JP2019519346A5 - - Google Patents

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JP2019519346A5
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眼内レンズ及びそれに関連する設計、並びにモデリング方法
本発明の態様及び実施形態は、眼内レンズ(IOL)及びIOLを設計並びにモデリングする方法に関するものであり;更に具体的には、多焦点及び/又は拡張焦点深度(EDOF)IOL及び関連する方法に関するものであり;最も具体的には、多焦点及び/又はEDOFを可能にする離散的な表面位相構造を有するこのようなIOL、及び関連する方法に関するものである。
(関連出願)
本出願は、2016年5月5日出願の米国仮特許出願第S/N 62/332186号及び2016年5月6日出願の米国仮特許出願第S/N 62/332675号の優先権を主張するものであり、これらの米国仮特許出願の主題はその全体が、参照により本明細書に援用される。
多焦点IOLは、複数の異なる屈折度数を示し、異なる屈折度数により、物体の像をユーザの網膜に、異なる距離で光学的に同時に合焦させる。拡張焦点深度(EDOF)IOLは拡張範囲を規定し、この拡張範囲に渡って、物体の様子を単焦点IOLにより実現されるものよりも焦点が合った状態で見ることができる。このような多焦点及びEDOFにより、ユーザは、近方視力及び遠方視力を機能的に回復し、白内障手術後の老眼を軽減することができる。
多焦点及びEDOF IOLを改善することによりもたらされる恩恵及び利点は、具体的な本発明により実現することができる。具体的な多焦点及びEDOF IOLを設計及び評価する方法が本明細書において以下に開示される。具体的な設計及び評価方法に由来する幾つかの設計例が更に開示される。
多焦点レンズは、屈折光学系又は屈折設計/回折設計の組み合わせのいずれかを使用して、レンズに複数の焦点(例えば、2、3、又はそれよりも多くの焦点)を付与する。従来の回折多焦点レンズは、ブレーズド回折格子(鋸刃状のファセット面のような)を利用して、エネルギーを誘導して幾つかの回折次数に変更する。回折格子の空間周波数(すなわち、格子周期の逆数)が、各回折次数の焦点を決定し、鋸刃状の端縁におけるステップ高さが、異なる回折次数間のエネルギー分布を決定する。幾つかの従来の2焦点回折レンズの場合、格子は普通、単一の固定空間周波数で設計され、ステップ高さは普通、半波長未満となるように設計されて、入射光の80%が、遠方焦点と近方焦点の間で分割され、残りの20%の入射光が広がって、視覚に使用されない他の回折次数となる。幾つかの従来の3焦点回折レンズの場合、格子はこれもまた、単一の固定周波数で設計されるが、ステップ高さは、隣接ゾーンの間で高低の間を交互に変化し(例えば、ステップ高さが0.5波長以上及び0.5波長以下の間を交互に変化する)、そのように交互に変化することにより、当該設計は、遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点の間で分割される約85%のエネルギーを、残りの15%の入射光が、視覚に使用されない回折次数となっている状態で実現する。
多焦点回折IOLに用いられる既存の設計方法のいずれもが、回折面の位相分布を操作して、使用可能な回折次数に渡るエネルギー分布とし、使用不可能な回折次数となるエネルギーを最小限に抑えるという完全な自由度を与えることができていない。具体的な本発明では、局所回折効率を重み付けするというコンセプトを導入して、視覚に用いられる有効な回折次数の入射光の利用効率を最大化し、このエネルギーをこれらの次数に渡って効果的に分布させて、多焦点及び拡張焦点深度を実現する。
具体的な発明の1つの態様は、多焦点眼内レンズ(M−IOL)である。1つの実施形態では、位相変更機能を有するレンズは、レンズ内を伝搬する光の回折及び干渉を制御して、多焦点及び拡張焦点深度(EDOF)を実現することができる。具体的なIOLは、改変された離散的な位相プロファイルをレンズの前面及び後面の一方又は両方に含むことにより、光を指定通りに意図的に操作することができる。
非限定的な実施形態では、離散的な位相プロファイルは、構造的な階段状プロファイル群により実現され、各階段状プロファイルは、最大ステップ高さhを0〜2波長λ(λはIOLの主設計波長である)のスケールで有する。階段状プロファイル群の各階段状プロファイルは、それぞれの複数m個の隣接する輪帯光学ゾーンに取り込まれ、各輪帯光学ゾーンは、レンズ面の半径rにより定義され、かつレンズ中心から周辺に向かって外側に延びている。このようなことから、各光学ゾーンmは、「Add−Powers(加入度数)」と明示される複数(n)の回折次数を示すことになる。レンズの合計有効光学面積は、m個の光学ゾーンの合計面積として定義される。
好適な多焦点眼内レンズ(M−IOL)は、前面及び後面を有するレンズ光学部を含み、前面及び後面のうち少なくとも一方は、複数m(m=0,1,2,3,...)個の隣接する光回折輪帯ゾーンを含む離散的な位相プロファイルにより特徴付けられ、各光回折輪帯ゾーンは、半径r及び各それぞれのrにおけるステップ高さhにより特徴付けられ、hの少なくとも幾つかの値は、hm+x(x=1,2,3,...)に等しくなくてもよく、
の関係があり、式中、λは設計波長であり、fは、IOLに関して選択される加入度数に対応する焦点距離(1000mm/Add Power(加入度数))であり、更には、Nは、当該特定の光学ゾーンmにおける第n加入度数に対応する第n回折次数(n=0,1,2,3,...)の特定の光学ゾーンにおける回折効率であり、
の関係があり、式中:k=(n−n)h/λのf(r)は、ステップ高さhを調整する係数であり、(n−n)は、非レンズ媒体とレンズ光学ゾーン(回折)媒体との屈折率差であり、ステップ高さhは、指定されたNn,mから導出することができ、更には、IOLの合計有効(回折)光学面積に渡る合計エネルギー分布は、当該第m光学ゾーンにおける特定の光学ゾーンmの局所回折効率Nn,mの重み付け合計であり(nは、加入度数nに対応する回折次数である)、重み係数は、個々の光学ゾーンmとIOLの合計有効(回折)光学面積との表面積比Rにより導出され、
の関係があり、
の関係がある。様々な非限定的な実施形態では、M−IOLは、当業者が理解しているように、以下の特徴、限定、特性、及び/又は構成要素のうちの1つ以上により別々に、又は様々な組み合わせにより更に特徴付けることができる:
−Nn,mは、光学ゾーン群mの全てについて一定値を有し、Rは、光学ゾーン群mの全てについて一定値を有することを特徴とする;
−Nn,mは、光学ゾーン群mの全てについて可変値を有し、Rは、光学ゾーン群mの全てについて一定値を有することを特徴とする;
−Nn,mは、光学ゾーン群mの全てについて一定値を有し、Rは、光学ゾーン群mの全てについて可変値を有することを特徴とする;
−Nn,mは、光学ゾーン群mの全てについて可変値を有し、Rは、光学ゾーン群mの全てについて可変値を有することを特徴とする;
−Nn,mは、光学ゾーン群mの全てについて可変値を有し、Rは、光学ゾーン群mの全てについて可変値を有することを特徴とする。
n,mを、方程式(2)を使用して導出する際、f(r)は、使用可能な回折次数に渡る光分布を最適化し、使用不可能な回折次数への光の広がりを最小限に抑える調整関数であり、この調整関数は、第m回折次数の厳密な表面プロファイルを球面に限定するのではなく、非球面又は自由形状にも拡張できるというフレキシビリティを確保する。関数f(r)は、第m回折ゾーンの厳密な位相プロファイルをフーリェ変換することにより導出される。
本発明の1つの態様は、レンズ面の離散的な位相プロファイルを定義する設計方法である。非限定的な実施形態によれば、改変された位相プロファイルは、急峻なステップ飛びを各ゾーンの周辺後縁に有する同心輪帯ゾーンにより構成される。使用不可能な回折次数への入射光の広がりを最小限に抑えるのみならず、エネルギーを使用可能な回折次数に渡って柔軟に分布させて、有効多焦点及び拡張焦点深度を実現できるためには、同心輪帯ゾーンの表面プロファイルの最適化は、球面に限定されず、円錐面プロファイル、略非球面プロファイル、又は自由形状表面プロファイルに拡張することもできる。また、各ゾーンの周辺後縁における急峻なステップ飛びは、垂直プロファイルに限定されず、傾斜プロファイル又は曲面プロファイルとすることもできる。
本発明の1つの態様は、光線追跡環境における具体的なIOLの光学特性をシミュレーションする光モデリング方法である。例示的な実施形態では、当該方法は、眼の光学特性をモデルに接続されているIOLでシミュレーションすることができる光線追跡眼球モデルを設定することを含む。当該方法は更に、ユーザ定義面を構成し、ユーザ定義面を使用して、光線追跡眼球モデルにおける離散的な表面位相プロファイルを入力することを含む。離散的な表面位相プロファイルは、表面を介して設計対象の局所回折構造プロファイルに基づいて追跡される各光線の位相パラメータを調整することができるユーザ定義関数に関連付けられる。当該方法は更に具体的には、以下のステップ:1)光線を、回折面で光線追跡モデルの射出瞳に変調をかける位相パラメータで追跡し、真の瞳関数を構成すること;2)光学伝達関数(OTF)を取得すること;3)変調伝達関数(MTF)を取得すること;4)異なる焦点ボケ位置におけるMTFを取得すること;5)系の点広がり関数(PSF)を取得すること;6)結像シミュレーションを行なうこと、を含む。
レンズ面の離散的な回折輪帯光学ゾーンの模式図である。 基準加入度数1、加入度数2に更に対応するf、f、及びfに対応する第0回折次数、第1回折次数、及び第2回折次数を示す具体的な回折レンズの模式断面図である。 遠方焦点と近方焦点との間の加入度数3.0Dの2焦点設計のタイプAエネルギー分布を、瞳孔径サイズの変化を関数として示しているグラフである。 遠方焦点と近方焦点との間の加入度数3.0Dの2焦点設計のタイプBエネルギー分布を、瞳孔径サイズの変化を関数として示しているグラフである。 加入度数3.0Dを有する2焦点IOLのタイプA表面位相構造である(基準屈折度数が差し引かれている)グラフである。 加入度数3.0Dを有する2焦点IOLのタイプB表面位相構造である(基準屈折度数が差し引かれている)グラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の変調伝達関数(MTF)であるグラフである。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の結像シミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の結像シミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の結像シミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点設計の結像シミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点IOLのスルーフォーカス特性のシミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点IOLのスルーフォーカス特性のシミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点IOLのスルーフォーカス特性のシミュレーション結果である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数3.0Dの2焦点IOLのスルーフォーカス特性のシミュレーション結果である 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する加入度数1.5D及び3.0D(基準屈折度数が差し引かれている)を有する3焦点IOLの表面位相構造である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する加入度数1.5D及び3.0D(基準屈折度数が差し引かれている)を有する3焦点IOLの表面位相構造である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプAエネルギー分布に対応する遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点の間の加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点設計のエネルギー分布である。 異なる瞳孔径サイズに対応し、かつタイプBエネルギー分布に対応する遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点の間の加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点設計のエネルギー分布である 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計に対応する変調伝達関数(MTF)である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計に対応する変調伝達関数(MTF)である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計に対応する変調伝達関数(MTF)である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計に対応する変調伝達関数(MTF)である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計に対応する変調伝達関数(MTF)である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計に対応する変調伝達関数(MTF)である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計の場合の3焦点設計の結像シミュレーション結果である。 加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点タイプA設計の場合の3焦点設計の結像シミュレーション結果である。 3焦点IOLタイプA設計のスルーフォーカス特性のシミュレーション結果である。 2.5Dを超えて拡張された焦点深度を有するEDOF IOLの表面位相構造である(基準屈折度数が差し引かれている)。 EDOF設計及び従来の単焦点IOL設計に関する結像シミュレーション結果である。 EDOF設計及び従来の単焦点IOL設計に関する結像シミュレーション結果である。 EDOF IOL及び従来の単焦点IOLのスルーフォーカスMTF特性のシミュレーション結果である。 別の3焦点IOLの離散的な表面位相構造である(基準屈折度数が差し引かれている)。 別の3焦点IOLのスルーフォーカス特性のシミュレーション結果である。
具体的なIOLの設計方法は、光の波動性に由来する。Huygensの回折原理によれば、光は波として、波長、位相、及び振幅により記述され、光は、光が媒体又は複数種類の媒体中/内/間を伝搬するときの回折現象及び干渉現象を呈する。
図1に示すように、位相変化特性を有するレンズ100は、当該レンズ内を伝搬する光の回折及び干渉を制御して、多焦点及び拡張焦点深度(EDOF)を実現する。離散的な位相プロファイルは、構造的な階段状プロファイル102(上部)により実現され、各階段状プロファイルは、0〜2波長λ(λは、IOLの主設計波長である)のスケールのステップ高さhを有する。階段状プロファイル102の各階段状プロファイルは、それぞれの複数m個の隣接輪帯光学ゾーンに組み込まれ、各隣接輪帯光学ゾーンは、図1(下部)に示すように、レンズ面の半径rで定義され、レンズ中心から周辺に向かって外側に延びている。レンズの合計有効光学面積は、m個の光学ゾーンの合計面積として定義される。
同心輪帯ゾーンmは、2つの主要パラメータにより、例えば輪帯の位置/半径r、及び急勾配のステップ飛びの高さh(高さ方向の最大位相ずれ)により特徴付けられる。これらのパラメータは以下の通りに導出される:
第m輪帯の半径rは次式により与えられ、
式中、m=0,1,2,...(整数値)であり、λは、IOLの主設計波長であり、fは、所望の多焦点の「add power(加入度数)」に対応する焦点距離である;すなわち、f=1000mm/加入度数である。
各輪帯光学ゾーンの内周後縁のステップ高さhは次式により与えられ、
式中、Nは、第n回折次数(n=0,1,2,3...)の回折効率であり、k=(n−n)h/λは、位相飛びを調整するための係数であり、(n−n)は、レンズに含まれる媒体(例えば、ユーザの眼、又は埋め込まれていない場合の空気)と光学ゾーン(格子)材料との屈折率差であり、hはステップ高さであり、指定されたNを解くことにより得られる。
方程式(2)は、回折効率Nが各輪帯光学ゾーンmの注目する各回折次数(n)に関連付けられる過程を記述している。回折効率は、光エネルギーが各光学ゾーンの異なる焦点(加入度数)間に分布する過程を定量的に記述するパラメータである。これを図2に模式的に示す。図2では、第0回折次数、第1回折次数、及び第2回折次数は、各光学ゾーンmにおけるレンズの基準屈折度数(f)、第1加入度数(f)、及び第2加入度数(f)に対応する。
方程式(2)では、f(r)は、光分布を使用可能な回折次数に渡って最適化し、使用不可能な回析次数への光の広がりを最小限に抑える調整関数であり、f(r)は、第m回折ゾーンの表面プロファイルのフレキシビリティを実現して球面に限定されないようにし、しかも非球面又は自由形状に拡張することができる。f(r)は、第m回折ゾーンに関する厳密な位相プロファイルのフーリェ変換で記述される。
方程式(2)は、一般化格子に関するフラウンホーファ回折計算から導出され、具体的な本発明では、各光学ゾーンmは、1個の特定の局所格子として処理される。
方程式(1)及び(2)の導出について、本明細書の最後の付録1に説明されている。
レンズ面の光学面積を合計する場合、異なる回折次数n(各個々の回折次数nは、各光学ゾーンmにおける各個々の焦点又は加入度数に対応している)に渡る合計エネルギー分布は、各局所ゾーンにおける個々の回折効率の重み付け合計として処理される(Nn,mと表記され、nは回折次数を表わし、mは第m輪帯光学ゾーンを表わしている)。重み係数は、以下の関係に従って、個々の光学ゾーンと合計有効光学面積との表面積比Rにより決定される:
式中、Nn,mは、第mゾーンの局所回折効率であり、
の関係がある。
所望のエネルギー分布を異なる焦点に渡って実現するために、又は拡張焦点深度を実現するために、表面位相プロファイルを、局所光学ゾーン回折効率Nn,m及び重み係数Rを適切に組み合わせることにより最適化する。例示的な実施形態によれば、以下の表1に要約されている4つのアプローチを使用して、具体的な回折レンズ、多焦点レンズ、及び/又はEDOFレンズ設計し、これらのレンズの例をここで以下に説明する。
例示的な実施形態によれば、光モデリング方法を使用して、具体的なIOLの光学特性を光線追跡環境においてシミュレーションする。当該方法は、光線追跡眼球モデルの設定を含み、光線追跡眼球モデルで、モデルに接続されているIOLを挿入した眼の光学特性をシミュレーションすることができる。
方法は更に、ユーザ定義面の設定を含み、ユーザ定義面を使用して光線追跡モデルにおける離散的な表面位相プロファイルを入力することができる。離散的な表面位相プロファイルは、ユーザ定義関数に関連付けられ、ユーザ定義関数は、表面を介して追跡される各光線の位相パラメータを、設計された局所回折構造プロファイルに基づいて調整することができる。
方法は更に、インコヒーレント像周波数応答分析法を利用して、設計の光学特性をシミュレーションする。基礎理論が本明細書の最後の付録2に要約されている。光学的結像品質を評価する指標は、点広がり関数(PSF)、変調伝達関数(MTF)、及び結像シミュレーションを含む。方法は、更に具体的には、以下のステップを含む:1)光線を、回折面により光線追跡モデルの射出瞳に変調をかける位相パラメータで追跡し、真の瞳関数を設定する;2)光学伝達関数(OTF)を取得し、光学伝達関数は、射出瞳の位置の光線追跡データに基づいて設定される瞳関数の自己相関関数として計算される;3)OTFの変調関数である変調伝達関数(MTF)を取得し、変調伝達関数は、結像するオブジェクトに由来する様々な空間周波数における結像コントラスト低下について記述している;4)異なる焦点ボケ位置におけるMTFを取得し、MTFは、設計のスルーフォーカス特性について記述している;5)系の点広がり関数(PSF)を、OTFを逆フーリェ変換することにより取得する;6)結像シミュレーションを、PSF及びオブジェクトの畳み込み演算を行なうことにより行なう(OTFとオブジェクトのスペクトルの積の逆フーリェ変換)。
非限定的な実施形態は、上の表1のアプローチI〜IVに基づく4つの例示的なIOL設計を以下の通りに含む。
例1(アプローチI)
遠方焦点及び近方焦点にそれぞれ対応する加入度数3.0ジオプター(D)の2焦点IOL。この設計形状は、各回折ゾーンに関する表面積比Rが一定であり、かつ回折効率が均一(単調)に低下する(すなわち、ステップ高さが均一(単調)に減少する)回折構造を有する。表2及び図3A〜図7Dは、設計パラメータ及び特性予測を開示し、例示している。
2焦点IOLは、加入度数3.0Dで設計される。この設計形状は、タイプA設計及びタイプB設計を含む。タイプA設計は、図3Aに示すように、全ての瞳孔径サイズにおいて遠方焦点と近方焦点との間の一定した45.5%/35.8%のエネルギー分布を有している。タイプB設計は、図3Bに示すように、中心の3mm領域に対応して45.5%/35.8%の一定した遠方焦点/近方焦点エネルギー分布を有し、瞳孔径サイズが3mmよりも大きい場合に、徐々に均一に変化するエネルギー分布を有し、より大きなエネルギーが、遠方焦点の方に向かって振り向けられる。図4A、図4Bは、離散的な表面位相構造を示しており、表2は、輪帯の後縁の輪帯位置及びステップ高さに関して指定される設計パラメータを列挙している。表2に指定される値は、1.52の屈折率を550ナノメートル波長において有するレンズ材料に特に当てはまる。材料が他の屈折率を有する場合、ステップ高さは、以下の通りに調整される必要がある:
式中、
h’は、異なる屈折率n’に対応する調整対象のステップ高さであり、
hは、表2に指定されるステップ高さであり、
Cは、調整係数であり、
nは、表2に対応する材料屈折率であり、
n’は、異なる材料屈折率である。具体的な設計は、1.40〜1.58の屈折率の材料に関して可能である。
例1のIOLの特性を、本明細書において上に開示した具体的なモデリング方法及び分析方法により評価した。
図5A〜図5Hは、遠方焦点及び近方焦点における瞳孔径が3mmである場合のタイプA(図5A、図5E)及びタイプB(図5B、図5F)の変調伝達関数(MTF)、及び瞳孔径が4.5mmである場合のタイプA(図5C、図5G)及びタイプB(図5D、図5H)の変調伝達関数(MTF)を示している(接平面及び矢状面が図示されている)。
図6A〜図6Dは、瞳孔径サイズが2種類ある(3mm、4.5mm)場合の遠方焦点及び近方焦点に対応する眼球モデルの網膜における結像のシミュレーション結果を示している。
図7A〜図7Dは、2種類の瞳孔径サイズ(3mm、4.5mm)に対してスルーフォーカスMTF曲線でシミュレーションしたときのシミュレーション結果を示している。タイプA及びタイプBは、瞳孔径が3mmの場合に同じ光学特性を持つように設計される;しかしながら、瞳孔径が3mmよりも大きくなるが、タイプA(図7A、図7B)設計は一定した特性を維持し、タイプB(図7C、図7D)設計は、より大きな光エネルギーを遠方焦点の方に向かって振り向ける;例えば、MTF曲線は、遠方焦点においてより高くなり、近方焦点においてより低くなる。
例2(アプローチII)
遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点にそれぞれ対応する加入度数1.75D及び3.5Dの3焦点IOL。この設計形状は、各回折ゾーンの表面積比が一致していて、しかも隣接ゾーンの回折効率が変化する(ステップ高さが交互に高低する)回折構造を有する。表3及び図8A〜図12は、設計パラメータ及び特性予測を開示し、例示している。
3焦点IOLは、2つの異なる加入度数;例えば1.75D及び3.50Dを持つように設計されて、遠方視力、中間視力、及び近方視力を実現する。例1と同様に、この設計形状は、タイプA設計及びタイプB設計を含む。タイプA設計は、全ての瞳孔径サイズにおいて遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点の間の一定した37.2%、25.3%、及び23.7%のエネルギー分布を有している。タイプBは、中心の3mm領域にのみ対応して一定した37.2%/25.3%/23.7%の遠方焦点/中間焦点/近方焦点エネルギー分布を有し、しかも瞳孔径サイズが3mmから5mmに大きくなるに従って、徐々に変化するエネルギー分布を有し、より大きなエネルギーが、瞳孔径サイズが大きくなる状態で遠方焦点及び中間焦点の方に向かって振り向けられる。
図8A、図8Bは、タイプA及びタイプBにそれぞれ対応する離散的な表面位相構造を示しており、表3は、輪帯の後縁の輪帯位置及びステップ高さに関して指定される設計パラメータを示している。表3に指定されるパラメータは、1.52の屈折率を550ナノメートルの波長において有する材料に特に当てはまる。材料が他の屈折率を有する場合、ステップ高さは、以下の通りに調整される必要がある:
式中、
h’は、異なる屈折率n’に関して調整されるステップ高さであり、
hは、表3に指定されるステップ高さであり、
Cは、調整係数であり、
nは、表3に対応する材料屈折率であり、
n’は、異なる材料屈折率である。具体的な設計は、1.40〜1.58の屈折率の材料に関して可能である。
例2のIOLの特性を、本明細書において上に開示した具体的なモデリング方法及び分析方法により評価した。
図9A、図9Bは、両方のタイプA設計及びタイプB設計のそれぞれ対応する遠方焦点/中間焦点/近方焦点のエネルギー分布を示している。次に、タイプA設計の場合、図10A〜図10Fは、遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点における変調伝達関数(MTF)を示している(接平面及び矢状面が図示されている)。
図11A、図11Bは、瞳孔径サイズが2種類ある(3mm、5mm)遠方焦点、中間焦点、及び近方焦点にそれぞれ対応する眼球モデルの網膜における結像のシミュレーション結果を示している。
図12は、2種類の瞳孔径サイズに対してスルーフォーカスMTF曲線でシミュレーションしたときのシミュレーション結果を示している。
例3(アプローチIII)
連続する焦点深度が2.5Dよりも大きい度数に拡張されている(従来の屈折IOLの最大度数0.5Dと比較して)拡張焦点深度IOL(EDOF IOL)。この設計形状は、二重ブレーズド位相型構造が対称であり(背中合わせ)、表面積比が一定であり、各回折ゾーン内の最大位相ずれが一定である回折構造を有する。表4及び図13〜図15は、設計パラメータ及び特性予測を開示し、例示している。
EDOF IOLは、焦点深度が2.5Dを超える度数に拡張されるように設計される。図13は、離散的な表面位相プロファイルを示しており、表4は、輪帯の後縁の輪帯位置及びステップ高さに関して指定される設計パラメータを示している。表4に指定されるパラメータは、1.52の屈折率を550ナノメートル波長において有する材料に特に当てはまる。材料が他の屈折率を有する場合、ステップ高さは、以下の通りに調整される必要がある:
式中、h’は、異なる屈折率n’に対応する調整対象のステップ高さであり、
hは、表4に指定されるステップ高さであり、
Cは、調整係数であり、
nは、表4に対応する材料屈折率であり、
n’は、異なる材料屈折率である。具体的な設計は、1.40〜1.58の屈折率を有する材料に関して可能である。
例3のIOLの特性を、本明細書において上に開示した具体的なモデリング方法及び分析方法により評価した。
図14A、図14Bは、焦点深度が3.0Dの場合、及び回折位相構造を表面に設けない単焦点IOL設計の場合の眼球モデルの網膜における結像のシミュレーション結果を示している。
図15は、スルーフォーカスMTF曲線でシミュレーションしたときの具体的なEDOF設計及び従来の単焦点IOLのシミュレーション結果を示している。
例4(アプローチIV)
遠方視力、中間視力、及び近方視力を確保する別の3焦点設計。設計は、面積比及び回折効率の両方をこれらの回折ゾーンに渡って変化させるアプローチを採る。例2において開示される3焦点設計とは異なり、この設計により、遠方視力から中間視力までのギャップを無くすことができ(例えば、遠方視力から中間視力までの連続する視力を生成する遠方視力における約2.0Dの焦点深度)、機能性近方視力を確保することもできる。表5及び図16〜図17は、設計パラメータ及び特性予測を開示し、例示している。
この別の3焦点光学系設計は、2つの異なる加入度数、例えば1.75D及び3.50Dを有することにより、遠方視力、中間視力、及び近方視力を確保する。この設計は、面積比及び回折効率の両方をこれらの回折ゾーンに渡って変化させるアプローチを採る。設計は、遠方視力から中間視力までの連続する光学特性を有し(例えば、遠方視力における約2.0Dの焦点深度)、更には、機能性近方視力を有することを目標としている。
図16は、離散的な表面構造について記述しており、表5は、輪帯の後縁における輪帯位置及びステップ高さに関して指定される設計パラメータを記述している。表5に指定されるパラメータは、1.52の屈折率を550ナノメートル波長において有する材料に特に当てはまる。材料が他の屈折率を有する場合、ステップ高さは、以下の通りに調整される必要がある:
式中、
h’は、異なる屈折率n’に対応する調整対象のステップ高さであり、
hは、表5に指定されるステップ高さであり、
Cは、調整係数であり、
nは、表5に対応する材料屈折率であり、
n’は、異なる材料屈折率である。具体的な設計は、1.40〜1.58の屈折率の材料に関して可能である。
例4のIOLの特性を、本明細書において上に開示した具体的なモデリング方法及び分析方法により評価した。
図17は、スルーフォーカスMTF曲線でシミュレーションしたときのシミュレーション結果を示しており、例2の3焦点設計とは異なり、遠方焦点から中間焦点までには明らかなMTF変動が無い。
本発明による幾つかの実施形態について本明細書において説明し、例示してきたが、当業者であれば、本明細書において説明される機能を実行する、及び/又は結果及び/又は利点の1つ以上の利点を実現する多種多様な他の手段及び/又は構造を容易に想到することができ、このような変更及び/又は変形の各々は、本明細書において説明される本発明による実施形態の範囲に含まれると見なされる。更に広い意味では、当業者であれば、本明細書において説明されるパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示であることが意図されており、かつ実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明による教示が使用される特定の用途、又は特定の複数用途によって異なることを容易に理解できるであろう。当業者であれば、日常的な体験を経るだけで、本明細書において記載される本発明による特定の実施形態に相当する多くの等価物を認識するであろう、又は究明することができるであろう。したがって、これまで説明してきた実施形態は、一例としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲及び特許請求の範囲の均等物に収まるように、本発明による実施形態を、詳細に記載され、かつ特許請求される以外の態様で実施することができることを理解されたい。本開示の本発明による実施形態は、本明細書において記載される各個々の機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に関するものである。また、2つ以上のこのような機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法の組み合わせは、このような機能、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に矛盾しない場合には、本開示の本発明による範囲に含まれる。
本明細書において定義され、使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、及び/又は定義される用語の普通の意味に優先するものと理解されたい。
本明細書における、及び特許請求の範囲における不定冠詞「a」及び「an」は、明らかに異なる指示がない限り、「at least one(少なくとも1つ)」を意味するものと理解されるべきである。
本明細書において、及び特許請求の範囲において使用されるように、「and/or(及び/又は)」という語句は、そのようにして結合される構成要素の「either or both(いずれか、又は両方)」を意味する、すなわち幾つかの場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する構成要素を意味するものと理解されるべきである。「and/or」を用いて列挙される複数の構成要素は、同じに解釈されるべきである、すなわちそのようにして結合される構成要素のうち「one or more(1つ以上)」の構成要素であると解釈されるべきである。他の構成要素は任意であるが、具体的に特定されるこれらの構成要素に関連しているか、又は関連していないかどうかに関係なく、「and/or」という節によって具体的に特定される構成要素以外に存在していてもよい。このように、非限定的な例として、「comprising(備える)」のような制約のない言語と連携して使用される場合の「A and/or B(A及び/又はB)」という表現は、1つの実施形態では、Aのみ(任意であるが、B以外の構成要素を含む)を指すことができ、別の実施形態では、Bのみ(任意であるが、A以外の構成要素を含む)を指すことができ、更に別の実施形態では、A及びBの両方(任意であるが、他の構成要素を含む)を指すことができる等である。
本明細書において、及び特許請求の範囲において使用されるように、「or(又は)」は、上に定義される「and/or」と同じ意味を有するものと理解されるべきである。例えば、リストの中のアイテム群を分類する場合、「or」もしくは「and/or」は、包含的であると解釈されるものとする、すなわち複数の構成要素又は列挙される構成要素、及び任意であるが列挙されていない更に別のアイテムのうち少なくとも1つを含むのみならず、1つよりも多くを含むものと解釈されるものとする。「(only one of(のうちの1つのみ)」又は「exactly one of(のうち厳密に1つ)」、もしくは特許請求の範囲において使用される場合の「consisting of(〜からなる)」のような、異なることが明らかに指示される用語のみが、複数の構成要素又は列挙される構成要素のうち厳密に1つの構成要素を包含していることを指すことになる。一般に、本明細書において使用されるように、「or」という用語は、「either(いずれか)」、「one of(のうちの1つ)」、「only one of(のうちの1つのみ)」、又は「exactly one of(のうち厳密に1つ)」のような排他的な用語が前にくる場合、排他的な代替(すなわち、「one or the other but not both(一方又は他方であるが、両方ではない)」)を指すものと解釈されるべきである。特許請求の範囲において使用される場合の「consisting essentially of(基本的に〜からなる)」は、特許法の分野で使用される普通の意味を有するものとする。
本明細書において、及び特許請求の範囲において使用されるように、列挙される1つ以上の構成要素を指す場合の「at least one(少なくとも1つ)」という語句は、列挙される構成要素群のうち任意の1つ以上の構成要素から選択される少なくとも1つの構成要素を意味するものと理解されるべきであるが、列挙される構成要素群のうち、具体的に列挙される各構成要素及び全ての構成要素のうち少なくとも1つの構成要素を必ずしも含む必要がある訳ではなく、列挙される構成要素群のうちの複数の構成要素のいかなる組み合わせも排除しない。また、この定義により、「at least one」という語句が指す、列挙される構成要素のうち具体的に特定される構成要素以外の構成要素を、具体的に特定されるこれらの構成要素に関連しているか、又は関連していないかどうかに関係なく、任意に含めることができる。このように、非限定的な例として、「at least one of A and B(A及びBのうちの少なくとも一方)」(又は、同等の「at least one of A or B(A又はBのうちの少なくとも一方)」、あるいは同等の「at least one of A and/or B(A及び/又はBのうちの少なくとも一方)」)は、1つの実施形態では、Bを含まない状態で1つよりも多くのAを任意に含む(及び、任意であるが、B以外の構成要素を含む)少なくとも1つを指すことができ、別の実施形態では、Aを含まない状態で1つよりも多くのBを任意に含む(及び、任意であるが、A以外の構成要素を含む)少なくとも1つを指すことができ、更に別の実施形態では、1つよりも多くのAを任意に含む少なくとも1つを指すことができ、1つよりも多くのBを任意に含む(及び、任意であるが、他の構成要素を含む)少なくとも1つを指すことができる等である。
本明細書において、及び添付の特許請求の範囲において本開示を行なうために使用されるように、「about(約)」という用語は、当業者が当該特定の量又は測定値について通常であり、かつ合理的であると認識する指定量を、指定量の分割量に、又は指定量の合理的な許容量にプラス/マイナスした量を意味する。同様に、「substantially(実質的に)」という用語は、当業者が、設計及び実施態様により意図的に異ならせるのではなく、通常であり、かつ合理的であると認識する通りに変更されている指定範囲に近付いていることを、又は指定範囲と同様であることを意味している。
また、明らかに異なることが指示されない限り、1つよりも多くのステップ又は処理を含む本明細書において特許請求されるいずれの方法においても、方法のステップ群又は処理群の順序は、方法のステップ群又は処理群が列挙される順序に必ずしも限定される訳ではないことを理解されたい。
付録1−方程式(1)及び方程式(2)の理論的導出
方程式(1)は、以下に詳述されるこれらの2つの方法のうち1つの方法を使用することにより導出される:
方法1
同心ゾーンの半径を導出する1つの方法は、フレネル位相板を設計するために使用される方法と同様であり、この方法では、光軸上最大放射強度のZ位置を所望の焦点として設定し、次に輪帯の半径を、光軸上最大放射方程式を解いて求める。上記計算から、以下のことが明らかになる:
光軸上光強度Iがフレネル数(N)により次式の通りに導出され、
式中、
oは、一定の強度であり、
Iは、厳密なz位置に対応する光軸上光強度であり、
は、フレネル数であり、
の関係がある。
光軸上強度(I)は、N=−2m,...−4,−2,0,2,4...2m(m=整数)が成り立つ場合に最大になり、
式中、
aは、フレネル領域の半径であり、
λは、波長であり、
zは、Z位置の距離であり、
fは、焦点距離である。
焦点距離(f)を光軸上最大放射強度のz位置に一致させる。第m輪帯の半径は、以下の式を解いて求めることができる。
式中、m=0,1,2...の整数である。
方法2
輪帯回折ゾーンの半径を導出する第2の方法は、フラウンホーファ回折による格子方程式に基づいているが、回折レンズの場合、各輪帯は個々の局所格子として処理され、局所格子の周期が輪帯の直径に等しくなるようにし、輪帯の半径を、格子方程式を解いて求める。
フラウンホーファ回折理論によれば、格子方程式は次式の通りに表わされ、
式中、
Λは、第m回折次数の格子周期であり、
Θは、回折レンズの輪帯に対応する第m回折次数の回折角である。
第m輪帯の半径は、第m輪帯ゾーンΛの局所格子周期の半分に一致し、格子方程式は次式の通りに表わすことができ、
したがって、a =2mλfの関係があるので、
の関係があり、
式中、m=0,1,2...の整数である。
付録2−回折多焦点レンズ及びEDOFレンズの光学的評価方法の基礎
2つの主要な理論を採用して、回折多焦点IOL及びEDOF IOLの光学特性を評価する計算及び光線追跡方法を確立する。確立した方法により、MTF、スルーフォーカスMTF(TF MTF)、及び結像シミュレーションのような光学特性シミュレーション指標の全てを生成する。
理論1:コヒーレント像理論
コヒーレント像は磁場に対して線形に変化する。
像平面U(u,v)の磁場は、オブジェクト平面U(u,v)の磁場の畳み込みで表わされ、コヒーレント像系h(u,v)の振幅インパルス応答で表わされる;
コヒーレント像系の振幅インパルス応答は、瞳関数p(x,y)のフーリェ変換で記述される;
上式は周波数f,fで評価される。
コヒーレント像伝達関数(又は、振幅伝達関数)は、PSFのFTで記述されるので、コヒーレント像伝達関数はスケーリングし直した瞳関数である。
理論2:インコヒーレント像理論
インコヒーレント像は放射強度に対して線形に変化する。ヒトの眼は、光電磁場の放射I(u,v)又はI(u,v)と相互作用する。
像平面における放射分布は、PSFの畳み込み(例えば、|h(u,v)|)で表わされ、オブジェクトの放射分布、
で表わされるので、インコヒーレント像の光学伝達関数(OTF)は、PSFのフーリェ変換で記述され、このフーリェ変換は、フーリェ変換理論を使用する導出原理によれば、振幅伝達関数の自動相関と数学的に同等であり、振幅伝達関数は、スケーリングし直した瞳関数に比例する。
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