JP2019530672A - 第viia因子グリコフォーム - Google Patents

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Abstract

短い半減期および迅速な且つ高いクリアランスを要する分娩後出血のような治療適応症に適したものにするグリコシル化パターンを有する第VII因子糖タンパク質を関連製造方法および使用方法ならびに製剤と共に開示する。【選択図】図3

Description

本出願は、EFS−webにより提出された配列表を含んでおり、それにより、37 C.F.R.§1.821〜1.825の要件を満たしている。
発明の分野
本開示はバイオテクノロジーの分野におけるものであり、ヒト凝固タンパク質第VII因子に関する。より詳細には、本開示は、哺乳動物の体内からの高いクリアランスを示す第VII因子および第VIIa因子グリコフォームに関する。
血液凝固は、最終的にフィブリン塊を生じさせる、種々の血液成分(または因子)の複雑な相互作用からなる過程である。一般に、凝固「カスケード」と称されているものに関与する血液成分は、アクチベーター(それ自体が活性化凝固因子である)の作用によりタンパク質分解酵素に変換される酵素的に不活性なタンパク質(プロ酵素またはチモーゲン)である。そのような変換を受けた凝固因子は一般に「活性因子」と称され、凝固因子の名称に文字「a」を付加することにより示される(例えば、第VIIa因子)。
止血過程の開始は、血管壁の損傷後に循環血液にさらされる組織因子と、第VII因子タンパク質の全質量の約1%に相当する量で循環中に存在する第VIIa因子との間の複合体の形成によりもたらされる。この複合体は組織因子含有細胞に固定され、第IX因子および第X因子を、細胞表面上で、それらの活性形態である第IXa因子および第Xa因子に変換する。第Xa因子は組織因子含有細胞上でプロトロンビンをトロンビンに変換し、これは第VIII因子、第V因子、第XI因子および第XIII因子を活性化する。更に、止血のこの初期段階で形成される限られた量のトロンビンも血小板を活性化する。血小板に対するトロンビンの作用の後、血小板は形状を変化させ、その表面上に荷電リン脂質を露出させる。この活性化血小板表面は、更なる第X因子活性化および完全トロンビン生成のための鋳型を形成する。活性化血小板表面上の更なる第X因子活性化は、活性化血小板の表面上に形成される第IXa因子および第VIIIa因子複合体を介して生じ、ついで第Xa因子は、表面上に尚も存在する間に、プロトロンビンをトロンビンに変換する。ついで、トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに変換し、これは不溶性であり、初期血小板血栓を安定化させる。この過程は組織因子の露出部位に局在し、それにより、凝固系の全身的活性化のリスクを最小にする。第VII因子および組織因子が血液凝固の主要開始因子であることが判明している。
第VIIa因子は、それが組織因子には無関係に作用する十分に高いレベルで与えられた場合、第VIIIa因子または第IXa因子の非存在下で第X因子を直接的に活性化することも公知である。したがって、特に、組換え第VIII因子または第IX因子に対する、これらの因子での補充療法の有効性を制限する阻害抗体を有する患者に対して、第VIIa因子は、血友病AおよびBを有する患者における凝固を促進するために、生理的レベルより高いレベルで治療用に用いられる。
第VIIa因子は、その前駆体である第VII因子から産生され、これは肝臓で合成され、血液中に分泌され、血液中でそれは一本鎖糖タンパク質(約50,000Daの分子量)として循環する。本明細書中で用いる野生型ヒト第VII因子は、図1および2に開示されているヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(それぞれ配列番号1および2)を有する。野生型第VII因子は、典型的には、残基152と残基153との間で切断されて、第VIIa因子を与える。組換え的に製造された第VIIa因子ポリペプチドはNovo NordiskによりNOVOSEVENの商品名で米国で市販されている。
「第VII因子」なる語は、その未切断形態(チモーゲン形態)の第VII因子ポリペプチドを意味する。「第VIIa因子」なる語は、その活性化二本鎖形態の第VIIa因子ポリペプチドを意味する。本明細書において第VIIa因子のアミノ酸配列を示すために配列番号2のアミノ酸配列が用いられている場合、それらの鎖の一方はアミノ酸残基1〜152を含み、他方の鎖はアミノ酸残基153〜406を含むと理解される。
野生型第VII因子は、グリカンと称される糖残基が結合しているN−結合グリコシル化部位を含有する糖タンパク質である。野生型ヒト第VII因子は2つのN−結合グリカンを有し、一方はN145に存在し、他方はN322に存在する。
一般に、糖タンパク質のグリカンは例えば小胞体における新生ポリペプチド鎖のフォールディングに寄与し、プロテアーゼの作用からタンパク質部分を保護するように働き、糖タンパク質の生物活性を調節するように働く。遺伝的に調節される糖タンパク質のポリペプチド鎖の合成とは対照的に、オリゴ糖単位またはグリカンは一連の酵素反応により結合し、プロセシングされる。したがって、糖タンパク質は一般に、種々の酵素活性から生成する異なるグリコフォームの混合物として生じる。
糖タンパク質のN−グリカン構造のオリゴ糖成分は、治療効果、物理的安定性、プロテアーゼ攻撃に対する抵抗性、薬物動態、免疫系との相互作用および特異的な生物活性に影響を及ぼしうる。例えば、Jenkinsら(1996)Nature Biotechnol.14:975−981を参照されたい。
米国特許出願公開第20140363419号(Bauzonら)は、急性出血および類似障害の治療に有用な短時間作用型第VII因子ポリペプチドを開示している。Bauzonらは、野生型または突然変異第VII因子のオリゴ糖上に見いだされる末端シアル酸分子が欠けている第VII因子変異体を開示しており、それは脱シアリル化第VII因子と称される。Bauzonらは、そのような脱シアリル化変異体が血液からのクリアランスの向上および効力の持続の低減を示すことを開示している。Bauzonは、脱シアル化野生型第VIIa因子が凝固アッセイにおいて有効であるが、観察可能な全身凝固を示さないことを開示している。出血、特に急性出血の治療に対する多大な医学的必要性ゆえに、改善された及び代替的な短時間作用型第VIIa因子糖タンパク質が望まれている。
米国特許出願公開第20080058255号(Boltら)はグリコシル化破壊第VII因子変異体を開示しており、例えば、N145もしくはN322のいずれか、またはN145とN322との両方にグリコシル化破壊置換を有するものを開示している。Appaら,Thrombosis and Haemostasis 104.2/2010,pp.243−251は組換え第VIIa因子のクリアランスメカニズムに関する研究を報告しており、この場合、ノイラミニダーゼアガロースを使用する組換え第VIIa因子の酵素的加水分解によりアシアロ−r第VIIa因子が製造されている。Tosoら,Blood(abstract)(2000年11月16日)は、野生型ヒト第VIIa因子と比較して脱シアル化を含む改変グリコシル化をもたらす突然変異を有する第VIIa因子を開示している。
糖タンパク質の脱シアル化は公知である。例えば、米国特許出願第20080226681号(Glycotope GmbH)は、タンパク質の脱シアル化を引き起こす突然変異細胞(シアル酸の合成における突然変異を有するもの)の使用に関する。培地はシアル酸前駆体で補足される。記載されている方法により、使用者は、特定のタンパク質の最高活性をもたらす特定のタンパク質のシアリル化の適切な度合を決定することが可能である。
組換え第VIIa因子の治療的使用は公知である。しかし、分娩後出血のような急性出血状態に対する速効性治療が強く求められている。身体から迅速に除去(クリアランス)され、外傷領域以外の領域に対する負の凝固作用をほとんど有さない、速効性かつ有効な第VIIa因子が望ましい。特に、全身性凝固作用をほとんどまたは全く伴わない速効性凝固促進性治療用物質が必要とされている。第VIIa因子凝固促進活性ならびに迅速なおよび/または高いクリアランス速度を有する改善された第VIIa因子グリコフォームが急性出血の治療には望ましい。
したがって、本発明の目的は、凝固活性、半減期およびクリアランス速度に関して急性出血に使用するのに有利な薬物動態学的特性を示し、観察可能な全身性凝固活性が低い又は全く存在しない第VIIa因子グリコフォームおよびその組成物を得ることである。
概括
本開示は、グリカンを含むN結合グリコシル化パターンを有する第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質に関するものであり、ここで、該グリコシル化パターンは、
(1)末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含まず、
(2)式I:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンである実質的なグリカンを含み、
(3)式II:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンおよび式III:(GlcNAc)(Man)(Fuc)のグリカンからなる群から選択される微量以下の1以上のグリカンを含む。
本記載は、(1)式IV:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンおよび/または(2)式V:(GlcNAc)(Gal)(Man)(Fuc)のグリカンを更に含む前記の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質を含む。もう1つの実施形態においては、本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は微量以下の式IIのグリカンを含有する。更にもう1つの実施形態においては、本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は微量以下の式IIIのグリカンを含有する。もう1つの実施形態においては、本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、配列番号2と比較して3つ以下の突然変異を有するアミノ酸配列を含む。もう1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子は第VIIa因子糖タンパク質であり、重鎖を含み、ここで、該重鎖は、グリカンを含むN−結合グリコシル化パターンを有し、更に、該グリコシル化パターンは、(1)末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含まず、(2)式I:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンである実質的なグリカンを含み、(3)式II:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンおよび式III:(GlcNAc)(Man)(Fuc)のグリカンからなる群から選択される微量以下の1以上のグリカンを含み、もう1つの実施形態においては、微量以下の式IIIのグリカンおよび式Iのグリカンを有する。
1つの実施形態においては、前記および更に本明細書における第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、微量以下の式IIのグリカンおよび/または式IIIのグリカンを有する。本開示はまた、本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の製造方法、本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の治療的有効量を投与することによる、血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物の治療方法、ならびに薬学的に許容される賦形剤と組合された本明細書に記載されている第VII因子および第VIIa因子糖タンパク質の医薬製剤を含む。
発明の詳細な説明
特定のN−結合グリコシル化パターンを有する第VII因子および第VIIa因子糖タンパク質、それらの製造方法および使用方法、それらを含む医薬組成物、血液凝固が望まれる障害の治療方法、ならびにそれらを産生する細胞株が本明細書に記載されている。第VII因子および第VIIa因子糖タンパク質は、野生型ヒト第VII因子と比較して減少したシアル酸含量および迅速なクリアランスを示す。
本出願人は、急性出血障害における治療的使用に適したものにする薬物動態学的特性を有し、人体から迅速に除去される組換え第VII因子および第VIIa因子糖タンパク質を見出した。該糖タンパク質の迅速な除去は、出血が解決した後の血栓形成促進性分子への不必要な曝露を減少させる。本開示の糖タンパク質は、NOVOSEVEN組換え第VIIa因子(Novo Nordisk)と比較した場合および先行教示に従いシアリダーゼとの接触により脱シアル化されたNOVOSEVEN組換え第VIIa因子と比較した場合に顕著なグリコシル化プロファイルを有する。
定義
特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、一般に、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。一般に、本明細書中で用いる命名法ならびに細胞培養、分子遺伝学、有機化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションにおける実験手法は、当技術分野でよく知られており一般に用いられているものである。核酸およびペプチドの合成のための標準的な技術が用いられる。本明細書中で用いる命名法ならびに後記の分析化学および有機合成における実験手法は、当技術分野でよく知られており一般に用いられているものである。化学合成および化学分析には標準的な技術またはその変法が用いられる。遺伝子工学のために用いられる手法はよく知られており、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.において見出されうる。本明細書中に開示されている全ての米国特許および米国特許出願の全体を参照により本明細書に組み入れることとする。
「シアル酸」または「シアリル」なる語は9炭素カルボキシル化糖のファミリーの任意のメンバーを意味する。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーはN−アセチル−ノイラミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノヌロピラノス−1−オン酸(しばしば、Neu5Ac、NeuAcまたはNANAと略称される))である。
「ポリペプチド」および「タンパク質」なる語は本明細書において互換的に用いられ、単量体がアミノ酸であり、アミド結合によって互いに結合している重合体を意味する。本明細書中で用いる「ポリペプチド」および「タンパク質」は、それぞれ、グリコシル化および非グリコシル化ポリペプチドおよびタンパク質を意味する。
「糖タンパク質」なる語は、少なくとも1つのグリカンが結合しているタンパク質を意味する。グリカンは細胞における酵素的過程により生成され形成されると理解される。
本明細書中で用いる「グリコフォーム」なる語は、特定の1以上の炭水化物構造を含有する糖タンパク質を意味する。複数のグリコシル化部位を有する糖タンパク質は、各グリコシル化部位に同じグリカン種が結合していることが可能であり、あるいは、グリコシル化部位によって異なるグリカン種が結合していることが可能である。このように、グリカン結合のパターンによって異なる、糖タンパク質のグリコフォームが生じる。
「グリコシル化パターン」および「グリコシル化プロファイル」なる語は本明細書において互換的に用いられ、糖タンパク質組成物または糖タンパク質産物から酵素的または化学的に遊離され、ついで、例えばLC−HPLCまたはMALDI−TOF MSなどを用いてそれらの炭水化物構造に関して分析された代表的なN−グリカン種の特徴的な「フィンガープリント」を意味する。例えば、Current Analytical Chemistry,Vol.1,No.1(2005),pp.28−57(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)における総説を参照されたい。
グリカンの「微量」なる語は、糖タンパク質における他のグリカンの量と比較して非常に低いレベルのそのグリカンが存在することを意味する。限定的なものではないが、グリカンの「微量以下」は、MALDI−TOF MS、LC−HPLCまたは類似分析試験が示すグリコシル化プロファイルにおいて、該グリカンが、該プロファイルに存在するN−グリカン種の全量の10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは4%未満、3%未満、2%未満、1%未満および0.5%未満または0.1%未満で存在する、あるいは分析試験において検出不可能であることを意味する。
「有意なグリカン」または「実質的なグリカン」なる語は、グリコシル化プロファイルに存在するN−グリカン種の全量の10%超(すなわち、10%を超える)、20%超、25%超または30%超でグリコシル化プロファイルに存在することがMALDI−TOF MS、LC−HPLCまたは類似分析試験に基づいて認められるグリカンを意味する。グリカンの定量的決定は、例えば、ピークの曲線下面積(AUC)を比較してタンパク質バッチにおける各グリカンの相対量を決定するLC−MS分析により行われうる。あるいは、「有意なグリカン」または「実質的なグリカン」は、産物に関するグリコシル化プロファイルに存在するN−グリカン種の全量の10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%以上としてグリコシル化プロファイルに存在しうる。
「N−グリカン」、「N−結合グリカン」および「グリカン」は互換的に用いられ、N−結合オリゴ糖を意味し、例えば、タンパク質におけるアスパラギン残基のアミド窒素に連結したN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基が結合している又は結合していたものを意味する。糖タンパク質において見出される主要糖としては、グルコース、ガラクトース(Gal)、マンノース(Man)、フコース(Fuc)、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)およびシアル酸(例えば、N−アセチル−ノイラミン酸(NeuAc))が挙げられる。グリカンの末端の「*」は、アスパラギンに結合する糖鎖の還元末端を表す。N−結合グリカンは、図3におけるもののような記号により示されうる。図3に開示されている記号は他の図においても使用され、本明細書におけるそれらの使用の全体にわたって同じ意味を有する。
複合N−グリカンの「オリゴマンノシドコア構造」または「トリマンノースコア構造」は、糖タンパク質のアスパラギン残基に結合している3つのマンノース(Man)および2つのN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)単糖残基を含むコア構造を意味する。後続のグリコシル化工程は最終的な複合N−グリカン構造を与える。
糖タンパク質に結合しているN−グリカンは、トリマンノースコア構造に付加される末梢糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコースおよびシアル酸)を含む分岐(アンテナ)の数において異なる。N−グリカンは、一般に、その分岐(分枝)構成成分に従い分類される(例えば、複合、高マンノースまたはハイブリッド)。「複合」型N−グリカンは、典型的には、「トリマンノース」コアの1,6マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcと、1,3マンノースアームに結合した少なくとも1つのGlcNAcとを有する。1つのGlcNAcが各マンノースアームに結合している場合、N−結合グリカンの種は「GlcNAcManGlcNAc」と表される。ただ1つのGlcNacが結合している場合、N−グリカン種は「GlcNAcManGlcNAc」と表され、ここで、GlcNacは1,3マンノースアーム(「MGn」と表される)または1,6マンノースアーム(「GnM」と表される)のいずれかに結合している。複合N−グリカンは、所望によりシアル酸または誘導体で修飾されていてもよいガラクトース(「Gal」)またはN−アセチルガラクトサミン(「GalNAc」)糖残基をも有しうる(例えば、「NeuAc」;ここで、「Neu」はノイラミン酸を意味し、「Ac」はアセチルを意味する)。ガラクトース糖残基が各マンノースアーム上の各GlcNAcに結合している場合、N−結合グリカンの種は「GalGlcNAcManGlcNAc」と表される。複合N−グリカンは、「二分岐(bisecting)」GlcNAcおよびコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内置換をも有しうる。複合N−グリカンはまた、「トリマンノース・コア」上に複数のアンテナを有することが可能であり、これは、しばしば、「多アンテナグリカン」と称される。「高マンノース」型N−グリカンは5個以上のマンノース残基を有する。「ハイブリッド」N−グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端における少なくとも1つのGlcNAcと、トリマンノースコアの1,6マンノースアーム上の0個以上のマンノースとを有する。
本開示の多数の分子はヒトにおける循環からの非常に高いクリアランスを有する。クリアランスは当業者に公知の手段により測定可能であり、例えば、該分子の任意の初期分布が生じた後に測定される終末(terminal)半減期を測定することにより測定されうる。
半減期は、例えば、約25〜250マイクログラム/kgの用量の製剤を投与し、投与後の所定の時点で血漿サンプルを得、凝固アッセイ(または任意のバイオアッセイ)、イムノアッセイまたは同等物の1以上を用いて該サンプルにおける第VIIa因子ポリペプチドの含有量を決定することにより、試験動物において決定されうる。データはグラフで表示されることが可能であり、ついで、バイオアベイラビリティが曲線下面積として決定される。ある例においては、ラットまたはマウスモデルが半減期の測定に使用される。第VIIa因子ポリペプチドまたはその組成物の相対バイオアベイラビリティは、野生型第VIIa因子または他の適切な比較ポリペプチドもしくはタンパク質の曲線下面積に対する短時間作用型第VIIa因子ポリペプチドの曲線下面積の比を意味する。
本開示の糖タンパク質は宿主細胞において産生されうる。細胞が宿主細胞に「由来」しうると言えるのは、それが、当業者に公知の通常の増殖および培養技術のいずれか、例えば、通常の有糸分裂細胞分裂、クローニング、例えば、単細胞希釈クローニングなどにより、宿主細胞から得られる場合である。宿主細胞に「由来する」は、第VII因子およびシアリダーゼを発現する主要機能に影響を及ぼさない、宿主細胞に施される組換え修飾をも含む。異種タンパク質は、細胞が操作されて産生されるタンパク質である。
好ましい実施形態
1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、1つまたは2つ、好ましくは2つのN−結合グリカンを含み、野生型ヒト第VII因子または第VIIa因子と比較して低減したシアリル化により特徴づけられるグリコシル化パターンを有する。好ましくは、糖タンパク質におけるN−結合グリカン1モル当たりの結合シアル酸のモル数は0.05未満、0.1未満、1.0未満、2.0未満、3.0未満、4.0未満、5.0未満または6.0未満であり、あるいは、N−結合グリカン1モル当たりの結合シアル酸のモルの比は、(1)0〜8、(2)0〜7、(3)0〜6、(4)0〜5、(5)0〜4、(6)0〜3、(7)0〜2、(8)0〜1、および(9)0〜0.5、または1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜8、2〜7、2〜6、2〜5、2〜4、2〜3、3〜8、3〜7、3〜6、3〜5、3〜4、4〜8、4〜7、4〜6、4〜5、および0.1〜1の比からなる群から選択される範囲内である。この比は、糖タンパク質上のグリカンの数に対する、糖タンパク質に結合したシアル酸のモル数の測定値である。最も好ましくは、糖タンパク質は、1つまたは2つのN−結合グリカンと、これらのグリカンに共有結合している微量以下のシアル酸とを有する。更に好ましくは、糖タンパク質は、末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に有さず、2つのN−結合グリカンを有する。グリカンの数は、糖タンパク質におけるN−結合グリカンに結合した糖部分の数を意味し、ここで、1つのN結合型グリコシル化部位は、この比の目的で本明細書で定められる場合には、ただ1つのグリカンを支持しうる。
該比は、シアル酸蛍光標識キット、例えば、Takara Bio Inc.により販売されているもの(カタログ番号4400)を使用して決定される。そのようなシアル酸蛍光標識キットは結合糖タンパク質からのシアル酸の遊離[例えば、部分的酸加水分解によるもの、またはシアリダーゼ、例えばアルスロバクター・ウレファシエンス(Arthrobacter urefaciens)シアリダーゼの使用によるもの]のための工程を含む。ついで遊離シアル酸は発蛍光団、例えば1,2−ジアミノ−4,5−メチレンオキシベンゼン(「DMB」)で標識される。ついで標識シアル酸は、HPLCの利用および検量線とのピーク高の比較により、定量的に測定される。したがって、測定された比は、組成物における第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の全てから遊離したグリカンの1モル当たりのシアル酸のモル数の比である。
シアリル化を低減することにより、第VII因子および第VIIa因子糖タンパク質は、野生型第VII因子または第VIIa因子より短い終末半減期を有する。
一連の実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の組成物または該単離ポリペプチド自体は、ヒトまたは哺乳動物の血漿、例えばマウスまたはラットの血漿において測定された場合、2時間未満、1.5時間未満、1時間未満、0.75時間未満、0.5時間未満、0.25時間未満、0.1時間未満の終末半減期を有し、あるいは、それが合理的に測定できないほど短い終末半減期を有する。
第VII因子または第VIIa因子グリコフォームは、好ましくは、前記に開示されているとおり、実質的に低減したシアリル化を有するN−結合グリコシル化パターンを有し、例えば、該グリコシル化パターンは、末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含有せず、式Iのグリカンである実質的なグリカンを有し、微量以下の式IIのグリカンおよび/または式IIIのグリカンを有する。もう1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子グリコフォームは微量以下の式IIIのグリカンを有し、もう1つの実施形態においては、微量以下の式IIのグリカンおよび式IIIのグリカンを有し、もう1つの実施形態においては、式Iのグリカンおよび微量以下の式IIのグリカンおよび式IIIのグリカンを有する。もう1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子グリコフォームは、前記に開示されているとおり、実質的に低減したシアリル化を有するN−結合グリコシル化パターンを有し、例えば、該グリコシル化パターンは、末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含有せず、式IVのグリカンを有し、もう1つの実施形態においては、式IVのグリカンおよび式Vのグリカンを有し、もう1つの実施形態においては、式IVのグリカン、式Vのグリカンおよび式XIのグリカンを有し、もう1つの実施形態においては、式IVのグリカン、式Vのグリカン、式XIのグリカンおよび式Iのグリカンを有する。1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子グリコフォームは、前記に開示されているとおり、実質的に低減したシアリル化を有するN−結合グリコシル化パターンを有し、例えば、末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含有せず、微量以下の式IIのグリカンおよび/または式IIIのグリカンを有する。
本明細書に記載されているグリカンパターンは、同じ質量を有するが異なるグリカン間結合を有する複数の構造を包含するように包括的でありうる、質量から導き出された式により示される。図3における「例示構造」の欄は、式I〜XIのそれぞれの構造に関する可能なグリカン結合を示す。
本明細書に記載されているグリカン質量データと合致する、特定のグリカン結合を定める命名法を用いた場合、本発明の1つの実施形態は、グリカンを含むN−結合グリコシル化パターンを有する第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質であり、ここで、該グリコシル化パターンは、
(1)末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含まず、
(2)以下の式Ia
Figure 2019530672
のグリカンである実質的なグリカンを含み、
(3)式IIa:
Figure 2019530672
のグリカンおよび式IIIa:
Figure 2019530672
のグリカンからなる群から選択される微量以下の1以上のグリカンを含む。
もう1つの実施形態においては、直前に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、
(1)式IVa
Figure 2019530672
のグリカン、および/または(2)式Va
Figure 2019530672
のグリカンを更に含むグリコシル化パターンを有する。
前記の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は微量以下の式IIaのグリカンおよび/または式IIIaのグリカンを有しうる。本発明のもう1つの実施形態においては、第VIIa因子糖タンパク質は重鎖を含み、ここで、重鎖は、グリカンを含むN−結合型グリコシル化パターンを有し、更に、該グリコシル化パターンは、
(1)末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含まず、
(2)式Ia:
Figure 2019530672
のグリカンである実質的なグリカンを含み、
(3)式IIa:
Figure 2019530672
のグリカンおよび式IIIa:
Figure 2019530672
のグリカンからなる群から選択される微量以下の1以上のグリカンを含む。
ある実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質のアミノ酸配列は野生型ヒト第VII因子または第VIIa因子のアミノ酸配列(配列番号2)を含む、含有する、それから実質的になる、またはそれからなる。1つの実施形態においては、該糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸相違を有するアミノ酸配列を有し、好ましくは、置換が存在する場合には保存的アミノ酸配列を有する。もう1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質のアミノ酸配列は配列番号2のアミノ酸配列を含む、含有する、それから実質的になる、またはそれからなり、配列番号2のアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸相違を有するアミノ酸配列を有する。ただし、該アミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253を有する配列番号2を含むものではなく、またはそれからなるものではない。1つの実施形態においては、該糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と比較して配列番号2のアミノ酸配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸相違を有するアミノ酸配列を有し、該アミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、T106NおよびV253Nのみ、または突然変異P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253Nのみを有する配列番号2を含むものではなく、またはそれからなるものではない。「突然変異・・・のみを有する」は、挙げられている突然変異に加えて追加的な突然変異を有するアミノ酸配列が前記の断り書きの範囲外であることを意味すると理解されるべきである。
もう1つの実施形態においては、該糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、第VII因子または第VIIa因子の活性を有する。もう1つの実施形態においては、該糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、第VII因子または第VIIa因子の活性を有し、ただし、該アミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253のみを有する配列番号2を含むものではなく、またはそれからなるものではない。もう1つの実施形態においては、該糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、該アミノ酸配列は、P10Q、K32E、T106NおよびV253Nのみにおける、またはP10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253Nのみにおける突然変異を有する配列番号2を含むものではなく、またはそれからなるものではない。
もう1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸配列によりコードされ、あるいは、配列番号2のアミノ酸配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、第VII因子または第VIIa因子の活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列によりコードされる。もう1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする核酸配列によりコードされ、あるいは、配列番号2のアミノ酸配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するアミノ酸配列を有し、第VII因子または第VIIa因子の活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列によりコードされ、該アミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、T106NおよびV253Nを有する、または突然変異P10Q、K32E、T106NおよびV253NならびにP10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253Nを有する配列番号2を含むものではなく、またはそれからなるものではない。
1つの実施形態においては、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質は、野生型ヒト第VII因子をコードするヌクレオチド配列(配列番号1)を含む、含有する、それから実質的になる、またはそれからなる核酸配列によりコードされる。1つの実施形態においては、該糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の核酸相違を有し、第VII因子または第VIIa因子の活性を有するポリペプチドをコードし、1つの実施形態においては、該ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253のみを有する配列番号2からなるものではなく、もう1つの実施形態においては、該ポリペプチドのアミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、T106NおよびV253Nのみを有するものではない。もう1つの実施形態においては、該糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するヌクレオチド配列を有し、第VII因子または第VIIa因子の活性を有するタンパク質をコードし、1つの実施形態においては、該タンパク質のアミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253Nのみを有する配列番号2からなるものではなく、もう1つの実施形態においては、該アミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、T106NおよびV253Nのみを有するものではない。もう1つの実施形態においては、第VII因子糖タンパク質は、野生型ヒト第VII因子をコードする核酸によりコードされ、その配列は宿主細胞のためのコドン最適化により決定される。1つの実施形態においては、本開示の第VII因子糖タンパク質をコードする核酸は配列番号3の核酸配列を含む、含有する、またはそれからなり、あるいは、配列番号3のヌクレオチド配列に対して99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75または70%の相同性を有するヌクレオチド配列を含む、含有する、またはそれからなる核酸配列を含む、含有する、またはそれからなり、第VII因子または第VIIa因子の活性を有するタンパク質をコードし、1つの実施形態においては、該タンパク質のアミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、A34E、R36E、T106NおよびV253Nのみを有する配列番号2からなるものではなく、もう1つの実施形態においては、該タンパク質のアミノ酸配列は、突然変異P10Q、K32E、T106NおよびV253Nのみを有する配列番号2からなるものではない。
本開示の糖タンパク質は、例えば実施例における条件下、または組換えタンパク質の発現および回収のための適切な細胞生産性を可能にする他の培養条件下、CHO K−1またはCHO−S細胞系であるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系において組換え的に製造されうる。他の適切なCHO細胞系は、種々のCHO細胞系の知見を考慮して通常の試験により、当業者により特定されうる。例えば、Wurm,Florian,“CHO Quasispecies−Implications for Manufacturing Processes,”Processes (2013),1,296−311;doi:10.3390/pr1030296を参照されたい。CHO宿主細胞は、第VII因子をコードする核酸およびシアリダーゼをコードする核酸で組換え的にトランスフェクトされる。ある実施形態においては、シアリダーゼ核酸はアルスロバクター・ウレファシエンス(Artherobacter urefaciens)種からのものであり、あるいは、例えばコドン最適化によりそれから誘導され、例えば、配列番号4の核酸配列を有し、いずれの場合も、分泌シグナル配列を伴う又は伴わない図5に示されている配列番号5のアミノ酸配列を含むシアリダーゼを発現する。もう1つの実施形態においては、宿主細胞は、分泌シグナル配列を伴う又は伴わない配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%または80%の同一性を有するシアリダーゼをコードする核酸でトランスフェクトされる。トランスフェクトされた宿主細胞は以下の条件下で培養されうる:30ng/mL ビタミンKおよびL−グルタミンを含有する6mM GlutaMAX(登録商標)培地(Gibco)を含有するCD−Fusion培地(Sigma−Aldrich)。本開示の糖タンパク質は、CHO細胞系に適切なようにグルタミンおよびビタミンKで補足されたActiCHO細胞培養培地(GE Healthcare)において培養されたCHO宿主細胞から産生されうると考えられる。CHO細胞が増殖しうる他の培地も潜在的に適切でありうる(例えば、ThermoFisher ScientificからのCD−CHO培地)。
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドと薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の医薬製剤およびその組成物も有用である。ある例においては、医薬製剤は、例えば静脈内、皮下または筋肉内投与のような非経口投与用であり、投与は単回ボーラス投与、間欠投与、または連続的静脈内注入として行われうる。局所製剤も有用である。1つの実施形態は、使用時に再構成(還元)される凍結乾燥調製物中に本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質を含む医薬製剤を含む。あるいは、医薬製剤は、再構成を要しない、すぐに使える安定液体製剤でありうる。医薬製剤は1、2、5または8mgの第VII因子ポリペプチドの使い捨てバイアル内の凍結乾燥粉末でありうる。所定容量の液体、例えばヒスチジン含有滅菌水での再構成の後、最終溶液は、治療効果をもたらす任意の適切な量の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質、例えば限定的なものではないが、0.2mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL(1000マイクログラム/mL)、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、1〜2mg/mL、1〜3mg/mL、1〜5mg/mL、1〜10mg/mL、0.2〜1.0mg/mL、0.5〜1mg/mL、0.5〜2mg/mL、0.5〜5mg/mL、0.5〜4mg/mLまたは0.5〜10mg/mLの第VIIa因子または第VII因子糖タンパク質を含有しうる。患者への投与のための適切な投与量は、例えば、患者の体重、治療される出血障害またはエピソードのタイプ、および使用される個々の第VIIa因子または第VII因子ポリペプチドの活性に基づいて、当業者によって容易に決定されうる。ある例においては、投与量は70〜110マイクログラム/kg、70〜90マイクログラム/kg、または80〜100マイクログラム/kgの範囲であることが可能であり、90マイクログラム/kgでありうる。凍結乾燥粉末は、水性担体、例えば水、緩衝水、0.4% 食塩水、0.3% グリシンなどで再構成されうる。非経口投与が可能な組成物の実際の製造方法は当業者に公知または明らかであり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1990)に更に詳細に記載されている。外傷の場合に推奨されうるような局所適用は、スプレー、灌流、カテーテル、ステント、血管移植片もしくはステント、軟膏、または当技術分野で公知の他の製剤により行われうる。ある例においては、局所投与は、第VIIa因子変異体を含む組成物で処理され、注入され、コーティングされ、または浸された外科用スポンジまたはコラーゲンマトリックスのような固体または半固体マトリックスによるものでありうる。そのようなマトリックスの製造方法は当技術分野でよく知られており(例えば、Thrombosis/Hemostasis 12:445,2006を参照されたい)、当業者は、与えられたマトリックスへの組成物の適用方法および適切な用量を容易に決定することが可能であろう。
1つの実施形態においては、本開示は、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質を含むキットに関する。ある例においては、キットは、適切な医薬組成物中に該糖タンパク質を含有する、そのまま使用できる液体を含有するバイアルを含有する。他の例においては、キットは凍結乾燥第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質または該糖タンパク質を含む凍結乾燥製剤を含有するバイアル、そしてまた、再構成用の希釈剤を含む。他の例においては、キットは、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の局所製剤、例えば軟膏剤、スプレー剤または液体、および患者への投与の前に局所製剤が適用され得るマトリックス、例えばスポンジまたは他の医療用マトリックスを含有する。
本明細書に記載されている第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質および組成物は、血液凝固障害、および血液凝固から利益が得られる障害の治療に有用であり、特に、野生型第VII因子より短い半減期を有する薬物での凝固に有用であり、これらの障害を治療するための医薬の製造に有用である。したがって、本明細書における第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質および組成物は、出血、浸透性外傷性損傷;鈍的外傷;待機手術における出血;心臓手術における出血;脊椎手術における出血;整形外科手術;脳神経外科手術;がん治療手術;分娩後手術;分娩後出血;月経過多;幹細胞移植における出血;肝移植における出血;消化管出血;肝硬変における活発な静脈瘤出血;肝硬変における非静脈瘤出血;びまん性肺胞出血;大動脈瘤;脳内出血;外傷性脳損傷;脳挫傷;ワルファリンの逆転;ヘパリンの逆転;抗凝固薬の逆転;抗血栓薬の逆転;第VII因子欠乏症;熱傷;インヒビターでの血友病患者における予防;非肝硬変患者および肝硬変患者に対する部分肝切除術;後天性血友病;特発性血小板減少性紫斑病;グランツマン血小板無力症;血小板輸血に抵抗性のグランツマン血小板無力症;およびベルナール・スーリエ症候群に有用である。ある実施形態においては、本開示の第VII因子グリコフォームは、出血、胃腸管出血、無制御出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物における出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤、および抗凝固薬の過剰投与の治療に有用である。
分娩後出血は母体死亡の主要原因である。したがって、本開示の第VII因子グリコフォームにより満たされうる有効な治療法が必要とされている。分娩後出血は、経膣分娩後の500mLを超える、または帝王切開後の1000mLを超える失血として定義されている。既存の貧血または他の或る障害を有する女性は、そのような失血に対処する能力が低い可能性があり、したがって、前記のものより少量の失血を伴う分娩後出血を被る可能性がある。これを考慮して、分娩出血は、女性の血行動態安定性を脅かすあらゆる量の失血を含むように定義されるべきだ、と一部の臨床医は提案している。分娩後出血の迅速な認識および診断ならびにそれに続く適切な処置の迅速な開始が障害の処置の成功に不可欠である。
図1はヒト野生型第VII因子のcDNA配列(配列番号1)およびヒト野生型第VII因子のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。 図2は、ヒト野生型第VII因子をコードするDNA配列(配列番号3)を示す。シグナルペプチドをコードする領域が下線で示されている。 図3は、ローマ数字をグリコシル化構造と相関させる表を示す。「式」は、例えば質量分析法による測定される全グリカン質量により決定されうる化学式を意味する。「例示構造」は、質量により特定される式の範囲内の可能なグリカン結合の一例を示す。該例示構造は、実験的に決定されたグリカン糖の順序およびそれらがどのように結合しているのかを示している、グリカンの過去の公開研究を考慮して、可能性のあるものである。 図4はアルスロバクター・ウレファシエンス(Artherobacter urefaciens)シアリダーゼ触媒ドメインのコドン最適化DNA配列(配列番号4)を示す。 図5はアルスロバクター・ウレファシエンス(Artherobacter urefaciens)シアリダーゼ触媒ドメインのアミノ酸配列(配列番号5)を示す。ヒト成長ホルモン遺伝子からの分泌シグナル配列(matgsrtslllafgllclpwlqegsa)が加えられており、下線で示されている。 図6はシアリダーゼ発現プラスミドpMB279のプラスミド地図である。基本発現ベクターは、ヒトCMVプロモーターを利用する3Kb UCOEベクター(Millipore)である。ピューロマイシン耐性遺伝子は、哺乳類発現のためにコドン最適化されたブラスチシジン耐性(GenBank D83710.1のアミノ酸配列)に変更された。 図7は、シアリダーゼおよび第VIIa因子をコードする核酸でトランスフェクトされたCHO K−1細胞(サブクローン9および11)において産生された第VIIa因子クローンに関する中性N−グリカンからのMALDI(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化)質量分析データ、ならびにシアリダーゼとの接触により脱シアル化された、本明細書において「NOVO 7」と称されるNOVOSEVEN組換え第VIIa因子である参照調製物のMALDIデータである。 図8は、2−AA(2−アミノ安息香酸)での標識の後の、CHO K−1細胞(サブクローン9、11および9 DS)において産生された第VIIa因子および脱シアル化参照産物NOVO 7のN−グリカンを分析しているHPLCデータである。サブクローン9 DSは、更に精製されたサブクローン9を意味する。 図9は、分子上に存在するグリカンを分析している、第VIIa因子重鎖の質量スペクトルを示す。上パネルは、シアリダーゼをも発現しているCHO細胞において産生された、本発明の第VIIa因子における第VIIa因子重鎖に関するN−グリカン分布を示す。図9(下パネル)は、シアリダーゼとの接触により脱シアル化されたNOVOSEVEN組換え第VIIa因子の第VIIa因子重鎖に関するN−グリカン分布を示す。下向きの矢印は、本開示による脱シアル化第VIIa因子上のグリカンと脱シアル化NOVOSEVEN第VIIa因子上のグリカンとの間の或る相違を示す。
実施例
SAFC(Sigma−Aldrich)から入手したチャイニーズハムスター卵巣(CHO−K1)細胞系をトランスフェクションのための親細胞系として使用した。このCHO−K1細胞系の凍結保存細胞バンクをCD−Fusion培地内で調製し、無菌性、マイコプラズマおよび非内在性ウイルス(外来性ウイルスおよび微小マウスウイルス)を試験した後、それを細胞系構築に使用した。
30ng/mL ビタミンKおよび6mM GlutaMAX(登録商標)培地(Gibco)を含有するCD−Fusion培地内で細胞系構築を行った。U−023プログラムを使用して、Amaxa Nucleofector II装置およびAmaxa Cell Line Nucleofector Kit V(Lonza Biologics,Slough,UK)を使用して、CHO−K1細胞を線状化pMB246プラスミドDNAでトランスフェクトした。pMB246プラスミドは、配列番号2のヒト野生型第VII因子をコードする核酸配列を含有していた。該核酸をコドン最適化した。トランスフェクションの24時間後、トランスフェクタントを、10μg/ml ピューロマイシン(Invitrogen)を含有するCD−Fusion選択培地を使用して、96ウェルプレート内で直接的にプレーティングした。薬剤選択およびスクリーニングの後、最高産生薬剤耐性単一フォーカスウェルからの細胞を増殖のために選択した。特異的発色活性に基づく上位(top)クローンの更なる特徴づけの後、最終候補細胞系を選択し、リサーチ・セル・バンク(Research Cell Bank)(RCB)を作製した。これらの細胞を、前記と同様の方法を用いて、線状化pMB279プラスミドDNA(図6を参照されたい)でスーパートランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、30または50μg/ml ブラスチシジン選択抗生物質(Invitrogen)を含有するCD−Fusion選択培地を試用して、96ウェルプレート内で細胞を直接的にプレーティングした。薬剤選択およびスクリーニングの後、薬剤耐性単一フォーカスウェルを増殖のために選択した。タンパク質の品質および生産性に基づいて上位の8個のクローンを更に特徴づけした後、最終的な5個の候補細胞系を選択し、それら5個の細胞系のリサーチ・セル・バンク(RCB)を作製した。
シアリダーゼおよび第VII因子は共に、操作された細胞系から分泌される。後記で詳細に記載されているとおり、公知方法の変法を用いて、回収物における第VII因子チモーゲンを精製し、活性な第VIIa因子へと活性化した。例えば、米国特許出願公開第20090047723号,“Method for Purification of Factor VII,”(Rikke Bolding Jensen and Frank Bech Nygaard)を参照されたい。
哺乳類細胞において発現される第VII因子は、γ−カルボキシグルタマート(Gla)残基を形成するビタミンK依存性カルボキシル化によるそのN−末端Glaドメイン内の10個までのグルタミン酸残基の修飾を含む幾つかの翻訳後修飾を有する。第VII因子は種々の数のGla残基を伴って発現されうるため、精製の重要な目的は、高含量のGla修飾(大抵は野生型では9〜10個)を有する脱シアル化第VII因子を単離することである。
精製の第1工程においては、回収培地をバッファー溶液に変え、濃縮し、後の処理のために凍結した。第2工程においては、陰イオン交換クロマトグラフィー(AIEC)による産物の捕捉は、第3工程であるヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(HAC)のための産物および調製物の更なる濃縮を可能にする。この後者の工程は、産物の実質的な精製をもたらし、また、低含量のGla修飾を有する存在するFVIIの形態を除去しうる。第4工程は第2のAIECであり、これは、例えばタンパク質濃度の変更およびバッファーの交換により、溶液中活性化工程のためのタンパク質産物を調製する。
第VII因子は一本鎖チモーゲン型で発現されるため、RとI(成熟タンパク質の残基153)との間の切断によりタンパク質を活性化するための活性化工程が必要とされる。第VII因子から第VIIa因子への自己タンパク質分解切断を促進する条件下で室温でタンパク質をインキュベートすることを含む「溶液中活性化工程」を用いた。該活性化工程の後、精製工程(第3のAIEC)、および製剤化バッファー中への最終産物の透析を行った。最終タンパク質を−70℃で保存する。
N−結合グリカンを酵素処理により除去し、MALDI質量分析法を用いてグリカンを分析した。結果を図7に示す。図7で用いられているローマ数字の凡例は図3に示されている。図7に示されているとおり、脱シアル化クローンからのN−結合グリカンは大部分がフコシル化二分岐(bi−antennary)(例えば、式Iのピークを参照されたい)ならびに三分岐および四分岐構造(例えば、式IVおよびVのピークを参照されたい)である。該ピークの質量および強度を用いて、グリカン組成、および検出可能なグリカン構造の相対存在量を決定することが可能である。図7および8におけるデータは、CHO−K1細胞系サブクローン9、11および(図8の場合)9 DS(これは、脱シアル化NOVOSEVENと比較して、サブクローン9と表示されているサンプルより高い度合で精製されたサブクローン9である)に関するものである。サブクローン9およびサブクローン11を精製し、自己活性化した。サブクローン9 DSを、接線流濾過を用いて更に精製した。したがって、全てのサンプルが活性化された(すなわち、脱シアル化野生型FVIIa)。
図8は、2−AA標識後のHPLCの方法による、NOVOSEVEN由来の及び操作されたCHO K−1細胞のクローン由来のグリカンの分析を示す。N−結合グリカンを酵素的に遊離させ、標準的な方法を用いて2−AAで標識し、ついでHPLCにより分析する。図8の表題における「ds」は、実質的に脱シアル化された糖タンパク質を意味する。以下の表に示されているとおり、グリカンを定量した。
Figure 2019530672
活性化第VIIa因子分子の還元後にHPLCにより分析される構造的特徴づけのためのLC−質量分析を用いて、組換え第VIIa因子の重鎖のN−グリコシル化パターンを分析した。したがって、これらのデータは、無傷HCおよびHLヘテロ二量体上に存在するN−結合グリカンの全プールのサブセットであるHC上のそれらのN−結合グリカンのみを示す。図9は、参照産物であるNOVOSEVEN組換え第VIIa因子および本開示の第VIIa因子糖タンパク質の脱シアル化重鎖(「HC」)のグリコシル化プロファイルを示す。脱シアル化NOVOSEVEN組換え第VIIa因子は、ノイラミニダーゼ−アガロースビーズ(Sigma N5254)のスラリーとrFVIIaのバッファー溶液とを室温で約16〜24時間穏やかに混合することにより製造されうる。当業者は、そのような酵素的脱シアル化を行うための追加的な方法を想定することが可能である。参照脱シアル化NOVOSEVEN第VIIa因子産物の重鎖上のN−結合グリコシル化は、大部分が、二分枝および異なるシアリル化(末端シアル酸含有量:0、1または2)を有する二分岐構造である。非常に少量の三分岐構造が観察された。
これとは対照的に、本開示の第VIIa因子糖タンパク質の重鎖は、参照脱シアル化NOVOSEVEN産物とは異なるグリコシル化パターンを有する。図9(上パネル)は、組換え野生型ヒト第VII因子およびアルスロバクター・ウレファシエンス(A.urefaciens)のシアリダーゼ活性ドメインをコードするヌクレオチドでトランスフェクトされたCHO−S細胞を使用して研究用細胞系において産生された本発明による脱シアル化第VIIa因子上のHCのN−グリカン分布を示す。図9において、下向きの矢印は、脱シアル化NOVOSEVENには存在するが、本発明の第VII因子グリコフォームには実質的または完全に存在しない2つのグリカンを示す。図9に示されているとおり、本発明の糖タンパク質は、LC−MSにより分析された場合、式IIおよび式IIIに対応するグリコフォームを示さない。しかし、参照産物のHCはこれらのグリコフォームのそれぞれの有意な量を示す。
サブクローン9 DSは、リン脂質−第Xa因子(PL−Xa)活性化により測定された場合、インビトロで活性を保有していた。また、第VIIa因子の活性は、正常プール化ヒト血漿における標準トロンビン生成アッセイ条件を用いて評価されうる。1pMの組織因子はアクチベーターであり、サンプルは4μMの脂質濃度で使用される。クリアランスはインビトロ肝細胞クリアランスアッセイにおいて測定されうる。クリアランスの上昇はインビボでラットにおいて、およびHemA PK試験において測定されうる。
本開示の第VII因子および第VIIa因子糖タンパク質は、肝臓におけるアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)のようなクリアランス受容体に対するリガンドとして使用されうるグリカンを有する。この受容体は、末端ガラクトース残基を有するグリカンに結合する。特に、ASGPRは、man−GlcNAc−Galで終結する複数のアームを有するグリカンに結合する。現在開示されている糖タンパク質は、GlcNAcで終結するグリカン、または他の組換え第VII因子および第VIIa因子分子、例えばNOVOSEVEN組換え第VIIa因子において見出されるグリカンの低減したレベルを示す。これらのグリカンは、マクロファージおよび他の細胞、例えば樹状細胞内への取り込みを促進するMan/GlcNAc受容体のような他の細胞受容体と相互作用する可能性がある。理論によって何ら限定されることを望むものではないが、そのようなグリカンは、現在開示されている糖タンパク質と比較して、異なるクリアランスメカニズムを促進することが可能であり、したがって、異なる臨床的有用性を有すると考えられる。例えば、マクロファージ内への取り込みの速度はASGPRによる取り込みとは異なる可能性があり、その結果、作用の持続期間および生体内分布が異なりうる。重要なことに、Man/GlcNAc受容体を介した樹状細胞内への取り込みは、より高い免疫原性率と関連づけられている。異なるグリカン構造の役割は、本発明のもののように、シアル酸を除去するために更に改変された分子のクリアランスに特に重要でありうる。

Claims (14)

  1. グリカンを含むN−結合グリコシル化パターンを有する第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質であって、ここで、該グリコシル化パターンが、
    (1)末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含まず、
    (2)式I:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンである実質的なグリカンを含み、
    (3)式II:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンおよび式III:(GlcNAc)(Man)(Fuc)のグリカンからなる群から選択される微量以下の1以上のグリカンを含む、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質。
  2. 該グリコシル化パターンが、
    (1)式IV:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンおよび/または
    (2)式V:(GlcNAc)(Gal)(Man)(Fuc)のグリカン
    を更に含む、請求項1記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質。
  3. 該グリコシル化パターンが、微量以下の式IIのグリカンを有する、請求項1または2記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質。
  4. 該グリコシル化パターンが、微量以下の式IIIのグリカンを有する、請求項1または2記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質。
  5. 該糖タンパク質が、配列番号2と比較して3つ以下の突然変異を有するアミノ酸配列を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質。
  6. 該糖タンパク質が第VIIa因子糖タンパク質であり、重鎖を含み、ここで、該重鎖が、グリカンを含むN−結合グリコシル化パターンを有し、更に、該グリコシル化パターンが、
    (1)末端N−アセチルノイラミン酸を有するグリカンを実質的に含まず、
    (2)式I:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンである実質的なグリカンを含み、
    (3)式II:(GlcNAc)(Man)(Gal)(Fuc)のグリカンおよび式III:(GlcNAc)(Man)(Fuc)のグリカンからなる群から選択される微量以下の1以上のグリカンを含む、請求項1記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質。
  7. 該グリコシル化パターンが、微量以下の式IIのグリカンを有する、請求項6記載の第VIIa因子糖タンパク質。
  8. 該グリコシル化パターンが、微量以下の式IIIのグリカンを有する、請求項5または6記載の第VIIa因子糖タンパク質。
  9. 該糖タンパク質が、配列番号2と比較して3つ以下の突然変異を有するアミノ酸配列を含む、請求項5〜8のいずれか1項記載の第VIIa因子糖タンパク質。
  10. シアリダーゼを発現するように組換え的に操作されたCHO K−1宿主細胞において、第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質のアミノ酸配列をコードする組換え核酸を発現させ、
    それにより産生された第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質を単離することを含む、請求項2〜9のいずれか1項記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質の製造方法。
  11. シアリダーゼが配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項10記載の製造方法。
  12. 血餅形成が望ましい疾患または障害を有する哺乳動物の治療方法であって、該方法が、それを要する哺乳動物に、請求項1〜9のいずれか1項記載の第VII因子糖タンパク質の有効量を投与することを含み、ここで、該疾患または障害が、出血、胃腸管出血、無制御出血、移植または切除または手術を受けている哺乳動物における出血、静脈瘤出血、血小板減少症、血友病、頭蓋内出血、大動脈瘤および抗凝固薬の過剰投与からなる群から選択される、治療方法。
  13. 該疾患または障害が、分娩後出血である出血である、請求項12記載の方法。
  14. 請求項1〜9のいずれか1項記載の第VII因子または第VIIa因子糖タンパク質と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
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