JP2020003354A - 感温構造体および風状態計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂上に感温素子を確実に固着させた感温構造体を提供する。【解決手段】感温素子3−1、…、3−16の各々は、分子接合層101、導電材層102、金属層103からなる層構造を有している。熱伝導体2の表面を構成する合成樹脂と分子接合層101の有機化合物とが化学的に結合しているため、この両者間の接合は強固である。分子接合層101と導電材層102とは、有機化合物のアンカー効果によって強固に接合している。導電材層102と金属層103との接合は電気めっきで強固なものになっている。【選択図】図6
Description
本発明は、感温構造体および風状態計測装置に関するものである。
従来、合成樹脂等の基材上に感温素子を設けるにあたって、スパッターなどにて基材上に薄膜型の素子を形成することで分子間力にて基材と素子とを接合する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、特許文献1に記載の技術では、球等の曲面上に薄膜を形成すると、基材と薄膜との密着性が低く皺や割れが発生することがあり、安定して感温素子を形成することは困難であった。
本発明は上記点に鑑み、球等の曲面であっても、合成樹脂上に感温素子を確実に固着させた感温構造体を目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、合成樹脂からなる表面を有する樹脂筐体と、前記表面上に配されて温度が変化すると電気抵抗値が変化する感温素子とを備える感温構造体であり、前記感温素子は、前記合成樹脂と化学的に結合した有機化合物にて前記表面上に形成された分子接合層と、前記分子接合層上に形成された導電材層と、前記導電材層の上に形成された金属層とを含んで構成され、前記金属層の電気抵抗率の温度係数は、前記導電材層の電気抵抗率の温度係数よりも大きいことを特徴とする感温構造体である。
樹脂筐体の合成樹脂と分子接合層の有機化合物とが化学的に結合しているため、この両者間の接合は強固である。その分子接合層の上に導電材層が形成され、導電材層の上に金属層が形成されているので、樹脂筐体と感温素子との密着性は良好、確実である。本発明は感温素子を確実に固着させた感温構造体を実現している。
また金属層の電気抵抗率の温度係数は、導電材層の電気抵抗率の温度係数よりも大きいので、感温素子の感度が向上する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、風向風速計1は、車両10のエンジンルーム112内において、エンジン114の周囲に複数個配置される。これら風向風速計1は、すべて同等の構成を有している。以下、これらのうち1つの風向風速計1の構成について説明する。風向風速計1は、風状態計測装置に対応する。
以下、第1実施形態について説明する。図1に示すように、風向風速計1は、車両10のエンジンルーム112内において、エンジン114の周囲に複数個配置される。これら風向風速計1は、すべて同等の構成を有している。以下、これらのうち1つの風向風速計1の構成について説明する。風向風速計1は、風状態計測装置に対応する。
図2、図3、図4に示すように、1つの風向風速計1は、本体部20、16個の感温素子3−1、…、3−16、複数本の配線6、電源回路7、算出回路8、外気温センサ9、および収容ケース11を有している。風向風速計1は、風向風速計1の周囲を流れる風の向きおよび速さを計測し、計測結果を電気信号として出力する。本体部20は、熱伝導体2と、支柱4と、ヒータカバー31と、ヒータ32と、ヒータ温度センサ33とを有する。本体部20、感温素子3−1、…、3−16、配線6が、全体として、感温構造体に対応する。
熱伝導体2は、計測すべき方位に対して断面形状が円形となる電気的絶縁体である。具体的には、熱伝導体2は、合成樹脂製の略球形状の、熱を伝導可能な筐体である。ただし、熱伝導体2の内部には、熱伝導体2の中心から熱伝導体2の表面まで柱状に伸びる孔37が形成されている。熱伝導体2に用いられる材料は、例えば、ポリアミドまたはPEEKである。PEEKは、ポリエーテルエーテルケトンの略である。
支柱4は、熱伝導体2の下端部に固定された中空の円筒形状の部材である。具体的には、支柱4は、図4に示すように、支柱4の内部空間である貫通孔41と熱伝導体2の孔37とが連通した状態で、熱伝導体2に固定されている。この固定により、支柱4は、熱伝導体2を支える機能を有する。支柱4の他端は収容ケース11に固定されている。支柱4の貫通孔41は収容ケース11の内部と連通している。
ヒータカバー31は、ヒータ32と、ヒータ温度センサ33を覆う樹脂製またはセラミック製の部材であり、孔37の内部に稠密に充填されている。したがって、ヒータ32、ヒータ温度センサ33およびヒータカバー31は、熱伝導体2の内部、具体的には孔37内に配置されている。また、ヒータ32は略球形状である熱伝導体2の中心部に位置し、ヒータ温度センサ33はヒータ32の近傍に配置されている。このように、孔37は、ヒータ32、ヒータ温度センサ33およびヒータカバー31を受け入れるために形成された孔である。
ヒータ32は、電源回路7から給電されることで発熱する。例えば、ヒータ32は、電熱線で構成されていてもよい。ヒータ32の発熱によって発生した熱は、熱伝導によりヒータカバー31、熱伝導体2をこの順に伝わり、熱伝導体2から感温素子3−1、…、3−16に熱伝導により伝わる。
16個の感温素子3−1、…、3−16は、図2、図3、図4に示すように、熱伝導体2の表面に分散して貼り付けられている。これにより、感温素子3−1、…、3−16は、裏面で熱伝導体2と接触すると共に、表面で熱伝導体2の周囲を流れる空気(すなわち外気)に接触する。したがって、感温素子3−1、…、3−16は、外気と熱伝導により熱交換することで、外気から熱的に影響を受ける。
図2、図3に示すように、感温素子3−1、…、3−16の中心位置は、方位角が22.5度ずつずれて0°から337.5°まで等間隔で配置されている。また、図2、図3に示すように、感温素子3−1、…、3−16の中心位置の各々は、極角が−45°、0°、45°のいずれかに配置されており、かつ、方位角が隣り合う感温素子に対して極角が45度ずれて配置されている。また、中心位置の極角が−45°に配置されている感温素子と方位角が隣り合う2つの感温素子は、中心位置の極角が0°である。また、中心位置の極角が45°に配置されている感温素子と方位角が隣り合う2つの感温素子も、中心位置の極角が0°である。また、中心位置の極角が0°に配置されている感温素子と方位角が隣り合う2つの感温素子のうち、一方の感温素子の中心位置の極角が−45°であり、他方の感温素子の中心位置の極角が45°である。
より具体的には、感温素子3−1、3−5、3−9、3−13の各々は、中心位置の極角が−45°となる。また、感温素子3−2、3−4、3−6、3−8、3−10、3−12、3−14、3−16の各々は、中心位置の極角が0°となる。また、感温素子3−3、3−7、3−11、3−15の各々は、中心位置の極角が45°となる。
ここで、極角および方位角は、熱伝導体2の中心を中心とする球面座標表示における極角θおよび方位角φである。より具体的には、ある方向の極角は、その方向とz軸方向が成す角度であり、その方向の方位角は、その方向をx−y平面に射影した方向とx軸方向とが成す角度である。本実施形態では、z軸は、熱伝導体2の中心を通り、図2中上下方向に伸びる軸であり、x軸は当該中心を通りz軸に直交する軸であり、y軸は当該中心を通りz軸およびx軸に直交する軸である。また、x−y平面は、x軸とy軸とを含む平面である。
感温素子3−1、…、3−16の各々は、図5に示すように蛇行しながら一端から他端まで伸びている。感温素子3−1、…、3−16の各々は、図6に示すように熱伝導体2の表面上に形成された分子接合層101と、分子接合層101上に形成された導電材層102と、導電材層102の上に形成された金属層103とからなる層構造を有している。なお、分子接合層101、導電材層102および金属層103の詳細については後述する。
感温素子3−1、…、3−16の各々は、通電されると発熱する電気抵抗であるが、その発熱量は、ヒータ32の発熱量に比べると無視できるほど小さい。したがって、感温素子3−1、…、3−16は、熱伝導体2の周囲を流れる空気以外に由来して当該空気から伝わる熱以外の熱によって、具体的には、ヒータ32によって生成されてヒータカバー31、熱伝導体2を伝導した熱によって、温度上昇する。感温素子3−1、…、3−16に用いられる金属は、温度が上昇するにつれて電気抵抗値(以下、単に抵抗値ともいう)が増大する。つまり、感温素子3−1、…、3−16は、自己の温度に応じて電気的特性すなわち抵抗値が変化する。例えば、感温素子3−1、…、3−16は、温度が上昇すると抵抗値が高くなる。
図2、図3、図7に示すように、配線6は感温素子3−1、…、3−16を直列に接続すると共に、感温素子3−1、…、3−16の各々を算出回路8に接続する導線である。配線6の一部は、感温素子3−1、…、3−16の両端から伸びて熱伝導体2の表面に配置され、熱伝導体2の表面に沿って伸びる。配線6の残りの一部は、図4に示すように、熱伝導体2と支柱4の隙間から熱伝導体2の内部に入り、支柱4の貫通孔41を経て収容ケース11の内部に引き込まれている。収容ケース11の内部には算出回路8が収容されており、配線6は算出回路8に接続されている。
外気温センサ9は、本体部20の近傍に配置され、収容ケース11の外面に取り付けられている。外気温センサ9は、エンジンルーム112内かつ本体部20の周囲の空気の温度(すなわち外気温)に応じた電気信号を算出回路8に出力するセンサである。
ヒータ温度センサ33は、ヒータ32の近傍に配置されているため、ヒータ32の温度に応じた電気信号を出力できる。このヒータ温度センサ33の電気信号も算出回路8に入力される。
電源回路7はヒータ32に給電するための回路基板であり、収容ケース11に収容されている。電源回路7とヒータ32とは給電ケーブル34を用いて接続されている。電源回路7はヒータ32に給電する電力を変化させることにより、ヒータ32の発熱量を変化させることができる。言うまでもないが、給電しないことすなわちヒータ32の発熱量を0とすることも可能である。電源回路7は算出回路8に接続されており、算出回路8による制御を受ける。
算出回路8は、図7に示すように、16個の電圧計V1、…、V16、処理部81、電流源82を有している。電圧計V1、…、V16は、感温素子3−1、…、3−16に、この順に一対一に対応している。電圧計V1、…、V16の各々から、対応する感温素子の両端間の電圧に応じた信号が、処理部81に入力される。
このように、電圧計V1、…、V16の各々は、対応する感温素子に及ぼされる電流および電圧のうち一方の電気的物理量(すなわち電圧)を検出する電気的物理量計である。そして、電流源82は、感温素子3−1、…、3−16に及ぼされる電流および電圧のうち上記一方の電気的物理量(すなわち電圧)とは異なる他方の電気的物理量(すなわち電流)を制御する電源である。
処理部81は、CPU、RAM、ROM等を備えた周知のマイクロコンピュータである。CPUは、ROMに記録されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。CPUがプログラムを実行することにより、処理部81が後述する種々の処理を実行する。
電流源82は、感温素子3−1、…、3−16に所定の電流を供給する回路である。電流源82から供給される電流の電流値は、処理部81によって制御可能となっている。
収容ケース11は、上述のように電源回路7および算出回路8を収容するとともに本体部20および外気温センサ9を保持している。そして、収容ケース11は、風向風速計1をエンジンルーム112に取り付けるためにも使用されている。
以上のような構成の風向風速計1の作動について、以下説明する。算出回路8の処理部81は、感温素子3−1、…、3−16に所定の一定電流値の電流が供給されるよう、電流源82を制御する。これにより、電流源82は、一定の電流値の電流を感温素子3−1、…、3−16に供給する。
また、処理部81は、上述のように電流源82を制御している期間中に、電圧計V1、…、V16から入力された信号に基づいて、感温素子3−1、…、3−16の両端に印加された16個の電圧値を繰り返し定期的に(例えば1秒に1回)特定する。
そして処理部81は、16個の電圧値を特定する度に、これら電圧値に基づいて、感温素子3−1、…、3−16の各々の温度を特定する。具体的には、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の各々について、当該感温素子の両端に印加された電圧値と、上述の一定電流値に基づいて、当該感温素子の抵抗値を算出する。そして処理部81は、算出した抵抗値を、ROMにあらかじめ記録されている抵抗値−温度テーブルに適用することで、当該感温素子が当該抵抗値を示すときの当該感温素子の温度を特定する。抵抗値−温度テーブルは、抵抗値と、感温素子3−1、…、3−16が当該抵抗値を示すときの当該感温素子の温度との対応関係を表すデータである。
また処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の各々の温度を特定する度に、外気温センサ9からの信号に基づいて外気温を特定し、特定した外気温と感温素子3−1、…、3−16の温度に基づいて、風向および風速を算出する。
具体的には、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値を算出し、算出した平均値と外気温との差の絶対値が大きいほど風速が大きくなるよう、風速を決定する。
また、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の周囲の風向を、以下のような方法で導出する。処理部81は、まず、16個の感温素子3−1、…、3−16の温度のうち、低いものから順に5個の温度Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5を抽出する。ここでは、温度Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、T5は少なくとも1つの値(例えばすべての値)が異なる値であるとする。
続いて処理部81は、抽出した5つの温度に基づいて、風向を算出する。算出方法は、感温素子3−1、…、3−16の各々の温度Tsが以下の式(1)のように極角θ、方位角φの関数で近似されることを利用する。
Ts=a×θ2+b×φ2+c×θ+d×φ+e (1)
ここで、Tsは、対象となる感温素子の温度、θおよびφは当該感温素子の中心位置の極角および方位角である。またa、b、c、d、eは定数である。
Ts=a×θ2+b×φ2+c×θ+d×φ+e (1)
ここで、Tsは、対象となる感温素子の温度、θおよびφは当該感温素子の中心位置の極角および方位角である。またa、b、c、d、eは定数である。
具体的には、処理部81は、温度Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5を示した感温素子について、温度、中心位置の極角、中心位置の方位角の3つの値を上記式(1)に代入する。それにより、a、b、c、d、eに関する5つの連立方程式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を得る。
Tx1=a×θ12+b×φ12+c×θ1+d×φ1+e (2)
Tx2=a×θ22+b×φ22+c×θ2+d×φ2+e (3)
Tx3=a×θ32+b×φ32+c×θ3+d×φ3+e (4)
Tx4=a×θ42+b×φ42+c×θ4+d×φ4+e (5)
Tx5=a×θ52+b×φ52+c×θ5+d×φ5+e (6)
処理部81は、この連立方程式を解いてa、b、c、d、eを算出する。そして、算出したa、b、c、d、eを式(1)に代入し、更に式(1)の1階全微分がゼロになるθ、φを算出する。処理部81は、算出したθ、φの位置から熱伝導体2の中心に向かう方向を、風向として決定する。
Tx1=a×θ12+b×φ12+c×θ1+d×φ1+e (2)
Tx2=a×θ22+b×φ22+c×θ2+d×φ2+e (3)
Tx3=a×θ32+b×φ32+c×θ3+d×φ3+e (4)
Tx4=a×θ42+b×φ42+c×θ4+d×φ4+e (5)
Tx5=a×θ52+b×φ52+c×θ5+d×φ5+e (6)
処理部81は、この連立方程式を解いてa、b、c、d、eを算出する。そして、算出したa、b、c、d、eを式(1)に代入し、更に式(1)の1階全微分がゼロになるθ、φを算出する。処理部81は、算出したθ、φの位置から熱伝導体2の中心に向かう方向を、風向として決定する。
(感温素子の詳細)
感温素子3−1、…、3−16の各々は、上述したように分子接合層101、導電材層102および金属層103の層構造を有している。その層構造の詳細について、製造工程に従って説明する。
感温素子3−1、…、3−16の各々は、上述したように分子接合層101、導電材層102および金属層103の層構造を有している。その層構造の詳細について、製造工程に従って説明する。
図8に示すように、感温素子3−1、…、3−16の製造工程は、合成樹脂の洗浄、分子接合層の形成、触媒の付与、導電材層の形成、金属層の形成という各工程からなる。
合成樹脂の洗浄工程は、ステップS1、S2、S3を有する。先ずステップS1で、熱伝導体2を構成している合成樹脂(PEEK)の加工応力除去として、熱伝導体2を150℃にて5分間保持する。次にステップS2で、アセトンを用いた超音波洗浄を10分間行うことで、熱伝導体2の表面の脱脂を行う。そしてステップS3で、コロナ放電処理により熱伝導体2の表面を改質する。
続く分子接合層の形成工程では、ステップS4で、熱伝導体2の表面に、分子接合層を構成するための有機化合物を化学的に結合させる処理が行われる。本実施形態においては、図9に示す構造の有機化合物Y1を溶質としている有機溶剤中に熱伝導体2を浸漬し、上記改質された熱伝導体2の表面に有機化合物Y1を吸着させた後、熱伝導体2を引き揚げて乾燥させる。
ステップS4では次に、その熱伝導体2の表面に紫外線を照射する。すると、図10に示すように、アジド基に紫外線Hνが当たることで、有機化合物Y1のアジド基の一部からN2が遊離しナイトレンが形成される。そして、図11に示すように、そのナイトレンが、PEEK中のC−H結合の水素を引き剥がして当該水素に結合し、さらに、そのナイトレンの余った電子と炭素の電子が対となって共有結合する。すなわちCH挿入反応が起こる。ナイトレンの反応性が強いので、樹脂内にあるすべてのCH結合が選択対象になる。この反応によって、図12に示すように、PEEKのベンゼン環の一部と有機化合物Y1とが結合する。その結果、熱伝導体2の表面に有機化合物Y1による分子接合層101が形成される。
次の触媒の付与工程はステップS5、S6を有する。ステップS5では、触媒としてのパラジウム(Pd)を分子接合層101の有機化合物Y1に結合させるために、熱伝導体2を塩化パラジウム(PdCl2)の水溶液に1分間浸漬する。続くステップS6では、有機化合物Y1とパラジウムとの結合促進を目的として、パラジウムの水溶液から取り出した熱伝導体2を150℃にて5分間保持する。この工程を経ることにより、図13に示すように有機化合物Y1のトリアジン環の窒素原子が電子対を供与してパラジウムと配位結合し、ヒドロキシ基の水素との置換にてパラジウムがイオン結合する。このパラジウムの付与は次の導電材層の形成工程での反応性を上げるために行われる。
その導電材層の形成工程はステップS7、S8を有する。ステップS7では、分子接合層101上に導電材層102を形成するために熱伝導体2をめっき液に浸漬して無電解ニッケルホウ素めっきを行う。
この無電解ニッケルホウ素めっきでは、先ず下記の化学式(8)に示す反応により、めっき液のニッケル(Ni)が、触媒の付与工程で有機化合物Y1に付与されたパラジウムに替わって、図14に示すように有機化合物Y1に結合する。すなわち、トリアジン環の窒素原子が電子対を供与してニッケルと配位結合し、ヒドロキシ基の水素と置換した形態でニッケルがイオン結合する。
Pd+Ni2+→Pd2++Ni (8)
ステップS7では続いて、有機化合物Y1に結合したニッケルを起点として、ニッケルとホウ素化ニッケルが析出し、導電材層102となる皮膜を形成する。その析出反応は下記の化学式(9)、(10)、(11)に示す反応によってなされる。
3Ni2++(CH3)2NHBH3+H2O→3Ni+H3BO3+(CH3)2H2N++5H+ (9)
4Ni2++2(CH3)2NHBH3+3H2O→2Ni+NiB+H3BO3+2HN++6H+ (10)
(CH3)2NHBH3+3H2O→H3BO3+(CH3)2H2N++3H2 (11)
すると、図15に示すように、ニッケルとホウ素化ニッケルにて形成された導電材層102の内部に有機化合物Y1が入り込んだ構造が生じる。この有機化合物Y1の入り込み、化学的に結合することで分子接合層101と導電材層102とが強固に接合する。(10)の反応によって生成されるホウ素化ニッケルは不純物である。このような不純物がニッケル等の金属に含まれていると、当該金属の電気抵抗率の温度係数が低下する。すなわち、単位温度変化量あたりの電気抵抗値の変化量の絶対値が低下する。無電解ニッケルホウ素めっきが済んだ後は、ステップS8で、熱伝導体2をめっき液から揚げて、めっきに伴う残留応力を除去するために150℃にて5分間保持する。
Pd+Ni2+→Pd2++Ni (8)
ステップS7では続いて、有機化合物Y1に結合したニッケルを起点として、ニッケルとホウ素化ニッケルが析出し、導電材層102となる皮膜を形成する。その析出反応は下記の化学式(9)、(10)、(11)に示す反応によってなされる。
3Ni2++(CH3)2NHBH3+H2O→3Ni+H3BO3+(CH3)2H2N++5H+ (9)
4Ni2++2(CH3)2NHBH3+3H2O→2Ni+NiB+H3BO3+2HN++6H+ (10)
(CH3)2NHBH3+3H2O→H3BO3+(CH3)2H2N++3H2 (11)
すると、図15に示すように、ニッケルとホウ素化ニッケルにて形成された導電材層102の内部に有機化合物Y1が入り込んだ構造が生じる。この有機化合物Y1の入り込み、化学的に結合することで分子接合層101と導電材層102とが強固に接合する。(10)の反応によって生成されるホウ素化ニッケルは不純物である。このような不純物がニッケル等の金属に含まれていると、当該金属の電気抵抗率の温度係数が低下する。すなわち、単位温度変化量あたりの電気抵抗値の変化量の絶対値が低下する。無電解ニッケルホウ素めっきが済んだ後は、ステップS8で、熱伝導体2をめっき液から揚げて、めっきに伴う残留応力を除去するために150℃にて5分間保持する。
次の金属層の形成工程は、ステップS9を含む。ステップS9では、電気ニッケルめっきによって導電材層102上にニッケルの皮膜である金属層103を形成する。この電気ニッケルめっきは、図16に示すように、電解液には硫酸ニッケル(NiSO4)水溶液を使用し、熱伝導体2に形成された導電材層102を陰極、ニッケル板を陽極として行われる。これにより、図17に示すように、導電材層102上にニッケルが析出し金属層103を形成する。陰極となる導電材層102上にはニッケルのみが析出するので、金属層103となる被膜には不純物が含まれない。すなわち、金属層103は導電材層102よりもニッケルの純度が高い。電気ニッケルめっきにて導電材層102上に金属層103を形成するので、両者の接合は強固なものになる。
こうした工程を経ることにより、熱伝導体2の表面に分子接合層101、導電材層102および金属層103の層構造が形成される。そして、感温素子3−1、…、3−16となるパターン(図5参照)および配線6となるパターンが残るように、熱伝導体2の表面部分をエッチング処理することで、図2、図3に示す通りの感温素子3−1、…、3−16および配線6が熱伝導体2の表面に設けられる。
上記の通り、熱伝導体2の表面を構成する合成樹脂(PEEK)と分子接合層101の有機化合物Y1とが化学的に結合しているため、この両者間の接合は強固である。その分子接合層101の上に無電解めっきにより導電材層102が形成されているが、導電材層102の内部に有機化合物Y1が入り込み、配位結合、イオン結合によって分子接合層101と導電材層102とが強固に接合している。さらに、導電材層102の上に電気めっきにて金属層103を形成しているので、導電材層102と金属層103との接合は強固なものになっている。
また、熱伝導体2の表面に配された配線6も、感温素子3−1、…、3−16と同工程で設けられ、感温素子3−1、…、3−16と同じ層構造を有するので、熱伝導体2と配線6との密着性も良好、確実である。
さて、感温素子3−1、…、3−16において単に導電性のみを要するのであれば、導電材層102のみにて十分といえる。しかしながら、本実施形態にあっては導電材層102の上に金属層103を設けている。その理由は以下の通りである。
導電材層102を形成するための無電解ニッケルホウ素めっきの説明で述べ、図15にも示したように、無電解ニッケルホウ素めっきでは、ニッケルだけでなくホウ素化ニッケルも析出し、導電材層102となる皮膜中に残留する。導電材層102中に不純物としてホウ素が存在すると、導電材層102の電気抵抗率の温度係数が小さい。そのため、温度が上昇するにつれて電気抵抗値が増大するという、感温素子3−1、…、3−16に要求される特性を満たすことができない場合がある。つまり、導電材層102のみで金属層103を有さない構成であっては、感温素子3−1、…、3−16としての機能が金属層103を有する構成に比べて低い。
そこで、本実施形態にあっては導電材層102の上に、ニッケルの純度が導電材層102よりも高い金属層103を設けている。これにより、導電材層102の上に、電気抵抗率の温度係数が導電材層102の電気抵抗率の温度係数よりも大きい、金属層103が設けられる。その効果は図18、図19に示す通りであり、金属層103を設けた方が温度係数が大きく、感温素子の温度上昇に伴って抵抗値が増加する変化率も十分に大きい。このように、金属層103を設けたことで、感温素子3−1、…、3−16に要求される電気的特性を満たしている。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記実施形態に対する以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち明らかに矛盾する組み合わせを除く任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記実施形態に対する以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち明らかに矛盾する組み合わせを除く任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(感温素子のパターンの変形例)
感温素子3−1、…、3−16のパターンとして、上記実施形態では規矩状に蛇行する形態を示しているが、以下の各例のような変形例も可能である。
感温素子3−1、…、3−16のパターンとして、上記実施形態では規矩状に蛇行する形態を示しているが、以下の各例のような変形例も可能である。
まず、図20に示すようにコの字状のパターンにすることもできる。このようなパターンであると形成が容易であり、また直線部の長手方向の応力に対して耐性が高い。
また、実施形態と同様に蛇行する形態であっても、図21に示すように折り返し部分を円弧状にすることもできる。実施形態も本変形例も感温素子としての回路長を長くして抵抗値を大きくできる点は同じであるが、本変形例は折り返し部分を円弧状にしたので応力が集中し難いという利点がある。
或いは、図22、図23に示すように渦巻き状にすることも可能である。渦巻き状にすると、回路長を長くして抵抗値を大きくでき、全体的に応力が集中し難くなる。特に、図23の例のように、渦巻きの中心部の円弧の内径Rが線幅Wよりも大きい構成にすると、中心部での2つの渦線の接続が滑らかになり、この部分での応力の集中を避けることができる。
(表面保護の変形例)
上記実施形態では感温素子3−1、…、3−16の表面は金属層103、つまりニッケルである。ニッケル自体も錆に対する耐性はあるものの、例えば、金や白金などの貴金属層を金属層103に積層して防錆効果を高めることができる。この構成は、金属層103が耐錆性に優れない金属の場合には特に有効である。
(表面保護の変形例)
上記実施形態では感温素子3−1、…、3−16の表面は金属層103、つまりニッケルである。ニッケル自体も錆に対する耐性はあるものの、例えば、金や白金などの貴金属層を金属層103に積層して防錆効果を高めることができる。この構成は、金属層103が耐錆性に優れない金属の場合には特に有効である。
また、感温素子の表面を、或いは熱伝導体2の表面全域を、非金属の絶縁体膜によって被覆することも可能である。こうした被覆により異物との接触などによる損傷を防止できる。
(分子接合層を構成する有機化合物)
実施形態では図9に構造式を示す有機化合物Y1を用いているが、実施形態における説明からも明らかなとおり、
(1)ナイトレンを生じて合成樹脂中の炭素と結合するためのアジド基、
(2)金属原子と配位結合するためのトリアジン環、
(3)金属原子とイオン結合するためのヒドロキシ基またはヒドロキシ基を保持する基を有する有機化合物であればよく、具体的には、以下の一般式(g)で表される構造の有機化合物であれば採用できる。
(分子接合層を構成する有機化合物)
実施形態では図9に構造式を示す有機化合物Y1を用いているが、実施形態における説明からも明らかなとおり、
(1)ナイトレンを生じて合成樹脂中の炭素と結合するためのアジド基、
(2)金属原子と配位結合するためのトリアジン環、
(3)金属原子とイオン結合するためのヒドロキシ基またはヒドロキシ基を保持する基を有する有機化合物であればよく、具体的には、以下の一般式(g)で表される構造の有機化合物であれば採用できる。
ただし、この化学式中、Eは任意の基であり、Fはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を併せ持った基である。Qは、N3またはNR1(R2)である。R1、R2 は、H、炭素数が1以上24以下の炭化水素基、または−RSi(R’)n(OA)3−nである。Rは炭素数が1以上12以下の鎖状の炭化水素基で、R’は炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。Aは、Hまたは炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。nは0以上2以下の整数である。R1とR2 とは同一でも異なるものでもよい。)
この一般式(g)で表す有機化合物を用いた場合、合成樹脂と分子接合層を構成する有機化合物との化学的な結合の構造は、以下の一般式(a)または一般式(b)で表される構造となる。その場合も、合成樹脂と分子接合層の有機化合物とが化学的に結合するため、この両者間の接合は強固である。
この一般式(g)で表す有機化合物を用いた場合、合成樹脂と分子接合層を構成する有機化合物との化学的な結合の構造は、以下の一般式(a)または一般式(b)で表される構造となる。その場合も、合成樹脂と分子接合層の有機化合物とが化学的に結合するため、この両者間の接合は強固である。
ただし、この化学式中、Eは任意の基であり、Fはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を併せ持った基である。Qは、N3またはNR1(R2)である。R1、R2 は、H、炭素数が1以上24以下の炭化水素基、または−RSi(R’)n(OA)3−nである。Rは炭素数が1以上12以下の鎖状の炭化水素基である。R’は炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。Aは、Hまたは炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。nは0以上2以下の整数である。R1とR2とは同一でも異なるものでもよい。Rpは前記合成樹脂を構成する高分子化合物中で、前記分子接合層の有機化合物と結合した炭素につながる高分子化合物である。
また、導電材層の金属原子と分子接合層を構成する有機化合物とは、以下の一般式(c)または一般式(d)に表す通り、トリアジン環の窒素原子と導電材層の金属原子とが配位結合しているだけでも、導電材層と分子接合層との接合強さは十分で、実施形態と同等の効果が得られる。
ただし、この化学式中、Eは任意の基であり、Fはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を併せ持った基である。Qは、N3またはNR1(R2)である。R1、R2 は、H、炭素数が1以上24以下の炭化水素基、または−RSi(R’)n(OA)3−nである。Rは炭素数が1以上12以下の鎖状の炭化水素基である。R’は炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。Aは、Hまたは炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。nは0以上2以下の整数である。R1とR2 とは同一でも異なるものでもよい。Mは金属原子である。Rpは前記合成樹脂を構成する高分子化合物中で、前記分子接合層の有機化合物と結合した炭素につながる高分子化合物である。
或いは、以下の一般式(d)または一般式(e)に表すように、ヒドロキシシリル基の水素との置換にて金属原子(実施形態ではニッケル)がイオン結合するだけであっても、導電材層と分子接合層との接合強さは十分で、実施形態と同等の効果が得られる。
この化学式中、Eは任意の基であり、Fはヒドロキシ基またはヒドロキシ基を併せ持った基である。Qは、N3またはNR1(R2)である。R1、R2 は、H、炭素数が1以上24以下の炭化水素基、または−RSi(R’)n(OA)3−nである。Rは炭素数が1以上12以下の鎖状の炭化水素基である。R’は炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。Aは、Hまたは炭素数が1以上4以下の鎖状の炭化水素基である。nは0以上2以下の整数である。R1とR2 とは同一でも異なるものでもよい。Mは金属原子である。Rpは前記合成樹脂を構成する高分子化合物中で、前記分子接合層の有機化合物と結合した炭素につながる高分子化合物である。
言うまでもないが、実施形態のようにトリアジン環の窒素原子と導電材層の金属原子とが配位結合しており、かつヒドロキシ基またはヒドロキシ基を併せ持った基の水素との置換にて金属原子(実施形態ではニッケル)がイオン結合している構造であると、導電材層と分子接合層との接合強さは極めて良好である。
なお、有機化合物と結合する導電材層の金属原子は、実施形態で示したニッケルに限るものではない。分子接合層上に導電材層を形成する手法も、無電解めっきに限るものではない。
また、分子接合層を構成する有機化合物と結合する合成樹脂としてPEEKを示したが、これに限るものではない。実施形態では有機化合物Y1とベンゼン環の炭素とが結合する例を示したが、有機化合物が結合する相手方の炭素はベンゼン環の炭素に限るものではなく、6員環以外の環に含まれる炭素であってもよいし、鎖状構造の中の炭素であってもよい。
また、上記実施形態において、導電材層102を分子接合層101に接合させる場合に、不純物としてホウ素化ニッケルが例示されている。しかし、導電材層102を分子接合層101に接合させる場合に不純物として残留し、導電材層102の電気抵抗率の温度係数を低下させるものは、ホウ素化ニッケルに限らない。例えば、導電材層102を分子接合層101の組成によっては、リンも同様の不純物として残留する場合がある。
また、上記実施形態における感温素子3−1、…、3−16は、自己の温度が上昇すると電気抵抗値が上昇するが、自己の温度が上昇すると電気抵抗値が下降するようになっていてもよい。
感温素子3−1、…、3−16の各々は、通電されると発熱する電気抵抗であるが、その発熱量は、ヒータ32の発熱量に比べると無視できるほど小さい。したがって、感温素子3−1、…、3−16は、熱伝導体2の周囲を流れる空気以外に由来して当該空気から伝わる熱以外の熱によって、具体的には、ヒータ32によって生成されてヒータカバー31、熱伝導体2を伝導した熱によって、温度上昇する。感温素子3−1、…、3−16に用いられる金属は、温度が上昇するにつれて電気抵抗値(以下、単に抵抗値ともいう)が増大する。つまり、感温素子3−1、…、3−16は、自己の温度に応じて電気的特性すなわち抵抗値が変化する。例えば、感温素子3−1、…、3−16は、温度が上昇すると抵抗値が高くなる。
また、上記実施形態における算出回路8の処理部81は、風向と風速の両方を算出するようになっているが、風向のみを算出してもよいし、風速のみを算出してもよい。
また、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の抵抗値から温度を算出し、算出した温度の平均値と外気温の差から風速を算出している。しかし、必ずしもこのようになっていなくてもよい。例えば、処理部81は、抵抗値感温素子3−1、…、3−16の温度の平均値と外気温の差が一定になるようにヒータ32の温度をフィードバック制御し、そのヒータ32の発熱量に応じて風速を算出してもよい。その場合でも、処理部81は、感温素子3−1、…、3−16の電気抵抗値に応じてヒータ32への通電量を制御しているので、感温素子3−1、…、3−16の電気抵抗値に応じて風速算出することに変わりはない。
1 風向風速計
2 熱伝導体
3−1、…、3−16 感温素子
6 配線
20 本体部
101 分子接合層
102 導電材層
103 金属層
2 熱伝導体
3−1、…、3−16 感温素子
6 配線
20 本体部
101 分子接合層
102 導電材層
103 金属層
Claims (7)
- 合成樹脂からなる表面を有する樹脂筐体(2)と、
前記表面上に配されて温度が変化すると電気抵抗値が変化する感温素子(3−1、…、3−16)とを備え、
前記合成樹脂と化学的に結合した有機化合物(Y1)にて前記表面上に形成された分子接合層(103)と、
前記分子接合層上に形成された導電材層(102)と、
前記導電材層の上に形成された金属層(103)と、
を含んで構成され、
前記金属層の電気抵抗率の温度係数は、前記導電材層の電気抵抗率の温度係数よりも大きいことを特徴とする感温構造体。 - 前記合成樹脂と前記分子接合層を構成する有機化合物との化学的な結合の構造は、以下の一般式(a)または一般式(b)で表される構造であることを特徴とする請求項1に記載の感温構造体。
- 以下の一般式(c)または一般式(d)で表される通り、前記分子接合層を構成する有機化合物に含まれるトリアジン環の窒素原子と、前記導電材層を構成する金属原子の一部とが配位結合していることを特徴とする請求項2に記載の感温構造体。
- 前記感温素子と接続して前記表面上に設けられている配線(6)を備え、
前記配線は、
前記合成樹脂と化学的に結合した有機化合物にて前記表面上に形成された分子接合層と、
前記分子接合層上に形成された導電材層と、
前記導電材層の上に形成された金属層と、を含んで構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の感温構造体。 - 前記合成樹脂がポリエーテルエーテルケトンを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の感温構造体。
- 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の感温構造体と、
前記感温素子の前記電気抵抗値に応じて前記樹脂筐体の周囲を流れる風の風速または風向を算出する算出回路(8)と、を備えた風状態計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018123325A JP2020003354A (ja) | 2018-06-28 | 2018-06-28 | 感温構造体および風状態計測装置 |
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JP (1) | JP2020003354A (ja) |
Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
DE112021003533T5 (de) | 2020-07-01 | 2023-04-20 | Koa Corporation | Strömungssensorelement |
DE112022002718T5 (de) | 2021-05-20 | 2024-03-14 | Koa Corporation | Sensorelement |
-
2018
- 2018-06-28 JP JP2018123325A patent/JP2020003354A/ja active Pending
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