(発明の詳細な説明)
本発明は、様々な修正および代替形態を受け得るが、それらの詳細を図面に例として示しており、これより詳細に記述する。しかし、本発明を、記述される特定の実施形態に限定しようとするものではないことを理解すべきである。それどころか、本発明の精神および範囲内に入る全ての修正例、均等物、および代替例を包含するものである。例えば、本発明の特定のナノポアのタイプおよび数、特定の標識、FRET対、検出スキーム、製作手法は、例示の目的で示される。しかし本開示は、その他のタイプのナノポア、ナノポアのアレイ、およびその他の製作技術を利用して本明細書で論ずるシステムの様々な態様を実現することができるので、この点に限定するものではないことを理解すべきである。本発明の態様に関する指針は、その関連ある部分が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、Cao,Nanostructures&Nanomaterials(Imperial College Press,2004);Levinson,Principles of Lithography,Second Edition(SPIE Press,2005);Doering and Nishi, Editors,Handbook of Semiconductor Manufacturing Technology,Second Edition(CRC Press,2007);Sawyer et al,Electrochemistry for Chemists,2nd edition(Wiley Interscience,1995);Bard and Faulkner,Electrochemical Methods:Fundamentals and Applications,2nd edition(Wiley,2000);Lakowicz,Principles of Fluorescence Spectroscopy,3rd edition(Springer,2006);Hermanson,Bioconjugate Techniques,Second Edition(Academic Press,2008);などを含む、当業者に周知の多くの入手可能な参考文献および論文に見出される。
本発明は、ナノポアおよび光学検出を使用する、DNA、およびRNAなどのようなポリヌクレオチドを分析するための方法およびデバイスを対象とする。さらに具体的には、本発明は、ナノポアおよび光学検出を使用する、1つまたは複数のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することを対象とする。一態様では、本発明は、所望の検出ゾーンの外側で励起された蛍光標識からの蛍光シグナルを抑制するおよび/または消失させるための非蛍光消光剤を使用することによって、収集されたシグナル中の光学的ノイズを低減させることを対象とし、またそれを含む。図1Aおよび図1Bは、本発明のこの態様によって対処する問題を図説する。光学に基づくナノポア配列決定の一部の実施形態では、例えば、(100)によって示される、標識されたポリヌクレオチドは、試料から得られ得る標的ポリヌクレオチドから生じる。示されるように、標識されたポリヌクレオチド(100)のヌクレオチドの一部分は、(例えば)2つの蛍光標識「f」(102)または「g」(104)の一方を結合している。標識されたポリヌクレオチド(100)および/または同様に標識されたポリヌクレオチドは、例えば固相膜(108)中のナノポア(106)として表される、ナノポアを通って移動する。ナノポアは、以下により完全に記載するように、広範なフォーマットおよび組成を有し得るが、実質的に同一の機能を実行するように、即ち、標識ポリヌクレオチドのヌクレオチドを拘束して検出ゾーンを一列で通過させるように用いられる。一部の実施形態では、ナノポアは、(i)二本鎖ポリヌクレオチドではなく一本鎖ポリヌクレオチドを通過させること、ならびに/または(ii)ナノポアの通過の間の蛍光標識の蛍光放出を抑制および/もしくは拘束することを含む、さらなる機能を行い得る。図1Bは、シスチャンバー(110)からナノポア(106)を通ってトランスチャンバー(112)へと移動し、落射照明またはエバネッセント波照射を介する直接照明であり得る励起ビーム(114)によって照射される、標識されたポリヌクレオチド(100)を示す。いずれの配置でも、所望の検出ゾーン、例えば検出ゾーン(124)の外側の多数の蛍光標識が励起し、その結果、収集されたシグナルは、検出ゾーン(124)の外側の、例えば、ナノポア(106)に入ろうとするヌクレオチドの蛍光標識を含有する領域(120)、および励起された検出ゾーン(124)を有するヌクレオチドの蛍光標識を含有する領域(126)の、潜在的に多くの蛍光標識からの寄与を含み得る。結果として、収集されたシグナル(128)からの配列情報の識別が、非常に困難である。一態様では、本発明は、標識された一本鎖ポリヌクレオチドに対する親和性を有し、それにより所望の検出領域または検出ゾーン(124)の外側の領域からの蛍光シグナルを低減または消失させる非蛍光消光剤を提供することによって、この問題に対処する。他の態様では、標識された二本鎖ポリヌクレオチドに対する親和性を有する非蛍光消光剤が、所望の検出ゾーンまたは検出領域の外側の領域からの蛍光シグナルを低減または消失させるために提供され得る。
図2A〜2Cは、消光剤がナノポアデバイス、即ち、トランスチャンバーのみ(図2A)、シスチャンバーのみ(図2B)、またはシスチャンバーおよびトランスチャンバーの両方(図2C)に適用される場合に対応する、本発明の異なる実施形態を示す。図2Aでは、シスチャンバー(202)から固相膜(208)のナノポア(206)を通ってトランスチャンバー(204)へと移動する、標識されたポリヌクレオチド(200)が示される。トランスチャンバー(204)内には、「Q」で示される非蛍光消光剤(205)が浸漬されている。本発明の消光剤は、標識された一本鎖ポリヌクレオチド(200)の移動条件下で可溶性であり、同一の条件下で、消光剤は、(200)などの一本鎖ポリヌクレオチドに、実質的な配列特異性を伴わずに結合する。同様に、代替的な実施形態では、本発明の消光剤は、標識された二本鎖ポリヌクレオチドの移動条件下で可溶性であり、同一の条件下で、消光剤は、そのような二本鎖ポリヌクレオチドに、実質的な配列特異性を伴わずに結合する。より完全に以下に記載するように、非対称シアニン色素などの多くの周知の有機色素の誘導体、ならびにそのような化合物とオリゴヌクレオチドとのコンジュゲートおよび/またはそれらの類似体を含む様々な非蛍光消光剤が、本発明とともに使用するために利用可能である。この実施形態では、消光剤のタイプおよび濃度ならびに移動速度の選択によって、検出ゾーン(210)が画定される。一部の実施形態では、「検出ゾーン」は、標識されたポリヌクレオチドに関する情報、例えば配列情報がそこから決定される生データを形成するために蛍光シグナルを収集する領域または容積(これは、連続的または非連続的であり得る)を意味する。一部の実施形態では、「検出ゾーン」は、連続的な領域または容積である。検出ゾーン(210)の外側のトランスチャンバー(204)内の蛍光標識は、トランスチャンバー(204)内の標識されたポリヌクレオチド(200)の一部に結合した消光剤(205)によって実質的に消光される。一部の実施形態では、消光剤は、より完全に以下に記載するように、有機色素に基づく1つまたは複数の消光部分にコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドまたは類似体を含む。図2Aの実施形態は、例えば、固相膜(208)が不透明層であるかまたはそれを含み、それによってシスチャンバー(202)内の蛍光標識が実質的に励起しない場合に、用いられ得る。そのような実施形態では、トランスチャンバーへのナノポアの出口に例えば隣接している検出ゾーンの容積は、これだけに限らないが、標識されたポリヌクレオチドの移動速度、トランスチャンバー内の消光剤濃度、ポリヌクレオチドに対する消光剤の親和性、消光剤の消光効率などを含む因子に依存し得る。
図2Bは、消光剤(205)がシスチャンバー(202)内に配置されることを除いて、図2A中の要素と実質的に同一の要素を示す。この配置は、望ましくないエバネッセント波などの非放射光エネルギーがシスチャンバー(202)まで延在し、蛍光標識を励起して、これが蛍光シグナルを発生させ、これが収集される状況下で、望ましい場合がある。シスチャンバー(202)内の標識されたポリヌクレオチド(200)に結合する消光剤(205)は、そのような蛍光シグナルを低減または消失させる。一部の実施形態では、消光剤(205)とナノポア(206)の断面とは、消光剤(205)がナノポア(206)を通って移動しないように選択される。一部の実施形態では、これは、より完全に以下に記載するように、タンパク質ナノポアα−溶血素と、オリゴヌクレオチドまたはその類似体と1つまたは複数の消光性化合物とのコンジュゲートを含む消光剤とを使用して達成することができる。
図2Cは、図2Aおよび図2Bの両方の実施形態について記載された利点を提供する、消光剤(205)がシスチャンバー(202)およびトランスチャンバー(204)の両方に存在する実施形態を示す。
図3は、以下の要素:脂質二重層(302)の中に配置されたタンパク質ナノポア(300)、バックグラウンド蛍光を防止しまたは低減するための固相膜(306)中の不透明層(308)での蛍光標識の落射照明、およびトランスチャンバー(326)内に配置された消光剤(310)を含む実施形態を示す。上記のように、蛍光標識されたヌクレオチド(標識を(322)のように「f」で示す)を有するポリヌクレオチド(320)は、ナノポア(300)を通ってシスチャンバー(324)からトランスチャンバー(326)へと移動する。オリゴヌクレオチド消光剤(310)は、ナノポア(300)から現れるポリヌクレオチド(320)の部分へのオリゴヌクレオチド消光剤(328)のハイブリダイゼーションを可能にする条件(例えば、濃度、温度、塩濃度など)の下で、トランスチャンバー(326)内に配置される。ナノポア(300)は、参照により本明細書に組み込まれるHuberら、米国特許出願公開第2016/0076091号に記載されているように、ナノポアを通過する間に蛍光標識からのシグナルが抑制されるように選択され得る。したがって、標識されたヌクレオチドが領域(328)においてナノポア(300)から現れると、これらは抑制されなくなり、シグナルを発生できるようになる。全てでなければ大部分の直接照射の形態(例えば非FRET)では、そのような現れた標識は、トランスチャンバー(326)内にさらに移動する際に蛍光を放出し続け、それにより、収集されたシグナルに大きく寄与する。現れるポリヌクレオチドに結合するトランスチャンバー(326)内の消光剤によって、そのような発光を顕著に低減することができ、検出ゾーン(328)を画定して、そこから、収集されたシグナルを分析してポリヌクレオチド(320)に関するヌクレオチド配列情報を得ることができる。一部の実施形態では、標識されたポリヌクレオチドが検出ゾーンを通って移動する際に、単一の蛍光標識からの蛍光シグナルが検出時間の間に検出ゾーン(328)から検出される。他の実施形態では、複数の蛍光シグナルが所定の時間の間に検出ゾーン(328)で複数の蛍光標識から収集される。一部の実施形態では、そのような検出時間は、1ミリ秒未満、または0.1ミリ秒未満、または0.01ミリ秒未満である。一部の実施形態では、そのような検出時間(detection perior)は、少なくとも0.01ミリ秒、または少なくとも0.1ミリ秒、または少なくとも0.5ミリ秒である。
消光剤
本発明の消光剤は、ナノポア配列決定の条件下で(i)実質的に非蛍光性であり、(ii)一本鎖核酸、特に一本鎖DNAに結合し、(iii)他の分子から非放射的に励起エネルギーを吸収し、これを非放射的に放出する任意の化合物(または化合物の組)を含む。一部の実施形態では、消光剤は一本鎖DNAに非共有結合でさらに結合する。より完全に以下に記載されるように、これだけに限らないが、シアニンおよびキサンテン色素などの一般的な合成色素の非蛍光性誘導体を含む様々な消光性化合物が、本発明とともに使用するために利用可能である。消光性化合物の選択のガイダンスは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,323,337号、米国特許第6,750,024号などの参考文献に見出され得る。
一部の実施形態では、消光剤は、蛍光を消光することが知られている重原子(臭素またはヨウ素など)によって共有結合で修飾された、またはニトロ基もしくはアゾ基などの蛍光を消光することが知られている他の基によって共有結合で修飾された、一本鎖DNA結合性色素であってもよい。一本鎖DNAに結合することが知られている色素の例は、Sybr Green(Zipperら、(2004年)、Nucleic Acid Research、32巻(12号))である。シアニンSybr Green構造へのニトロ基、臭素基、ヨウ素基、および/またはアゾ基の組み込みによって、DNA上に存在するかも知れない蛍光標識を消光する一本鎖DNA結合性基部分が得られる。
一部の実施形態では、消光剤は結合部分と1つまたは複数の消光部分とを含む。結合部分には、実質的な配列特異性なしに一本鎖核酸に結合する任意の化合物が含まれ得る。結合部分は、ペプチドもしくはオリゴヌクレオチドまたは修飾された連結部および/もしくはモノマーを有する類似体を含み得る。オリゴヌクレオチドおよびその類似体は、二重鎖の形成を介して、または非塩基対合アプタマー結合を介して、ポリヌクレオチドへの結合を提供し得る。一部の実施形態では、結合部分は6〜60ヌクレオチドの範囲の長さを有するオリゴヌクレオチドまたはその類似体を含む。そのようなオリゴヌクレオチドまたは類似体は、1つの消光部分または複数の消光部分にコンジュゲートしてもよい。一部の実施形態では、各オリゴヌクレオチドまたは類似体にコンジュゲートした複数の消光部分は2または3である。結合部分にコンジュゲートした消光部分は同一でも異なっていてもよい。一部の実施形態では、結合部分がオリゴヌクレオチドまたは類似体である場合はいつも、2つの消光部分は、1つがオリゴヌクレオチドの5’末端に、1つがオリゴヌクレオチドの3’末端にコンジュゲートしている。2〜3の消光部分を有するオリゴヌクレオチドまたは類似体は、例えば本明細書に引用した参考文献に開示されているように、従来の連結化学および合成化学を使用して合成することができる。
シスチャンバー内で結合する、消光剤を含む一本鎖オリゴヌクレオチドは、図3のタンパク質ナノポア(300)で示すものなどの一部のナノポア配置でナノポアを、それが一本鎖核酸のみを移動させるほどに十分に狭くなるよう選択することができ、したがって、ナノポアを移動する間、実際には、移動が進行するにつれて、結合した消光剤が取り除かれるという点で有利であり得る。一部の実施形態では、ナノポアを通過する間の蛍光標識のシグナル発生を抑制し(または検出)、その後の、検出ゾーン(例えば、図3の(328))への出口での自由なシグナル発生(または検出能力)を抑制するナノポアが選択され得る。
オリゴヌクレオチドまたは類似体は単一種として提供され、または異なる配列、したがって異なる結合特異性を有する複数のオリゴヌクレオチドもしくは類似体の混合物として提供され得る。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドまたは類似体はランダム配列ポリマーである。即ち、これらは所与の長さを有するあらゆる可能な配列の混合物として提供される。例えば、そのようなオリゴヌクレオチドまたは類似体は、6マーについては「NNNNNN」、または8マーについては「NNNNNNNN」という式で表すことができ、式中NがA、C、GもしくはT、またはその類似体であってもよい。
オリゴヌクレオチドに関する「類似体」は、1つまたは複数のヌクレオチド類似体を含有するオリゴヌクレオチドを意味する。定義のセクションに記載するように、「ヌクレオチド類似体」は修飾された連結部分、糖部分、または塩基部分を有し得るヌクレオチドである。本発明とともに使用され得る例示的なオリゴヌクレオチド類似体には、これだけに限らないが、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)(2’−O−メチルRNA)、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド、架橋された核酸(BNA)などが含まれる。
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド結合部分はユニバーサル塩基を含む。即ち、これらは、塩基対相互作用を不安定化することなしに4つの天然のヌクレオチドのいずれかを置き換えることができる1つまたは複数のヌクレオチド類似体を含有する。ユニバーサル塩基特性を有するヌクレオチド類似体は、参照により本明細書に組み込まれるLoakes、Nucleic Acids Research、29巻(12号)、2437〜2447頁(2001年)に記載されている。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド結合部分は、2’−デオキシイノシン、7−デアザ−2’−デオキシイノシン、2−アザ−2’−デオキシイノシン、3−ニトロピロールヌクレオチド、5−ニトロインドールヌクレオチドなどを含む。
一部の実施形態では、消光剤には、共同で作用して一本鎖標識ポリヌクレオチドの望ましくない蛍光シグナルを消光する2つまたはそれより多い化合物の組合せが含まれ得る。例えば、消光剤には、標識されたポリヌクレオチドと二重鎖を形成し得るオリゴヌクレオチド(例えばポリデオキシイノシン)と、個別に、消光剤である二本鎖インターカレーターとが含まれ得る。したがって、ポリデオキシイノシンが標識されたポリヌクレオチドに結合する場合にはいつも、その結果生じる二重鎖に消光性インターカレーターが結合して、ポリヌクレオチドからの蛍光シグナルを消光する。
標識されたポリヌクレオチドの蛍光標識の蛍光シグナルを検出可能に消光することができる任意の合成色素は、本発明の目的のための許容される消光部分である。具体的には、本発明で使用する場合、消光部分は、標識されたポリヌクレオチド上の蛍光標識の発光バンドと少なくとも一部のスペクトルの重なりを示す吸収バンドを有する。この重なりは、十分なスペクトルの重なりが存在する限り、消光部分(アクセプター)の極大吸収波長よりも低い、またはより高い波長の発光極大において起こる蛍光標識(ドナー)の発光とともに起こり得る。エネルギー移動は、ドナーの発光の、アクセプターのより高い電子状態への遷移を通しても起こり得る。当業者は、使用される蛍光標識の発光スペクトルに関してその色素の励起バンドを調査することによって、所与の消光部分の有用性を決定する。
典型的には、本発明の蛍光消光は、本発明の蛍光標識と消光部分との間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRETまたは電荷移動錯体の形成によって)によって起こる。ドナー化合物およびアクセプター化合物のスペクトル特性および電子特性は、標識されたポリヌクレオチド上の蛍光標識と消光部分との間の分離距離と同様に、観察されるエネルギー移動の程度に強い影響を有する。分離距離が増加すると、蛍光消光の程度は減少する。
標識されたポリヌクレオチドに結合したときに色素の極大発光波長が蛍光標識の極大発光波長から十分に分離されている限り、消光部分は必要に応じて蛍光性であり得る。しかし、好ましくは、オリゴヌクレオチドまたは類似体に共有結合でコンジュゲートしている場合には、消光部分は僅かに蛍光性にすぎない、または実質的に非蛍光性である。本明細書において使用する実質的に非蛍光性とは、本明細書の方法のいずれにおいても、記載される通りアッセイ溶液における消光部分の蛍光効率が5パーセント未満またはそれに等しく、好ましくは1パーセント未満またはそれに等しいことを示す。他の実施形態では、共有結合で結合した消光部分は、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満の量子収率を示す。一部の実施形態では、本発明の消光オリゴヌクレオチドに会合した蛍光標識の蛍光は、共有結合で結合した消光部分がない場合の同一の蛍光標識と会合した同一のオリゴヌクレオチドに対して、50%を超えて消光される。別の実施形態では、蛍光標識は、標識されていないオリゴヌクレオチドに対して90%を超えて消光される。さらに別の実施形態では、核酸染色は、標識されていないオリゴヌクレオチドに対して95%を超えて消光される。
一部の実施形態では、消光部分は、ピレン、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドールもしくはベンズインドール、オキサゾールもしくはベンゾオキサゾール、チアゾールもしくはベンゾチアゾール、4−アミノ−7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(NBD)、シアニン、カルボシアニン、カルボスチリル、ポルフィリン、サリシレート、アントラニレート、アズレン、ペリレン、ピリジン、キノリン、クマリン(ヒドロキシクマリン類およびアミノクマリン類ならびにフッ素化されたおよびスルホン化されたそれらの誘導体を含む)(参照により組み込まれるGeeらへの米国特許第5,830,912号(1998年)およびWangらへの米国特許第5,696,157号(1997号)において記載されているような)、ポリアザインダセン(例えば、全て参照により組み込まれる、Hauglandらへの米国特許第4,774,339号(1988年)、Kangらへの米国特許第5,187,288号(1993年)、Hauglandらへの米国特許第5,248,782号(1993年)、Kangらへの米国特許第5,274,113号(1993年)、Kangらへの米国特許第5,433,896号(1995年)、Wuらへの米国特許第6,005,113号(1999年))、キサンテン、オキサジンもしくはベンゾオキサジン、カルバジン(参照により組み込まれるCoreyの米国特許第4,810,636号(1989年))、またはフェナレノンもしくはベンズフェナレノン(参照により組み込まれるBabbらの米国特許第4,812,409号(1989年))であってもよい。
他の実施形態では、実質的に非蛍光性の色素である消光部分には、特にアゾ色素(DABCYL色素またはDABSYL色素およびそれらの構造的類似体など)、トリアリールメタン色素、例えば、マラカイトグリーンもしくはフェノールレッド、4’,5z−ジエーテル置換フルオレセイン(米国特許第4,318,846号(1982年))、または非対称シアニン色素消光剤(PCT国際出願第WO99 37,717号(1999年))が含まれる。
消光部分がキサンテンである実施形態では、合成色素は必要に応じてフルオレセイン、ロドール(参照により組み込まれるHauglandらへの米国特許第5,227,487号(1993年))、またはローダミンである。本明細書で使用するフルオレセインには、ベンゾ−もしくはジベンゾフルオレセイン類、セミナフトフルオレセイン類、またはナフトフルオレセイン類が含まれる。同様に、本明細書で使用するロドールには、セミナフトロダフルオル類(参照により組み込まれるHauglandらへの米国特許第4,945,171号(1990年))が含まれる。キサンテン類には、キサンテン色素のフッ素化誘導体(参照により組み込まれる国際公開第WO97/39064号、Molecular Probes,Inc.(1997年))、およびキサンテン色素のスルホン化誘導体(参照により組み込まれる国際公開第WO99/15517号、Molecular Probes,Inc.(1999年))が含まれる。本明細書で使用するオキサジン類には、レゾルフム類(resorufms)、アミノオキサジノン類、ジアミノオキサジン類、およびそれらのベンゾ置換類似体が含まれる。
さらなる実施形態では、消光部分は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,399,392号に記載されている、1つまたは複数のアミノ窒素原子が芳香族環系または複素芳香族環系によって置換された3−アミノキサンテンおよび/または6−アミノキサンテンの実質的に非蛍光性の誘導体である。これらの消光色素は典型的には530nmを超える吸収極大を有し、観察できる蛍光をほとんどまたは全く有さず、化学発光体、リン光体(phosphor)、または蛍光体から放出されるような広範囲にわたる発光(luminescent emission)を効率的に消光する。一実施形態では、消光色素は置換ローダミンである。別の実施形態では、消光化合物は置換ロドールである。
さらに他の実施形態では、消光部分は、参照により本明細書に組み込まれる以下の特許、第7,019,129号、第7,109,312号、第7,582,432号、第8,410,025号、第8,440,399号、第8,633,307号、第8,946,404号、第9,018,369号、または第9,139,610号に記載されている、Black Hole Quenchers(商標)化合物(BHQ)として公知の、1つまたは複数の非蛍光消光剤を含んでもよい。
さらなる消光部分は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,699,975号、第6,790,945号、および第8,114,979号に開示されている。
光学シグナルの検出
一部の実施形態では、ポリマー分析物上の標識またはナノポア上のドナーを直接照射するために、励起ビームの送達と光学シグナルの収集が単一の対物レンズを通して起こる落射照明システムが使用され得る。本発明とともに使用する共焦点落射照明システムの基本的な構成要素を図4に示す。励起ビーム(402)はダイクロイックミラー(404)に向けられて対物レンズ(406)上に達し(412)、対物レンズ(406)は励起ビーム(402)を層状膜(400)上に焦点を合わせ(410)、層状膜中で標識は、直接励起されて蛍光シグナルなどの光学シグナルを放出するか、またはFRET相互作用を介して間接的に励起されて光学シグナルを放出する。そのような光学シグナルは対物レンズ(406)によって収集され、光学シグナル(411)の光は透過するが励起ビーム(402)の光は反射するように選択されたダイクロイックミラー(404)に向けられる。光学シグナル(411)はレンズ(414)を通過し、このレンズは、光学シグナルをピンホール(416)に通して検出器(418)に焦点を合わせる。光学シグナル(411)が複数の蛍光標識からの蛍光シグナルを含む場合、さらなる光学的構成要素、フィルター、ビームスプリッター、モノクロメーターなどが、異なる蛍光標識からの異なる蛍光シグナルをさらに分離するために提供され得る。
一部の実施形態では、ヌクレオチド上の標識は、参照により本明細書に組み込まれるSoniら、Review of Scientific Instruments、81巻:014301頁(2010年)、および米国特許出願公開第2012/0135410号において記載されている、図5で示すものに類似の装置を使用して、エバネッセント場によって励起され得る。この装置では、ナノポアまたはナノポアアレイのトランス側の非常に狭い第2のチャンバーによって、エバネッセント場が、ナノポアの入口および出口の両方で検出ゾーンを確立するための下層のガラススライドの表面から延在することが可能になり、それにより、ナノポアに関連するそれぞれの光学的測定値が、複数の標識されたヌクレオチドからの寄与を含有する。アパーチャーのアレイ(500)(これは、脂質二重層内に挿入されたタンパク質ナノポアを含み得る)は、20〜100nmの範囲の厚みを有し得る窒化ケイ素層(502)内に形成され得る。窒化ケイ素層(502)は、ケイ素支持層(503)に接して形成され得る。第2のチャンバー(506)は、窒化ケイ素層(502)、第2のチャンバー(506)の高さを決定する二酸化ケイ素層(504)、およびガラススライド(510)の表面(508)から形成され得る。二酸化ケイ素層(504)は、50〜100nmの範囲の厚みを有し得る。窒化ケイ素層(502)を通って表面(508)から延在する所望のエバネッセント場(507)は、ガラススライド(510)に対して適切な角度で光ビーム(512)を向けてTIRを生じさせることによって、確立され得る。標識されたポリヌクレオチド分析物をアレイ(500)に通すために、シス(−)状態が第1のチャンバー(516)内で確立され得、およびトランス(+)状態が第2のチャンバー(506)内で確立され得、電極が操作可能に第1および第2のチャンバー(506および521)に接続される。
混合光学シグナルでの配列の決定
一部の実施形態では、一連の光学シグナルは、各光学測定値が、異なる隣接したヌクレオチドからの複数の成分シグナルを含む、分解能限界区域から測定され得る(ポリヌクレオチド中でのその順序は単一の測定からは決定できず、それは、例えば、成分シグナルが回折限界区域内から生じるためである)。これらの状況下では、ポリヌクレオチドの光学に基づくナノポア分析は、(i)2つ以上の標識されたヌクレオチドの配列からの重複する寄与を含む時系列の光学測定値を得、それにより、単一の測定からヌクレオチドの順序を決定することを不可能ではないにしても困難にし、および(ii)区別できるシグナルを発生するヌクレオチドの光学標識を選択することによって、光学測定値を、異なる種類のヌクレオチド上の異なる標識からの寄与に分離することができ、それによって、重複する測定値を配列情報に変換することを可能にする。
一態様では、本発明の方法は、下記のステップ:(a)ナノポアを通ってポリヌクレオチドを移動させるステップであって、ポリヌクレオチドの異なる種類のヌクレオチドが、区別できる光学シグナルを発生する異なる光学標識で標識され、ナノポアがヌクレオチドを拘束して、複数のヌクレオチドを包含する検出ゾーンを一列で通過させ、検出ゾーンが、ポリヌクレオチドに結合した消光剤が存在しないことを特徴とするステップ;(b)ポリヌクレオチドが検出ゾーンを通過すると、ヌクレオチドからの時系列の光学シグナルを検出するステップ;(c)異なる種類のヌクレオチドからの光学シグナルを分離するステップ;および(d)ポリヌクレオチドからの時系列の分離された光学シグナルからヌクレオチドの配列を決定するステップによって行うことができる。
本発明によると、標識されたポリヌクレオチドがナノポアおよびその付随する検出ゾーンを通って移動するとき、時間順の光学測定値の組が記録される。隣接する時点の光学測定値は、各光学測定値が隣接するヌクレオチドの標識からの寄与を含有するという意味で、重複している。したがって、例えば、3つのヌクレオチドが各時点でシグナルを発生するならば(例えば、検出ゾーンを左から右に通過するポリヌクレオチド・・・−A−(B−C−D)−・・・のB、C、およびD)、また、連続する測定の間で、1つのヌクレオチドが検出ゾーンを出て別のヌクレオチドが検出ゾーン(括弧で示される)に入るならば(例えば、Aが入りDが出る:−(A−B−C)−D・・・)、2つの連続する光学測定値は、同一のヌクレオチドからの寄与を含有する(この例において、両測定値は、BおよびCからの寄与を含む)。上記の例は、ナノポアを通るポリヌクレオチドの移動の非常に簡略化したモデルに基づくものであるが、連続する重複する光学測定の概念は、ポリヌクレオチド移動のさらに複雑な説明に適用可能である。
ナノポアでの複数の異なる標識されたヌクレオチドからの発光は、同一の分解能限界区域に由来するため、ヌクレオチドについての相対的位置情報(特に、配列情報)は、単一の光学測定からは決定することができない。しかし、重複、およびヌクレオチド特異的なシグナルを発生する標識の使用が理由で、一部の実施形態では、配列情報は、時間順の光学シグナル測定値の組が複数の時間順のヌクレオチド特異的なシグナルの組に分けられる場合、時間順の光学シグナル測定値の組から決定され得る。標的ポリヌクレオチド配列をハイブリダイゼーションデータから再構築するためのシーケンシング・バイ・ハイブリダイゼーション(SBH)において使用されるものに類似のアルゴリズムを使用して、ここで標的ポリヌクレオチドを再構築することができる。例えば、参照により組み込まれる、米国特許第5,002,867号、Timpら、Biophys. J.、102巻:L37〜L39頁(2012年)など。(i)時間順の重複するシグナルとシグナル、ならびに(ii)ヌクレオチド特異的成分へのそれらの分離、という制約によって、光学検出のケースでの決定ステップが大きく単純化する。
図6は、ナノポア移動の単純モデルに基づく時間順の重複する光学シグナルの組からヌクレオチド配列情報を決定するステップの一実施形態を示す。単純モデルは、各時間ステップ(ポリヌクレオチドがナノポアに入る時点およびナノポアから出る時点を除く)での光学測定値が、それぞれ、同数のヌクレオチド(図6では、測定がn個のヌクレオチドからの寄与を含有することを示すために「nタプル(n-tuple)」と呼ぶ)からのシグナル寄与を含有すると仮定する。さらに複雑なモデルによって、各測定における異なる数の寄与ヌクレオチド、移動速度の局所的変動、ヌクレオチドの直線状の動きにおける偏差などの現象が可能になり得ることが理解される。即ち、一部の実施形態では、異なる時間での光学測定値は、異なる数のヌクレオチドからの寄与を有し得る。一部の実施形態では、異なる数のヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドのセグメントに沿って順序付けられる。図6によって例示される決定ステップは、標識されたポリヌクレオチドがナノポアを通過していること、および光学シグナルからヌクレオチド特異的なシグナルへの分離を含む時間順の光学測定の組が行われていることを仮定する(600)。ポリヌクレオチドの流入および流出(entry and exit of a polynucleotide)は流入する際および流出する際には検出ゾーン内に異なる数のヌクレオチドが必ず存在するため、異なるように処理される。この実施形態では、これらの条件下での最初および最後の光学測定によって、最初および最後のヌクレオチドをそれらのヌクレオチド特異的なシグナルから直接決定することが可能になると仮定される。他の実施形態では、分析のための標識されたポリヌクレオチドの調製は、配列決定ステップを補助するための公知の一連の光学シグナルを発生させる目的で、そのような標識されたポリヌクレオチドの一方または両方の末端に複数の所定の標識されたヌクレオチドの挿入を含み得る。そのような所定の標識されたヌクレオチドは、Ion Torrentまたは454配列決定における鍵となる配列に類似する。例えば、参照により組み込まれる米国特許第7,575,865号。
図6に戻ると、決定ステップの開始時点で、時間インデックスiはゼロに設定され、現時点iでの候補配列についてのインデックスjは1に設定され(602)、ヌクレオチド特異的な時間順の光学シグナルの組の最初のnタプルが試験される(604)。そのような試験は、時点iでの測定値から、測定値と一致する全ての考えられるヌクレオチドのnタプルをまず決定し、次いで、これらのnタプルから、どのnタプルが候補配列Siに正確に重複するかを決定することを含む。測定値と一致する組についてのそれぞれの正確に重複するnタプルによって、新たな候補配列Si+1が形成される(そして、配列Siが伸長する)(606)。新たな伸長した候補配列Si+1は保存され、時点i+1での候補配列の数を与えるインデックスJi+1がアップデートされる(608)。このステップは、全ての候補配列Siが試験されるまで反復され(610)、時間順の組の中の各光学測定値が試験されるまで、類似の試験が各時点iで行われる。
ナノポアおよびナノポアアレイ
本発明とともに使用するナノポアは、固体状態のナノポア、タンパク質ナノポア、または、タンパク質ナノポアもしくは有機ナノチューブ、例えば固体状態の膜もしくは同様のフレームワーク中に配置されたカーボンナノチューブもしくはグラフェンナノチューブを含む、ハイブリッドナノポアであってもよい。ナノポアの重要な特徴には、標識されたポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチド分析物を拘束し、それによりそのモノマーがシグナル発生領域(または同様に、励起ゾーン、検出ゾーンなど)を順に通過することが含まれる。即ち、ナノポアは、ポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチド分析物の動きを拘束し、それにより、ヌクレオチドが検出ゾーン(または励起領域)を一列で通過する。一部の実施形態では、ナノポアの追加的な機能には、(i)二本鎖核酸もしくは同等に嵩高な分子を通過させずに一本鎖核酸を通過させること、および/または(ii)ヌクレオチド上の蛍光標識を拘束し、それにより、蛍光シグナル発生が抑制される、もしくは収集されないように方向付けられることが含まれる。
一部の実施形態では、本発明の方法およびデバイスと併せて使用されるナノポアは、平面上に規則的に配置され得るナノポアのクラスターのアレイのような、アレイの形態で提供される。一部の実施形態では、異なるクラスターのナノポアからの光学シグナルが、用いられる光学検出システムによって区別可能であるように、クラスターはそれぞれ個別の分解能限界区域内にあるが、同じクラスター内のナノポアからの光学シグナルは、用いられる光学検出システムによって、そのようなクラスター内の特定のナノポアに必ずしも割り当てることができる必要はない。
固体状態のナノポアは、窒化ケイ素(Si3N4)および二酸化ケイ素(SiO2)などを含むがこれらに限定されない様々な材料において製作されてもよい。DNA配列決定などの分析の適用例に関するナノポアの製作および動作は、参照により組み込まれる以下の例示的な参考文献に開示されている:Ling,米国特許第7,678,562号;Hu et al,米国特許第7,397,232号;Golovchenko et al,米国特許第6,464,842号;Chu et al,米国特許第5,798,042号;Sauer et al,米国特許第7,001,792号;Su et al,米国特許第7,744,816号;Church et al,米国特許第5,795,782号;Bayley et al,米国特許第6,426,231号;Akeson et al,米国特許第7,189,503号;Bayley et al,米国特許第6,916,665号;Akeson et al,米国特許第6,267,872号;Meller et al,米国特許公開第2009/0029477号;Howorka et al,国際特許公開WO2009/007743;Brown et al,国際特許公開WO2011/067559;Meller et al,国際特許公開WO2009/020682;Polonsky et al,国際特許公開WO2008/092760;Van der Zaag et al,国際特許公開WO2010/007537;Yan et al,Nano Letters,5(6):1129−1134(2005);Iqbal et al,Nature Nanotechnology,2:243−248(2007);Wanunu et al,Nano Letters,7(6):1580−1585(2007);Dekker, Nature Nanotechnology,2:209−215(2007);Storm et al,Nature Materials,2:537−540(2003);Wu et al,Electrophoresis,29(13):2754−2759(2008);Nakane et al,Electrophoresis,23:2592−2601(2002);Zhe et al,J.Micromech.Microeng.,17:304−313(2007);Henriquez et al,The Analyst,129:478−482(2004);Jagtiani et al,J.Micromech.Microeng.,16:1530−1539(2006);Nakane et al,J.Phys.Condens.Matter,15 R1365−R1393(2003);DeBlois et al,Rev.Sci.Instruments,41(7):909−916(1970);Clarke et al,Nature Nanotechnology,4(4):265−270(2009);Bayley et al,米国特許公開第2003/0215881号;など。
一部の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の光遮蔽層、即ち1つまたは複数の不透明層を有するナノポアアレイを含む。典型的には、ナノポアアレイはケイ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの材料の薄いシートとして製造され、これらは特に使用される厚み、例えば50〜100nm未満で容易に光を透過する。分析物の電気的検出にはこれは問題ではない。しかし、ナノポアを通過する標識された分子の光学に基づく検出においては、アレイを通して透過される光は意図された反応部位の外側の材料を常に励起し、それにより、例えば非特異的バックグラウンド蛍光、ナノポアにまだ入っていない分子の標識からの蛍光などの光学的ノイズを発生させる。一態様では、本発明は、励起ビームからの光を反射および/または吸収する1つまたは複数の光遮蔽層を有するナノポアアレイを提供し、それによりアレイのナノポアに付随する意図された反応部位において発生する光学シグナルへのバックグラウンドノイズを低減することによって、この問題に対処する。一部の実施形態では、意図された反応部位における光学標識が直接照明によって励起されることがこれによって可能になる。一部の実施形態では、不透明層は金属層であってもよい。そのような金属層はSn、Al、V、Ti、Ni、Mo、Ta、W、Au、AgまたはCuを含んでよい。一部の実施形態では、そのような金属層はAl、Au、AgまたはCuを含んでよい。さらに他の実施形態では、そのような金属層はアルミニウムもしくは金を含んでよく、またはアルミニウムのみを含んでもよい。不透明層の厚みは広く変化してもよく、層を構成する材料の物理的および化学的特性による。一部の実施形態では、不透明層の厚みは少なくとも5nm、または少なくとも10nm、または少なくとも40nmであってもよい。他の実施形態では、不透明層の厚みは5〜100nmの範囲であってもよく、他の実施形態では、不透明層の厚みは10〜80nmの範囲であってもよい。不透明層は励起ビームからの光を100パーセント遮蔽する(即ち反射しまたは吸収する)必要はない。一部の実施形態では、不透明層は励起ビームからの入射光を少なくとも10パーセント遮蔽してもよく、他の実施形態では、不透明層は励起ビームからの入射光を少なくとも50パーセント遮蔽してもよい。
不透明層またはコーティングは、当該技術分野で公知の種々の手法によって固体状態の膜上に製作することができる。化学蒸着法、電着、エピタキシー、熱酸化、蒸発およびスパッタリングなどの物理蒸着法、キャスティングなどの材料堆積手法を使用することができる。一部の実施形態では、原子層堆積を使用することができる。例えば参照により組み込まれる米国特許第6,464,842号;Weiら、Small、6巻(13号)、1406〜1414頁(2010年)。
一部の実施形態では、1〜100nmのチャネルまたはアパーチャーが固体基材、通常は平面基材、例えば、膜を通って形成されてよく、一本鎖DNAなどの分析物がそこを通って移動するように誘発される。別の実施形態では、2〜50nmのチャネルまたはアパーチャーが基材を通って形成され、さらに別の実施形態では、2〜30nm、または2〜20nm、または3〜30nm、または3〜20nm、または3〜10nmのチャネルまたはアパーチャーが基材を通って形成される。ナノポアを生成する固体状態の手法は、堅牢で耐久性を提供すると同時にナノポアのサイズおよび形状を調整する能力、ウェハー規模でナノポアの高密度アレイを製作する能力、脂質ベースの系に比べて優れた機械的、化学的および熱的特性、ならびに電子または光学的読出し技法と一体化する可能性を提供する。一方、生物学的ナノポアは、再現性のある狭いボアまたは管腔、特に1〜10ナノメートルの範囲にあるもの、ならびに従来のタンパク質を設計製作する方法によって、ナノポアの物理的および/または化学的性質を調整するための、かつFRETドナーまたはアクセプターであってもよい蛍光標識などの基または要素を直接または間接的に結合させるための技法を提供する。タンパク質ナノポアは、典型的には、機械的支持体に関する繊細な脂質二重層に依拠し、精密な寸法を持つ固体状態のナノポアの製作は、依然として難しいままである。一部の実施形態では、固体状態のナノポアは、生物学的ナノポアと組合されていわゆる「ハイブリッド」ナノポアを形成し、これは、これらの欠点のいくつかを克服し、そうすることで固体状態のナノポアの安定性に生物学的ポアタンパク質の精密さを提供する。光学的読出し技法では、ハイブリッドナノポアが、ナノポアの精密な場所を提供し、このことがデータ獲得を大幅に単純化する。
一部の実施形態では、クラスターは、アパーチャーのアレイを含有する固相膜によって支持された脂質二重層内に、タンパク質ナノポアを配置することによって形成されてもよい。例えば、そのようなアレイは、固相支持体に製作された(例えば、穴を開けられ、またはエッチングされるなど)アパーチャーを含んでいてもよい。そのようなアパーチャーの幾何形状は、用いられる製作技法に応じて変わってもよい。一部の実施形態では、そのようなアパーチャーのそれぞれは、個別の分解能限界区域に関連付けられ、または包含され;しかし他の実施形態では、多数のアパーチャーが同じ分解能限界区域内にあってもよい。アパーチャーの断面積は、広く様々であってもよく、異なるクラスター間と同じでもそうでなくてもよいが、そのような面積は通常、従来の製作手法の結果と実質的に同じである。一部の実施形態では、アパーチャーは、10から200nmの範囲の最小線寸法(例えば、円形アパーチャーの場合には直径)を有し、または約100から3×104nm2の範囲の面積を有する。アパーチャーを横切って、脂質二重層が配置されてもよい。アパーチャー当たりのタンパク質ナノポアの分布は、例えば挿入ステップ中にタンパク質ナノポアの濃度を制御することによって、様々にしてもよい。そのような実施形態では、ナノポアのクラスターは、ランダムな数のナノポアを含んでいてもよい。タンパク質ナノポアがアパーチャーにランダムに挿入される一部の実施形態では、平均して1つまたは複数のアパーチャーを含有するクラスターは、ゼロよりも大きい所定の数のタンパク質ナノポアを有し;他の実施形態では、そのようなクラスターは、0.25よりも大きい所定の数のタンパク質ナノポアを有し;他の実施形態では、そのようなクラスターは、0.5よりも大きい所定の数のタンパク質ナノポアを有し;他の実施形態では、そのようなクラスターは、0.75よりも大きい所定の数のタンパク質ナノポアを有し;他の実施形態では、そのようなクラスターは、1.0よりも大きい所定の数のタンパク質ナノポアを有する。
一部の実施形態では、本発明の方法およびデバイスは、SiN膜などの固相膜を含み、それを通るアパーチャーのアレイを有して、第1のチャンバーと第2のチャンバー(場合によっては、「シスチャンバー」および「トランスチャンバー」とも呼ぶ)との間に連通を設け、第2のまたはトランスチャンバーに面する表面に脂質二重層を支持する。一部の実施形態では、そのような固相膜内のアパーチャーの直径は、10から200nmの範囲または20から100nmの範囲にあってもよい。一部の実施形態では、そのような固相膜は、そのような二重層がトランスチャンバーに面する表面のアパーチャーに跨る領域で、脂質二重層に挿入されたタンパク質ナノポアをさらに含む。一部の実施形態では、そのようなタンパク質ナノポアは、本明細書に記述される技法を使用して、固相膜のシス側から挿入される。一部の実施形態では、そのようなタンパク質ナノポアは、軸に沿ってバレルまたはボアを含み、かつ一端に「キャップ」構造を有し他端に「ステム」構造をするという点で(Songら、Science、274巻:1859〜1866頁(1996年)からの専門用語を使用する)、α−溶血素と同一のまたは類似の構造を有する。そのようなタンパク質ナノポアを使用する一部の実施形態では、脂質二重層への挿入は、そのキャップ構造がシスチャンバーに向けて露出し、かつそのステム構造がトランスチャンバーに向けて露出するように配向するタンパク質ナノポアをもたらす。
一部の実施形態では、本発明は、特にポリヌクレオチドの光学ベースのナノポア配列決定をするために、クラスターにおいてハイブリッドナノポアを用いてもよい。そのようなナノポアは、固体状態のオリフィスまたはアパーチャーを含み、その中に、タンパク質ナノポアなどのタンパク質バイオセンサーを安定して挿入する。帯電したポリヌクレオチドは、従来のタンパク質工学技術によってタンパク質ナノポア(例えば、アルファ溶血素)に結合させてもよく、その後、印加電場が、タンパク質ナノポアを固体状態の膜のアパーチャー内に案内するのに使用されてもよい。一部の実施形態では、固体状態の基材におけるアパーチャーは、タンパク質よりも僅かに小さくなるように選択され、これによってタンパク質がアパーチャーを移動するのを妨げる。代わりに、タンパク質は、固体状態のオリフィスに埋め込まれることになる。
固体状態または合成によるナノポアは、上記引用した参考文献に例示されるような様々な方法で調製され得る。一部の実施形態では、例えば参照により本明細書に組み込まれるYangら、Nanotechnolgy、22巻:285310頁(2011年)に開示されるように、ヘリウムイオン顕微鏡を使用して様々な材料に合成ナノポアを開けてもよい。自立型膜に加工された薄膜材料、例えば窒化ケイ素の1つまたは複数の領域を支持するチップを、ヘリウムイオン顕微鏡(HIM)チャンバーに導入する。顕微鏡を低倍率に設定しながら、HIMモーター制御を使用して自立型膜をイオンビームの経路に導く。焦点および非点補正を含むビームパラメーターを、自立型膜に隣接するが固体基材上にある領域で調節する。パラメーターを適正に固定したら、自立型膜領域がイオンビームスキャン領域の中心になるようにかつビームがブランクされるように、チップ位置を移動させる。HIMの視野を、予想されるナノポアパターン全体を含有するのに十分な、かつ将来の光学読出しに役立てるのに十分な(即ち、光学倍率、カメラ解像度などに依存する)寸法(単位μm)に設定する。次いでイオンビームを、画素ドウェル時間で全視野を通して1回ラスター処理し、その結果、膜自動蛍光の全てまたはほとんどを除去するのに十分な全イオン線量が得られる。次いで視野を、適正な値(上記にて使用された場合よりも小さい)に設定して、単一ナノポアまたはナノポアのアレイのいずれかの、リソグラフィーにより画定されたミリングを行う。パターンの画素ドウェル時間は、試料加工前に較正試料の使用を通して決定された、1つまたは複数の所定の直径のナノポアをもたらすように設定する。この全プロセスを、単一チップ上でそれぞれ所望の領域で、および/またはHIMチャンバーに導入された各チップごとに、繰り返す。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド(一本鎖ポリヌクレオチドなど)を分析するための上記の方法を実施するためのデバイスは、典型的には、層状膜とナノポアとを横断する電場を確立するための一組の電極を含む。一本鎖核酸は、チャンバー内に陰極を配置することによって層状膜の「シス」側として配置された第1のチャンバー内の電解質の中に配置することによってナノポアに曝される。電場を印加すると、陰荷電を有する一本鎖核酸はナノポアに捕捉され、第2のチャンバー内に陽極を配置することによって膜の「トランス」側として配置された層状膜の反対側の第2のチャンバーに移動する。移動速度は、第1および第2のチャンバー内の電解質のイオン強度ならびにナノポアを横断して印加された電圧に部分的に依存する。光学に基づく検出においては、移動速度は、異なる電圧に対してナノポア当たりの予想される異なる速度でシグナルを発生する標識された一本鎖核酸の所定の標準を例えば使用する、予備的較正測定によって選択され得る。したがって、DNA配列決定用途では、移動速度は、そのような較正測定からのシグナル速度に基づいて選択され得る。したがって、そのような測定から、例えばナノポアのアレイにわたって信頼できるヌクレオチドの同定が可能になるか最大化される電圧が選択され得る。一部の実施形態では、そのような較正は(所定の標準配列の代わりに、またはそれに加えて)、分析されるテンプレートの試料からの核酸を使用して行うことができる。一部の実施形態では、そのような較正は配列決定ランの間にリアルタイムで行ってもよく、印加する電圧は、例えばヌクレオチド特異的シグナルの取得を最大化するために、そのような測定に基づいてリアルタイムで改変してもよい。
ナノポアを通るポリヌクレオチドの移動速度の制御は、配列情報を得ることができるデータの収集を可能にするために必要である。移動速度は、ナノポアを横断する電圧差(または電場強度)、および、核酸ポリヌクレオチドが(例えば第1のチャンバーの1つの壁を構成する固相膜の中に配置された)ナノポアに曝される第1のチャンバーの反応混合物における条件に、部分的に依存する。ナノポアによる核酸ポリヌクレオチドの捕捉速度は、そのようなポリヌクレオチドの濃度に依存する。一部の実施形態では、ナノポア配列決定のための従来の反応混合物の条件、例えば1M KCl(またはNaCl、LiClなどの等価の塩)およびpH緩衝システム(これは例えば、使用するタンパク質、例えばタンパク質ナノポア、ヌクレアーゼなどが変性しないことを保証する)が、本発明とともに用いられ得る。一部の実施形態では、pH緩衝システムは、pHを6.8から8.8の範囲の値に実質的に一定に保つために使用され得る。一部の実施形態では、ナノポアを横断する電圧差は70から200mVの範囲であってもよい。他の実施形態では、ナノポアを横断する電圧差は80から150mVの範囲であってもよい。操作のための適切な電圧は、従来の測定手法を使用して選択され得る。ナノポアを横断する電流(または電圧)は、市販の機器を使用して容易に測定できる。電圧差は、移動速度が所望の範囲内になるように選択され得る。一部の実施形態では、移動速度の範囲は、1秒当たり1000ヌクレオチド未満の速度を含む。他の実施形態では、移動速度の範囲は、1秒当たり10から800ヌクレオチドであり、他の実施形態では、移動速度の範囲は、1秒当たり10から600ヌクレオチドであり、他の実施形態では、移動速度の範囲は、1秒当たり200から800ヌクレオチドであり、他の実施形態では、移動速度の範囲は、1秒当たり200から500ヌクレオチドである。
相互消光標識および自己消光標識を用いる実施形態
上述のように、一部の実施形態では、ナノポアを出るヌクレオチド上の標識からの発光以外の蛍光の放出を低減するために、消光剤に加えて自己消光および相互消光蛍光標識を使用することができる。そのような蛍光標識の使用は、参照により組み込まれる米国特許出願公開第2016/0122812号に開示されている。一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドに結合している間に少なくとも3つの状態であることが可能な蛍光標識で、モノマーを標識する:(i)実質的に消光した状態であって、結合した蛍光標識の蛍光が、すぐ隣りに隣接したモノマーの蛍光標識消光した状態;例えば、本発明によるポリヌクレオチドに結合した蛍光標識は、標識されたポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドを研究し、操作するための従来の水溶液中で遊離しているとき、実質的に消光している。(ii)立体的に拘束された状態であって、自由溶液の運動または結合した蛍光標識のアライメントが破壊されまたは限定されて、蛍光標識から発生する検出可能な蛍光シグナルがほとんどまたは全くなくなるように、標識されたポリヌクレオチドが、ナノポアを移動している状態。(iii)遷移状態であって、ポリヌクレオチドがナノポアを移動しながら、蛍光標識がナノポアから出て行くときに(「遷移インターバル」中)、ポリヌクレオチドに結合した蛍光標識が、立体的に拘束された状態から消光状態に遷移する状態。
一部では、この例は、遷移インターバル中に、通常は蛍光標識(そうでなければ実質的に完全に標識され自己消光するポリヌクレオチド上の)が検出可能な蛍光シグナルを発生することが可能であるという発見の適用である。この発見を裏付けるいかなる理論にも限定するものではないが、遷移インターバルの間に発生した蛍光シグナルは、自由に回転可能な双極子起因すると考えられる。この発見を裏付けるいかなる理論にも限定するものではないが、遷移インターバルの間に発生した蛍光シグナルは、ナノポアから出現する、蛍光標識中の自由に回転可能な双極子の存在に起因すると考えられ、そのため蛍光標識は、例えば直接励起後に、またはFRETを介する励起を介して蛍光シグナルを発生させることが一時的に可能になる。立体的拘束された状態ならびに消光状態では、共に、双極子はその回転自由度が限定され、それによって、放出される光子の数が低減しまたは限定される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドがポリヌクレオチドであり、通常は一本鎖ポリヌクレオチド、例えばDNAまたはRNAであるが、特に一本鎖DNAである。一部の実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドがナノポアを通って移動するときに、結合した蛍光標識が1つずつナノポアから出て行くとき、その蛍光標識により発生したシグナルを記録することによって、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するための方法を含む。出る際に、結合した蛍光標識のそれぞれは、ナノポアにおける拘束状態から、自由溶液中のポリヌクレオチドでの消光状態へと、遷移インターバルの間に遷移する。言い換えれば、一部の実施形態では、本発明の方法のステップは、ナノポア中の拘束状態から自由溶液中のポリヌクレオチド上での消光状態へと遷移するときに、各蛍光標識を励起することを含む。上述のように、この遷移インターバルまたは期間の間に、蛍光標識は、それが結合するヌクレオチドを示す、検出可能な蛍光シグナルを放出することが可能である。
一部の実施形態では、本発明は、ポリヌクレオチドがナノポアを通って移動する間に、モノマーに結合した蛍光標識を強制的に拘束状態にして、蛍光標識が検出可能な蛍光シグナルを生成することができなくなる(または実質的にできなくなる)ように、蛍光標識およびナノポアを選択することができる、という発見の適用を含む。一部の実施形態では、ナノポアは、直径が1から4nmの範囲にあるボアまたは管腔を有するように選択され;他の実施形態では、ナノポアは、直径が2から3nmの範囲にあるボアまたは管腔を有するものが選択される。一部の実施形態では、そのようなボアの直径は、タンパク質ナノポアによって提供される。一部の実施形態では、そのようなナノポアは、本発明に従って、蛍光標識を強制的に拘束状態にするために使用され、したがって蛍光標識がナノポアから出るときはいつでも、蛍光シグナルを実質的に発生させることができない状態から、放出を誘発させることができる蛍光シグナルによって検出可能で識別可能な状態へと遷移する。このように、ポリヌクレオチドのモノマーの配列のそれぞれに結合した蛍光標識は、ナノポアの出口のすぐ隣りに隣接する領域で(「遷移ゾーン」または「遷移容積」または「検出ゾーン」)蛍光シグナルを突然発生させるので、逐次検出することができる。一部の実施形態では、有機蛍光色素を、上記直径のナノポアとともに蛍光標識として使用する。一部の実施形態では、少なくとも1つのそのような有機蛍光色素は、キサンタン色素、ローダミン色素、およびシアニン色素からなる組から選択される。ポリヌクレオチドのモノマー配列を決定するための一部の実施形態は、下記のステップ:(a)ナノポアを通ってポリマーを移動させるステップであって、ポリヌクレオチドのモノマーが蛍光標識で標識され、検出可能なシグナルがその中で実質的に発生しないように、ナノポアがそのボア内の蛍光標識を拘束状態に拘束するステップと;(b)ナノポアから出る際、各モノマーの蛍光標識を励起するステップと;(c)検出ゾーンにおいて、出て行く蛍光標識によって発生した蛍光シグナルを測定して、蛍光標識が結合するモノマーを識別するステップと;(d)検出ゾーンの外で励起された蛍光標識からの蛍光シグナルを消光するステップと:(d)蛍光シグナルの配列からポリヌクレオチドのモノマー配列を決定するステップとで実施される。さらなる実施形態では、蛍光標識はFRET対のアクセプターであり、FRET対の1つまたは複数のドナーが、出口からFRET距離内のナノポアに結合する。
一部の実施形態では、上記使用される「実質的に消光した」は、蛍光標識が、同じ条件下であるが隣接した互いに消光する標識なくして発生したシグナルから、少なくとも30パーセント低減した蛍光シグナルを発生させることを意味する。一部の実施形態では、上記使用される「実質的に消光した」は、蛍光標識が、同じ条件下であるが隣接した互いに消光する標識なくして発生したシグナルから、少なくとも50パーセント低減した蛍光シグナルを発生させることを意味する。
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、4つの個別の反応を実施することによって決定され、これらの反応では、標的ポリヌクレオチドのコピーが、単一蛍光標識で標識された、その4つの異なる種類のヌクレオチド(A、C、G、およびT)のそれぞれを有する。そのような実施形態の変形例では、標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、4つの個別の反応を実施することによって決定され、これらの反応では、標的ポリヌクレオチドのコピーが、1つの蛍光標識で標識されたその4つの異なる種類のヌクレオチド(A、C、G、およびT)のそれぞれを有し、それと同時に、同じ標的ポリヌクレオチドのその他のヌクレオチドは第2の蛍光標識で標識される。例えば、第1の蛍光標識が、第1の反応で標的ポリヌクレオチドのAに結合する場合、第2の蛍光標識は、第1の反応において標的ポリヌクレオチドのC、G、およびT(即ち、「非A」ヌクレオチド)に結合する。同様に、この例の続きとして、第2の反応では、第1の標識は、標的ポリヌクレオチドのCに結合し、第2の蛍光標識は、標的ポリヌクレオチドのA、G、およびT(即ち、「非C」ヌクレオチド)に結合する。以下、ヌクレオチドGおよびTについても同様である。
同じ標識スキームは、ヌクレオチド型のサブセットに関する従来の専門用語の観点から表すことができ;したがって上記例において、第1の反応では、第1の蛍光標識がAに結合し、第2の蛍光標識がBに結合し;第2の反応では、第1の蛍光標識がCに結合し、第2の蛍光標識がDに結合し;第3の反応では、第1の蛍光標識がGに結合し、第2の蛍光標識がHに結合し;第4の反応では、第1の蛍光標識がTに結合し、第2の蛍光標識がVに結合する。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドまたはペプチドなどのポリマーを、単一の種類のモノマーに結合させた単一蛍光標識で標識し、例えば、ポリヌクレオチドの全てのT(または実質的に全てのT)が、蛍光標識、例えばシアニン色素で標識される。そのような実施形態では、ポリヌクレオチドからの蛍光シグナルの収集または配列が、特定のポリヌクレオチドに関するシグネチャーまたはフィンガープリントを形成し得る。一部のそのような実施形態では、そのようなフィンガープリントは、決定されるべきモノマーの配列に関する十分な情報を提供してもしなくてもよい。
一部の実施形態では、本発明の特徴は、互いに消光する組のメンバーである蛍光色素または標識による、ポリヌクレオチド分析物の実質的に全てのモノマーの標識付けである。ポリヌクレオチド分析物の標識付けに関連する「実質的に全ての」という用語の使用は、化学的および酵素標識技法が典型的には100パーセント未満で効率的であることを認めることである。一部の実施形態では、「実質的に全ての」は、全てのモノマーの少なくとも80パーセントに蛍光標識が結合していることを意味する。他の実施形態では、「実質的に全ての」は、全てのモノマーの少なくとも90パーセントに蛍光標識が結合していることを意味する。他の実施形態では、「実質的に全ての」は、全てのモノマーの少なくとも95パーセントに蛍光標識が結合していることを意味する。相互に消光する組の蛍光色素には、以下の性質がある:(i)各メンバーは、全てのメンバーの蛍光を消光し(例えば、FRETによってまたは静止もしくは接触機構によって)、(ii)各メンバーは、励起したとき、および非消光状態にあるときに、明確な蛍光シグナルを発生する。即ち、互いに消光する組が2種の色素、D1およびD2からなる場合、(i)D1は自己消光し(例えば、別のD1分子と接触消光することによって)、またD2によって消光し(例えば、接触消光によって)、(ii)D2は自己消光し(例えば、別のD2分子との接触消光によって)、またD1によって消光する(例えば、接触消光によって)。互いに消光する組に関して蛍光色素または標識を選択するための指針は、参照により本明細書に組み込まれる以下の参考文献に見出すことができる:Johansson、Methods in Molecular Biology、335巻:17〜29頁(2006年);およびMarrasら、Nucleic Acids Research、30巻:e122(2002年)など。一部の実施形態では、互いに消光する組のメンバーは、芳香環構造などの、相互作用を積み重ねることが可能な成分または部分である有機蛍光色素を含む。例示的な互いに消光する組の蛍光色素または標識は、ローダミン色素、フルオレセイン色素、およびシアニン色素から選択され得る。一実施形態では、互いに消光する組は、ローダミン色素、TAMRA、およびフルオレセイン色素、FAMを含んでいてもよい。別の実施形態では、互いに消光する組の蛍光色素は、Oregon Green 488、Fluorescein−EX、フルオレセインイソチオシアネート、Rhodamine Red−X、LissamineローダミンB、Calcein、Fluorescein、Rhodamine、1つまたは複数のBODIPY色素、Texas Red、Oregon Green 514、および1つまたは複数のAlexa Fluorからなる群から2種またはそれ超の色素を選択することによって形成されてもよい。代表的なBODIPY色素には、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY 581/591、BODIPY TR、BODIPY 630/650、およびBODIPY 650/665が含まれる。代表的なAlexa Fluorには、Alexa Fluor 350、405、430、488、500、514、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750、および790が含まれる。
上述のように、一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドのモノマー配列は、標的ポリヌクレオチドのコピーが互いに、または自己消光する蛍光標識で標識された異なる種類のモノマーをそれぞれ有する、個別の反応を実施することによって決定される(それぞれの種類のモノマーごとに1つ)。他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドのモノマー配列は、標的ポリヌクレオチドのコピーが、同じ互いに消光する組から選択される、異なる互いに消光する蛍光標識で標識された異なる種類のモノマーのそれぞれを有する、個別の反応を実施することによって決定される(それぞれの種類のモノマーごとに1つ)。互いに消光する組が2種の色素のみを含む実施形態では、選択されたモノマー(即ち、モノマーX)は、第1の相互消光色素で標識され、他の全ての種類のモノマー(即ち、非モノマーX)は、同じ組からの第2の互いに消光する色素で標識される。このように、実施形態のステップは、一連の2つの異なる蛍光シグナル、モノマーXを示すシグナルと、非モノマーXを示す別のシグナルを発生させる。
一部の実施形態では、単一蛍光標識(例えば、多数の種類のモノマーを含むポリヌクレオチド中の、単一の種類のモノマーに結合させた)は、ポリヌクレオチドの隣接するヌクレオチドなど、ポリヌクレオチド上の隣接するモノマー(同じ種類の)に結合させたときに自己消光するものが使用されてもよい。例示的な自己消光蛍光標識には、Oregon Green 488、フルオレセイン−EX、FITC、Rhodamine Red−X、LissamineローダミンB、カルセイン、フルオレセイン、ローダミン、BODIPYS、およびTexas Redであって、例えばMolecular Probes Handbook、11版(2010年)に開示されたものが含まれるが、これらに限定されない。
2つまたは3つの光学標識を利用する実施形態
一部の実施形態では、僅か2つの異なる種類のヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチドのセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方における選択された種類のヌクレオチドについての区別できる光学シグナルを発生させる異なる光学標識で標識される。例えば、各標的ポリヌクレオチドの相補鎖のCおよびTを、標識された類似体によって置き換えることができ、この場合、C類似体およびT類似体の標識は異なる光学シグナルを発生し得る。標識された鎖がナノポアを通って移動することによって、光学的シグネチャーが次いで発生し、ナノポアでは鎖のヌクレオチドが拘束されて光学検出領域を連続的に通過し、この検出領域で、その標識によって光学シグナルが発生する。一部の実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方からの光学的シグネチャーからの情報を組み合わせて、標的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が決定される。
一部の実施形態では、標的ポリヌクレオチドの選択された種類のヌクレオチドは、核酸ポリメラーゼを使用する伸長反応において、標識されたヌクレオチド類似体によって置き換えられる。標的ポリヌクレオチドの標識された鎖はナノポアを通って移動し、ナノポアでは鎖のヌクレオチドが拘束されて光学検出領域を一列で通過し、この検出領域で、ヌクレオチドは励起して光学シグナルを発生させる。個々の鎖についての光学シグナルの収集物を、本明細書では、鎖の光学的シグネチャーと呼ぶ。鎖およびその相補鎖(即ち、センス鎖およびアンチセンス鎖)が例えばヘアピンアダプターを介して連結している一部の実施形態では、単一の光学的シグネチャーには、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方のヌクレオチド上の光学標識からの光学シグナルが含まれ得る。他の実施形態では、標的ポリヌクレオチドの異なる鎖が、2つの異なる光学的シグネチャーを個別に発生させ得、このシグネチャーが、上記のような分析のために組み合わされ得るか、または共に使用され得る。そのような個別に分析された鎖は、光学的シグネチャーの発生後に、例えば分子タグ(これは、例えば、位置、長さ、および配列パターン、ならびに容易な会合を可能にするための多様性が知られている標的ポリヌクレオチドに結合したオリゴヌクレオチドセグメントであり得る)を使用して会合され得る。以下に記述するように、本発明の光学的シグネチャーは、参照により本明細書に組み込まれる、Huberら、米国特許出願公開第20160076091号によって記載されているように、各検出間隔で検出されたシグナルが、分解能限界区域または解像限界容積内での複数の光学標識の放出の寄与を含み得るという点で、即ち、それが(例えば)混合FRETシグナルであり得るという点で、混合光学シグナルを含み得る。
上記のように、一部の実施形態では、本発明の方法は、下記のステップ:(a)二本鎖ポリヌクレオチドの鎖をコピーして、異なる光学標識を有するヌクレオチド類似体を、少なくとも2種類のヌクレオチドについて置換して、標識された鎖を形成するステップと;(b)鎖の相補鎖をコピーして、前記ヌクレオチド類似体を、同一の少なくとも2種類のヌクレオチドについて置換して、標識された相補鎖を形成するステップと;(c)ナノポアを通って標識された鎖を移動させて、標識された鎖のヌクレオチドを検出ゾーンに一列で通過させ、検出ゾーンで光学標識が励起して光学シグナルを発生するステップと;(d)検出ゾーンの外側の励起された蛍光標識からの蛍光シグナルを消光するステップと;(e)標識された鎖がナノポアを通って移動すると光学標識からの時系列の光学シグナルを検出して、鎖の光学的シグネチャーをもたらすステップと;(f)ナノポアを通って標識された相補鎖を移動させて、標識された相補鎖のヌクレオチドを励起ゾーンに一列で通過させ、励起ゾーンで光学標識が励起して光学シグナルを発生するステップと;(g)検出ゾーンの外側の励起された蛍光標識からの蛍光シグナルを消光するステップと;(h)標識された相補鎖がナノポアを通って移動すると光学標識からの時系列の光学シグナルを検出して、相補鎖の光学的シグネチャーをもたらすステップと;(i)鎖の光学的シグネチャーおよび相補鎖の光学的シグネチャーから二本鎖ポリヌクレオチドの配列を決定するステップとで実施され得る。一部の実施形態では、2種類のヌクレオチドは標識されており、それは、CおよびT、CおよびG、CおよびA、TおよびG、TおよびA、またはGおよびAであり得る。一部の実施形態では、ピリミジンヌクレオチドが標識される。他の実施形態では、プリンヌクレオチドが標識される。一部の実施形態では、鎖の選択された種類のヌクレオチドが、核酸ポリメラーゼを使用するプライマー伸長反応において、選択された種類のヌクレオチドの標識された類似体dNTPを組み込むことによって標識される。他の実施形態では、鎖の選択された種類のヌクレオチドが、異なる種類のヌクレオチドへの異なる標識の結合をその後の反応で可能にする直行反応性の官能性で類似体dNTPが誘導体化される伸長反応において、選択された種類のヌクレオチドの類似体dNTPを組み込むことによって標識される。この後者の標識アプローチは、参照により本明細書に組み込まれるJettら、米国特許第5,405,747号において開示されている。
一部の実施形態では、3種類のヌクレオチドが標識され、これには、第1の光学標識でのCの標識、第2の光学標識でのTの標識、ならびに第3の光学標識でのGおよびAの標識が含まれ得る。他の実施形態では、以下のヌクレオチド群が、以下に示すように標識され得る:それぞれ第1の光学標識および第2の光学標識でのCおよびGの標識、ならびに第3の光学標識でのTおよびAの標識;それぞれ第1の光学標識および第2の光学標識でのCおよびAの標識、ならびに第3の光学標識でのTおよびGの標識;それぞれ第1の光学標識および第2の光学標識でのTおよびGの標識、ならびに、第3の光学標識でのCおよびAの標識;それぞれ第1の光学標識および第2の光学標識でのAおよびGの標識、ならびに、第3の光学標識でのTおよびCの標識。
一部の実施形態では、光学標識は、ナノポアに会合するドナーからのエネルギー移動後に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)シグナルを発生する、蛍光アクセプター分子である。一部の実施形態では、さらに以下に記載するように、ドナーは、例えば、量子ドット、ナノダイヤモンドなどの、光学的に活性なナノ粒子であり得る。アクセプター分子とドナーとの特定の組合せの選択は、当業者にとって設計上の選択である。一部の実施形態では、その一部を以下でより完全に記載するように、単一の量子ドットをナノポアに結合させ、この量子ドットが、その波長が通常はより短い波長に(即ち、より青方の波長に)十分に分離されておりそのためアクセプターによって発生するFRETシグナルに寄与しない励起ビームを使用することで励起して、蛍光を発する。同様に、FRET相互作用を容易にするために、その発光波長が両アクセプター分子の吸収帯に重複する量子ドットが選択される。一部の実施形態では、2つのドナーがナノポアの各励起ゾーンについて使用され得、ここで、それぞれの発光波長は、アクセプター分子の異なる一方の吸収帯に最適に重複するように選択される。
図7Aでは、二本鎖標的ポリヌクレオチド(700)(配列番号1)は、センス鎖(701)および相補的なアンチセンス鎖(702)からなり、それに対して、従来の方法、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Weissmanら、米国特許第6,287,825号;Schmittら、米国特許出願公開第2015/004468号の方法を使用して、「Y」アダプター(704)および(706)がライゲーションされる(703)。アダプター(それぞれ704および706)のアーム(708)および(710)は、プライマー(716)および(718)がアニーリングされる(705)プライマー結合部位を含む。二本鎖部分(712)および(714)はタグ配列を含み得、例えば、一方または両方が、例えば、鎖のそれぞれの光学的シグネチャーから配列情報を得るための、後の鎖の再会合に使用され得る所定の長さおよび組成のランダマーを含み得る。プライマー(716)および(718)をアニーリングした後、これらを、(例えば図説するように)標識されたdUTP類似体(標識は、組み込まれたヌクレオチドにおいて白丸で示される)および標識されたdCTP類似体(標識は、組み込まれたヌクレオチドにおいて黒丸で示される)、ならびに天然の標識されていないdGTPおよびdATPの存在下で、核酸ポリメラーゼによって伸長することができる(707)(標識されていないdTTPも標識されていないdCTPも存在せず、そのため、伸長した鎖では類似体は完全に置換されている)。GおよびA上での標識の不在は、組み込まれたヌクレオチドの上のダッシュで示される。ノイズを伴わない理想的な検出システムでは、白丸、黒丸、およびダッシュのこの配列が、示されるセンス鎖およびアンチセンス鎖がナノポアの励起ゾーンを通過するとそれらによって発生する光学的シグネチャーの良好な描写である。
図7Bでは、3つの標識を利用する代替的な実施形態での伸長産物(720)および(722)が示される。上記のように、組み込まれた標識されたdUTP類似体は白丸で示され、組み込まれた標識されたdCTP類似体は黒丸で示される。組み込まれた標識されたdATP類似体およびdGTP類似体は、黒いダイヤ形として示される。
標識するためのヌクレオチドの種類、それを塩基に結合させるための標識およびリンカーの種類、ならびにdNTP類似体の存在下での伸長反応のための核酸ポリメラーゼの選択におけるガイダンスは、参照により組み込まれる以下の参考文献、Goodmanら、米国特許第5,945,312号;Jettら、米国特許第5,405,747号;Muehleggerら、米国特許出願公開第2004/0214221号;Gillerら、Nucleic Acids Research、31巻(10号):2630〜2635頁(2003年);Tasaraら、Nucleic Acids Research、31巻(10号):2636〜2646頁(2003年);Augustinら、J. Biotechnology、86巻:289〜301頁(2001年);Brakmann、Current Pharmacuetical Biotechnology、5巻(1号):119〜126頁(2004年)などに見出すことができる。本発明とともに使用するための例示的な核酸ポリメラーゼには、これだけに限らないが、Vent exo−、Taq、E.coli Pol I、Tgo exo−、Klenow断片exo−、Deep Vent exo−などが含まれる。一部の実施形態では、例示的な核酸ポリメラーゼには、これだけに限らないが、Vent exo−およびKlenow断片exo−が含まれる。dNTP類似体のための例示的な蛍光標識には、これだけに限らないが、Alexa 488、AMCA、Atto 655、Cy3、Cy5、Evoblue 30、フルオレセイン、Gnothisブルー1、Gnothisブルー2、Gnothisブルー3、Dy630、Dy635、MR121、ローダミン、Rhodamine Green、Oregon Green、TAMRAなどが含まれる。dUTP類似体のための例示的な蛍光標識には、これだけに限らないが、Alexa 488、AMCA、Atto 655、Cy3、Cy5、Dy630、Dy665、Evoblue 30、Evoblue 90、フルオレセイン、Gnothisブルー1、Gnothisブルー2、Gnothisブルー3、MR121、Oregon Green、ローダミン、Rhodamine Green、TAMRAなどが含まれる。dCTP類似体のための例示的な蛍光標識には、これだけに限らないが、Atto 655、Cy5、Evoblue 30、Gnothisブルー3、ローダミン、Rhodamine Green、TAMRAなどが含まれる。dATP類似体のための例示的な蛍光標識には、これだけに限らないが、Atto 655、Cy5、Evoblue 30、Gnothisブルー3、Rhodamine Greenなどが含まれる。dGTP類似体のための例示的な蛍光標識には、これだけに限らないが、Evoblue 30、Gnothisブルー3、Rhodamine Greenなどが含まれる。dUTP類似体およびdCTP類似体のための例示的な蛍光標識対には、これだけに限らないが、(TAMRA、Rhodamine Green)、(Atto 655、Evoblue 30)、(Evoblue 30、Atto 655)、(Evoblue 30、Gnothisブルー3)、(Evoblue 30、Rhodamine Green)、(Gnothisブルー1、Rhodamine Green)、(Gnothisブルー2、Atto 655)、(Gnothisブルー3、Cy5)などが含まれる。
図7Cは、2つの標識が使用され、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0152492号および米国特許出願公開第2012/0058468号において教示されているように、センス鎖およびアンチセンス鎖がヘアピンアダプター(730)によって連結している、実施形態を説明する。尾状アダプター(732)およびヘアピンアダプター(730)は、標的ポリヌクレオチド(700)(配列番号1)にライゲーションされる。プライマー(734)の変性およびアニーリングの後、伸長反応によって、セグメント(736)、鎖(701)およびセグメント(738)の標識された相補鎖、鎖(701)の標識された逆相補鎖を含む、伸長産物(735)が生成する。伸長産物(735)がナノポアを通って移動し、光学的シグネチャーが発生した後、標的ポリヌクレオチド(700)(配列番号1)の配列を決定することができる。必要に応じて、所定のパターンの標識が伸長反応の間に組み込まれるようにヘアピン(730)の配列を選択してもよく、これは、例えば、どこでセグメント(736)が終了し、どこでセグメント(738)が開始するかなどを示すことによって、光学的シグネチャーの分析の補助に使用することができる。
キット
本発明は、本発明の方法を実施するためのキットを含み得る。一部の実施形態では、キットは、標的ポリヌクレオチドに結合させた蛍光標識によって発生する蛍光シグナルの消光に適した1つまたは複数の消光剤を含む。例えば、キットは、その吸収帯が標的ポリヌクレオチド上の蛍光標識の発光帯に最も重複する消光剤を含むように設計され得る。一部の実施形態では、キットの消光剤は、消光部分にコンジュゲートしたポリヌクレオチド結合部分を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチド結合部分は、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドまたはその類似体を含む。一部の実施形態では、キットの消光剤は、所定の濃度で提供される。一部の実施形態では、消光剤のそのような所定の濃度は、検出ゾーンの容積を決定するように選択される。
定義
「エバネッセント場」は、非伝播性の電磁場を意味し、即ち、これは、ポインティング・ベクトルの平均値がゼロである電磁場である。
「FRET」または「Forsterまたは蛍光共鳴エネルギー移動」は、励起されたドナーフルオロフォアから基底状態のアクセプターフルオロフォアへの非放射性双極子−双極子エネルギー移動メカニズムを意味する。FRET相互作用におけるエネルギー移動の速度は、ドナーの放出スペクトルとアクセプターの吸収スペクトルとのスペクトルの重なりの程度、ドナーの量子収率、ドナーおよびアクセプターの遷移双極子の相対的な配向、ならびにドナー分子とアクセプター分子との間の距離に依存し、Lakowitz、Principles of Fluorescence Spectroscopy、第3版、(Springer、2006年)がある。特定の目的のFRET相互作用は、アクセプターに伝達され、次にそのドナーを励起する光の周波数よりも低い周波数で、光子としてアクセプターにより放出される、エネルギーの一部をもたらすものである(即ち、「FRETシグナル」)。「FRET距離」は、FRET相互作用を引き起こすことができ、かつ検出可能なFRETシグナルがFRETアクセプターによって生成される、FRETドナーとFRETアクセプターとの間の距離を意味する。
「キット」は、本発明の方法を実施するために材料または試薬を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの文脈では、そのような送達システムは、1つの位置から別の位置への反応試薬(例えば蛍光標識、例えば、適切な容器内の、相互に消光する蛍光標識、蛍光標識結合剤、酵素、消光剤など)の保存、輸送、または送達を可能にするシステムおよび/もしくは化合物(例えば、希釈剤(dilutant)、界面活性剤、担体など)、ならびに/またはサポート材料(例えば、バッファ、アッセイを行うための文書による指示など)を含む。例えば、キットは、関連する反応試薬および/またはサポート材料を含有する1つまたは複数の封包物(例えば箱)を含む。そのような内容物は、目的のレシピエントに、共にまたは個別に送達することができる。例えば、第1の容器はアッセイで使用するための酵素を含有していてよく、一方、第2のまたはさらなる容器は、相互に消光する蛍光標識および/または消光剤を含有する。
「ナノポア」は、基材が所定のまたは識別可能な順序で分析物を通る、またはポリマー分析物の場合、そのモノマー単位が所定のまたは識別可能な順序で基材を通るのを可能にする、基材に位置決めされた任意の開口を意味する。後者の場合、所定のまたは識別可能な順序は、ポリマー中のモノマー単位の一次配列であってもよい。ナノポアの例には、タンパク質様またはタンパク質ベースのナノポア、合成または固体状態のナノポア、およびタンパク質ナノポアがその内部に埋め込まれている固体状態のナノポアを含むハイブリッドナノポアが含まれる。ナノポアは、内径が1〜10nmまたは1〜5nmまたは1〜3nmであってもよい。タンパク質ナノポアの例には、アルファ−溶血素、電圧依存性ミトコンドリアポリン(VDAC)、OmpF、OmpC、MspA、およびLamB(マルトポリン)、例えば、参照により本明細書に組み込まれるRhee,M.ら、Trends in Biotechnology、25巻(4号)(2007年):174〜181頁;Bayleyら(前掲);Gundlachら、米国特許公開第2012/0055792号などに開示されているものが含まれるが、これらに限定されない。単一核酸分子の通過を可能にする任意のタンパク質ポアを用いてもよい。ナノポアタンパク質は、ポアの外側の特定の部位で、またはポア形成タンパク質を構成する1つまたは複数のモノマー単位の外側の特定の部位で標識されてもよい。ポアタンパク質は、アルファ−溶血素、MspA、電圧依存性ミトコンドリアポリン(VDAC)、アンスラックスポリン、OmpF、OmpC、およびLamB(マルトポリン)などであるがこれらに限定されないタンパク質の群から選択される。固体状態のホールへのポアタンパク質の一体化は、帯電したポリマーをポアタンパク質に結合することによって実現される。電場を印加した後、帯電した複合体を、電気泳動によって固体状態のホールに引き込む。合成ナノポアまたは固体状態のナノポアは、様々な形態の固体基材中に創出されてもよく、その例には、シリコーン(例えば、Si3N4、SiO2)、金属、金属酸化物(例えば、Al2O3)、プラスチック、ガラス、半導体材料、およびこれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。合成ナノポアは、脂質二重層膜内に位置決めされた生物学的タンパク質ポアよりも安定と考えられる。合成ナノポアは、重合エポキシなどであるがこれに限定されない適切な基材に埋め込まれたカーボンナノチューブを使用することによって、創出されてもよい。カーボンナノチューブは、均一で十分定められた化学的および構造的性質を有することができる。1から数100ナノメートルに及ぶ様々なサイズのカーボンナノチューブを得ることができる。カーボンナノチューブの表面電荷は、約ゼロであることが公知であり、その結果、ナノポアを通る核酸の電気泳動輸送は単純かつ予測可能になる(Ito,T.ら、Chem.Commun.12巻(2003年):1482〜83頁)。合成ナノポアの基材表面は、タンパク質ポアの共有結合による結合が可能になるようにまたは表面特性を光学ナノポア配列決定に適切なものにするように、化学修飾されてもよい。そのような表面修飾は、共有結合または非共有結合にすることができる。ほとんどの共有結合による修飾は、オルガノシラン堆積を含み、それに関する最も一般的なプロトコールが記述されている:1)水性アルコールからの堆積。これはシリル化表面を調製するための最も容易な方法である。95%エタノール−5%水の溶液を、酢酸でpH4.5〜5.5に調節する。シランを、撹拌しながら添加して、2%の最終濃度が得られる。加水分解およびシラノール基形成の後、基材を2〜5分間添加する。濯いだ後、過剰な材料は、エタノール中に短時間浸漬することによってなくなる。シラン層の硬化は、摂氏110度で5〜10分である。2)気相堆積。乾燥非プロトン性条件下、化学気相堆積法によって、シランを基材に付着させることができる。これらの方法は、単層堆積が容易である。閉鎖チャンバーのデザインで、5mmの蒸気圧が達成されるような十分な温度に基材を加熱する。あるいは、シランの蒸発が観察されるまで、真空を印加することができる。3)スピンオン堆積。スピンオン付着は、最大源の官能化および多層堆積が好まれる加水分解条件下で、または単層堆積が好まれる乾燥条件下で行うことができる。一部の実施形態では、単一ナノポアが本発明では用いられる。他の実施形態では、複数のナノポアが用いられる。後者の実施形態のいくつかでは、複数のナノポアを、ナノポアのアレイとして用い、これらは固相膜などの平面基材に通常は堆積される。ナノポアアレイのナノポアは、規則的に、例えば直線的なパターンで、間隔を空けて配置されてもよく、またはランダムに間隔を空けて配置されてもよい。好ましい実施形態では、ナノポアは、平面状の固相基材において、直線上のパターンとして規則的に間隔を空けて配置される。
「ポリマー」は、直鎖状に接続された複数のモノマーを意味する。通常、ポリマーは、複数のタイプのモノマーを、例えばA、C、G、およびTを含むポリヌクレオチドとして、または複数の種類のアミノ酸を含むポリペプチドとして含む。モノマーは、ヌクレオシドおよびその誘導体または類似体、ならびにアミノ酸およびその誘導体および類似体を、限定することなく含んでいてもよい。一部の実施形態では、ポリマーは、ヌクレオシドモノマーがホスホジエステル結合によって接続されているポリヌクレオチド、またはその類似体である。
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は交換可能に使用され、それぞれヌクレオチドモノマーの直鎖状ポリマー、またはその類似体を意味する。ポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドを構成するモノマーは、Watson−Crick型の塩基対合、塩基スタッキング、またはHoogsteenもしくは可逆的Hoogsteen型の塩基対合などの、モノマー間相互作用の規則的なパターンを経て天然のポリヌクレオチドに特異的に結合することが可能である。そのようなモノマーおよびそれらのヌクレオシド間連結は、天然に生じてもよく、またはその類似体、例えば、天然に存在するか、または天然に存在しない類似体であってもよい。天然に存在しない類似体は、PNA、ホスホロチオエートヌクレオシド間連結、およびフルオロフォアまたはハプテンなどの標識の結合を可能にする連結基を含有する塩基などを含んでいてもよい。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの使用に際してポリメラーゼによる伸長またはリガーゼによるライゲーションなどの酵素処理を必要とするときにはいつでも、当業者には、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドがそれらの場合に任意のまたはいくつかの位置でヌクレオシド間連結、糖部分、または塩基の類似体を含有しなくてもよいことを理解するであろう。ポリヌクレオチドは、典型的にはそのサイズが、それらが通常「オリゴヌクレオチド」と呼ばれる場合には、数モノマー単位、例えば5〜40単位から、数千モノマー単位に及ぶ。ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが、「ATGCCTG」などの文字(大文字または小文字)の配列によって表される場合はいつでも、ヌクレオチドは左から右に5’→3’の順序であり、文脈から他に指示されずまたは明らかにされない限り、「A」はデオキシアデノシンを示し、「C」はデオキシシチジンを示し、「G」はデオキシグアノシンを示し、「T」はチミジンを示し、「I」はデオキシイノシンを示し、「U」はウリジンを示すことが理解されよう。他に記述されない限り、専門用語および原子付番規則は、StrachanおよびRead、Human Molecular Genetics 2(Wiley−Liss、New York、1999年)に開示されたものに従うことになる。通常、ポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結された4種の天然ヌクレオシド(例えば、DNAに関してはデオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンであり、またはRNAに関してはそれらのリボース対応物である)を含み;しかし、それらは、例えば修飾された塩基、糖、またはヌクレオチド間の結合を含む非天然ヌクレオチド類似体を含んでいてもよい。酵素が、活性に関して特定のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基材要件、例えば一本鎖DNA、またはRNA/DNA二重鎖などを有する場合、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基材に適切な組成物の選択は、特にSambrookら、Molecular Cloning、第2版(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1989年)などの論文および同様の参考文献による指針により、十分に当業者の知識の範囲内にあることは、当業者には明らかである。同様に、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドは、一本鎖の形態または二本鎖の形態(即ち、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの二重鎖と、そのそれぞれの相補体)を指してもよい。どの形態が意図されるのかまたは両方の形態が意図されるのか否かは、用語の使用の文脈から、当業者には明らかであろう。
「プライマー」は、ポリヌクレオチドテンプレートとの二重鎖の形成に際して、核酸合成の開始点として作用することができ、その3’末端からテンプレートに沿って伸長されて、それにより伸長された二重鎖を形成することができる、天然または合成のオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーの伸長は、通常、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼなどの核酸ポリメラーゼによって行なわれる。伸長プロセスにおいて添加されるヌクレオチドの配列は、テンプレートポリヌクレオチドの配列によって決定される。通常、プライマーはDNAポリメラーゼによって伸長される。プライマーは通常、14〜40ヌクレオチドの範囲、または18〜36ヌクレオチドの範囲の長さを有する。プライマーは種々の核酸増幅反応、例えば単一のプライマーを使用する直線的増幅反応、または2つもしくはそれより多いプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応に用いられる。特定の用途のためのプライマーの長さおよび配列の選択のガイダンスは、参照により組み込まれる以下の参考文献:Dieffenbach編、PCR Primer:A Laboratory Manual、第2版(Cold Spring Harbor Press、New York、2003年)で証明されるように、当業者には周知である。
「分解能限界区域」は、その中では個々の特徴または発光源を光学シグナル検出システムによって区別することができない、ナノポアアレイまたはナノウェルアレイの表面の一区域である。理論に拘束されることは意図しないが、そのような分解能限界区域は、光学システムの解像限界(「回折限界」または「回折障壁」とも呼ばれることがある)によって決定される。そのような限界は、発光源の波長と光学成分とによって決定され、式中、dが、解像され得る最小の特徴であり、λが光の波長であり、NAが光を集めるために使用される対物レンズの開口数である、d=λ/NAによって定義され得る。したがって、2つまたはそれを超えるナノポアが分解能限界区域内にあり、2つまたはそれを超える光学シグナルがそれぞれのナノポアで発生する場合はいつも、光学検出システムは、どの光学シグナルがどのナノポアに由来したかを区別または決定することができない。本発明によると、ナノポアアレイの表面は、分解能限界区域に対応する、重複していない領域または実質的に重複していない領域に分割または細分され得る。分解能限界区域に対応するそのような細分化のサイズは、利用する特定の光学検出システムに依存し得る。一部の実施形態では、発光源が可視スペクトル内にある場合はいつも、分解能限界区域は300nm2から3.0μm2の範囲内であり、他の実施形態では、分解能限界区域は1200nm2から0.7μm2の範囲内であり、他の実施形態では、分解能限界区域は3×104nm2から0.7μm2の範囲内であり、ここで、区域の前記範囲は、ナノポアアレイまたはナノウェルアレイの表面に関してのものである。一部の実施形態では、可視スペクトルは、約380nmから約700nmの範囲内の波長を意味する。
ポリヌクレオチドに言及する際の「配列決定」、「配列決定すること」または「ヌクレオチド配列を決定すること」または同様の用語は、ポリヌクレオチドの部分的ならびに完全な配列情報の決定を含む。すなわち、上記用語は、4種の天然ヌクレオチド、A、C、G、およびTの全ての組のサブセットの配列、例えば標的ポリヌクレオチドのAおよびCのみの配列などを含む。即ち用語は、標的ポリヌクレオチド内のヌクレオチドの4つのタイプの1つ、2つ、3つ、または全ての同一性、順序、および場所を決定することを含む。一部の実施形態では、用語は、標的ポリヌクレオチド内のヌクレオチドの4つのタイプの2つ、3つ、または全ての同一性、順序、および場所を決定することを含む。一部の実施形態では、配列決定は、標的ポリヌクレオチド「catcgc...」内のヌクレオチドの単一タイプ、例えばシトシンの、順序および場所を識別することによって実現されてもよく、したがってその配列は、「c−(非c)(非c)c−(非c)−c...」などを表すバイナリーコード、例えば「100101...」として表されるようになる。一部の実施形態では、用語は、標的ポリヌクレオチドのフィンガープリントとしての役割をする標的ポリヌクレオチドの配列を含んでいてもよく;即ち、一組のポリヌクレオチド内の標的ポリヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドのクラスを独自に識別する配列であり、例えばセルによって表される全ての異なるRNA配列である。
本開示は、記述される特定の形態の範囲を限定するものではなく、本明細書に記述される変形例の代替例、修正例、および均等物を包含するものとする。さらに、本開示の範囲は、本開示に鑑み当業者に明らかになり得るその他の変形例を、完全に包含する。本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲によってのみ限定される。