JP2019521105A - 補体c5多型を有する患者を治療するための抗c5抗体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、一般的には、補体C5タンパク質に多型を有する患者において補体関連の疾患または障害の予防または治療に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。

Description

本発明は、補体C5タンパク質内に多型または突然変異を有する患者における補体関連の疾患または障害の防止または治療に使用される抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
先天性免疫系の主成分である補体は宿主防御に重要である。補体は、感染から保護したり、適応免疫および先天免疫に関連したり、ならびに免疫複合体および炎症傷害産物を廃棄したりする働きをする(Walport 2001)。補体系は、3つの既知の活性化経路、すなわち、古典経路(抗体複合体)、レクチン経路(レクチン複合体)、および代替経路(可溶性補体タンパク質C3の自発的加水分解)を介して作用する25種を超える血漿中タンパク質からなる。
補体成分C5は、一本鎖前駆体分子として主に肝臓で合成される約189kDaのタンパク質(可能なグリコシル化を考慮に入れない)である。C5は、マクロファージならびに特異的タイプの上皮細胞および線維芽により合成されることも示されているが、C5の血清中濃度への異なる組織の相対寄与は知られていない。3つの補体経路はすべてC3活性化で合流する。C3の主要な活性化産物C3bはC5コンバターゼの必須成分である。補体活性化のレベルが高いとき、C3bの分子はC3コンバターゼに会合してC5コンバターゼを形成するという提案がなされてきた。この会合は、酵素の活性をモジュレートしてC3の代わりに補体成分C5を優先的に切断する(M.Jore et al.,Nature Structural & Molecular Biology,2016 Nature America)。C5α鎖は、補体活性化プロセス時に形成されるC5コンバターゼにより切断されてC5a鎖およびC5α’鎖を形成する。C5α’鎖およびC5β鎖は一緒になってC5bを形成する。
ヒトC5(Uniprotエントリ P01031)は、ジスルフィド架橋により結合されたα鎖(999アミノ酸)とβ鎖(655アミノ酸)とからなる分泌マルチドメイン糖タンパク質である。α鎖内のArg751とLeu752との間のペプチド結合は、C5コンバターゼにより切断されて、小さな74アミノ酸長のC5aフラグメントと大きなC5bフラグメント(1580アミノ酸)とを生成する。C5からC5bへの変換は大きなコンフォメーション変化を含み、続いてC6結合をもたらす。
ヒトC5は結晶化された(Discipio et al 1998;Acta Crystallogr Sect D:Biol Crystallogr;54:643−646)。3.1Åの分解能でのタンパク質結晶学によるC5タンパク質の三次元構造の決定は、C5がマルチドメインタンパク質であること、すなわち、C5が、8つのMGドメイン(MG1〜MG8)と、CUBドメインと、C5dドメインと、C5aドメイン(「アナフィラトキシン」とも呼ばれる)と、MG1〜MG2とMG4〜MG6との間に充填された伸長リンカー領域と、を含有することを示した(Fredslund et al;Nat Immunol;9:753−760,2008)。
C5aは、好中球の走化性、内皮細胞の活性化、および炎症誘発性サイトカインの放出に関与する主要なアナフィラトキシンである。C5aのこれらの機能は、そのレセプターC5aRへの結合を必要とする。C5bは、非酵素方式でC6、C7、C8、およびC9を逐次的にリクルートして膜侵襲複合体(MAC)を形成する。MACは、標的膜中に溶解性細孔を形成し、病原体を死滅させる。C5aおよびC5bの機能は病原体の死滅を支援するが、それらは宿主細胞を損傷するおそれのある過剰炎症反応を引き起こす原因ともなりうる。したがって、C5の機能は、宿主において他のタンパク質との相互作用により厳密に調節される。調節タンパク質は宿主生成因子または病原性因子のいずれかでありうる。
異常調節された補体活性化は、補体関連の疾患または障害としてまとめて参照可能な疾患表現型を招くおそれがある。たとえば、それらは、調節不全C3および/またはC5活性化により、とくに過剰C5aおよび/またはMAC依存活性により、トリガーされうる。有意なC5補体調節不全成分が存在する補体C5関連の疾患または障害は、特異的補体関連の疾患または障害である。
C5補体関連疾患の例は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である。PNHは、赤血球が損なわれひいては正常赤血球よりも急速に破壊される血液に影響を及ぼす高い罹患率を有する命にかかわる疾患である。現在のPNH治療はC5ブロッケードを含む。これは、上流成分のクリティカルな免疫保護機能および免疫調節機能の保持をもたらし、結果的にC3b媒介オプソニン化および免疫クリアランスに至る。終末補体タンパク質C5に特異的に結合してC5コンバターゼによるC5aおよびC5bへの切断を阻害するヒト化モノクローナル抗体であるエクリズマブ(Soliris(登録商標)、Alexion Pharmaceuticals)は、PNHの治療に有効であることが示されており、PNHに対して承認された唯一の薬剤である。
エクリズマブもまた、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)に対して承認されている。aHUSは、遺伝的成分を有することの多いきわめて珍しい命にかかわる進行性疾患である。ほとんどの場合、それは補体系の慢性的無制御活性化が原因である。
日本では、エクリズマブを摂取した345名のPNH患者のうち11名の患者は不十分な反応を有していた。これらの11名の日本人患者はすべて、多型p.Arg885Hisが予測される単一ミスセンスC5ヘテロ接合突然変異c.2654G→Aを有していた。PNH患者でのこの突然変異の出現度(3.2%)は、健常日本人での出現度(3.5%)に類似していた。この多型はまた、漢民族集団でも同定された。そのほか、エクリズマブに対して不十分な反応を有していたアジア系アルゼンチン患者は、多型p.Arg885Cysが予測される異なる突然変異c.2653C→Tを有していた。非突然変異および突然変異のC5は両方ともin vitroで溶血を引き起こしたが、非突然変異C5のみはエクリズマブに結合してそれによりブロックされた。Arg885に突然変異を有するC5変異体の機能的能力は、エクリズマブによるブロッケードに失敗したものと合わせて、こうした突然変異(Nishimura et al.,New Engl J Med 2014;370;7)を有する患者におけるこの作用剤に対する不十分な反応を説明する。エクリズマブ治療の代替手段の欠如が原因で、エクリズマブ治療に反応しない患者の治療ができない。そのため、古典経路および/または代替経路に関連付けられる疾患および障害とくにPNHを治療するための現在の治療選択肢にもかかわらず、非反応患者集団に好適な治療を見いだす必要性が存在する。
本発明は、補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害、たとえば、PNHまたはaHUSの予防または治療に使用される抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
本開示のさまざまな(列挙された)実施形態が本明細書に記載されている。各実施形態に規定された特徴を他の特定の特徴と組み合わせることにより本開示のさらなる実施形態を提供しうることは、分かるであろう。補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえばp.Arg885多型を有する患者において、補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体を前記患者に投与することを含む方法で医薬として使用するための、抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、エクリズマブエピトープと識別可能なかつ任意選択的にそれから離れたC5タンパク質のエピトープに結合する抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントが提供される。
補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえば補体C5タンパク質内にp.Arg885多型を有する患者の治療方法に使用される抗C5抗体または抗原結合フラグメントが提供される。ただし、本方法は、有効量の抗C5抗体を前記患者に投与することを含み、かつ前記抗C5抗体は、前記患者において補体活性化を阻害可能である。
補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえばp.Arg885多型を有する患者を治療する方法で医薬として使用するための、抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントが提供される。ただし、前記方法は、患者のC5補体タンパク質がエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型を含むかを患者から得られた生物学的サンプルから決定する工程を含み、生物学的サンプルは、前記患者から単離された組織または流体である。
必要とする患者において補体関連の疾患または障害を治療する方法に使用するための、抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントが提供される。本方法は、
a.患者からの生物学的サンプルを採取することと、
b.前記患者のC5をコードする遺伝子内で突然変異または多型をスクリーニングすることと、
c.患者が補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、C5補体タンパク質内にp.Arg885多型を有するかを決定することと、
d.かかる突然変異または多型を有する患者において、C5補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体を前記突然変異または多型を有する患者に投与することであって、生物学的サンプルが患者から単離された組織または流体である、投与することと、
を含む。
補体関連の疾患または障害、たとえば、PNHまたはaHUSを治療する方法に使用するための、エクリズマブエピトープ以外のC5補体タンパク質、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントに結合可能な抗C5抗体または抗原結合フラグメントがさらに提供される。本方法は、
a.患者から得られた生物学的サンプルから、患者が補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、C5補体タンパク質内にp.Arg885多型を有するかを決定することであって、生物学的サンプルが患者から単離された組織または流体である、決定することと、
b.有効量の前記抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することと、
を含む。
また、必要とする患者において補体関連の疾患または障害の予防または治療で使用するための、抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、エクリズマブエピトープと識別可能なかつ任意選択的にそれから離れたC5タンパク質エピトープに結合する抗C5抗体または抗原結合フラグメント、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントも提供される。ただし、患者はエクリズマブ治療に反応しない。
また、PNHまたはaHUSの予防または治療に使用するための、エクリズマブエピトープと識別可能なかつ任意選択的にそれから離れたC5タンパク質エピトープに結合する抗C5抗体または抗原結合フラグメント、およびかかる使用のための特異的投与レジメンも提供される。
さらに、PNHまたはaHUSの予防または治療に使用するための、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメント、およびかかる使用のための特異的投与レジメンが提供される。
テシドルマブ−C5インターフェースの拡大図。C5のCUBドメインおよびTED/C5dドメイン(グレー略画図)は、それぞれ、ダークグレーおよびライトグレーであり、エピトープに寄与するペプチドストレッチは、破線ボックス内に見られる。テシドルマブFabも示される。 885位のC5多型は、テシドルマブにより認識されるエピトープに影響を及ぼさない。Arg885の位置がテシドルマブのエピトープに対してC5の反対側にあることを示すC5(グレー略画図)とテシドルマブFab(ブラック略画図)との複合体の全体図。 C5枯渇血清中にC5(wtまたは突然変異体)をスパイクしたときの膜侵襲複合体(MAC)の形成。エクリズマブではなくテシドルマブが突然変異体C5の活性を阻害する。 テシドルマブは、C5変異体および非変異体PNHで抗溶血作用を示す。 テシドルマブとエクリズマブとのC5変異体および非変異体PNHでの抗溶血作用の比較。
現在、PNHに利用可能な最も有効な治療剤は抗C5抗体エクリズマブである。最近、補体C5タンパク質のArg885に突然変異を有するある特定の患者サブ集団はエクリズマブ治療に不十分に反応することが発見された。本発明者らは、Arg885に突然変異を有するC5変異体を認識する、かつ補体C5タンパク質内にp.Arg885多型を有する患者においてC5補体関連の疾患または障害の治療に使用するのに好適である、抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントを同定した。
一態様では、本発明は、補体C5タンパク質内にp.Arg885多型を有する患者においてC5補体関連の疾患または障害の予防または治療に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。
「補体C5タンパク質」または「C5」または「C5タンパク質」または「C5補体タンパク質」という用語は、同義的に用いられ、異なる種での補体C5タンパク質をも意味する。たとえば、ヒトC5は、表1の配列番号1に示される配列を有し、カニクイザルC5は、表1の配列番号2(マカカ・ファスシクラリス(Macaca fascicularis))に示される配列を有する。ヒトC5は、Quidel(カタログ番号A403)から得られる。ヒトC5(Uniprotエントリ P01031)は、ジスルフィド架橋により結合されたα鎖(999アミノ酸)とβ鎖(655アミノ酸)とからなる分泌マルチドメイン糖タンパク質である。α鎖のArg751とLeu752との間のペプチド結合をC5コンバターゼにより切断すると小さな74アミノ酸長C5aフラグメントと大きなC5bフラグメント(1580アミノ酸)とを生成する。C5からC5bへの変換は大きなコンフォメーション変化を含み、続いてC6結合をもたらす。
885位のヒトC5の2つの遺伝的変異体、すなわち、Arg885→HisおよびArg885→Cys変異体が発見された。多型p.Arg885Hisが予測される単一ミスセンスC5ヘテロ接合突然変異c.2654G→Aは、日本人および漢民族の集団で記載されている(表1の配列番号3)。
p.Arg885Cysが予測される他の突然変異(c.2653C→T)は、アジア系アルゼンチン人集団で記載されている(表1の配列番号4)。非突然変異体C5のみは、エクリズマブに結合してそれによりブロックされた。885位のヒトC5のこれらの2つの遺伝的変異体は、エクリズマブ治療(Nishimura et al.,New Engl J Med 2014;370;7)に対して不十分な反応を示すPNH患者で観測された。これらのC5変異体は、機能的であるが、エクリズマブによりブロックされなかった。Arg885は、C5のMG7ドメイン内に見いだされ、エクリズマブエピトープに(またはその近傍に)位置決めされる。
そのため、一実施形態では、本発明は、補体C5タンパク質のMG7ドメイン内にまたは補体C5タンパク質のエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、補体C5タンパク質内にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害の予防または治療で使用するための、抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。ただし、前記突然変異または多型はp.Arg885多型である。他の実施形態では、本発明は、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害の予防または治療に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。ただし、前記p.Arg885はp.Arg885Cys多型またはp.Arg885His多型である。
本明細書で用いられる「多型」という用語は、ゲノム配列のヌクレオチドが改変されたときに起こるDNA配列変異を意味する。単一ヌクレオチド多型(SNP)とは、ゲノム配列の単一ヌクレオチドが改変されたときに起こるDNA配列変異のことである。本明細書で用いられる「補体C5タンパク質のp.Arg885多型」という用語は、他のアミノ酸、たとえば、p.Arg885HisのHis、p.Arg885CysのCysによるC5のArg885の置換をもたらすミスセンスC5ヘテロ接合突然変異を意味する。
C5多型は、患者から得られたサンプルをアッセイすることにより検出可能である。「アッセイ」という用語は、同定、スクリーニング、プロービング、または決定の行為を意味するものとして用いられる。ただし、行為は、任意の従来の手段により行いうる。たとえば、マーカーがサンプルに存在するかを検出するために、ELISAアッセイ、ノーザンブロット、イメージングなどを用いて特定のマーカーの存在に関して、サンプルをアッセイしうる。「アッセイ」および「決定」という用語は、生物学的サンプル、たとえば、血液サンプルまたは他の組織サンプルを物理的試験に付すことにより、ある状態から他の状態に、物質を変換することを企図する。さらに、本明細書で用いられる場合、「アッセイ」および「決定」という用語は、試験および/または測定を意味するものとして使用される。「…のために患者からの生物学的サンプルをアッセイする」などという語句は、サンプルが所与の因子の存在もしくは不在のいずれかまたは特定の因子のレベルに関して(直接的もしくは間接的のいずれかで)試験しうることを意味するものとして用いられる。物質の存在が1つの可能性を表し、物質の不在が異なる可能性を表す状況では、かかる物質の存在または不在のいずれかを治療決定を案内するために使用しうることは、理解されよう。
アッセイの工程は、ノーザンブロット解析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、TaqManベースアッセイ、ダイレクトシーケンシング、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、高密度オリゴヌクレオチドSNP配列、制限断片長多型(RFLP)アッセイ、プライマー伸長アッセイ、オリゴヌクレオチドリガーゼアッセイ、一本鎖コンフォメーション多型の分析、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、変性高性能液体クロマトグラフィー、高分解能溶融分析、DNAのミスマッチを結合するタンパク質アッセイ、SNPLex(登録商標)、キャピラリー電気泳動、サザンブロット、免疫アッセイ、免疫組織化学、ELISA、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、HPLC、および質量分析からなる群から選択される技術を含む。
「エピトープ」という用語は、抗体への特異的結合が可能なおよび/またはかかる結合に直接関与するタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸や糖側鎖などの分子の化学活性表面集団からなり、通常、特異的三次元構造特性さらには特異的電荷特性を有している。コンフォメーショナルエピトープおよび非コンフォメーショナルエピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合が失われるのに対して後者への結合が失われないという点で識別される。本発明によれば、「エピトープ」は、コンフォメーショナルエピトープおよび非コンフォメーショナルエピトープを包含する。
「エクリズマブエピトープ」という用語は、エクリズマブが結合可能なおよび/またはかかる結合に直接関与するC5タンパク質の一部分たとえばそのアミノ酸を意味する。ただし、エクリズマブ結合は、C5活性化の調節不全を誘発する。エクリズマブエピトープは、C5のMG7ドメイン内に見いだされる885位のアミノ酸Arg(Arg885)を含有する。
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、全抗体および任意の抗原結合フラグメント(すなわち「抗原結合部分」)またはそれらの一本鎖を含む。天然に存在する「抗体」は、ジスルフィド結合により相互結合された少なくとも2つの重(H)鎖と2つの軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略記される)と重鎖定常領域とで構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、すなわち、CH1、CH2、およびCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略記される)と軽鎖定常領域とで構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLで構成される。VHおよびVLの領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が介在する相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分可能である。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ配置された3つのCDRおよび4つのFR、すなわち、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の各種細胞(たとえばエフェクター細胞)および古典補体系の第1成分(C1q)をはじめとする宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介しうる。
本明細書で用いられる抗体の「抗原結合部分」という用語は、所与の抗原(たとえばC5)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを意味する。抗体の抗原結合機能は、抗体のフラグメントにより発揮可能である。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、Fabフラグメント、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合された2つのFabフラグメントを含む2価フラグメントであるF(ab)2フラグメント、VHドメインとCH1ドメインとからなるFdフラグメント、抗体の単一アームのVLドメインおよびVHドメインからなるFvフラグメント、VHドメインからなる単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546)、および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは個別の遺伝子によりコードされるが、VL領域とVH領域とがペアになって1価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製できるようにする人工ペプチドリンカーにより組換え法を用いて連結することが可能である(一本鎖Fv(scFv)として知られる。たとえば、Bird et al.,(1988)Science 242:423−426、およびHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883を参照されたい)。かかる一本鎖抗体は、抗体の「抗原結合部分」を1つ以上含む。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来技術を用いて得られ、フラグメントは、抗体と同様に有用性に関してスクリーニングされる。
抗原結合部分はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディー、ミニボディー、イントラボディー、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、v−NAR、およびビスscFvにも取込み可能である(たとえば、Hollinger and Hudson,(2005)Nature Biotechnology 23(9):1126−1136を参照されたい)。抗体の抗原結合部分は、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドに基づくスキャフォールド内にグラフト可能である(フィブロネクチンポリペプチドモノボディーが記載されている米国特許第6,703,199号明細書を参照されたい)。
本発明は、C5タンパク質(たとえば、ヒトおよび/またはカニクイザルC5)への特異的結合を介する補体活性化のC5成分を阻害可能な抗体を提供する。かかる抗C5抗体は各種機能アッセイにより特徴付け可能である。たとえば、それらは、溶血アッセイでのそれらの赤血球溶解阻害能、それらのC5(たとえばC5ヒトおよび/またはカニクイザル)タンパク質親和性、それらのエピトープビニング、それらのタンパク質分解耐性、およびそれらの補体活性化ブロック能、たとえば、それらのMAC形成阻害能により特徴付け可能である。
一実施形態では、本発明の抗C5抗体は、補体C5タンパク質のMG7ドメイン内またはそのエクリズマブエピトープ内の突然変異または多型の影響を受けない補体C5タンパク質のエピトープを標的とする。たとえば、本発明の抗C5抗体は、p.Arg885多型たとえばp.Arg885Hisまたはp.Arg885Cysの影響を受けない補体C5タンパク質のエピトープを標的とする(たとえばそれに結合する)。
他の実施形態では、本発明の抗体は、C5タンパク質に効果的に結合するその能力により規定される。一方、C5タンパク質へのかかる結合は、補体C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内の突然変異または多型により影響を受けない。たとえば、本発明の抗C5抗体は、p.Arg885多型たとえばp.Arg885Hisまたはp.Arg885Cysを含有するC5タンパク質に効果的に結合可能である。
本発明に係る抗C5抗体は、C5タンパク質のMG7ドメイン、エクリズマブエピトープ(コンフォメーショナルエピトープを含む)、またはArg885から離れて位置する補体C5タンパク質内のエピトープを標的とすることが可能である。
他の実施形態では、本発明の抗C5抗体は、いずれの既知のN結合グリコシル化部位も含まないC5タンパク質内のエピトープを標的とする。
一実施形態では、本発明の抗C5抗体は、C5タンパク質にそのタンパク質のCUBドメインでまたはその近くで、たとえば、C5タンパク質のCUBドメインとTED/C5dドメインとのインターフェースで結合する。
一実施形態では、投与される抗C5抗体は、国際公開第2010/015608号パンフレット、“Compositions and Methods for Antibodies Targeting Complement Protein C5”および米国特許第8,241,628号明細書(参照により組み込まれる)に記載のテシドルマブである。テシドルマブのCDR配列は、本明細書の表1に含まれる。すなわち、カバット定義で定義されるように、HCDR1配列(配列番号5)、HCDR2配列(配列番号6)、HCDR3配列(配列番号7)、LCDR1配列 配列番号8)、LCDR2配列(配列番号9)、およびLCDR3配列(配列番号10)である。
他の実施形態では、投与される抗C5抗体は、配列番号5〜10に記載されるように、テシドルマブのCDR配列を有する任意の抗体である。他の実施形態では、投与される抗C5抗体は、テシドルマブと同一のエピトープに特異的に結合する。
したがって、新たな抗体は、C5結合アッセイたとえば競合結合アッセイで本明細書に開示された他の抗体と交差競合する(たとえば、統計的に有意な方式で結合を競合阻害する)それらの能力に基づいて同定可能である。C5タンパク質(たとえば、ヒトおよび/またはカニクイザルC5)への本発明の抗体の結合を阻害する試験抗体の能力は、C5に結合する抗体と試験抗体が競合可能であることを実証する。かかる抗体は、非限定的な理論によれば、競合する抗体と同様にC5タンパク質上の同一または関連(たとえば、構造的類似または空間的近接)のエピトープに結合しうる。ある特定の実施形態では、本発明の抗体と同様にC5上の同一のエピトープに結合する抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。かかるヒトモノクローナル抗体は、本明細書に記載されるように調製および単離が可能である。
既知の競合結合アッセイは、C5タンパク質への結合に関してC5結合抗体と参照C5結合抗体との競合を評価するために使用可能である。これらは、たとえば、固相直接もしくは間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接もしくは間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli et al.,(1983)Methods in Enzymology 9:242−253)、固相直接ビオチン−アビジンEIA(Kirkland et al.,(1986)J.Immunol.137:3614−3619)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ、I−125標識を用いた固相直接標識RIA(Morel et al.,(1988)Molec.Immunol.25:7−15)、固相直接ビオチン−アビジンEIA(Cheung et al.,(1990)Virology 176:546−552)、および直接標識RIA(Moldenhauer et al.,(1990)Scand.J.Immunol.32:77−82)を含む。典型的には、かかるアッセイは、固体表面に結合された精製抗原またはこれらのいずれかを有する細胞と、非標識試験C5結合抗体と、標識参照抗体と、の使用を含む。競合阻害は、試験抗体の存在下で固体表面または細胞に結合された標識の量を決定することにより測定される。通常、試験抗体は過剰に存在する。競合アッセイにより同定される抗体(競合抗体)としては、参照抗体と同一のエピトープに結合する抗体、および立体障害が起こるために参照抗体が結合するエピトープに十分に近接する隣接エピトープに結合する抗体が挙げられる。
選択されたC5結合モノクローナル抗体がユニークエピトープに結合するか決定するために、市販の試薬(たとえば、Pierce,Rockford,IL USA製の試薬)を用いて各抗体をビオチン化可能である。非標識モノクローナル抗体とビオチン化モノクローナル抗体とを用いた競合研究は、C5ポリペプチド被覆ELISAプレートを用いて実施可能である。ビオチン化モノクローナル抗体結合は、連鎖球菌アビジンアルカリホスファターゼプローブを用いて検出可能である。精製されたC5結合抗体のアイソタイプを決定するために、アイソタイプELISAを実施可能である。たとえば、マイクロタイタープレートのウェルを4℃で1μg/mlの抗ヒトIgGで一晩被覆可能である。1%BSAでブロックした後、プレートを1μg/ml以下のモノクローナルC5結合抗体または精製アイソタイプ対照と周囲温度で1〜2時間反応させる。次いで、ウェルと、ヒトIgGまたはヒトIgM特異的アルカリホスファターゼ共役プローブのいずれかと、を反応可能である。次いで、精製抗体のアイソタイプを決定できるように、プレートを発色分析する。
C5ポリペプチドを発現する生細胞へのモノクローナルC5結合抗体の結合を実証するために、フローサイトメトリーを使用可能である。簡潔に述べると、C5を発現する細胞系(標準的成長条件下で成長させた)と、0.1%BSAと10%ウシ胎仔血清とを含有するPBS中の種々の濃度のC5結合抗体と、を混合し、37℃で1時間インキュベートすることが可能である。洗浄後、一次抗体染色と同一の条件下で細胞とフルオレセイン標識化抗ヒトIgG抗体とを反応させる。光および側方散乱性を用いてFACScan(BD Biosciences,San Jose,USA)により単一細胞でゲートすることによりサンプルを分析可能である。フローサイトメトリーアッセイ(に加えてまたはその代わりに)蛍光顕微鏡観察を用いて代替アッセイを行いうる。以上に記載のように細胞を正確に染色し、蛍光顕微鏡法により調べることが可能である。この方法は、個別細胞の可視化を可能にするが、抗原の密度に依存して感度が低下しうる。
本発明のC5結合抗体は、C5ポリペプチドまたは抗原性断片との反応性に関してウェスタンブロッティングによりさらに試験可能である。簡潔に述べると、精製されたC5ポリペプチドもしくは融合タンパク質またはC5を発現する細胞からの細胞抽出物を調製し、ナトリウムドデシルスルフェートポリアクリルアミドゲル電気泳動に付すことが可能である。電気泳動後、分離された抗原をニトロセルロース膜に移し、10%ウシ胎仔血清でブロック化し、試験対象のモノクローナル抗体でプローブする。ヒトIgG結合は、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼを用いて検出可能であり、BCIP/NBT基材タブレット(Sigma Chem.Co.,St.Louis,MO USA)を用いて発色可能である。
本発明は、C5タンパク質のMG7ドメイン内に突然変異または多型、たとえば、エクリズマブエピトープ内の突然変異または多型、たとえば、p.Arg885多型を有する患者において補体活性化を阻害可能な抗C5抗体を提供する。一実施形態では、本発明は、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害、の治療に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。ただし、前記抗C5抗体は、p.Arg885多型を有する前記患者において補体経路を阻害することが可能である。
溶血アッセイや結合親和性アッセイなどのアッセイを用いて、C5タンパク質のMG7ドメイン内の突然変異または多型、たとえば、エクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえばC5補体関連の疾患または障害の治療に使用するための抗C5抗体の好適性を試験可能である。たとえば、抗C5抗体に対する薬力学的反応を決定するために、ヒト血清補体溶血アッセイで抗体感作ニワトリ赤血球を溶解させる患者の血清の能力を測定可能である(Hillmen et al.,(2004)N Engl J Med.350:552−9)。Nishimuraによれば、20%未満の残留溶血は、このアッセイシステムで溶血の完全ブロッケードの指標となる(Nishimura et al.,(2014) New Engl J Med.370:7)。C5およびC5の異なる変異体に対する抗C5抗体の結合は、結合親和性アッセイを用いて検出可能である。以上のNishimura et al.(参照により本明細書に組み込まれる)に記載の抗ヒトIgG(Fc)キャプチャー法を用いて、表面プラズモン共鳴分析(Biacore 3000)によりC5への抗C5抗体の結合を評価可能である。
一実施形態では、C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、p.Arg885多型を有する患者において、補体経路を阻害可能な抗C5抗体は、ヒト抗C5抗体である。「ヒト抗体」という用語は、本明細書で用いられる場合、フレームワーク領域およびCDR領域の両方がヒト起源配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図される。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまた、かかるヒト配列、たとえば、ヒト生殖系列配列またはヒト生殖系列配列の突然変異変種に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト配列によりコードされないアミノ酸残基を含みうる(たとえば、ランダムまたは部位特異的突然変異誘発in vitroまたは体細胞突然変異in vivoで導入された突然変異)。ある特定の実施形態では、前記抗体は、C5を標的とする完全ヒトFcサイレントIgG1/λモノクローナル抗体たとえばテシドルマブである。好ましい実施形態では、本発明は、C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、補体C5タンパク質のp.Arg885多型を有する患者において、C5補体関連の疾患または障害、たとえば、PNHまたはaHUSの予防または治療に使用するための抗C5抗体テシドルマブに関する。
一実施形態では、本発明は、C5タンパク質のMG7ドメインの外側またはそれから離れた結合性エピトープを有する抗C5抗体に関する。他の実施形態では、本発明は、Arg885から離れたまたはArg885位置とオーバーラップしない結合性エピトープを有する抗C5抗体に関する。前記抗C5抗体によるC5中和は、エクリズマブ非応答者で観測されるArg885多型による影響を受けないので、前記抗体は、本発明に好適である。Arg885から離れた結合性エピトープを有する抗C5抗体の例としては、テシドルマブまたはN19−8が挙げられる。好ましい実施形態では、本発明は、テシドルマブに関する。
本発明は、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害を有するヒト患者の治療に有用である。「個体」、「宿主」、「被験者」、および「患者」という用語は、治療、観測、および/または実験の対象である動物を意味するものとして同義的に用いられる。一般的には、かかる個体、宿主、被験者、または患者はヒトであるが、他の哺乳動物は本発明の範囲内に含まれる。
「治療」という用語は、疾患の症状、合併症、または生化学的指標の発生の予防または遅延、疾患、病態、または障害の症状の軽減またはさらなる進行の停止もしくは阻害を行うための、組成物または抗体の投与を含む。治療は、予防(疾患の発症の防止もしくは遅延、または臨床症状もしくはその準臨床症状の出現の防止)、あるいは疾患の出現後の症状の治療的抑制または軽減でありうる。
本明細書で用いられる「C5補体関連の疾患または障害」という用語は、無制御のC5機能、たとえば、調節不全のC5活性化、たとえば、C5活性化の増加が疾患表現型をもたらしうる疾患または障害を意味する。
既知の補体関連の疾患または障害の例としては、神経障害、多発性硬化症、脳卒中、ギランバレー症候群、外傷性脳傷害、パーキンソン病、アルツハイマー病、不適切なまたは望ましくない補体活性化の障害、血液透析合併症、IL−2療法時のインターロイキン−2誘発毒性、炎症性障害、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、熱傷または凍傷を含む熱傷害、虚血後再灌流病態、バラケル・サイモンズ症候群、心筋梗塞、バルーン血管形成術、心肺バイパス時または腎臓バイパス時のポストポンプ症候群、血液透析、腎虚血、皮膚腺再構築後の腸間膜動脈血栓症、感染性疾患または敗血症、免疫複合体障害および自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、SLE腎炎、増殖腎炎、溶血性貧血、および重症筋無力症が挙げられる。そのほか、他の公知の補体関連の疾患は、肺の疾患および障害、たとえば、呼吸困難、喀血、ARDS、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺塞栓症、肺炎、線維形成性塵肺症および梗塞、不活性ダスト・ミネラル症(たとえば、シリコン症、炭塵症、ベリリウム症、およびアスベスト症)、肺線維症、有機ダスト疾患、化学傷害(刺激性ガスおよび化学品、たとえば、塩素、ホスゲン、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、アンモニア、および塩酸に起因する)、煙害、熱傷害(たとえば、熱傷、凍結)、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫性疾患、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、免疫複合体関連炎症、aHUS、糸球体腎炎、水疱性類天疱瘡、および膜性増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)、地図状萎縮(GA)、視神経脊髄炎(NMO)、ならびに重症筋無力症(MG)である。
具体的な実施形態では、既知のC5補体関連の疾患または障害の例としては、地図状萎縮(GA)、ギランバレー症候群、重症筋無力症、SLE腎炎、増殖腎炎、喘息、関節リウマチ、敗血症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、および加齢性黄斑変性(AMD)が挙げられる。
PNHは、血液の命にかかわる疾患であり、とくに、異常な造血、補体媒介血管内溶血、および血栓症傾向により特徴付けられる。PNHは、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー生合成の初期工程に必要な酵素をコードするホスファチジルイノシトールグリカンアンカー生合成クラスA(PIGA)をコードする遺伝子で体細胞突然変異を取得した造血幹細胞のクローン拡大の結果として生じる。得られる造血細胞は、補体調節タンパク質CD55およびCD59を含めてグリコシルホスファチジルイノシトールアンカータンパク質が欠損しており、これは、PNHの一次臨床病変である血管内溶血を説明する。PNHは、骨髄不全とくに再生不良性貧血を含む障害との関連で発生することが多い。血栓症は、PNH関連の罹患率および死亡率の主な原因である。
PNHに関連付けられる障害の例としては、貧血、血栓塞栓性イベント、平滑筋筋緊張症、慢性腎疾患、勃起不全、肺高血圧症、および疲労が挙げられる。
aHUSは、遺伝的成分を有することの多いきわめて珍しい命にかかわる進行性疾患である。それは、補体媒介血栓性微小血管症(TMA)および命にかかわる帰趨の慢性リスクに関連付けられる疾患である。aHUSは、TMA(血小板減少症、微小血管症性溶血、および器官機能不全症状)の臨床的特徴を伴って現れる疾患として定義され、子供と同様に成人にも影響を及ぼす。
加齢性黄斑変性(AMD)は、網膜の黄斑域として知られる眼の内側ライニングの中心部が薄層化、萎縮、ときには出血を起こす主に高齢者に見られる医学障害である。これにより中心視覚が損なわれるおそれがあり、微細部が見えなくなったり、読めなくなったり、顔の認識ができなくなったりする。新しい脈絡膜血管形成の病理発生はよく理解されていないが、炎症、虚血炎症、および血管形成因子の局所産生などの因子が重要であると考えられる。疾患の進行形態は、「ウェット」(新生血管)形態と「ドライ」(地図状萎縮)形態に分類される。
地図状萎縮(GA)はドライAMDの進行萎縮形態である。GAは、黄斑内の光受容体、網膜色素上皮(RPE)、および脈絡毛細管板の損失が特徴である。
好ましい実施形態では、C5補体関連の疾患または障害はPNHである。
一態様では、本発明は、C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえばp.Arg885多型を有する患者において、補体経路を阻害可能な有効量の抗C5抗体を前記患者に投与することを含む方法で医薬として使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントに関する。
さらなる態様では、本発明は、C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害を予防または治療する方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントに関する。ただし、本方法は、前記患者において補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体を投与することを含む。とくに、それは、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、C5補体関連の疾患または障害を予防または治療する方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントに関する。ただし、本方法は前記患者において補体活性化を阻害可能な有効量の前記抗C5抗体を投与することを含む。
他のさらなる態様では、本発明は、必要とする患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害を予防または治療する方法に関する。ただし、かかる患者は、C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえばp.Arg885多型を有し、前記方法は、補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体または抗原結合フラグメントを前記患者に投与することを含む。
「投与」という用語は、眼疾患において複数の硝子体内用量として、本発明の抗C5抗体または抗原結合フラグメント、好ましくはテシドルマブを投与することを包含する。「投与」という用語はまた、PNHやaHUSなどのC5関連疾患において、単一および複数の静脈内(IV)用量で、本発明の抗C5抗体または抗原結合フラグメント、好ましくはテシドルマブを投与することを包含する。「有効量」または「治療上有効量」の抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントという用語は、被験者の生物学的もしくは医学的な反応を誘発する、たとえば、タンパク質活性を低減もしくは阻害する、または症状を改善する、または病態を軽減する、または疾患進行を低速化もしくは遅延する、または疾患を予防する、本開示の抗C5抗体または抗原結合フラグメントの量を意味する。「有効量」または「治療上有効量」という用語は、治療される病態のベースラインの臨床的に観測可能な徴候および症状を超えて観測可能な改善を提供するのに十分な量を意味するものとして本明細書では定義される。
一実施形態では、本発明は、PNHまたはaHUSを予防または治療する方法に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント、好ましくはテシドルマブに関する。
本発明によれば、投与される抗C5抗体または抗原結合フラグメントたとえばテシドルマブの用量は、10mg/kg〜30mg/kg、たとえば、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kgである。
ある特定の実施形態では、本発明の抗C5抗体たとえばテシドルマブは、治療持続時間にわたり1、2、3、4、5、6回、またはそれ以上投与される。たとえば、1〜3、1〜4、2〜4、2〜5、2〜6、3〜6、4〜6、6〜8回、またはそれ以上投与される。
いくつかの実施形態では、本発明の抗C5抗体たとえばテシドルマブは、少なくとも毎週1回、少なくとも2週間に1回、少なくとも毎月1回投与される。
本発明の抗C5抗体たとえばテシドルマブは、少なくとも6週間、少なくとも9週間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも1年間、生涯にわたり投与可能である。
一実施形態では、PNHまたはaHUSの予防または治療に使用するために、抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントたとえばテシドルマブが提供される。ただし、前記抗C5抗体は、少なくとも20mg/kgで、毎週1回または2週間に1回、少なくとも1週間にわたり、たとえば少なくとも1ヶ月間、たとえば少なくとも6週間、たとえば3ヶ月間、たとえば6ヶ月間、たとえば9ヶ月間、たとえば1年間にわたり、たとえば生涯にわたり投与される。前記抗体は、少なくとも20mg/kgの用量でかつ2回の投与間のインターバルを1ヶ月間以下、たとえば2週間として、繰り返し投与しうる。前記抗体は、少なくとも3ヶ月間、たとえば6ヶ月間、たとえば9ヶ月間、たとえば1年間、たとえば生涯にわたり投与しうる。
さらなる実施形態では、PNHの治療に使用するための本発明の抗C5抗体または抗原結合フラグメントたとえばテシドルマブでは、前記抗C5抗体は、少なくとも6週間〜6ヶ月間にわたり少なくとも20mg/kgの用量で毎週1回投与され、次いで、少なくとも3ヶ月間、6ヶ月間、9ヶ月間、1年間、生涯にわたり少なくとも20mg/kgの用量で2週間に1回投与される。
他の実施形態では、aHUSの予防または治療に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントたとえばテシドルマブが提供され、前記抗C5抗体は、少なくとも20mg/kgの用量で毎週1回または2週間に1回、たとえば少なくとも30mg/kgで毎週1回または2週間に1回投与される。投与は、少なくとも1ヶ月間にわたり、たとえば少なくとも6週間、たとえば3ヶ月間、たとえば6ヶ月間、たとえば9ヶ月間、たとえば1年間、たとえば生涯にわたりうる。
本発明の抗C5抗体たとえばテシドルマブは、少なくとも20mg/kg、たとえば30mg/kgの用量で、2回の投与間のインターバルを1ヶ月間以下、たとえば2週間として繰り返し投与しうる。抗C5抗体たとえばテシドルマブは、少なくとも3ヶ月間、たとえば6ヶ月間、たとえば9ヶ月間、たとえば1年間、たとえば生涯にわたり投与しうる。
一実施形態では、本発明の抗C5抗体またはその抗原フラグメントたとえばテシドルマブが患者に投与され、患者はナイーブ患者であり、たとえば、前記患者は、以前にいずれの抗C5抗体またはその抗原フラグメント治療にも、とくにエクリズマブ治療(エクリズマブナイーブ患者)にも付されていなかった。エクリズマブナイーブ患者の集団は、次の3つの異なるグループ、すなわち、(a)新たに診断された患者、(b)エクリズマブを利用していない診断患者、および(c)治療を開始するほどの疾患重症度でない初期疾患患者、たとえば、血栓イベントがなかった患者を包含する。
そのほかのさらなる実施形態では、本発明の抗C5抗体またはその抗原フラグメントたとえばテシドルマブが患者に投与され、患者には抗C5抗体またはその抗原フラグメントとくにエクリズマブがすでに投与されていた。他の実施形態では、本発明の抗C5抗体またはその抗原フラグメントたとえばテシドルマブが患者に投与され、患者には抗C5抗体またはその抗原フラグメントとくにエクリズマブがすでに投与されており、かつ患者は前記前治療たとえばエクリズマブ治療に反応せず、とくに患者は補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する。
一態様では、本発明は、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害、たとえばPNHまたはaHUを予防または治療するための医薬の製造のための、抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントたとえばテシドルマブの使用に関する。一実施形態では、本発明は、C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、C5補体関連の疾患または障害を治療するための医薬を製造するための、抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントの使用に関する。ただし、前記抗C5抗体たとえばテシドルマブは、前記患者において補体活性化を阻害可能である。たとえば、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、C5補体関連の疾患または障害、たとえばPNHまたはaHUSを予防または治療するための医薬の製造のための、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントの使用が提供される。
一実施形態では、補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害を予防または治療する本方法は、患者のC5補体タンパク質がC5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえばp.Arg885多型を含むかを、患者から得られた生物学的サンプルから決定する工程をさらに含む。ただし、生物学的サンプルは、患者から単離された組織または流体である。
本明細書で用いられる「生物学的サンプル」という用語は、検体源から採取された任意の他の検体を代表するようにサンプリングにより得られた生物学的検体を意味する。一実施形態では、生物学的サンプルは、患者から単離された組織または流体である。
一態様では、本発明は、必要とする患者において補体関連の疾患または障害、たとえば、C5補体関連の疾患または障害を治療する方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントに関する。本方法は、(a)患者から生物学的サンプルを採取することと、(b)前記患者のC5をコードする遺伝子の突然変異または多型をスクリーニングすることと、(c)患者がC5タンパク質のMG7ドメイン内に、エクリズマブエピトープ内に突然変異もしくは多型のいずれかを有するかまたはC5補体タンパク質にp.Arg885多型を有するかを決定することと、(d)工程(c)の下で検出された少なくとも突然変異または多型を有する患者において補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体を投与することであって、生物学的サンプルが患者から単離された組織または流体である、投与することと、を含む。好ましい実施形態では、前記抗C5抗体はテシドルマブである。他の実施形態では、C5タンパク質の突然変異または多型は、p.Arg885多型、たとえばp.Arg885Hisまたはp.Arg885Cysである。
他の態様では、本発明は、PNHまたはaHUSを治療する方法に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントに関する。本方法は、(a)患者から得られた生物学的サンプルから、患者がC5タンパク質のMG7ドメイン内に、エクリズマブエピトープ内に突然変異もしくは多型のいずれかを有するかまたはC5補体タンパク質にp.Arg885多型を有するかを決定することであって、生物学的サンプルが患者から単離された組織または流体である、決定することと、(b)有効量の抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント、たとえば、テシドルマブまたはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することと、を含む。
以下の実施例は以上に記載の本発明を例示するものであるが、なんら本発明の範囲を限定することを意図するものではない。関連技術分野の当業者にそのようなものとして知られる他の試験モデルもまた、特許請求された本発明の有益な効果を決定しうる。
実施例1:ヒトC5との複合体としてのテシドルマブFabの結晶化
テシドルマブは、ヒトおよびカニクイザル(マカカ・ファスシクラリス(Macaca fascicularis))の補体C5にピコモル親和性で結合してC5活性化ならびにC5aおよびC5bの放出を防止するヒトモノクローナル抗体である。ヒトC5との複合体としてのテシドルマブの詳細分析を行った。
方法:
テシドルマブFabの発現および精製
TG1FE.コリ(E.coli)細胞(ACE25090)でテシドルマブFabのクローニングおよび発現を行った。凍結細胞ペレットを150ml溶解緩衝液に懸濁させてホモジナイズした(溶解緩衝液:20mM NaHPO、10mMイミダゾール、500mM NaCl pH7.4、50ml緩衝液当たり1錠のEDTAフリーcOmplete(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)使用、450μlの1.0M MgCl、および15μlのベンゾナーゼ(Novagen))。遠心分離(16,000g、4℃で30分間)の後、上清を無菌濾過し(0.2μm Stericupフィルター)、そして溶解緩衝液で平衡化された5ml HisTrap HPカラム(GE Healthcare、17−5247−01)にロードした(2.5ml/min)。20mM次いで50mMイミダゾールで2回の洗浄工程を行った後、50mM〜500mMイミダゾールの100mlグラジエントでFabを溶出させた。溶出液を5ml画分で捕集し、10%Bis−Trisゲル(NuPage、Invitrogen)を用いてSDS−PAGEにより分析した。選択された画分をプールし、限外濾過(Amicon Ultra−15 3kコンセントレーター)により4℃で5mlに濃縮し、10mMトリス−HCl pH7.5、25mM NaClで平衡化されたSuperdex75カラムにロードした。捕集された画分を前と同様にSDS−PAGEにより分析し、プールし、そして限外濾過により濃縮した。次いで、0.0〜1.0M NaClグラジエントを溶出に用いて、50mMトリス−HCl pH8.0で平衡化されたMonoQ HR 10/10陽イオン交換カラムでFabを精製した。プール画分を濃縮し、そして数回のランでSuperdex75 300 GLカラムに再びロードし、10mMトリス−HCl pH7.5、25mM NaClでアイソクラティック溶出を行った。
テシドルマブFabとヒトC5との複合体の調製および精製
ヒト補体タンパク質C5をComplement Technology,Inc.(カタログ番号A120ロット16a)から購入し、さらなる精製を行うことなく使用した。2.5倍モル過剰のテシドルマブFabをヒトC5に添加し、10mMトリスpH7.4、25mM NaClで平衡化されたS300Sephacryl16/60カラムを用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより複合体を精製した。
テシドルマブFabとヒトC5との複合体の結晶化
10mMトリスpH7.4、25mM NaCl中のテシドルマブFabとヒトC5との複合体を限外濾過により17.8mg/mlに濃縮し、20℃で結晶化スクリーニングに付した。96ウェルInnovadyne SD2プレート(CHBS_19814_G12_1)でシッティングドロップ蒸気拡散により結晶化条件を最初に同定した。次いで、24ウェルVDXプレート(Hampton Research)を用いてハンギングドロップ法で蒸気拡散技術により2μlドロップでより大きな結晶(CHBS_20088_B3_1)を成長させた。
テシドルマブFabとヒトC5との複合体のX線データ収集および構造決定
テシドルマブFab複合体の結晶から2つの回折データセットを収集した。前と同様にXDSおよびXSCALE(Kabsch 1993)で両方のデータセットを処理した。相関統計CC*(Karplus and Diederichs 2012)で依然として有意パーセントを有していた4.1Å分解能を超える弱い回折データをリファインメント時に含めるために、第2のデータセットをXSCALEの2012年7月4日バージョンで後で再処理した。
1.00000Å波長のX線を用いてMAR CCD225mm検出器を備えたSwiss Light Source(Paul Scherrer Institute,Switzerland)のビームラインX06DA(PXIII)でデータセット1を捕集した。この実験で使用した結晶は、液体窒素中に直接フラッシュ冷却したものであった。全体として、結晶と検出器との距離を380mmとしてそれぞれ1.0°の振動角で180画像を記録した。この回折データセットは4.5Åの分解能であった。
1.00000Å波長のX線を用いてPilatusピクセル検出器を備えたSwiss Light Source(Paul Scherrer Institute,Switzerland)のビームラインX10SA(PXII)でデータセット2を捕集した。液体窒素中にフラッシュ冷却する前、この実験に使用した結晶を10μM CdClが追加された母液に短時間浸漬した。全体として、結晶と検出器との距離を600mmとしてそれぞれ0.25°の振動角で720画像を記録した。この回折データセットは4.1Åの分解能であった。
マルチプルPhaserラン(McCoy et al 2007)を用いて分子置換により構造を解明した。全長ヒトC5(PDBエントリ 3CU7,鎖A;Fredslund et al 2008)をサーチモデルとして使用したとき、分子置換解を見いだすことができなかった。また、C345Cドメインなしの全長C5を用いた第2のPhaserランもうまく行かなかった。きわめて対照的に、C5β鎖をサーチモデルとして使用したとき、空間群P4で明解な分子置換解が容易に見いだされた(TFZスコア=8.2)。次いで、C5β鎖の解を固定して、C345Cドメインなしのα鎖で明解な分子置換解が見いだされた(TFZスコア=22.8)。後続のPhaserランからC345Cドメインの明解な解が得られた(TFZスコア=13.5)。次いで、テシドルマブFab(結晶形2から2.1Å分解能でリファインされた構造)の可変ドメインおよび定常ドメインをサーチモデルとして使用した。V/Vフラグメントは非常に明解な分子置換解を与えた(TFZスコア=23.5)。C/CH1ドメインはより弱いシグナルを与えたが(TFZスコア=6.6)、有意な解(すでに位置決めされたV/Vドメインへの接続性から判断した)が容易に見いだされた。最初に、4.5Å回折データセットを用いて分子置換計算を行い、次いで、4.1Åデータが利用可能になったとき繰り返したところ、同一の全体解がもたらされた。
完全分子置換モデルをCOOT(Emsley et al 2010)で検査し、3.3Å分解能のすべての回折データに対してBuster 2.11.2(Bricogne et al 2011)を用いてリファインした。データの分解能が限られるので、リファインメント時に局所構造類似性制限(LSSR;Smart et al 2012)を課した。LSSRに使用したターゲット構造は、2.1Å分解能でリファインされたテシドルマブFab構造と、自動NCS制限およびFredslund et al(2008)により最初に定義されたTLSグループを用いたBusterリファインメント後のPDBエントリ 3CU7(鎖A)由来の遊離C5構造と、であった。このリファインメント工程は、元のPDBエントリと比較して最終モデルのラマチャンドラン統計を向上させた(ラマチャンドランプロットのコア領域、許容領域、および限界領域の残基はそれぞれ79.5%、18.6%、および1.1%であり、これに対して、元のPDBエントリでは74.9%、23.0%、1.5%であった)。最終結晶モデルのRwork値およびRfree値は、それぞれ、23.3%および29.3%であり、rmsdは、結合長では0.010Åおよび結合角では1.24°であった。
構造解析
プログラムCoot(Emsley et al 2010)またはPyMOL(Molecular Graphics System;DeLano Scientific:Palo Alto,CA)を用いて構造オーバーレイを実施した。プログラムCootおよびPROCHECK v3.3(Laskowski et al 1992)を用いて最終リファインモデルの品質を評価した。テシドルマブ抗体の結合時に溶媒にアクセスしにくくなるヒトC5の残基をCCP4プログラムスイートのプログラムAREAIMOL(Collaborative Computational Project,Number 4,1994)により同定した。
結果:
全体構造:
ヒトC5は総合計13の構造ドメインを含む。β鎖(プレプロC5の残基19〜673、Uniprotエントリ P01031)は、6つのαマクログロブリン様ドメイン(MG1〜6)と1つのリンカードメインとで作製される。α鎖(残基678〜1676)は、C5a(アナフィラトキシン)ドメインと、2つのαマクログロブリン様ドメイン(MG7、MG8)と、1つのCUB(「補体C1r/C1s、Uegf、Bmp1」)ドメインと、チオエステル様TED/C5dドメインと、カルボキシ末端C345Cドメインと、を含む。α鎖はまたMG6ドメインに寄与し、このドメイン内のジスルフィド架橋を介してβ鎖に共有結合で装着される。
テシドルマブFabはC5α鎖に結合して、CUBドメインおよびTED/C5dドメインの両方に接触する(図1)。CUBドメインはβサンドイッチフォールドを有し、大きなαヘリカルTED/C5dドメインはCUBドメインのβ3鎖とβ4鎖との間に挿入される。TED/C5dドメインの最後のαヘリックスとCUBドメインのβ4鎖とを接続するペプチドセグメントは、テシドルマブ抗体の抗原結合部位に広がっているので、テシドルマブエピトープの1つの主要成分を構成する。
ヒトC5のテシドルマブエピトープ:
テシドルマブFabはヒトC5と1:1複合体を形成し、合計6つのペプチドセグメントを含む標的タンパク質抗原の不連続エピトープまたは「コンフォメーショナル」エピトープを認識する(図1)。TED/C5dドメインの最後のαヘリックス(α12)とCUBドメインのβ4鎖(残基1305〜1310)とを接続するループは、C5のテシドルマブエピトープで中心的な役割を果たす。そのほか、CUBドメインからの3つの他のペプチドセグメントは、エピトープ:β1’−β2(残基947〜950)ループ、β5−β6(残基1327〜1331)ループ、およびβ7−β8(残基1353〜1354)ループに寄与する。TED/C5dドメインはまた、さらに2つの構造要素がエピトープα2−α3ループ(残基1029〜1033)およびヘリックスα11のアミノ末端(残基1264〜1265および1268)に寄与する。
C5は、位置741、911、1115、および1630に4つのアノテートN結合グリコシル化部位を有する糖タンパク質である。これらのグリコシル化部位のうち2つは、741位および911位にX線結晶解析により観測された(Fredslund et al 2008)。4つの位置はすべて、エピトープから離れているので、C5抗原のグリコシル化状態はテシドルマブ結合に影響を及ぼさないと予想される。
ヒトC5のTED/C5dドメインとCUBドメインとの間の接続はテシドルマブ結合で中心的な役割を果たす:
TED/C5dドメインとCUBドメインとの間の接続は、テシドルマブの抗原結合部位の中心領域に沿ってVH/VLインターフェースにほぼ平行に広がる。このペプチドセグメントのアミノ酸配列は1305−Lys−Gln−Leu−Arg−Leu−Ser−1310である。Lys1305およびArg1308の側鎖は、抗体の相補性決定領域(CDR)の方向を向いており、寄与する可能性が最も高い強い静電相互作用である。Arg1308は、とくに、抗体のL−CDR1、L−CDR3、およびH−CDR3超可変ループによりライニングされた抗原結合部位の中心キャビティーに進入している。したがって、Arg1308は、ヒトC5のテシドルマブ認識および結合で中心的な役割を果たし、この残基は、このタンパク質−タンパク質インターフェースのホットスポットであることが、この構造から強く示唆される。
885位のC5多型はテシドルマブエピトープに影響を及ぼさない:
エクリズマブは、PNH(Rother et al 2007)に関連付けられる補体媒介溶血の予防に使用されるヒト化抗ヒトC5治療用抗体である。ヒトC5の885位の2つの遺伝的変異体Arg885→His変異体およびArg885→Cys変異体は、エクリズマブ治療に対して不十分な反応を示す患者で観測された(Nishimura et al 2014)。これらのC5変異体は、機能的であるが、エクリズマブによりブロックされなかった。Arg885はC5のMG7ドメイン内に見いだされる。Arg885の位置はテシドルマブエピトープから離れていることが、テシドルマブFab複合体のX線構造検査から示される(図2)。したがって、テシドルマブによるC5中和は、エクリズマブ非応答者で観測されるArg885多型による影響を受けない。
実施例2:MAC形成C5はエクリズマブではなくテソズルマブが突然変異体C5を阻害することを実証する
7μg/mlのwtC5(Arg885)または突然変異体C5(His885)でスパイクされたC5枯渇血清を用いてWieslabアッセイによりテシドルマブおよびエクリズマブを試験した。
突然変異体C5でスパイクされたC5枯渇血清中でエクリズマブではなくテシドルマブが膜侵襲複合体(MAC)形成をブロックすることが、結果から示される。抗体は両方とも、wtC5でスパイクされた血清中でMAC形成を同じように阻害する能力があった。テシドルマブは、正常C5または突然変異体C5でスパイクされた血清中で同じような能力があった。これとは対照的に、エクリズマブは、突然変異体C5(図3)でスパイクされた血清中で活性を示さなかった。
実施例3:テシドルマブはC5変異体PNHおよびC5非変異体PNHで抗溶血作用を示す
C5変異体PNH患者およびC5非変異体PNH患者でテシドルマブ(20mg/kg i.v.、1週間に2回)を試験するために、オープンラベル単腕研究を行った。
方法:
テシドルマブに対する薬力学的反応を決定するために、ヒト血清補体溶血アッセイで抗体感作ニワトリ赤血球を溶解させる患者の血清の能力を測定可能である(Hillmen et al.,N Engl J Med 2004;350:552−9)。20%未満の残留溶血は、このアッセイシステムで溶血の完全ブロッケードの指標となる(Nishimura et al.,New Engl J Med 2014;370;7)。
結果:
8.5週間の平均治療持続時間の後、5名の患者(2つのC5変異体)で分析を実施した。主要な安全性の問題は同定されなかった(治療中断、治療関連安全性有害イベントは見られなかった)。ベースラインから74〜91%のLDH低下により実証されるPNHでの抗溶血作用は、C5変異体患者およびC5非変異体患者の両方で見られた(図4および5)。

Claims (19)

  1. C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害の予防または治療に使用するための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  2. 前記抗C5抗体が、p.Arg885多型を有する患者において補体活性化を阻害可能である、請求項1に記載の使用のための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  3. 前記抗C5抗体がヒト抗C5抗体である、請求項1または2に記載の使用のための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  4. 前記抗C5抗体がテシドルマブまたはその抗原結合フラグメントである、請求項3に記載の使用のための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  5. 前記患者がp.Arg885His多型を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  6. 前記患者がp.Arg885Cys多型を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用のための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  7. 前記C5補体関連の疾患が、aHUS、PNH、骨髄不全、再生不良性貧血、または血栓症、たとえばPNHである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための抗C5抗体またはその抗原結合フラグメント。
  8. C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型たとえばp.Arg885多型を有する患者において、補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体を前記患者に投与することを含む方法で医薬として使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  9. C5タンパク質のMG7ドメイン内またはエクリズマブエピトープ内に突然変異または多型、たとえば、補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害を治療する方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントであって、前記方法が、有効量の抗C5抗体を前記患者に投与することを含み、かつ前記抗C5抗体が、前記患者において補体活性化を阻害可能である、抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  10. 前記方法が、前記患者から得られる生物学的サンプルから、前記患者のC5補体タンパク質が、前記C5タンパク質のMG7ドメイン内に、エクリズマブエピトープ内に突然変異または多型のいずれかまたはp.Arg885多型を含むかを決定する工程を含み、かつ前記生物学的サンプルが前記患者から単離された組織または流体である、請求項8または9に記載の方法において医薬として使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  11. 必要とする患者において補体関連の疾患または障害を治療する方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントであって、前記方法が、
    a.前記患者からの生物学的サンプルを採取することと、
    b.前記患者のC5をコードする遺伝子内で突然変異または多型をスクリーニングすることと、
    c.前記患者が前記C5タンパク質のMG7ドメイン内に、エクリズマブエピトープ内に突然変異または多型のいずれかを有するか、または前記C5補体タンパク質にp.Arg885多型を有するかを決定することと、
    d.工程c)に規定された少なくとも突然変異または多型を有する患者において、補体活性化を阻害可能な有効量の抗C5抗体を投与することであって、前記生物学的サンプルが前記患者から単離された組織または流体である、投与することと、
    を含む、抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  12. 前記補体関連の疾患または障害が、C5補体関連の疾患または障害、たとえば、PNHまたはaHUSである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  13. 前記抗C5抗体がテシドルマブまたはその抗原結合フラグメントである、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  14. PNHまたはaHUSを治療する方法に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントであって、前記方法が、
    a.患者から得られた生物学的サンプルから、前記患者がC5タンパク質のMG7ドメイン内に、エクリズマブエピトープ内に突然変異または多型のいずれかを有するか、またはC5補体タンパク質にp.Arg885多型を有するかを決定することであって、前記生物学的サンプルが前記患者から単離された組織または流体である、決定することと、
    b.有効量のテシドルマブまたはその抗原結合フラグメントを前記患者に投与することと、
    を含む、抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  15. 必要とする患者において補体関連の疾患または障害、たとえば、PNHまたはaHUSの予防または治療に使用するための抗C5抗体または抗原結合フラグメントであって、前記患者がエクリズマブ治療に反応しない、抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  16. 前記患者が補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する、請求項14または15に記載の使用のための抗C5抗体または抗原結合フラグメント。
  17. PNHまたはaHUSの予防または治療に使用するためのテシドルマブまたはその抗原結合フラグメント。
  18. 補体C5タンパク質にp.Arg885多型を有する患者において、補体関連の疾患または障害、たとえば、PNHまたはaHUSを予防または治療するための医薬の製造のための、抗C5抗体またはその抗原結合フラグメントの使用。
  19. 前記抗C5抗体がテシドルマブまたはその抗原結合フラグメントである、請求項18に記載の使用。
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NISHIMURA, J. ET AL.: "Genetic variants in C5 and poor response to eculizumab", THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE, vol. 370, no. 7, JPN6021021476, 2014, pages 632 - 639, XP055201672, ISSN: 0004524406, DOI: 10.1056/NEJMoa1311084 *
西村 純一: "C5遺伝子多型と発作性夜間血色素尿症(PNH)治療薬エクリズマブに対する反応不良", 最新医学, vol. 第70巻,第8号, JPN6021021475, August 2015 (2015-08-01), pages 1716 - 1721, ISSN: 0004524405 *
西村 純一: "発作性夜間血色素尿症(PNH)の補体がかかわる最新の話題と抗補体療法の未来−C5遺伝子多型によるエクリズマ", 医学のあゆみ, vol. 第257巻,第8号, JPN6021021474, 21 May 2016 (2016-05-21), pages 827 - 831, ISSN: 0004608045 *

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