JP2019535704A - 結合性ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、高い特異性および親和性で、他のペプチドを含む標的化合物を結合するペプチドに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、高い特異性および親和性で他のペプチドを含む標的化合物に結合するペプチドならびに天然に存在しないアミノ酸を含むペプチドの分野に関する。
抗体は、生体分子認識を含む様々な方法で応用されている。それらは非常に特異的であり、診断において、および治療薬として使用される。抗体は、抗原による免疫感作によって生成され得るものであり、免疫系は抗原上の特定の部位、いわゆるエピト−プに対する抗体の生成についての優先性を示す。抗体の結合定数は10−10〜10−5Mの範囲にあり、10−7Mを中心とする。抗体の欠点は、それらが抗原に対するポリクロ−ナル応答として得られることと、モノクロ−ナル抗体を生成する長いプロセスが通常必要とされることである。タンパク質の発現は面倒であり、大規模生産のために長年に亘る最適化に供されることが多い。治療用抗体の場合、これらはそれ自体免疫原であることが多く、従って治療に使用され得る前に、非常に特異的なヒトまたは哺乳動物細胞株でのみ得られる適切なグリコシル化を含む「ヒト化」される必要が更にある。
本発明は、標的化合物を高い特異性および親和性で結合できる新しい部類のペプチドを提供する。本明細書において、この部類のペプチドはβ体と称される。
β体は、従来の抗体に対して幾つかの大きな利点を有する。例えば、構造が知られた任意のタンパク質表面に結合するβ体を生成できる。このことは、同じタンパク質を異なる仕方で選択的に認識する多種多様なβ体を、合成的に得ることができることを意味する。最適化されたβ体の結合表面積は抗体と同じ表面積を容易にカバ−し、また測定された結合定数は抗体のそれと同程度である。更に、β体は、タンパク質上の目的の特定の位置、例えば酵素の活性部位、タンパク質−タンパク質相互作用のための部位または結合ポケットと相互作用するように、直接設計できる。従って、β体は中和抗体の代替品として有用である。本発明のβ体は典型的に小さいので、それらが一般に免疫原性であるとは考えにくく、また抗体とは対照的に、それらは治療薬として直接使用できる。
βヘアピンが記載されている。例えば、米国特許出願公開番号US2012321697、US2012309934および国際公開番号WO10047515は、ベータヘアピン領域と標的結合のための別の領域とを備えた二極性ペプチドを記載する。標的結合領域はランダムな構造を有し、βヘアピンの一部ではない。
本発明は、それ自体または標的化合物の何れかを、高い特異性および親和性で結合できるペプチドを提供する。当該ペプチドは一般に、典型的には以下の原理の使用により設計されるβヘアピンおよび/またはβシ−トを含む。
・βヘアピンまたはβシ−トは、βヘアピンまたはβシ−ト構造に寄与するアミノ酸側鎖により構成される1つの表面(表面1)を有する。
・βヘアピンまたはβシ−トは、標的化合物と特異的に相互作用するアミノ酸側鎖により構成される第2の表面(表面2)を有する。
典型的には、表面1を構成するアミノ酸および表面2を構成するアミノ酸は、βヘアピンまたはβシ−トを構成するβ鎖内において交互の位置に配置される。
従って、本発明のペプチドは、βヘアピンまたはβシ−トの形態の非常に安定な三次元構造を備えている。表面2を構成するアミノ酸は、コンピュ−タ支援モデリングの使用またはペプチドライブラリ−のスクリ−ニングの何れかにより、任意の有用な標的化合物を結合するように設計できる。
本発明は、添付の特許請求の範囲において規定される。例えば、本発明は、「β体」と称される化合物を提供し、ここでβ体は、βターンペプチド配列(複数可)によって連結される少なくとも2つのβ鎖ペプチド配列を含むか、またはそれからなる化合物であり、ここでβ鎖ペプチド配列は、交互する順方向および逆方向のβ鎖ペプチド配列の逆平行配置で組織され、ここで、
各順方向β鎖ペプチド配列は個々に以下の配列
(ZX)
を有し、また各逆方向β鎖ペプチド配列は個々に以下の配列
(XZ)
を有し、ここで
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、ただし各β鎖配列における最大2個のZは上記の何れでもないアミノ酸であってよく、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各mおよびnは独立して、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各rは、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各βターンペプチド配列は個々に以下の配列
q1BUXq2
を有し、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、
各Uは個々に、次式
Figure 2019535704
のアミノ酸であり、
ここでRaおよびRbは個々に、−HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、ここでRaおよびRbは、結合されて環式構造を形成してよく、
Bは、Pro、置換Proおよびピペコリン酸からなる群から選択され、かつ
各qは個々に、0〜5の範囲の整数であり、ここでq1−q2は、−4、−2、0、2または4である。
本発明は更に、
・本発明によるβ体を同定する方法、
・本発明のβ体を用いて標的化合物の存在を検出するための方法、
・本発明のβ体を使用して臨床状態を診断するための方法、
・臨床状態を治療する方法において使用するためのβ体、
・β体のホモおよびヘテロ二量体、
・共役部分に共有結合されたβ体を含む化合物
を提供する。
パネルAは、2つのβ体、リガンド3およびリガンド4に結合したIL−2のモデルを示す。パネルB、CおよびDは、リガンド4(パネルB)(シグナルなし)とインキュベートされたリガンド3またはリガンド4およびIL2(パネルCおよびD)(陽性シグナル)とインキュベートされたリガンド3に結合したPEGAビーズを示す。 パネルAは、PEGA樹脂ビーズ上に固定化されたヘキサペプチドHRMVRGに結合したhisタグ−EGFP−スペ−サ−KTGTQNLTGPGRTHTQTATEG(配列番号3)を含むEGFP融合タンパク質のモデルを示す。パネルBおよびCは、EGFP融合タンパク質の存在下(パネルB)またはEGFPの存在下(パネルC)においてHRMVRGに結合したPEGAビーズを示す。パネルDは、実施例5に記載のようにして調製される上記のEGFP融合タンパク質の精製中に得られた試料のSDS−PAGE分析を示す。1)EGFP融合タンパク質を発現する細胞の細胞溶解物、2)フロ−スルー溶液、3)Milli−Q水での洗浄物、4)PBS緩衝液での溶出物、5)タンパク質標準、6)EGFPを発現する細胞の細胞溶解物、7)フロ−スルー溶液。EGFP融合タンパク質の予想サイズは「GFP−ヘアピン」として、EGFPの予想サイズは「GFP」として示される。 パネルAは、2つのβ体、リガンド1およびリガンド2に結合したIL−1のモデルを示す。パネルBおよびCは、リガンド2(パネルB)(シグナルなし)またはリガンド2およびIL1(パネルC)(要請シグナル)とインキュベートされたリガンド1に結合したPEGAビーズを示す。配位子1および2を混合し、4時間インキュベートした(t=0の画像)。IL−1を添加し(50nM)、20分間インキュベートした(t=20の画像)。 パネルAは、2つのβ体、リガンド5およびリガンド6に結合したIL−6のモデルを示す。パネルB、CおよびDは、リガンド6(パネルBおよびC)(シグナルなし)、またはリガンド6およびIL6(パネルD)(陽性シグナル)とインキュベートされたリガンド5に結合したPEGAビーズを示す。リガンド5および6を混合して4時間インキュベートした(t=0の画像)。IL6(20nM)を加え、20分間インキュベートした(t=20の画像)。ビーズを撮像前にPBS緩衝液で洗浄した。 βターンを介して互いに結合された2つのβシ−トおよび/またはβヘアピンを含むβ体の概略図である。 各βシ−トおよび/またはβヘアピンは、以下によって特徴付けられる。 ・βヘアピンまたはβシ−ト構造に寄与するアミノ酸側鎖により構成される1つの表面(表面1)(構造部位)。 ・標的化合物と特異的に相互作用するアミノ酸側鎖により構成される第二の表面(表面2)(認識部位)。 表示されるβ体において、表面1を構成するアミノ酸および表面2を構成するアミノ酸は、βヘアピンまたはβシ−トを構成するβ鎖内で交互の位置に配置される。パネルAは、認識残基を外側に向けたβ体を示す。パネルBAは、認識残基を内側に向けたβ体を示す。 (A)未処理の、および(B)希釈された大腸菌由来の溶解物中でGFPを結合するβ体。 (A−1)2つのビーズの明視野像であり、一方はeGFPについて共有結合されたβ体を有し、もう一方はインタ−ロイキン1(IL1)について共有結合されたβ体を有し、両方ともeGFP分子とインキュベートされた。(A−2)同じ画像であるが、蛍光顕微鏡下で記録され、β体がeGFPに選択的に結合することを示す。(B−1)2つのビーズの明視野像であり、一方はeGFPについて共有結合されたβ体を有し、もう一方はIL1について共有結合されたβ体を有し、両方ともIL1分子とインキュベートされる。(B−2)同じ画像であるが蛍光顕微鏡下で記録され、β体がIL1に選択的に結合することを示す。 NHAcで修飾されたビーズを、β体1−F*(A)または2−F(B)とインキュベートする。β体1で修飾されたビーズを、β体1−F(C)または2−F(D)とインキュベートする。β体2で修飾されたビーズを、β体1−F(E)または2−F(F)とインキュベートする。
<定義>
「アルキル」の用語は、アルカンから1個の−Hを除去することによって誘導される置換基を指す。
本明細書で使用する「アミノ酸」の用語はαアミノ酸、βアミノ酸およびγアミノ酸を意味する。好ましくは、アミノ酸は以下の一般構造式I:
Figure 2019535704
の化合物である。ここで、Rはアミノ酸側鎖を示す。Rは−Hでもよく、その場合のアミノ酸はグリシンである。グリシンとは別に、アミノ酸は一般構造式II:
Figure 2019535704
を有する。ここで、RおよびRは、−Hまたは置換基であり得る。アミノ酸のα炭素およびβ炭素原子は、それぞれCαおよびCβとして示される。
アミノ酸は、ペプチド結合によって互いに結合されて、以下の一般構造式III:
Figure 2019535704
のポリペプチドを形成し得る。ここで、nは整数であり、または次のアミノ酸残基への結合点を示す。アミノ酸は標準アミノ酸であり得るが、上記の一般構造の他のアミノ酸も含む。アミノ酸は、D−立体異性体(本明細書ではD−アミノ酸と称される)であってよく、またはL−立体異性体(本明細書ではL−アミノ酸と称される)であってよい。アミノ酸はまた、プロリン、ピペコリン酸またはそれらの誘導体などの環状アミノ酸であってよい。
「アミノ酸残基」の用語は、ポリペプチド内のアミノ酸モノマ−を指す。アミノ酸残基は、好ましくは一般構造IV:
Figure 2019535704
を有する。ここで、Rはアミノ酸側鎖を示す。アミノ酸残基がGlyではない場合、アミノ酸残基は一般構造V:
Figure 2019535704
を有し、ここで、は隣接アミノ酸残基への結合点を示す。最もN末端側のアミノ酸残基において、Nに結合されるにより示される位置は−Hであるのに対して、最もC末端側のアミノ酸残基において、C=Oに結合されるにより示される位置は−OHまたは−NHである。
本明細書で使用する「アリ−ル」の用語は、環中のCから1個の−Hを除去することによりアレ−ンから誘導される置換基を指す。本発明と共に使用される有用なアリ−ルの例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ピレニル、または−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−OMe、NH、−CF、−COOH、−OPO、または−CH−POなどの置換基を含むそれらの置換バ−ジョンが挙げられる。
「β−分岐アミノ酸」の用語は、β炭素原子が分岐しているアミノ酸を指す。従って、β−分岐アミノ酸において、β炭素原子はα炭素に、および少なくとも2つの追加の原子に直接共有結合しており、これは−Hではない。
本明細書で使用する「βアミノ酸」の用語は、標準アミノ酸の場合でのようなα炭素にではなくβ炭素に結合されるアミノ基を有する、アミノ酸を指す。
本明細書で使用する「検出可能な標識」の用語は、検出できる任意の標識を指す。この検出可能な標識は、例えば、放射性標識、ビオチン、蛍光標識、発光標識および着色標識からなる群から選択され得る。
本明細書で使用する「γアミノ酸」の用語は、標準アミノ酸の場合でのようなα炭素にではなくγ−炭素に結合されるアミノ基を有する、アミノ酸を指す。
本明細書で使用する「K」の用語は解離定数を指す。従って、Kは、β体とその標的化合物の間の結合親和性の尺度として使用され得る。Kdは以下の式を用いて計算できる。
Figure 2019535704
ここで、[A]は標的化合物の濃度を示し、[B]は遊離β体の濃度を示し、[AB]は平衡時の複合体の濃度を示す。
本明細書で使用する「内向きβ体」の用語は、以下の「アミノ酸Z」の節で定義されるZアミノ酸残基、例えばトレオニンが、β2型ターンの直前および直後にあるβ体を指す。
本明細書で使用する「外向きβ体」の用語は、以下の「アミノ酸X」の節で定義されるXアミノ酸残基などの認識残基が、β2型ターンの直前および直後にあるβ体を指す。
本明細書で使用する「ポリペプチド」の用語は、ペプチド結合によって連結されるアミノ酸残基の配列を指す。一般に、ポリペプチドは少なくとも4個のアミノ酸残基を含む。
「標準アミノ酸」の用語は、標準遺伝子暗号によってコ−ドされる20個のアミノ酸を指す。アミノ酸は、本明細書においては標準のIUPAC命名法を用いて言及される。標準アミノ酸は全てL−アミノ酸である。
本明細書で使用する「鎖架橋アミノ酸」の用語は、鎖の配置を乱すことなく2つの鎖を横切って共有化学結合または水素結合を形成できる、相互に反対側の鎖に位置する2つのアミノ酸を指す。共有鎖架橋は、ジスルフィド結合、および銅触媒アジド−アルキン環状付加(CuAAC)−クリック反応によって形成されるトリアゾ−ルを含む。
<β体>
本発明は、βターンペプチド配列によって連結される少なくとも2つのβ鎖ペプチド配列を含むか、またはそれからなる化合物に関し、ここでβ鎖ペプチド配列は、交互の順方向および逆方向のβ鎖ペプチド配列の逆平行配置で組織され得る。そのような化合物はまた、本明細書では「ベータ体」または「β体」とも呼ばれ得る。
各順方向β鎖ペプチド配列は、個々に以下の一般配列I:
(ZX)
を有してよく、また、以下の「順方向β鎖ペプチド配列」の節で更に詳細に記載されるペプチド配列の何れかであり得る。β体が複数の順方向β鎖配列を含む本発明の実施形態では、順方向β鎖ペプチド配列が同じ一般的な配列を有するとしても、β体内の各順方向β鎖は異なる特定の配列を有し得ることが理解される。
各逆方向β鎖ペプチド配列は、個々に以下の一般配列II:
(XZ)
を有してよく、また、以下の「逆方向β鎖ペプチド配列」の節で更に詳細に記載するペプチド配列の何れかであり得る。β体が複数のの逆方向β鎖ペプチド配列を含む本発明の実施形態では、逆方向β鎖ペプチド配列が同じ一般的な配列を有するとしても、β体内の各逆方向β鎖は異なる特定の配列を有し得ることが理解される。
Zで示されるアミノ酸は、以下の「アミノ酸Z」の節で記載するアミノ酸の何れかであり得る一方、アミノ酸Xは、以下の「アミノ酸X」の節で記載するアミノ酸の何れかであり得る。各β鎖ペプチド配列は、複数のアミノ酸ZおよびXを含む。β鎖配列内のZは、同じ、部分的に同じまたは異なるアミノ酸であり得ることが理解される。同様に、β鎖配列内のXは同じであるか、部分的に同じであるか、または異なるアミノ酸であり得る。
従って、(XZ)の用語は、2種類のアミノ酸の反復配列を示すが、必ずしも同じ2種類のアミノ酸の反復配列を示すわけではない。一般に、アミノ酸Zはβ鎖構造を保証し、また水中での溶解性を与える。従って、典型的にはβ体は水溶性であり、例えば以下に記載するように診断薬または治療薬として有用である。一般に、β鎖の全てのアミノ酸Zの側鎖は、ほぼ同じ方向を向いており、それによってβ体の第1の表面に寄与している。典型的には、β体の全てのアミノ酸Zの全ての側鎖は、ほぼ同じ方向を向いており、それによりβ体の第1の表面を形成する。これにより、三次元構造体、例えばβ体のβヘアピンまたはβシ−トの安定性を確保できる。β体の概略的な例が図5に提供され、ここではアミノ酸Zの側鎖が球体として示される。
同様にして、一般に、β鎖の全てのアミノ酸Xの側鎖はほぼ同じ方向を向いており、それによってβ体の第2の表面に寄与している。好ましくは、アミノ酸Zの側鎖は、アミノ酸Xの側鎖とは異なる方向を向くであろう。典型的には、β体の全てのアミノ酸Xの全ての側鎖がほぼ同じ方向を向き、それによってβ体の第2の表面を形成するであろう。β体の第2の表面は、典型的にはβ体の結合特異性を提供する。β体の概略的な例が図5に提供され、ここではアミノ酸Xの側鎖は様々な多角形で示される。
一般に、β体の全てのアミノ酸Xの全ての側鎖はほぼ同じ方向を向いており、それによってβ体の表面を形成している。これにより、三次元構造体、例えばβ体のβヘアピンまたはβシ−トの安定性を確保できる。
β鎖ペプチド配列は、βターン配列によって連結される。典型的には、βターン配列はペプチドに屈曲をもたらし、その結果、βターンに結合される2本のβ鎖は逆平行配置で互いに近接して配置される。βターンは、2つの対向する鎖における骨格アミド間の水素結合を可能にし得る。
各βターン配列は、個々に下記の一般的な配列III:
BUX
を有し、また以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載する任意のβターンペプチド配列である得る。β体が2以上のβターン配列を含む本発明の実施形態では、βターンペプチド配列が同じ一般的な配列を有するとしても、β体内の各βターンが異なる特定の配列を有し得ることが理解される。
本発明のβ体のペプチド配列は典型的には、交互の順方向β鎖ペプチド配列と逆方向β鎖ペプチド配列として組織され、ここで任意の2つのβ鎖ペプチド配列がβターンペプチド配列によって分離される。
各β体は、複数のβ鎖ペプチド配列を含み得る。β体は少なくとも2つのβ鎖配列(典型的には順方向β鎖ペプチド配列および逆方向β鎖ペプチド配列)を含まなければならないが、原則としてβ鎖ペプチド配列の数に上限はなく、ここでβ鎖ペプチド配列はβターンを介して相互に結合されてよい。しかしながら、β体のβ鎖ペプチド配列は、βヘアピンまたはβシ−トの何れかを形成し得ることが好ましい。β体が2つのβ鎖ペプチド配列のみを含む場合、それらは典型的にはβヘアピンを形成するのに対して、3以上のβ鎖ペプチド配列を含むβ体では、当該β鎖ペプチド配列は好ましくはβシ−トを形成する。
1実施形態において、β体は、βターンペプチド配列によって連結される2〜10個の範囲のβ鎖ペプチド配列を含み得る。β鎖配列は好ましくは、βターンペプチド配列によって連結される交互の順方向および逆方向β鎖ペプチド配列である。
1実施形態において、β体は、βターンペプチド配列によって連結される2〜8の範囲、例えば2〜6の範囲のβ鎖ペプチド配列を含み得る。β鎖配列は好ましくは、βターンペプチド配列によって連結される交互の順方向および逆方向β鎖ペプチド配列である。
1実施形態において、β体は、βターンペプチド配列によって連結される2〜4個の範囲のβ鎖ペプチド配列を含み得る。β鎖配列は好ましくは、βターンペプチド配列によって連結される交互の順方向および逆方向β鎖ペプチド配列である。
1実施形態において、β体は以下の構造:
順方向β鎖配列
βターンペプチド配列
逆方向β鎖配列
を含むか、またはそれからなってよく、ここで順方向β鎖配列および逆方向β鎖配列は、逆平行β鎖として配置される。
1実施形態において、β体は以下の構造:
順方向β鎖配列
βターンペプチド配列
逆方向β鎖配列
βターンペプチド配列
順方向β鎖配列
を含むか、またはそれからなってよく、ここで順方向β鎖配列および逆方向β鎖配列は、逆平行β鎖として配置される。
1実施形態において、β体は以下の構造:
順方向β鎖配列
βターンペプチド配列
逆方向β鎖配列
βターンペプチド配列
順方向β鎖配列
βターンペプチド配列
逆方向β鎖配列
を含むか、またはそれからなってよく、ここで順方向β鎖配列および逆方向β鎖配列は、逆平行β鎖として配置される。
1実施形態において、β体は、一般配列XIX:
(ZX)PGX(XZ)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここでZは、以下の「アミノ酸Z」の節に記載の通りであり、好ましくは全てのZが、最大で2つ、好ましくは最大で1つを除いてThrであり、かつ各qは、以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載するように0〜3の範囲の整数である。
1実施形態において、β体は、一般配列XVI:
(ZX)PG(XZ)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここでZは、以下の「アミノ酸Z」の節に記載の通りであり、好ましくは全てのZが最大で2つ、好ましくは最大で1つを除いてThrである。
1実施形態において、β体は、一般配列XX:
(TX)PGX(XT)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここで各qは、以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載するように0〜3の範囲の整数である。
1実施形態において、β体は、一般配列IV:
(TX)PG(XT)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0である。
1実施形態において、β体は、一般配列XXI:
(ZX)PGX(XZ)XXPGXX(ZX)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここでZは、以下の「アミノ酸Z」の節に記載の通りであり、好ましくは全てのZが、最大で3つ、好ましくは最大で2つ、好ましくは最大で1つを除いてThrであり、かつ各qは、以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載するように0〜3の範囲の整数である。
1実施形態において、β体は、一般配列XVII:
(ZX)PG(XZ)XPGX(ZX)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここでZは、以下の「アミノ酸Z」の節に記載の通りであり、好ましくは全てのZが、最大で3つ、好ましくは最大で2つ、好ましくは最大で1つを除いてThrである。
1実施形態において、β体は、一般配列XXII:
(TX)PGX(XT)XXPGXX(TX)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここで各qは、以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載するように0〜3の範囲の整数である。
1実施形態において、β体は、一般配列V:
(TX)PG(XT)XPGX(TX)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0である。
1実施形態において、β体は、一般配列XXIII:
(ZX)PGX(XZ)XXPGXX(ZX)PGX(XZ)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここでZは、以下の「アミノ酸Z」の節に記載の通りであり、好ましくは全てのZが、最大で4つ、好ましくは最大で3つ、好ましくは最大で2つを除いてThrであり、かつ各qは、以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載するように0〜3の範囲の整数である。
1実施形態において、β体は、一般配列XVIII:
(ZX)PG(XZ)XPGX(ZX)PG(XZ)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつここでZは、以下の「アミノ酸Z」の節に記載の通りであり、好ましくは全てのZが、最大で4つ、例えば最大で3つ、好ましくは最大で2つ、好ましくは最大で1つを除いてThrである。
1実施形態において、β体は、一般配列XXIV:
(TX)PGX(XT)XXPGXX(TX)PGX(XT)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは個々に、0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0であり、かつ各qは、以下の「βターンペプチド配列」の節で更に詳細に記載するように0〜3の範囲の整数である。
1実施形態において、β体は、一般配列VI:
(TX)PG(XT)XPGX(TX)PG(XT)
を有するポリペプチドを含むか、またはそれからなる化合物であってよく、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の何れかのアミノ酸であってよく、かつ各rは、個々に0〜5の範囲、好ましくは0〜3の範囲の整数であり、例えば各rは0である。
本明細書の他の箇所に記載するように、アミノ酸は、IUPACの1文字コ−ドまたは3文字コ−ドを使用して命名され得る。従って、一般配列IV、VおよびVIに関するTおよびPは、それぞれトレオニンおよびプロリンである。トレオニンおよびプロリンは、D配置またはL配置の何れかであり得る。本明細書の他の箇所に記載するように、単一のβ鎖内のアミノ酸は、全てが同じD配置またはL配置の何れかであることが好ましい。
一般的な配列I、IV、V、VI、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIIIまたはXXIVに関して、mは個々に任意の整数、典型的には少なくとも2の整数、好ましくは少なくとも3の整数、例えば3〜12の範囲の整数、例えば3〜7の範囲の整数、例えば3〜5の範囲の整数であり得る。幾つかの順方向β鎖ペプチド配列または幾つかの(TX)配列を含むβ体に関する本発明の実施形態において、mは、各順方向β鎖ペプチド配列および各(TX)配列に関して同一のまたは異なる整数であり得ることが理解される。1実施形態において、1つのβ体内の全てのmは互いの+/−2の範囲内にあることが好ましい場合がある。例えば、1つのβ体内の全てのmは、相互に+/−1の範囲内にあり得るか、またはそれらは同一であり得る。
一般配列II、IV、V、VI、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIIIまたはXXIVに関して、nは個々に任意の整数、典型的には少なくとも2の整数、好ましくは少なくとも3の整数、例えば3〜12の範囲の整数、例えば3〜7の範囲の整数、例えば3〜5の範囲の整数であり得る。幾つかの逆方向β鎖ペプチド配列または幾つかの(XT)配列を含むβ体に関する本発明の態様において、nは各逆方向β鎖ペプチド配列および各(XT)配列に関して、同一のまたは異なる整数であり得ることが理解される。1実施形態において、1つのβ体内の全てのnは互いに+/−2の範囲内にあるのが好ましい場合がある。例えば、1つのβ体内の全てのnは、互いに+/−1の範囲内にあり得るか、またはそれらは同一であり得る。
1実施形態において、1つのβ体内の全てのmおよびnは、互いに+/−2の範囲内にあり得る。例えば、1つのβ体内の全てのmおよびnは、互いに+/−1の範囲内にあり得るか、またはそれらは同一であり得る。
従来の抗体と比較して、本発明のβ体は典型的に小分子である。典型的には、それらは10〜100アミノ酸の範囲、例えば15〜50アミノ酸の範囲、例えば15〜25アミノ酸の範囲からなる。1実施形態において、本開示のβ体は、配列番号1〜配列番号61からなる群から選択される配列を含むか、またはそれからなる。
本発明によるβ体はまた、環状であってもよいことが理解される。従って、β体の最もN末端側のアミノ酸は、β体の最もC末端側のアミノ酸に共有結合されてよい。換言すれば、β体は環状ペプチドであり得る。本明細書に提供される配列は線状形式で提供されるが、これらの配列を有するペプチドは環状でもあり得ることが理解される。従って、例えばβ体は、一般配列I、IV、V、VI、XVI、XVIIまたはXVIIIの何れかを含むか、またはそれからなる環状ペプチドであり得る。
好ましい実施形態において、β体は直鎖状、例えば、一般配列I、IV、V、VI、XVI、XVIIまたはXVIIIの何れかを含むか、またはそれからなる直鎖状ペプチドである。
1実施形態において、β体は内向きのβ体であり、以下の「アミノ酸Z」の節で定義されるZアミノ酸残基、例えばトレオニンは、β2型ターンの直前および直後にある。
1実施形態において、β体は外向きのβ体であり、以下の「アミノ酸X」の節で定義されるXアミノ酸残基などの認識残基は、β2型ターンの直前および直後にある。
<順方向β鎖ペプチド配列>
本発明は、順方向β鎖ペプチド配列を含む化合物に関する。この順方向β鎖ペプチド配列は、典型的には下記一般配列I:
(ZX)
を有する。
一般配列Iの順方向β鎖ペプチド配列に関して、各Zは個々に以下の「アミノ酸Z」の節に記載するアミノ酸の何れかであり得る。従って、典型的には、各Zは極性のβ−分岐アミノ酸および鎖架橋アミノ酸からなる群から個々に選択され得る。アミノ酸Zは、一般にβ体の三次元構造に寄与し得るが、各順方向β鎖ペプチド配列内で最大1つのZは任意のアミノ酸であり得ることが許容される。従って、各順方向β鎖配列内の最大1つのZは、β分枝鎖アミノ酸または鎖架橋アミノ酸ではないアミノ酸であり得る。順方向β鎖ペプチド配列内のZは、同じ、部分的に同じまたは異なるアミノ酸であり得ることが理解される。
本発明の好ましい1実施形態では、β体中の少なくとも1つ、例えば全ての順方向β鎖配列は、下記一般配列VII:
(TX)
を有し得る。ここで、Tはトレオニンである。
一般配列IおよびVIIの順方向β鎖ペプチド配列に関して、各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載するアミノ酸の何れかであり得る。順方向β鎖ペプチド配列内における各Xは、全て同じ、部分的に同じまたは異なるアミノ酸であり得ることが理解される。
一般配列IおよびVIIの順方向β鎖ペプチド配列に関して、mは任意の整数、典型的には少なくとも2の整数、好ましくは少なくとも3の整数、例えば3〜12の範囲の整数、例えば3〜7の範囲の整数、例えば3〜5の範囲の整数であり得る。
一般配列IおよびVIIのアミノ酸Z、XおよびTは、D配置またはL配置の何れかであり得る。1つのβ鎖ペプチド配列内の全てのアミノ酸が全て同じD配置またはL配置のいずれかを有することが好ましい。例えば、本発明の幾つかの実施形態では、一般配列Iの全てのアミノ酸ZおよびXはD配置である。本発明の幾つかの実施形態において、一般配列Iの全てのアミノ酸ZおよびXはL配置である。例えば、本発明の幾つかの実施形態では、一般配列VIIの全てのアミノ酸TおよびXはD配置である。本発明の幾つかの実施形態において、一般配列VIIの全てのアミノ酸TおよびXは、L配置のものである。
幾つかの実施形態において、β体の順方向β鎖ペプチド配列は、同じβ体の逆方向β鎖ペプチド配列に共有結合され環状のβ体を形成してもよい。
幾つかの実施形態において、β体の順方向β鎖ペプチド配列および逆方向β鎖ペプチド配列は、両方が非タンパク質構成アミノ酸残基を含んでよく、かつβ体は環状の形態である。
<逆方向β鎖ペプチド配列>
本発明は、逆方向β鎖ペプチド配列を含む化合物に関する。この逆方向β鎖ペプチド配列は、典型的には以下の一般配列II:
(XZ)
を有する。
一般配列IIの逆方向β鎖ペプチド配列に関して、各Zは個々に、以下の「アミノ酸Z」の節に記載するアミノ酸の何れかであり得る。例えば、典型的には、各Zは個々に、極性β−分岐アミノ酸および鎖架橋アミノ酸からなる群から選択され得る。アミノ酸Zは一般にβ体の三次元構造に寄与し得るが、各逆方向β鎖ペプチド配列内における最大1つのZが任意のアミノ酸であり得ることは許容される。従って、各逆方向β鎖配列内の最大で1つのZは、β分枝鎖アミノ酸または鎖架橋アミノ酸ではないアミノ酸であり得る。逆方向β鎖ペプチド配列内のZは、同じ、部分的に同じ、または異なるアミノ酸であり得ることが理解される。
本発明の好ましい1実施形態において、β体における少なくとも1つ、例えば全ての逆方向β鎖配列は、以下の一般配列VIII:
(XT)
を有してよく、ここで、Tはトレオニンである。
本発明の別の好ましい実施形態において、β体における少なくとも1つ、例えば全ての逆方向β鎖配列は、以下の一般配列IX:
(XT)
を有し得、ここで、Tはトレオニンである。
一般配列II、VIIIおよびIXの逆方向β鎖ペプチド配列に関して、各Xは個々に、任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載するアミノ酸の何れかであり得る。逆方向β鎖ペプチド配列内のXは、同じ、部分的に同じまたは異なるアミノ酸であり得ることが理解される。
一般配列II、VIIIおよびIXの逆方向β鎖ペプチド配列に関して、nは任意の整数、典型的には少なくとも2の整数、好ましくは少なくとも3の整数、例えば3〜12の整数、3〜7の範囲の整数、例えば3〜5の範囲の整数であり得る。
一般配列IIおよびIXの逆方向β鎖ペプチド配列に関して、rは任意の整数、典型的には最大で3の整数、例えば0〜3の範囲の整数であり得る。従ってrは、例えば0または1であり得る。
一般配列II、VIIIおよびIXのアミノ酸Z、XおよびTは、D配置またはL配置の何れかであり得る。1つの逆β鎖ペプチド配列内の全てのアミノ酸は、全てが同じD配置またはL配置の何れかを有することが好ましい。従って、本発明の幾つかの実施形態において、一般配列IIの全てのアミノ酸ZおよびXはD配置である。本発明の幾つかの実施形態において、一般配列IIの全てのアミノ酸ZおよびXはL配置である。従って、本発明の幾つかの実施形態において、一般配列VIIIまたはIXの全てのアミノ酸TおよびXはD配置である。本発明の幾つかの実施形態では、一般配列VIIIまたはIXの全てのアミノ酸TおよびXはL配置である。
<βターンペプチド配列>
本発明は、βターンペプチド配列を含む化合物に関する。このβターンペプチド配列は、典型的には以下の一般配列III:
q1BUXq2
を有する。
幾つかの実施形態において、本発明のBはプロリンである。従って、β体の中の少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、以下の一般的配列X:
q1PUXq2
を有し得る。
幾つかの実施形態において、本発明のUはグリシンである。従って、β体の中の少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、以下の一般的配列XI:
q1BGXq2
を有し得る。
幾つかの実施形態において、β体における少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、以下の一般配列XII:
q1PGXq2
を有し得る。
一般配列IIIおよびXのβターンペプチド配列に関して、Uは以下の「アミノ酸U」の節に記載するアミノ酸Uの何れかであり得る。
一般配列IIIおよびXIのβターンペプチド配列に関して、Bは、例えばプロリン、置換プロリンおよびピペコリン酸からなる群から選択される。置換プロリンは、例えば、−OH、−NH、−O-R、−NH−R、−NR、ハロゲンおよびC1〜3アルキルからなる群から選択される置換基で置換されたプロリンであってよく、ここでRはアルキル、アシルまたはペプチドである。1実施形態において、Bは、Pro、ヒドロキシプロリン(Hyp)、4−アミノ−Pro、およびピペコリン酸からなる群から選択され得る。
q1およびq2は、順方向β鎖のアミノ酸Zが、逆方向β鎖のZと反対側に位置することを保証するように選択されることが好ましく、その結果、アミノ酸Zの側鎖は、β体の同じ表面上で対向する場所に位置する。これは、q1とq2との間の関係が、q1−q2=−4、−2、0、2または4のようであることを保証することによって得られる。ここで使用される用語「q1−q2」は、「q1マイナスq2」を指す。
一般配列III、X、XIおよびXIIのβターンペプチド配列に関して、各q1およびq2は個々に整数、好ましくは最大5の整数、例えば0〜5の範囲の整数、例えば0〜3の範囲の整数であり得る。q1とq2との間の関係は、好ましくはq1−q2=−4、−2、0、2または4であるようなものであり、好ましくはq1−q2=0である。従って、q1およびq2は、例えば、両方が0であってよく、または両方が1であってもよい。β体内のq1およびq2は、同じまたは異なる整数であり得ることが理解される。
1実施形態において、β体内の少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、下記一般配列XIII:
XPGX
を有し得る。
1実施形態において、β体内の少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、下記一般配列XIV:
PGX
を有し得る。
1実施形態において、β体内の少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、下記一般配列XV:
XPG
を有し得る。
一般配列III、X、XI、XII、XIII、XIVおよびXVのβターンペプチド配列に関して、各Xは個々に任意のアミノ酸、例えば以下の「アミノ酸X」の節に記載の任意のアミノ酸であり得る。
1実施形態において、β体内の少なくとも1つの、例えば全てのβターンペプチド配列は、下記の配列:
PG
を有し得る。
本明細書の他の箇所に記載するように、アミノ酸は、IUPACの一文字コ−ドを用いて命名され得る。従って、PおよびGはそれぞれプロリンおよびグリシンである。
一般配列III、X、XI、XII、XIII、XIVおよびXVのアミノ酸X、B、U、PおよびGは、D配置またはL配置の何れかであり得る。
<アミノ酸X>
本発明は、1以上のアミノ酸Xを含むペプチド配列を含む化合物に関する。
アミノ酸Xは、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸、例えば下記の一般構造I:
Figure 2019535704
の任意の化合物であり得る。アミノ酸Xがペプチド配列の一部であるとき、当該アミノ酸はペプチド結合を介して隣接するアミノ酸に結合される。
1実施形態において、アミノ酸Xはタンパク質を構成するアミノ酸、即ち、タンパク質に組み込まれる任意のアミノ酸であり得る。
1実施形態において、アミノ酸Xは、タンパク質を構成するアミノ酸のエナンチオマ−D型、すなわちL−アミノ酸に対応する任意のD−アミノ酸であってよく、それはタンパク質に組み込まれる。好ましくは、所与のβ体は、D型またはL型の何れかのアミノ酸のみを含む。しかしながら、β体は、全てL型または全てD型であるアミノ酸を含んでよく、ここで1〜3個のアミノ酸は反対の立体配置を有してよい。即ち、L−β体は1〜3個のD−アミノ酸を含んでよく、逆もまた同様である。
1実施形態において、1以上のアミノ酸X、例えば、全てのアミノ酸Xは、グリシン、アラニン、α−アミノ−n−酪酸、ノルバリン、バリン、ノルロイシン、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、t−ロイシン、α−アミノ−n−ヘプタン酸、プロリン、ピペコリン酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、α,γ−ジアミノ酪酸、オルニチン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アロトレオニン、メチオニン、ホモシステイン、ホモセリン、β−アラニン、β−アミノ−n−酪酸、β−アミノイソ酪酸、γ−アミノ酪酸、α−アミノイソ酪酸、イソバリン、サルコシン、N−エチルグリシン、N−プロピルグリシン、N−イソプロピルグリシン、N−メチルアラニン、N−エチルアラニン、N−メチル−β−アラニン、N−エチル−β−アラニン、イソセリン、α−ヒドロキシ−γ−アミノ酪酸、プロパルギルグリシンおよび4−アジド−2−アミノブタン酸からなる群から選択されてよい。
βシ−トの完全性を改善するためには、各β体が最大で2つの、例えば最大で1つのβまたはγアミノ酸を含むことが好ましい場合がある。好ましくは、βまたはγアミノ酸はβターン中に、またはβ体の末端に位置する。
好ましくは、アミノ酸XはN−アルキル化されていない。しばしば、β鎖に位置するアミノ酸Xの窒素原子は、鎖間水素結合に関与し得る。
1実施形態では、1個以上のアミノ酸Xは置換グリシンの群から選択され得る。置換グリシン残基は、好ましくは、一般式−NH−CHR−CO−を有し、ここでRは直鎖C〜C20アルキル、分岐C〜C20アルキル基、アリール、および置換アルキルからなる群から選択され得る。分岐C〜C20アルキル基は好ましくは、iPr、iBu、tBu、sBu、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イルおよび2,2−ジメチルプロピルからなる群から選択されてよい。置換アルキルは好ましくは、1以上の置換基で置換されたC1〜20アルキルであり得る。例えば、置換アルキルは、ベンジル、アリール、プロパルギル、アリール−アルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、スルフヒドリルアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、スルホニルアルキルからなる群から選択され得る。置換アルキルはまた、ベンジル、C〜C20−アリル、プロパルギル、アリール−C〜C20アルキル、C〜C20−ヒドロキシアルキル、C〜C20−アミノアルキル、C〜C20−スルフヒドリル−アルキル、C〜C20アルキルアミノアルキル、C〜C20−ジアルキルアミノアルキル、C〜C20−アルコキシアルキル、C〜C20アルキルチオアルキル、スルホニル−C〜C20アルキルからなる群から選択され得る。置換アルキル基はまた、ホスフェート、スルホネ−ト、サルフェート、カルボキシレート、アンモニウムおよびグアニジル基などの荷電基で置換されてもよい。
1実施形態では、1以上のアミノ酸Xは二置換グリシンの群から選択され得る。二置換グリシン残基は好ましくは、一般式−NH−CR−CO−を有し、ここでRおよびRは、個々に直鎖C〜C20アルキル、分岐鎖C〜C20アルキルおよびアリ−ルからなる群から選択される。分岐アルキルは特に、iPr、iBu、およびtBuからなる群より選択され得る。
1実施形態において、所与のβ体内の様々な1〜4個のアミノ酸Xは、βアミノ酸およびγアミノ酸、例えば上記のアミノ酸に類似したβおよびγアミノ酸の群から選択され得る。
1実施形態において、1以上のアミノ酸Xは、タンパク質構成アミノ酸および非タンパク質構成アミノ酸からなる群から選択されてよく、ここで非タンパク質構成アミノ酸は、α−アミノ−n−酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、アロイソロイシン、t−ロイシン、α−アミノ−n−ヘプタン酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、α,γ−ジアミノ酪酸、オルニチン、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、α−アミノイソ酪酸、イソバリン、サルコシン、ホモフェニルアラニン、プロパルギルグリシン、4−アジド−2−アミノブタン酸、およびD型の任意のタンパク構成アミノ酸からなるアミノ酸の群から選択される。上記の非タンパク質構成アミノ酸は、D型またはL型の何れでもよい。
タンパク質構成アミノ酸は特に、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、ピロリジン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、セレノシステイン、バリン、トリプトファンおよびチロシンからなる群から選択されるアミノ酸であり得る。
1実施形態において、1以上のアミノ酸X、例えば全てのアミノ酸Xは、標準アミノ酸の群から選択され得る。従って、1実施形態では、β体のXの少なくとも70%、少なくとも80%など、例えば少なくとも90%、全てなどのXが標準アミノ酸であるが、D構成である。
アミノ酸Xは、一般にL型またはD型のものであり得る。1実施形態では、1つのβ鎖ペプチド配列内の全てのアミノ酸XがD配置のものである。1実施形態では、1つのβ鎖配列内の全てのアミノ酸XがL配置である。こうして、1実施形態において、アミノ酸Xは、任意の標準アミノ酸に対応するがD配置のアミノ酸であり得る。従って、1実施形態において、β体の少なくとも70%、少なくとも80%など、例えば少なくとも90%、全部などのXは標準アミノ酸に対応するが、これらはD配置にある。
1実施形態では、β体における全てのアミノ酸がD配置またはL配置の何れかであることが好ましい場合がある。従って、1実施形態では、β体内の全てのβ鎖配列の全アミノ酸Xおよび全アミノ酸ZはD配置にある。別の実施形態においては、β体の全てのβ鎖ペプチド配列内の全てのアミノ酸XおよびZはL配置のものである。
<アミノ酸Z>
本発明は、複数のアミノ酸Zを含むペプチド配列を含む化合物に関する。
アミノ酸Zは好ましくは、β体の三次元構造に寄与し得るアミノ酸である。特に、各アミノ酸Zは、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸および鎖架橋アミノ酸からなる群から個々に選択され得る。
更に、各β鎖内において、最大で2個のアミノ酸Z、例えば最大で1個のアミノ酸Zは任意のアミノ酸であり得る。従って、各β鎖内において最大で2個のアミノ酸Z、例えば1個以下のアミノ酸Zは、Thr、極性β−分岐アミノ酸および鎖架橋アミノ酸ではないアミノ酸であり得る。
従って、1実施形態では、1以上のアミノ酸Zはβ−分岐アミノ酸である。例えば、1以上のアミノ酸Zは、イソロイシン、トレオニン、アロトレオニン、アロイソロイシンバリン、2−アミノイソ酪酸、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン酸、プロパルギルグリシンおよび4−アジド−2−アミノブタン酸からなる群から選択されてよい。
1実施形態において、1以上のアミノ酸Zは、α−アミノイソ酪酸、ジエチルグリシン、ジプロピルグリシン、ジフェニルグリシン、1−アミノシクロブタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロペンタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキサン−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘプタン−1−カルボン酸、プロパルギルグリシン、および4−アジド−2−アミノブタン酸からなる群から選択されるアミノ酸などの、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸である。
1実施形態において、1以上のアミノ酸Zは鎖架橋アミノ酸である。従って、1以上のアミノ酸Zは、システイン、アスパラギン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、βアミノアラニン、γ−アミノ−α−アミノ酪酸、オルニチン、リジン、アルキンで置換されたアミノ酸、アジドで置換されたアミノ酸、および還元的アミノ化による架橋に適したアミノ酸からなる群から選択され得る。アルキンまたはアジドの何れかで置換されたアミノ酸は好ましくは、クリック化学に有用であるアミノ酸、例えばプロパルギルグリシン、βアジドアラニン、γ−アジド−αアミノ酪酸または4−アジド−2−アミノブタン酸である。還元的アミノ化による架橋に適したアミノ酸は、アミノ酸アルデヒド、例えば、ジヒドロキシル化/酸化によって2−アリル−グリシンまたは2−ホモアリル−グリシンから生じたアルデヒドを含む。
1実施形態において、1以上のアミノ酸Zは、任意の直鎖C〜C20アルキル、分岐C〜C20アルキル、または置換アルキル基でN−アルキル化されてよい。置換アルキルは置換C〜C20アルキル、例えばベンジル、アリル、プロパルギル、アジドアルキル、アミノアルキル、スルフヒドリルアルキルまたはハロアルキルであってよく、ここで前述した何れもが好ましくは置換C1〜20アルキルである。分岐C〜C20アルキルは、例えば、iPr、iBu、またはtBuであり得る。
好ましい実施形態において、アミノ酸Zの少なくとも幾つかはトレオニンである。従って、各β鎖ペプチド配列内のアミノ酸Zの少なくとも70%、少なくとも80%など、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%などはトレオニンであり得る。また、β体中のアミノ酸Zの少なくとも70%、少なくとも80%など、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%などはトレオニンであり得る。
1実施形態では、β体中の全てのアミノ酸Zはトレオニンである。
アミノ酸Zは、L配置またはD配置の何れかでよい。従って、1実施形態において、1つのβ鎖ペプチド配列内の全てのアミノ酸ZはD配置である。他の実施形態では、1つのβ鎖配列内の全てのアミノ酸ZはL配置である。
従って、1実施形態では、β体内の少なくとも幾つか、例えば全てのアミノ酸ZはL−トレオニンである。別の実施形態では、β体内の少なくとも幾つか、例えば全てのアミノ酸ZはD−トレオニンである。
<アミノ酸U>
本発明は、アミノ酸Uを含むペプチド配列を含む化合物に関する。
アミノ酸Uは典型的には比較的小さいアミノ酸であり、プロリンの隣に位置する場合βターンの形成を助け得る。特に、各アミノ酸Uは個々に、一般構造VI:
Figure 2019535704
のアミノ酸であり得る。ここでRおよびRは個々に、-HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、ここでRおよびRは、結合して環式構造を形成してよい。RがRと異なる場合、アミノ酸UはS配置またはL配置の何れであってもよい。
1実施形態において、アミノ酸Uはグリシンである。アミノ酸Uは、S配置またはR配置であり得る。アミノ酸Uは、例えば、D−グリシンまたはL−グリシンであり得る。
<β体を調製する方法>
本発明によるβ体は、複数の連結されたペプチド配列を含むか、またはそれらからなる。従って、β体はポリペプチドを含むか、またはポリペプチドからなることすらある。
従って、β体は、ポリペプチドを製造するための標準的な方法によって調製できる。
1実施形態において、本発明のβ体は、標準的な化学ペプチド合成、例えば固相ペプチド合成(SPPS)によって調製される。
典型的には、そのような方法は、その上にペプチド鎖を構築できるリンカーに結合される固体支持体の使用を含む。合成の間、β体は固体支持体に共有結合されたままであり、合成が完了したら次いで必要に応じて固体支持体から切断されてよい。従って、リンカーは切断可能なリンカーであり得る。
SPPSは通常、固体支持体と会合したペプチドの遊離N末端アミンを、N保護アミノ酸と反応させる幾つかのサイクルを含む。このサイクルは、アミノ酸の配列を制御できるように順序付けられる。SPPSは通常、C末端からN末端への様式で進行する。 従って、この方法は以下の工程:
i.遊離アミノ基を含むリンカーに結合される固体支持体を準備する工程、
ii.β体ポリペプチド配列の最初のアミノ酸を、N−保護されたアミノ酸の形態で準備する工程、
iii.遊離アミノ基をアミノ酸と反応させ、それによってペプチド結合を形成する工程、
iv.連結されたアミノ酸のアミノ基を脱保護し、それによって遊離アミノ基を調製する工程、
v.遊離の反応物を洗い流す工程、
vi.β体ポリペプチド配列の次のアミノ酸を、N−保護されたアミノ酸の形態で準備する工程、
vii.遊離アミノ基をアミノ酸と反応させ、それによってペプチド結合を形成する工程、
viii.全体のポリペプチドが産生されるまで、工程iv〜工程viiを繰り返す工程、
ix.任意にリンカーを切断する工程
を含み得る。
N−保護されたアミノ酸は、例えばFmocまたはBocで保護されてよい。SPPSは手動でまたは自動合成装置を用いて実施できる。
固体支持体は、任意の有用な固体支持体であってよく、例えば、固体支持体はポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、PEGハイブリッドポリスチレン樹脂、およびPEG系樹脂からなる群から選択され得る。特に、固体支持体は樹脂ビーズ、例えばPEGAビーズの形態であり得る。これらのビーズは、微粒子を用いてコ−ド化でき、例えば、Meldal and Christensen,2010に記載された樹脂ビーズの何れでもあってもよい。
トリアゾ−ル結合またはジスルフィド結合のクリック形成による環化は、β構造の安定性および選択性を高めるために望ましい可能性がある。例えば、2つの対向するトレオニン残基は、銅(I)触媒アジドアルキン付加環化(CuACC)反応のためにL−プロパルギルグリシン(Pra)およびL−4−アジド−2−アミノブタン酸(Abu(N))の何れかで、またジスルフィド形成のために2つのシステイン残基で置き換えられてよい。β体の開口端に近い2つのトレオニン残基は、環状構造を形成するために有利に選択され得る。幾つかのトレオニン対を試験して、適合されるβ体構造への影響が最も少ない対を同定できる。あるいは、環化は、上記の縮重β体の段階で既に実施されてよい。
β体に伸長プロ−ブを付加する可能性もまた評価されてよい。β体を、「結合部分」の節に記載するような追加の部分、ならびにプロ−ブ、ペプチド、または固体支持体に連結するための伸長プロ−ブを加えることは有益であり得る。例えば、グリシン、アラニンおよび/またはセリンなどの残基を用いてβ体を伸長させることは、β体の機能性にとって有益であり得る。アルギニンおよび/またはリジンなどの残基を用いてβ体を伸長させることは、β体の溶解性を改善するために有益であり得る。
β体が共役部分に連結される本発明の実施形態では、β体は上記のようにして合成され適切なクリックパ−トナ−を含む追加のアミノ酸構成単位を備えていてよく、また精製時には、それはクリック反応の適切なパ−トナ−に結合されるために連結される部分であってよい。この部分は、(コ−ドされた)生体適合性樹脂または他の表面であり得る。クリックパ−トナ−は、例えばテトラジン、アルデヒド、アミノキシ基、アジドまたはアルキンであり得る。
あるいは、β体は、当該β体のポリペプチドをコ−ドする核酸を含む組換え方法を用いて調製され得る。そのような方法もまた当技術分野において周知であり、以下の工程:
・β体のポリペプチドをコ−ドする異種核酸を含む宿主細胞を提供する
・宿主細胞を、当該宿主細胞の増殖を可能にする条件下でインキュベートする
・必要に応じて、宿主細胞からβ体を精製する
を含み得る。
β体はまた、例えば以下の工程
・β体のポリペプチドをコ−ドする核酸を準備する
・核酸の転写および翻訳の可能な試薬を準備する
・核酸を試薬とインキュベートする
を含む方法によって、インビトロで調製されてもよい。
<β体を同定する方法>
本明細書に記載するように、本発明は、標的化合物を特異的に結合できるβ体に関する。β体のアミノ酸Z、BおよびUはβ体の安定な三次元構造、例えばβヘアピンまたはβシ−トの形態を可能にする一方で、アミノ酸Xは任意のアミノ酸であってよく、かつβ体の特異性を決定する。従って、アミノ酸Xは、β体と標的化合物の間の特異的結合を可能にするように選択される。この標的化合物は任意の化合物、例えば他のβ体、ペプチド、オリゴ糖またはタンパク質であり得る。
目的の標的化合物を結合するβ体を同定する方法は幾つか存在する。標的化合物がタンパク質である本発明の実施形態では、標的化合物は、「目的のタンパク質」またはPOIと呼ばれることがある。
<β体を同定する方法>
本明細書に記載するように、本発明は、標的化合物を特異的に結合できるβ体に関する。β体のアミノ酸Z、BおよびUはβ体の安定な三次元構造、例えばβヘアピンまたはβシ−トの形態を可能にする一方で、アミノ酸Xは任意のアミノ酸であってよく、かつβ体の特異性を決定する。従って、アミノ酸Xは、β体と標的化合物の間の特異的結合を可能にするように選択される。この標的化合物は任意の化合物、例えば他のβ体、ペプチド、オリゴ糖またはタンパク質であり得る。
目的の標的化合物を結合するβ体を同定する方法は幾つか存在する。標的化合物がタンパク質である本発明の実施形態では、標的化合物は、「目的のタンパク質」またはPOIと呼ばれることがある。
標的化合物の三次元構造が知られている場合、方法は、標的化合物上の或る部位に構造的に適合するβ体を同定するための、コンピュータベースの方法であり得る。標的化合物の構造は、例えば、X線結晶学またはNMRによって決定でき、あるいは、PDB(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)またはPSILO(http://www.chemcomp.com/PSILO−Protein_Structure_Database_System.htm)などの公共のデータベースで公的に入手可能である。
従って、β体が標的化合物を結合できる、β体を同定する方法は、
a.コンピュータにおいて標的化合物の空間構造表現の原子座標を準備する工程と、
b.空間構造に表面トポロジ−および電荷分布を表す静電VDW表面を与える工程と、
c.コンピュ−タにおいて、本発明による複数のβ体の空間構造表現を生成する工程と、
d.コンピュ−タにおいて、標的化合物の空間構造の少なくとも一部に適合するβ体を選択する工程と、
e.選択されたβ体の空間構造表現に静電VDW表面表現を与える工程と、
f.コンピュ−タにおいて、分子動力学計算を使用して表面トポロジ−および電荷−電荷相互作用の両方の最適な相補性を有するβ体を選択する工程と
を含み得、
それによって標的化合物に結合できるβ体を同定する。
この方法は、例えば化学コンピュ−タ処理グル−プ(Chemical Computing Group)からの分子操作環境(Molecular Operating Environment)(例えば、MOE−ver.2015.10)を使用して、任意の有用なソフトウェアを用いて実施できる。この方法を実施するために有用なソフトウェアの他の例は、Rosetta(商標)である。典型的には、工程aは、標的化合物の構造に関する情報を、PDBファイルの形式でコンピュータにロードする工程を含む。空間構造表現が利用可能になると、それを水素原子の付加により、および/または構造の調査または欠失する部分の修正により例えば相同性モデリングによりまたは可能であれば拘束された動力学によって、変更できる。好ましくは、モデリングは構造から正確に得られた区画を乱さない。
方法の工程bおよび工程cは、以下のように実行されてよい。
空間構造表現が利用可能になると、モデルは空間に固定され、コンピュ−タにおいて分子的静電表面を備えることができる。
β体の空間構造は、β体のランダムライブラリ−を用いて調製できる。しかしながら、β体の空間構造はまた、参照β体の空間構造を調製することによっても調製され得る。参照β体は任意のβ体、例えば、本明細書の上記「β体」の節に記載の何れかのβ体であり得る。例えば、それは、その節に記載された一般的な配列IV、VまたはVIの何れかによるβ体であり得る。簡単にするために、参照β体の全てのアミノ酸Xは、同じアミノ酸、好ましくは非常に明確な化学的特徴を欠くアミノ酸、例えばAlaであるように設定され得る。従って、参照β体は、一般配列(TX)PG(XT)のβ体であってよく、ここでXは最初はアラニンであってよく、かつ最大30%のトレオニンが他のβ−分岐または鎖架橋アミノ酸でランダムに置換されてよい。
参照β体と標的化合物との間の最良の適合が見出される。これは、例えば全体的な形状の適合性およびアミノ酸側鎖との相互作用のための有望な溝、ピットおよびパッチの存在に関して、最適な相互作用のための部位を同定するために、参照β体の空間構造表示を標的化合物の表面に亘って移動および/または回転させることにより、手動でおよび/またはコンピュ−タ支援手段によって行うことができる。
標的化合物に対する親和性を更に改善するために、トレオニンがβ2型ターンの直前および直後にある縮退内向きβ体、または認識残基がβ2型ターンの直前および直後に続く外向きβ体(両者はD−アミノ酸および/またはL−アミノ酸を含むか、またはそれらからなってよい)が、それぞれ割れ目(例えば活性部位)または表面の認識のために選択され、MOEに導入され得る。
標的化合物を固定位置に維持しながら、β体は有利に一滴の水に浸漬されてよく(イン・シリコ)、ここでそれは残りの計算プロセスに渡り維持され、かつ全体の構造を表面の形状に適合させるために、273Kの温度に短時間(0.1fs〜10ns)曝されてよい。
参照β体の最も有望な位置を選択でき、例えば、1〜10の最も有望な位置を選択できる。次いで、選択された結合側への各側鎖に対する最良の適合性を得るために、β体の各アミノ酸Xについての最良のアミノ酸Xが決定される。表面接触は、トポロジ−および静電ポテンシャルの両方に関して最適化される。従って、参照β体の全てのアミノ酸Xがアラニンである場合、アラニン側鎖に対する最良の置換が決定される。接触を改善する可能性が最も高い残基の置換は典型的には、骨格のNまたはCOの何れかに対する180°のα,β結合のねじれ角を用いて行われる。まれな場合またはβ−分岐残基を伴う場合にのみ、60°、−60°の選択肢が使用される。置換の後、親和性または適合が改善されるかどうかを評価するために、50psのMD計算が行われる。
このプロセスの間に、アニーリングによる分子動力学を使用する多ラウンドのフィッティングが行われ得る。最良の適合を見出すために、典型的には、1〜20ラウンドの範囲で、例えば1〜10ラウンドの範囲で行われる。各ラウンドにおいて相互作用を評価し、良好な接触および静電ポテンシャルの一致を示し得るが他の残基がタンパク質表面に到達するのを妨げる可能性がある残基を同定する。アニーリングによる分子動力学を用いるフィッティングは、任意の有用な温度(しばしば450〜300Kの範囲の温度)において、0.1fs〜10nsの範囲で行うことができる。フィッティングは、8〜10層の追加の水層を用いて行うことができ、アミノ酸側鎖配向、H結合ネットワ−ク、疎水性相互作用、電荷−電荷相互作用の相加効果を考慮するために実施できる。
有用なβ体の大まかなモデルが設計されたら、次いでβ体と直接接触している標的化合物の残基が固定から解放され得る。従って、標的化合物がタンパク質である場合、β体と直接接触しているPOI中のアミノ酸は固定から解放され得るが、POI構造の残部は固定されたままであり得る。相互作用を洗練するために、アミノ酸Xの更なる交換を行ってもよい。
一旦有用なβ体が設計されると、1〜2nsの範囲において450〜300Kの範囲の温度でアニーリングすることによる分子動力学によって、相互作用を試験できる。これらの条件下で標的化合物と安定した相互作用を示すβ体が選択される。
当該方法はまた、β体を最適化する工程を含み得る。最適化は、例えば、各アミノ酸(例えば、各アミノ酸X)を他のアミノ酸、例えばAlaで置換することによりβ体をスキャンし、それによって潜在的に最適化された一群のβ体を得ることを含み得る。最適化はまた、1つのアミノ酸、例えばアミノ酸Xを他の幾つかのアミノ酸で置換することによりβ体をスキャンし、それによって潜在的に最適化された一群のβ体を得ることを含み得る。この潜在的に最適化されたβ体を次いで、改善された特性、例えばより低いアニーリング温度を有することについて試験できる。このような試験は、上で述べたようにコンピューターモデルを用いて実施され得るか、または実験室で試験され得る。
標的結晶構造試験の非存在下では、β体をライブラリとして合成するか、または認識残基を変えてファージディスプレイライブラリ中で発現させ、次いで標的タンパク質または他の生体表面に対してスクリーニングできる。1ビーズ1化合物の合成ライブラリ、例えば構造ターン残基およびトレオニンを維持してスプリット・ミックス法により作製されたものを、有利に使用できる。ファージディスプレイライブラリを通常の方法で標的タンパク質に対しパンニングして、DNA配列決定により解読される高親和性リガンドを生成できる。
有用なβ体が設計されたら、それは上記の「β体の調製方法」の節に記載したようにして製造され、試験され得る。従って、識別方法は更に
d.工程cで同定された空間構造のβ体を準備する工程と、
e.目的化合物を準備する工程と、
f.β体が標的化合物を結合できるかどうかを決定する工程と、
g.標的化合物を結合できるβ体を選択する工程と
を含んでよい。
β体はまた、推定β体ライブラリからの選択により同定され得る。従って、標的化合物を結合できるβ体を同定するための方法は
・目的化合物を準備する工程と、
・複数の試験β体、例えば上で述べた「β体」の節に記載したβ体の何れかを含むライブラリを準備する工程と、
・試験β体が上記標的化合物を結合できるかどうかを決定する工程と、
・標的化合物を結合できるβ体を選択する工程と
を含んでよく、
それによって標的化合物に結合できるβ体を同定する。
ライブラリの取り扱いを容易にするために、β体を固体支持体上に固定化できる。固体支持体は、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、PEGハイブリッドポリスチレン樹脂、またはPEG系樹脂を含む任意の有用な固体支持体であり得る。1実施形態において、試験β体は、各種類のβ体が他の種類のβ体から空間的に分離されるように固体支持体に結合される。例えば、β体は、固体支持体上の個別のスポットで、個々のウエルまたは容器中に、あるいは樹脂ビーズ上に固定化できる。
1実施形態において、β体は樹脂ビーズ、例えばβ体のビーズ上合成に有用な樹脂ビーズ上に固定化される。従って、樹脂ビーズはポリエチレングリコールを含む樹脂、例えばPEGA(ポリエチレングリコール・アクリルアミド共重合体;Meldal M.,1992,Tetrahedron Lett.,33:3077〜80)、POEPOP(ポリオ騎士エチレン・ポリオキシプロピレン;Renil et al.,1996,Tetrahedron Lett.,37:6185−88)、またはSPOCC(超透過性有機コンビナトリアルケミストリー;Rademann et al.,1999、J.Am.Chem.Soc.,121:5459−66)であり得る。これらの樹脂は様々な孔径で入手可能である。
本発明の1実施形態において、樹脂ビーズは、Jandagel(登録商標)およびポリエチレングリコール(PEG)を含む樹脂ビーズからなる群から選択される。例えば、ポリエチレングリコールを含む樹脂ビーズは、ポリエチレングリコールアクリルアミドコポリマー(PEGA)、またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン(POEPOP)、超透過性有機コンビナトリアルケミストリー(SPOCC)、POEPSおよびTentagel(登録商標)からなる群から選択され得る。
ライブラリは、各ビーズが同じ配列のβ体のみに連結される、1ビーズ・1β体のライブラリであり得る。1ビーズ・1化合物のライブラリは、Christensen et al.,2003、Lam et al.,1976、またはLam et al.,1991に概説された原理に従って調製できる。簡単に言うと、短いライブラリは、以下の工程を含むスプリット/ミックス方法によって調製され得る。
1.樹脂ビーズの幾つかのプールを準備する。
2.1個のアミノ酸を樹脂ビーズの各プールの樹脂ビーズに、例えば「β体を調製する方法」の節で上述したようなSPPSによって結合させ、ここで異なるアミノ酸が異なるプールの樹脂ビーズに結合され得る。
3.プールを混合し、それによって単一のプールを得る。
4.プールを分割して新しいプールを取得する。
5.工程2〜4を繰り返す。
ライブラリは、標識された標的化合物とインキュベートされ、ライブラリビーズの蛍光強度が決定され、所望の特徴を有するβ体の選択のために使用され得る。これらは樹脂から放出され、例えばMS−MS配列決定により、または有利には微粒子マトリックス解読により解読でき、これは修飾されたアミノ酸残基、および/または非タンパク質構成アミノ酸残基ならびに環状ペプチドの場合に有益である。同定された活性β体は再合成され、および結合を測定して構造活性相関を確認できる。
本発明の1実施形態において、β体を同定する方法は、以下の工程を含む。
・検出可能な標識に結合される標的化合物を準備する工程。
・例えば上記のようにして調製される、1ビーズ・1β体ライブラリを準備する工程。
・標的化合物をライブラリとインキュベートする工程。
・検出可能な標識に会合したビーズを同定する工程。
・同定されたビーズに連結されたβ体の構造を決定する工程。
<標的化合物を結合するβ体>
上記で述べたように、本発明のβ体は、好ましくは、高い親和性および/または特異性で標的化合物を結合できる。
従って、β体は、最大で10−6M以下、10−7M以下など、10−8M以下など、例えば10−9M以下、10−10Mなど、更には10−11M以下のKで、その標的化合物を結合できる。
標的化合物、例えばタンパク質に結合するβ体が同定されたら、β体に対する親和性を、β体中のアミノ酸X、Z、BまたはUを他の類似のアミノ酸で置換することによって、実験的に改善できる。これは、例えば複数の列×複数のカラムでの並列的または集中的コンビナトリアル合成、または表面上でのスポット合成によって達成できる。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号1〜配列番号61からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなる。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号1〜配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ、緑色蛍光タンパク質(GFP)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号5〜配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつインタ−ロイキン1(IL1)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号14および配列番号15からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつインタ−ロイキン2(IL2)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号16〜配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつインタ−ロイキン6(IL6)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつインタ−ロイキン10(IL10)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号22および配列番号23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつインタ−ロイキン12(IL12)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号24および配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつインタ−ロイキン18(IL18)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号26〜配列番号27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号28〜配列番号29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)由来の毒素Aを結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号30のアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつボツリヌス毒素(BTX)を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号31のアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつリシンを結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号32〜配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつゲフィリンを結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号32および配列番号33からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつゲフィリンのタンパク質−タンパク質界面において結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号34、配列番号41、配列番号42および配列番号43からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつゲフィリンのペプチド結合部位を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号35および配列番号36からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつゲフィリンの遊離部位において結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号37〜配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつゲフィリンのモリブデン結合部位を結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号46および配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつスブチリシンを結合する。
本開示の1実施形態において、β体は、配列番号48〜配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつパパインを結合する。
<検出の方法>
1実施形態において、本発明は、試料中の標的化合物の存在を検出するための方法に関し、方法は、
a.サンプルを準備する工程と、
b.β体、例えば上で述べた「β体」の節に記載したβ体の何れかを準備する工程であって、β体は標的化合物を結合できる、工程と、
c.試料をβ体とインキュベートする工程と
d.試料に結合したβ体を検出する工程と
を含む。
β体は、固体支持体、例えば上で述べた「β体の同定」の節に記載の固体支持体の何れかの上に固定化できる。
1実施形態において、本発明は、試料中の標的化合物の存在を検出するための方法に関し、方法は、
a.サンプルを準備することと、
b.少なくとも2つの異なるβ体、例えば上で述べた「β体」の節に記載したβ体の何れかを準備し、β体は両社共に標的化合物に結合できることと、
c.試料をβ体とインキュベートすることと、
d.試料に結合したβ体を検出することと
を含む。
好ましくは、β体は、標的化合物上の異なる部位に結合できる。β体の一方は固体支持体上に固定化され得、他方のβ体は検出可能な標識に連結され得る。試料に結合したβ体を検出する工程は、固体支持体と会合した検出可能な標識を検出することを含み得る。
1実施形態において、本発明は、試料中の複数の標的化合物の存在を検出するための方法に関し、方法は、複数の標的化合物の各々について上記の方法を実施することを含む。
各標的化合物を認識するβ体の一方は、個々の固体支持体上に固定化され得、また各標的化合物を認識する他方のβ体は、異なる検出可能な標識に連結され得る。
複数の標的化合物の各々についての方法は、何れかの順序で、部分的に順次に実施されてよく、あるいは、それらは同時に実施されてよい。
従って、本発明のβ体は、例えば多重診断のために使用され得る。固定化されたβ体は、標的化合物またはPOIの捕捉パ−トナ−として、サンドイッチアッセイに直接使用されてよい。
本開示の1実施形態において、標的化合物は緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、それは配列番号1〜配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はインタ−ロイキン1(IL1)であり、それは配列番号5〜配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はインタ−ロイキン2(IL2)であり、それは配列番号14および配列番号15からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はインタ−ロイキン6(IL6)であり、それは配列番号16〜配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はインタ−ロイキン10(IL10)であり、それは配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はインタ−ロイキン12(IL12)であり、それは配列番号22および配列番号23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はインタ−ロイキン18(IL18)であり、それは配列番号24および配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物は腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)であり、それは配列番号26および配列番号27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はクロストリジウム・ディフィシル由来の毒素Aであり、それは配列番号28および配列番号29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はボツリヌス毒素(BTX)であり、それはアミノ酸配列番号30のβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はリシンであり、それはアミノ酸配列番号31のβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はゲフィリンであり、それは配列番号32〜配列番号45からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はスブチリシンであり、それは配列番号46および配列番号47からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
本開示の1実施形態において、標的化合物はパパインであり、それは配列番号38〜配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか当該アミノ酸配列からなるβ体によって認識される。
<診断の方法>
1実施形態において、本発明は、臨床状態を診断するための方法に関し、ここで臨床状態は、1以上の標的化合物の存在または非存在と関連する。そのような方法は、
a.臨床状態を獲得するリスクのある個体由来のサンプルを準備する工程と、
b.「検出方法」の項に記載した標的化合物を検出する方法を実施する工程と、
c.ここで標的化合物の存在または非存在が、個体が臨床状態に罹患していることを示すことと
を含んでよい。
1実施形態において、本発明は、表面上、多孔質材料上、またはゲルマトリックス中に固定化された幾つかの異なるβ体を用いて行われる多重診断のための方法に関する。材料は、例えば全てが、平らな表面のウエルまたはビーズの形態であり得る。
<治療の方法>
1実施形態において、本発明は、臨床状態を治療する方法において使用するためのβ体に関し、ここで臨床状態は標的化合物の発現を特徴とし、β体は標的化合物を結合できる。β体は、「β体」の節で記載したβ体の何れであってもよい。
標的化合物は、ポリペプチドまたはタンパク質であり得る。標的化合物はまた、多糖、オリゴ糖、ポリペプチド、または1以上のタンパク質であり得る。従って、β体は、例えば複合体中の2つのタンパク質を架橋できる。
1実施形態において、β体は、タンパク質−タンパク質相互作用を阻害し、それによってその相互作用により媒介される生物学的機能を阻害するように設計できる。例えば、本開示のβ体は、IL1、IL2、IL6、IL10、IL12またはIL18などのインタ−ロイキンの生物学的機能を阻害できる。本開示のβ体はまた、TNFαの生物学的機能を阻害し得る。本開示のβ体はまた、ゲフィリン、スブチリシンまたはパパインの生物学的機能を阻害し得る。従って、β体は、前述した何れかの増大したまたは望ましくない機能を特徴とする臨床状態、特に免疫疾患の治療の方法において使用できる。
1実施形態において、β体は毒素の毒作用を中和する方法での使用のためである。例えば、毒素はクロストリジウム・ディフィシル由来の毒素A、リシン、またはボツリヌス毒素(BTX)であり得る。他の毒素もまた、本開示のβ体によって標的にされ得る。
1実施形態において、β体は、免疫応答を調節する方法での使用のためである。
1実施形態において、β体は、癌細胞のアポト−シスを調節する方法での使用のためである。従って、β体は癌の治療方法において使用できる。
1実施形態において、β体はホルモン−ホルモン受容体応答を調節する方法での使用のためである。
<β体の二量体>
本発明はまた、β体の二量体を提供し、これは上記「β体」の節で記載したβ体の何れかであり得る。二量体は第一のβ体および第二のβ体を含んでよく、ここで第一のβ体および第二のβ体は互いを結合できる。
1実施形態において、二量体は第一のおよび第二のβ体を含むヘテロ二量体であり、ここで第一のβ体は第二のβ体とは異なり、かつ第一および第二のβ体は互いを結合できる。
1実施形態において、第1のβ体の少なくとも2個のアミノ酸Xは正に荷電しており、第2のβ体のほぼ同数のアミノ酸Xは負に荷電している。
1実施形態において、第1のβ体の少なくとも2個のアミノ酸Xは疎水性アミノ酸残基であり、第2のβ体のほぼ同数のアミノ酸Xは疎水性アミノ酸残基である。
1実施形態において、二量体は2つの同一のβ体を含むホモ二量体であり、ここでβ体はそれ自身に結合できる。
1実施形態において、β体のアミノ酸Xの少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%は芳香族または疎水性アミノ酸である。
1実施形態において、β体のアミノ酸Xの少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%はチロシン残基である。
1実施形態において、本発明は、第1のβ体に共有結合される第1の部分と第2のβ体に結合される第2の部分とを含む二量体に関し、ここで第1および第2のβ体は互いを結合できる。従って、二量体の第1および第2のβ体は、上のこの節に記載した二量体の何れかであってよい。
1実施形態において、第1および/または第2の部分はタンパク質である。
1実施形態において、第1および/または第2の部分は、以下の「共役部分」の節に記載する共役部分の何れかである。
1実施形態において、第1および第2の部分は互いに異なる。
1実施形態において、第1のβ体および第2のβ体は、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60からなる群から選択される配列を有する。
<共役部分>
本発明はまた、β体、例えば上のβ体の節に記載したβ体の何れかに関し、ここでβ体は共役部分に共有結合される。
共役部分は任意の部分であってよく、例えば、それは、放射性標識、抗体のための抗原、ビオチン、蛍光標識、発光標識または着色標識などの、検出可能な標識からなる群から選択され得る。
共役部分はまた、炭水化物、ポリペプチド、タンパク質、細胞傷害性化合物、酵素阻害剤、酵素基質、膜結合性分子または受容体リガンドなどの、生物活性化合物からなる群から選択されもよい。
<細目>
1.β体であって、当該β体はβターンペプチド配列によって連結される少なくとも2つのβ鎖ペプチド配列を含むか当該配列からなる化合物であり、ここでβ鎖ペプチド配列は、交互の順方向および逆方向のβ鎖ペプチド配列逆平行配置で組織され、ここで、
各順方向β鎖ペプチド配列は個々に以下の配列
(ZX)
を有し、かつ各逆方向β鎖ペプチド配列は個々に以下の配列
(XZ)
を有し、ここで
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸、または鎖架橋アミノ酸であり、ただし各β鎖配列における最大2個のZは上記の何れでもないアミノ酸であってよく、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
mおよびnはそれぞれ独立して、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各rは、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各βターンペプチド配列は個々に以下の配列
q1BUXq2
を有し、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、
各Uは個々に、式
Figure 2019535704
のアミノ酸であり、
ここでRaおよびRbは個々に、−HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、ここでRaおよびRbは、結合されて環式構造を形成してよく、
Bは、Pro、置換Proおよびピペコリン酸からなる群から選択され、
各qは個々に、0〜5の範囲の整数であり、ここでq1−q2は、−4、−2、0、2または4であり、かつ
ここでβ体は、線形または環状である、β体。
2.β体は、線形である、細目1に記載のβ体。
3.化合物が、βターンペプチド配列によって連結される2〜10の範囲のβ鎖ペプチド配列を含む、先行する細目の何れか1項に記載のβ体。
4.化合物が、βターンペプチド配列によって連結される2〜4個の範囲のβ鎖ペプチド配列を含む、先行する細目の何れか1項に記載のβ体。
5.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、化合物が下記の構造:
順方向β鎖配列−
βターンペプチド配列−
逆方向β鎖配列
を有し、
ここで順方向β鎖配列および逆方向β鎖配列は逆平行β鎖として配置される、β体。
6.細目1〜4の何れか1項に記載のβ体であって、化合物が下記の構造:
順方向β鎖配列−
βターンペプチド配列−
逆方向β鎖配列−
βターンペプチド配列−
順方向β鎖配列
からなるポリペプチドを含み、
ここで順方向β鎖配列および逆方向β鎖配列は逆平行β鎖として配置される、β体。
7.細目1〜4の何れか1項に記載のβ体であって、化合物が下記の構造:
順方向β鎖配列−
βターンペプチド配列−
逆方向β鎖配列−
βターンペプチド配列−
順方向β鎖配列−
βターンペプチド配列−
順方向β鎖配列
からなるポリペプチドを含む、β体。
8.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、各β鎖ペプチド配列内のZの少なくとも70%がThrである、β体。
9.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、各β鎖ペプチド配列内のZの少なくとも90%がThrである、β体。
10.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つの順方向β鎖配列が以下の配列
(TX)
を有し、ここで、
Tは、Thrであり、
各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、かつ
各mは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
rは、0〜5の範囲の整数である、β体。
11.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つの逆方向β鎖配列が以下の配列
(TX)
を有し、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、かつ
各nは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
rは、0〜5の範囲の整数である、β体。
12.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つのβターンペプチド配列が以下の配列
PGX
を有し、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、かつ
各qは個々に、0〜3の範囲の整数である、β体。
13.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のqが0〜1の範囲の整数である、β体。
14.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、各βターン内でq1−q2が0である、β体。
15.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、q1およびq2が個々に0〜3の範囲の整数である、β体。
16.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つまたは全てのβターンペプチド配列が、以下の配列
XPGX、または
PGX、または
PG
の1つを有し、ここで
各Xは個々に任意のアミノ酸である、β体。
17.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般構造
(TX)PGX(XT)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、
mおよびnは個々に独立して、3〜12の範囲の整数であり、かつ
qは個々に、0〜3の範囲の整数である、β体。
18.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般構造
(TX)PG(XT)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数である、β体。
19.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般構造
(TX)PG(XT)XPGX(TX)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数である、β体。
20.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般構造
(TX)PG(XT)XPGX(TX)PG(XT)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数である、β体。
21.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般配列XIX:
(ZX)PGX(XZ)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各rは個々に、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、但し最大で2を除く全てのZがThrであることが好ましく、
かつ各qは個々に、0〜3の範囲の整数である、β体。
22.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般配列XVI:
(ZX)PG(XZ)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各rは個々に、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数であり、
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、但し最大で2を除く全てのZがThrであることが好ましい、β体。
23.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般配列XXI:
(ZX)PGX(XZ)XXPGXX(ZX)
を有するポリペプチドを含み、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各rは個々に、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、但し最大で2を除く全てのZがThrであることが好ましく、
かつ各qは個々に、0〜3の範囲の整数である、β体。
24.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般配列XVII:
(ZX)PG(XZ)XPGX(ZX)
を有するポリペプチドを含み、ここで、
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各rは個々に、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各mおよびnは個々にそれぞれ独立して、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、但し最大で2を除く全てのZがThrであることが好ましい、β体。
25.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般配列XXIII:
(ZX)PGX(XZ)XXPGXX(ZX)PGX(XZ)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各rは個々に、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、但し最大で2を除く全てのZがThrであることが好ましく、
かつ各qは個々に、0〜3の範囲の整数である、β体。
26.細目1に記載のβ体であって、化合物が一般配列XVIII:
(ZX)PG(XZ)XPGX(ZX)PG(XZ)
を有するポリペプチドを含み、ここで
各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
各rは個々に、0〜5の範囲の整数であり、かつ
各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、但し最大で2を除く全てのZがThrであることが好ましい、β体。
27.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のmが、3〜7の範囲の整数である、β体。
28.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のnが、3〜5の範囲の整数である、β体。
29.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上、好ましくは全てのアミノ酸Xが一般構造
Figure 2019535704
を有する、β体。
30.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のアミノ酸Xが、式−NH−CHR−CO−の置換グリシンの群から選択され、ここでRは、直鎖状C〜C20アルキル、分岐鎖状C〜C20アルキル、アリ−ル、および置換アルキルからなる群から選択され得る、β体。
31.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のアミノ酸Xが、式−NH−CR−CO−の二置換グリシンの群から選択され、ここでRおよびRは個々に、直鎖C〜C20アルキル、分岐鎖C〜C20アルキル、アリール、および置換アルキルからなる群から選択される、β体。
32.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上の、好ましくは全てのアミノ酸Xが、タンパク質構成アミノ酸および非タンパク質構成アミノ酸からなる群から選択され、ここで非タンパク質形成アミノ酸は、α−アミノ−n−酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、アロイロイシン、t−ロイシン、α−アミノ−n−ヘプタン酸、α,β−ジアミノプロピオン酸、α,γ−ジアミノ酪酸、オルニチン、アロトレオニン、ホモシステイン、ホモセリン、α−アミノイソ酪酸、イソバリン、サルコシン、ホモフェニルアラニン、プロパルギルグリシンおよび4−アジド−2−アミノブタン酸からなる群から選択される、β体。
33.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、β体の少なくとも幾つかのアミノ酸残基がL−アミノ酸である、β体。
34.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、β体の全てのアミノ酸残基がL−アミノ酸である、β体。
35.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、β体の全てのアミノ酸残基がD−アミノ酸である、β体。
36.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも70%、少なくとも80%など、例えば少なくとも90%、全てなどのXが標準アミノ酸である、β体。
37.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、最大でも1個のアミノ酸Z、例えば0個のアミノ酸Zが、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸ではない、β体。
38.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のアミノ酸Zが、イソロイシン、トレオニン、アロトレオニン、アロイソロイシンバリン、2−アミノイソ酪酸、2−アミノ−3,3−ジメチルブタン酸、プロパルギルグリシンおよび4−アジド−2−アミノブタン酸からなる群から選択されるβ−分岐アミノ酸である、β体。
39.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のアミノ酸Zが、α−アミノイソ酪酸、ジエチルグリシン、ジプロピルグリシン、ジフェニルグリシン、1−アミノシクロブタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロペンタン−1−カルボン酸、1−アミノシクロヘキサン−1−カルボン酸、および1−アミノシクロヘプタン−1−カルボン酸からなる群から選択される非タンパク質構成α−分岐アミノである、β体。
40.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、1以上のアミノ酸Zが、システイン、アスパラギン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、βアミノアラニン、γ−アミノ−α−アミノ酪酸、オルニチン、リジン、プロパルギルグリシン、4−アジド−2−アミノブタン酸、アルキンで置換されたアミノ酸、アジドで置換されたアミノ酸および還元的アミノ化による架橋に適したアミノ酸からなる群から選択される鎖架橋アミノ酸である、β体。
41.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、各rが個々に、0〜3の範囲の整数であり、好ましくは各rが0である、β体。
42.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、化合物が、最大で10−6M、例えば10−7M以下、10−8M以下など、10−9M以下など、例えば10−10M以下、または更に10−11M以下のKで標的化合物を結合できる、β体。
43.先行する細目の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号1〜配列番号61からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなる、β体。
44.細目1〜38の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号1〜3からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物が緑色蛍光タンパク質(GFP)である、β体。
45.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号5〜配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がインターロイキン1(IL1)である、β体。
46.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号14および配列番号15からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がインターロイキン2(IL2)である、β体。
47.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号16〜配列番号19からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がインターロイキン6(IL6)である、β体。
48.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号20および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がインターロイキン10(IL10)である、β体。
49.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号22および配列番号23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がインターロイキン12(IL12)である、β体。
50.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号24および配列番号25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がインターロイキン18(IL18)である、β体。
51.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号26〜配列番号27からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物が腫瘍壊死因子α(TNFα)である、β体。
52.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号28〜配列番号29からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がクロストリジウム・ディフィシル由来の毒素Aである、β体。
53.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号30のアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がボツリヌス毒素(BTX)である、β体。
54.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号31のアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がリシンである、β体。
55.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号32〜配列番号46からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がゲフィリンである、β体。
56.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号47および配列番号48からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がスブチリシンである、β体。
57.細目1〜42の何れか1項に記載のβ体であって、β体が配列番号49〜配列番号54からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または当該配列からなり、かつ標的化合物がパパインである、β体。
58.先行する細目の何れか1項に記載のβ体を同定する方法であって、β体が標的化合物を結合でき、
a.コンピュ−タにおいて、標的化合物の空間構造表現を準備する工程と、
b.コンピュ−タにおいて、先行する細目の何れか1項に記載の複数のβ体の空間構造表現を生成する工程と、
c.コンピュ−タにおいて、標的化合物の空間構造の少なくとも一部に適合するβ体を選択する工程と
を含み、それによって標的化合物を結合できるβ体を同定する、方法。
59.細目58に記載の方法であって、選択されたβ体が、450〜200Kの範囲の温度において1ps〜10秒の範囲の期間、標的化合物と安定に会合する、方法。
60.細目58〜57の何れか1項に記載の方法であって、以下の
h.工程cで同定された空間構造のβ体を準備する工程と、
i.標的化合物を準備する工程と、
j.β体が標的化合物を結合できるかどうかを決定する工程と、
k.標的化合物を結合できるβ体を選択する工程と
を更に含む、方法。
61.細目1〜57の何れか1項に記載のβ体を同定する方法であって、β体が標的化合物を結合でき、
i.標的化合物を準備する工程と、
ii.細目1〜57の何れか1項に記載の複数の試験β体を含むライブラリを準備する工程と、
iii.試験β体が標的化合物を結合できるかどうかを決定する工程と、
iv.標的化合物を最も結合できるβ体を選択する工程と
を含み、それによって標的化合物を結合できるβ体を同定する、方法。
62.細目61に記載の方法であって、ライブラリが固体支持体上に固定化されたβ体を含む、方法。
63.細目61〜62の何れか1項に記載の方法であって、ライブラリが1ビーズ1化合物のライブラリであり、各ビーズが同じ配列のβ体に結合される、方法。
64.細目61〜63の何れか1項に記載の方法であって、
・検出可能な標識に結合された標的化合物を準備する工程と、
・1ビーズ1化合物のライブラリを準備する工程と、
・標的化合物をライブラリとインキュベートする工程と、
・検出可能な標識に会合されたビーズを同定する工程と、
・同定されたビーズに連結されたβ体の構造を決定する工程と
を含む、方法。
65.試料中の標的化合物の存在を検出するための方法であって、
a.サンプルを準備することと、
b.β体が標的化合物を結合できる、細目1〜57の何れか1項に記載のβ体を準備することと、
c.試料をβ体とインキュベートすることと、
d.試料に結合したβ体を検出することと
を含む、方法。
66.細目65に記載の方法であって、β体が固体支持体上に固定化される、方法。
67.試料中の標的化合物の存在を検出するための方法であって、
a.サンプルを準備することと、
b.細目1〜57の何れか1項に記載の少なくとも2つの異なるβ体を準備することであって、ここでβ体が両方の標的化合物を結合できることと、
c.試料をβ体とインキュベートすることと、
d.試料に結合したβ体を検出することと
を含む、方法。
68.細目67に記載の方法であって、β体の一方が固体支持体上に固定化され、他方のβ体が検出可能な標識に連結される、方法。
69.細目64に記載の方法であって、試料に結合したβ体を検出する工程が、固体支持体と会合した検出可能な標識を検出することを含む、方法。
70.試料中の複数の標的化合物の存在を検出するための方法であって、複数の標的化合物のそれぞれについて細目65〜69の何れか1項に記載の方法を実施することを含む、方法。
71.細目70に記載の方法であって、各標的化合物を認識する一方のβ体が個々の固体支持体上に固定化され、かつ各標的化合物を認識する他方のβ体が異なる検出可能な標識に連結される、方法。
72.細目71に記載の方法であって、複数の標的化合物の各々について細目65〜69の何れか1項に記載の方法が同時に行われる、方法。
73.β体と標的化合物との間の相互作用の検出のための方法であって、固体表面上に複数のβ体をマイクロアレイ形式で固定化することと、検出可能な標識に連結された1以上の標的化合物をマイクロアッセイと接触させ、それによって標的化合物との相互作用を検出することを含む、方法。
74.毒素の毒性作用を中和するための方法であって、
a.毒素を含むサンプルを準備することと、
b.細目1〜57の何れか1項に記載のβ体を準備することであって、β体が毒素を結合できることと、
c.試料をβ体とインキュベートすることと
を含む、方法。
75.臨床状態を治療するための方法であって、臨床状態が毒素の存在と関連しており、
a.臨床状態に罹患しているかまたは罹患している疑いのある個体由来の試料を準備する工程と、
b.細目74に記載の毒素を中和する方法を実施する工程と
を含む、方法。
76.臨床状態を診断するための方法であって、臨床状態が1以上の標的化合物の存在または非存在と関連し、
a.臨床状態を獲得するリスクのある個体由来のサンプルを準備する工程と、
b.細目65〜72の何れかに記載の標的化合物の検出方法を実施する工程と、
c.標的化合物(複数可)の存在または非存在が、個体が臨床状態に罹患していることを示すことと
を含む、方法。
77.臨床状態を治療する方法における使用のための細目1〜57の何れか1項に記載のβ体であって、臨床状態が標的化合物の発現を特徴とし、かつβ体が標的化合物を結合できる、β体。
78.標的化合物がポリペプチドである、細目77に記載のβ体、または細目58〜71の何れか1項に記載の方法。
79.項目1〜57の何れか1項に記載の第1および第2のβ体を含むヘテロ二量体であって、第1のβ体が第2のβ体とは異なり、かつ第1のβ体および第2のβ体が相互を結合できる、ヘテロ二量体。
80.細目79に記載のヘテロ二量体であって、第1のβ体の少なくとも2個のXが正に帯電され、かつ第2のβ体のほぼ同量のXが負に帯電される、ヘテロ二量体。
81.細目79〜80の何れか1項に記載のヘテロ二量体であって、第1のβ体の少なくとも2個のXが疎水性アミノ酸残基であり、かつ第2のβ体のほぼ同量のXが疎水性アミノ酸残基である、ヘテロ二量体。
82.2つの同一のβ体を含むホモ二量体であって、各β体が細目1〜57の何れか1項に記載されたものであり、β体がそれ自身に結合できる、ホモ二量体。
83.細目82に記載のホモ二量体であって、β体のXの少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%が芳香族残基または疎水性残基である、ホモ二量体。
84.細目82〜83の何れか1項に記載のホモ二量体であって、β体のXの少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%がチロシン残基である、ホモ二量体。
85.第1のβ体に共有結合した第1の部分および第2のβ体に結合した第2の部分を含む二量体であって、第1および第2のβ体が細目1〜57の何れか1項に記載のβ体であり、かつ第1および第2のβ体が互いを結合できる、二量体。
86.細目85に記載の二量体であって、第1および第2のβ体が細目79〜81の何れか1項に記載のヘテロ二量体を形成できる、二量体。
87.細目86に記載の二量体であって、第1および第2のβ体が細目82〜84の何れか1項に記載のホモ二量体を形成できる、二量体。
88.細目85〜87の何れか1項に記載の二量体であって、第1および/または第2の部分がタンパク質である、二量体。
89.細目85〜88の何れか1項に記載の二量体であって、第1および第2の部分が互いに異なる、二量体。
90.アフィニティークロマトグラフィーの方法における、またはタンパク質の融合パートナーとしての1以上のβ体の使用であって、各β体が細目1〜57の何れか1項に記載のものである、使用。
91.細目1〜57の何れか1項に記載のβ体を含む化合物であって、β体が共役部分に共有結合される、化合物。
92.細目91に記載の化合物であって、共役部分が、放射能標識、抗体に対する抗原、ビオチン、蛍光標識、発光標識または着色標識などの、検出可能な標識からなる群から選択される、化合物。
93.細目91に記載の化合物であって、共役部分が、ポリペプチド、タンパク質、細胞傷害性化合物、酵素阻害剤、酵素基質、膜結合性分子または受容体リガンドなどの生物活性化合物からなる群から選択される、化合物。
94.細目91に記載の化合物であって、共役部分がポリペプチドである、化合物。
95.細目1〜57の何れか1項記載のβ体、細目79〜89の何れか1項の記載のヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または細目91〜94の何れか1項に記載の化合物であって、β体がタンパク質−タンパク質相互作用を阻害し、それによりその相互作用に媒介される生物学的機能を阻害するように設計される、β体、ヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または化合物。
96.細目1〜57の何れか1項に記載のβ体、細目79〜89の何れか1項に記載のヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または細目91〜94の何れか1項に記載の化合物であって、β体が毒素の毒作用を中和する方法での使用のためである、β体、ヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または化合物。
97.細目1〜57の何れか1項に記載のβ体、細目79〜89の何れか1項に記載のヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または細目91〜94の何れか1項に記載の化合物であって、β体が免疫応答を調節する方法での使用のためであるβ体、ヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または化合物。
98.細目1〜57の何れか1項に記載のβ体、細目79〜89の何れか1項に記載のヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または細目91〜94の何れか1項に記載の化合物であって、β体がホルモン−ホルモン受容体応答を調節する方法での使用のためであるβ体、ヘテロ二量体、ホモ二量体もしくは二量体または化合物。
<実施例>
実施例1
既知のタンパク質構造に対するβ体の設計
既知のタンパク質構造に特異的に結合するβ体の設計は、例えば、PDB(http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)での目的のタンパク質(POI)の探索で始まった。タンパク質構造をPDBファイルとして取得した。全てのモデリングを、ケミカルコンピューティンググループ(Chemical Computing Group)からの分子操作環境(Molecular Operating Environment)(MOE−ver.2015.10、および力場ETH10またはETH12)を用いて行った。PDBファイルをロードし、水素原子を加え、構造を、例えば相同性モデリング、または可能であれば拘束動力学(restrained dynamics)によって徹底的に調査し欠けている部分について修正した。当該モデルを空間的に固定し、分子静電表面を配備した。
構造(TX)PG(XT)の2本鎖β体の空間構造を構築し、ここでPGは、2つのトレオニンに富むβ鎖が隣接する2型βターンを構成し、Xは当初はアラニンであった。30%以下のトレオニンを、POIとの分子相互作用に必要とされる場合他のβ−分岐または鎖架橋アミノ酸の何れかと無作為に置換できるが、一般にタンパク質結合の際には当該鎖のトレオニン側が溶媒に直面する。当該ターン領域はまた、タンパク質結晶構造における天然のβターンに見られるような他の配列を構成するように、またはβターンを誘導することが知られた非天然アミノ酸配列を有する他の配列を用いて修飾することもできる。
初期T/Aリッチβ体の空間構造を、POIの全面に亘って手動で移動および回転させて、アミノ酸側鎖との相互作用のための有望な、全体的な形状フィッティング、ならびに溝、ピットおよびパッチの存在に関して、最適な相互作用のための部位を同定した。T/Aに富むβ体の1〜3の最も有望な配向をアラニン側鎖置換のために選択して、選択された結合部位の中に各側鎖を最適に適合させた。このプロセスの間に、8〜10層の追加の水層を用いるアニーリング(450〜300K、ステップ0.5fs)による分子動力学を用いて多数回のフィッティングを行ってアミノ酸の側鎖配向、H結合ネットワーク、疎水性相互作用、電荷−電荷相互作用の相加効果を考慮した。粗モデルが得られたときに、β体と直接接触するPOI中のアミノ酸を固定から解放し、一方で残りのPOI構造を固定したままであった。相互作用の精密化および側鎖の最終調整を行った。全体の最適化に続いて、POIおよびβ体上の2つの表面の静電的相互作用をそれぞれ評価して、最終的に、表面上の陽性パッチと陰性パッチ、および疎水性パッチと疎水性パッチの最大重なりを得た。最も重要なこととして、β体の側鎖サイズ(分子空間)は、POIとβ体の間の表面の最大の途切れない重なりを許容しなければならず、それによって水分子を最適に排除するタンパク質−β体濃度相互作用相補性を提供する。最終的なβ体−POI−水複合体を、1〜2nsの間の300Kでの動力学計算中に(殆どのPOIを依然として固定して)最初に緩和させた。
β体の予め定められた3次元構造は、得られる親和性にとって非常に重要である。それ故、POIを除去し、β体を壁に拘束された水滴の中に浸した。分子動力学を300Kで1〜2ns間継続してβ体の構造的安定性および一体性に近づいた。これが何らかの理由で安定でなかった場合は、上記の手順を、構造的安定性が得られ十分な安定性を与えるまで任意の箇所からループさせた。このプロセスの間に、クリック可能な酸アルキンアミノ酸またはジスルフィド結合など、β体のトレオニン側でいずれかの拘束対を使用することはしばしば意味があるであろう。最適でない表面フィッティングの対価を払ったとしても、相互作用における疎水性パッチでβ−分岐イソロイシンまたはバリンを使用することもまた助けとなるであろう。

Figure 2019535704
Figure 2019535704
Figure 2019535704
実施例2
サンドイッチアッセイ
β体は、2つの異なるβ体が異なる部位で同じPOIを結合するサンドイッチアッセイに使用できる。
POIを用いる2つのβ体のサンドイッチアッセイのために、上記のT/A-β体を用いて同定されたPOI上の2番目または3番目に最良の部位について、例1に記載の手順を繰り返し、また同時に、上記の二つのβ体の間の望ましくない特異的相互作用が生じないことを保証した。これは、水滴中での対の300Kにおける拘束された(β体骨格構造を維持する)分子動力学の間に、2つの分子における表面ミスマッチを確実にすることによって行われた。
実施例3
サンドイッチアッセイ
サンドイッチアッセイのために、実施例1および2に記載のようにして同定されたβ体を、生体適合性PEGAビーズ(例えば、最大で70kDaのタンパク質の浸透を可能にする多孔度をもつPEGA1900)上で、標準Fmoc系固相ペプチド合成により合成した。PEGAビーズは、Sigma・Aldrichから入手可能である。
サンドイッチアッセイの一例では、インターロイキン(IL1、IL2、IL6、IL10、IL12、IL18およびTNFα)の結晶構造を、実施例1および2に記載した処置に供する。
IL1モデル
IL1について、IL1の反対側に結合する2つのβ体を実施例1および2に記載されるように同定し、以下のようにして固相で合成した。
A:リガンド1:(配列番号5)ETDTYTETYPGYTSTWTITD…ビーズ(PEGA1900樹脂に結合したままで合成し、脱保護し、使用した。小さな画分を、使用したヒドロキシメチルベンズアミド(HMBA)リンカーから放出させ、HRMSにより特徴付けした。)
B:リガンド2:ローダミンX…(配列番号7)TKTDRVTEPGRTMTFTGT−OH(HMBA−PEGA800上で合成し、0.1MのNaOHでの処理により放出させ、分取HPLCにより精製し、凍結乾燥し、HRMSにより特徴付けした。)
リガンド1およびリガンド2に結合したIL−1のモデルを図3Aに示す。
サンドイッチ結合アッセイを実証するために、上記ペプチドAの4つのビーズを、100nMのペプチドBを含有するマイクロタイターウエル中の50μLのMilli−Q水に加えた。このウエルを、ROXフィルターキューブを使用して、ICX73蛍光顕微鏡(Olympus)で画像化した。バックグラウンドを超える蛍光蓄積は検出されなかった(図3B参照)。これは、2つのβ体の間に特異的な結合相互作用がないことを示した。これにインターロイキン1の溶液(50nM)を添加し、短時間の後に、IL1がAに結合しビーズにBを動員したことの指標として、ビーズにおける有意なROX蛍光の蓄積が観察された。20分のインキュベーション後の蛍光を図3Cに示す。蛍光強度は、IL1の濃度と相互作用の親和性の尺度である。
IL2モデル
IL2について、IL2の反対側に結合する2つのβ体を、実施例1および2に記載したようにして同定し、以下のようにして合成した。
C:リガンド3:NTVTNTMTRPGVTETVTQTD(配列番号15)を、固相合成によってPEGA1900樹脂ビーズ上で直接合成した。リガンドを、ヒドロキシメチルベンズアミド(HMBA)リンカーを介してビーズに取付けた。リガンドを、未だPEGA1900樹脂に結合したまま、合成し、脱保護し、使用した。小画分を、使用したヒドロキシメチルベンズアミド(HMBA)リンカーから放出させ、HRMSにより特徴付けした。
D:リガンド4:蛍光団ローダミンXに結合されたTRTLTYTEPGITQTKTEA(配列番号14)。(リガンド4をHMBA−PEGA800ビーズ上で合成し、0.1MのNaOHでの処理により放出させ、分取HPLCにより精製し、凍結乾燥し、かつHRMSにより特徴付けした。
リガンド3およびリガンド4に結合したIL−2のモデルを図1Aに示す。
サンドイッチ結合アッセイを以下のように実施した:上記のように調製したリガンドCを有する4つのビーズを、100nMのペプチドDを含有するマイクロタイターウエル中の50μLのMilliQ水に添加した。ウエルを、ROXフィルターキューブを使用するICX73蛍光顕微鏡(Olympus)で画像化した。バックグラウンドを超える蛍光蓄積は検出されなかった(図1B参照)。これは、2つのβ体の間に特異的な結合相互作用がないことを示した。
これにインターロイキン2の溶液(50nM)を添加し、短時間の後に、IL2がCに結合しDをビーズに動員したことの指標として、ビーズ中の有意なROX蛍光の蓄積が観察された。蛍光の強度は、IL2の濃度および相互作用の親和性の尺度である。3分のインキュベーション後に得られた結果を図1Cに示し、20分のインキュベーション後の結果を図1Dに示す。
IL6モデル
IL6について、IL6の反対側に結合する2つのβ体を実施例1および2に記載のようにして同定し、以下のようにして合成した。
E:リガンド5:PEGA1900ビーズに結合したHTWTDTLTRPGYTVTHTLTL(配列番号17)を、固相合成によってPEGA1900樹脂ビーズ上で直接合成した。リガンドを、ヒドロキシメチルベンズアミド(HMBA)リンカーを介してビーズに結合した。リガンドを合成し、脱保護し、未だPEGA1900樹脂に結合したままで使用した。小画分を、使用したヒドロキシメチルベンズアミド(HMBA)リンカーから放出させ、HRMSにより特徴付けた。
F:リガンド6:蛍光団のローダミンXに結合された、TMTDTDTYPGFTDTLTHA(配列番号16)。(リガンド6をHMBA−PEGA800ビーズ上で合成し、0.1MのNaOHでの処理により遊離させ、分取HPLCにより精製し、凍結乾燥し、HRMSにより特徴付けした。
リガンド5およびリガンド6に結合したIL−6のモデルを図4Aに示す。
サンドイッチ結合アッセイを以下のようにして実施した:上記のように調製したリガンドEを有する2つのビーズを別々のウエルに入れ、100nMのペプチドFを含むマイクロタイターウエル中の50μLのMilliQ水に加えた。この混合物を数時間インキュベートした。
一方のウエルにインターロイキン6の溶液(20nM)を添加し、短時間の後に、IL6がEに結合しFをビーズに動員した一方でインターロイキン6の不在下ではこれが生じなかったことの指標として、インターロイキン6を含むウエルにおいてビーズ中の有意なROX蛍光の蓄積が観察されたが、他方のウエルでは観察されなかった。ノイズに対するシグナルを改善するために、ビーズをPBSで2回洗浄した。
ウエルを、ROXフィルターキューブを使用するICX73蛍光顕微鏡(Olympus)で画像化した。IL6の存在下では強い蛍光が観察されたが、IL6のないウエルではバックグラウンドを超える蛍光蓄積は検出できなかった(図4Bおよび増強画像4C参照)。これは、蛍光強度がIL6の濃度および相互作用の親和性の尺度である一方で、2つのβ体の間に特異的結合相互作用はないことを示した。20nMのIL6との20分間のインキュベーション後に得られた結果を図4Dに示す。
実施例4
β体の分子ライブラリからのβ体の選択
コンビナトリアル法による分子相互作用のための結合パートナーの選択は、特定の相互作用についての高親和性分子の同定のための非常に強力な技術である。より大きなタンパク質構造の点突然変異および部位突然変異を有するファージディスプレイライブラリは、POIに結合するタンパク質を見つけるために広く使用されてきた。しかしながら、これらはタンパク質発現によってのみアクセス可能な大きな分子である。本発明は、β体の固相1ビーズ1化合物(OBOC)ライブラリのコンビナトリアル合成およびスクリーニングを使用して、POIに対する高親和性の化合物を同定し得る。
K(TX)PG(XT)EGのライブラリを、基本的にはChristensen et al.,2003に記載されたようにして、スプリット−ミックス法でHMBA−PEGA1900樹脂上で合成し、95%TFAで脱保護した。POIをpH7.5のリン酸緩衝液中に溶解し、AMC−(CH−CO−OSu(4当量、30分)を用いてアミノメチルクマリンで標識し、FPLCにより精製した。HRMSは、POIが1つのAMC基を含むことを示した。このタンパク質を100nMの濃度で溶解し、ライブラリを10倍希釈でのこの溶液(10nM)と2時間インキュベートした。当該ライブラリを、GFPフィルターキューブを用いるICX73蛍光顕微鏡下で検査した。強いAMC蛍光を有するビーズを、マイクロシリンジを使用して別々のエッペンドルフチューブに集めた。ビーズを洗浄し、5%トリエチルアミン水溶液を加えた。一晩インキュベートした後、上清を別のエッペンドルフチューブに移し、ビーズを70%アセトニトリル/水で洗浄した。合わせた溶液を、speedvaccを用いて2回濃縮および乾固し、残渣を50%アセトニトリル/水に溶解した。生成物を、α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸マトリックスを含むMALDIプレート上にスポットし、Bruker・Solarix ICR機器上でのMSMS配列決定により分析して、KTQTYNGTGPGRTGTVTYTEG(配列番号55)、KTYTYNYTGPGRTSTATLTEG(配列番号56)およびKTGTQNLTGPGRTHTQTATEG(配列番号3)などの強い結合性β体配列を得た。POI上の相互作用部位は決定されなかった。
実施例5
この実施例は、線状ペプチドを認識するβ体を同定する方法を例示する。本発明による21.000.000のβ体のスプリットミックス・ライブラリを、上記の実施例4に記載されるようにコンビナトリアル合成によって調製した。これは、蛍光を伴わない100μmのビーズで行われた。470,000のヘキサペプチドの第2のスプリットミックス・ライブラリを、このライブラリを幾つかの官能基に結合した蛍光標識を有するより大きな400μmビーズ上で調製したことを除き、同様の方法で調製した。2つのライブラリを混合し、1つの大きな蛍光ビーズと1つの小さな非蛍光ビーズでの対で、相互に付着するビーズの対を収集し、2つのペプチドをMSMSによって同定した。ペプチドの再合成およびビーズ結合アッセイは、対の相互作用の高い特異性および10−8〜10−6Mの結合定数Kを示した。β体−ペプチド対(KTGTQNLTGPGRTHTQTATEG(配列番号3)およびHRMVRG(配列番号45))を使用して、hisタグ−EGFP−スペーサ−KTGTQNLTGPGRTHTQTATEG(配列番号3)を含有するEGFP融合タンパク質を調製した。ビーズに連結したヘキサペプチドに結合されたこの融合タンパク質のモデルを図2Aに示す。EGFPは、増強された緑色蛍光タンパク質(Enhanced Green Fluorescent Protein)の略語である。融合タンパク質ならびにEGFPを大腸菌中で過剰発現し、ヘキサペプチドパートナーのHRMVRG(配列番号4)を結合したPEGA固体支持体を用いて細胞溶解物から精製した。EGFP−β体融合タンパク質は、ビーズに付随した緑色蛍光によって証明されるように、(配列番号5)HRMVRG−PEGA1900に結合する(図2B参照)が、EGFPは結合しない(図2C参照)。
精製のために、融合タンパク質を大腸菌で過剰発現し、細胞を溶解した。この細胞溶解物を遠心分離し、上清を(配列番号5)HRMVRG−PEGA1900を含むアフィニティーカラムに通した。このカラムを水で洗浄し、タンパク質をpH6のPBS緩衝液で溶出した。精製されたEGFP融合タンパク質はPBSで溶出され、FPLCおよびMSによれば純粋であった。
図2Dは、精製中に得られた様々な画分のSDS−PAGE分析を示す。縦列4は溶出液を示し、一方縦列1は粗抽出物を示す。融合タンパク質の予想サイズは「GFP−ヘアピン」として示され、一方EGFPの予想サイズは「GFP」として示される。
EGFPのアフィニティー精製
EGFPを大腸菌で発現した。細胞を遠心し溶解した。未処理の(EGFP 150μM)および希釈した(EGFP 500nM)両方の溶解物を、β体ビーズ(β体配列番号1;TETKTVTITRPKMTWTFTHTVTG)とインキュベートした。
図6は、未処理の(A)および希釈した(B)溶解物中のEGFP−β体融合複合体を示す。
この実施例は、β体をアフィニティー精製において如何にして使用できるかを示す。
実施例6
選択性アッセイ:GFP対IL1
GFP(60nM)を、異なるβ体ビーズ、即ち、GFPに特異的な第1のタイプのβ体ビーズ(β体、配列番号1;TETKTVTITRPKMTWTFTHTVTG)およびIL1に特異的な第2のタイプのβ体ビーズ(β体、配列番号5)と、同時にインキュベートした。
図7Aは、GFPに特異的なβ体ビーズのみが結合を受けたことを示す。
同じ実験をIL1について繰り返した。ROX−IL1(100nM)を、異なるβ体ビーズ、即ち、GFPに特異的な第1のタイプのβ体ビーズ(β体、配列番号1)およびIL1に特異的な第2のタイプのβ体ビーズ(β体、配列番号5;ETDTYTETYPGYTSTWTITD)と、同時にインキュベートした。
図7Bは、IL1に特異的なβ体ビーズのみが結合を受けたことを示す。
実施例7
ゲフィリン抑制のためのβ体
ゲフィリンは93kDaの多機能タンパク質であり、N末端Gドメイン、C末端Eドメイン、およびT末端と末端ドメインをつなぐ非構造化リンカードメインから構成される。細胞において、ゲフィリンは少なくとも3つのサブユニットのオリゴマーを形成するように思われる。ゲフィリンの異なる部位を標的とする幾つかのβ体が設計されている。
特に:
a)タンパク質−タンパク質界面を標的とする2つのβ体。
Pra−KTKTWTMTGPGGEKTRTLTA−Abu(N)−G−OH(配列番号32)、および
Pra−WTNTGTYTIPGVTVTMTETV−Abu(N)−E(配列番号33)。
b)ペプチド結合部位を標的とするβ体。
Pra−TVTGTLYPGTLLGFET−Abu(N)(配列番号34)。
TTVTGTLYPGTLLGFETT(配列番号41)、
CTVTGTLYPGTLLGFETC(配列番号42)、
TTVTGTLYPGTLLGAATT(配列番号43)、および
(Abu(N)−TVTGTLYPGTLLGFET−Pra(配列番号44)。
c)モリブデン結合部位を標的とする4つのβ体。
PraTWTLTHTPGTMEITET−Abu(N)−OH、反転、(配列番号39)、
PraTW(6−NH)TLTHTPGTMEITET−Abu(N)−OH(N)−OH、反転、(配列番号40)。
Pra-YTYTDTTPGVTRLTWG−Abu(N)−OH、正常、(配列番号38)、および
KTW−Pra−LTITPGTMEI−Abu(N)−DTV、最適化され、hbではない(配列番号37)。
d)遊離部位
HTLTKTITQTWPGKTYTITWTFTW(配列番号36)、および
Ac−VTWTDTLTFTLPGVTWTITMTITE(配列番号35)。
以下のβ体TTVTGTLYPGTLLGFETT(配列番号41)をアラニンスキャニングにより最適化した。得られた9種のβ体を、ゲフィリンのグリシン受容体結合部位(ペプチド結合部位)に対するそれらの親和性について試験した。元のペプチドの親和性は改善でき、最適化されたβ体は以下の配列CTVTGTLYPGTLLGFETC(配列番号42)およびTTVTGTLYPGTLLGAATT(配列番号43)を有することが見出された。
β体TTVTGTLYPGTLLGFETT(配列番号41)を環状形態になるように更に修飾した:
Abu(N)−TVTGTLYPGTLLGFET−Pra(配列番号44)、
および
Pra−TVTGTLYPGTLLGFET−Abu(N)(配列番号34)。
ゲフィリンのグリシン受容体結合部位(ペプチド結合部位)に対するその親和性は変化しなかった。
実施例7
ヘテロ二量体
β体は、ホモ二量体よりもヘテロ二量体を形成する傾向が高くなるように設計できる。
次の2つのβ体を設計した。
(1)TYTYTYPGLTRTHT(配列番号57)
(2)TTYTYPGDTFTI(配列番号58)
(3)TFTFTFPGLTRTHT(配列番号59)
(4)TDTRTYTYTVPGRTRTRTWTET(配列番号60)。
(5)DTITYTYTGPGRTDTETNTEG(配列番号61)。
蛍光プローブを(1)、(2)および(3)に取り付けた。これらの蛍光β体を次いで、下記とインキュベートした。
・NHAcで修飾されたビーズ、または
・(1)で修飾されたビーズ、または
・(2)で修飾されたビーズ。
図8は、(1)および(2)が、それぞれ(2)および(1)で修飾されたビーズ(ヘテロ二量体)に最もよく結合できることを示す(図8DおよびE)。それらはまた、それぞれ(1)および(2)で修飾された高親和性ビーズ(ホモ二量体)と結合できた(図8CおよびF)。(3)は(2)の修正版であり、ここでチロシン残基(Y)がフェニルアラニン残基で置換された。この置換は、ビーズ−(2)−蛍光−(1)の7×10−7のKdからビーズ−(2)−蛍光−(3)の5×10−6のKへの7倍の結合減少をもたらした。蛍光β体の、非特異的NHAc修飾ビーズへの結合はわずかであった(図8AおよびB)。
実施例8
β体は毒素の中和にも使用できる。これを実証するために、クロストリジウム・ディフィシル由来の毒素A、ボツリヌス毒素、およびリシンに結合するβ体を以下のように設計した。
・2G7CA由来のクロストリジウム・ディフィシル:wEHTHTeTNPGNTYTST(配列番号29)。
・構造4JRA.pdb由来のボツリヌス毒素:E-Abu(N)FTMEQTWTGPGSTKTFTFTH−Pra−G(配列番号30)。
・構造4Z9K.pdb由来のリシン:LTFTFTVTPGTFTWTGTKPGETYTFTRTE(配列番号31)。
クロストリジウム・ディフィシル由来の毒素Aを標的にするβ体は、炭水化物部位を結合し、ここでそれが四糖を置換し毒素Aの中和を引き起こす。
この実施例は、β体を毒素の中和に使用する方法を示す。
実施例9
β体はプロテアーゼを阻害するためにも使用できる。
スブチリシンおよびパパインを、内側(認識)残基が中心に向いているβ体および外側に配向したβ体の両方を用いた阻害のための試験プロテアーゼとして選択した。
以下の内向き配向のβ体を、構造1NDQ.pdb、D−アミノ酸からスブチリシン用に設計した:
tltmtwtythtpGtitwtytdtttG−OH;配列番号47;
および
abu(N)−ltmtwtythtpGtitwtytdtt−pra−G−OH;配列番号48。
図YYは、β体の両側−活性部位相互作用を示す。適合性は、裂け目の底部で非常に良好である。
以下の内向き配向のβ体を、構造9PAP.pdb由来のパパイン用に設計した。
当該内向き配向のβ体は、パパインの結合部位において両方のプラトーに非常によく適合し、強く相互作用するはずである。全てD−アミノ酸のペプチド:
abu(N)−qtmtGtltwtpGtqtntltwtf−pra−G(配列番号51);および
tqtmtGtltwtpGtqtntltwtftG(配列番号50)。
以下の外向き配向のβ体をパパイン用に設計し、それは上記の内向き配向構造に加えて、D−アミノ酸(4−アジド−2−アミノブタン酸およびプロパルギルグリシンを含む)を含む:
abu(N)−wtftlpqGtmtn−pra−G;配列番号52、プラトー1を標的にする;および
abu(N)−wtvtvtfpGitmtttf−pra−OH;配列番号54、プラトー2を標的にする;
etltwtgtvtvtfpGitmtttEtmtftf−OH;配列番号53、これは上記の2つのペプチドの組み合わせであるがL−Gluを含み、両方のプラトーを標的にする。
タンパク質分解活性が釣り合い阻害が達成されるように高濃度のβ体を使用する。濃度が十分に高くなければ、プロテアーゼがβ体を切断し不活性化し得る。
<参照文献>
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Meldal, Morten, Christensen, Soeren Flygering, 2010, Microparticle Matrix Encoding of Beads, Angewandte Chemie International Edition, Vol. 49, Issue 20, p.3473−3476.

Claims (15)

  1. β体であって、βターンペプチド配列によって連結される少なくとも2つのβ鎖ペプチド配列を含むまたはそれからなる化合物であり、ここで前記β鎖ペプチド配列は、交互の順方向および逆方向のβ鎖ペプチド配列の逆平行配置で組織され、ここで、
    各順方向β鎖ペプチド配列は個々に、以下の配列
    (ZX)
    を有し、
    かつ各逆方向β鎖ペプチド配列は個々に、以下の配列
    (XZ)
    を有し、ここで
    各Zは個々に、Thr、極性β−分岐アミノ酸、β鎖構造を促進する非タンパク質構成α−分岐アミノ酸または鎖架橋アミノ酸であり、例外として各β鎖配列における最大2個のZは上記の何れでもないアミノ酸であってよく、
    各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
    各mおよびnは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
    各rは、0〜5の範囲の整数であり、かつ
    各βターンペプチド配列は個々に、以下の配列
    q1BUXq2
    を有し、ここで
    各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、
    各Uは、個々に式
    Figure 2019535704
    のアミノ酸であり、
    ここでRaおよびRbは個々に、−HおよびC1〜6アルキルからなる群から選択され、ここでRaおよびRbは、結合されて環式構造を形成してよく、
    Bは、Pro、置換Proおよびピペコリン酸からなる群から選択され、
    各qは個々に、0〜5の範囲の整数であり、ここでq1−q2は、−4、−2、0、2または4であり、かつ
    ここで前記β体は、線形または環状である、β体。
  2. 請求項1に記載のβ体であって、前記化合物が、βターンペプチド配列によって連結される2〜10の範囲のβ鎖ペプチド配列を含む、β体。
  3. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、前記化合物が、下記の構造:
    順方向β鎖配列−
    βターンペプチド配列−
    逆方向β鎖配列
    を有し、
    ここで前記順方向β鎖配列および前記逆方向β鎖配列は、逆平行β鎖として配置される、β体。
  4. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、各β鎖ペプチド配列内のZの少なくとも70%が、Thrである、β体。
  5. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つの順方向β鎖配列が、以下の配列
    (TX)
    を有し、ここで、
    Tは、Thrであり、
    各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、かつ
    各mは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
    rは、0〜5の範囲の整数である、
    β体。
  6. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つの逆方向β鎖配列が、以下の配列
    (XT)
    を有し、ここで、
    各Xは個々に、任意のアミノ酸であり、かつ
    各nは個々に、3〜12の範囲の整数であり、かつ
    rは、0〜5の範囲の整数である、
    β体。
  7. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、少なくとも1つのβターンペプチド配列が、以下の配列
    PGX
    を有し、ここで
    各Xは個々に、任意のアミノ酸、βアミノ酸またはγアミノ酸であり、かつ
    各qは個々に、0〜3の範囲の整数である、
    β体。
  8. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、前記β体の全てのアミノ酸残基が、L−アミノ酸である、β体。
  9. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、前記β体の全てのアミノ酸残基が、D−アミノ酸である、β体。
  10. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、前記化合物が、最大10−6M、例えば10−7M以下、10−8M以下など、10−9M以下など、例えば10−10M以下、または更に10−11M以下のKで標的化合物を結合できる、β体。
  11. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体であって、前記β体が、配列番号1〜配列番号61からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むまたはそれからなる、β体。
  12. 先行する請求項の何れか1項に記載のβ体を同定するための方法であって、前記β体が、標的化合物を結合でき、前記方法は、
    a.コンピュ−タで前記標的化合物の空間構造表現を準備する工程と、
    b.前記コンピュ−タで先行する請求項の何れか1項に記載の複数のβ体の空間構造表現を生成する工程と、
    c.前記コンピュ−タで前記標的化合物の空間構造の少なくとも一部に適合するβ体を選択する工程と
    を含み、それによって前記標的化合物を結合できるβ体を同定する、方法。
  13. 試料中の標的化合物の存在を検出するための方法であって、
    a.サンプルを準備することと、
    b.請求項1〜35の何れか1項に記載のβ体を準備することであって、前記β体が、前記標的化合物を結合できる、準備することと、
    c.前記試料を前記β体とインキュベートすることと、
    d.前記試料に結合したβ体を検出することと
    を含む、方法。
  14. 請求項1〜35の何れか1項に記載の第1および第2のβ体を含むヘテロ二量体であって、前記第1のβ体が、前記第2のβ体とは異なる、または前記第1のβ体および前記第2のβ体が、同一でありかつ前記第1のβ体および前記第2のβ体が、相互を結合できる、ヘテロ二量体。
  15. 請求項1〜34の何れか1項に記載のβ体を含む化合物であって、前記β体が、共役部分に共有結合される、化合物。
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