JP2019534884A - 癌治療のための免疫原性化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物であって、前記抗原性ペプチドが、本明細書に記載される配列からなる群において選択される免疫原性化合物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、癌治療、より詳細には免疫療法による癌治療の分野のものである。
癌は、世界で主要な死因の1つである。世界保健機関によれば、2012年だけで、世界中で1,400万の新たな症例と820万の癌関連死が報告され、今後20年以内に、新たな癌症例数が約70%増加すると予測されている。これまでのところ、世界の年間総新規症例数の60%超が、アフリカ、アジア、中南米で発生している。これらの地域はまた、世界の癌による死亡の70%を占めている。男性の間では、癌の最も一般的な5部位は、肺、前立腺、結腸直腸、胃、及び肝臓であり、一方、女性では、乳房、結腸直腸、肺、子宮頸部、及び胃である。
癌は、外科手術、放射線療法、細胞傷害性化学療法、及び内分泌操作により長年対処されてきた。これらは通常、疾患を最もよく制御するために順番に組み合わされる。しかしながら、これらの標準的治療法の真の有効性に対する主要な制限は、治療に伴う正常組織の付随的損傷、低治癒率、及び固有の薬物耐性をもたらすそれらの不正確な特異性にある。
近年、特に腫瘍及び正常細胞の発現プロファイリングの大きな進歩により、癌治療法の開発が著しく進歩しており、最近の研究及び免疫療法又は分子標的療法における最初の臨床結果が、この疾患に対する認識を変え始めている。
有望な抗癌免疫療法が現実のものとなり、宿主免疫系が腫瘍抗原を認識できるという証拠が、米国食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品局(EMA)という規制当局により現在承認されている抗癌剤の開発につながった。様々な治療アプローチには、特に、エクスビボで増殖した腫瘍浸潤リンパ球の養子免疫伝達、癌細胞ワクチン、免疫刺激サイトカイン及びその変異体、パターン認識受容体(PRR)アゴニスト、及び腫瘍抗原又は免疫チェックポイントを標的とする免疫調節モノクローナル抗体が含まれる(非特許文献1)。
残念なことに、かなりの割合の患者が依然としてこれらの免疫療法のいくつかに対する固有の耐性を示すか、又は治療過程で耐性を獲得することさえあり得る。例えば、3年生存率は、切除不能又は転移性黒色腫における抗CTLA−4抗体イピルムマブで約20%であると報告されおり(非特許文献2及び非特許文献3)、一方、PD1を標的とする別のチェックポイント阻害剤、ニボルマブによる3年生存率は、腎細胞癌(RCC)で44%、NSCLCで18%であると報告されている(非特許文献4及び非特許文献5)。したがって、根本的な薬剤耐性は、これらの免疫療法の有効性に対する確固たる障壁となっている。したがって、この障壁を打破するには、癌治療への異なるアプローチが必要であることは明らかである。
これらの免疫療法を用いて治療された多数の対象における応答の欠如は、欠陥のある抗腫瘍免疫応答と関連している可能性がある(APCによる抗原提示における欠陥又はT細胞による抗原認識における欠陥として)。換言すれば、免疫療法に対する陽性反応は、ヒト癌細胞によって発現されるMHCクラスI拘束性抗原を認識することができる特定のリンパ球サブセットを発達させる免疫系の能力と相関する(非特許文献6)。この仮説は、腫瘍浸潤リンパ球の養子免疫伝達への応答が患者に輸血されたCD8T細胞の数と直接相関することを示すデータによって強く支持される(非特許文献7)。したがって、強力な抗腫瘍応答は、免疫反応性ペプチドの提示及びこれらの抗原を認識するように「訓練された」十分な数の反応性細胞の存在に依存する。
腫瘍抗原ベースのワクチン接種は、癌治療に対する独自のアプローチであり、これは、特定の耐久性のある方法で腫瘍を認識、攻撃、破壊するために患者自身の免疫システムを動員させることができるため、大きな関心を集めている。腫瘍細胞は実際、免疫系によって認識されやすい多数のペプチド抗原を発現することが知られている。したがって、このような抗原に基づくワクチンは、患者の全生存期間を改善するだけでなく、腫瘍抗原の低毒性及び低分子量に起因して、免疫応答のモニタリング及びGMPグレード製品の調製にも大きな機会を提供する。腫瘍抗原の例には、特に、通常はサイレントな遺伝子又は過剰発現された遺伝子から転写されたタンパク質の副産物、及びオンコウイルスによって発現されたタンパク質(非特許文献8)、細胞性タンパク質の点突然変異から生じるネオ抗原が含まれる。後者は、CTLA4阻害剤で治療された患者における全生存期間の増加と直接関連していることが示されているので、特に興味深い(非特許文献9及び非特許文献10)。
それにもかかわらず、癌ワクチンを開発することができるヒト腫瘍抗原の数は限られている。特に、突然変異した又は修飾された自己タンパク質に由来する抗原は、免疫寛容及び/又は望ましくない自己免疫副作用を誘発する可能性がある。
したがって、当該技術分野で遭遇する制限、特に現在利用可能な免疫療法に対する耐性を克服することができる代替の癌治療薬を同定することが当技術分野において必要とされている。
本発明は、前述の必要を満たすことを目的としている。
Galuzzi et al., Classification of current anticancer immunotherapies. Oncotarget. 2014 Dec 30;5(24):12472−508 Snyder et al., Genetic basis for clinical response to CTLA−4 blockade in melanoma. N Engl J Med. 2014 Dec 4;371(23):2189−2199 Schadendorf et al., Pooled Analysis of Long−Term Survival Data From Phase II and Phase III Trials of Ipilimumab in Unresectable or Metastatic Melanoma. J Clin Oncol. 2015 Jun 10;33(17):1889−94 Mc Dermott et al., Survival, Durable Response, and Long−Term Safety in Patients With Previously Treated Advanced Renal Cell Carcinoma Receiving Nivolumab. J Clin Oncol. 2015 Jun 20;33(18):2013−20 Gettinger et al., Overall Survival and Long−Term Safety of Nivolumab (Anti−Programmed Death 1 Antibody, BMS−936558, ONO−4538) in Patients With Previously Treated Advanced Non−Small−Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2015 Jun 20;33(18):2004−12 Kvistborg et al., Human cancer regression antigens. Curr Opin Immunol. 2013 Apr;25(2):284−90 Besser et al., Adoptive transfer of tumor−infiltrating lymphocytes in patients with metastatic melanoma: intent−to−treat analysis and efficacy after failure to prior immunotherapies. Clin Cancer Res. 2013 Sep 1;19(17):4792−800 Kvistborg et al., Human cancer regression antigens. Curr Opin Immunol. 2013 Apr;25(2):284−90 Snyder et al., Genetic basis for clinical response to CTLA−4 blockade in melanoma. N Engl J Med. 2014 Dec 4;371(23):2189−2199 Brown et al., Neo−antigens predicted by tumor genome meta−analysis correlate with increased patient survival. Genome Res. 2014 May;24(5):743−50
本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドに関し、この抗原性ペプチドは、配列番号1〜106からなる群において選択される。換言すれば、本発明は、配列番号1〜106のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する抗原性ペプチドに関する。本発明に係る抗原性ペプチドは、免疫原性化合物の形態であり得る。
したがって、特定の実施形態によれば、本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物に関し、この抗原性ペプチドは、配列番号1〜106からなる群において選択され、特に配列番号71である。換言すれば、本発明は、配列番号1〜106のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物に関する。
より詳細には、本発明は、前記抗原性ペプチドが担体タンパク質に連結されている、上で定義された免疫原性化合物に関する。
本発明はまた、少なくとも本発明に係る抗原性ペプチド又は本発明に係る少なくとも1つの免疫原性化合物、及び任意にアジュバントがロードされたナノ粒子に関する。
本発明はまた、上で定義された抗原性ペプチド又は免疫原性化合物を含む組成物に関し、前記組成物は、好ましくは更に1以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
したがって、特定の実施形態によれば、本発明は、上で定義された抗原性ペプチド又は免疫原性化合物と、1以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む免疫原性組成物に関する。
好ましくは、前記免疫原性組成物は、1以上の免疫刺激剤を更に含むことができる。
前記1以上の免疫刺激剤は、免疫アジュバント及び抗原提示細胞を含む(又はからなる)群において選択することができる。
前記抗原提示細胞は、樹状細胞からなることができる。
他の実施形態によれば、本発明は、癌の予防又は治療における使用のための、上で定義された抗原性ペプチド又は上で定義された免疫原性化合物に関する。
更なる実施形態によれば、本発明は、癌の予防又は治療における使用のための免疫原性組成物に関する。
本発明はまた、癌を治療又は予防するための医薬を調製するための、上で定義された抗原性ペプチド又は上で定義された免疫原性化合物の使用に関する。
本発明はまた、それを必要とする個体における癌を予防又は治療する方法に関し、前記方法は、前記個体に、上で定義された抗原性ペプチド、又は上で定義された免疫原性化合物、又は上で定義された免疫原性組成物、又は本発明に係るナノ粒子、又は本発明に係る核酸、又は本発明に係る組合せを投与する工程を含む。
更なる実施形態によれば、本発明は、上で定義された抗原性ペプチド又は免疫原性化合物をコードする核酸に関する。
更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なる免疫原性化合物の組合せに関する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドの組合せに関する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なるナノ粒子の組合せに関する。更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なる核酸の組合せに関する。
特定の実施形態においては、本発明に従って使用するための組合せの2つの異なる成分が、同一又は異なる組成物中に含まれる。
特定の実施形態においては、本発明に従って使用するための組合せの2つの異なる成分が、同一又は異なる投与経路で投与される。
特定の実施形態においては、本発明に従って使用するための組合せの2つの異なる成分が、ほぼ同時に又は連続して投与される。
更に、本発明はまた、以下を含むキットに関する。
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る核酸、又は
− 本発明に係る免疫原性組成物。
図1は、IL13RA2を標的とする腫瘍抗原に基づく免疫療法の概念実証の検証のための一般的プロトコールを表す。 図2は、免疫感作スキームの概略図を表す(d:日)。 図3は、群1(IL13RA2−B)及び群2(IL13RA2−A)についてのELISPOT−IFNγの結果を表す。ワクチン接種に使用されたペプチド(各群の下の括弧内)及びELISPOT培養に使用された刺激(X軸)がグラフに示される。(A)特定のELISPOT−IFNγスポットの数(培地条件を差し引いた)。各点は、対応する4連の条件からの一個体/マウスについての平均値を表す。(B)各個体について、特異的ELISPOT−IFNγ応答のレベルを、ConA刺激と比較する(値:100%)。統計分析:グループ内比較のための対応のあるt検定及びグループ間比較のための対応のないt検定。p<0.05。
本発明者らは、腫瘍細胞に対する特異的免疫応答を誘導するために使用することができる一組の抗原性ペプチドを同定した。
これらの抗原性ペプチドはいずれも、表1A及び表1Bに開示されている遺伝子の組によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するという性質を共有する。
例えば、インターロイキン−13受容体サブユニットアルファ−2(IL−13Rα2又はIL13RA2)は、ヒトにおいてIL13RA2遺伝子によってコードされる膜結合タンパク質である。包括的ではない方法で、IL13RA2は潜在的な免疫療法標的として報告されている(Beard et al.;Clin Cancer Res; 72(11);2012参照)。IL13RA2の高発現は更に、結腸直腸癌における浸潤、肝転移、及び予後不良と関連している(Barderas et al.;Cancer Res; 72(11);2012)。
したがって、本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドに関し、この抗原性ペプチドは、配列番号1〜106からなる群において選択される。
本明細書に使用される「腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する」という表現は、特に、IL13RA2などの(参照)腫瘍抗原の断片の配列変異体を指す。
配列変異体は、特に配列の全長に亘って、参照配列、即ち、(参照)腫瘍抗原の断片と少なくとも50%の配列同一性を共有する。好ましくは、配列変異体は、参照配列、即ち、(参照)腫瘍抗原の断片と少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、更により好ましくは少なくとも85%、更により好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%の配列同一性を共有する。配列同一性は、以下のように計算することができる。好ましくは、配列変異体は、参照配列の特定の機能、例えばエピトープとしての機能を保存する。特に、アミノ酸配列変異体は、参照配列中の1以上のアミノ酸が欠失又は置換されているか、又は1以上のアミノ酸が参照アミノ酸配列の配列に挿入されている改変された配列を有する。例えば、少なくとも90%同一である変異体配列は、参照配列の100アミノ酸当たり10以下の変更、即ち、欠失、挿入、又は置換の任意の組合せを有する。
2つ以上の配列の同一性(類似性)を比較するための方法は、当該技術分野においてよく知られている。2つの配列が同一である割合は、例えば、数学的アルゴリズムを用いて決定することができる。使用することができる数学的アルゴリズムの好ましいが限定的ではない例は、Karlinら(1993)、PNAS USA、90:5873−5877のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、BLASTファミリーのプログラム、例えば、BLAST又はNBLASTプログラムに組み込まれており(Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215, 403−410又はAltschul et al. (1997), Nucleic Acids Res, 25:3389−3402も参照)、これらは、ワールドウェブサイト(ncbi.nlm.nih.gov)でのNCBIのホームページ、及びFASTA(Pearson(1990)、Methods Enzymol.183、63〜98;Pearson and Lipman(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.85,2444−2448)を通してアクセス可能である。ある程度他の配列と同一である配列は、これらのプログラムによって同定することができる。更に、Wisconsin Sequence Analysis Package、バージョン9.1(Devereux et al.,1984,Nucleic Acids Res.,387−395)で利用可能なプログラム、例えば、BESTFIT及びGAPプログラムもまた、2つのポリヌクレオチド間の同一性%及び2つの(ポリ)ペプチド配列間の同一性%を決定するために使用することができる。BESTFITは、Smith and Waterman(1981)、J.Mol.Biol.147,195−197の「局所相同性」アルゴリズムを用い、2つの配列間の類似性の最良単一領域を見出す。
典型的には、参照配列となる(参照)腫瘍抗原の「断片」は、少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個、最も好ましくは(少なくとも)9個のアミノ酸、又は10個のアミノ酸を含む。
有利なことには、これらの抗原性ペプチドは、特に癌の予防又は治療における使用のための免疫原性化合物の形態であり得る。
したがって、本発明はまた、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物に関し、この抗原性ペプチドは、配列番号1〜106からなる群において選択される。換言すれば、本発明は、配列番号1〜106のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する抗原性ペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。また、本発明は、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供することが好ましい。より好ましくは、本発明は、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。更により好ましくは、本発明は、配列番号51、52、55、又は56のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。また、本発明は、配列番号101又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供することが更により好ましい。
本明細書の実施例に示されるように、本発明に係る前記特異的抗原性ペプチドは、それ自体に対する強い免疫応答の上昇を可能にし、最も重要なことには、IL13RA2腫瘍抗原に含まれる前記ペプチドは、それ自体寛容原性であるものの、IL13RA2腫瘍抗原に含まれる、それとのアミノ酸類似性を有するペプチドに対する強い免疫応答の上昇を可能にする。
特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、本明細書に記載の抗原性ペプチドを含む免疫原性組成物のインビボ投与後に測定されたガンマインターフェロンの高発現が、抗原性ペプチド特異的T細胞の活性化を説明し、特に、抗癌免疫応答の関連免疫エフェクタであることが当該技術分野で知られている抗原性ペプチド特異的CTLの活性化を説明すると考える。
本明細書において特段の断りがない限り、本発明に関して使用される科学的及び技術的用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。更に、文脈から異なる方法が必要とされない限り、本明細書中で使用される命名法、並びに細胞及び組織培養の技術は、当該技術分野においてよく知られている通常使用されるものである。
そのような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Owenら(Kuby Immunology, 7th, edition, 2013 − W. H. Freeman)及びSambrookら(Molecular cloning: A laboratory manual 4th edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press − Cold Spring Harbor, NY, USA, 2012)。
それにもかかわらず、本明細書における各種用語の使用に関して、以下の定義がより具体的に適用される。
本明細書中においては、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」は、ペプチド結合(−NHCO−)を介して互いに結合され、インビトロ及び/又はインビボでの細胞において構造的及び/又は機能的役割を果たし得る任意の長さのアミノ酸の連続鎖を意味する。これは、2から少なくとも約1000アミノ酸残基の範囲のサイズのアミノ酸鎖を包含する。「ペプチド」という用語は、本明細書では、好ましくは約30アミノ酸未満のサイズのアミノ酸鎖を包含し、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、好ましくは少なくとも30アミノ酸のサイズのアミノ酸鎖を包含する。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書では相互変換可能に使用される。当技術分野においてよく知られているように、ペプチド、ポリペプチド、及びタンパク質は、核酸によってコードされ得る。
「抗原性ペプチド」という用語は、好ましくは腫瘍タンパク質とアミノ酸類似性を有し、それが投与される対象において前記ペプチドに対する免疫学的応答を誘導又は維持する傾向があるペプチドを意味する。
「免疫原性化合物」という用語は、上で定義した抗原性ペプチドを含む化合物であって、それが投与される対象から前記ペプチドに対する免疫学的応答を誘導又は維持することもできる化合物を意味する。
いくつかの実施形態においては、免疫原性化合物は、担体タンパク質を包含するタンパク質に結合された、少なくとも1つの抗原性ペプチド、或いはそのような抗原性ペプチドを含む少なくとも1つの化合物を含む。
担体タンパク質は、通常、本発明に係る抗原性ペプチドなどの、カーゴを輸送することができるタンパク質である。例えば、担体タンパク質は、そのカーゴを膜を横切って輸送することができる。本発明の文脈においては、担体タンパク質は、特に、それに結合している抗原性ペプチドに対する免疫応答を誘発することができるペプチド又はポリペプチドを(もまた)包含する。担体タンパク質は、当該技術分野において知られている。
いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の抗原性ペプチド、又は前記抗原性ペプチドを含むポリペプチドは、例えば共有結合又は非共有結合によって、免疫アジュバント特性を有するタンパク質、例えば、配列MAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号144)のHHD−DR3ペプチドに結合されてもよい。
或いは、そのような担体ペプチド又はポリペプチドは、免疫アジュバントの形態で同時投与することができる。
好ましくは、本明細書に記載の抗原性ペプチド、又は抗原性ペプチドを含むポリペプチドは、CD4+Th1細胞の刺激を与えるなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドと同時投与することができる、又は共有結合又は非共有結合などによってこれと結合することができる。本明細書に記載の抗原性ペプチドは、好ましくはMHCクラスIに結合するが、CD4+ヘルパーエピトープを更に使用して効率的な免疫応答を提供することができる。Th1ヘルパー細胞は、インターフェロン−γ(IFN−γ)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、及びインターロイキン−2(IL−2)を分泌して、樹状細胞(DC)及びT細胞における共刺激シグナルの発現を向上することによって効率的なDC細胞の活性化及び特異的なCTLの活性化を維持することができる(Galaine et al., Interest of Tumor−Specific CD4 T Helper 1 Cells for Therapeutic Anticancer Vaccine. Vaccines (Basel). 2015 Jun 30;3(3):490−502)。
例えば、アジュバントペプチド/タンパク質は、好ましくは、免疫記憶を想起するか又は非特異的な助けを提供する非腫瘍抗原であり得るか、又は特異的な腫瘍由来ヘルパーペプチドであり得る。破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの非特異的T細胞ヘルプを提供するためのいくつかのヘルパーペプチドが文献記載されている(Adotevi et al., Targeting antitumor CD4 helper T cells with universal tumor−reactive helper peptides derived from telomerase for cancer vaccine. Hum Vaccin Immunother. 2013 May;9(5):1073−7, Slingluff CL, The present and future of peptide vaccines for cancer: single or multiple, long or short, alone or in combination? Cancer J. 2011 Sep−Oct;17(5):343−50)。したがって、破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、及びPADREペプチドは、そのようなアジュバントペプチド/タンパク質の好ましい例である。更に、特定の腫瘍由来ヘルパーペプチドが好ましい。特定の腫瘍由来ヘルパーペプチドは、典型的には、MHCクラスII、特にHLA−DR、HLA−DP、又はHLA−DQによって示される。特定の腫瘍由来ヘルパーペプチドは、HER2、NY−ESO−1、hTERT、又はIL13RA2などの共有過剰発現腫瘍抗原の配列の断片であり得る。そのような断片は、好ましくは少なくとも10アミノ酸、より好ましくは少なくとも11アミノ酸、更により好ましくは少なくとも12アミノ酸、最も好ましくは少なくとも13アミノ酸の長さを有する。特に、13〜24アミノ酸の長さを有する共有過剰発現腫瘍抗原、例えばHER2、NY−ESO−1、hTERT、又はIL13RA2の断片が好ましい。好ましい断片は、MHCクラスIIに結合し、したがって、例えば、IEDBのMHCクラスII結合予測ツールを用いて同定され得る(Immune epitope database and analysis resource; Supported by a contract from the National Institute of Allergy and Infectious Diseases, a component of the National Institutes of Health in the Department of Health and Human Services; URL: http://www.iedb.org/; http://tools.iedb.org/mhcii/)。
上で定義した免疫原性化合物を含み、更に、1以上の免疫アジュバント物質を含む本明細書で定義される組成物はまた、本明細書においては、「免疫原性組成物」とも称され、いくつかの実施形態においては「ワクチン組成物」とも称される。
本明細書で使用されるとき、用語「免疫原性組成物」は、哺乳動物に投与されるときに、特にヒト個体に投与されるときに、免疫応答を誘導又は維持することができる、特に免疫応答を誘導することができる組成物を意味する。
本明細書で相互変換可能に使用される「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」という用語は、正確な連続した天然ヌクレオチド(例えば、A、T、G、C、及びU)、又は一本鎖若しくは二本鎖のDNA又はRNA、例えば、cDNA、ゲノムDNA、リボソームDNA、及び前記DNAの転写産物、例えばRNA、rRNA、mRNAに対応する合成ヌクレオチド;アンチセンスDNA、アンチセンスRNA;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;及びこれらの組合せを意味する。特定のアミノ酸配列をコードできるヌクレオチド配列を決定することは、当業者の技術の範囲内である。
本発明に係る(ポリ)ペプチド及び/又は核酸は、任意の合成方法、任意の組換え方法、任意のエクスビボ生成方法など、それらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない当該技術分野における任意の知られた方法によって調製することができる。そのような技術は、前記のように文献に十分に説明されている。
本発明の文脈において、本発明に係る抗原性ペプチドは、腫瘍抗原と類似性を有する抗原を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「腫瘍抗原」は、腫瘍特異的抗原及び腫瘍関連抗原を含む。一般に、用語「腫瘍抗原」又は「腫瘍タンパク質」は、本明細書において、腫瘍細胞において、そして時には正常細胞においても産生され、被験体における投与の際に免疫応答を引き起こし得る抗原性物質を意味する。ヒトにおいては、それらは、発現パターン、機能、又は遺伝的起源にしたがって分類されており、限定するものではないが、過剰発現された自己抗原(例えば、HER2/neu及びその変異体dHER2、p53、ウィルムス腫瘍1、エフリン受容体、プロテイナーゼ3、ムチン−1、メソセリン、EGFR、CD20);癌精巣(CT)抗原(MAGE−1、BAGE、GAGE、NY−ESO−1など);ネオ抗原としても知られる突然変異抗原(例えば、MUM−1、bcr−abl、ras、b−raf、p53、CDK−4、CDC27、ベータ−カテニン、アルファ−アクテニン−4由来の突然変異体);組織特異的分化抗原(黒色腫抗原Melan A/MART−1、チロシナーゼ、TRP1/pg75、TRP2、gp100、及びガングリオシドGM3、GM2、GD2、及びGD3;前立腺癌抗原PSMA、PSA、及びPAPなど);オンコウイルスによって発現されるウイルス抗原(HPV、EBVなど);癌胎児性抗原(アルファフェトプロテインAFP及び癌胎児性抗原CEAなど);及びユニバーサル抗原(テロメラーゼ、hTERT、サバイビン、mdm−2、CYP−1B1)(Srinivasan and Wolchok, Tumor antigens for cancer immunotherapy: therapeutic potential of xenogeneic DNA vaccines. J Transl Med. 2004 Apr 16;2(1):12)を意味する。
本明細書に記載の本発明の各種態様及び実施形態によれば、「被験体」又は「宿主」は、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。前記被験体は、癌、例えば黒色腫、結腸直腸癌、又は淡明細胞型腎細胞癌を有することが疑われている又はそれを引き起こすこと可能性がある。
「薬学的に許容される賦形剤」とは、本明細書においては、活性剤の送達、安定性、又は生物学的利用性を改善し、それが投与される被験体が代謝することができ、前記被験体に対して非毒性である薬学的グレードの化合物を意味する。本発明に係る好ましい賦形剤には、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、及びそれらの組合せなどの医薬品に通常使用される任意の賦形剤が含まれる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、又は塩化ナトリウムなどを含有させることが好ましい。薬学的に許容される賦形剤は、湿潤剤若しくは乳化剤、又は保存料などの少量の補助物質を更に含むことができる。
「ワクチン」とは、本明細書においては、予防又は治療のいずれかによって有害な抗原に対する防御がもたらされるように、生物の免疫系を刺激することができる組成物を意味する。
本明細書で使用されるとき、「癌」という用語は、悪性新生物を意味する。特に、用語「癌」は、本明細書では、侵入による隣接組織への直接増殖によって、又は転移による遠隔部位への移植によって、細胞の制御不能な分裂及び他の組織に侵入するこれらの細胞の能力によって特徴付けられる疾患又は障害のクラスの任意のものを意味する。転移は、癌細胞が血流又はリンパ系を通して輸送される段階として定義される。それは、特に、食道癌、胃癌、十二指腸癌、小腸癌、虫垂癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肛門癌、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、脾臓癌、腎臓癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、膣癌、外陰癌、乳癌、肺癌、甲状腺癌、胸腺癌、脳腫瘍、神経系癌、口腔癌、皮膚癌、血液癌、リンパ腫、眼癌、骨癌、骨髄癌、筋肉癌などを含む。本発明の文脈においては、黒色腫、頭頸部、乳房、結腸直腸癌、又は淡明細胞型腎細胞癌が好ましい。
本明細書で使用されるとき、用語「予防する」又は「予防」(“preventing”、“prevention”、“prophylaxis”、“prevent”)は、一般に、発症前に、疾患又は状態の発症を回避又は最低限とすることを意味し、一方、用語「治療する」又は「治療」(“treating”、“treatment”、“treat”)は、発症後に、疾患又は状態(又は疾患又は状態の症状)を軽減、改善、又は治癒することを含む。本発明の文脈においては、癌の予防及び/又は治療は、例えば、被験体における腫瘍細胞の非増殖、弱い、低減された、又は遅延された増殖、又は被験体における腫瘍細胞の完全又はほぼ完全な除去をもたらし得る。「予防する」という用語は、「〜の発生の可能性を低減する」又は「再発の可能性を低減する」ことを含む。
本明細書で使用される「有効量」又は「有効用量」は、所望の効果をもたらす量である。治療目的のためには、有効量は、有益な又は望ましい臨床結果をもたらすのに十分な量である。所与の適用のための好ましい有効量は、例えば、被験体の大きさ、年齢、体重、予防又は治療される癌の種類、及び癌発症からの経過時間などを考慮して、当業者によって容易に決定され得る。本発明の文脈においては、予防又は治療の観点で、組成物の有効量は、癌に対する体液性及び/又は細胞性免疫応答を誘導するのに十分な量である。
本明細書で使用されるとき、用語「含む」(“comprising”)は、「からなる」(“consisting of”)を包含する。
本明細書を通して更なる定義が提供されている。
本発明は、本発明の好ましい実施形態及び本明細書に含まれる実施例を含む以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができる。
したがって、本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物に関し、この抗原性ペプチドは、配列番号1〜106からなる群において選択される。換言すれば、本発明は、配列番号1〜106のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。好ましくは、配列番号17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。また、本発明は、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。より好ましくは、本発明は、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。更により好ましくは、本発明は、配列番号51、52、55、又は56のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供する。また、本発明は、配列番号101又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる抗原性ペプチド(を含む免疫原性化合物)を提供することが更により好ましい。
例示的な実施形態によれば、上で定義された抗原性ペプチドは、配列番号71の配列のペプチドである。
一実施形態によれば、上で定義された抗原性ペプチド、又は前記抗原性ペプチドを含むポリペプチドは、例えば共有結合又は非共有結合によって担体タンパク質に結合される。
いくつかの実施形態によれば、本発明は、式(I)の抗原性ペプチドを含む、上で定義された免疫原性化合物に関する。
PepNt−CORE−PepCt (I) 式中、
−「PepNt」は、0〜30のアミノ酸残基のアミノ酸長を有するポリペプチドからなり、式(I)のポリペプチドのN末端に位置し;
−COREは、配列番号1〜106(配列番号71を含む)からなる群から選択されるアミノ酸配列、特に、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、又は17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、例えば、51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなるポリペプチドからなり;及び
−「PepCt」は、0〜30のアミノ酸残基のアミノ酸長を有し、式(I)のポリペプチドのC末端に位置するポリペプチドからなる。
好ましくは、式(I)の抗原性ペプチドは、融合ペプチド又は融合タンパク質、特に組換え融合ペプチド又はタンパク質である。「組換え」という用語は、それが天然には生じないことを意味する。
本発明は更に、以下がロードされたナノ粒子に関する:
− 本発明に係る免疫原性化合物の少なくとも1つ、又は
− 本発明に係る抗原性ペプチドの少なくとも1つ、及び任意にアジュバント。
本発明は更に、以下を含む免疫原性組成物に関する:
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、又は
− 本発明に係る核酸、及び
1以上の薬学的に許容される賦形剤。
免疫原性組成物は、1以上の免疫刺激剤を更に含むことができる。
特に、前記免疫刺激剤は、免疫アジュバント及び抗原提示細胞からなる群において選択される。
より具体的には、抗原提示細胞は、樹状細胞からなることができる。
特に、免疫原性組成物は、以下を含むことができる:
(i)本発明に係る2つの異なる免疫原性化合物;
(ii)本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド;
(iii)本発明に係る2つの異なるナノ粒子;又は
(iv)本発明に係る2つの異なる核酸。
この文脈においては、2つの異なる成分は、特に本発明に係る異なる抗原性ペプチド(これらは免疫原性化合物、ナノ粒子、及び/又は核酸に含まれる)を意味する。そのような2つの異なる成分、特に本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(2つの異なる成分に含まれる)は、好ましくは同一種類の癌、例えばこの癌に関連する同一又は異なる抗原、及び/又はこの癌に関連する抗原内の同一又は異なる(参照)エピトープに関する。より好ましくは、2つの異なる成分、特に本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(2つの異なる成分に含まれる)は、同一腫瘍(関連又は特異的)抗原に関する。2つの異なる成分、特に本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(2つの異なる成分に含まれる)は、同一又は異なる(参照)腫瘍(関連又は特異的)抗原にも関し得る。
本発明は、更に、癌の予防又は治療における使用のための、以下のいずれかに関する:
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係る(宿主)細胞、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る核酸、又は
− 本発明に係る免疫原性組成物。
様々な種類の癌のうち、治療及び/又は予防に関してより具体的に考慮されているものを、特に標的とされる腫瘍抗原の観点から、以下の表1Bに詳述する。
したがって、一実施形態によれば、本発明は、表1Bから選択される癌の予防又は治療ににおける使用のための、本明細書に記載の抗原性ペプチド及び免疫原性化合物のいずれか、並びに本明細書に記載の免疫原性組成物のいずれかに関する。
本発明は更に、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドをコードする核酸に関し、前記ペプチドは、以下からなる群において選択される:
− 配列番号1〜106からなる群において選択される抗原性ペプチド;及び/又は
− 本明細書に記載の式(I)、又は(Ia)、又は(Ib)の抗原性ペプチド。
特に、上で定義された核酸は、配列番号71を含む、IL13RA2とアミノ酸類似性を有するペプチドからなる群において選択される抗原性ペプチドをコードし得る。
本発明はまた、それを必要とする被験体における癌の予防若しくは治療又は抗腫瘍応答の開始、増強、若しくは延長のための方法であって、前記被験体に、本発明に係る抗原性ペプチド、又は本発明に係る免疫原性化合物、又は本発明に係る免疫原性組成物、又は本発明に係るナノ粒子、又は本発明に係る核酸、又は本発明に係る組合せを投与することを含む方法に関する。
更に、本発明は、上で定義された抗原性ペプチド又は免疫原性化合物をコードする核酸に関する。
更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なる免疫原性化合物の組合せに関する。
更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドの組合せに関する。
更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なるナノ粒子の組合せに関する。
更に、本発明はまた、癌の予防及び/又は治療における使用のための本発明に係る2つの異なる核酸の組合せに関する。
特定の実施形態においては、本発明に従って使用するための組合せの2つの異なる成分は、同一又は異なる組成物中に含有される。
特定の実施形態においては、本発明に従って使用するための組合せの2つの異なる成分は、同一又は異なる投与経路で投与される。
特定の実施形態においては、本発明に従って使用するための組合せの2つの異なる成分は、ほぼ同時に(同時に)又は連続して投与される。
更に、本発明はまた、以下を含むキットに関する:
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係る(宿主)細胞、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る核酸、又は
− 本発明に係る免疫原性組成物。
抗原性ペプチド、免疫原性化合物、核酸、ナノ粒子、及び細胞
特段の断りがない限り、<<抗原性ペプチド>>に言及している全ての箇所は、<<免疫原性化合物>>にも適用され得る。
本発明に係る抗原性ペプチドを以下の表1Aに示す。これはまた、それらをコードする遺伝子の名称を有する対応する「参照」ヒト腫瘍抗原(エピトープ)に関する情報、及び腫瘍におけるそれらの報告された局在化を与えるが、これらは非限定的である。N.A.=適用なし。配列番号1〜106の配列番号は、抗原性ペプチドを意味する。
これらの106の抗原性ペプチド配列は、参照腫瘍抗原、例えばIL13RA2由来の腫瘍抗原の配列に基づいて更に定義することができる。
したがって、本発明は、腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物に関し、この抗原性ペプチドは、以下を含む配列番号1〜106からなる群において選択される:
− 遺伝子PLIN2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号1からなる群において選択される;
− 遺伝子ALDH1A1によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号2〜3からなる群において選択される;
− 遺伝子AFPによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号4〜5からなる群において選択される;
− 遺伝子PTPRCによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号6〜11からなる群において選択される;
− 遺伝子CEACAM5によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号12〜25からなる群において選択される;
− 遺伝子ENAHによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号26からなる群において選択される;
− 遺伝子EZH2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号27からなる群において選択される;
− 遺伝子PMELによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号28からなる群において選択される;
− 遺伝子ERBB2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号29〜70からなる群において選択される;
− 遺伝子IL13RA2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号71からなる群において選択される;
− 遺伝子MAGEA1によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号72からなる群において選択される;
− 遺伝子MAGEA3によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号73〜75からなる群において選択される;
− 遺伝子MAGEA4によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号76からなる群において選択される;
− 遺伝子MAGEC1によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号77〜80からなる群において選択される;
− 遺伝子MAGEC2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号81〜85からなる群から選択される;
− 遺伝子SCGB2A2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号86〜87からなる群において選択される;
− 遺伝子MLANAによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号88〜89からなる群において選択される;
− 遺伝子MDKによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号90〜91からなる群において選択される;
− 遺伝子MMP2によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号92〜93からなる群において選択される;
− 遺伝子CTAG1Bによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号94からなる群において選択される;
− 遺伝子ACPPによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号95〜99からなる群において選択される;
− 遺伝子STEAP1によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号100〜102からなる群において選択される;
− 遺伝子TAG1によってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号103〜105からなる群において選択される;
− 遺伝子TYRによってコードされる腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有するペプチドであって、前記抗原性ペプチドは、配列番号106からなる群において選択される。
したがって、それら106の抗原性ペプチドは、それらの参照ペプチドに従って複数の異なるファミリーに更に分類することができる:
− ファミリー<<SVASTITGV>>(配列番号107)、このファミリーは、配列番号1のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<LLYKLADLI>>(配列番号108)、このファミリーは、配列番号2〜3のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<QLAVSVILRV>>(配列番号109)、このファミリーは、配列番号4〜5のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<KFLDALISL>>(配列番号110)、このファミリーは、配列番号6〜11のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<GVLVGVALI>>(配列番号111)、このファミリーは、配列番号12〜24のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<HLFGYSWYK>>(配列番号112)、このファミリーは、配列番号25のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<TMNGSKSPV>>(配列番号113)、このファミリーは、配列番号26のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<FMVEDETVL>>(配列番号114)、このファミリーは、配列番号27のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ITDQVPFSV>>(配列番号115)、このファミリーは、配列番号28のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<IISAVVGIL>>(配列番号116)、このファミリーは、配列番号29〜40のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ILHNGAYSL>>(配列番号117)、このファミリーは、配列番号41のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<KIFGSLAFL>>(配列番号118)、このファミリーは、配列番号42〜43のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<PLTSIAISV>>(配列番号119)、このファミリーは、配列番号44〜46のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<RLLQETELV>>(配列番号120)、このファミリーは、配列番号47のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<TLEEITGYL>>(配列番号121)、このファミリーは、配列番号48〜50のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<VVLGVVFGI>>(配列番号122)、このファミリーは、配列番号51〜70のアミノ酸配列を含む;
− 配列番号71を含むファミリー<<WLPFGFILI>>(配列番号123);
− ファミリー<<KVLEYVIKV>>(配列番号124)、このファミリーは、配列番号72のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<EVDPIGHLY>>(配列番号125)、このファミリーは、配列番号73〜74のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<VAELVHFLL>>(配列番号126)、このファミリーは、配列番号75のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<EVDPASNTY>>(配列番号127)、このファミリーは、配列番号76のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<KVVEFLAML<<(配列番号128)、このファミリーは、配列番号77のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<SFSYTLLSL<<(配列番号129)、このファミリーは、配列番号78〜79のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<VSSFFSYTL>>(配列番号130)、このファミリーは、配列番号80のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ALKDVEERV>>(配列番号131)、このファミリーは、配列番号81〜83のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ASSTLYLVF>>(配列番号132)、このファミリーは、配列番号84〜85のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<PLLENVISK>>(配列番号133)、このファミリーは、配列番号86〜87のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ILTVILGVL>>(配列番号134)。このファミリーは、配列番号88〜89のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ALLALTSAV>>(配列番号135)、このファミリーは、配列番号90〜91のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<GLPPDVQRV>>(配列番号136)、このファミリーは、配列番号92〜93のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<LAMPFATPM>>(配列番号137)、このファミリーは、配列番号94のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<ALDVYNGLL>>(配列番号138)、このファミリーは、配列番号95〜97のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<FLFLLFFWL>>(配列番号139)、このファミリーは、配列番号98のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<TLMSAMTNL>>(配列番号140)、このファミリーは、配列番号99のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<MIAVFLPIV>>(配列番号141)、このファミリーは、配列番号100〜102のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<SLGWLFLLL>>(配列番号142)、このファミリーは、配列番号103〜105のアミノ酸配列を含む;
− ファミリー<<MLLAVLYCL>>(配列番号143)、このファミリーは、配列番号106のアミノ酸配列を含む。
好ましい実施形態によれば、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号:71のアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドからなる群から選択される。
例示的な実施形態によれば、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号71のアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドである。
より好ましくは、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかに係るアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドからなる群から選択される。また、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかに係るアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドからなる群から選択されることがより好ましい。更により好ましくは、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかに係るアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドからなる群から選択される。更により好ましくは、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号51、52、55、又は56のいずれかに係るアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドからなる群から選択される。また、本発明の抗原性ペプチドは、配列番号101又は102のいずれかに係るアミノ酸配列を含む又はからなるペプチド又はポリペプチドからなる群から選択されることが更により好ましい。
いくつかの実施形態によれば、免疫原性化合物は、式(I)の抗原性ペプチドを含む又はからなる:
PepNt−CORE−PepCt (I) 式中、
−「PepNt」は、0〜500のアミノ酸残基のアミノ酸長を有するポリペプチドからなり、式(I)のポリペプチドのN末端に位置し;
−COREは、配列番号1〜106(配列番号71を含む)からなる群から選択されるアミノ酸配列、特に、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、又は17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、例えば、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなるポリペプチドからなり;及び
−「PepCt」は、0〜500のアミノ酸残基のアミノ酸長を有し、式(I)のポリペプチドのC末端に位置するポリペプチドからなる。
1つの特定の実施形態によれば、免疫原性化合物は、以下の式(Ia)又は(Ib)の抗原性ペプチドを含む又はからなる:
PepNt−CORE(Ia);又は
CORE−PepCt(1b)。
式中、「PepNt」及び「PepCt」及びCOREは、上で定義した通りである。
いくつかの更により具体的な実施形態によれば、上で定義された抗原性ペプチド又は免疫原性は、9〜1000個のアミノ酸を含み、例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、及び1000個のアミノ酸を含む。
前記実施形態によれば、適用される場合、「PepNt」及び「PepCt」の長さは、次のように定義される。
したがって、「PepNt」及び「PepCt」は、上で定義したように、0〜500個のアミノ酸残基を含むことができ、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、及び500個のアミノ酸残基を含む。
担体分子に結合した式(I)のペプチドを含む又はからなるものなど、本発明の免疫原性化合物を生成するために使用される担体分子の種類は、十分に当業者の一般的知識の範囲内にある。担体分子の機能は、腫瘍抗原に対する免疫応答を増強するために、サイトカインの助け(又はT細胞の助け)を提供することである。
好ましくは、抗原性ペプチドは、担体分子、特に担体タンパク質に、好ましくは共有結合又は非共有結合によって結合される。ペプチドが任意に結合される担体分子は、多種多様の知られた担体から選択することができる。ワクチン目的のための担体分子の例としては、ヒト又はウシ血清アルブミン及びキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)などのタンパク質、及び脂肪酸が挙げられる。式(I)の抗原性ペプチドを共有結合させることができる担体分子の他の実施形態としては、ジフテリア、コレラ、大腸菌熱不安定性又は破傷風トキソイドなどの細菌毒素又はトキソイド、髄膜炎菌外膜タンパク質(欧州特許出願第EP0372501号)、合成ペプチド(欧州特許出願第EP0378881号及び第EP0427347号)、熱ショックタンパク質(PCT出願第WO93/17712号)、百日咳タンパク質(PCT出願第WO98/58668号)、H.インフルエンザ由来のタンパク質D(PCT出願第WO00/56360号)、及びC.ディフィシレ由来の毒素A又はB(PCT出願第WO00/61761号)が挙げられる。
一実施形態によれば、担体タンパク質又は担体ペプチドは、HHD−DR3担体ペプチドMAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号144)である。
一実施形態によれば、「PepNt」及び/又は「PepCt」は、HHD−DR3担体ペプチドMAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号144)などの担体タンパク質又は担体ペプチドに対応し得る。
一実施形態によれば、免疫原性化合物は、配列番号71の抗原性ペプチドのN末端に共有結合している配列番号144の担体ペプチドを含む又はからなる。
より好ましくは、担体タンパク質又は担体ペプチドは、本明細書に記載されるようにCD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドである。その好ましい例は、免疫記憶をもたらす又は非特異的な助けを提供する非腫瘍抗原である、又は破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドであることができる。別の好ましい例は、MHC II、特にHLA−DR、HLA−DP、又はHLA−DQ、例えば、前記したようにHER2、NY−ESO−1、hTERT、又はIL13RA2などの共有過剰発現腫瘍抗原の断片によって示され得る特定の腫瘍由来ヘルパーペプチドである。
したがって、「PepNt」及び/又は「PepCt」は、好ましくは、本明細書に記載のCD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するそのようなタンパク質/ペプチドに対応し得る。
更に、免疫原性化合物は、特に、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、若しくは102のいずれかで表されるアミノ酸配列又は17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれか、例えば、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列である配列番号1〜106(配列番号71を含む)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する抗原性ペプチドのN末端に共有結合した、本明細書に記載のCD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドを含む又はからなる。
一実施形態によれば、前記抗原性ペプチドは、リンカー部分を介して担体分子に共有結合している。
前記リンカー剤の制限されたファミリーは、GMBS、スルホ−GMBS、SMPB、及びスルホ−SMPBという名称のリンカー剤を含む、又はそれらからなる。
上で定義された免疫原性化合物のいくつかの実施形態においては、前記リンカー剤は、GMBS(N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル)、Sulfo−GMBS(N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スルホスクシンイミドエステル)、SMPB(スクシンイミジル4−[p−マレイミドフェニル]ブチレート)、及びSulfo−SMPB(スルホスクシンイミジル4−[p−マレイミドフェニル]ブチレート)からなる群から選択される。
2つのタンパク質を一般にはリンカー剤と、より具体的にはGMBS、Sulfo−GMBS、SMPB、及びSulfo−SMPBからなる群から選択されるリンカー剤とコンジュゲートするための方法は、当業者によく知られている。実例として、そのようなプロトコルは、Pierce Company(イリノイ州、USA)によって公に利用可能であるリーフレットに開示されている。GMBS、Sulfo−GMBS、SMPB、及びSulfo−SMPBは、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基及びマレイミド基の両方を含有するヘテロ二官能性リンカー剤からなる。GMBS、Sulfo−GMBS、SMPB、又はSulfo−SMPBを用いるコンジュゲーションは、通常、2段階手順で行われる。第1段階において、アミン含有タンパク質をpH7〜9で数倍モル過剰量のリンカー剤と反応させてアミド結合を形成し、続いて、過剰の未反応リンカー剤を通常脱塩又は透析により除去する。第2段階において、スルフヒドリル含有分子(例えば、式(I)のペプチド)を添加して、pH6.5〜7.5で第1のタンパク質に既に結合しているマレイミド基と反応させて安定なチオエーテル結合を形成させる。
式(I)のペプチドをアミン含有担体タンパク質に共有結合させるためのリンカー剤としてSMPB又はSulfo−SMPBを使用すると、以下の式(II)のコンジュゲートが得られる。
(II)
式中、
−R1は、アミン含有担体タンパク質の1つの反応性基からなり、それに結合したNH基は、(i)アミン含有担体タンパク質のN末端に位置するアルファアミノ基、又は(ii)アミン含有担体タンパク質のリジン(K)アミノ酸残基からの側鎖アミノ基に由来する。
−R2は、式(I)のペプチドからなり、それに結合した硫黄(S)原子は、式(I)のペプチドのN−末端又はC−末端に位置するシステイン残基のスルフヒドリル(SH)基に由来する。いくつかの実施形態において、スルフヒドリル部分は、非天然アミノ酸、又は式(I)のペプチドの末端に存在する任意の他の分子の一部であり得る。
式(I)のペプチドをアミン含有担体タンパク質、特にCRM197担体タンパク質に共有結合させるためのリンカー剤としてGMBS又はSulfo−GMBSを使用すると、以下の式(III)のコンジュゲートが得られる。
(III)
式中、
−R1は、アミン含有担体タンパク質の1つの反応性基からなり、それに結合したNH基は、(i)アミン含有担体タンパク質のN末端に位置するアルファアミノ基、又は(ii)アミン含有担体タンパク質のリジン(K)アミノ酸残基からの側鎖アミノ基に由来する。
−R2は、式(I)のペプチドからなり、それに結合した硫黄(S)原子は、式(I)のペプチドのN−末端又はC−末端に位置するシステイン残基のスルフヒドリル(SH)基に由来する。いくつかの実施形態において、スルフヒドリル部分は、非天然アミノ酸、又は式(I)のペプチドの末端に存在する任意の他の分子の一部であり得る。
更なる態様において、本発明は、本発明に係る少なくとも1つの免疫原性化合物又は本発明に係る少なくとも1つの抗原性ペプチドがロードされた細胞を提供する。好ましい抗原性ペプチドは、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、又は17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、例えば、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はポリペプチドである。それらの組合せ、即ち、本発明に係る異なる抗原性ペプチド(又はそれぞれの免疫原性化合物)がロードされた細胞も好ましい。
好ましい細胞は、抗原提示細胞(APC)、より好ましくは樹状細胞(DC)である。
抗原提示細胞(APC)は、それらの主な機能が抗原を処理し、それを免疫系のT細胞に対して細胞表面上に提示してインビボでのT細胞応答を開始及び調節することであるので、特に興味深い。本発明の文脈において、APCに、本発明に係る抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物をロードすることが好ましく、これは、APCを、インビトロで抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物に曝露することによって行うことができる(Rizzo MM, Alaniz L, Mazzolini G.Ex vivo loading of autologous dendritic cells with tumor antigens. Methods Mol Biol. 2014;1139:41−4; Rolinski J, Hus I. Breaking immunotolerance of tumors: a new perspective for dendritic cell therapy. J Immunotoxicol. 2014 Oct;11(4):311−8)。
本発明に係る好ましい抗原提示細胞は、樹状細胞(DC)である。それらは最も強力な抗原提示細胞であり、癌患者においてしばしば機能的に欠陥があることが報告されているので、本発明に係る少なくとも1つの抗原性ペプチド又は免疫原性化合物を樹状細胞と組み合わせることは実際に有利であり得る。樹状細胞は、健康的に適合するドナー(即ち、樹状細胞がHLA関連である)、又はそれらが機能的であるならば患者自身(即ち、樹状細胞が自己由来である)から、例えば、末梢血からの直接的単離、又はCD14+単球若しくはCD34+造血前駆体などの末梢血細胞からの誘導によって、当業者は容易に得ることができる(Figdor CG, de Vries IJ, Lesterhuis WJ, Melief CJ. Dendritic cell immunotherapy: mapping the way. Nat Med. 2004 May;10(5):475−80)。樹状細胞は、実際にそれらの表面マーカー、例えば、S100、p55、CD83、及び/又はOX62によって末梢血の他の細胞と区別することができ、したがって、当該技術分野でよく知られた細胞培養技術を用いて前記マーカーに基づいて単離及び精製され得る。
更なる態様において、本発明は、本発明に係る抗原性ペプチド又は本発明に係る免疫原性化合物をコードする核酸を提供し、ここで免疫原性化合物は、ペプチド又はタンパク質である。好ましくは、抗原性ペプチドは、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、若しくは102のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はポリペプチド、又は17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列、例えば、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド又はタンパク質である;及び/又は前記した式(I)の抗原性ペプチドである。
核酸としては、好ましくは一本鎖、二本鎖又は部分的二本鎖核酸を含み、好ましくはゲノムDNA、cDNA、RNA、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、発現エレメントを含む又は含まない相補的RNA/DNA配列、ミニ遺伝子、遺伝子断片、調節要素、プロモーター、及びそれらの組合せから選択される。核酸(分子)及び/又はポリヌクレオチドの更なる好ましい例としては、例えば、組換えポリヌクレオチド、ベクター、オリゴヌクレオチド、rRNA、mRNA、又はtRNAなどのRNA分子、又は前記したDNA分子などが挙げられる。したがって、核酸(分子)はDNA分子又はRNA分子であることが好ましく、好ましくは、ゲノムDNA;cDNA;rRNA;mRNA;アンチセンスDNA;アンチセンスRNA;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;それらの組合せから選択される。
したがって、核酸分子はベクターであり得る。本発明の文脈で使用される「ベクター」という用語は、核酸分子、好ましくは人工核酸分子、即ち、天然には存在しない核酸分子を意味する。本発明の文脈におけるベクターは、所望の核酸配列を組み込む又は保持するのに適している。そのようなベクターは、保存ベクター、発現ベクター、クローニングベクター、トランスファーベクターなどであってもよい。保存ベクターは、核酸分子の便利な保存を可能にするベクターである。したがって、ベクターは、例えば本発明に係る所望の抗原性ペプチドに対応する配列を含むことができる。発現ベクターは、mRNAなどのRNA、又はペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質などの発現産物の産生のために使用することができる。例えば、発現ベクターは、プロモーター配列などの、ベクターの配列範囲の転写に必要な配列を含み得る。クローニングベクターは、典型的には、クローニング部位を含むベクターであり、この部位は、核酸配列をベクターに組み込むために使用され得る。クローニングベクターは、例えば、プラスミドベクター又はバクテリオファージベクターであり得る。トランスファーベクターは、核酸分子を細胞又は生物に導入するのに適したベクター、例えばウイルスベクターであり得る。本発明の文脈におけるベクターは、例えば、RNAベクター又はDNAベクターであり得る。好ましくは、ベクターは、DNA分子である。例えば、本願の意味におけるベクターは、クローニング部位、抗生物質耐性因子などの選択マーカー、及び複製起点などのベクターの増殖に適した配列を含む。好ましくは、本願の文脈におけるベクターは、プラスミドベクターである。好ましくは、本願の文脈におけるベクターは、発現ベクターである。好ましいベクターは、細菌細胞中での発現のためのベクターである。より好ましくは、ベクターは、いわゆる「生細菌ワクチンベクター」における発現に有用であり、生細菌細胞(細菌又は細菌胞子、例えば、内生胞子、外胞子、又は微生物嚢胞など)がワクチンとして役立ち得る。それらの好ましい例は、da Silvaら, Live bacterial vaccine vectors: an overview; Braz J Microbiol. 2015 Mar 4;45(4):1117−29に記載されている。
本発明に係る抗原性ペプチドをコードする核酸は、ネイキッドの核酸、又はプラスミド若しくはウイルスベクターにクローニングされた核酸の形態であり得(Tregoning and Kinnear, Using Plasmids as DNA Vaccines for Infectious Diseases. Microbiol Spectr. 2014 Dec;2(6). doi: 10.1128/microbiolspec.PLAS−0028−2014)、後者が特に好ましい。本発明に係る適切なウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ヘルペスウイルス、及びポックスウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野における標準的な組換え技術を使用して、核酸をプラスミド又はウイルスベクターにクローニングすることは当業者の技術の範囲内である。
更なる態様において、本発明はまた、本発明に係る核酸を含む宿主細胞を提供し、ここで核酸は好ましくはベクターである。好ましくは、宿主細胞は細菌細胞である。このような宿主細胞は、本発明に係る抗原性ペプチド又は本発明に係る免疫原性化合物の製造に好ましく使用することができる。更に、そのような宿主細胞は、ワクチン中の活性成分であることもできる。
好ましくは、宿主細胞は細菌細胞であり、好ましくは腸内細菌細胞である。そのような細菌宿主細胞は「生細菌ワクチンベクター」として役立つことができ、ここで生細菌細胞(細菌又は細菌胞子、例えば内生胞子、外胞子、又は微生物嚢胞)はワクチンとして役立つことができる。それらの好ましい例は、da Silva et al., Live bacterial vaccine vectors: an overview; Braz J Microbiol. 2015 Mar 4;45(4):1117−29に記載されている。
細菌細胞(細菌又は細菌胞子、例えば内生胞子、外胞子、又は微生物嚢胞)、特に(全)腸細菌種は、それらが含有する(ポリ)ペプチド又は核酸よりも高い免疫応答を引き起こす可能性があるので有利であり得る。
或いは、本発明に係る細菌細胞、特に腸内細菌は、プロバイオティクス、即ち生きた腸内細菌の形態であってもよく、したがって、それが提供し得る健康上の利益のために食品添加物として使用することができる。それらは、例えば顆粒剤、丸剤、又はカプセル剤で凍結乾燥することができ、或いは消費用乳製品と直接混合することができる。
更なる態様において、本発明は、以下がロードされたナノ粒子を提供する:
− 本発明に係る免疫原性化合物の少なくとも1つ、又は
− 本発明に係る抗原性ペプチドの少なくとも1つ、及び任意にアジュバント。
特にワクチンとして使用するためのナノ粒子は、当該技術分野においてしられており、例えば、Shao et al., Nanoparticle−based immunotherapy for cancer, ACS Nano 2015, 9(1):16−30; Zhao et al., Nanoparticle vaccines, Vaccine 2014, 32(3):327−37; and Gregory et al., Vaccine delivery using nanoparticles, Front Cell Infect Microbiol. 2013, 3:13, doi: 10.3389/fcimb.2013.00013. eCollection 2013, Reviewに記載されている。特に、ナノ粒子は、抗原性ペプチド(又は抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質/核酸)の送達に使用され、場合によりアジュバントとしても作用し得る。抗原性ペプチド(抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質/核酸)は、典型的には、ナノ粒子内にカプセル化される、又はナノ粒子の表面に連結/結合(表面上に装飾)される(「コーティング」)。従来のアプローチと比較して、ナノ粒子は周囲の生物学的環境からペイロード(抗原/アジュバント)を保護する、半減期を延ばす、全身毒性を最小限に抑える、APCへの送達を促進する、又はTAA特異的T細胞の活性化を直接引き起こすことさえできる。好ましくは、ナノ粒子は、300nm以下、より好ましくは200nm以下、最も好ましくは100nm以下のサイズ(直径)を有する。そのようなナノ粒子は、食細胞の取り込みから適切に保護され、循環中の構造的完全性が高く且つ循環時間が長く、腫瘍成長部位に蓄積することができ、腫瘍塊中に深く浸透することができる。
ナノ粒子の例としては、ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びポリ(D、L−乳酸−コグリコール酸)(PLGA)などのポリマーナノ粒子;金ナノ粒子、酸化鉄ビーズ、酸化鉄酸化亜鉛ナノ粒子、カーボンナノチューブ、及びメソポーラスシリカナノ粒子などの無機ナノ粒子;カチオン性リポソームなどのリポソーム;免疫刺激複合体(ISCOM);ウイルス様粒子(VLP);及び自己組織化タンパク質が挙げられる。
ポリマーナノ粒子は、ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)、ポリ(d,l−乳酸−コグリコール酸)(PLGA)、ポリ(g−グルタミン酸)(g−PGA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、及びポリスチレンなどのポリマーをベースとする/含むナノ粒子である。ポリマーナノ粒子は、抗原(例えば、抗原性ペプチド又はそれを含む(ポリ)ペプチド)を捕捉する、又は抗原(たとえば、抗原性ペプチド又はそれを含む(ポリ)ペプチド)に結合/コンジュゲートすることができる。ポリマーナノ粒子を、特定の細胞への送達に使用することができ、また、それらの遅い生分解速度により抗原放出を持続させることができる。例えば、g−PGAナノ粒子を用いて疎水性抗原をカプセル化することができる。ポリスチレンナノ粒子は、それらが様々な官能基で表面修飾され得るので、様々な抗原にコンジュゲートすることができる。ポリ(L−乳酸)(PLA)、PLGA、PEGなどのポリマー、及び多糖などの天然ポリマーも、ナノサイズの親水性三次元ポリマーネットワークの一種であるヒドロゲルナノ粒子を合成するために使用することができる。ナノゲルは、フレキシブルなメッシュサイズ、多価コンジュゲーションのための大表面積、高含水量、及び抗原の高ロード容量などの好ましい特性を有する。したがって、好ましいナノ粒子は、キトサンナノゲルなどのナノゲルである。好ましいポリマーナノ粒子は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びポリ(D,L−乳酸−コグリコール酸)(PLGA)をベースとする/含むナノ粒子である。
無機ナノ粒子は、無機物質をベースとする/含む無機粒子であり、そのようなナノ粒子の例としては、金ナノ粒子、酸化鉄ビーズ、酸化鉄酸化亜鉛ナノ粒子、カーボンナノ粒子(例えば、カーボンナノチューブ)、及びメソポーラスシリカナノ粒子が挙げられる。無機ナノ粒子は、剛性構造及び制御可能な合成を提供する。例えば、金ナノ粒子は、球、棒、立方体などの各種形状に容易に製造することができる。無機ナノ粒子は、例えば炭水化物で表面修飾されていてもよい。カーボンナノ粒子は、良好な生体適合性を提供し、例えばナノチューブ又は(メソポーラス)球として製造することができる。例えば、本発明に係る抗原性ペプチド(又はそれを含む(ポリ)ペプチド)の複数のコピーを、カーボンナノチューブなどのカーボンナノ粒子上にコンジュゲートすることができる。メソポーラスカーボンナノ粒子は、経口投与に好ましい。シリカ系ナノ粒子(SiNP)もまた好ましい。SiNPは生体適合性であり、選択的腫瘍標的化及びワクチン送達において優れた特性を示す。SiNPの表面上の豊富なシラノール基は、細胞認識、特定の生体分子の吸収、細胞との相互作用の改善、及び細胞取り込みの増強などの更なる機能性を導入するための更なる修飾に使用することができる。メソポーラスシリカナノ粒子が特に好ましい。
リポソームは、典型的には、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)などのリン脂質によって形成される。一般に、カチオン性リポソームが好ましい。リポソームは、リン脂質二重層シェル及び水性コアが自己組織化している。リポソームは、単層小胞(単一のリン脂質二重層を有する)として、又は多層小胞(水の層によって分離されたいくつかの同心円状のリン脂質シェルを有する)として生成されることができる。したがって、抗原は、コア内又は異なる層/シェル間にカプセル化することができる。好ましいリポソーム系は、Inflexal(登録商標)V及びEpaxal(登録商標)などの、ヒトでの使用が承認されているものである。
免疫刺激複合体(ISCOM)は、約40nm(直径)のかご様粒子であり、これは、例えば、サポニンアジュバントQuil A、コレステロール、リン脂質、及び(ポリ)ペプチド抗原(抗原性ペプチド又はそれを含むポリペプチド)からなるコロイド状サポニン含有ミセルである。これらの球状粒子は、無極性相互作用によって抗原を捕捉することができる。2種類のISCOMが記載されており、いずれもコレステロール、リン脂質(典型的にはホスファチジルエタノールアミン又はホスファチジルコリン)及びサポニン(例えばQuil A)からなる。
ウイルス様粒子(VLP)は、生体適合性キャプシドタンパク質の自己組織化によって形成された自己組織化ナノ粒子である。天然に最適化されたナノ粒子サイズ及び反復構造秩序のために、VLPは、強力な免疫応答を誘導することができる。VLPは、20nm〜800nmの範囲、典型的には20〜150nmの範囲のサイズを有する様々なウイルスに由来し得る。VLPは、これらのペプチド/タンパク質を粒子に融合させることによって、又は複数の抗原を発現させることによって、更なるペプチド又はタンパク質を発現するように設計することができる。更に、抗原をウイルス表面に化学的にカップリングさせて、バイオコンジュゲートVLPを生成することができる。
自己組織化タンパク質の例としては、フェリチン及び主要ボールトタンパク質(MVP)が挙げられる。フェリチンは、ほぼ球形の10nm構造に自己組織化できるタンパク質である。96ユニットのMVPは、幅約40nm及び長さ70nmのサイズを有する樽型ボールトナノ粒子に自己組織化することができる。最小の相互作用ドメインと遺伝的に融合している抗原は、MVPと混合したときに自己組織化プロセスによってボールトナノ粒子内にパッケージされることができる。したがって、抗原(それを含むポリペプチドの本発明に係る抗原性ペプチドなど)は、自己組織化タンパク質又はその断片/ドメイン(例えば、MVPの最小相互作用ドメイン)に融合され得る。したがって、本発明はまた、自己組織化タンパク質(又はその断片/ドメイン)と本発明に係る抗原性ペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。
一般に、ナノ粒子(NP)の好ましい例としては、酸化鉄ビーズ、ポリスチレンミクロスフェア、ポリ(γ−グルタミン酸)(γ−PGA)NP、酸化鉄−酸化亜鉛NP、カチオン化ゼラチンNP、プルロニック安定化ポリ(プロピレンスルフィド)(PPS)NP、PLGA NP、(カチオン性)リポソーム、(pH応答性)高分子ミセル、PLGA、癌細胞膜被覆PLGA、脂質−カルシウム−リン酸(LCP)NP、リポソーム−プロタミン−ヒアルロン酸(LPH)NP、ポリスチレンラテックスビーズ、磁性ビーズ、鉄−デキストラン粒子、及び量子ドットナノ結晶が挙げられる。
好ましくは、ナノ粒子は更にアジュバント、例えばtoll様受容体(TLR)アゴニストを含む。それによって、抗原性ペプチド(抗原性ペプチドを含むポリペプチド/タンパク質/核酸)をアジュバントと共に、例えば樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)に送達することができる。アジュバントは、好ましくは抗原性ペプチドと同様に、ナノ粒子によってカプセル化されるか、又はナノ粒子の表面に結合/コンジュゲートすることができる。
特に好ましいアジュバントは、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(「ポリI:C」とも称する)及び/又はその誘導体ポリICLCである。ポリI:Cは、一方の鎖がイノシン酸のポリマーであり、他方の鎖がシチジル酸のポリマーであるミスマッチ二本鎖RNAである。ポリI:Cは、トール様受容体3(TLR3)と相互作用することが知られている免疫刺激剤である。ポリI:Cは、TLR3の「天然の」刺激物である二本鎖RNAと構造的に類似している。したがって、ポリI:Cは、二本鎖RNAの合成類似体と考えることができる。ポリ−ICLCは、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン−ポリシチジル酸、及びポリ−L−リジン二本鎖RNAの合成複合体である。ポリI:Cと同様に、ポリICLCもまたTLR3のリガンドである。ポリI:C及びポリICLCは、典型的には細胞傷害性サイトカインの放出を刺激する。ポリICLCの好ましい例は、ヒルトノール(登録商標)である。
免疫原性組成物及びキット
本発明に係る免疫原性組成物は、以下の少なくとも1つを含む:
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、又は
− 本発明に係る宿主細胞。
好ましくは、免疫原性組成物は更に、1以上の薬学的に許容される賦形剤又は担体を含む。
本発明の免疫原性組成物は、本発明の目的に適した任意の形態であることができる。例えば、前記組成物は、液体懸濁物、固体剤形(顆粒剤、丸剤、カプセル剤、又は錠剤)、又はペースト若しくはゲルなどの、非経口投与、経腸投与、又は局所投与に適した形態であることができる。意図される目的のために適切な形態の組成物を選択することは当業者の技術の範囲内である。
実際、本発明の文脈において、低コストでの製造の容易性及び再集合、感染、又は組換えの可能性がない相対的安全性のため、(ポリ)ペプチド又はそれをコードする核酸を使用することが特に有利であり得る。
本発明の抗原性ペプチドは、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るそれがロードされた細胞、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、及び/又は本発明に係る免疫原性組成物の形態で投与することができる。
一実施形態によれば、それらは腸内細菌種などの微生物の形態で投与されてもよい。
腸内細菌種全体は、それらが含有する(ポリ)ペプチド又は核酸よりも大きい免疫応答を引き起こす可能性があるので、それらも有利であり得る。
或いは、本発明に係る腸内細菌は、プロバイオティクス、即ち生きた腸内細菌の形態であってもよく、それが提供し得る健康上の利益のために食品添加物として使用することができる。それらは、例えば顆粒剤、丸剤、又はカプセル剤で凍結乾燥することができ、或いは消費用乳製品と直接混合することができる。
当業者であれば、予防又は治療される癌の性質、及び/又は前記癌に関与するヒト遺伝子/ヒト腫瘍抗原に基づいて本発明の抗原性ペプチドを選択することができることを容易に理解しよう。例えば、糖タンパク質100(gp100)、TRP1、TRP2、チロシナーゼ、及び/又はMelan A/MART1抗原を含む黒色腫の予防又は治療を望むならば、表1Aに記載される対応する抗原性ペプチドのいずれかを選択することができる。
免疫応答を増強するために、本発明のいくつかの抗原性ペプチドの同時投与が特に好ましいことを理解されたい。
したがって、好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、上で定義された少なくとも2個の抗原性ペプチド(免疫原性化合物の形態であり得る)を含み、これは、少なくとも3個の抗原性ペプチド、又は少なくとも4個の抗原性ペプチド、少なくとも5個の抗原性ペプチド、又は少なくとも6個の抗原性ペプチド、又は少なくとも7個の抗原性ペプチド、又は少なくとも8個の抗原性ペプチド、又は少なくとも9個の抗原性ペプチド、又は少なくとも10個の抗原性ペプチド、又は少なくとも11個の抗原性ペプチド、又は少なくとも12個の抗原性ペプチド、又は少なくとも13個の抗原性ペプチド、又は少なくとも14個の抗原性ペプチド、又は少なくとも15個の抗原性ペプチド、又は少なくとも20個の抗原性ペプチド、又は少なくとも25個の抗原性ペプチド、又は少なくとも50個の抗原性ペプチド、又は少なくとも100個の抗原性ペプチド、又は少なくとも500個の抗原性ペプチド、又は少なくとも1000個の抗原性ペプチド、又は少なくとも1500個の抗原性ペプチドを含む。意図される目的に適した抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物の組合せを選択することは当業者の技術の範囲内である。例えば、表1Bに記載される遺伝子によってコードされる腫瘍抗原を含む黒色腫の予防又は治療を望むならば、表1Aに記載される対応する抗原性ペプチドの任意の組合せを選択することができる。
特に好ましい実施形態では、本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(例えば、同一種類の癌及び/又は同一参照抗原に関する)を組み合わせる。換言すれば、本発明に係る組成物は、好ましくは以下を含む:
(i)本発明に係る2つの異なる免疫原性化合物;
(ii)本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド;
(iii)本発明に係る2つの異なるナノ粒子;又は
(iv)本発明に係る2つの異なる核酸。
本発明に係る組成物は、例えば、抗原性ペプチド又は免疫原性化合物の効果を増強することができる他の活性剤を更に含むことができる。或いは、組成物は、他の活性剤(即ち、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、又は本発明に係る宿主細胞以外のもの)を含まなくてもよい。
好ましい実施形態によれば、前記組成物は、特に抗原性ペプチドによって媒介される免疫応答を増強するために、少なくとも1つの免疫刺激剤を更に含む。本発明に係る好ましい免疫刺激剤は、免疫アジュバント、抗原提示細胞、及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。好ましくは、免疫刺激剤は、免疫アジュバント又は抗原提示細胞(APC)である。
いくつかの免疫アジュバントは、実際に、抗原と免疫系との間の相互作用の持続時間に好ましく、これを延長することができ、一方、他のものは適応応答を誘導するために自然免疫の細胞を動員し、活性化させることができる。前者のカテゴリーに属するアジュバントとしては、ミョウバン、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化カルシウムなどの鉱物化合物;パラフィン油、デンプン油、フロイント完全/不完全アジュバント(FCA/FIA)、サポニン(例えば、植物のキラヤ、ダイズ、セネガ由来)などの油性エマルジョンなどが挙げられるが、これらに限定されない。後者のカテゴリーに属するアジュバントとしては、サイトカイン(例えば、GM−CSF;IL−1、IL−2、IL−6、IL−8、又はIL−12などのインターロイキン;TNFα又はTNFβなどの腫瘍壊死因子(TNF);IFNα、IFNβ、IFNγ、又はIFNδなどのインターフェロンIFNなど)などの免疫刺激複合体(ISCOM);イミキモド、レシキモド、又はMPLなどのtoll様受容体(TLR)のリガンド;樹状細胞(DC)又は腫瘍細胞に由来するエキソソームなどのエキソソーム;熱ショックタンパク質(gp96、hsp90、hsp70、カルレティキュリン、hsp110、hsp170などのHSP)、病原体関連分子パターン(PAMP)、トレハロースジミコレート(TDM)、ムラミルジペプチド(MDP)、多糖類(PLS)(多糖類Kなど)などの細菌製品が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態によれば、免疫アジュバントは、HHD−DR3ペプチドMAKTIAYDEEARRGLERGLN(配列番号144)であることができる。
より好ましくは、免疫アジュバントは、本明細書に記載されているように、CD4+Th1細胞の刺激を提供するなどの免疫アジュバント特性を有するタンパク質/ペプチドである。その好ましい例としては、免疫記憶をもたらす又は非特異的な助けを提供する非腫瘍抗原である、又は本明細書に記載される破傷風ヘルパーペプチド、キーホールリンペットヘモシアニンペプチド、又はPADREペプチドなどの特異的腫瘍由来ヘルパーペプチドであり得る。別の好ましい例は、MHCIIによって、特にHLA−DR、HLA−DP、又はHLA−DQによって示され得る、特定の腫瘍由来ヘルパーペプチド、例えば共有過剰発現腫瘍抗原の断片、例えば、前記したHER2、NY−ESO−1、hTERT、又はIL13RA2などである。
特に好ましいアジュバントは、ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(「ポリI:C」とも称する)及び/又はその誘導体ポリICLCである。ポリI:Cは、一方の鎖がイノシン酸のポリマーであり、他方の鎖がシチジル酸のポリマーであるミスマッチ二本鎖RNAである。ポリI:Cは、toll様受容体3(TLR3)と相互作用することが知られている免疫刺激剤である。ポリI:Cは、TLR3の「天然の」刺激物である二本鎖RNAと構造的に類似している。したがって、ポリI:Cは、二本鎖RNAの合成類似体と考えることができる。ポリ−ICLCは、カルボキシメチルセルロース、ポリイノシン−ポリシチジル酸、及びポリ−L−リジン二本鎖RNAの合成複合体である。ポリI:Cと同様に、ポリICLCもまたTLR3のリガンドである。ポリI:C及びポリICLCは、典型的には細胞傷害性サイトカインの放出を刺激する。ポリICLCの好ましい例は、ヒルトノール(登録商標)である。
抗原提示細胞(APC)は、また、それらの主な機能が抗原を処理し、それを免疫系のT細胞に対して細胞表面上に提示してインビボでのT細胞応答を開始及び調節することであるので、特に興味深い。本発明組成物において、APCに、本発明に係る抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物をロードすることが好ましく、これは、APCを、インビトロで抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物に曝露することによって行うことができる(Rizzo et al., Ex vivo loading of autologous dendritic cells with tumor antigens. Methods Mol Biol. 2014;1139:41−4; Rolinski and Hus, Breaking immunotolerance of tumors: a new perspective for dendritic cell therapy. J Immunotoxicol. 2014 Oct;11(4):311−8)。
本発明に係る好ましい抗原提示細胞は、樹状細胞(DC)である。それらは最も強力な抗原提示細胞であり、癌患者においてしばしば機能的に欠陥があることが報告されているので、本発明に係る少なくとも1つの抗原性ペプチド又は免疫原性化合物を樹状細胞と組み合わせることは実際に有利であり得る。樹状細胞は、健康的に適合するドナー(即ち、樹状細胞がHLA関連である)、又はそれらが機能的であるならば患者自身(即ち、樹状細胞が自己由来である)から、例えば、末梢血からの直接的単離、又はCD14+単球若しくはCD34+造血前駆体などの末梢血細胞からの誘導によって、当業者は容易に得ることができる(Emensら,2008)。樹状細胞は、実際にそれらの表面マーカー、例えば、S100、p55、CD83、及び/又はOX62によって末梢血の他の細胞と区別することができ、したがって、当該技術分野でよく知られた細胞培養技術を用いて前記マーカーに基づいて単離及び精製され得る。
好ましい実施形態によれば、医薬組成物は、少なくとも1つの抗癌治療薬を更に含むことができる。したがって、前記治療薬は、好ましくは、本発明に係る抗原性ペプチドが使用されるのと同一種類の癌を予防及び/又は治療することができる。本発明に係る特に好ましい抗癌治療剤としては、抗体、腫瘍細胞溶解物、化学療法剤、放射線療法剤、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましくは、抗癌治療剤は、抗体、腫瘍細胞溶解物、化学療法剤、放射線療法剤、免疫チェックポイントモジュレーター、及びそれらの組合せから選択される。
抗体は、癌細胞表面上の特定の抗原に結合し、それによって治療を腫瘍に向ける(即ち、これらは腫瘍標的化抗体と称される)、又は癌において調節不全である免疫チェックポイントを遮断する(即ち、これらは免疫調節性抗体と称される)ことができるので、癌治療において特に有利である。後者のタイプの抗体の目的は、癌の免疫抵抗を阻害することであり、これは特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に対して見ることができる。実際、当該技術分野でよく知られているように、通常の生理学的条件下では、免疫チェックポイントが自己寛容(即ち、自己免疫の防止)の維持にとって極めて重要であり、免疫系が病原性感染に反応しているときに、組織を損傷から保護する。しかし、癌では、免疫チェックポイント発現が、免疫抵抗の重要なメカニズムとして調節不全になり得る。前記抵抗は、PD−L1チェックポイントに関して、黒色腫、卵巣癌、肺癌、神経膠芽腫、乳癌、及び膵臓癌において特に見られる(Konishi et al., B7−H1 expression on non−small cell lung cancer cells and its relationship with tumor−infiltrating lymphocytes and their PD−1 expression. Clin Cancer Res. 2004 Aug 1;10(15):5094−100; Ghebeh et al., The B7−H1 (PD−L1) T lymphocyte−inhibitory molecule is expressed in breast cancer patients with infiltrating ductal carcinoma: correlation with important high−risk prognostic factors. Neoplasia. 2006 Mar;8(3):190−8; Hino et al., Tumor cell expression of programmed cell death−1 ligand 1 is a prognostic factor for malignant melanoma. Cancer. 2010 Apr 1;116(7):1757−66)。免疫チェックポイントの他の例としては、PD−L2、PD1、CD80、CD86、CTLA4、B7H3、B7H4、PVR、TIGIT、GAL9、LAG−3、GITR、CD137、TIM3、VISTA、VISTA−Rが挙げられるが、これらに限定されない(Pico de Coana et al., Checkpoint blockade for cancer therapy: revitalizing a suppressed immune system. Trends Mol Med. 2015 Aug;21(8):482−91; Pardoll DM. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012 Mar 22;12(4):252−64)。
抗体は通常、ネイキッドなモノクローナル抗体の形態(即ち、非コンジュゲート)、又は細胞に対して毒性であり得るか又は放射性であり得る別の分子にコンジュゲートされるかのいずれかで、前記目的のために使用される。
癌免疫療法において使用されるよく知られたモノクローナル腫瘍標的化抗体の例としては、限定されるものではないが、アレムツズマブ(慢性リンパ性白血病)、ベバシズマブ(結腸直腸癌、多形性膠芽腫、子宮頸癌、肺癌、腎癌)、ブレンツキシマブ/ベドチン(リンパ腫)、ブリナツムマブ(急性リンパ芽球性白血病)、カツマキソマブ(EPCAM+癌の悪性腹水症)、セツキシマブ(頭頸部癌、結腸直腸癌)、デノスマブ(乳癌、前立腺癌、及び骨癌)、ゲムツズマブ/オゾガマイシン(急性骨髄性白血病)、イブリツモマブ/チウキセタン(非ホジキンリンパ腫)、パニツムマブ(結腸直腸癌)、ペルツズマブ(乳癌)、オビヌツズマブ(慢性リンパ性白血病)、オファツムマブ(慢性リンパ性白血病)、オピリムマブ(黒色腫)、ラムシミルマブ(胃及び胃食道癌)、リツキシマブ(慢性リンパ性白血病及び非ホジキンリンパ腫)、シルツキシマブ(多中心性キャッスルマン病)、トシツモマブ(非ホジキンリンパ腫)、及びトラスツズマブ(乳癌、胃癌及び胃食道癌)が挙げられ;一方、免疫調節抗体の例としては、限定されるものではないが、CTLA4依存性免疫チェックポイントを遮断するイピリムマブ(黒色腫)、いずれもPDCD1依存性免疫チェックポイントを遮断するニボルマブ(黒色腫、肺癌)及びプレンブロリズマブ(黒色腫)、及びいずれもPD−L1依存性免疫チェックポイントを遮断するMPDL3280A、MEDI4736、MEDI0680、及びMSB0010718Cが挙げられる(Sharma and Allison, The future of immune checkpoint therapy. Science. 2015 Apr 3;348(6230):56−61)。
以下に、癌免疫療法のための他の抗体が記載されている:Buque et al., Trial Watch: Immunomodulatory monoclonal antibodies for oncological indications. Oncoimmunology. 2015 Mar 2;4(4):e1008814. eCollection 2015 Apr; Redman et al., Mechanisms of action of therapeutic antibodies for cancer. Mol Immunol. 2015 Oct;67(2 Pt A):28−45; Simpson and Caballero, Monoclonal antibodies for the therapy of cancer MC Proc. 2014; 8(Suppl 4): O6 as well as on the antibody society website (list of therapeutic monoclonal antibodies approved or in review in the European Union or United States available on the weblink http://www.antibodysociety.org/news/approved_mabs.php)。
腫瘍細胞溶解物もまた、本発明に係る抗原性ペプチドと組み合わせることができる。腫瘍細胞は、内因性ペプチド−MHC複合体を提示することによって、並びに前記溶解物によって送達された抗原を処理し提示することができる宿主の樹状細胞(DC)を介して、免疫応答を刺激することができる。それによって、免疫応答の誘導が可能な抗原の範囲が広がる。腫瘍細胞溶解物は、熱ショック及び/又は化学的処理で腫瘍細胞を処理することによって容易に得ることができ、自己由来(即ち、患者自身から単離される)又は同種異系(即ち、別の被験体から単離される)であることができる。
標準的な化学療法薬及び放射線療法剤については、特に以下に広く記載されているので、本明細書中に更に記載する必要はない:Baskarら(Baskar et al., Cancer and radiation therapy: current advances and future directions. Int J Med Sci. 2012;9(3):193−9)、Paciら(Paci et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part 1−−cytotoxics. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2010−9)、Widmerら(Widmer et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part two−−targeted therapies. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2020−36)。そのような薬物及び薬剤のリストは、cancer.govウェブサイト(http://www.cancer.gov/about−cancer/treatment/drugs)でも利用可能である。
好ましくは、本明細書で定義された抗原性ペプチドとの組合せのための免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、ICOS、A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CD40、CTLA−4、IDO、KIR、LAG3、PD−1、TIM−3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、GITR、TNFR、及び/又はFasR/DcR3から選択される1以上の免疫チェックポイント分子の活性化剤又は阻害剤;又は、その1以上のリガンドの活性化剤若しくは阻害剤である。
より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、(共)刺激チェックポイント分子の活性化剤、又は阻害性チェックポイント分子の阻害剤又はそれらの組合せである。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、(i)CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOSの活性化剤、又は(ii)A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CD40、CTLA−4、IDO、KIR、LAG3、PD−1、PDL−1、PD−L2、TIM−3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はFasR/DcR3の阻害剤である
更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、阻害性チェックポイント分子の阻害剤である(が、好ましくは、刺激性チェックポイント分子の阻害剤ではない)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、更により好ましくは、A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CTLA−4、IDO、KIR、LAG3、PD−1、PDL−1、PD−L2、TIM−3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はDcR3、或いはそれらのリガンドの阻害剤である。
免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性又は共刺激性チェックポイント分子の活性化剤であることも好ましい(が、好ましくは、阻害性チェックポイント分子の活性化剤ではない)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOS、或いはそれらのリガンドの活性化剤である。
免疫チェックポイントモジュレーターは、CD40経路、IDO経路、LAG3経路、CTLA−4経路、及び/又はPD−1経路のモジュレーターであることが更により好ましい。特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、好ましくはCD40、LAG3、CTLA−4、PD−L1、PD−L2、PD−1、及び/又はIDOのモジュレーターであり、より好ましくは免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4、PD−L1、PD−L2、PD−1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤又はCD40の活性化剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4、PD−L1、PD−1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、LAG3、CTLA−4、及び/又はPD−1の阻害剤であり、最も好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4及び/又はPD−1の阻害剤である。
したがって、抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA−4経路又はPD−1経路の知られたモジュレーターから選択することができる。好ましくは、本明細書中で定義された抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA−4経路又はPD−1経路の知られたモジュレーターから選択することができる。特に好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−1阻害剤である。CTLA−4経路及びPD−1経路の好ましい阻害剤としては、モノクローナル抗体Yervoy(登録商標)(イピリムマブ;Bristol Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer/MedImmune)、及びOpdivo(登録商標)(ニボルマブ;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ;Merck)、デュルバルマブ(MedImmune/AstraZeneca)、MEDI4736(AstraZeneca;WO2011/066389 A1参照)、MPDL3280A(Roche/Genentech;US8,217,149B2参照)、ピジリズマブ(CT−011;CureTech)、MEDI0680(AMP−514;AstraZeneca)、MSB−0010718C(Merck)、MIH1(Affymetrix)、及びランブロリズマブ(例えば、WO2008/156712;Hamidら,2013;N.Engl.J.Med.369:134−144において、hPD109A及びそのヒト化誘導体h409All、h409A16、及びh409A17として開示される)が挙げられる。より好ましいチェックポイント阻害剤としては、CTLA−4阻害剤Yervoy(登録商標)(イピリムマブ;Bristol Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer/MedImmune)、及びPD−1阻害剤Opdivo(登録商標)(ニボルマブ;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ;Merck)、ピジリズマブ(CT−011;CureTech)、MEDI0680(AMP−514;Astrazeneca)、AMP−224、及びランブロリズマブ(例えば、WO2008/156712;Hamid O. et al.,2013;N.Engl.J.Med.369:134−144において、hPD109A及びそのヒト化誘導体h409A11、h409A16、及びh409A17として開示される)が挙げられる。
また、本明細書で定義された抗原性ペプチドとの組合せのための免疫チェックポイントモジュレーターは、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、MPDL3280A、MEDI4736、トレメリムマブ、アベルマブ、PDR001、LAG525、INCB24360、バルリルマブ、ウレルマブ、AMP−224、及びCM−24からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の目的のために適切な免疫抗癌治療剤を選択することは、当業者の技術の範囲内である。例えば、黒色腫の予防又は治療を望むならば、黒色腫細胞からの溶解物及び/又は抗体オピリムマブを、表1Aに記載の対応する抗原性ペプチドと共に好ましく使用することができる。
抗癌治療剤はまた、本発明の組成物と共に、同時に、別々に、又は連続的に投与することができる。組成物及び治療剤を別々の方法又は連続的な方法で投与する場合、それらは異なる医薬形態で投与することができる。
したがって、別の態様では、本発明は、同時、別々、又は連続投与のための組合せ製剤としての、本発明の組成物及び前記した少なくとも1つの抗癌治療剤に関する。換言すれが、本発明は、同時、別々、又は連続投与のための、本発明の組成物と前記した少なくとも1つの抗癌治療剤との組合せ使用を提案する。
更なる態様において、本発明はまた、好ましくは癌の予防及び/又は治療における使用のための、以下のうちの少なくとも1つを含むキットオブパーツに関する:
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、
− 本発明に係る宿主細胞、又は
− 本発明に係る免疫原性組成物。
特に、本発明のキットオブパーツは、前記の成分のうちの1超を含むことができきる。例えば、本発明に係るキットオブパーツは、少なくとも2つの異なる免疫原性化合物、少なくとも2つの異なる抗原性ペプチド、少なくとも2つの異なるナノ粒子、少なくとも2つの異なる細胞、少なくとも2つの異なる核酸、少なくとも2つの異なる宿主細胞、及び/又は少なくとも2つの異なる免疫原性組成物を含むことができる。好ましくは、前記キットオブパーツに含まれるそのような異なる成分は、本発明に係る抗原性ペプチドが異なり、例えば、第1の抗原性ペプチドに関する1つの成分と、第2の抗原性ペプチド(前記第1の抗原性ペプチドと異なる)に関する1つの成分である。
例えば、キットは、本発明に係る2つの異なる免疫原性化合物を含むことができる。
例えば、キットは、本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドを含むことができる。
例えば、キットは、本発明に係る2つの異なるナノ粒子を含むことができる。
例えば、キットは、本発明に係る2つの異なる核酸を含むことができる。
キットオブパーツの各種成分は、1以上の容器内にパーケージすることができる。前記成分は、凍結乾燥若しくは乾燥形態で提供することができる、又は適切な緩衝液に溶解させることができる。キットはまた、例えば保存剤、成長培地、及び/又は前記成分の保存及び/又は再構成のための緩衝液、洗浄溶液などの更なる試薬を含むことができる。更に、本発明に係るキットオブパーツは、使用説明書を含んでもよい。
更に、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物又は本明細書に記載のワクチン、及び癌の予防及び/又は治療における前記免疫原性組成物又は前記ワクチンの使用説明書を含む、癌を治療、予防、及び/又は安定化するためのワクチン接種キットを提供する。
好ましくは、そのようなキットは、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物を使用することによって癌を予防又は治療するための指示を含むパッケージインサート又は指示リーフレットを更に含む。
前記成分のいずれかに加えて、キットが本明細書に記載の抗癌治療剤を含むことも好ましい。
医学的治療と使用
前記のように、本発明の組成物は、治療目的、特にそれを必要とする患者において癌を予防又は治療するために特定の腫瘍抗原/タンパク質に対して特異的免疫応答を引き起こすために特に有用であり得る。
更なる態様において、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物を提供する。好ましくは、前記癌は、前記のような抗原性ペプチドの(参照)抗原に関する。
したがって、本発明は、それを必要とする被験体において癌を予防及び/又は治療する、又は抗腫瘍応答を開始、増強、又は延長するための方法であって、前記被験体に以下を投与することを含む方法を提供する:
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、
− 本発明に係る宿主細胞、
− 本発明に係る免疫原性組成物、又は
− 本明細書に記載の本発明に係る組合せ。
更に、本発明は、被験体において、CD8細胞傷害性T細胞に依存する1以上のエピトープに対する免疫応答を誘発又は改善するための方法を提供し、前記方法は、前記被験体に以下のいずれかを投与することを含む:
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、
− 本発明に係る宿主細胞、
− 本発明に係る免疫原性組成物、又は
− 本明細書に記載の本発明に係る組合せ。
CD8応答に依存する免疫応答は、本発明の化合物の投与前のレベルに対する、IFN−γ、TNF−α、及びIL−2のmRNA又はタンパク質の1以上の発現の上昇などの炎症応答、炎症性サイトカイン応答を評価することによって決定することができる。それはまた、本発明の化合物の投与後の抗原特異的T細胞の頻度又は絶対数の増加によって測定することができ、これは、HLA−ペプチドマルチマー染色、ELISPOTアッセイ、及び遅延型過敏症試験で測定することができる。それはまた、抗原特異的Tヘルパー細胞に依存する抗原特異的血清抗体の増加によって間接的に測定することもできる。
本発明はまた、被験体において、複数のMHCクラスI分子によって制限される1以上の抗原又は抗原エピトープに対する免疫応答を誘発又は改善するための方法であって、前記方法は、
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、
− 本発明に係る宿主細胞、
− 本発明に係る免疫原性組成物、又は
− 本明細書に記載の本発明に係る組合せ
を投与することを含む。
複数のMHCクラスI分子によって制限される、本明細書に記載の複数のエピトープに対する免疫応答を被験体において誘発又は改善するための方法は、サイトカイン応答を評価することによって決定することができる。これは、抗原提示細胞上の別々のMHCクラスI分子に結合する個々のペプチドでT細胞をインビトロ刺激した後の、本発明の化合物の投与前のレベルに対するIFN−γ、TNF−α、及びIL−2のmRNA又はタンパク質の1以上の発現の上昇を含む。MHCクラスI分子への制限は、また、MHCクラスI分子を発現する抗原提示細胞を使用することによって、又はMHCクラスI遮断抗体を使用することによって評価することができる。MHCクラスI分子と共に組み立てられたマルチマーを用いて、HLA−ペプチドマルチマー染色によって測定される、本発明の化合物の投与後の抗原特異的T細胞の頻度又は絶対数の増加によっても測定することができる。
したがって、別の態様では、本発明は医薬としての使用のための記で定義された組成物に関する。更に、
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、
− 本発明に係る宿主細胞、
− 本発明に係る免疫原性組成物、又は
− 本明細書に記載の本発明に係る組合せ
を医薬として使用することができる。
本発明は、より具体的には、免疫療法のためのワクチンとしての使用のための上で定義された組成物に関する。更に、
− 本発明に係る免疫原性化合物、
− 本発明に係る抗原性ペプチド、
− 本発明に係るナノ粒子、
− 本発明に係る細胞、
− 本発明に係る核酸、
− 本発明に係る宿主細胞、
− 本発明に係る免疫原性組成物、又は
− 本明細書に記載の本発明に係る組合せ
を、特に(癌)免疫療法のためのワクチンとして使用することができる。
本発明の状況において使用するとき、用語「ワクチン」は、典型的には、特定の疾患、好ましくは癌に対する自然免疫及び/又は適応免疫を提供する生物学的製剤を意味する。したがって、ワクチンは、特に、治療される被験体の免疫系の自然及び/又は適応免疫応答を支援する。例えば、本発明に係る抗原性ペプチドは、典型的には、治療される患者における適応免疫応答を導く又は支援する。
本発明の状況において、ワクチン(組成物)は、腫瘍抗原に対して特異的な免疫応答を誘導することができ、したがって、好ましくは癌の予防又は治療に使用される。それはまた、本明細書において癌ワクチンとも称することができる。
したがって、好ましい実施形態では、本発明は、それを必要とする被験体における癌の予防及び/又は治療における使用のための、上で定義した組成物に関する。より正確には、本発明は、それを必要とする被験体における癌を予防又は治療するための医薬の製造のための本発明の組成物の使用に関する。
換言すれば、本発明は、有効量の本発明の組成物を被験体に投与することを含む、それを必要とする前記被験体における癌を予防又は治療するための方法に関する。
医薬の投与方法は当業者によく知られている。本発明の組成物に関して、それは、被験体に直接、罹患臓器(即ち、局所投与)又は全身(即ち、経腸又は非経口投与)に投与することができ、或いは被験体又はヒト細胞系統に由来する、後に被験体に投与される細胞にエクスビボで適用することもでき、更には、後に被験体に再度投与される、被験体に由来する免疫細胞の亜集団を選択するためにインビトロで使用することもできる。本明細書で使用される経腸投与には、経口投与及び直腸投与、並びに胃供給チューブ、十二指腸供給チューブ、又は胃瘻による投与が含まれ、一方、非経口投与には、特に、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、骨内、脳内投与、及び髄腔内注射が含まれる。投与方法は、組成物中に存在する抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物、並びに治療される癌の種類及び前記組成物中に含まれ得る他の活性剤に依存することが多い。例えば、免疫原性化合物が上で定義した核酸である場合、投与は、筋肉内又は皮内注射であることが好ましく、前記核酸がウイルスベクターにクローニングされている場合、経口/経鼻投与が特に好ましい。或いは、抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物が上で定義したような(ポリ)ペプチドである場合、又はそれが本明細書に記載のナノ粒子中/上にロードされる場合、投与は好ましくは筋肉内、皮内、又は経口投与である。更にまた代替的に、抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物が上で定義された腸内細菌の形態で送達される場合、特に腸内細菌がプロバイオティクスの形態である場合、投与は、好ましくは経口投与である。
それを必要とする被験体へのそれらの投与を容易にするために、本発明に係る抗原性ペプチド及び/又は免疫原性化合物を更にカプセル化することができる。例えば、それらは、ペプチドナノ担体(免疫原性化合物が核酸又は(ポリ)ペプチドである場合に好ましい)、ビロソーム(免疫原性化合物が核酸又は(ポリ)ペプチドである場合に好ましい)、又はリポソーム−ポリカチオン−DNA複合体などの脂質ベースの担体システム(免疫原が核酸又は(ポリ)ペプチドである場合に好ましい)にカプセル化することができる(Trovato M, De Berardinis P. Novel antigen delivery systems. World J Virol. 2015 Aug 12;4(3):156−68; Saade F, Petrovsky N. Technologies for enhanced efficacy of DNA vaccines. Expert Rev Vaccines. 2012 Feb;11(2):189−209; Li et al., Peptide Vaccine: Progress and Challenges. Vaccines (Basel). 2014 Jul 2;2(3):515−36)。
所望の効果を達成するために、組成物を1回超投与することもできる。好ましい実施形態では、前記組成物は繰り返し、少なくとも2回、好ましくは2回超投与される。これは、被験体が適切に免疫感作されることを確実にするために、初回投与後、毎週、隔週、毎月、毎年、又は更に数年間などの長期間に亘って行うことができる。
一実施形態によれば、本発明に係る抗原性ペプチド又は免疫原性化合物は、それを必要とする被験体における癌を予防又は治療するための組成物及び/又は免疫原性組成物の調製のために使用することができる。
組合せ治療
特に本発明に係る方法及び使用において、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、及び本発明に係る免疫原性組成物の投与は、単独で又は抗がん治療剤などの癌の治療及び/又は予防に有用な補助剤と組み合わせて実施することができる。
したがって、前記治療剤は、本発明に係る抗原性ペプチドが使用されるのと同一種類の癌を予防及び/又は治療することができることが好ましい。本発明に係る特に好ましい抗癌治療剤としては、抗体、腫瘍細胞溶解物、化学療法剤、放射線療法剤、免疫チェックポイントモジュレーター、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
抗体は、癌細胞表面上の特定の抗原に結合し、それによって治療を腫瘍に向ける(即ち、これらは腫瘍標的化抗体と称される)、又は癌において調節不全である免疫チェックポイントを遮断する(即ち、これらは免疫調節性抗体と称される)ことができるので、癌治療において特に有利である。後者のタイプの抗体の目的は、癌の免疫抵抗を阻害することであり、これは特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に対して見ることができる。実際、当該技術分野でよく知られているように、通常の生理学的条件下では、免疫チェックポイントが自己寛容(即ち、自己免疫の防止)の維持にとって極めて重要であり、免疫系が病原性感染に反応しているときに、組織を損傷から保護する。しかし、癌では、免疫チェックポイント発現が、免疫抵抗の重要なメカニズムとして調節不全になり得る。前記抵抗は、PD−L1チェックポイントに関して、黒色腫、卵巣癌、肺癌、神経膠芽腫、乳癌、及び膵臓癌において特に見られる(Konishi et al., B7−H1 expression on non−small cell lung cancer cells and its relationship with tumor−infiltrating lymphocytes and their PD−1 expression. Clin Cancer Res. 2004 Aug 1;10(15):5094−100; Ghebeh et al., The B7−H1 (PD−L1) T lymphocyte−inhibitory molecule is expressed in breast cancer patients with infiltrating ductal carcinoma: correlation with important high−risk prognostic factors. Neoplasia. 2006 Mar;8(3):190−8; Hino et al., Tumor cell expression of programmed cell death−1 ligand 1 is a prognostic factor for malignant melanoma. Cancer. 2010 Apr 1;116(7):1757−66)。免疫チェックポイントの他の例としては、PD−L2、PD1、CD80、CD86、CTLA4、B7H3、B7H4、PVR、TIGIT、GAL9、LAG−3、GITR、CD137、TIM3、VISTA、VISTA−Rが挙げられるが、これらに限定されない(Pico de Coana et al., Checkpoint blockade for cancer therapy: revitalizing a suppressed immune system. Trends Mol Med. 2015 Aug;21(8):482−91; Pardoll DM1. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012 Mar 22;12(4):252−64)。
抗体は通常、ネイキッドなモノクローナル抗体の形態(即ち、非コンジュゲート)、又は細胞に対して毒性であり得るか又は放射性であり得る別の分子にコンジュゲートされるかのいずれかで、前記目的のために使用される。
癌免疫療法において使用されるよく知られたモノクローナル腫瘍標的化抗体の例としては、限定されるものではないが、アレムツズマブ(慢性リンパ性白血病)、ベバシズマブ(結腸直腸癌、多形性膠芽腫、子宮頸癌、肺癌、腎癌)、ブレンツキシマブ/ベドチン(リンパ腫)、ブリナツムマブ(急性リンパ芽球性白血病)、カツマキソマブ(EPCAM+癌の悪性腹水症)、セツキシマブ(頭頸部癌、結腸直腸癌)、デノスマブ(乳癌、前立腺癌、及び骨癌)、ゲムツズマブ/オゾガマイシン(急性骨髄性白血病)、イブリツモマブ/チウキセタン(非ホジキンリンパ腫)、パニツムマブ(結腸直腸癌)、ペルツズマブ(乳癌)、オビヌツズマブ(慢性リンパ性白血病)、オファツムマブ(慢性リンパ性白血病)、オピリムマブ(黒色腫)、ラムシミルマブ(胃及び胃食道癌)、リツキシマブ(慢性リンパ性白血病及び非ホジキンリンパ腫)、シルツキシマブ(多中心性キャッスルマン病)、トシツモマブ(非ホジキンリンパ腫)、及びトラスツズマブ(乳癌、胃癌及び胃食道癌)が挙げられ;一方、免疫調節抗体の例としては、限定されるものではないが、CTLA4依存性免疫チェックポイントを遮断するイピリムマブ(黒色腫)、いずれもPDCD1依存性免疫チェックポイントを遮断するニボルマブ(黒色腫、肺癌)及びプレンブロリズマブ(黒色腫)、及びいずれもPD−L1依存性免疫チェックポイントを遮断するMPDL3280A、MEDI4736、MEDI0680、及びMSB0010718Cが挙げられる(Sharma and Allison, The future of immune checkpoint therapy. Science. 2015 Apr 3;348(6230):56−61)。
以下に、癌免疫療法用の他の抗体が記載されている:Buque et al.(Buque et al., Trial Watch: Immunomodulatory monoclonal antibodies for oncological indications. Oncoimmunology. 2015 Mar 2;4(4):e1008814. eCollection 2015 Apr)Redman et al.(Redman et al., Mechanisms of action of therapeutic antibodies for cancer. Mol Immunol. 2015 Oct;67(2 Pt A):28−45)、及びSimpson and Caballero, Monoclonal antibodies for the therapy of cancer MC Proc. 2014; 8(Suppl 4): O6 as well as on the antibody society website (list of therapeutic monoclonal antibodies approved or in review in the European Union or United States available on the weblink http://www.antibodysociety.org/news/approved_mabs.php)。
腫瘍細胞溶解物もまた、本発明に係る抗原性ペプチドと組み合わせることができる。腫瘍細胞は、内因性ペプチド−MHC複合体を提示することによって、並びに前記溶解物によって送達された抗原を処理し提示することができる宿主の樹状細胞(DC)を介して、免疫応答を刺激することができる。それによって、免疫応答の誘導が可能な抗原の範囲が広がる。腫瘍細胞溶解物は、熱ショック及び/又は化学的処理で腫瘍細胞を処理することによって容易に得ることができ、自己由来(即ち、患者自身から単離される)又は同種異系(即ち、別の被験体から単離される)であることができる。
標準的な化学療法薬及び放射線療法剤については、特に以下に広く記載されているので、本明細書中に更に記載する必要はない:Baskarら(Baskar et al., Cancer and radiation therapy: current advances and future directions. Int J Med Sci. 2012;9(3):193−9)、Paciら(Paci et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part 1−−cytotoxics. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2010−9)、Widmerら(Widmer et al., Review of therapeutic drug monitoring of anticancer drugs part two−−targeted therapies. Eur J Cancer. 2014 Aug;50(12):2020−36)。そのような薬物及び薬剤のリストは、cancer.govウェブサイト(http://www.cancer.gov/about−cancer/treatment/drugs)でも利用可能である。
好ましくは、本明細書で定義された抗原性ペプチドとの組合せのための免疫チェックポイントモジュレーターは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、ICOS、A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CD40、CTLA−4、IDO、KIR、LAG3、PD−1、TIM−3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、GITR、TNFR、及び/又はFasR/DcR3から選択される1以上の免疫チェックポイント分子の活性化剤又は阻害剤;又は、その1以上のリガンドの活性化剤若しくは阻害剤である。
より好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、(共)刺激チェックポイント分子の活性化剤、又は阻害性チェックポイント分子の阻害剤又はそれらの組合せである。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、(i)CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOSの活性化剤、又は(ii)A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CD40、CTLA−4、IDO、KIR、LAG3、PD−1、PDL−1、PD−L2、TIM−3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はFasR/DcR3の阻害剤である
更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、阻害性チェックポイント分子の阻害剤である(が、好ましくは、刺激性チェックポイント分子の阻害剤ではない)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、更により好ましくは、A2AR、B7−H3、B7−H4、BTLA、CTLA−4、IDO、KIR、LAG3、PD−1、PDL−1、PD−L2、TIM−3、VISTA、CEACAM1、GARP、PS、CSF1R、CD94/NKG2A、TDO、TNFR、及び/又はDcR3、或いはそれらのリガンドの阻害剤である。
免疫チェックポイントモジュレーターは、刺激性又は共刺激性チェックポイント分子の活性化剤であることも好ましい(が、好ましくは、阻害性チェックポイント分子の活性化剤ではない)。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、より好ましくは、CD27、CD28、CD40、CD122、CD137、OX40、GITR、及び/又はICOS、或いはそれらのリガンドの活性化剤である。
免疫チェックポイントモジュレーターは、CD40経路、IDO経路、LAG3経路、CTLA−4経路、及び/又はPD−1経路のモジュレーターであることが更により好ましい。特に、免疫チェックポイントモジュレーターは、好ましくはCD40、LAG3、CTLA−4、PD−L1、PD−L2、PD−1、及び/又はIDOのモジュレーターであり、より好ましくは免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4、PD−L1、PD−L2、PD−1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤又はCD40の活性化剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4、PD−L1、PD−1、LAG3、及び/又はIDOの阻害剤であり、更により好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、LAG3、CTLA−4、及び/又はPD−1の阻害剤であり、最も好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、CTLA−4及び/又はPD−1の阻害剤である。
したがって、抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA−4経路又はPD−1経路の知られたモジュレーターから選択することができる。好ましくは、本明細書中で定義された抗原性ペプチドとの組合せのためのチェックポイントモジュレーターは、CTLA−4経路又はPD−1経路の知られたモジュレーターから選択することができる。特に好ましくは、免疫チェックポイントモジュレーターは、PD−1阻害剤である。CTLA−4経路及びPD−1経路の好ましい阻害剤としては、モノクローナル抗体Yervoy(登録商標)(イピリムマブ;Bristol Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer/MedImmune)、及びOpdivo(登録商標)(ニボルマブ;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ;Merck)、デュルバルマブ(MedImmune/AstraZeneca)、MEDI4736(AstraZeneca;WO2011/066389 A1参照)、MPDL3280A(Roche/Genentech;US8,217,149B2参照)、ピジリズマブ(CT−011;CureTech)、MEDI0680(AMP−514;AstraZeneca)、MSB−0010718C(Merck)、MIH1(Affymetrix)、及びランブロリズマブ(例えば、WO2008/156712;Hamidら,2013;N.Engl.J.Med.369:134−144において、hPD109A及びそのヒト化誘導体h409All、h409A16、及びh409A17として開示される)が挙げられる。より好ましいチェックポイント阻害剤としては、CTLA−4阻害剤Yervoy(登録商標)(イピリムマブ;Bristol Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer/MedImmune)、及びPD−1阻害剤Opdivo(登録商標)(ニボルマブ;Bristol Myers Squibb)、Keytruda(登録商標)(ペムブロリズマブ;Merck)、ピジリズマブ(CT−011;CureTech)、MEDI0680(AMP−514;Astrazeneca)、AMP−224、及びランブロリズマブ(例えば、WO2008/156712;Hamid O. et al.,2013;N.Engl.J.Med.369:134−144において、hPD109A及びそのヒト化誘導体h409A11、h409A16、及びh409A17として開示される)が挙げられる。
また、本明細書で定義された抗原性ペプチドとの組合せのための免疫チェックポイントモジュレーターは、ペムブロリズマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、MPDL3280A、MEDI4736、トレメリムマブ、アベルマブ、PDR001、LAG525、INCB24360、バルリルマブ、ウレルマブ、AMP−224、及びCM−24からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の目的のために適切な免疫抗癌治療剤を選択することは、当業者の技術の範囲内である。例えば、黒色腫の予防又は治療を望むならば、黒色腫細胞からの溶解物及び/又は抗体オピリムマブを、本明細書に記載の本発明に係る対応する抗原性ペプチドと共に好ましく使用することができる。
抗癌治療剤はまた、本発明に係る抗原性ペプチド、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物と共に、本明細書に記載されるほぼ同時に又は連続的に、同一又は異なる医薬形態で投与することもできる。
したがって、別の態様では、本発明は、同時、別々、又は連続投与のための組合せ製剤としての、本発明の組成物及び前記した少なくとも1つの抗癌治療剤に関する。換言すれが、本発明は、同時、別々、又は連続投与のための、本発明の組成物と前記した少なくとも1つの抗癌治療剤との組合せ使用を提案する。
更に、本発明はまた、本明細書に記載の本発明に係る(少なくとも)2つの異なる抗原性ペプチドの組合せを提供する。これに関連して、(少なくとも)2つの異なる抗原性ペプチドは、任意の形態であることができ、例えば、「ネイキッド」であるか、免疫原性化合物、ナノ粒子、(免疫原性)組成物、又はそれらがロードされた細胞に含まれるか、又は核酸(例えば、ベクター)によってコードされることができる。したがって、(少なくとも)2つの異なる抗原性ペプチドは、(組み合わされる)(少なくとも)2つの異なる成分に含まれ得る。したがって、本発明に係る組合せの2つの異なる成分は、特に本発明に係る異なる抗原性ペプチド(免疫原性化合物、ナノ粒子に含まれる、核酸によってコードされるなど)を意味する。そのような2つの異なる成分、特に本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(2つの異なる成分に含まれる)は、好ましくは同一種類の癌、例えば、この癌に関連する同一又は異なる抗原、及び/又はこの癌に関連する抗原内の異なる(参照)エピトープと同一又は異なる抗原を意味する。より好ましくは、2つの異なる成分、特に本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(2つの異なる成分に含まれる)は、同一の腫瘍(関連又は特異的)抗原に関する。2つの異なる成分、特に本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチド(2つの異なる成分に含まれる)は、同一又は異なる(参照)腫瘍(関連又は特異的)抗原にも関連し得る。
更に、本発明に係る抗原性ペプチドはまた、(ペプチド「ファミリー」に関して前記したように)対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープと組み合わせることもできる。それによって、腫瘍に対して非常に効率的なT細胞クローンの選択が得られる/支持される。特に、本発明に係る抗原性ペプチドと対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープとを共投与することができる。そのような共投与は、ほぼ同時に(同時に)又は連続的であることができ、連続投与においては、本発明に係る抗原性ペプチドが最初に投与され、その後対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープが投与されることが好ましい。特に、本発明に係る抗原性ペプチドを最初に投与することができ、対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープを(再)追加免疫として使用することができる。例えば、配列番号47の抗原性ペプチドを配列番号120の参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号51、52、55、又は56の抗原性ペプチドを配列番号122の参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号77の抗原性ペプチドを配列番号128の参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号93の抗原性ペプチドを配列番号136の参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号28の抗原性ペプチドを配列番号115の参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号101又は102の抗原性ペプチドを配列番号141の参照ペプチドと組み合わせることができる。別の例では、配列番号26の抗原性ペプチドを配列番号113の参照ペプチドと組み合わせることができる。
(a)本発明に係る抗原性ペプチド及び対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープ、又は(b)本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドなどの、組み合わせられる両方のペプチドを
− 本発明に係る同一の免疫原性化合物又は本発明に係る異なる免疫原性化合物において、
− 本発明に係る同一のナノ粒子内、又は本発明に係る異なるナノ粒子内に(ロードされて)、
− 本発明に係る同一の細胞内、又は本発明に係る異なる細胞内に(ロードされて)、
− 本発明に係る同一の核酸によって、又は本発明に係る異なる核酸(によってコードされて)、
− 本発明に係る同一の宿主細胞によって、又は本発明に係る異なる宿主細胞(によって発現されて)、
− 本発明に係る同一の免疫原性組成物又は本発明に係る異なる免疫原性組成物(に含有されて)、
投与することができる。
例えば、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための以下の組合せを提供する:
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチドを含む本発明に係る免疫原性化合物、及び
(ii)本発明に係る第2の抗原性ペプチドを含む本発明に係る免疫原性化合物。
例えば、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための以下の組合せを提供する:
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチド、及び
(ii)本発明に係る第2の抗原性ペプチド。
例えば、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための以下の組合せを提供する:
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチドを含む本発明に係るナノ粒子、及び
(ii)本発明に係る第2の抗原性ペプチドを含む本発明に係るナノ粒子。
例えば、本発明は、癌の予防及び/又は治療における使用のための以下の組合せを提供する:
(i)本発明に係る第1の抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む本発明に係る核酸、及び
(ii)本発明に係る第1の抗原性ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む本発明に係る核酸。
好ましくは、(a)本発明に係る抗原性ペプチド及び対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープ、又は(b)本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドなどの、組み合わせられる両方のペプチド、特に成分(i)及び(ii)は、ほぼ同時に投与される。より一般的には、任意の製剤の第1の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第1の(抗原性)ペプチド成分」と称する)は、任意の製剤の第2の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第2の(抗原性)ペプチド成分」と称する)と、ほぼ同時に投与されことが好ましく、両方の(抗原性)ペプチドは、好ましくは同一形態(即ち、同一種類の製剤、例えば、両方ともナノ粒子として、両方とも免疫原性組成物として、など)で投与される。
本明細書で使用される「ほぼ同時に」とは、特に同時投与、又は(i)第1の(抗原性)ペプチド成分の投与直後に、(ii)第2の(抗原性)ペプチド成分が投与される、又は(ii)第2の(抗原性)ペプチド成分の投与直後に、(i)第1の(抗原性)ペプチド成分が投与されることを意味する。当業者は、「直後」は、第2の投与を準備するのに必要な時間、特に第2の投与のためにその場所を露出及び消毒するのに必要な時間、及び「投与装置」(例えば、シリンジ、ポンプなど)の適切な準備に必要な時間を含むことを理解する。同時投与は、(i)第1(抗原性)ペプチド成分と(ii)第2(抗原性)ペプチド成分の投与期間が重複する場合、又は例えば1つの成分がより長い期間(例えば、30分間、1時間、2時間、又はそれ以上)に亘り注入などによって投与され、他の成分がそのような長い期間の間のある時点で投与される場合も含む。異なる投与経路及び/又は異なる投与部位が使用される場合、(i)第1の(抗原性)ペプチド成分及び(ii)第2の(抗原性)ペプチド成分のほぼ同時投与が特に好ましい。
また、(a)本発明に係る抗原性ペプチド及び対応する(ヒト)腫瘍抗原エピトープ、又は(b)本発明に係る2つの異なる抗原性ペプチドなどの、組み合わせられる両方のペプチド、特に成分(i)及び(ii)は、連続的に投与されることも好ましい。より一般的には、任意の製剤の第1の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第1の(抗原性)ペプチド成分」と称する)と、任意の製剤の第2の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第2の(抗原性)ペプチド成分」と称する)は連続的に投与されることが好ましく、両方の(抗原性)ペプチドは、好ましくは同一形態(即ち、同一種類の製剤、例えば、両方ともナノ粒子として、両方とも免疫原性組成物として、など)で投与される。
これは、(i)第1の(抗原性)ペプチド成分が、(ii)第2の(抗原性)ペプチド成分の前又は後に投与されることを意味する。連続投与において、第1の成分の投与と第2の成分の投与との間の時間は、好ましくは1週間以内、より好ましくは3日間以内、更により好ましくは2日間以内、最も好ましくは24時間以内である。(i)第1の(抗原性)ペプチド成分及び(ii)第2の(抗原性)ペプチド成分は、同じ日に投与されることが特に好ましく、第1の成分(第1又は第2の(抗原性))の投与と第2成分(第1又は第2の(抗原性)ペプチドの他方)の投与との間の時間は、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内、更により好ましくは2時間以内、最も好ましくは1時間以内である。
好ましくは、(i)第1の(抗原性)ペプチド成分と(ii)第2の(抗原性)ペプチド成分は、同一の投与経路で投与される。より一般的には、任意の製剤の第1の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第1の(抗原性)ペプチド成分」と称する)と、任意の製剤の第2の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第2の(抗原性)ペプチド成分」と称する)は、同一の投与経路で投与されることが好ましく、両方の(抗原性)ペプチドは、好ましくは同一形態(即ち、同一種類の製剤、例えば、両方ともナノ粒子として、両方とも免疫原性組成物として、など)で投与される。
また、成分(i)と(ii)は、異なる投与経路で投与されることも好ましい。より一般的には、任意の製剤の第1の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第1の(抗原性)ペプチド成分」と称する)と、任意の製剤の第2の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、本発明に係る宿主細胞、又は本発明に係る免疫原性組成物の形態;本明細書では「第2の(抗原性)ペプチド成分」と称する)は、異なる投与経路で投与されことが好ましく、両方の(抗原性)ペプチドは、好ましくは同一形態(即ち、同一種類の製剤、例えば、両方ともナノ粒子として、両方とも免疫原性組成物として、など)で投与される。
好ましくは、成分(i)と(ii)は、同一の組成物に含有される。より一般的には、任意の製剤の第1の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、又は本発明に係る宿主細胞;本明細書では「第1の(抗原性)ペプチド成分」と称する)と、任意の製剤の第2の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、又は本発明に係る宿主細胞;本明細書では「第2の(抗原性)ペプチド成分」と称する)は、同一の組成物に含有されることが好ましく、両方の(抗原性)ペプチドは、好ましくは同一形態(即ち、同一種類の製剤、例えば、両方ともナノ粒子として、など)で投与される。
また、成分(i)と(ii)は、異なる組成物に含有されることも好ましい。より一般的には、任意の製剤の第1の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、又は本発明に係る宿主細胞;本明細書では「第1の(抗原性)ペプチド成分」と称する)と、任意の製剤の第2の(抗原性)ペプチド(例えば、本発明に係る免疫原性化合物、本発明に係るナノ粒子、本発明に係る細胞、本発明に係る核酸、又は本発明に係る宿主細胞;本明細書では「第2の(抗原性)ペプチド成分」と称する)は、異なる組成物に含有されることが好ましく、両方の(抗原性)ペプチドは、好ましくは同一形態(即ち、同一種類の製剤、例えば、両方ともナノ粒子として、など)で投与される。
実施例
実施例1及び2はいずれも、図1に記載される一般的なプロトコルに関連する。
実施例1:HLA−A0201アレルに対して優れた親和性を有する候補抗原性ペプチドの同定
この実施例は、配列番号71の抗原性ペプチド(<<FLPFGFILV>>、本明細書ではIL13RA2−Bとも称される)がHLA−A0201アレルに対する高い親和性を有するのに対して、IL13RA2由来の対応する参照ヒトペプチド(<<WLPFGFILI>>、配列番号123、本明細書ではIL13RA2−Hとも称される)は、低い親和性を有することを示す。
A.材料及び方法
A1.T2細胞系統に対するペプチドの親和性の測定
実験プロトコルは、HLA−A0201によって提示されたペプチドについて検証されたものと同様である(Tourdot et al., A general strategy to enhance immunogenicity of low−affinity HLA−A2.1−associated peptides: implication in the identification of cryptic tumor epitopes. Eur J Immunol. 2000 Dec; 30(12):3411−21)。ペプチドの親和性測定は、HLA−A0201分子を発現するがTAP1/2陰性であり、内因性ペプチドを提示することができないヒト腫瘍細胞T2を用いて達成される。
T2細胞(2.10細胞/ウェル)を、100ng/μlのヒトβ2mを添加したAIMV培地中で100μMから0.1μMまで減少する濃度のペプチドと共に37℃で16時間インキュベートする。次に、細胞を2回洗浄し、PEに結合した抗HLA−A2抗体(クローンBB7.2、BD Pharmagen)で標識する。
分析は、FACS(Guava Easy Cyte)によって達成される。
各ペプチド濃度について、目的のペプチドに関連する標識の幾何平均をバックグラウンドノイズから差し引き、100μMの濃度で参照ペプチドHIV pol 589−597で得られたHLA−A0202標識の幾何平均のパーセンテージとして報告する。次に、相対的親和性を次のように決定する。
相対的親和性=HLA−A0201の発現の20%を誘導する各ペプチドの濃度/HLA−A0201の発現の20%を誘導する参照ペプチドの濃度
A2.ペプチドの可溶化
各ペプチドは、アミノ酸組成を考慮することによって可溶化される。システイン、メチオニン、又はトリプトファンを含まないペプチドの場合、DMSOの添加は、全体積の最大10%まで可能である。他のペプチドを水又はPBS pH7.4に再懸濁する。
B.結果
T2 ATCC細胞の場合:可変ペプチド濃度についての平均蛍光強度:対のIL13RA2ペプチド(IL13RA2−H及びIL13RA2−B)に関して、ヒトペプチドは、HLA−A0201に強く結合する候補ペプチドIL13RA2−Bとは反対にHLA−A0201に結合しないようである:100μMで112.03対18.64;10μMで40.77対11.61;1μMで12.18対9.41;0.1μMで9.9対7.46。
また、4.4μMでのIL13RA2−Bは、HLA−A0201の発現の20%を誘導する(IL13RA2−Hの場合の100μMに対して)。
同様の結果が、第2の異なるT2細胞クローンから得られた。
実施例2:候補抗原性ペプチドを用いたマウスへのワクチン接種は、ELISPOT−IFNγアッセイにおいて改善されたT細胞応答を誘導する。
A.材料及び方法
A.1 マウスモデル
使用したモデルの特徴を表2に概説する。
A.2 免疫感作スキーム
免疫感作スキームを図2に示す。簡潔に述べると、14頭のβ/A2/DR3マウスを無作為に(マウスの性別及び年齢に基づいて)2つの実験群に割り当て、それぞれを共通のヘルパーペプチド(h−pAg)と組み合わせられる特定のワクチン接種ペプチド(vacc−pAg)で免疫した(以下の表3に概説される)。vacc−pAgを対で比較した(群1対群2)。これにより、単一のペプチドの天然型と最適化型の両方を各群で比較した。
ペプチドは以下のように提供した。
・vacc−pAgの対:IL13RA2−H及びIL13RA2−B;いずれも、4mg/ml(4mM)の濃度で製造、提供。
・h−pAg:HHD−DR3;凍結乾燥し(50.6mg;Eurogentec batch 1611166)、10mg/mLの濃度で純蒸留水に再懸濁した。
動物を0日目(d0)に初回免疫注射で、d14に追加免疫注射で免疫した。各マウスの尾部に、以下を含む油性エマルジョンを100μL皮下注射した。
・100μgのvacc−pAg(マウス1頭当たり4mg/mLストック25μL)。
・150μgのh−pAg(マウス1頭当たり10mg/mLストック15μL)。
・総容量が50μLになるようにPBSを10μL(マウス1頭当たり)。
・1:1(v:v)の比率(マウス1頭当たり50μL)で添加される不完全フロイントアジュバント(IFA)
以下のように、各vacc−pAgについて別々のエマルジョンを調製した:IFA試薬を、15mLチューブ中のvacc−pAg/h−pAg/PBS混合物に添加し、濃厚なエマルジョンを形成するまで1分間の反復サイクルでボルテックスで混合した。
A.3 マウス解析
追加免疫注射の7日後(即ち、d21)、動物を安楽死させ、脾臓を摘出した。脾細胞は、臓器を機械的に破砕した後、70μmフィルタリングFicoll密度勾配精製することによって調製した。
脾細胞を直ちにELISPOT−IFNγアッセイに使用した(表4)。1ウェル当たり2×10総脾細胞を使用して、実験条件を4連で繰り返し、それらのIFNγ分泌能を評価するために、vacc−pAg(10μM)、コンカナバリンA(ConA、2.5μg/mL)、又は培地のみの存在下で培養した。市販のELISPOT−IFNγキット(Diaclone Kit Mujrine IFNγ ELISpot)を製造会社の指示にしたがって使用し、アッセイは、約16時間のインキュベーション後に実施した。
ImmunoSpot 5.4ソフトウェア(CTL−Europe)とインターフェースをとったGrand ImmunoSpot(登録商標)S6 Ultimate UV Image Analyzerでスポットを数えた。データプロッティング及び統計分析は、Prism−5ソフトウェア(GraphPad Software Inc.)を用いて行った。
細胞懸濁液をまた、T細胞数の規格化のために、フローサイトメトリーによっても分析した。モノクローナル抗体カクテル(データは示さず)を、マウス(1:10希釈「抗mCD16/CD32 CF11クローン」−内部供給)Fc受容体を標的とするFc遮断試薬の存在下で精製白血球に適用した。インキュベーションは、96ウェルプレート中、暗所で4℃にて15〜20分間行った。染色後に遠心分離によって細胞を洗浄して過剰のモノクローナル抗体カクテルを除去し、データ取得のためにPBSに再懸濁した。
全てのデータ取得は、FACS−Divaソフトウェア(BD Bioscience)とインターフェースをとったLSR−II Fortessaフローサイトメーターを用いて行われた。データの分析は、FlowJo−9ソフトウェア(TreeStar Inc.)をゲーティングストラテジ(図示せず)を用いて行った。
B.結果
合計14頭のβ/A2/DR3マウスをこの実験に使用した(表6参照)。屠殺時に、脾臓T細胞群をフローサイトメトリーによって分析したところ、大多数がCD4+T細胞サブセットに属することが示された。
プレーティングし、適切な刺激でインキュベートした後、IFNγ産生細胞が現れ、これを計数した。次いで、データを、10個の全T細胞当たりの特定のスポットの数(「培地のみ」の条件で得られた平均数を差し引いたもの)として規格化した。
次に、個々の平均値(4連から得た)を用いて群平均値をプロットした(図3A参照)。T細胞の機能的能力は個体ごとに異なる可能性があるので、データは個体当たりのConA応答の割合(%)としても表した(図3B参照)。
全体として、IL13RA2−B pAg(候補)ペプチドによるワクチン接種は、IL13RA2−H pA(参照ヒト)−ワクチン接種動物(群2)と比較して、ELISPOT−IFNγアッセイにおいて改善されたT細胞応答を誘導した。群1(IL13RA2−B)では、IL13RA2−B pAgによるエクスビボ再刺激は、IL13RA2−H pAgの場合よりも高い応答を促した。群2(IL13RA2−H)の場合はそうではなかった。各条件についてのConA誘導応答の割合(%)(平均+/−SEM)は以下の通りであった。
・群1(IL13RA2−B)/IL13RA2−B pAg:56.3%+/−18.1
・群1(IL13RA2−B)/IL13RA2−H pAg:32.3%+/−11.8
・群2(IL13RA2−H)/IL13RA2−B pAg:2.0%+/−0.8
・群2(IL13RA2−H)/IL13RA2−H pAg:1.1%+/−0.8
したがって、これらの結果は、IL13RA2を標的とする腫瘍抗原免疫療法が、インビボでのT細胞応答を改善することができ、IL13RA2−B候補ペプチド(配列番号71)がその目的に特に有効であるという実験的証拠を与える。
実施例3:HLA−A0201アレルに対して優れた親和性を有する更なる候補抗原性ペプチドの同定
この実施例は、配列番号47の抗原性ペプチド(<<RLLEETDLV>>、本明細書ではERBB2−1Bとも称される);配列番号51の抗原性ペプチド(<<VMLGVVFGV>>、本明細書ではERBB2−3B1とも称される);配列番号52の抗原性ペプチド(<<VLLGVVFGV>>、本明細書ではERBB2−3B2とも称される);配列番号55の抗原性ペプチド(<<VMLGVVFGI>>、本明細書ではERBB2−3B3とも称される);及び配列番号56の抗原性ペプチド(<<ILLGVVFGI>>、本明細書ではERBB2−3B4とも称される)が、ERBB2(<<RLLQETELV>>、配列番号120、本明細書ではERBB2−1Hとも称される);(<<VVLGVVFGI>>、配列番号122、本明細書ではERBB2−3Hとも称される)に由来する対応する参照ヒトペプチドよりもHLA−A0201アレルに対する高い親和性を有することを示す。
A.材料及び方法
A1.T2細胞系統に対するペプチドの親和性の測定
実験プロトコルは、HLA−A0201によって提示されたペプチドについて検証されたものと同様である(Tourdot et al., A general strategy to enhance immunogenicity of low−affinity HLA−A2.1−associated peptides: implication in the identification of cryptic tumor epitopes. Eur J Immunol. 2000 Dec; 30(12):3411−21)。ペプチドの親和性測定は、HLA−A0201分子を発現するがTAP1/2陰性であり、内因性ペプチドを提示することができないヒト腫瘍細胞T2を用いて達成される。
T2細胞(2.10細胞/ウェル)を、100ng/μlのヒトβ2mを添加したAIMV培地中で100μMから0.1μMまで減少する濃度のペプチドと共に37℃で16時間インキュベートする。次に、細胞を2回洗浄し、PEに結合した抗HLA−A2抗体(クローンBB7.2、BD Pharmagen)で標識する。
分析は、FACS(Guava Easy Cyte)によって達成される。
各ペプチド濃度について、目的のペプチドに関連する標識の幾何平均をバックグラウンドノイズから差し引き、100μMの濃度で参照ペプチドHIV pol 589−597で得られたHLA−A0202標識の幾何平均のパーセンテージとして報告する。次に、相対的親和性を次のように決定する。
相対的親和性=HLA−A0201の発現の20%を誘導する各ペプチドの濃度/HLA−A0201の発現の20%を誘導する参照ペプチドの濃度
A2.ペプチドの可溶化
各ペプチドは、アミノ酸組成を考慮することによって可溶化される。システイン、メチオニン、又はトリプトファンを含まないペプチドの場合、DMSOの添加は、全体積の最大10%まで可能である。他のペプチドを水又はPBS pH7.4に再懸濁する。
B.結果
結果を表7に示す。
表7に示されるように(特に、前記したように計算した「相対的親和性」を参照)、抗原性ペプチドERBB2−1Bは、対応するヒトペプチドERBB2−1Hよりも高い親和性(低い値)を示す。更に、抗原性ペプチドERBB2−3B1、ERBB2−3B2、ERBB2−3B3、及びERBB2−3B4は、対応するヒトペプチドERBB2−1Bよりも高い親和性(低い値)を示す。更に、抗原性ペプチドERBB2−1B、ERBB2−3B1、ERBB2−3B2、ERBB2−3B3、及びERBB2−3B4は、HLA−A0201の発現の20%を誘導するのに必要な濃度が(それらのヒト参照ペプチドと比較して)より低い。
同様の結果が第2の異なるT2細胞クローンからも得られた。
実施例4:HLA−A0201アレルに対して優れた親和性を有する更なる候補抗原性ペプチドの同定
この実施例は、配列番号77の抗原性ペプチド(<<KLVEWLAML>>、本明細書ではMAGE C1Bとも称される);配列番号93の抗原性ペプチド(<<SLPPDVQQV>>、本明細書ではMMP2−Bとも称される);配列番号28の抗原性ペプチド(<<ITSDVPFSV>>、本明細書ではPMEL−Bとも称される);配列番号101の抗原性ペプチド(<<MLAVFLPLV>>、本明細書ではSTEAP−B1とも称される);及び配列番号102の抗原性ペプチド(<<YLAVFLPIV>>、本明細書ではSTEAP−B2とも称される)が、MAGE C1(<<KVVEFLAML>>、配列番号128、本明細書ではMAGE C1Hとも称される)、MMP2(<<GLPPDVQRV>>、配列番号136、本明細書ではMMP2−Hとも称される)、PMEL(<<ITDQVPFSV>>、配列番号115、本明細書ではPMEL−Hとも称される)、及びSTEAP(<<MIAVFLPIV>>、配列番号141、本明細書ではSTEAP−Hとも称される)に由来する対応する参照ヒトペプチドよりもHLA−A0201アレルに対する高い親和性を有することを示す。
A.材料及び方法
A1.T2細胞系統に対するペプチドの親和性の測定
実験プロトコルは、HLA−A0201によって提示されたペプチドについて検証されたものと同様である(Tourdot et al., A general strategy to enhance immunogenicity of low−affinity HLA−A2.1−associated peptides: implication in the identification of cryptic tumor epitopes. Eur J Immunol. 2000 Dec; 30(12):3411−21)。ペプチドの親和性測定は、HLA−A0201分子を発現するがTAP1/2陰性であり、内因性ペプチドを提示することができないヒト腫瘍細胞T2を用いて達成される。
T2細胞(2.10細胞/ウェル)を、100ng/μlのヒトβ2mを添加したAIMV培地中で100μMから0.1μMまで減少する濃度のペプチドと共に37℃で16時間インキュベートする。次に、細胞を2回洗浄し、PEに結合した抗HLA−A2抗体(クローンBB7.2、BD Pharmagen)で標識する。
分析は、FACS(Guava Easy Cyte)によって達成される。
各ペプチド濃度について、目的のペプチドに関連する標識の幾何平均をバックグラウンドノイズから差し引き、100μMの濃度で参照ペプチドHIV pol 589−597で得られたHLA−A0202標識の幾何平均のパーセンテージとして報告する。次に、相対的親和性を次のように決定する。
相対的親和性=HLA−A0201の発現の20%を誘導する各ペプチドの濃度/HLA−A0201の発現の20%を誘導する参照ペプチドの濃度
A2.ペプチドの可溶化
各ペプチドは、アミノ酸組成を考慮することによって可溶化される。システイン、メチオニン、又はトリプトファンを含まないペプチドの場合、DMSOの添加は、全体積の最大10%まで可能である。他のペプチドを水又はPBS pH7.4に再懸濁する。
B.結果
結果を表8に示す。
表8に示されるように(特に、前記したように計算した「相対的親和性」を参照)、抗原性ペプチドMAGE C1Bは、対応するヒトペプチドMAGE C1Hよりも高い親和性(低い値)を示す。更に、抗原性ペプチドMMP2−Bは、対応するヒトペプチドMMP2−Hよりも高い親和性(低い値)を示す。更に、抗原性ペプチドPMEL−Bは、対応するヒトペプチドPMEL−Hよりも高い親和性(低い値)を示す。更に、抗原性ペプチドSTEAP−B1及びSTEAP−B2は、対応するヒトペプチドSTEAP−Hよりも高い親和性(低い値)を示す。更に、抗原性ペプチドMAGE C1B, MMP2−B, PMEL−B、STEAP−B1、及びSTEAP−B2は、HLA−A0201の発現の20%を誘導するのに必要な濃度が(それらのヒト参照ペプチドと比較して)より低い。
同様の結果が第2の異なるT2細胞クローンからも得られた。
実施例5:HLA−A0201アレルに対して優れた親和性を有する更なる候補抗原性ペプチドの同定
この実施例は、配列番号26の抗原性ペプチド(<<TMNGKSSPV>>、本明細書ではENAH−Bとも称される)がHLA−A0201アレルに対する高い親和性を有するのに対して、ENAH由来の対応する参照ヒトペプチド(<<TMNGSKSPV>>、配列番号113、本明細書ではENAH−Hとも称される)は、低い親和性を有することを示す。
A.材料及び方法
A1.T2細胞系統に対するペプチドの親和性の測定
実験プロトコルは、HLA−A0201によって提示されたペプチドについて検証されたものと同様である(Tourdot et al., A general strategy to enhance immunogenicity of low−affinity HLA−A2.1−associated peptides: implication in the identification of cryptic tumor epitopes. Eur J Immunol. 2000 Dec; 30(12):3411−21)。ペプチドの親和性測定は、HLA−A0201分子を発現するがTAP1/2陰性であり、内因性ペプチドを提示することができないヒト腫瘍細胞T2を用いて達成される。
T2細胞(2.10細胞/ウェル)を、100ng/μlのヒトβ2mを添加したAIMV培地中で100μMから0.1μMまで減少する濃度のペプチドと共に37℃で16時間インキュベートする。次に、細胞を2回洗浄し、PEに結合した抗HLA−A2抗体(クローンBB7.2、BD Pharmagen)で標識する。
分析は、FACS(Guava Easy Cyte)によって達成される。
各ペプチド濃度について、目的のペプチドに関連する標識の幾何平均をバックグラウンドノイズから差し引き、100μMの濃度で参照ペプチドHIV pol 589−597で得られたHLA−A0202標識の幾何平均のパーセンテージとして報告する。次に、相対的親和性を次のように決定する。
相対的親和性=HLA−A0201の発現の20%を誘導する各ペプチドの濃度/HLA−A0201の発現の20%を誘導する参照ペプチドの濃度
A2.ペプチドの可溶化
各ペプチドは、アミノ酸組成を考慮することによって可溶化される。システイン、メチオニン、又はトリプトファンを含まないペプチドの場合、DMSOの添加は、全体積の最大10%まで可能である。他のペプチドを水又はPBS pH7.4に再懸濁する。
B.結果
結果を表9に示す。
表9に示されるように(特に、前記したように計算した「相対的親和性」を参照)、抗原性ペプチドENAH−Bは、対応するヒトペプチドENAH−Hよりも高い親和性(低い値)を示す。特に、ヒトペプチドENAH−Hは、HLA−A0201に結合しないと思われる(ND:測定されず)。
更に、抗原性ペプチドENAH−Bは、HLA−A0201の発現の20%を誘導するのに必要な濃度が(ヒト参照ペプチドENAH−Hと比較して)より低い。
同様の結果が第2の異なるT2細胞クローンからも得られた。

Claims (49)

  1. 腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドを含む免疫原性化合物であって、前記抗原性ペプチドが、配列番号1〜106からなる群において選択されることを特徴とする免疫原性化合物。
  2. 配列番号1〜106のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する抗原性ペプチドを含むことを特徴とする免疫原性化合物。
  3. 前記抗原性ペプチドが、配列番号17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の免疫原性化合物。
  4. 前記抗原性ペプチドが、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項1から2のいずれかに記載の免疫原性化合物。
  5. 前記抗原性ペプチドが、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項3から4のいずれかに記載の免疫原性化合物。
  6. 前記抗原性ペプチドが、配列番号71の配列のペプチド又はポリペプチドである請求項1から2のいずれかに記載の免疫原性化合物。
  7. 前記抗原性ペプチドが、担体タンパク質に結合される請求項1から6のいずれかに記載の免疫原性化合物。
  8. 以下の式(I)の抗原性ペプチドを含む又はからなる請求項1から7のいずれかに記載の免疫原性化合物。
    PepNt−CORE−PepCt (I) 式中、
    −「PepNt」は、0〜500のアミノ酸残基のアミノ酸長を有するポリペプチドからなり、式(I)のポリペプチドのN末端に位置し;
    −COREは、配列番号1〜106からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む又はからなるポリペプチドからなり;及び
    −「PepCt」は、0〜500のアミノ酸残基のアミノ酸長を有し、式(I)のポリペプチドのC末端に位置するポリペプチドからなる。
  9. 腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドであって、前記抗原性ペプチドが、IL13RA2とアミノ酸類似性を有するペプチドからなる群において選択され、前記抗原性ペプチドが、配列番号1〜106のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する抗原性ペプチド。
  10. 配列番号1〜106のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する抗原性ペプチド。
  11. 前記抗原性ペプチドが、配列番号17、31、32、51、52、55、56、59、68、89、94、100、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項9から10のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
  12. 前記抗原性ペプチドが、配列番号26、28、47、51、52、55、56、77、93、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項9から10のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
  13. 前記抗原性ペプチドが、配列番号51、52、55、56、101、又は102のいずれかで表されるアミノ酸配列を含む又はからなる請求項9から10のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
  14. 前記抗原性ペプチドが、配列番号71の配列のペプチド又はポリペプチドである請求項9から10のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
  15. −請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物の少なくとも1つ、又は
    −請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチドの少なくとも1つ;及び
    任意にアジュバントがロードされたことを特徴とするナノ粒子。
  16. 請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、又は請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチドがロードされたことを特徴とする細胞。
  17. 前記細胞が、抗原提示細胞、好ましくは樹状細胞である請求項16に記載の細胞。
  18. 腫瘍抗原とアミノ酸類似性を有する抗原性ペプチドをコードする核酸であって、前記抗原性ペプチドが、以下からなる群において選択されることを特徴とする核酸。
    −配列番号1〜106からなる群において選択される抗原性ペプチド;及び/又は
    −請求項8に記載の式(I)の抗原性ペプチド。
  19. 前記ペプチドが、腫瘍抗原IL13RA2とアミノ酸類似性を有するペプチドからなる群において選択され、前記ペプチドが、配列番号71からなる群において選択される請求項18に記載の核酸。
  20. 以下をコードするポリヌクレオチドを含むことを特徴とする核酸。
    −ペプチド又はタンパク質である、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物;又は
    −請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド。
  21. 前記核酸が、DNA分子又はRNA分子であり、好ましくは、ゲノムDNA;cDNA;siRNA;rRNA;mRNA;アンチセンスDNA;アンチセンスRNA;リボザイム;相補的RNA及び/又はDNA配列;発現エレメント、調節エレメント、及び/又はプロモーターを含む又は含まないRNA及び/又はDNA配列;ベクター;それらの組合せから選択される請求項18から20のいずれかに記載の核酸。
  22. 請求項18から21のいずれかに記載の核酸を含む宿主細胞であって、前記核酸が、好ましくはベクターであることを特徴とする宿主細胞。
  23. 前記宿主細胞が、細菌細胞、好ましくは腸内細菌細胞である請求項22に記載の宿主細胞。
  24. −請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、
    −請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
    −請求項15に記載のナノ粒子、
    −請求項16から17のいずれかに記載の細胞、
    −請求項18から21のいずれかに記載の核酸、又は
    −請求項22から23のいずれかに記載の宿主細胞、及び
    1以上の薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする免疫原性組成物。
  25. 1以上の免疫刺激剤を更に含む請求項24に記載の免疫原性組成物。
  26. 前記免疫刺激剤が、免疫アジュバント及び抗原提示細胞からなる群において選択される請求項24から25のいずれかに記載の免疫原性組成物。
  27. 前記抗原提示細胞が、樹状細胞からなる請求項26に記載の免疫原性組成物。
  28. (i)請求項1から8のいずれかに記載の2つの異なる免疫原性化合物;
    (ii)請求項9から14のいずれかに記載の2つの異なる抗原性ペプチド;
    (iii)請求項15に記載の2つの異なるナノ粒子;又は
    (iv)請求項18から21のいずれかに記載の2つの異なる核酸
    を含む請求項19から22のいずれに記載の免疫原性組成物。
  29. 癌の予防又は治療における使用のための、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド、請求項15に記載のナノ粒子、請求項16から17のいずれかに記載の細胞、請求項18から21のいずれかに記載の核酸、請求項22から23のいずれかに記載の宿主細胞、又は請求項24から28のいずれかに記載の免疫原性組成物。
  30. 黒色腫、結腸直腸癌、又は淡明細胞型腎細胞癌からなる群において選択される請求項29に記載の癌の予防又は治療における使用のための、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド、請求項15に記載のナノ粒子、請求項16から17のいずれかに記載の細胞、請求項18から21のいずれかに記載の核酸、請求項22から23のいずれかに記載の宿主細胞、又は請求項24から28のいずれかに記載の免疫原性組成物。
  31. 癌の予防及び/又は治療における使用のための、請求項1から8のいずれかに記載の2つの異なる免疫原性化合物の組合せ。
  32. 癌の予防及び/又は治療における使用のための、請求項9から14のいずれかに記載の2つの異なる抗原性ペプチドの組合せ。
  33. 癌の予防及び/又は治療における使用のための、請求項15に記載の2つの異なるナノ粒子の組合せ。
  34. 癌の予防及び/又は治療における使用のための、請求項18から21のいずれかに記載の2つの異なる核酸の組合せ。
  35. 前記2つの異なる成分が、異なる組成物中に含有される請求項31から34のいずれかに記載の使用のための組合せ。
  36. 前記2つの異なる成分が、同一の組成物中に含有される請求項31から34のいずれかに記載の使用のための組合せ。
  37. 前記2つの異なる成分が、異なる投与経路で投与される請求項31から35のいずれかに記載の使用のための組合せ。
  38. 前記2つの異なる成分が、同一の投与経路で投与される請求項31から36のいずれかに記載の使用のための組合せ。
  39. 前記2つの異なる成分が、連続的に投与される請求項31から35、37、及び38のいずれかに記載の使用のための組合せ。
  40. 前記2つの異なる成分が、ほぼ同時に投与される請求項31から38のいずれかに記載の使用のための組合せ。
  41. −請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、
    −請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
    −請求項15に記載のナノ粒子、
    −請求項16から17のいずれかに記載の細胞、
    −請求項18から21のいずれかに記載の核酸、
    −請求項22から23のいずれかに記載の宿主細胞、又は
    −請求項24から28のいずれかに記載の免疫原性組成物を含むことを特徴するキット。
  42. 癌の予防及び/又は治療における使用のための、請求項41に記載のキット。
  43. 請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド、請求項15に記載のナノ粒子、請求項16から17のいずれかに記載の細胞、請求項18から21のいずれかに記載の核酸、請求項22から23のいずれかに記載の宿主細胞、又は請求項24から28のいずれかに記載の免疫原性組成物を使用することによって癌を予防又は治療するための指示を含むパッケージインサート又は指示リーフレットを更に含む請求項41から42のいずれかに記載のキット。
  44. 前記キットが、請求項1から8のいずれかに記載の2つの異なる免疫原性化合物を含む請求項41から43のいずれかに記載のキット。
  45. 前記キットが、請求項9から14のいずれかに記載の2つの異なる抗原性ペプチドを含む請求項41から43のいずれかに記載のキット。
  46. 前記キットが、請求項15に記載の2つの異なるナノ粒子を含む請求項41から43のいずれかに記載のキット。
  47. 前記キットが、請求項18から21のいずれかに記載の2つの異なる核酸を含む請求項36から38のいずれかに記載のキット。
  48. それを必要とする被験体において癌を予防及び/又は治療する、又は抗腫瘍応答を開始、増強、又は延長するための方法であって、前記被験体に以下を投与することを含むことを特徴とする方法。
    −請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性化合物、
    −請求項9から14のいずれかに記載の抗原性ペプチド、
    −請求項15に記載のナノ粒子、
    −請求項16から17のいずれかに記載の細胞、
    −請求項18から21のいずれかに記載の核酸、
    −請求項22から23のいずれかに記載の宿主細胞、
    −請求項24から28のいずれかに記載の免疫原性組成物、又は
    −請求項31から40のいずれかに記載の組合せ。
  49. 前記癌が、黒色腫、結腸直腸癌、又は淡明細胞型腎細胞癌からなる群から選択される請求項48に記載の方法。
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