドライト構造、カルコパイライト構造、コルーサイト構造、スタナイト構造、ケステライト構造、クラマイト構造、モハイト構造、ボーナイト構造、ヘムサイト構造、キュバナイト構造、スタノイダイト構造、ピロータイト構造、マーカサイト構造、デュレアイト構造、ダイジェナイト構造、カルコサイト構造、トロイライト構造、ロクスバイト構造、コベライト構造、パイライト構造、ヌクンダマイト構造、イソキュバナイト構造、及びジャーマナイト構造からなる群から選ばれる少なくとも1つが含まれる。これにより、熱電変換材料が高い熱電特性をより確実に有する。例えばX-ray Diffraction(XRD)又は Selected Area Electron Diffraction (SAED)を用いることによって、焼結体にこれらの構造が含まれていることを確認できる。なお、SAEDのビームの絞り面積を変えて測定を行うことによって、焼結体中にどの構造がどれくらいの範囲で含まれているか測定できる。
熱電変換材料を構成する結晶粒の結晶粒径の個数基準の平均値は、例えば5〜100nmである。熱電変換材料を構成する結晶粒の結晶粒径の個数基準で80%以上が100nm以下であることが望ましい。これにより、熱電変換材料が高い熱電特性を有しやすい。熱電変換材料を構成する結晶粒の結晶粒径は、例えば、High Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy(HAADF-STEM)又はElectron Back-ScatterDiffraction Pattern(EBSD)の方位マッピング像測定によって熱電変換材料の結晶粒界を観察することによって決定できる。個々の結晶粒の結晶粒径は、面積円相当径である。結晶粒径が大きいと格子熱伝導率κlatが温度の逆数に比例し、ウムクラップ過程による散乱が支配的である。しかし、結晶粒径が100nm以下まで小さくなると格子熱伝導率κlatが温度の逆数に比例せず、ナノグレインによって短波長フォノンがうまく散乱されるので、熱電変換材料が高い熱電特性を有しやすい。さらに、熱電変換材料用粉体の焼結体は2つ以上の異なる種類の粉体の混合物であるので、長波長フォノンも散乱される。長波長フォノンが散乱されるために、この焼結体の内部に結晶粒径よりも大きな塊が存在していることが好ましい。長波長フォノンの散乱をもたらす塊のサイズは、望ましくは0.1〜10μmであり、より望ましくは0.2〜5μmである。なお、この塊は主として焼結体を作製する原料の粉体の凝集体に由来している。場合によっては、熱電変換材料用粉体の焼結の条件を調節することによってもこのような塊を形成できる。この場合、塊を形成するために原料の粉体に第一凝集粒子又は第二凝集粒子が含まれることは必須ではない。また、焼結体の内部の大きな塊は、電気伝導率が低い原料(例えば、第二粉体)に由来することが好ましい。これにより、電気伝導率を低減させることなく、フォノンを散乱させることが可能となる。これら、結晶粒及び塊によって2種類の界面でフォノンが効果的に散乱される。
熱電変換材料用粉体の焼結体は、例えば、第一粉体に由来する第一相と、第二粉体に由来する第二相とを含んでいる。第一相は、連続的に存在している。第二相は、第一相に分散している。この場合、第二相が長波長フォノンを散乱させやすく、熱電変換材料が高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTを示しやすい。
熱電変換材料用粉体の焼結体は、望ましくは、第一相に第二相が島状に分散している海島構造を有する。これにより、より確実に、長波長フォノンを散乱させることができる。その結果、熱電変換材料が高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTを示しやすい。
第二相のサイズは、例えば20〜400nmであり、望ましくは50〜250nmである。このようなサイズで第二相が第一相に分散していることにより、より確実に、長波長フォノンを散乱させることができ、熱電変換材料が高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTを示しやすい。
熱電変換材料用粉体の焼結体において、望ましくはd(280)>d(770)の関係が満たされる。より望ましくはd(280)/d(770)≧2の関係を満たし、さらに望ましくはd(280)/d(770)≧5の関係を満たす。
d(280)及びd(770)は、電子線のビーム径を280nm及び770nmに調節して行われる、焼結体に対する制限視野電子線回折(SAED)の測定結果から以下のようにして決定される。電子線のビーム径を770nmに調節して焼結体の任意の5か所に対して行われたSAEDにより得られたSADPにおいて、第二相に由来する回折線の強度I2に対する第一相に由来する回折線の強度I1の比r(I1/I2)を求める。このとき、第一相に由来する回折線の強度I1として、第一相のみに由来する回折線のうち最高強度の回折線の強度を選択する。また、第二相に由来する回折線の強度I2として、第二相のみに由来する回折線のうち最高強度の回折線の強度を選択する。なお、第一相のみに由来する回折線又は第二相のみに由来する回折線が存在しない場合、第一相に由来する回折線及び第二相に由来する回折線が重なった最高強度の回折線の強度を選択する。焼結体の任意の5箇所におけるこの比rを、r(770)1、r(770)2、r(770)3、r(770)4、及びr(770)5と表す。r(770)1、r(770)2、r(770)3、r(770)4、及びr(770)5の算術平均をR(770)と表す。電子線のビーム径を280nmに調節して焼結体の任意のnか所に対して行われたSAEDにより得られたSADPにおいて、第二相に由来する回折線の強度I2に対する第一相に由来する回折線の強度I1の比r(I1/I2)を求める。この場合、nは5以上である。焼結体の任意のn箇所におけるこの比rを、r(280)1、r(280)2、…r(280)n-1、及びr(280)nと表す。n箇所におけるこれらの比rの算術平均をR(280)と表す。nは、0.9×R(770)≦R(280)≦1.1×R(770)の関係を満たすように決定される。第一相に由来する回折線の強度I1及び第二相に由来する回折線の強度I2は、上記と同様に選択される。
r(770)1、r(770)2、r(770)3、r(770)4、及びr(770)5のうち、R(770)との差の絶対値が最大になる比と、R(770)との差の絶対値がd(770)と決定される。r(280)1、r(280)2、…r(280)n-1、及びr(280)nのうち、R(280)との差の絶対値が最大になる比と、R(280)との差の絶対値がd(280)と決定される。
望ましくは、第一相をなす結晶の電気伝導率は、第二相をなす結晶の電気伝導率よりも高い。これにより、熱電変換材料が高い熱電特性、特に高い無次元性能指数ZTを示しやすい。
熱電変換材料の焼結体の密度は例えば理論密度の80%以上である。なお、理論密度は、材料が単結晶であると仮定したときの密度である。焼結体の密度は望ましくは理論密度の85%以上であり、より望ましくは理論密度の90%以上である。焼結体の密度が理論密度の80%以上であると、焼結体の機械的強度が高く、焼結体の電気伝導率も高まりやすい。
<熱電変換材料の製造方法>
熱電変換材料は、例えば、下記の(I)及び(II)の工程を含む方法によって製造できる。
(I)上記の熱電変換材料用粉体を提供する。
(II)この熱電変換材料用粉体を400℃以上の温度で焼結する。
上記(I)の工程において、予め調製された第一粉体と、予め調製された第二粉体とを均一に混合することによって熱電変換材料用粉体を提供できる。第一粉体と第二粉体との混合は、例えば、乳鉢、ボールミル等の粉砕機、ミキサー、又はシェーカーを用いて行うことができる。
第一粉体及び第二粉体のそれぞれは、例えば、以下のようにして調製される。銅化合物と、硫黄化合物及び/又は単体の硫黄とを有機溶媒中に添加し混合液を調製する。必要に応じて、スズ化合物、鉄化合物、亜鉛化合物及び/又は銅、鉄、亜鉛、及びスズ以外の金属の化合物が有機溶媒中に添加される。次に、不活性ガスで満たされた所定の温度の環境にその混合液を所定期間置いて硫化物の合成を行う。所定の温度の最高値は、例えば150℃〜350℃であり、不活性ガスで満たされた環境を150℃〜350℃に保つ期間は長くとも2時間程度である。不活性ガスは、例えば、アルゴン等の希ガス又は窒素である。混合液が置かれる環境の圧力は、望ましくは常圧である。
この調製に用いられる銅化合物は、例えば、CuCl及びCuCl2等のハロゲン化物、Cu(NO32等の硝酸銅、Cu(CH3COO)、Cu(CH3COO)2、及びネオデカン酸銅等のカルボン酸銅、又は銅アセチルアセトナート等の錯体化合物である。この調製に用いられる硫黄化合物は、例えば、(i)オクタンチオール、デカンチオール、及びドデカンチオール等のチオール、(ii)オクタンジチオール、デカンジチオール、及びドデカンジチオール等のジチオール、(iii)チオ尿素、又は(iv)チオアセトアミド等の有機硫黄化合物である。有機硫黄化合物は、望ましくは、チオール等の液体有機硫黄化合物である。この場合、混合液において、液体有機硫黄化合物が有機溶媒としての役割を果たすことができる。混合液には、液体有機硫黄化合物以外の液体有機化合物が含まれていてもよい。そのような液体有機化合物としては、例えば、(i)オレイルアミン等のアミン、(ii)ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、及びオレイン酸等の不飽和脂肪酸、又は(iii)エチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコール等の多価アルコールを挙げることができる。
この調製に用いられる鉄化合物は、例えば、FeCl2及びFeCl3等のハロゲン化物、Fe(NO32及びFe(NO33等の硝酸鉄、Fe(CH3COO)2、Fe(CH3COO)3、及びオクチル酸鉄等のカルボン酸鉄、又は鉄アセチルアセトナート等の錯体化合物である。この調製に用いられる亜鉛化合物は、例えば、ZnCl2等のハロゲン化物、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛やオクチル酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛、又は亜鉛アセチルアセトナート等の錯体化合物である。この調製に用いられるスズ化合物は、例えば、SnCl2及びSnCl4等のハロゲン化物、硝酸スズ、酢酸スズ及びオクチル酸スズなどのカルボン酸スズ、又はスズアセチルアセトナート等の錯体化合物である。第一硫化物又は第二硫化物が銅、鉄、亜鉛、及びスズ以外の金属を含む場合、その金属の供給源は、例えば、塩化物等のハロゲン化物、硝酸化合物、酢酸塩等のカルボン酸塩、又はアセチルアセトナート等の錯体化合物である。混合液の調製は、例えば、常温(20℃±15℃:日本工業規格JIS Z 8703)及び常圧の環境で行われる。
上記の調製において、例えば、合成された硫化物の表面には、添加物に由来する不純物が付着していることがある。このため、必要に応じて、表面処理剤の交換、洗浄、又は仮焼成などの方法で不純物が硫化物から取り除かれる。特に、上記の調製において、表面処理剤の沸点が高い場合、表面処理剤が難分解性である場合、又は表面処理剤が長い炭素鎖を有する場合には、熱電変換材料用粉体の焼結体に不純物が残留し、結晶粒同士の間に空隙ができてしまう可能性がある。そこで、表面処理剤を、短いアルキル鎖を有する表面処理剤、低沸点の表面処理剤、又は易分解性の表面処理剤に予め交換しておくことが望ましい。具体的には、焼結温度以下で気化又は分解される表面処理剤に交換される。例えば、300℃以下で気化又は分解する表面処理剤に交換することが望ましく、250℃以下で気化又は分解する表面処理剤に交換することがより望ましい。また、交換後の表面処理剤の1分子に含まれる炭素原子の数は、望ましくは10以下であり、より望ましくは5以下であり、さらに望ましくは3以下である。
上記の調製において硫化物が洗浄される場合、例えば、所定の溶媒に硫化物が分散されたうえで超音波洗浄が行われる。必要に応じて、洗浄後の硫化物に対し、真空乾燥、加熱乾燥、及び自然乾燥等の乾燥処理が施される。
第一粉体及び第二粉体のそれぞれは、例えば、水熱合成法によって調製されてもよい。この場合、まず、銅化合物及び硫黄化合物又は単体の硫黄を水中に添加しつつ混合して混合液が調製される。必要に応じて、鉄化合物、亜鉛化合物、スズ化合物又は銅及びスズ以外の金属の化合物が水中にさらに添加される。次に、150〜300℃の温度及び0.5〜9MPa(メガパスカル)の圧力の環境にその混合液を所定期間置いて水熱合成が行われ、第一粉体及び第二粉体を調製できる。
この調製に用いられる銅化合物は、例えば、CuCl及びCuCl2等のハロゲン化銅、Cu(NO32等の硝酸銅、又はCu(CH3COO)及びCu(CH3COO)2等のカルボン酸銅である。この調製に用いられる硫黄化合物は、例えば、チオ尿素及びチオアセトアミド等の有機硫黄化合物である。この調製に用いられる鉄化合物は、例えば、FeCl2及びFeCl3等のハロゲン化鉄、硝酸鉄、又は酢酸鉄等のカルボン酸鉄である。この調製に用いられる亜鉛化合物は、例えば、ZnCl2等のハロゲン化亜鉛、硝酸亜鉛、又は酢酸亜鉛等のカルボン酸亜鉛である。この調製に用いられるスズ化合物は、例えば、SnCl2及びSnCl4等のハロゲン化スズ、硝酸スズ、又は酢酸スズ等のカルボン酸スズである。また、硫化物が銅、鉄、亜鉛、及びスズ以外の金属を含む場合、その金属の供給源として、例えば、ハロゲン化物、硝酸塩、及びカルボン酸塩等の化合物を用いることができる。混合液の調製は、例えば、常温及び常圧の環境で行われる。
上記の調製方法において、水熱合成が行われる環境の温度は、望ましくは170〜280℃であり、より望ましくは180〜250℃である。また、この環境の圧力は、望ましくは0.8〜7.5MPaであり、より望ましくは1〜5MPaである。
上記の調製方法において、150〜300℃の温度及び0.5〜9MPaの圧力の環境を保つ期間は、例えば、4時間〜100時間である。
上記(II)の工程において、熱電変換材料用粉体は、例えば、所定の形状の型に充填され、加圧されながら焼結される。このように、熱電変換材料用粉体を加圧しながら焼結する方法としては、例えば、放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering)又はホットプレスを用いることができる。熱電変換材料用粉体の焼結温度は、例えば、400℃〜1500℃であり、望ましくは400℃〜1000℃である。焼結時間は、例えば、0分〜10分であり、望ましくは0分〜5分である。また、焼結工程の開始から焼結工程中の最高温度に到達するまでに必要な昇温時間は、例えば、2分〜10分である。例えば、熱電変換材料用粉体が充填された型の内部の温度を上記の昇温速度で最高温度まで昇温させ、型の内部の温度を最高温度で所定の時間(焼結時間)だけ維持し、その後加熱を停止して焼結体を自然冷却させる。焼結工程中に熱電変換材料用粉体を加圧する圧力は、例えば、0.5MPa〜100MPaであり、望ましくは、5MPa〜50MPaである。ペレットのサイズが大きい場合又はペレットの機械的強度を高くする必要がある場合には、均一な焼結体を得るために、焼結時間又は昇温時間をさらに長くすることが望ましい。この焼結工程は、不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気において行うことができる。この焼結工程は、望ましくは真空雰囲気で行われる。このようにして、熱電変換材料を所望の形状に成形して機械的強度を高めることができると同時に、ナノ粒子のグレインを残したまま焼結できる。
<熱電変換素子>
上記の熱電変換材料を用いて、熱電変換素子を作製できる。熱電変換素子は、例えば、上記の熱電変換材料と、熱電変換材料に接続された導体とを備えている。
図1Aに示す通り、熱電変換素子1は、例えば、複数の第一熱電変換材料10と、第一熱電変換材料10と交互に配置された複数の第二熱電変換材料20と、隣り合う第一熱電変換材料10と第二熱電変換材料20とを接続する導体30とを備えている。例えば、複数の第一熱電変換材料10及び複数の第二熱電変換材料20は、導体30によって直列に接続されている。第一熱電変換材料10は、本発明に係る熱電変換材料である。一方、第二熱電変換材料20は、熱電変換素子に使用可能な公知のn型半導体である。図1Aに示す通り、導体30は、例えば所定の基板40a又は基板40b上に配置されている。基板40a及び基板40bのそれぞれは、例えば高い熱伝導率を有するセラミック製の基板である。
図1Bに示す通り、熱電変換素子2は、例えば、複数の第一熱電変換材料50と、隣り合う第一熱電変換材料50同士を接続する導体60とを備えている。例えば、複数の第一熱電変換材料50は、導体60によって直列に接続されている。第一熱電変換材料50は、本発明に係る熱電変換材料である。図1Bに示す通り、導体60は、例えば所定の基板70a又は基板70b上に配置されている。基板70a及び基板70bのそれぞれは、例えば高い熱伝導率を有するセラミック製の基板である。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の一例であり、本発明は以下の実施例に限定されない。
<実施例1>
(第一粉体Aの調製)
硝酸銅4.0mmol(ミリモル)、酢酸スズ1.7mmol、酢酸亜鉛0.3mmol、ドデカンチオール100ml、及びオレイルアミン100mlを混合して撹拌し、硝酸銅、酢酸スズ、及び酢酸亜鉛が均一に分散した混合液Aを得た。次に、アルゴンガスで満たされた空間(アルゴン雰囲気)に混合液Aの入った容器を置き、その後、室温に保たれたアルゴン雰囲気において、その容器の内容物を550rpm(rotation per minute)で5分間撹拌した。次に、100℃に保たれたアルゴン雰囲気において、その容器の内容物を550rpmで10分間撹拌した。次に、260℃に保たれたアルゴン雰囲気において、その容器の内容物を550rpmで60分間撹拌し、その後容器の内容物を室温まで冷却した。この一連の処理を3回繰り返して、サンプルA、サンプルB、及びサンプルCを得た。
3回の合成で得られたサンプルA、サンプルB、及びサンプルCを混ぜ合わせて得られた混合物(約2.4g)を重量基準で2等分して三角フラスコに入れた。各三角フラスコにトルエンを88.2ml加えて、超音波処理にて粒子を分散させた。次に、7.06gのチオ尿素をメタノール282mlに溶かした溶液を2等分して、各三角フラスコの中の分散液と混合した。次に、各三角フラスコをパラフィルム(登録商標)で封をして超音波処理にかけた。2つのフラスコの中の分散液の合計量は約459mlであった。超音波処理の期間中にフラスコを10分に1回ほど振ってフラスコの内容物を混ぜた。次に、三角フラスコの中の液を12本の遠沈管に取り分けた。各遠沈管に対し、5000rpmで3分間遠心分離を行った。次に、各遠沈管から上澄みを除去し、各遠沈管に12mlのエタノールを加え、その遠沈管を超音波処理にかけて粒子を分散させ、5000rpmで3分間遠心分離を行った。次に、各遠沈管から上澄みを除去し、各遠沈管に12mlのメタノールを加え、超音波処理にて粒子を分散させた後、各遠沈管に12mlのトルエンを加え振って混ぜた。それらに対し5000rpmで5分間遠心分離を行った。各遠沈管の上澄みを除去し、12本の遠沈管を4本の遠沈管にまとめた。まとめ方は以下の手順に従った。上澄みを除去した1本の遠沈管にメタノールを30ml加えて超音波処理にて粒子を分散させた。この遠沈管の内容物を別の遠沈管に移し、再び超音波処理にて粒子を分散させた。この作業を繰り返し行い、4本の遠沈管にまとめた。次に、各遠沈管にトルエンを遠沈管に印された50mlの線まで加えて超音波処理にて粒子を分散させた。これら4本の遠沈管に対し5000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄みを除去して、真空乾燥機で各遠沈管の内容物を乾燥させた。このようにして、第一粉体Aを得た。第一粉体Aにおける硫化物の組成は、Cu2Sn0.85Zn0.153であった。
透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:H-7100又はH-7650)を用いて第一粉体Aを観察した。得られた第一粉体AのTEM画像から250個以上の一次粒子の個数基準の粒子径分布を求め、この粒子径分布から個数基準の平均粒子径(Meandiameter)を決定した。個々の一次粒子においてその最大径(長軸径)を粒子径と定めた。第一粉体Aにおける一次粒子の平均粒子径は、41.2nmであった。また、第一粉体Aにおいて、個数基準で95%以上の一次粒子の粒子径が100nm以下であった。さらに、第一粉体Aにおいて、一次粒子が凝集して0.2〜2μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
(第二粉体Aの調製)
酢酸スズの添加量を1.8mmolに変更し、酢酸亜鉛の添加量を0.2mmolに変更した以外は、第一粉体Aの調製と同様にして、第二粉体Aを調製した。第二粉体Aにおける硫化物の組成はCu2Sn0.9Zn0.13であった。第一粉体Aと同様にして、第二粉体Aの一次粒子の個数基準の平均粒子径を決定したところ、43.2nmであった。また、第二粉体Aにおいて、個数基準で95%以上の一次粒子の粒子径が100nm以下であった。さらに、第二粉体Aにおいて、一次粒子が凝集して0.2〜2μmの凝集粒子が形成されていることが確認された。
第二粉体Aの質量に対する第一粉体Aの質量の比が9/1となるように、第一粉体Aと第二粉体Aとを均一に混合して、実施例1に係る熱電変換材料用粉体を得た。実施例1に係る熱電変換材料用粉体750mgを直径10mmのダイに充填し、放電プラズマ焼結装置(シンターランド社製、型番:LABOX-125)を用いて、40MPaで加圧しながら真空中で実施例1に係る熱電変換材料用粉体を焼結した。放電プラズマ焼結装置の通電加熱によって、100℃/分の昇温速度でダイの内部の温度を400℃まで上昇させた、その後50℃/分の昇温速度でダイの内部の温度を450℃まで上昇させ、ダイの内部の温度を450℃5分間保った。その後、放電プラズマ焼結装置の通電加熱を停止し、自然冷却により焼結体を室温まで冷却し、ダイから円盤状の焼結体を取り出した。その後、JIS R 6001:1998に基づく粒度が♯800である紙やすり及びその粒度が♯2000である紙やすりを用いて焼結体の表面を研磨し、約2mmの厚さを有する実施例1に係るサンプルを作製した。
<実施例2>
第二粉体Aの質量に対する第一粉体Aの質量の比が5/5となるように、第一粉体Aと第二粉体Aとを均一に混合して、実施例2に係る熱電変換材料用粉体を得た。実施例1に係る熱電変換材料用粉体の代わりに実施例2に係る熱電変換材料用粉体を用いた以外は、実施例1に係るサンプルと同様にして、実施例2に係るサンプルを作製した。
<参考例1>
実施例1に係る熱電変換材料用粉体の代わりに第一粉体Aのみを用いた以外は、実施例1に係るサンプルと同様にして、参考例1に係るサンプルを作製した。
<参考例2>
実施例1に係る熱電変換材料用粉体の代わりに第二粉体Aのみを用いた以外は、実施例1に係るサンプルと同様にして、参考例2に係るサンプルを作製した。
<実施例3>
(第一粉体Bの調製)
ビス(アセチルアセトナト)銅(II)40mmol(ミリモル)、ドデカンチオール240mlを混合して撹拌し、ビス(アセチルアセトナト)銅が均一に分散した混合液Aを得た。次に、アルゴンガスで満たされた空間(アルゴン雰囲気)に混合液Aの入った容器を置き、その後、室温に保たれたアルゴン雰囲気において、その容器の内容物を550rpm(rotation per minute)で5分間撹拌した。次に、80℃に保たれたアルゴン雰囲気において、その容器の内容物を550rpmで30分間撹拌しビス(アセチルアセトナト)銅を溶解させた。次に、220℃に保たれたアルゴン雰囲気において、その容器の内容物を550rpmで120分間撹拌し、その後容器の内容物を室温まで冷却し、Cu2Sである第一粉体Bを得た。
透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:H-7100又はH-7650)を用いて第一粉体Bを観察した。得られた第一粉体BのTEM画像から250個以上の一次粒子の個数基準の粒子径分布を求め、この粒子径分布から個数基準の平均粒子径(Meandiameter)を決定した。個々の一次粒子においてその最大径(長軸径)を粒子径と定めた。第一粉体Bにおける一次粒子の平均粒子径は、15.1nmであった。
(第二粉体Bの調製)
第一粉体Bの調整に用いたビス(アセチルアセトナト)銅(II)40mmol(ミリモル)をトリス(アセチルアセトナト)鉄(III)20mmolに変更し、かつ、ドデカンチオール240mlをドデカンチオール40mlとオレイルアミン80mlとの混合溶媒に変更した以外は、第一粉体Bの調整と同様にして、FeSである第二粉体Bを得た。
透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:H-7100又はH-7650)を用いて第二粉体Bを観察した。得られた第二粉体BのTEM画像から250個以上の一次粒子の個数基準の粒子径分布を求め、この粒子径分布から個数基準の平均粒子径(Meandiameter)を決定した。個々の一次粒子においてその最大径(長軸径)を粒子径と定めた。第二粉体Bにおける一次粒子の平均粒子径は、134.9nmであった。
0.91gの第一粉体Bと0.09gの第二粉体Bとを均一に混合した。0.90gの混合した粉体をフラスコに入れ、66mlのトルエンをそのフラスコに加えて、超音波処理にて粉体中の粒子を分散させた。次に、2.7gのチオ尿素をメタノール106mlに溶かした溶液をそのフラスコに加え、パラフィルム(登録商標)でそのフラスコを密封して1時間超音波処理にかけた。超音波処理の期間中にフラスコを10分に1回ほど振ってフラスコの内容物を混ぜた。次に、フラスコの中の液を6本の遠沈管に取り分け、各遠沈管に対し5000rpmで3分間遠心分離を行った。次に、各遠沈管から上澄みを除去し、ヘキサンで再分散させ、さらに遠心分離した後、各遠沈管から上澄みを除去した。各遠沈管に12mlのメタノールを加え、10分間超音波処理にかけて粒子を分散させた後、5000rpmで5分間遠心分離を行う工程を4回繰り返した。次に、各遠沈管に20mlのトルエンを加え振って混合し、その後5000rpmで10分間遠心分離を行った。各遠沈管から上澄みを除去して、真空乾燥機で各遠沈管の内容物を乾燥させた。このようにして、実施例3に係る熱電変換材料用粉体を得た。
実施例1に係る熱電変換材料用粉体の代わりに実施例3に係る熱電変換材料用粉体を用いた以外は、実施例1に係るサンプルと同様にして、放電プラズマ焼結及び焼結体の表面の研磨を行って、実施例3に係るサンプルを作製した。
<実施例4>
0.78gの第一粉体Bと0.22gの第二粉体Bとを均一に混合した以外は、実施例3と同様にして、実施例4に係る熱電変換材料用粉体及び実施例4に係るサンプルを得た。
<実施例5>
0.55gの第一粉体Bと0.22gの第二粉体Bとを均一に混合した以外は、実施例3と同様にして、実施例5に係る熱電変換材料用粉体及び実施例5に係るサンプルを得た。
<実施例6>
0.29gの第一粉体Bと0.71gの第二粉体Bとを均一に混合した以外は、実施例3と同様にして、実施例6に係る熱電変換材料用粉体及び実施例6に係るサンプルを得た。
<参考例3>
第一粉体Bと第二粉体Bとの混合粉体の代わりに、0.90gの第一粉体Bのみを用いた以外は、実施例3に係る熱電変換材料用粉体と同様にして、参考例3に係る粉体を調製した。実施例1に係る熱電変換材料用粉体の代わりに参考例3に係る粉体を用いた以外は、実施例1に係るサンプルと同様にして、放電プラズマ焼結及び焼結体の表面の研磨を行って、参考例3に係るサンプルを作製した。
<参考例4>
第一粉体Bと第二粉体Bとの混合粉体の代わりに、0.90gの第二粉体Bのみを用いた以外は、実施例3に係る熱電変換材料用粉体と同様にして、参考例4に係る粉体を調製した。実施例1に係る熱電変換材料用粉体の代わりに参考例4に係る粉体を用いた以外は、実施例1に係るサンプルと同様にして、放電プラズマ焼結及び焼結体の表面の研磨を行って、参考例4に係るサンプルを作製した。
<熱電特性の測定>
熱電特性評価装置(アドバンス理工社製、製品名:ZEM-3)を用いて、実施例1〜6に係るサンプル並びに参考例1〜4に係るサンプルのゼーベック係数S及び電気伝導率σを測定した。結果を図2A、図2B、図2E、及び図2Fに示す。レーザーフラッシュシステム(NETZSCH社製製品名:LFA457)を用いて、実施例1〜6に係るサンプル並びに参考例1〜4に係るサンプルの熱伝導率κを測定した。結果を図2C及び図2Gに示す。
図2A〜図2C及び図2E〜図2Gに示す結果に基づき上記の(1)の式から各サンプルの無次元性能指数ZTを求めた。結果を図2D及び図2Hに示す。
図2E〜図2Hのグラフから求めた、実施例3〜6に係るサンプル及び参考例3及び4に係るサンプルにおける銅原子の含有量(原子%)と、663Kにおけるゼーベック係数S、電気伝導率σ、熱伝導率κ、及び無次元性能指数ZTとの関係を示すグラフをそれぞれ図2I、図2J、図2K、及び図2Lに示す。
<X線回折>
X線回折装置(リガク社製、製品名:MiniFlex600)を用いて、第一粉体A、第二粉体A、実施例1及び2に係る熱電変換材料用粉体のX線回折パターンを得た。X線としてCuKα線を用いた。結果を図3Aに示す。図3Aにおいて、(R1)、(R2)、(P1)、及び(P2)のグラフは、それぞれ、第一粉体A、第二粉体A、実施例1に係る熱電変換材料用粉体、及び実施例2に係る熱電変換材料用粉体のX線回折パターンを示す。また、X線回折装置(リガク社製、製品名:MiniFlex600)を用いて、実施例1及び2に係るサンプル及び参考例1及び2に係るサンプルのX線回折パターンを得た。X線としてCuKα線を用いた。結果を図4Aに示す。図4Aにおいて、(S1)、(S2)、(Q1)、及び(Q2)のグラフは、それぞれ、参考例1に係るサンプル、参考例2に係るサンプル、実施例1に係るサンプル、及び実施例2に係るサンプルのX線回折パターンを示す。図3A及び図4Aにおいて、(W)はウルツ鉱のX線回折パターンを示し、(Z)は閃亜鉛鉱のX線回折パターンを示す。
X線回折装置(リガク社製、製品名:MiniFlex600)を用いて、実施例3〜6に係る熱電変換材料用粉体及び参考例3及び4に係る粉体のX線回折パターンを得た。X線としてCuKα線を用いた。結果を図3Bに示す。図3Bにおいて、(R3)、(P3)、(P4)、(P5)、(P6)、及び(R4)のグラフは、それぞれ、参考例3に係る粉体、実施例3に係る熱電変換材料用粉体、実施例4に係る熱電変換材料用粉体、実施例5に係る熱電変換材料用粉体、実施例6に係る熱電変換材料用粉体、及び参考例4に係る粉体のX線回折パターンを示す。また、X線回折装置(リガク社製、製品名:MiniFlex600)を用いて、実施例3〜6に係るサンプル及び参考例3及び4に係るサンプルのX線回折パターンを得た。X線としてCuKα線を用いた。結果を図4Bに示す。図4Bにおいて、(S3)、(Q3)、(Q4)、(Q5)、(Q6)、及び(S4)のグラフは、それぞれ、参考例3に係るサンプル、実施例3に係るサンプル、実施例4に係るサンプル、実施例5に係るサンプル、実施例6に係るサンプル、及び参考例4に係るサンプルのX線回折パターンを示す。図3B及び図4Bにおいて、カルコサイト Cu2S(JCPDS PDF No. 00-009-0328)、トロイライト FeS(JCPDS PDF No. 00-001-1247)、イソキュバナイト CuFe23(JCPDS PDF No. 01-081-1378)、カルコパイライト CuFeS2(JCPDS PDF No. 01-073-9964)、ボーナイト Cu5FeS4(JCPDS PDF No. 00-042-1405)、ピロータイト Fe78(JCPDS PDF No. 01-074-7398)、及びダイジェナイト Cu95(JCPDS PDF No. 00-047-1748)に関する参照回折パターンを示す。
図2Aに示す通り、実施例1及び2に係るサンプルのゼーベック係数は、第一粉体Aを含有しているにもかかわらず、参考例2に係るサンプルのゼーベック係数とほぼ同じであった。これに対し、図2Bに示す通り、実施例1及び2に係るサンプルの電気伝導率は、参考例2に係るサンプルの電気伝導率よりも高かった。その結果、図2Dに示す通り、実施例1及び2に係るサンプルは、参考例1及び2に係るサンプルの無次元性能指数ZTよりも高い無次元性能指数ZTを示した。
図3Aに示す通り、第一粉体A及び第二粉体Aは、ウルツ鉱型の結晶構造を有していた。一方、図4Aに示す通り、参考例1に係るサンプルは閃亜鉛鉱型の結晶構造を有し、参考例2に係るサンプルはウルツ鉱型の結晶構造を有していた。
図2Eに示す通り、実施例3及び4に係るサンプルは、p型半導体として振る舞うことが分かった。一方、実施例5及び6に係るサンプルは、n型半導体として振る舞うことが分かった。このため、第一粉体Bと第二粉体Bとの混合比を調製することによって、p型の熱電変換材料だけでなく、n型の熱電変換材料が得られることが分かった。
図3Bに示す通り、参考例3に係る粉体のX線回折パターンは、カルコサイト Cu2SのX線回折パターンに一致し、参考例4に係る粉体のX線回折パターンは、トロイライト FeSのX線回折パターンに一致していた。
図4Bに示す通りX線回折パターンから、参考例3及び4に係るサンプル並びに実施例3〜6に係るサンプルは、表2及び3に示す結晶構造を有することが分かった。
<制限視野電子線回折>
実施例1に係るサンプルから制限視野電子線回折(SAED)のための試料を作製した。作製した試料の断面のTEM画像を図5に示す。高分解能透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名:H-9000NAR)を用いて、図5のTEM画像におけるa、b、c、d、及びeの5箇所において、電子線のビーム径を280nmに調節してそれぞれ図6A、図6B、図6C、図6D、及び図6Eの制限視野回折パターン(SADP)を得た。また、図5のTEM画像におけるa、b、c、d、及びeの5箇所において、電子線のビーム径を770nmに調節してそれぞれ図9A、図9B、図9C、図9D、及び図9EのSADPを得た。画像解析ソフトウェア(Image J)を用いて、各SADPから閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度の分布及びウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の分布を求めた。図6A、図6B、図6C、図6D、及び図6EのSADPから得られた閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度の分布をそれぞれ図7A、図7B、図7C、図7D、及び図7Eに示す。図6A、図6B、図6C、図6D、及び図6EのSADPから得られたウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の分布をそれぞれ図8A、図8B、図8C、図8D、及び図8Eに示す。図9A、図9B、図9C、図9D、及び図9EのSADPから得られた閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度の分布をそれぞれ図10A、図10B、図10C、図10D、及び図10Eに示す。図9A、図9B、図9C、図9D、及び図9EのSADPから得られたウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の分布をそれぞれ図11A、図11B、図11C、図11D、及び図11Eに示す。閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度の分布は、各SADPにおいてデバイ・シェラー環の中心から閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に対応する3.13Å(オングストローム)離れた点の集合がなす円の全体で回折強度からバックグラウンドを差し引いて求めた。ウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の分布は、各SADPにおいてデバイ・シェラー環の中心からウルツ鉱の(103)面に対応する1.77Å離れた点の集合がなす円の全体で回折強度からバックグラウンドを差し引いて求めた。なお、バックグラウンドは、各SADPにおいて、デバイ・シェラー環の中心を通る直線に沿った強度プロファイルに基づいてその中心からの強度の減衰を解析し、その解析結果から、その直線と、デバイ・シェラー環の中心から3.13Å及び1.77Å離れた点の集合がなす円との交点における強度の減衰を見積もることによって決定した。
図7A、図7B、図7C、図7D、及び図7Eの閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度の分布のそれぞれにおいて、ビームストッパーの陰に当たる部分を除いて、閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度(合計強度)の平均強度(IZB(111)+IWZ(002))を求めた。加えて、図8A、図8B、図8C、図8D、及び図8Eのウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の分布のそれぞれにおいて、ビームストッパーの陰に当たる部分を除いて、ウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の平均強度IWZ(103)を求めた。図8A、図8B、図8C、図8D、及び図8Eから求めたウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の平均強度IWZ(103)を、それぞれ、図7A、図7B、図7C、図7D、及び図7Eから求めた閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する平均強度(IZB(111)+IWZ(002))で除して、電子線のビーム径が280nmであるときの、a〜eの箇所に対応するIWZ(103)/(IZB(111)+IWZ(002))の値を求めた。結果を図12及び表1に示す。
図10A、図10B、図10C、図10D、及び図10Eの閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度の分布のそれぞれにおいて、ビームストッパーの陰に当たる部分を除いて、閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する回折強度(合計強度)の平均強度(IZB(111)+IWZ(002))を求めた。加えて、図11A、図11B、図11C、図11D、及び図11Eのウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の分布のそれぞれにおいて、ビームストッパーの陰に当たる部分を除いて、ウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の平均強度IWZ(103)を求めた。図11A、図11B、図11C、図11D、及び図11Eから求めたウルツ鉱の(103)面に由来する回折強度の平均強度IWZ(103)を、それぞれ、図10A、図10B、図10C、図10D、及び図10Eから求めた閃亜鉛鉱の(111)面及びウルツ鉱の(002)面に由来する平均強度(IZB(111)+IWZ(002))で除して、電子線のビーム径が770nmであるときの、a〜eの箇所に対応するIWZ(103)/(IZB(111)+IWZ(002))の値を求めた。結果を図12及び表1に示す。
図12及び表1に示す通り、電子線のビーム径が770nmであるときのa〜eの箇所に対応するIWZ(103)/(IZB(111)+IWZ(002))の値のばらつきは小さく、770nmの電子線のビーム径に対応する面積におけるウルツ鉱の存在比及び閃亜鉛鉱の存在比は場所によらずほぼ一定であることが示唆された。一方、電子線のビーム径が280nmであるときのa〜eの箇所に対応するIWZ(103)/(IZB(111)+IWZ(002))の値は大きくばらついており、280nmの電子線のビーム径に対応する面積におけるウルツ鉱の存在比及び閃亜鉛鉱の存在比は場所によって変動することが示唆された。これらの結果より、実施例1に係るサンプルにおいて、連続的に存在している閃亜鉛鉱の相に、20〜400nmの範囲内のサイズのウルツ鉱の相が分散していることが示唆された。実施例1に係るサンプルは、閃亜鉛鉱の相にウルツ鉱の相が島状に分散している海島構造を有していた可能性が高い。

Claims (21)

  1. 200nm以下の一次粒子径の第一超微粒子を有する、銅を含む第一硫化物の第一粉体と、
    200nm以下の一次粒子径の第二超微粒子を有する、金属元素を含む第二硫化物の第二粉体と、を含有し、
    下記(i)及び(ii)の少なくとも1つの条件を満たす、熱電変換材料用粉体。
    (i)前記第一粉体を400℃以上の温度で焼結したときに第一結晶構造を有する焼結体が得られるとともに、前記第二粉体を400℃以上の温度で焼結したときに前記第一結晶構造とは異なる第二結晶構造を有する焼結体が得られる。
    (ii)前記第一硫化物は、前記第二硫化物の組成と異なる組成を有する。
  2. 前記金属元素は、銅、鉄、スズ、及び亜鉛からなる群より選択される1つである、請求項1に記載の熱電変換材料用粉体。
  3. 前記金属元素は、銅又は鉄である、請求項1又は2に記載の熱電変換材料用粉体。
  4. 前記金属元素は、銅である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  5. 前記第一粉体を400℃以上の温度で焼結して得られる第一焼結体の電気伝導率が前記第二粉体を400℃以上の温度で焼結して得られる第二焼結体の電気伝導率と異なる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  6. 前記第一焼結体の電気伝導率が前記第二焼結体の電気伝導率よりも高い、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  7. 前記第二焼結体のゼーベック係数が前記第一焼結体のゼーベック係数よりも高い、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  8. 前記第二焼結体のゼーベック係数が前記第一焼結体のゼーベック係数以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  9. 当該熱電変換材料用粉体の全量における前記第一粉体の含有率は、5〜99質量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  10. 下記(I)及び(II)の少なくとも1つの条件を満たす、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
    (I)前記第一粉体は、前記第一超微粒子が凝集して形成された、0.1〜10μmの粒子径を有する第一凝集粒子を含む。
    (II)前記第二粉体は、前記第二超微粒子が凝集して形成された、0.1〜10μmの粒子径を有する第二凝集粒子を含む。
  11. 前記第一硫化物及び前記第二硫化物の少なくとも1つは、スズをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体。
  12. 前記第一硫化物及び前記第二硫化物の少なくとも1つは、亜鉛をさらに含む、請求項11に記載の熱電変換材料用粉体。
  13. 前記(ii)の条件を満たし、
    前記第一硫化物における亜鉛の存在比が前記第二硫化物における亜鉛の存在比と異なる、請求項12に記載の熱電変換材料用粉体。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体の焼結体を備えた、熱電変換材料。
  15. 前記焼結体は、2種類以上の結晶構造を有する、請求項14に記載の熱電変換材料。
  16. 前記焼結体中に、閃亜鉛鉱型構造、ウルツ鉱型構造、スピネル構造、テトラヘドライト構造、カルコパイライト構造、コルーサイト構造、スタナイト構造、ケステライト構造、クラマイト構造、モハイト構造、ボーナイト構造、ヘムサイト構造、キュバナイト構造、スタノイダイト構造、ピロータイト構造、マーカサイト構造、デュレアイト構造、ダイジェナイト構造、カルコサイト構造、トロイライト構造、ロクスバイト構造、コベライト構造、パイライト構造、ヌクンダマイト構造、イソキュバナイト構造、及びジャーマナイト構造からなる群から選ばれる少なくとも1つが含まれる、請求項15に記載の熱電変換材料。
  17. 前記焼結体は、前記第一粉体に由来するとともに連続的に存在している第一相と、前記第二粉体に由来するとともに前記第一相に分散している第二相とを含む、請求項14〜16のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
  18. 前記焼結体は、前記第一相に前記第二相が島状に分散している海島構造を有する、請求項17に記載の熱電変換材料。
  19. 前記第二相のサイズは、20〜400nmである、請求項17又は18に記載の熱電変換材料。
  20. 前記第一相をなす結晶の電気伝導率は、前記第二相をなす結晶の電気伝導率よりも高い、請求項17〜19のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の熱電変換材料用粉体を提供することと、
    前記熱電変換材料用粉体を400℃以上の温度で焼結することと、を備えた、
    熱電変換材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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