JP2020003038A - 組合せオイルコントロールリング - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間のエンジン運転においても、スペーサエキスパンダとサイドレール間の固着が発生することなく、優れたオイルコントロール機能を維持しうる自動車エンジン用の組合せオイルコントロールリングを提供する。【解決手段】上下一対のサイドレールと組み合わせるスペーサエキスパンダ11において、軸方向波形に形成された山部12と谷部13が、サイドレールの内周面を押圧する耳部15a、及び前記サイドレールの側面と対面するレール対面部16aから構成され、前記耳部が貫通孔19aを有し、前記山部と谷部を結ぶ脚部14の軸方向からの傾斜角度が15°未満であり、前記レール対面部が略周方向にのみ一つの凸形状からなる凸部を有するようにする。【選択図】図1(a)

Description

本発明は、自動車エンジンのピストンに装着される組合せオイルコントロールリングに関し、特に、上下一対のサイドレール(国際標準化機構:ISOでは「セグメント」というが、本明細書では「サイドレール」という。)と軸方向波形に山部と谷部が形成されたスペーサエキスパンダ(ISOでは「エキスパンダ-スペーサ」というが、本明細書では「スペーサエキスパンダ」という。)とからなる組合せオイルコントロールリングに関する。
自動車エンジンにおいては、長時間の運転に伴い、潤滑油が加熱され、ブローバイガスに曝されることにより、潤滑油中に炭化水素の未燃焼物質やオイル添加剤の変性物(以下これらを総じて「オイルスラッジ」という。ここでオイルスラッジには比較的粘性の低いオイルスラッジの前駆体も含む。)が混在する状態となる。オイルスラッジがエンジン部品に付着・堆積すると、部品を摩耗させたり、潤滑油の通路を塞いだりして、組合せオイルコントロールリング(以下、特に意図しない限り「オイルリング」という。)等のエンジン部品の機能に支障を来すことがある。オイルリングでは、ひどい場合、スペーサエキスパンダとサイドレールの間の隙間にオイルスラッジが堆積・固着し、離間するサイドレールの動きを阻害してオイルコントロール機能を充分に発揮することができなくなる。
一般に、一対のサイドレールとスペーサエキスパンダとからなるオイルリングは、スペーサエキスパンダの弾性力と耳角度によりサイドレールを径方向及び軸方向に押圧し、シリンダ壁面及びピストンのリング溝側面においてシール機能を発揮する。特に、軸方向幅寸法(h1)を小さくした薄幅オイルリング(サイドレールの径方向厚さ寸法(a1)も小さくなる)は、シリンダ壁面に対する追従性が良好で、サイドシール機能もあることから、低張力であってもオイル消費を増加させることなく摩擦損失を低減できる。
しかし、このオイルリングは、前述したスペーサエキスパンダとサイドレールの間の隙間にオイルスラッジが堆積しやすく、特に、薄幅化した場合にはこの隙間が非常に狭いため、堆積したオイルスラッジによってサイドレールがスペーサエキスパンダに固着する可能性が高くなる。固着が発生すると、サイドレールのシリンダ壁面への追従性が極端に低下するため、オイル消費量が急激に増大してしまう。
また、オイルリングのシリンダ壁面に対する外周面圧分布は、特に薄幅化した低張力仕様では、面圧のかからない領域が生じたりして分布が悪化する場合が多くなる。
オイルリングへのオイルスラッジの付着及び堆積防止法として、従来技術には、スペーサエキスパンダやサイドレールの表面に固着防止のためのコーティングを施す方法や、構造的にオイルスラッジが堆積しにくくなるスペーサエキスパンダのいくつかの形状が提案されている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、フッ素系の樹脂被膜又はフッ素系樹脂を含有する樹脂被膜、特許文献3には、フルオロアルキル基置換アルコキシドを含む被膜、特許文献4には、無機ポリシラザンを含む前駆体ポリマーの親水性被膜、特許文献5には、表面自由エネルギーとその水素結合成分が低い金属被膜、特許文献6には、水素結合成分だけでなく、表面自由エネルギーを構成する分散成分と極性成分についても考慮した被膜、特許文献7には、サイドレール側からスペーサエキスパンダ側にオイルの流れが生じるように、両者の表面の撥油性(パラフィン系潤滑油の接触角)に所定の差を設ける組合せが開示されている。これらの被膜は、撥水撥油性、若しくはそれらと反対に親水性の被膜、又はオイルスラッジの付着力に着目して検討された固着防止方法である。
一方、構造上の対策として、特許文献8には、スペーサエキスパンダの山部及び谷部の各中央部分(レール対面部)に鉛化合物等の異物を通過させるに十分な大きさの穴を波形の立ち上がり部にまでは及ばないように穿設したオイルリング、特許文献9や特許文献10には、レール対面部に径方向に溝が形成されオイルの流出口として耳部に当該溝と連通する貫通孔が形成された構造のスペーサエキスパンダ、特許文献11や特許文献12には、スペーサエキスパンダのサイドレール支持部を外周側端部の周方向の一部に形成し、サイドレール支持部以外の外周側端部からオイルが流入しやすくしたスペーサエキスパンダ、特許文献13には、山部と谷部を結ぶ脚部の軸方向からの傾斜角度θを15°以上にして、山部と谷部の円周方向長さを短くすることによって、中手部とサイドレールの間の隙間にオイルスラッジが堆積しにくい構造のスペーサエキスパンダ、特許文献14や特許文献15には、耳部とサイドレール支持部の間の中手部に残留するオイルが周方向に流れやすくなるように、中手部の形状を周方向及び径方向に凹形状又は凸形状としたスペーサエキスパンダ、が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜7のコーティングを施す方法では余計な工程が増えてコストアップに繋がり、特許文献8の穿設する方法でも加工が難しく高価なものとなってしまう。また、特許文献9〜10のようなレール対面部に溝を形成する方法では、エンジン停止時にはオイルが溝部に滞留することからオイルスラッジが堆積しやすく、エンジンの運転停止を繰り返すような運転パターンでは耐久性が充分であるとはいい難い。
特開2002−310299号公報 特開2003−254155号公報 特開2000−027995号公報 特開2006−258110号公報 WO2011/043364号公報 特許5499215号公報 WO2012/133714号公報 実開昭59−127856号公報 米国特許第5195758号公報 特開2011−185383号公報 特開2012−233569号公報 特開2013−130231号公報 特開2013−245780号公報 特開2016−200191号公報 特許6013548号 特開平3−193221号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その課題は、長期間のエンジン運転においても、スペーサエキスパンダとサイドレール間の固着が発生することなく、優れたオイルコントロール機能を維持し得る自動車エンジン用の組合せオイルコントロールリングを提供することを課題とする。また、薄幅、低張力仕様のオイルリングにおいても、固着が発生しないことに加えて、外周面圧分布の優れた組合せオイルコントロールリングを提供することを課題とする。
本発明者は、オイルリングの装着されたピストンのオイルリング溝に滞留したオイルがオイルリング溝内径側に形成されたオイル戻し穴(但し、オイル戻し穴の数は、スペーサエキスパンダの山部及び谷部の数よりはるかに少ない。)に流入する状況について、数値流体解析を行った結果、オイルスラッジの堆積防止のためにはスペーサエキスパンダの径方向のオイルの流れよりも周方向のオイルの流れがより重要であり、また、スペーサエキスパンダが低張力仕様においても安定した弾性力を示すためには、スペーサエキスパンダの山部と谷部を結ぶ脚部の傾斜角度が重要であるという知見を得た。本発明者は、スペーサエキスパンダの構造について、さらに詳細に研究した結果、安定した弾性力を示し、レール対面部に流入したオイルがレール対面部に留まらない構造として、本発明の組合せオイルコントロールリングに想到した。
すなわち、本発明の組合せオイルコントロールリングは、上下一対のサイドレールと軸方向波形に山部と谷部が形成されたスペーサエキスパンダとからなる組合せオイルコントロールリングであって、前記スペーサエキスパンダの前記山部及び前記谷部が、前記サイドレールの内周面を押圧する耳部、及び前記サイドレールの側面と対面するレール対面部から構成され、前記耳部が貫通孔を有し、前記山部と前記谷部を結ぶ脚部の軸方向からの傾斜角度(θ)が15°未満であり、前記レール対面部が略周方向にのみ一つの凸形状からなる凸部を有することを特徴とする。前記凸部は頂点部分に略周方向0.4 mm以下の円弧部又は平坦部を有することが好ましい。前記円弧部の曲率半径(ρ)は0.2〜3.0 mmであることが好ましい。
また、前記凸部は、前記頂点部分の両側の少なくとも一方に軸に垂直な方向から一定角度(α)の平面状の傾斜部を有することが好ましく、前記一定角度(α)は5〜35°であることが好ましい。
また、本発明の組合せオイルコントロールリングは、前記レール対面部が外周側にサイドレールを支持する突起部を有することが好ましい。
また、本発明の組合せオイルコントロールリングは、前記凸部が径方向外方から内方に向かって前記凸部と前記サイドレールとの間の隙間が広がるように傾斜していることが好ましい。
また、本発明の組合せオイルコントロールリングは、前記耳部のサイドレール押圧面が周方向中央部に略軸方向の凹溝を有することが好ましい。
また、本発明の組合せオイルコントロールリングは、前記スペーサエキスパンダ及び/又は前記サイドレールにNiめっき皮膜が形成されていることが好ましい。
また、本発明の組合せオイルコントロールリングは、前記耳部のサイドレール押圧面に窒化層が形成されていることが好ましい。
また、本発明の組合せオイルコントロールリングは、前記サイドレールの側面にフッ素含有皮膜が形成されていることが好ましい。
本発明のオイルリングは、スペーサエキスパンダのレール対面部に略周方向にのみ凸形状の凸部を有し、この凸部の存在によって、レール対面部に流入したオイルを滞留させることなく、レール対面部の周方向、すなわち大空間のスペーサエキスパンダの谷部に流し出すことができ、確実なオイルの滞留防止効果を発揮する。この構造上、エンジンを停止したときも、レール対面部にオイルが滞留することなく、エンジンの運転停止を繰り返すような運転パターンにおいても十分な耐久性を示すことが可能となる。また、本発明のオイルリングは、スペーサエキスパンダの所定の板厚と形状において、脚部の傾斜角を15°未満に小さくすることによりスペーサエキスパンダのたわみ量を大きく設定できるので、摩耗の進行に伴う弾性力減退量を小さくすることが可能となる。さらに、耳部のサイドレール押圧面に略軸方向の凹溝を設けることにより、サイドレールと耳部のサイドレール押圧面との接触点を確実に増加し、優れた外周面圧分布とすることが可能となる。
本発明の組合せオイルコントロールリングを構成するスペーサエキスパンダの一例の一部を示す斜視図である。 図1(a)のスペーサエキスパンダを、その外周側から見た図である。 図1(a)のスペーサエキスパンダに一対のサイドレールを組み合わせた断面図である。 本発明の組合せオイルコントロールリングを構成するスペーサエキスパンダのレール対面部表面の周方向プロファイルの一例を示す図である。 本発明の組合せオイルコントロールリングを構成するスペーサエキスパンダのレール対面部表面の周方向プロファイルの別の一例を示す図である。 本発明の組合せオイルコントロールリングを構成するスペーサエキスパンダの別の一例の一部を示す斜視図である。 図3(a)のスペーサエキスパンダを、その外周側から見た図である。 図3(a)のスペーサエキスパンダに一対のサイドレールを組み合わせた断面図である。 本発明の組合せオイルコントロールリングのさらに別の一例を示す断面図である。 本発明の組合せオイルコントロールリングを構成するスペーサエキスパンダのさらに別の一例の一部を示す斜視図である。 図5(a)のスペーサエキスパンダを、その外周側から見た図である。
以下に本発明のオイルリングの実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a)及び図1(b)は、本発明のオイルリングを構成するスペーサエキスパンダ(11)、図1(c)は、このスペーサエキスパンダ(11)に、合口を有する一対の円環状サイドレール(120a、120b)を組み合わせたオイルリングの一実施形態を示す。スペーサエキスパンダ(11)は、従来のスペーサエキスパンダと同様に、軸方向波形に形成された山部(12)と谷部(13)、並びに前記山部と前記谷部を繋ぐ脚部(14)とからなり、山部及び谷部の内周側には耳部(15a、15b)、外周側にはレール対面部(16a、16b)が形成されている。サイドレール(120a、120b)は、レール対面部に支持され、耳角度(δ:10〜30°)を有する耳部のサイドレール押圧面(18a、18b)により径方向外方に押圧される。本発明のスペーサエキスパンダは、前記耳部(15a、15b)に貫通孔(19a、19b)を有し、脚部(14)の軸方向からの傾斜角度(θ)が15°未満であり、前記サイドレールに対向する前記レール対面部が略周方向にのみ一つの凸形状からなる凸部を有することを特徴とする。低張力仕様に対応可能な幅広い弾力性を確保する観点では、脚部の傾斜角度(θ)は12°未満であることが好ましく、10°未満であることがより好ましい。また、オイルの流れ、スラッジの排出性を確保する観点では、レール対面部が周方向にサイドレール側面に向かって一つの凸形状からなる凸部を有することが重要である。
レール対面部に流入したオイルは、周方向に一つの凸形状、すなわち周方向に頂点が一つの凸形状であることにより、レール対面部に留まらず、周方向に確実に流れ出る。レール対面部の凸量(m)(レール対面部の周方向端部からレールに向かう凸形状頂点までの高さ。ここで、「周方向端部」とは所定の傾斜角度(θ)を有する脚部(14)の端部(A、B)を意味する。)は、0.05 mm以上であることが好ましく、0.5 mmを超えないことが好ましい。0.1〜0.4 mmであることがより好ましく、0.1〜0.3 mmであることがさらに好ましい。
また、前記凸部は、頂点部分に略円周方向0.4 mm以下の円弧部又は平坦部(略軸方向に直角)を有してもよい。図2(a)は、本発明のスペーサエキスパンダのレール対面部表面の周方向プロファイルの一例を示すが、頂点部分が周方向に0.4 mm以下の平坦部を示しており、その両側が円弧状の凸形状を示している。また、図2(b)は、レール対面部表面の周方向プロファイルの別の一例を示すが、頂点部分が周方向に0.4 mm以下の円弧部を示しており、その両側が軸に垂直な方向から一定角度(α)の平面状の傾斜部を示している。前記円弧部の曲率半径(ρ)は0.2〜3.0 mmであることが好ましく、0.5〜3.0 mmであることがより好ましく、1.0〜3.0 mmであることがさらに好ましい。また、前記一定角度(α)は5〜35°であることが好ましく、5〜25°であることがより好ましく、5〜15°であることがさらに好ましい。
図3(a)、図3(b)及び図3(c)は、本発明のオイルリングを構成するスペーサエキスパンダ(21)の別の実施態様を示す。この実施態様では、レール対面部の外周側にサイドレールを支持する突起部(27a、27b)が形成されている。この突起部は、サイドレールがオイルリング溝内で傾斜して支持されるときに、サイドレールの支点位置として機能する。一方、スペーサエキスパンダとサイドレールの間に隙間(30a、30b)が形成され、オイルスラッジはこの隙間に堆積しやすい。なお、レール対面部の内周側、すなわち、耳部と突起部の間のレール対面部は中手部と呼ばれることが多い。
さらに、図4に示す組合せオイルコントロールリングのスペーサエキスパンダ(31)は、レール対面部の凸部が、略周方向に頂点が一つの凸形状であることに加えて、径方向外方から内方に向かって凸部とサイドレールとの間の隙間(40a、40b)が拡がるように傾斜している。また、レール対面部の外周側に突起部を有する場合、この傾斜によって、突起部と凸部との境界のコーナー部の角度は、直角から鈍角になってオイルが滞留しにくくなり、また、耳部の貫通孔(39a、39b)も大きくなってスラッジが流れやすくなる。
また、組合せオイルコントロールリングを使用した場合のオイル消費は、シリンダ壁面(シリンダヘッドの締め付けや熱変形などによって変形する)へのサイドレールの追従性や、サイドレールの外周面圧分布に依存して大きく変化する。サイドレールの面圧分布に注目すれば、スペーサエキスパンダの弾性力が均一にサイドレールに伝達されることが必要であり、スペーサエキスパンダの耳部とサイドレール内周面の接触状態が密接に関係してくる。
しかし、スペーサエキスパンダの製法上、厳密な意味では、サイドレールの内周面はスペーサエキスパンダのサイドレール押圧面に完全に接触していることはなく、その接触状態は多数の点接触であるということができる。サイドレールが点接触によって押圧されていると考えると、その接触点は、数が多いだけでなく、サイドレール全周に亘って接触点の間隔が均一に分布していることが望ましい。接触点の数を確実に増加するという観点では、図5(a)及び図5(b)に示すように、一つの耳部のサイドレール押圧面を二つに分けることが好ましく、そのために耳部のサイドレール凹圧面は周方向中央部に略軸方向の凹溝を有することが好ましい。
本発明のオイルリングは、オイルスラッジの堆積、固着を抑制するために、固着防止コーティングを備えることができる。例えば、スペーサエキスパンダ及びサイドレールの少なくとも一方にNiめっき皮膜やフッ素含有皮膜を形成することができる。また、スペーサエキスパンダ耳部のサイドレール押圧面は耐摩耗性が要求されるため、耐摩耗性コーティング、例えば、窒化層や耐摩耗めっき皮膜を形成することが好ましい。特に、耳部のサイドレール押圧面に窒化層を形成し、窒化層が形成された部分を除くスペーサエキスパンダの全面に固着防止のNiめっき皮膜を形成することが好ましい。
上記のスペーサエキスパンダは、鋼線材のギアを用いた塑性加工によって形成することができる。
実施例1
サイドレールを0.35 mm×1.72 mmのSUS440フープ線材(端部は0.3R)、スペーサエキスパンダを0.25 mm×1.9 mmのSUS304フープ線材(端部は0.3R)から成形して、呼び径(d1)71 mm、組合せ呼び幅(h1)2.0 mm、組合せ厚さ(a1)2.3 mm、張力20 N±3 Nの図1(c)に示す形状の組合せオイルリングを作製した。スペーサエキスパンダ脚部の傾斜角度(θ)は9°、山部(谷部)から山部(谷部)へのピッチは2.7 mmとした。また、レール対面部の凸部は、図2(a)に示すように、頂点部分に周方向0.15 mmの平坦部、その両側は円弧状の傾斜部を有する形状とした。レール対面部の凸量(m)は0.26 mmとした。
実施例2
中手部の凸部を、図2(b)に示すように、周方向距離0.15 mm、曲率半径(ρ)1.5 mmの円弧状の頂点部分と、その両側を傾斜角度10°の平面状傾斜部とした以外は実施例1と同様にして、組合せオイルリングを作製した。このとき、レール対面部の凸量(m)は0.20 mmである。
比較例1
レール対面部が平坦で凸部を有しない形状とした以外は実施例1と同様にして、組合せオイルリングを作製した。
[1] 実機試験A
実施例1〜2及び比較例1の組合せオイルリングを1リットル3気筒エンジンの1番気筒から3番気筒にそれぞれ装着した。このエンジンを用いて所定のパターンの運転条件を繰り返して実機試験Aを行った。250時間後に以下の評価方法に従い、サイドレールの合口隙間の測定とオイルスラッジ付着量の測定を行った。試験回数は各実施例及び比較例について2回行った。ここで、トップリング及びセカンドリングは次の仕様のものを用いた。
(1) トップリング
材質:SWOSC-V、外周面窒化クロムイオンプレーティング処理
サイズ:d1=71 mm、h1=1.0 mm、a1=2.3 mm
外周:バレルフェイス
(2) セカンドリング
材質:SWOSC-V、全面リン酸亜鉛処理
サイズ:d1=71 mm、h1=1.0 mm、a1=2.3 mm
外周:テーパーフェイス
実機試験終了後に以下の評価を行った。
[2] サイドレール合口隙間の測定
実機試験終了後、ピストンをシリンダから抜いた状態で、オイルリングの上下のサイドレールの合口隙間(S2)を測定し、実機試験前のピストンに組み付けた状態の合口隙間(S1)(実機試験前はフリー状態の合口隙間に等しい)との比(S2/S1)を求めた。上下それぞれのサイドレールについて、S2/S1を求め、2回の実機試験の平均値を算出した。
[3] オイルスラッジ付着量の測定
実機試験終了後、ピストンからオイルリングを取り外し、電気炉中200℃で1時間乾燥し、デシケータ中で室温まで冷却させ、その後のオイルリングの質量を測定した。予め測定した実機試験前のオイルリングの質量との差を算出し、2回の実機試験の平均値をオイルスラッジ付着量とした。
実施例1〜2及び比較例1の実機試験Aの結果を表1に示す。合口隙間は比較例1のS2/S1を100とし、オイルスラッジ付着量も比較例1のカーボンスラッジ付着量を100として、相対値で表している。
Figure 2020003038
表1より、比較例1の実機試験後の合口隙間及びオイルスラッジ付着量に比べ、実施例1〜2では、合口隙間は約2.3〜2.6倍、オイルスラッジ付着量は64〜71%まで低減されている。比較例1では、オイルスラッジの堆積によりサイドレールが拘束されたため、ピストンをシリンダから抜いた状態でも合口が基の状態に戻り(拡がり)にくくなっているのに対し、実施例1〜2ではオイルスラッジの付着・堆積が低減され、よって、オイルリングの拘束の程度が低減され、比較例1に比べより運転前の状態に近づいて拡がったと考えられる。
実施例3
図3(a)〜図3(c)に示すように、レール対面部が外周側に突起部を有するように形状を変更して成形する以外は実施例2と同様にして、組合せオイルリングを作製した。このとき、中手部の頂点とサイドレールの間の距離は0.1 mmとなった。
比較例2
レール対面部が外周側に突起部を有し、レール対面部の内周側(中手部)が平坦で凸部を有しない形状とした以外は、実施例2と同様にして、組合せオイルリングを作製した。
実施例4
耳部のサイドレール押圧面が周方向中央部に略軸方向の凹溝を形成した以外は実施例3と同様にして、組合せオイルリングを作製した。サイドレール押圧面への凹溝の形成は、基本的に、特許文献16に教示される加工ローラを用いた方法で加工される。一つのサイドレール押圧面を周方向二つに分離した態様となる。
実施例3〜4及び比較例2の組合せオイルリングについても、実施例1〜2及び比較例1の組合せオイルリングと同様に、実機試験Aを行い、サイドレールの合口隙間の測定とオイルスラッジ付着量の測定を行った。その結果を表2に示す。ここでは、合口隙間は比較例2のS2/S1を100とし、オイルスラッジ付着量も比較例2のカーボンスラッジ付着量を100として、相対値で表している。
Figure 2020003038
表2より、比較例2の実機試験後の合口隙間及びオイルスラッジ付着量に比べ、実施例3〜4では、合口隙間は約1.8〜2.0倍、オイルスラッジ付着量は66〜67%まで低減されていた。
実施例5〜6
実施例3〜4において設定した張力20 N±3 Nを、スペーサエキスパンダの展開長さを調整して7 N±2 Nに低張力化した以外は、それぞれ、実施例3〜4と同様にして実施例5及び6の組合せオイルリングを作製した。
[4] 実機試験B
実施例1〜6の組合せオイルコントロールリングについて、実機試験Aで使用した1リットル3気筒エンジンを用いて、それぞれ、オイル消費量(LOC:Lubrication Oil Consumption)を評価した。試験条件は、5,000 rpm、全負荷(WOT:Wide Open Throttle)、48時間の条件とした。トップリング及びセカンドリングも実機試験Aで使用したものと同種のものを使用した。実機試験は2回行い、オイル消費量としては2回の平均値を用いた。結果を表3に示す。
Figure 2020003038
* 実施例1〜4の張力は20 N
** 実施例5〜6の張力は7.5 N
実機試験Bによるオイル消費の評価結果は、組合せオイルリングの張力が20 N(実施例1〜4)のときは、5〜7 g/hrの範囲にあった。一方、組合せオイルリングの張力が7 N(実施例5〜6)の低張力仕様のときは、実施例5では11 g/hrと増加したが、実施例6のサイドレール押圧面に凹溝を形成したスペーサエキスパンダでは8 g/hrにとどまり、オイル消費の増加が抑えられているようにみえた。
さらに、実施例5〜6の低張力仕様の組合せオイルリングについても、実機試験Aによるサイドレールの合口隙間の測定とオイルスラッジ付着量の測定を、実施例1〜2及び比較例1と同様にして行った。結果を表4に示す。
Figure 2020003038
実施例5〜6の低張力仕様の組合せオイルリングにおいても、比較例2の実機試験後の合口隙間及びオイルスラッジ付着量に比べ、合口隙間は約2.2〜2.4倍の状態であり、オイルスラッジ付着量は75〜78%まで低減されていた。
11、21、31、41 スペーサエキスパンダ
12 山部
13 谷部
14 脚部
15a、15b、45a、45b 耳部
16a、16b レール対面部
18a、18b、48a、48a’、48b、48b’ サイドレール押圧面
19a、19b、39a、39b 貫通孔
27a、27b 突起部
30a、30b、40a、40b 隙間
50a、50b サイドレール押圧面状の凹溝
120a, 120b サイドレール
a1 組合せ厚さ
h1 組合せ呼び幅
θ 脚部の軸方向からの傾斜角度
P 軸方向波形に形成された山部と谷部のピッチ
δ 耳角度
ρ 円弧部の曲率半径
α レール対面部凸形状の傾斜部の軸に垂直な方向からの一定角度

Claims (11)

  1. 上下一対のサイドレールと軸方向波形に山部と谷部が形成されたスペーサエキスパンダとからなる組合せオイルコントロールリングであって、前記スペーサエキスパンダの前記山部及び前記谷部が、前記サイドレールの内周面を押圧する耳部、及び前記サイドレールの側面と対面するレール対面部から構成され、前記耳部が貫通孔を有し、前記山部と前記谷部を結ぶ脚部の軸方向からの傾斜角度(θ)が15°未満であり、前記レール対面部が略周方向にのみ一つの凸形状からなる凸部を有することを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  2. 請求項1に記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記凸部が頂点部分に略周方向0.4 mm以下の円弧部又は平坦部を有することを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  3. 請求項2に記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記円弧部の曲率半径(ρ)が0.2〜3.0 mmであることを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  4. 請求項2又は3に記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記凸部が前記頂点部分の両側の少なくとも一方に軸に垂直な方向から一定角度(α)の平面状の傾斜部を有することを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  5. 請求項4に記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記一定角度(α)が5〜35°であることを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記レール対面部が外周側にサイドレールを支持する突起部を有することを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記凸部が径方向外方から内方に向かって前記凸部と前記サイドレールとの間の隙間が広がるように傾斜していることを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記耳部のサイドレール押圧面が周方向中央部に略軸方向の凹溝を有することを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記スペーサエキスパンダ及び/又は前記サイドレールにNiめっき皮膜が形成されていることを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記耳部のサイドレール押圧面に窒化層が形成されていることを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の組合せオイルコントロールリングにおいて、前記サイドレールの側面にフッ素含有皮膜が形成されていることを特徴とする組合せオイルコントロールリング。
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