JP2020004674A - 表示パネル製造装置および表示パネル製造方法 - Google Patents

表示パネル製造装置および表示パネル製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー加工により薄膜のパターンニングを行って、工数や製造コストの低減を図りつつ、表示パネルの品質を損なわないようにする。【解決手段】有機膜を含む複数の薄膜が基板上に積層されてなる表示パネルを製造する表示パネル製造装置であって、真空チャンバー内に薄膜付基板110を収納した状態で、薄膜をパターニングする薄膜パターニング装置200を備え、真空チャンバー221は、レーザー光を透過する帯状の窓ガラス222を有している。レーザー加工装置210は、真空チャンバー221の外部に配されており、基板移動部230で薄膜付基板110を移動させつつ、窓ガラス222を介してレーザー光LBを薄膜付基板110に向けて射出することにより、薄膜付基板110の全加工領域にレーザー加工を行う。【選択図】図1

Description

本開示は、有機膜を含む複数の薄膜が基板上に積層されてなる表示パネルの製造装置および製造方法に関し、特に、薄膜をパターニングする技術に関する。
近年、テレビジョン等の表示装置に用いられる表示パネルとして、基板上に有機EL素子をマトリックス状に複数配列した有機EL表示パネルが実用化されている。
有機EL表示パネルでは、一般に各有機EL素子の発光層と、隣接する有機EL素子とは絶縁材料からなる隔壁で仕切られており、カラー表示用の有機EL表示パネルにおいては、有機EL素子が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)(以下、単にR、G、Bという。)の各色に発光する副画素を形成し、隣り合うR、G、Bの副画素が組合わさってカラー表示における単位画素が形成されている。
各有機EL素子は、一対の電極の間に有機発光層を含む複数の薄膜を積層してなり、駆動時には、一対の電極対間に電圧を印加し、発光層に注入される正孔と電子との再結合に伴って発光するようになっている。
通常、このような有機EL表示パネルの製造工程においては、特定の薄膜をパターニングする工程を伴う。従来から行われていた薄膜のパターニングの手法では、例えば、当該薄膜の上にフォトリソグラフィ法を用いてパターン化されたレジストマスクを形成した後、エッチング法などにより当該薄膜の不要な部分を除去してパターニングするようにしている。
しかしながら、上述のような従来のパターニング方法では、レジスト膜の形成工程、フォトマスクによるレジスト膜の露光工程、露光されたレジスト膜の現像工程、エッチングによる薄膜の不要部分の除去工程、エッチング後のレジスト膜の除去工程、除去後の洗浄工程など多数の工程が必要となり、タクトタイムの短縮や製造コストの低減が著しく困難である。
他のパターニング方法として、レーザー光を走査して、薄膜の不要部分を昇華させて除去する方法が提案されている。このような方法によれば、フォトリソグラフィ法によるマスクの形成や、洗浄などの工程を不要とすることが可能である。
ところが、特に、有機EL表示パネルに使用される発光層を含む有機膜は、大気中の酸素や水分の影響により特性が劣化するので、薄膜のパターニング工程は、できるだけ酸素や水分のない雰囲気で行われることが望ましい。
そこで、特許文献1では、次のような方法が提案されている。
図16(a)、(b)は、上記特許文献1に開示されているパターニング方法の概略を示す図である。
まず、図16(a)に示すように、真空チャンバー830内の真空雰囲気下で、有機EL表示パネルの中間製品710の上にガラスなどからなる透明基板720を密着させて、組み合わせ基板730を作成し、これを真空チャンバー830から取り出した後、図16(b)に示すように、大気中でレーザー加工装置840によりレーザー光LBを照射してパターニングを行うようにしている。
特開2008−288074号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法によれば、真空チャンバー830内で組み合わせ基板730を形成する工程、真空チャンバー830から組み合わせ基板730を搬出する工程、パターニング後、透明基板720を中間製品710から引き剥がす工程が余分に必要となるため、工程数を低減するためレーザー加工を採用した意味が半減してしまう。その上、透明基板720を引き剥がす工程では、再び真空チャンバー830内に組み合わせ基板730を戻して、慎重に透明基板720を中間製品710から剥離しなければ、隔壁714を傷つけてしまい品質を劣化させるおそれがある。
そこで、真空チャンバーにレーザー光を透過するための窓ガラスを気密に設置し、チャンバーの外からレーザー光を照射する方法が考えられるが、有機EL表示パネルの大型化に伴い、真空チャンバーの窓ガラスが巨大化してしまい、その自重によって窓ガラスが撓み、レーザー光が屈折して加工精度が悪くなり、有機EL表示パネルの品質が劣化するおそれがある。
同じような問題は、有機EL表示パネルのみならず、およそ有機膜を含む複数の薄膜を積層してなる他の表示パネルの製造に関しても存在する。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、レーザー光の照射によるパターニング法によって薄膜を加工することにより、工程数と設備コストを可及的に抑制しつつ、表示パネルの品質を維持することのできる表示パネルの製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る表示パネル製造装置は、有機膜を含む複数の薄膜が基板上方に積層されてなる表示パネルを製造する表示パネル製造装置であって、レーザー光を透過する平板な透明窓を有し、少なくとも1層の薄膜が形成された薄膜付基板を、その薄膜が形成された側の主面を前記透明窓に対向させた状態で収納するチャンバーと、前記チャンバーの外方に設けられ、前記透明窓を介して、レーザー光を前記薄膜付基板に向けて照射し、前記薄膜を部分的に除去するレーザー照射部と、前記薄膜付基板を前記チャンバー内で移動させる基板移動部とを備え、前記透明窓の開口面積は、前記薄膜付基板のレーザー照射により除去処理すべき加工対象範囲よりも小さく、前記基板移動部は、前記薄膜付基板の加工対象範囲を、前記透明窓を介してレーザー光で照射できるように前記薄膜付基板を移動させることを特徴とする。
また、本開示の別の態様に係る表示パネル製造方法は、有機膜を含む複数の薄膜が基板上に積層されてなる表示パネルの製造方法であって、レーザー光を透過する平板な透明窓を有するチャンバー内に、少なくとも1層の薄膜が形成された薄膜付基板を、その薄膜が形成された側の主面を前記透明窓に対向した状態で収納する基板収納工程と、前記チャンバー内の雰囲気を、真空もしくは不活性ガスの雰囲気に調整する雰囲気調整工程と、前記チャンバーの外方から、前記透明窓を介して、レーザー光を前記薄膜付基板の加工面に向けて射出し、前記薄膜を部分的に除去する薄膜除去工程と、を含み、前記透明窓の開口面積は、前記薄膜付基板のレーザー照射により除去処理すべき加工対象範囲よりも小さく、前記薄膜除去工程は、前記薄膜付基板の加工対象範囲を、前記透明窓を介してレーザー光で照射できるように前記薄膜付基板を前記チャンバー内で移動させる基板移動工程を含むことを特徴とする。
本開示の一態様に係る表示パネルの製造装置および製造方法によれば、レーザー光の照射によるパターニング法によって薄膜を加工することにより、工程数と設備コストを可及的に抑制しつつ、表示パネルの品質を維持することができる。
本開示の一態様に係る薄膜パターニング装置の構成を示す概略図である。 図1の薄膜パターニング装置をP−P線を通る平面で切断したときの斜視図である。 薄膜パターニングシステムの制御部の構成を示すブロック図である。 有機EL表示装置の全体構成を示すブロック図である。 有機EL表示装置における有機EL表示パネルの画像表示面の一部を拡大した模式平面図である。 図5のA−A線に沿った模式断面図である。 (a)〜(d)は、有機EL素子の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図である。 (a)〜(c)は、図7に続く有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 (a)〜(c)は、図8に続く有機EL素子の製造過程を模式的に示す部分断面図である。 有機EL表示パネルの製造工程を示すフローチャートである。 窓ガラスを複数枚設置する場合の第1変形例を示す平面図である。 窓ガラスを複数枚設置する場合の第2変形例を示す平面図である。 窓ガラスを複数枚設置する場合の第3変形例を示す平面図である。 (a)、(b)は、本開示の一態様に至った経緯を説明するため、想定される薄膜パターニング装置の例を示す概略図である。 図14の薄膜パターニング装置における問題点を説明するための図である。 (a)、(b)は、従来の薄膜パターニング方法を説明するための図である。
≪本開示の一態様に至った経緯≫
有機EL表示パネルは、基板上に画素電極、有機層(発光層を含む)、及び共通電極が順に設けられた積層構造を有する。共通電極は、基板上の画像表示領域の全面にわたって成膜される場合が多い。
特に、トップエミッション型の有機EL表示パネルにあっては、共通電極に光透過性を有する材料が使用されるため、抵抗値が高く、基板の周縁部に配された給電部(図示せず)から個々の有機EL素子までの距離に応じて電圧降下が異なり、それにより画面内に輝度のばらつきが発生することが懸念される。
このような輝度のばらつきを抑制するため、基板上に金属などの導電材料からなる補助電極を配設し、この補助電極と共通電極とを電気的に接続することにより、共通電極における電圧降下を抑制する構成が知られている。
ところが、通常、補助電極を形成した後、共通電極を形成するまでの間に、電子輸送層などの有機機能層が形成されるので、共通電極を形成する前に補助電極上の有機機能層を除去してコンタクト用開口部を形成しなければ、補助電極と共通電極の良好な電気的接続を確保できない。
このようなコンタクト用開口部の形成を、フォトリソグラフィ法とエッチング法を組み合わせたパターニング法で行うと、上述したようにタスクタイムおよび製造コストの増大が避けられないので、本願の発明者らは、レーザー光を走査して、補助電極上の有機機能層を昇華させて除去する方法(以下、「レーザーパターニング法」という。)を採用することを考えた。
ところで、有機EL表示パネルを形成する各種の有機材料は、大気中の酸素や水分の影響により、特性が劣化するので、上記のレーザーパターニング法は、真空雰囲気下で行われるのが望ましいが、上述の通り、特許文献1の構成では、それほど工数の削減を望めないし、また品質劣化のおそれがある。
そこで、本願発明者は、真空チャンバーに基板より大きな開口窓を設けて、真空チャンバーの外部にレーザー加工装置を配置して上記開口窓を介してレーザー光を走査して加工する方法を採用すべく、研究を進めた。
図14(a)は、このような場合に想定することができるパターニング装置800の構成例を示す正面図であり、図14(b)は、その平面図である。
図14(a)に示すようにパターニング装置800は、レーザー加工装置810と、レーザー加工装置810に対向する位置に平板状の窓ガラス821を装着した真空チャンバー820とを備える。レーザー加工装置810は、レーザー光を射出するレーザーヘッド(不図示)を備え、これを図14(b)の平面図に示すようにX方向とY方向に移動させることによりレーザー光を走査可能なように構成される。
真空チャンバー820内のテーブル822上に、電子輸送層まで成膜した有機EL表示パネルの中間製品710をテーブル上に載置し、不図示の真空ポンプにより減圧して真空の雰囲気にし、窓ガラス821を介して、レーザー光LBを照射し、補助電極上の電子輸送層の不要な部分を昇華させて除去する。
ところが、このようなパターニング装置800では、加工精度が劣化すること分かった。
すなわち、レーザー光は、窓ガラス821により屈折されてその光軸がずれないように、窓ガラス821の主面に垂直な方向(法線方向)に平行に射出されるのが望ましいが、図15の2点鎖線に示すように、水平方向に設置された窓ガラス821は、その自重により、実線に示すように中央部が下がるように撓み、窓ガラス821により屈折して、本来の射出されるべきレーザー光LB1から光軸がずれたレーザー光LB2となって射出され、中間製品710上の目的の位置と異なる位置に照射される。
最近では、有機EL表示パネルの大型化が強く要請されており、窓ガラス821のサイズも大きくなり、そのため、窓ガラス821の撓みも大きくなり、ますます加工精度が悪化して有機EL表示パネルの品質が劣化する。
そこで、本願の発明者らは、薄膜のパターニングにレーザーパターニング法を採用して、工数の削減および製造コストの低減を図りつつ、良質な有機EL表示パネルの製造を可能とするため、鋭意研究の結果、本開示の一態様に至ったものである。
≪本開示の一態様の概要≫
本開示の一態様は、有機膜を含む複数の薄膜が基板上方に積層されてなる表示パネルを製造する表示パネル製造装置であって、レーザー光を透過する平板な透明窓を有し、少なくとも1層の薄膜が形成された薄膜付基板を、その薄膜が形成された側の主面を前記透明窓に対向させた状態で収納するチャンバーと、前記チャンバーの外方に設けられ、前記透明窓を介して、レーザー光を前記薄膜付基板に向けて照射し、前記薄膜を部分的に除去するレーザー照射部と、前記薄膜付基板を前記チャンバー内で移動させる基板移動部とを備え、前記透明窓の開口面積は、前記薄膜付基板のレーザー照射により除去処理すべき加工対象範囲よりも小さく、前記基板移動部は、前記薄膜付基板の加工対象範囲を、前記透明窓を介してレーザー光で照射できるように前記薄膜付基板を移動させる。
係る態様により、透明窓を小さくしても、薄膜付基板の加工すべき領域を全てにレーザー光を照射して加工することが可能になり、これにより透明窓を小さくできる分だけ自重により撓まないようにできるので、レーザー光による加工精度が劣化することがなくなる。
また、本開示の別の態様では、前記チャンバー内の雰囲気を、真空もしくは不活性ガスの雰囲気に調整する雰囲気調整部をさらに備える。
係る態様により、表示パネルの特性がより劣化しない環境下で薄膜のパターニングが可能となる。
本開示の別の態様は、前記透明窓は、前記薄膜付基板の主面と平行であって、前記レーザー光は、前記透明窓の主面に対して垂直に入射される。
この態様によれば、レーザー照射部から射出されたレーザー光が、透明窓の透過時に屈折して、その進路がずれることがなくなり、加工精度が向上する。
本開示の別の態様は、前記基板の上方に形成された薄膜は、金属からなる補助電極に積層された有機膜であって、前記レーザー照射部は、予め決定されたパターンで、前記レーザー光を走査して前記補助電極上の有機膜を除去する。
この態様により、補助電極上の有機膜を確実に除去して、その後に形成される電極膜との電気的接触を良好にすることができる。
本開示の別の態様は、前記透明窓は、前記薄膜付基板の主面に沿って第1の方向に伸びる長尺な帯形状であり、前記基板移動部は、前記薄膜付基板を、その主面に沿った、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動させる。
これにより、透明窓を大きくすることなく、チャンバー外部に配されたレーザー照射部により、薄膜付基板の全ての加工領域に対するパターニング加工が実行できる。
本開示の別の態様は、前記透明板が、石英ガラスからなる。
石英ガラスは、レーザー光の透過性が良好であると共に、耐久性にも優れているので、高度な加工精度を長時間維持することができる。
また、本開示の別の態様は、有機膜を含む複数の薄膜が基板上に積層されてなる表示パネルの製造方法であって、レーザー光を透過する平板な透明窓を有するチャンバー内に、少なくとも1層の薄膜が形成された薄膜付基板を、その薄膜が形成された側の主面を前記透明窓に対向した状態で収納する基板収納工程と、前記チャンバー内の雰囲気を、真空もしくは不活性ガスの雰囲気に調整する雰囲気調整工程と、前記チャンバーの外方から、前記透明窓を介して、レーザー光を前記薄膜付基板の加工面に向けて射出し、前記薄膜を部分的に除去する薄膜除去工程と、を含み、前記透明窓の開口面積は、前記薄膜付基板のレーザー照射により除去処理すべき加工対象範囲よりも小さく、前記薄膜除去工程は、前記薄膜付基板の加工対象範囲を、前記透明窓を介してレーザー光で照射できるように前記薄膜付基板を前記チャンバー内で移動させる基板移動工程を含む。
上記態様に係る製造方法により、従来の工法に比べて工数を大幅に減らしつつ、品質の良好な表示パネルを製造することが可能となる。
≪実施の形態≫
以下、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造装置および製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面は、説明の便宜上、模式的なものを含んでおり、各部材の縮尺や縦横の比率などが実際とは異なる場合がある。
1.薄膜パターニング装置200の構成
図1は、有機EL表示パネル製造装置における薄膜パターニング装置200の構成を示す概略図である。図2は、薄膜パターニング装置200を図1のP−P線を通る平面で切断したときの斜視図である。
図1に示すように薄膜パターニング装置200は、レーザー光を走査して基板11に形成された薄膜の不要な部分を除去するレーザー加工装置(レーザー照射部)210、加工対象となる薄膜が形成された基板(有機EL表示パネル10の中間製品。以下、「薄膜付基板」と称する。)110を収納するチャンバー部220、チャンバー部220のテーブル223を、図1のH方向(X軸方向)に移動させる基板移動部230、チャンバー部220内を減圧して真空状態にする真空ポンプ240およびこれらを制御する制御部250などからなる。
(1)レーザー加工装置210
図2の斜視図に示すようにレーザー加工装置210は、内部にレーザー光源やレーザー光を収束させるための光学系が内蔵されたレーザーヘッド部211、レーザーヘッド部211をY軸に平行な方向にスライド可能に保持する水平架台212、水平架台212をその長手方向における両端部で保持する一対の脚部213、各脚部213の下方に配され、X軸方向に延在する一対のガイドレール214などからなる。
レーザーヘッド部211におけるレーザー光源は、例えば、YAGレーザーが使用されるが、加工対象となる薄膜に吸収される波長領域のレーザー光の発生が可能なレーザー光源であれば、これに限らない。
また、レーザーヘッド部211の筐体内部には、駆動源として例えばリニアモーター2111が内蔵されており、当該駆動源を制御することにより、レーザーヘッド部211が、水平架台212のガイド溝2121に沿ってY軸方向に移動するように構成される。
各脚部213には、駆動源として、例えば、サーボモーター2131が設けられており、ネジ送り機構やワイヤ駆動機構などの公知の駆動機構を介して、一対の脚部213が同期して、ガイドレール214のガイド溝2141に沿ってX方向に移動できるようになっている。
なお、図2では、ガイドレール214は、X方向に長く伸びているが、本実施の形態では、少なくともレーザー光LBの照射位置が、窓ガラス222のX方向における幅W1分だけ移動できるだけの距離だけあればよい。
制御部250により、レーザーヘッド部211のレーザー光源の出力を制御すると共に、リニアモーター2111やサーボモーター2131を駆動制御して、レーザーヘッド部211から射出されるレーザー光で薄膜付基板110の加工対象位置を走査してレーザー加工できるようになっている。
(2)チャンバー部220
図1に戻り、チャンバー部220の真空チャンバー221は、上面に開口部を有し、この開口部に平板状の窓ガラス(透明板)222が、シール部材(不図示)などを介して気密に嵌め込まれている。
真空チャンバー221内の底部には、その上面が窓ガラス222の主面と平行なテーブル223が設置され、テーブル223上に薄膜付基板110を、その加工面を上方に向けて載置することにより、窓ガラス222と薄膜付基板110が平行な状態に維持される。
窓ガラス222は、帯状の板ガラスであり、その長手方向(Y方向)の長さL1は、薄膜付基板110のY方向における幅より長く、また、窓ガラス222の短手方向(X方向)における幅W1は、薄膜付基板110のX方向の長さよりも大幅に短く設定されており、本実施の形態では、例えば、30mmにしている。
このようにすることにより、窓ガラス222の面積が図14(a)、(b)に比べて飛躍的に小さくなって窓ガラス222の全重量が少なくなるので、自重により窓ガラス222の中央部が下方に向けて撓むことがなくなり、窓ガラス222全体と薄膜付基板110を平行に維持することができる。そのため、レーザーヘッド部211から、窓ガラス222の主面に垂直にレーザー光LBが射出することにより、レーザー光LBが、窓ガラス222の透過時に屈折してその光軸がずれるおそれがなく、加工対象である薄膜の目的の位置にレーザー光を精度良く照射して加工することができる。
なお、窓ガラス222の材料としては、透過するレーザー光の波長域が広く、耐久性にも優れた石英ガラスが用いられるのが望ましい。
(3)基板移動部230
基板移動部230は、テーブル223が、X方向に移動可能に載置される基台231と、基台231の上面に形成された、テーブル223の底面に形成された溝と係合して、テーブル223をX方向に案内するガイドレール232と、基台231に内蔵され、テーブル223をX方向に移動させるリニアモーター233とを有する。
テーブル223を、リニアモーター233で移動させることにより、平面視において、窓ガラス222から薄膜付基板110の加工領域の全部が順次臨めるようになっている。
(4)真空ポンプ240
真空ポンプ240は、真空チャンバー221内の空気を吸引して減圧し、真空チャンバー221内を所定の真空状態に維持する。
(5)制御部250
図3は、制御部250の構成を示すブロック図である。
同図に示すように制御部250は、CPU(Central Processing Unit)251、RAM(Random Access Memory)252、ROM(Read Only Memory)253、パターンメモリ254などからなる。
CPU251は、起動時にROM253から、操作パネル260から操作者の指示を受付け、パターニング加工のプログラムを読み出し、RAM252を作業用記憶領域として当該プログラムを実行し、レーザー加工装置210や基板移動部230、真空ポンプ240を制御して、薄膜付基板110にレーザー光を照射させて、補助電極131の電子輸送層16を除去させる。
また、制御部250は、薄膜パターニング装置200の前段の装置(例えば、真空蒸着装置)で、加工対象となる薄膜が形成された薄膜付基板110を、不図示の基板搬送ロボットを制御して、真空チャンバー221内のテーブル223上の予め決定された位置に載置させたり、真空ポンプ240を制御して真空チャンバー221内を真空状態にしたりする。なお、本実施の形態における「真空」とは、有機EL表示パネル10の特性の劣化を防止するために高真空(0.00001Pa程度)とするのが望ましい。上述のように窓ガラス222の面積を小さくしているので、窓ガラス222に適度の厚みをもたせておけば、このような高真空にしても撓むことはない。
2.有機EL表示装置100の全体構成
図4は、上記薄膜パターニング装置200を含む有機EL表示パネルの製造装置で形成された有機EL表示パネル10を組み込んだ有機EL表示装置100の全体構成を示すブロック図である。
有機EL表示装置100は、例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯端末、業務用ディスプレイ(電子看板、商業施設用大型スクリーン)などに用いられる表示装置である。
有機EL表示装置100は、有機EL表示パネル10と、これに電気的に接続された駆動制御部400とを備える。
有機EL表示パネル10は、本実施の形態では、上面が長方形状の画像表示面であるトップエミッション型の表示パネルである。有機EL表示パネル10では、画像表示面に沿って複数の有機EL素子(不図示)が配列され、各有機EL素子の発光を組み合わせて画像を表示する。なお、有機EL表示パネル10は、一例として、アクティブマトリクス方式を採用している。
駆動制御部400は、有機EL表示パネル10に接続された駆動回路410と、計算機などの外部装置又はアンテナなどの受信装置に接続された制御回路420とを有する。駆動回路410は、各有機EL素子に電力を供給する電源回路、各有機EL素子への供給電力を制御する電圧信号を印加する信号回路、一定の間隔ごとに電圧信号を印加する箇所を切り替える走査回路などを有する。
制御回路420は、外部装置や受信装置から入力された画像情報を含むデータに応じて、駆動回路410の動作を制御する。
なお、図4では、一例として、駆動回路410が有機EL表示パネル10の周囲に4つ配置されているが、駆動制御部400の構成はこれに限定されるものではなく、駆動回路410の数や位置は適宜変更可能である。また、以下では説明のため、図4に示すように、有機EL表示パネル10上面の長辺に沿った方向をX方向、有機EL表示パネル10上面の短辺に沿った方向をY方向とする。
3.有機EL表示パネル10の構成
(A)平面構成
図5は、有機EL表示パネル10の画像表示面の一部を拡大した模式平面図である。
有機EL表示パネル10では、一例として、R、G、B色にそれぞれ発光する副画素100R、100G、100Bが行列状に配列されている。副画素100R、100G、100Bは、X方向に交互に並び、X方向に並ぶ一組の副画素100R、100G、100Bが、一つの画素Pを構成している。
副画素100R、100G、100Bには、それぞれR、G、Bの色に発光する有機EL素子2(図6参照)が配置されており、階調制御された副画素100R、100G、100Bの発光輝度を組み合わせることにより、フルカラーの画像を表示することが可能である。
また、Y方向においては、副画素100R、副画素100G、副画素100Bのいずれかのみが並ぶことでそれぞれ副画素列CR、副画素列CG、副画素列CBが構成されている。これにより、有機EL表示パネル10全体として画素Pが、X方向及びY方向に沿った行列状に並び、この行列状に並ぶ画素Pの発色を組み合わせることにより、画像表示面に画像が表示される。
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10では、いわゆるラインバンク方式を採用している。すなわち、副画素列CR、CG、CBを1列ごとに仕切る隔壁(バンク)14がX方向に間隔をおいて複数配置され、各副画素列CR、CG、CBでは、副画素100R、100G、100Bが、有機発光層を共有している。
ただし、各副画素列CR、CG、CBでは、副画素100R、100G、100B同士を絶縁する画素規制層141がY方向に間隔をおいて複数配置され、各副画素100R、100G、100Bは、独立して発光することができるようになっている。
なお、画素規制層141の高さは、発光層の表面の高さより低い。図5では、隔壁14及び画素規制層141は点線で表されているが、これは、画素規制層141及び隔壁14が、画像表示面の表面に露出しておらず、画像表示面の内部に配置されているからである。
ここで、一組の副画素列CR、CG、CBからなる領域を一の発光領域500(発光部)と定義すると、隣接する2つの発光領域の間には、各副画素列と平行に伸びる補助電極形成領域600(非発光列)が存在する。
この補助電極形成領域600には有機EL素子が形成されておらず、X方向におけるほぼ中央には、Y方向に伸びる長尺な補助電極131が形成されている。
(B)有機EL表示パネルの断面構成
上述のように、有機EL表示パネル10において、一つの画素は、R、G、Bをそれぞれ発光する3つの副画素からなる。各副画素は、対応する色を発光する有機EL素子2で構成される。
図6は、有機EL表示パネル10の、図5のA−A線に沿った模式断面図である。
同図に示すように、本実施の形態においては、有機EL表示パネル10は、基板11、層間絶縁層12、画素電極13、隔壁14、発光層15、電子輸送層16、共通電極17、封止層18、および、補助電極131などからなる。
基板11、層間絶縁層12、電子輸送層16、共通電極17、および、封止層18は、画素ごとに形成されているのではなく、有機EL表示パネル10が備える複数の有機EL素子2に共通して形成されている。
(1)基板
基板11は、絶縁材料である基材111と、TFT(Thin Film Transistor)層112とを含む。TFT層112には、副画素ごとに駆動回路が形成されている。基材111は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
(2)層間絶縁層
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。また、図6の断面図には示されていないが、層間絶縁層12には、副画素ごとにコンタクトホールが形成されている。
(3)画素電極
画素電極13は、副画素ごとに設けられ、コンタクトホール(不図示)を通じてTFT層112と電気的に接続されている。
本実施の形態においては、画素電極13は、陽極として機能する。
本実施の形態では、有機EL表示パネル10は、トップエミッション型であるので、画素電極13は、発光効率向上のため、光反射性を有する金属材料によって形成される。
このような金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
(4)補助電極(バスバー)
補助電極131は、層間絶縁層12上の上記画素電極13と同じ層に形成される。後述するように、製造工程の簡易化の観点から、補助電極131は、上記画素電極13と同じ工程で形成され、画素電極13と同じ材料が用いられる。
(5)隔壁・画素規制層
隔壁14は、基板11の上方に副画素ごとに配置された複数の画素電極13を、X方向において列毎に仕切るものであって、X方向に並ぶ副画素列CR、CG、CBの間においてY方向に延伸するラインバンク形状である。
この隔壁14には、電気絶縁性材料が用いられる。電気絶縁性材料の具体例として、例えば、絶縁性の有機材料(例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂等)が用いられる。
隔壁14は、発光層15を塗布法で形成する場合に塗布された各色のインクが溢れて混色しないようにするための構造物として機能する。
なお、隔壁14の素材として、樹脂材料を用いる際は、加工性の点から感光性を有することが好ましい。当該感光性は、ポジ型、ネガ型のいずれであってもよいが、有機溶媒や熱に対する耐性を有することが好ましい。また、インクの流出を抑制するために、隔壁14の表面は所定の撥液性を有することが好ましい。
画素電極13が形成されていない部分において、隔壁14の底面が層間絶縁層12の上面と接している。
画素規制層141は、電気絶縁性材料からなり、各副画素列においてY方向に隣接する画素電極13の端部を覆い、当該Y方向に隣接する画素電極13同士を仕切っている。
画素規制層141の膜厚は、画素電極13の膜厚よりも若干大きいが、発光層15の上面までの厚みよりも小さくなるように設定されている。これにより、各副画素列CR、CG、CBにおける発光層15は、画素規制層141によっては仕切られず、発光層15を形成する際のインクの流動が妨げられない。そのため、各副画素列における発光層15の厚みを均一に揃えることを容易にする。
画素規制層141は、上記構造により、Y方向に隣接する画素電極13の電気絶縁性を向上しつつ、各副画素列CR、CG、CBにおける発光層15の段切れ抑制、画素電極13と共通電極17との間の電気絶縁性の向上などの役割を有する。
画素規制層141に用いられる電気絶縁性材料の具体例としては、上記隔壁14の材料として例示した樹脂材料や無機材料などが挙げられる。また、上層となる発光層15を形成する際、インクが濡れ広がりやすいように、画素規制層141の表面はインクに対する親液性を有することが好ましい。
なお、補助電極形成領域600においては、画素規制層141は形成されない。
(6)発光層
発光層15は、発光領域500における隔壁14の間に形成されており、正孔と電子の再結合により、R、G、Bの各色の光を発光する機能を有する。なお、特に、発光色を特定して説明する必要があるときには、発光層15(R)、15(G)、15(B)と記す。
発光層15の材料としては、公知の材料を利用することができる。具体的には、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(7)電子輸送層
電子輸送層16は、共通電極17からの電子を発光層15へ輸送する機能を有する。電子輸送層16は、電子輸送性が高い有機材料からなり、アルカリ金属、および、アルカリ土類金属を含まない。
電子輸送層16に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
なお、電子輸送層16の補助電極形成領域600には、コンタクト用開口部161が形成される(図9(b)参照)。
(8)共通電極
共通電極17は、透光性の導電性材料からなり、電子輸送層16上に形成されている。共通電極17は、陰極として機能する。
共通電極17の材料としては、例えば、ITOやIZOや、銀、銀合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属を用いるのが望ましい。金属で共通電極17を形成する場合には、共通電極17は透光性を有する必要があるため、膜厚は、約20nm以下の薄膜として形成される。
また、補助電極形成領域600においては、コンタクト用開口部161を介して、共通電極17が補助電極131上に直接形成される。
(9)封止層
封止層18は、内部の有機EL素子の構成要素、特に、発光層15、電子輸送層16などの有機層が水分やその他の液体に晒されたり、空気に晒されたりして劣化するのを防止するために設けられるものである。
本実施の形態においては、封止層18は、窒化シリコン(SiN)の薄膜であって、共通電極17の上面を被覆する。また、上述の窒化シリコン(SiN)のほかに、他の適当な無機材料(例えば、酸窒化シリコン(SiON)、炭化シリコン(SiC)等)を使用してもよい。
(10)その他
図6には示されてないが、封止層18上に接着剤を介して防眩用の偏光板や上部基板を貼り合せてもよい。これらを貼り合せることによって、有機EL素子2の構成要素、特に有機層が水分および空気などから、さらに保護される。
4.有機EL表示パネル10の製造方法
以下、上記の有機EL表示パネル10の製造方法について、図面を用いて説明する。
図7(a)〜(d)、図8(a)〜(c)、図9(a)〜(c)は、有機EL表示パネル10の製造における補助電極形成工程の手順を示す模式断面図であり、図10は、有機EL表示パネル10の製造工程を示すフローチャートである。
(1)基板準備工程
まず、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を準備する(図7(a)、図10のステップS1)。TFT層112は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
TFT層112上に、層間絶縁層12を形成する(図7(b))。具体的には、一定の流動性を有する感光性樹脂材料を、例えば、ダイコート法により、基板11の上面に沿って、TFT層112による基板11上の凹凸を埋めるように塗布する。これにより、層間絶縁層12の上面は、基材111の上面に沿って平坦化した形状となる。
また、層間絶縁層12における、TFT素子の例えばソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホール(不図示)を形成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の表面が露出するようにパターニングなどを用いて形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層12上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウエットエッチング法を用いてパターニングすればよい。
(2)画素電極・補助電極形成工程
次に、層間絶縁層12上に画素電極13および補助電極131を形成する(図10のステップS2)。
まず、層間絶縁層12上に画素電極材料層1300を、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成する(図7(c))。その後、エッチング法によりパターニングして、副画素ごとに区画された複数の画素電極13およびY軸方向の伸びる補助電極131を形成する(図7(d))。なお、画素電極13と補助電極131は、同じ材質からなるが、図7(d)では、画素電極13と補助電極131とを区別するため、意図的にハッチングの種類を変えている(他の図においても同じ。)。
(3)隔壁・画素規制層形成工程
次に、隔壁14および画素規制層141を形成する(図10のステップS3)。
本実施の形態では、以下のようにしてハーフトーンマスクを用いて、隔壁14と画素規制層141同時に形成するようにしている。
まず、画素電極13が形成された層間絶縁層12上に、樹脂材料を隔壁14の膜厚だけ塗布して隔壁材料層1400を形成する(図8(a))。具体的な塗布方法として、例えばダイコート法やスリットコート法、スピンコート法などの湿式法を用いることができる。
塗布後には、例えば、真空乾燥及び60℃〜120℃程度の低温加熱乾燥(プリベーク)などを行って不要な溶媒を除去し、フォトマスク(不図示)を介して隔壁材料層を露光する。
例えば、隔壁材料層がポジ型の感光性を有する場合は、隔壁材料層1400を残す箇所を遮光し、除去する部分を露光する。
本例の場合、画素規制層141は、隔壁14よりも膜厚が小さいので、画素規制層141の部分は、隔壁材料層1400を半露光する必要がある。
そのため、この露光工程で使用されるフォトマスクは、隔壁14に対応する位置に配され光を完全に遮断する遮光部と、画素規制層141に対応する位置に配された半透明部と、それ以外の画素電極13の露出部分および補助電極131に対応する位置に配された透光部とを有するものが用いられる。
半透明部の透光度は、所定時間露光したときに、画素電極13、補助電極131上の隔壁材料層が全露光され、画素規制層141は、その高さ分だけ露光されないで残るように決定される。
次に、現像を行い、隔壁材料層1400の露光領域を除去することにより、隔壁14と、これよりも膜厚の小さな画素規制層141を形成することができる。具体的な現像方法としては、例えば、基板11全体を、隔壁材料層1400の露光により感光した部分を溶解させる有機溶媒やアルカリ液などの現像液に浸した後、純水などのリンス液で基板11を洗浄すればよい。
これにより、層間絶縁層12上に、Y方向に延伸する形状の隔壁14およびX方向に延伸する画素規制層141を形成することができる(図8(b))。
(4)発光層形成工程
次に、上記画素電極13の上方に、発光層15を形成する(図10のステップS4)。
具体的には、各一対の隔壁14で挟まれた開口部に、対応する発光色の発光材料を含むインクを、印刷装置の塗布ヘッド301のノズル3011から順次吐出して開口部内の画素電極13上に塗布する。この際、インクを画素規制層141の上方においても連続するように塗布する。これにより、Y方向に沿ってインクが流動可能となり、インクの塗布むらを低減して、同一の副画素列における発光層15の膜厚を均一化することが可能となる。
そして、インク塗布後の基板11を真空乾燥室内に搬入して真空環境下で加熱することにより、インク中の有機溶媒を蒸発させる。これにより、発光層15を形成できる(図8(c))。
(5)電子輸送層形成工程
次に、発光層15、隔壁14、画素規制層141、補助電極131上に共通の電子輸送層16を形成する(図9(a)、図10のステップS5)。電子輸送層16は、例えば、電子輸送性の有機材料を蒸着法により成膜することにより形成される。
(6)コンタクト開口部形成工程(レーザーパターニング工程)
次に、上述の薄膜パターニング装置200(図1)により、補助電極131上の電子輸送層16を除去してコンタクト用開口部161を形成する(図10のステップS6)。
基板11上方に電子輸送層16が成膜された有機EL表示パネル10の中間製品(図9(a)の状態)である薄膜付基板110を、基板搬送ロボットにより、薄膜パターニング装置200の真空チャンバー221内のテーブル223上の所定箇所に位置決めして載置し、真空ポンプ240を作動させて真空チャンバー221内を減圧し、予め設定されている高真空状態(0.00001Pa)にする。
そして、レーザー加工装置210を作動させて、レーザー光LBを走査し、基板11上の全ての補助電極131上の電子輸送層16を除去して、コンタクト用開口部161を形成する(図9(b))。
具体的に、制御部250は、レーザー加工装置210のレーザーヘッド部211を、所定の基準位置(ホームポジション)に移動させた後、加工対象となる薄膜のみを選択的に除去できるようなレーザー出力と走査速度で、内部の記憶メモリに予め記憶されたプログラム(パターンデータ)に基づいて、窓ガラス222を介して薄膜付基板110上にレーザー光を照射し、窓ガラス222の幅W1の範囲内で加工が終了すると、基板移動部230で薄膜付基板110をH方向に幅W1だけ移動させると共に、レーザーヘッド部211を再び基準位置に戻して、次の加工領域について引き続きパターニングを実行する。このような動作を繰り返して、薄膜付基板110の全加工領域についてのパターニング加工を実行する。
パターニング加工が終了後、薄膜付基板110は、基板搬送ロボットにより真空チャンバー221から取り出され、次の加工装置に搬送される。
(7)共通電極形成工程
次に、電子輸送層16上に、共通電極17を形成する(図10のステップS7)。本実施の形態では、共通電極17は、銀、アルミニウム等を、スパッタリング法または真空蒸着法により成膜することにより形成される。
この際、補助電極131上にはコンタクト用開口部161が形成されているので、共通電極17は、直接補助電極131上に形成され、両者間の電気的接続を良好にすることができる。補助電極131は金属からなるため、導電性に優れ、これにより、共通電極17の周縁部と中央部での電位差がほとんどなくなり、輝度ムラなどが生じない。
(8)封止層形成工程
次に、共通電極17上に、封止層18を形成する(図10のステップS8)。
これは、SiNからなる封止層18を、例えばプラズマCVD法により成膜する。これにより図6に示すような積層構造を有する有機EL表示パネル10を得ることができる。
4.効果のまとめ
上記開示の態様によれば、次のような効果が得られる。
有機薄膜を含む表示パネル、特に、有機EL素子パネルにおいては、有機薄膜が酸素や水分を嫌うため、レーザー加工においても、密閉された真空雰囲気下にあるチャンバー内で行うことが望ましい。
レーザー加工装置をチャンバーの外側に配置して、レーザー光を透過する窓ガラスを介して、内部の基板上を走査してパターニングする構成を取る場合において、有機EL表示パネルの大型化に伴い、窓ガラスも大型になって重量が増し、その自重により撓みが生じ、屈折入射されたレーザー光が屈折して、加工精度が劣化する。
窓ガラス222は、帯状の板ガラスであり、その長手方向(Y方向)の長さは、薄膜付基板110のY方向における幅より長く、また、窓ガラス222の短手方向(X方向)における幅は、薄膜付基板110のX方向の長さよりも大幅に短く設定されている。
基板移動部で薄膜付基板をH方向に移動させることにより、上記レーザー光の照射方向(本実施の形態では窓ガラス222に垂直な方向)から見たときに、窓ガラス222から薄膜付基板110の全ての加工領域を臨むことができるようにできるため、窓ガラス222の面積が小さくても、薄膜付基板110の加工領域全体のレーザー加工が可能となる。
窓ガラス222の面積が小さくなって、その全重量が少なくなるので、自重により窓ガラス222の中央部が下方に向けて撓むことがなくなり、窓ガラス222全体と薄膜付基板110を平行に維持することができる。
そのため、レーザーヘッド部211から、窓ガラス222の主面に垂直にレーザー光LBが射出することにより、レーザー光LBが、窓ガラス222の透過時に屈折してその光軸がずれるおそれがなく、加工対象である薄膜の目的の位置にレーザー光を精度良く照射して加工することができ、結果として品質の向上に繋がる。
以上、本開示の態様によれば、レーザー加工により薄膜のパターニングを行うことにより、従来のフォトリソグラフィ法やエッチング法を利用したパターニング方法より、大幅に工程を削減できると共に、品質の高い有機EL表示パネルの製造を可能にする。
また、レーザー加工装置210の制御部にインストールするプログラム(パターンデータ)を変更するだけで、様々なパターンの形成がすぐに実行できるので、従来のエッチング方式の場合のように設計変更ごとにマスクを作り直したりする手間や費用が必要なく、オンデマンド性に優れる。
≪変形例≫
本発明の一態様として、有機EL表示パネルの製造装置及び製造方法の実施の形態について説明したが、本発明は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の説明に何ら限定を受けるものではない。以下では、本発明の他の態様例である変形例を説明する。
(1)薄膜パターニング装置におけるレーザー光源の波長域について
上記実施の形態では、補助電極131上の樹脂からなる電子輸送層16をパターニングしたが、電子輸送層以外に、電子注入層や正孔注入層、正孔輸送層などの複数の薄膜が補助電極131上に形成される場合であっても、それらの薄膜の材質が吸収する共通の波長域のレーザー光を発生するレーザー加工装置によって一気にコンタクト用開口部161を形成して補助電極131を露出させることも可能である。
なお、実施の形態では、レーザー光源として固体レーザーであるYAGレーザーを使用している。YAGレーザーは、安定した微細加工が可能であり、レーザー出力と走査速度を制御することにより、掘り込み深さを微調整することができるので、補助電極131を残したまま、その上層部分の薄膜を除去することが可能である(ハーフカット加工)。
しかし、より安定して、確実に補助電極131のみを残し、その上層の薄膜を除去するためには、特定の波長域のレーザー光に対し、薄膜のレーザー光の吸収率が補助電極131を構成する金属の吸収率よりもできるだけ大きくなるように、それらの材料およびレ−ザー光の波長域を選択することが望ましい。
一例として、YAGレーザーの波長を、第3高調波の355MHzに設定し、補助電極131をアルミニウムもしくはアルミニウム合金で形成することにより、その上層の電子輸送層16(樹脂薄膜)のみを選択的に除去することが考えられる。
(2)パターニングの対象となる薄膜について
上記実施の形態では、補助電極131上の電子輸送層16にコンタクト用開口部161を形成する場合について説明したが、他の場合においても薄膜パターニング装置200によって薄膜をパターニングすることは可能である。
例えば、発光領域500と並列して補助電極形成領域600を設けて補助電極131を形成するのではなく隔壁14の頂上部の上方に形成する場合にも使用可能である。この場合、共通電極17上に形成された有機層や封止層などを隔壁14の頂上部において薄膜パターニング装置200により一部除去してコンタクト用開口部を形成する。その上に、金属膜を蒸着法などで形成し、エッチング処理して、当該コンタクト用開口部にのみ金属を残して、これを補助電極とするようにしてもよい。
(3)窓ガラスなどの材料について
上記実施の形態では、窓ガラス222の素材として、広い波長範囲について透過性が良好で、耐久性に優れた石英ガラスを使用するようにしたが、使用するレーザー光の波長域によっては、ソーダガラスや、また、アクリル板などの透明樹脂板の使用もあり得る。透明樹脂板は、ガラスよりも剛性が小さく撓みやすいので、上述のように開口面積を小さくすることにより得られる効果も大きい。
(4)窓ガラスを複数設置する場合の変形例
上記実施の形態では帯状の窓ガラス222を1個だけ設置したが、以下の例にように窓ガラスを複数設置するようにしてもよい。
<第1の変形例>
図11に示すように真空チャンバー221の上面に、幅W2、長さL2の帯状の3枚の窓ガラス2221〜2223を所定の間隔d1をおいて平行に設けるようにしても構わない。
この場合には、例えば、まず、初期位置(図11の位置)において、レーザー加工装置210により窓ガラス2221〜2223より臨める範囲をレーザー光で走査して加工した後、基板移動部230により薄膜付基板110をW1だけ−X方向に移動させて、窓ガラス2221〜2223より臨める範囲をレーザー光で走査する動作を繰り返すことにより、全加工領域に対するパターニングを実行することになる。
この変形例によれば、薄膜付基板110を最大でもd1だけ移動させればよく、上記実施の形態のように、薄膜付基板110のX方向のほぼ全長分移動させる必要がないので、基板移動部230の移動距離を少なくでき、真空チャンバー221をよりコンパクト化できる。
平行に設ける帯状の窓ガラスの枚数が多いほど、窓ガラス間の最大間隔を狭くできるので、それだけ薄膜付基板110を真空チャンバー221内でX方向に沿って移動させなければならない距離も短くなり、真空チャンバー221をさらにコンパクト化できる。
<第2の変形例>
図12に示すように真空チャンバー221の上面に、小さな窓ガラス222a〜222eを千鳥状に配置することによっても、基板移動部230により薄膜付基板110を所定量移動させながら、レーザー加工装置210で、それらの窓ガラスを介して臨める範囲を走査することにより、薄膜付基板110の全加工領域のレーザー加工が可能である。
<第3の変形例>
また、図13に示すように真空チャンバー221の上面に、複数の小さな窓ガラス22211〜22237を、薄膜付基板110の全加工領域を含む範囲内においてマトリクス状に設けるようにしてもよい。
この場合には、薄膜付基板110の全加工領域を加工するため、基板移動部230は、薄膜付基板110をX方向とY方向の両方向に移動させるように構成する必要があるが、各窓ガラスの間隔が狭いので、移動させる距離はそれほど大きくする必要はなく、真空チャンバー221をよりコンパクト化することが可能である。
もっとも、上記実施の形態では、コンタクト用開口部161は、隔壁14に平行な方向(列方向)に溝状に形成したが、コンタクト用開口部161が列方向に必ずしも連続していなくても補助電極131と共通電極17が列方向に所定の間隔で接触していれば、補助電極による共通電極の電圧降下を抑制することが可能なので、この場合には、上記列方向に隣接する窓ガラス間の枠部分(以下、「桟」という。)の直下については、補助電極上の電子輸送層を除去しなくてもよいと考えられ、必ずしも薄膜付基板110を、X、Yの両方向に移動させる必要がない。
また、既存のレーザー加工装置の機種によっては、レーザー光をガルバノミラーにより偏向して(レーザー光の射出方向を傾ける)走査することも可能なので、レーザー光による走査方向において桟の直下にある薄膜付基板110の加工領域をレーザー加工する際には、当該桟に隣接する窓ガラスを介してレーザー光を傾けて照射することにより、桟直下の加工領域のレーザー加工が可能となる。
もちろん、この場合には、窓ガラスの法線に対し傾いてレーザー光が入射するため、屈折によりレーザー光の軸が若干ずれるという問題や、レーザー光が窓ガラス内を斜めに進行するため、微小な出力変動が生じたり、あるいは加工対象位置までの距離が変化してレーザー光の収束位置のずれなどが生じ得る。しかし、本発明では、各窓ガラスのサイズを小さくすることができるので、窓ガラスが自重により不規則に撓むことがなく、予め、レーザー光の偏向による誤差を予測してレーザー光の出力や偏向角度などを補正するようにしておけば、それほど加工精度が劣化することはないと考えられる。
さらに、特殊な場合として、生産性を上げるため、大きな一つの基板に、それより小さな表示パネル(以下、「単位パネル」という。)を多数個取りするような場合には、各窓ガラス22211〜22237の配置および大きさを、各単位パネルの、基板11における形成範囲に合わせて設定しておけば、基板移動部230により薄膜付基板110を移動させる必要がないので、基板移動部230を省略することが可能である。
(5)上記実施の形態では、有機EL表示パネル10における特に発光層を含む有機機能膜の劣化を避けるため、真空チャンバー221内の空気を真空ポンプ240で抜いて減圧し、真空雰囲気下において、有機EL表示パネルの中間製品(薄膜付基板)のパターニング加工を行ったが、真空ポンプ240で真空にした後、水分を含有しない窒素やアルゴンなどの不活性ガス(コスト的な面では窒素ガスが望ましい。)を、ボンベなどから流入させ、あるいは、真空ポンプ240を使用せず、不活性ガスを真空チャンバー221に流入させて内部の空気と置換させて、不活性ガスの雰囲気を形成するようにしてもよい。
本発明では、このように真空チャンバー221内の雰囲気を真空もしくは不活性ガスの雰囲気に設定する工程の上位概念として、雰囲気調整工程と呼ぶ。また、当該工程を実行する装置を雰囲気調整装置と言うことができる。
なお、例外的ではあるが、酸素や水分の影響を受けない(あるいは受けにくい)薄膜からなる表示パネルにあっては、上記のような雰囲気調整を必要としない場合があり得る。
(6)上記実施の形態では、フルカラーの有機EL表示パネル10を形成するためR、G、Bの各副画素にそれぞれ対応する色を発光する発光材料を含む発光層15(R)、15(G)、15(B)を形成したが、全て白色を発光する発光層に統一して、封止層18の上方にR、G、Bのフィルターを配した公知のカラーフィルター基板を透明な接着剤などを介して貼着するように構成してもよい。
(7)上記実施の形態では、発光層の形成方法としては、ウエットプロセスによる方法を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法等のドライプロセスを用いることもできる。
(8)上記実施の形態では、各有機EL素子が、画素電極、発光層、電子輸送層、共通電極からなる構成であるとしたが、例えば、画素電極と発光層との間に正孔注入層や正孔輸送層を含む構成であってもよいし、電子輸送層と共通電極との間に電子注入層を含む構成であってもよい。なお、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などの機能を有する有機膜の上位概念として有機機能層と総称することができる。
(9)上記実施の形態では、高さの異なる隔壁14と画素規制層141を、ハーフトーンマスクを用いることにより一つの工程で同時に形成したが、隔壁14と画素規制層141を別工程で形成するようにしても構わない。
例えば、まず、Y方向における画素電極列を仕切るための画素規制層141を形成する。
具体的な画素規制層141の形成方法としては、例えば、ダイコート法などにより、画素電極13を形成した基板11の上面に、樹脂材料を塗布する。そして、フォトリソグラフィ法を用いて、Y方向に隣接する画素電極13の間に画素規制層141を形成すべく樹脂材料をパターニングした後、焼成することにより、画素規制層141を形成することができる。
次に、隔壁14の材料である隔壁用樹脂を、例えば、ダイコート法などを用いて一様に塗布し、隔壁材料層を形成し、フォトリソグラフィ法により隔壁材料層にパターニングした後、焼成して隔壁14を形成する。
(10)上記実施の形態においてはラインバンク方式の有機EL表示パネルについて説明したが、発光領域500において、一つの副画素ごとにその四方を隔壁で囲むようにした、いわゆるピクセルバンク方式の有機EL表示パネルであっても構わない。
(11)上記実施の形態に係る有機EL表示パネル10では、R、G、B色にそれぞれ発光する副画素100R、100G、100Bが配列されていたが、副画素の発光色はこれに限られず、例えば、R、G、Bに加えて黄色(Y)の4色であってもよい。また、一つの画素Pにおいて、副画素は1色あたり1個に限られず、複数配置されてもよい。また、画素Pにおける副画素の配列は、図2に示すような、R、G、Bの順番に限られず、これらを入れ替えた順番であってもよい。
(12)上記実施の形態に係る有機EL表示パネル10では、画素電極13を陽極、共通電極17を陰極としたが、これに限られず、画素電極13を陰極、共通電極17を陽極とする逆構造であってもよい。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などの積層順も陰極と陽極の位置によって適宜修正される。
(13)また、上記実施の形態に係る有機EL表示パネル10は、アクティブマトリクス方式を採用したが、これに限られず、パッシブマトリクス方式を採用してもよい。
また、本発明は、ボトムエミッション型の有機EL表示パネルの製造にも適用でき、さらには、およそ密閉された空間内で薄膜のパターニングを行う必要がある表示パネル全般の製造に適用可能である。
≪補足≫
以上、本開示に係る表示パネルの製造装置および製造方法について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本発明に係る表示パネルの製造装置および製造方法は、テレビジョン装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話などに使用される表示パネルの製造に好適である。
2 有機EL素子
10 有機EL表示パネル
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極
14 隔壁
15 発光層
16 電子輸送層
17 共通電極
18 封止層
100 有機EL表示装置
110 薄膜付基板
100B、100G、100R 副画素
111 基材
112 TFT層
131 補助電極
141 画素規制層
161 コンタクト用開口部
200 薄膜パターニング装置
210 レーザー加工装置
220 チャンバー部
221 チャンバー
222 窓ガラス
230 基板移動部
240 真空ポンプ
250 制御部
2221〜2223 窓ガラス
22211〜22237 窓ガラス

Claims (7)

  1. 有機膜を含む複数の薄膜が基板上方に積層されてなる表示パネルを製造する表示パネル製造装置であって、
    レーザー光を透過する平板な透明窓を有し、少なくとも1層の薄膜が形成された薄膜付基板を、その薄膜が形成された側の主面を前記透明窓に対向させた状態で収納するチャンバーと、
    前記チャンバーの外方に設けられ、前記透明窓を介して、レーザー光を前記薄膜付基板に向けて照射し、前記薄膜を部分的に除去するレーザー照射部と、
    前記薄膜付基板を前記チャンバー内で移動させる基板移動部と
    を備え、
    前記透明窓の開口面積は、前記薄膜付基板のレーザー照射により除去処理すべき加工対象範囲よりも小さく、
    前記基板移動部は、
    前記薄膜付基板の加工対象範囲を、前記透明窓を介してレーザー光で照射できるように前記薄膜付基板を移動させる
    ことを特徴とする表示パネル製造装置。
  2. 前記チャンバー内の雰囲気を、真空もしくは不活性ガスの雰囲気に調整する雰囲気調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル製造装置。
  3. 前記透明窓は、前記薄膜付基板の主面と平行であって、前記レーザー光は、前記透明窓の主面に対して垂直に入射される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示パネル製造装置。
  4. 前記基板の上方に形成された薄膜は、金属からなる補助電極に積層された有機膜であって、前記レーザー照射部は、予め決定されたパターンで、前記レーザー光を走査して前記補助電極上の有機膜を除去する
    ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の表示パネル製造装置。
  5. 前記透明窓は、前記薄膜付基板の主面に沿って第1の方向に伸びる長尺な帯形状であり、前記基板移動部は、前記薄膜付基板を、その主面に沿った、前記第1の方向と直交する第2の方向に移動させる
    ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の表示パネル製造装置。
  6. 前記透明窓は、石英ガラスからなる
    ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の表示パネル製造装置。
  7. 有機膜を含む複数の薄膜が基板上に積層されてなる表示パネルの製造方法であって、
    レーザー光を透過する平板な透明窓を有するチャンバー内に、少なくとも1層の薄膜が形成された薄膜付基板を、その薄膜が形成された側の主面を前記透明窓に対向した状態で収納する基板収納工程と、
    前記チャンバー内の雰囲気を、真空もしくは不活性ガスの雰囲気に調整する雰囲気調整工程と、
    前記チャンバーの外方から、前記透明窓を介して、レーザー光を前記薄膜付基板の加工面に向けて射出し、前記薄膜を部分的に除去する薄膜除去工程と、
    を含み、
    前記透明窓の開口面積は、前記薄膜付基板のレーザー照射により除去処理すべき加工対象範囲よりも小さく、
    前記薄膜除去工程は、
    前記薄膜付基板の加工対象範囲を、前記透明窓を介してレーザー光で照射できるように前記薄膜付基板を前記チャンバー内で移動させる基板移動工程を含む
    ことを特徴とする表示パネル製造方法。
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