JP2020004640A - スパークプラグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁体の中心軸とチップの中心軸との軸ずれ量を小さくすることが可能なスパークプラグの製造方法を提供する。【解決手段】先端側から後端側へ軸線L1に沿って延びる電極本体21の先端に接合部22を介してチップ23が接合された中心電極20と、軸線L1に沿って形成された軸孔31に中心電極20が配置される絶縁体30と、を備えたスパークプラグ10の製造方法であり、電極本体21とチップ23との間に接合部22を形成しつつ電極本体21とチップ23とを接合して接合体50を形成する接合工程と、軸線L1に沿った所定の中心軸L2を基準とし、接合体50のうち電極本体21と接合部22とチップ23とにわたる外周部分を除去する除去工程と、を経る。【選択図】図2
Description
本発明は、スパークプラグの製造方法に関する。
従来、中心電極と接地電極との間の間隙(火花放電ギャップ)において火花放電を行うスパークプラグが知られている。例えば下記特許文献1に記載されたスパークプラグは、軸線に沿って延びる電極本体の先端面にチップが接合されてなる中心電極と、軸線に沿って形成された軸孔に中心電極が配置される絶縁体と、を備えている。中心電極の先端(チップ)は絶縁体の先端から突出し、主体金属に設けられた接地電極との間に適切な火花放電ギャップが設けられている。
この種のスパークプラグは、一般に、所定の外径寸法に形成された電極本体の先端面にチップを溶接して中心電極を製造し、製造した中心電極を絶縁体の軸孔に配置し、中心電極が取り付けられた絶縁体を主体金属に組み付けることで製造される。
しかしながら、上記のような製造方法では、電極本体の先端面にチップを溶接する際、電極本体の中心軸とチップの中心軸とを一致させることが難しい。電極本体の中心軸とチップの中心軸とがずれた(軸ずれした)中心電極を絶縁体の軸孔に配置すると、絶縁体の中心軸とチップの中心軸とがずれる虞があり、絶縁体の中心軸とチップの中心軸との軸ずれ量が大きいと、絶縁体を主体金属に組み付けたときに正確な火花放電ギャップが形成されないことがある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、絶縁体の中心軸とチップの中心軸との軸ずれ量を小さくすることが可能なスパークプラグの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のスパークプラグの製造方法は、先端側から後端側へ軸線に沿って延びる電極本体の先端に接合部を介してチップが接合された中心電極と、前記軸線に沿って形成された軸孔に前記中心電極が配置される絶縁体と、を備えたスパークプラグの製造方法であり、前記電極本体と前記チップとの間に前記接合部を形成しつつ前記電極本体と前記チップとを接合して接合体を形成する接合工程と、前記軸線に沿った所定の中心軸を基準とし、前記接合体のうち前記電極本体と前記接合部と前記チップとにわたる外周部分を除去する除去工程と、を経る方法である。
本発明によれば、電極本体の中心軸とチップの中心軸とを一致させることが容易であるから、絶縁体の中心軸とチップの中心軸との軸ずれ量を小さくすることができる。
本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明のスパークプラグの製造方法は、前記除去工程を、センタレス研削により行う方法としてもよい。ここで、例えば除去工程を、旋盤を使用した切削により行う場合には、加工箇所が接合体の一点(バイト等の切削工具が接触する一点)に集中するため、接合体が変形したり、電極本体とチップとの接合部が損傷してチップが脱落する虞がある。しかしながら、センタレス研削によれば、加工箇所が複数に分散されるため、接合体の変形、接合部の損傷、またチップの脱落を防ぐことができる。
本発明のスパークプラグの製造方法は、前記除去工程を、センタレス研削により行う方法としてもよい。ここで、例えば除去工程を、旋盤を使用した切削により行う場合には、加工箇所が接合体の一点(バイト等の切削工具が接触する一点)に集中するため、接合体が変形したり、電極本体とチップとの接合部が損傷してチップが脱落する虞がある。しかしながら、センタレス研削によれば、加工箇所が複数に分散されるため、接合体の変形、接合部の損傷、またチップの脱落を防ぐことができる。
また、本発明のスパークプラグの製造方法は、前記センタレス研削において、前記接合体の外周面のうち前記電極本体から前記チップにわたる領域を同時に研削する方法としてもよい。このような方法によれば、除去工程において電極本体とチップとの接合部に作用する力を抑制し、接合部の損傷やチップの脱落を確実に防ぐことができる。
また、本発明のスパークプラグの製造方法は、前記電極本体が、径方向に突出する鍔部と、前記鍔部から前記軸線に沿って延びる軸部と、を有し、前記除去工程において、前記軸部の全長にわたる外周部分を除去する方法としてもよい。このような方法によれば、軸部の外周面と軸孔の内周面との間に所定のクリアランスを確保できるから、中心電極が熱膨張して絶縁体を押し割ることを防ぐことができる。
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1〜図5を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例におけるスパークプラグ10は、中心電極20と、絶縁体30と、主体金具40と、接地電極45と、を備え、中心電極20と接地電極45との間の間隙(火花放電ギャップ)において火花放電を行うものである。中心電極20は、絶縁体30の内部に形成された軸孔31に配置される。絶縁体30は、主体金具40に組み付けられる。接地電極45は、主体金具40の先端に設けられている。以下、各構成部材において、図1における下側(発火部側)を先端側とし、図1における上側(発火部とは反対側)を後端側として説明する。
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1〜図5を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例におけるスパークプラグ10は、中心電極20と、絶縁体30と、主体金具40と、接地電極45と、を備え、中心電極20と接地電極45との間の間隙(火花放電ギャップ)において火花放電を行うものである。中心電極20は、絶縁体30の内部に形成された軸孔31に配置される。絶縁体30は、主体金具40に組み付けられる。接地電極45は、主体金具40の先端に設けられている。以下、各構成部材において、図1における下側(発火部側)を先端側とし、図1における上側(発火部とは反対側)を後端側として説明する。
中心電極20は、先端側から後端側へ軸線L1に沿って延びる電極本体21の先端に接合部22を介してチップ23が接合されたものである。中心電極20が絶縁体30の軸孔31に配置された状態では、チップ23が絶縁体30の先端面から先方に突出する。中心電極20には、絶縁体30の後端部に配置された端子金具32が電気的に接続される。端子金具32には、図示しない高耐圧ケーブルが接続され高電圧が印加される。
電極本体21は、径方向に突出する鍔部24と、鍔部24から軸線L1に沿って先端側に延びる第1軸部25と、鍔部24から軸線L1に沿って後端側に延びる第2軸部26とを備えている。鍔部24、第1軸部25及び第2軸部26は、同軸の円形断面を有している。鍔部24の外径寸法は、第1軸部25の外径寸法及び第2軸部26の外径寸法より大きくされている。第1軸部25と第2軸部26とは外径寸法が等しくされている。第1軸部25は第2軸部26よりも長さ寸法(軸線L1に沿う方向の寸法)が大きくされている。言い換えると、鍔部24は、電極本体21において後端側に寄った位置に配されている。鍔部24の先端側には、先端から後端に向かって次第に径寸法が増すように傾斜したテーパ面24Aが形成されている。テーパ面24Aは、鍔部24の全周に形成されている。鍔部24は、絶縁体30に形成された係止部36に係止する。
なお、電極本体21は、熱伝導性及び機械的強度等を有する材料で形成されることが望ましく、例えばインコネル(商標名)等のNi基合金で形成される。電極本体21の軸心部は、CuまたはAgなどの熱伝導性に優れた金属材料により形成されてもよい。
チップ23は、白金合金及びイリジウム合金等により形成された貴金属チップである。チップ23は、後述するスパークプラグ10の製造方法によって、電極本体21と同じ形状及び同じ大きさの円形断面(軸線L1に直交する方向の断面)を有する円盤状に形成されている。すなわちチップ23の中心軸と電極本体21の中心軸とは一致している。
絶縁体30は、中心電極20が配置される軸孔31が軸線L1に沿って形成された円筒形状をなしている。軸孔31は、絶縁体30を軸方向に貫通している。軸孔31の先端部(以後、軸孔先端部33と称する)に中心電極20が配置され、軸孔31の後端部(以後、軸孔後端部34と称する)に端子金具32が配置され、軸孔31の中間部(中心電極20と端子金具32との間)に中心電極20と端子金具32とを電気的に接続する電気的接続部35が配置されている。電気的接続部35は、抵抗体等である。なお、絶縁体30は、機械的強度、熱的強度、電気的強度等を有する材料であることが望ましく、例えばアルミナを主体とするセラミック焼結体で形成されている。
軸孔先端部33の径寸法は、軸孔後端部34の径寸法に比して小さくされている。軸孔先端部33の径寸法は、軸孔先端部33の周面と中心電極20の第1軸部25の外周面との間に最小限の隙間(第1軸部25の熱膨張のために必要な最小限の隙間)を形成する寸法である。
絶縁体30には、中心電極20の鍔部24が係止する係止部36が設けられている。係止部36は、軸孔31の周面から内側に突出した段差状をなしている。係止部36は、軸孔31の軸線L1に対して交差する係止面36Aを有している。係止面36Aは、軸孔先端部33の後側に形成されている。係止面36Aは、鍔部24のテーパ面24Aと概ね等しい角度で傾斜している。
主体金具40は、内側に絶縁体30が組み付けられる略円筒形状をなしている。主体金具40の先端側には、シリンダヘッドにネジ固定されるネジ部42が設けられている。主体金具40には、滑石43及びパッキン部材44を介して絶縁体30が保持されている。絶縁体30の先端部は主体金具40の先端面から先方に突出している。絶縁体30の後側の略半分は主体金具40の後端面から後方に突出している。
主体金具40の先端には、複数(本実施例では2つ)の接地電極45が溶接により接合されている。接地電極45は、中心電極20を形成する材料と同様の材料により形成されている。接地電極45は、略L字に曲げられて、端面46がチップ23の周面20Aに対向している。2つの接地電極45は、180度反対の位置に配置されている。接地電極45の端面46には、白金合金及びイリジウム合金等により形成された貴金属チップが設けられている。なお、接地電極45の端面46には、貴金属チップが設けられていなくても良い。
次に、本実施例におけるスパークプラグ10の製造方法の一例を説明する。
以下では、スパークプラグ10の製造方法に含まれる多数の工程のうち、中心電極20を製造する工程(以下、中心電極形成工程ともいう)を詳しく説明する。なお、スパークプラグ10の製造方法は、中心電極形成工程以外は、公知の工程を採用することができる。
以下では、スパークプラグ10の製造方法に含まれる多数の工程のうち、中心電極20を製造する工程(以下、中心電極形成工程ともいう)を詳しく説明する。なお、スパークプラグ10の製造方法は、中心電極形成工程以外は、公知の工程を採用することができる。
中心電極形成工程は、図1のようにスパークプラグ10に組み込まれる中心電極20を形成する工程であり、主に、準備工程、接合工程、除去工程などを含む。準備工程は、電極本体21となるべき本体部材21Pと、チップ23となるべきチップ部材23Pとを準備する工程である。接合工程は、本体部材21Pとチップ部材23Pとを接合して接合体50を形成する工程である。除去工程は、接合体50において本体部材21P及びチップ部材23Pの外周部分を全体にわたって除去する工程である。
準備工程では、図2(A)に示すように、公知の金属加工方法によって本体部材21Pを所定の形状に形成しておく。本体部材21Pは、電極本体21(図1、図2(C)参照)を形成するための対象部材であり、完成段階の電極本体21よりも径寸法が一回り大きい製造段階の電極本体である。本体部材21Pは、後述する除去工程を施した後に第1軸部25となる部分である軸部25Pと、除去工程を施した後に鍔部24となる部分である鍔部24Pと、除去工程を施した後に第2軸部26となる部分である軸部26Pとが一体化した構成をなす。本体部材21Pを構成する軸部25P、鍔部24P、軸部26Pは、いずれの外周面も所定の中心線L3を中心とする円筒面として構成される。軸部25Pは、除去工程後に得られる第1軸部25よりも外径寸法が大きく、鍔部24Pは、除去工程後に得られる鍔部24よりも外径寸法が大きく、軸部26Pは、除去工程後に得られる第2軸部26よりも外径寸法が大きい。
また、準備工程では、図2(A)に示すように、公知の金属加工方法によってチップ部材23Pを所定の円柱形状に形成しておく。チップ部材23Pは、チップ23(図1、図2(C)参照)を形成するための対象部材であり、製造段階のチップである。用意されるチップ部材23Pの形状(即ち、上記所定の円柱形状)は、完成段階のチップ23に比して径寸法が大きく、かつ本体部材21P(製造段階の電極本体)の端面27より径寸法が小さいものである。端面27は、接合工程でチップ部材23Pを接合する対象面である。
上述した準備工程の後には接合工程を行う。接合工程では、図2(A)に示すように、本体部材21Pにおける軸部25Pの端面27に、チップ部材23Pを溶接する。チップ部材23Pの溶接は、例えばレーザ溶接装置を用いた公知のレーザ溶接方法によって行うことができる。具体的には、本体部材21Pの端面27とチップ部材23Pの端面28とを対向させつつ近接した状態でそれらの境界付近にレーザ照射を施し、端面27付近と端面28付近とを溶融させた後、その部分を固化させ、図2(B)のような接合部22Pを形成する。接合部22Pは、本体部材21Pの端部付近及びチップ部材23Pの端部付近が溶融した後に固化してなる溶融部となっている。図2(B)には、本体部材21Pの中心線L3とチップ部材23Pの中心線(円柱の中心)L4とが同一直線上に位置するように接合された状態を例示している。しかしながら接合工程では、本体部材21Pとチップ部材23Pとを同軸になるように接合することは難しいため、本体部材21Pの中心線L3とチップ部材23Pの中心線L4とは軸ずれしていてもよい。
こうして接合工程を行うことにより、本体部材21Pとチップ部材23Pとが接合部22Pを介して接合された接合体50が製造される。
上述した接合工程の後には除去工程を行う。除去工程では、接合工程で得られた接合体50において、所定の中心軸(基準軸)L2を基準とし、接合体50の外周面50Aのうち予め定められた除去範囲Rを研削する。所定の中心軸L2は、本体部材21Pの中心線L3とチップ部材23Pの中心線(円柱の中心)L4とが同一直線上に位置するように接合された場合には、接合体50の中心軸であってもよいし、そうでない場合には、本体部材21Pの中心線L3、またはチップ部材23Pの中心線L4であってもよいし、中心線L3,L4からずれた軸であってもよい。
本実施例では、接合工程を経て得られる接合体50(図2(B))は、軸方向全範囲で、完成段階の中心電極20(図2(C))の径寸法に比して大きくなっており、除去工程では、接合体50の軸方向全範囲にわたって外周面50Aに研削加工を施す。つまり、除去範囲Rは、接合体50の軸方向全範囲である。具体的には、チップ部材23P、接合部22P、本体部材21Pの全ての外周面を全体的に除去するように、接合体50の外周面50Aにおける軸方向一端から他端までの全範囲を研削する。
除去工程での研削方法としては、公知の様々な方法を用いることができるが、センタレス研削装置を用いた公知のセンタレス研削によって行うことがより望ましい。センタレス研削では、図3に示すように、研削砥石61を接合体50の外周面50Aに押し付けて外周部分を削り取る。接合体50は、研削砥石61、調整砥石62、及びブレード63によって所定の中心軸L2の周りを3点で支持された状態で回転する。なお、図3では、研削砥石61及び調整砥石62が中心軸L2と平行な回転軸を中心として互いに同方向に回転し、接合体50が、中心軸L2を中心として研削砥石61及び調整砥石62とは反対方向に回転する例を示している。ブレード63は、所定位置に固定された状態で加工物支持刃として機能している。
図4は、センタレス研削を行っている時の様子を図3とは異なる方向から見た説明図である。図4は、センタレス研削に用いる研削砥石61及び調整砥石62を二点鎖線にて概念的に示している。本実施例の除去工程では、研削砥石61は、接合体50の外周面50Aのうち少なくとも本体部材21Pの先端部からチップ部材23Pにわたる領域に同時に押し付けられる。すなわち研削砥石61は、少なくとも本体部材21Pの先端部からチップ部材23Pにわたる領域に同時に接触できる長さ寸法を有している。除去工程では、研削砥石61によって軸部25P、接合部22P、及びチップ部材23Pに跨るように同時に研削が行われる。なお、図4の例では、軸部25Pの後端からチップ部材23Pの先端まで及ぶように研削砥石61を接触させ、鍔部24Pより前側の部分を同時に研削する。除去工程では、除去工程後の軸部25P、接合部22P、及びチップ部材23Pの全ての外周面が中心軸L2を中心とする円筒面となり且つ全ての外周面が同一の外径となるように研削を行う。
なお、軸部25Pの後端よりも後方側に配置される鍔部24Pや軸部26Pについても、上述したセンタレス研削によって研削することが望ましい。
除去工程において接合体50の外周部分を全長にわたり除去すると、図2(C)に示すように、除去工程後の成形体として、完成段階の中心電極20が形成される。完成段階の中心電極20は、電極本体21の中心軸、接合部22の中心軸、及びチップ23の中心軸がいずれも中心軸L2と一致するように同軸となっている。すなわち、除去工程で基準軸とされる中心軸L2が、完成段階の中心電極20の軸線L1となる。第1軸部25は、軸部25Pに対して除去工程が施された部分であり、接合部22は、接合部22Pに対して除去工程が施された部分であり、チップ23は、チップ部材23Pに対して除去工程が施された部分である。
このように除去工程を行うことにより、完成段階の中心電極20が得られる。除去工程で得られる中心電極20は、第1軸部25、接合部22、及びチップ23の全ての外周面が軸線L1を中心とする円筒面となり且つ全ての外周面が同一の外径となる。
上述した除去工程の後には、電極配置工程を行う。電極配置工程では、予め公知の方法で所定形状に形成された絶縁体30に、中心電極20、電気的接続部35、端子金具32などを組み付けて一体的な構造体を形成する。絶縁体30は、軸孔31が形成されてなるものであり、図5の状態から中心電極20を除いた構成のものである。
電極配置工程では、絶縁体30の軸孔31に対して中心電極形成工程で形成された中心電極20を挿入し、図5のように組み付ける。具体的には、軸孔31の後端側から中心電極20の先端側を挿入し、第1軸部25を軸孔先端部33に収容し、中心電極20の鍔部24を軸孔31の係止部36に係止させる。鍔部24と係止部36とを係止させることにより、中心電極20は、絶縁体30に対する軸方向の位置が正規位置(図1のような最終製品と同様の正規位置)となるように固定される。なお、この正規位置は、中心電極20の先端部が絶縁体30の先端面から所定の寸法だけ先方に突出する位置である。また、中心電極20を絶縁体30に組み付けた状態では、第1軸部25の外周面と軸孔先端部33の内周面との間に所定のクリアランスが確保される。こうしてクリアランスが確保されることにより、中心電極20が熱膨張して絶縁体30を押し割ることを防ぐことができる。また、軸孔先端部33に対して第1軸部25が傾くことが規制され、第1軸部25の中心軸(すなわち中心電極20の軸線L1)と軸孔先端部33の中心軸(絶縁体30の中心軸)とは概ね同軸に配される。
電極配置工程では、絶縁体30の内部に中心電極20を挿入した後、電気的接続部35及び端子金具32を挿入し、公知の加熱圧縮工程によってこれらを一体的に形成する。
電極配置工程の後には、主体金具40などを組み付ける組付工程を行う。組付工程では、電極配置工程によって形成された構造体(絶縁体30、中心電極20、電気的接続部35、及び端子金具32を一体化した構造体)を主体金具40に対して組み付ける。なお、構造体に主体金具40を組み付ける工程は、公知の工程を採用することができる。構造体に対して主体金具40を組み付けた後、主体金具40の所定部位の加締めや接地電極45の形状調整などを行う。
以上により、スパークプラグ10の製造方法が完了する。
以上により、スパークプラグ10の製造方法が完了する。
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例のスパークプラグ10の製造方法は、中心電極20と、絶縁体30と、を備えたスパークプラグ10の製造方法である。中心電極20は、先端側から後端側へ軸線L1に沿って延びる電極本体21の先端に接合部22を介してチップ23が接合されるものである。絶縁体30は、軸線L1に沿って形成された軸孔31に中心電極20が配置されるものである。
本実施例のスパークプラグ10の製造方法は、中心電極20と、絶縁体30と、を備えたスパークプラグ10の製造方法である。中心電極20は、先端側から後端側へ軸線L1に沿って延びる電極本体21の先端に接合部22を介してチップ23が接合されるものである。絶縁体30は、軸線L1に沿って形成された軸孔31に中心電極20が配置されるものである。
スパークプラグ10の製造方法は、接合工程と、除去工程と、を経る方法である。接合工程は、電極本体21とチップ23との間に接合部22を形成しつつ電極本体21とチップ23とを接合して接合体50を形成する。除去工程は、軸線L1に沿った所定の中心軸L2を基準とし、接合体50のうち電極本体21と接合部22とチップ23とにわたる外周部分を除去する。
この方法によれば、電極本体21の中心軸とチップ23の中心軸とを一致させることが容易であるから、絶縁体30の中心軸とチップ23の中心軸との軸ずれ量を小さくすることができる。なお、本実施例では、電極本体21の中心軸とチップ23の中心軸とは同軸に形成されているけれども、これに限らず、電極本体21の中心軸とチップ23の中心軸とは若干ずれていてもよい。すなわち、本実施例のスパークプラグ10の製造方法によれば、電極本体21の中心軸とチップ23の中心軸とは若干ずれていたとしても、その軸ずれ量を従来より小さくすることができる。
また、除去工程を、センタレス研削により行う。ここで、例えば除去工程を、旋盤を使用した切削により行う場合には、加工箇所が接合体50の一点(バイト等の切削工具が接触する一点)に集中するため、接合体50が変形したり、電極本体21とチップ23との接合部22が損傷してチップ23が脱落する虞がある。しかしながら、センタレス研削によれば、加工箇所が複数に分散されるため、接合体50の変形、接合部22の損傷、またチップ23の脱落を防ぐことができる。
また、センタレス研削において、接合体50の外周面50Aのうち電極本体21からチップ23にわたる領域を同時に研削する。この方法によれば、除去工程において電極本体21とチップ23との接合部22に作用する力を抑制し、接合部22の損傷やチップ23の脱落を確実に防ぐことができる。
また、電極本体21が、径方向に突出する鍔部24と、鍔部24から軸線L1に沿って延びる第1軸部25と、を有し、除去工程において、第1軸部25の全長にわたる外周部分を除去する。この方法によれば、第1軸部25の外周面と軸孔31の内周面との間に所定のクリアランスを確保できるから、中心電極20が熱膨張して絶縁体30を押し割ることを防ぐことができる。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、本発明を、接地電極45の端面46がチップ23の周面20Aに対向している(放電の方向が軸線L1方向と垂直である)横放電型のスパークプラグ10の製造に適用した場合を例示したが、これに限らず、本発明は、接地電極の端面がチップの先端面に対向している(放電の方向が軸線L1方向と平行である)縦放電型のスパークプラグの製造にも適用することができる。
(2)上記実施例では、除去工程において接合体50の外周面50Aを研削加工する場合を例示したが、これに限らず、接合体の外周部分を除去できればどのような加工法を採用してもよく、例えば切削加工を採用してもよい。
(3)上記実施例では、除去範囲Rが、接合体50の全長にわたるが、これに限らず、除去範囲は接合体の全長にわたらなくてもよく、少なくとも接合体のうち電極本体の先端部と接合部とチップとにわたる範囲を含んでいればよい。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、本発明を、接地電極45の端面46がチップ23の周面20Aに対向している(放電の方向が軸線L1方向と垂直である)横放電型のスパークプラグ10の製造に適用した場合を例示したが、これに限らず、本発明は、接地電極の端面がチップの先端面に対向している(放電の方向が軸線L1方向と平行である)縦放電型のスパークプラグの製造にも適用することができる。
(2)上記実施例では、除去工程において接合体50の外周面50Aを研削加工する場合を例示したが、これに限らず、接合体の外周部分を除去できればどのような加工法を採用してもよく、例えば切削加工を採用してもよい。
(3)上記実施例では、除去範囲Rが、接合体50の全長にわたるが、これに限らず、除去範囲は接合体の全長にわたらなくてもよく、少なくとも接合体のうち電極本体の先端部と接合部とチップとにわたる範囲を含んでいればよい。
L1…軸線
L2…所定の中心軸
10…スパークプラグ
20…中心電極
21…電極本体
22…接合部
23…チップ
24…鍔部
25…第1軸部
30…絶縁体
31…軸孔
50…接合体
50A…接合体の外周面
L2…所定の中心軸
10…スパークプラグ
20…中心電極
21…電極本体
22…接合部
23…チップ
24…鍔部
25…第1軸部
30…絶縁体
31…軸孔
50…接合体
50A…接合体の外周面
Claims (4)
- 先端側から後端側へ軸線に沿って延びる電極本体の先端に接合部を介してチップが接合された中心電極と、
前記軸線に沿って形成された軸孔に前記中心電極が配置される絶縁体と、を備えたスパークプラグの製造方法であり、
前記電極本体と前記チップとの間に前記接合部を形成しつつ前記電極本体と前記チップとを接合して接合体を形成する接合工程と、
前記軸線に沿った所定の中心軸を基準とし、前記接合体のうち前記電極本体と前記接合部と前記チップとにわたる外周部分を除去する除去工程と、
を経るスパークプラグの製造方法。 - 前記除去工程を、センタレス研削により行う請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記センタレス研削において、前記接合体の外周面のうち前記電極本体から前記チップにわたる領域を同時に研削する請求項2に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記電極本体が、径方向に突出する鍔部と、前記鍔部から前記軸線に沿って延びる軸部と、を有し、
前記除去工程において、前記軸部の全長にわたる外周部分を除去する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018124518A JP2020004640A (ja) | 2018-06-29 | 2018-06-29 | スパークプラグの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018124518A JP2020004640A (ja) | 2018-06-29 | 2018-06-29 | スパークプラグの製造方法 |
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- 2018-06-29 JP JP2018124518A patent/JP2020004640A/ja active Pending
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