JP2020007581A - 成膜レートの予測装置、成膜レートの予測方法、および成膜レートの予測プログラム - Google Patents

成膜レートの予測装置、成膜レートの予測方法、および成膜レートの予測プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも膜厚の予測値の精度を向上することができる成膜レートの予測装置を提供する。【解決手段】マグネトロンスパッタ装置におけるターゲットの成膜レートの予測装置であって、下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出する算出部を備えている。R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm2)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)【選択図】図3

Description

本発明は、成膜レートの予測装置、成膜レートの予測方法、および成膜レートの予測プログラムに関する。
従来、マグネトロンスパッタリングにおいて、基板上に成膜されたターゲット材料の膜厚を予測することにより、基板作成における試行錯誤を抑制し、無駄な試作を抑制することが求められている。
そこで、特許文献1には、エロージョン分布から求めたスパッタ粒子発生頻度係数と、スパッタ粒子の到達率と、を用いて膜厚を予測する方法が開示されている。
特開2000−1777号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の膜厚の予測方法では、膜厚の予測値の精度に改善の余地があった。
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、従来よりも膜厚の予測値の精度を向上することができる成膜レートの予測装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る成膜レートの予測装置は、基板上に成膜する素材である平板状のターゲットと、前記ターゲットに対向させて配置された前記基板と、前記ターゲットの裏面に配置され、前記ターゲット側に正極を対向させた磁性体及び負極を対向させた磁性体をそれぞれ複数配置されたマグネットユニットと、を備え、前記ターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、前記ターゲットの成分を前記基板に成膜するマグネトロンスパッタ装置における前記ターゲットの成膜レートの予測装置であって、下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出する算出部を備えている。
R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)
R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)
また、前記算出部は、数式(1)に基づいて前記成膜レートを算出する際に、前記マグネトロンスパッタ装置から入手した前記ターゲットのスパッタ量Tを用いてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る成膜レートの予測方法は、基板上に成膜する素材である平板状のターゲットと、前記ターゲットに対向させて配置された前記基板と、前記ターゲットの裏面に配置され、前記ターゲット側に正極を対向させた磁性体及び負極を対向させた磁性体をそれぞれ複数配置されたマグネットユニットと、を備え、前記ターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、前記ターゲットの成分を前記基板に成膜するマグネトロンスパッタ装置における前記ターゲットの成膜レートの予測方法であって、下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出する。
R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)
R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る成膜レートの予測プログラムは、基板上に成膜する素材である平板状のターゲットと、前記ターゲットに対向させて配置された前記基板と、前記ターゲットの裏面に配置され、前記ターゲット側に正極を対向させた磁性体及び負極を対向させた磁性体をそれぞれ複数配置されたマグネットユニットと、を備え、前記ターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、前記ターゲットの成分を前記基板に成膜するマグネトロンスパッタ装置における前記ターゲットの成膜レートの予測方法プログラムであって、コンピュータに、下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出させる算出機能を実現させる。
R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)
R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)
本発明の一態様に係る成膜レートの予想装置では、ターゲットのスパッタ率S、ターゲットと基板との間に印可される電力の強さP、およびターゲット原子の直径Atを用いて、算出部が成膜レートを算出する。このため、例えば前述したように、スパッタ粒子発生頻度係数と、スパッタ粒子の到達率と、を用いて膜厚を算出する従来の膜厚の予測方法と比較して、電子やターゲット原子の挙動に影響を与える因子を考慮することで、単位時間当たりに基板に堆積されるターゲット原子の膜厚を、正確に評価することができる。これにより、従来よりも膜厚の予測値の精度を向上することができる。
マグネトロンスパッタ装置の構成例を示す断面図である。 (a)〜(f)は、マグネトロンスパッタリングの概念を説明するための説明図である。 成膜レートの予測装置の構成例を示すブロック図である。 コサイン則を説明するための説明図である。 検証試験における(a)実施例における実測値と予測値との相関図、(b)比較例における実測値と予測値との相関図である。
以下、本発明の一実施態様に係る成膜レートの予測装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施の形態>
<構成>
本実施の形態に係る成膜レートの予測装置は、マグネトロンスパッタリングによりスパッタリングを行うマグネトロンスパッタ装置において、基板上に成膜された薄膜における単位時間当たりの膜厚、すなわち成膜レートを予測する。まず、成膜レートの予測装置を構成するマグネトロンスパッタ装置100について説明する。
図1は、マグネトロンスパッタ装置100の構成を示す断面図である。本実施の形態に係る成膜レートの予測装置500は、図1に示すマグネトロンスパッタ装置100に備えられた基板132に成膜される薄膜における成膜レートを予測する。
図1に示すようにマグネトロンスパッタ装置100は、マグネットユニット110と、ターゲット取付部120と、ターゲット131と、基板132と、ステージ140と、チャンバー150と、防着板160aと、防着板160bとを備える。
図1に示すように、ターゲット131と、基板132と、ステージ140と、防着板160a、160bとは、チャンバー150内に設けられる。図示していないがチャンバー150は、開閉自在に構成されており、チャンバー150を開けた状態で、ターゲット131が固定されたターゲット取付部120を取り付けたり、基板132をステージ140上に載置することができる。
マグネットユニット110は、ターゲット131に対して、N極を対向させた磁性体112a、112dと、S極を対向させた磁性体112b、112cと、を内部に含み、軸111を中心として回転する円盤状のユニットである。
なお、以降、本実施の形態において磁性体を総称する場合は、磁性体112と記載する。磁性体112の数量は、図面に記載された数量に限定されることなく、任意に変更可能である。また、磁性体112としては、ここでは、磁石を用いることとするが、磁場を発生するものであれば、磁石以外のもの(例えば、コイル)を用いることとしてもよい。
ターゲット取付部120は、ターゲット131を取り付けるための部材であり、導電性の素材からなる。
ターゲット131は、基板132上に薄膜を形成する素材である。ターゲット131には、例えば、アルミニウム、チタン、ニッケル、金など基板132上に成膜したい各種の金属を用いることができる。ターゲット131は、成膜前にターゲット取付部120に取り付けられる。ターゲット131は、成膜後にはターゲット取付部120から取り外すことができる。
基板132は、ターゲット131を成分とする薄膜が形成される対象である。本実施形態では、基板132は円盤状をなしている。基板132は、成膜前にステージ140上に載置され、成膜後にステージ140から取り外される。なお、基板132は円盤状に限られず、例えば矩形状等であってもよい。
ステージ140は、基板132を載置するための装置である。
チャンバー150は、不活性ガスを注入するための注入孔を有し、不活性ガス注入器180と接続される。ここで、不活性ガス注入器180は、不活性ガスをチャンバー150に注入する機器であり、チャンバー150と着脱自在に接続される。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンを用いる。
また、チャンバー150は、内部の空気を排出する排出孔を有し、内部の空気を吸収して、真空状態にするための真空装置190と接続される。ここで、真空装置190は、チャンバー150内の空気を吸出して、チャンバー150内部を真空状態にすることができる。
不活性ガスは、真空装置190により、チャンバー150内が真空状態になってから注入される。
防着板160a、160bは、円筒状の導電性の板であり、ターゲットから飛散するターゲット原子が、チャンバー150内に付着するのを防止するために設けられている。
ターゲット取付部120とステージ140とには、電源130が接続される。ターゲット取付部120には電源130の負極側が、ステージ140には電源130の正極側が接続される。したがって、ターゲット取付部120とターゲット131とで負極となり、ステージ140と基板132とで正極となって、ターゲット131と基板132との間に電圧が印加される。
図1においては、負極として作用する場所を点線171で、正極として作用する場所を点線170で示している。電源130は、ターゲット取付部120とステージ140との間に電圧を印加する。なお、ここで、ターゲット取付部120とステージ140各々が電極として作用してもよいし、それぞれの表面に電極を設けて電圧を印加する構成としてもよい。
マグネトロンスパッタ装置100においては、真空装置190がチャンバー150内を真空状態にした後に、不活性ガス注入器180からアルゴンガスがチャンバー150内に注入される。チャンバー150内がアルゴンガスで充填されると、電源130からターゲット131と基板132との間に電圧が印加されるとともに、マグネットユニット110が軸111を中心として、モーター(図示せず)の駆動により回転する。
ここで、マグネトロンスパッタ装置100におけるマグネトロンスパッタリングの原理について簡単に説明する。図2(a)〜(f)は、マグネトロンスパッタ装置100におけるマグネトロンスパッタリングの概念を説明するための概念図である。ここでは、一例として、チャンバー150内に封入される不活性ガスをアルゴンガスとし、ターゲット131はニッケルであるとする。
図2(a)に示すように、マグネトロンスパッタ装置100に電源130から電圧が印加されると、ターゲット131と基板132との間に矢印401に示されるように電界が発生する。矢印401は、電子が運動する方向を示している。また、磁性体112により、図2(a)の矢印402に示されるように磁界が発生する。
ターゲット131と基板132との間に発生した電界中の電子411は、図2(b)に示すように、磁性体112により発生する磁界に補足される。上述の通り、チャンバー150内にはアルゴンガスが充填されており、補足された電子411は、図2(c)に示すように、チャンバー150内に充填されたアルゴンガスに基づくアルゴン分子431と衝突する。この衝突によって、アルゴン分子431は、アルゴンイオン432と電子433とに分離する。
分離して発生したアルゴンイオン432は、正の極性を有するため、図2(d)に示すように、負極側、即ち、ターゲット131側に引き寄せられる。その結果、アルゴンイオン432は、ターゲット131と衝突する。
図2(e)に示すように、ターゲット131と衝突したアルゴンイオン432は、ターゲット131内に埋没するか、電子を受け取りアルゴン分子となる。その一方で、ターゲット131に対するアルゴンイオン432の衝突により、ターゲット原子、即ち、ニッケル原子435が放出される。放出されたニッケル原子435は、図2(f)に示すように基板132上に付着する。このようにして、基板132上にターゲット131の成分が成膜される。
そして本実施の形態に係る成膜レートの予測装置500は、図1に示すようなマグネトロンスパッタ装置100において、基板132上に成膜された薄膜における膜厚レートを予測する。以下、成膜レートの予測装置500について詳細に説明する。
図3は、成膜レートの予測装置500の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、成膜レートの予測装置500は、通信部501と、記憶部502と、制御部503とを備える。
通信部501は、外部の装置と通信を実行する機能を有する。通信部501は、ターゲット131のスパッタ量をマグネトロンスパッタ装置100から入手する受付部として機能する。通信部501は、ターゲット131の面積、ターゲット131と基板132との間に印可される電力の強さを受け付ける。
また、通信部501は、算出部504が算出した成膜レートを出力する出力部として機能する。
通信部501は、外部の装置と通信を実行できれば、その通信形態は、有線、無線を問うものではない。また、通信に用いる通信プロトコルとしても、外部の装置との通信ができるものあれば、通信規格を問うものではない。
外部の装置としては、例えば、摩耗度情報や膜厚情報を表示するモニターや、それらの情報をプリントアウトするためのプリンター、成膜レートの予測装置500に情報を入力するためのマウスやキーボードなどの入力機器、配置情報や磁力強度情報を保持する記録媒体などが考えられる。
通信部501は、ターゲット131のスパッタ量、ターゲット131の面積、ターゲット131と基板132との間に印可される電力の強さを受け付けると、制御部503に伝達する。また、通信部501は、制御部503からの指示にしたがって、伝達された成膜レートを外部の装置に送信する。
記憶部502は、成膜レートの予測装置500が動作上必要とする各種プログラム及びデータを記憶する機能を有する記憶媒体である。記憶部502は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等、各種の記録媒体により実現できる。
記憶部502は、成膜レートを算出するために用いる数値であり、後述する補正係数α、ターゲット131のスパッタ率、ターゲット131と基板132との間の距離情報、およびターゲット原子の直径(mm)、を記憶している。
制御部503は、成膜レートの予測装置500の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部503は、基板132に成膜された薄膜における膜厚レートを算出する算出部504を備えている。
制御部503は、通信部501からターゲット131のスパッタ量、ターゲット131の面積、ターゲット131と基板132との間に印可される電力の強さが伝達されると、記憶部502に記憶する。
そして、本実施の形態に係る算出部504は、下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出する。算出部504は、記憶部502に記憶された成膜レート算出プログラムを用いて、成膜レートを算出する。
Figure 2020007581
ここで、Rは成膜レート(nm/min)、αは補正係数を示す。
補正係数αは、大きさの異なる複数の基板132における成膜レートの予測結果を、一律に評価するための係数であり、経験的に求められる値である。本実施形態では、基板132が、2インチに相当する大きさの場合には、α1=6832.67とし、基板132が、8インチに相当する大きさの場合には、α2=253.56とした。
Tはターゲット131のスパッタ量(−)を指す。
ターゲット131のスパッタ量Tとは、実際にターゲット131から放出されたターゲット原子、即ち前述した説明では、ニッケル原子435の放出の程度を示す無次元量である。
スパッタ量Tは、マグネトロンスパッタ装置100から通信部501を介して算出部504に伝達される。
Sはターゲット131のスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)を示す。
スパッタ率とは、元素の種類によって決まる定数であり、アルゴンイオン432の衝突により、ターゲット131から放出されるターゲット原子、即ち前述した説明では、アルゴンイオンに対するニッケル原子435の数量の比率を指している。
スパッタ率の代表値について例示する。
アルゴンイオン432の衝突エネルギーが500eVの場合、各元素におけるスパッタ率は、鉄:0.84、銅:2.55、鉛:2.08、銀:3.12、錫:1.40、金:2.40である。
[cos]はコサイン則を示す。
すなわち、算出部504は、ターゲット131における薄膜の膜厚を、所謂コサイン則を用いて予測する。算出部504は、コサイン則に予測したターゲット131の摩耗度を適用して、基板132上に形成された薄膜の膜厚を予測する。コサイン則を用いた膜厚予測は広範に知られており、ターゲット131の蒸発分布に応じて、膜厚を予測する。
算出部504は、コサイン則として、下記数式(2)を用いる。
Figure 2020007581
ここで、ターゲット131の蒸発分布がSpherical(球状)である場合は、算出部504は数式(2)においてn=3とする。
また、算出部504は、ターゲット131の蒸発分布がcos0.5θ分布に従う場合は、数式(2)においてn=3.5とする。本書面において、θは、蒸発源にたてた法線から基板132における膜厚予測点(図4の付着点602参照)までの開き角を示す(図4のθ参照)。
また、算出部504は、ターゲット131の蒸発分布がcosθ分布に従う場合は、数式(2)においてn=4とし、ターゲット131の蒸発分布がcosθ分布に従う場合は、数式(2)においてn=5とする。さらに算出部504は、ターゲット131の蒸発分布がcosθ分布に従う場合は、数式(2)においてn=6とする。
ここでhは、ターゲット131と基板132との間の距離、即ち、蒸発源直上から基板132までの長さ(高さ)を示している。lは、ターゲット131からスパッタした箇所(蒸発源)から基板132に付着する箇所までの水平方向の距離を示している。図4には、hとlとの関係を分かりやすくするための関係図を示しているので、そちらも参照されたい。
図4に示すように、衝突点(蒸発源)600において、不活性ガスイオンがターゲット131に衝突した際に矢印601で示す方向にターゲット131の原子が飛散し、付着点602に付着したとする。このときの、衝突点600から基板132におろした垂線の長さがhであり、当該垂線と基板132との交点から付着点602までの距離がlである。
tはターゲット131の表面における面積(mm)を示す。
ここで、∫T×S×[cosθ]dtとは、前述したスパッタ量T、スパッタ率S、およびコサイン則[cosθ]の積を、ターゲット131の表面全体で積分することを表している。
また、Pはターゲット131と基板132との間に印可される電力の強さ(W)を示す。
ターゲット131と基板132との間に印可される電力の強さが強くなることで、ターゲット131と基板132との間に位置する電子411が、アルゴン分子431に激しく衝突することとなる。これにより、アルゴン分子431からのアルゴンイオン432の分離が促され、アルゴンイオン432のターゲット131への衝突が増加することで、ターゲット原子が基板132上に成膜される量が増加する。
また、Atはターゲット原子の直径(mm)を示す。ターゲット原子の大きさは既知の値として、あらかじめ記憶部502に記憶されている。ターゲット原子の大きさが大きいほど、基板132上に成膜される薄膜の厚みが大きくなる。
<まとめ>
以上に説明したように、本実施の形態に係る成膜レートの予測装置500は、ターゲット131のスパッタ率S、ターゲット131と基板132との間に印可される電力の強さP、およびターゲット原子の直径Atを用いて、算出部504が成膜レートを算出する。
このため、例えば前述したように、スパッタ粒子発生頻度係数と、スパッタ粒子の到達率と、を用いて膜厚を算出する従来の膜厚の予測方法と比較して、電子やターゲット原子の挙動に影響を与える因子を考慮することで、単位時間当たりに基板に堆積されるターゲット原子の膜厚を、正確に評価することができる。これにより、従来よりも膜厚の予測値の精度を向上することができる。
また、算出部504が、成膜レートを算出する際に、マグネトロンスパッタ装置100から入手したターゲット131のスパッタ量Tを用いるので、マグネトロンスパッタ装置100で実際に計測したスパッタ量Tを用いて成膜レートを計算することができる。このため、例えば予め予測されるスパッタ量を記憶して、その値を計算に用いるような方法と比較して、より一層正確に成膜レートを計算することができる。
<検証試験>
次に、本発明の効果を確認するための検証試験について説明する。
この検証試験では、実施例として本発明の一実施態様に係る成膜レートの予測装置を採用した。また比較例として、数式(1)からターゲットのスパッタ率S、ターゲットと基板との間に印可される電力の強さP、およびターゲット原子の直径Atを除いた数式により、成膜レートを算出した成膜レートの予測装置を採用した。
各予測装置において、ターゲット131の面積と、ターゲット原子の種類と、を変更して、一定数のサンプルを評価した。そして、算出した成膜レートの予測値と、実際の成膜レート(実測値)と、を比較した。その結果を図5に示す。
ここで、図5(a)および図5(b)において、ターゲット原子の違いと、基板132の面積の違いにより、●、▲、◇の各記号が区別されている。
図5(a)に示すように、実施例により算出した成膜レートでは、予測値が実測値に対して概ね±20%以内に収まっていることが確認された。また、予測値と実測値との相関の程度を示す指標(以下、相関値という)は0.93となっている。ここで、この相関値は、値が大きいほど、両者の相関が強いことを意味する。
一方、図5(b)に示すように、比較例により算出した成膜レートでは、予測値が実測値に対して±20%以内に収まっていないことが確認された。また、予測値と実測値との相関値は−2.46となっている。すなわち、実施例により算出した成膜レートは、比較例により算出した成膜レートよりも実測値に近い値となっていることが確認された。
次に、各サンプルでの違いについて例示する。
図5(b)に示す比較例での701aのサンプルでは、予測値が実測値に対して−20%よりも大幅に小さい値となっている。一方、図5(a)に示す実施例での701bのサンプルでは、予測値が実測値に対して+20%以内となっている。
また、図5(b)に示す比較例での702aのサンプルでは、予測値が実測値に対して−20%よりも小さい値となっている。一方、図5(a)に示す実施例での702bのサンプルでは、予測値が実測値と近い値となっている。
以上のように、本発明の成膜レートの予測方法により、膜厚の予測値の精度を向上することができることが確認された。
<補足>
本実施の形態に係る成膜レートの予測装置500を実現するための手法は、上記実施の形態に示した態様に限定されるものではない。以下、各種の変形例について説明する。
(1)上記実施の形態においては、マグネトロンスパッタ装置100において、マグネットユニット110を回転させる構成を示したが、マグネットユニット110は必ずしも回転させる必要はなく、円盤状に構成される必要もない。磁界が形成され、電子が移動し、不活性ガスの成分と衝突して、イオン分子が生成できるようになっていれば、マグネットユニット110は、その他の形状でもよく、例えば、矩形状に構成して、回転させないように構成してもよい。成膜レートの予測装置500は、マグネットユニットの形状に依らずに、基板132に成膜される薄膜における薄膜レートを算出することができる。
(2)また、上記実施の形態においては、算出部504が成膜レート算出プログラムを実行することにより実現することとしているが、このような態様に限られない。
例えば、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
また、上記成膜レート算出プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記成膜レート算出プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記摩耗予測プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
(3)上記実施の形態及び各補足に示した構成は、適宜組み合わせることとしてもよい。
100 マグネトロンスパッタ装置
131 ターゲット
132 基板
190 真空装置
500 成膜レートの予測装置
503 制御部
504 算出部

Claims (4)

  1. 基板上に成膜する素材である平板状のターゲットと、
    前記ターゲットに対向させて配置された前記基板と、
    前記ターゲットの裏面に配置され、前記ターゲット側に正極を対向させた磁性体及び負極を対向させた磁性体をそれぞれ複数配置されたマグネットユニットと、を備え、
    前記ターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、前記ターゲットの成分を前記基板に成膜するマグネトロンスパッタ装置における前記ターゲットの成膜レートの予測装置であって、
    下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出する算出部を備えている成膜レートの予測装置。
    R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)
    R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)
  2. 前記算出部は、数式(1)に基づいて前記成膜レートを算出する際に、前記マグネトロンスパッタ装置から入手した前記ターゲットのスパッタ量Tを用いることを特徴とする請求項1に記載の成膜レートの予測装置。
  3. 基板上に成膜する素材である平板状のターゲットと、
    前記ターゲットに対向させて配置された前記基板と、
    前記ターゲットの裏面に配置され、前記ターゲット側に正極を対向させた磁性体及び負極を対向させた磁性体をそれぞれ複数配置されたマグネットユニットと、を備え、
    前記ターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、前記ターゲットの成分を前記基板に成膜するマグネトロンスパッタ装置における前記ターゲットの成膜レートの予測方法であって、
    下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出する成膜レートの予測方法。
    R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)
    R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)
  4. 基板上に成膜する素材である平板状のターゲットと、
    前記ターゲットに対向させて配置された前記基板と、
    前記ターゲットの裏面に配置され、前記ターゲット側に正極を対向させた磁性体及び負極を対向させた磁性体をそれぞれ複数配置されたマグネットユニットと、を備え、
    前記ターゲットと前記基板との間に電圧を印加して、前記ターゲットの成分を前記基板に成膜するマグネトロンスパッタ装置における前記ターゲットの成膜レートの予測方法プログラムであって、
    コンピュータに、下記数式(1)に基づいて、成膜レートを算出させる算出機能を実現させる成膜レートの予測プログラム。
    R=α×∫T×S×[cosθ]dt×P/At…(1)
    R:成膜レート(nm/min)、α:補正係数、t:ターゲットの面積(mm)、T:ターゲットのスパッタ量(−)、S:ターゲットのスパッタ率(原子/イオン又は分子/イオン)、[cos]:コサイン則、P:ターゲットと基板との間に印可される電力の強さ(W)、At:ターゲット原子の直径(mm)
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