本発明は、少なくとも1つの二相交流非同期モータを含む冷却ユニット圧縮機用のコントローラに関する。本発明は、さらに、2つの交流非同期モータを含む冷却ユニット圧縮機との関連でのこのようなコントローラを備えるシステムに関する。本発明は、さらに、このようなコントローラやこのようなシステムの使用方法であって、深冷温度域の冷却ユニットを実現するための使用方法に関する。
冷却ユニットにおける、汎用コントローラ及び当該汎用コントローラにより制御される冷却ユニット圧縮機は、極低温(Ult)冷凍機として知られた分野に特に関する。この種の冷却ユニットは、一般的に産業目的や研究目的で使用され、冷却対象空間を−40℃未満、典型的には−60℃未満から−80℃迄や−80℃未満の冷却温度に保持することが可能である。これらの装置の典型的な用途目的は、長期的な冷却である。すなわち、被冷却物として適宜用いられ得る生体試料もしくは医療検体又はこの種の内容物が、これらの目標温度域で一般的に数週間又は数ヶ月の間保管される。つまり、恒久的な冷却モード用の汎用的な冷却技術が、対応する冷却ユニットを用いて構成されることになる。一般的に、このような冷却ユニットの典型的な電力消費量は、(−50℃未満の冷却温度での定常状態で)約1.2kWとなる。したがって、この技術の一日当たりの電気エネルギー消費量は約15kW〜20kWとなって高くなる。
前提として、圧縮機ユニットの枠組内では、所望の目標低温域が単一の冷媒ブランチ(通常、圧縮機モータとして交流非同期モータを具備している)のみによって提供されるのではないことが、現行技術から知られている。むしろ、2段のシステム、つまり、2つの圧縮機モータを備えるシステムが設けられることが知られている。例えばこの点に関して言えば、本発明の一般背景技術との関連で言及する特許文献1に、−40℃未満の極低温冷却ユニットの分野における、圧縮機モータをそれぞれ含む2つの冷却回路で構成されたカスケード型システムであって、第1の冷却回路が水蒸気凝縮器を介して動作環境と相互作用すると共に、当該第1の冷却回路により生成された冷却体積が第2の冷却回路によってさらに冷却されることにより、−80℃迄や−80℃未満の所望の値を高い信頼度で達成する、カスケード型システムが開示されている。この状態から、圧縮機モータとして機能する交流非同期モータがサーモスタット制御やセンサ制御で適切にオン/オフ切替えられるだけで、その目標温度がダウン冷却以降の恒久的な動作温度として確実に維持されることが知られている。
特許文献1では、現行技術の短所に既に取り組んでおり、この種のシステムのエネルギー消費量の非効率が批判されている。例えば、上記冷却回路(つまり、上記モータの各動作ライン)は最大負荷に耐えられるように構成されており、これはダウン冷却の間は有利となるものの、上記目標温度の定常冷却モード以降はその必要性がなくなる。具体的に述べると、この引用文献は、このような効率性の欠点以外にも、上記モータをオン/オフ切替えすることで機械的な問題が生じ、振動や騒音が発生するという点についても特に批判している。
特許文献1では、上記圧縮機モータの可変速制御によってこの問題を解決するというアプローチが取られており、具体的に述べると、例えばダウン冷却が終わって上記目標温度に到達し、温度が(単に)その水準に維持されるだけで良くなれば、負荷を減少させる目的でモータ速度を適宜下げるという技術が想定されている。
この提案は原理としては洗練されているように見受けられ且つ少なくとも1つの圧縮機モータ出力の可変性を可能にしているが、この既知のアプローチにも欠点が残っている。例えば、制御やモータ構造の複雑性が大幅に増し、定格電気出力がキロワット範囲になることを考慮に入れる必要があるところ、対応するモータ設計との関連で制御の複雑性を大幅に増大せざるを得ないことを意味する。しかも、極低温冷却ユニットという繊細な技術分野では、速度センサなどのケーブルのスルーラインなどの圧縮機フィードラインが増えるごとに密封やヒートブリッジに関する問題が生じるので、基本的に不利である。
特許文献1の現行技術には、さらに、様々な商用電源電圧系統や特定の電源網の所定の商用電源電圧に対してモータ制御を適合化させるには回路の複雑性を大幅に増大せざるを得ないという追加の問題が存在している。これは、各地域(北米、日本、欧州など)及び当該地域の交流電源網に準拠した適切な圧縮機モータを使用し、当該モータをその地域での商用電源電圧に合わせて(典型的に50Hz又は60Hzである特定の周波数も含めて)構成することが、他の現行技術の既知の方法だからである。モータがその時々の商用電源で単にオン/オフ切替えされるだけであれば、何の不便もなく動作を行えるが、様々な交流電圧や商用交流電源電圧に対してモータ制御を汎用的に使用可能なものにするのであれば、当然ながら特別な調節が施された非同期モータが必要となる。この点に関しても、汎用的な冷却ユニットに根幹的な変更を施さずとも、当該汎用的な冷却ユニットを様々な商用電源電圧や商用電源周波数(典型的には、50Hz〜60Hzで100V〜230Vの範囲内)で融通良く動作可能なものとすることが所望されるので、改善の必要性が明らかに存在する。
最後に、電源網(一般的には、公共電源網)からの各商用電源電圧環境は、冷却ユニット圧縮機の寸法や設計を(当該冷却ユニット圧縮機の制御も含めて)左右する別の課題をもたらす。通常、所与の地域や国の特定の電源網仕様に応じて、当該交流電源網から引き込むことが可能な電流には、超えてはいけない最大電流が定められている。勿論、特殊な用途に関してはより大きい電流の消費点が確立されている場合もあるが、これは追加の手間がかかるだけでなくコストも割に合わない。特許文献1に記載の装置は、この点に関して(最大)電流消費量に最適化されていないように見受けられる。
したがって、本発明の目的は、少なくとも1つの二相交流非同期モータを含む冷却ユニット圧縮機用の、(ハードウェア関連の)技術的実現が簡単なコントローラであって、具体的に述べると、圧縮機モータの速度を変化させる複雑な制御電子部品を不要とする一方で、特にダウン冷却以降の定常冷却モード時の電力消費量を下げることによってエネルギー効率を確保することができると同時に、所与の電源網に内在する最大電流消費量の上限をどの動作状態においても超えないことを確実にする、コントローラを提供することである。
上記目的は、主請求項の構成を備えるコントローラにより達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。(少なくとも)2つの交流非同期モータを含む、冷却ユニット圧縮機をカスケード型段連結ユニットとして実現するシステムについても、本発明の範疇での保護が請求されている。このようなカスケード型段連結ユニットとしては、例えば特許文献1に記載されたものが挙げられ、その冷却回路構造及び圧縮機構造については、本発明の一部として本願の開示内容に取り入れたものとする。最後に、本発明は、本発明に係るこのようなコントローラ又はこのようなシステムの使用方法であって、目標冷却温度が−40℃未満、好ましくは−60℃未満、より好ましくは−75℃未満である冷却ユニットを実現するための使用方法も請求している。
本発明に係る有利な一形態において本発明は、前述の引用文献とは異なるアプローチを取る。これは、第1および第2の電圧変換手段で構成されたシステムにより、電源網で予め定められている様々な主電源周波数の様々な入力(主電源)電圧に融通良く適合できるだけでなく、出力側においてもこの種のアーキテクチャを可能にし得るということ、すなわち、交流非同期モータとして構成および接続される圧縮機モータに対して、予め定められることが可能で且つ様々な電圧レベルに設定されることが可能な交流電圧出力信号を供給できるということが本発明おいて判明しているからである。これは、例えば最大出力ダウン冷却モード等で印加される交流電圧が、前記目標温度を一定に保持することに関する後続の定常冷却モード時に印加される交流電圧よりも高くなるという知見に基づいたものであり、したがって前記電圧変換手段によって同技術の土台を築いている。
本発明では、さらに、交流主電源電圧を検出する電圧検出手段が設けられており、当該電圧検出手段の検出手段出力信号が前記電圧変換手段により、特定の電源網の容量に応じた、前記出力信号の最大電流値を求めて且つこれに従うように用いられる。
このようにして、本発明は、少なくとも1つの前記交流非同期モータの速度変化や速度制御を行うことなく、かつ、電力引込量が特定の電源網の条件と合わない過剰なものになるというリスクを伴うことなく(様々な電源網に対して融通良く接続可能である)、最良のエネルギー効率での最適化された動作挙動を実現することができる。
つまり、本発明に係る有利な一構成における前記電圧変換手段は、前記冷却ユニットの冷却対象空間(用いられる冷却空間)に対応付けられることが可能な温度センサ手段の支援により、かつ、対応付けられた動作モード手段の働きにより、以下に述べる構成を確実なものにする:前記温度センサ手段により検出された温度が閾値よりも大きい場合(すなわち、前記冷却対象空間の目標冷却温度よりも大きい場合)前記動作モード手段が、前記出力信号を生成する前記第2の電圧変換手段を、第1の交流出力電圧レベルで動作させる。当該第1の交流出力電圧レベルは、好ましくは(前記制御フェーズの間)一定であり得て、接続された(少なくとも1つの)前記モータが前記最大電流値を上限とする電力量を引き込むことを可能にする電圧レベルである。一方で、検出された温度が前記閾値以下になると、前記出力信号を生成する前記電圧変換手段は、前記動作モード手段の働きにより、より低い第2の交流出力電圧レベルで動作させられる。これは、そのようにモータ出力を低下させても(但し、排気体積が一定であることを条件としてモータ速度も一定であるとする)、ダウン冷却完了以降も目標温度を一定に維持するという目的のためには、少なくとも1つの前記モータのエネルギー消費量を、十分大幅に削減させることができるという知見に基づいている。典型的な第1の交流出力電圧レベルが例えば230Vである場合、前記より低い第2の交流出力電圧レベルを150Vにまで又はそれ未満に低下させることが可能であり得る。したがって、本発明に係る有利な一実施形態では、前記第1の交流出力電圧レベルに対する前記より低い第2の交流出力電圧レベルの(実効値に関する)比が、典型的に0.8未満、好ましくは0.6〜0.75の範囲内である。
本発明の好適な他の実施形態では、有利な前記温度センサ手段により可能となる、前記冷却対象空間の温度低下の上記のような過程において、それぞれに冷却回路が対応付けられたカスケードの様式の2つの非同期モータが各々圧縮機モータとして使用されているとき、対応付けられた当該モータにより、それらの冷却回路が互いに別々に且つ温度に関係なく駆動される。有利な一実施形態では、冷却モードにおいて、前記温度が高い方の第1の温度閾値(低い方の目標動作温度値が例えば−80℃である場合には、典型的に約−40℃)以下になるまで第1の前記交流非同期モータに対してのみ交流出力信号が供給される一方で、前記温度が当該閾値以下になると第2の前記冷却回路のための第2の前記交流非同期モータ(カスケード連結されている、前述の現行技術と同様に構成された交流非同期モータ)が制御される。
本発明の好適な他の実施形態において、前記主電源接続手段に対応付けられた前記電圧検出手段によって前記第2の電圧変換手段は、電流が前記最大電流値に達してそれを超えると、意図した動作範囲や許容可能な動作範囲を超えて装置が動作するであろうと、検出された主電源電位が示唆しているときに、接続された少なくとも1つの前記モータへの制御及び給電を停止するように構成されることが可能となる。つまり、そのような場合には、この実施形態に係るコントローラによって前記出力信号が確実に停止される(すなわち、少なくとも1つの前記モータに対する前記信号の供給が行われなくなる)。
結果として本発明により、少なくとも1つの単相双極交流非同期モータ(コンデンサにより実現される又は電子的に実現される等した追加の補助相を有する)が、複雑な速度制御が実行されたり速度検出信号、センサ信号などがこの目的のために処理されたり、前記コントローラの出力側で負荷(モータ)に関する追加の複雑な電流測定や電流検出が行われたりすることなく、二線接続(あるいは、補助相が電子的に生成される場合には三線)による二端子装置として制御されるということが、驚くほど洗練された且つ簡単な様式で可能となる。本発明ではこれが、主電源引込部での本発明に係る電圧検出手段により、洗練されたかたちで実現される。
以上のように、本発明に従って実現される冷却ユニット圧縮機システムは、様々な主電源電圧環境へと汎用的に接続可能であり且つ電気エネルギー消費量を大幅に削減できることから幅広い用途に適用可能であると期待される。つまり、前述した分野での極低温域用冷却ユニットとの関連での用途が好ましいものの、本発明の用途範囲はこれに限定されない。
例えば、前述した低温状況において、本発明により、−50℃未満の冷却温度域での2段冷却装置の典型的な電力引込量を約1.2kWから0.8kW以下へと削減することができる。長期(具体的に述べると、既述以外の様々な動作フェーズも含む)では、典型的に、15%以上のエネルギー節約が達成可能となる。
本発明のその他の利点、特徴および詳細は、好適な実施形態についての以下の説明から及び図面から明らかになる。
本発明の第1の好適な実施形態における、制御される2つの交流非同期モータを含む冷却ユニット圧縮機用の本発明に係るコントローラのブロック図である。
同実施形態における、前記非同期モータのうちの一つについての、印加される給電電圧に対する電力消費量及びトルク挙動を示す図である。
図1の概略的なブロック図には、本発明の第1の好適な実施形態におけるコントローラを実現するための主要な機能的構成要素が描かれている。2つの交流非同期モータK1,K2(それぞれ、50Hzで交流電圧230V)が制御され得る。特許文献1などから知られている様式どおり、モータK1,K2にそれぞれ対応付けられた冷却回路は互いに接続されてカスケード連結されている。これにより、圧縮機モータK1に対応付けられた第1の冷却回路は、極低温(ULT)冷却ユニット(図示せず)の共通ハウジング又はキャビネットに組み込まれた当該装置の周辺環境と相互作用し、当該第1の冷却回路に熱交換器(図示せず)を介して連結された第2の冷却回路は、その熱交換器で前記第1の冷却回路によって生成された冷却温度を、圧縮モータK2の働きによって冷却空間(図示せず)の目標の又は実用的な冷却温度にさらに低下させる。
2つの圧縮機モータK1,K2で構成された図示のシステムは、交流電圧100V〜240Vの幅広い入力電圧範囲の(公共)電源網への接続により、すなわち、最大電流動作用に特別に構成されたものではない一般的なコンセントなどの商用電源接続手段(主電源接続手段)10で典型的に利用可能となる電圧により駆動され得る。図示の実施形態は、所与の地域ごとに予め定められている最大電流引込量であって、電源網からの最大電流引込量に応じた、後述するどの上限量も超えないように構成されている。例えば、英国の230V/50Hz電源網の上限量は13Aであるのに対し、日本の100V/50Hz電源網の上限量は15Aであるが、いずれの場合においても、追加の給電手段による複雑かつ高価な様式を用いてこれらの電流閾値を上げるという必要性がなくなる。
図1に示す実施形態では、入力側の前記商用電源接続手段の下流側に、電力検出部12が接続されている。具体的に述べると、電力検出部12は、商用電源接続手段10に存在する交流電圧の電圧検出機能も有している。当該検出手段12の検出手段出力信号は、制御ライン13を介して、後述するモード・制御部24に接続されている。
前記公共電源網により供給された交流電圧入力信号は、二段コンバータ又はインバータユニットにより、非同期モータK1,K2を制御する各々の出力信号へと変換される。すなわち、まずは第1のコンバータ段14により変換される。当該コンバータ段14は、印加された前記交流電圧入力信号を既知の様式で390Vの直流電圧へと変換すると共に、力率改善(PFC)(本例では、アクティブな力率改善として構成されている)がさらに設けられている。つまり、大型のコンデンサを用いた既知の様式(本回路図では詳細に図示せず)により、引き込まれた電流の曲線を(正弦波状の)商用電源電圧(主電源電圧)に合わせるように調節する。
図1の概略ブロック図では、昇圧コンバータを具備した前記第1の段14の後に、非同期モータK1,K2にそれぞれ対応付けられて且つ当該非同期モータK1,K2の上流側にそれぞれ接続された、一対の第2の変換モジュール16−1,16−2が続いている。これら第2のコンバータ段は、390Vの直流電圧信号を、前記非同期モータの制御電圧としての交流電圧に変換する。図示の実施形態では、当該制御電圧が、二線式の出力ライン21−1,21−2に印加される。非同期モータK1,K2のそれぞれの補助相が、当該第2の変換モジュール16−1,16−2に設けられたコンデンサ(詳細に図示せず)により生成される。
出力側での、各モータ給電電圧(モータ供給電圧)としての前記交流電圧のレベルは、参照符号18−1(変換モジュール16−1用),18−2(変換モジュール16−2用)として概略的に図示されている制御部によって決められる。当該制御部は、各非同期モータK1,K2に対して生成して印加すべき交流電圧に対応する電圧制御信号を、バスライン19を介してモード・制御部24から受け取る。モジュール16,18は、制御部18によって既知の様式で切り替えられる、ハーフブリッジトポロジーのようなパワー半導体対(HS,LS)で構成されている。これにより、制御信号に依存する交流出力電圧を用いたスイッチング電源機能を実現している。
前記2段のコンバータ装置の出力信号としてK1,K2に印加される又は印加すべき前記制御電圧のレベルは、モード・制御部24によって決められる。具体的に述べると、モード・制御部24は、温度センサ26の温度入力信号T1,T2に依存する。本実施形態において、温度値T1は、熱交換器の温度に対応するか又は前記モータに対応付けられた前記冷却回路間の接続遷移温度に対応する温度信号である。有利なことに、これにより、まずは、ダウン冷却時において例えば前述の熱交換器等である温度閾値に到達するまで、第1の圧縮機モータK1のみが駆動されることが確実となる。温度が当該閾値(システム全体の目標温度を−80℃に設定したユニットの場合には、典型的に約−40℃に相当)以下になると、第2の圧縮機モータK2が(追加で)駆動されて、当該第2の圧縮機モータK2に対応付けられた前記冷却回路によって温度を引き続き低下させる。図示の実施形態において、温度センサ部26から出力される温度信号T2は、冷却対象空間(すなわち、前記冷却ユニットの、被冷却物が目標温度(本例では約−80℃)で保管されることになるチャンバ又は区域)の温度を表す。温度信号T2に基づいて(具体的には、前記目標温度に到達すると)、第2のコンバータ段16−1,16−2を適宜制御することにより、前記モータ給電電圧が以下で説明する様式で変化させられる。具体的に述べると、(各々の)前記モータ給電電圧を減少させることで、エネルギーを節約する。これは、前記目標温度への前記到達まで(すなわち、ダウン冷却の間)まずモータK1が公称電圧(230V)で駆動されて、その後モータK2も公称電圧(230V)で駆動される通常動作とは対照的である。
これらの相関性は、圧縮機モータK1,K2のうちの一つについて記録された図2の電力およびトルクの図から明白である。有利なことに、本発明では、交流制御電圧によって230Vの公称値で又は当該公称値付近で発生する高いモータトルクが、前記目標温度への到達以降、当該目標温度を一定に維持するうえでもはや不要となることが判明した。この点について図2の鎖線のトルク曲線は、K1,K2へのモータ給電電圧を減少させていくと、発生するトルクが低下する(但し、速度は同じままであり、具体的に述べると、速度はフィードバック制御を受けることなく制御範囲全体にわたって不変に維持される)ものの、低下した当該トルクであっても、前記冷却回路内に存在する圧力条件に従って定常的又は恒久的な冷却状態中に冷却挙動を十分確保できることを示唆している。つまり、本発明では、前記目標温度に到達すると前記モータ給電電圧が(典型的には、140V〜150Vまで)減少させられる。図2の実線曲線を参照すると、これは、各モータの電力引込量を大幅に削減できることを意味している。これは、このような低い交流給電電圧であっても、前記圧縮機モータの滑らかで且つ途切れのない駆動を実現できるだけでなく、要求されるトルクが低いため、必要な排気体積又は排気性能についても一定の速度のままで実現できることが、本発明の範囲において有利であると証明されているからである。
図1のブロック図にさらに描かれているとおり、追加のコンバータ部としての給電部22が、モード・制御部24への給電電圧を前記390Vの直流電圧から生成する。さらなる参照符号20が、追加の制御選択肢に従って、バス19を介して前記冷却モードに追加で適宜参加し得る換気装置を指している。
本発明は、図示の実施形態やそこで挙げられているパラメータに限定されない。温度範囲や電圧範囲はいずれもほぼ自由に変えることができる。また、交流非同期モータがそれぞれ対応付けられた2つの冷却回路がカスケード連結されてなるシステムが有利であるものの、本発明はこの構成に限定されない。さらに、本発明は、極低温域(典型的には−50℃未満、より好ましくは−70℃未満)用の冷却ユニットを実現するのに適しているが、これにかかわらず、本発明に係るコントローラは他の用途にも使用されてよい。