JP2020007591A - 加工方法、加工システム及び加工プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】加工表面が複雑化しても、高精度で加工することが可能な加工方法、加工システム及び加工プログラムを提供する。【解決手段】所定の加工表面を有する造形物を形成するために、レーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる工程を含む加工方法であって、第1の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第1の工程と、前記第1の加工径であるレーザの照射領域が前記所定の加工表面の2点と接する場合に、前記第1の加工径よりも小さい第2の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第2の工程と、を有することを特徴とする加工方法。【選択図】図5

Description

本発明は、被加工物にレーザを照射し、当該被加工物を加工するための加工方法、加工システム及び加工プログラムに関する。
被加工物にレーザを照射することによって、所定の加工表面を有する造形物を形成するレーザ加工方法及びそれを用いたレーザ加工装置が知られている。
例えば特許文献1には、加工データに基づいてツールとワークとの相対的な位置関係を三次元で変化させ、前記ツールにより前記ワークを切削加工して人工歯を作製する人工歯作製装置において、前記ワークの所定の位置において作製される人工歯が収まる領域を表すデータたるマーキングデータを作成する作成手段と、前記ワークの表面に対して、前記作成手段により作成した前記マーキングデータに基づいて光を照射して、前記ワークの表面にマーキングを行うマーキング手段とを有し、前記マーキング手段は、前記マーキングデータに基づく領域を描くレーザであり、前記ワークに対してレーザ光を出射することによりマーキングを行うことを特徴とする人工歯作製装置が開示されている。
特開2017−074259号公報
上記の人工歯作成装置は、加工表面の複雑さに関わらず一定の集光径を有するレーザ光を被加工物に照射して加工を行う。このような人工歯作成装置の構成によれば、加工表面にレーザ光の集光径よりもサイズが小さい凹部があると、当該凹部を形成するためにレーザ光を照射することができない。仮に当該凹部に向けてレーザ光を照射すると、加工すべき表面以外も加工され、所望の凹部よりもサイズが大きい凹部が形成される。つまり、所望の加工表面が複雑化するほど、高精度で加工することが困難となる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、所望の加工表面が複雑化しても、高精度で加工することが可能な加工方法、加工システム及び加工プログラムを提供することである。
上記目的を達成するための主たる発明は、所定の加工表面を有する造形物を形成するために、レーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる工程を含む加工方法であって、第1の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第1の工程と、前記第1の加工径であるレーザの照射領域が前記所定の加工表面の少なくとも2点と接する場合に、前記第1の加工径よりも小さい第2の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第2の工程と、を有することを特徴とする加工方法である。本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、所望の加工表面が複雑化しても、高精度で加工することが可能な加工方法、加工システム及び加工プログラムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る加工システムの構成を説明する図である。 レーザの加工径の定義について説明する図である。 本発明の一実施形態に係る加工径取得工程について説明する図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。 本発明の一実施形態に係るレーザ照射工程を説明する断面模式図である。
===実施の形態===
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
[加工システムの構成]
先ず、本実施形態に係る加工システム100の構成について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る加工システム100の構成を説明する図である。本実施形態に係る加工システム100は、データ作成装置200と、制御装置300と、加工装置400とを備えている。
データ作成装置200は、被加工物500に形成する所定の加工表面のデータ(加工データ)及び加工経路データを作成するための装置である。データ作成装置200は、作成した加工データ及び加工経路データを制御装置300に出力する。
加工表面のデータは、目的の造形物を加工する際に制御装置300で使用するデータである。加工データは、目的の造形物の三次元データや被加工物500の三次元データに基づいて、データ作成装置200で作成される。たとえば、歯科医療用の補綴物を加工する場合、CCDカメラやX線CTにより口腔内をスキャンして得られた三次元データを使用して、加工データを作成する。目的物の三次元データは、STLデータや三次元CADで使用されるソリッドデータ或いは3Dプリンタで使用される3MFやAMF等のデータである。尚、出力されるデータの形式は、制御装置300で使用できるものであれば特に限定されない。
加工経路データは、被加工物にレーザを照射する際に、当該レーザの焦点位置を移動させる経路(加工経路)を示すデータである。加工経路データは、加工経路上に間隔を置いて配列された複数の三次元座標データを含む。加工経路データは、更に、複数の三次元座標データの各々に紐づけられた加工径データを含む。加工径データは、複数の三次元座標の各々におけるレーザの加工径を示すデータである。
ここで、本実施形態における「加工径」の定義について図面を用いて説明する。図2(a)は、レーザの加工径を説明する模式図である。この例においては、レーザの光軸に垂直な平面におけるレーザの強度分布を示している。また、この例において、レーザの強度分布は、レーザの光軸について軸対称であり、ほぼガウス分布となっている。
被加工物500を加工するためには、当該被加工物500の材質に応じた一定値以上のレーザ強度が必要である。そのために最低限必要なレーザ強度をIとすると、レーザ束の内、レーザ強度I以上を有する領域の径を加工径φとする(図2(a))。
加工経路データは、目的の造形物の三次元データ、被加工物500の三次元データ等に基づいて、データ作成装置200で作成される。
加工経路データは、更に、加工経路においてレーザの焦点位置を移動させる方向に関する情報を含む。加工経路データに含まれる加工経路は複数であってもよい。その場合、複数の加工経路の各々について、一の加工経路の中で加工が行われる順番に関する情報を含んでもよい。
加工装置400は、被加工物500にレーザを照射して、所定の加工表面を有する造形物を形成するための装置である。被加工物500は、レーザを透過する材料(透明材)またはレーザを透過しない材料(不透明材)を用いることができる。透明材は、例えば、ガラス材料や光透過性の高いガラスセラミック材料や樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)である。不透明材は、例えば、義歯材料として使用するジルコニア材料や一般的な金属材料である。なお、透明材の光透過率は100%またはそれに準ずるような高い値である必要はなく、材料内部の加工領域までレーザが届き、加工可能な程度の値であればよい。
本実施形態に係る加工装置400の構成について説明する。本実施形態に係る加工装置400は、照射部402、保持部404及び駆動機構406を有している。
照射部402は、被加工物500に対してレーザを照射する。本実施形態においては、照射部402は、レーザの発振器及び発振器からのレーザを被加工物500まで導くためのレンズ群やガルバノミラー並びにレーザ強度を調整するアッテネータ等の光学機器を含む。レーザの種類は、被加工物500を加工することができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、金属材料を加工する場合には、一般的な熱加工用の赤外線レーザを用いることができる。或いは、材料内部を直接加工する場合には、超短パルスレーザを用いることができる。超短パルスレーザは、一のパルス幅が数ピコ秒〜数フェムト秒のレーザである。超短パルスレーザを被加工物500内部の所定の位置に短時間照射することにより、アブレーション加工(非熱加工)を行うことができる。アブレーション加工は、レーザにより溶融した箇所が瞬時に蒸発、飛散し除去されるため、一般的なレーザ加工(熱加工)と比べ、熱による加工部分の損傷が少ない。アブレーション加工は、たとえば、歯科医療に用いる補綴物等、サイズが小さい目的物の加工に対して特に有効である。
保持部404は、被加工物500を保持する。被加工物500を保持する方法は、保持された被加工物500を5軸に沿って移動・回転させることができれば、特に限定されるものではない。たとえば、従来の5軸加工装置による切削加工を行う場合と同様、ディスク状の被加工物500をクランプで挟み込んで保持する方法や、ブロック状の被加工物500に金属製のピンを接着し、そのピンを保持部404に差し込んで保持する方法等が可能である。
駆動機構406は、照射部402及び保持部404を相対的に移動させる。駆動機構406は駆動用のモータ等を含む。本実施形態に係る加工装置400は、5軸(X軸、Y軸、Z軸、A回転軸(X軸回りの回転軸)、B回転軸(Y軸回りの回転軸))の駆動軸を有する。
制御装置300は、加工装置400を制御するための装置である。具体的には、制御装置300は、被加工物500内部において、加工データに対応する位置にレーザを照射できるよう、駆動機構406を制御して照射部402と保持部404(被加工物500)との相対的な位置関係を調整する。また、制御装置300は、照射部402を制御して、レーザの焦点位置、照射されるレーザの加工径等の調整を行ったり、被加工物500に対して所定時間だけレーザの照射を行ったりする。
本実施形態においては特に、制御装置300は、照射部402を制御して、レーザの加工径を調整することが可能である。レーザの加工径φは、光軸上のビームをアパーチャーなどで絞り込むなど、複数の方法で調整または制御することが可能である。特に超短パルスレーザにより加工する場合には空中で集光したビームが大気中の分子をプラズマ化した光球が観察されレーザ強度に応じて光球の明るさと径の変化を確認できる。一例として、このプラズマ化した光球によって被加工物500を加工することができる。この場合、上記のレーザ強度Iとは、大気中の分子をプラズマ化させるために必要なレーザ強度であり、上記の加工径φとは、このプラズマ化した光球の直径に相当する。
他の例として、加工径φは、照射するレーザの強度Iを調節することによって調節することが可能である。つまり、照射するレーザの強度Iを調節してガウス分布の幅を維持したままピークを増減することができ、これに伴って加工径を増減することができる。照射するレーザの強度Iは、レーザ発振器への出力信号を直接制御する方法や出力されたレーザ光の強度を外部の光学系を用いて制御することが可能である。外部の光学系によりレーザ強度を制御する方法として、例えばアッテネータを用いて調節することが可能である。本実施形態に係る制御装置300は、前述の通り、レーザの強度Iを調整するアッテネータを有している。つまり、本実施形態に係る制御装置300は、アッテネータを制御して加工径を調整することが可能である。図2(b)では、アッテネータを用いてレーザ強度を減衰させることによって、加工径φよりも小さい加工径φ´を有するレーザに切り替える例を示している。
他の例として、加工径は、レーザの集光径を調節することによって調節することが可能である。シングルモードのレーザを、焦点距離fのレンズで集光した場合に得られる最小集光径Dの理論限界値は、波長をλ、入射レーザの直径をDとすると、近似的に、D=4λf/πDと表わされる。つまり、ここでのレンズの焦点距離f、レーザの波長λ、入射レーザの直径Dを調節することによって集光径を調節することができ、ひいては加工径を調節することが可能である。図2(c)では、集光径を小さくすることによって、加工径φよりも小さい加工径φ´´を有するレーザに切り替える例を示している。
以上のようにして制御装置300が加工径を調整するには、加工径とレーザ照射条件との関係を取得しておく必要がある。ここで、レーザ照射条件とは、例えば前述したレーザの強度I、レンズの焦点距離f、レーザの波長λ、入射レーザの直径D等から選択された少なくとも1つのレーザ照射条件である。以下では、加工径とレーザ照射条件との関係を取得する方法について説明する。
図3は、加工径とレーザ照射条件との関係を取得する方法を説明する図である。本実施形態においては、レーザ照射条件としてレーザの強度Iを用いる。先ず、被加工物500と同様の材質の素材502を用意する。そして、選択されたレーザ照射条件(本実施形態においては、レーザの強度I)に係るパラメータΔの複数の値の各々について、当該素材502にレーザを照射する(図3(a))。 これによって当該素材502に形成された凹部又は貫通孔の径を加工径φk(k=1、2、3・・・)とみなし、当該パラメータΔと計測された当該加工径の散布図を作成する。この散布図から、当該パラメータにΔについて、加工径φの関数f(φ)として数式化する(図3(b))。この数式化においては、予め関数形を仮定して最適な数式を探索する。このときの関数形に特に制限は無いが、例えばn次関数(nは整数)を仮定し、最小二乗法によって最適化されたn次関数を探索してもよい。
[加工方法]
本実施形態に係る上述した加工システム100を用いた加工方法について詳細に説明する。本実施形態に係る上述した加工システム100を用いた加工方法は、制御装置300が、加工装置400を制御することによって実行される。
本実施形態に係る加工方法は、所定の加工表面Sを有する造形物を形成するために、レーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させるレーザ照射工程を含む。以下では、図面を用いて、3通りのレーザ照射工程の例について詳細に説明する。
(第1のレーザ照射工程の例)
先ず、第1のレーザ照射工程の例について説明する。図4〜図6は、この例のレーザ照射工程を説明するための模式的な断面図である。本実施形態においては、加工データとしてはSTLデータを想定しているため、加工表面Sの形状は三角形の集合で表現される。これに伴い、図4〜図6に示す模式的な断面図では、加工表面Sの形状は線分の集合で表現されている。これらの図においては、加工表面Sの3つの頂点(点A、点B、点C)が示されている。これらの図においては、加工表面S上における凹部であって、線分AC及び線分BCを含む凹部が示されている。
本実施形態において用いられるレーザは、制御装置300によって、加工経路データに含まれる加工径データに基づく加工径を有するように調整される。加工径は、前述の方法によって予め取得された、レーザ照射条件に係るパラメータΔに対する加工径φの関係(Δ=f(φ))を用いて調整される。本実施形態において用いられるレーザ照射条件に係るパラメータΔは、レーザ強度である。レーザ強度は、アッテネータを用いて調整されることができる。
第1の照射工程の例では、レーザ照射工程は、第1の工程と、第2の工程と、を有する。第1の工程は、第1の加工径φを有するレーザの焦点位置を、図4(a)に示す加工経路Pに沿って移動させる工程である。
第1の加工径φ及び加工経路Pは、データ作成装置200によって予め決定されている。第1の加工径φには特に制限は無く、例えば従来の加工方法において用いられる程度の加工径であってもよい。加工経路Pは、加工表面Sからの距離が第1の加工径φの半分である点の集合である。
第1の工程においては、図4(b)に示すように、第1の加工径φを有するレーザを用いて、被加工物500を加工する。このとき、加工経路P上をレーザの焦点位置が移動するように、駆動機構406が制御される。この例では、加工経路Pに沿って、点Aから点Bに向かう方向にレーザの焦点位置が移動している。この移動の過程で、レーザの焦点位置が加工経路P上の点Xに到達したときに、レーザの焦点位置を中心とする直径がφの円は、線分AC及び線分BCに接する。つまり、第1の加工径φであるレーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と接する。ここで照射領域とは、レーザの焦点位置を中心として、直径が当該レーザの加工径である球状の領域を意味する。この段階では、加工表面Sよりも内部が加工されることはないが、一方で点Cの近傍に加工されない領域が残る。
第2の工程は、第1の工程において第1の加工径φであるレーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と接する場合に、第1の加工径φよりも小さい加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路Pに沿って移動させる工程である。
第2の工程を行う前に、加工装置400が出力するレーザの加工径を、第1の加工径φから第2の加工径φに切り替える。ここで、第2の加工径φは第1の加工径φよりも小さく、本実施形態においては、以下のように第2の加工径φ及び加工経路Pがデータ作成装置200によって予め決定されている。
先ず、点Xと点Cとを結ぶ線分上で、点Xから所定の距離εの位置を点Xとする。そして、Xを中心として線分AC及び線分BCに接する円の直径を第2の加工径φとする(図5(a))。そして、点Xと点Xとを結ぶ線分を、加工経路Pとする(図5(a))。
第2の工程においては、制御装置300は、加工装置400が出力するレーザの加工径を、上述の数式Δ=f(φ)を用い、第2の加工径φに切り替える。
次いで、図5(b)に示すように、第2の加工径φを有するレーザを用いて、被加工物500を加工する。このとき、加工経路Pに沿って、点Xから点Xに向かってレーザの焦点位置が移動するように駆動機構406が制御される。点Xにレーザの焦点位置が移動したときに、レーザの照射領域は加工表面Sの2点と接する。この段階によって、点C近傍の領域において、第1の加工径φを有するレーザを用いた加工では加工することができなかった領域を加工することができる。
更に、第2の加工径φであるレーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と接したときに、加工装置400が出力するレーザの加工径を、第2の加工径φから第3の加工径φに切り替える。第3の加工径φは第2の加工径φよりも小さく、本実施形態においては、以下のように第3の加工径φがデータ作成装置200によって予め決定されている。
先ず、点Xと点Cとを結ぶ線分上で、点Xから距離εの位置を点Xとする。そして、Xを中心として線分AC及び線分BCに接する円の直径を第3の加工径φとする(図6(a))。そして、点Xと点Xとを結ぶ線分を、加工経路Pとする(図6(a))。
制御装置300は、加工装置400が出力するレーザの加工径を、上述の数式Δ=f(φ)を用い、第3の加工径φに切り替える。
次いで、図6(b)に示すように、第3の加工径φを有するレーザを用いて、被加工物500を加工する。このとき、加工経路Pに沿って、点Xから点Xに向ってレーザの焦点位置が移動するように駆動機構406が制御される。点Xにレーザの焦点位置が移動したときに、レーザの照射領域は加工表面Sの2点と接する。この段階によって、点C近傍の領域において、第2の加工径φを有するレーザを用いた加工では加工することができなかった領域を加工することができる。
以上と同様の手法を用いて、凹部の加工が完了するまで、第k加工径φ(k=4、5・・・)を有するレーザを用いた加工を繰り返す。なお、加工径が加工装置400によって調整可能な最小値に達するまで繰り返すことでもよいし、予め決められた回数で終了してもよい。また、所定の距離εは任意であり、上述の手法の繰り返しにおいて、本実施形態のように同じ値を用いてもよいし、異なる値を用いてもよい。
第2の工程によって凹部の加工が完了した後、制御装置300は、レーザの加工径を第1の加工径φに戻し、第1の工程を再開する。その後、第1の工程において、第1の加工径φであるレーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と再び接した場合には、制御装置300は再び第2の工程を実行し、同様に凹部を加工する。以上の工程を繰り返し、加工経路Pの全域に亘って第1の工程が完了したときに、レーザ照射工程は終了となる。
この例では、第2の工程において、第1の加工径φよりも小さい範囲で、第2の加工径φ、第3の加工径φ、・・・、といった順番で加工径を小さくしながら加工していく例を示した。しかし、これに限られるものではなく、これとは逆に、第2の工程において、第1の加工径φよりも小さい範囲で、加工径を大きくしながら加工していってもよい。
以上説明した例をまとめると、第2の工程は、レーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と接するように、レーザの加工径を、第2の加工径φ、第3の加工径φ、・・・、第nの加工径φと変化させながら、点X、点X、点X、・・・、点Xを通る加工経路Pに沿ってレーザの焦点位置を移動させる工程である。
このことは次のように言い換えることもできる。第2の加工径φ、第3の加工径φ、・・・、第nの加工径φを、改めて可変の第2の加工径φ´する。そうすると、第2の工程は、レーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と接するように、可変の第2の加工径φ´を変化させながら、レーザの焦点位置を加工経路Pに沿って移動させる工程であると言い換えることができる。このときにレーザの焦点位置が移動する加工経路Pは、所定の加工表面Sの2点と接する任意の円の中心の集合となる。
なお、以上説明した例では、レーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる過程において、レーザの照射領域が所定の加工表面Sの2点と接した場合に、レーザの加工径を小さくするように調整するとした。しかし、一般には、レーザの照射領域が所定の加工表面Sの少なくとも2点と接した場合に、レーザの加工径を小さくするように調整する。
(第2のレーザ照射工程の例)
次いで、第2のレーザ照射工程の例について説明する。図7〜図9は、この例のレーザ照射工程を説明するための模式的な断面図である。この例でも、レーザ照射工程は、第1の工程と、第2の工程と、を有する。この例では、第1のレーザ照射工程の例と比べると、第1の工程が完了した後に、第2の工程を行う点で異なっている。
図7(a)に示すように、第1の加工径φを有するレーザを照射する加工経路Pがデータ作成装置200によって決定されている。ここで、第1の加工径φは、上述した第1のレーザ照射工程の例と同様に予め決定されている。第1の工程は、図7(b)に示すように、加工経路Pの全域に亘って第1の加工径φを有するレーザの焦点位置を移動させる。第1の工程が完了すると、凹部である点Cの近傍に加工されない領域が残る。つまり、第1の工程は、粗加工工程であると言える。
第2の工程は、第1の工程の後に残った被加工物500の未加工領域に、第1の加工径φよりも小さい加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路Pに沿って移動させる工程である。つまり、第2の工程は、第1の工程の後に残った被加工物500の未加工領域を加工する仕上げ工程であると言える。
先ず、図8(a)及び図8(b)に示すように、第2の加工径φを有するレーザを用いて、被加工物500を加工する。この例では、加工経路Pに沿って、点Xから点Xに向かってレーザの焦点位置を移動させればよい。ここで、第2の加工径φ及び加工経路Pは、第1の例において用いたものと同様であり、データ作成装置200によって予め決定されている。点Xにレーザの焦点位置が移動したときに、レーザの照射領域は加工表面Sの2点と接する。この段階によって、点C近傍の領域において、第1の加工径φを有するレーザを用いた加工では加工することができなかった領域を加工することができる。
次いで、図9(a)及び図9(b)に示すように、第3の加工径φを有するレーザを用いて、被加工物500を加工する。この例では、加工経路Pに沿って、点Xから点Xに向かってレーザの焦点位置を移動させればよい。ここでも、第3の加工径φ及び加工経路Pは、第1の照射工程の例において用いたものと同様であり、データ作成装置200によって予め決定されている。点Xにレーザの焦点位置が移動したときに、レーザの照射領域は加工表面Sの2点と接する。この段階によって、点C近傍の領域において、第2の加工径φを有するレーザを用いた加工では加工することができなかった領域を加工することができる。
(第3のレーザ照射工程の例)
次いで、第3のレーザ照射工程の例について説明する。図10は、この例のレーザ照射工程を説明するための模式的な断面図である。この例でも、レーザ照射工程は、第1の工程と、第2の工程と、を有する。この例では、第2のレーザ照射工程の例と比べると、第2の工程が異なっている。
この例では、第1の工程が完了するまでは、第2のレーザ照射工程の例と共通である(図7(a)及び図7(b))。第2のレーザ照射工程の例と同様に、第1の工程は、粗加工工程であると言える。
第2の工程は、第1の工程の後に残った被加工物500の未加工領域に、第1の加工径φよりも小さい加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる工程である。つまり、第2の工程は、第1の工程の後に残った被加工物500の未加工領域を加工する仕上げ工程であると言える。
この例では、第2の工程において、第1の加工径φよりも小さい第2の加工径φを有するレーザを用いる。第2の加工径φは、予め設定された値である。第2の加工径φは、加工表面Sにおける凹凸形状を考慮して設定すればよく、加工表面S上の任意の凹部を加工するために十分小さい加工径とすればよい。
この例では、図10(a)に示すように、レーザを照射する加工経路Pが、データ作成装置200によって決定されている。加工経路Pは、加工表面Sからの距離が第2の加工径φの半分である点の集合である。
第2の工程においては、図10(b)に示すように、第2の加工径φを有するレーザを用いて、被加工物500を加工する。このとき、前述の第1の加工径φを有するレーザを用いた加工によって加工されなかった領域のみを加工すればよいため、加工経路Pの全域に亘ってレーザの焦点位置を移動させる必要はない。この例では、加工経路PにおけるXの近傍(図10(b)のP´)においてレーザの焦点位置を移動させればよい。この段階によって、点C近傍の領域において、第1の加工径φを有するレーザを用いた加工では加工することができなかった領域を加工することができる。
[加工プログラム]
本実施形態に係る加工装置400を制御するプログラムは、制御装置300に読み込まれて実行される。
本実施形態に係る加工プログラムは、上述した加工方法を、制御装置300に実行させるためのプログラムである。つまり、本実施形態に係る加工プログラムは、制御装置300に、データ作成装置200が作成した被加工物500に形成する加工表面Sのデータ及び加工経路データを格納させる。次いで、制御装置300に、加工表面Sを有する造形物を形成するために、被加工物500に照射するレーザの加工経路を設定させる。
更に、制御装置300に、加工経路データに含まれる加工径データに基づいてレーザの加工径を調整させる。加工経路データは、加工表面の形状に基づいて決定されている。特に、加工経路データに含まれる加工径データは、加工表面の凹凸形状に基づいて決定されている
以上、本実施形態に係る加工方法、それを実行するための加工システム100及び加工プログラムについて説明した。本実施形態に係る加工方法は、所定の加工表面を有する造形物を形成するために、レーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる工程を含む加工方法であって、第1の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第1の工程と、第1の加工径であるレーザの照射領域が所定の加工表面の少なくとも2点と接する場合に、第1の加工径よりも小さい第2の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第2の工程と、を有する
従来の加工方法によれば、加工表面の凹凸形状に関わらず一定の加工径を有するレーザを用いて加工していた。そのため、加工表面が当該加工径よりもサイズが小さい凹部を有する場合に、当該凹部に向けてレーザを照射することができないといった制約があった。そのため、従来の加工方法によれば、加工表面が複雑化すると、高精度で加工することが困難になる。
本実施形態に係る加工方法によれば、上記のような制約が緩和されるため、従来の加工方法では形成することができなかったサイズの凹部を形成することができる。従って、本実施形態に係る加工方法によれば、加工表面が複雑化しても、高精度で加工することが可能である。
更に、本実施形態に係る加工方法によれば、従来の加工方法で加工することができる加工表面に対しては従来の加工方法を用いることができ、従来の加工方法によって加工することができない加工表面に対してのみ従来よりも小さい加工径を有するレーザを用いて加工するため、加工時間が著しく長期化することがない。
更に、本実施形態に係る加工方法によれば、第1の工程によって、第1の加工径を有するレーザで加工が可能な最大限の領域を加工することができるため、第2の工程において加工すべき領域を最小限に抑えることができる。これによって、加工効率が向上する。
本実施形態に係る加工方法において、第2の工程は、レーザの照射領域が所定の加工表面の少なくとも2点と接するよう第2の加工径を変化させながら、レーザの焦点位置を前記所定の加工経路に沿って移動させる。これによって、駆動機構406によって制御される照射部402と保持部404(被加工物500)との相対的な動作の範囲が小さく抑えられる。これによって、加工効率が向上する。
本実施形態に係る加工方法において、第2の加工径は、予め設定された加工径である。これによって、第2の加工径を制御する必要がないため、第2の工程におけるレーザの焦点位置の移動速度について制約がない。これによって、加工効率が向上する。
本実施形態に係る加工方法において、第1の工程は、粗加工工程であり、第2の工程は、第1工程の後に残った未加工領域を加工する仕上げ工程である。これによって、照射部402によるレーザの加工径の制御が、第1の工程におけるレーザの焦点位置の移動速度に追従できない場合であっても、第1の工程の後に第2の工程を実行することによって、第2の工程による仕上げ加工が可能になる。
本実施形態に係る加工方法によれば、第1の加工径及び第2の加工径は、予め取得されたレーザ照射条件に対する加工径の関係を用いて調整される。これによって、所望の加工径に調整するためのレーザ照射条件を自由に選択することができる。
上述の本実施形態に係る加工方法を実施するための加工システム100を構成することができる。このような加工システム100を用いて実施することにより、上記と同様の効果が得られる。
更に、上術の本実施形態に係る加工方法を実施するための加工プログラムを構成することができる。このような加工プログラムを加工システム100において実行することにより、上記と同様の効果が得られる。
上記実施形態の加工方法を実施する加工プログラムが記憶された非一時的なコンピューター可読媒体(non-transitory computer readable medium with an executable program thereon)を用いて、コンピューターにプログラムを供給することも可能である。なお、非一時的なコンピューターの可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、CD−ROM(Read Only Memory)等がある。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する変更点は、可能な限り組み合わせて適用してもよい。
100・・・加工システム 200・・・データ作成装置 300・・・制御装置 400・・・加工装置 402・・・照射部 404・・・保持部 406・・・駆動機構 500・・・被加工物 502・・・素材

Claims (7)

  1. 所定の加工表面を有する造形物を形成するために、レーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる工程を含む加工方法であって、
    第1の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第1の工程と、
    前記第1の加工径であるレーザの照射領域が前記所定の加工表面の少なくとも2点と接する場合に、前記第1の加工径よりも小さい第2の加工径を有するレーザの焦点位置を所定の加工経路に沿って移動させる第2の工程と、
    を有することを特徴とする加工方法。
  2. 前記第2の工程は、前記レーザの照射領域が前記所定の加工表面の少なくとも2点と接するよう前記第2の加工径を変化させながら、前記レーザの焦点位置を前記所定の加工経路に沿って移動させることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記第2の加工径は、予め設定された加工径であることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
  4. 前記第1の工程は、粗加工工程であり、
    前記第2の工程は、前記第1工程の後に残った未加工領域を加工する仕上げ工程であることを特徴とする請求項2または3に記載の加工方法。
  5. 前記第1の加工径及び前記第2の加工径は、予め取得されたレーザ照射条件に対する加工径の関係を用いて調整されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の加工方法。
  6. 被加工物に形成する所定の加工表面のデータ及び加工経路のデータを作成するデータ作成装置と、
    レーザの焦点位置を前記加工経路に沿って移動させ、前記所定の加工表面を有する造形物を形成する加工装置と、
    前記加工装置を制御する制御装置であって、前記レーザの照射領域が前記所定の加工表面の少なくとも2点と接する場合に、前記レーザの加工径を小さくする制御装置とを備えた加工システム。
  7. 被加工物に形成する加工表面のデータを格納し、
    前記加工表面を有する造形物を形成するために、前記被加工物に照射するレーザの加工経路を設定し、
    前記加工経路に沿って焦点位置が移動する前記レーザの照射領域が前記加工表面の少なくとも2点と接する場合に、前記レーザの加工径を小さくすることを制御装置に実行させるための加工プログラム。

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