JP2019527004A - 多帯域円偏波アンテナ - Google Patents

多帯域円偏波アンテナ Download PDF

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Abstract

本発明は、多帯域GNSS用の円偏波(CP)アンテナ装置を提供する。それは、螺旋アンテナ、ならびに、第1の領域と離間した第2の領域とを含む導体層および接地面を含む高インピーダンス表面(HIS)を含む。導体層の第1の領域は、第1の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備え、導体層の第2の領域は、第2の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備える。

Description

本発明は、サイズ、重量および消費電力(Size Weight and Power、SWaP)が小さい円偏波(circularly polarised、CP)アンテナに関する。より詳細には、本発明は、全地球航法衛星システム(GNSS)のような用途に用いられる多帯域通信に適した、SWaPが小さい円偏波アンテナに関する。
サイズ、重量および消費電力(SWaP)が小さいアンテナは、例えばモバイル機器またはウェアラブル機器などにおける多くの用途に有用である。信号が電離圏を通って伝播するときに信号の電場ベクトルが回転するファラデー回転を克服するために、衛星と地球上のシステムとの間の通信には円偏波(CP)アンテナが必要とされる。
CPアンテナの1つのタイプは、螺旋アンテナである。従来の螺旋アンテナを、図1に示す。それは、内側終端において逆相(電気的位相が180°異なる)で励起される2つの螺旋アームからなる。螺旋アームの形状は、アルキメデス螺旋(図1に示されるような)、等角螺旋、蛇行する螺旋、または他の任意の螺旋形状などの、多くの異なる数学的表現によって記述できる。しかしながら、放射が出射される原理は、形状にかかわらず同じままである。アンテナの外周が波長よりもはるかに短い場合、アンテナは一対の伝送線に同様に作用し、2つのアームからのすべての放射は、それらの位相整合によって相殺する。同じ螺旋アーム上のポイントAからポイントBまでの経路長が管内波長の2分の1(λg/2)に等しい場合(ポイントBにおいてポイントAに対して180°の付加的な電気的位相遅延を生じさせる)、ある周波数(fr)で放射が生じる。ポイントAおよびポイントA’は、対向するアームに対称的に位置する。したがって、アームの中心からこれらのポイントまでの経路長が等しいので、これらのポイントにおける電流は逆相にある。これは、周波数frにおいて、隣接するアーム上の近隣するポイントA’およびポイントBの電流は同相にあること(ポイントAおよびポイントB’においても同様)を意味し、したがって、2つのアームのそれぞれからの放射は、同相で足し合わされる。したがって、アンテナのアクティブ領域(そこから強く放射する)は、外周λg(または半径λg/2π)のリングである。アンテナは、このアクティブ領域から円偏波放射を出射する。なぜなら、図2に示されるように、それぞれがリングの中心に対する90°刻みの角度変化である90°の増加で、場が回転し、位相が遅延するためである。図3は、そのようなアンテナからの放射が、どのように二方向に出射されてフロントローブおよびバックローブを生成するかを示す。その形状のおかげで、螺旋アンテナは、広い帯域幅にわたる放射(より低い周波数の放射は螺旋アームの外から出射される)に対する条件を満たすことができる。
ウェアラブルおよび表面実装可能な螺旋アンテナは、それらの裏面と実装面との間の電気的絶縁を必要とする。この電気的絶縁は、短絡のような「接触」の影響を防ぐために必要とされ、それがなければ、金属または高誘電率体(人体または頭など)の近くにアンテナが隣接すると、アンテナの放射パターンを破壊して特性の損失をもたらすであろう。電気的絶縁は、典型的には、接地面リフレクタ(ground plane reflector)またはアブソーバのいずれかを用いることによって達成される。
接地面リフレクタの場合には、平らな導体面が、図4に示されるように、動作周波数においてλ0/4の空隙で離間して、アンテナの下方に置かれる。アンテナのバックローブは、λ0/4の離間によって、電気的位相が90°遅延してリフレクタに到着する。入射電場は、導体の表面の接線方向にあり、これは、180°の相対的な位相を有する電場を備えた反射信号を生じさせる。λ0/4の経路長は、付加的な90°の電気的位相遅延をもたらして合計で360°の位相遅延を生じ、これは、反射されたバックローブが、同相でフロントローブに到達することを意味する。これは、動作周波数においてアンテナ利得を3dB増加させるが、アンテナがCP放射を出射する帯域幅を限定し、低周波(λ0が大きい)において装置が厚くなる。これが望ましくないことは、螺旋アンテナの利点の1つがその広い帯域幅であることから分かるであろう。
アブソーバがアンテナの裏面に置かれる場合、バックローブの放射は吸収され、広い帯域幅を維持する一方で電気的絶縁をもたらす。しかしながら、このアプローチには、放射出力の半分を失うという欠点がある。それはさらに、最小厚さがおよそλ0/14である厚い装置を必要とする。なぜなら、アブソーバを過度に近くに配置すると、螺旋アーム間の場が吸収され、アンテナが効率的に放射することが妨げられることになるためである。
より最近の他のアプローチは、接地面リフレクタの代りに高インピーダンス表面(High Impedance Surface、HIS)を用いることである。様々なHIS形態(HIS topology)が存在する。そのような形態の1つが、米国特許第6,384,797号に開示されている。図5に示されるように、この形態は、導体接地面(conductive ground plane)上の、パッチ(patch)またはスロットのような周期的な一連の導体共振素子からなる。共振素子は、金属ビアによって接地面に接続されてもよいし、接続されなくてもよい。さらに、HISは、2つの導体層間の誘電体を使用してもよいし、使用しなくてもよい。螺旋アンテナは、典型的には、空隙によってHISから離間されるが、アンテナは誘電体ギャップを用いてもよい。
動作は、接地面リフレクタの動作と同様であり、HIS接地面は、アンテナのバックローブを前方に反射する。しかしながら、HIS共振素子、接地面の離間および誘電体の設計は、HIS接地面から反射された信号の位相の制御を可能にする。これは、アンテナが、標準的な導体リフレクタ(conductive reflector)のλ0/4の離間よりもはるかにHISに接近して置かれることを可能にする。1つの既知の実施において、アンテナとHIS接地面との間の、λ0/12という近い離間が達成されている。しかしながら、1つのHIS共振器ユニットセルを用いることの1つの欠点は、それが、狭帯域の解決策を与えるにすぎないということである。本質的に狭い帯域幅は誘電体の厚さおよび誘電率に比例することが知られている。したがって、帯域幅は、誘電体の厚さを増加することによって、および高誘電率の誘電体を選択することによって増大できる。しかしながら、これは、小さく軽量の装置を目標とする場合には望ましくない。さらに、それは、利用可能な誘電体の厚さが薄すぎるので、非現実的かもしれない。多帯域の解決策を提供するために、入れ子状のHIS形態を用いることが知られており、入れ子状のHIS形態は、図6に示されるように、別個のアクティブ領域における動作をもたらすために、アンテナの中心に向かってより小さいHIS共振素子を置き、外側にはより大きい素子を置くことを含む。そのような構成において、より高い周波数の反射素子の一領域は、そのより高い周波数におけるアンテナの対応するアクティブエリアの下に位置し、より低い周波数の反射素子の第2の領域は、そのより低い周波数におけるアンテナの対応するアクティブエリアの下であって、その領域の周りに配列される。
米国特許公開番号US2010/039343は、そのような入れ子状のHIS形態について記載している。この文献は、円偏波平面ワイヤアンテナ用のアンテナリフレクタを開示しており、当該リフレクタは、電磁バンドギャップ構造を有し、接地導体から所定の距離に位置する第1の周波数帯域の共振特性を有する複数の第1のパッチ素子と第1のパッチ素子の周囲に配列された第2の周波数帯域の共振特性を有する複数の第2のパッチ素子とを有する接地導体を含み、第1の周波数帯域は第2の周波数帯域よりも高い。しかしながら、第1の周波数帯域のパッチ素子を有するリフレクタの第1の領域を、より低い第2の周波数帯域のパッチ素子を有するリフレクタの第2の領域によって囲むこの実施は、それが、周波数が充分に間隔を置かれた周波数帯域(典型的には、3GHz、6GHz、9GHzのような倍数)で動作できるにすぎないという欠点をこうむる。この実施における2つの周波数帯域において実証された最も近い間隔は、現在、35%離れているものである。
米国特許公開番号US2013/249762は、螺旋と、第1の反射領域および第2の反射領域を含むハイブリッド構造を含むリフレクタとを含むアンテナを開示している。第1の反射領域は、それが反射する放射の平均波長の4分の1の距離だけアンテナから離して配置された電気伝導性平面を含む標準的な導体リフレクタ領域であり、第2の反射領域は、HIS(AMC)型のリフレクタを含む。第1の反射領域は、周波数の第1の副帯(sub−band)を反射するように設計されており、第2の反射領域は、周波数の第1の副帯の周波数よりも低い周波数の第2の副帯を反射するように設計されている。米国特許公開番号US2010/039343の配置と同様に、AMC型のリフレクタ領域は、標準的な導体リフレクタ領域の周囲に配列される。しかしながら、このハイブリッドアンテナ構造は、標準的な導体リフレクタの使用に関連する欠点、すなわち周波数のより高い副帯においてアンテナとリフレクタとの間のλ0/4の離間を必要とすること、に影響を受けることが分かるであろう。
本発明の目的の1つは、上記の問題の少なくとも1つを克服する、CP・SwaP多帯域アンテナを提供することである。
本発明は、周波数が近接して離れている2つの別個の周波数範囲で動作できるSWaPが小さいCP多帯域アンテナを提供し、それによって、周波数が近接して離れている2つ以上の別個の割当周波数帯域での動作を提供する。本装置は、螺旋アンテナの下側にあって、実装面からの電気的絶縁を与える、革新的な高インピーダンス表面(HIS)接地面を利用する。したがって、この装置は、装着型の用途または車両用実装用の用途に適している。
本発明の第1の態様によれば、添付のクレームに記載のように、多帯域GNSS用の円偏波(CP)アンテナ装置であって、
螺旋アンテナ、ならびに、
第1の領域と離間した第2の領域とに分割された導体層および接地面を含む高インピーダンス表面(HIS)を含み、
前記導体層の前記第1の領域は、第1の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備え、前記導体層の前記第2の領域は、第2の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備える、装置が提供される。
一実施形態において、前記第1の領域は、前記導体層の第1の半分を含み、前記第2の領域は、前記導体層の第2の半分を含む。
一実施形態において、第1の共振周波数の前記少なくとも1つの共振素子は、第1のサイズの導体共振素子の周期的配列を含み、第2の共振周波数の前記少なくとも1つの共振素子は、第2のサイズの導体共振素子の周期的配列を含む。
一実施形態において、共振素子の前記周期的配列は、矩形、六角形、スロット、螺旋、エルサレム十字(Jerusalem cross)、およびフラクタル形状のうちの1つの周期的配列を含む。
一実施形態において、本装置は、前記導体層を前記接地面に接続する複数のビアをさらに含む。
一実施形態において、前記HISは、前記導体層と前記接地面との間に結合された誘電体をさらに含む。
一実施形態において、前記誘電体は、テフロン(登録商標)、セラミック、アルミナ、および石英系材料のうちの1つを含む。
一実施形態において、前記アンテナの動作周波数帯域は、前記誘電体の誘電率および厚さに比例する。
一実施形態において、前記誘電体の誘電率および/または厚さは、前記アンテナが多重の割当周波数帯域で動作するのに適合している。
一実施形態において、前記多重の周波数帯域間の間隔は、1:1.2以下の比を含む。
一実施形態において、本装置は、前記螺旋アンテナと前記接地面との間に結合された抵抗負荷をさらに含む。
一実施形態において、本装置は、前記HISの下に配置された広帯域マッチング回路をさらに含む。
一実施形態において、前記広帯域マッチング回路はマーチャントバラン(marchand balun)を含む。
一実施形態において、前記螺旋アンテナは、蛇行する螺旋アンテナを含む。
一実施形態において、本装置の厚さがλ0/30を含む。
一実施形態において、前記導体層は、実質上の直線に沿って、前記第1の領域と前記第2の領域とに分割されている。
一実施形態において、前記導体層が前記第1の領域と前記第2の領域とに分割されている前記直線は、前記アンテナの中心線からずれている。
本発明の別の実施形態において、複数のアンテナ装置を含むアンテナアレイが提供される。
本発明はさらに、多帯域GNSS用の円偏波(CP)アンテナ装置であって、
螺旋アンテナ、ならびに、
第1の領域および離間した第2の領域を含む導体層と接地面とを含む高インピーダンス表面(HIS)を含み、
前記導体層の前記第1の領域は、第1の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備え、前記導体層の前記第2の領域は、第2の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備える、装置を提供する。
本発明は、添付の図面を参照して、その実施形態についての以下の記載(例示としてのみ提供される)から、より明白に理解されるであろう。
従来の螺旋アンテナの典型的な構造を示す。 図1の螺旋アンテナのアクティブ領域を示す。 図1のアンテナの双方向放射パターンを示す。 螺旋アンテナと協働する従来の接地面リフレクタを用いる位相効果を示す。 アンテナの既知の高インピーダンス表面形態の構造を示す。 入れ子状の共振素子を内蔵するアンテナの、他の既知の高インピーダンス表面形態の構造を示す。 本発明のアンテナのHIS形態の一実施形態を示す。 アンテナが、蛇行する螺旋形態を有し且つ抵抗性インピーダンスマッチングを内蔵する、本発明の一実施形態を示す。 広帯域の50Ωマッチングを与えるために、高インピーダンス表面下において本発明のアンテナに内蔵されたバランを示す。 本発明のアンテナの斜視図を示す。 アンテナが円偏波を与える2つの周波数範囲(多重の割当周波数帯域をカバーしてもよい)を示す。
ここで、本発明について、添付の図7〜図11を参照して説明する。それは、螺旋アンテナ5およびHIS10を含むCPアンテナを含む。HIS10は、2つの別個の領域を含み、それぞれの領域は少なくとも1つの共振素子を備える。図7に図示されるように、2つの領域のそれぞれにおける共振素子のサイズは異なる。これによって、それぞれの領域の共振素子が、異なる共振周波数となる。したがって、第1の領域15の共振素子は、反射される電磁信号の電気的位相が360°(または、n×360°である倍数。nは整数値。)である第1の共振周波数を有し、第2の領域20の共振素子は、反射される電磁信号の電気的位相が360°(または、n×360°である倍数。nは整数値。)である第2の共振周波数を有する。本発明の好ましい実施形態において、HIS10は、導体層および接地面を含む基板を含み、導体層は、導体ビアによって共通の導体接地面に接続された導体共振パッチ素子25の2つの周期的配列を含む。誘電体は、導体層と接地面との間に結合される。テフロン(登録商標)、セラミック、アルミナ、または石英系材料のような、任意の適切な誘電体を用いることができる。
それぞれの領域、すなわちHIS10の半分が、離間した共振器を用いるので、本発明のアンテナは2つの別個の周波数範囲で動作できる。それぞれの共振器は、反射がアンテナのフロントローブと同相となる(理論的には軸比が0dBとなる)単一の周波数に対応する。0dBより大きいがシステム要件に対しては充分に低い軸比(例えば、多くのシステムにおいて、3dB未満の軸比は円偏波であると認められると考えられる)を有する楕円偏波放射が生じる周波数を、上回るおよび下回る周波数範囲が存在する。これらの2つの周波数範囲内において、2つ以上の割当周波数帯域が提供されてもよい。図11の実施形態において、それぞれの周波数範囲は、2つの帯域を含む。さらに、2つの周波数範囲は、入れ子状のHIS形態(発明の背景技術のセクションに記載したような)を用いる螺旋アンテナによって達成可能な周波数間隔に比べて、周波数に関してより近接して間隔を置くことができる。これは、近接して間隔を置かれた周波数のおかげで、螺旋のアクティブ領域がオーバーラップできるためである。入れ子状のHISを用いる場合、図6に示されるように、第2の周波数用の共振素子が第1の周波数用の共振素子に囲まれるので、共振素子は、オーバーラップできず、または、全く同様のサイズとすることができない。対照的に、HISが2つの離間する領域を利用する本発明の構造によって、アンテナは、アクティブ領域の半分から第1の周波数を放射し、反対側の半分から第2の周波数を放射する。したがって、HIS素子をオーバーラップさせる必要性なしに、2つの螺旋アクティブ領域を近接して配置できる。実際上、本アンテナの構造は、1:1.2以下の周波数比を達成することを可能にする。
動作中、第1の周波数範囲において、HIS10の第1の領域15に隣接する領域、すなわちアンテナ5の半分、からのバックローブ放射は、同相に反射され、フロントローブを強めるようにそれに加えられる。第2の領域20が第2の周波数範囲で動作するように構成されるという事実によって、それは、第1の周波数範囲において、λ0/4よりもずっと小さい間隔を備える標準的な導体リフレクタと同様に動作し、第1の周波数範囲において出射されたバックローブ放射は、ほぼ逆相に反射され、この領域で出射されたフロントローブ放射を弱めるようにそれに加えられる。正味の影響としては、第1の周波数範囲におけるフロントおよびバックローブ放射の合計のおよそ半分は、強めるように足され、バックローブ方向に放射が出射されることなく、フロントローブの自由空間に放射される。第2の周波数範囲の動作は逆であり、同じく、放射のおよそ半分はフロントローブの自由空間に出射され、バックローブ方向には放射が出射されない。したがって、この配置は、接地面を有する極めて薄いアンテナ(例えば厚さが0.033ラムダ)であって表面実装にも適しているアンテナを用いて、非常に近接して間隔を置く2つの周波数範囲に対して良好な円偏波特性を備えるフロントローブ放射を達成することを可能にする。
第1および第2の半分すなわち領域は、等しいサイズ、または等しい厚さでなくてもよいことが、理解されるべきである。HISの導体層を2つの半分に分割する線が、アンテナの中心線からずれていてもよいことも、理解されるべきである。
さらに、誘電率および/または基板の厚さを増大させることによって、2つの離間している帯域が、より広い周波数範囲をカバーするようにできる。この点に関して、アンテナは事実上2つの別個の周波数範囲で動作するであろうが、帯域幅の拡張によって、増加した数の多重周波数帯域割当をアンテナがカバーできることが理解されるべきである。
螺旋アンテナ自体の大きさを大きくことによって、アンテナの動作の帯域幅を増大することもできる。この場合、図10に示される2つの領域を備える本発明のHISを、図6に示される入れ子状のHISアプローチに適用でき、それによって、入れ子状の領域のそれぞれは、2つの離間している半分すなわち領域に分割され、合計で4つのHIS領域をもたらし、4つの離間している周波数範囲でのCP放射をもたらすであろう。さらに、このアプローチを複数(2つ以上)の入れ子状の領域に適用して、複数の動作周波数範囲を与えることが可能である。
図7に示される本発明の記載された実施形態において、HIS共振素子25は四角形のパッチである。しかしながら、これらの共振素子25は、同様に良好に、六角形、螺旋、十字またはスロットのような、様々な異なるタイプの形またはサイズとすることができる。それぞれの領域に設けられる共振素子のサイズは、物理的要因に依存する。それらは、設計周波数、誘電体の誘電率および厚さ、ならびに動作のモードを含む。
本発明の記載された実施形態では誘電体基板が2つの導体層間に設けられるが、本発明の別の実施形態では誘電体基板が設けられないことが分かるであろう。同様に、本発明の別の実施形態では、HISの2つの導体層を接続するためにビアが設けられることはない。
本発明の一実施形態において、アンテナの利得はパッシブである。これは、増幅器を用いることなく、出力を集中させるアンテナによって利得が得られることを意味する。
典型的には、螺旋アンテナがHISの非常にすぐ近くに置かれる場合(例えば、λ0/12未満の距離)、HISはアンテナに負荷を与え、螺旋アンテナのアームの端部からの反射を生じさせることが分かる。これは、ひいては、不充分な円偏波性能(高い軸比)と、高いアンテナVSWRとをもたらす。本発明の一実施形態によれば、これらの反射は、図8に図示されるように、アンテナアームの端部からHISの接地面にビアを介して接続された抵抗負荷の使用によって低減できる。螺旋アンテナとHISとの間において、空隙またはフォームコア(foam core)の代わりに、比誘電率が1より大きい誘電体を用いることによって、ギャップの電気的厚さを維持できる一方で、物理的厚さを低減できる。これを用いて装置の厚さを低減できる。これらの技術の組み合わせは、本発明のアンテナが、所望の動作周波数/動作波長に応じて、λ0/30という薄い厚さで動作することを可能にする。それはさらに、放射の性質の性能を改善する。
螺旋アンテナは、蛇行する形状を含む任意の既知の形状とすることができる。この形状は、図8に示されるように、螺旋アンテナの表面積を低減することが分かるであろう。
本装置の別の実施形態において、広帯域マッチング回路がアンテナに内蔵されてもよい。図9は、そのような実施を示し、マーチャントバラン30の形式のバラン(平衡回路−不平衡回路コネクタ)が、広帯域の50Ωマッチングを与えるために、高インピーダンス表面の下に配置される。これは、回路類の追加の層であって、不平衡入力で供給され(例えばSMAコネクターを使用して)且つ平衡出力でアンテナ螺旋アームの中心に接続される層を、HIS接地面の下側に加えることによって、実施されてもよい。
本発明の螺旋アンテナは、一方向の円偏波放射および電気的絶縁を必要とする既存の螺旋アンテナに対して、多数の長所を有する。
第1に、高インピーダンス表面を2つの領域または半分に分割することは、2つの別個の周波数範囲が、既存の多帯域円偏波螺旋アンテナ(入れ子状の高インピーダンス表面を使用するものなど)でできるよりも、より近接して間隔を置くことを可能にする。これによって、アンテナが、周波数で2%離れるように近接して間隔を置いた離間した割当周波数帯域端を有する多帯域GNSSのようなシステムに適したものとなる。
本発明のアンテナのさらなる利点は、その重さおよび大きさを、アブソーバと共に使用される螺旋アンテナまたは接地リフレクタ(ground reflector)と共に使用される螺旋アンテナで可能な重さおよび大きさよりも小さくできることである。さらに、アンテナは、接地リフレクタと共に使用される螺旋アンテナの帯域幅を向上させる。
本発明はさらに、異なる周波数帯域のアクティブ領域が蛇行高さによってオーバーラップする(これは、多帯域高インピーダンス表面の従来方式を、近接して離れている周波数帯域を必要とする用途に対して特に難しくする)、蛇行する螺旋アンテナと共に使用することに非常に適している。蛇行する螺旋の使用によって、近接して間隔を置かれた2つの周波数範囲で動作するアンテナの非常にコンパクトな設計が得られる。
本発明はさらに、アンテナアレイに適用できる。この配置は、典型的には、一軸または二軸に沿って固定間隔で繰り返すアンテナからなる構造(つまり、線形または矩形のアレイ)を含むであろう。
円偏波の電磁信号が放射される任意の用途(例えば、通信、レーダおよび画像システムなど)に本発明を使用できることが分かるであろう。
そのような用途の1つは、多帯域、マルチ衛星、GNSSカバレッジ(例えばGPSトラッキング)である。個人の測位のために、アンテナは、下車した軍隊および救急隊従事者によって使用される例えば衣類またはヘルメットのアイテム上に付けられてもよい。同様に、それを、自動化車両およびドローン、ならびに車両(例えば自動車や列車など)の正確なトラッキング用の表面実装装置として用いることも可能である。
さらに、本発明が多帯域機能を提供するので、それは、非常に強固であり、且つ、信号の損失が動作に特に重要である用途において、固有のチャネル冗長性を提供できる。

Claims (18)

  1. 多帯域GNSS用の円偏波(CP)アンテナ装置であって、
    螺旋アンテナ、ならびに、
    第1の領域と離間した第2の領域とに分割された導体層および接地面を含む高インピーダンス表面(HIS)を含み、
    前記導体層の前記第1の領域は、第1の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備え、前記導体層の前記第2の領域は、第2の共振周波数の少なくとも1つの共振素子を備える、装置。
  2. 前記第1の領域は、前記導体層の第1の半分を含み、前記第2の領域は、前記導体層の第2の半分を含む、請求項1に記載の装置。
  3. 第1の共振周波数の前記少なくとも1つの共振素子は、第1のサイズの導体共振素子の周期的配列を含み、第2の共振周波数の前記少なくとも1つの共振素子は、第2のサイズの導体共振素子の周期的配列を含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
  4. 共振素子の前記周期的配列は、矩形、六角形、スロット、螺旋、エルサレム十字、およびフラクタル形状のうちの1つの周期的配列を含む、請求項3に記載の装置。
  5. 前記導体層を前記接地面に接続する複数のビアをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記HISは、前記導体層と前記接地面との間に結合された誘電体をさらに含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 前記誘電体は、テフロン(登録商標)、セラミック、アルミナ、および石英系材料のうちの1つを含む、請求項6に記載の装置。
  8. 前記アンテナの動作周波数帯域は、前記誘電体の誘電率および厚さに比例する、請求項6または請求項7に記載の装置。
  9. 前記誘電体の誘電率および/または厚さは、前記アンテナが多重の割当周波数帯域で動作するのに適合している、請求項8に記載の装置。
  10. 前記多重の周波数帯域間の間隔は、1:1.2以下の比を含む、請求項9に記載の装置。
  11. 前記螺旋アンテナと前記接地面との間に結合された抵抗負荷をさらに含む、請求項2〜10のいずれか1項に記載の装置。
  12. 前記HISの下に配置された広帯域マッチング回路をさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
  13. 前記広帯域マッチング回路はマーチャントバランを含む、請求項12に記載の装置。
  14. 前記螺旋アンテナは、蛇行する螺旋アンテナを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
  15. 装置の厚さがλ0/30を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
  16. 前記導体層は、実質上の直線に沿って、前記第1の領域と前記第2の領域とに分割されている、請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
  17. 前記導体層が前記第1の領域と前記第2の領域とに分割されている前記直線は、前記アンテナの中心線からずれている、請求項16に記載の装置。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載のアンテナ装置を複数含む、アンテナアレイ。

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