JP2019524115A - 気分障害検査用バイオマーカーとしてのrna編集 - Google Patents

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Abstract

本発明は、患者の血液試料、尿試料、又は唾液試料などの体液から、前記患者がPDE8A転写物上でのA−to−I編集の変化に付随する病態、例えば精神疾患を発現するリスクをインビトロで予測するための方法、又は前記患者に前記病態を発症するリスクがあるか判定するための方法に関する。本発明は前記方法を実施するためのキットにも関する。

Description

本発明は患者がPDE8A転写物上でのA−to−I編集の変化に付随する病態、例えば精神疾患を発現するリスクをインビトロで予測するための方法、又は患者に前記病態を発症するリスクがあるか判定するための方法であって前記患者の血液試料、尿試料、又は唾液試料などの体液から予測又は識別する方法に関する。本発明は前記方法を実施するためのキットにも関する。
大半の西洋諸国で100万件の自殺が報告されており、これは2020年までに150万件にまで増加することが予測されていることから自殺と自殺行動は世界的な公衆衛生上の大問題である。今日、生物学的手段を用いた自殺リスクの防止は効果を確認されておらず、且つ、臨床評価では所与の患者における自殺行動の発生が的確に予測されない。さらに、精神疾患の薬物治療は自殺未遂及び完遂率の低下に対して限定的な効果しか示していない。自殺リスクが最も高い人々向けに新しい戦略を開発し、予防措置を促進することが公衆衛生上、緊急に必要である。この目的を達成するためにはリスクを有する個人の特定が自殺防止戦略に必要となる。
自殺行動の決定に関わる多数の因子の中で多数の因子が自殺行動の感受性に寄与し得ることが幾つかの最近の分子遺伝学及びゲノム研究の進展によって明らかになった。生存期間を通して環境的及びエピジェネティクス的因子と相互作用して神経回路の機能を改変する潜在的な遺伝的素因がおそらくこの感受性を媒介する[1〜3]。シナプス間隙に発現する受容体と他の関連タンパク質のRNA編集が様々な精神疾患の病因に関与し、且つ、自殺行動と関連することが示されている[4〜7]。近年、Simmonsと同僚はうつ病による自殺者の大脳皮質においてRNA−editing enzyme 1であるAdenosine Deaminase Acting on RNA(ADAR1)のmRNA発現が上昇することを報告した[8]。ADAR類の標的であるホスホジエステラーゼ8A(PDE8A)は脳組織でも血液組織でも発現しており、ヒトではADAR類によって編集される[9〜11]。PDE8AプレmRNAの編集プロファイルの変化は脳を含むヒト組織の総RNA抽出物から定量的に評価することができるが、実際には血液試料中のRNAで評価する方が簡便であり、患者状態のモニターに使用可能である。これらの観察結果に基づき、疾患特異的分子シグネチャを判定する体液バイオマーカーを特定することが目的となる。この体液検査の適用により新しい可能性が重篤な精神医学的副作用の一次的リスク又は副次的リスクの評価に開くだろう。
患者が精神疾患、例えば抑うつ障害又は自殺行動を発現又は発症するリスクを予測するための効果的な検査として米国食品医薬品局(FDA)又は他の医薬品規制当局によって具体的に認可された検査はこれまで存在しない。
患者の自殺行動又は抑うつ障害のリスクを判定するための効力を示す可能性があるあらゆる検査を再吟味することに大きな関心が寄せられている。
現時点ではそのような患者を特定するための認可済み生物学的検査は存在しない。
したがって、患者が精神疾患、例えば抑うつ障害又は自殺行動を発現又は発症するリスクを高い精度及び高い識別力で判定することができるインビトロ検査であって、例えば検査を受ける患者の血液試料から判定できる特に使いやすいインビトロ検査を提供する必要性が存在する。
このことが本発明の目的である。
第1の態様では、本発明は、患者がPDE8A転写物上でのA−to−I編集の変化に付随する精神疾患又は神経学的症候群、免疫学的症候群、及び変性症候群からなる群より選択される病態を発現している(present)リスクを予測するための、又は患者に前記病態を発症する(develop)リスクがあるか判定するための、インビトロ方法であって、
編集酵素であるADAR1a、ADAR1b、及びADAR2のうちの少なくとも1つとPDE8Aとを発現する細胞を含有する前記患者の体液試料から
(a)前記細胞含有血液試料から得られた同じ細胞内RNA抽出物における
(i)PDE8A mRNAの発現レベル、及び
(ii)PDE8A遺伝子上の編集可能な部位であって、好ましくは前記病態と関連する部位のうち、少なくとも1つ又はその組み合わせにおける、PDE8A RNA編集のレベル、及び/又は、
発現可能であり好ましくは前記病態と関連する少なくとも1つのPDE8Aアイソフォーム若しくはPDE8Aアイソフォームの組み合わせ又は非編集転写物(Ne)の、発現レベル
を決定する工程;
(b)工程(a)で得られた結果から、前記RNA編集部位の相対割合及び/又は前記PDE8A mRNA発現レベルに対する前記PDE8Aアイソフォームレベルの相対割合を決定する工程;及び
(c)前記患者が前記病態を発現しているかどうか、又は前記病態を発症するリスクを有するかどうかを識別する工程であって、
(i)工程(b)で得られた前記RNA編集部位及び/又は前記アイソフォームの相対的な割合を、前記病態を示すこと若しくは示さないことが既知の患者、又は前記病態を発症するリスクがあること若しくは無いことが既知の患者の対照体液試料から得られた前記部位におけるRNA編集及び/又は前記アイソフォームの相対的な割合と比較し、且つ/又は
(ii)工程(b)において選択された前記編集部位及び/又は前記アイソフォーム、又はそれらの組み合わせを用いて、識別能力を示すアルゴリズム又は統計モデルを適用し、且つ、
工程(c)の(i)又は(ii)において得られた結果又は終値を用いて、前記患者が前記病態を発現しているかどうか、又は前記病態を発症するリスクを有するかどうかを判定する工程
を含む前記方法に関する。
工程(c)−(i)の対照試料について決定される閾値、又は工程(c)−(ii)において使用されるアルゴリズムは以下の工程、すなわち
(a)ある比率の精神疾患を発症するリスクを有すると注釈付けられた患者、又はそのリスクを有しないと注釈付けられた患者からなる患者コレクション、又は患者が精神疾患を発現することを確認するための患者コレクションを選択し、
1つ又は幾つかのPDE8A RNA編集部位及び/又はアイソフォーム、又はそれらの組み合わせを選択する工程、
(b)その標的PDE8A RNA編集部位又は標的アイソフォームを分析して前記標的部位のRNA編集レベル及び/又は前記標的アイソフォームの割合を前記コレクションの患者の各々について得る工程、
(c)−(i)各RNA編集部位及び/又は各アイソフォームについて精神疾患などの前記病態を発症するリスクを識別するための、又は患者が前記病態を発現していることを確認するためのその閾値及び/又はその精度と能力を単変量統計分析方法によって評価する工程、及び/又は
(c)−(ii)RNA編集部位及び/又はアイソフォームのそれぞれの組み合わせについて前記病態、特に精神疾患を発症するリスクを識別するための、又は患者が前記病態を発現していることを確認するためのその精度及びその能力を多変量統計分析方法によって評価する工程、及び
(c)−(iii)許容可能な識別能力を示す編集部位及び/又はアイソフォーム、又はそれらの組み合わせを選択する工程、及び
(e)選択した編集部位及び/又はアイソフォームの前記組み合わせを使用してアルゴリズムを構築し、所与の患者が前記病態、特に精神疾患を発症するリスクを予測するために、又は前記患者が前記病態を発現していることを確認するためにそのようにして得られた前記アルゴリズムを使用する工程
を含む方法によって獲得可能である。
好ましい実施形態では本発明の方法に使用可能である前記アルゴリズムは、
ROCのAUC(曲線下面積)を最大にするmROCプログラム、特に一次結合を特定するためのプログラムであって、個々の結合の方程式が、aiが算出された係数であり、且つ、(バイオマーカーi)がRNA編集部位又はアイソフォーム標的の個々のレベルの相対的な割合である次の式
Z=a1・(バイオマーカー1)+a2・(バイオマーカー2)+...ai・(バイオマーカーi)+....an・(バイオマーカーn)
として提供され、且つ、新しい仮想マーカーZとして使用可能である前記プログラム、及び/又は
様々なRNA編集部位レベル又はアイソフォーム値における患者の相対的なリスクを見積もるための単変量分析及び多変量分析に適用されるロジスティック回帰モデル、及び/又は
RNA編集部位及び/又はアイソフォームの組み合わせを評価するために適用されるCART(分類回帰木)アプローチ、及び/又は
RNA編集部位及び/又はアイソフォームの組み合わせを評価するために適用されるランダムフォレスト(RF)アプローチ、具体的にはそれらのRNA編集部位及び/又はアイソフォームの重要性を等級付けし、且つ、「相対的なリスク」を分類するために最良のRNA編集部位及び/又はアイソフォームを組み合わせるためのアプローチ、及び/又は所望により
「相対的なリスク」についてRNA編集部位及び/又はアイソフォームの組み合わせを評価するために適用される多変量分析であって、例えば
サポートベクターマシン(SVM)アプローチ、
人工ニューラルネットワーク(ANN)アプローチ、
ベイジアンネットワークアプローチ、
WKNN(加重k最近傍)アプローチ、
部分的最小二乗判別分析(PLS−DA)、
一次及び二次判別分析(LDA/QDA)、及び
バイオマーカーを組み合わせる他のあらゆる数理的方法
からなる群より選択される前記多変量分析
をはじめとする多変量方法によって実施される。
好ましい実施形態では、前記体液試料は血液試料、尿試料、及び唾液試料から選択され、血液試料が最も好ましい。
好ましい実施形態では、前記病態は精神疾患である。
別の好ましい実施形態では、前記病態は精神障害、双極性障害、抑うつ障害、精神分裂病、パニック障害、社交不安症、外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物依存/乱用、好ましくは拒食症又は肥満である異常摂食行動、強迫性障害(OCD)、早期アルツハイマー病、及びパーキンソン病からなる群より選択される。
より好ましい実施形態では、前記病態は抑うつ障害であり、さらに具体的には自殺行動である。
本発明の方法のより好ましい実施形態では、前記方法は患者が自殺を試みるリスクを予測するための方法であって、工程(c)−(i)において情動障害対照群の患者から対照体液試料を得る方法である。
本発明の方法のさらにより好ましい実施形態では、前記方法は患者がうつ病を示すかどうか判定するための方法であって、工程(c)−(i)において健常群の患者から対照体液試料を得る方法である。
本発明の方法の特定の実施形態では、前記患者は自殺行動を発症するリスクと関連付けることができる精神疾患、特に抑うつ障害を発現していることが既に確認されており、自殺未遂歴が有るか又は無い患者の中から選択され、前記患者が自殺行動を発現しているかどうか、又は自殺行動を発症するリスクを有するかどうかが工程(c)において識別される。
別の実施形態では、本発明の方法によって患者をモニターし、且つ/又は患者を治療応答者と治療非応答者に分けることが可能になる。
精神疾患などの多くの疾患が自殺傾向と関連するときがあることが知られている。幾つかの実施形態では、前記患者は精神障害、双極性障害、精神分裂病、パニック障害、社交不安症、外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物依存/乱用、摂食障害(拒食症、肥満のような異常摂食行動)、強迫性障害(OCD)、早期アルツハイマー病、又はパーキンソン病を患っている。
別の実施形態では、前記患者は精神疾患を発現していないと確認されており、且つ、非精神疾患について治療されている患者、特に肝炎について治療されている患者であり得る。
本発明の別の態様は、
工程(a)が、同じ細胞抽出物中の編集酵素ADAR1a、ADAR1b及び/又はADAR2の発現量を決定することを含み、
工程(c)において、前記患者が前記病態を発現しているかどうか、又は前記病態を発症するリスクを有するかどうかが
(i)さらに、工程(b)で得られた編集酵素ADAR1a、ADAR1b及び/又はADAR2の発現量を、正常な患者について得られた発現量、及び所望によりさらにPDE8A転写物上におけるA−to−I編集の変化に付随する病態を呈する患者について得られた発現量と、比較すること、及び/又は
(ii)工程(a)及び(b)において選択された前記編集部位及び/又は前記アイソフォーム、及びADAR類の発現量、又はそれらの組み合わせを用いて、識別能力を示すアルゴリズム又は統計モデルを適用すること
によって判定される前記方法に関する。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記血液試料はPBMC(末梢血単核細胞)を含む。
本発明の方法では、工程(a)において、表IIIに記載される編集部位から選択される少なくとも1つの部位について部位毎のPDE8A RNAの編集を決定することが好ましく、表IIIのO〜ZZのうち少なくとも1部位を含む複数の部位について決定することがより好ましい。
本発明の方法では、工程(a)において、少なくとも部位A、B、C、D、E、F、G、Z、及びZZからなる群より選択される部位についてPDE8A RNAの1つの部位又は複数の部位の編集を判定することが好ましい。
本発明の方法では、工程(a)において、少なくとも部位BについてPDE8A RNAの1つの部位又は複数の部位の編集を判定することがより好ましい。
本発明の方法では、工程(a)において、PDE8A mRNA発現レベルに対しての、前記1つの編集部位又は前記複数の編集部位のうちの幾つかからなる組み合わせを含むPDE8A RNAアイソフォームのレベルの相対的割合を決定することが好ましい。
本発明の方法では、工程(a)において、アイソフォームB、BC、D、E、Ne(非編集型)、BE、G、BG、BF、A、Z、C、F、BZ、及びBDからなる群より選択されるPDE8A RNAアイソフォームの相対的な割合を決定することが好ましい。
本発明の方法では、工程(a)において少なくともPDE8A RNAアイソフォームBの相対的な割合を決定することがより好ましい。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記アルゴリズム又は統計方法は、工程(c)にROCのAUC(曲線下面積)を最大にするmROCプログラム、特に一次結合を特定するためのプログラムであって、個々の結合の方程式が、aiが算出された係数であり、且つ、(バイオマーカーi)が1つの部位又は1つのアイソフォーム標的の個々のPDE8A RNA編集レベルの相対的な割合、又はADAR1a、1b、若しくはADAR2の発現レベルである次の式
Z=a1・(バイオマーカー1)+a2・(バイオマーカー2)+...ai・(バイオマーカーi)+....an・(バイオマーカーn)
として提供され、且つ、新しい仮想マーカーZとして使用可能である前記プログラム、及び/又は
様々な編集部位値及び/又はアイソフォーム値及び/又はADAR類値における所与の患者の相対的なリスクを見積もるための単変量分析及び多変量分析に適用されるロジスティック回帰モデル、又は
バイオマーカーを組み合わせる他のあらゆる数理的方法
を含む。
本発明の方法では、工程(c)において、前記アルゴリズムが表VIに記載される組み合わせからなるmROCの組み合わせの群より選択することが好ましい。
本発明の方法では、工程(a)及び工程(b)において、qPCRによってPDE8A mRNA発現レベルを決定すること、及び/又は、NGS(次世代シーケンシング)法によって部位毎のRNA編集レベルを決定することが好ましい。
好ましい実施形態では、
フォワードプライマーとしてのSeq1−フォワード(配列番号2)又はSeq2−フォワード(配列番号3);
リバースプライマーとしてのSeq1−リバース(配列番号4)、Seq2−リバース(配列番号5)又はSeq3−リバース(配列番号6);並びに
次の選択基準、すなわち
(i)18ヌクレオチド長〜27ヌクレオチド長の間のオリゴである
(ii)好ましくは60℃近辺(57℃〜63℃)の融点を有する
(iii)50%(±5%)近辺の最適なGC含量を有する
(iiii)許容可能な最大反復長が5モノヌクレオチドである、及び
(vi)図1に示される目的領域を特異的に増幅する
に合致する、フォワードプライマーとリバースプライマーとのセット
から選択されるフォワードプライマーとリバースプライマーとのセットにより、PDE8A mRNAの発現レベル及び/又は部位毎のRNA編集レベルがqPCRにより決定される。
より好ましい実施形態では、本発明の方法において次のプライマーセット、すなわちSeq2−フォワードとSeq−3リバースを使用して部位毎のPDE8AのRNA編集レベルが決定される。
別の態様では、本発明は、患者がPDE8A転写物上でのA−to−I編集の変化に付随する精神疾患又は神経学的症候群、免疫学的症候群、及び変性症候群からなる群より選択される病態を発現しているリスクを有するかどうかを判定するための、又は患者が前記病態を発症するリスクを有するかどうかを判定するための、キットであって、
(1)分析することで前記病態を引き起こすリスクが判定できる終値を得るために本発明の方法を適用するための指示書であって、ROC曲線を含むか又は含まない前記指示書、及び
(2)フォワードプライマーとしてのSeq1−フォワード(配列番号2)又はSeq2−フォワード(配列番号3);
リバースプライマーとしてのSeq1−リバース(配列番号4)、Seq2−リバース(配列番号5)又はSeq3−リバース(配列番号6);並びに
次の選択基準、すなわち
(i)18ヌクレオチド長〜27ヌクレオチド長の間のオリゴである
(ii)好ましくは60℃近辺(57℃〜63℃)の融点を有する
(iii)50%(±5%)近辺の最適なGC含量を有する
(iiii)許容可能な最大反復長が5モノヌクレオチドである、及び
(vi)図1に示される目的領域を特異的に増幅する
に合致するフォワードプライマーとリバースプライマーのセット
からなる群より選択される、フォワードプライマーとリバースプライマーとのセット
を含む前記キットに関する。
より好ましい実施形態では、前記キットは次のプライマーセット、すなわちSeq2−フォワード(配列番号3)とSeq−3リバース(配列番号6)を含む。
本明細書中以下の実施例と図面及び図の説明は、当業者が本発明を実施し、使用することができるように完全に説明するために選択されている。これらの実施例は、発明者が考えている発明の範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験だけが実施されたと示すことを意図するものでもない。
実施例と図についての本明細書の残りの部分において、本発明の他の特徴と利点が明らかになる。図の説明を以下に提供する。
ヒトPDE8A遺伝子の第9イントロン内に位置する目的の配列を示す図である。第9イントロンの内部配列(225bp)(塩基位置85,096,606〜85,096,830、配列番号1)が示されている。Seq2フォワード及びSeq3リバースというプライマーの組み合わせを使用してこの配列を増幅する。Orlowskiと共同研究者によってこれまでに記載された編集部位(AからHまで)[10]及びWeissmannら(国際公開2011/161253号パンフレット)によってこれまでに記載された編集部位が配列上に灰色太字の大文字で示されている。新しい編集部位OからZZは配列上に黒色下線付きの大文字で示されている。 様々なプライマーペアを使用する増幅によって得られる非特異的副産物を示す典型的な電気泳動図である。検出可能な非特異的産物を作製しないSeq2−フォワードとSeq3−リバースからなるプライマーペアをPDE8Aの標的領域の増幅とウルトラディープシーケンシングに使用した。 ウルトラディープシーケンシングによってヒト白血球中に特定されたRNA編集部位を示す図である。情動障害対照群のPDE8A遺伝子の複数の部位(A〜G、Z、及びZZ)について評価されたRNA編集の相対的な割合(平均値±SEM)を報告する図である。 情動障害対照(AC)集団及び自殺企図者(SA)集団の白血球においてqPCR分析によって測定された関連遺伝子の発現レベルを示す図である。情動障害対照(AC)におけるADAR1a(A)、ADAR1b(B)、ADAR2(C)、及びPDE8A(D)のmRNA発現レベルを自殺企図者(SA)と比較した。ADAR1a、ADAR1b、ADAR2、及びPDE8AのmRNA発現レベルを38人の患者(n=18の情動障害対照とn=20の自殺企図者)において定量した。様々な転写物の発現をGAPDH及びβ2Μの遺伝子発現に対して正規化した。三回の複製実験で測定を行った。ADAR1a、1b、及びPDE8AのmRNA発現は自殺企図者において有意に高い。マン・ホイットニー検定を用いてp値を算出した。 PDE8A遺伝子の部位BのRNA編集の相対的な割合を示す図である。(A)情動障害対照(AC)及び自殺企図者(SA)において測定されたPDE8Aの部位BのmRNA編集のボックスプロットである。(B)相対的な転写物レベルに対して調整されたPDE8A mRNA編集の測定値である。データは5回の独立した実験の平均値を表す。マン・ホイットニー検定を用いてp値を算出した。 mROCアプローチを使用するバイオマーカーの組み合わせの診断成績を示す図である。この図は情動障害対照を自殺企図者に対して比較する多変量ROC曲線の例を示している。ADAR1a+ADAR2+PDE8A_部位A*+PDE8A_部位B*のmROC組み合わせで得られたROC曲線である。 ロジスティック回帰を使用するバイオマーカーの組み合わせの診断成績を示す図である。この図は情動障害対照を自殺企図者に対して比較する多変量ROC曲線の例を示している。ADAR1a+PDE8A_部位B*ロジスティック回帰モデルで得られたROC曲線である。 IFN−αとリバビリンで治療された患者のC型肝炎ウイルス(HCV)の縦断的調査を示す図である。抗ウイルス剤治療の4週間前(−4)及び治療開始から2週間毎(第0週、第2週、第4週、第6週、第8週、第10週、及び第12週)に10人のHCV感染患者からPAXgene血液RNAチューブに試料採取した。その治療には毎週のPEG化IFN−α皮下注射(180μg)と毎日のリバビリン錠剤(1000〜1200mg)が含まれた。 IFN−αとリバビリンで治療された2人のC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者における関連遺伝子の発現レベル(A−B)及びPDE8A遺伝子の部位BのRNA編集(C−D)の相対的な割合の縦断的分析を示す図である。示されているデータは各時点において各患者について測定された5回の独立した実験(n=5)の平均値±SD(エラーバー)である。 IFN試験に含まれる6人のHCV感染患者のクラスタリング分析を示す図である。MEVソフトウェアv4.9を使用してK−メジアン・クラスターを出力し、距離についてピアソン相関を使用し、1000回の反復と2つのクラスターをパラメーターとして選択する。このアプローチによって患者について2つの異なるクラスターが生じた。IFNの増加に対して急速で力強い応答を示す4人の患者を含む1つ目のクラスターが処置の最初の4週間の期間での急な傾きによって認められた。鈍いIFN応答を有する2人の患者を含む2つ目のクラスターも認めることができた。 (A〜B)6か月の期間にわたる追跡調査における非反復性自殺企図者(NRSA)群と反復性自殺企図者(RSA)の臨床評価を示す図である。ハミルトン(HAMD)スコア、MADRS(モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度)スコア及びBDI(ベックうつ病自己評価)スコアが最初の摂取時である0か月の時点と6か月の時点において両群について提示されている。(C〜D)PDE8A遺伝子の全ての部位における対応するRNA編集の量を示す図である。データは5回の複製実験の平均値を表しており、エラーバーはそれらの平均値の標準誤差を表している。ウィルコクソン検定を用いてp値を算出した。 (A)16週間にわたる全てのHCV患者(n=10)のADAR1a、ADAR1b、ADAR2、及びPDE8A遺伝子発現の縦断的分析を示す図である。(B)相対的なPDE8A転写物レベル(n=10)に対して調整された全てのHCV患者のPDE8A遺伝子の部位BにおけるRNA編集の縦断的分析を示す図である。(C)相対的なPDE8A転写物レベル(n=10)に対して調整された全てのHCV患者のPDE8A遺伝子の他の特定の部位におけるRNA編集の縦断的分析を示す図である。平均値は±SEM(n=10)で示されている。
(A)抑うつエピソードを有する患者の群(n=3)と有しない患者の群(n=7)におけるADAR遺伝子発現から構成されるバイオマーカーの組み合わせの縦断的分析を示す図である。(B)抑うつエピソードを有する患者の群(n=3)と有しない患者の群(n=7)におけるRNA編集から構成されるバイオマーカーの組み合わせの縦断的分析を示す図である。(C)抑うつエピソードを有する集団と有しない集団を分けるためのバイオマーカーの組み合わせのROC曲線を示す図である。
IFN治療期間にわたって得られる全てのデータポイントに対して特定の組み合わせのバイオマーカーが適用されたことを示す図である。
実施例1:材料と方法
1)ヒト参加者
2つの異なるコホートに由来するデータを提示する。1つのコホートは自殺未遂歴を有する、又は有しないうつ病患者を含み(自殺企図者調査及び追跡調査と呼ぶ)、1つはC型肝炎ウイルスに感染しており、且つ、インターフェロンαで治療された患者を分析する縦断的調査である(インターフェロン調査と呼ぶ)。調査の目的と必要事項についての詳しい議論の後に全ての対象から書面によるインフォームドコンセントを得た。全ての対象が研究の目標と手段について詳細に説明しているインフォームドコンセントを理解することができた。本研究は認可要件及び医薬品臨床試験実施基準に従って地域の治験審査委員会により認可された。
2)自殺企図者調査及び自殺企図者追跡調査
2.1 自殺企図者調査
本調査にはフランス、モンペリエのCHUの緊急及び緊急後精神科(n=17)又はスペイン、オビエドの精神療養センター(n=21)で診察を受けている38人のうつ病患者が登録した。本精神科診断は構造的臨床面接基準によって確立されたものである。精神科診断法を精神障害の診断と統計マニュアルIV(DSM−IV)に従って判定した。標本には20人の自殺企図者(SA)(52.63%)と18人の非自殺企図者(情動障害対照、AC)(47.37%)が含まれた(表I(A)参照)。
対象は民俗学的に同質であり、全員が西ヨーロッパ出身の白色人種であった。連例と性別に関する人口統計学的データ、並びに患者の精神科診断、アルコール又は物質消費、及び自殺未遂回数を記録した。
比較のために2群が含まれた。第1群は情動障害対照(AC)と呼ばれ、自殺未遂歴の無いうつ病患者を含んだ。第2群は自殺企図者(SA)と呼ばれ、自殺未遂歴の有るうつ病患者を含んだ。
2.2 自殺企図者追跡調査
この追跡調査にはフランス、モンペリエのCHUの救急精神科及び救急後精神科で診察を受けている28人のうつ病自殺未遂患者が登録した。これらの患者は6か月の期間にわたって追跡調査を受けた(表I(B)参照)。追跡調査中に28人のうちの8人の患者(28.6%)が自殺を新たに1回又は数回試みたが(「反復自殺企図者」、RSA)、20人の患者(71.4%)は自殺を新たに試みなかった(「非反復自殺企図者」、NRSA)。自殺企図者調査についてこれまでに言及したように患者の精神医学的評価を行った。3種類の尺度、すなわちハミルトンうつ病尺度(HAMD)、モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、及びベックうつ病自己評価(BDI)尺度を用いてベースライン評価時及び追跡評価時のうつ病の重症度を評価した。
3)インターフェロン調査
本調査にはマルセイユ、ナンシー、及びストラスブール(フランス)の3か所のCHU(大学付属中央病院)の診療科の10人の患者が登録した。精神疾患のどの基準にも合致しないC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者が抗ウイルス剤治療の開始前に登録し、抗ウイルス剤治療の開始から最大で12週間にわたって追跡調査された。初期血液試料を治療の4週間前(−4)に得た。治療開始時にPAXgeneチューブ中に採血し、最大で12週間にわたって2週間毎に採血した(図8)。
4)血液採取及びRNA抽出及び適格性評価
各患者から2.5mlの体積の全血試料をPAXgene血液RNAチューブ中に採取し、2か月にわたって−20℃で貯蔵し、その後で−80℃に移した。PAXgene(商標)血液RNAチューブ(PreAnalytix社)はRNA分子をリボヌクレアーゼによる分解と遺伝子発現の生体外での変化から守る試薬を含む。異なる回の抽出の中で試料を無作為に配分した。PAXgene(商標)血液RNAキット(参照番号28704、PreAnalytix社)を使用して2.5mlの全血に由来する総RNAを抽出した。PAXgene血液RNAパート1、自動化プロトコルについての製造業者のプロトコルに従ってQiagen QIAcubeシステムを使用して抽出したRNAを単離した。試料調製とRNA抽出の間に標準的な注意事項を採用してリボヌクレアーゼによるRNA分解を回避した。Qubitフルオロメーター(Invitrogen社)及びQuant−IT RNA BRアッセイ(Invitrogen社)を用いて総RNA濃度を決定した。
5)NGSライブラリーの調製
PDE8A遺伝子の第9イントロン内の目的領域を選択的にシーケンシングするために2ステップPCR法を用いてNGSライブラリーを調製した。図1に示されているように、これまでに記載された編集部位とは別に新しい編集部位がその目的領域内に特定された。検証済みのPCRプライマー(Seq2フォワード及びSeq3リバース)を使用してPCRにより目的領域を増幅した(表II及び図1)。
2ステップPCRライブラリー調製プロトコルを用いて複数の試料を含むシーケンシングライブラリーを作製した。MiSeqプラットフォーム(Illumina社)などの次世代シーケンシングシステム上で本ライブラリーをシーケンシングした。
PCR増幅のために製造業者のガイドライン(参照番号M0494S)に従ってQ5ホットスタート・ハイフィデリティ酵素(New England Biolabs社)を使用した。最適化されたPCRプロトコルを用いてPeqstar 96x サーモサイクラー上でPCR反応を実施した。PCR後、LabChipGx(Perkin Elmer社)により全ての試料を分析し、PCR産物の量と品質の両方を評価した。蛍光ベースQubit法を用いてアンプリコンの純度を決定し、且つ、定量を行った。品質管理の後に磁性ビーズ(Mokascience社のHigh Prep PCR MAGbioシステム)を使用して96種類のPCR反応物(マイクロプレート)を精製した。精製後にQubitシステムを使用してDNAを定量し、精製の収率を計算した。次にQ5ホットスタート・ハイフィデリティPCR酵素(New England Biolabs社)とIllumina 96インデックスキット(Nextera XTインデックスキット;Illumina社)を使用するPCR増幅により個々にインデックスを試料に付した。PCR後に試料をライブラリーにまとめ、Magbio PCRクリーンアップシステムを使用して精製した。そのライブラリーを変性し、MiSeqプラットフォーム上だけでのFASTQのシーケンシング向けのIllumina社のガイドラインに従ってシーケンシングカートリッジにそのライブラリーを負荷した。市販のヒト血液末梢白血球由来総RNAプール(Clontech社、参照番号636592)を前記ライブラリーに組み入れることで実験期間中の異なるシーケンシングフローセル間の変動度を決定した。標準的な濃度でNGSライブラリーをシーケンシングし、PhiX Control V3(Illumina社)を使用してライブラリー多様性をこれらのライブラリーに導入した。実験を独立して5回実施した。
6)シーケンシングデータのバイオインフォマティクス分析
Miseqシーケンサー(Illumina社)からシーケンシングデータをfastqファイルとしてダウンロードした。シーケンシングの品質を評価するためにFastQCソフトウェア(バージョン0.11.3)を使用してそれぞれの生fastqファイルの初期品質調査を実施した。アダプター配列の除去及び配列サイズと品質スコアに応じた配列のフィルタリングからなる前処理工程を実施した(全てのショートリード(50nt未満)と30未満の平均QCを有するリードを除去した)。次に配列アラインメントを容易にし、その質を向上させるためにIllumina NGSデータ向けのリードトリミング及びフィルタリングツール(fastxツールキットvO.0.14及びprinseqバージョン0.20.4)を使用した。前処理工程を実施した後にさらに配列処理を実施する前に追加の品質管理をそれぞれのクリーンアップしたfastqファイルについて実施した。
エンドツーエンド高感度モードでbowtie2(バージョン2.2.5)を使用して処理済みリードのアラインメントを実施した。最新のヒトゲノム配列アノテーション(GRCh38)に対してアラインメントを実施し、複数のアラインメント領域を有するリード、低いアラインメント品質(40未満のQ)を有するリード、又は挿入/欠失(INDEL)を含有するリードを以降の分析から除外した。SAMフォーマットのアラインメントを処理するためのソーティング、マージ、インデックス付与、及びプレポジションフォーマットのアラインメントの作製をはじめとする様々なユーティリティーを提供するSAMtoolsソフトウェア(バージョン1.3.1)を使用してファイルアラインメントのフィルタリングを実施した。
次にSAMtools mpileupを使用して複数の試料から同時に得られたアラインメントの結果のデータを重層した。自製のスクリプトを実行して各ゲノム位置における異なるATGCヌクレオチドの数を数えた(「ベースカウント」)。その自製のスクリプトは各ゲノム位置について「G」を有するリードのパーセンテージ(「G」リード数/(「G」リード数+「A」リード数)×100)を計算する。「A」基準に対する「G」リード中で0.1を超えるパーセンテージを有するゲノム位置がそのスクリプトによって自動的に検出され、「A−to−I編集部位」として見なされる。最後の段階でPDE8A転写物の全ての可能なアイソフォームのパーセンテージを計算した。定義によると所与の編集「部位」におけるRNA編集の相対的な割合はこの唯一のゲノム座標において評価された編集修飾の合計を表す。逆にmRNAアイソフォームは同じ転写物上に複数の編集修飾を含んでも含まなくてもよいユニークな分子である。例えば、PDE8A mRNAアイソフォームBCは同じ転写物内の部位Bと部位Cの両方において修飾を含む。
7)逆転写及び定量的リアルタイムPCR
Takara社のキット(PrimeScript RT、Takara社、参照番号RR037A)を使用して逆転写を実施した。それにより生じたcDNAを20μlの最終体積中にTaqManユニバーサルPCRマスターミックス(Applied Biosystems社、参照番号4369016)及び次の特定の遺伝子プローブ、すなわちADAR1a(Hs01020780)、ADAR1b(Hs01017596)、ADAR2(Hs00210562)、PDE8A(Hs00400174)、GAPDH(Hs02758991)、β2Μ(Hs00984230)、HPRT1(Hs02800695)、PGK(Hs99999906)及びTBP(Hs00427620)(Life Technologies社のApplied Biosystems社)と混合した。StepOnePlusリアルタイムPCR機(Applied Biosystems社)上の96ウェルプレート中で、又はLightCycler 480リアルタイムPCR機(Roche社)上の384ウェルプレート中で定量的PCRを実施した。うつ病患者及び自殺企図者について実施される前記調査のために全ての患者における標的遺伝子発現の定量をGAPDH及びβ2Μの発現に対して正規化し、各試料における標的遺伝子の発現変化を2−ΔΔCtによって計算した。慢性C型肝炎ウイルス(HCV)患者について実施される前記調査のために二次導関数絶対的定量を用い、4種類のハウスキーピング遺伝子(GAPDH、HPRT1、PGK、及びTBP)の幾何平均により正規化して分析を実施した。
8.データの統計分析
「R/Bioconductor」統計オープンソースソフトウェアとGraphPad Prismソフトウェア(バージョン7.0)[12、13]を使用して全ての統計学と数字を計算した。通常、バイオマーカー(すなわちPDE8AのRNA編集部位とアイソフォーム及びADAR類のmRNA発現)の値は平均値±標準誤差(SEM)として提示される。マン・ホイットニー検定を用いて差の分析を実施し、0.05未満のp値を統計学的に有意であると見なした。全てのデータ分布はそれぞれのバイオマーカーの有意性について中央値と棒グラフ又は箱ひげ図として示されている。
部位とアイソフォームの両方について、PDE8A遺伝子の相対的な転写物レベルに対して調整することによりRNA編集の相対的な割合を分析した。調整されたRNA編集値は次のように計算された。
調整された編集値*=(RNA編集値×相対的な転写物レベル)/100
「自殺企図者」群を検出する能力を表す感度と「情動障害対照」群を検出する能力を表す特異度によってバイオマーカーの診断成績を特徴づけることができた。診断検査の評価結果はこれらの明確に規定された2群を比較する2×2分割表に要約可能である。カットオフ値を固定するとその検査の結果に応じた陽性又は陰性のどちらかに類別される区分にそれらの2群を分類することが可能になる。特定のバイオマーカーが提供されると我々は多数の(a)自殺企図者群の中の陽性の検査結果を有する患者(「真陽性」:TP)と(b)「情動障害対照」群の中の陰性の検査結果を有する患者(「真陰性」:TN)を特定することができる。同様に(c)「自殺企図者」群の中の陰性の検査結果を有する患者(「偽陰性」:FN)と(d)「情動障害対照」群の中の陽性の検査結果を有する患者(「偽陽性」:FP)も認められる。感度はTP/(TP+FN)として定義され、それは本明細書において「真陽性率」と呼ばれる。特異度はTN/(TN+FP)として定義され、それは本明細書において「真陰性率」と呼ばれる。
受信者操作特性(ROC)分析を用いて各バイオマーカーの精度及びその判別能力を評価した。ROC曲線は検査の感度(Se)と特異度(Sp)との間の相互関係を様々な値についてグラフによって視覚化したものである。
さらに、多変量アプローチを例えばmROCプログラム又はロジスティック回帰[14]として用いて全てのバイオマーカーを互いに組み合わせて感度と特異度の上昇の可能性を評価した。mROCは一次結合を特定するための専用プログラム[15、16]であり、ROCのAUC(曲線下面積)を最大化する[17]。それぞれの組み合わせについての方程式が次として提供され、新しい仮想マーカーZとして使用可能である。
Z=a×バイオマーカー1+b×バイオマーカー2+c×バイオマーカー3、
式中、a、b、cは算出された係数であり、バイオマーカー1、2、3はバイオマーカーのレベルである。
相対的な気分障害リスクを見積もるために異なる組み合わせの編集部位及び/又はアイソフォーム及び/又はADAR類遺伝子発現値を患者に対して使用してロジスティック回帰モデルを適用する。
K−メジアンアプローチ又はK−平均値アプローチ[18]を使用してインターフェロン調査から患者クラスターを確認した。例えば、MEV v4.9ソフトウェア(http://www.tm4.org/mev/)を使用し、距離についてピアソン相関又はユークリッド相関を使用してK−メジアン分析を計算した。同じクラスター内に存在する全ての患者は他のクラスターの患者とは異なると考えられた。
実施例2:自殺企図者調査
本臨床調査に含まれた患者の特徴が表Iに示されている。この有望な調査には精神疾患を有すると診断された38人の患者が登録し、自殺を試みることが無かった18人の患者からなる群(情動障害対照、AC)に対して全員が自殺を少なくとも一回試みている20人の患者からなる群(SA)を比較した。患者の年齢は20歳から77歳の範囲であった(平均値±SD:50.16±13.5)。そのコホートは9人の男性(23.68%)と29人の女性(76.32%)によって構成された。全ての患者が抑うつ障害を発現した。自殺未遂回数は1回から20回の範囲であり、3.4±4.52の平均値±SDであった。
実施例3:次世代シーケンシング(NGS)法を用いるPDE8A mRNA編集の分析
我々はキャピラリー電気泳動一本鎖高次構造多型(CE−SSCP)法(2011年6月24日に出願された国際出願PCT/EP2011/060444号明細書)を用いてPDE8A mRNAの編集プロファイルを決定するために使用される方法を以前に説明した。本発明において我々は、試験される全ての部位について確実な定量を可能にする充分な塩基当たりの深度を提供する次世代シーケンシング(NGS)に基づいたPDE8A RNAの編集レベルを定量する新しい実験系を開発した。この方法はPCRベースであるので我々は最初に目的のPDE8A mRNA領域を増幅するために幾つかのプライマーペア(表II)を選択した。その領域を特異的に増幅するために次の選択基準に合致する異なるプライマーの組み合わせを試験した。すなわち、1)18〜27ヌクレオチド長の間のオリゴであり、2)好ましくは60℃近辺(57〜63℃)の融点を有し、3)50%近辺の最適なGC含量を有し、4)許容可能な最大反復長が5モノヌクレオチドであり、且つ、5)図1に示されている目的の領域を特異的に増幅すること。RNA編集の正確な定量に干渉する非特異的増幅産物を生成するプライマーペアもあったため、Seq2−フォワード及びSeq−3リバースを含む最適なプライマーペアを提供する(表II参照)。
実施例4:ウルトラディープシーケンシングによるヒトPDE8A遺伝子の第9イントロン内の新しい編集部位の特定
Orlowskiと共同研究者はこれまでにヒトPDE8A遺伝子の第9イントロン内に8か所の編集部位(AからHまで)を特定している(表III参照)[10]。その後、我々はこの同じ領域内にさらに6か所の編集部位(IからNまで)を特定した(2011年6月24日に出願された国際出願PCT/EP2011/060444号明細書)。大半のADAR活性はまとまって生じることが幾つかの研究から指摘された[19、20]。当然のことながら我々はSH−SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞株に対してNGSベースシーケンシングを使用してヒトPDE8A遺伝子の第9イントロン内に以前に特定された編集部位を確認し、且つ、新しいA−to−I編集部位を特定した。これらの新しい編集部位はO、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、及びZZと名付けられた(表III、図1参照)。うつ病患者及び自殺企図者を用いる本研究の幾人かの患者に由来する血液試料中にこれらの編集部位の大半(A〜H、J〜M、O、P、R〜U、及びX〜ZZ)が存在することも確認された。
実用上の理由からPDE8A転写物内の目的の座位のディープシーケンシング向けの標準的条件の最適化をSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞株から得られたヒト試料に対して実施した。これによりヒトPDE8A遺伝子の第9イントロン内にこれまでに報告されていない新しい編集部位が特定された(下線付きの太字、番号15〜27)。それらの新しい編集部位はO、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z、及びZZと名付けられている。ゲノム座標はヒトゲノムの15番染色体上のPDE8A(GRCh38:84,980,440)に対して比較されている。SH−SY5Y細胞株の列はその特定のヒト神経芽細胞腫細胞株において編集部位が特定されたことを指す。血液の列は白血球がPAXgene血液RNAチューブに採取されたことを指す。Xはその編集部位が0.1%超のカットオフ値で少なくとも1人の患者において評価されている場合を表す。
実施例5:ウルトラディープシーケンシングによりヒト白血球において特定されたRNA編集部位
情動障害対照群から0.1%超のカットオフ値で評価されたRNA編集部位(平均値±SEM)だけが表IV及び図3に報告されている(表IV及び図3参照)。
定義によると所与の編集「部位」におけるRNA編集の相対的な割合はこの唯一のゲノム座標において評価された編集修飾の合計を表す。逆にmRNAアイソフォームは同じ転写物上に複数の編集修飾を含んでも含まなくてもよいユニークな分子である。例えば、PDE8A mRNAアイソフォームBCは同じ転写物内の部位Bと部位Cの両方において修飾を含む。
実施例6:ADAR1a、1b、及び2のmRNA発現は自殺企図者の血液において増加する
我々はTaqMan(登録商標)リアルタイムPCRアッセイを用いていわゆるデルタデルタCT法によりADAR1a遺伝子、ADAR1b遺伝子、及びADAR2遺伝子のmRNA発現を分析した(それぞれ図4A、図4B、及び図4C)。ADAR1a、ADAR1b、及びADAR2の発現レベルはACにおいてそれぞれ2.6から25まで(平均値±SD:10.2±6)、2.04から14.09まで(平均値±SD:5.9±3.3)、及び1.25から50.5まで(平均値±SD:12.4±13.1)変化した。SA(n=20)ではADAR1a、1b、及びADAR2のmRNA発現レベルはそれぞれ4.2と49.5の間(平均値±SD:17.8±11.7)、3と33.8の間(平均値±SD:10.6±7)、及び3.8と62の間(平均値±SD:17.8±16.1)で構成された。ADAR1a遺伝子とADAR1b遺伝子の発現はACと比較してSAにおいて有意に高く、平均値がそれぞれ10.2及び5.9に対して17.8及び10.6であった(p=0.0435及び0.0047)。
実施例7:PDE8A mRNAの発現は自殺企図者において高い
同様にAC群と比較してSA群においてPDE8A発現レベルの変化が観察された(図4D)。実際、PDE8A発現はACにおいて4.7から19.9まで(平均値±SD:9.2±3.3)変化し、一方でそのレベルはSAにおいて7.5と32.8の間(平均値±SD:15.7±7.1)の範囲であった。ADAR類と同様にPDE8A発現も情動障害群よりもSA群において有意に高かった(p=0.0013)(図4D)。このことは自殺行動についての追加のバイオマーカーがPDE8Aによって提供される可能性もあることを示唆する。
実施例8:自殺企図者ではPDE8Aの部位BにおけるmRNA編集が増加し、非編集型(Ne)PDE8A転写物が減少する
A)PDE8Aの部位BにおけるmRNA編集
我々はNGSアッセイを用いてAC患者とSA患者の間でPDE8A mRNA編集プロファイルを分析した。図5Aに示されているように、我々は部位Bにおいて編集されたPDE8A mRNAの相対的な割合がACと比較してSAにおいて高いことを発見した。AC(n=18)ではPDE8A編集転写物は11.2〜21.8%の範囲内にあり、平均値は17.4%(SD±2.8%)であった。SA(n=20)では編集変異体のレベルは12.3〜26.7%の範囲内にあり、平均値は20.2%(SD±3.7%)であった。ACの値とSAの値の間には有意差があった(p=0.01)。さらに、我々はPDE8A遺伝子の部位BにおけるRNA編集の相対的な割合をPDE8A mRNA(部位B*)の相対的な発現レベルに対して調整した。図5Bに結果が提示されている。部位BにおけるRNA編集を調整することでp値によって示されるAC群とSA群との間の差がさらに強調された(p<0.0001)。
B)非編集型PDE8A転写物
我々は情動障害対照(AC)及び自殺企図者(SA)における非編集型PDE8A転写物の相対的な割合を分析した。非編集型PDE8A転写物の相対的な割合はSAと比較してACにおいて高い。ACではPDE8A非編集型転写物の相対的な割合は77.1〜87.9%の範囲内であり、平均値は81.7%(SD±2.9%)であった。SAでは非編集型転写物のレベルは71.5〜87.2%の範囲内であり、平均値は78.9%(SD±3.8%)であった。ACの値とSAの値の間には有意差があった(p=0.0094)。
実施例9:自殺傾向の血液中バイオマーカーとしてのADAR1a及びADAR2のmRNA発現によって調整済みのPDE8A mRNA編集
我々は自殺傾向のバイオマーカーとしてADAR類及びPDE8Aの発現(表V(A)参照)、調整済みの様々な部位におけるPDE8A mRNA編集(部位A*〜G*、Z*、及びZZ*、表V(B))、及び様々なアイソフォーム(表V(C))を使用する本診断の成績を、受信者操作特性(ROC)曲線を用いて評価した。表Vは個々のバイオマーカーについての結果を示している。我々は0.878という値を有する最大の曲線下面積(AUC)をPDE8Aの部位B*におけるmRNA編集に見出した(表VB)。PDE8A mRNAアイソフォームBを用いて同じ結果が得られた(表V(C))。
表V(A)はADAR1a、ADAR1b、ADAR2、及びPDE8Aの相対的な発現の診断成績を表す。表V(B)はPDE8Aの個々の編集部位の診断成績を表す。表V(C)はPDE8Aの個々の編集アイソフォーム又は非編集転写物(Ne)の診断成績を表す。0.1未満のp値を有するものとして規定される最も適切な編集アイソフォームと編集部位のみが提示されている。マン・ホイットニー検定を用いてp値を計算した。記号「*」はPDE8Aの編集部位又は編集アイソフォームがそのmRNAの相対的な発現に対して調整されていることを表す。
PDE8A mRNA編集を他のPDE8A mRNA編集部位又はアイソフォーム及びADAR類のmRNA発現などの他のバイオマーカーと共に含む複合アプローチによって、将来の自殺を予測する我々の能力が強化可能であるか、我々はさらに調査した。
例えば、mROC曲線がPDE8Aの部位B*における編集のみを用いることによる0.878というAUCからPDE8Aの部位A*におけるmRNA編集をADAR1a及びADAR2のmRNA発現と共に付け加えることによる0.956というAUCに向上することを我々は見出した(表VI、表VII第6行、及び図6参照)。表VIIに記載される他の組み合わせによって0.878(ADAR1bのmRNA発現とPDE8Aの部位B*、第30行)と0.964(ADAR1a及びADAR2のmRNAとPDE8AアイソフォームB、アイソフォームBC、及びアイソフォームDのmRNA編集、第1行)の間のAUCを有する好適な診断成績が得られた。
ADAR1a+ADAR2+PDE8A_部位A*+PDE8A_部位B*という組み合わせによって得られる情動障害対照を自殺企図者に対して比較する多変量ROC曲線の複合診断成績の表である。
ロジスティック回帰モデル又はmROCアプローチを用いる統計分析によって類似の結果が生じた(表VIII、図7)。両方の方法がADAR1aのmRNA発現+PDE8A部位B*のmRNA編集について同一の精度を示した(表VII第29行及び表VIII第3行、及び/又は図7)。
mROCアプローチによりバイオマーカーの全ての組み合わせを実施した。組み合わせは、例えば、ADAR類のmRNA発現とPDE8A RNA部位編集(調整*又は非調整)の組み合わせ、ADAR類のmRNA発現とPDE8A RNAアイソフォーム編集(調整*又は非調整)の組み合わせ、PDE8A RNA部位編集(調整*又は非調整)の組み合わせ、PDE8A RNAアイソフォーム編集(調整*又は非調整)の組み合わせであり得た。例えば、mROCプログラムによって計算されるADAR1a+ADAR2+PDE8A_部位A*+PDE8A_部位B*というバイオマーカーの組み合わせについての方程式は(a)Z=0.02327×[ADAR1a]−0.026474×[ADAR2]−16.6903×PDE8A_部位A*+0.99311×[PDE8A_部位B*]であり得た。これらの方程式を使用して新しい仮想マーカー(Z)を計算して患者の診断を実施した。記号「*」はPDE8Aの編集部位又は編集アイソフォームがそのmRNAの相対的な発現に対して調整されていることを表す。
ロジスティック回帰を用いてバイオマーカーの組み合わせの精度及びその判別能力を評価した。組み合わせとしては、例えば、ADAR類の発現とPDE8A RNA部位編集(調整*又は非調整)の組み合わせ、ADAR類のmRNA発現とPDE8A RNAアイソフォーム編集(調整*又は非調整)の組み合わせ、PDE8A RNA部位編集(調整*又は非調整)の組み合わせ、PDE8A RNAアイソフォーム編集(調整*又は非調整)の組み合わせが考えられた。例えば、ロジスティック回帰によって計算されるADAR1a+PDE8A_部位B*というバイオマーカーの組み合わせについての方程式はP=Logit−1(0.0564×[ADAR1a]+1.9012×[PDE8A_部位B*−4.68849]であり得た。これらの方程式を使用して確率Pを計算して患者の診断を実施した。P(logit)は患者が「自殺企図者」の区分に属する確率である。記号「*」はPDE8Aの編集部位又は編集アイソフォームがそのmRNAの相対的な発現に対して調整されていることを表す。
実施例10:IFN−α療法時のC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者におけるPDE8A mRNA編集の増加
慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症のIFN−α療法時の大うつ病は一般的であり、発生率は最大45%である[21]。このモデルは短い期間(数週間)内でうつ病及び/又は薬原性精神的副作用について個人を評価するユニークな機会である。縦断的調査は各患者が自身の基準対照として作用し、遺伝的変異性及び環境的影響を除外するという大きな利点を有する。さらに、ADAR1aはインターフェロンによる刺激によって誘導可能である[22]。本調査では我々はHCV患者のIFN−α治療中にPDE8A mRNA編集が変化するか調査する。6人のHCV患者を事前に治療4週間前に評価し、12週間のIFN−αとリバビリンによる治療期間にわたって2週間毎に評価した(図8)。概して我々は、IFN−α治療後に全ての患者で部位BにおけるPDE8A mRNA編集が増加することを観察した。例えば、2人の代表的な患者においてPDE8Aの個々の部位におけるRNA編集の相対的な割合及びADAR類の遺伝子発現をさらに分析することで、我々はIFN−α治療に対する応答についての個人間の明確な差を観察することができた。患者1では、IFN−αに応答したADAR類遺伝子発現の誘導を観察することができなかったがPDE8A RNA編集の緩やかな増加を観察することができた(図9A、9C)。逆に患者2では、ADAR類の発現の急速で力強い増加(図9B)、並びにPDE8A RNA編集の急速で力強い増加を観察することができた(図9D)。概して、k−メジアンアプローチを用いることで6人全ての患者のクラスター化により異なるIFN−α介在性応答が確認され、2つの異なる患者群が示唆された(図10)。第1の患者群(クラスター1)は、曲線の急な傾きによって認められるように、ADAR1a転写物レベルと部位BにおけるPDE8A編集の両方に対して顕著で急速なIFN−α介在性応答を有する(図10)。第2の患者群(クラスター2)は、患者1について観察されたように、他の患者と比較して緩やかな応答を有する(図9A〜9C)。MADRS(モントゴメリー・アスベルグうつ病尺度)検査、MINI(精神疾患簡易構造化面接法)検査、MAThyS(躁うつ病寛解状態多面的評価尺度)検査、及びYMRS(ヤング躁病評価尺度)検査を用いて全ての患者を臨床的に評価した。上述の検査によって測定される過敏状態及び/又は抑うつ状態などの気分の変化が精神医学的評価によって明確に示された。
実施例11:非反復自殺企図者における経時的なPDE8A mRNA編集の減少
自殺未遂は将来の自殺企図についての最も強力なリスク因子のうちの1つを構成する[23、24]。自殺から1年の間の自殺再企図率は12〜15%の範囲である[25、26]。28人の患者を含む追跡調査(表1(B))において我々は初回の通院時と6か月後のこれらの患者の臨床評価を分析した。我々は自殺を再度試みなかった(NRSA)第1の群(n=20)とその期間に少なくとも一回は自殺を試みた患者(RSA)からなる第2の群(n=8)2つの異なる亜群に群全体を分割した。6か月の追跡調査期間におけるこの群の自殺未遂の平均回数は1.875回であった。3種類の独立した臨床評価スコア(ハミルトン、MADRS、及びBDI)を用いてそれらの患者をモニターし、NRSA群では追跡調査中に著しい改善がBDIスコアに見られた(図11A)。他方、RSA群の臨床評価には改善が見られず、MADRSスコアの著しい悪化さえ見られた(図11B)。それらの臨床評価を前記バイオマーカー(PDE8A遺伝子のRNA編集)に対して比較するために我々は追跡評価時のこれらの患者の白血球におけるRNA編集を分析した(図11C及び11D)。我々はPDE8A mRNA編集が6か月の期間に非反復自殺企図者(NRSA)と反復自殺企図者(RSA)との間で変調するか調査した。興味深いことに、RSA群では部位Bだけが変化する一方でNRSA群では全てのPDE8A mRNA編集部位が著しい変化を示しており、それらの患者の精神状態の改善を示唆的に示した。
実施例12:IFN−α療法中のC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者におけるPDE8A mRNA編集の変化
慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症のIFN−α療法時の大うつ病は一般的であり、発生率は最大45%である[21]。このモデルは短い期間(数週間)内でうつ病及び/又は薬原性精神的副作用について個人を評価するユニークな機会である。本調査では我々は充分な文献があり、且つ、充分に特徴解析された、IFN及びリバビリンを使用する抗ウイルス剤治療を受けているC型肝炎ウイルス感染患者において観察される気分の変化を活用した。精神疾患の履歴が無いC型肝炎ウイルスを有する10人の個人からなる小コホートをフランスの異なる病院で動員した。患者は調和のとれた精神医学的評価を動員時に受け、そして治療期間中に一定の間隔で繰り返し受けた。この特定の設定では各患者が自身の対照として作用し、その患者における進展を経時的にモニターすることができる。MADRS(モントゴメリー・アスベルグうつ病尺度)検査、MINI(精神疾患簡易構造化面接法)検査、MAThyS(躁うつ病寛解状態多面的評価尺度)検査、及びYMRS(ヤング躁病評価尺度)検査を用いて全ての患者を臨床的に評価した。上述の検査によって測定される過敏状態及び/又は抑うつ状態などの気分の変化が精神医学的評価によって明確に示された。IFNを使用して治療される各患者に起こる事象をより詳細にさらに調査するため、我々は12週間の治療期間のMADRSスコアを分析した。我々は情動反応性と共に高いMADRSスコアを有する各患者が気分を変化させる(うつ病になる)と考えた。10人の患者のうち3人の患者が抑うつエピソードを有すると分類された。
縦断的調査は各患者が自身の基準対照として作用し、遺伝的変異性及び環境的影響を除外するという大きな利点を有する。さらに、ADAR1aはインターフェロンによる刺激によって誘導可能である[22]。ADAR2遺伝子発現は治療期間中に変化しなかったが、治療開始から2週間という早い時期にADAR1a及びADAR1bの転写物レベルの明らかな上方制御が認められた(図12A、表IX)。ADAR1a、ADAR1b、及びPDE8Aの間で観察された同様の発現プロファイルは抗ウイルス治療によってこれらの遺伝子が特異的に変化することを示唆している。ウルトラディープシーケンシングアプローチを適用することで相対的なPDE8A転写物レベルに対して調整されたPDE8A遺伝子のRNA編集を分析し、コンピュータで解析した(図12B)。治療期間中にPDE8A遺伝子発現が著しく増加したので相対的なPDE8A転写物レベルに対して調整することでPDE8A遺伝子のRNA編集の分析を行った。顕著なことに、PDE8A転写物のRNA編集の増加は全調査集団において非常に均一であり、PDE8A転写物の部位Bにおける全編集が2週間以内に二倍になった。これらの部位におけるRNA編集の全体的な増加は治療開始から2週間と4週間の間にプラトーレベルに達した(図12C)。SH−SY5Yにおいて得られた以前のデータと一致して、C型肝炎ウイルス感染患者におけるIFN注射によってそれらの患者の白血球においてRNA編集活性の急速で力強い上昇が誘導された。遺伝子発現のデータを組み合わせることで抑うつエピソードを有する群と有しない群との間で顕著な差が観察された(図13A)。興味深いことに、遺伝子発現データと組み合わせてPDE8A転写物のRNA編集を特定的に分析することでも同様の分離が観察された(図13B)。治療期間中に精神医学的事象を経験するリスクがあるIFN処置患者の特定においてRNA編集と特定の遺伝子発現バイオマーカーを組み合わせることで高い特異度と感度が示された(表X、図13D)。最後に我々は特定のアルゴリズムを全ての時点の全ての患者に適用してリスクがある患者を特定するための混合バイオマーカーを検査した(図14)。それらのバイオマーカーの組み合わせはうつ病を発症する3人の患者を検出するパイロット試験の全期間にわたって非常に堅調であり、偽陰性であったのは18コールのうちの3コール(16%)であった。他方、うつ病の臨床徴候を示さない患者からなる群における42の結果のうちのわずかに3つの結果が偽陽性であった(7%)。まとめると、特定された血液バイオマーカーによってIFNなどの薬物治療の背景でうつ病を発症するリスクを有する患者を正確且つ堅実に検出することが可能になる。
ウィルコクソン検定によって得られたp値、誘導倍率、及びROC曲線下面積(AUC)が表IXによってまとめられている。ADAR1a、ADAR1b、及びPDE8Aが著しく増加したときにADAR2発現は調査期間中に変化しなかった。
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Claims (18)

  1. 患者がPDE8A転写物上でのA−to−I編集の変化に付随する精神疾患又は神経学的症候群、免疫学的症候群、及び変性症候群からなる群より選択される病態を発現している(present)リスクを予測するための、又は患者に前記病態を発症する(develop)リスクがあるか判定するための、インビトロ方法であって、
    編集酵素であるADAR1a、ADAR1b、及びADAR2のうちの少なくとも1つとPDE8Aとを発現する細胞を含有する前記患者の体液試料から
    (a)前記細胞含有血液試料から得られた同じ細胞内RNA抽出物における
    (i)PDE8A mRNAの発現レベル、及び
    (ii)PDE8A遺伝子上の編集可能な部位であって、好ましくは前記病態と関連する部位のうち、少なくとも1つ又はその組み合わせにおける、PDE8A RNA編集のレベル、及び/又は、
    発現可能であり、好ましくは前記病態と関連する少なくとも1つのPDE8Aアイソフォーム又はPDE8Aアイソフォームの組み合わせの、発現レベル
    を決定する工程;
    (b)工程(a)で得られた結果から、前記RNA編集部位の相対割合及び/又は前記PDE8A mRNA発現レベルに対する前記PDE8Aアイソフォームレベルの相対割合を決定する工程;及び
    (c)工程(b)で得られた前記RNA編集部位及び/又は前記アイソフォームの相対的な割合を、(i)前記病態を示すこと若しくは示さないことが既知の患者、又は前記病態を発症するリスクがあること若しくは無いことが既知の患者の対照体液試料から得られた前記部位におけるRNA編集及び/又は前記アイソフォームの相対的な割合と比較すること、及び/又は
    (ii)工程(b)において選択された前記編集部位及び/又は前記アイソフォーム、又はそれらの組み合わせを用いて、識別能力を示すアルゴリズム又は統計モデルを適用すること
    によって、前記患者が前記病態を発現しているかどうか、又は前記病態を発症するリスクを有するかどうかを識別する工程、並びに、
    工程(c)の(i)又は(ii)において得られた結果又は終値を用いて、前記患者が前記病態を発現しているかどうか、又は前記病態を発症するリスクを有するかどうかを決定する工程
    を含む前記方法。
  2. 前記病態が精神疾患である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記病態が抑うつ障害、精神障害、双極性障害、精神分裂病、パニック障害、社交不安症、外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物依存/乱用、異常摂食行動、強迫性障害(OCD)、早期アルツハイマー病、及びパーキンソン病からなる群より選択される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記患者が精神疾患を発現すしていることが既に確認されており、且つ自殺未遂歴が有るか又は無い患者の中から選択され、工程(c)においては前記患者が自殺行動を発現しているかどうか、又は自殺行動を発症するリスクを有するかどうかが識別される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者が非精神疾患の治療を既に受けた患者である、請求項1に記載の方法。
  6. 患者が自殺を試みるリスクを予測するための方法であって、工程(c)の(i)においては情動障害対照群の患者から対照体液試料を得る、請求項1に記載の方法。
  7. 患者がうつ病を示すかどうか判定するための方法であって、工程(c)の(i)においては健常群の患者から対照体液試料を得る、請求項1に記載の方法。
  8. 患者をモニターし、及び/又は、患者を治療応答者と治療非応答者に分けることを可能とする、請求項1に記載の方法。
  9. 工程(a)が、同じ細胞抽出物中の編集酵素ADAR1a、ADAR1b及び/又はADAR2の発現量を決定することを含み、
    工程(c)において、前記患者が前記病態を発現しているかどうか、又は前記病態を発症するリスクを有するかどうかが
    (i)さらに、工程(b)で得られた編集酵素ADAR1a、ADAR1b及び/又はADAR2の発現量を、正常な患者について得られた発現量、及び所望によりさらにPDE8A転写物上におけるA−to−I編集の変化に付随する病態を呈する患者について得られた発現量と、比較すること、及び/又は
    (ii)工程(a)及び(b)において選択された前記編集部位及び/又は前記アイソフォーム、及びADAR類の発現量、又はそれらの組み合わせを用いて、識別能力を示すアルゴリズム又は統計モデルを適用すること
    によって判定される、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記体液試料が血液試料、尿試料、及び唾液試料から選択され、好ましくはPBMC(末梢血単核細胞)を含む試料であり、より好ましくは血液試料である、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程(a)において、部位毎のPDE8A RNA編集の決定が、表IIIに記載される編集部位から選択される少なくとも1つの部位について行われ、好ましくは表IIIの部位O〜ZZのうち少なくとも1つの部位を含む複数の部位について行われ、より好ましくは部位A、B、C、D、E、F、G、Z、及びZZからなる群より選択される部位について行われる、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 工程(a)において、前記PDE8A mRNA発現レベルに対しての前記1つの編集部位又は複数の編集部位を含むPDE8Aアイソフォームレベルの相対的な割合を決定する、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程(a)において、アイソフォームB、BC、D、E、Ne(非編集型)、BE、G、BG、BF、A、Z、C、F、BZ、及びBDからなる群より選択される前記PDE8A RNAアイソフォームの相対的割合が決定される、請求項12に記載の方法。
  14. 工程(c)において、前記アルゴリズムが表VIに記載される組み合わせからなるmROCの組み合わせの群より選択される、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 工程(a)及び工程(b)において、qPCRによってPDE8A mRNA発現レベルが決定される、及び/又は、NGS(次世代シーケンシング)法によって部位毎のRNA編集レベルが決定される、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の方法。
  16. フォワードプライマーとしてのSeq1−フォワード(配列番号2)又はSeq2−フォワード(配列番号3);
    リバースプライマーとしてのSeq1−リバース(配列番号4)、Seq2−リバース(配列番号5)又はSeq3−リバース(配列番号6);並びに
    次の選択基準、すなわち
    (i)18ヌクレオチド長〜27ヌクレオチド長の間のオリゴである
    (ii)好ましくは60℃近辺(57℃〜63℃)の融点を有する
    (iii)50%(±5%)近辺の最適なGC含量を有する
    (iiii)許容可能な最大反復長が5モノヌクレオチドである、及び
    (vi)図1に示される目的領域を特異的に増幅する
    に合致する、フォワードプライマーとリバースプライマーとのセット
    からなる群より選択されるプライマーのセットにより、PDE8A mRNAの部位毎のRNA編集レベルが決定される、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 患者がPDE8A転写物上でのA−to−I編集の変化に付随する精神疾患又は神経学的症候群、免疫学的症候群、及び変性症候群からなる群より選択される病態を発現しているリスクを有するかどうかを判定するための、又は患者が前記病態を発症するリスクを有するかどうかを判定するための、キットであって、
    (1)分析することで前記病態を引き起こすリスクが判定できる終値を得るために請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の方法を適用するための、ROC曲線を含むか又は含まない指示書と、
    (2)フォワードプライマーとしてのSeq1−フォワード(配列番号2)又はSeq2−フォワード(配列番号3);
    リバースプライマーとしてのSeq1−リバース(配列番号4)、Seq2−リバース(配列番号5)又はSeq3−リバース(配列番号6);並びに
    次の選択基準、すなわち
    (i)18ヌクレオチド長〜27ヌクレオチド長の間のオリゴである
    (ii)好ましくは60℃近辺(57℃〜63℃)の融点を有する
    (iii)50%(±5%)近辺の最適なGC含量を有する
    (iiii)許容可能な最大反復長が5モノヌクレオチドである、及び
    (vi)図1に示される目的領域を特異的に増幅する
    に合致する、フォワードプライマーとリバースプライマーとのセット
    からなる群より選択されるプライマーのセットと、
    を含む、前記キット。
  18. 前記プライマーのセットがSeq2−フォワード(配列番号3)とSeq3−リバース(配列番号6)とからなるセットである、請求項16に記載の方法又は請求項17に記載のキット。
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