本発明は、磁気共鳴画像診断システム、コンピュータプログラム製品、及び方法を独立請求項で提供する。実施形態は従属請求項において与えられる。
本発明の実施形態は、位相コントラスト画像からの情報を動脈スピンラベル付き(ASL)強度画像と組み合わせる、動脈スピンタギング画像の改善された解析を提供する。ASLは、動脈スピンタギングと同義の一般的略称である。強度画像は、タグ付けされている血流を検出することによって、動脈を位置決めするように再構築することができる。位相画像は、ASL強度画像によって位置決めされた動脈の内部又は外部のどちらかにおける、血液などの流体のフローを検出するのに使用される。
位相情報を強度画像からのデータと組み合わせることで、静脈系及び動脈系両方に関する詳細な情報を提供することができる。例えば、強度画像は、タグ付き動脈の位置を直接推論するのに使用することができる。これらのタグ付き画像から分かっている動脈の位置を使用して、分かっている動脈の位置を規定するマスクを作成することができる。動脈によって規定された位置内にある位相画像のフロー情報は、これらの動脈内のフローに帰することができる。次に、位相マップを使用して、動脈マスクによって特定された動脈を通る血液のフローパターンを判定することができる。
動脈マスク外の位相画像内のフロー情報は、静脈内(又は場合によってはタグなしの動脈内)のフローに帰することができる。次に、位相マップを使用して、静脈血流のマップを作成することができる。動脈及び静脈両方の血流を詳細に説明する複合画像を作成することも可能である。
磁気共鳴(MR)データは、本明細書では、磁気共鳴画像診断スキャン中に磁気共鳴装置のアンテナを使用する、原子スピンによって放射された無線周波数信号の記録された測定値として定義される。磁気共鳴データは、医療用画像データの一例である。磁気共鳴画像診断(MRI)画像は、本明細書では、磁気共鳴画像診断データ内に含まれる解剖学的データの再構築された二次元又は三次元の視覚化として定義される。この視覚化はコンピュータを使用して実施することができる。
一態様では、本発明は医療用画像診断システムを提供する。医療用画像診断システムは、機械実行可能命令を格納するメモリを備える。医療用画像診断システムは、医療用画像診断システムを制御するプロセッサを更に備える。機械実行可能命令の実行によって、プロセッサが、被験体の関心領域のタグ付きASL(動脈スピンラベリング)強度画像を受信する。タグ付きASL強度画像は、本明細書では、タグ付き強度画像とも呼ばれる。タグ付きASL強度画像は、タグ付きASL強度磁気共鳴画像とも呼ばれる。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域の対照ASL強度画像を受信する。対照ASL強度画像は、本明細書では、対照強度画像とも呼ばれる。対照ASL強度画像は、対照ASL強度磁気共鳴画像とも呼ばれる。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付きASL強度画像及び対照ASL強度画像を差し引くことによって動脈画像を構築する。タグ付きASL強度画像及び対照ASL強度画像は、例えば、動脈スピンラベリング又は動脈スピンタギング磁気共鳴画像診断プロトコルにしたがって獲得されている。
タグ付きASL強度画像及び対照ASL強度画像は、それらの画像を含むボクセルの数及びサイズにおいて一対一の対応を有する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像を使用して動脈マスクを構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域の少なくとも一部分を有する位相コントラスト磁気共鳴画像を受信する。いくつかの例では、位相コントラスト磁気共鳴画像は、タグ付きASL強度画像及び対照ASL強度画像と同じ関心領域を有する。他の事例では、位相コントラスト磁気共鳴画像の関心領域は、タグ付きASL強度画像及び対照ASL強度画像の関心領域と部分的にのみ重なる。位相コントラスト磁気共鳴画像は、本明細書で使用するとき、「位相画像」とも呼ばれる。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である関心領域の少なくとも一部分内の位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、選択された位相コントラスト動脈画像を少なくとも部分的に構築する。いくつかの更なる例では、タグ付きASL強度画像又は対照ASL強度画像の対象領域外である、位相コントラスト磁気共鳴画像の領域も、所定の背景値に設定される。
この実施形態は、例えば動脈を通って流れる血流を示すのに有用な、位相コントラスト動脈画像を構築する手段を提供する利益を有する。
いくつかの例では、動脈マスクは、複数の位相コントラスト磁気共鳴画像に適用される。この場合、複数の位相コントラスト磁気共鳴画像は、動脈マスクが適用された後で合計される。いくつかの事例では、複数の位相コントラスト磁気共鳴画像が合計され、次に動脈マスクが適用される。
別の実施形態では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク内である関心領域の少なくとも一部分内の位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、静脈画像を少なくとも部分的に構築する。この実施形態が有益なのは、動脈画像を生成するのに使用したのと同じデータを使用して、静脈画像を生成するのに動脈マスクが使用されることが事前に分かっているためである。
別の実施形態では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈画像及び静脈画像を組み合わせて複合画像にすることによって、複合画像を計算する。いくつかの例では、複合画像は、画像のどこが静脈であり、どこが動脈部分であるかを示すのに、異なる色及び/又はカラーマップを使用する。カラーマップの変化は、複合画像内のフローの速度を示すのにも使用される。
別の実施形態では、医療用画像診断システムは磁気共鳴画像診断システムである。
別の実施形態では、メモリは、位相コントラストパルスシーケンスコマンドを更に収容する。
別の実施形態では、メモリは、タグ付けパルスシーケンスコマンドを更に収容する。メモリは、制御パルスシーケンスコマンドを更に収容する。タグ付けパルスシーケンスコマンドは、被験体内のタグ付け位置をスピンラベリングするタグ付け反転パルス部分を含む。制御パルスシーケンスコマンドは制御反転パルス部分を含む。位相コントラストパルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。制御パルスシーケンスは、読出し方向の変位符号化磁場勾配を含む。位相コントラスト読出し部分は、少なくとも1つの方向の位相コントラスト符号化を含む。少なくとも1つの方向は読出し方向を含む。位相コントラスト読出し部分は、当然ながら、複数の方向の位相コントラスト符号化を有してもよい。
タグ付けパルスシーケンスコマンド及び制御パルスシーケンスコマンドは、Handbook of MRI Pulse Sequencesのセクション17.1に記載されているように、動脈スピンタギングに使用される。タグ付け反転パルス部分は、1つ又は複数の動脈を通って移動している血液の塊にラベル付けするのに使用される。タグ付け反転パルス部分は磁化移動効果をもたらし、それは、タグ付けパルスシーケンスコマンドを使用して獲得される磁気共鳴データから計算される強度画像で目に見えるようになる。制御反転パルス部分は、タグ付け反転パルス部分によって引き起こされる磁化移動効果と等価又はほぼ等価である、磁化移動効果を引き起こすように構築される。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付けパルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、タグ付き磁気共鳴データを獲得する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、制御パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、対照磁気共鳴データを獲得する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データを使用してタグ付きASL強度画像を再構築する。タグ付きASL強度画像は、タグ付きASL強度画像を再構築することによって受信される。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、対照磁気共鳴データを使用して対照ASL強度画像を再構築する。対照ASL強度画像は、対照ASL強度画像を再構築することによって受信される。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、位相コントラストパルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、位相コントラスト磁気共鳴データを獲得する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、少なくとも1つの方向の位相符号化を少なくとも部分的に使用して、位相コントラスト磁気共鳴データを使用して位相コントラスト画像を再構築する。位相コントラスト画像は、位相コントラスト画像を再構築することによって受信される。
別の実施形態では、医療用画像診断システムは磁気共鳴画像診断システムである。メモリは、タグ付けパルスシーケンスコマンド及び制御パルスシーケンスコマンドを更に収容する。タグ付けパルスシーケンスコマンドは、被験体内のタグ付け位置をスピンラベリングするタグ付け反転パルス部分を含む。タグ付けパルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。位相コントラスト読出し部分は、少なくとも1つの方向の位相コントラスト符号化を含む。少なくとも1つの方向は読出し方向を含む。制御パルスシーケンスコマンドは制御反転パルス部分を含む。制御パルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付けパルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、タグ付き磁気共鳴データを獲得する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、制御パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、対照ASL磁気共鳴データを獲得する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データを使用してタグ付きASL強度画像を再構築する。タグ付きASL強度画像は、タグ付きASL強度画像を再構築することによって受信される。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、対照磁気共鳴データを使用して対照強度画像を再構築する。対照ASL強度画像は、対照ASL強度画像を再構築することによって受信される。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、少なくとも1つの方向の位相符号化を少なくとも部分的に使用して、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データのどちらかを使用して位相画像を再構築する。位相コントラスト画像は、位相コントラスト画像を再構築することによって受信される。少なくとも1つの方向の位相符号化は、場合によっては、少なくとも1つの方向の位相コントラスト符号化として解釈される。いくつかの例では、少なくとも1つの方向は読出し方向を含む。
別の実施形態では、タグ付け位置は単一の動脈に対して選択される。
別の実施形態では、タグ付け位置は単一の動脈に対して選択的であるように構成される。
別の実施形態では、機械実行可能命令の実行によって、プロセッサが、所定数のタグ付け量にわたって、タグ付き磁気共鳴データ及び対照磁気共鳴データの獲得を繰り返す。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、所定数のタグ付け量それぞれに対して動脈画像を計算する。
別の実施形態では、タグ付け位置は非選択的である。
別の実施形態では、タグ付け位置は非選択的であるように構成される。
別の実施形態では、磁気共鳴画像診断システムによるタグ付け反転パルス部分の実行によって、タグ付き強度画像のタグ付け磁化移動効果がもたらされる。磁気共鳴画像診断システムによる制御反転パルス部分の実行によって、対照強度画像の対照磁化移動効果がもたらされる。タグ付け磁化移動効果は、対照磁化移動効果によって動脈画像から差し引かれる。
別の実施形態では、磁気共鳴画像診断システムによるタグ付け反転パルス部分の実行は、タグ付き強度画像のタグ付け磁化移動効果をもたらすように構成される。磁気共鳴画像診断システムによる制御反転パルス部分の実行は更に、タグ付け磁化移動効果を対照磁化移動効果によって動脈画像から差し引くことができるように、対照強度画像の対照磁化移動効果をもたらすように構成される。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、位相コントラスト画像と対照ASL強度画像及び/又はタグ付きASL強度画像との間の位置合わせを受信する。動脈マップ外にある関心領域の少なくとも一部分内における位相コントラスト画像内のボクセルの、所定の背景値に対する特定は、位置合わせを使用して少なくとも部分的に実施される。この実施形態は、位相コントラスト磁気共鳴画像によって撮像される関心量又は関心領域が、タグ付きASL強度画像及び/又は対照ASL強度画像の関心領域と同一ではないときに有用である。2つの画像間の位置合わせを受信することによって、関心領域が同一ではなくても位相コントラスト画像を使用することが可能になる。
別の実施形態では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、位相コントラスト画像と対照ASL強度画像及び/又はタグ付きASL強度画像とのボクセル間のマッピングを計算することによって、位相コントラスト画像と対照ASL強度画像及び/又はタグ付きASL強度画像との間の位置合わせを受信する。位相コントラスト画像と対照ASL強度画像のいずれかとの間のマッピングがある場合、マスクが適用される。例えば、マッピングが分かっている場合、これを変換に使用するか、又は動脈マスクを使用して、ボクセルを所定の背景レベルに適切に設定することができる。
別の実施形態では、動脈マスクは、所定の閾値を使用して動脈画像を閾値化することによってなど、次のうちのいずれかにしたがって、動脈画像を使用して作成される。この場合、所定の閾値を上回る動脈画像の部分は動脈領域であると特定される。動脈マスクはまた、動脈画像をセグメント化することによって作成される。動脈マスクはまた、解剖アトラスを動脈画像に適用することによって構築される。動脈マスクはまた、変形可能な形状モデルを動脈画像に適合させることによって作成される。動脈画像はまた、上述した技術の調節のいずれかにしたがって作成される。
別の態様では、本発明は、プロセッサによって実行される機械実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域のタグ付きASL強度画像を受信する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域の対照ASL強度画像を受信する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付きASL強度画像を対照ASL強度画像から差し引くことによって動脈画像を構築する。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像を使用して動脈マスクを構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域の少なくとも一部分の位相コントラスト磁気共鳴画像を受信する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、関心領域の少なくとも一部分内であるが動脈マスク外にある位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、選択された位相コントラスト動脈画像を少なくとも部分的に構築する。
別の態様では、本発明は、プロセッサによって実行される機械実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域のタグ付きASL強度画像を受信する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域の対照ASL強度画像を受信する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付きASL強度画像を対照ASL強度画像から差し引くことによって動脈画像を構築する。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像を使用して動脈マスクを構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、被験体の関心領域の少なくとも一部分の位相コントラスト磁気共鳴画像を受信する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク内である関心領域の少なくとも一部分内の位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、静脈画像を少なくとも部分的に構築する。
別の態様では、本発明は医療用画像診断の方法を提供する。方法は、被験体の関心領域のタグ付きASL強度画像を受信することを含む。方法は更に、被験体の関心領域の対照ASL強度画像を受信することを含む。方法は更に、タグ付きASL強度画像を対照ASL強度画像から差し引くことによって、動脈画像を再構築することを含む。方法は更に、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像を使用して動脈マスクを構築することを含む。方法は更に、被験体の関心領域の少なくとも一部分の位相コントラスト磁気共鳴画像を受信することを含む。いくつかの例では、位相コントラスト磁気共鳴画像の関心領域は、タグ付きASL強度画像及び/又は対照ASL強度画像の関心領域と同一である。しかしながら、必ずしもそうでなくても良い。方法は更に、動脈マスク外である関心領域の少なくとも一部分内の位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、選択された位相コントラスト動脈画像を少なくとも部分的に構築することを含む。
一例では、本発明は、被験体を撮像する磁気共鳴画像診断システムを提供する。被験体は、例えば、少なくとも磁気共鳴画像診断システムの撮像区域内にある。磁気共鳴画像診断システムは、機械実行可能命令を格納するメモリを備える。メモリは、タグ付けパルスシーケンスコマンド及び制御パルスシーケンスコマンドを更に収容する。タグ付けパルスシーケンスコマンドは、被験体内のタグ付け位置をスピンラベリングするタグ付け反転パルス部分を含む。タグ付けパルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を更に含む。位相コントラスト読出し部分は、少なくとも1つの方向の位相コントラスト符号化を含む。制御パルスシーケンスコマンドは制御反転パルス部分を含む。制御パルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。
タグ付けパルスシーケンスコマンド及び制御パルスシーケンスコマンドは、Handbook of MRI Pulse Sequencesのセクション17.1に記載されているように、動脈スピンタギングに使用される。タグ付け反転パルス部分は、1つ又は複数の動脈を通って移動している血液の塊にラベル付けするのに使用される。タグ付け反転パルス部分は磁化移動効果をもたらし、それは、タグ付けパルスシーケンスコマンドを使用して獲得される磁気共鳴データから計算される強度画像で目に見えるようになる。制御反転パルス部分は、タグ付け反転パルス部分によって引き起こされる磁化移動効果と等価又はほぼ等価である、磁化移動効果を引き起こすように構築される。
磁気共鳴画像診断システムは、磁気共鳴画像診断システムを制御するプロセッサを更に備える。機械実行可能命令の実行によって、プロセッサが、タグ付けパルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、タグ付き磁気共鳴データを獲得する。タグ付き磁気共鳴データは、例えば、関心領域から獲得される。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、制御パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、対照磁気共鳴データを獲得する。対照磁気共鳴データは、タグ付き磁気共鳴データと同じ関心領域から獲得される。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データを使用してタグ付き強度画像を再構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、対照磁気共鳴データを使用して対照強度画像を再構築する。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データのどちらかを使用して再構築する。位相画像は、少なくとも1つの方向の位相符号化を使用して少なくとも部分的に再構築される。少なくとも1つの方向それぞれに対して再構築された位相画像がある。
この例では、動脈の位置は強度画像を使用して決定され、静脈の位置は位相画像を使用して位置決めされる。位相符号化は、タグ付け反転パルス部分及び制御反転パルス部分によって影響されない。したがって、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データのどちらかを使用して、第1、第2、及び第3の位相画像が作成される。いくつかの例では、タグ付き磁気共鳴データ及び対照磁気共鳴データの両方を使用して、第1の位相画像、第2の移送画像、及び第3の位相画像において信号対雑音比を増加させることが有益である。
別の例では、少なくとも1つの方向は、第1の方向、第2の方向、及び第3の方向である。第1の方向、第2の方向、及び第3の方向は直交している。しかしながら、第1の方向、第2の方向、及び第3の方向は必ずしも直交していなくてもよい。この例は有益であるが、それは、磁気共鳴画像診断システムが通常は3つの直交する磁場勾配と適合されるためである。3つの方向が磁場勾配コイルの配向に対応するように選ばれたときが有効であり、良好な撮像結果がもたらされる。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データのどちらかを使用して、第1の位相画像、第2の位相画像、及び第3の位相画像を再構築する。第1の位相画像は、第1の方向の位相符号化を使用して再構築される。第2の位相は、第2の方向の位相符号化を使用して再構築される。第3の位相画像は、第3の方向の位相符号化を使用して再構築される。第1の方向、第2の方向、及び第3の方向が直交しているとき、最良の結果が得られる。しかしながら、本明細書に記載する例は、第1の方向、第2の方向、及び第3の方向が直交していないときにも依然として機能する。
また、3つを超える方向を使用するのが有益なことがある。複数の画像からの位相コントラスト情報を組み合わせて、画像の質を改善することができる。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である位相画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、選択的位相コントラスト動脈画像を少なくとも部分的に構築する。複数の方向がある場合、これは、方向それぞれにおいて再構築された位相画像に対して実施されて、中間動脈位相コントラスト画像が作成される。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き強度画像を対照強度画像から差し引くことによって動脈画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像を使用して動脈マスクを構築する。動脈の特定は多数の異なる方法で実施される。動脈画像は、他のボクセルの大多数よりも大きい値のボクセルを含む。これらは動脈の部分である可能性が最も高い。したがって、動脈の位置決めは、一例では、画像を閾値化することによって実施することができる。他の例では、動脈の接続性を検査することが可能である。例えば、動脈は血液が流れる経路を辿ることが予測される。通常よりも明るいか又は閾値を上回っているが、他のボクセルには接続されていないボクセルは、いくつかの事例では無視される。他の例では、アトラス又は形状変形可能なモデルなどからの解剖学的モデルが、動脈画像に適合される。
マスクは、本明細書で使用するとき、画像の規定若しくは特定された領域、又は医療用画像データの視覚化を包含する。例えば、動脈マスクは動脈画像を使用して構築される。動脈マスクは、特定された動脈の一部であるか又は部分的にそれらから構成されるものとして特定される、画像内のボクセル又はピクセルを特定するのに使用される。動脈マスクを次に、他の画像に適用するか又は他の画像と比較し、他の画像のボクセルが特定された動脈を含むか否かを判断するのに使用することができる。画像のボクセルが動脈マスク「内」又は「内部」にある場合、特定された動脈又は特定された動脈の一部を含む。ボクセルが動脈マスク「外」にある場合、ボクセルは、特定された動脈を含まないか又は部分的に含む。ここで暗示されているのは、マスクを作成するのに使用される画像と、マスクが適用されている画像とのボクセルの間に既知の関係があることである。通常、これはボクセル間の一対一の関係であるが、必ずしもそうでなくてもよい。単一の磁気共鳴画像診断システムなど、単一の医療用画像診断システムによって生成される画像を用いて作業しているとき、異なる画像のボクセル間の関係又はマッピングは良く分かっている。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である第1の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第1の中間動脈位相コントラスト画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である第2の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第2の中間動脈位相コントラスト画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である第3の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第3の中間動脈位相コントラスト画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、第1の中間動脈位相コントラスト画像、第2の中間動脈位相コントラスト画像、第3の中間動脈位相コントラスト画像を加算することによって、選択的位相コントラスト動脈画像を計算する。この例には、フロー及びタグ付け情報が同時に獲得される、選択的位相コントラスト動脈画像が構築されるという利点がある。これは、例えば、獲得時間を低減する。また、モーションアーチファクトの量を低減する。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスクに対応するか又はその中にある静脈画像内のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、静脈画像を少なくとも部分的に計算する。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、第1の位相画像、第2の位相画像、及び第3の位相画像を加算することによって、組み合わされた位相画像を計算する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、所定値を上回ると共に動脈マスク外である組み合わされた位相画像内の全てのボクセルを設定することによって、静脈画像を計算する。これによって、静脈の位置を計算する堅牢な手段が提供される。
別の例では、静脈画像は選択的位相コントラスト静脈画像である。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である第1の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第1の中間静脈位相コントラスト画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である第2の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第2の中間静脈位相コントラスト画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、動脈マスク外である第3の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第3の中間静脈位相コントラスト画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、第1の中間静脈位相コントラスト画像、第2の中間静脈位相コントラスト画像、第3の中間静脈位相コントラスト画像を加算することによって、静脈画像を計算する。
上述の例では、タグ付けパルスシーケンスコマンド及び制御パルスシーケンスコマンドは、動脈スピンタギングを実施するのに使用される。位相コントラスト読出し部分をタグ付け反転パルス部分及び制御反転パルス部分の両方に追加することによって、静脈の位置を単一の動脈スピンタギングの獲得を使用して決定することができる。動脈は強度画像内に位置決めされる。これによって動脈がどこにあるかの知識が得られる。これによって、動脈に属する特定のボクセルを組み合わされた位相画像から除外することができる。これは、被験体内の動脈及び静脈両方の位置を検出する改善された手段を提供する。
別の例では、静脈画像及び動脈画像は組み合わされて単一画像となる。いくつかの例では、擬似色又は他の色スケールを使用して、画像のどこが静脈部分及び動脈部分かが示される。
別の例では、静脈画像及び選択的位相コントラスト動脈画像は組み合わされて単一画像となる。いくつかの例では、擬似色又は他の色スケールを使用して、画像のどこが静脈部分及び動脈部分かが示され、また動脈又は静脈を通るフローの大きさが示される。
別の例では、動脈画像及び静脈画像は両方とも三次元画像である。他の例では、二次元画像の二次元スラブ又はスタックである。換言すれば、上記の例は、二次元獲得、一連の二次元獲得として、又は三次元磁気共鳴画像診断プロトコルとして実施される。
別の例では、タグ付け量は、単一の動脈の断面を包含するように選択的に位置付けられる。次に、タグ付け量は選択的ラベル付けとして解釈される。この例は、関心領域への血流が単一の動脈に対してマッピングされるので有益である。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、異なるタグ付け量に対してタグ付き磁気共鳴データ及び対照磁気共鳴データの獲得を繰り返す。これは、例えば、所定数のタグ付け量に対して実施される。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、所定数のタグ付け量それぞれに対して動脈画像を計算する。この例は、1つを超える動脈によって供給される領域を撮像するのに有用である。例えば、脳は多数の異なる動脈によって供給される。個々の動脈それぞれに対する血液の供給は別個に撮像される。
1つを超える動脈が撮像されるとき、動脈マスクは、異なる動脈それぞれに対して再構築された動脈画像全ての複合物を使用して構築される。同様に、静脈画像は、異なる動脈に対して獲得された磁気共鳴データの1つ、全て、又は組み合わせに対する、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データから再構築される。
別の例では、タグ付け位置は、1つ又は複数のタグ付けボクセルによって定義されるタグ付け量である。いくつかの例では、これは、異なる動脈の位置を判定するのに使用される予備磁気共鳴画像において特定されたボクセルである。異なる動脈が選択されるように、様々なボクセルを選択することができる。
別の例では、タグ付け位置は非選択的である。例えば、タグ付け位置はタグ付け面である。例えば、脳への血流を撮像するとき、脳に同時に栄養供給する動脈全てをタグ付けする面が選択される。この場合、動脈画像は脳への血液供給全体を撮像し、静脈画像はこれらの動脈によって供給される静脈を撮像する。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付け位置を受信する。例えば、プロセッサは、ユーザインターフェースを介してタグ付け位置を受信する。他の例では、タグ付け位置は自動的に受信される。例えば、予備的医療用画像は、被験体内の動脈の位置を説明するデータを提供又は包含する。オペレータは、1つ又は複数のタグ付け位置が被験体内にある場所を手動で描写する。他の例では、システムがこれを自動的に実施する。
別の例では、タグ付け位置は、予備的医療用画像をセグメント化することによって受信される。予備的医療用画像は、PETスキャン又はCT画像などの異なる画像診断モダリティを使用して獲得される。他の例では、予備的医療用画像は、被験体が既に磁気共鳴画像診断システム内の位置にいる状態で最初に実施される、スカウトスキャン又は他の画像である。セグメント化アルゴリズムは、動脈の位置を自動的に特定するか、又は単純に非選択的タグ付けのためのタグ付け面を位置付けるのに使用される。
別の例では、静脈画像及び動脈画像は両方とも、平面画像、平面画像のスタック、及び三次元画像のいずれか1つである。つまり、この例は、二次元獲得、多数の二次元獲得、又は完全な三次元磁気共鳴画像診断プロトコルに適用される。
別の例では、機械実行可能命令の実行によって、プロセッサが、動脈画像及び静脈画像を組み合わせて複合画像にすることによって、複合画像を計算する。複合画像は異なる形態をとる。いくつかの例では、血流の速度、並びに/或いは動脈及び/又は静脈のどちらであるかを示すのに、異なる色が使用される。関心領域の血液供給及びそこからの血液排出のより良好な画像が得られるので、動脈画像及び静脈画像を組み合わせて1つの画像にすることが有益である。特に、脳スキャンの撮像において、施術者が被験体の異常状態をより容易に特定する助けとなる。
別の例では、複数の動脈画像が異なるタグ付け量に対して獲得される。これらの様々な動脈画像も組み合わされて複合画像となり、それが場合によっては静脈画像とも組み合わされる。1つを超えるタグ付け量が使用され、それらが異なる動脈をラベル付けするのに選択的に使用される場合、異なる動脈に関する血液供給は、異なる動脈によって供給される血液供給の互いに対する関係及び静脈系に対する関係を視覚化するのがより簡単になるようにラベル付けされる。
別の例では、複合画像の動脈及び静脈は、色又は異なる色スケールによって区別される。
別の例では、タグ付けパルスシーケンスコマンドは、タグ付け反転パルス部分の前の前飽和部分を含む。制御パルスシーケンスコマンドは、制御反転パルス部分の前の前飽和部分を含む。前飽和部分は、関心領域内のスピンの磁化を消すのに使用される。前飽和部分を使用することによって、動脈画像を構築する際の結果がより良好になる。信号対雑音がより良好になり、画像アーチファクトも除去される。しかしながら、タグ付けパルスシーケンスコマンド及び制御パルスシーケンスコマンドにおいて前飽和部分を実施することは必須ではない。
別の例では、動脈マスクは、所定の閾値を使用して動脈画像を閾値化することによって作成される。所定の閾値を上回る動脈画像の部分は動脈領域であると特定される。
別の例では、動脈マスクは、動脈画像をセグメント化することによって少なくとも部分的に作成される。動脈画像内の動脈を特定するのにセグメント化アルゴリズムが使用される。例えば、動脈の起点は分かっており、セグメント化アルゴリズムは、ピクセルボクセルの値を互いに接続されているものと比較して使用する。
別の例では、動脈マスクは、解剖アトラスを動脈画像に適用することによって少なくとも部分的に作成される。例えば、正常な解剖学的構造を有する被験体内の動脈は類似しているので、解剖アトラスは、動脈画像のどの部分が動脈であるかを特定する助けとするのに使用される。
別の例では、動脈マスクは、変形可能な形状モデルを動脈画像に適合させることによって、少なくとも部分的に作成される。例えば、変形可能な形状モデルは、被験体の一般的な動脈系の定義を有する。これは次に、動脈画像内に適合するように変形される。
他の例では、動脈マスクを作成する上述の方法は組み合わされるか又は別個に使用され、結果を組み合わせて、動脈マスクを作成する際に空気が入る可能性がチェックされ低減される。
別の例では、磁気共鳴画像診断システムによるタグ付け反転パルス部分の実行によって、結果として得られるタグ付き強度画像のタグ付け磁化移動効果がもたらされる。制御反転パルス部分によって、対照強度画像の対照磁化移動効果がもたらされる。タグ付け磁化移動効果は、対照磁化移動効果によって動脈画像から抜き取られる。動脈スピンタギングを実施する場合、タグ付き画像及び対照画像を実施するのが通常の慣例である。このような形でパルスシーケンスを構築することによって、動脈系のより良好な画像を実施することが可能になる。タグ付け及びタグ付けなしを使用したタグ付き画像及び対照画像の作成は、Handbook of MRI Pulse Sequencesのセクション17.1に記載されている。
別の態様では、本発明は、被験体を撮像するための磁気共鳴画像診断システムを制御するプロセッサによって実行される命令を含むコンピュータプログラム製品を提供する。機械実行可能命令の実行によって、プロセッサが、タグ付けパルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、タグ付き磁気共鳴データを獲得する。タグ付けパルスシーケンスコマンドは、被験体内のタグ付け位置をスピンラベリングするタグ付け反転パルス部分を含む。タグ付けパルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。位相コントラスト読出し部分は、少なくとも1つの方向の位相コントラスト符号化を含む。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、制御パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、対照磁気共鳴データを獲得する。制御パルスシーケンスコマンドは制御反転パルス部分を含む。制御パルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データを使用してタグ付き強度画像を再構築する。
機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、対照磁気共鳴データを使用して対照強度画像を再構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き強度画像を対照強度画像から差し引くことによって動脈画像を構築する。機械実行可能命令の実行によって更に、プロセッサが、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データのどちらかを使用して位相を再構築する。少なくとも1つの方向それぞれに対して再構築された位相画像がある。
別の態様では、本発明は、被験体を撮像する磁気共鳴画像診断システムを操作する方法を提供する。方法は、タグ付けパルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、タグ付き磁気共鳴データを獲得することを含む。タグ付けパルスシーケンスコマンドは、被験体内のタグ付け位置をスピンラベリングするタグ付け反転パルス部分を含む。タグ付けパルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。位相コントラスト読出し部分は、少なくとも1つの方向の位相コントラスト符号化を含む。
方法は、制御パルスシーケンスコマンドを用いて磁気共鳴画像診断システムを制御することによって、対照磁気共鳴データを獲得することを更に含む。制御パルスシーケンスコマンドは制御反転パルス部分を含む。制御パルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を含む。方法は、タグ付き磁気共鳴データを使用してタグ付き強度画像を再構築することを更に含む。方法は、対照磁気共鳴データを使用して対照強度画像を再構築することを更に含む。
方法は、タグ付き強度画像を対照強度画像から差し引くことによって、動脈画像を構築することを更に含む。
方法は、タグ付き磁気共鳴データ及び/又は対照磁気共鳴データのどちらかを使用して位相画像を再構築することを更に含む。位相画像は、少なくとも1つの方向それぞれに対するものである。
当業者には理解されるように、本発明の態様は、装置、方法又はコンピュータプログラムプロダクトとして具体化され得る。従って、本発明の態様は、全面的にハードウェア実施形態、全面的にソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)又は本明細書において全て一般的に「回路」、「モジュール」若しくは「システム」と称され得るソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとり得る。更に、本発明の態様は、コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ実行可能コードを有する1つ又は複数のコンピュータ可読媒体において具体化されたコンピュータプログラムプロダクトの形態をとり得る。
1つ又は複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせが利用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読ストレージ媒体でもよい。本明細書で使用される「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行可能な命令を保存することができる任意の有形ストレージ媒体を包含する。コンピュータ可読ストレージ媒体は、コンピュータ可読非一時的ストレージ媒体と称される場合もある。コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、有形コンピュータ可読媒体と称される場合もある。一部の実施形態では、コンピュータ可読ストレージ媒体はまた、コンピューティングデバイスのプロセッサによってアクセスされることが可能なデータを保存可能であってもよい。コンピュータ可読ストレージ媒体の例は、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ハードディスクドライブ、半導体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスク、磁気光学ディスク、及びプロセッサのレジスタファイルを含むが、これらに限定されない。光ディスクの例は、例えば、CD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、又はDVD−Rディスクといったコンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)を含む。コンピュータ可読ストレージ媒体という用語は、ネットワーク又は通信リンクを介してコンピュータデバイスによってアクセスされることが可能な様々な種類の記録媒体も指す。例えば、データは、モデムによって、インターネットによって、又はローカルエリアネットワークによって読み出されてもよい。コンピュータ可読媒体上で具現化されたコンピュータ実行可能コードは、限定されることはないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RF等を含む任意の適切な媒体、又は上記の任意の適切な組み合わせを用いて送信されてもよい。
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドにおいて又は搬送波の一部として内部で具体化されたコンピュータ実行可能コードを備えた伝搬データ信号を含んでもよい。このような伝搬信号は、限定されることはないが電磁気、光学的、又はそれらの任意の適切な組み合わせを含む様々な形態の何れかをとり得る。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読ストレージ媒体ではない及び命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって又はそれと関連して使用するためのプログラムを通信、伝搬、若しくは輸送できる任意のコンピュータ可読媒体でもよい。
「コンピュータメモリ」又は「メモリ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータストレージ」又は「ストレージ」は、コンピュータ可読ストレージ媒体の更なる一例である。コンピュータストレージは、任意の不揮発性コンピュータ可読ストレージ媒体である。一部の実施形態では、コンピュータストレージは、コンピュータメモリであってもよい又はその逆でもよい。
本明細書で使用される「プロセッサ」は、プログラム、マシン実行可能命令、又はコンピュータ実行可能コードを実行可能な電子コンポーネントを包含する。「プロセッサ」を含むコンピューティングデバイスへの言及は、場合により、2つ以上のプロセッサ又は処理コアを含むと解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコアプロセッサである。プロセッサは、また、単一のコンピュータシステム内の、又は複数のコンピュータシステムの中へ分配されたプロセッサの集合体も指す。コンピュータデバイスとの用語は、各々が一つ又は複数のプロセッサを有するコンピュータデバイスの集合体又はネットワークを指してもよいと理解されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同一のコンピュータデバイス内の、又は複数のコンピュータデバイス間に分配された複数のプロセッサによって実行される。
コンピュータ実行可能コードは、本発明の態様をプロセッサに行わせるマシン実行可能命令又はプログラムを含んでもよい。本発明の態様に関する動作を実施するためのコンピュータ実行可能コードは、Java(登録商標)、Smalltalk、又はC++等のオブジェクト指向プログラミング言語及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語等の従来の手続きプログラミング言語を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい及びマシン実行可能命令にコンパイルされてもよい。場合によっては、コンピュータ実行可能コードは、高水準言語の形態又は事前コンパイル形態でもよい及び臨機応変にマシン実行可能命令を生成するインタプリタと共に使用されてもよい。
コンピュータ実行可能コードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアローンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で及び部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてもよい、又はこの接続は外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通して)行われてもよい。
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して記載される。フローチャート、図解、及び/又はブロック図の各ブロック若しくは複数ブロックの一部分は、適用可能な場合、コンピュータ実行可能コードの形態のコンピュータプログラム命令によって実現できることが理解される。更に、相互に排他的でない場合、異なるフローチャート、図解、及び/又はブロック図のブロックの組み合わせが組み合わされることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を介して実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ若しくは複数のブロックで指定される機能/動作を実現する手段を作成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサが機械を作成するために提供される。
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は特定の方式で機能する他のデバイスに命令することができる、コンピュータ可読媒体に格納され、それによって、コンピュータ可読媒体に格納された命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ若しくは複数のブロックで指定される機能/動作を実現する命令を含む製品を作り出す。
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は一連の動作ステップをコンピュータ上で実施させる他のデバイス、コンピュータで実現されるプロセスを生成する他のプログラマブル装置若しくは他のデバイスにロードされて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置上で実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ若しくは複数のブロックで指定される機能/動作を実現するプロセスを提供する。
「ユーザインターフェース」は、本明細書で使用するとき、ユーザ又はオペレータがコンピュータ又はコンピュータシステムと相互作用するのを可能にするインターフェースである。「ユーザインターフェース」は「ヒューマンインターフェースデバイス」とも呼ばれる。ユーザインターフェースは、情報又はデータをオペレータに提供し、並びに/或いは情報又はデータをオペレータから受信する。ユーザインターフェースは、オペレータからの入力をコンピュータで受信できるようにし、出力をコンピュータからユーザに提供する。換言すれば、ユーザインターフェースは、オペレータがコンピュータを制御又は操作するのを可能にし、インターフェースは、コンピュータがオペレータの制御又は操作の効果を示すのを可能にする。データ又は情報をディスプレイ又はグラフィカルユーザインターフェース上に表示することは、情報をオペレータに提供することの一例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカム、ヘッドセット、ペダル、ワイヤードグローブ、リモートコントロール、及び加速度計を通してデータを受信することは、情報又はデータをオペレータから受信できるようにするユーザインターフェースコンポーネントの全ての例である。
「ハードウェアインターフェース」は、本明細書で使用するとき、コンピュータシステムのプロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置と相互作用する、並びに/或いはそれを制御するのを可能にするインターフェースを包含する。ハードウェアインターフェースは、プロセッサが、制御信号又は命令を外部コンピューティングデバイス及び/又は装置に送るのを可能にする。ハードウェアインターフェースはまた、プロセッサが外部コンピューティングデバイス及び/又は装置とデータを交換できるようにする。ハードウェアインターフェースの例としては、それらに限定されないが、ユニバーサルシリアルバス、IEEE 1394ポート、パラレルポート、IEEE 1284ポート、シリアルポート、RS−232ポート、IEEE−488ポート、ブルートゥース(登録商標)接続、無線ローカルエリアネットワーク接続、TCP/IP接続、イーサネット(登録商標)接続、制御電圧インターフェース、MIDIインターフェース、アナログ入力インターフェース、及びデジタル入力インターフェースが挙げられる。
「ディスプレイ」又は「表示デバイス」は、本明細書で使用するとき、画像若しくはデータを表示するように適合された出力デバイス又はユーザインターフェースを包含する。ディスプレイは、視覚データ、音響データ、及び/又は触覚データを出力する。ディスプレイの例としては、それらに限定されないが、コンピュータモニタ、テレビ画面、タッチパネル、触覚電子ディスプレイ、点字画面、陰極線管(CRT)、蓄積管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、ベクトルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ(VF)、発光ダイオード(PED)ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プロジェクタ、及びヘッドマウントディスプレイが挙げられる。
磁気共鳴(MR)データは、本明細書では、磁気共鳴画像診断スキャン中に磁気共鳴装置のアンテナを使用する、原子スピンによって放射された無線周波数信号の記録された測定値として定義される。磁気共鳴データは、医療用画像データの一例である。磁気共鳴(MR)画像は、本明細書では、磁気共鳴画像診断データ内に含まれる解剖学的データの再構築された二次元又は三次元の視覚化として定義される。この視覚化はコンピュータを使用して実施することができる。
組み合わされた実施形態及び/又は実施例が相互に排他的でない限り、本発明の上述の実施形態及び/又は実施例の1つ若しくは複数が組み合わされてもよいことが理解される。
以下、本発明の好ましい実施形態について、単なる例として図面を参照して記載する。
図面中で同様の番号を付した要素は、等価の要素であるか、又は同じ機能を実施するものである。上記で考察している要素については、機能が等価である場合、以下の図面中では必ずしも考察されない。
図1は、磁気共鳴画像診断システム100の一例を示している。磁気共鳴画像診断システム100は磁石104を備える。磁石104は、ボア106が中を通っている超電導の円筒状磁石104である。異なるタイプの磁石を使用することも可能である。円筒状磁石のクライオスタット内部には、超電導コイルの集合体がある。円筒状磁石104のボア106内には、磁気共鳴画像診断を行うのに十分な強度及び均一性の磁場がある撮像区域108がある。
磁石のボア106内にはまた、磁石104の撮像区域108内の磁気スピンを空間的に符号化する磁気共鳴データを獲得するのに使用される、一組の磁場勾配コイル110がある。磁場勾配コイル110は、磁場勾配コイル電源112に接続される。磁場勾配コイル110は代表的なものとする。一般的に、磁場勾配コイル110は、3つの直交する空間方向で空間的に符号化する3つの別個の組のコイルを含む。磁場勾配電源は、電流を磁場勾配コイルに供給する。磁場勾配コイル110に供給される電流は、時間の関数として制御され、傾斜状又はパルス状である。
撮像区域108に隣接して、撮像区域108内の磁気スピンの配向を操作し、並びに/或いはやはり撮像区域108内のスピンからの無線送信を受信する、無線周波数コイル114がある。無線周波数アンテナは複数のコイル要素を含む。無線周波数アンテナはチャネル又はアンテナとも呼ばれる。無線周波数コイル114は無線周波数送受信器116に接続される。無線周波数コイル114及び無線周波数送受信器116は、別個の送信及び受信コイル並びに別個の送信器及び受信器に置き換えられてもよい。無線周波数コイル114及び無線周波数送受信器116は代表的なものであると理解される。無線周波数コイル114は、専用送信アンテナ及び専用受信アンテナも表すものとする。同様に、送受信器116は別個の送信器及び受信器も表す。無線周波数コイル114は複数の受信/送信要素も有してもよく、無線周波数送受信器116は複数の受信/送信チャネルを有してもよい。
磁石104のボア106内には、被験体を撮像区域108内で支持する被験体支持体120がある。関心領域109は撮像区域108内に見ることができる。
送受信器116、磁場勾配コイル電源112は、コンピュータシステム126のハードウェアインターフェース128に接続されているものとして見えている。コンピュータ126は、プロセッサ130、ユーザインターフェース132、コンピュータ記憶装置134、及びコンピュータメモリ136を更に備える。ハードウェアインターフェース128によって、プロセッサ130が、磁気共鳴画像診断システム100の機能を制御するために、コマンド及びデータを送受信することができる。プロセッサ130は、ユーザインターフェース132、コンピュータ記憶装置134、及びコンピュータメモリ136に更に接続される。
コンピュータ記憶装置134及びコンピュータメモリ136の内容は交換可能である。いくつかの例では、コンピュータ記憶装置134の内容はコンピュータメモリ136に複製される。
コンピュータ記憶装置134は、タグ付けパルスシーケンスコマンド140を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、制御パルスシーケンスコマンド142を収容するものとして示されている。タグ付けパルスシーケンスコマンド140は、被験体118内のタグ付け位置122をスピンラベリングするタグ付け反転パルス部分を含む。タグ付けパルスシーケンスコマンドは位相コントラスト読出し部分を更に含む。位相コントラスト読出し部分は、第1の方向、第2の方向、及び第3の方向の位相コントラスト符号化を含む。通常、これら3つの方向は、磁気共鳴磁石104のx軸、y軸、及びz軸と位置合わせされる。しかしながら、これは必須ではない。制御パルスシーケンスコマンドは制御反転パルス部分を含む。制御パルスシーケンスコマンド142は位相コントラスト読出し部分を含む。コンピュータ記憶装置134は更に、タグ付けパルスシーケンスコマンド140を使用して磁気共鳴画像診断システム100を制御することによって獲得された、タグ付き磁気共鳴データ144を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、制御パルスシーケンスコマンド142を用いて磁気共鳴画像診断システム100を制御することによって獲得された、対照磁気共鳴データ146を収容するものとして示されている。
パルスシーケンスコマンドは、本明細書で使用するとき、時間の関数として磁気共鳴画像診断システム100の機能を制御するのに使用されるコマンド、又はコマンドに変換されるタイミング図を含む。パルスシーケンスコマンドは、特定の磁気共鳴画像診断システム100に適用される磁気共鳴画像診断プロトコルの実現例である。
関心領域109内に、タグ付け位置122を見ることができる。タグ付け位置は、タグ付け反転パルス部分が被験体118の動脈を通る血液の塊をラベル付けする位置である。この場合、関心領域109は頭部を含むものとして示されている。タグ付け位置122は、この場合は面である。したがって、タグ付けは非選択的であり、面122を通るあらゆる血液がラベル付けされる。タグ付け位置122の面を被験体118の頚部付近に位置付けることは、本質的に、被験体118の脳に入る全ての血液が有効にタグ付けされることを意味する。図1に示される例は非選択的タグ付けを示している。
コンピュータ記憶装置134は更に、タグ付き磁気共鳴データから再構築されているタグ付き強度画像148を示している。コンピュータ記憶装置134は更に、対照磁気共鳴データ146から再構築された対照強度画像を示している。磁気共鳴データが獲得された場合、再構築された画像とは異なるタイプである。例えば、強度画像及び位相画像の両方が再構築される。通常の臨床状況では、強度画像は特定の位置における水素原子の密度を示す。
コンピュータ記憶装置134は更に、タグ付き強度画像150を対照強度画像148から差し引くことによって構築された動脈画像152を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、動脈マスク154を収容するものとして示されている。動脈マスク154は、本質的に、動脈画像152内の動脈の位置の特定である。動脈マスク154は様々な形で構築することができる。動脈画像の単純な閾値化が、いくつかの事例では十分である。他の例では、セグメント化アルゴリズム、又は動脈画像154に対する解剖アトラス若しくはモデルの適合など、より洗練された方法が使用される。
コンピュータ記憶装置134は更に、第1の位相画像156、第2の位相画像154、及び第3の位相画像160を収容するものとして示されている。第1の位相画像156、第2の位相画像154、及び第3の位相画像160は、第1、第2、及び第3の方向の位相符号化を使用することによって、タグ付き磁気共鳴データ144及び/又は対照磁気共鳴データ146を使用して再構築される。図1に示される例は、3つの符号化方向が使用されるという点で例示的である。他の例では、より多数又はより少数の符号化方向がある。
コンピュータ記憶装置134は更に、動脈マスク外である第1の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって計算された、第1の中間動脈位相コントラスト画像156’を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は、動脈マスク外である第2の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって計算された、第2の中間動脈位相コントラスト画像158’を更に収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、動脈マスク外である第3の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって計算された、第3の中間動脈位相コントラスト画像を収容するものとして示されている。
コンピュータ記憶装置は更に、第1の中間動脈位相コントラスト画像、第2の中間動脈位相コントラスト画像、第3の中間動脈位相コントラスト画像を加算することによって計算された、選択的位相コントラスト動脈画像162を収容するものとして示されている。より多数又はより少数の位相符号化方向がある場合、それに応じてより多数又はより少数の選択的位相コントラスト動脈画像がある。
他の例では、コンピュータ記憶装置134は静脈画像164も収容する。静脈画像は、動脈マスク154を組み合わされた位相画像156、158、160に適用して、被験体118の動脈系に属するものと特定されたボクセルを除外することによって作成することができる。そのため、所定の閾値又は値を上回る残りのボクセルは、静脈系に属するものと解釈される。
コンピュータ記憶装置134は更に、静脈画像164を動脈画像152又は選択的位相コントラスト動脈画像のどちらかと組み合わせることによって作成される、複合画像166を収容するものとして示されている。いくつかの例では、複合画像は、静脈画像164を動脈マスク154と組み合わせることによっても作成される。複合画像166は、いくつかの例では、画像内の動脈及び静脈を区別するのに、異なる色又は他の強調マークを使用する。
図2は、磁気共鳴画像診断システム200の更なる例を示している。磁気共鳴画像診断システム200は、図1に示されるシステム100と類似している。しかしながら、この例では、1つを超えるタグ付け位置がある。2つのタグ付け位置122、122’が、個々の動脈が選択的にタグ付けされるように位置付けられる。これは選択的タグ付けの一例である。この例では、コンピュータ記憶装置134は更に、タグ付け位置が122’のときに行われる獲得に対応する選択的位相コントラスト動脈画像162’を収容するものとして示されている。タグ付け位置122、122’に対応する動脈画像の両方を組み合わせて、動脈マスク154を作成することができる。このように、個々の動脈が動脈マスク154に寄与し、静脈画像164から差し引くことができる。獲得は、異なるタグ付け位置122、122’で任意の回数実行されるので、任意の数の動脈による寄与を含む複合画像166を作成することができる。例えば、個々の動脈からの血液の寄与を被験体118の領域内でマッピングすることができるように、異なる動脈を画像内で異なる形で色分け又は印付けすることができる。
図3は、図1の磁気共鳴画像診断システム100又は図2の磁気共鳴画像診断システム200を操作する方法を示すフローチャートを示している。最初に、ステップ300で、磁気共鳴画像診断システムは、タグ付けパルスシーケンスコマンド140を用いて制御されて、タグ付き磁気共鳴データ144を獲得する。次に、ステップ302で、磁気共鳴画像診断システム100又は200は、制御パルスシーケンスコマンド142を用いて制御されて、対照磁気共鳴データ146を獲得する。次に、ステップ304で、タグ付き強度画像148が、タグ付き磁気共鳴データ144から再構築される。次に、ステップ306で、対照強度画像150が、対照磁気共鳴データ146から再構築される。次に、ステップ308で、動脈画像152又は152’が、タグ付き強度画像150を対照強度画像148から差し引くことによって構築される。次に、ステップ310で、動脈マスク154が、動脈画像152を使用して、また動脈画像152の動脈を特定して構築される。次に、ステップ312で、第1の位相画像156、第2の位相画像158、及び第3の位相画像160が再構築される。
任意のステップは、第1の中間動脈位相コントラスト画像156’が、動脈マスク154外である第1の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによる、ステップ314を含む。ステップ314はまた、動脈マスク154外である第2の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第2の中間動脈位相コントラスト画像158’を構築することを含む。ステップ314は更に、動脈マスク154外である第3の位相画像のボクセルを所定の背景値に設定することによって、第3の中間動脈位相コントラスト画像160’を構築することを含む。ステップ316は、第1の中間動脈位相コントラスト画像、第2の中間動脈位相コントラスト画像、第3の中間動脈位相コントラスト画像を加算することによって、選択的位相コントラスト動脈画像162を計算することを含む。
実施例は、動脈選択的、非コントラスト増強型の磁気共鳴血管造影方法を提供する。これは、位相符号化情報を併せて単一の関心動脈を視覚化して、単一の獲得で獲得される血流の速度及び方向を視覚化する、選択的動脈スピンラベル付き(ASL)磁気共鳴画像診断に基づく。動脈スピンラベリングによって得られる選択的画像は、位相符号化獲得の情報を使用して解析され処理される。選択的ASL及び位相コントラスト情報の両方の情報を、1つの獲得から異なる方向の符号化を用いて抽出することで、単一の選択された動脈の速度、フロー方向、及びモルフォロジーを表示する最終画像がもたらされる。更に、静脈系も視覚化することができる。
頭蓋内又は他の動脈の選択的視覚化は、放射線用途における重要な鑑別診断ツールである。特に、神経脈管画像診断では、単一の選択された動脈(例えば、頚動脈)に関する情報は高度診断にとって重要となり得る。例としては、対側部位が両方の半球を部分的又は全体的に満たす、狭窄動脈を有する患者の頭蓋内クロスフローが挙げられる。しかしながら、全ての脈管を一度に撮像することはこの情報を見つけるのに十分ではない。個々の栄養動脈の特定がその後の治療計画にとって重要なので、別の例は、動静脈奇形(AVM)である。選択された動脈の特定及びフロー区域だけではなく、フロー方向、乱流の特定、及び血流速度の表示を含む、血液動態的性質も重要である。X線デジタル差分血管造影法(DSA)、コンピュータ断層撮影血管造影法(CTA)、及び更には磁気共鳴画像診断(MRI)を含む現在の絶対的方法は、現在、全ての情報を適時に、また患者を何らかのリスク(例えば、電離放射線)に晒すことなく送達することに関して制限されている。
MRIでは、個々の動脈の選択的視覚化は、選択的空間的飽和又は選択的動脈スピンラベリング(ASL)方法を使用して先行パルスを適用することによって達成できる。ASLは、一方は「対照」(血液スピンの反転なし)、他方は「ラベル」(血液スピンの反転)と称される、2つの画像を差し引くという原理に基づく。血液スピンの磁化の反転は、血液の流入中に適用される専用のRFパルスを使用して達成される。これらの画像を差し引くことによって、静的組織が相殺される。選択的方法では、これはラベルなし動脈の場合にも当てはまり、タグ付き動脈からの信号のみが目に見える。ASL技術によって、脈管モルフォロジー及びフロー区域を視覚化することが可能になる。血液動態に関する情報を得ることも、時間分解獲得を使用して可能であるが、定量化は制限される。これは、測定時間を臨床的に容認できる持続時間に保つために、かかる獲得が空間分解能及び時間分解能の両方の点で制限されるという事実による。
位相コントラスト血管造影法(PCA)は、血流の方向及び速度を測定するのを可能にする方法である。単一の関心動脈のみにおける、かかるパラメータの測定及び視覚化は不可能である。しかしながら、これは重要であり、その理由は、脳血管疾患患者では、血流を変更することができ、全ての脈管が同時に視覚化されると高度な診断(例えば、頭蓋内クロスフロー)が阻害されるためである。更に、静脈流もPCA測定において視覚化されて、場合によっては画像の質が低下し、動脈脈管系の診断の信頼度が低下する。
実施例によって、臨床的に容認できるスキャン時間内での単一の獲得で、獲得したデータの高度な解析及び処理によって、脳血管系における血流の方向及び速度のような重要な血液動態的パラメータと併せて、動脈選択的情報を集めることができる。
選択的ASL及び位相コントラスト血管造影法を用いて、少なくとも2つの獲得が求められ、それによってスキャン時間が著しく延長され、測定によって被験体が動きやすくなる。それに加えて、動脈又は静脈のみの脈管系を視覚化するために、動脈及び静脈信号を分離することができる。
選択的血管造影図を得る絶対的方法は、X線デジタル差分血管造影法(DSA)である。この方法は、脈管内カテーテルを腸骨(又は腕)動脈に通し、造影剤を注入することに依存する。しかしながら、この方法は、動脈アクセスを設け、X線及び造影剤を提供する必要があるため、侵襲的である。コンピュータ断層撮影血管造影法(CTA)及びコントラスト増強型MRAなどの他の利用可能な画像モダリティは、外因的な造影剤の注入を必要とするので、動脈選択的撮像を阻害する。肺動脈を通過し、次に心臓から排出された後、塊は動脈内へと横断し(「動脈位相」)、そこで可能な限り高速で初回通過動脈流入を捕え、血液動態的性質を視覚化する、第1の横断画像獲得が続いて実施される。高速CE−MRA方法では、造影剤の初回通過分が脳に入った後、その後に到着する動脈血液が静脈流出と同時に視覚化され、それによって動脈脈管系の評価が阻害されることがある。非コントラスト増強型の方法は造影剤の注入に代わる魅力的な代替案であるが、通常、動脈選択的に実施することはできない。神経MRAで最も一般的に使用される方法は、不飽和動脈血液の流入が頭蓋内動脈の画像を形成するのに使用される、TOF血管造影法である。しかしながら、この方法は、脳血管系の動態学的評価のために全ての動脈を静的に視覚化することしかできず、単一の動脈に関する情報を得ることはできない。更に、血液動態性質を視覚化又は定量化することはできない。
血液動態情報はPCAを使用して得ることができる。ここで、フローに関する情報は、動脈スピンのフロー方向に沿った位相符号化勾配を適用することによって集められる。血流速度に応じて、個々のスピンは位相シフトを経験し、それを、血流の方向及び速度に関する結論を導き出すのに使用することができる。頭蓋内動脈を獲得するための別の方法は動脈スピンラベリング(ASL)に基づく。ASL血管造影法の基本原理は、単一の動脈又は全ての動脈の上流側血液の動脈水スピンを一度に反転させることである。反転を含む画像(ラベル)及び反転を含まない画像(対照)を獲得した後、続いて減算を行うことによって、背景信号が理想的には相殺されるので、高SNRの血管造影図が得られる。選択的及び時間分解撮像にASLを使用できるようになる代わりに、血流速度又は血流方向に関する詳細な情報は利用不能である。
いくつかの例では、選択的ASL及びPCA情報は単一の獲得で得られ、それによって動脈選択的な速度及びフローの撮像が可能になる。以下のコントラストは1つのASL−PCA測定から生成することができる。
構造的脳画像(減算されていないラベル/対照の獲得)
方向符号化血流画像(PCA位相獲得)
静的な非選択的血管造影画像(PCA強度画像)
選択された動脈の静的血管造影図(減算されたラベル/対照の獲得)
生成された画像マスクを位相符号化画像に適用した後の、選択的位相コントラスト血管造影図
速度情報を含む各動脈の画像
動脈信号をPCA画像から除去した後の、静脈のみの画像
一例のパルスシーケンスは、静的組織信号を飽和するのに使用される90°飽和モジュール(WET)を含む。次に、規定の時間量(例えば、1000ms)にわたってASLラベリングが実施される。この時間は、全ての脈管が画像獲得時において以前に反転した血液で満たされるように、血流速度にしたがって選ばれる。かかる情報は、文献中の過去の測定からアクセス可能である。読出し(例えば、グラジェントエコー)の間、位相符号化勾配を使用して方向性符号化が実施される。位相符号化は、一方向(例えば、右から左、足から頭、前から後)又はそれ以上の方向で実施することができる。この実験は、従来のASL手法のように完全なラベル画像及び対照画像を獲得するため、二回実施される。シーケンス構造の概要が図4及び5に表示されている。
図4は、タグ付けパルスシーケンスコマンド140を示すのに使用される。図4は、タグ付けパルスシーケンスコマンド140の1つのTR又はパルス繰返し400を示している。パルス繰返し400は、任意の前飽和部分402、タグ付け反転パルス部分404、及び位相コントラスト読出し406を含む。前飽和部分402は必須ではないが、使用される場合、タグ付き強度画像の信号対雑音及びアーチファクトを低減する。タグ付け反転パルス部分404は、この場合、面ではなく小さいボリュームを選択的にラベル付けするためのものである。図4では、選択的ラベル付けは選択的ASL技術を使用して実現される。この方策では、超選択的動脈スピンラベリングが使用される。読出しは、全ての動脈を十分に満たした後に実施される。位相符号化勾配は、1つ、2つ、又は3つ全ての論理軸に連続的に適用される。
図5は、制御パルスシーケンスコマンド142の1つのパルス繰返し400の一例を示している。図5のパルス繰返しは図140と類似している。同じプリセットされた任意の前飽和部分402、制御反転パルス部分500、及び同じ位相コントラスト読出し406を含む。制御反転パルス部分500は、制御反転パルス部分500がタグ付け位置内で反転しない点を除いて、タグ付け反転パルス部分404と類似している。制御反転パルス部分500は、関心領域内の磁化移動効果が、タグ付け反転パルス部分404によって生じる磁化移動効果と本質的に等価であるように選ばれる。
図4及び5は、タグ付けパルスシーケンスコマンド140及び制御パルスシーケンスコマンド142の一部であるものとして、位相コントラスト読出し406を示している。代替例として、タグ付けパルスシーケンスコマンド140及び制御パルスシーケンスコマンド142は位相コントラスト読出し406を含まない。代わりに、位相コントラスト読出しが異なるパルスシーケンスコマンドに組み込まれる。
このデータの後処理によって、血流の動脈選択的機能評価が可能になる。ASLデータから、算術的な画像減算を使用して選択的血管造影図が生成される。これらの血管造影図から、二値マスクが作成され、それが次にPCAデータセットの三方向符号化画像に適用される。続いてこれら3つの画像をマージすることによって、全ての位相符号化方向の血流速度を表す、最終の選択的PCA画像が得られる。画像解析及び処理がどのように実施されるかのフローチャートが、図6及び図7に示される。
図6は、単一の動脈を選択的に視覚化し、その動脈の動脈画像152を構築し、また同時に静脈画像164を構築する方法を示している。タグ付き磁気共鳴データ144及び対照磁気共鳴データ146が獲得された後、タグ付き強度画像148及び対照強度画像150が再構築される。ラベル付き又はタグ付き強度画像150は次に、対照強度画像148から差し引かれる。これは動脈画像152を計算するのに使用される。次に、閾値化するか、又はより複雑なセグメント化技術を使用することによって、動脈マスク154が計算される。次に、タグ付き磁気共鳴データ又は対照磁気共鳴データを使用して、異なる方向の3つの位相画像が作成される。第1の位相画像156、第2の位相画像158、及び第3の位相画像160が示されている。方法はいくつかの異なる形で形成される。例えば、3つの位相画像156、158、及び160が最初に組み合わされ、次にマスク154が適用される。この図に示される例では、マスクは、3つの位相画像156、158、160それぞれに独立して適用される。画像156’は、第1の位相画像156がマスキングされたもの156’である。画像158’は第2の位相画像158がマスキングされたもの、画像160’は画像160がマスキングされたものである。マスク領域154内のボクセルのみが取得される。3つの異なる方向の血液の流れを表すこれら3つのマスク画像は次に、組み合わされて、選択された位相コントラスト動脈画像600となる。例えば、画像600内の異なる色又は他のラベルを使用して、異なる方向内の血流を表すことができる。
図6は、右内頚動脈の視覚化のためにデータ解析及び処理がどのように実施されるかを表示したフローチャートを示している。強度画像から、静的選択的ASL血管造影法を得ることができる。この画像は次に、後処理(二値マスク作成)され、非選択的位相コントラスト画像に適用される。全ての位相符号化方向の組み合わせによって最終画像が得られる。
図7は、静脈系をどのように解析できるかを示している。この例では、3つの異なる動脈が選択的にラベル付けされている。それらはタグ付け量122、122’、及び122”を使用してラベル付けされている。磁気共鳴データそれぞれから、対照150及び強度画像148が再構築される。タグ付き強度画像148及び対照強度画像150の各対から、動脈画像152、152’、及び152”が計算される。次に、これらの動脈画像それぞれから、マスク154、154’、154”が作成される。これらは次に全てマージされて、複合動脈マスク700となる。図6と同様に、3つの異なる方向の3つの位相画像156、158、160が再構築される。次に、複合動脈マスク700は、位相画像156、158、及び160それぞれに適用される。この場合、対応する位相画像156、158、及び160の動脈マスク内のボクセルは、ゼロなどの所定の値に設定される。マスクが画像156、158、160それぞれに適用された後、3つの画像は次にマージされるか又は組み合わされて、静脈画像164を形成する。静脈画像164は次に、異なる方向における血液の流れのマッピングを示す。例えば、色分けシステムを使用して、三次元画像内で血流の方向を示すことができる。
図8は、画像解析及び処理が静脈系のみを視覚化するのにどのように実施されるかを表示している。全ての選択的にラベル付けされた動脈の強度画像から、静的選択的ASL血管造影法画像を得ることができる。これらの画像は次に、後処理(二値マスク作成)され、完全な動脈脈管系のマスクを生成するために1つのフレームに入れられる。続いて、このマスクは、動脈及び静脈の血管を弁別するために、非選択的位相コントラスト画像に適用される。最後に、静脈情報のみを提示する個々の位相符号化画像(RL、AP、FH)を組み合わせて1つの画像にすることができる。
取得可能な画像コントラスト
主として、解剖学的構造を評価するための強度画像は容易に利用可能である。それに加えて、通常はスキャナ座標系の3つ全ての論理軸で実施される、方向位相符号化画像が利用可能である。これらの画像は、非選択的静的血管造影法画像を視覚化するのにも使用される。
ASLデータの後処理は、対照及びラベル画像の減算として実施されるので、静的背景信号及び非ラベル付き動脈が相殺されて、ラベル付き動脈の信号のみが残る。これは各ラベル付き動脈に対して実施される。これらの血管造影図から、二値マスクが作成され、それが次にPCAデータからの三方向符号化画像に適用される。このマスクを生成するため、いくつかの技術を使用することができる。これらとしては、例えば、ソース画像の閾値化、セグメント化アルゴリズムの使用、又は測定速度の弁別(即ち、速い速度が動脈に対応し、遅い速度が静脈として特定される)が挙げられる。これら3つのマスキングされた画像を続いてマージすることによって、画像マスクの適用後に全ての望ましくない(対側及び静脈)脈管情報が破棄されるので、最終画像が得られる。最終画像は、個別に選択された動脈のみに関する速度情報及びフロー方向を提示する。データ解析及び処理がどのように実施されるかのフローチャートが図6に示される。
静脈系の画像を獲得するため、データ解析及び処理が異なるように実施される。したがって、動脈の局在化を使用して静脈の位置を間接的に得ることができるので、全ての脳動脈に関する情報が必要である。その目的のため、全ての動脈選択的画像を組み合わせて単一のマスクにして、全動脈樹を表示しなければならない。位相画像に対するこの情報を適用して、静脈フローのみを視覚化することが可能である。このフローチャートは図7に表示されている。
画像表現はいくつかのやり方で実施することができる。例えば、方向情報は単一の動脈において提示され、又は単一の動脈それぞれの速度情報は、各動脈の速度を表す個々のカラーバーを含む単一の画像上で示される。これらの例は、カラーバーなしで、図8及び9に示されている。
図8は、選択的位相コントラスト動脈画像600の一例を示している。図8は、紙面又は面上への三次元画像の投影である。図8は、右内頚動脈の方向マッピングを示している。前後方向は、元の三次元画像では赤色で表示されている。左右方向は青色で表示され、足・頭間のフロー方向は緑色で表示されている。しかしながら、色は図8の投影では示されていない。
図9は、選択的位相コントラスト動脈画像900の更なる例を示している。この例では、健康な志願者における3つの主要な脳に栄養供給する動脈の速度マッピングが表示されている。図9に示されている画像は、面上への三次元画像の投影である。元の三次元画像では、右内頚動脈が赤色で表示され、左内頚動脈が緑色で表示され、後方循環系は青色で表示されている。これらの異なる色の強度は、動脈それぞれを通る血液の速度を示すように調整された。しかしながら、これは図9には表示されていない。破線は、図9のどの部分が右内頚動脈902、左内頚動脈904、及び後方循環系906に属するかを示すのに使用されている。血流の一部が右内頚動脈902によるものであり、血流の一部が左内頚動脈904によるものである、両方の領域902及び904が重なっている領域がある。図9は、健康な志願者における3つの主要な脳に栄養供給する動脈の速度マッピングを示している。右内頚動脈は赤色で、左は緑色で、後方循環系は青色で表示されている。強度は血流速度にしたがって調整されている。
適用例としては、動脈に関する選択的情報だけでなく、その基礎を成す血液動態的性質も重要である、複雑な拡散するフローパターンを有する脳血管疾患が挙げられる。特に動静脈奇形(AVM)があるが、瘻、及び腫瘍に栄養供給する動脈もある。他の適用例としては、潜在的に脳卒中につながる、狭窄動脈が挙げられる。
静脈疾患も、前処理された動脈情報を使用して情報をデータから抽出できるので、この方法によって別個に視覚化することができる。ここで、適用例としては、静脈狭窄(例えば、偽性脳腫瘍患者における)、又は静脈洞の血栓症を挙げることができる。
実施例は、脳脈管系に必ずしも限定されず、他の動脈を視覚化するのにも使用される。これらとしては、腎動脈並びに末梢下肢動脈の選択的視覚化が挙げられる。
図10は、方法の一例を示している。最初に、ステップ10で、ステップ1000が実施される。ステップ1000で、被験体の関心領域のタグ付きASL強度画像が受信される。次に、ステップ1002で、被験体の関心領域の対照ASL強度画像が受信される。次に、ステップ1004で、動脈画像が、タグ付きASL強度画像を対照ASL強度画像から差し引くことによって構築される。次に、ステップ1006で、動脈マスクが、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像を使用して構築される。次に、ステップ1008で、被験体の関心領域の少なくとも一部分の位相コントラスト磁気共鳴画像が受信される。最後に、ステップ1010で、選択された位相コントラスト動脈画像が、動脈マスク外である関心領域の少なくとも一部分内の位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、少なくとも部分的に構築される。
図11は、方法の更なる例を示している。図11に示される方法は図10と類似している。しかしながら、ステップ1008の後にステップ1010を実施する代わりに、ステップ1100が実施される。ステップ1008が実施された後、ステップ1100が実施されて、動脈マスク内である関心領域の少なくとも一部分内の位相コントラスト画像のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、静脈画像が少なくとも部分的に構築される。
図10及び図11に示される方法は、プロセッサによってそれらを実施することによって、自動化された形式で実施される。図10及び11に示される方法は組み合わされて単一の方法にされてもよく、その場合、ステップ1010又はステップ1100のどちらかが最初に実施される。
図12は、磁気共鳴画像診断システム1200の更なる例を示している。図12の磁気共鳴画像診断システム1200は、図1の磁気共鳴画像診断システム100に類似している。図1の磁気共鳴画像診断システム100と図12の磁気共鳴画像診断システム1200の主な違いは、メモリ134又は記憶装置内のパルスシーケンスが異なることである。コンピュータ記憶装置134は、タグ付けパルスシーケンスコマンド140’、制御パルスシーケンスコマンド142’、位相コントラストパルスシーケンスコマンド1202を収容するものとして示されている。図12の例では、位相コントラスト読出し部分は、別個のパルスシーケンス1202内にあり、パルスシーケンス140’及び142’には組み込まれていない。コンピュータ記憶装置134は、それに加えて、タグ付けパルスシーケンスコマンド140’を使用して獲得されたタグ付き磁気共鳴データ144’を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、制御パルスシーケンスコマンド142’を使用して獲得された対照磁気共鳴データ146’を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置は更に、位相コントラストパルスシーケンスコマンド1202を使用して獲得された位相コントラスト磁気共鳴データ1204を収容するものとして示されている。
コンピュータ記憶装置134はやはり、タグ付き磁気共鳴データ144’から再構築されたタグ付き強度画像148を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、対照磁気共鳴データ146’から再構築された対照強度画像を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は更に、第1の位相画像156を収容するものとして示されている。第1の位相画像156は、位相コントラスト磁気共鳴データ1204から再構築された。図12に示される例では、第1の位相画像156のみが示されている。複数の位相符号化方向がある場合、図1に示されているものなどの複数の位相画像がある。
コンピュータ記憶装置134は更に、タグ付き強度画像150を対照強度画像148から差し引くことによって構築された動脈画像152を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は、動脈画像152から再構築された動脈マスク154を収容するものとして示されている。コンピュータ記憶装置134は、選択された位相コントラスト動脈画像162、静脈画像164、並びに静脈画像164及び選択された位相コントラスト動脈画像162の両方から構築された複合画像166を収容するものとして示されている。動脈マスク154、選択された位相コントラスト動脈画像162、静脈画像164、及び複合画像166は、図1及び2の対応する画像と同じような形で再構築された。図12に示されるように単一の位相画像156がある場合、動脈画像162及び静脈画像164は、動脈マスク154を単一の位相画像156に適用することによって構築される。複数の位相画像がある場合、動脈マスク154は位相画像それぞれに適用され、次にそれらが合算され、又は更に処理されて、選択された位相コントラスト動脈画像162及び/又は静脈画像164が作成される。図12の画像例は単一のタグ付け位置122を示している。しかしながら、図12に示される例は、図2が修正されるのと等価の形で修正することができる。図12に示される例はまた、複数のタグ付け位置122、122’を組み込む。
図13は、図12の磁気共鳴画像診断システム1200をどのように操作するかを示すフローチャートの形で方法を示している。最初に、ステップ1300で、タグ付き磁気共鳴データ144’が、タグ付けパルスシーケンスコマンド140’を用いて磁気共鳴画像診断システム1100を制御することによって獲得される。次に、ステップ1302で、対照磁気共鳴データ146’が、制御パルスシーケンスコマンド142’を用いて磁気共鳴画像診断システム1100を制御することによって獲得される。次に、ステップ1304で、位相コントラスト磁気共鳴データ1204が、位相コントラストパルスシーケンスコマンド1202を用いて磁気共鳴画像診断システム1200を制御することによって獲得される。
次に、ステップ1000で、タグ付きASL強度画像148が、タグ付き磁気共鳴データ144’を使用して再構築される。次に、ステップ1002で、対照ASL強度画像150が、対照磁気共鳴データ146’を使用して再構築される。次に、ステップ1004で、動脈画像152が、タグ付きASL強度画像150を対照ASL強度画像148から差し引くことによって構築される。次に、ステップ1006で、動脈マスク154が、動脈画像の動脈を特定することによって、動脈画像152を使用して構築される。次に、ステップ1008で、位相コントラスト画像156が、位相コントラスト磁気共鳴データ1204を使用して再構築される。最後に、ステップ1010で、選択された位相コントラスト動脈画像162が、タグ付きASL強度画像又は対照ASL強度画像の関心領域内であり、動脈マスク154外である位相コントラスト画像156のボクセルを、所定の背景値に設定することによって、少なくとも部分的に構築される。代替例として、選択された位相コントラスト動脈画像は、静脈画像を生成する、動脈マスク内であるボクセルを有する。
本発明を図面及び上述の説明で詳細に例証し記載してきたが、かかる例証及び記載は、制限ではなく例証又は例示と見なされるべきであり、本発明は開示した実施形態に限定されない。
請求される発明の実施において、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者であれば、開示した実施形態に対する他の変形例を理解し実施することができる。特許請求の範囲において、「〜を備える」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲で列挙される複数の項目の機能を満たしてもよい。特定の基準が相互に異なる従属請求項に列挙されているという事実だけで、それらの測定されたものの組み合わせが利点を得るために使用できないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、若しくはその一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に格納/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線遠隔通信システムを介してなど、他の形態で分配されてもよい。特許請求の範囲におけるあらゆる参照符号は、範囲を制限するものと解釈すべきでない。