JP2019513406A - トランスポザーゼ競合物制御系 - Google Patents

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Abstract

DNAを断片化する方法であって、標的DNAの試料を、(a)活性トランスポゾソームを含む組成物、および(b)不活性トランスポゾソームを含む組成物に、トランスポゾソーム活性に好適な条件下で接触させることを含み、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームの量の、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームの量に対する比が、平均断片サイズおよび挿入バイアスのレベルを決定する、方法が開示される。特定の実施形態では、(a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームと、(b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームとの組合せは、インプットDNAのトランスポゾソーム複合体結合部位の50%より多くを占有する。

Description

開示の分野
本開示は分子生物学の分野に関し、より詳細には、DNAを断片化するための分子ツールとしてのトランスポザーゼの使用に関する。
関連出願
本出願は、2016年4月19日出願の米国仮出願第62/324,683号に基づく優先権および利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列表の参照による組み込み
2017年4月18日に作成され80KBのサイズであるテキストファイル名「RMSI−007−001WO_ST25」の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
背景
DNA配列決定ライブラリのトランスポザーゼに基づく生成にはいくつかの課題があり、これらは本開示以前には解決されていなかった。技術的課題は、単一のトランスポゾソームには単一の挿入−切断事象を行う能力しかなく、複合体が後に放出されて他所で挿入および切断を行うことがないという事実の克服を含む。結果として、既存の技術では、インサートサイズを制御することが困難である。この方法はDNAインプット量に対して感受性であり、有意な挿入部位バイアスが存在する。このバイアスは、トランスポゾソームは様々な部位において挿入することができるものの、好ましいコンセンサス配列(consensus preferred-sequence)が決定されうる程の、多様なDNA配列に対する多様な優先性を示すという事実によってもたらされる。したがって、挿入パターンはセミランダムであり、トランスポゾソームは、配列の識別が非常に不完全なものではあるが、配列特異的DNA結合複合体とみなすことができる。
概要
本開示は、既存の方法と比較して挿入バイアスを減少させつつ所望の平均断片サイズを維持するDNA断片化の方法に関する当技術分野の長年にわたり満たされていない需要を克服する、トランスポゾソームに基づくライブラリ調製システムを提供する。さらに、本開示の方法は、使用されるDNAの量にかかわらず等しく有効である。
本開示の方法は、トランスポザーゼ(Tnp)を発現させ、これにトランスポザーゼ結合性末端配列(ES:end sequence)DNA(別称「アーム」)を用いた活性化して(別称「ロードする(loading)」)、トランスポゾソームを作り出すことを含む。ES配列は、天然のESではなく、むしろ各挿入配列(IS:insertion sequence)にある2つの天然ES(内側および外側)の組合せであるという点で「モザイク」配列であるのが典型的だが、必ずしもその必要はない。アームは、シーケンサー特異的配列、またはアダプターを保有しうる。トランスポゾソームおよび標的DNAの接触は「タグ付断片化(tagmentation)」をもたらし、これは、同時に起こるDNA断片化および配列決定アダプターの挿入を記述することを意味する用語である。本開示の方法は、「活性」トランスポゾソームおよび「不活性」トランスポゾソームの混合物を標的DNAに接触させることを含む。不活性トランスポゾソームにはDNAに結合する能力があるが、いずれかのDNA鎖を切断する能力はない。
具体的には、本開示は、DNAを断片化する方法であって、標的DNAの試料を、(a)活性トランスポゾソームを含む組成物、および(b)不活性トランスポゾソームを含む組成物に、トランスポゾソーム活性に好適な条件下で接触させることを含み、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームの量の、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームの量に対する比が、平均断片サイズおよび挿入バイアスのレベルを決定する、方法を提供する。
本開示の方法のある特定の実施形態では、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームと、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームとの組合せが、インプットDNAのトランスポゾソーム結合部位の50%より多く、55%より多く、60%より多く、65%より多く、70%より多く、75%より多く、80%より多く、85%より多く、90%より多く、95%より多く、または99%より多くを占有する。本開示の方法のある特定の実施形態では、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームと、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームとの組合せが、インプットDNAのトランスポゾソーム結合部位の100%を占有する。
本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームおよび活性トランスポゾソームは、標的DNA内のコンセンサス配列に優先的に結合する。ある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームおよび活性トランスポゾソームは、完全な相補性でコンセンサス配列に結合する。ある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームおよび活性トランスポゾソームは、不完全な相補性でコンセンサス配列に結合する。本開示の標的DNA内の例示的なコンセンサス配列は、A/Tリッチおよび/またはC/Gリッチな配列を含みうる。ある特定の実施形態では、本開示の標的DNA内のコンセンサス配列は、各末端にG/C対が隣接したA/Tリッチ配列を含みうる。本開示の標的DNA内の例示的なコンセンサス配列は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10個の連続的な同一のヌクレオチドの配列を含みうる。本開示の標的DNA内の例示的なコンセンサス配列は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10個の非連続的な同一のヌクレオチドの配列を含んでもよい。
本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームおよび/または活性トランスポゾソームは、例えば、好ましい結合部位(preferred binding site)の全てまたはほとんどが占有されている場合、標的DNA内の好ましくない配列、セミランダム配列、またはランダム配列に結合してもよい。本開示の不活性トランスポゾソームおよび/または活性トランスポゾソームが、標的DNA内の好ましくない配列、セミランダム配列、またはランダム配列に結合する場合、標的DNA内の好ましくない配列、セミランダム配列、またはランダム配列は、配列類似性または同一性を全く共有していなくてもよい。
本開示の方法のある特定の実施形態では、インプットDNAまたは標的DNAの量は未知である。(a)の組成物中の活性トランスポゾソームと(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームとの組合せがインプットDNAまたは標的DNAのトランスポゾソーム結合部位の100%未満を占有する場合でも本方法は効果的であるため、標的DNAの量は無関係であり得る。
本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームは、活性トランスポゾソームの修飾形態である。修飾は、標的DNAを切断する不活性トランスポゾソームの能力を阻害し、かつ標的DNAに結合する不活性トランスポゾソームの能力を保存しうる。本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームは、不活性トランスポゾソームのトランスポザーゼをコードするアミノ酸配列に変異を含みうる。例示的な変異は、不活性トランスポゾソームのトランスポザーゼの触媒ドメイン内の位置にありうる。例えば、不活性トランスポザーゼは、野生型または機能亢進性のTn5由来トランスポザーゼであってもよく、変異は、D97、D188、およびE326からなる群から選択される触媒三残基(catalytic triad)内の位置にあってもよい(Daviesら(2000年)、Science、289巻:77〜85頁を参照されたい)。代替的には、不活性トランスポザーゼは、野生型または機能亢進性のTn5由来トランスポザーゼ(例えば、Tn5トランスポザーゼまたは保存された配列を有するが別の種もしくは種類のトランスポゾンもしくは挿入エレメントに起源をもつトランスポザーゼの配列もしくはスプライスバリアント、またはIS4ファミリーの挿入配列のいずれかのメンバーに由来するトランスポザーゼ)に関連してもよく、変異は、D97、D188、およびE326からなる群から選択される三残基の機能的同等物である触媒三残基内の位置にあってもよい。ある特定の実施形態では、機能亢進性Tn5トランスポザーゼは、

を含むアミノ酸配列によりコードされてもよい(触媒三残基は太字で下線が引かれている)。
本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームは、活性トランスポゾソームの修飾形態である。修飾は、標的DNAを切断する不活性トランスポゾソームの能力を阻害し、かつ標的DNAに結合する不活性トランスポゾソームの能力を保存しうる。本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポザーゼは、不活性トランスポゾソームのトランスポザーゼをコードするアミノ酸配列に変異を含みうる。例示的な変異は、不活性トランスポゾソームのトランスポザーゼの触媒ドメイン内の位置にありうる。例えば、不活性トランスポザーゼは、Alishewanella aestuariiに由来するトランスポザーゼ(TnAa−Tnp)など、Tn5−Tnpとは異なる酵素であってもよく、変異は、D90、D190、およびE323からなる群から選択される触媒三残基内の位置にあってもよい。ある特定の実施形態では、TnAaトランスポザーゼは、

を含むアミノ酸配列によりコードされてもよい(触媒三残基は太字で下線が引かれている)。
機能亢進性Tn5由来トランスポザーゼおよびTnAa由来のトランスポザーゼのアライメントは、触媒三残基の残基がトランスポザーゼ間で高度に保存されていることを明らかにする。同様なアライメントを使用して、他のトランスポザーゼにおける機能的に同等な触媒三残基を特定することができる。
TnAa由来トランスポザーゼおよび機能亢進性Tn5由来トランスポザーゼのアライメントは次の通りである(触媒三残基は太字で下線が引かれている)。
アライメントされたアミノ酸残基の下の記号は、その位置における保存の程度を示す。アスタリスク「*」は、単一の完全に保存された残基を有する位置を示す。「:」(コロン)は、Gonnet PAM 250マトリックスにおいて>0.5にスコア付けした、非常によく似た特性をもつ群同士の間の保存を示す。「.」(ピリオド)は、Gonnet PAM 250マトリックスにおいて≦0.5にスコア付けした、類似性が少ない特性をもつ群同士の間の保存を示す。ダッシュ「−」は、アライメントにおけるスペーシングを示す。
TnAa(配列番号3)およびHyperTn(配列番号4)の以下のアライメントに関して。
本開示の不活性トランスポゾソームは、本開示の活性トランスポゾソームの修飾形態でありうる。修飾は、標的DNAを切断する不活性トランスポゾソームの能力を阻害し、かつ標的DNAに結合する不活性トランスポゾソームの能力を保存しうる。
本開示の不活性トランスポゾソームは、修飾DNAアームを含みうる。ある特定の実施形態では、修飾DNAアームは、モザイクDNAアームでありうる。本開示の例示的な修飾DNAアームとしては、アームの転移鎖の末端ヌクレオチドにおける3’−OHの代わりの3’−リン酸、アームの転移鎖の末端ヌクレオチドにおけるジデオキシヌクレオチド、鎖転移を立体的に阻害する嵩高い基、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の方法のある特定の実施形態では、トランスポゾソームの修飾アームは、転移鎖の3’末端に3’−ヒドロキシルとは化学的に異なる基を含み、これにより、これらの化学基が鎖転移を防止する。標準的な合成DNAオリゴヌクレオチドは、3’末端に3’−OH基を含有する。鎖転移を促進する好ましい基は、以下に示される3’−OHである。
本開示の方法のある特定の実施形態では、不活性トランスポゾソームは、以下に「X」で印された異なる化学的部分を有する3’末端ヌクレオチド塩基を転移鎖内に含みうる(すなわち、3’末端に3’−OH基を含有する標準的な合成DNAオリゴヌクレオチドとは異なる)。
以下に示されるように、転移鎖の3’末端塩基の3’−炭素に結合した「X」部分は、鎖転移を防止または阻害することにより本開示の不活性トランスポゾソームを生じさせることができる任意の化学的部分であってよい。
本開示の「X」部分は、1つまたは複数の鎖転移機構と共存できず、不活性トランスポゾソームが修飾DNAのニッキングおよび/または修飾DNAの標的DNA(例えば、ゲノムDNA)への転移を防止する一方、不活性トランスポゾソームがアームDNAを認識しロードできるようにする。
例示的な「X」部分は、次のものを含むが、これらに限定されない。
A.3’−H(ME_MRオリゴを参照されたい)。

以下に描画したものは、上記に示したME_MRオリゴにおける3’末端塩基(グアニン)を表す。このME_MRオリゴは、従来の3’−OH部分ではなく3’−水素を有する3’末端塩基を含む。

B.3’−リン酸:

以下に描画したものは、上記に示したME_MRオリゴにおける3’末端塩基(グアニン)を表す。このME_MRオリゴは、従来の3’−OH部分ではなく3’−リン酸を有する3’末端塩基を含む。
同様に、本開示の「X」部分は、鎖転移を立体的に阻害する1つまたは複数の嵩高い基を含んでもよく(以下に示される構造は、転移鎖の3’末端塩基の3’−炭素に結合している)、次のものを含むが、これらに限定されない。

またはそれらの任意の組合せ。
本開示の不活性トランスポゾソームは、転移鎖において3’末端ヌクレオチド塩基の代わりに修飾塩基、合成塩基、またはヌクレオチド類似体(以下に「Z」と印されたもの)を含んでもよい。例示的な修飾塩基、合成塩基、またはヌクレオチド類似体は、トランスポザーゼがアームDNAを認識しロードできるようにするが、不活性トランスポゾソームが修飾DNAのニッキングおよび/または修飾DNAの標的DNA(例えば、ゲノムDNA)への転移を防止する。
例示的な「Z」修飾塩基、合成塩基、またはヌクレオチド類似体は、次のものを含みうるが、これらに限定されない。
A.逆向きの塩基。以下に示されるコンフォーメーションにおける転移鎖の3’末端塩基(典型的にはグアニン)は、トランスポザーゼが転移鎖を挿入することを防止する。

例示的な「Z」ヌクレオチド類似体は、ロックド核酸(LNA)、架橋核酸(BNA)、またはゼノ核酸(XNA)を含みうるが、これらに限定されない。例示的な「Z」ヌクレオチド類似体は、3’末端ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の3’−炭素に本開示の「X」部分をさらに含んで、標的DNAへの転移鎖の付加を防止することができ、その一方で、トランスポゾソームが修飾アームを認識しロードすることが可能であり、不活性トランスポゾソームの産生がもたらされる。
本開示の方法のある特定の実施形態では、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームの量の、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームの量に対する比の変化は、平均断片サイズの変化をもたらす。
本開示の方法のある特定の実施形態では、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームの量の、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームの量に対する比の増加は、平均断片サイズの増加をもたらす。
本開示の方法のある特定の実施形態では、(b)の組成物中の不活性トランスポゾソームの量の、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームの量に対する比の減少は、平均断片サイズの減少をもたらす。
本開示の方法のある特定の実施形態では、標的DNAを不活性トランスポゾソームに接触させることを含まない方法と比較して、挿入バイアスのレベルが減少する。
本開示はさらに、DNAを断片化する方法であって、標的DNAの試料を、(a)活性トランスポゾソームを含む組成物、および(b)トランスポザーゼでもトランスポゾソームでもないDNA結合タンパク質を含む組成物に、トランスポゾソーム活性に好適な条件下で接触させることを含み、(b)の組成物中のDNA結合タンパク質の量の、(a)の組成物中の活性トランスポゾソームの量に対する比は、平均断片サイズおよび挿入バイアスのレベルを決定する、方法を提供する。
図1は、様々なクローニングしたトランスポザーゼの発現レベルを示す一対のゲルの写真である;Alishewanella aestuarii由来の野生型トランスポザーゼ(TnAa−Tnp、レーン4および8)は、様々なトランスポザーゼ候補の中で最も高い収量をもたらし、一方、Vibrio cholerae由来の野生型トランスポザーゼ(TnVc−Tnp、レーン3および7)も、有意な収量をもたらした。レーン1、マーカー;レーン2、TnVh−Tnp画分3;レーン3、TnVc−Tnp画分3;レーン4、TnAa−Tnp画分3;レーン5、TnSp画分3;レーン6、pET29空ベクター;レーン7、TnVc−Tnp画分2;レーン7、TnAa−Tnp画分4。
図2は、タグ付断片化反応のPCR産物が分離されているゲルの写真である。2種類のトランスポザーゼ(TnAa−TnpおよびTnVc−Tnp)がAaおよびVcとして示されている。4種類の異なるアームを使用した(ME Hyp、ME Har、OE Hyp、およびIE Har)。「スメア」として現れている混合された長い断片は、タグ付断片化および増幅の成功を意味する。結果は、TnAa−Tnpのみが、試験したアームの組合せのうちのいずれかを用いて長い断片を産生したことを示す。ME Hyp、OE Har、およびIE Harのアームは、この方法に特に適しているようであった。
図3は、蛍光単位をDNA断片サイズに対してプロットしたAgilent Bioanalyzerのトレースを表すグラフである。このトレースは、TnAaトランスポゾソームによるタグ付断片化の効率に対するグリセロール濃度の影響を示す。緩衝液にグリセロールを添加すると、タグ付断片化効率が上昇し、これは、増幅されたライブラリ断片の、より大きな断片(0%グリセロール、シアン色の線、より低い効率)から漸進的により小さな断片(40%グリセロール、赤色の線、より高い効率)へのサイズシフトとして現れた。
図4は、蛍光単位をDNA断片サイズに対してプロットしたAgilent Bioanalyzerのトレースを表すグラフである。このトレースは、TnAaトランスポザーゼの野生型が利用されるかその変異体(P47K)バージョンが利用されるかに応じて異なる、TnAaトランスポゾソームによるタグ付断片化の効率を示す。変異体バージョンは、野生型(青色の線、より低い効率)と比べて野生型よりも小さい断片(赤色の線、より高い効率)を生成する。
図5は、蛍光単位を移動時間に対してプロットしたAgilent Bioanalyzerのトレースを表すグラフである。このトレースは、TnAa−Tpn−P47K由来トランスポゾソームのタグ付断片化効率に対するマンガンの影響を示す。マンガン濃度の増加は、タグ付断片化の増加の結果として、より短い断片をもたらす。
図6は、蛍光単位を断片サイズに対してプロットしたAgilent Bioanalyzerのトレースを表すグラフである。このトレースは、TnAa−Tpn−P47K由来トランスポゾソームのタグ付断片化効率に対するトランスポゾソーム濃度の影響を示す。複合体の量の増加は、タグ付断片化の増加の結果として、より短い断片をもたらす。
図7A〜Cは、様々な条件下のタグ付断片化プロセスを表す一連の概略図である。パネルAは、トランスポゾソーム挿入を促進する条件下で行った場合のタグ付断片化のプロセスを表す。これは、効率的(例えば、高いマンガン濃度)かつ活性のトランスポゾソームを飽和量(saturating amount)で用いて行い得る。最終的な結果は、切断位置バイアスは低いが平均断片サイズが小さすぎて有用でないDNAライブラリである。パネルBは、トランスポゾソーム挿入を促進しない条件下で行った場合のタグ付断片化のプロセスを表す。これは、効率的(例えば、高いマンガン濃度)かつ活性のトランスポゾソームを非飽和量で用いて行い得る。これはまた、非効率的(例えば、不十分な時間のため、またはMn2+などの補因子が欠乏しているため)であるが、それでも活性のトランスポゾソームを、潜在的に飽和量で用いて行うこともできる。いずれの場合においても、最終的な結果は、断片サイズがより大きく、高い挿入バイアスを示すDNAライブラリである。パネルCは、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソーム(結合可能だが挿入は不可能)の混合物を飽和量で用いた、挿入促進条件下で行った場合のタグ付断片化のプロセスを表す。この場合、標的DNAはトランスポゾソームで完全に占有されるが、活性トランスポゾソームが標的DNAに遭遇する部位でのみ切断(タグ付断片化)される。活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームは、好ましい挿入部位をめぐって競合する。
図8は、タグ付断片化に続いてゲル電気泳動を含む実験の結果を示すゲルの写真であり、これは、3’−リン酸化アームが不活性トランスポゾソームを産生することを実証する。標準的なモザイクアーム(MERC、レーン2)、R1/R2アーム(R1R2RC、レーン3)、3’−リン酸修飾モザイクアーム(3PRC、レーン4)、または3’−スペーサー修飾モザイクアーム(3CRC、レーン5)をロードした、等モル分量(equal molar quantities)のトランスポザーゼ(TnAa−Tnp−P47K)を使用して、200ngのE.coliゲノムDNAをタグ付断片化した。GHCl処理による精製、およびAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)での精製の後、DNAを1%アガロースゲル上で分離した。3’−リン酸修飾アームをロードしたトランスポザーゼのみが、ゲノムDNAのタグ付断片化できなかった。
図9A〜Bは、タグ付断片化および増幅実験からの断片サイズ分布を、DNA HiSensitivity chipを使用したLabChip GXII(Perkin Elmer)によるプロットとして示す一対のグラフである。このプロットは、飽和分量の活性トランスポゾソームへの不活性トランスポゾソームの添加が、完全にタグ付断片化された断片の割合を減少させ、ライブラリインサートサイズを増加させることを実証する。(A)160ngの活性トランスポゾソームを用いたタグ付断片化に続き、タグ付断片化後、および3倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を用いた増幅後の精製は、180〜300bpの間の完全にタグ付断片化された断片のサイズ分布が狭いライブラリをもたらし(青色)、300〜400bpの間の小さなピークは、高濃度のライブラリのため、LabChipの人工産物である。80ngの不活性トランスポゾソームの添加(2:1の活性:不活性)は、完全にタグ付断片化された小さな断片の割合を減少させ(赤色)、160ngの不活性トランスポゾソームの添加(1:1の活性:不活性)は、完全にタグ付断片化された小さな断片の割合をさらに減少させた(茶色)。(B)は、この場合では半量(half the amount)のトランスポゾソームを使用したことを除いては(A)と同じ結果を示す。
図10は、タグ付断片化配列決定ライブラリ調製実験からの断片サイズ分布を、DNA HiSensitivity chipを使用したLabChip GXII(Perkin Elmer)によるプロットとして示すグラフである。このプロットは、不活性トランスポゾソームの添加が平均断片サイズを用量−応答様式で増加させたことを実証する。160ngの活性トランスポゾソームを、0ng、80ng、160ng、または360ngの不活性トランスポゾソームと組み合わせ、1ngのE.coliゲノムDNAをタグ付断片化するために使用した。精製ステップでは、有用な配列決定ライブラリを生成するために典型的に使用される1倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用した。示されているライブラリ収量は、LabChipをロードする(loading)前に5倍希釈で調整されている。平均断片サイズは、それぞれ、0ng、80ng、160ng、または360ngの不活性トランスポゾソームを含有する反応物に対して、364bp、459bp、577bp、および761bpであった。
図11は、不活性トランスポゾソームの存在下でタグ付断片化することによるインサートサイズの増加を実証するグラフである。未修飾アームのみを(活性トランスポゾソームを作り出すために)ロードしたTnAaトランスポザーゼP47K(紫色)を用いたタグ付断片化によるか、または、活性トランスポゾソームの不活性トランスポゾソームに対する比が2:1(薄紫色)、1:1(緑色)、および1:2.25(赤色)となる、活性アームをロードしたTnAaトランスポザーゼと、3’−リン酸化アーム(不活性トランスポゾソームを作り出すために)をロードした漸増量のTnAaトランスポザーゼとの混合物を用いたタグ付断片化により、1ngのE.coliゲノムDNAからライブラリを構築した。参照ゲノムへのアライメントの後、リードマッピング位置に基づいてライブラリインサートサイズを計算した。飽和量の活性トランスポゾソームの存在下で不活性トランスポゾソームの量を増加させると、ライブラリインサートサイズが増加する。
図12A〜Bは、不活性トランスポゾソームの存在下でタグ付断片化することによる挿入バイアスの減少を実証する一連のグラフである。未修飾アーム(活性トランスポゾソームを作り出すために)をロードしたTnAaトランスポザーゼP47Kを用いたタグ付断片化によるか、活性アームをロードしたTnAaトランスポザーゼP47Kと、3’−リン酸化アーム(不活性トランスポゾソーム)をロードした漸増量のTnAaトランスポザーゼP47Kとの混合物を用いたタグ付断片化により、1ナノグラムのE.coliゲノムDNAからライブラリを構築した。0位はゲノム内の挿入部位を表し、負および正の位置は、挿入部位に対して5’および3’側のゲノムの領域を表す。パネルAは、読み取り開始部位に隣接する位置における累積的なヌクレオチド塩基分散として開始部位バイアスを推定したことを示す。パネルBは、各位置における塩基優先度を示す。 図12A〜Bは、不活性トランスポゾソームの存在下でタグ付断片化することによる挿入バイアスの減少を実証する一連のグラフである。未修飾アーム(活性トランスポゾソームを作り出すために)をロードしたTnAaトランスポザーゼP47Kを用いたタグ付断片化によるか、活性アームをロードしたTnAaトランスポザーゼP47Kと、3’−リン酸化アーム(不活性トランスポゾソーム)をロードした漸増量のTnAaトランスポザーゼP47Kとの混合物を用いたタグ付断片化により、1ナノグラムのE.coliゲノムDNAからライブラリを構築した。0位はゲノム内の挿入部位を表し、負および正の位置は、挿入部位に対して5’および3’側のゲノムの領域を表す。パネルAは、読み取り開始部位に隣接する位置における累積的なヌクレオチド塩基分散として開始部位バイアスを推定したことを示す。パネルBは、各位置における塩基優先度を示す。
図13は、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの混合物を用いたタグ付断片化が、DNAインプットおよび分量の変動に対するシステムの感受性を低減させることを実証するグラフである。活性トランスポゾソームのみを用いたゲノムDNAの、200pg(明灰色の線(0.2ngインプット+0ng不活性))および5ng(暗灰色の線(5ngインプット+0ng不活性))のタグ付断片化は、異なるインサートサイズを含有するライブラリを生成し、予想通り、インプットが5ナノグラムのライブラリは、より大きな断片を含有した。対照的に、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの混合物を用いたゲノムDNAの、200pg(暗青色の線(0.2ngインプット+320ng不活性))および5ng(明青色の線(5ngインプット+320ng不活性))のタグ付断片化は、Nexteraキット(オレンジ色の線)およびKapa HyperPlusキット(緑色の線)で生成したライブラリと匹敵する、同一のインサートサイズを有するライブラリをもたらした。
詳細な説明
本開示は、トランスポゾソームに基づくライブラリ調製システムを提供する。トランスポゾソームに基づくライブラリ調製システムを作製する既存の方法は、(1)トランスポザーゼを発現させ、トランスポザーゼを、シーケンサー特異的配列を含有するDNAアダプター(本明細書では別称「アーム」)を用いて活性化して(本明細書では別称「ロードする」)、トランスポゾソームを形成するステップと、(2)トランスポゾソームおよび標的DNAを接触させて、標的DNAの断片化およびアダプターの挿入を同時に行うステップ(本明細書では「タグ付断片化」と称されるプロセス)とを含みうる。単一のトランスポゾソームには単一の挿入を行う能力しかないため、既存の方法はいくつかの問題を提示する。これらの問題としては、インサートサイズの制御困難、DNAインプットに対する感受性、および有意な挿入バイアス(ある特定のDNA配列に対するトランスポゾソームの優先性により生じる)が挙げられる。
競合阻害を使用することによりトランスポゾソーム挿入バイアスを低減させるための組成物および方法が開示される。本開示の組成物および方法は、既存のトランスポザーゼに基づくライブラリ調製システムと比較して、インサートサイズの制御、DNA標的インプット量に対する非感受性(insensitivity)、挿入バイアスの減少、およびライブラリの複雑性の増加を含むがこれらに限定されない、いくつかの優れた特性を提供し、これらは全て、結果として生じる配列決定ライブラリの適用範囲および配列決定メトリックを有意に改善する。
本開示は、本明細書において提供される組成物および方法が、既存の技術の悩みである問題をどのように克服するかを実証するために、作業実施例を提供する。
トランスポゾン技術
挿入配列(IS)、およびそれらの関連するトランスポゾン(Tn)は、現代分子遺伝学の出現以来、分子ツールとして使用されてきた。様々な種類のトランスポゾンが存在し、これらは一般に、転位の機構に基づいてグループ分けされる。
IS4群は、挿入配列と、転位のために「カットアンドペースト」機構を利用するトランスポゾンとを含む。これは、トランスポゾンをその元の位置から正確に切り出し、続いて標的DNA内の新しい位置で挿入することを伴う。挿入は、挿入部位において挿入配列を挟む短い反復領域の作出をもたらしうる。このプロセスは、トランスポザーゼ(Tnp)の作用によって推進される。IS4ファミリーの中で最もよく研究されているメンバーは、トランスポゾンTn5(およびその関連する挿入配列IS50)である。
Tn5型転位の分子機構はよく理解されており、他で記述されている(例えば、Reznikoff W.S.(2008年)、Ann. Rev. Genet.、42巻:269〜286頁)。簡潔に述べると、トランスポザーゼの2つの分子が、19pbの逆方向反復またはトランスポゾンの末端に見出される末端配列(ES)と高度に配列特異的な様式で会合する、二元複合体を形成する。次いでトランスポザーゼがESの端においてDNAを切断し、各末端において3’−OHを作り出し、トランスポゾン−DNA−トランスポザーゼ二量体複合体を放出する。この複合体(および分子ツールとして使用されるその合成バージョン)は、トランスポゾソーム(Tsome)、トランスポゾーム、またはシナプス複合体と様々に呼ばれている。放出後、複合体が標的DNAに結合し、挿入ステップが起こる;ここでは、ESの3’−OH基と、活性部位内の主要な酸性アミノ酸(触媒三残基として公知)との間の相互作用が、ニッキングおよび鎖侵入に必須である。
Tn5は分子遺伝学におけるツールとして、初期には、また主に、遺伝子ノックアウトを作り出すために広く使われてきたが、より近年では、その使用はより洗練されている(例えば、Reznikoff W.S.(2006年)、Biochem. Soc. Trans.、34巻:320〜323頁)。トランスポゾンおよび関連するトランスポザーゼの有用性は、より活性であるTn5−トランスポザーゼ(Tn5−Tnp)を作り出すためのトランスポザーゼの変異体バージョンを作り出すことによって強化されてきた。これらは集合的かつ個別に、機能亢進性またはハイパーバージョン(hyper−Tn5−Tnpにより推進されるhyper−Tn5)と呼ばれる。変異E54K、M56A、およびL372Pを保有する(caries)Tn5トランスポザーゼは、一般的に利用されるハイパーバージョンである(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5965443号を参照されたい)。
Tn5トランスポザーゼは現在、次世代配列決定(NGS)のための配列決定ライブラリを生成するために使用されている(Picelliら(2014年)、Genome Research、2014年、24巻:2033〜2040頁)。簡潔に述べると、精製されたトランスポザーゼおよび合成ds−DNA ESをin−vitroでアセンブルしてトランスポゾソームを形成する。これらのhyper−Tn5−TsomeをDNA標的に接触させると、それらは、多様だが完全にランダムではない位置で挿入する。末端配列同士は分離されており、天然のシナプス複合体においてそうであるように繋がれているわけではないため、結果としてDNAが切断され、切断された末端にESが取り付けられる。種々の方法により、アダプターが付加されると、これらの切断された断片から配列決定ライブラリが作製されうる。そのようなアダプター配列は、トランスポゾソームのアセンブリ前にESの末端に付加されてもよい。
DNA配列決定ライブラリのトランスポザーゼに基づく生成にはいくつかの課題があり、これらは本開示以前には解決されていなかった。技術的課題は、単一のトランスポゾソームには単一の挿入−切断事象を行う能力しかなく、複合体が後に放出されて他所で挿入および切断を行うことがないという事実の克服を含む。結果として、既存の技術では、インサートサイズを制御することが困難である。この方法はDNAインプット量に対する感受性が高く、有意な挿入部位バイアスが存在する。このバイアスは、トランスポゾソームは様々な部位において挿入することができるものの、好ましいコンセンサス配列が決定されうる程の、多様なDNA配列に対する多様な優先性を示すという事実によってもたらされる。したがって、挿入パターンはセミランダムであり、トランスポゾソームは、配列の識別が非常に不完全なものではあるとはいえ、配列特異的DNA結合複合体とみなすことができる。
定義
本開示全体において使用される、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈による明確な別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの方法(a method)」への言及は、複数のかかる方法を含み、「1つのトランスポザーゼ(a transposase)」への言及は、1つまたは複数のトランスポザーゼおよび当業者に公知であるその同等物を含むなどである。
本開示は、単離された、もしくは実質的に精製された、ポリヌクレオチドまたはタンパク質組成物を提供する。「単離された」もしくは「精製された」ポリヌクレオチドまたはタンパク質、あるいはそれらの生物学的に活性な部分は、その天然に存在する環境において見出されるポリヌクレオチドまたはタンパク質に通常付随するか、またはそれらと相互作用する構成要素を、実質的にまたは本質的に含まない。したがって、単離もしくは精製されたポリヌクレオチドまたはタンパク質は、組換え技術によって産生された場合、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まないか、または、化学合成された場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。最適には、「単離された」ポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが由来する生物のゲノムDNAにおいて天然にポリヌクレオチドに隣接する配列(すなわち、ポリヌクレオチドの5’末端および3’末端に位置する配列)(最適には、配列をコードするタンパク質)を含まない。例えば、種々の実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、そのポリヌクレオチドが由来する細胞のゲノムDNAにおいて天然にポリヌクレオチドに隣接するヌクレオチド配列の、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満を含有してもよい。細胞物質を実質的に含まないタンパク質は、約30%、20%、10%、5%、または1%未満(乾燥重量基準)の混入タンパク質を有するタンパク質の調製物を含む。本開示のタンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換えで産生される場合、最適には、培養培地は、化学的前駆体または目的のタンパク質ではない化学物質の約30%、20%、10%、5%、または1%未満(乾燥重量基準)に相当する。
本開示は、開示されるDNA配列の断片、バリアント、変異体(変異)、およびこれらのDNA配列によってコードされるタンパク質を提供する。本開示全体において使用される、「断片」という用語は、DNA配列の一部分またはアミノ酸配列の一部分、それゆえそれらによってコードされるタンパク質を指す。コード配列を含むDNA配列の断片は、天然タンパク質の生物学的活性を保持するタンパク質断片をコードし、それゆえ本明細書に記述されるとおり標的DNA配列に対するDNA認識または結合活性をコードしうる。代替的には、ハイブリダイゼーションプローブとして有用なDNA配列の断片は、一般に、生物学的活性を保持するタンパク質をコードしないか、またはプロモーター活性を保持しない。したがって、DNA配列の断片は、少なくとも約20ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチドから、本開示の全長ポリヌクレオチドまでの範囲でありうる。
本開示の核酸またはタンパク質は、後に最終目的地のベクターへとアセンブルされうる標的ベクターにおいて単量体単位および/または反復単位をプリアセンブルすることを含むモジュラーアプローチによって構築することができる。本開示のポリペプチドは、本開示の反復単量体を含んでよく、後に最終目的地のベクターへとアセンブルされうる標的ベクターにおいて反復単位をプリアセンブルすることによるモジュラーアプローチによって構築することができる。本開示は、本方法によって産生されたポリペプチドのほか、これらのポリペプチドをコードする核酸配列を提供する。本開示は、このモジュラーアプローチによって産生されたポリペプチドをコードする核酸配列を含む宿主生物および細胞を提供する。
「結合」とは、高分子間の(例えば、タンパク質と核酸との間の、または2つのタンパク質間の)特異的で非共有結合性の相互作用を指す。そのような特異的結合は、常にそうとは限らないが通常は、天然の生物学的状況で生じるものを反映する、特異的な構造的モチーフ間の特異的な相互作用に通常は基づく。
「配列特異的結合」とは、高分子間の(例えば、タンパク質と核酸との間の)配列特異的で非共有結合性の相互作用を指す。相互作用が全体として配列特異的である限り、結合性相互作用の全ての構成要素が配列特異的である(例えば、DNA骨格内のリン酸残基と接触する)必要はない。「配列特異的結合」という用語は、強力な狭い配列優先性に限定されず、多種多様のポリヌクレオチド標的に結合することができるが他と比べて一部を優先する分子が呈する弱い優先性も含む。そのような結合は、「セミランダム配列結合」または「偏りのある配列結合(biased sequence- binding)」と呼ばれる場合もある。
「優先的に結合する」という用語は、標的DNA(例えば、ゲノムDNA)内の配列に対するトランスポザーゼまたはトランスポゾソーム(活性または不活性)の結合の階層的順序を指す。本開示のトランスポザーゼまたはトランスポゾソーム(活性または不活性)は、ある特定の部位に優先的に結合するため、これらの好ましい配列は、代替的な配列よりも容易に占有される。これらの好ましい配列が占有されると、トランスポザーゼまたはトランスポゾソーム(活性または不活性)は、代替的であまり好ましくない配列に、より自由に結合できる。飽和濃度において、トランスポザーゼまたはトランスポゾソーム(活性または不活性)は、全ての利用可能な配列に結合するが、好ましい部位は初めに占有される傾向がある。したがって、本開示のトランスポザーゼまたはトランスポゾソーム(活性または不活性)の低い濃度では、初めに占有される配列が「優先的に結合」される。
「含む(comprising)」という用語は、組成物および方法が、列挙された要素を含むが他を除外しないことを意味するよう意図される。組成物および方法を定義するために使用される場合の「から本質的になる」とは、意図される目的のために使用されるとき、組合せに対して何らかの本質的な重要性をもつ他の要素を除外することを意味する。したがって、本明細書において定義される要素から本質的になる組成物は、微量の混入物または不活性キャリアを除外しない。「からなる」とは、微量要素を超える他の成分および実質的な方法ステップを除外することを意味する。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
本明細書で使用される「発現」とは、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、および/または転写されたmRNAが後にペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含みうる。
「遺伝子発現」とは、遺伝子内に含有された情報の、遺伝子産物への変換を指す。遺伝子産物は、遺伝子の直接転写産物(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、shRNA、マイクロRNA、構造RNA、または任意の他の種類のRNA)であってもよく、またはmRNAの翻訳により産生されたタンパク質であってもよい。遺伝子産物はまた、キャッピング、ポリアデニル化、メチル化、および編集などのプロセスにより修飾されたRNA、ならびに、例えば、メチル化、アセチル化、リン酸化、ユビキチン化、ADP−リボシル化、ミリスチル化(myristilation)、およびグリコシル化によって修飾されたタンパク質も含む。
非共有結合で連結した構成要素、ならびに非共有結合で連結した構成要素の作製および使用の方法が開示される。種々の構成要素は、本明細書に記述される多様な異なる形態をとることができる。例えば、非共有結合で連結した(すなわち、動作可能なように連結した)タンパク質を使用すると、当技術分野における1つまたは複数の問題を回避する一時的な相互作用が可能になりうる。非共有結合で連結した構成要素、例えばタンパク質の、会合および解離する能力は、かかる会合が所望の活性のために必要な状況下でのみ、または主にそのような状況下において、機能的会合を可能にする。連結は、所望の効果を可能にするために十分な持続時間のものでありうる。
「結合部位」または「結合配列」とは、結合のための十分な条件が存在することを条件として、トランスポザーゼ、DNAアダプター、および/またはトランスポゾソームが結合する核酸の一部分を定義する標的核酸配列である。
「コンセンサス配列」とは、結合のための十分な条件が存在することを条件として、トランスポザーゼ、DNAアダプター、および/またはトランスポゾソームが結合する核酸の一部分を定義する標的核酸配列であって、結合配列または結合部位の1つより多くの変異形態で存在するものである。本開示のトランスポザーゼ、DNAアダプター、および/またはトランスポゾソームは、第1の配列に好んで結合しうるが、その配列を含む全ての部位が占有されれば、本開示のトランスポザーゼ、DNAアダプター、および/またはトランスポゾソームは第2の配列に結合しうる(該第1および第2の配列はコンセンサス配列を含んでいる)。例えば、上記第1および上記第2の配列のアライメントの際、1つまたは複数の塩基が異なってもよいが、不変である残りの塩基はコンセンサス配列を含みうる。
「標的」および「インプット」DNAという用語は、本開示全体において互換的に使用されうる。
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」という用語は、共有結合で一緒に連結した少なくとも2つのヌクレオチドを指す。一本鎖の表現は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸は、表された一本鎖の相補鎖も包含してよい。本開示の核酸は、同じ構造を保持するかまたは同じタンパク質をコードする、実質的に同一な核酸およびその相補体も包含する。
本開示の核酸は、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。本開示の核酸は、分子の大部分が一本鎖であっても、二本鎖配列を含有しうる。本開示の核酸は、分子の大部分が二本鎖であっても、一本鎖配列を含有しうる。本開示の核酸は、ゲノムDNA、cDNA、RNA、またはそれらのハイブリッドを含みうる。本開示の核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの組合せを含有しうる。本開示の核酸は、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組合せを含有しうる。本開示の核酸は、非天然アミノ酸修飾を含むように合成されてもよい。本開示の核酸は、化学合成法によってまたは組換え法によって得ることができる。
本開示の核酸は、その配列全体にしろ、そのいずれか一部分にしろ、天然に存在しない場合がある。本開示の核酸は、天然に存在しない1つまたは複数の変異、置換、欠失、または挿入を含有してもよく、これにより、核酸配列全体が、天然に存在しないものとなる。本開示の核酸は、結果として生じる配列が天然に存在しない1つまたは複数の重複配列、逆向きの配列、または反復配列を含有してもよく、これにより、核酸配列全体が、天然に存在しないものとなる。本開示の核酸は、天然に存在しない修飾ヌクレオチド、人工ヌクレオチド、または合成ヌクレオチドを含有してもよく、これにより、核酸配列全体が、天然に存在しないものとなる。
遺伝コードにおける冗長性を考慮すると、複数のヌクレオチド配列は、いずれかの特定のタンパク質をコードしてもよい。そのようなヌクレオチド配列は全て、本明細書において想定される。
本開示全体において使用される、「実質的に相補的な」という用語は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540、もしくはそれよりも多くのヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の相補体と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であること、またはその2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを指す。
本開示全体において使用される、「実質的に同一な」という用語は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540もしくはそれよりも多くのヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、または核酸に関して、第1の配列が第2の配列の相補体に対して実質的に相補的である場合、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%同一である、第1および第2の配列を指す。
本開示全体において使用される、「完全な相補性」という用語は、核酸二重鎖の長さに沿って、塩基のギャップまたはミスマッチなしで互いとハイブリダイズする、第1および第2の配列を指す。例えば、第1および第2の配列は、Watson−Crick塩基対合規則に従って完全な相補性で互いとハイブリダイズしうる。
本開示全体において使用される、「不完全な相補性」という用語は、核酸二重鎖の長さに沿って、1つまたは複数の塩基の1つもしくは複数のギャップまたは1つもしくは複数のミスマッチなしで互いとハイブリダイズする、第1および第2の配列を指す。例えば、第1および第2の配列は、核酸二重鎖の長さに沿って互いとハイブリダイズした塩基の、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれらの間の任意の百分率で、互いとハイブリダイズしうる。
本開示全体において使用される、核酸を記述するために使用されるときの「バリアント」という用語は、(i)参照されるヌクレオチド配列の一部分または断片、(ii)参照されるヌクレオチド配列またはその一部分の相補体、(iii)参照される核酸またはその相補体と実質的に同一の核酸、または(iv)参照される核酸、その相補体、またはそれと実質的に同一な配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を指す。
本開示全体において使用される、ペプチドまたはポリペプチドを記述するために使用されるときの「バリアント」という用語は、アミノ酸の挿入、欠失、および保存的置換によりアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチドまたはポリペプチドを指す。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照されるタンパク質と実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質も意味しうる。
アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、同様な特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸で置き換えることは、当技術分野において、典型的にわずかな変化を伴うものとして認識されている。こうしたわずかな変化は、当技術分野において理解されているように、部分的には、アミノ酸のハイドロパシー指数を考慮に入れることにより同定することができる。Kyteら、J. Mol. Biol.、157巻:105〜132頁(1982年)。アミノ酸のハイドロパシー指数は、その疎水性および荷電の検討事項に基づく。ハイドロパシー指数が同様なアミノ酸は、置換してもタンパク質機能を保持することができる。一態様では、±2のハイドロパシー指数を有するアミノ酸が置換される。生物学的機能を保持するタンパク質をもたらす置換を明らかにするためには、アミノ酸の親水性を使用することもできる。ペプチドの文脈におけるアミノ酸の親水性の検討事項は、抗原性および免疫原性と深く相関すると報告されている有用な尺度である、そのペプチドの最大局所平均親水性の計算を可能にする。参照により本明細書に完全に組み込まれる、米国特許第4,554,101号。
同様な親水性値を有するアミノ酸の置換は、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドをもたらしうる。置換は、互いの±2以内の親水性値を有するアミノ酸を用いて行うことができる。アミノ酸の疎水性指数および親水性値はいずれも、そのアミノ酸の特定の側鎖に影響される。その観察と一致して、生物学的機能と適合性があるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、荷電、サイズ、および他の特性により明らかにされる、アミノ酸の相対的類似性、特にこれらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
本明細書で使用される、「保存的」アミノ酸置換とは、以下の表A、B、またはCに記載のように定義することができる。一部の実施形態では、融合ポリペプチドおよび/またはかかる融合ポリペプチドをコードする核酸は、本開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾により導入された保存的置換を含む。アミノ酸は、物理的特性、ならびに二次および三次のタンパク質構造への寄与によって分類することができる。保存的置換とは、1つのアミノ酸を、同様な特性を有する別のアミノ酸の代わりに用いることである。例示的な保存的置換を表Aに記載する。
代替的には、保存的アミノ酸は、Lehninger、(Biochemistry、第2版;Worth Publishers, Inc.、NY、N.Y.(1975年)、71〜77頁)に記述されているように、表Bに記載のようにグループ分けすることができる。
代替的には、例示的な保存的置換を表Cに記載する。
本開示のポリペプチドは、アミノ酸残基の1つまたは複数の挿入、欠失、もしくは置換、またはそれらの任意の組合せ、ならびにアミノ酸残基の挿入、欠失、または置換以外の修飾を保有するポリペプチドを含むよう意図されることを理解されたい。本開示のポリペプチドまたは核酸は、1つまたは複数の保存的置換を含有しうる。
本開示全体において使用される、前述のアミノ酸置換の「1つより多く」という用語は、列挙されたアミノ酸置換の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個、またはそれよりも多くを指す。「1つより多く」という用語は、列挙されたアミノ酸置換の2、3、4、または5個を指す場合がある。
本開示のポリペプチドおよびタンパク質は、その配列全体にしろ、そのいずれか一部分にしろ、天然に存在しない場合がある。本開示のポリペプチドおよびタンパク質は、天然に存在しない1つまたは複数の変異、置換、欠失、または挿入を含有してもよく、これにより、アミノ酸配列全体が、天然に存在しないものとなる。本開示のポリペプチドおよびタンパク質は、結果として生じる配列が天然に存在しない1つまたは複数の重複配列、逆向きの配列、または反復配列を含有してもよく、これにより、アミノ酸配列全体が天然に存在しないものとなる。本開示のポリペプチドおよびタンパク質は、天然に存在しない修飾アミノ酸、人工アミノ酸、または合成アミノ酸を含有してもよく、これにより、アミノ酸配列全体が、天然に存在しないものとなる。
本開示全体において使用される、「配列同一性」は、デフォルトパラメータを使用し、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のftpサイトから検索することができる、2つの配列をブラストするための独立型の実行可能なBLASTエンジンプログラム(bl2seq)を使用することにより、決定することができる(TatusovaおよびMadden、FEMS Microbiol Lett.、1999年、174巻、247〜250頁;これは、参照により本明細書にその全体が組み込まれる)。「同一な」または「同一性」という用語は、2つまたはそれよりも多くの核酸またはポリペプチド配列の文脈において使用される場合、それぞれの配列の特定領域にわたって同じである残基の特定の百分率を指す。この百分率は、2つの配列を最適にアラインし、特定領域にわたって2つの配列を比較し、両配列において同一の残基が存在する位置の数を決定して、マッチした位置の数を得て、マッチした位置の数を特定領域内の位置の総数で除し、結果に100を乗じて配列同一性の百分率を得ることによって、計算することができる。2つの配列の長さが異なるか、またはアライメントが1つもしくは複数の付着末端(staggered end)をもたらし、比較の特定領域が単一の配列しか含まない場合、単一の配列の残基は、計算の分子ではなく分母内に含まれる。DNAおよびRNAを比較するとき、チミン(T)およびウラシル(U)は同等物と考えることができる。同一性は、手作業で行ってもよく、またはBLASTもしくはBLAST 2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを使用することにより行ってもよい。
本開示全体において使用される、「内在性」という用語は、核酸またはタンパク質配列で、それが導入される標的遺伝子または宿主細胞と天然に関連するものを指す。
全ての百分率および比率は、別段の指示がない限り重量基準で計算されている。
全ての百分率および比率は、別段の指示がない限り全組成に基づいて計算されている。
本開示全体において与えられる全ての最大数値制限は、全ての数値の下限を、かかる数値の下限があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本開示全体において与えられる全ての最小数値制限は、全ての数値の上限を、かかる数値の上限があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本開示全体において与えられる全ての数値の範囲は、かかるより広い数値の範囲内に含まれる全てのより狭い数値の範囲を、かかるより狭い数値の範囲の全てがあたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含む。
本明細書において開示される値は、列挙された数値そのものに厳密に限定されるものと理解されてはならない。むしろ、別段の規定がない限り、かかる値はそれぞれ、列挙された値と、その値周辺の機能的に同等な範囲との両方を意味するよう意図される。例えば、「20μm」として開示される値は、「約20μm」を意味するよう意図される。
相互参照される、または関連する、あらゆる特許もしくは出願を含め、本明細書で引用される全ての文書は、明示的に除外ないしは別段限定される場合を除き、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本明細書において開示または請求されるいずれかの発明に関する先行技術であるという承認でもなければ、それが単独にしろいずれかの他の参考文献(複数可)との任意の組合せにおいてにしろ、いずれかのかかる発明を教示、示唆、もしくは開示するという承認でもない。さらに、本文書中の用語のいずれかの意味または定義が、参照により組み込まれる文書中の同じ用語のいずれかの意味または定義と矛盾する場合は、本文書中でその用語に与えられる意味または定義が優先するものとする。
本開示の特定の実施形態を例示および記述してきたが、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の他の変更および改変を行うことができる。添付の特許請求の範囲は、本開示の範囲内にある、そのような変更および改変の全てを含む。
本明細書において開示される本発明がより効率的に理解されうるように、以下に実施例を提供する。これらの実施例は例示のみを目的とし、いかようにも本発明を限定するものと解釈されてはならないことを理解されたい。これらの実施例の全体において、分子クローニング反応および他の標準的な組換えDNA技術は、別段の注記がある場合を除き、(1)Maniatisら、Molecular Cloning - A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Press(1989年)に記述されている方法に従い、市販の試薬を使用して、(2)商業的なキットおよび試薬の供給元により推奨される方法に従って行った。これらの実施例の全体において、タンパク質発現、精製、アッセイ、および可視化、ならびに他の標準的なタンパク質産生技術は、別段の注記がある場合を除き、商業的なキットおよび試薬の供給元により推奨される方法に従って行った。
(実施例1)
トランスポザーゼの同定、クローニング、および発現。
異なるIS4型挿入配列に見出される4つのトランスポザーゼを表す配列を同定した。挿入配列は、次の細菌:Alishewanella aestuarii、Vibrio cholera、Vibrio harveyi、Shewanella putrefaciensのゲノム内に見出された。これらのトランスポザーゼは、以下の表1に示されるように、よく理解されているTn5トランスポザーゼとは実質的に異なる。
関連性のあるトランスポザーゼのタンパク質配列を以下に提供する。
機能亢進性Tn5−Tnpは、変異E54K、M56A、およびL327Pが組み込まれた、野生型トランスポザーゼの変異体バージョンである(変異は以下の配列において太字で下線が引かれている)。
TnAa−TnpはAlishewanella aestuarii由来である(野生型配列は以下)。
TnVc−TnpはVibrio cholerae由来である(野生型配列は以下)。

TnVh−TnpはVibrio harveyi由来である(野生型配列は以下)。
TnSp−TnpはShewanella putrefaciens由来である(野生型配列は以下)。
候補トランスポザーゼ遺伝子を、E.coli宿主においてC末端HISタグに融合させたpET29(Novagen)発現ベクターにクローニングした。クローニングした遺伝子の発現を自己誘導によって誘導した。トランスポザーゼを標準的な方法によって精製した。簡潔に述べると、50mlの誘導培養物から遠心分離によってペレットを収集し、氷上で4mlの1倍LEW緩衝液(50mMのNaHPO、300mMのNaCl、pH8.0)に再懸濁させた。−80℃での冷凍および解凍を2サイクル行うことにより細胞を溶解し、次いで氷上で10mMのMgClの存在下において30分間にわたりベンゾナーゼで処理した。遠心分離後、予め平衡化させたProtino Ni−TED 2000充填重力流動カラムに上清を4℃でロードした。カラムを4℃にて4mlの1倍LEW緩衝液で2回洗浄し、4℃にて1倍の溶出緩衝液(50mMのNaHPO、300mMのNaCl、250mMのイミダゾール、pH8.0)で溶出させた。500μlの溶出画分を収集し、各画分のタンパク質濃度を分光光度法により測定して、Hisタグ付きタンパク質を最も多く保有した画分を同定した。
画分の試料10μlを10%のSDS−PAGEゲルに負荷して分離させた。結果を図1に示す。各試料につき最も高いレベルのトランスポザーゼを含有した画分のみが示されている。トランスポザーゼは約55kDaであると予想される。SDS−PAGE解析から分かるように、Alishewanella aestuarii由来の野生型トランスポザーゼ(図1、TnAa−Tnp、レーン4および8)は、様々なトランスポザーゼ候補の中で最も高い収量をもたらし、一方、Vibrio cholerae由来の野生型トランスポザーゼ(図1、TnVc−Tnp、レーン3および7)も、有意な収量をもたらした。他の候補は極めてわずかなトランスポザーゼを発現した。
(実施例2)
トランスポザーゼのタグ付断片化能力についての試験。
野生型トランスポザーゼであるTnVc−TnpおよびTnAa−Tnpを、800ngのラムダDNAをタグ付断片化するそれらの能力について試験した。これは、トランスポザーゼに異なる種類のDNAアームをロードし、ラムダDNAをタグ付断片化し、精製したタグ付断片化DNAをPCRに供して、タグ付断片化DNAを増幅することによって行った。これの後、PCR産物をゲル電気泳動によって可視化した。以下に簡潔に述べる。
アームの種類:各トランスポザーゼの場合、4つの異なる種類のアームを別々にロードした。これらは、(a)ハイパーTn5のモザイク末端(これらのアームはME Hypと呼ばれる);(b)Vibrio harveyi由来のトランスポゾンのモザイク末端(これらのアームはME Harと呼ばれる);(c)ハイパーTn5の外側末端(これらのアームはOE Hypと呼ばれる);(d)Vibrio harveyi由来のトランスポゾンの内側末端(これらのアームはIE Harと呼ばれる)に基づいた。
発現および精製:200mlの誘導培養物を使用して、本質的には実施例1において記述したように、TnAa−TnpおよびTnVc−Tnpを精製した。精製後、トランスポザーゼを含有する画分をプールし、Microcon YM−10遠心フィルターを使用して濃縮した。セファデックスG−50 DNAを含有するNICKサイズ排除カラムを使用して緩衝液交換を行った。精製した試料を50mMのトリス−Cl(pH7.4)、250mMのKClで溶出させ、50μlの画分に収集した。
アームの調製:オリゴヌクレオチドをIDTから得た。各アームを含む2つのオリゴヌクレオチドを、20倍のグルタミン酸カリウム塩(K−glutamate salt)(500mMのグルタミン酸カリウム;200mMのトリス−酢酸、pH7.5)の添加と併せて等モル量を混合することによりアニーリングし、サーモサイクラーにおいて25℃で60秒間、次いで90℃で30秒間インキュベートし、続いて20℃まで2%ずつゆっくりと低下させ、その後5分間20℃に保ち、最後に4℃に保った。
トランスポゾソーム作製のためにアームをロードする:6.7μlのTnAa−Tnp(1.79mg/ml)を6.7μlの各アームセットと混合し、4μlのTnVc−Tnp(4.96mg/ml)を4μlの各アームセットと混合し、この混合物を70分間にわたり周囲温度でインキュベートした。
タグ付断片化反応:20μlの4倍転位緩衝液(25mMのトリス−酢酸(pH7.5)、25mMのグルタミン酸カリウム、10mMのMnCl)を、20μlのラムダDNA(40μg/ml)、10μlのアニーリングしたアーム、および30μlのHOと混合した。この混合物70μlを、ロードしたトランスポザーゼ8μlに添加し、47℃で25分間インキュベートした。対照反応は、ロードしていない(unloaded)トランスポザーゼ(ロードしていないAa、ロードしていないVc)を使用したか、またはトランスポザーゼを使用しなかった(酵素なし)ことを除いては同じであった。
増幅:反応物をQiagen酵素精製キットで精製し、アーム特異的プライマー、5μlの精製したタグ付断片化反応物/20μlのPCR、およびKapa Biosystems 2G Robustポリメラーゼを製造元の指示に従って使用して、PCRを行った。試料を次のサイクルにかけた:72℃で4分間、(94℃で40秒間、56℃で45秒間、72℃で2分間)×20、72℃で10分間。
可視化:増幅後、PCR産物を0.8%のアガロースゲル上で分離した。結果を図2に示す。
機能的トランスポザーゼは異なるサイズのPCR産物を大量に産生すると予想され、これらはゲル上に「スメア」として現れることになる。これは図2に見ることができ、ここで断片サイズは2kbよりも大きい場合がある。タグ付断片化が失敗したところでは、短い産物しか見られない。タグ付断片化は、野生型TnAa−Tnpでのみ成功した。ME Hyp、OE Har、およびIE Harのアームは、この方法に特に適しているようであった。
(実施例3)
緩衝液を改変すること、およびグリセロールを含めること。
野生型TnAaトランスポゾソームを用いたタグ付断片化の効率をさらに改善することができるかどうかを判定するために、様々な緩衝液添加物を試験した。標準的なタグ付断片化反応を実施したが、様々な添加物を緩衝液に含めた。予備段階の結果は、グリセロールがタグ付断片化を大きく改善したことを示した。したがって、さらなる試験を実施した。簡潔に述べると、タグ付断片化は、本質的には実施例2に関して記述したように実施したが、以下の点が異なった。
アーム:ME−Hypアームを使用した。
トランスポゾソーム作製のためにアームをロードする:1.44mg/mlのTnAa−Tnp(27μM、20mMのPIPES(pH7.5)、250mMのKCl、50%のグリセロール中)を等容量のME Hypアーム(50μM)と組み合わせ、周囲温度で80分間インキュベートした。
タグ付断片化反応:1μlのE.coli DNA(50ng)を、4μlのロードしたTnAa−Tnpおよび1.2μlのME Hypアーム(50μM)と混合した。これを最終的には、種々のグリセロール濃度で、20μlの最終容量、ならびに25mMのトリス−酢酸(pH7.5)、10mMのMnCl、10mMのNaCl、15%のDMSO、および0.05%のNP40/Igepal CA 630の最終組成に調製した。0%、5%、10%、20%、および40%のグリセロール濃度で、5つの異なるミックスを作製した。これらのミックスを47℃で50分間インキュベートした。
増幅および可視化:これは、Agilent Bioanalyzer 2100でHigh Sensitivity DNA Chipを使用して、またはPerkin Elmer Labchip GXII Touch HTでDNA HiSens Chipを使用して試料を分離したことを除いて、本質的には実施例2と同様であった。
結果を図3に示す。タグ付断片化中に使用した緩衝液にグリセロールを添加したところ、タグ付断片化の効率が上昇したことが見出された。この実験において、効率の上昇は、より多くのタグ付断片化、ひいてはより高いレベルの標的の剪断に起因する、ライブラリ断片サイズの減少として顕在化する。グリセロールの向上効果は図3に見ることができ、ここで、グリセロール不含緩衝液は大きな断片をもたらす(シアン色の線、より低い効率)が、漸増量のグリセロールを含めると断片が短くなっていき、40%のグリセロールは最も短い断片をもたらす(赤色の線、より高い効率)。
(実施例4)
TnAaトランスポザーゼの変異。
Tn5−Tnpにおいて、E54K変異は、アームをロードする酵素の能力を増加させ、したがって、全体的な転位効率を上昇させる;これは、Tn5−Tnpの機能亢進性バージョンを作り出すために使用される変異のうちの1つである。TnAa−Tsomeの活性およびライブラリ調製効率を増加させるために、同等な変異をTnAa−Tnpに挿入した。
TnAa−Tnpにおける同等な位置は、以下に示すアライメントによって同定した。TnAa−Tpnにおいて、同等な位置(47位)は、プロリン残基を含む。本発明者らはこれをリシンに変更して、TnAaトランスポザーゼのP47K変異体(TnAa−Tnp−P47K)を作り出した。
別の機能亢進性Tn5−Tnpでは、E54Kに加えて2つの他の変異が含まれる。これらはM56AおよびL372Pである。TnAa−TnpのL372位(以下、四角内)に対応する位置はないが、Tn5−TnpにおけるM56の対応する位置は、TnAa−TnpにおけるM50である。この内部メチオニンは、切断型インヒビタータンパク質の産生をもたらす内部翻訳開始部位でありうる(以下に太字のイタリック体で示されている)。TnAa−Tnp−M50AおよびTnAa−Tnp−P47K/M50Aの変異体バージョンを作り出すために、この位置を野生型TnAa−TnpおよびTnAa−Tnp−P47K変異体の両方で変更した。
以下のTn5−Tnp−E54K/M56A、Tn5_wt(配列番号20)、Hperactive_Tn5(配列番号21)、TnAa_wt(配列番号22)、Shew_putre(配列番号23)、Vib_chol(配列番号24)、Vib_harveyi(配列番号25)のアライメントに関して。

以下のTn5−Tnp−L372、Tn5_wt(配列番号26)、Hperactive_Tn5(配列番号27)、TnAa_wt(配列番号28)、Shew_putre(配列番号29)、Vib_chol(配列番号30)、Vib_harveyi(配列番号31)のアライメントに関して。
変異体トランスポザーゼであるTnAa−Tnp−P47K、TnAa−Tnp−M50A、およびTnAa−Tnp−P47K/M50Aの配列を以下に提供する。


これらの変異体トランスポザーゼは、本質的には上記のように発現させ、精製した。M50A変異体は、初めは扱いが困難であると分かったが、P47K変異体トランスポザーゼは、有用なレベルまで精製することができた。本質的には上記のように、TnAa−Tnp−P47Kを使用してタグ付断片化実験を実施し、同じ実験における野生型TnAa−Tnpと比較した。簡潔に述べると、タグ付断片化は、実施例2および3に関して記述したように実施したが、以下の点が異なった。
アーム:ME/R1R2アームを使用した。これは、それぞれが以下に示すような異なる配列決定アダプター(R1またはR2)と併せて標準的なモザイク末端(ME)である2種類のアームの等モル混合物を含む。

トランスポゾソーム作製のためにアームをロードする:1:2の酵素:アーム比でロードした。1.5mg/mlのTnAa−Tnpを等容量のME/R1R2アーム(50μM)と組み合わせ、0.75mg/mlのTnAa−Tnp−P47Kを等容量のME/R1R2アーム(25μM)と組み合わせた。
タグ付断片化反応:1μlのE.coli DNA(50ng)を、2μlのロードしたTnAa−Tnp、または4μlのロードしたTnAa−Tnp−P47Kと混合した。これを最終的には、20μlの最終容量、ならびに25mMのトリス−酢酸(pH7.5)、10mMのMnCl、20%のグリセロール、15%のDMSO、および0.05%のNP40の最終組成に調製した。これらのミックスを47℃で5分間インキュベートした。
増幅:反応物は、実施例2における上記のQiagen酵素クリーンアップキットで精製したが、15μlで溶出させた。R1およびR2アーム特異的プライマーを使用し、13μlの精製したタグ付断片化反応物/50μlのPCR、およびKapa Biosystems HiFi PCRキットを製造元の指示に従って使用して、PCRを行った。試料を次のサイクルにかけた:72℃で3分間、98℃で30秒間、(98℃で15秒間、56℃で30秒間、72℃で3分間)×6、72℃で10分間。増幅後、2倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、製造元の指示に従い、10mMのトリス−HCl(pH8)10μl中に溶出させた。
可視化:これは、本質的には実施例3と同様であった;試料は、Agilent Bioanalyzer 2100またはPerkin Elmer Labchip GXII Touch HTで分離させた。
結果を図4に示す。Bioanalyzerのトレースは、P47K変異体トランスポゾソームが、野生型複合体(図4;青色の線=TnAa−Tnp野生型)よりも短い断片(図4;赤色の線=TnAa−Tnp−P47K変異体)の産生によって示されるように、より良好なタグ付断片化効率を呈したことを証明する。
(実施例5)
好ましいタグ付断片化方法論。
TnAa−Tnpの開発およびタグ付断片化のためのその使用の過程において、最適化されたプロトコールが開発された。このプロトコールを後の作業のための基準として使用した(特定の実験のため必要に応じて改変した)。このプロトコールは、次のようにいくつかのステップを有する。
アーム調製:オリゴヌクレオチドは、商業的な供給元から得られる。各オリゴヌクレオチドを20mMのPIPES(pH7.5)中に100μMまで再懸濁させる。次いで、20倍のグルタミン酸カリウム塩(500mMのグルタミン酸カリウム;200mMのトリス−酢酸、pH7.5)の添加と併せて2つの相補的な(complimentary)オリゴヌクレオチドを等容量で混合し、この混合物をサーモサイクラーにおいて25℃で60秒間、次いで90℃で30秒間インキュベートし、続いて20℃まで2%ずつゆっくりと低下させ、その後この混合物を5分間20℃に保つことにより、オリゴヌクレオチドの二重鎖化を行う。オリゴヌクレオチド二重鎖(ここでは「アーム」と呼ぶ)を20mMのPIPES(pH7.5)で25μMまで希釈し、−20℃で保存する。様々なオリゴヌクレオチドおよびアームを使用することができる(以下に特定)。典型的には、オリゴヌクレオチドのうちの1つは、モザイク末端逆相補体(Compliment)(ME−RC、実施例4に示した通り)であり、これは非転移鎖である。
トランスポゾソーム作製のためにアームをロードする:アーム:トランスポザーゼ1:1のモル比でアームをロードした;典型的には、25μMのアームを等容量のロードしていないトランスポザーゼ(53.3%のグリセロール、333mMのKCl、および20mMのPIPES(pH7.5)中で0.72mg/ml)と組み合わせる。この混合物を47℃で60分間インキュベートし、この間、アームのローディングおよびトランスポゾソームのアセンブリが行われる。インキュベーション後、トランスポゾソーム(それぞれのアームをロードしたトランスポザーゼ)は、0.36mg/mlの濃度である(166.7mMのKCl、26.7%のグリセロール、および20mMのPIPES(pH7.5)中)。次いで、トランスポゾソーム試料を保存緩衝液(166.7mMのKCl、52.9%のグリセロール、20mMのPIPES、pH7.5)で0.18mg/ml濃度まで希釈し、最終的な緩衝液調合物は、166.7mMのKCl、39.8%のグリセロール、および20mMのPIPES、pH7.5となる。
タグ付断片化反応:タグ付断片化反応のそれぞれで、様々な量(以下に特定)のDNAを、10μlの2倍反応緩衝液(40%のグリセロール、30%のDMSO、50mMのトリス酢酸、pH7.5)、2μlの10倍塩化マンガン(種々の濃度)、および4μlのトランスポゾソーム(種々の濃度)と組み合わせて、20μlの最終容量とする。典型的には、大量の標的DNA(例えば、50ng)には、2μlの塩化マンガン(100mM)および4μlのトランスポゾソーム(0.18mg/ml)を使用することになる。典型的には、少量の標的DNA(例えば、1ng)には、2μlの塩化マンガン(10mM)および4μlのトランスポゾソーム(0.0.2mg/ml)を使用することになる。加熱した蓋(105℃)を備えたサーモサイクラーにおいて、反応物を55℃で5分間インキュベートする。20μlの停止液(4.5MのGHCl、25mMのトリス−HCl、pH8)の添加により反応を直ちに停止させ、室温で5分間インキュベートする。様々な容量(以下に特定)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、製造元の指示に従い、10mMのトリス−HCl(pH8)中に溶出させる。一部の場合では、タグ付断片化DNAは、アガロースゲル上で分離および可視化してもよい。
増幅:増幅には、様々な容量(以下に特定)の溶出したタグ付断片化DNAを使用する。様々なPCRキットおよび条件を使用することができる(以下に特定)。増幅後、様々な容量(以下に特定)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用して産物を精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)中に溶出させる。
可視化:試料は、アガロースゲル上で分離しても、またはHigh Sensitivity DNA Chipを使用してAgilent Bioanalyzer 2100で分離しても、またはDNA HiSens Chipを使用してPerkin Elmer Labchip GXII Touch HTで分離してもよい。
(実施例6)
タグ付断片化に対するマンガン濃度の影響。
タグ付断片化の効率および断片の長さに対するマンガン濃度の影響を調査した。TnAa−Tnp−P47Kを使用し、反応物において様々な濃度のマンガンを使用したタグ付断片化実験を実施した。タグ付断片化は、以下の特定の条件を用い、本質的には実施例5に関して記述したように実施した。
アーム:ME/R1R2アームを使用した。これは、それぞれが以下に示すような異なる配列決定アダプター(R1またはR2)と併せた標準的なモザイク末端(ME)である2種類のアームの等モル混合物を含む。
タグ付断片化反応:1ngのE.coli DNAを標的として使用した。マンガンの最終濃度は1mMから0.0125mMまでと様々であったが、トランスポゾソームは80ng/反応物に保った。タグ付断片化後、3倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)10μl中に溶出させた。
増幅:R1およびR2アーム特異的プライマー、8μlのタグ付断片化DNA、ならびにKapa Biosystems HiFi PCRキットを製造元の指示に従って使用して、PCRを行った。試料は12サイクルにわたって増幅させた。増幅後、3倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)20μl中に溶出させた。
可視化:未希釈の試料をAgilent Bioanalyzer 2100で分離させた。
結果を図5に示す。3倍容量のAMPure XP Reagentの使用により、小さな断片でもプロセスの最後まで保持されることが確実であり、それゆえ、このトレースは、タグ付断片化が機能する程度を反映している。移動時間は、この実施例における断片サイズの代用として使用される。より短い移動時間は、断片がより短いこと、およびより多くのタグ付断片化が起こったことを示す。Bioanalyzerのトレースは、P47K変異体トランスポゾソームが、1mMのマンガン(図5;赤色の線)の存在下で、短い断片の産生によって示されるとおり効率的なタグ付断片化を呈したことを証明する。マンガンの漸減は、タグ付断片化の漸減、およびより大きな断片をもたらした。
(実施例7)
タグ付断片化に対するトランスポゾソーム濃度の影響。
タグ付断片化の効率および断片の長さに対するトランスポゾソーム濃度の影響を調査した。TnAa−Tnp−P47Kを使用し、反応物において様々な量のトランスポゾソームを使用したタグ付断片化実験を実施した。タグ付断片化は、以下の特定の条件を用い、本質的には実施例5および実施例6に関して記述したように実施した。
アーム:ME/R1R2アームを使用した。これは、それぞれが以下に示すような異なる配列決定アダプター(R1またはR2)と併せた標準的なモザイク末端(ME)である2種類のアームの等モル混合物を含む。
タグ付断片化反応:1ngのE.coli DNAを標的として使用した。トランスポゾソームは80ng〜5ng/反応物と様々であったが、マンガンは1mMに保った。タグ付断片化後、3倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)22μl中に溶出させた。
増幅:R1およびR2アーム特異的プライマー、20μlのタグ付断片化DNA、ならびにKapa Biosystems HiFi PCRキットを製造元の指示に従って使用して、PCRを行った。試料は12サイクルにわたって増幅させた。増幅後、3倍容量のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)30μl中に溶出させた。
可視化:未希釈の試料をAgilent Bioanalyzer 2100で分離させた。
結果を図6に示す。3倍容量のAMPure XP Reagentの使用により、小さな断片でもプロセスの最後まで保持されることが確実であり、それゆえ、このトレースは、タグ付断片化が機能する程度を反映している。より短い断片は、より多くのタグ付断片化が起こっていることを示す。Bioanalyzerのトレースは、P47K変異体トランスポゾソームが、1mMのマンガンの存在下で、高濃度(例えば80ng/反応物、図5;青色の線)において短い断片の産生によって示されるとおり効率的なタグ付断片化を呈したことを証明する。トランスポゾソームの漸減は、タグ付断片化の漸減、およびより大きな断片をもたらした。
(実施例8)
断片化の特徴、標的の飽和、およびトランスポゾソーム競合物制御の概念。
マンガンおよびトランスポゾソームアッセイの結果は、次のように解釈することができる。トランスポゾソームレベルおよびマンガンレベルの両方が、トランスポゾソームの活性(標的DNA内の切断の数を標的DNAの質量で除したものと定義される)に影響することは明らかである。トランスポゾソーム対標的DNA標的比の低減は、サイズを増加させた。同様に、補因子(例えば、マンガン)の反応を欠乏させる(starving the reaction of)と、断片サイズの増加がもたらされた(図7A)。過剰量のトランスポゾソームが存在し、反応が他の形で制限されない場合、挿入部位が約40塩基対だけ離れた短い断片が作り出される。図6に示されるおよそ200bpの断片サイズにおけるピーク数(および図5中の60秒の移動時間における同等のピーク)は、断片がESおよびアダプター配列を含むため、40bpの挿入部位の分離を表すことに留意されたい。
より小さな断片をそれ以上作製することのできない絶対的な限界が存在するようであった。これが暗示するのは、過剰量のマンガンおよびトランスポゾソームを添加した場合、標的DNAのあらゆる領域が結合を受け、最後には切断され、挿入部位間の40bpの最小値は立体的制限に起因するということである(図7A)。
対照的に、トランスポゾソームまたはマンガン(または恐らく他の必須因子)が限定的である場合、複合体は、まずトランスポゾソームの好ましい部位において結合および切断する傾向がある。トランスポゾソームは切断後に挿入部位に結合したままであるため、回避して他のあまり好ましくない部位で切断することができない(図7B)。トランスポゾソームのさらなる添加のみが、こうしたさらなる複合体の、標的DNA上のあまり好ましくない部位における結合および切断をもたらす。
これが事実であれば、好ましい部位だけではなくあまり好ましくない部位も最後には切断されるため、DNAがトランスポゾソームで飽和したとき、挿入バイアスはより低いはずである。好ましい結合部位は、トランスポザーゼのために空いている残りの「駐車スペース」内における優先度のレベルにおいて選択される。対照的に、トランスポゾソームが、何らかの様式で、例えば補因子の欠乏または低いトランスポゾソーム濃度により制限されている場合、挿入バイアスは高いはずである。なぜなら、好ましい部位がまず使用され、あまり好ましくないものはトランスポゾソーム不足のために切断を回避するからである。
つまり、活性トランスポゾソーム(標的部位において結合、切断、および挿入可能)と、不活性トランスポゾソーム(標的部位において結合可能だが、切断または挿入は不可能)との混合物を標的DNAに接触させた場合、活性および不活性の複合体は、それぞれの潜在的な結合部位をめぐって競合することになり、活性および不活性の複合体の比は、断片サイズおよび挿入バイアスの両方に影響することになる(図7C)。
(実施例9)
活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを含む組成物。
本開示の不活性トランスポゾソームは、活性トランスポゾソームと同じ効率およびバイアスで標的DNAに結合するが、不活性トランスポゾソームは、標的DNAを、いかなる程度にも、またはいかなる部位においても切断しない(DNAのニックすらない)。対照的に、本開示の活性トランスポゾソームは、標的DNAに結合し、それが結合するあらゆる部位において標的DNAを切断する。
本開示の組成物は、不活性および活性の両方のトランスポゾソームを含みうる。これらの組成物が、例えば飽和濃度でDNA標的にロードされると、標的DNAは、活性トランスポゾソームが標的DNAに結合するところでのみ切断される。組成物中の活性トランスポゾソームの不活性トランスポゾソームに対する比を変化させることにより、この比によって所望の断片サイズが決定され、標的DNAの量は無関係になる(図7C)。
活性トランスポザーゼの不活性トランスポザーゼに対する比を変化させることにより、使用される標的DNAの量を知ることなく断片サイズを制御することができる。さらに、競合阻害を使用することにより、全ての部位にトランスポゾソーム(活性トランスポゾソームまたは不活性トランスポゾソームのいずれか)がロードされる場合、全ての部位が切断される確率(chance)を等しく有することから、切断位置バイアス(本明細書では別称、挿入バイアス)は低い。
(実施例10)
修飾DNAアダプター/アームを含有する不活性トランスポゾソーム。
修飾アームを使用して不活性トランスポゾソームを産生するとき、様々な方法を使用して、活性トランスポゾソームの不活性トランスポゾソームに対する所望の比を達成することが可能である。非限定的な例を以下に提示する。
ロードしたトランスポゾソームの混合:この方策を用いる方法は、以下のステップ:トランスポザーゼの調製物に標準的アーム(転移鎖は3’−OHである)をロードし、活性トランスポゾソームを産生するステップと;トランスポザーゼの調製物に修飾アーム(転移鎖は3’−OHではなく、3’−基は、鎖転移を阻害するもの、例えば、3’−リン酸または3’−H、例えば、3’−ジデオキシ−ヌクレオチドが3’末端で使用された場合に得られるものなどである)をロードし、不活性トランスポゾソームを産生するステップと;活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを所望の比(例えば、1:3)で混合し、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを含む組成物をもたらすステップ、とを含む。標的DNAの断片化のためのこの組成物の使用は、活性トランスポゾソーム単独を含有する組成物の使用と比較して、ライブラリの特徴を改善する。
アダプターおよびトランスポザーゼの混合:この方策を用いる方法は、以下のステップ:標準的アーム(転移鎖は3’−OHである)および修飾アーム(転移鎖は3’−OHではなく、3’基は、鎖転移を阻害するもの、例えば、3’−リン酸または3’−H、例えば、3’−ジデオキシ−ヌクレオチドが3’末端で使用された場合に得られるものなどである)の混合物を、所望の比、例えば1:3で調製し、トランスポザーゼに上記のアーム混合物をロードし、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを含む組成物を生成するステップ、を含む。標的DNAの断片化のためのこの組成物の使用は、活性トランスポザーゼ単独を含有する組成物の使用と比較して、ライブラリの特徴を改善する。
修飾アダプター:本開示の不活性トランスポゾソームの修飾アームは、鎖転移を防止するように、従って標的DNAの切断を防止するように遮断された、3’末端を含んでもよい。3’−OHは、鎖交換中の求核攻撃に要求される電子を供給する。好ましくは、本開示の修飾アームは、3’末端にジデオキシ−ヌクレオチドを含有する(3’−OHが3’−Hに置き換えられる)か、または3’末端に3’−リン酸化ヌクレオチドを含有する(3’−OHが3’−リン酸に置き換えられる)。
修飾アプローチを試験するために、アームの転移鎖の末端ヌクレオチドに3’−3炭素スペーサー(ホスホルアミダイト)または3’−リン酸のいずれかを含んだモザイク末端アームを有するトランスポゾソームを、標的DNAに接触させた(未修飾の末端アームは天然の3’ヒドロキシル基を含有する)。
修飾アダプターを以下に例示する。
オリゴヌクレオチドME_MRおよびME_RCを含む、モザイク末端アーム(未修飾)「MERC」:
オリゴヌクレオチドR1およびME_RCを含む、R1アーム「R1RC」:
オリゴヌクレオチドR2およびME_RCを含む、R2アーム「R2RC」:

オリゴヌクレオチド3PおよびME_RCを含む、3’−リン酸モザイク末端アーム「3PRC」:
オリゴヌクレオチド3CおよびME_RCを含む、3’−スペーサーモザイク末端アーム「3CRC」:
増幅プライマー(試料インデックスを含む):
i501(または総称i5xx−異なる試料インデックスのプライマーを意味する)

i701(または総称i7xx−異なる試料インデックスのプライマーを意味する)

配列番号57および58に関し、(*)はホスホロチオエート結合を表す。
タグ付断片化は、以下の特定の条件を用い、本質的には実施例5に関して記述したように実施した。
アーム調製:未修飾のME_RC、ME_MR、R1、R2、および修飾された3Pおよび3CオリゴヌクレオチドをIDTから得た。各オリゴヌクレオチドを20mMのPIPES(pH7.5)中に100μMまで再懸濁させた。ME_MR、R1、R2、3P、および3Cのオリゴを、個別に、実施例5に記述したようにME_RCオリゴと二重鎖化した。二重鎖化産物は、MERC、R1RC、R2RC、3PRC、および3CRCアームをそれぞれ50μM形成し、それぞれ20mMのPIPES(pH7.5)で25μMまで希釈した。
トランスポゾソーム作製のためにアームをロードする:MERC、3PRC、および3CRC(25μM)のアームを、個別に、ロードしていないTnAaトランスポザーゼ−P47Kと1:1のモル比で組み合わせた。R1RCおよびR2RCアームは、ロードしていないTnAaトランスポザーゼ−P47Kと1:1:2の比で組み合わせた。トランスポゾソームのアセンブリは、実施例5に記述したように完了した。
タグ付断片化反応:タグ付断片化反応のそれぞれで、AffymetrixのE.coliゲノムDNA 200ng(4μlの50ng/μl DNA)を使用した。2μlの10倍塩化マンガン(100mM)を、それぞれ、MERCをロードしたトランスポザーゼ、またはRIR2RCをロードしたトランスポザーゼ、または3PRCをロードしたトランスポザーゼ、または3CRCをロードしたトランスポザーゼ、4μl(0.18mg/ml)と共に、各反応に使用した。タグ付断片化後、3倍容量(120μl)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、製造元の指示に従い、10mMのトリス−HCl(pH8)12μl中に溶出させた。
可視化:10μlの溶出液を6μlのローディング色素と組み合わせ、1μlの各ミックスを断片分離のために1%アガロースゲル上の交互のレーンに負荷した。増幅ステップは実施しなかった。
結果を図8に示す。ゲル電気泳動は、3PRC(3’−リン酸)アームをロードしたトランスポゾソームの場合のみ、DNAがほとんど無傷であったことを示した(図8、レーン4)。これは、MERC、RIR2RC、および3CRCをロードしたトランスポゾソームは、ゲノムDNAのタグ付断片化に成功したが(図8、それぞれレーン2、3、および5)、3PRCをロードしたトランスポゾソームは、DNAの大きな剪断を引き起こさなかったことを実証する。興味深いことには、おそらくはヒドロキシル基がなおも存在するために、3’−スペーサー修飾アームは活性であり、DNAのタグ付断片化をもたらしたことが強調される。
(実施例11)
3’−リン酸修飾モザイク末端アームをロードしたトランスポゾソームを反応物に添加することによる断片サイズの調節。
以下の実施例において、DNA精製ステップは、短い断片の単離および増幅を可能にする。これは、トランスポゾソーム混合物の挿入プロファイルを調査するためであり、有用な配列決定ライブラリを生成するために使用される方法に典型的なものではない。
トランスポゾソーム調製:アームおよびトランスポゾソームを、実施例10に関して記述したように調製した。R1R2RCをロードしたトランスポゾソーム(活性トランスポゾソーム)および3PRCをロードしたトランスポゾソーム(不活性トランスポゾソーム)を、それぞれ、0.18mg/mlから0.08mg/ml(または80ng/μl)および0.04mg/ml(40ng/μl)まで、希釈緩衝液(166.7mMのKCl、39.8%のグリセロール、および20mMのPIPES、pH7.5)でさらに希釈した。
タグ付断片化反応:タグ付断片化反応は、以下の特定の条件を用い、本質的には実施例5に関して記述した通りであった。タグ付断片化反応のそれぞれで、1ngのE.coliゲノムDNA(4μlの0.25ng/μl DNA)を、10μlの2倍反応緩衝液および2μlの10倍塩化マンガン(10mM)と組み合わせた。含まれたトランスポゾソームは、a)2μlのR1R2RCをロードしたトランスポゾソーム(80ng/μl)および2μlの希釈緩衝液、合計160ngの活性トランスポゾソーム、不活性トランスポゾソームは含まず;b)2:1の活性:不活性トランスポゾソーム比の、2μlのR1R2RCをロードしたトランスポゾソーム(80ng/μl)および2μlの3PRCをロードしたトランスポゾソーム(40ng/μl)、および;c)1:1の活性:不活性酵素トランスポゾソーム比の、2μlのR1R2RCをロードしたトランスポゾソーム(80ng/μl)および2μlの3PRCをロードしたトランスポゾソーム(80ng/μl)のいずれかであった。
使用したトランスポゾソームの半量を用いたことを除いては本質的に記述した通りに、別個のさらなるタグ付断片化反応物セットをアセンブルした。反応停止後、3倍容量(120μl)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)22μl中に溶出させた。
増幅:Kapa Biosytems HiFi PCRキットを指示に従って使用して、20μlの溶出したタグ付断片化DNAを増幅させた。2.5μMのi5xxインデックスプライマー5μlおよび2.5μMのi7xxインデックスプライマー5μlを、5μlの反応物それぞれに含めた。12サイクルのPCR増幅(72℃で3分間、98℃で30秒間、12×(98℃で15秒間、62℃で30秒間、72℃で3分間)、4℃で保持)を実施した。3倍容量(150μl)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用して増幅産物を精製し、10mMのトリス−HCl(pH8)30μl中で最終的な溶出を行った。15μlの溶出産物をLabChip GXII(Perkin Elmer)で解析した。
結果を図9に示す。これらの実施例において、飽和分量の活性トランスポゾソームへの不活性トランスポゾソームの添加が、完全にタグ付断片化されたライブラリ断片の割合を減少させることが分かる。等しい追加分量の、活性だがロードしていないトランスポザーゼのさらなる等分量の添加では、この効果は生じなかった。
(実施例12)
3’−リン酸修飾モザイク末端アームをロードしたトランスポゾソームをタグ付断片化反応物に添加することによる配列決定ライブラリ断片サイズの調節。
以下の実施例において、DNA精製ステップは、タグ付断片化後に短い断片を除去し、有用なより長い断片の単離および増幅を促進する。これは、有用な配列決定ライブラリを生成するために使用される方法に典型的なものである。
トランスポゾソーム調製:アームおよびトランスポゾソームを、実施例11に関して記述したように調製した。
タグ付断片化反応:タグ付断片化反応は、以下の特定の条件を用い、本質的には実施例11に関して記述した通りであった。4つの反応物をアセンブルした。これらは全て、160ngの不活性トランスポゾソーム複合体と、0ng、80ng、160ng、または360ngのいずれかの不活性トランスポゾソームとを含有した。タグ付断片化後、1倍容量(40μl)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用してDNAを精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)22μl中に溶出させた。
増幅:増幅は実施例11と同様であったが、この場合は、0.8倍容量(40μl)のAMPure XP Reagent(Beckman Coulter)を使用して増幅産物を精製し、最後に、10mMのトリス−HCl(pH8)12μl中に溶出させた。
DNA HiSensitivity chipを使用したLabChip GXII(Perkin Elmer)での断片解析のために、2μlの反応物を10mMのトリス−HCl(pH8)で10μlに5倍希釈した。
結果を図10に示す。活性トランスポゾソームの量を160ngで一定に保ちながら、0ng、80ng、160ng、および360ngの不活性トランスポゾソームを添加すると、平均断片サイズが用量−応答様式で増加したことがわかる。平均断片サイズはそれぞれ、364bp、459bp、577bp、および761bpであった。ライブラリ収量はそれぞれ、48nM、62nM、40nM、および20nMであった。
(実施例13)
活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの混合物を用いて作り出されたライブラリの配列決定。
飽和分量の活性トランスポゾソームへの不活性トランスポゾソームの添加は、ライブラリインサートサイズの増加をもたらし、タグ付断片化の程度を低減させたが、結果として得られる配列決定ライブラリの特徴に対するこれらの撹乱(perturbation)による影響を決定する必要があった。
全ゲノム配列決定ライブラリを1ngのE.coliゲノムDNA(ATCC、MG1655)から構築し、IlluminaのMiSeq機器でv3 2×150ケミストリーを使用して配列決定した。酵素調製および増幅手順は、以下に記述する具体的な条件で、本質的には実施例12に上述したように行った。各ライブラリを二連でタグ付断片化し、ユニークなインデックスペアを用いて増幅させた。例えば、2つの複製タグ付断片化反応物では、PCR増幅中に一方はi501およびi701でインデックスされ、他方はi502およびi701でインデックスされる。
パート1:反応物中に不活性トランスポゾソームが存在しない場合に配列決定メトリックに対するマンガンの影響を実証するために、3つの濃度の塩化マンガン(10mM、1mM、および0.025mMの最終反応濃度)および80ngの活性トランスポゾソームを含むタグ付断片化反応物を使用した。
パート2:配列決定メトリックに対する不活性トランスポゾソームの影響を実証するために、最終反応濃度1mMのマンガンおよび様々な比の活性:不活性トランスポゾソームを含むタグ付断片化反応物を使用した。活性:不活性トランスポゾソーム比は次の通りであった:(a)2:1、160ng活性:80ng不活性;(b)1:1、160ng活性:160ng不活性;(c)1:2.25、160ng活性:360ng不活性、および;(d)160ng活性:0ng不活性競合物不含対照。
パート3:1ngのDNAインプットおよび二重鎖化TruSeqアダプターのために、Illumina Nextera XTキットおよびKAPA HyperPlusキットも用いて、標準的なプロトコールを使用して(製造元の指示に従って)、比較ライブラリを構築した。
参照ゲノムとのアライメントの後、配列決定データを解析した。リードマッピング位置に基づいてライブラリインサートサイズを計算した(図11に示す)。読み取り開始部位に隣接する位置における累積的なヌクレオチド塩基分散を計算することにより、開始部位バイアスを推定した(図12Aに示す)。開始部位バイアスは、また、各位置におけるヌクレオチド塩基頻度に関して示されている(図12B)。開始部位優先度(バイアス)の増加は、挿入部位周囲のヌクレオチド塩基分散の増加、およびゲノムのベースラインのヌクレオチド頻度を超えたある特定のヌクレオチドの頻度の増加として顕在化する。
これらの実験の結果は次の通りである。マンガンの減少は再び、より大きな断片および挿入バイアスの増加をもたらした。
Illumina適合性のライブラリを作り出すためにタグ付断片化反応物に不活性トランスポゾソームを添加すると、配列決定されるインサートサイズがより大きくなる(図11)。さらに、不活性トランスポゾソームの添加に伴い、改善した開始部位バイアスも得られる(図12)。図12Aにおいて、ヌクレオチド塩基分散における累積分散が高いほど、ライブラリにおける平均インサートサイズはより特異的である(かつ偏っている(biased))。累積的な挿入部位分散が低いライブラリは、一般に、NGSライブラリ調製に有益な要因である、より高い複雑性およびより均一な適用範囲を有する。図12Bでは、不活性トランスポゾソームの量が増えるにつれ、各位置における塩基頻度がより狭くなり、25%(バイアスなし)に向かう傾向があることが分かる。高深度(deep)サンプリング(ライブラリ/処理につき500,000リードまたはそれよりも多く)に起因して、完全にバイアスなしのシステムでは、挿入部位周囲の4つのヌクレオチド塩基のそれぞれの塩基頻度は、E.coliゲノム内の平均塩基頻度と等しいはずである。
転移鎖が3’−リン酸化されているモザイク末端アーム(上記に表した「3PRC」)をTnAa−Tpn P47Kトランスポザーゼと組み合わせて不活性トランスポゾソームを産生できることが、この研究から明らかである。NGSライブラリ(Illumina適合性NGSライブラリを含む)を生成するために全飽和量で活性トランスポゾソームと組み合わせて使用した場合、不活性トランスポゾソームの存在は、挿入特異性の減少を伴うインサートサイズの増加をもたらす(いずれも、トランスポザーゼに基づくNGSライブラリ調製(prep)システムの望ましい特徴である)。
(実施例14)
他の種類の修飾アームをロードしたトランスポゾソームをタグ付断片化反応物に添加することによる配列決定ライブラリ断片サイズおよび挿入部位バイアスの調節。
これまでに提供した実施例は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御する方法の有効性および有用性を実証した。提供した実施例は、転移鎖に3’−リン酸を有するアームを使用して不活性トランスポゾソームを作り出すことができることを示した。他の種類の修飾アームを同様な役割において利用してもよい。使用される修飾アームは、トランスポザーゼが修飾アームを認識しロードする(ひいては不活性トランスポゾソームを形成する)ことを可能にするが、不活性トランスポゾソームがアームを標的DNAに挿入すること、またはさらには標的DNA鋳型のニッキングを引き起こすことを防止する。
これを実証するために、実施例5、6、7、8、9、10、11、および12に記述したものと同様だが必ずしも同一ではない方法を使用する。簡潔に述べると、オリゴヌクレオチドを使用して修飾アームを作り出し、これらをロードして不活性トランスポゾソームを作製する。次いで、様々な比の活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを使用し、選り抜きのDNA標的に対してタグ付断片化反応を実施する。この反応物を使用して配列決定ライブラリを作り出し、これらのライブラリを配列決定する。次いで配列データを解析し、挿入バイアスおよび断片長を決定する。
代替的に修飾されたアームを使用して不活性トランスポゾソームを作り出してもよく、これらも断片サイズおよび挿入バイアスの決定において有用である。
(実施例15)
変異体トランスポザーゼから形成されたトランスポゾソームをタグ付断片化反応物に添加することによる配列決定ライブラリ断片サイズおよび挿入部位バイアスの調節。
これまでに提供した実施例は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御する方法の有効性および有用性を実証した。提供した実施例は、転移鎖に3’−リン酸を有するアームを使用して不活性トランスポゾソームを作り出すことができることを示した。不活性トランスポゾソームは、変異トランスポザーゼを使用することによっても作り出すことができ、これらの変異体バージョンが、本開示の活性トランスポゾソームの機能を調節するために使用されてもよい。
これを実証するために、トランスポザーゼ遺伝子の変異体バージョンを作り出す。変異としては、触媒三残基の修飾が挙げられるが、これに限定されない。変異体および野生型の両方のトランスポザーゼをクローニングし、発現させ、精製する。次いで、トランスポザーゼの変異体および野生型バージョンを使用して、それぞれ不活性トランスポゾソームおよび活性トランスポゾソームを作製し、次いでこれらを本開示の発明に組み込む。
タグ付断片化およびライブラリ作製のために、実施例5、6、7、8、9、10、11、および12に記述したものと同様だが必ずしも同一ではない方法を使用する。簡潔に述べると、アームを作り出し、野生型および変異体のトランスポザーゼ(tranposases)にロードして、活性トランスポゾソームまたは不活性トランスポゾソームのいずれかを作製する。次いで、様々な比の活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを使用し、選り抜きのDNA標的に対してタグ付断片化反応を実施する。この反応物を使用して配列決定ライブラリを作り出し、これらのライブラリを配列決定する。次いで配列データを解析し、挿入バイアスおよび断片長を決定する。
変異体トランスポザーゼを使用して不活性トランスポゾソームを作り出してもよく、これらも断片サイズおよび挿入バイアスの決定において有用である。
(実施例16)
活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを様々な時点で適用することによる配列決定ライブラリ断片サイズおよび挿入部位バイアスの調節。
これまでに提供した実施例は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御する方法の有効性および有用性を実証した。提供した実施例は、混合物として標的DNAに適用される活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを利用した。断片サイズおよび挿入バイアスは、それらを別々に適用することによって操作されることもある。例えば、活性トランスポゾソームの適用前に、特定量の不活性トランスポゾソームを標的に適用して、好ましい挿入部位を遮断してもよい。
これを実証するために、実施例5、6、7、8、9、10、11、および12に記述したものと同様だが必ずしも同一ではない方法を使用する。簡潔に述べると、アームを(修飾または未修飾のいずれかのオリゴヌクレオチドから)作製し、トランスポザーゼ(野生型または変異体のいずれか)にロードして、活性トランスポゾソームまたは不活性トランスポゾソームのいずれかを作製する。次いで、種々の量の活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの複合体を、選り抜きのDNA標的に、様々な時点で、種々の時間にわたり、種々の順序で接触させる。この反応物を使用して配列決定ライブラリを作り出し、これらのライブラリを配列決定する。次いで配列データを解析し、挿入バイアスおよび断片長を決定する。
活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを混合物として以外の方法で標的DNAに適用することは、タグ付断片化反応に有用であり、これを使用して、断片サイズおよび挿入バイアスを制御することができる。
(実施例17)
他のトランスポゾンおよび挿入エレメントに由来する活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの混合物による配列決定ライブラリ断片サイズおよび挿入部位バイアスの調節。
これまでに提供した実施例は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御する方法の有効性および有用性を実証した。提供した実施例は、TnAa由来のトランスポザーゼを利用した。他の供給源由来のトランスポザーゼから作り出されたトランスポゾソーム(開示されるように活性および不活性にしたもの)も、本明細書において開示される方法によるタグ付断片化およびその制御のために利用されうる。
これを実証するために、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソーム(本明細書においてこれまでに開示した原理を使用して作り出したもの)を、Tn5トランスポザーゼ、またはIS4ファミリーの挿入配列由来の他のトランスポザーゼ、または「カットアンドペースト」機構により機能する他のトランスポザーゼから作り出す。次いで、これらのトランスポザーゼを本開示の発明に組み込む。
タグ付断片化およびライブラリ作製のために、実施例5、6、7、8、9、10、11、および12に記述したものと同様だが必ずしも同一ではない方法を使用する。簡潔に述べると、アームを(修飾または未修飾のいずれかのオリゴヌクレオチド)から作製し、トランスポザーゼ(野生型または変異体のいずれか)にロードして、活性トランスポゾソームまたは不活性トランスポゾソームのいずれかを作製する。次いで、様々な比の活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを使用し、選り抜きのDNA標的に対してタグ付断片化反応を実施する。この反応物を使用して配列決定ライブラリを作り出し、これらのライブラリを配列決定する。次いで配列データを解析し、挿入バイアスおよび断片長を決定する。
異なるトランスポザーゼ(および変異体バージョン)を使用して活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを作り出すこともでき、これらもタグ付断片化反応において有用であり、混合物を使用して断片サイズおよび挿入バイアスを制御してもよい。
(実施例18)
種々の標的DNA型から配列決定ライブラリを作製するための方法の使用。
これまでに提供した実施例は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御する方法の有効性および有用性を実証した。提供した実施例は、E.coli DNAを標的として利用した。本明細書に記述される方法は、より複雑で商業的関連性のある標的に適用することもできる。これは、存在する反復度の異なる、またはG/CリッチもしくはA/Tリッチである、または他の修飾を有するDNA標的に適用してもよい。
これを実証するために、本方法を多様なゲノムDNA標的またはcDNA標的に適用する。これらは、ヒト、哺乳類、動物、植物、原生生物、真菌、古細菌および真正細菌のDNAまたはcDNA試料を含むが、これらに限定されない。
タグ付断片化およびライブラリ作製のために、実施例5、6、7、8、9、10、11、および12に記述したものと同様だが必ずしも同一ではない方法を使用する。簡潔に述べると、アームを作製し、トランスポザーゼにロードして、活性トランスポゾソームまたは不活性トランスポゾソームのいずれかを作製する。次いで、様々な比の活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームを使用し、ヒト、哺乳類、動物、植物、原生生物、真菌、古細菌または真正細菌のDNAもしくはcDNAのいずれかを含むDNAに対して、タグ付断片化反応を実施する。この反応物を使用して配列決定ライブラリを作り出し、これらのライブラリを配列決定する。次いで配列データを解析し、挿入バイアスおよび断片長を決定する。
本開示の方法は、様々な種類のDNA標的で使用することができる。
(実施例19)
異類のトランスポザーゼおよび他のDNA結合タンパク質の利用。
これまでに提供した実施例は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御する方法の有効性および有用性を実証した。提供した実施例は、同じトランスポゾンに由来するトランスポザーゼを利用して、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの両方を作り出した。活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームのトランスポザーゼは同じ供給源に由来する必要はなく、実際には、遠縁または異類の(dissimilar)トランスポザーゼが挿入バイアスにおいていくらかの重複を示す場合、それらを使用してもよい。トランスポザーゼではないが結合をめぐって活性トランスポゾソームと競合することができるDNA結合タンパク質は、その存在によってタグ付断片化に影響し、ひいては断片サイズおよび挿入バイアスに影響する。したがって、これらの組合せを配列決定ライブラリ調製に使用してもよい。
これを実証するために、実施例5、6、7、8、9、10、11、および12に記述したものと同様だが必ずしも同一ではない方法を使用する。簡潔に述べると、特定のトランスポゾンまたはISに由来するトランスポザーゼから、活性トランスポゾソームを作製する。これらを、異なるトランスポゾンまたはISに由来するトランスポザーゼを用いて作製された不活性トランスポゾソーム(本明細書においてこれまでに開示した原理を使用して作り出したもの)と混合する。代替的には、活性トランスポゾソームを、不活性トランスポゾソームの役割を果たす無関係のDNA結合タンパク質と混合する。次いで、様々な比の活性トランスポゾソームおよび競合物を使用し、選り抜きのDNA標的に対してタグ付断片化反応を実施する。この反応物を使用して配列決定ライブラリを作り出し、これらのライブラリを配列決定する。次いで配列データを解析し、挿入バイアスおよび断片長を決定する。
活性トランスポゾソームとして使用されるトランスポザーゼと異なるか、または遠縁であるか、または無関係であるDNA結合タンパク質は、断片サイズおよび挿入バイアスを制御するためのものであってもよい。
(実施例20)
活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの混合物を用いたタグ付断片化は、DNAインプット分量に対する非感受性を付与する。
タグ付断片化反応は、DNAインプット量に対して感受性であり、DNA分量のわずかな変動が、変わりやすいライブラリインサートサイズおよび収量をもたらすことが公知である。タグ付断片化反応における不活性トランスポゾソームおよび活性トランスポゾソームの組合せがDNAインプット量に対する非感受性を付与するという予測を試験するために、様々な分量のE.coliゲノムDNAを、80ナノグラムの活性トランスポゾソームから構成された混合物、または80ナノグラムの活性トランスポゾソームおよび320ナノグラムの不活性トランスポゾソームから構成された混合物のいずれかでタグ付断片化した。ライブラリを増幅させ、Illumina MiSeq機器でv3 2×150ケミストリーを使用して配列決定した。対になったリードを参照ゲノムとアラインすることによってライブラリインサートサイズを決定し、Nextera XTキット(Illumina)およびKapa HyperPlusキットを使用したときに観察された典型的なインサートサイズと比較した。結果を図13に示す。活性トランスポゾソームのみを用いたゲノムDNAの、200pg(明灰色の線(0.2ngインプット+0ng不活性))および5ng(暗灰色の線(5ngインプット+0ng不活性)のタグ付断片化は、異なるインサートサイズを含有するライブラリを生成し、予想通り、インプットが5ナノグラムのライブラリは、より大きな断片を含有した。対照的に、活性トランスポゾソームおよび不活性トランスポゾソームの混合物を用いたゲノムDNAの、200pg(暗青色の線(0.2ngインプット+320ng不活性))および5ng(明青色の線(5ngインプット+320ng不活性))のタグ付断片化は、Nexteraキット(オレンジ色の線)およびKapa HyperPlusキット(緑色の線)で生成したライブラリと匹敵する、同一のインサートサイズを有するライブラリをもたらした。これらの結果を合わせると、活性トランスポゾームおよび不活性トランスポゾームの混合物を用いたタグ付断片化が、DNAインプット分量の変動に対するシステムの感受性を低減させることが示される。

Claims (34)

  1. DNAを断片化する方法であって、標的DNAの試料を、
    (a)活性トランスポゾソームを含む組成物、および
    (b)不活性トランスポゾソームを含む組成物
    に、トランスポゾソーム活性に好適な条件下で接触させることを含み、
    (b)の該組成物中の該不活性トランスポゾソームの量の、(a)の該組成物中の該活性トランスポゾソームの量に対する比が、平均断片サイズおよび挿入バイアスのレベルを決定する、方法。
  2. (a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームと、(b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームとの組合せが、インプットDNAのトランスポゾソーム複合体結合部位の50%より多くを占有する、請求項1に記載の方法。
  3. (a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームと、(b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームとの組合せが、インプットDNAのトランスポゾソーム複合体結合部位の75%より多くを占有する、請求項1に記載の方法。
  4. (a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームと、(b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームとの組合せが、インプットDNAのトランスポゾソーム複合体結合部位の90%より多くを占有する、請求項1に記載の方法。
  5. (a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームと、(b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームとの組合せが、インプットDNAのトランスポゾソーム複合体結合部位の99%より多くを占有する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記インプットDNAまたは前記標的DNAの量が未知である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記不活性トランスポゾソームおよび前記活性トランスポゾソームが、前記標的DNA内のコンセンサス配列に優先的に結合する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記不活性トランスポゾソームおよび前記活性トランスポゾソームが、完全な相補性で前記コンセンサス配列に結合する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記不活性トランスポゾソームおよび前記活性トランスポゾソームが、不完全な相補性で前記コンセンサス配列に結合する、請求項7に記載の方法。
  10. 前記不活性トランスポゾソームが、前記活性トランスポゾソームの修飾形態である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記修飾が、前記標的DNAを切断する前記不活性トランスポゾソームの能力を阻害し、かつ該標的DNAに結合する該不活性トランスポゾソームの能力を保存する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記不活性トランスポゾソームが、不活性トランスポザーゼをコードするアミノ酸配列に変異を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記変異が、前記不活性トランスポザーゼの触媒ドメイン内の位置にある、請求項12に記載の方法。
  14. 前記不活性トランスポザーゼが、Tn5トランスポザーゼの機能亢進性バージョンであり、前記変異が、D97、D188、およびE326からなる群から選択される触媒三残基内の位置にある、請求項12に記載の方法。
  15. 前記変異が、D97、D188、およびE326からなる群から選択される前記三残基の機能的同等物である触媒三残基内の位置にある、請求項14に記載の方法。
  16. 前記機能亢進性Tn5トランスポザーゼが、

    を含むアミノ酸配列によってコードされる、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記不活性トランスポザーゼが、トランスポザーゼTnAaに由来し、前記変異が、D90、D190、およびE323からなる群から選択される触媒三残基内の位置にある、請求項12に記載の方法。
  18. 前記TnAaトランスポザーゼが、

    を含むアミノ酸配列によってコードされる、請求項17に記載の方法。
  19. 前記不活性トランスポゾソームが、修飾DNAアームを含む、請求項11に記載の方法。
  20. 前記修飾DNAアームが、モザイクDNAアームである、請求項19に記載の方法。
  21. 前記修飾DNAアームが、前記アームの転移鎖の3’末端ヌクレオチドにリン酸を含む、請求項19または20に記載の方法。
  22. 前記修飾DNAアームが、前記アームの転移鎖の3’末端ヌクレオチドにジデオキシヌクレオチドを含む、請求項19または20に記載の方法。
  23. 前記修飾DNAアームが、前記アームの転移鎖の3’末端ヌクレオチドに、炭素リンカー、ヘキサンジオール、3炭素スペーサー、トリエチレングリコール、またはヘキサ−エチレングリコールを含む、請求項19または20に記載の方法。
  24. 前記修飾DNAアームが、前記アームの転移鎖の3’末端ヌクレオチドに、修飾塩基、合成塩基、またはヌクレオチド類似体を含む、請求項19または20に記載の方法。
  25. 前記修飾塩基、前記合成塩基、または前記ヌクレオチド類似体が、逆向きの塩基である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記修飾塩基、前記合成塩基、または前記ヌクレオチド類似体が、無塩基部位を含む、請求項24に記載の方法。
  27. 前記ヌクレオチド類似体が、ロックド核酸(LNA)、架橋核酸(BNA)、またはゼノ核酸(XNA)を含む、請求項24に記載の方法。
  28. 前記修飾DNAアームが、前記アームの転移鎖の3’末端ヌクレオチドに、リン酸、ジデオキシヌクレオチド、炭素リンカー、ヘキサンジオール、3炭素スペーサー、トリエチレングリコール、またはヘキサ−エチレングリコールをさらに含む、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. (b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームの量の、(a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームの量に対する前記比の変化が、前記平均断片サイズの変化をもたらす、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  30. (b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームの量の、(a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームの量に対する前記比の増加が、前記平均断片サイズの増加をもたらす、請求項29に記載の方法。
  31. (b)の前記組成物中の前記不活性トランスポゾソームの量の、(a)の前記組成物中の前記活性トランスポゾソームの量に対する前記比の減少が、前記平均断片サイズの減少をもたらす、請求項29に記載の方法。
  32. 前記標的DNAを前記不活性トランスポゾソームに接触させることを含まない方法と比較して、挿入バイアスの前記レベルが変化する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記標的DNAを前記不活性トランスポゾソームに接触させることを含まない方法と比較して、挿入バイアスの前記レベルが減少する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
  34. DNAを断片化する方法であって、標的DNAの試料を、
    (a)活性トランスポゾソームを含む組成物、および
    (b)DNA結合タンパク質を含む組成物
    に、トランスポゾソーム活性に好適な条件下で接触させることを含み、
    該DNA結合タンパク質が、トランスポザーゼでもトランスポゾソーム複合体でもなく、
    (b)の該組成物中の該DNA結合タンパク質の量の、(a)の該組成物中の該活性トランスポゾソームの量に対する比が、平均断片サイズおよび挿入バイアスのレベルを決定する、方法。
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