JP2019504085A - うっ血性心不全に罹っている対象を治療するためのリボースの使用 - Google Patents

うっ血性心不全に罹っている対象を治療するためのリボースの使用 Download PDF

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Abstract

うっ血性心不全に罹患しているヒト対象を治療するための方法を本明細書中で開示する。好ましい方法は、10g〜50gの用量のD−リボースを毎日うっ血性心不全に罹患している対象に経口投与することを含み、D−リボースを絶食後、単回用量で投与し、D−リボースの投与は、対象の心臓機能及び/又は身体機能を改善するために有効な期間にわたって継続される。【選択図】図1

Description

本願は、2016年2月1日に出願された米国特許出願第62/289,562号の恩恵を主張し、その全体を参照により本明細書に援用される。
米国では、推定580万人が、慢性心臓麻痺(CCF)又は慢性うっ血性心不全とも呼ばれる慢性心不全(CHF)に罹っており、男性と女性は同数である。これらのうち、およそ140万人が60歳以下の年齢である。CHFの有病率は実質的に増加しており、国立心肺血液研究所(NHLBI)統計資料によると毎年新規症例は400,000件と推定される。CHFは心疾患の最終段階であるので、CHFと診断された患者の半数は5年以内に死亡する。有病率、入院、死亡の増加のために、CHFは米国において主要な慢性的問題であり、入院の最も一般的な原因の1つとなっている。
CHF治療は現在のところ、ライフスタイルを大きく変えること、重大な副作用の可能性のある利尿薬及びACE阻害剤などの薬剤、及び外科手術を含む、既存の心不全の症状緩和に限定されている。原因となる病変自体を治療しない現行の心臓疾患治療法(すなわち、冠動脈ステント、弁置換術など)はすべて、本来は補助的である。例えば、一部の薬剤は体内で血管の拡張をもたらし、したがって心臓が克服しなければならない血流に対する抵抗を低減する。これは心筋細胞を直接治療しないが、心臓が果たすべき機能を軽減し、二次的利益をもたらす。
心不全患者を治療して対象の症状を軽減及び/又は心臓機能を改善する方法が引き続き必要とされている。
一態様において、本開示は、うっ血性心不全に罹患しているヒト対象を治療する方法を提供する。
一実施形態において、方法は、うっ血性心不全に罹患している対象に10g〜50gの用量のD−リボースを毎日経口投与することを含み、D−リボースは絶食後単回用量で投与され、D−リボースの投与は対象の心臓機能及び/又は身体機能を改善するために有効な期間にわたって継続される。
別の実施形態において、方法は、うっ血性心不全に罹患している対象に100mg/kg〜500mg/kgの用量のD−リボースを毎日経口投与することを含み、D−リボースを絶食後、単回用量で投与し、D−リボースの投与は、対象の心臓機能及び/又は身体機能を改善するために有効な期間にわたって継続される。
いくつかの実施形態において、対象は少なくとも3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、又はそれ以上絶食している。いくつかの実施形態では、D−リボースを、一晩絶食した後、朝に経口投与する。
ある実施形態において、D−リボースの投与をうっ血性心不全の治療が望まれる期間にわたって継続する。いくつかの実施形態では、D−リボースの投与は少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも3か月、少なくとも6か月、少なくとも1年間、又はそれ以上の期間にわたって継続される。
ある実施形態では、対象は、治療に先だって、進行した収縮機能障害又は拡張機能障害を示す。
ある実施形態では、対象は、治療に先立って、心不全の急性代償不全を示す。
ある実施形態において、治療後の対象の改善された身体機能としては、最大下又は最大運動能力の増加が挙げられる。
ある実施形態において、対象の改善された身体機能としては、疲労、呼吸困難、浮腫、全般的臨床状態、及び/又は他の医師若しくは患者由来の転帰の評価の改善が挙げられる。
ある実施形態では、D−リボースを投与することで、例えば、心臓サイズ若しくは重量の減少及び/又は心室径若しくは体積の減少を含む、心筋リモデリング速度の低下又は逆心筋リモデリングがもたらされる。
ある実施形態では、D−リボースの投与を投与することで、例えば、左室壁肥大、後壁肥大、及び/又は心室間壁肥大速度の減少を含む、心筋リモデリング速度の低下又は逆心筋リモデリングがもたらされる。
ある他の実施形態において、方法は、10g〜50gの1日量のD−リボースを単回用量でうっ血性心不全に罹患している対象に対して絶食後に経口投与し、そして対象に対してD−リボースの1日当たり0.01g〜50gの1以上の追加の用量を経口投与することを含み、D−リボースの投与は、対象の心臓機能及び/又は身体機能を改善するために有効な期間にわたって継続される。
ある他の実施形態において、方法は、100mg/kg〜500mg/kgの1日量のD−リボースを単回用量で絶食後にうっ血性心不全に罹患している対象に対して経口投与し、そして1日あたり0.1mg/kg〜500mg/kgの1以上の追加の用量のD−リボースを対象に対して経口投与することを含み、D−リボースの投与は、対象の心臓機能及び/又は身体機能を改善するために有効な期間にわたって継続される。
定義
用語「含む(comprises)」及びその変形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲で出現する場合に限定的な意味を有さない。
本明細書中で用いられる場合、「1つの(a、an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ(at least)」、及び「1つ以上(one or more)」は交換可能に用いられる。
さらに本明細書中では、端点による数値範囲の記述は、範囲内に含まれるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
本発明の様々な実施形態の上記簡単な説明は、本発明の各実施形態又はすべての実施を記載することを意図するものではない。むしろ、以下の説明及び特許請求の範囲を参照することにより、本発明のより完全な理解が明らかになり、認識されるであろう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、また構造変化をなすことができると理解されるべきである。
本明細書中で開示する好ましいマウスモデルにおけるマウスの群間での筋細胞(mycocyte)サイズの差を示す組織切片の図である。 本明細書中で開示される好ましいマウスモデルにおけるマウスの群間で線維化(明灰色)の程度の差を示す組織切片の図である。
D−リボースは、アデノシン三リン酸(ATP)、デオキシヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)、ならびに他の全てのヌクレオチド及びヌクレオシドなどの重要な生体化合物に構造的に不可欠なペントース糖である。
心筋ストレスを有する患者を治療するためのD−リボースの非経口投与は、米国特許第8,710,018(B2)号明細書(Foker)で開示されている。Fokerは、D−リボースの非経口投与が、心臓ストレスの結果としての心不全への進行を軽減し得ることを開示した。Fokerはさらに、退院すると、患者は約10〜20グラムのリボースの経口投与で、典型的には分割用量に変えてもよいことを開示している。この開示にもかかわらず、うっ血性心不全を発症した患者を、好ましくはD−リボースの非経口投与を使用せずに治療する方法が依然として必要とされている。
心血管若しくは末梢血管疾患に罹患している対象又はそのような状態の危険性がある対象の食事に追加するためのD−リボースの使用は、米国特許第7,553,817(B2)号明細書(Butler et al.)で開示されている。Butler et al.は、D−リボースのみを患者に対して少なくとも1日1回、2〜10グラムの単位投与形態で、例えば食事とともに経口投与することができることを開示した。これらの用量について心血管機能の改善が報告されたが、Butler et al.は、眩暈、悪心、及び発汗が付随する低血糖症などの副作用の発生を、起こり得る腹部苦悶及び下痢とともに軽減するために、さらに高い用量のD−リボースは回避すべきであることを示唆している。
健常な男性及び女性対象に対するD−リボースの経口投与に関する薬物動態が研究され、Thompson et al.によって報告されている(The Journal of Clinical Pharmacology, 54:546−554, 2013)。Thompson et al.は、これらの健常な対象について、D−リボースが代謝されるよりも速く吸収されることを報告した。食後すぐのD−リボースの投与は、D−リボースの血中レベルを絶食後投与で観察されるよりも大幅に減少させ、D−リボースの血中レベルは概して用量の増加に比例的であるよりも大きく増加することが観察された。
驚くべきことに、本発明者らは、安定うっ血性心不全を有する対象に対するD−リボースの経口投与についての薬物動態は、健常な対象について観察されるものとは著しく異なることを見出した。D−リボース(一晩絶食)の朝の経口用量は著しい血漿レベルをもたらしたが、安定うっ血性心不全の対象に対するD−リボース投与を前の食事後2時間にわたって行った場合でも、正午及び夜間の用量によって、投薬直前に食物を与えた健常な対象で観察されるものと同様に血中レベルが減少した。しかしながら、場合によっては、D−リボースの測定可能な血漿濃度がほとんど又は全く観察されず、これは健常な対象では起こらない現象であった。研究によってさらに、安定うっ血性心不全を有する対象について、10g未満の投与量ではD−リボースの治療域の血漿レベルが得られない可能性があることが示唆された。
マウスモデル
驚くべきことに、本発明者はまた、慢性圧負荷のマウスモデルにおいてD−リボースの投与後にリモデリング効果の証拠を観察した。このモデルにおいて、1日1回の皮下投与量のD−リボースで処置されたマウスは、未処置対照と比較してリモデリングの程度が有意に減少した。このリモデリング効果は、未処置対照よりも、小さな左室径、小さな心室壁厚、及び大きな短縮率値によって示された。加えて、心臓重量は、D−リボース処置動物よりも未処置対照において大きかった。さらに、これらのマウス心臓の組織学的評価により、D−リボース処置動物は、筋細胞寸法が有意に小さく(図1)、線維化の程度が有意に低い(図2)ことが明らかになった。研究は、2つのリボース処置群(高用量及び低用量)からなり、高用量処置群は未処置対照と比較して低用量群よりも良好に反応した。高用量は低用量群で観察されるよりも4倍大きいD−リボース曝露を提供し、用量効果の証拠を提供した。D−リボースの1日1回の皮下投与は、ヒトにおける1日1回の経口投薬を模倣することを意図した。皮下投与は、ヒトで起こらない現象である、げっ歯類の腸内で起こる高レベルの代謝を回避することができる。結論として、D−リボースの1日1回の投与は、慢性圧負荷でマウスにおいて起こるリモデリング速度を低下させ、より高いD−リボース用量がより大きな改善をもたらした。
イヌモデル
D−リボースの投与が、心不全の動物モデルにおいて心臓機能を改善できることが示された。これらの結果は、D−リボース処置動物の寿命延長によって示される。70kgのヒトにおいて10gの体重相当用量で1日1回経口D−リボースで処置した動物は、プラセボ動物よりも40%長く生存した。D−リボースは、根底にある心臓疾患のために酷使される心筋細胞におけるアデニレートプールを維持することによって心臓機能の保持を助けると仮定した。追加的D−リボースは、サルベージ又は新生経路のいずれかによる心筋細胞におけるATP合成の律速段階であり得るペントースリン酸シャントを介して細胞がD−リボースを合成する必要性を回避することができる。D−リボースが、低酸素ストレスを受けた動物の心臓におけるアデニレートプールのATP及び他の構成要素の回復率を増強できることがいくつかの研究によって示されている。しかしながら、冠動脈疾患、虚血性心疾患、拡張型心筋症、又は心不全に至る他の状態などの病状におけるミトコンドリア機能の低下に苦しんでいる対象においてD−リボース治療のさらなる利益があり得る。
実施例1:慢性圧負荷のマウスモデルにおけるD−リボース投与を用いた心筋リモデリング
マウスは上行大動脈狭窄(AAC)を受けて、LV肥大に至り、続いて重度のLV収縮機能障害及び関連する心不全が起こった。この状況において、心不全の進行に関連して、ミトコンドリアATP合成は減少し、ROS産生が増大する。ATPレベルの低下は、エネルギー欠損の増大による心臓機能の進行性消失に寄与し得る。増大したROSは重要な酵素の酸化及び還元性環境の低減をもたらす可能性があり、心臓リモデリングの局面であるアポトーシス及び線維化に至る。
マウスを4群、すなわち偽対照(同じ胸部外科手術であるが、狭窄はない)、AAC未処置、及びAAC D−リボース処置(高用量及び低用量)に分割した。注射用D−リボース(5%〜50%重量/体積)を皮下又は腹腔内注射により1日1〜4回、25〜500mg/kg体重の用量で投与した。D−リボース治療の開始後、すべての群の動物を、心エコーを使用して進行性心不全についてモニタリングした。LV容量、短縮率、及びLV壁厚を10週及び15週で測定した。LV拡張及び短縮率が充分に増大したら、動物を、電動の踏み車を使用した身体機能試験に供した。動物を1週間回復させ、動物の心臓を摘出し、筋細胞肥大及び線維化について組織学的に評価した。
心エコーデータによって、左室径(収縮期でp<0.01、拡張期でp=0.01)、左心室短縮率(p<0.01)及び全壁厚(p<0.03)においてAAC対象と比較して、高用量AAC D−リボース処置動物のリモデリングの程度が有意に低いことが明らかになった。低用量AAC D−リボース処置マウスは、これらの同じパラメータにおいて数値的改善を示したが、全壁厚だけが統計的に有意(p<0.04)であったことは、これらのD−リボースにより誘導された効果が用量依存性であることを示唆する。加えて、高用量AAC D−リボース処置マウスからの組織切片は、AAC対照マウスと比較して、有意に小さな筋細胞直径(p<0.05)を示し、また分染法によって測定した場合、有意に少ない線維化(p<0.05)を示した。
実施例2:慢性心不全を有する対象におけるD−リボースの薬物動態
D−リボース溶液の複数の経口投与量の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を、安定慢性心不全を有する14人の対象で研究した。ボーラス経口D−リボースが用量依存性一過性低血糖症を誘導する可能性があり、この用量依存性一過性低血糖症に先だって、インスリンレベルにおいて一過性のスパイクが生じることは周知である。これは、血糖値が充分に大幅に降下する対象において症候性低血糖を引き起こす可能性がある。この一過性低血糖症はD−リボース治療の用量を規制する副作用であるが、コップ1杯のフルーツジュースを飲むことによって容易に克服される。この理由から、対象にまず10gの用量を投与し、絶食し、続いて5時間後に、先の食事後少なくとも2.5時間で5gを投与した。10gの用量に対して忍容性を示した対象は、10gの用量で試験の残りを完了した。対象が10gの用量に対して忍容性を示さないが、5gの用量に対して忍容性を示した場合、動物は試験の残りを5gの用量で完了した。すべての対象は10gの用量に対して忍容性を示し、したがって試験の残りは10gの用量のみを使用して実施した。次の2日間、対象に、絶食した朝の投薬を午前7時ごろに始めて、10gのD−リボース溶液を1日3回、5時間間隔で投与した。先の食事の完了後約2.5時間で2回目及び3回目の一日用量が投与されるように、食事は各投薬の2時間後に提供した。投薬の第3日に、対象に16gのグルコースを含む咀嚼錠の単回用量を、あらかじめ決められたランダム化スケジュールに従って投薬後0、30、及び60分に投与した。これの目的は、グルコースが症候性低血糖(観察される場合)を減弱できるか否か、又はD−リボース吸収の血液中への吸収速度若しくは程度に影響を及ぼすか否かを判定することであった。D−リボース及びインスリンの血中レベルは、試験全体にわたってあらかじめ決められた時点で測定した。血糖値は試験全体にわたって連続してモニタリングした。この試験から4つの主な転帰が明らかになった。10gのD−リボースのボーラス経口投与量は良好な忍容性を示し、絶食時投薬(fasted dose)でも症候性低血糖のエピソードはなかった。5gのD−リボースの正午投薬後のD−リボースの平均血中レベルは、10gの絶食時の朝の投薬よりも30倍低い曝露をもたらした。D−リボースの正午及び夜間投薬からの血中レベルは、10gの絶食時朝投薬の血中レベルのほぼ40%であったが、さらに重要なことには、これらの非絶食時投薬の30%は、10gの絶食時投薬で観察されたものの15%よりも低い血中レベルをもたらした。この現象は、正常な対象では観察されず、心不全患者に独特のもののようである。そして、投薬後0〜60分で投与した追加的グルコースは、血中へのD−リボース吸収に対して影響を及ぼさなかった。
実施例3:D−リボース治療に起因する心不全のイヌモデルにおける寿命延長
慢性心臓ペーシングによって心不全を誘発するために使用される心臓ペーシング装置を外科手術によりイヌに移植した。加えて、大動脈カテーテル、冠状静脈洞カテーテル(採血用)、左心室カテーテル及び圧力トランスデューサー、左心室圧電性結晶、及び左冠動脈回旋枝中の遷音速フロープローブを移植して、様々な血行動態パラメータを測定し、また冠静脈血を採取した。外科手術から回復した後、動物を210心拍数(bpm)の割合で3週間ペース調整し、続いて350bpmの増加した割合で、これを動物が死に至るまで続けた。血行動態及び代謝測定をペース調整期間(pacing period)全体にわたって予定に基づいて行った。イヌを150mg/kgのD−リボース溶液で経口により1日1回(絶食)又は1日3回処置した。プラセボのイヌには等体積の水を与えた。D−リボース治療はペース調整開始後10日に開始し、動物が死に至るまで続けた。D−リボース処置したイヌとプラセボとの間で血行動態又は他の代謝量(metabolic measure)において有意差はなかった。しかしながら、1つの重大な違いは、D−リボース処置動物がどれだけ長く生存したかであった。1日1回処置したイヌは平均38.3日生存したのに対し、プラセボ動物については27.3日であった(p<0.03)。さらに、1日3回(tid)D−リボースで処置したイヌの群は1日1回処置したイヌの群よりも少ない動物で構成されていたが、tid群は平均で30.5日生存し、これはプラセボ動物と統計的に有意に異ならなかった(p>0.20)。この改善の血行動態又は代謝的根拠は観察されなかったが、70kgのヒトにおいて10gに等しい経口投与量で1日1回処置されたイヌはプラセボ動物よりも40%長く生存した。
実施例4:D−リボースを摂取したNYHAクラスII〜IV心不全を有する患者に対する機能的改善
溶液用経口D−リボース粉末を用量あたり10〜50グラムの用量で1日1回、絶食時(例えば、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、又はそれ以上)に投与した。溶液用D−リボース粉末を50〜250mLの水中又は透明な飲料中に溶解させ、15〜60分の期間以内で消費させる。D−リボースは絶食した患者に投与するのが好ましい。患者にD−リボースを少なくとも2週間の期間にわたって投与するが、場合により残りの寿命にわたって投与する。3ヶ月から1年の期間以内に、少なくとも一部の実施形態において、D−リボースを摂取している患者は、D−リボースを摂取していない患者と比較して、疲労、呼吸困難、浮腫、全般的臨床状態、及び/又は他の医師若しくは患者由来の転帰の改善された評価を示し得る。加えて、少なくとも一部の実施形態において、患者は、6分歩行試験(Six Minute Walk Test)においてより長い歩行距離によって示され得る改善された最大下運動能力又は心肺運動負荷(CPX)試験によって示され得る最大運動能力を示す可能性がある。
実施例5:D−リボースを摂取するNYHAクラスII〜IV心不全を有する患者に対する改善されたリモデリング効果
溶液用経口D−リボース粉末を用量あたり10〜50グラムの用量で1日1回、絶食時(例えば、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、又はそれ以上)に投与する。溶液用D−リボース粉末を50〜250mLの水又は透明な飲料中に溶解させ、15〜60分の期間以内に消費させる。D−リボースを絶食時に投与するのが好ましい。患者にD−リボースを少なくとも2週間の期間にわたって投与するが、場合により残りの寿命にわたって投与する。3ヶ月から1年の期間以内に、少なくとも一部の実施形態において、D−リボースを摂取する患者は、プラセボを摂取する患者よりも、低い左心室収縮期容積指数(LVESVI)、低い左心室拡張期容積指数(LVEDVI)、高い駆出率(EF)、高いdP/dtmax値、低いdP/dtmin値、及び/又は高い心拍出量を有し得る。
実施例6:急性非代償性心不全のために入院しD−リボース治療された患者における呼吸困難及び/又は浮腫の症状改善
急性代償性心不全で入院した患者に、溶液用経口D−リボース粉末を用量あたり10〜50グラムの用量で1日1回絶食時(例えば、3時間、4,時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、又はそれ以上)に投与することができる。溶液用D−リボース粉末を50〜250mL(好ましくはこの場合では50mL)の水又は透明な飲料中に溶解させ、15〜60分の期間以内に消費させる。D−リボースを絶食した患者に投与することが好ましい。呼吸困難の症状及び水分過負荷が安定化するまで患者を治療する。少なくともいくつかの実施形態において、経口D−リボース溶液を摂取する患者は、利尿薬のみを摂取する患者よりも有意に短い期間内で呼吸困難症状の低減を示し得る。
本明細書中で引用するすべての特許、特許出願、及び刊行物、ならびに電子的に利用可能な資料(例えば、GenBankアミノ酸及びヌクレオチド配列寄託;及びタンパク質データバンク(pdb)寄託)の完全な開示は、参照により本明細書に援用される。前記詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためだけに提示した。それからの不必要な限定は理解されない。本発明は、示され記載された詳細に限定されず、当業者には明らかな変形は特許請求の範囲で定義される発明に含まれる。

Claims (26)

  1. うっ血性心不全に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、
    うっ血性心不全に罹患している対象に対して10g〜50gの用量のD−リボースを毎日経口投与することを含み、前記D−リボースを絶食後、単回用量で投与し、前記D−リボース投与は、前記対象の心臓機能、前記対象の身体機能、又は前記対象の心臓及び身体機能の両方を改善するために有効な期間にわたって継続される、前記方法。
  2. うっ血性心不全に罹患しているヒト対象を治療する方法であって、
    うっ血性心不全に罹患している対象に対して100mg/kg〜500mg/kgの用量のD−リボースを毎日経口投与することを含み、前記D−リボースを絶食後、単回用量で投与し、前記D−リボース投与が、前記対象の心臓機能、前記対象の身体機能、又は前記対象の心臓及び身体機能の両方を改善するために有効な期間にわたって継続される、前記方法。
  3. 前記対象が少なくとも3時間絶食している、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記対象が少なくとも4時間絶食している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記対象が少なくとも5時間絶食している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記対象が少なくとも6時間絶食している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記対象が少なくとも7時間絶食している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記対象が少なくとも8時間絶食している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記対象が少なくとも9時間絶食している、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記対象が少なくとも10時間絶食している、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記対象が少なくとも11時間絶食している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記対象が少なくとも12時間絶食している、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記対象が12時間を超えて絶食している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記D−リボースを一晩絶食後の朝に投与する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記D−リボース投与が少なくとも2週間の期間にわたって継続される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記D−リボース投与が少なくとも3週間の期間にわたって継続される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記D−リボース投与が少なくとも3ヶ月の期間にわたって継続される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記D−リボース投与が少なくとも6ヶ月の期間にわたって継続される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記D−リボース投与が少なくとも1年間の期間にわたって継続される、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記対象が、治療に先立って、進行した収縮機能障害又は拡張機能障害を示す、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記対象が、治療に先立って、心不全の急性代償不全を示す、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記対象の前記改善された身体機能が増大した最大下又は最大運動能力を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記対象の前記改善された身体機能は、疲労、呼吸困難、浮腫、全般的臨床状態、他の医師由来の転帰、他の患者由来の転帰、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される改善された評価を含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記D−リボースの投与が、心筋リモデリング速度の低下又は逆心筋リモデリングをもたらす、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記D−リボースの投与が、心臓サイズの減少、心臓重量の減少、心室径の減少、心室容積の減少、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される転帰を提供する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記D−リボースの投与が、左室壁肥厚率の減少、後壁肥厚率の減少、心室間壁肥厚率の減少、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される転帰を提供する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の方法。
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