JP2020008339A - 熱式流量計 - Google Patents

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Abstract

【課題】配管内に液体が存在しない空状態を確実に検知する。【解決手段】空状態検知部8を設け、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時のヒータ3への供給電力Pを閾値Pthと比較し、ヒータ3への供給電力Pが閾値Pthよりも小さい場合、配管2内に液体が存在しない空状態であると判断する。閾値Pthは、測定対象として想定されている液体のうち熱伝導率が最も低い液体を基準とし、この熱伝導率が最も低い液体の配管2内での流れが停止している状態での、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時の、ヒータ3への供給電力Pよりも低い値として定める。【選択図】 図1

Description

本発明は、流体における熱拡散の作用を利用して配管を流れる流体の流量を測定する熱式流量計に関する。
従来より、流路を流れる流体の流量や流速を測定する技術が工業・医療分野などで幅広く利用されている。流量や流速を測定する装置としては、電磁流量計、渦流量計、コリオリ式流量計、熱式流量計など様々な種類があり、用途に応じて使い分けられている。
熱式流量計は、気体の検出が可能であり、圧力損失が基本的にはなく、質量流量が測定できるなどの利点がある。また、流路をガラス管から構成することで、腐食性の液体の流量を測定可能とした熱式流量計も用いられている(特許文献1,2参照)。このような液体の流量を測定する熱式流量計は、微量な流量の測定に適している。
熱式流量計には、ヒータへの供給電力をセンサ出力とする方式(方式1)と、ヒータの上下流の温度差をセンサ出力とする方式(方式2)とがある。例えば、流体を水とし、この水の流量を測定する場合、ヒータ温度を水温に対し、プラス10℃など一定温度となるようにヒータへの供給する電力を制御し、この時のヒータへの供給電力またはヒータの上下流の温度差をセンサ出力(流体における熱拡散の状態に対応する値)とし、このセンサ出力から水の流量を求める。
〔方式1〕
図5は、ヒータへの供給電力から流体の流量を測定する熱式流量計の原理(方式1)を説明する図である。この方式1では、測定対象の流体が流れる配管100に水温センサ(測温素子)101とヒータ(発熱・測温素子)102とを設置し、ヒータ102の抵抗値変化から検出される温度(発熱温度)TRhと水温センサ101が検出する温度(水温)TRrとの温度差が一定値(TRh−TRr=Const)になるようにヒータ102へ供給する電力Pを制御する。このとき、流体の流量Qとヒータ102への供給電力Pとは、Q∝Pの関係となるため、ヒータ102への供給電力Pから流量Qを算出することができる。
〔方式2〕
図6は、ヒータの上下流の温度差から流体の流量を測定する熱式流量計の原理(方式2)を説明する図である。この方式2では、測定対象の流体が流れる配管100に水温センサ(測温素子)101と、ヒータ(発熱・測温素子)102と、上流温度センサ(測温素子)103と、下流温度センサ(測温素子)104とを設置し、ヒータ102の抵抗値変化から検出される温度(発熱温度)TRhと水温センサ101が検出する温度(水温)TRrとの温度差が一定値(TRh−TRr=Const)になるようにヒータ102へ供給する電力Pを制御する。このとき、上流温度センサ103が検出する流体の温度TRuと下流温度センサ104が検出する流体の温度TRdとの温度差(TRu−TRd)とは、Q∝(TRu−TRd)の関係となるため、ヒータ102の上下流の温度差(TRu−TRd)から流量Qを算出することができる。
なお、上述した方式1では、ヒータ102への供給電力Pがセンサ出力とされ、上述した方式2では、ヒータ102の上下流の温度差(TRu−TRd)がセンサ出力とされる。ここで、センサ出力をSとした場合、このセンサ出力Sは、簡易的には下記の(1)式で表されることが知られている。
S=(A+B・μ1/2)・ΔT ・・・・(1)
この(1)式において、A,Bは水温センサ101やヒータ102などの面積、流体の熱伝導率、流体の密度、流体の粘度、熱容量等から決まる定数、μは流速、ΔTはヒータ102の加熱温度(水温からの加熱温度)である。
特開2006−010322号公報 特表2003−532099号公報
このような熱式流量計では、流体を液体とした場合、配管内に液体が存在していない状態(空状態)であるか否かを判別したいニーズがある。しかしながら、従来の熱式流量計は、空状態であるか否かを判別する手段がなく、空状態と流量ゼロの状態(配管内に液体はあるがその液体の流れが停止している状態)との区別がつかなかった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、配管内に液体が存在しない空状態を確実に検知することが可能な熱式流量計を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、測定対象の液体が流れるように構成された配管(2)と、配管に設置され、電力の供給を受けて発熱するように構成されたヒータ(3)と、ヒータよりも上流側に設置され、液体の温度を検出するように構成された温度センサ(4)と、ヒータの抵抗値変化から検出されるヒータの発熱温度と温度センサによって検出される液体の温度との温度差を求め、この温度差が一定値となるようにヒータへ供給する電力を制御するように構成された制御部(5)と、制御部によって温度差が一定値となるように制御されている時の液体における熱拡散の状態に対応する値をセンサ出力(S)として出力するように構成されたセンサ出力部(6,11)と、センサ出力部からのセンサ出力に基づいて配管を流れる液体の流量を求めるように構成された流量算出部(7)と、制御部によって温度差が一定値となるように制御されている時のヒータへの供給電力(P)を予め定められている閾値(Pth)と比較し、ヒータへの供給電力が閾値よりも小さい場合、配管内に液体が存在しない空状態であると判断するように構成された空状態検知部(8)とを備えることを特徴とする。
本発明では、温度差が一定値となるように制御されている時のヒータへの供給電力を予め定められている閾値と比較し、ヒータへの供給電力が閾値よりも小さい場合、配管内に液体が存在しない空状態であると判断する。例えば、測定対象として想定されている液体のうち熱伝導率が最も低い液体を基準とし、この熱伝導率が最も低い液体の配管内での流れが停止している状態での、制御部によって温度差が一定値となるように制御されている時の、ヒータへの供給電力よりも低い値として閾値を定め、この閾値よりもヒータへの供給電力が小さい場合、配管内に液体が存在しない空状態であると判断する。
なお、上記説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の構成要素を、括弧を付した参照符号によって示している。
以上説明したように、本発明によれば、制御部によって温度差が一定値となるように制御されている時のヒータへの供給電力を予め定められている閾値と比較し、ヒータへの供給電力が閾値よりも小さい場合、配管内に液体が存在しない空状態であると判断するようにしたので、空状態と流量ゼロの状態とを区別するようにして、配管内に液体が存在しない空状態を確実に検知することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱式流量計の要部の構成を示すブロック図である。 図2は、温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時の配管を流れる液体の流量Qとヒータへの供給電力Pとの関係を示す図である。 図3は、図2における流量ゼロ点付近の拡大図である。 図4は、ヒータの上下流の液体の温度差をセンサ出力とする方式(方式2)への本発明の適用例を示す図である。 図5は、ヒータへの供給電力から流体の流量を測定する熱式流量計の原理(方式1)を説明する図である。 図6は、ヒータの上下流の温度差から流体の流量を測定する熱式流量計の原理(方式2)を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱式流量計1(1A)の要部の構成を示すブロック図である。この熱式流量計1Aは、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、配管2と、ヒータ(発熱・測温素子)3と、水温センサ(測温素子)4と、制御部5と、電力計測部(センサ出力部)6と、流量算出部7と、空状態検知部8とを備えている。
配管2は、例えばガラスからなり、測定対象の液体(この例では、水)が流れる。ヒータ3は、配管2の外壁に設置され、制御部5からの電力の供給を受けて発熱する。
水温センサ4は、ヒータ3よりも上流側の配管2の外壁に設置されており、配管2を流れる液体の温度をTRrとして検出する。この水温センサ4は、ヒータ3と水温センサ4の距離をある程度離すことにより、ヒータ3の熱影響を受けない位置に設置されている。この水温センサ4が検出する液体の温度TRrは制御部5へ送られる。
制御部5は、ヒータ3の抵抗値変化から検出されるヒータ3の発熱温度TRhと、水温センサ4からの液体の温度TRrとを入力とし、発熱温度TRhと液体の温度TRrとの温度差(TRh−TRr)を求め、この温度差が一定値(例えば、10℃)となるようにヒータ3へ供給する電力を制御する。
電力計測部6は、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時のヒータ3への供給電力Pを計測し、この計測した供給電力Pをセンサ出力(液体における熱拡散の状態に対応する値)Sとして流量算出部7へ送る。
流量算出部7は、電力計測部6からのセンサ出力S(供給電力P)を、予め設定されている流量変換式を用いて流量の値に変換することにより、配管2を流れる液体の流量Qを求める。
空状態検知部8は、電力計測部6からの流量算出部7へのセンサ出力S(供給電力P)を分岐入力とし、すなわち制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時のヒータ3への供給電力Pを分岐入力とし、この入力されるヒータ3への供給電力Pを予め定められている閾値Pthと比較し、ヒータ3への供給電力Pが閾値Pthよりも小さい場合、配管2内に液体が存在しない空状態であると判断する。
本実施の形態において、閾値Pthは、測定対象として想定されている液体のうち熱伝導率が最も低い液体を基準とし、この熱伝導率が最も低い液体の配管2内での流れが停止している状態での、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時の、ヒータ3への供給電力Pよりも低い値として定められている。
図2に、温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時の配管2を流れる液体の流量Qとヒータ3への供給電力Pとの関係を示す。図2では、測定対象として想定される液体として、「水」,「硫酸30%」、「過酸化水素50%」、「イソプロピルアルコール」、「フッ素系液体」の流量Qと供給電力Pとの関係を例示している。図3は、図2における流量ゼロ点付近の拡大図である。なお、図中、P0は配管2内に液体が存在していない空状態時における電力(空電力)を示している。
図3から分かるように、空状態時における電力P0は、流量ゼロの時よりも小さい値となる。配管2が空状態の時は、気体(空気)が満たされている状態であり、液体に比較し、気体の方が熱伝導率が低いため、ヒータ3の熱が伝わりにくくなる。その結果、ヒータ3の消費電力が小さくなり、ヒータ3への供給電力Pは小さくなる。
本実施の形態では、測定対象として想定されている液体のうち熱伝導率が最も低い液体をフッ素系液体とし、このフッ素系液体の配管2内での流れが停止している状態での、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時の、ヒータ3への供給電力Pよりも低い値を閾値Pthとして定めている。
このように、本実施の形態によれば、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時のヒータ3への供給電力Pを閾値Pthと比較し、ヒータ3への供給電力Pが閾値Pthよりも小さい場合、配管2内に液体が存在しない空状態であると判断するようにしているので、空状態と流量ゼロの状態とを区別するようにして、配管2内に液体が存在しない空状態を確実に検知することが可能となる。
なお、上述した実施の形態では、ヒータ3への供給電力をセンサ出力Sとする方式(方式1)へ本発明を適用した場合について示したが、ヒータ3の上下流の液体の温度差(TRu−TRd)をセンサ出力Sとする方式(方式2)に本発明を適用しても構わない。図4に、方式2に本発明を適用した例を示す。
図4に示した熱式流量計1(1B)では、ヒータ3の上流側の液体の温度TRuを検出する上流温度センサ(測温素子)9と、ヒータ3の下流側の液体の温度TRdを検出する下流温度センサ(測温素子)10とを、ヒータ3を挾んで配管2の外壁に設けている。また、上流温度センサ9および下流温度センサ10に対して、温度差算出部(センサ出力部)11を設けている。
温度差算出部11は、制御部5が発熱温度TRhと液体の温度TRrとの温度差(TRh−TRr)が一定値となるようにヒータ3への供給電力を制御している時の、ヒータ3の上流側の液体の温度TRuと下流側の液体の温度TRdとの温度差(ヒータ3の上下流の温度差(TRu−TRd))を算出し、この算出したヒータ3の上下流の温度差(TRu−TRd)をセンサ出力(液体における熱拡散の状態に対応する値)Sとして流量算出部7へ送る。
流量算出部7は、温度差算出部11からのセンサ出力S(ヒータ3の上下流の温度差(TRu−TRd))を、予め設定されている流量変換式を用いて流量の値に変換することにより、配管2を流れる液体の流量Qを求める。
電力計測部6は、制御部5によって温度差(TRh−TRr)が一定値となるように制御されている時のヒータ3への供給電力Pを計測し、この計測したヒータ3への供給電力Pを空状態検知部8へ送る。
空状態検知部8は、電力計測部6からのヒータ3への供給電力Pを入力とし、この入力されるヒータ3への供給電力Pを予め定められている閾値Pthと比較し、ヒータ3への供給電力Pが閾値Pthよりも小さい場合、配管2内に液体が存在しない空状態であると判断する。
また、上述した実施の形態では、流量算出部7において、センサ出力Sを流量変換式を用いて流量の値に変換するようにしたが、センサ出力Sに対応する流量Qの値が登録されている流量変換テーブルを用い、この流量変換テーブルからセンサ出力Sに対応する流量Qの値を求めるようにしてもよい。また、上述した実施の形態では、水温センサ4を配管2の外壁に設置するようにしたが、配管2の内壁に設置するようにしてもよい。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、本発明の説明では便宜のため空状態を配管2内に液体が存在しない状態と定義したが、これは配管2内に何らの液体が存在しないことを厳密に意味するものではなく、例えば液滴状の液体が少量存在する状態を包含することは明らかである。
1(1A,1B)…熱式流量計、2…配管、3…ヒータ、4…水温センサ、5…制御部、6…電力計測部、7…流量算出部、8…空状態検知部、9…上流温度センサ、10…下流温度センサ、11…温度差算出部。

Claims (5)

  1. 測定対象の液体が流れるように構成された配管と、
    前記配管に設置され、電力の供給を受けて発熱するように構成されたヒータと、
    前記ヒータよりも上流側に設置され、前記液体の温度を検出するように構成された温度センサと、
    前記ヒータの抵抗値変化から検出される前記ヒータの発熱温度と前記温度センサによって検出される液体の温度との温度差を求め、この温度差が一定値となるように前記ヒータへ供給する電力を制御するように構成された制御部と、
    前記制御部によって前記温度差が一定値となるように制御されている時の前記液体における熱拡散の状態に対応する値をセンサ出力として出力するように構成されたセンサ出力部と、
    前記センサ出力部からのセンサ出力に基づいて前記配管を流れる液体の流量を求めるように構成された流量算出部と、
    前記制御部によって前記温度差が一定値となるように制御されている時の前記ヒータへの供給電力を予め定められている閾値と比較し、前記ヒータへの供給電力が前記閾値よりも小さい場合、前記配管内に前記液体が存在しない空状態であると判断するように構成された空状態検知部と
    を備えることを特徴とする熱式流量計。
  2. 請求項1に記載された熱式流量計において、
    前記閾値は、
    前記測定対象として想定されている液体のうち熱伝導率が最も低い液体を基準とし、この熱伝導率が最も低い液体の前記配管内での流れが停止している状態での、前記制御部によって前記温度差が一定値となるように制御されている時の、前記ヒータへの供給電力よりも低い値として定められている
    ことを特徴とする熱式流量計。
  3. 請求項2に記載された熱式流量計において、
    前記測定対象として想定されている液体のうち熱伝導率が最も低い液体は、
    フッ素系液体である
    ことを特徴とする熱式流量計。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載された熱式流量計において、
    前記センサ出力部は、
    前記制御部によって前記温度差が一定値となるように制御されている時の前記ヒータへの供給電力を前記センサ出力として出力する
    ことを特徴とする熱式流量計。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載された熱式流量計において、
    前記センサ出力部は、
    前記制御部によって前記温度差が一定値となるように制御されている時の前記ヒータの上下流の液体の温度差を前記センサ出力として出力する
    ことを特徴とする熱式流量計。
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