JP2019524748A - がんの治療におけるエリブリン及びヒストンデアセチラーゼ阻害剤の使用 - Google Patents

がんの治療におけるエリブリン及びヒストンデアセチラーゼ阻害剤の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤との併用でエリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)を投与することによって、がん(例えば、ホルモン感受性がん)の治療又は予防を必要とする患者のがんを治療又は予防する方法を特徴とする。【選択図】なし

Description

がんは、特定のタイプの細胞の非制御成長によって特徴づけられ、かかる細胞を含む組織において発生し、診断時に更に別の組織までがんが広がらなかった場合、例えば、手術(放射線又は他のタイプの局所的な治療法)によって治療することができる。しかしながら、がんが起源となるその組織から転移した証拠がある場合、治療のための種々のアプローチが一般的に用いられる。実際、転移の程度を確定的に決定することができないため、なんらかの拡散の証拠が検出されたときに、治療のための体系的なアプローチが通常行われる。これらのアプローチには、細胞(例えばがん細胞)の急速な分裂成長を妨げる化学療法薬の投与を含めることができる。他のアプローチは、免疫療法の使用を伴うものであり、これは、対象におけるがん性細胞に対する免疫反応を誘発又は高める。
ハリコンドリンBは、海洋性スポンジクロイソカイメンから最初に分離され、その後アキシネラ種、ファケリアカルテリ(Phakellia carteri)及びリソデンドリクス(Lissodendoryx)種で見つかった、構造的に複雑な大環状化合物である。ハリコンドリンBの全合成は、1992年に公開された(Aicher et al., J. Am. Chem. Soc. 114:3162-3164, 1992)。ハリコンドリンBは、インビトロで、微小管重合、微小管アセンブリ、ベータS-微小管架橋、微小管へのGTP及びビンブラスチン結合及び微小管依存GTP加水分解を阻害することを示した。この分子は、インビトロで、及び、インビボ抗がん特性を有することも示した。抗がん活性を有するハリコンドリンBアナログは、米国特許第6,214,865号B1に記載されている。
エリブリンは、ハリコンドリンBの合成アナログである。エリブリンは、ER-086526としても知られており、CAS番号253128-41-5及び米国NCI表示番号NSC-707389も割り当てられている。エリブリンのメシル酸塩(エリブリンメシル酸塩。ハラヴェン(登録商標)の商品名で販売され、E7389としても知られている)は、乳がんを患っている患者の治療、及び脂肪肉腫を患っている患者の治療に関して、ある管轄区域においては承認されている。アメリカにおいて、例えば、ハラヴェン(登録商標)は、アジュバント又は転移性疾患治療のいずれかにおいてアンスラサイクリン及びタキサンを含む、転移性疾患治療のための少なくとも2つの化学療法投与計画を以前に受けた乳がんを患っている患者の治療及び2次治療としての脂肪肉腫治療に関して承認されている。
エリブリンメシル酸塩の化学名は、11,15:18,21:24,28-トリエポキシ-7,9-エタノ-12,15-メタノ-9H,15H-フロ[3,2-i]フロ[2',3:5,6]ピラノ[4,3-b][1,4]ジオキサシクロペンタコシン-5(4H)-オン、2-[(2S)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロピル]ヘキサコサヒドロ-3-メトキシ-26-メチル-20,27-ビス(メチレン)-, (2R,3R,3aS,7R,8aS,9S,10aR,11S,12R,13aR,13bS,15S,18S,21S,24S,26R,28R,29aS)-メタンスルホネート(塩)であり、以下のように表すことができる。
がんは、細胞成長及び増殖の制御に関するある種の遺伝子のDNA配列の変化によって一般的に特徴づけられる。配列変化に加えて、がんは、配列変化を引き起こさないが、結果として遺伝子発現が変わる、これらの遺伝子の後成的発現変化(例えば、ヒストンアセチル化及び/又はDNAメチル化の改変)を伴う可能性がある。一例として、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ及びヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の破壊は、様々な種々のタイプのがんと関連しているため、抗がん薬剤開発の標的としてこれらの酵素に行き着いている。HDACについては、4つのクラスが存在し、それらのうちの3つ(I、II及びIV)には、11の亜鉛依存金属タンパク質が含まれる。エンチノスタット(MS-275)は、クラスI HDAC阻害剤である。エンチノスタットの化学名はピリジン-3-イルメチルN-[[4-[(2-アミノフェニル)カルバモイル]フェニル]カルバミド酸メチルであり、以下のように表すことができる。
本発明は、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット)の投与によってがん(例えば、ホルモン応答性がん)を治療及び予防する方法を提供する。「エリブリン」という用語が本願明細書で使用されている場合、文脈で別途明示しない限り、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えばエリブリンメシル酸塩)を明示するものである。
本発明は、がんを患っている又はがんが発症するリスクを有する対象(例えば、ヒト)を治療する方法を提供する。本方法は、(a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、及び(b)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、ヒドロキサム酸誘導体、カルボン酸誘導体、ベンズアミド誘導体、環状ペプチド又はエポキシケトン)、を対象に投与するステップを有する。特定の例として、HDAC阻害剤は、トリコスタチンA、ボリノスタット、パノビノスタット、ベリノスタット、ギビノスタット(givinostat)、プラシノスタット(practinostat)、キシノスタット、アベキシノスタット、CHR-3996、AR-42、バルプロ酸塩、酪酸塩、エンチノスタット、エンチノスタット多形体B、モセチノスタット、チダミド、アピシジン、ロミデプシン及びトラポキシン類からなる群より選択される。
本発明の方法は、(a)エリブリンメシル酸塩及び(b)HDAC阻害剤、を対象に投与するステップから任意になる、又は(a)エリブリンメシル酸塩及び(b)エンチノスタット、を対象に投与するステップから任意になることができる。各種実施形態において、(a)及び(b)は、実質的に同時に投与される;(a)は、最初に投与され、次に(b)が投与される;(b)は、最初に投与され、次に(a)が投与される;(a)及び(b)は、実質的に同時に投与され、次に(a)が投与される;又は(a)及び(b)は、実質的に同時に投与され、次に(b)が投与される。
本発明の方法に従って治療される対象は、任意に、がんと診断されている、がんの治療中である又はがん治療後の回復期にいるものであってもよい。本発明の方法に従って治療されるがんは、任意に、一次腫瘍、局所進行性又は転移性であってもよい。更に、他の例として、がんは、任意に、ホルモン応答性であってもよい。
様々な例として、がんは、乳がん、肉腫、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん、白血病、リンパ腫、肺がん、神経内分泌腫瘍、褐色細胞腫及び甲状腺がんからなる群より選択される。
更なる例として、がんは、トリプルネガティブ乳がん、トリプルポジティブ乳がん、HER2ネガティブ乳がん、HER2ポジティブ乳がん、エストロゲン受容体ポジティブ乳がん、エストロゲン受容体ネガティブ乳がん、プロゲステロン受容体ポジティブ乳がん、プロゲステロン受容体ネガティブ乳がん、非浸潤性乳管癌腫(DCIS)、侵襲性腺管癌腫、侵襲性小葉癌腫、炎症性乳がん、乳房ページェット病及び葉状腫瘍からなる群より選択される乳がんである。
更なる例として、がんは、血管肉腫、血管内皮腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、繊維肉腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性繊維状細胞腫、骨肉腫、多形性肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、血管の肉腫、カポシ肉腫、皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、平滑筋肉腫及び神経線維肉腫からなる群より選択される肉腫である。
更に他の例として、がんは、胃がん、結腸がん、肝がん、腎臓がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、肛門がん、外陰がん、陰茎がん、膣がん、睾丸がん、骨盤がん、直腸がん、脳がん、頭頸部がん、食道がん、気管支がん、胆嚢がん、卵巣がん、膀胱がん、経口がん、口腔咽頭がん、喉頭がん、胆道がん、皮膚がん、メラノーマ、中央神経系がん、呼吸器系がん、及び尿路系がんからなる群より選択される。
更なる例として、がんは、B細胞白血病、T細胞白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、赤白血病、基底細胞癌腫、大細胞癌腫、小細胞癌腫、非小細胞肺癌腫、腎癌腫、肝癌腫、胃癌腫、絨毛癌腫、腺癌腫、肝細胞癌腫、巨細胞(又は燕麦細胞)癌腫、扁平上皮癌腫、腺扁平上皮癌腫、退形成性癌腫、副腎皮質性癌腫、胆管癌腫、メルケル細胞癌腫、非浸潤性乳管癌腫(DCIS)、侵襲性腺管癌腫、肝芽腫、髄芽腫、腎芽腫、神経芽腫、膵芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫、多形神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキット-リンパ種、ろ胞性リンパ腫、胸腺腫、多発性骨髄腫、プラズマ細胞腫、局所性骨髄腫、骨髄外骨髄腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、肢端黒子型黒色腫、無色性黒色腫、神経節細胞腫、パチニ神経腫、聴神経腫、星状細胞腫、乏突起星細胞腫、上衣細胞腫、脳幹膠腫、視神経膠腫、乏突起星細胞腫、褐色細胞腫、髄膜腫、悪性中皮腫及びウイルス誘導がんからなる群より選択される。
本発明の方法に従って治療される対象は、成人患者及び小児患者を含むヒト患者であってもよい。
各種実施形態において、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)は、例えば、約1〜約20分又は約2〜約5分間、静脈内注入によって投与される。更なる実施形態において、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、例えば、約0.1mg/m2〜約20mg/m2又は約1.1mg/m2又は1.4mg/m2の範囲の量において投与することができる。
更なる実施形態において、HDAC阻害剤は、例えば、毎週又は隔週で、例えば、0.5-30mg/日の範囲の量において経口的に投与することができる。一例として、HDAC阻害剤は、エンチノスタットであり、例えば、約4-10mg/m2の量において投与される。
本発明の方法に従う治療は、任意に(i)がん細胞の数を低下させる;(ii)腫瘍体積を低下させる;(iii)腫瘍退縮率を増加させる;(iv)末梢器官へのがん細胞浸潤を低下又は遅延させる;(v)腫瘍転移を低下又は遅延させる;(vi)腫瘍成長を低下又は阻害する;(vii)がんの発生若しくは再発を予防又は遅延させる及び/又は疾患若しくは腫瘍がない生存期間を延長させる;(viii)全体の生存期間を増加させる;(ix)治療の頻度を低下させる;及び/又は(x)がんと関連した一又は複数の症状を緩和する。
例えば、本願明細書に記載されているように、対象の腫瘍のサイズを減少させる方法も本発明によって提供される。これらの方法は、例えば、本願明細書に記載されているように、(a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、及び(b)HDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット)を対象に投与するステップを有する。
本発明の方法は、例えば、上述及び本願明細書のどこか別の場所で述べられている通り、抗ホルモン剤(例えば、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン又はアロマターゼ阻害薬)、免疫調節剤(例えば、抗体又はワクチン)、化学療法剤/抗腫瘍剤、抗菌剤、制吐剤及び抗炎症剤より任意に選択される1又は複数の追加の治療薬剤を対象に投与するステップを更に任意に有することができる。
本発明は、例えば、本願明細書に記載されているように、対象におけるがんを治療する又は腫瘍サイズを減少させるために使用するためのキットを含む。本キットには、任意に剤形として、(a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、及び(b)HDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット)が含まれる。
本発明には、本願明細書に記載されているように、がんの治療用の、本願明細書に記載の医薬組成物だけでなく、本願明細書に記載されているように、がん治療における、記載の薬剤(即ち、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット))の使用も含まれる。したがって、本発明は、がんを患っている又はがんを発症するリスクのある対象を治療する方法で使用するための、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩を含み、かかる方法は、(a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び(b)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を対象に投与するステップを有する。本発明は、がんを患っている又はがんを発症するリスクのある対象を治療するための医薬を製造する方法で使用するための、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩も含まれ、かかる方法には、(a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び(b)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を対象に投与するステップを有する。
本発明の方法は、がん治療を向上させるアプローチを提供する。例えば、本願明細書に記載されている併用療法は、相乗効果を得るために用いることができ、例えば、上記効果は、当業者によって測定することができる個々に投与される薬の効果の合計よりも大きい。相加効果も有益であり、成し遂げることも可能である。
本発明の他の特徴及び効果は、以下の記載及び特許請求の範囲から明白である。
本発明は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、エンチノスタット)との併用におけるエリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)の投与を伴う、がん(例えば、ホルモン応答性がん)の治療又は予防方法を提供する。
本発明の方法によるがんの治療は、(i)がん細胞の数を低下させる;(ii)腫瘍体積を低下させる;(iii)腫瘍退縮率を増加させる;(iv)末梢器官へのがん細胞浸潤を低下又は遅延させる;(v)腫瘍転移を低下又は遅延させる;(vi)腫瘍成長を低下又は阻害する;(vii)がんの発生若しくは再発を予防又は遅延させる及び/又は疾患若しくは腫瘍がない生存期間を延長させる;(viii)全体の生存期間を増加させる;(ix)治療の頻度を低下させる;及び/又は(x)がんと関連した一又は複数の症状を緩和することができる。
医薬組成物、用量及び方法
エリブリン及び/又はHDAC阻害剤を含む医薬組成物は、従来技術において知られている標準的な方法を用いて調製したり、購入したりすることができる。一般的に、本発明において使用するエリブリン及びHDAC阻害剤は、別々の医薬組成物中に含まれているが、それらは、任意に、単一の組成物中に含めることができる。エリブリンは、一般的に、静脈内投与のために液体状態で提供される一方で、HDAC阻害剤は、選択される阻害剤によっては、例えば、経口製剤か静脈内製剤として任意に調製することができる。
例えば、本発明において使用する医薬組成物は、生理的に許容可能な希釈液、担体、賦形剤又は安定剤に、所望の純度を有する活性成分を混合又は溶解することによって、調製することができる(例えば、RemingtonのPharmaceutical Sciences(22版)を参照、編集者A. Gennaro、2012、Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA)。許容可能な希釈液には、水及び生理食塩水が含まれ、任意に緩衝液(例えばリン酸塩、クエン酸塩又は他の有機酸);ブチルオキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニゾール(BHA)、アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン、アミノ酸(例えばグリシン)、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン);グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖、二糖又は他の糖質;キレート剤(例えばEDTA);糖アルコール(例えばマンニトール又はソルビトール);塩-形成性対イオン(例えばナトリウム);及び/又は非イオン性界面活性剤(例えばTWEENTM、PLURONICSTM又はPEG)が挙げられる。
経口用剤形のための組成物を調製する際に、通常の医薬媒体のいずれか、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香料、防腐剤、染色剤を使用することができる。加えて、キャリア(例えばデンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈液、造粒剤、潤滑油、結合剤、崩壊剤など)は、経口用固体(例えば粉末、カプセル及びタブレット)の調製の場合に使用することができる。
任意に、本発明の製剤は、医薬的に許容可能な防腐剤を含有する。いくつかの実施形態において、保存濃度は、0.1から2.0%(一般的にはv/v)の範囲である。好適な防腐剤として、製薬技術において知られているもの(例えばベンジルアルコール、石炭酸、m-クレゾール、メチルパラベン及びプロピルパラベン)が挙げられる。更に、エリブリン及び/又はHDAC阻害剤の製剤は、任意に、医薬的に許容可能な塩、例えば、約生理的濃度の、例えば、塩化ナトリウムが含まれる。したがって、一例として、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)は、0.9%の塩化ナトリウム注射液(USP)に調製される。
上述した(及び他のところで述べた)製剤は、薬の投与のために用いることができる。したがって、上記薬は、静脈内、腫瘍内、腫瘍周囲、動脈内、皮内、膀胱内、眼内、筋肉内、皮内、腹腔内、肺、皮下及び経皮ルートを含むルートによって投与することができる。例えば、経口、経粘膜、経皮、吸入、腟内及び直腸投与ルートを含む他のルートを用いることもできる。
本願明細書に記載の投与されるエリブリン及びHDAC阻害剤の用量は、標的疾患のタイプ、デリバリー方法の選択だけでなく、患者の年齢、性別及び体重、症状の重症度、他の要因に応じて著しく異なるものとすることができる。使用する用量は、(例えばこれらの)要因に基づいて、当業者が決定することができる。本発明の方法及び投与投与計画で用いることができるエリブリン及びHDAC阻害剤の例は、更に以下で述べる。
エリブリン
例えば、エリブリンの合成方法は、米国特許第6,214,865号;米国特許第7,982,060号;米国特許第8,350,067号;及び米国特許第8,093,410号に記載されており、それぞれを本願明細書に引用したものとする。上述した通り、エリブリンメシル酸塩は、購入可能であり、ハラヴェン(登録商標)として市販されている。
エリブリンは、本発明において、塩の形態で任意に用いることができる。無機酸性塩や有機酸塩であったとしても、使用する塩に関して特段の制限は存在しない。例えば、塩は、メシル酸塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、塩酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、スーパーリン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸の酸性塩、乳酸塩、ケイ酸塩(salicic acid salt)、酒石酸塩、パントテン酸塩(pantotenic acid salt)、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモン酸塩(パモエート)などから選択される。さらに、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、ナトリウム、亜鉛及びジエタノールアミンの塩を使用することができる。
エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)の1日あたりの用量は、例えば、0.001mg/m2〜約100mg/m2の範囲(例えば、約0.1mg/m2〜約50mg/m2の範囲、約0.7mg/m2〜約1.5mg/m2の範囲、又はこれらの範囲内の任意の一つの量(例えば、1.4mg/m2又は1.1mg/m2))とすることができる。エリブリンは日、週、月又は年に一回、単一用量として投与したり、エリブリンを複数回用量として日、週、月又は年毎に投与したりすることができる。例えば、1つの投与プロトコールにおいて、エリブリンは、21日サイクルのうち1日目及び8日目に一回投与することができる。より具体的には、エリブリンメシル酸塩の推奨用量は、1.4mg/m2であり、21日サイクルのうち1日目及び8日目に2〜5分にわたって静脈内に投与される。軽度の肝障害(チャイルドピューA)患者のエリブリンメシル酸塩の推奨用量は、21日サイクルのうち1日目及び8日目に2〜5分にわたる静脈内投与で、1.1mg/m2である。その一方で、中程度の肝障害(チャイルドピューB)患者のエリブリンメシル酸塩の推奨用量は、21日サイクルのうち1日目及び8日目に2〜5分にわたる静脈内投与で、0.7mg/m2である。更に、中程度の腎臓機能障害(30-50mL/分のクレアチニンクリアランス)の患者のエリブリンメシル酸塩の推奨用量は、21日サイクルの1日目及び8日目に2〜5分にわたる静脈内投与で、1.1mg/m2である。本発明の方法によれば、エリブリンメシル酸塩のこれらの用量又はこれらよりも低い他の用量が、併用療法の状況において、任意に用いることができる。
HDAC阻害剤本発明において用いることができるHDAC阻害剤は、クラスI、II、III又はIVに属する任意のHDACに特異的であってもよく、これらのクラスのうちの1つ、2以上又は全てに対して有効であってもよい(例えば、HDAC阻害剤は、HDACクラスI、II及びIVに対して有効であってもよい)。HDAC阻害剤は、それらの特異性に基づいて分けてもよく、代わり、それらの化学構造に基づいて分けてもよい。例えば、本発明において用いることができるHDAC阻害剤は、それらの化学構造に基づいて、以下のクラスのうちの1つに任意に当てはめることができる:ヒドロキサム酸誘導体(例えば、トリコスタチンA、ボリノスタット[SAHA]、パノビノスタット[LBH-589]、ベリノスタット[PXD101;ベリノスタット]、ギビノスタット(givinostat)[ITF2357]、プラシノスタット(practinostat)
[SB939]、キシノスタット[JNJ-26481585]、アベキシノスタット[PCI-24781]、CHR-3996及びAR-42)、カルボン酸誘導体(例えば、バルプロ酸塩及び酪酸塩)、ベンズアミド誘導体(例えば、エンチノスタット[MS275]、エンチノスタット多形体B、モセチノスタット及びチダミド[CS055/HBI-8000])、環状ペプチド(例えば、アピシジン及びロミデプシン[イストダックス;デプシペプチド])、及び、エポキシケトン(例えば、トラポキシン類)。
特定の一例として、本発明において使用するHDAC阻害剤は、エンチノスタットである。これは、よく選択されるクラスI HDAC阻害剤である。エンチノスタットの合成方法は、例えば、米国特許第6,794,392号、WO 01/12193及び米国特許第7,973,166号(多形体B)に記載されており、各々は、本願明細書で引用したものとする。エンチノスタットは、日、週、月又は年に一回の単一用量として投与したり、エンチノスタットを複数回用量として日、週、月又は年毎に、任意に経口ルートによって投与したりすることができる。例えば、1つの投与プロトコールにおいて、エンチノスタットは、21又は28日サイクルのうち1日目及び8日目に一回(例えば、経口ルートによって)投与することができる。他の例として、エンチノスタットは、毎日、週二回、毎週、隔週又は毎月、投与される。エンチノスタットの各用量は、例えば、0.5-50mg(例えば、1、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、25、30、35、40、又は45mg)であってもよく、任意に、経口ルートによって投与される。他の例として、用量は、経口ルートによる一日当たり4-10mg/m2(例えば、4、5、6、7、8、9、又は10mg/m2)である。
併用投与計画
上述した通り、本発明方法によれば、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)は、併用投与される。いくつかの実施形態において、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)は、実質的に同時に投与される。いくつかの実施形態において、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)は、別々に投与される。例えば、エリブリンが最初に投与されて、次に、HDAC阻害剤投与が投与される、又は、HDAC阻害剤が最初に投与されて、次に、エリブリンが投与される。いくつかの実施形態において、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及びHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)は、実質的に同時に投与されて、次に、エリブリン又はHDAC阻害剤が投与される。いくつかの実施形態において、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)又はHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)が、最初に投与されて、次に、エリブリン及びHDAC阻害剤が実質的に同時に投与される。投与は、同日に開始してもよく、1つの薬剤を用いた治療を、他の治療の、例えば、1、2、3、4、5、又は6週前にスタートさせてもよく、これは、当業者が適宜決定することができる。
エリブリン及び1又は複数のHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)に加えて、本発明の方法には、1又は複数の追加の治療薬剤の投与を含めることもできる。これらの薬剤の中で、抗ホルモン剤(例えば、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン又はアロマターゼ阻害薬)、免疫調節剤(例えば、抗体又はワクチン)、化学療法剤/抗腫瘍剤、抗菌剤、制吐剤及び抗炎症剤が適切である。他の例として、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)及び1又は複数のHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)を、唯一の治療薬剤(例えば、唯一の抗がん)として、治療投与計画に用いることができる。したがって、本発明の方法は、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩(例えば、エリブリンメシル酸塩)、(b)HDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上述のリストも参照)の投与からなるものとすることができる。
がん
本発明の方法は、対象(例えば、ヒト患者)のがん(例えば、ホルモン応答性がん)を(例えば、進行遅延を含む)治療若しくは予防及び/又は腫瘍サイズを減少させるために用いることができる。ホルモン応答性がんは、一般的に、ホルモン(例えば、ステロイドホルモン[例えば、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン又はコルチコステロイド]又は甲状腺ホルモン)に応答して増殖が刺激されるがん細胞によって特徴づけられる。対象は、がん(例えば、ホルモン応答性がん)と診断されている、がんが発症するリスクがある、がんの治療中である、又は、がんの治療後の回復期間にいるものとすることができる。更に、本方法は、転移及び/又は再発を治療又は予防するために用いることができる。本治療は、単独での化学療法とすることができるが、腫瘍の除去又はそのサイズを小さくする外科手術(例えば、術前補助治療)、放射線治療、抗ホルモン療法、免疫療法及び/又は除去療法との併用療法も本発明に含まれる。
がんは、局所的に進行した又は転移性の原発腫瘍であってもよくて、任意に、上述の通り、ホルモン応答性であってもよい。様々な実施例において、がんは乳がん、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん、白血病、リンパ腫、肺がん(例えば、小細胞肺がん)、神経内分泌腫瘍(例えば、膵臓の神経内分泌腫瘍)、褐色細胞腫及び甲状腺がんからなる群より選択され、これら例示の各々は、任意にホルモン応答性であってもよい。他の例として、がんは、胃がん、結腸がん、肝がん、腎臓がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、肛門がん、外陰がん、陰茎がん、膣がん、睾丸がん、骨盤がん、直腸がん、脳がん、頭頸部がん、食道がん、気管支がん、胆嚢がん、卵巣がん、膀胱がん、経口がん、口腔咽頭がん、喉頭がん、胆道がん、皮膚がん(例えば、黒色腫)、中央神経系がん、呼吸器系がん、及び尿路系がんからなる群より選択することができる。
更に詳細にいえば、本発明の方法に従って治療又は予防できるがんには、白血病(例えば、B細胞白血病、T細胞白血病、急性の骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)及び赤白血病)、肉腫(例えば、血管肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、繊維肉腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性繊維状細胞腫、骨肉腫、多形性肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、血管の肉腫、カポシ肉腫、皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、平滑筋肉腫及び神経線維肉腫)、癌腫(例えば、基底細胞癌腫、大細胞癌腫、小細胞癌腫、非小細胞肺癌腫、腎癌腫、肝癌腫、胃癌腫、絨毛癌腫、腺癌腫、肝細胞癌腫、巨細胞(又は、燕麦細胞)癌腫、扁平上皮癌腫、腺扁平上皮癌腫、退形成性癌腫、副腎皮質性癌腫、胆管癌腫、メルケル細胞癌腫、非浸潤性乳管癌腫(DCIS)及び侵襲性腺管癌腫)、芽腫(例えば、肝芽腫、髄芽腫、腎芽腫、神経芽腫、膵芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫及び多形神経膠芽腫)、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキット-リンパ種及びろ胞性リンパ腫)、胸腺腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫、プラズマ細胞腫、局所性骨髄腫及び骨髄外骨髄腫)、黒色腫(例えば、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、肢端黒子型黒色腫及び無色性黒色腫)、神経腫(例えば、神経節細胞腫、パチニ神経腫及び聴神経腫)、膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起星細胞腫、上衣細胞腫、脳幹膠腫、視神経膠腫及び乏突起星細胞腫)、褐色細胞腫、髄膜腫、悪性中皮腫及びウイルス誘導がんが含まれる。
本発明の方法は、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん、トリプルポジティブ乳がん、HER2ネガティブ乳がん、HER2ポジティブ乳がん、エストロゲン受容体ポジティブ乳がん、エストロゲン受容体ネガティブ乳がん、プロゲステロン受容体ポジティブ乳がん、プロゲステロン受容体ネガティブ乳がん、非浸潤性乳管癌腫(DCIS)、侵襲性腺管癌腫、侵襲性小葉癌腫、炎症性乳がん、乳房ページェット病及び葉状腫瘍)を治療又は予防するために用いることができる。エストロゲン受容体ポジティブ乳がんは、トリプルネガティブ乳がんと同様、特に注目に値する。
本発明の方法に従って治療できる患者は、その人はがん(例えば、本願明細書に記載のがんタイプ)を患っている、成人(例えば、18又は21歳より年上の人)だけでなく、小児患者(例えば、18又は21歳の以下の患者)も含まれる。小児患者に関して、治療できるがんの特定の例には、例えば、上記した肉腫及び白血病が含まれる。
キット
本発明は、エリブリン(例えば、エリブリンメシル酸塩)を有する容器及び/又は本願明細書に記載のHDAC阻害剤(例えば、エンチノスタット;上記も参照)を有する容器を含むキットも提供する。かかるキットのエリブリン及び/又はHDAC阻害剤は、がん(例えば、ホルモン応答性がん;上述のリストを参照)を治療する必要のある患者のがんを治療するのに十分な量(例えば、単回投与又は複数回投与に十分な量)にて提供してもよい。したがって、上記キットは、複数の容器を含み、それぞれ、単一用量のエリブリン及び/又はHDAC阻害剤医薬組成物を有効量含んでいてもよい。任意に、医薬組成物を投与するために必要な機器又はデバイスがキットに含まれていてもよい。更に、上記キットには、エリブリン及び/又は本願明細書に記載のHDAC阻害剤を用いてがん(例えば、ホルモン応答性がん)患者を治療するための追加の要素(例えば指示書又は投与計画)が含まれていてもよい。
本発明を、以下の実施例にて例示する。これは、決して、本発明を限定することを目的とするものではない。
エリブリン及びエンチノスタットの2つの試験薬剤の成長阻害活性を、12のヒト乳がん細胞株に対して単独及び併用下で決定した(表1)。ヒト乳房腫瘍細胞株は、ヒト上皮細胞成長因子受容体2ネガティブ(Her2-)及びエストロゲン受容体ポジティブ(ER+)又はトリプルネガティブ(Her2-、ER-及びプロゲステロン受容体ネガティブ[PR-])のいずれかである、それらのプロファイル特性に基づいて選択した。個々薬剤の活性は、4つのパラメーターロジスティック方程式においてコントロール細胞と比較して50%細胞成長を阻害する薬剤の濃度に関する曲線のあてはめによって決定される一方で、薬剤の併用は、Chou及びTalalay (Advances in Enzyme Regulation 22:27-55, 1984)の方法によって決定し、CalcuSynソフトウェアによって分析した。Fa(所定の薬の濃度において影響を受けた薬ターゲットの画分)は、微小な減少から算出した。各薬剤を個々に試験して、50%有効量、Dm(又は、EC50、50%有効濃度)を決定した。併用治療のために、相対的Dmに基づいて約等効力濃度を提供する比率にて薬液を混合して、この混合物を連続的に希釈し、試験濃度を得た。同じFaが得られる混合及び未混合薬の濃度の比率から計算される併用係数(CI)は、阻害が付加的であるか、相乗的であるか、拮抗的かどうか示す。全細胞アッセイにおいて、阻害剤相互作用は、排他的(完全に競合的)又は非排他的(完全に非競合的)というよりはむしろ複合的(混合的)である。両タイプの阻害のCI値が報告されており、可能性のある値の範囲が規定される。
我々は、最初に、広範囲にわたる薬剤濃度を使用してヒト腫瘍細胞株のパネルに対して単独での調査薬剤の増殖抑制作用を決定して、2つの同じサンプルを10ポイント用量反応範囲で分析した(実験1)。次に、我々は、狭い範囲の薬剤濃度を使用してヒト腫瘍細胞株のパネルに対して単独での調査薬剤の増殖抑制作用を決定して、2つの同じサンプルを10又は20ポイント用量反応範囲で分析した(実験2)。最後に、実験3において、我々は、ヒト腫瘍細胞株のパネルに対して併用での調査薬剤の増殖抑制作用を決定した。決定した薬剤のIC50値を用いて、Chou-Talalay(Advances in Enzyme Regulation 22:27-55, 1984)の一定比率のデザインに基づく併用調査のための適切な薬率及び濃度範囲を決定した。我々は、更に、4つの同じサンプルを7ポイント用量反応範囲で分析した。
素材及び方法
細胞培養
MCF-7ヒト乳がん細胞を、10% ウシ胎児血清(FBS)、2mM グルタミン、10mM 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、0.075% 重炭酸ナトリウム、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むRPMI 1640培地で培養した。T-47Dヒト乳がん細胞を、10% FBS、4.5g/L グルコース、2mM グルタミン、10mM HEPES、0.2ユニット/mL インスリン、1mM ピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むRPMI 1640培地で培養した。ZR-75-1ヒト乳がん細胞を、10% FBS、4.5g/L グルコース、2mM グルタミン、10mM HEPES、1mM ピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むRPMI 1640培地で培養した。MDA-MB-134-VIヒト乳がん細胞を、20% FBS、2mM グルタミン、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むリーボビッツL-15培地で培養した。MDA-MB-175-VIIヒト乳がん細胞を、10% FBS、2mM グルタミン、10mM HEPES、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むリーボビッツL-15培地で培養した。MDA-MB-415ヒト乳腺/乳房がん細胞を、15% FBS、10μg/mL ヒトインスリン、10μg/mL グルタチオン、2mM グルタミン、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むリーボビッツL-15培地で培養した。MDA-MB231、HCC1806、BT-549及びHs578tヒト乳がん細胞を、10% FBS、2mM グルタミン、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むRPMI 1640培地で培養した。HCC70ヒト乳がん細胞を、10% FBS、2mM グルタミン、4.5g/L グルコース、10mM HEPES、0.075% 重炭酸ナトリウム、1mM ピルビン酸ナトリウム、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むRPMI 1640培地で培養した。MDA-MB-436ヒト腺癌腫由来がん細胞を、10% FBS、10μg/mL ウシインスリン、16μg/mL グルタチオン、2mM グルタミン、100ユニット/mL ペニシリンGナトリウム、100μg/mL 硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mL ゲンタミシンを含むリーボビッツL-15培地で培養した。腫瘍細胞を、5% CO2及び95% 空気の雰囲気下で、37℃の加湿インキュベーター内において組織培養瓶で培養した(ただし、MDA-MB-134-VI、MDA-MB-175-VII、MDA-MB-415及びMDA-MB-436を除く。これらの細胞は、CO2添加なしの100% 空気における37℃で培養した)。
治療薬剤
エリブリンは、原液(10mM)で供給し、-80℃で遮光保存した。調査1日目に上記原液を解凍し、10μLの原液を90μLのDMSOで希釈して1000Xストック(1mM)を調整した。1000Xストックを用いて、1% DMSO(培地中)での10X(10μM)薬品溶液を調製した。
エンチノスタットは、SelleckChem(Catalog No. S1116)から取得して、10mMの原液(DMSO)で供給し、-80℃で保存した。10mMの原液は、1000Xストックとして提供し、10Xストックは、1%のDMSO(培地)で希釈された10mMの原液を100μMの濃度に希釈することによって調整した。
増殖測定
選択されたヒト腫瘍細胞を、透明なポリスチレン96ウェル微小培養プレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標) 96ウェル平底プレート、Cat. No. 3997)にウェル当たり90μLの合計容量で2,000-5,000細胞/ウェルを播種した。5% CO2及び95% 空気の37℃の加湿インキュベーターにおいて24時間インキュベートした後(MDA-MB-134-VI、MDA-MB-175-VII、MDA-MB-415及びMDA-MB-436を除く。これらの細胞は、CO2添加なしの100% 空気における37℃で培養)、10μLの10X薬品溶液を加えた。実験1に関して、10μLの10Xエリブリン薬品溶液を、一番高い濃度が1μMの終濃度となるように90μLの細胞播種培地に加え、1:4の割合で希釈して、全部で10個の希釈物を調整した。エンチノスタットに関しては、10μLの10X薬品溶液を、一番高い濃度が10μMの終濃度となるように90μLの細胞播種培地に加え、1:4の割合で希釈して、全部で10個の希釈物を調整した。単一薬剤の狭い範囲のIC50値測定である実験2に関しては、10μLの10X薬品溶液を、表2に記載の終濃度となるように90μLの細胞播種培地に加えた。MDA-MB-436、MDA-MB-134VI、MDA-MB-175VII及びMDA-MB-415に関しては、培地を交換して、細胞播種の72時間後に新しい薬を加えた。培養の72時間(MDA-MB-436、MDA-MB-134VI、MDA-MB-175VII及びMDA-MB-415は144時間)後に、播種した細胞及びCell Titer-Glo(登録商標)(Promega #G7571)試薬を室温に移動させて、30分間平衡化した。100μLのCell Titer-Glo(登録商標)試薬を各ウェルに加えた。溶解を誘導するために2分間プレートをシェイクして、ルミネッセンスシグナルを安定させるために、10分間平衡化した。Tecan GENiosマイクロプレート上での発光を測定する前に、培地/Cell Titer-Glo(登録商標)試薬を白色ポリスチレン96ウェル微小培養プレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標)96ウェル平底プレート、Cat. No. 3917)に移した。決定された全てのIC50値は、小数第二位が示されるようにまるめた。細胞成長のパーセント阻害は、未処理コントロールウェルに対して算出した。全ての試験は、各濃度レベルで同じもの2つ用いて実施した。試験薬剤のIC50値は、以下の4つのパラメーターロジスティック方程式を使用してデータを曲線にあてはめることによってPrism 6.05を用いて推定した。
Topは、コントロール発光の最大%であり、Bottomは、最も高い薬剤濃度でのコントロール発光の最小%であり、Yは、コントロール発光の%であり、Xは、薬剤濃度であり、IC50は、コントロール細胞と比較して細胞成長を50%阻害する薬剤の濃度であり、nは、曲線の傾きである。
実験2下で決定した薬剤のIC50値を、Chou-Talalay(Advances in Enzyme Regulation 22:27-55, 1984)の一定の比率のデザインに基づく併用調査のための適切な薬比率及び濃度範囲を決定するために用いた。がん細胞を、透明なポリスチレン96ウェル微小培養プレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標)96ウェル平底プレート、Cat. No. 3997)にウェル当たり90μLの合計容量で2,000-5,000細胞/ウェルを播種した5% CO2及び95% 空気の37℃の加湿インキュベーターにおいて24時間インキュベートした後(MDA-MB-134-VI、MDA-MB-175-VII、MDA-MB-415及びMDA-MB-436を除く。これらの細胞は、CO2添加なしの100%空気における37℃で培養)、10Lの10X連続希釈試験薬剤を4つ同じものができるように各ウェルに加えた。MDA-MB-436、MDA-MB-134VI、MDA-MB-175VII及びMDA-MB-415に関しては、培地を交換して、細胞播種の72時間後に新しい薬を加えた。細胞(同じウェルを4つ作成)は、実験1及び2(表3及び4)において決定したIC50に基づいて化合物を併用してインキュベートした。薬比率は、併用する薬剤のそれぞれのIC50の比率と同じになるようにした。近い添加物の併用反応のために、薬濃度は、合計7通りの薬濃度を有する併用する薬剤(1.25倍希釈)の阻害曲線に基づいて選択した連続希釈についてのそれぞれのIC50の半分の合計としてひとくくりにした。薬インキュベーションの72時間(MDA-MB-436、MDA-MB-134VI、MDA-MB-175VII及びMDA-MB-415は144時間)後、菌体数を、上記の通りCell Titer Glo(登録商標)アッセイによって決定した。併用のデータ分析は、Chou及びTalalayによって開発(BioSoftによって流通)されたCalcuSyn Software 2.0を使用して実行した。試験薬剤が相乗的、付加的又は拮抗的効果を生み出すかどうかを決定するために、ソフトウェアによって生成させた併用係数(CI)値の解釈のためにスケールを用いた(表5)。
結果の要約
エリブリン及びエンチノスタットの阻害活性は、単独で及び併用で、表1にて説明したように、12のヒト乳がん細胞株のパネルに対して評価した。実験1及び2(単一薬剤のIC50決定)の結果は、表6に示している。全体として、全ての細胞株においてエリブリンがエンチノスタットよりも強力であったという結果が示されている。加えて、この結果は、狭い範囲の希釈物を使用してもより信頼性が高くなければならないが、広い範囲から得られた値は、狭い範囲の結果と異なるものではなかった。
前述の通りに併用を決定した。エリブリン及びエンチノスタットは、(上記の)表3及び表4による濃度で試験した。加えて、Her-2-/ER+細胞株に関して、併用は、全希釈を通じて、0.1μMのフルベストラントを一定用量でも実行した。それぞれ、トリプルネガティブ及びHer-2-/ER+乳房細胞株の実験的なFa値から決定したCI値をそれぞれ表7及び表8に示している。特に注目に値するものとして、表7にリストされているトリプルネガティブ乳房細胞株におけるエリブリン及びエンチノスタットの併用に関する実験的なCI値は、HCC1806及びMDA-MB-436細胞においてはED50に基づく相加性を、BT-549及びMDA-MB-231細胞においては平均ED50/75/90に基づく相加性を示している。中程度の相乗性は、Hs578t細胞においてはED50及びED50/75/90に基づいて示された。表8にリストされているHer2-/ER+乳がん(breast cancer)細胞株に関しては、相加性が、MCF-7細胞(+フルベストラント)、MDA-MB-134VI細胞(-フルベストラント)、T-47D細胞(+/-フルベストラント)及びMDA-MB-415細胞(-フルベストラント)においてはED50及びED50/75/90に基づいて示された。ED50に基づく相加性及びED50/75/90に基づく中程度の相乗性は、MDA-MB-415細胞(+フルベストラント)において観察された。中程度の相乗性は、MCF-7細胞(-フルベストラント)においてはED50及びED50/75/90に基づいて観察された。
他の実施形態本発明がその特定の実施形態と関連付けて記載している一方で、更なる変更形態が可能であり、本願は、本発明の原理に一般的に従う本発明の任意のバリエーション、使用又は適応をカバーし、これには、本発明に関係し且つ本願明細書に記載の必須の特徴に適用し得る技術の範囲内で公知又は慣習的な実務内に入る本開示由来のかかる発展が含まれることを意図していることを理解されよう。
本明細書に記載の全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ独立した刊行物又は特許出願がそれらの全部を引用して具体的且つ個々に明示しているように本願明細書で引用されている。
本願明細書での単数形(例えば、「a」及び「the」)の使用は、文脈において明示の反対がない限り、対応する複数形の適用を除外しない。同様に、複数語の使用は、対応する単数形の適用を除外しない。他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。

Claims (39)

  1. がんを患っている又はがんが発症するリスクを有する対象を治療する方法であって、
    前記方法は、
    (a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び(b)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を前記対象に投与するステップを有する、
    方法。
  2. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記HDAC阻害剤は、ヒドロキサム酸誘導体、カルボン酸誘導体、ベンズアミド誘導体、環状ペプチド、及び、エポキシケトンからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. HDAC阻害剤は、トリコスタチンA、ボリノスタット、パノビノスタット、ベリノスタット、ギビノスタット(givinostat)、プラシノスタット(practinostat)、キシノスタット、アベキシノスタット、CHR-3996、AR-42、バルプロ酸塩、酪酸塩、エンチノスタット、エンチノスタット多形体B、モセチノスタット、チダミド、アピシジン、ロミデプシン、及び、トラポキシン類からなる群より選択される、請求項1-3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記HDAC阻害剤は、エンチノスタットである、請求項1-4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記方法は、(a)エリブリンメシル酸塩、及び(b)HDAC阻害剤を前記対象に投与するステップからなる、請求項1-5のいずれかに記載の方法。
  7. (a)エリブリンメシル酸塩及び(b)エンチノスタットを前記対象に投与するステップからなる、請求項1-6のいずれかに記載の方法。
  8. (a)及び(b)は、実質的に同時に投与される、請求項1-7のいずれかに記載の方法。
  9. (a)は、最初に投与され、次に(b)が投与される、請求項1-7のいずれかに記載の方法。
  10. (b)は、最初に投与され、次に(a)が投与される、請求項1-7のいずれかに記載の方法。
  11. (a)及び(b)は、実質的に同時に投与され、次に(a)が投与される、
    又は、
    (a)及び、(b)は、実質的に同時に投与され、次に(b)が投与される、
    請求項1-7のいずれかに記載の方法。
  12. 前記対象は、ヒトである、請求項1-11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記対象は、がんと診断されている、がんの治療中である又はがん治療後の回復期にいるものである、請求項1-12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記がんは、一次腫瘍、局所進行性又は転移性である、請求項1-13のいずれかに記載の方法。
  15. がんは、乳がん、肉腫、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん、白血病、リンパ腫、肺がん、神経内分泌腫瘍、褐色細胞腫、及び、甲状腺がん、からなる群より選択される、請求項1-14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記がんは、トリプルネガティブ乳がん、トリプルポジティブ乳がん、HER2ネガティブ乳がん、HER2ポジティブ乳がん、エストロゲン受容体ポジティブ乳がん、エストロゲン受容体ネガティブ乳がん、プロゲステロン受容体ポジティブ乳がん、プロゲステロン受容体ネガティブ乳がん、非浸潤性乳管癌腫(DCIS)、侵襲性腺管癌腫、侵襲性小葉癌腫、炎症性乳がん、乳房ページェット病、及び、葉状腫瘍からなる群より選択される乳がんである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記がんは、血管肉腫、血管内皮腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、繊維肉腫、消化管間質腫瘍、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、悪性繊維状細胞腫、骨肉腫、多形性筋肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、血管の筋肉腫、カポシ肉腫、皮膚線維肉腫、類上皮肉腫、平滑筋肉腫、及び、神経線維肉腫からなる群より選択される肉腫である、請求項15に記載の方法。
  18. がんは、胃がん、結腸がん、肝がん、腎臓がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、肛門がん、外陰がん、陰茎がん、膣がん、睾丸がん、骨盤がん、直腸がん、脳がん、頭頸部がん、食道がん、気管支がん、胆嚢がん、卵巣がん、膀胱がん、経口がん、口腔咽頭がん、喉頭がん、胆道がん、皮膚がん、黒色腫、中央神経系がん、呼吸器系がん、及び、尿路系がんからなる群より選択される、請求項1-14のいずれかに記載の方法。
  19. がんは、B細胞白血病、T細胞白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性(リンパ芽球性)白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、赤白血病、基底細胞癌腫、大細胞癌腫、小細胞癌腫、非小細胞肺癌腫、腎癌腫、肝癌腫、胃癌腫、絨毛癌腫、腺癌腫、肝細胞癌腫、巨大細胞(又は、燕麦細胞)癌腫、扁平上皮癌腫、腺扁平上皮癌腫、退形成性癌腫、副腎皮質性癌腫、胆管癌腫、メルケル細胞癌腫、非浸潤性乳管癌腫(DCIS)、侵襲性腺管癌腫、肝芽腫、髄芽腫、腎芽腫、神経芽腫、膵芽腫、胸膜肺芽腫、網膜芽腫、多形神経膠芽腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキット-リンパ種、ろ胞性リンパ腫、胸腺腫、多重骨髄腫、プラズマ細胞腫、局所性骨髄腫、骨髄外骨髄腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、肢端黒子型黒色腫、無色性黒色腫、神経節細胞腫、パチニ神経腫、聴神経腫、星状細胞腫、乏突起星細胞腫、上衣細胞腫、脳幹膠腫、視神経膠腫、乏突起星細胞腫、褐色細胞腫、髄膜腫、悪性中皮腫、及び、ウイルス誘導がんからなる群より選択される、請求項1-14のいずれかに記載の方法。
  20. 前記がんは、ホルモン応答性がんである、請求項1-19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記対象は、成人患者である、請求項1-19のいずれかに記載の方法。
  22. 前記対象は、小児患者である、請求項1-20のいずれかに記載の方法。
  23. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、静脈内注入によって投与される、請求項1-22のいずれかに記載の方法。
  24. 前記静脈内注入は、約1〜約20分間である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記静脈内注入は、約2〜約5分間である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、約0.1mg/m2〜約20mg/m2の範囲の量において投与される、請求項1-25のいずれかに記載の方法。
  27. 前記エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩は、約1.1mg/m2又は1.4mg/m2の量において投与される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記HDAC阻害剤は、毎週又は隔週で、0.5-30mg/日の範囲の量において経口的に投与される、請求項1-27のいずれかに記載の方法。
  29. 前記HDAC阻害剤は、エンチノスタットであり、約4-10mg/m2の量において投与される、請求項1-28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記治療は、(i)がん細胞の数を低下させる;(ii)腫瘍体積を低下させる;(iii)腫瘍退縮率を増加させる;(iv)末梢器官へのがん細胞浸潤を低下又は遅延させる;(v)腫瘍転移を低下又は遅延させる;(vi)腫瘍成長を低下又は阻害する;(vii)がんの発生若しくは再発を予防又は遅延させる及び/又は疾患若しくは腫瘍がない生存期間を延長させる;(viii)全体の生存期間を増加させる;(ix)治療の頻度を低下させる;及び/又は(x)がんと関連した一又は複数の症状を緩和する、請求項1-29のいずれかに記載の方法。
  31. 対象の腫瘍のサイズを減少させる方法であって、
    前記方法は、
    (a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び、(b)HDAC阻害剤を前記対象に投与するステップを有する、
    方法。
  32. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、請求項31に記載の方法。
  33. 前記HDAC阻害剤は、エンチノスタットである、請求項31又は32に記載の方法。
  34. 抗ホルモン剤(例えば、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェン、又はアロマターゼ阻害薬)、免疫調節剤(例えば、抗体、又は、ワクチン)、化学療法剤/抗腫瘍剤、抗菌剤、制吐剤、及び、抗炎症剤より任意に選択される1又は複数の追加の治療薬剤を前記対象に投与するステップを更に有する、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
  35. 対象におけるがんを治療する又は腫瘍サイズを減少させるために使用するためのキットであって、
    前記キットは、
    任意に剤形として、(a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び、(b)HDAC阻害剤、を含む、
    キット。
  36. 前記エリブリンの医薬的に許容可能な塩は、エリブリンメシル酸塩である、請求項35に記載のキット。
  37. 前記HDAC阻害剤は、エンチノスタットである、請求項35又は36に記載のキット。
  38. がんを患っている又はがんを発症するリスクのある対象を治療する方法で使用するための、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩であって、
    前記方法は、
    (a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び、(b)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を前記対象に投与するステップを有する、
    方法。
  39. がんを患っている又はがんを発症するリスクのある対象を治療するための医薬を製造する方法で使用するための、エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩であって、
    前記方法は、
    (a)エリブリン又はその医薬的に許容可能な塩、及び、(b)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤を前記対象に投与するステップを有する、
    方法。
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