本出願は、2016年9月27日に中国特許庁に出願された、「符号化装置、ならびにそれに基づく量子鍵配送デバイスおよびシステム」と題する中国特許出願第201610856277.3号に基づく優先権を主張し、当該出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
本発明は、光通信の分野に関し、特に、符号化装置、ならびにそれに基づく量子鍵配送QKDデバイスおよびシステムに関する。
量子通信は、古典的な情報理論および量子力学に基づいて開発された通信技術である。現在、実用性のある量子通信技術は主に、量子鍵配送(Quantum Key Distribution、QKD)である。鍵のセキュリティは、測定崩壊理論(measurement collapse theory)、量子複製不可能定理、および不確定性原理などの量子力学の基本原理に依存する。従って、QKDシステムを用いて2つの通信する者に割り当てられている鍵が安全であることが理論的に証明されており、軍事、国家防衛、情報セキュリティなどの分野においてQKDの広い応用が期待されている。
図1に示されている既存のQKDシステムにおいて、量子光源が送信側(アリス側)に位置し、光パルスを生成するために用いられる。光パルスは、ビームスプリッタを用いることによって、2つの光パルスP1およびP2に分割される。P1は、ショートアーム(short arm)を通過し、P2は、ロングアーム(long arm)を通過する。ファラデー回転子ミラー(Faraday Mirror、FM)を通過した後に、P1は、ビームスプリッタに戻る。変調器およびFMを通過した後に、P2は、ビームスプリッタ710に戻る。減衰器を順次通過し、単一光子レベルまで減衰された後に、2つの光パルスP1およびP2は、量子チャネルを用いることによって、受信側(ボブ側)へ送信される。変調器を通過しているとき、P2は、アリス側についての情報が追加された状態で変調される。
ボブ側において、P1およびP2は、サーキュレータにより順次受信され、ボブ側におけるビームスプリッタへ送信される。光パルスP1は、P11およびP12に分割され、光パルスP2は、P20およびP22に分割される。P11およびP20は、ショートアームを通過し、P12およびP22は、ロングアームを通過する。FMを通過した後に、P11およびP20は、ビームスプリッタに戻る。変調器およびFMを通過して、ボブ側についての情報が追加された状態で変調された後に、P12およびP22は、ビームスプリッタに戻る。ボブ側のロングアームとショートアームとの間の光路差が、アリス側のロングアームとショートアームとの間の光路差に等しいので、P12およびP20は、同時にビームスプリッタに到着し、ビームスプリッタにおいて互いに干渉し、干渉信号が2つの単一光子検出器D1およびD2により取得される。対応する量子鍵配送プロトコルに従って、2つの単一光子検出器の検出結果を処理することによって、量子鍵を取得することができる。
しかしながら、既存のQKDシステムにおいて、変調された光パルス(例えば、アリス側のP2およびボブ側のP12)は全て、まず一度変調器を通過する必要があり、変調された光パルスの偏光方向がFMにより90度回転させられた後に、回転させられた光パルスは再び、変調器を一度通過する。高速の変調器は全て、偏光依存性である。例えば、通常、TE偏光の挿入損失が6dBであり、TM偏光の挿入損失が30dBであり、光パルスが一往復後に36dB減衰されることに等しい。減衰が大きすぎる。従って、既存のQKDシステムは、低速の変調器のみを用いることができ、高速通信の要求を満たすことができない。
本発明の目的は、符号化装置を提供することである。符号化装置は、既存のQKDシステムにおけるFMおよび変調器を置換えることができ、これにより、既存のQKDシステムが低速の変調器のみを用いることができ、高速通信の要求を満たすことができないという課題を解決する。
第1の態様によれば、偏光スプリッタ回転子PSRと、偏光回転構造と、変調器とを備える符号化装置が提供され、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第1の偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第2の偏光を変調器へ送信し、ここで、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第1の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第2の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、PSRの第1のポートを用いて出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の本実施形態において、変調器を通過する光パルスの偏光方向が一致であり、両方とも、光パルスが比較的低い損失で変調器を通過する偏光方向である。従って、本発明の本実施形態において提供されている符号化装置を用いるQKDシステムは、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第1の態様に関連して、第1の態様の第1の可能な実装方式において、変調器の両端からPSRへの光路が等しく、これにより、PSRにより分割することによって取得される2つの光は同時に変調器に到着することができることを保証し、変調器により行われる変調に必要とされる時間を短縮する。
第1の態様または第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第2の可能な実装方式において、偏光回転構造は、位相変調器または動的偏光制御器を含む。本発明の本実施形態は、平面光波回路(Planar Lightwave Circuit、PLC)技術に適用可能である。これは、符号化装置の小型化集積を容易にする。
第1の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第3の可能な実装方式において、第1の偏光が偏光回転構造を離れた後に、第2の信号光は偏光回転構造に入る。
第1の態様または第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第4の可能な実装方式において、偏光回転構造は、ファラデー結晶および偏光回転器PRを含み、ファラデー結晶は、2つのポートを有し、ファラデー結晶の第1のポートから入射する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させ、ファラデー結晶の第2のポートから入射する光の偏光方向を第2の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向であり、第2の方向は、第1の方向と反対であり、PRは、2つのポートを有し、PRの2つのポートから入射する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、PRの第1のポートは、ファラデー結晶の任意のポートに接続される。
第1の態様の第4の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第5の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶とPSRとの間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRと変調器との間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第1の態様の第4の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第6の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶と変調器との間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRとPSRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第1の態様の第5および第6の可能な実装方式において、2つの偏光子は、偏光回転構造の回転角が温度および入射光の波長に影響されることを防止することができる。全ての角度偏差が光強度偏差に変換される。QKDシステムに適用されるとき、偏光子は、システムのセキュリティおよび安定性を向上させることができる。
第1の態様の第4の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第7の可能な実装方式において、PSR、偏光回転構造、および変調器は、偏光保持光ファイバを用いることによって互いに接続され、符号化装置における偏光状態の安定性を保証する。
第1の態様または第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第8の可能な実装方式において、PSRは、PBSおよびPRを有し、PBSは、入力信号光を、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割するよう構成され、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光を出力信号光に結合するようさらに構成され、PRは、PBSと偏光回転構造との間、またはPBSと変調器との間に位置し、PRを通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
第2の態様によれば、PSRおよび偏光回転構造を備える光反射器が提供され、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて、第1の偏光および第2の偏光を偏光回転構造へ送信し、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第2の偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第1の偏光、および第2の偏光を結合して出力信号光を取得し、PSRの第1のポートを用いることによって出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の本実施形態に提供されている光反射器は円形構造であり、変調機能を有する装置を形成するように変調器と組み合わせられることができ、これにより、装置を通過して往復する光パルスが、変調器を一度だけ通過した後に変調された情報を保持することができ、それにより、システム損失を低減する。
第2の態様に関連して、第2の態様の第1の可能な実装方式において偏光回転構造は、位相変調器または動的偏光制御器を含む。本発明の本実施形態は、PLC技術に適用可能である。これは、光反射器の小型化集積を容易にする。
第2の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第2の可能な実装方式において、第1の偏光が偏光回転構造を離れた後に、第2の偏光は偏光回転構造に入る。
第2の態様に関連して、第2の態様の第3の可能な実装方式において、偏光回転構造は、ファラデー結晶および偏光回転器PRを含み、ファラデー結晶は、2つのポートを有し、ファラデー結晶の第1のポートから入射する光の偏光方向を、第1の方向に90度回転させ、ファラデー結晶の第2のポートから入射する光の偏光方向を第2の方向に90度回転させるよう構成され、第2の方向は、第1の方向と反対であり、PRは、2つのポートを有し、PRの2つのポートから入射する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、PRの第1のポートは、ファラデー結晶の任意のポートに接続される。
第2の態様の第3の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第4の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶とPSRとの間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRと変調器との間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光または第2の偏光子の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第2の態様の第3の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第5の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶と変調器との間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRとPSRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第2の態様の第3の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第6の可能な実装方式において、PSR、偏光回転構造、および変調器は、偏光保持光ファイバを用いることによって互いに接続され、光反射器における偏光状態の安定性を保証する。
第2の態様または第2の態様の第1から第6の可能な実装方式のうちの任意の1つに関連して、第1の態様の第7の可能な実装方式において、PSRは、PBSおよびPRを含み、PBSは、入力信号光を、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割するよう構成され、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光を出力信号光に結合するようさらに構成され、PRは、PBSと偏光回転構造との間に位置し、PRを通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
第3の態様によれば、ビームスプリッタと、光反射器と、符号化装置とを備える符号化構造が提供され、ビームスプリッタは、入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割され、第1の偏光を光反射器へ送信し、第2の偏光を符号化装置へ送信するよう構成され、ビームスプリッタから光反射器への光路が、ビームスプリッタから符号化装置への光路に等しくなく、光反射器は、PSRおよび偏光回転構造を含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第1の偏光を受信し、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて、第1の副偏光および第2の副偏光を偏光回転構造へ送信し、第1の副偏光の偏光モードは、第2の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第1の副偏光を取得し、回転させられた第1の副偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第2の副偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第1の副偏光、および第2の副偏光を結合して第3の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第3の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第3の偏光の偏光方向は、第1の偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いることによって第2の偏光を受信し、第2の偏光を、第3の副偏光および第4の副偏光を分割し、PSRの第2のポートを用いて第3の副偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第4の副偏光を変調器へ送信し、第3の副偏光の偏光モードは、第4の副偏光の偏光モードと同じであるm」偏光回転構造は、第3の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第3の副偏光を取得し、回転させられた第3の副偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第3の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第4の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第4の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第4の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第4の偏光の偏光方向は、第2の偏光の偏光方向に垂直であり、ビームスプリッタはさらに、第3の偏光および第4の偏光を送信するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供されている符号化構造は、第1の態様および第2の態様に係る符号化装置および光反射器を備え、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有し、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第3の態様に関連して、第3の態様の第1の可能な実装方式において、符号化構造はさらに、2つの光遅延線を含み、第1の光遅延線がビームスプリッタと光反射器との間に位置し、第2の光遅延線がビームスプリッタと符号化装置との間に位置し、2つの光遅延線の長さが異なる。
第4の態様によれば、量子光源と、符号化構造と、減衰器とを備える量子鍵送信デバイスが提供され、量子光源は、光パルスを照射し、光パルスを符号化構造へ送信するよう構成され、符号化構造は、ビームスプリッタと、光反射器と、符号化装置とを含み、ビームスプリッタは、光パルスを受信し、光パルスを第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光を光反射器へ送信し、第2の偏光を符号化装置へ送信するよう構成され、ビームスプリッタから光反射器への光路と、ビームスプリッタから符号化装置への光路との間の差がNであり、Nは自然数であり、光反射器は、PSRおよび偏光回転構造を含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第1の偏光を受信し、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いることによって、第1の副偏光および第2の副偏光を偏光回転構造へ送信し、第1の副偏光の偏光モードは、第2の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の副偏光を取得し、回転させられた第1の副偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第2の副偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第1の副偏光、および第2の副偏光を結合して第3の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第3の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第3の偏光の偏光方向は、第1の偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第2の偏光を受信し、第2の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第3の副偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第4の副偏光を変調器へ送信し、第3の副偏光の偏光モードは、第4の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第3の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第3の副偏光を取得し、回転させられた第3の副偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第3の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第4の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第4の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第4の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第4の偏光の偏光方向は、第2の偏光の偏光方向に垂直であり、ビームスプリッタはさらに、第3の偏光および第4の偏光を減衰器へ送信するよう構成され、減衰器は、第3の偏光および第4の偏光を単一光子レベルまで減衰し、量子チャネルを用いて減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を送信するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供される量子鍵送信デバイスは、送信デバイスにおける偏光依存性損失に対する自己補償を行うことができ、2つの送信された光パルスが同じ偏光方向を有することを保証し、さらに、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第5の態様によれば、サーキュレータと、符号化構造と、第1の単一光子検出器と、第2の単一光子検出器とを備える量子鍵受信デバイスが提供され、サーキュレータは、量子チャネルを用いて減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を受信し、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を符号化構造へ送信するよう構成され、符号化構造は、ビームスプリッタと、光反射器と、符号化装置とを含み、ビームスプリッタは、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を受信し、減衰された第3の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、減衰された第4の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、第1の副偏光および第3の副偏光を光反射器へ送信し、第2の副偏光および第4の副偏光を符号化装置へ送信するよう構成され、ビームスプリッタから光反射器への光路と、ビームスプリッタから符号化装置への光路との間の差がNであり、Nは自然数であり、光反射器は、PSRおよび偏光回転構造を含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第1の副偏光を受信し、第1の副偏光を第5の副偏光および第6の副偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて第5の副偏光および第6の副偏光を偏光回転構造へ送信し、第5の副偏光の偏光モードは、第6の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第5の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第5の副偏光を取得し、回転させられた第5の副偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第6の副偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第5の副偏光、および第6の副偏光を結合して第1の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第1の出力偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第1の出力偏光の偏光方向は、第1の副偏光の偏光方向に垂直であり、光反射器は、第3の副偏光に対して同じ処理を行い、第2の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第2の出力偏光をビームスプリッタへ送信し、第2の出力偏光の偏光方向は、第3の副偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第2の副偏光を受信し、第2の副偏光を第7の副偏光および第8の副偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第7の副偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第8の副偏光を変調器へ送信し、第7の副偏光の偏光モードは、第8の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第7の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第7の副偏光を取得し、回転させられた第7の副偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第7の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第8の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第3の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第3の出力偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第3の出力偏光の偏光方向は、第2の副偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、第4の副偏光に対して同じ処理を行い、第4の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第4の出力偏光をビームスプリッタへ送信し、第4の出力偏光の偏光方向は、第2の副偏光の偏光方向に垂直であり、ビームスプリッタはさらに、第2の出力信号光および第3の出力信号光を互いに干渉させ、第1の干渉光および第2の干渉光を取得し、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれサーキュレータおよび第2の単一光子検出器へ送信するよう構成され、サーキュレータはさらに、第1の干渉光を第1の単一光子検出器へ送信するよう構成され、2つの単一光子検出器は、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれ検出するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供されている受信デバイスは、受信デバイスにおける偏光依存性損失に対して自己補償を行う機能を有し、互いに干渉する2つの出力偏光の偏光方向が一致するよう保証し、それにより、干渉効果を高め、量子鍵生成率の増加に役立つ。受信デバイスはさらに、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第6の態様によれば、第4の態様に係る送信デバイスおよび第5の態様に係る受信デバイスを備える量子鍵配送システムが提供される。
第7の態様によれば、ビームスプリッタと、単一光子検出器と、減衰器と、符号化装置とを備える量子鍵送信デバイスが提供され、ビームスプリッタは、少なくとも3つのポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは、ビームスプリッタの一方の側に位置し、全ての残りのポートは、ビームスプリッタの他方の側に位置し、第1のポートは、減衰器に接続され、第2のポートは、単一光子検出器に接続され、第3のポートは、量子チャネルに接続され、ビームスプリッタは、量子チャネルを用いて光パルスを受信し、光パルスを第1の光パルスおよび第2の光パルスに分割し、第1のポートおよび第2のポートをそれぞれ用いて第1の光パルスおよび第2の光パルスを送信するよう構成され、減衰器はさらに、符号化装置に接続され、減衰器に入力された光パルスを減衰するよう構成され、単一光子検出器は、単一光子検出器に入力された光パルスを検出するよう構成され、検出された情報は、検出された光パルスがトロイの木馬により攻撃されるかを示すために用いられ、符号化装置は、偏光スプリッタ回転子PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートは、減衰器に接続され、PSRの第2のポートは、偏光回転構造に接続され、PSRの第3のポートは、変調器に接続され、PSRの第1のポートを用いて入力光パルスを受信し、入力光パルスを第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光の偏光方向を90度回転させて第3の偏光を取得し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて第1の偏光および第3の偏光を送信するよう構成され、変調器はさらに、偏光回転構造に接続され、変調器に入力された光パルスを変調するよう構成され、偏光回転構造は、一方の側から偏光回転構造に入った光パルスの偏光方向を180度回転させ、他方の側から偏光回転構造に入った光パルスの偏光方向を0度回転させるよう構成される。符号化装置の出力光パルスおよび入力光パルスの偏光方向は、互いに垂直である。
第8の態様によれば、第7の態様に係る量子鍵送信デバイスおよび既存の往復QKDシステムの受信デバイスを備える量子鍵配送システムが提供される。
第9の態様によれば、レーザと、偏光ビームスプリッタPBSと、遠隔変調装置と、受信器とを備える遠隔変調システムが提供され、レーザは、PBSの第2のポートに接続され、第1の偏光を照射するよう構成され、PBSは、3つのポートを有し、PBSの第2のポートを用いて第1の偏光を受信し、伝送チャネルを介してPBSの第1のポートを用いて第1の偏光を遠隔変調装置へ送信するよう構成され、遠隔変調装置は、偏光スプリッタ回転子PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第2の偏光および第3の偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第2の偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第3の偏光を変調器へ送信し、入力信号光は、第1の偏光が伝送チャネルを通過した後に取得され、第2の偏光の偏光モードは、第3の偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第2の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第2の偏光を取得し、回転させられた第2の偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第2の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第3の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、伝送チャネルを介してPSRの第1のポートを用いて出力信号光をPBSへ送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直であり、PBSはさらに、PBSの第1のポートを用いて第4の偏光を受信し、PBSの第3のポートを用いて第4の偏光を受信器へ送信するよう構成され、第4の偏光は、出力信号光が伝送チャネルを通過した後に取得され、受信器は、第4の偏光を受信するよう構成される。
本発明の本実施形態に提供されている遠隔変調システムによれば、PBSは、第4の偏光のみを受信器へ送信する。従って、第4の偏光の偏光方向と同じ方向のノイズのみが導入され、このことは、ノイズが3dB減衰されることに等しい。さらに、PBSの挿入損失も、既存の遠隔変調システムにより用いられるサーキュレータの挿入損失より低い。
第9の態様に関連して、第9の態様の第1の可能な実装方式において、遠隔変調システムはさらに、ビームスプリッタを含み、第1の偏光を受信し、第1の偏光を2つの偏光に分割し、一方の偏光をPBSへ送信し、他方の偏光を受信器へ送信するよう構成される。本発明の本実施形態は、遠隔コヒーレント変調システムに適用されることができる。
本発明の実施形態において、変調器を通過する光パルスの偏光方向が一致し、両方とも、比較的低い損失で光パルスが変調器を通過する偏光方向である。従って、本発明の実施形態において提供されている符号化装置を用いるQKDシステムは、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態または従来技術を説明するために必要とされる添付の図面を簡潔に説明する。明らかに、以下の説明における添付の図面は単に、本発明のいくつかの実施形態を示しており、当業者は、創造努力なく、これらの添付の図面から、他の図面をさらに導出し得る。
既存のQKDシステムを示す。
本発明の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る光反射器を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化構造を示す。
本発明の別の実施形態に係る量子鍵送信デバイスを示す。
本発明の別の実施形態に係る量子鍵受信デバイスを示す。
光パルスの偏光方向の変化の概略図である。
本発明の別の実施形態に係るQKDシステムを示す。
本発明の別の実施形態に係る遠隔変調システムを示す。
本発明の別の実施形態に係る遠隔変調システムを示す。
本発明の別の実施形態に係る遠隔変調システムにおける可能な受信器構造を示す。
以下では、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を明確に、かつ完全に説明する。明らかに、説明されている実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、一部である。当業者により創造努力なく、本発明の実施形態に基づいて取得される全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
以下の説明において、本発明を限定するためではなく、本発明を示すために、特定のシステム構造、インタフェース、および技術などの具体的な詳細は、本発明を十分に理解するために提供される。しかしながら、本発明はまた、これらの具体的な詳細を含まない他の実施形態においても実装され得ることを、当業者は理解するべきである。他のシナリオにおいて、不必要な詳細が本発明の説明を妨げることを防止するために、周知装置、回路、方法の詳細な説明が省略される。
「第1」、「第2」、「第3」および「第4」などの序数が本発明の実施形態に用いられているとき、序数が文脈に従って順序を表しているものではない限り、序数は単に、区別のために用いられていることが理解されるべきである。
本発明の実施形態は、PCを用いて光パルスの偏光状態を変化させることなく、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有することができる符号化装置200を提供する。図2に示されているように、符号化装置200は、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを備える。
PSR210は、3つのポートを有し、PSR210の第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSR210の第2のポートを用いて第1の偏光を偏光回転構造220へ送信し、PSR210の第3のポートを用いて第2の偏光を変調器230へ送信し、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じである。
PSR210は、PBSと、偏光保持光ファイバの速/遅軸との間の相互接続を介して実装されることができる。具体的には、入射光がPBSによりTE偏光およびTM偏光に分割された後に、出現するTE偏光の偏光方向および出現するTM偏光は、それぞれ速軸および遅軸に整列せずに、両方とも、偏光保持光ファイバの速軸に整列されるか、または、両方とも、偏光保持光ファイバの遅軸に整列される。この場合、PSR210から出現した偏光は、偏光保持光ファイバと同じ軸方向に整列され、従って、同じ偏光モードを有する。
任意選択的に、PSR210はさらに、別の実装構造240を有する。図3(a)に示されているように、実装構造240は、PBS211およびPR212を含む、PBS211は、入力信号光を、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割するよう構成される。PR212は、PBS211と偏光回転構造220との間に位置し、PR212を通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
本発明の全ての実施形態において、偏光方向の変化が、光の伝搬方向と逆向きに観察されることが留意されるべきである。
偏光回転構造220は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光を変調器230へ送信するよう構成される。
任意選択的に、別の実施形態において、偏光回転構造220の実装構造250は、図4(a)において示されている。実装構造250は、ファラデー結晶221およびPR222を含む。ファラデー結晶221は、2つのポートを有し、ファラデー結晶221の第1のポートから入射する光の偏光方向を、第1の方向に90度回転させ、ファラデー結晶221の第2のポートから入射する光の偏光方向を、第2の方向に90度回転させるよう構成され、第2の方向は、第1の方向と反対である。PR222は、2つのポートを有し、PR222の2つのポートから入射する光の偏光方向を、第1の方向に90度回転させるよう構成され、PR222の第1のポートは、ファラデー結晶221の任意のポートに接続される。従って、偏光回転構造250は、偏光回転構造250の一端から入射する光の偏光方向を、180度回転させ、偏光回転構造250の他端から入射する光の偏光方向を0度回転させる機能を行うことができる。
さらに、偏光回転構造220の別の実装構造260が図4(b)において示されている。実装構造260は、第1の偏光子223および第2の偏光子224を含む。第1の偏光子223は、ファラデー結晶221とPSR210との間に位置し、第1の偏光子223を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成される。第2の偏光子224は、PR222と変調器230との間に位置し、第2の偏光子224を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成される。あるいは、図4(c)において示されている実装構造270において、第1の偏光子223の位置が変化しないまま維持され、第2の偏光子224は、ファラデー結晶221とPR222との間に位置し、第2の偏光子224を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
あるいは、ファラデー結晶221およびPR222の位置は、交換可能である。言い換えれば、第1の偏光子223は、ファラデー結晶221と変調器230との間に位置してよく、第2の偏光子224は、PR222とPSR210との間に位置するか、または、第1の偏光子223は、ファラデー結晶221と変調器230との間に位置し、第2の偏光子224は、ファラデー結晶221とPR222との間に位置する。2つの偏光子の機能は、図4(b)および図4(c)において示されている偏光子の機能と一致する。
2つの偏光子は、ファラデー結晶221の回転角が温度および入射光の波長により影響されることを防止することができる。ファラデー結晶221の全ての角度偏差が光強度偏差に変換される。偏光補償の安定性に対する光強度偏差の影響が極めて小さく、1度の偏差角度が単に、1/10000000の光強度変動を引き起こすに過ぎない。QKDシステムにおいて、偏光方向の1度の振れの、システム全体のセキュリティに対する影響が大きく、盗聴者EVEは、この脆弱性を利用して有用な情報を直接盗聴することができる。しかしながら、光強度変動は、システムのセキュリティにほとんど影響を与えない。従って、本発明の実施形態がQKDシステムに適用されるとき、QKDシステムのセキュリティを高めることができる。
任意選択的に、別の実施形態において、図5において示されているように、偏光回転構造220はさらに、別の実装方式280を有し、位相変調器(Phase Modulator,PM)または動的偏光制御器(Dynamic Polarization Controller、DPC)を含む。
偏光回転構造280の両端から入射した光パルスがP1およびP2として示されると仮定すると、P1の偏光方向が180度回転させられ、P2の偏光方向が変化されていない。PMおよびDPCは両方とも、能動的なコントローラであり、両端から入射した光信号を処理できない。これは、P2が偏光回転構造280に到着したとき、P1が処理されており、偏光回転構造280を完全に離れたはずであることを必要とする。従って、Tac≧Tab+Tbc+Wpという関係が満されることが必要である。図7において示されているように、TabおよびTacはそれぞれ、P1およびP2が偏光回転構造280に到着するまでかかった時間である。Tbcは、偏光回転構造280における光パルスP1の偏光回転に必要とされる時間であり、Wpは、光パルスP1の全体のパルス幅である。入射光の波長および温度にも影響されるが、PMまたはDPCは、能動的な変調に起因して、リアルタイムで電圧を調整して制御することができ、入射光の波長および温度の影響に対して補償することが留意されるべきである。
概して、PMは、光信号の位相を変調するよう構成されるのみで、光信号の偏光方向を調整することができない。しかしながら、π位相変調が光信号に適用される場合、偏光方向が180度回転させられたことに等しい。具体的には、光信号の平面波が
であり、偏光方向が180度回転させられた後に、
に変化すると仮定する。π位相変調が光信号に適用される場合も、光信号の平面波は
である。2つの場合は、同じ効果を有する。PMは、π位相を変調するときのみ、光信号の偏光方向を調整する機能を行うことができることが留意されるべきである。PMは、GHzレベルの変調率をサポートすることができ、PLC技術に適用可能である。従って、PMを用いる偏光回転構造280は、高速通信の要求を満たし、デバイスの小型化集積をさらに容易にする。
DPCは主に、全光機械型および電気光学制御型という2つのタイプに分類される。全光機械型は通常、機械的に制御され、従って、比較的低い速度を有するが全光機械型は、光ファイバに対して直接作用し、低い挿入損失の利点を有し、速度の要求が高くないシナリオに適用可能である。電気光学制御型は、電気光学型、圧電性型、光磁気型、および液晶型などのタイプを含み、適用される電場を用いて偏光状態を制御し、これにより、速度がミリ秒レベルに達することができ、従来技術における処理速度に等しい。しかしながら、本発明の本実施形態において、DPCは、P1およびP2の偏光方向をそれぞれ0度および180度回転させるためにのみ用いられる必要がある。従って、制御の複雑性が比較的低い。さらに、DPCは、PLC技術にも適用可能であり、それにより、デバイスの小型化集積を容易にする。
PSR210および偏光回転構造220が共に集積される場合、前述のデバイスは、光導波路を用いて互いに接続されるか、または、PSR210および偏光回転構造220が別個のデバイスである場合、前述のデバイスは、偏光保持光ファイバを用いて互いに接続されることが留意されるべきである。
変調器230は、回転させられた第1の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSR210の第3のポートへ送信するよう構成され、第2の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造220へ送信するようさらに構成される。
具体的には、変調器230は、強度変調器(Intensity Modulator、IM)、PM、四位相偏移変調方式変調器(Quadrature Phase Shift Keying Modulator、QPSK Modulator)、又は同様のものであってよい。このことは、本発明の本実施形態において限定されない。
任意選択的に、変調器230の両端からPSR210への光路が等しく、それにより、変調器230が、PSR210により分割された2つの偏光を同時に処理することができることを保証し、処理速度の増加に役立つ。具体的には、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とは、光導波路または偏光保持光ファイバを用いることによって、互いに接続される。
全ての高速の変調器は、偏光依存型であることが留意されるべきである。TE偏光モードにおける入射光の損失は、TM偏光モードにおける入射光の損失と異なり、通常、差が少なくとも20dBである。通常、TE偏光モードにおける損失は、約6dBであり、TM偏光モードにおける損失は、約30dBである。30dBの損失は、通信システムにおいて、特に、非常に弱い光強度を有する量子通信システムにおいて許容できない。本発明の本実施形態において、PSR210による分割によって取得された2つの偏光は、同じ偏光モードを有し、両方とも、TE偏光であり、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、通信システムが受け入れることのできない損失が引き起こされることを回避する。
符号化装置200がTM偏光に対して低い損失を有する特定の変調器を用いる場合、PBS210による分割によって取得された2つの偏光は代わりに、本発明の本実施形態におけるTM偏光であってよいことが理解されるべきである。
偏光回転構造220はさらに、第2の信号光をPSR210の第2のポートへ送信するよう構成される。
任意選択的に、例えば、図4(a)において示される偏光回転構造250において、PR222はさらに、PSR210の第3のポートから第1の信号光を受信し、第1の信号光の偏光方向を第1の方向に90度回転させて、回転させられた第1の信号光を取得するよう構成される。ファラデー結晶221はさらに、回転させられた第1の信号光の偏光方向を第2の方向に90度回転させて、第1の信号光を復元するよう構成される。第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向であり、第2の方向は第1の方向と反対である。
PSR210はさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、PSR210の第1のポートを用いて出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
任意選択的に、別の実施形態において、PSR240は、PBS211およびPR212を含む。図3(a)に示されているように、PBS211はさらに、偏光方向が互いに垂直である2つの信号光を、出力信号光に結合するよう構成される。PR212は、PBS211と偏光回転構造220との間に位置し、PR212を通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
あるいは、PSR240は、図3(b)において示され、PBS211およびPR212を含んでよく、PR212は、PBS211と変調器230との間に位置する。PSR240の機能は、図3(a)に示されている構造における機能と同様であり、詳細はここでは再び説明されない。
結論として、本発明の本実施形態において提供されている符号化装置200は、3つのポートを有するPSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを含む。入力信号光は、PSR210の第1のポートを用いて受信され、入力信号光は、第1の偏光および第2の偏光に分割され、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じである。第1の偏光の偏光方向は、180度回転させられて、回転させられた第1の偏光を取得する。回転させられた第1の偏光、および第2の偏光は、変調されて、第1の信号光および第2の信号光をそれぞれ取得する。第1の信号光および第2の信号光は結合されて出力信号光を取得する。出力信号光は、PSR210の第1のポートを用いて送信される。出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の本実施形態において提供されている符号化装置200は、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、通信システムが受け入れるのできない損失が引き起こされることを回避し、高速通信の要求を満たす。
本発明の実施形態はさらに、光反射器600を提供する。図6において示されているように、光反射器600は、PSR601および偏光回転構造602を含む。
PSR601は、3つのポートを有し、PSR601の第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSR601の第2のポートおよびPSR601の第3のポートをそれぞれ用いて、第1の偏光および第2の偏光を偏光回転構造602へ送信し、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じである。
偏光回転構造602は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光をPSR601の第3のポートへ送信し、第2の偏光をPSR601の第2のポートへ送信するよう構成される。
PSR601はさらに、回転させられた第1の偏光、および第2の偏光を結合して出力信号光を取得し、PSR601の第1のポートを用いて、出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の別の実施形態は、符号化構造700を提供する。符号化構造700の可能な構造が図7において示されており、ビームスプリッタ710と、光反射器600と、符号化装置200とを含む。
ビームスプリッタ710は、入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光を光反射器600へ送信し、第2の偏光を符号化装置200へ送信するよう構成され、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路は、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路に等しくない。
光反射器600は、PSR601および偏光回転構造602を含む。PSR601は、3つのポートを有し、PSR601の第1のポートを用いて第1の偏光を受信し、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、PSR601の第2のポートおよびPSR601の第3のポートをそれぞれ用いて、第1の副偏光および第2の副偏光を偏光回転構造602へ送信し、第1の副偏光の偏光モードは、第2の副偏光の偏光モードと同じである。偏光回転構造602は、第1の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の副偏光を取得し、回転させられた第1の副偏光をPSR601の第3のポートへ送信し、第2の副偏光をPSR601の第2のポートへ送信するよう構成される。PSR601はさらに、回転させられた第1の副偏光、および第2の副偏光を結合して第3の偏光を取得し、PSR601の第1のポートを用いて第3の偏光をビームスプリッタ710へ送信するよう構成され、第3の偏光の偏光方向は、第1の偏光の偏光方向に垂直である。
符号化装置200は、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを含む。PSR210は、3つのポートを有し、PSR210の第1のポートを用いて第2の偏光を受信し、第2の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、PSR210の第2のポートを用いて第3の副偏光を偏光回転構造220へ送信し、PSR210の第3のポートを用いて第4の副偏光を変調器230へ送信し、第3の副偏光の偏光モードは、第4の副偏光の偏光モードと同じである。偏光回転構造220は、第3の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第3の副偏光を取得し、回転させられた第3の副偏光を変調器230へ送信するよう構成される変調器230は、回転させられた第3の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSR210の第3のポートへ送信するよう構成され、第4の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造220へ送信するようさらに構成される。偏光回転構造220はさらに、第2の信号光をPSR210の第2のポートへ送信する構成される。PSR210はさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第4の偏光を取得し、PSR210の第1のポートを用いて第4の偏光をビームスプリッタ710へ送信するよう構成され、第4の偏光の偏光方向は、第2の偏光の偏光方向に垂直だえる。ビームスプリッタ710はさらに、第3の偏光および第4の偏光を送信するよう構成される。
具体的には、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路が、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路に等しくないので、第3の偏光および第4の偏光は、同時にビームスプリッタ710に到着しない。
任意選択的に、符号化構造700はさらに、2つの光遅延線720を含み、第1の光遅延線721は、ビームスプリッタ710と光反射器600との間に位置し、第2の光遅延線722がビームスプリッタ710と符号化装置200との間に位置し、第1の光遅延線721の長さが第2の光遅延線722の長さと異なる。
本発明の本実施形態において、符号化構造700は、光反射器600および符号化装置200を用い、従って、高速の変調器をサポートすることもでき、それにより、高速通信の要求を満たす。
図7は、可能な符号化構造700を示しており、光反射器600および符号化装置200の位置を交換することができることが理解されるべきである。このことは、本実施形態においては限定されない。
本発明の別の実施形態は、量子鍵送信デバイス800を提供する。図8に示されているように、量子鍵送信デバイス800は、量子光源810と、符号化構造700と、減衰器820とを備える。
量子光源810は、光パルスを照射し、光パルスを符号化構造700へ送信するよう構成される。
符号化構造700は、図7において示されている符号化構造である。量子光源により送信された光パルスは、符号化構造700の入力信号光である。第3の偏光および第4の偏光は、同じ方式で入力信号光を処理することによって取得され、減衰器820へ送信される。入力信号光を処理する方式は、前述の実施形態において詳細に説明されており、詳細は、本発明の本実施形態においてここでは再び説明されない。
具体的には、符号化構造700における光反射器600および符号化装置200はそれぞれ、光スイッチまたはIMをさらに含む。この場合、量子鍵送信デバイス800は、位相および経路に基づいて符号化を行うために用いられる6状態の量子鍵配送プロトコル(six−state quantum key distribution protocol)または参照フレーム非依存プロトコル(reference frame independent protocol)をサポートすることができる。
減衰器820は、第3の偏光および第4の偏光を単一光子レベルまで減衰し、量子チャネルを用いて、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を送信するよう構成される。
単一光子レベルは、それぞれの光パルスに含まれる光子の数が平均して1桁であることを意味する。具体的には、それぞれの光パルスのエネルギーが約1e−19または1e−18ジュールである。
本発明の本実施形態において提供される量子鍵送信デバイスは、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
本発明の別の実施形態は、量子鍵受信デバイス900を提供する。図9に示されているように、量子鍵受信デバイス900は、サーキュレータ910と、符号化構造700と、第1の単一光子検出器920と、第2の単一光子検出器930とを含む。
サーキュレータ910は、量子チャネルを用いて、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を受信し、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を符号化構造700へ送信するよう構成され、2つの偏光の偏光方向は同じである。
符号化構造700は、図7において示されている符号化構造であり、ビームスプリッタ710と、光反射器600と、符号化装置200とを含む。減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光は両方とも、符号化構造700の入力信号光であり、第1の入力信号光および第2の入力信号光として示される。
ビームスプリッタ710は、2つの入力信号光を受信し、第1の入力信号光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、第2の入力信号光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、第1の副偏光および第3の副偏光を光反射器600へ送信し、第2の副偏光および第4の副偏光を符号化装置200へ送信するよう構成され、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路と、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路との間の差が、送信デバイスにおける対応する光路差に等しい。
光反射器600は、第1の副偏光および第3の副偏光を受信し、2つの偏光を別々に処理し、第1の出力偏光および第2の出力偏光を取得するよう構成され、第1の副偏光および第3の副偏光は両方とも、光反射器600の入力信号光である。具体的な処理方式は、前述の実施形態において説明されており、詳細は、本発明においてここでは再び説明されない。
符号化装置200は、第2の副偏光および第4の副偏光を受信し、2つの偏光を別々に処理して第3の出力偏光および第4の出力偏光を取得するよう構成され、第2の副偏光および第4の副偏光は両方とも、符号化装置200の入力信号光である。具体的な処理方式も前述の実施形態において説明されており、詳細は、本発明においてここでは再び説明されない。
ビームスプリッタ710はさらに、第2の出力偏光および第3の出力偏光を互いに干渉させて第1の干渉光および第2の干渉光を取得し、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれ、サーキュレータ910および第2の単一光子検出器930へ送信するよう構成される。
具体的には、符号化構造700において、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路は、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路に等しくない。ビームスプリッタ710から光反射器600への光路がより短いと仮定すると、ビームスプリッタ710から光反射器600への経路は、ショートアームと称され、ビームスプリッタ710から符号化装置200への経路は、ロングアームと称される。従って、送信デバイスは、2つの偏光を送信する。受信デバイスにおいて、第1の偏光が第2の偏光より早く到着すると仮定すると、符号化構造700におけるビームスプリッタ710は、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、第2の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割する。第1の副偏光および第3の副偏光は、ショートアームを通過する。第1の副偏光および第3の副偏光が光反射器600を通過した後に、第1の出力偏光および第2の出力偏光がそれぞれ取得される。第2の副偏光および第4の副偏光は、ロングアームを通過する。第2の副偏光および第4の副偏光が符号化装置200を通過した後に、第3の出力偏光および第4の出力偏光がそれぞれ取得される。受信デバイスにおける符号化構造と送信デバイスとが同一であり、両方とも図7において示されている符号化構造700であるので、受信デバイスにおける、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路と、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路との間の差は、送信デバイスにおける対応する光路差と一致する。言い換えれば、送信デバイスにおけるロングアームおよび受信デバイスにおけるショートアームを通過する光と、送信デバイスにおけるショートアームおよび受信デバイスにおけるロングアームを通過する光とが、同時にビームスプリッタに到着する。従って、第2の出力偏光および第3の出力偏光は、同時にビームスプリッタ710に到着し、ビームスプリッタ710で互いに干渉し、第1の干渉光および第2の干渉光を取得する。
サーキュレータ910はさらに、第1の干渉光を第1の単一光子検出器920へ送信するよう構成される。
2つの単一光子検出器は、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれ検出し、関連量子鍵配送プロトコルに従って量子鍵を取得するよう構成される。
第1の干渉光および第2の干渉光からの量子鍵を取得するべく、互いに干渉する2つの出力信号光は、送信デバイスの変調された情報および受信デバイスの変調された情報をそれぞれ保持する必要があることが留意されるべきである。本発明の本実施形態において、第1の偏光が第2の偏光より早く受信デバイスに到着するので、第1の偏光は、送信デバイスにおけるショートアームを通過し、第2の偏光は、送信デバイスにおけるロングアームを通過する。符号化装置200がショートアームにあると仮定すると、第2の出力偏光は、送信デバイスの変調された情報を保持し、第3の出力偏光は、受信デバイスの変調された情報を保持する。符号化装置200がロングアームにあると仮定すると、第2の出力偏光は、受信デバイスの変調された情報を保持し、第3の出力偏光は、送信デバイスの変調された情報を保持する。従って、量子鍵を本発明の本実施形態に従って取得することができる。
さらに、本発明の本実施形態において提供されている符号化構造はさらに、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有する。それぞれの光は、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割されることができ、偏光依存性損失は主に、光の2つの偏光方向における一致しない損失により引き起こされる。入力信号光がビームスプリッタ710から光反射器600に到着するプロセスにおいて、入力信号光のTE偏光の損失が1dBであり、入力信号光のTM偏光の損失が3dBであると仮定する。従って、入力信号光が光反射器600に到着したときの入力信号光の偏光方向は、入力信号光がビームスプリッタ710にあるときの入力信号光の偏光方向と異なる。図10において示されているように、位置bにある入力信号光の偏光方向は、位置aにある入力信号光の偏光方向と異なる。光反射器200の出力信号光の偏光方向が入力信号光の偏光方向に垂直である場合、出力信号光のTE偏光は、入力信号光のTM偏光に対応し、出力信号光のTM偏光は、入力信号光のTE偏光に対応する。従って、入力信号光がビームスプリッタ710から光反射器600に到着し、次に、出力信号光がビームスプリッタ710に戻るという全プロセスの後に、2つの偏光方向における光損失は両方とも、4dBであり、すなわち、2つの偏光方向における損失は一致する。具体的には、中間の伝送プロセスにおいて引き起こされる偏光依存性損失が0であり、ビームスプリッタ710に送り返された出力信号光の偏光方向が、ビームスプリッタ710から送信された入力信号光の偏光方向に垂直である。図10において示されているように、位置dにある入力信号光の偏光方向が、位置aにある入力信号光の偏光方向に垂直である。符号化装置200を通過する出力光および入力光の偏光方向も互いに垂直なので、入力信号光がビームスプリッタ710から符号化装置200に到着し、次に、出力信号光がビームスプリッタ710に戻るという全プロセスの後に、2つの偏光方向における損失が一致することを保証することもできる。
従って、本発明の本実施形態において提供されている受信デバイスは、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、高速通信の要求を満たし、さらに、受信デバイスにおける偏光依存性損失に対する自己補償を行うことができ、それにより、互いに干渉する2つの出力偏光の偏光方向が一致することを保証し、干渉効果を高め、量子鍵生成率の増加に役立つ。
本発明の別の実施形態は、QKDシステムを提供し、前述の実施形態において説明されている量子鍵送信デバイス800および量子鍵受信デバイス900を備える。特定の動作手順が以下の通りである。
量子光源810が送信デバイス800に位置し、光パルスを生成するよう構成される。光パルスは、ビームスプリッタ710を通過し、2つの偏光P1およびP2に分割される。偏光P1は、ショートアームを通過し、P2は、ロングアームを通過する。光反射器600を通過した後に、P1は、ビームスプリッタ710に戻る。符号化装置200を通過した後に、P2は、ビームスプリッタ710に戻る。減衰器820を順次通過し、単一光子レベルまで減衰された後に、2つの偏光P1およびP2は、量子チャネルを用いて受信デバイス900へ送信される。P2には、変調によって、符号化装置200における送信デバイスについての情報が追加される。
受信デバイス900において、P1およびP2は、サーキュレータ910により順次受信され、ビームスプリッタ710へ送信され、偏光P1は、P11およびP12に分割され、偏光P2は、P20およびP22に分割され、P11およびP20は、ショートアームを通過し、P12およびP22は、ロングアームを通過する。光反射器600を通過した後に、P11およびP20は、ビームスプリッタ710に戻る。符号化装置200を通過して変調によって受信デバイスについての情報が追加された後に、P12およびP22は、ビームスプリッタ710に戻る。受信デバイス900におけるロングアームとショートアームとの間の光路差が、送信デバイス800におけるものに等しいので、P12およびP20は、同時にビームスプリッタ710に到着し、ビームスプリッタ710において互いに干渉する。干渉信号は2つの単一光子検出器920および930により取得される。対応する量子鍵配送プロトコルに従って、2つの単一光子検出器の検出結果を処理することによって、量子鍵を取得することができる。
光反射器600および符号化装置200が偏光を処理するプロセスは、前述の実施形態において詳細に説明されていることが理解されるべきである。詳細は、本発明の本実施形態においてここでは再び説明されない。
本発明の本実施形態において提供されているQKDシステムは、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、高速通信の要求を満たし、さらに、システムにおける偏光依存性損失に対する自己補償を行うことができ、それにより、互いに干渉する2つの出力偏光の偏光方向が一致することを保証し、干渉効果を高め、量子鍵生成率の増加に役立つ。
本発明の別の実施形態は、QKDシステムを提供する。図11において示されているように、QKDシステムは、アリス側およびボブ側を含む。アリス側は、符号化装置200と、減衰器1110と、ビームスプリッタ1120と、単一光子検出器1130とを含む。ボブ側は、既存の往復QKDシステムのボブ側を用いる。
ビームスプリッタ1120は、少なくとも3つのポートを含み、第1のポートおよび第2のポートがビームスプリッタ1120の一方の側に位置し、残りのポートは全て、ビームスプリッタ1120の他方の側に位置し、第1のポートは、減衰器1110に接続され、第2のポートは、単一光子検出器1130に接続され、第3のポートは、量子チャネルに接続される。ビームスプリッタ1120は、量子チャネルを用いることによって光パルスを受信し、光パルスを第1の光パルスおよび第2の光パルスに分割し、第1のポートおよび第2のポートをそれぞれ用いて、第1の光パルスおよび第2の光パルスを送信するよう構成される。
減衰器1110はさらに、符号化装置200に接続され、減衰器220に入力された光パルスを減衰するよう構成される。
単一光子検出器1130は、単一光子検出器1130に入力された光パルスを検出するよう構成され、検出された情報は、検出された光パルスがトロイの木馬により攻撃されるかを示すために用いられる。
符号化装置200は、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを含む。PSR210は、3つのポートを有し、PSR210の第1のポートは、減衰器220に接続され、PSR210の第2のポートは、偏光回転構造220に接続され、PSR210の第3のポートは、変調器230に接続される。PSR210は、PSR210の第1のポートを用いて入力光パルスを受信し、入力光パルスを第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光の偏光方向を90度回転させて、第3の偏光を取得し、PSR210の第2のポートおよびPSR210の第3のポートをそれぞれ用いて、第1の偏光および第3の偏光を送信するよう構成される。変調器230はさらに、偏光回転構造220に接続され、変調器230に入力された光パルスを変調するよう構成される。偏光回転構造220は、一方の側から偏光回転構造220に入った光パルスの偏光方向を180度回転させ、他方の側から偏光回転構造220に入った光パルスの偏光方向を0度回転させるよう構成される。符号化装置200の出力光パルスおよび入力光パルスの偏光方向は、互いに垂直である。
既存の往復QKDシステムと比較すると、本発明の本実施形態において提供されているQKDシステムは、送信側でPCを用いる必要がなく、それにより、PCオフセット補正速度の影響を回避し、システム速度を向上させる。
さらに、符号化装置200は、QKDシステムの符号化装置として、量子通信の分野に適用され得るのみならず、遠隔変調装置として古典的な光分野にも適用され得る。
本発明の別の実施形態は、遠隔変調システムを提供する。図12において示されているように、遠隔変調システムは、レーザ1200と、PBS1220と、遠隔変調装置1230と、受信器1240とを含む。
レーザ1200は、PBS1220の第2のポートに接続され、第1の偏光を照射するよう構成される。
レーザにより生成された光がTE偏光またはTM偏光であってよいことが留意されるべきである。
PBS1220は、3つのポートを有し、PBS1220の第2のポートを用いて第1の偏光を受信し、伝送チャネルを介してPBS1220の第1のポートを用いて第1の偏光を遠隔変調装置1230へ送信するよう構成される。
遠隔変調装置1230は、PSR1231と、偏光回転構造1232と、変調器1233とを含む。PSR1231は、3つのポートを有し、PSR1231の第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第2の偏光および第3の偏光に分割し、PSR1231の第2のポートを用いて第2の偏光を偏光回転構造1232へ送信し、PSR1231の第3のポートを用いて第3の偏光を変調器1233へ送信し、入力信号光は、第1の偏光が伝送チャネルを通過した後に取得され、第2の偏光の偏光モードは、第3の偏光の偏光モードと同じである。偏光回転構造1232は、第2の偏光の偏光方向を、180度回転させて、回転させられた第2の偏光を取得し、回転させられた第2の偏光を変調器1233へ送信するよう構成される。変調器1233は、回転させられた第2の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSR1231の第3のポートへ送信するよう構成され、第3の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造1232へ送信するようさらに構成される。偏光回転構造1232はさらに、第2の信号光をPSR1231の第2のポートへ送信するよう構成される。PSR1231はさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、伝送チャネルを介してPSR1231の第1のポートを用いて出力信号光をPBS1220へ送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
具体的には、遠隔変調装置1230における変調器は、PM、IM、QPSK変調器、又は同様のものであってよい。このことは、本発明の本実施形態において限定されない。
PBS1220はさらに、PBS1220の第1のポートを用いて第4の偏光を受信し、PBS1220の第3のポートを用いて、第4の偏光を受信器1240へ送信するよう構成され、第4の偏光は、出力信号光が伝送チャネルを通過した後に取得される。
受信器1240は、第4の偏光を受信するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供される遠隔変調システムにおいて、レーザ1200により生成された偏光がTE偏光であり、PBS1220の第1のポートは、伝送チャネルに接続され、PBS1220の第2のポートは、TE偏光ポートであり、PBS1220の第3のポートは、TM偏光ポートであると仮定する。遠隔変調システムの動作手順が以下の通りである。
レーザ1200は、TE偏光を生成する。TE偏光は、PBS1220の第2のポートに到着し、次に、伝送チャネルを介して遠隔変調装置1230に到着する。伝送チャネルの影響に起因し、TE偏光の偏光方向が変化する。遠隔変調装置1230に到着する光は、入力信号光として示されてよい。遠隔変調装置1230において、入力信号光は変調されて、出力信号光を取得し、出力信号光が反射される。遠隔変調装置1230の出力信号光および入力信号光の偏光方向が互いに垂直なので、遠隔変調装置1230は、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有する。具体的には、出力信号光がPBS1220に戻ったとき、出力信号光の偏光方向は、PBS1220により照射されたTE偏光の偏光方向に垂直である。言い換えれば、出力信号光はTM偏光に変化する。偏光依存性損失に対する自己補償の具体的な原理は、前述の実施形態において説明されており、詳細はここでは再び説明されない。
伝送チャネルを介してPBS1220に戻ったとき、出力信号光がTM偏光に変化するので、出力信号光は、PBS1220の第3のポートを用いて出力され、受信器1240に到着する。受信器1240において、出力信号光は復調され、変調された情報を抽出する。
結論として、本発明の本実施形態において提供されている遠隔変調システムにおいて、PBS1220は、1つの偏光方向における光のみを受信器1240へ送信し、偏光方向と同じ方向におけるノイズのみが導入され、ノイズが3dB減衰されたことに等しい。さらに、PBSの挿入損失も、既存の遠隔変調システムにより用いられるサーキュレータの挿入損失より低い。
遠隔変調装置1230における変調器がIMである場合、入力信号光の強度が変調され、受信器1240が直接検出方式で出力信号光を復調し得るか、または、遠隔変調装置1230における変調器がPM、QPSK変調器、又は同様のものである場合、変調器は、入力信号光に対して位相変調、または位相および強度変調の両方を行うことが留意されるべきである。この場合、受信器1240は、局部発振光を用いてコヒーレント受信方式で受信された光を復調する。レーザ1200と、PBS1220と、受信器1240とは、偏光保持光ファイバまたは偏光保持導波路を用いて、互いに接続される。
任意選択的に、図13において示されているように、遠隔変調システムはさらに、ビームスプリッタ1250を含む。ビームスプリッタ1250は、レーザ1200とPBS1220との間に位置し、レーザ1200の出力光を2つの光に分割し、一方の光をPBS1220に送信し、局部発振光として他方の光を受信器1240へ送信するよう構成される。
この場合、受信器1240により受信された出力信号光は、偏光方向が明確に定まっており、デュアル偏光受信を必要としない。従って、既存のコヒーレント受信器と比較すると、図14において示されている単一偏光コヒーレント受信器は、受信器1240として用いられてよい。単一偏光コヒーレント受信器は、簡単な構造および低い挿入損失の特徴を有し、システム全体に対して、低コスト、低電力消費、および長伝送距離という利益をもたらす。
前述の説明は単に、本発明の具体的な実装方式であり、本発明の保護範囲を限定することを意図しない。本発明において開示されている技術範囲内に当業者により容易に案出できる任意の変更または置換は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲にしたがうものとする。
本出願は、2016年9月27日に中国特許庁に出願された、「符号化装置、ならびにそれに基づく量子鍵配送デバイスおよびシステム」と題する中国特許出願第201610856277.3号に基づく優先権を主張し、当該出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
本発明は、光通信の分野に関し、特に、符号化装置、ならびにそれに基づく量子鍵配送(QKD)デバイスおよびシステムに関する。
量子通信は、古典的な情報理論および量子力学に基づいて開発された通信技術である。現在、実用性のある量子通信技術は主に、量子鍵配送(Quantum Key Distribution、QKD)である。鍵のセキュリティは、測定崩壊理論(measurement collapse theory)、量子複製不可能定理、および不確定性原理などの量子力学の基本原理に依存する。従って、QKDシステムを用いて2つの通信する者に割り当てられている鍵が安全であることが理論的に証明されており、軍事、国家防衛、情報セキュリティなどの分野においてQKDの広い応用が期待されている。
図1に示されている既存のQKDシステムにおいて、量子光源が送信側(アリス側)に位置し、光パルスを生成するために用いられる。光パルスは、ビームスプリッタを用いることによって、2つの光パルスP1およびP2に分割される。P1は、ショートアーム(short arm)を通過し、P2は、ロングアーム(long arm)を通過する。ファラデー回転子ミラー(Faraday Rorator Mirror、FRM)を通過した後に、P1は、ビームスプリッタに戻る。変調器およびFRMを通過した後に、P2は、ビームスプリッタに戻る。減衰器を順次通過し、単一光子レベルまで減衰された後に、2つの光パルスP1およびP2は、量子チャネルを用いることによって、受信側(ボブ側)へ送信される。変調器を通過しているとき、P2は、アリス側についての情報が追加された状態で変調される。
ボブ側において、P1およびP2は、サーキュレータにより順次受信され、ボブ側におけるビームスプリッタへ送信される。光パルスP1は、P11およびP12に分割され、光パルスP2は、P20およびP22に分割される。P11およびP20は、ショートアームを通過し、P12およびP22は、ロングアームを通過する。FRMを通過した後に、P11およびP20は、ビームスプリッタに戻る。変調器およびFRMを通過して、ボブ側についての情報が追加された状態で変調された後に、P12およびP22は、ビームスプリッタに戻る。ボブ側のロングアームとショートアームとの間の光路差が、アリス側のロングアームとショートアームとの間の光路差に等しいので、P12およびP20は、同時にビームスプリッタに到着し、ビームスプリッタにおいて互いに干渉し、干渉信号が2つの単一光子検出器D1およびD2により取得される。対応する量子鍵配送プロトコルに従って、2つの単一光子検出器の検出結果を処理することによって、量子鍵を取得することができる。
しかしながら、既存のQKDシステムにおいて、変調された光パルス(例えば、アリス側のP2およびボブ側のP12)は全て、まず一度変調器を通過する必要があり、変調された光パルスの偏光方向がFRMにより90度回転させられた後に、回転させられた光パルスは再び、変調器を一度通過する。高速の変調器は全て、偏光依存性である。例えば、通常、TE偏光の挿入損失が6dBであり、TM偏光の挿入損失が30dBであり、光パルスが一往復後に36dB減衰されることに等しい。減衰が大きすぎる。従って、既存のQKDシステムは、低速の変調器のみを用いることができ、高速通信の要求を満たすことができない。
本発明の目的は、符号化装置を提供することである。符号化装置は、既存のQKDシステムにおけるFRMおよび変調器を置換えることができ、これにより、既存のQKDシステムが低速の変調器のみを用いることができ、高速通信の要求を満たすことができないという課題を解決する。
第1の態様によれば、偏光スプリッタ回転子PSRと、偏光回転構造と、変調器とを備える符号化装置が提供され、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第1の偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第2の偏光を変調器へ送信し、ここで、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第1の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第2の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、PSRの第1のポートを用いて出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の本実施形態において、変調器を通過する光パルスの偏光方向が一致であり、両方とも、光パルスが比較的低い損失で変調器を通過する偏光方向である。従って、本発明の本実施形態において提供されている符号化装置を用いるQKDシステムは、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第1の態様に関連して、第1の態様の第1の可能な実装方式において、変調器の両端からPSRへの光路が等しく、これにより、PSRにより分割することによって取得される2つの光は同時に変調器に到着することができることを保証し、変調器により行われる変調に必要とされる時間を短縮する。
第1の態様または第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第2の可能な実装方式において、偏光回転構造は、位相変調器または動的偏光制御器を含む。本発明の本実施形態は、平面光波回路(Planar Lightwave Circuit、PLC)技術に適用可能である。これは、符号化装置の小型化集積を容易にする。
第1の態様の第2の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第3の可能な実装方式において、第1の偏光が偏光回転構造を離れた後に、第2の信号光は偏光回転構造に入る。
第1の態様または第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第4の可能な実装方式において、偏光回転構造は、ファラデー結晶および偏光回転器PRを含み、ファラデー結晶は、2つのポートを有し、ファラデー結晶の第1のポートから入射する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させ、ファラデー結晶の第2のポートから入射する光の偏光方向を第2の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向であり、第2の方向は、第1の方向と反対であり、PRは、2つのポートを有し、PRの2つのポートから入射する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、PRの第1のポートは、ファラデー結晶の任意のポートに接続される。
第1の態様の第4の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第5の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶とPSRとの間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRと変調器との間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第1の態様の第4の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第6の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶と変調器との間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRとPSRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第1の態様の第5および第6の可能な実装方式において、2つの偏光子は、偏光回転構造の回転角が温度および入射光の波長に影響されることを防止することができる。全ての角度偏差が光強度偏差に変換される。QKDシステムに適用されるとき、偏光子は、システムのセキュリティおよび安定性を向上させることができる。
第1の態様の第4の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第7の可能な実装方式において、PSR、偏光回転構造、および変調器は、偏光保持光ファイバを用いることによって互いに接続され、符号化装置における偏光状態の安定性を保証する。
第1の態様または第1の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第1の態様の第8の可能な実装方式において、PSRは、PBSおよびPRを有し、PBSは、入力信号光を、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割するよう構成され、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光を出力信号光に結合するようさらに構成され、PRは、PBSと偏光回転構造との間、またはPBSと変調器との間に位置し、PRを通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
第2の態様によれば、PSRおよび偏光回転構造を備える光反射器が提供され、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて、第1の偏光および第2の偏光を偏光回転構造へ送信し、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第2の偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第1の偏光、および第2の偏光を結合して出力信号光を取得し、PSRの第1のポートを用いることによって出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の本実施形態に提供されている光反射器は円形構造であり、変調機能を有する装置を形成するように変調器と組み合わせられることができ、これにより、装置を通過して往復する光パルスが、変調器を一度だけ通過した後に変調された情報を保持することができ、それにより、システム損失を低減する。
第2の態様に関連して、第2の態様の第1の可能な実装方式において偏光回転構造は、位相変調器または動的偏光制御器を含む。本発明の本実施形態は、PLC技術に適用可能である。これは、光反射器の小型化集積を容易にする。
第2の態様の第1の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第2の可能な実装方式において、第1の偏光が偏光回転構造を離れた後に、第2の偏光は偏光回転構造に入る。
第2の態様に関連して、第2の態様の第3の可能な実装方式において、偏光回転構造は、ファラデー結晶および偏光回転器PRを含み、ファラデー結晶は、2つのポートを有し、ファラデー結晶の第1のポートから入射する光の偏光方向を、第1の方向に90度回転させ、ファラデー結晶の第2のポートから入射する光の偏光方向を第2の方向に90度回転させるよう構成され、第2の方向は、第1の方向と反対であり、PRは、2つのポートを有し、PRの2つのポートから入射する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、PRの第1のポートは、ファラデー結晶の任意のポートに接続される。
第2の態様の第3の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第4の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶とPSRとの間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRと変調器との間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光または第2の偏光子の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第2の態様の第3の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第5の可能な実装方式において、偏光回転構造はさらに、第1の偏光子および第2の偏光子を含み、第1の偏光子は、ファラデー結晶と変調器との間に位置し、第1の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成され、第2の偏光子は、PRとPSRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成されるか、または、第2の偏光子は、ファラデー結晶とPRとの間に位置し、第2の偏光子を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
第2の態様の第3の可能な実装方式に関連して、第2の態様の第6の可能な実装方式において、PSR、偏光回転構造、および変調器は、偏光保持光ファイバを用いることによって互いに接続され、光反射器における偏光状態の安定性を保証する。
第2の態様または第2の態様の第1から第6の可能な実装方式のうちの任意の1つに関連して、第2の態様の第7の可能な実装方式において、PSRは、PBSおよびPRを含み、PBSは、入力信号光を、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割するよう構成され、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光を出力信号光に結合するようさらに構成され、PRは、PBSと偏光回転構造との間に位置し、PRを通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
第3の態様によれば、ビームスプリッタと、光反射器と、符号化装置とを備える符号化構造が提供され、ビームスプリッタは、入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割され、第1の偏光を光反射器へ送信し、第2の偏光を符号化装置へ送信するよう構成され、ビームスプリッタから光反射器への光路が、ビームスプリッタから符号化装置への光路に等しくなく、光反射器は、PSRおよび偏光回転構造を含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第1の偏光を受信し、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて、第1の副偏光および第2の副偏光を偏光回転構造へ送信し、第1の副偏光の偏光モードは、第2の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第1の副偏光を取得し、回転させられた第1の副偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第2の副偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第1の副偏光、および第2の副偏光を結合して第3の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第3の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第3の偏光の偏光方向は、第1の偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いることによって第2の偏光を受信し、第2の偏光を、第3の副偏光および第4の副偏光を分割し、PSRの第2のポートを用いて第3の副偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第4の副偏光を変調器へ送信し、第3の副偏光の偏光モードは、第4の副偏光の偏光モードと同じであるm」偏光回転構造は、第3の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第3の副偏光を取得し、回転させられた第3の副偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第3の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第4の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第4の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第4の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第4の偏光の偏光方向は、第2の偏光の偏光方向に垂直であり、ビームスプリッタはさらに、第3の偏光および第4の偏光を送信するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供されている符号化構造は、第1の態様および第2の態様に係る符号化装置および光反射器を備え、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有し、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第3の態様に関連して、第3の態様の第1の可能な実装方式において、符号化構造はさらに、2つの光遅延線を含み、第1の光遅延線がビームスプリッタと光反射器との間に位置し、第2の光遅延線がビームスプリッタと符号化装置との間に位置し、2つの光遅延線の長さが異なる。
第4の態様によれば、量子光源と、符号化構造と、減衰器とを備える量子鍵送信デバイスが提供され、量子光源は、光パルスを照射し、光パルスを符号化構造へ送信するよう構成され、符号化構造は、ビームスプリッタと、光反射器と、符号化装置とを含み、ビームスプリッタは、光パルスを受信し、光パルスを第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光を光反射器へ送信し、第2の偏光を符号化装置へ送信するよう構成され、ビームスプリッタから光反射器への光路と、ビームスプリッタから符号化装置への光路との間の差がNであり、Nは自然数であり、光反射器は、PSRおよび偏光回転構造を含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第1の偏光を受信し、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いることによって、第1の副偏光および第2の副偏光を偏光回転構造へ送信し、第1の副偏光の偏光モードは、第2の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第1の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の副偏光を取得し、回転させられた第1の副偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第2の副偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第1の副偏光、および第2の副偏光を結合して第3の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第3の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第3の偏光の偏光方向は、第1の偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第2の偏光を受信し、第2の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第3の副偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第4の副偏光を変調器へ送信し、第3の副偏光の偏光モードは、第4の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第3の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第3の副偏光を取得し、回転させられた第3の副偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第3の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第4の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第4の偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第4の偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第4の偏光の偏光方向は、第2の偏光の偏光方向に垂直であり、ビームスプリッタはさらに、第3の偏光および第4の偏光を減衰器へ送信するよう構成され、減衰器は、第3の偏光および第4の偏光を単一光子レベルまで減衰し、量子チャネルを用いて減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を送信するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供される量子鍵送信デバイスは、送信デバイスにおける偏光依存性損失に対する自己補償を行うことができ、2つの送信された光パルスが同じ偏光方向を有することを保証し、さらに、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第5の態様によれば、サーキュレータと、符号化構造と、第1の単一光子検出器と、第2の単一光子検出器とを備える量子鍵受信デバイスが提供され、サーキュレータは、量子チャネルを用いて減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を受信し、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を符号化構造へ送信するよう構成され、符号化構造は、ビームスプリッタと、光反射器と、符号化装置とを含み、ビームスプリッタは、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を受信し、減衰された第3の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、減衰された第4の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、第1の副偏光および第3の副偏光を光反射器へ送信し、第2の副偏光および第4の副偏光を符号化装置へ送信するよう構成され、ビームスプリッタから光反射器への光路と、ビームスプリッタから符号化装置への光路との間の差がNであり、Nは自然数であり、光反射器は、PSRおよび偏光回転構造を含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第1の副偏光を受信し、第1の副偏光を第5の副偏光および第6の副偏光に分割し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて第5の副偏光および第6の副偏光を偏光回転構造へ送信し、第5の副偏光の偏光モードは、第6の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第5の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第5の副偏光を取得し、回転させられた第5の副偏光をPSRの第3のポートへ送信し、第6の副偏光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、回転させられた第5の副偏光、および第6の副偏光を結合して第1の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第1の出力偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第1の出力偏光の偏光方向は、第1の副偏光の偏光方向に垂直であり、光反射器は、第3の副偏光に対して同じ処理を行い、第2の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第2の出力偏光をビームスプリッタへ送信し、第2の出力偏光の偏光方向は、第3の副偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて第2の副偏光を受信し、第2の副偏光を第7の副偏光および第8の副偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第7の副偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第8の副偏光を変調器へ送信し、第7の副偏光の偏光モードは、第8の副偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第7の副偏光の偏光方向を180度回転させて回転させられた第7の副偏光を取得し、回転させられた第7の副偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第7の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第8の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第3の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第3の出力偏光をビームスプリッタへ送信するよう構成され、第3の出力偏光の偏光方向は、第2の副偏光の偏光方向に垂直であり、符号化装置は、第4の副偏光に対して同じ処理を行い、第4の出力偏光を取得し、PSRの第1のポートを用いて第4の出力偏光をビームスプリッタへ送信し、第4の出力偏光の偏光方向は、第2の副偏光の偏光方向に垂直であり、ビームスプリッタはさらに、第2の出力偏光および第3の出力偏光を互いに干渉させ、第1の干渉光および第2の干渉光を取得し、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれサーキュレータおよび第2の単一光子検出器へ送信するよう構成され、サーキュレータはさらに、第1の干渉光を第1の単一光子検出器へ送信するよう構成され、2つの単一光子検出器は、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれ検出するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供されている受信デバイスは、受信デバイスにおける偏光依存性損失に対して自己補償を行う機能を有し、互いに干渉する2つの出力偏光の偏光方向が一致するよう保証し、それにより、干渉効果を高め、量子鍵生成率の増加に役立つ。受信デバイスはさらに、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
第6の態様によれば、第4の態様に係る送信デバイスおよび第5の態様に係る受信デバイスを備える量子鍵配送システムが提供される。
第7の態様によれば、ビームスプリッタと、単一光子検出器と、減衰器と、符号化装置とを備える量子鍵送信デバイスが提供され、ビームスプリッタは、少なくとも3つのポートを含み、第1のポートおよび第2のポートは、ビームスプリッタの一方の側に位置し、全ての残りのポートは、ビームスプリッタの他方の側に位置し、第1のポートは、減衰器に接続され、第2のポートは、単一光子検出器に接続され、第3のポートは、量子チャネルに接続され、ビームスプリッタは、量子チャネルを用いて光パルスを受信し、光パルスを第1の光パルスおよび第2の光パルスに分割し、第1のポートおよび第2のポートをそれぞれ用いて第1の光パルスおよび第2の光パルスを送信するよう構成され、減衰器はさらに、符号化装置に接続され、減衰器に入力された光パルスを減衰するよう構成され、単一光子検出器は、単一光子検出器に入力された光パルスを検出するよう構成され、検出された情報は、検出された光パルスがトロイの木馬により攻撃されるかを示すために用いられ、符号化装置は、偏光スプリッタ回転子PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートは、減衰器に接続され、PSRの第2のポートは、偏光回転構造に接続され、PSRの第3のポートは、変調器に接続され、PSRの第1のポートを用いて入力光パルスを受信し、入力光パルスを第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光の偏光方向を90度回転させて第3の偏光を取得し、PSRの第2のポートおよびPSRの第3のポートをそれぞれ用いて第1の偏光および第3の偏光を送信するよう構成され、変調器はさらに、偏光回転構造に接続され、変調器に入力された光パルスを変調するよう構成され、偏光回転構造は、一方の側から偏光回転構造に入った光パルスの偏光方向を180度回転させ、他方の側から偏光回転構造に入った光パルスの偏光方向を0度回転させるよう構成される。符号化装置の出力光パルスおよび入力光パルスの偏光方向は、互いに垂直である。
第8の態様によれば、第7の態様に係る量子鍵送信デバイスおよび既存の往復QKDシステムの受信デバイスを備える量子鍵配送システムが提供される。
第9の態様によれば、レーザと、偏光ビームスプリッタPBSと、遠隔変調装置と、受信器とを備える遠隔変調システムが提供され、レーザは、PBSの第2のポートに接続され、第1の偏光を照射するよう構成され、PBSは、3つのポートを有し、PBSの第2のポートを用いて第1の偏光を受信し、伝送チャネルを介してPBSの第1のポートを用いて第1の偏光を遠隔変調装置へ送信するよう構成され、遠隔変調装置は、偏光スプリッタ回転子PSRと、偏光回転構造と、変調器とを含み、PSRは、3つのポートを有し、PSRの第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第2の偏光および第3の偏光に分割し、PSRの第2のポートを用いて第2の偏光を偏光回転構造へ送信し、PSRの第3のポートを用いて第3の偏光を変調器へ送信し、入力信号光は、第1の偏光が伝送チャネルを通過した後に取得され、第2の偏光の偏光モードは、第3の偏光の偏光モードと同じであり、偏光回転構造は、第2の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第2の偏光を取得し、回転させられた第2の偏光を変調器へ送信するよう構成され、変調器は、回転させられた第2の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSRの第3のポートへ送信するよう構成され、第3の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造へ送信するようさらに構成され、偏光回転構造はさらに、第2の信号光をPSRの第2のポートへ送信するよう構成され、PSRはさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、伝送チャネルを介してPSRの第1のポートを用いて出力信号光をPBSへ送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直であり、PBSはさらに、PBSの第1のポートを用いて第4の偏光を受信し、PBSの第3のポートを用いて第4の偏光を受信器へ送信するよう構成され、第4の偏光は、出力信号光が伝送チャネルを通過した後に取得され、受信器は、第4の偏光を受信するよう構成される。
本発明の本実施形態に提供されている遠隔変調システムによれば、PBSは、第4の偏光のみを受信器へ送信する。従って、第4の偏光の偏光方向と同じ方向のノイズのみが導入され、このことは、ノイズが3dB減衰されることに等しい。さらに、PBSの挿入損失も、既存の遠隔変調システムにより用いられるサーキュレータの挿入損失より低い。
第9の態様に関連して、第9の態様の第1の可能な実装方式において、遠隔変調システムはさらに、ビームスプリッタを含み、第1の偏光を受信し、第1の偏光を2つの偏光に分割し、一方の偏光をPBSへ送信し、他方の偏光を受信器へ送信するよう構成される。本発明の本実施形態は、遠隔コヒーレント変調システムに適用されることができる。
本発明の実施形態において、変調器を通過する光パルスの偏光方向が一致し、両方とも、比較的低い損失で光パルスが変調器を通過する偏光方向である。従って、本発明の実施形態において提供されている符号化装置を用いるQKDシステムは、高速の変調器を用いることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
本発明の実施形態または従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施形態または従来技術を説明するために必要とされる添付の図面を簡潔に説明する。明らかに、以下の説明における添付の図面は単に、本発明のいくつかの実施形態を示しており、当業者は、創造努力なく、これらの添付の図面から、他の図面をさらに導出し得る。
既存のQKDシステムを示す。
本発明の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化装置を示す。
本発明の別の実施形態に係る光反射器を示す。
本発明の別の実施形態に係る符号化構造を示す。
本発明の別の実施形態に係る量子鍵送信デバイスを示す。
本発明の別の実施形態に係る量子鍵受信デバイスを示す。
光パルスの偏光方向の変化の概略図である。
本発明の別の実施形態に係るQKDシステムを示す。
本発明の別の実施形態に係る遠隔変調システムを示す。
本発明の別の実施形態に係る遠隔変調システムを示す。
本発明の別の実施形態に係る遠隔変調システムにおける可能な受信器構造を示す。
以下では、本発明の実施形態における添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決手段を明確に、かつ完全に説明する。明らかに、説明されている実施形態は、本発明の実施形態の全てではなく、一部である。当業者により創造努力なく、本発明の実施形態に基づいて取得される全ての他の実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
以下の説明において、本発明を限定するためではなく、本発明を示すために、特定のシステム構造、インタフェース、および技術などの具体的な詳細は、本発明を十分に理解するために提供される。しかしながら、本発明はまた、これらの具体的な詳細を含まない他の実施形態においても実装され得ることを、当業者は理解するべきである。他のシナリオにおいて、不必要な詳細が本発明の説明を妨げることを防止するために、周知装置、回路、方法の詳細な説明が省略される。
「第1」、「第2」、「第3」および「第4」などの序数が本発明の実施形態に用いられているとき、序数が文脈に従って順序を表しているものではない限り、序数は単に、区別のために用いられていることが理解されるべきである。
本発明の実施形態は、PCを用いて光パルスの偏光状態を変化させることなく、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有することができる符号化装置200を提供する。図2に示されているように、符号化装置200は、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを備える。
PSR210は、3つのポートを有し、PSR210の第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSR210の第2のポートを用いて第1の偏光を偏光回転構造220へ送信し、PSR210の第3のポートを用いて第2の偏光を変調器230へ送信し、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じである。
PSR210は、PBSと、偏光保持光ファイバの速/遅軸との間の相互接続を介して実装されることができる。具体的には、入射光がPBSによりTE偏光およびTM偏光に分割された後に、出現するTE偏光の偏光方向および出現するTM偏光は、それぞれ速軸および遅軸に整列せずに、両方とも、偏光保持光ファイバの速軸に整列されるか、または、両方とも、偏光保持光ファイバの遅軸に整列される。この場合、PSR210から出現した偏光は、偏光保持光ファイバと同じ軸方向に整列され、従って、同じ偏光モードを有する。
任意選択的に、PSR210はさらに、別の実装構造240を有する。図3(a)に示されているように、実装構造240は、PBS241およびPR242を含む、PBS241は、入力信号光を、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割するよう構成される。PR242は、PBS241と偏光回転構造220との間に位置し、PR242を通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
本発明の全ての実施形態において、偏光方向の変化が、光の伝搬方向と逆向きに観察されることが留意されるべきである。
偏光回転構造220は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光を変調器230へ送信するよう構成される。
任意選択的に、別の実施形態において、偏光回転構造220の実装構造250は、図4(a)において示されている。実装構造250は、ファラデー結晶221およびPR222を含む。ファラデー結晶221は、2つのポートを有し、ファラデー結晶221の第1のポートから入射する光の偏光方向を、第1の方向に90度回転させ、ファラデー結晶221の第2のポートから入射する光の偏光方向を、第2の方向に90度回転させるよう構成され、第2の方向は、第1の方向と反対である。PR222は、2つのポートを有し、PR222の2つのポートから入射する光の偏光方向を、第1の方向に90度回転させるよう構成され、PR222の第1のポートは、ファラデー結晶221の任意のポートに接続される。従って、偏光回転構造250は、偏光回転構造220の一端から入射する光の偏光方向を、180度回転させ、偏光回転構造220の他端から入射する光の偏光方向を0度回転させる機能を行うことができる。
さらに、偏光回転構造220の別の実装構造260が図4(b)において示されている。実装構造260は、第1の偏光子223および第2の偏光子224を含む。第1の偏光子223は、ファラデー結晶221とPSR210との間に位置し、第1の偏光子223を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成される。第2の偏光子224は、PR222と変調器230との間に位置し、第2の偏光子224を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向と同じ、または反対の方向に限定するよう構成される。あるいは、図4(c)において示されている実装構造270において、第1の偏光子223の位置が変化しないまま維持され、第2の偏光子224は、ファラデー結晶221とPR222との間に位置し、第2の偏光子224を通過する光の偏光方向を、第1の偏光の偏光方向に垂直な方向に限定するよう構成される。
あるいは、ファラデー結晶221およびPR222の位置は、交換可能である。言い換えれば、第1の偏光子223は、ファラデー結晶221と変調器230との間に位置してよく、第2の偏光子224は、PR222とPSR210との間に位置するか、または、第1の偏光子223は、ファラデー結晶221と変調器230との間に位置し、第2の偏光子224は、ファラデー結晶221とPR222との間に位置する。2つの偏光子の機能は、図4(b)および図4(c)において示されている偏光子の機能と一致する。
2つの偏光子は、ファラデー結晶221の回転角が温度および入射光の波長により影響されることを防止することができる。ファラデー結晶221の全ての角度偏差が光強度偏差に変換される。偏光補償の安定性に対する光強度偏差の影響が極めて小さく、1度の偏差角度が単に、1/10000000の光強度変動を引き起こすに過ぎない。QKDシステムにおいて、偏光方向の1度の振れの、システム全体のセキュリティに対する影響が大きく、盗聴者EVEは、この脆弱性を利用して有用な情報を直接盗聴することができる。しかしながら、光強度変動は、システムのセキュリティにほとんど影響を与えない。従って、本発明の実施形態がQKDシステムに適用されるとき、QKDシステムのセキュリティを高めることができる。
任意選択的に、別の実施形態において、図5において示されているように、偏光回転構造220はさらに、別の実装方式280を有し、位相変調器(Phase Modulator,PM)または動的偏光制御器(Dynamic Polarization Controller、DPC)を含む。
偏光回転構造280の両端から入射した光パルスがP1およびP2として示されると仮定すると、P1の偏光方向が180度回転させられ、P2の偏光方向が変化されていない。PMおよびDPCは両方とも、能動的なコントローラであり、両端から入射した光信号を処理できない。これは、P2が偏光回転構造280に到着したとき、P1が処理されており、偏光回転構造280を完全に離れたはずであることを必要とする。従って、Tac≧Tab+Tbc+Wpという関係が満されることが必要である。図7において示されているように、TabおよびTacはそれぞれ、P1およびP2が偏光回転構造280に到着するまでかかった時間である。Tbcは、偏光回転構造280における光パルスP1の偏光回転に必要とされる時間であり、Wpは、光パルスP1の全体のパルス幅である。入射光の波長および温度にも影響されるが、PMまたはDPCは、能動的な変調に起因して、リアルタイムで電圧を調整して制御することができ、入射光の波長および温度の影響に対して補償することが留意されるべきである。
概して、PMは、光信号の位相を変調するよう構成されるのみで、光信号の偏光方向を調整することができない。しかしながら、π位相変調が光信号に適用される場合、偏光方向が180度回転させられたことに等しい。具体的には、光信号の平面波が
であり、偏光方向が180度回転させられた後に、
に変化すると仮定する。π位相変調が光信号に適用される場合も、光信号の平面波は
である。2つの場合は、同じ効果を有する。PMは、π位相を変調するときのみ、光信号の偏光方向を調整する機能を行うことができることが留意されるべきである。PMは、GHzレベルの変調率をサポートすることができ、PLC技術に適用可能である。従って、PMを用いる偏光回転構造280は、高速通信の要求を満たし、デバイスの小型化集積をさらに容易にする。
DPCは主に、全光機械型および電気光学制御型という2つのタイプに分類される。全光機械型は通常、機械的に制御され、従って、比較的低い速度を有するが全光機械型は、光ファイバに対して直接作用し、低い挿入損失の利点を有し、速度の要求が高くないシナリオに適用可能である。電気光学制御型は、電気光学型、圧電性型、光磁気型、および液晶型などのタイプを含み、適用される電場を用いて偏光状態を制御し、これにより、速度がミリ秒レベルに達することができ、従来技術における処理速度に等しい。しかしながら、本発明の本実施形態において、DPCは、P1およびP2の偏光方向をそれぞれ0度および180度回転させるためにのみ用いられる必要がある。従って、制御の複雑性が比較的低い。さらに、DPCは、PLC技術にも適用可能であり、それにより、デバイスの小型化集積を容易にする。
PSR210および偏光回転構造220が共に集積される場合、前述のデバイスは、光導波路を用いて互いに接続されるか、または、PSR210および偏光回転構造220が別個のデバイスである場合、前述のデバイスは、偏光保持光ファイバを用いて互いに接続されることが留意されるべきである。
変調器230は、回転させられた第1の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSR210の第3のポートへ送信するよう構成され、第2の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造220へ送信するようさらに構成される。
具体的には、変調器230は、強度変調器(Intensity Modulator、IM)、PM、四位相偏移変調方式変調器(Quadrature Phase Shift Keying Modulator、QPSK Modulator)、又は同様のものであってよい。このことは、本発明の本実施形態において限定されない。
任意選択的に、変調器230の両端からPSR210への光路が等しく、それにより、変調器230が、PSR210により分割された2つの偏光を同時に処理することができることを保証し、処理速度の増加に役立つ。具体的には、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とは、光導波路または偏光保持光ファイバを用いることによって、互いに接続される。
全ての高速の変調器は、偏光依存型であることが留意されるべきである。TE偏光モードにおける入射光の損失は、TM偏光モードにおける入射光の損失と異なり、通常、差が少なくとも20dBである。通常、TE偏光モードにおける損失は、約6dBであり、TM偏光モードにおける損失は、約30dBである。30dBの損失は、通信システムにおいて、特に、非常に弱い光強度を有する量子通信システムにおいて許容できない。本発明の本実施形態において、PSR210による分割によって取得された2つの偏光は、同じ偏光モードを有し、両方とも、TE偏光であり、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、通信システムが受け入れることのできない損失が引き起こされることを回避する。
符号化装置200がTM偏光に対して低い損失を有する特定の変調器を用いる場合、PSR210による分割によって取得された2つの偏光は代わりに、本発明の本実施形態におけるTM偏光であってよいことが理解されるべきである。
偏光回転構造220はさらに、第2の信号光をPSR210の第2のポートへ送信するよう構成される。
任意選択的に、例えば、図4(a)において示される偏光回転構造250において、PR222はさらに、PSR210の第3のポートから第1の信号光を受信し、第1の信号光の偏光方向を第1の方向に90度回転させて、回転させられた第1の信号光を取得するよう構成される。ファラデー結晶221はさらに、回転させられた第1の信号光の偏光方向を第2の方向に90度回転させて、第1の信号光を復元するよう構成される。第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向であり、第2の方向は第1の方向と反対である。
PSR210はさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、PSR210の第1のポートを用いて出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
任意選択的に、別の実施形態において、PSR240は、PBS241およびPR242を含む。図3(a)に示されているように、PBS241はさらに、偏光方向が互いに垂直である2つの信号光を、出力信号光に結合するよう構成される。PR242は、PBS241と偏光回転構造220との間に位置し、PR242を通過する光の偏光方向を第1の方向に90度回転させるよう構成され、第1の方向は、時計回り方向または反時計回り方向である。
あるいは、PSR240は、図3(b)において示され、PBS241およびPR242を含んでよく、PR242は、PBS241と変調器230との間に位置する。PSR240の機能は、図3(a)に示されている構造における機能と同様であり、詳細はここでは再び説明されない。
結論として、本発明の本実施形態において提供されている符号化装置200は、3つのポートを有するPSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを含む。入力信号光は、PSR210の第1のポートを用いて受信され、入力信号光は、第1の偏光および第2の偏光に分割され、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じである。第1の偏光の偏光方向は、180度回転させられて、回転させられた第1の偏光を取得する。回転させられた第1の偏光、および第2の偏光は、変調されて、第1の信号光および第2の信号光をそれぞれ取得する。第1の信号光および第2の信号光は結合されて出力信号光を取得する。出力信号光は、PSR210の第1のポートを用いて送信される。出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の本実施形態において提供されている符号化装置200は、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、通信システムが受け入れるのできない損失が引き起こされることを回避し、高速通信の要求を満たす。
本発明の実施形態はさらに、光反射器600を提供する。図6において示されているように、光反射器600は、PSR601および偏光回転構造602を含む。
PSR601は、3つのポートを有し、PSR601の第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、PSR601の第2のポートおよびPSR601の第3のポートをそれぞれ用いて、第1の偏光および第2の偏光を偏光回転構造602へ送信し、第1の偏光の偏光モードは、第2の偏光の偏光モードと同じである。
偏光回転構造602は、第1の偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の偏光を取得し、回転させられた第1の偏光をPSR601の第3のポートへ送信し、第2の偏光をPSR601の第2のポートへ送信するよう構成される。
PSR601はさらに、回転させられた第1の偏光、および第2の偏光を結合して出力信号光を取得し、PSR601の第1のポートを用いて、出力信号光を送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
本発明の別の実施形態は、符号化構造700を提供する。符号化構造700の可能な構造が図7において示されており、ビームスプリッタ710と、光反射器600と、符号化装置200とを含む。
ビームスプリッタ710は、入力信号光を受信し、入力信号光を第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光を光反射器600へ送信し、第2の偏光を符号化装置200へ送信するよう構成され、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路は、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路に等しくない。
光反射器600は、PSR601および偏光回転構造602を含む。PSR601は、3つのポートを有し、PSR601の第1のポートを用いて第1の偏光を受信し、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、PSR601の第2のポートおよびPSR601の第3のポートをそれぞれ用いて、第1の副偏光および第2の副偏光を偏光回転構造602へ送信し、第1の副偏光の偏光モードは、第2の副偏光の偏光モードと同じである。偏光回転構造602は、第1の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第1の副偏光を取得し、回転させられた第1の副偏光をPSR601の第3のポートへ送信し、第2の副偏光をPSR601の第2のポートへ送信するよう構成される。PSR601はさらに、回転させられた第1の副偏光、および第2の副偏光を結合して第3の偏光を取得し、PSR601の第1のポートを用いて第3の偏光をビームスプリッタ710へ送信するよう構成され、第3の偏光の偏光方向は、第1の偏光の偏光方向に垂直である。
符号化装置200は、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを含む。PSR210は、3つのポートを有し、PSR210の第1のポートを用いて第2の偏光を受信し、第2の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、PSR210の第2のポートを用いて第3の副偏光を偏光回転構造220へ送信し、PSR210の第3のポートを用いて第4の副偏光を変調器230へ送信し、第3の副偏光の偏光モードは、第4の副偏光の偏光モードと同じである。偏光回転構造220は、第3の副偏光の偏光方向を180度回転させて、回転させられた第3の副偏光を取得し、回転させられた第3の副偏光を変調器230へ送信するよう構成される変調器230は、回転させられた第3の副偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSR210の第3のポートへ送信するよう構成され、第4の副偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造220へ送信するようさらに構成される。偏光回転構造220はさらに、第2の信号光をPSR210の第2のポートへ送信する構成される。PSR210はさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して第4の偏光を取得し、PSR210の第1のポートを用いて第4の偏光をビームスプリッタ710へ送信するよう構成され、第4の偏光の偏光方向は、第2の偏光の偏光方向に垂直だえる。ビームスプリッタ710はさらに、第3の偏光および第4の偏光を送信するよう構成される。
具体的には、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路が、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路に等しくないので、第3の偏光および第4の偏光は、同時にビームスプリッタ710に到着しない。
任意選択的に、符号化構造700はさらに、2つの光遅延線720を含み、第1の光遅延線721は、ビームスプリッタ710と光反射器600との間に位置し、第2の光遅延線722がビームスプリッタ710と符号化装置200との間に位置し、第1の光遅延線721の長さが第2の光遅延線722の長さと異なる。
本発明の本実施形態において、符号化構造700は、光反射器600および符号化装置200を用い、従って、高速の変調器をサポートすることもでき、それにより、高速通信の要求を満たす。
図7は、可能な符号化構造700を示しており、光反射器600および符号化装置200の位置を交換することができることが理解されるべきである。このことは、本実施形態においては限定されない。
本発明の別の実施形態は、量子鍵送信デバイス800を提供する。図8に示されているように、量子鍵送信デバイス800は、量子光源810と、符号化構造700と、減衰器820とを備える。
量子光源810は、光パルスを照射し、光パルスを符号化構造700へ送信するよう構成される。
符号化構造700は、図7において示されている符号化構造である。量子光源により送信された光パルスは、符号化構造700の入力信号光である。第3の偏光および第4の偏光は、同じ方式で入力信号光を処理することによって取得され、減衰器820へ送信される。入力信号光を処理する方式は、前述の実施形態において詳細に説明されており、詳細は、本発明の本実施形態においてここでは再び説明されない。
具体的には、符号化構造700における光反射器600および符号化装置200はそれぞれ、光スイッチまたはIMをさらに含む。この場合、量子鍵送信デバイス800は、位相および経路に基づいて符号化を行うために用いられる6状態の量子鍵配送プロトコル(six−state quantum key distribution protocol)または参照フレーム非依存プロトコル(reference frame independent protocol)をサポートすることができる。
減衰器820は、第3の偏光および第4の偏光を単一光子レベルまで減衰し、量子チャネルを用いて、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を送信するよう構成される。
単一光子レベルは、それぞれの光パルスに含まれる光子の数が平均して1桁であることを意味する。具体的には、それぞれの光パルスのエネルギーが約1e−19または1e−18ジュールである。
本発明の本実施形態において提供される量子鍵送信デバイスは、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、高速通信の要求を満たす。
本発明の別の実施形態は、量子鍵受信デバイス900を提供する。図9に示されているように、量子鍵受信デバイス900は、サーキュレータ910と、符号化構造700と、第1の単一光子検出器920と、第2の単一光子検出器930とを含む。
サーキュレータ910は、量子チャネルを用いて、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を受信し、減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光を符号化構造700へ送信するよう構成され、2つの偏光の偏光方向は同じである。
符号化構造700は、図7において示されている符号化構造であり、ビームスプリッタ710と、光反射器600と、符号化装置200とを含む。減衰された第3の偏光および減衰された第4の偏光は両方とも、符号化構造700の入力信号光であり、第1の入力信号光および第2の入力信号光として示される。
ビームスプリッタ710は、2つの入力信号光を受信し、第1の入力信号光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、第2の入力信号光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割し、第1の副偏光および第3の副偏光を光反射器600へ送信し、第2の副偏光および第4の副偏光を符号化装置200へ送信するよう構成され、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路と、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路との間の差が、送信デバイスにおける対応する光路差に等しい。
光反射器600は、第1の副偏光および第3の副偏光を受信し、2つの偏光を別々に処理し、第1の出力偏光および第2の出力偏光を取得するよう構成され、第1の副偏光および第3の副偏光は両方とも、光反射器600の入力信号光である。具体的な処理方式は、前述の実施形態において説明されており、詳細は、本発明においてここでは再び説明されない。
符号化装置200は、第2の副偏光および第4の副偏光を受信し、2つの偏光を別々に処理して第3の出力偏光および第4の出力偏光を取得するよう構成され、第2の副偏光および第4の副偏光は両方とも、符号化装置200の入力信号光である。具体的な処理方式も前述の実施形態において説明されており、詳細は、本発明においてここでは再び説明されない。
ビームスプリッタ710はさらに、第2の出力偏光および第3の出力偏光を互いに干渉させて第1の干渉光および第2の干渉光を取得し、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれ、サーキュレータ910および第2の単一光子検出器930へ送信するよう構成される。
具体的には、符号化構造700において、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路は、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路に等しくない。ビームスプリッタ710から光反射器600への光路がより短いと仮定すると、ビームスプリッタ710から光反射器600への経路は、ショートアームと称され、ビームスプリッタ710から符号化装置200への経路は、ロングアームと称される。従って、送信デバイスは、2つの偏光を送信する。受信デバイスにおいて、第1の偏光が第2の偏光より早く到着すると仮定すると、符号化構造700におけるビームスプリッタ710は、第1の偏光を第1の副偏光および第2の副偏光に分割し、第2の偏光を第3の副偏光および第4の副偏光に分割する。第1の副偏光および第3の副偏光は、ショートアームを通過する。第1の副偏光および第3の副偏光が光反射器600を通過した後に、第1の出力偏光および第2の出力偏光がそれぞれ取得される。第2の副偏光および第4の副偏光は、ロングアームを通過する。第2の副偏光および第4の副偏光が符号化装置200を通過した後に、第3の出力偏光および第4の出力偏光がそれぞれ取得される。受信デバイスにおける符号化構造と送信デバイスとが同一であり、両方とも図7において示されている符号化構造700であるので、受信デバイスにおける、ビームスプリッタ710から光反射器600への光路と、ビームスプリッタ710から符号化装置200への光路との間の差は、送信デバイスにおける対応する光路差と一致する。言い換えれば、送信デバイスにおけるロングアームおよび受信デバイスにおけるショートアームを通過する光と、送信デバイスにおけるショートアームおよび受信デバイスにおけるロングアームを通過する光とが、同時にビームスプリッタに到着する。従って、第2の出力偏光および第3の出力偏光は、同時にビームスプリッタ710に到着し、ビームスプリッタ710で互いに干渉し、第1の干渉光および第2の干渉光を取得する。
サーキュレータ910はさらに、第1の干渉光を第1の単一光子検出器920へ送信するよう構成される。
2つの単一光子検出器は、第1の干渉光および第2の干渉光をそれぞれ検出し、関連量子鍵配送プロトコルに従って量子鍵を取得するよう構成される。
第1の干渉光および第2の干渉光からの量子鍵を取得するべく、互いに干渉する2つの出力信号光は、送信デバイスの変調された情報および受信デバイスの変調された情報をそれぞれ保持する必要があることが留意されるべきである。本発明の本実施形態において、第1の偏光が第2の偏光より早く受信デバイスに到着するので、第1の偏光は、送信デバイスにおけるショートアームを通過し、第2の偏光は、送信デバイスにおけるロングアームを通過する。符号化装置200がショートアームにあると仮定すると、第2の出力偏光は、送信デバイスの変調された情報を保持し、第3の出力偏光は、受信デバイスの変調された情報を保持する。符号化装置200がロングアームにあると仮定すると、第2の出力偏光は、受信デバイスの変調された情報を保持し、第3の出力偏光は、送信デバイスの変調された情報を保持する。従って、量子鍵を本発明の本実施形態に従って取得することができる。
さらに、本発明の本実施形態において提供されている符号化構造はさらに、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有する。それぞれの光は、偏光方向が互いに垂直である2つの偏光に分割されることができ、偏光依存性損失は主に、光の2つの偏光方向における一致しない損失により引き起こされる。入力信号光がビームスプリッタ710から光反射器600に到着するプロセスにおいて、入力信号光のTE偏光の損失が1dBであり、入力信号光のTM偏光の損失が3dBであると仮定する。従って、入力信号光が光反射器600に到着したときの入力信号光の偏光方向は、入力信号光がビームスプリッタ710にあるときの入力信号光の偏光方向と異なる。図10において示されているように、位置bにある入力信号光の偏光方向は、位置aにある入力信号光の偏光方向と異なる。光反射器600の出力信号光の偏光方向が入力信号光の偏光方向に垂直である場合、出力信号光のTE偏光は、入力信号光のTM偏光に対応し、出力信号光のTM偏光は、入力信号光のTE偏光に対応する。従って、入力信号光がビームスプリッタ710から光反射器600に到着し、次に、出力信号光がビームスプリッタ710に戻るという全プロセスの後に、2つの偏光方向における光損失は両方とも、4dBであり、すなわち、2つの偏光方向における損失は一致する。具体的には、中間の伝送プロセスにおいて引き起こされる偏光依存性損失が0であり、ビームスプリッタ710に送り返された出力信号光の偏光方向が、ビームスプリッタ710から送信された入力信号光の偏光方向に垂直である。図10において示されているように、位置dにある入力信号光の偏光方向が、位置aにある入力信号光の偏光方向に垂直である。符号化装置200を通過する出力光および入力光の偏光方向も互いに垂直なので、入力信号光がビームスプリッタ710から符号化装置200に到着し、次に、出力信号光がビームスプリッタ710に戻るという全プロセスの後に、2つの偏光方向における損失が一致することを保証することもできる。
従って、本発明の本実施形態において提供されている受信デバイスは、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、高速通信の要求を満たし、さらに、受信デバイスにおける偏光依存性損失に対する自己補償を行うことができ、それにより、互いに干渉する2つの出力偏光の偏光方向が一致することを保証し、干渉効果を高め、量子鍵生成率の増加に役立つ。
本発明の別の実施形態は、QKDシステムを提供し、前述の実施形態において説明されている量子鍵送信デバイス800および量子鍵受信デバイス900を備える。特定の動作手順が以下の通りである。
量子光源810が送信デバイス800に位置し、光パルスを生成するよう構成される。光パルスは、ビームスプリッタ710を通過し、2つの偏光P1およびP2に分割される。偏光P1は、ショートアームを通過し、P2は、ロングアームを通過する。光反射器600を通過した後に、P1は、ビームスプリッタ710に戻る。符号化装置200を通過した後に、P2は、ビームスプリッタ710に戻る。減衰器820を順次通過し、単一光子レベルまで減衰された後に、2つの偏光P1およびP2は、量子チャネルを用いて受信デバイス900へ送信される。P2には、変調によって、符号化装置200における送信デバイスについての情報が追加される。
受信デバイス900において、P1およびP2は、サーキュレータ910により順次受信され、ビームスプリッタ710へ送信され、偏光P1は、P11およびP12に分割され、偏光P2は、P20およびP22に分割され、P11およびP20は、ショートアームを通過し、P12およびP22は、ロングアームを通過する。光反射器600を通過した後に、P11およびP20は、ビームスプリッタ710に戻る。符号化装置200を通過して変調によって受信デバイスについての情報が追加された後に、P12およびP22は、ビームスプリッタ710に戻る。受信デバイス900におけるロングアームとショートアームとの間の光路差が、送信デバイス800におけるものに等しいので、P12およびP20は、同時にビームスプリッタ710に到着し、ビームスプリッタ710において互いに干渉する。干渉信号は2つの単一光子検出器920および930により取得される。対応する量子鍵配送プロトコルに従って、2つの単一光子検出器の検出結果を処理することによって、量子鍵を取得することができる。
光反射器600および符号化装置200が偏光を処理するプロセスは、前述の実施形態において詳細に説明されていることが理解されるべきである。詳細は、本発明の本実施形態においてここでは再び説明されない。
本発明の本実施形態において提供されているQKDシステムは、高速の変調器をサポートすることができ、それにより、高速通信の要求を満たし、さらに、システムにおける偏光依存性損失に対する自己補償を行うことができ、それにより、互いに干渉する2つの出力偏光の偏光方向が一致することを保証し、干渉効果を高め、量子鍵生成率の増加に役立つ。
本発明の別の実施形態は、QKDシステムを提供する。図11において示されているように、QKDシステムは、アリス側およびボブ側を含む。アリス側は、符号化装置200と、減衰器1110と、ビームスプリッタ1120と、単一光子検出器1130とを含む。ボブ側は、既存の往復QKDシステムのボブ側を用いる。
ビームスプリッタ1120は、少なくとも3つのポートを含み、第1のポートおよび第2のポートがビームスプリッタ1120の一方の側に位置し、残りのポートは全て、ビームスプリッタ1120の他方の側に位置し、第1のポートは、減衰器1110に接続され、第2のポートは、単一光子検出器1130に接続され、第3のポートは、量子チャネルに接続される。ビームスプリッタ1120は、量子チャネルを用いることによって光パルスを受信し、光パルスを第1の光パルスおよび第2の光パルスに分割し、第1のポートおよび第2のポートをそれぞれ用いて、第1の光パルスおよび第2の光パルスを送信するよう構成される。
減衰器1110はさらに、符号化装置200に接続され、減衰器1110に入力された光パルスを減衰するよう構成される。
単一光子検出器1130は、単一光子検出器1130に入力された光パルスを検出するよう構成され、検出された情報は、検出された光パルスがトロイの木馬により攻撃されるかを示すために用いられる。
符号化装置200は、PSR210と、偏光回転構造220と、変調器230とを含む。PSR210は、3つのポートを有し、PSR210の第1のポートは、減衰器1110に接続され、PSR210の第2のポートは、偏光回転構造220に接続され、PSR210の第3のポートは、変調器230に接続される。PSR210は、PSR210の第1のポートを用いて入力光パルスを受信し、入力光パルスを第1の偏光および第2の偏光に分割し、第1の偏光の偏光方向を90度回転させて、第3の偏光を取得し、PSR210の第2のポートおよびPSR210の第3のポートをそれぞれ用いて、第1の偏光および第3の偏光を送信するよう構成される。変調器230はさらに、偏光回転構造220に接続され、変調器230に入力された光パルスを変調するよう構成される。偏光回転構造220は、一方の側から偏光回転構造220に入った光パルスの偏光方向を180度回転させ、他方の側から偏光回転構造220に入った光パルスの偏光方向を0度回転させるよう構成される。符号化装置200の出力光パルスおよび入力光パルスの偏光方向は、互いに垂直である。
既存の往復QKDシステムと比較すると、本発明の本実施形態において提供されているQKDシステムは、送信側でPCを用いる必要がなく、それにより、PCオフセット補正速度の影響を回避し、システム速度を向上させる。
さらに、符号化装置200は、QKDシステムの符号化装置として、量子通信の分野に適用され得るのみならず、遠隔変調装置として古典的な光分野にも適用され得る。
本発明の別の実施形態は、遠隔変調システムを提供する。図12において示されているように、遠隔変調システムは、レーザ1210と、PBS1220と、遠隔変調装置1230と、受信器1240とを含む。
レーザ1210は、PBS1220の第2のポートに接続され、第1の偏光を照射するよう構成される。
レーザにより生成された光がTE偏光またはTM偏光であってよいことが留意されるべきである。
PBS1220は、3つのポートを有し、PBS1220の第2のポートを用いて第1の偏光を受信し、伝送チャネルを介してPBS1220の第1のポートを用いて第1の偏光を遠隔変調装置1230へ送信するよう構成される。
遠隔変調装置1230は、PSR1231と、偏光回転構造1232と、変調器1233とを含む。PSR1231は、3つのポートを有し、PSR1231の第1のポートを用いて入力信号光を受信し、入力信号光を第2の偏光および第3の偏光に分割し、PSR1231の第2のポートを用いて第2の偏光を偏光回転構造1232へ送信し、PSR1231の第3のポートを用いて第3の偏光を変調器1233へ送信し、入力信号光は、第1の偏光が伝送チャネルを通過した後に取得され、第2の偏光の偏光モードは、第3の偏光の偏光モードと同じである。偏光回転構造1232は、第2の偏光の偏光方向を、180度回転させて、回転させられた第2の偏光を取得し、回転させられた第2の偏光を変調器1233へ送信するよう構成される。変調器1233は、回転させられた第2の偏光を変調して第1の信号光を取得し、第1の信号光をPSR1231の第3のポートへ送信するよう構成され、第3の偏光を変調して第2の信号光を取得し、第2の信号光を偏光回転構造1232へ送信するようさらに構成される。偏光回転構造1232はさらに、第2の信号光をPSR1231の第2のポートへ送信するよう構成される。PSR1231はさらに、第1の信号光および第2の信号光を結合して出力信号光を取得し、伝送チャネルを介してPSR1231の第1のポートを用いて出力信号光をPBS1220へ送信するよう構成され、出力信号光の偏光方向は、入力信号光の偏光方向に垂直である。
具体的には、遠隔変調装置1230における変調器は、PM、IM、QPSK変調器、又は同様のものであってよい。このことは、本発明の本実施形態において限定されない。
PBS1220はさらに、PBS1220の第1のポートを用いて第4の偏光を受信し、PBS1220の第3のポートを用いて、第4の偏光を受信器1240へ送信するよう構成され、第4の偏光は、出力信号光が伝送チャネルを通過した後に取得される。
受信器1240は、第4の偏光を受信するよう構成される。
本発明の本実施形態において提供される遠隔変調システムにおいて、レーザ1210により生成された偏光がTE偏光であり、PBS1220の第1のポートは、伝送チャネルに接続され、PBS1220の第2のポートは、TE偏光ポートであり、PBS1220の第3のポートは、TM偏光ポートであると仮定する。遠隔変調システムの動作手順が以下の通りである。
レーザ1210は、TE偏光を生成する。TE偏光は、PBS1220の第2のポートに到着し、次に、伝送チャネルを介して遠隔変調装置1230に到着する。伝送チャネルの影響に起因し、TE偏光の偏光方向が変化する。遠隔変調装置1230に到着する光は、入力信号光として示されてよい。遠隔変調装置1230において、入力信号光は変調されて、出力信号光を取得し、出力信号光が反射される。遠隔変調装置1230の出力信号光および入力信号光の偏光方向が互いに垂直なので、遠隔変調装置1230は、偏光依存性損失に対する自己補償を行う機能を有する。具体的には、出力信号光がPBS1220に戻ったとき、出力信号光の偏光方向は、PBS1220により照射されたTE偏光の偏光方向に垂直である。言い換えれば、出力信号光はTM偏光に変化する。偏光依存性損失に対する自己補償の具体的な原理は、前述の実施形態において説明されており、詳細はここでは再び説明されない。
伝送チャネルを介してPBS1220に戻ったとき、出力信号光がTM偏光に変化するので、出力信号光は、PBS1220の第3のポートを用いて出力され、受信器1240に到着する。受信器1240において、出力信号光は復調され、変調された情報を抽出する。
結論として、本発明の本実施形態において提供されている遠隔変調システムにおいて、PBS1220は、1つの偏光方向における光のみを受信器1240へ送信し、偏光方向と同じ方向におけるノイズのみが導入され、ノイズが3dB減衰されたことに等しい。さらに、PBSの挿入損失も、既存の遠隔変調システムにより用いられるサーキュレータの挿入損失より低い。
遠隔変調装置1230における変調器がIMである場合、入力信号光の強度が変調され、受信器1240が直接検出方式で出力信号光を復調し得るか、または、遠隔変調装置1230における変調器がPM、QPSK変調器、又は同様のものである場合、変調器は、入力信号光に対して位相変調、または位相および強度変調の両方を行うことが留意されるべきである。この場合、受信器1240は、局部発振光を用いてコヒーレント受信方式で受信された光を復調する。レーザ1210と、PBS1220と、受信器1240とは、偏光保持光ファイバまたは偏光保持導波路を用いて、互いに接続される。
任意選択的に、図13において示されているように、遠隔変調システムはさらに、ビームスプリッタ1250を含む。ビームスプリッタ1250は、レーザ1210とPBS1220との間に位置し、レーザ1210の出力光を2つの光に分割し、一方の光をPBS1220に送信し、局部発振光として他方の光を受信器1240へ送信するよう構成される。
この場合、受信器1240により受信された出力信号光は、偏光方向が明確に定まっており、デュアル偏光受信を必要としない。従って、既存のコヒーレント受信器と比較すると、図14において示されている単一偏光コヒーレント受信器は、受信器1240として用いられてよい。単一偏光コヒーレント受信器は、簡単な構造および低い挿入損失の特徴を有し、システム全体に対して、低コスト、低電力消費、および長伝送距離という利益をもたらす。
前述の説明は単に、本発明の具体的な実装方式であり、本発明の保護範囲を限定することを意図しない。本発明において開示されている技術範囲内に当業者により容易に案出できる任意の変更または置換は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲にしたがうものとする。