JP2020002063A - 農園芸用植物病害抑制組成物及び農園芸植物の栽培方法 - Google Patents

農園芸用植物病害抑制組成物及び農園芸植物の栽培方法 Download PDF

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【課題】天然由来物質を有効成分とする農園芸用植物病害抑制組成物、及びそれを使用した農園芸用植物の栽培方法を提供する。【解決手段】バチルス属細菌を有効成分として含有する農園芸植物病害抑制組成物、及びその組成物で農園芸植物の栽培土壌を処理することを特徴とする農園芸植物の栽培方法。【選択図】なし

Description

本発明は農園芸用植物病害抑制組成物、及びそれを使用した農園芸植物の栽培方法に関する。さらに詳しく言えば、バチルス属細菌を含有し、そのバチルス属細菌が植物の病害抵抗性を誘導して植物病害を抑制する組成物、及びその組成物で植物を定植する土壌を処理する農園芸植物の栽培方法に関する。
植物育成技術は、農業、観光、防災、教育などあらゆる分野で必要な技術である。育成中は灌水、施肥を行い、同時に害虫駆除や病害防除のための処理を適切に行う。
適切な病害防除を施さない場合、葉の場合は葉面病斑が生じ、落葉し、花の場合は花弁の褐変や開花不良、果実の場合は収量低下や味への影響などが問題になる。
農園芸植物病害の中で主要な病害として、うどんこ病、黒星病などが挙げられる。例えば、うどんこ病は家庭園芸で人気のあるキュウリやナスなどに発症し、果実の品質及び収量に影響を及ぼす。市場に流通するベニカグリーンVスプレーやパンチョTF顆粒水和剤(共に住友化学園芸(株)製)などを葉面へ散布処理することにより被害を抑制することができるが、葉面散布剤は葉面に十分量をムラなく処理する必要があり、時間と労力を要する。
虫害対策としては、例えば、殺虫剤であるオルトラン粒剤(住友化学園芸(株)製)やダントツ(登録商標)粒剤(住友化学(株)製)が市販されている。植物の株元を薬剤で処理すると粒剤の有効成分が土壌の水分に溶けだす。植物の根が土壌中の水分を吸い上げ、植物体内全体に有効成分が行き渡る。作業者は薬剤を植物の株元に散布するのみであり、前述の葉面散布剤と比較すると大幅な省力化になる。
省力化は殺菌剤でも求められている。植物(例えば、イネ)の病害抵抗性を化学合成品で誘導する技術が提案され(特開平7−184659号公報;特許文献1)、植物の病害抵抗性を向上させるオリゼメート(登録商標)粒剤(Meiji Seika ファルマ(株)製)などが販売されているが、使用者の中には化学反応で合成する殺虫剤や殺菌剤に対して毒性や環境汚染に懸念を抱いている人も多く、特に家庭園芸場面の場合には、天然物質や微生物を利用する技術が求められている。
バチルス・アミロリクエファシエンスの葉面処理により病害を抑制する技術が知られている。これは病原性菌と非病原性菌の拮抗によるものである(特許第3482462号公報;特許文献2)。
植物の病害抵抗性が誘導されると植物体内のサリチル酸濃度が高まる。サリチル酸濃度が高まるとPRタンパク質(PR:Pathogenesis Related)のうち、PR1及びPR5等の病害抵抗性に効果のあるタンパク質をコードする遺伝子の転写を活性化し、抗菌性物質等を作ることが知られている(細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ19 新版分子レベルからみた植物の耐病性、秀潤社;非特許文献2)。
バチルス・チューリンゲンシスのトマト病害抵抗性誘導効果を利用した青枯病防除法が知られている(Microbes Environ.,Vol.28,No.1,128〜134,2013;非特許文献1)。この方法は、微生物製剤で土壌を処理し、土壌から感染する植物病害の防除を対象とする点で、地上部で感染する植物病害の防除を対象とする本発明とは相違している。
特開平7−184659号公報 特許第3482462号公報
Microbes Environ.,Vol.28,No.1,128〜134,2013 細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ19 新版分子レベルからみた植物の耐病性 秀潤社
本発明の課題は、天然由来物質を有効成分とする農園芸用植物病害抑制組成物、及びそれを使用した農園芸植物の栽培方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、バチルス属細菌を土壌に処理することにより、植物の抵抗性を誘導して、地上部で感染する病害から植物を防除できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]の農園芸植物病害抑制組成物、及び[7]〜[10]の農園芸植物の栽培方法に関する。
[1] バチルス属細菌を有効成分として含有する農園芸植物病害抑制組成物。
[2] バチルス属細菌がバチルス・チューリンゲンシスである前項1に記載の農園芸植物病害抑制組成物。
[3] バチルス属細菌が植物体の病害抵抗性を誘導する前項1または2に記載の農園芸植物病害抑制組成物。
[4] 農園芸植物病害が、糸状菌による病害である前項1〜3のいずれかに記載の農園芸植物病害抑制組成物。
[5] 糸状菌による農園芸植物病害がうどんこ病、及び黒星病である前項4に記載の農園芸植物病害抑制組成物。
[6] 農園芸植物が、バラ、キュウリ、ナスまたはイチゴである前項1〜5のいずれかに記載の農園芸植物病害抑制組成物。
[7] 前項1〜6のいずれかに記載の農園芸植物病害抑制組成物で農園芸植物の栽培土壌を処理することを特徴とする農園芸植物の栽培方法。
[8] 農園芸植物病害抑制組成物を農園芸植物の栽培土壌に散布または混和する項7に記載の農園芸植物の栽培方法。
[9] 農園芸植物が、バラ、キュウリ、ナスまたはイチゴである前項7または8に記載の農園芸植物の栽培方法。
[10] 植物1株あたり1.3×1010〜1.3×1012CFUのバチルス属細菌に相当する量の農園芸植物病害抑制組成物を土壌に散布または混和する前項7〜9のいずれかに記載の農園芸植物の栽培方法。
バチルス属細菌を農園芸用植物病害抑制の有効成分として含有する本発明の農園芸用植物病害抑制組成物は、家庭園芸の場面で求められている天然由来物質を有効成分とする農薬であり、消費者が毒性や環境汚染を懸念せずに農園芸用植物を栽培することができる。また、使用者の労力低減に寄与する土壌処理技術により農園芸用植物を栽培することができる。
試験例1の結果(PR1及びPR2のは発現量)を示すグラフである。
本発明に係る農園芸用植物病害抑制組成物の有効成分はバチルス属細菌である。
バチルス属細菌は、フィルミクテス門バチルス網バチルス目バチルス科に分類される真正細菌であり、例えばバチルス・ズブチリス、バチルス・セレウス、バチルス・アントラシス、バチルス・チューリンゲンシスなどの種類があり、自然界に広く分布しているごく一般的な細菌の一種である。
農薬業界では、バチルス・ズブチリスは病原性細菌との拮抗作用を利用した病害防除薬として用いられ(例:ボトキラー(登録商標)水和剤;出光興産(株))、バチルス・チューリンゲンシスは結晶性タンパク質毒素を有し、それを喫食した鱗翅目が死ぬことから殺虫剤として用いられている(例:ゼンターリ(登録商標)顆粒水和剤;住友化学(株)他)。
本発明の農園芸植物病害抑制組成物は、有効成分(バチルス属細菌)で土壌を処理することにより農園芸植物の病害抑制効果を示す。本発明の組成物は、バチルス属細菌が植物体の病害抵抗性を誘導することにより効果を発揮すると考えられる。
土壌処理する農園芸植物病害抑制組成物の使用量は農園芸植物の病害抑制効果を示す量であればよく特に限定されないが、通常、バチルス属細菌の菌数濃度が植物1株あたり、1.3×1010〜1.3×1012CFUとなる量である。濃度は低すぎると薬効が得られず、高すぎるとコスト面で量産化が難しくなる。
本発明では、細菌(細菌の培養物)をそのまま使用することも可能であるが、作業性を考慮すると、通常の農薬と同様に、粒剤、粉剤、水和剤などに製剤化して利用することが好ましい。
例えば、粒剤や粉剤であれば、所望により界面活性剤、結合剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、増量剤などを混合することもできる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤などを用いることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル(例、ソルビタンモノオレート、ソルビタンラウレート)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンカスターオイルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸アルキル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニルエーテル硫酸またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸のナトリウム、カルシウムまたはアンモニウムの各塩;スルホン酸アルキル、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホン酸(例、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなど)、モノ−またはジ−アルキルナフタレン酸スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸またはポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホサクシネートのナトリウム、カルシウム、アンモニウムまたはアルカノールアミン塩の各塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンモノ−またはジ−アルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニルエーテルホスフェートまたはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーホスフェートのナトリウムまたはカルシウム塩などの各塩が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、澱粉シクロデキストリン、デキストリン、リグニンスルホン酸塩などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、亜鉛華、亜酸化銅、ウォッチングレッド、塩素法酸化チタン顔料、オイルファーネスブラック、黄鉛、オキシサルファイド蛍光体、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、蛍光顔料、黒鉛、黒色酸化鉄、極微細炭酸カルシウム、コバルト青、コバルト緑、コバルト紫、胡粉、紺青、サーマルブラック、酸化クロム、酸化チタン(アタナース)、酸化チタン(ルチル)、酸化銅、ジスアゾイエロー、赤色酸化鉄、造粒カーボンブラック、茶色酸化鉄、チャンネルブラック、超微粒子状酸化チタン、鉄黒、天然黒鉛粉末、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、バナデート蛍光体、微粒子酸化チタン、ファストイエロー10G、ベンガラ、モリブデンレッドなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、プリベントール(登録商標)D2(化学名:ベンジルアルコールモノ(ポリ)ヘミホルマル)、PROXEL(登録商標) GXL(S)(化学名:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン,20%)、バイオホープ(登録商標)及びバイオホープL(化学名:有機窒素硫黄系複合物、有機臭素系化合物)、ベストサイド(登録商標)−750(化学名:イソチアゾリン系化合物、2.5〜6.0%)、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラクロロメタキシレノール、2,6−ジメチルフェノールなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(トミノックス(登録商標)TT,(株)エーピーアイコーポレーション,商品名/IRGANOX(登録商標)1010またはIRGANOX1010EDS,チバ・ジャパン(株),商品名)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びビタミンE、混合トコフェロール、α−トコフェロール、エトキシキン及びアスコルビン酸などが挙げられる。
増量剤としては例えばクレー、炭酸カルシウム、タルク、ベントナイト、珪砂、珪石、ゼオライト、珪藻土などが挙げられる。
また、押し出し造粒などの場合は加水が必要になる場合がある。水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、ろ過処理した水、滅菌処理した水、地下水などが用いられる。
本発明の農園芸病抑制組成物が効果を示す病害は糸状菌による病気である。糸状菌による病害としてはうどんこ病及び黒星病が挙げられる。
また、対象となる農園芸植物としてはブドウ、麦類、モモ、イチゴ、トマト、キュウリ、バラ、クワ、ナシ、カキ、リンゴ、カンショなどが挙げられ、これらの中でもバラ、キュウリ、ナスまたはイチゴが好ましい。
本発明では、バチルス属細菌を含む培養物、または培養物から調製した製剤を土壌に処理して植物病害を抑制する。具体的には、種発芽後や苗を定植した株元の土壌表層に処理したり、播種時、苗定植時に同時に土壌混和する方法等が挙げられる。
次に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、下記の例中、部は質量部を表わす。 実施例及び比較例の処方で用いた成分は以下の通りである。
(1)バチルス・チューリンゲンシス ゼンターリ顆粒水和剤の原体(住友化学(株)製)
(2)リグニンスルホン酸ナトリウム:ニューカルゲンWG4(竹本油脂(株)製)
(3)ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム:ニューカルゲンFS−700PG(竹本油脂(株)製)
(4)クレー:クレー粒剤用((株)勝光山鉱業所製)
実施例1:
バチルス・チューリンゲンシス ゼンターリ原体[住友化学(株)より販売されているゼンターリ顆粒水和剤の原体:住友化学(株)製、以下BT原体]を3.0×108CFU/mLとなるように滅菌したイオン交換水を混合・撹拌して実施例1の組成物を調製した。
BT原体を滅菌水に希釈して標準寒天培地にて35℃48時間培養で確認したところ、1gあたり、6.7×1010CFUを検出した。
実施例2:
BT原体のみを1.3×1011CFU(2.0g)処理する試験区を実施例2とした。
実施例3:
BT原体のみを6.7×1010CFU(1.0g)処理する試験区を実施例3とした。
実施例4:
BT原体のみを3.4×1010CFU(0.5g)処理する試験区を実施例4とした。
実施例5:
BT原体のみを1.3×1010CFU(0.2g)処理する試験区を実施例5とした。
実施例6:
BT原体のみを2.6×109CFU(0.04g)処理する試験区を実施例6とした。
実施例7:
BT原体を20部、ニューカルゲンWG4を2部、ニューカルゲンFS−700PGを3部及びクレーを残部(合計100部)混合した。さらに押し出し造粒機で造粒するために水道水を18部加えた。粒形成後、流動層乾燥機で乾燥させた(水は最終組成物に含まない)ものを処理する試験区を実施例7とした。
比較例1:
滅菌水のみからなる組成物を比較例1とした。
比較例2:
何も処理しない試験区を比較例2とした。
試験例1:
滅菌した園芸培土(ニッピPp園芸培土、日本肥糧(株))を充填した農園芸用128穴セルトレイにトマトを播種し、グロースチャンバー内(条件:25℃16時間(明:蛍光灯オン)、25℃8時間(暗:蛍光灯オフ、滅菌水で適宜灌水)で3週間育成した。
セルトレイから土壌ごと苗を取り出し、実施例1(BT原体希釈液)及び比較例1(滅菌水)の液体に苗を入れ、前述グロースチャンバー条件にて48時間保持した。
その後、供試植物からRNAを抽出し、定量PCR法を用いて遺伝子発現状態を確認した結果を図1に示す。
図1の通り、一株に対し3.0×108処理することで実施例1では生体防御タンパク質PR1及びPR5遺伝子の発現誘導が確認された。バチルス属細菌を処理することで病害抵抗性が高まった状態であることが確認された。
試験例2:
ナスを定植し、13日後に実施例2〜6の組成物を株元に散布した。薬剤処理後3日間は十分量灌水した。薬剤処理1日後に、うどんこ病菌をダスティング法で接種した。薬剤処理29日後に防除効果を調査した結果を表1に示す。また、比較対照として比較例2も同時に実施した。
試験例2、3、4及び6の発病度及び防除価は新農薬実用化試験の手引きに準じた方法で下記の通り算出した。
[発病度]
調査葉を目視にて確認し、下記の基準で発病程度を分類した。
0:病斑を認めない。
1:病斑がわずかに(数個)認められる。
2:病斑が葉面積の1/4未満を占める。
3:病斑が葉面積の1/4〜1/2未満を占める。
4:病斑が葉面積の1/2以上を占める。
上記分類結果を下記数式(1)により反復ごとに発病度を得た。
Figure 2020002063
[防除価]
無処理区を対照として、下記数式(2)に従って防除価を得た。防除価算出に用いる発病度は反復の平均値を用いた。
Figure 2020002063
効果は、防除価により下記のA〜Dに評価される。新農薬実用化試験ではC以上で効果ありと認定される。
A:91以上
B:71〜91
C:51〜70
D:50以下
Figure 2020002063
表1の結果から、ナス/うどんこ病に対する薬効を得るためには1.3×1010CFU/株以上での処理が必要であることが分かる。
試験例3:
工業利用を見据え、粒剤に製剤化した組成物についての試験(実施例7)を行い、BT原体そのもの(実施例2)及び無処理(比較例2)と比較した。粒剤は下の通り調製した。
キュウリを定植し、1日後に実施例2の原体2.0g及び実施例7の製剤(粒剤)10gを株元に散布した。薬剤処理5日後に、うどんこ病菌をダスティング法で接種した。薬剤処理25日後に防除効果を調査した結果を表2に示す。また、比較対照として比較例2も同時に実施した。
Figure 2020002063
表2の結果から、BT原体の形態でも粒剤に製剤化したものでもキュウリ/うどんこ病に対する薬効を得ることが確認できた。
試験例4:
実施例7及び比較例2の試験区について、下記の通り試験を実施した。
イチゴを定植し、32日後に実施例7の粒剤5gを土壌混和にて処理した。薬剤処理1日後及び14日後に、うどんこ病菌をダスティング法で接種した。薬剤処理30日後に防除効果を調査した結果を表3に示す。また、比較対照として比較例2(無処理)も同時に実施した。
Figure 2020002063
表3の結果から、イチゴ/うどんこ病に対する薬効を得ることが確認できた。
試験例5:
実施例7及び比較例2の試験区について下記の通り試験を実施した。
バラを定植し32日後に、実施例7の粒剤5gを株元に処理した。黒星病は自然発生とし、薬剤処理14日後に防除効果を調査した結果を表4に示す。また、比較対照として比較例2(無処理)も同時に実施した。
Figure 2020002063
表4の結果から、バラ/黒星病に対する薬効を得ることが確認できた。
本発明の農園芸用植物病害抑制組成物は、家庭園芸の場面で求められている天然由来物質(バチルス属細菌)を有効成分として含有する農薬であり、環境汚染の問題がなく使用者が安全に作業して農園芸用植物を栽培することができる。

Claims (10)

  1. バチルス属細菌を有効成分として含有する農園芸植物病害抑制組成物。
  2. バチルス属細菌がバチルス・チューリンゲンシスである請求項1に記載の農園芸植物病害抑制組成物。
  3. バチルス属細菌が植物体の病害抵抗性を誘導する請求項1または2に記載の農園芸植物病害抑制組成物。
  4. 農園芸植物病害が、糸状菌による病害である請求項1〜3のいずれかに記載の農園芸植物病害抑制組成物。
  5. 糸状菌による農園芸植物病害がうどんこ病及び黒星病である請求項4に記載の農園芸植物病害抑制組成物。
  6. 農園芸植物が、バラ、キュウリ、ナス、またはイチゴである請求項1〜5のいずれかに記載の農園芸植物病害抑制組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の農園芸植物病害抑制組成物で農園芸植物の栽培土壌を処理することを特徴とする農園芸植物の栽培方法。
  8. 農園芸植物病害抑制組成物を農園芸植物の栽培土壌に散布または混和する請求項7に記載の農園芸植物の栽培方法。
  9. 農園芸植物が、バラ、キュウリ、ナスまたはイチゴである請求項7または8に記載の農園芸植物の栽培方法。
  10. 植物1株あたり1.3×1010〜1.3×1012CFUのバチルス属細菌に相当する量の農園芸植物病害抑制組成物を土壌に散布または混和する請求項7〜9のいずれかに記載の農園芸植物の栽培方法。
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