JP2019504063A5 - - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JP2019504063A5
JP2019504063A5 JP2018535307A JP2018535307A JP2019504063A5 JP 2019504063 A5 JP2019504063 A5 JP 2019504063A5 JP 2018535307 A JP2018535307 A JP 2018535307A JP 2018535307 A JP2018535307 A JP 2018535307A JP 2019504063 A5 JP2019504063 A5 JP 2019504063A5
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biomarker
compound
optionally substituted
cancer
level
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018535307A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6880037B2 (ja
JP2019504063A (ja
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority claimed from PCT/US2017/012496 external-priority patent/WO2017120446A1/en
Publication of JP2019504063A publication Critical patent/JP2019504063A/ja
Publication of JP2019504063A5 publication Critical patent/JP2019504063A5/ja
Priority to JP2021077686A priority Critical patent/JP7113942B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6880037B2 publication Critical patent/JP6880037B2/ja
Priority to JP2022118437A priority patent/JP2022166014A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用
1.技術分野
本発明で提供するのは、いくつかの実施形態では、がん(例えば、リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)及び急性骨髄性白血病(AML)などの白血病)のような様々な疾患と障害の患者において、特定の化合物に対する臨床的感度と治療応答性を予測及びモニタリングする際に、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物などの特定のバイオマーカーを使用する方法である。さらに提供するのは、この方法を行うためのキットである。また、提供するのは、特定の実施形態では、疾患の治療における、化合物の有効性を判断する方法である。
2.背景技術
がんは、一定の正常な組織に由来する異常細胞数の増加、隣接組織へのこれらの異常細胞の浸潤、またはリンパもしくは血液による、所属リンパ節及び遠隔部位への悪性細胞の拡散(転移)によって主に特徴付けられる。概して、がんは、固形がんと血液がんに分類される。固形がんの例としては、メラノーマ、副腎癌、乳癌、腎細胞癌、膵臓癌及び小細胞肺癌(SCLC)などが挙げられるが、これらに限らない。
血液がんには概して、リンパ腫、白血病及び骨髄腫という3つの主なタイプが含まれる。リンパ腫とは、リンパ系に由来するがんを指す。リンパ腫としては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)及び末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)などが挙げられるが、これらに限らない。白血病とは、造血組織の悪性新生物を指す。急性白血病は主に、未分化細胞集団に関するものであり、慢性白血病は、より成熟した細胞形態に関するものである。急性白血病は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)と急性骨髄芽球性白血病(AML)のタイプに分けられる。The Merck Manual,946−949(17th ed.1999)。慢性白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)または慢性骨髄性白血病(CML)に分けられる。The Merck Manual,949−952(17th ed.1999)。骨髄腫は、骨髄中の形質細胞のがんである。骨髄腫は、多くの部位において、骨髄中で生じることが多いので、多発性骨髄腫(MM)という場合が多い。
現在のがん治療は、患者の腫瘍性細胞を根絶するための手術、化学療法、ホルモン療法及び/または放射線治療を伴うことがある(例えば、Stockdale,Medicine,vol.3,Chapter12,Section IV(Rubenstein and Federman eds.,1998を参照されたい)。最近では、がん治療は、生物学的療法または免疫療法を伴うこともできる。これらのアプローチはいずれも、患者に大きな不利益をもたらすことがある。
したがって、がん(リンパ腫(例えばNHL)、MM、白血病(例えばAML)及び固形がんが挙げられるが、これらに限らない)の患者の治療に用いることのできる新たな方法、治療及び組成物に対する需要は非常に大きい。
がんの治療に安全かつ有効に用いることができる化合物をもたらすために、多くの研究が行われている。これらの化合物の臨床的有効性を正確に予測することは容易にはできない。通常、最低でも数カ月の治療を必要とする患者の応答の点でしか測定できないからである。従来の方法の欠点に鑑みると、特定の化合物の薬力学的な活性の検出、定量及び特徴付けを行うための効率的で高感度かつ正確な方法を開発するニーズが存在する。本発明は、これらのニーズとその他のニーズを満たすものである。
3.発明の概要
一態様では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
別の態様では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
別の態様では、本発明で提供するのは、がんの治療方法であって、
(a)そのがんである対象から試料を採取することと、
(b)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(c)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
(d)その治療化合物を治療上有効な量、その対象に投与することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、対象のがんの治療における治療化合物の有効性のモニタリング方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルを、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと比較することであって、その参照と比較したときのレベルの変化によって、その対象のがんの治療におけるその治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、参照よりもレベルが上昇していることによって、対象のがんの治療における治療化合物の有効性が示される。別の実施形態では、参照よりもレベルが低下していることによって、対象のがんの治療における治療化合物の有効性が示される。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、その方法は、治療化合物に応答する可能性が高いと診断された対象に、その治療化合物を治療上有効な量投与することをさらに含む。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、その方法は、第2の活性剤または支持療法剤を治療上有効な量投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この第2の活性剤は、造血成長因子、サイトカイン、抗がん剤(例えばチェックポイントインヒビター)、抗生物質、cox−2インヒビター、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、がん抗原に特異的に結合する治療抗体、またはそれらの薬理学的に活性な変異体もしくは誘導体である。特定の実施形態では、この抗がん剤は、チェックポイントインヒビターである。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「免疫調節化合物」または「免疫調節剤」という用語は、LPS誘導性単球TNF−α、IL−1β、IL−12、IL−6、MIP−1α、MCP−1、GM−CSF、G−CSF及びCOX−2の1つ以上の産生を阻害する特定の有機小分子を含むことができる。本明細書に開示されている免疫調節化合物は、TNF−α mRNAの分解を高めることができる。さらに、理論に拘束されるものではないが、本明細書に開示されている免疫調節化合物は、T細胞の強力な共刺激因子であるとともに、細胞の増殖を用量依存的な形で劇的に増大させることができる。また、本明細書に開示されている免疫調節化合物は、CD4+T細胞サブセットに対する共刺激作用よりも、CD8+T細胞サブセットに対する共刺激作用の方が大きくてよい。加えて、この化合物は、骨髄系細胞の応答に対する抗炎症特性を有することができるが、T細胞を効率的に共刺激して、IL−2、IFN−γをさらに多い量で産生させ、T細胞の増殖とCD8+T細胞の細胞障害活性を高めることもできる。さらに、特定の理論に拘束されるものではないが、本明細書に開示されている免疫調節化合物は、サイトカインの活性化を通じて間接的に、また直接、ナチュラルキラー(「NK」)細胞とナチュラルキラーT(「NKT」)細胞に作用できるとともに、NK細胞が有益なサイトカイン(IFN−γなどであるが、これに限らない)を産生する能力を高めて、NK細胞とNKT細胞の細胞障害活性を高めることができる。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、参照は、治療化合物を対象に投与する前に、その対象から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、参照は、がんではない健常な対象から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、参照は、がんではない健常な対象群から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、参照は、がんである第2の対象から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。本発明で提供する各種方法のさらに別の実施形態では、参照は、がんの対象群から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、MMである。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。別の実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)または急性骨髄性白血病(AML)である。具体的実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、白血病は、再発性であるか、難治性であるか、または従来療法に対して耐性である。いくつかの実施形態では、がんは、骨髄異形成症候群(MDS)である。
本発明で提供する方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質である。特定の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接影響されるタンパク質(CRBN基質など)である。別の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに間接的に影響されるタンパク質(CRBN基質に影響される下流タンパク質など)である。本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)である。いくつかの実施形態では、このCAPは、CRBNの基質である。いくつかの実施形態では、CAPは、特定の条件下におけるCRBNの結合パートナーである。いくつかの実施形態では、CAPは、CRBN基質の影響を受ける下流因子である。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、小胞体ストレス応答(UPR)における機能を有するものである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、GCN2関連シグナリング経路における機能を有するものである。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、XBP1関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、アポトーシス経路における機能を有するものである。別の実施形態では、バイオマーカーは、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)経路のRNA基質である。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1及びGSPT2からなる群から選択したeRF3ファミリーメンバーである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1及びGSPT2からなる群から選択したeRF3ファミリーメンバーであり、そのバイオマーカーのレベルは、参照よりも低い。一実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1である。別の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1であり、GSPT1のレベルは、参照よりも低い。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2であり、GSPT2のレベルは、参照よりも低い。
特定の実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1であり、IKZF1のレベルは、参照よりも低い。
特定の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されており、そのバイオマーカーのレベルは、参照よりも高い。一実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。一実施形態では、バイオマーカーは、ATF4であり、ATF4のレベルは、参照よりも高い。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF3であり、ATF3のレベルは、参照よりも高い。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3であり、DDIT3のレベルは、参照よりも高い。
特定の実施形態では、バイオマーカーは、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物からなる群から選択されており、そのバイオマーカーのレベルは、参照よりも高い。一実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPである。別の実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3 NMD転写産物である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6 NMD転写産物である。一実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPであり、切断PARPのレベルは、参照よりも高い。別の実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3 NMD転写産物であり、SRSF3 NMD転写産物のレベルは、参照よりも高い。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6 NMD転写産物であり、SRSF6 NMD転写産物のレベルは、参照よりも高い。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーのタンパク質レベルを割り出すことによって測定する。
本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、本発明で提供する方法は、試料内のタンパク質と、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する第1の抗体とを接触させることをさらに含む。
一実施形態では、本発明で提供する方法は、
(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、その第2の抗体が、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合するとともに、その第2の抗体が、バイオマーカータンパク質上のエピトープのうち、第1の抗体とは異なるエピトープに免疫特異的に結合する、前記接触させることと、
(ii)バイオマーカータンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出することと、
(iii)第2の抗体における検出可能な標識の量に基づき、バイオマーカータンパク質の量を割り出すことと、をさらに含む。
別の実施形態では、本発明で提供する方法は、
(i)バイオマーカータンパク質に結合した第1の抗体と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、その第2の抗体が、第1の抗体に免疫特異的に結合する、前記接触させることと、
(ii)第1の抗体に結合した第2の抗体の存在を検出することと、
(iii)第2の抗体における検出可能な標識の量に基づき、バイオマーカータンパク質の量を割り出すことと、をさらに含む。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーのmRNAレベルを割り出すことによって測定する。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーのcDNAレベルを割り出すことによって測定する。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、治療化合物は、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、ハロ置換アリールであり、
とRはそれぞれハロである。
一実施形態では、治療化合物は、
2−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メトキシフェニル)アセトアミド、
2−(3−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−p−トリルアセトアミド、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(2−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
2−(4−tert−ブチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド、
2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル)アセトアミド、
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−o−トリルアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(3−ブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−m−トリルアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
2−(3,4−ジフルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロピルフェニル)アセトアミド、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−メトキシフェニル)アセトアミド、
2−(4−シクロプロピルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロ−2−メチルフェニル)アセトアミド、
2−(3−クロロ−2−メチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)アセトアミド、
2−(4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−シクロヘキシル−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)アセトアミド、
2−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(ピペリジン−1−イル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−モルホリノフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシ−4−フルオロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(モルホリノメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシ−3−メチルフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロ−4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
2−(3−クロロ−4−イソプロポキシフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−メチル−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(5−クロロピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−フルオロピリジン−2−イル)アセトアミド、
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−ブロモフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−ヒドロキシシクロペンチル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−メチル−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(3−エトキシピリジン−2−イル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−メチルピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシ−6−フルオロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシ−5−フルオロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−シクロペンチル−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(3−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(4−クロロ−2−エトキシフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(メチルアミノ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルシクロヘキシル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−イソプロポキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メチル−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−イソプロピルピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(メチルスルホニル)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(3−(メチルスルホニル)プロピル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(2−フルオロプロパン−2−イル)フェニル)アセトアミド、
2−(1−ベンジル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−メトキシピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)アセトアミド、
2−(5−tert−ブチルピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(5−シクロプロピルピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−イソプロポキシピリジン−2−イル)アセトアミド、
2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロシクロヘキシル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(メチルスルホニル)フェニル)アセトアミド、
2−(2−アミノピリミジン−5−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−(トリフルオロメチルチオ)ピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)アセトアミド、
2−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(ピリミジン−4−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−モルホリノエトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(3−(2−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−4−イル)アセトアミド及び
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)アセトアミドからなる群から選択されている。
具体的実施形態では、治療化合物は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物D)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である。
別の具体的実施形態では、治療化合物は、2−(4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物E)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である。
4.図面の簡単な説明
図1A及び1Bには、化合物Dが、各種のAML細胞株において、GSPT1の分解を誘導したことが示されている。図1Aには、NB4細胞株において、化合物Dが、GSPT1とIKZF1の分解(プロテアソームインヒビターMG132によってブロックできる)を誘導したことが示されている。図1Aには、ポマリドミドとレナリドミドが、IKZF1の分解を誘導したが、GSPT1レベルには有意な作用は及ぼさなかったことも示されている。図1Bには、化合物Dが、HNT−34、KG−1、HL−60及びU937を含む4つの異なるAML細胞株において、GSPT1の分解を様々な程度で誘導したことが示されている。図1Bには、化合物Dが、非感受性AML細胞株OCI−AML3において、GSPT1に対してほとんど作用を及ぼさなかったことも示されている。
図2A〜2Dには、OCI−AML2細胞とMOLM−13細胞において、化合物Dの抗増殖作用と、化合物Dの誘導による、GSPT1の分解が、CRBN依存性であることが示されている。図2A及び2Bには、OCI−AML2細胞(図2A)とMOLM−13細胞(図2B)において、化合物Dの抗増殖作用が、CRBN依存性であることが示されている。図2C及び2Dには、OCI−AML2細胞(図2C)とMOLM−13細胞(図2D)において、化合物Dの誘導による、GSPT1の分解が、CRBN依存性であることが示されている。
図3A〜3Cには、GSPT1の安定化により、化合物Dの抗増殖作用が阻害されたことが示されている。図3Aには、完全長GSPT1と、1〜138番目のアミノ酸が欠失したGSPT1の配列が示されている。図3Bには、HA−GSPT1−G575NとHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575NにおけるG575Nという変異によって、化合物Dの誘導による、HA−GSPT1とHA−GSPT1−Δ(1−138)の分解が防止されたことが示されている。図3Cには、安定化したGSPT1−G575NとGSPT1−Δ(1−138)−G575Nの過剰発現によって、化合物Dの抗増殖作用が阻害されたことが示されている。
図4A〜4Kには、各種細胞株において、GSPT1特異的shRNAによって、GSPT1の発現がノックダウンされ、細胞の増殖が阻害されたことが示されている。図4Aには、GSPT1特異的shRNA(shGSPT1−1、shGSPT1−2、shGSPT1−3及びshGSPT1−4など)を発現する293FTヒト胎児腎細胞において、様々な程度で細胞の増殖が阻害されたことと、shGSPT1−4を用いてGSPT1を枯渇したところ、eRF1とCRBNのレベルが低下したことが示されている。図4B〜4Kには、KG1(図4B及び4E)、U937(図4C及び4E)、NB−4(図4D及び4E)、Kasumi−1(図4F及び4I)、HL−60(図4G及び4I)、MV−4−11(図4H及び4I)、ならびにOCI−AML3(図4J及び4K)を含む7つのAML細胞株において、GSPT1の発現がノックダウンされたこと(図4E、4I及び4K)と、細胞の成長が阻害されたこと(図4B〜4D、4F、4H及び4J)が示されている。
図5A〜5Hには、各種のAML細胞株において、GSPT1の過剰発現によって、化合物Dの抗増殖作用が低下したことが示されている。図5A〜5Dには、ヒト組織球性リンパ腫細胞株U937(図5A及び5B)と、急性骨髄性白血病細胞株MOLM−13(図5C及び5D)において、化合物D(図5A及び5C)と化合物E(図5B及び5D)によって、細胞の増殖が阻害されたことと、ゲノム編集ツールのCRISPRを用いてCRBNを枯渇させることによって、抗増殖作用が妨げられたとともに、EF1aプロモーターによって、外因性GSPT1を過剰発現させることによって、抗増殖作用が劇的に低下したことが示されている。図5E〜5Hには、OCI−AML2細胞(図5E及び5F)とMOLM−13細胞(図5G及び5H)において、GSPT1(図5F及び5H)の過剰発現によって、化合物D(図5E及び5G)の抗増殖作用が低下したことが示されている。
図6A〜6Eには、GSPT1の枯渇によって、急性骨髄性白血病細胞株AML3及びKG1が、化合物Dと化合物Eに感作されたことが示されている。図6A〜6Dには、KG1細胞(図6A及び6B)とAML細胞(図6C及び6D)において、GSPT1の発現をshGSPT1−1またはshGSPT1−3によってダウンレギュレーションしたところ、化合物D(図6A及び6C)と化合物E(図6B及び6D)が、特に高濃度で、抗増殖作用を示したことと、その抗増殖作用が向上したことが示されている。図6Eには、shGSPT1−1とshGSPT1−3の両方によって、GSPT1とeRF1の発現が低下したことが示されている。
図7A及び7Bには、ヒト急性骨髄芽球性白血病細胞株KG1において、化合物Dの誘導による小胞体ストレス応答(UPR)が、アポトーシス細胞死よりも先に生じたことが示されている。図7Aには、化合物Dによって、GSPT1とBIP(CT−RmAbによって検出した場合)の分解が誘導されたことが示されている。図7Bには、化合物Dによる処置に応答して、p−eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、切断カスパーゼ3及び切断PARPのレベルが上昇したことが示されている。
図8A及び8Bには、KG1細胞において、化合物Dと化合物Eによって、アポトーシスが誘導されたことが示されている。図8Aには、化合物Dと化合物Eの両方によって、GSPT1、GSPT2及びBIP(CT−Abによって検出した場合)のレベルが低下したことが示されている。図8Bには、化合物Dと化合物Eの両方によって、ATF−3、DDIT3、切断カスパーゼ3及び切断PARPのレベルが上昇したことが示されている。
図9A及び9Bには、KG1細胞において、アポトーシスマーカーの出現よりも先に、化合物Dの誘導による、ATF4経路の活性化が生じたことが示されている。図9Aには、化合物Dによって、GSPT1の分解が誘導されたとともに、化合物Dによる処置から2時間後には、p−eIF2α、ATF4、ATF3及びCHOP(すなわちDDIT3)のレベルが上昇したことが示されている。図9Bには、化合物Dによる処置からおよそ6時間後に、切断カスパーゼ8、切断カスパーゼ9、切断カスパーゼ3、切断カスパーゼ7及び切断PARPのようなアポトーシスマーカーのレベルが上昇したことが示されている。
図10A及び10Bには、OCI−AML2細胞において、GSPT1の安定化によって、化合物Dによる、ATF4経路の活性化が阻止されたことが示されている。図10Aには、HA−GSPT1−G575NとHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575NにおけるG575Nという変異によって、化合物Dの誘導による、HA−GSPT1とHA−GSPT1−Δ(1−138)の分解が防止されたことが示されている。p−eIF2α、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3(図10A)、切断カスパーゼ8、切断カスパーゼ9、切断カスパーゼ3、切断カスパーゼ7及び切断PARP(図10B)のレベルが変化しなかったことによって示されているように、GSPT1の安定化によって、化合物Dによる、ATF4とアポトーシス経路の活性化が阻止された。
KG−1細胞において、化合物Dによって、ATF4経路が活性化されたことが示されている。
KG−1細胞において、化合物Dによって、IRE1経路とATF6経路が活性化されたことが示されている。
U937細胞において、PERKの消失によって、TGの誘導によるUPRとアポトーシスが遅延したことが示されている。
U937細胞では、PERKの消失によって、化合物Dの誘導によるUPRとアポトーシスが影響を受けなかったことが示されている。
U937細胞において、GCN2の消失によって、化合物Dの誘導による、ATF4と切断カスパーゼ3の増大がブロックされたことが示されている。
U937細胞において、GCN2の枯渇によって、化合物Dによる、アポトーシスの用量依存的な誘導が妨げられたことが示されている。
U937細胞において、化合物Dによって、ATF4とアポトーシス経路の活性化が時間依存的に誘導されたことと、GCN2の枯渇によって、これらの作用が妨げられたことが示されている。
図18A及び18Bには、AML細胞株OCI−AML2(図18A)とMV−4−11(図18B)において、GCN2のノックアウトによって、化合物Dの誘導による、ATF−4経路とアポトーシスの誘導が阻止されたことが示されている。
OCI−AML2細胞において、化合物Dの誘導によるアポトーシスには、HRIが不要であることが示されている。
OCI−AML2細胞において、化合物Dの誘導によるアポトーシスには、PKRが不要であることが示されている。
IRE1の除去によって、TG(上のパネル)または化合物D(下のパネル)の誘導による、XBP1の蓄積が防止されたことが示されている。
化合物Dによる、ATF4経路の活性化とアポトーシスの誘導には、IRE1が不要であることが示されている。
同じ遺伝的背景を有するU937細胞において、GCN2の消失によって、化合物Dによるアポトーシスの誘導が妨げられたことが示されている。
GCN2の過剰発現によって、化合物Dに対する細胞の感度が低下したことが示されており、これは、ATF4経路の低レベルの慢性的活性化によるものと見られる。
図25A〜25Cには、U937 GCN2ノックアウト細胞において、野生型のGCN2の再導入によって、化合物Dの誘導による、ATF−4経路の活性化、アポトーシス及び抗増殖性が回復したが、変異体GCN2の再導入によっては回復しなかったことが示されている。図25Aには、U937クローン3細胞と、GCN2−/− 4−3によるGCN2ノックアウトU937細胞と、EF1a−GCN2をトランスフェクションしたGCN2ノックアウトU937細胞と、PGK−GCN2をトランスフェクションしたGCN2ノックアウトU937細胞とを播種した48ウェルプレート中のCell TiterGloが示されている。図25Bには、野生型のGCN2の再導入によって、化合物Dの誘導による、ATF−4経路の活性化とアポトーシスが回復したが、変異体GCN2の再導入によっては回復しなかったことが示されている。図25Cには、野生型のGCN2の再導入によって、化合物Dの抗増殖作用が回復したが、変異体GCN2の再導入によっては回復しなかったことが示されている。
図26A及び26Bには、翻訳リードスルーが、p−eIF2αレベルの上昇の原因ではないことが示されている。図26Aには、化合物DとG418によって、翻訳リードスルーが同程度のレベルで誘導されたことが示されている。図26Bには、化合物Dによって、p−eIF2αレベルが上昇したが、G418による影響はなかったことが示されている。
ATF4、ATF3及びDDIT3が、化合物D及び化合物Eの誘導によるアポトーシスの予測バイオマーカーとして機能することと、化合物Dまたは化合物Eによる処理に応答して、GSPT1のレベルが低下し、p−eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、切断カスパーゼ3及び切断PARPのレベルが上昇したことが示されている。
図28A及び28Bには、GSPT1を、PBMCにおける化合物の毒性のバイオマーカーとして使用できることが示されている。図28Aには、正常な末梢血単核球(PBMC)における化合物の毒性の予測が示されている。図28Aには、化合物Dと化合物Eによって、GSPT1の発現が低下したが、p−eIF2α、ATF3(スプライシングバリアント中の可能性が高い)及びDDIT3のレベルが上昇し、その結果、切断カスパーゼ3の増大により、カスパーゼ3が活性化したことが示されている。そして、その切断カスパーゼ3が、PARPを切断することによってPARPを不活化し、アポトーシスを誘導した。図28Bには、2人の正常なドナー(ID番号4328及び4379)と2人のAML患者(ID番号11SH及び09P6)から得たPBMCにおいて、化合物Dによる処置に応答したGSPT1レベルが示されている。
図29A〜29Jには、各種のAML細胞株において、化合物Dが、UPR経路の活性化とNMD経路の阻害に及ぼした作用が示されている。図29A〜29Fには、KG−1細胞において、化合物Dによる処理が、UPR経路とNMD経路に及ぼした作用が示されている。図29A及び29Bには、化合物Dによって、ATF3(図29A)とDDIT3(CHOP)(図29B)のmRNAレベルが上昇したことが示されている。図29C及び29Dには、化合物Dによって、SRSF3−1(NMD転写産物)(図29C)のmRNAレベルが上昇したが、SRSF3−3(正常転写産物)(図29D)のmRNAレベルは上昇しなかったことが示されている。図29E及び29Fには、化合物Dによって、SRSF6−1(NMD転写産物)(図29E)のmRNAレベルが上昇したが、SRSF6−3(正常転写産物)(図29F)のmRNAレベルは上昇しなかったことが示されている。図29G〜29Jには、HL−60細胞において、化合物Dによる処理が、UPR経路とNMD経路に及ぼす作用が示されている。化合物Dによって、ATF3(図29G)、DDIT3(CHOP、図29H)、SRSF3 NMD転写産物(図29I)、SRSF6 NMD転写産物(図29J)のレベルが上昇したが、SRSF3非NMD(正常)転写産物(図29I)及びSRSF6非NMD(正常)転写産物(図29J)は上昇しなかった。
図30A〜30Dには、KG−1(図30A及び30B)とHL−60(図30C及び30D)における、GSPT1の減少、UPR経路の活性化及びNMD経路の阻害と、アポトーシス誘導との相関関係が示されている。図30A〜30Cでは、24時間時点におけるカスパーゼ3/7の活性化が、8時間時点におけるGSPT1タンパク質の低下と、ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物の向上と比較されている。図30B〜30Dでは、48時間時点におけるカスパーゼ3/7の活性化が、8時間時点におけるGSPT1タンパク質の低下と、ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物の向上と比較されている。
図31A及び31Bには、試験したAML細胞株のうち最も感受性の高いHNT−34において、化合物Dによって、アポトーシスが誘導されたことが示されている。図31Aには、異なる処理時間長における化合物Dのアポトーシス誘導のEC50値が示されている。図31Bには、異なる処理時間長において、各種濃度の化合物Dによって誘導されたアポトーシスレベルが示されている。
図32A〜32Gには、HNT−34細胞においては、化合物Dによって、UPR経路が誘導され、その後、アポトーシスが誘導された(図32A〜32E)が、PBMCにおいては、作用が低下した(図32F及び32G)ことが示されている。図32Aには、各種濃度の化合物Dによる異なる時間長での処置に応答したHNT−34細胞中のGSPT1、ATF4、ATF3及びPARPのウエスタンブロット解析が示されている。図32B〜32Eでは、GSPT1(図32B)、ATF3(図32C)、ATF4(図32D)及び切断PARP(図32E)のウエスタンブロット強度が定量されている。図32Fには、各種濃度の化合物Dによる異なる時間長での処置に応答したPBMCにおけるGSPT1のウエスタンブロット解析が示されている。図32Gでは、PBMCにおけるGSPT1のウエスタンブロット強度が定量されている。
図33A〜33Dには、HNT−34細胞(図33A及び33C)とPBMC(図33B及び33D)において、各種濃度の化合物Dによる異なる時間長での処置に応答したATF3(図33A及び33B)とDDIT3(図33C及び33D)のmRNAレベルが示されている。
HNT−34細胞において、化合物DがGSPT1の発現に時間依存的及び濃度依存的に及ぼす作用が示されている。
図35A〜35Dには、9つのAML細胞株パネルにおいて、4時間(図35A)、8時間(図35B)、20時間(図35C)及び24時間(図35D)の処置で、化合物DがGSPT1の発現に濃度依存的に及ぼす作用が示されている。
AML細胞パネルにおけるGSPT1レベルの低下とアポトーシスの誘導との正の関連性が示されている。
5.発明を実施するための形態
本発明で提供する方法は、生体試料中の特定の分子(例えば、mRNA、cDNAまたはタンパク質)のレベルの変化、例えば、レベルの上昇及び/またはレベルの低下を用いて、がん(例えば、MDS、リンパ腫、MMまたは白血病)であるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物(例えば化合物Dもしくは化合物E、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形)に対する応答性を予測できるという発見に部分的に基づいている。
5.1 定義
本明細書で使用する場合、「がん」という用語としては、固形がんと血液がんが挙げられるが、これらに限らない。「がん」という用語は、組織または器官の疾患を指し、膀胱、骨、血液、脳、乳房、頸部(cervix)、胸部、大腸、子宮内膜、食道、眼、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口腔、頸部(neck)、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、皮膚、胃、精巣、咽喉及び子宮の癌が挙げられるが、これらに限らない。具体的ながんとしては、進行性悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形性膠芽腫、神経膠肉腫、脳幹グリオーマ、予後不良の悪性脳腫瘍、悪性グリオーマ、再発悪性グリオーマ、退形成星性細胞腫、退形成乏突起神経膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、大腸癌(ステージ3及びステージ4の大腸癌を含む)、切除不能な大腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚B細胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性メラノーマ、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、漿液性乳頭状癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増殖症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維異形成症、ホルモン抵抗性前立腺癌、切除後のハイリスク軟部組織肉腫、切除不能な肝細胞癌、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、ならびに平滑筋腫が挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、「腫瘍」という用語は、悪性または良性を問わず、すべての腫瘍性細胞の成長及び増殖と、すべての前がん細胞、前がん組織、がん細胞及びがん組織を指す。「腫瘍性」とは、本明細書で使用する場合、悪性か良性かを問わず、いずれの形態の異常調節細胞または無秩序細胞の成長であって、その結果、異常な組織の成長に至るものを指す。したがって、「腫瘍性細胞」には、異常調節細胞または無秩序細胞が成長している悪性細胞と良性細胞が含まれる。
本明細書で使用する場合、「血液がん」または「血液の悪性腫瘍」とは、体の造血系及び免疫系(骨髄及びリンパ組織)のがんを指す。このようながんとしては、白血病、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、ホジキン病(ホジキンリンパ腫ともいう)及び骨髄腫が挙げられる。一実施形態では、骨髄腫は、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、白血病は、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、成人T細胞白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症、骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病(CML)、骨髄異形成症候群(MDS)、1型ヒトリンパ球向性ウイルス(HTLV−1)白血病、肥満細胞症またはB細胞急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、リンパ腫は、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、B細胞免疫芽球性リンパ腫、小非分割細胞性リンパ腫、1型ヒトリンパ球向性ウイルス(HTLV−1)白血病/リンパ腫、成人T細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、AIDS関連性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換リンパ腫、縦隔原発(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、リヒタートランスフォーメーション、節性辺縁帯リンパ腫またはALK陽性大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施形態では、血液がんは、例えば、DLBCL、濾胞性リンパ腫または辺縁帯リンパ腫を含む緩慢性リンパ腫である。
「白血病」という用語は、造血組織の悪性新生物を指す。白血病としては、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病及び急性骨髄芽球性白血病が挙げられるが、これらに限らない。白血病は、再発性であることも、難治性であることも、または従来療法に対して耐性であることもできる。
「骨髄異形成症候群」という用語は、血液の1つ以上の細胞成分(赤血球、白血球(リンパ球以外)及び血小板(またはその前駆細胞である巨核球))の産生異常によって特徴付けられる血液の状態を指し、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS)、芽球過剰のRA(RAEB)、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)、単一血球系統の異形成を伴う不応性血球減少症(RCUD)、分類不能型骨髄異形成症候群(MDS−U)、del(5q)単独の染色体異常を伴う骨髄異形成症候群、治療関連骨髄性腫瘍及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)という障害が含まれる。
本明細書で使用する場合、「前骨髄球性白血病」または「急性前骨髄球性白血病」とは、骨髄系の細胞における成熟血液細胞不全と、前骨髄球という未熟細胞の過剰が見られる、骨髄の悪性腫瘍を指す。この白血病は通常、15番染色体と17番染色体の領域の転座によって特徴付けられる。
本明細書で使用する場合、「急性リンパ性白血病(ALL)」(「急性リンパ芽球性白血病」としても知られている)とは、初期の無顆粒白血球細胞、すなわちリンパ球の異常な成長と発生を原因とする悪性疾患を指す。
本明細書で使用する場合、「T細胞白血病」とは、Tリンパ球またはT細胞という、リンパ系の特定の細胞が悪性化している疾患を指す。T細胞は、正常時には、ウイルス感染細胞と、外来細胞と、がん細胞を攻撃するとともに、免疫応答を調節する物質を産生することができる白血球細胞である。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、患者が特定のがんを罹患しているときに行う処置であって、がんの重症度を低下させるか、またはがんの進行を遅らせるか、もしくはゆっくりにする処置を指す。
「感受性」または「感受性を有する」という用語は、化合物による治療について使用する場合には、治療する腫瘍または疾患の進行の抑制または低下における、化合物の有効性の程度を指す相対的な用語である。例えば、「感受性の向上」という用語は、化合物との関連で、細胞または腫瘍の治療について使用する場合には、腫瘍を治療する有効性が少なくとも約5%以上向上することを指す。
本明細書で使用する場合、「化合物」及び「治療化合物」という用語は、同義的に用いられており、式Iの化合物が含まれる。化合物の非限定的な例としては、下記の5.7項で開示されているものが挙げられる。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、化合物の「治療上有効な量」という用語は、がんの治療もしくは管理の際に治療効果をもたらすか、またはがんの存在と関連する1つ以上の症状を遅らせたり、もしくは最小限にしたりするのに十分な量である。化合物の治療上有効な量とは、単独の治療剤、または他の療法と組み合わせる治療剤の量であって、がんの治療または管理の際に治療効果をもたらす量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、治療法全体を改善したり、がんの症状もしくは原因を軽減もしくは回避したり、または別の治療剤の治療有効性を高めたりする量を含むことができる。この用語は、生体分子(例えば、タンパク質、酵素、RNAもしくはDNA)、細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答であって、研究者、獣医、医師または臨床医によって求められている応答を誘発するのに十分な化合物量も指す。
「応答性」または「応答する」という用語は、治療に関して使用する場合には、治療する疾患、例えばMMまたはAMLの症状の抑制または軽減における治療有効性の程度を指す。例えば、「応答性の向上」という用語は、細胞または対象の治療に関して使用する場合には、当該技術分野において知られているいずれかの方法を用いて測定したときに、疾患の症状を抑制または軽減する有効性が、対照の治療(例えば、同じ細胞もしくは対象、または異なる細胞もしくは対象の治療)よりも向上することを指す。特定の実施形態では、この有効性の向上は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%または少なくとも約50%である。
本明細書で使用する場合、「対象の有効な応答」、「患者の有効な応答」及び「患者の腫瘍の有効な応答」という用語は、患者に対する治療効果がいずれかに向上することを指す。「患者の腫瘍の有効な応答」は、例えば、腫瘍の進行速度が約5%、約10%、約25%、約50%または約100%低下することであることができる。「患者の腫瘍の有効な応答」は、例えば、がんの身体的症状が約5%、約10%、約25%、約50%または約100%軽減することであることができる。「患者の腫瘍の有効な応答」は、例えば、遺伝子の発現、細胞数、アッセイ結果、腫瘍のサイズなどのいずれかの好適な手段によって測定した場合に、患者の応答が、約5%、約10%、約25%、約50%、約100%、約200%または約200%超向上することであることができる。
がんまたはがん関連疾患の改善は、完全な応答または部分的な応答として特徴付けることができる。「完全な応答」とは、臨床的に検出可能な疾患が見られないとともに、いずれかの過去の異常な放射線検査結果、骨髄及び脳脊髄液(CSF)または異常なモノクローナルタンパク質測定値が正常化することを指す。「部分的な応答」とは、新たな病変のない状態で、すべての測定可能な腫瘍量(すなわち、対象に存在する悪性細胞の数、腫瘍塊の体積測定値、または異常なモノクローナルタンパク質の量)が、少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%または約90%減少することを指す。「治療」という用語では、完全な応答と部分的な応答の両方が想定されている。
「見込み」という用語は概して、ある事象の確率の上昇を指す。「見込み」という用語では、患者の腫瘍の応答の有効性に関して使用する場合には、概して、腫瘍の進行速度または腫瘍細胞の成長速度が低下する確率の上昇が想定されている。「見込み」という用語は、患者の腫瘍の応答の有効性に関して使用する場合には、概して、腫瘍治療の進展の増大を証明し得る指標(mRNAまたはタンパク質の発現など)の向上も意味することができる。
「予測する」という用語は概して、事前に判断したり、見定めたりすることを意味する。がん治療の有効性を「予測する」ために使用する場合には、例えば、「予測する」という用語は、最初、治療の開始前、または治療期間が実質的に進む前に、がん治療の転帰の見込みを判断できることを意味することができる。
「モニタリングする」という用語は、本明細書で使用する場合、概して、活性の管理、監督、統制、観察、追跡または監視を指す。例えば、「化合物の有効性をモニタリングする」という用語は、患者または腫瘍細胞培養液のがんを治療する有効性を追跡することを指す。同様に、「モニタリングする」という用語は、個別に、または臨床試験において、患者コンプライアンスに関して使用する場合には、患者が実際に、処方どおりに試験薬を服用していることを追跡または確認することを指す。モニタリングは、例えば、mRNAまたはタンパク質バイオマーカーの発現を追跡することによって行うことができる。
「腫瘍」とは、本明細書で使用する場合、悪性か良性かを問わず、すべての腫瘍性細胞の成長及び増殖と、すべての前がん細胞、前がん組織、がん細胞及びがん組織を指す。「腫瘍性」とは、本明細書で使用する場合、悪性か良性かを問わず、いずれの形態の異常調節細胞または無秩序細胞の成長であって、その結果、異常な組織の成長に至るものを指す。したがって、「腫瘍性細胞」には、異常調節細胞または無秩序細胞が成長している悪性細胞と良性細胞が含まれる。
本明細書で使用する場合、「セレブロン関連タンパク質」または「CAP」とは、直接もしくは間接的に、セレブロン(CRBN)と相互作用するか、またはCRBNに結合するタンパク質を指す。例えば、この用語は、セレブロンに直接結合するいずれかのタンパク質と、CRBN経路の間接的な下流エフェクターであるいずれかのタンパク質を指す。特定の実施形態では、「セレブロン関連タンパク質」または「CAP」は、CRBNの基質、例えば、CRBNを伴うE3ユビキチンリガーゼ複合体のタンパク質基質、またはその下流基質である。いくつかの実施形態では、「セレブロン関連タンパク質」または「CAP」は、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3またはDDIT3である。
「調節する」という用語は、本明細書で使用する場合、分子の活性または生体機能を制御すること(分子の活性または生体機能を高めたり、または低下させたりすることなど)を指す。
「がん」及び「がん性」という用語は、無秩序細胞の成長によって典型的に特徴付けられる、哺乳動物の生理的状態を指すか、またはこの状態を記述するものである。がんの例としては、血液がん(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫及び白血病)と、固形がんが挙げられるが、これらに限らない。
「難治性」または「耐性」という用語は、強力な治療の後でも、患者のリンパ系、血液及び/または造血組織(例えば骨髄)に、残存がん細胞(例えば、白血病細胞またはリンパ腫細胞)がある状況を指す。
「再発した」という用語は、治療後にがんが寛解した患者のリンパ系、血液及び/または造血組織(例えば骨髄)で、がん細胞(例えば、白血病細胞またはリンパ腫細胞)が再発したとともに、正常な血液細胞が減少した状態を指す。
「生物学的マーカー」または「バイオマーカー」は、検出されることで、特定の生体状態(例えば、がんの存在など)を示す物質である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、個別に判定できる。別の実施形態では、いくつかのバイオマーカーを同時に測定できる。
いくつかの実施形態では、「バイオマーカー」によって、疾患のリスクもしくは進行、または所定の治療に対する疾患の感受性と相関し得るmRNA発現レベルの変化が示される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、mRNAまたはcDNAなどの核酸である。
追加の実施形態では、「バイオマーカー」によって、疾患のリスクもしくは進行、または治療に対する患者の感受性と相関し得るポリペプチドまたはタンパク質の発現レベルの変化が示される。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質、またはその断片であることができる。特定のタンパク質の相対レベルは、当該技術分野において知られている方法によって割り出すことができる。例えば、抗体ベースの方法(イムノブロット、酵素結合免疫吸着法(ELISA)または他の方法など)を使用することができる。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書で同義的に用いられている場合、ペプチド結合によって連なって結合している3つ以上のアミノ酸のポリマーを指す。「ポリペプチド」という用語には、タンパク質、タンパク質断片、タンパク質類似体、オリゴペプチドなどが含まれる。「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用する場合、ペプチドも指すこともできる。ポリペプチドを構成するアミノ酸は、天然由来であっても、合成したものであってもよい。ポリペプチドは、生体試料から精製できる。ポリペプチド、タンパク質またはペプチドには、修飾ポリペプチド、修飾タンパク質及び修飾ペプチド、例えば、グリコポリペプチド、グリコタンパク質もしくはグリコペプチド、またはリポポリペプチド、リポタンパク質もしくはリポペプチドも含まれる。
本明細書で同義的に用いられている場合、「抗体」、「免疫グロブリン」または「Ig」という用語には、完全にアセンブルされた抗体と、抗原に特異的に結合する能力を保持している抗体断片が含まれる。本発明で提供する抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組み換え作製した抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、一本鎖Fv(scFv)(例えば、単特異性scFv、二重特異性scFvなどを含む)、ラクダ化抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のいずれかのうちのエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに限らない。具体的には、本発明で提供する抗体としては、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む抗原結合ドメインまたは分子(例えば、抗CRBN抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR))が挙げられる。本発明で提供する抗体は、免疫グロブリン分子のいずれかのクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)またはいずれかのサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)のものであることができる。いくつかの実施形態では、抗CRBN抗体は、完全ヒトモノクローナルCRBN抗体のような完全ヒトCRBN抗体である。特定の実施形態では、本発明で提供する抗体は、IgG抗体またはそのサブクラス(例えば、ヒトIgG1またはIgG4)である。
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合断片」という用語と、類似の用語は、抗原と相互作用するとともに、その結合物質に、その抗原に対する特異性と親和性をもたらすアミノ酸残基を含む抗体部分(例えばCDR)を指す。抗原結合領域は、齧歯動物(例えば、ウサギ、ラットまたはハムスター)及びヒトのようないずれかの動物種に由来するものであることができる。いくつかの実施形態では、抗原結合領域は、ヒト由来のものである。
「エピトープ」という用語は、本明細書で使用する場合、抗原の表面上の領域のうち、抗体の1つ以上の抗原結合領域に結合でき、哺乳動物(例えばヒト)のような動物において、抗原活性または免疫原性活性を有し、免疫応答を誘発できる局所領域を指す。免疫原性活性を有するエピトープは、動物において抗体応答を誘発するポリペプチド部分である。抗原活性を有するエピトープは、抗体が免疫特異的に結合するポリペプチド部分であり、この結合は、当該技術分野において周知のいずれかの方法によって、例えば、本明細書に記載されているイムノアッセイによって判断する。抗原エピトープは必ずしも、免疫原性を有する必要はない。エピトープは通常、アミノ酸または糖側鎖などの化学的に活性な分子表面基からなり、特有の三次元構造の特徴と、特有の荷電特性を有する。エピトープに寄与するポリペプチド領域は、そのポリペプチドの連続するアミノ酸であってもよく、またはエピトープは、そのポリペプチドの2つ以上の非連続領域から生じたものであってもよい。エピトープは、抗原の三次元表面機構であっても、なくてもよい。
「完全ヒト抗体」及び「ヒト抗体」という用語は、本明細書では同義的に用いられており、ヒト可変領域と、いくつかの実施形態では、ヒト定常領域とを含む抗体を指す。具体的な実施形態では、これらの用語は、ヒト由来の可変領域と定常領域とを含む抗体を指す。「完全ヒト抗体」という用語には、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(5th ed.1991)によって説明されているように、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に対応する可変領域と定常領域とを有する抗体が含まれる。
「組み換えヒト抗体」という語句には、宿主細胞にトランスフェクションした組み換え発現ベクターを用いて発現させた抗体、組み換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック及び/または染色体導入動物(例えば、マウスまたはウシ)から単離した抗体(例えば、Taylor et al.,Nucl.Acids Res.1992,20:6287−6295を参照されたい)のように、組み換え手段によって調製、発現、作製もしくは単離されるヒト抗体、または、ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを伴ういずれかの他の手段によって調製、発現、作製もしくは単離される抗体が含まれる。このような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域と定常領域とを有することができる。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242(5th ed.1991)を参照されたい。特定の実施形態では、しかしながら、このような組み換えヒト抗体に対して、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列のトランスジェニック動物を用いるときには、インビボ体細胞変異誘発)を行うので、組み換え抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系の重鎖可変配列と軽鎖可変配列に由来するとともに、それらの配列に関連するが、天然では、インビボのヒト抗体生殖細胞系レパートリーには存在できない配列である。
「モノクローナル抗体」という用語は、均質な抗体または実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、各モノクローナル抗体は典型的には、抗原上の1つのエピトープを認識することになる。いくつかの実施形態では、「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用する場合、1つのハイブリドーマ細胞またはその他の細胞によって産生される抗体であり、その抗体は、1つのエピトープのみに免疫特異的に結合し、その結合は、ELISA、または当該技術分野において知られているか、または本明細書に示されている実施例におけるその他の抗原結合アッセイもしくは競合結合アッセイによって判定する。「モノクローナル」という用語は、いずれかの特定の抗体作製方法に限定されない。例えば、本発明で提供するモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 1975,256:495−497に記載されているようなハイブリドーマ法によって作製しても、本明細書に記載されているような技法を用いて、ファージライブラリーから単離してもよい。クローナル細胞株と、その細胞株によって発現されるモノクローナル抗体を調製するその他の方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Short Protocols in Molecular Biology,Chapter 11(Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,New York,5th ed.2002)を参照されたい。その他のモノクローナル抗体を作製するその他の例示的な方法は、本明細書の実施例に示されている。
「ポリクローナル抗体」とは、本明細書で使用する場合、多くのエピトープを有するタンパク質に対する免疫原性応答の際に産生される抗体集団を指し、したがって、そのタンパク質の同じエピトープまたは異なるエピトープに対する多種多様な抗体を含む。ポリクローナル抗体の作製方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Short Protocols in Molecular Biology,Chapter 11(Ausubel et al.,eds.,John Wiley and Sons,New York,5th ed.2002)を参照されたい。
「セレブロン」または「CRBN」という用語と、類似の用語は、ヒトCRBNタンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号NP_057386のヒトCRBNアイソフォーム1、またはGenBankアクセッション番号NP_001166953のヒトCRBNアイソフォーム2(それぞれ、参照により、その全体が本明細書に援用される))と、そのSNPバリアントを含む関連ポリペプチドのように、いずれかのCRBNのアミノ酸配列を含むポリペプチド(「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書では同義的に用いられている)を指す。関連CRBNポリペプチドとしては、アレルバリアント(例えばSNPバリアント)、スプライスバリアント、断片、誘導体、置換バリアント、欠失バリアント、挿入バリアント、融合ポリペプチド及び種間相同体(特定の実施形態では、CRBN活性を保持している、及び/または抗CRBN免疫応答を引き起こすのに十分であるもの)が挙げられる。
「発現する」または「発現」という用語は、本明細書で使用する場合、遺伝子から転写して、その遺伝子の2本の核酸鎖のうちの1本の領域と少なくとも部分的に相補的なRNA核酸分子をもたらすことを指す。「発現する」または「発現」という用語は、本明細書で使用する場合、RNA分子から翻訳して、タンパク質、ポリペプチドまたはその一部をもたらすことも指す。
「レベル」という用語は、バイオマーカー分子の量、蓄積または比率を指す。レベルは、例えば、遺伝子によってコードされたメッセンジャーRNA(mRNA)の量もしくは合成速度、遺伝子によってコードされたポリペプチドもしくはタンパク質の量もしくは合成速度、または細胞もしくは生体液に蓄積された生体分子の量もしくは合成速度によって表すことができる。「レベル」という用語は、試料中の分子の絶対量、またはその分子の相対量を定常状態または非定常状態の条件下で求めたものを指す。
「アップレギュレーションされている」mRNAは概して、所定の治療または条件によって増加する。「ダウンレギュレーションされている」mRNAは概して、所定の治療または条件に応じて、そのmRNAの発現レベルが低下していることを指す。場合により、mRNAレベルは、所定の治療または条件によって変化しないままである場合もある。患者試料由来のmRNAは、薬物で治療した場合、未治療のコントロールと比べて、「アップレギュレーションする」場合もある。このアップレギュレーションは、例えば、比較用コントロールのmRNAレベルの約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはこれを超える程度上昇することであることができる。あるいは、mRNAは、特定の化合物またはその他の薬剤の投与に応答して、「ダウンレギュレーション」するか、または低下したレベルで発現する場合もある。ダウンレギュレーションしたmRNAは、例えば、比較用コントロールmRNAレベルの約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約1%またはこれを下回るレベルで存在し得る。
同様に、患者試料由来のポリペプチドまたはタンパク質バイオマーカーのレベルは、薬物で治療すると、未治療のコントロールと比べて、上昇する場合がある。この上昇は、比較用コントロールタンパク質レベルの約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約200%、約300%、約500%、約1,000%、約5,000%またはこれを超えるレベルであることができる。あるいは、タンパク質バイオマーカーのレベルは、特定の化合物またはその他の薬剤の投与に応答して、低下する場合もある。この低下は、例えば、比較用コントロールタンパク質レベルの約99%、約95%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、約10%、約1%またはこれを下回るレベルで存在することができる。
「割り出す」、「測定する」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」及び「アッセイする」という用語は、本明細書で使用する場合、概して、いずれかの形態の測定を指し、ある要素が存在するか否かを判断することを含む。これらの用語には、定量及び/または定性的な判定が含まれる。評価は、相対的であることも、絶対的であることもある。「存在を評価する」こととしては、存在する物の量を割り出すことと、有無を割り出すことを挙げることができる。
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書では、ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドで構成されたいずれかの長さのポリマー、または合成によって作製した化合物であって、2本の天然の核酸と同様に、天然の核酸と配列特異的にハイブリダイズできる、例えば、ワトソン・クリック塩基対相互作用に関与できるものを説明する目的で、同義的に用いられている。本明細書で、ポリヌクレオチド配列に関して使用する場合、「塩基(bases)」(または「塩基(base)」)という用語は、「ヌクレオチド(nucleotides)」(または「ヌクレオチド(nucleotide)」)、すなわち、ポリヌクレオチドのモノマーサブユニットと同義である。「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、既知のプリン塩基及びピリミジン塩基のみならず、修飾された他の複素環式塩基も含む部分を含むように意図されている。このような修飾には、メチル化プリンもしくはメチル化ピリミジン、アシル化プリンもしくはアシル化ピリミジン、アルキル化リボースまたは他の複素環が含まれる。加えて、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、従来のリボース糖とデオキシリボース糖のみならず、他の糖も含む部分も含む。修飾ヌクレオシドまたは修飾ヌクレオチドは、糖部分に対する修飾も含み、例えば、そのヒドロキシル基の1つ以上が、ハロゲン原子もしくは脂肪族基と置き換えられているか、またはエーテル、アミンなどとして官能化されている。「類似体」という用語は、模倣体、誘導体として文献で認識されている構造的特徴を有する分子、類似の構造を有する分子、または他の同様の用語を指し、例えば、非天然ヌクレオチドが組み込まれたポリヌクレオチド、ヌクレオチド模倣体(2’−修飾ヌクレオシドなど)、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホネート及び置換基(保護基または連結部分など)が付加されているいずれのポリヌクレオチドも含む。
「相補的」という用語は、ポリヌクレオチドの配列に基づく、ポリヌクレオチド間の特異的な結合を指す。本明細書で使用する場合、第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションアッセイにおいて、互いに結合し合う場合、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、所定のレベルまたは検出可能なレベルのシグナルを生成する場合、相補的である。ポリヌクレオチドの部分は、従来の塩基対形成規則(例えば、AはT(またはU)と対になり、GはCと対になる)に従う場合、互いに相補的であるが、ミスマッチ配列、挿入配列または欠失配列の小さな領域(例えば約3塩基未満)が存在してもよい。
2つの核酸配列との関連においては、「配列同一性」または「同一性」という用語は、その2つの配列における残基のうち、所定の比較ウィンドウにわたって最大一致するようにアラインメントしたときに同じである残基を指し、付加、欠失及び置換を考慮することができる。
ポリヌクレオチドとの関連においては、様々な文法形態の「実質的な同一性」または「相同」という用語は、概して、あるポリヌクレオチドが、参照配列に対して所望の同一性、例えば、少なくとも60%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも90%の同一性及び少なくとも95%の同一性を有する配列を含むことを意味する。ヌクレオチド配列が実質的に同一であるかどうかの別の尺度は、2つの分子が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズするかどうかである。
「単離した」及び「精製した」という用語は、物質(mRNA、DNAまたはタンパク質など)が、その物質を含む試料の相当部分を占めるように、すなわち、その物質が、典型的に、天然の状態または未単離の状態で存在する割合を上回るように、その物質を単離することを指す。典型的に、試料の相当部分とは、例えば、試料の1%超、2%超、5%超、10%超、20%超、50%超またはそれを上回る割合、通常は最大で約90%〜100%を占める。例えば、単離したmRNAの試料は、典型的に、少なくとも約1%の全mRNAを含む。ポリヌクレオチドの精製技法は、当該技術分野において周知であり、例えば、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、フローソーティング及び密度による沈降が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「結合した」という用語は、直接的または間接的な結合を示す。化学的構造との関連においては、「結合した(bound)」(または「結合した(bonded)」)とは、2つの部分を直接連結するか、2つの部分を間接的に連結する(例えば、連結基または分子のいずれかの他の介在部分を介して連結する)化学結合が存在することを指すことができる。この化学結合は、共有結合、イオン結合、配位錯体、水素結合、ファンデルワールス相互作用または疎水性スタッキングであってもよいし、複数のタイプの化学結合の特徴を示すものであってもよい。特定のケースでは、「結合した」には、その結合が直接的である実施形態と、その結合が間接的である実施形態とが含まれる。
「試料」という用語は、本明細書で使用する場合、典型的には(ただし、必須ではない)、流体形態の物質または物質の混合物であって、1つ以上の目的成分を含む物質または物質の混合物に関するものである。
「生体試料」とは、本明細書で使用する場合、生体組織の試料または生体液由来の試料を含め、生体対象から得た試料であって、インビボまたはインサイチュで得たか、到達したかまたは採取した試料を指す。生体試料には、前がん細胞、前がん組織、がん細胞またはがん組織を含む生体対象領域から得た試料も含まれる。このような試料は、哺乳動物から単離した器官、組織及び細胞であることができるが、これらに限らない。例示的な生体試料としては、細胞溶解液、細胞培養液、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、細胞小器官、生体液、血液試料、尿試料、皮膚試料などが挙げられるが、これらに限らない。好ましい生体試料としては、全血、部分精製血液、PBMC、組織生検体などが挙げられるが、これらに限らない。
「アナライト」という用語は、本明細書で使用する場合、試料の既知または未知の構成要素を指す。
「捕捉物質」という用語は、本明細書で使用する場合、その物質がmRNAまたはタンパク質と結合して、mRNAまたはタンパク質を不均一混合物から濃縮させるのに十分である相互作用を通じて、mRNAまたはタンパク質と結合する物質を指す。
「プローブ」という用語は、本明細書で使用する場合、特異的標的のmRNAバイオマーカー配列に向けられる捕捉物質を指す。したがって、プローブセットの各プローブは、それぞれの標的mRNAバイオマーカーを有する。プローブ/標的mRNA二本鎖は、プローブをその標的mRNAバイオマーカーにハイブリダイズさせることによって形成される構造体である。
「核酸プローブ」または「オリゴヌクレオチドプローブ」という用語は、本発明で提供するmRNAバイオマーカーのような、相補的な配列の標的核酸に、通常は、水素結合を形成することによる相補的な塩基対合を通じて結合できる核酸を指す。本明細書で使用する場合、プローブは、天然の塩基(例えば、A、G、CもしくはT)または修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシンなど)を含んでよい。加えて、プローブ内の塩基は、ハイブリダイゼーションに干渉しない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって連結されていてもよい。当業者であれば、プローブは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに応じて、そのプローブ配列と完全な相補性を持たない標的配列と結合し得ることがわかるであろう。プローブは、タグ、例えば、発色団、発光団、色原体で直接標識するか、ストレプトアビジン複合体が後で結合し得るビオチンで間接的に標識するのが好ましい。プローブの有無についてアッセイすることによって、目的の標的mRNAバイオマーカーの有無を検出することができる。
「ストリンジェントなアッセイ条件」という用語は、そのアッセイにおいて所望のレベルの特異性をもたらすのに十分な相補性を持つ核酸の結合対、例えば、プローブと標的mRNAの結合対を生成させるのに適合する一方で、所望の特異性をもたらすには相補性が不十分である結合メンバー間の結合対の形成には概して不適合である条件を指す。「ストリンジェントなアッセイ条件」という用語は、概して、ハイブリダイゼーション条件と洗浄条件を組み合わせたものを指す。
「標識」または「検出可能な部分」とは、核酸との関連においては、核酸と連結したときに、例えば、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段または化学的手段によって、その核酸を検出可能にする組成物を指す。例示的な標識としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。「標識した核酸またはオリゴヌクレオチドプローブ」は概して、共有結合、リンカー、または化学結合、またはイオン結合による非共有結合、ファンデルワールス力、静電引力、疎水性相互作用または水素結合のいずれかによって標識に結合したプローブであって、核酸またはプローブに結合した標識の存在を検出することによって、その核酸またはプローブの存在を検出できるようにしたものである。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」という用語は、本明細書で使用する場合、概して、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されているように、少量の核酸、RNA及び/またはDNAを増幅する手順を指す。概して、オリゴヌクレオチドプライマーを設計できるように、目的の領域の末端またはその領域を越える領域から得られる配列情報を入手する必要があり、これらのプライマーは、増幅するテンプレートの逆鎖の配列と同一または同様となる。これらの2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅する物質の末端と一致し得る。PCRを用いて、特定のRNA配列、全ゲノムDNA由来の特定のDNA配列及び全細胞RNAから転写したcDNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列などを増幅できる。概して、Mullis et al.,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.1987,51:263−273;PCR Technology(Stockton Press,NY,Erlich,ed.,1989)を参照されたい。
「サイクル数」または「C」という用語は、本明細書においてPCR法に関して使用するときには、蛍光レベルが所定の設定閾値レベルを超えるPCRサイクル数を指す。Cの測定を用いて、例えば、元の試料中のmRNAレベルを概算できる。Cの測定値は、一方の核酸のCをもう一方の核酸のCから減じたときの「dC」すなわち「C差」のスコアの観点で用いる場合が多い。
「互変異性体」とは、本明細書で使用する場合、化合物の異性体同士が平衡状態にあるものを指す。異性体の濃度は、化合物の存在する環境に左右されることになり、例えば、その化合物が固体であるか、または有機溶液もしくは水溶液中にあるかによって異なることがある。例えば、水溶液中では、ピラゾールには、下記の異性体が見られることがあり、これらの異性体は、互いの互変異性体と称される。
Figure 2019504063
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「製薬学的に許容可能な塩」という用語には、その用語によって言及されている化合物の非毒性の酸付加塩と塩基付加塩が含まれる。許容可能な非毒性の酸付加塩としては、当該技術分野において知られている有機酸及び無機酸に由来するものが挙げられ、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボル酸、エナント酸などが挙げられる。本質的に酸性である化合物は、各種の製薬学的に許容可能な塩基と塩を形成できる。このような酸性化合物の製薬学的に許容可能な塩基付加塩を調製するのに使用できる塩基は、非毒性の塩基付加塩、すなわち、薬理学的に許容可能なカチオンを含む塩(アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(具体的には、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩)などであるがこれらに限らない)を形成するものである。好適な有機塩基としては、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、リシン及びプロカインが挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「溶媒和物」という用語は、本発明で提供する化合物またはその塩であって、さらに、非共有結合分子間力によって結合した溶媒を化学量論的量または非化学量論的量で含むものを意味する。溶媒が水の場合、その溶媒和物は、水和物である。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「共結晶」という用語は、1つの結晶格子に2つ以上の化合物を含む結晶体を意味する。共結晶には、結晶格子内で非イオン性相互作用によって結合し合った2つ以上の不揮発性化合物の結晶性分子錯体が含まれる。本明細書で使用する場合、共結晶には、その結晶性分子錯体に、治療用化合物と、1つ以上の追加の不揮発性化合物(複数可)(本明細書では、カウンター分子(複数可)という)が含まれている医薬品共結晶が含まれる。医薬品共結晶中のカウンター分子は典型的には、製薬学的に許容可能な非毒性分子(例えば、食品添加物、保存剤、医薬品賦形剤またはその他の医薬活性成分(API)など)である。いくつかの実施形態では、医薬品共結晶は、APIの化学構造的一体性を損なうことなく、薬品の特定の物理化学的特性(例えば、溶解性、溶解速度、バイオアベイラビリティ及び/または安定性)を高める。例えば、Jones et al.,MRS Bulletin 2006,31,875−879、Trask,Mol.Pharmaceutics 2007,4(3):301−309、Schultheiss & Newman,Crystal Growth & Design 2009,9(6):2950−2967、Shan & Zaworotko,Drug Discovery Today 2008,13(9/10):440−446及びVishweshwar et al.,J.Pharm.Sci.2006,95(3):499−516を参照されたい。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「立体異性体」という用語には、本発明の鏡像異性的に/立体異性体的に純粋な化合物と鏡像異性的に/立体異性体的に濃縮された化合物のすべてが含まれる。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「立体異性体的に純粋な」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含むとともに、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、キラル中心を1つ有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、その化合物の逆のエナンチオマーを実質的に含まないことになる。キラル中心を2つ有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないことになる。典型的な立体異性体的に純粋な化合物は、その化合物の1つの立体異性体を約80重量%超、その化合物の他の立体異性体を約20重量%未満、より好ましくは、その化合物の1つの立体異性体を約90重量%超、その化合物の他の立体異性体を約10重量%未満、さらに好ましくは、その化合物の1つの立体異性体を約95重量%超、その化合物の他の立体異性体を約5重量%未満、最も好ましくは、その化合物の1つの立体異性体を約97重量%超、その化合物の他の立体異性体を約3重量%未満含む。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「立体異性体的に濃縮された」という用語は、化合物の1つの立体異性体を約60重量%超、好ましくは、約70重量%超、より好ましくは、化合物の1つの立体異性体を約80重量%超含む組成物を意味する。本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「鏡像異性的に純粋な」という用語は、キラル中心を1つ有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物を意味する。同様に、「立体異性体的に濃縮された」という用語は、キラル中心を1つ有する化合物の立体異性体的に濃縮された組成物を意味する。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「プロドラッグ」という用語は、化合物の誘導体であって、生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で加水分解したり、酸化したり、または別段の形で反応したりして、その化合物をもたらすことのできる誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生加水分解性部分(生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド及び生加水分解性フォスフェート類似体など)を含む化合物が挙げられるが、これらに限らない。プロドラッグの他の例としては、−NO、−NO、−ONOまたは−ONO部分を含む化合物が挙げられる。プロドラッグは典型的には、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,172−178,949−982(Manfred E.Wolff,ed.,5th ed.1995)及びDesign of Prodrugs(H.Bundgaard,ed.,Elselvier,New York 1985)に記載されているような周知の方法を用いて調製できる。
化合物は、その原子の1つ以上において、非天然な割合の原子同位体を含むことができる点にも留意すべきである。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)、硫黄35(35S)または炭素14(14C)のような放射性同位体で放射線標識されていても、重水素(H)、炭素13(13C)または窒素15(15N)などの同位体が濃縮されていてもよい。本明細書で使用する場合、「アイソトポローグ」は、同位体的に濃縮された化合物である。「同位体的に濃縮された」という用語は、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体的に濃縮された」とは、その原子の天然の同位体組成以外の同位体組成を有する原子を少なくとも1つ含む化合物を指してもよい。「同位体組成」という用語は、所定の原子において存在する各同位体の量を指す。放射線標識化合物と、同位体的に濃縮されている化合物は、治療剤、例えば、がん治療剤、炎症治療剤、研究試薬、例えば、結合アッセイ試薬及び診断剤、例えば、インビボイメージング剤として有用である。本明細書に記載されているような化合物の同位体の変形形態はいずれも、放射性であるか否かにかかわらず、本発明で提供する実施形態の範囲に含まれるように意図されている。いくつかの実施形態では、本発明の化合物のアイソトポローグを提供し、例えば、このアイソトポローグは、重水素、炭素13または窒素15が濃縮された化合物である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するアイソトポローグは、重水素が濃縮された化合物である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するアイソトポローグは、重水素が濃縮された化合物であって、キラル中心で重水素化されている化合物である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、式Iの化合物のアイソトポローグであって、キラル中心で重水素化されているアイソトポローグである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供するのは、化合物Cのアイソトポローグであって、キラル中心で重水素化されているアイソトポローグである。
アルキル基を除き、本明細書に記載されている基が「置換されている」というときには、それらの基は、いずれかの適切な1つの置換基または複数の置換基で置換されていてよい。置換基の実例は、本明細書に開示されている例示的な化合物と実施形態に見られるものと、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモまたはフルオロ)、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、チオール、チオエーテル、イミン、イミド、アミジン、グアニジン、エナミン、アミノカルボニル、アシルアミノ、ホスホネート、ホスフィン、チオカルボニル、スルフィニル、スルホン、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、尿素、ウレタン、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、N−オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、酸素(=O)、B(OH)2、O(アルキル)アミノカルボニル、シクロアルキル(単環であっても、縮合型もしくは非縮合型の多環であってもよい(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル))、またはヘテロシクリル(単環であっても、縮合型もしくは非縮合型の多環であってもよい(例えば、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニルもしくはチアジニル)、単環または縮合型もしくは非縮合型の多環アリールまたはヘテロアリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフェニルまたはベンゾフラニル)アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロシクリルオキシ及びヘテロシクリルアルコキシである。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「アルキル」という用語は、本明細書で定められているような数の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素を指す。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル及び−n−ヘキシルが挙げられ、飽和分岐鎖アルキルとしては、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチルなどが挙げられる。アルキルは、非置換であっても、置換されていてもよい。本明細書に記載されているアルキル基が「置換されている」というときには、そのアルキル基は、本明細書に開示されている例示的な化合物と実施形態で見られるような置換基と、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモもしくはフルオロ)、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、チオール、チオエーテル、イミン、イミド、アミジン、グアニジン、エナミン、アミノカルボニル、アシルアミノ、ホスホネート、ホスフィン、チオカルボニル、スルフィニル、スルホン、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、尿素、ウレタン、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、N−オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネート、B(OH)2またはO(アルキル)アミノカルボニルのようないずれかの1つの置換基または複数の置換基で置換されていてよい。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「シクロアルキル」という用語は、3〜15個の炭素原子を含む飽和または部分飽和の環状アルキルであって、炭素原子間の交互二重結合または共鳴二重結合のないものを意味する。シクロアルキルは、1〜4個の環を含んでよい。非置換のシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチルが挙げられるが、これらに限らない。シクロアルキルは、下に定められているような置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。シクロアルキルは、非置換であっても、置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「アルコキシ」という用語は、−O−(アルキル)を指し、そのアルキルは、本明細書で定義されているものである。アルコキシの例としては、−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH及び−O(CHCHが挙げられるが、これらに限らない。
本明細書で使用する場合、「アリール」という用語は、5〜14個の環原子を含む炭素環式芳香族環を意味する。炭素環式アリール基の環原子は、すべて炭素原子である。アリール環構造には、単環式、二環式または三環式化合物のように、1つ以上の環構造を有する化合物と、ベンゾ縮合型炭素環式部分(5,6,7,8−テトラヒドロナフチルなど)が含まれる。代表的なアリール基としては、フェニル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル及びナフチルが挙げられる。アリールは、非置換であっても、置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「ヘテロアリール」という用語は、5〜14個の環原子を含む芳香族環であって、その環原子のうち、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つまたは3つ)が、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)である芳香族環を意味する。ヘテロアリール環構造には、単環式、二環式または三環式化合物のように、1つ以上の環構造を有する化合物と、縮合複素環部分が含まれる。ヘテロアリールの例としては、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、チアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、キノキサリニル、アクリジニル、ピリミジル、オキサゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソール及び2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ダイオキシンが挙げられるが、これらに限らない。ヘテロアリールは、非置換であっても、置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、かつ別段に示されていない限り、「複素環」という用語は、炭素原子と水素原子を含む単環または多環であって、任意に応じて、1つまたは2つの多重結合を有する単環または多環を意味し、その環原子は、少なくとも1つのヘテロ原子、具体的には、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択した1〜3個のヘテロ原子を含む。複素環の環構造としては、単環式化合物、二環式化合物及び三環式化合物が挙げられるが、これらに限らない。具体的な複素環は、単環または二環式である。代表的な複素環としては、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル及びテトラヒドロチオピラニルが挙げられる。複素環は、非置換であっても、置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、その環内の炭素原子の少なくとも1つが、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)に置き換えられているシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキル環は、非置換であっても、置換されていてもよい。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「アルキレンジオキシ」という用語は、複数の−CH基の両末端に酸素原子が付いたものを指し、その−CH基は、任意に応じてアルキル基で置換されている。例としては、−O−CH−O−(メチレンジオキシ)、−O−CHCH−O−(エチレンジオキシ)、−O−CHCHCH−O−(トリメチレンジオキシ)、−O−CHCHCHCH−O−(テトラメチレンジオキシ)、−O−CH(CH)CH−O−(α−メチルエチレンジオキシ)、−O−CH(C)CH−O−(α−エチルエチレンジオキシ)などが挙げられる。
本明細書で使用する場合、かつ別段の定めのない限り、「アルキルチオ」という用語は、Y−S−という式を有する基を指し、この式中、Yは、上で定義したようなアルキルである。
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって判断されるような、特定の値の許容可能な誤差を意味し、この誤差は部分的には、その値を測定したり、割り出したりする方法に左右される。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、標準偏差が1、2、3または4以内であることを意味する。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、所定の値または範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%以内であることを意味する。
図示されている構造と、その構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、図示されている構造が優先されることに留意されたい。加えて、さらに、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されていない場合、その構造または構造の一部には、そのすべての立体異性体が含まれると解釈するものとする。
本明細書に示されている実施形態の実施の際には、別段に示されていない限り、分子生物学、微生物学及び免疫学の従来の技法を用いることとし、これらの技法は、当業者の技能の範囲内である。このような技法は、文献で十分に説明されている。特に好適な参照用テキストの例としては、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual (2d ed.1989)、Glover,ed.,DNA Cloning,Volumes I and II(1985)、Gait,ed.,Oligonucleotide Synthesis(1984)、Hames & Higgins,eds.,Nucleic Acid Hybridization(1984)、Hames & Higgins,eds.,Transcription and Translation(1984)、Freshney,ed.,Animal Cell Culture:Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,1986)、Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(Academic Press,London)、Scopes,Protein Purification:Principles and Practice(Springer Verlag,N.Y.,2d ed.1987)及びWeir & Blackwell,eds.,Handbook of Experimental Immunology,Volumes I−IV(1986)が挙げられる。
5.2 バイオマーカーとその使用方法
本発明で提供する方法は部分的には、がん(例えば、リンパ腫、MM、MDSまたは白血病)の対象のうち、所定の治療、例えば、式Iの化合物のような化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形に応答する対象においては、化合物で治療した際に、特定のバイオマーカーの検出可能な増加または減少が観察されるという所見と、その治療に対するその対象の応答性の予測に、これらのバイオマーカーのレベルを利用できるという所見に基づいている。いくつかの実施形態では、その化合物は、本明細書に記載されているようなものである。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
「生物学的マーカー」または「バイオマーカー」とは、変化したり、及び/または検出されたりすることによって、特定の生体状態を示す物質である。いくつかの実施形態では、マーカーの示す内容は、所定の治療(例えば、式Iの化合物のような化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形)に対する疾患、例えばがん(例えば、リンパ腫、MM、MDSまたは白血病)の応答性である。
実施例に説明されているとともに、図に示されているように、特定のタンパク質及び/またはmRNAのレベルは、化合物Dまたは化合物Eによる治療に応答して変化する。これらのバイオマーカーとしては、GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、PARP、Mcl−1、SRSF3及びSRSF6が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、PARP、Mcl−1、SRSF3及びSRSF6からなる群から選択されている。本発明で示されている各バイオマーカーには、その各種のアイソフォーム、リン酸化形態、切断形態、修飾形態及びスプライシングバリアントが含まれる。例えば、eIF2αには、eIF2αのリン酸化形態(すなわちp−eIF2α)が含まれる。GCN2には、GCN2のリン酸化形態(すなわちp−GCN2)が含まれる。BIPには、修飾形態(例えばC末端修飾BIP)が含まれる。ATF3には、ATF3のスプライシングバリアントが含まれる。カスパーゼ3には、カスパーゼ3の切断形態が含まれる。カスパーゼ7には、カスパーゼ7の切断形態が含まれる。カスパーゼ8には、カスパーゼ8の切断形態が含まれる。カスパーゼ9には、カスパーゼ9の切断形態が含まれる。PARPには、PARPの切断形態が含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、これらのバイオマーカーのアイソフォーム、リン酸化形態、切断形態、修飾形態及び/またはスプライシングバリアントのレベルは、化合物による治療に応答して、上昇または低下するので、バイオマーカーのこれらのアイソフォーム、リン酸化形態、切断形態、修飾形態及び/またはスプライシングバリアントを用いて、患者の応答を予測できる。
真核生物ペプチド鎖解離因子GTP結合サブユニットGSPT1は、GSPT1(G1−S期移行タンパク質1ホモログ)ともいう。GSPT1は、終止コドンのUAA、UAG及びUGAに応答する、翻訳の終止に関与するとともに、哺乳動物細胞の成長の調節にも関与する。GSPT1は、eRF1の活性を刺激するとともに、一過性のSURF複合体(mRNAのナンセンス変異依存分解機構(NMD)の関連において、UPF1を停滞リボソームに動員する複合体)の構成要素である。
真核生物ペプチド鎖解離因子GTP結合サブユニットGSPT2は、GSPT2(G1−S期移行タンパク質2ホモログ)ともいう。GSPT1のように、GSPT2も、終止コドンのUAA、UAG及びUGAに応答する、翻訳の終止に関与するとともに、一過性のSURF複合体(mRNAのナンセンス変異依存分解機構(NMD)の関連において、UPF1を停滞リボソームに動員する複合体)の構成要素である。GSPT2は、ETF1の解離因子活性の強力な刺激因子としての役割を果たすとともに、細胞周期の進展において役割を果たし得ることが示唆されている。加えて、GSPT2は、リボソーム及びETF1依存性であるGTPase活性を呈することも示されている。
活性化転写因子4(ATF4)は、cAMP応答エレメント結合タンパク質2(CREB−2)としても知られている転写因子である。この因子は、AP−1ファミリー、CREB及びCREB様タンパク質を含むDNA結合タンパク質ファミリーに属している。
活性化転写因子3(ATF3)は、転写因子の哺乳動物活性化転写因子/cAMP応答エレメント結合(CREB)タンパク質ファミリーに属している。ATF3遺伝子は、がん細胞に曝露される多くのシグナルを含む様々なシグナルによって誘導され、細胞ストレス応答の複雑なプロセスに関与する。
DNA損傷誘発性転写産物3(DDIT3)は、転写因子のCCAAT/エンハンサー結合タンパク質(C/EBP)ファミリーのメンバーである。DDIT3は、C/EBP相同タンパク質(CHOP)としても知られている。このタンパク質は、他のC/EBPメンバー(C/EBP及びLAP(肝臓賦活剤タンパク質など)とヘテロ二量体を形成するとともに、それらのDNA結合活性を阻害することによって、優性ネガティブインヒビターとして機能する。DDIT3は、小胞体(ER)ストレス応答における多機能転写因子である。DDIT3は、多種多様な細胞ストレスに対する応答において不可欠な役割を果たし、ERストレスに応答して、細胞周期の停止とアポトーシスを誘導する。
IKAROSファミリージンクフィンガー1(IKZF1、Ikarosとしても知られている)は、クロマチンリモデリングと関連するジンクフィンガーDNA結合タンパク質のファミリーに属する転写因子である。IKZF1の発現は、胎児と成人の血リンパ系に限定されており、リンパ球分化の調節因子として機能する。大半のアイソフォームでは、C末端ドメインが共通しており、このドメインは、ヘテロ二量体化またはホモ二量体化と他のタンパク質との相互作用とに必要な2つのジンクフィンガーモチーフを含む。しかしながら、アイソフォームにおいては、DNAを結合させるN末端ジンクフィンガーモチーフの数と、核局在化シグナルの存在が異なり、その結果、DNA結合特性を有するメンバーと有さないメンバーが生じる。わずかなアイソフォームのみが、標的遺伝子のプロモーター内の特異的コアDNA配列エレメントへの高親和性結合をもたらす3つ以上の必須N末端ジンクモチーフを含む。非DNA結合アイソフォームは主に、細胞質で見られ、優性ネガティブ因子として機能すると考えられている。いくつかの優性ネガティブアイソフォームの過剰発現は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)のようなB細胞悪性腫瘍と関連付けられている。
真核生物解離因子1(eRF1)は、mRNA配列内の3つの終止コドンをすべて認識して、新生ポリペプチドを解離させることによって、タンパク質の翻訳を終止させるタンパク質である。この因子は、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)の仕組みによって、合成が途中で終了したmRNAの分解を促すSURF複合体の構成要素である。
SEC24Dは、小胞輸送に関与するSEC23/SEC24ファミリーのSEC24サブファミリーのメンバーである。SEC24Dは、小胞の形成、カーゴの選択及び濃度に関与する。
DNAJB9は、Jタンパク質ファミリーのメンバーである。Jタンパク質は、hsp70のATPase活性を調節する。DNAJB9は、UPRの間に、ERストレスによって誘導され、ストレスを受ける細胞をアポトーシスから保護する際に役割を果たす。
DNAJC6も、Jタンパク質ファミリーのメンバーであり、ATPase活性を刺激することによって、分子シャペロン活性を調節する。DNAJタンパク質は、保存された70個のアミノ酸のJドメイン(通常、N末端に位置する)と、グリシン/フェニルアラニン(G/F)リッチ領域と、ジンクフィンガードメインに似た4つのモチーフを含むシステインリッチドメインという最大3個の異なるドメインを有することがある。
Xボックス結合タンパク質1(XBP1)は、Xボックスというプロモーターエレメントに結合することによって、MHCクラスII遺伝子を調節する転写因子である。このタンパク質は、1型T細胞白血病ウイルスプロモーターのプロモーター内のエンハンサーに結合する細胞内転写因子として同定されているbZIPタンパク質である。このタンパク質は、ウイルストランスアクチベーターのDNA結合パートナーとして作用することによって、ウイルスタンパク質の発現を増大させることができる。XBP1は、ERストレスの際にUPRを調節する転写因子として機能する。
ER分解促進性マンノシダーゼα様1(EDEM1)とER分解促進性マンノシダーゼα様2(EDEM2)は、ER関連分解(ERAD)に直接関与し、ミスフォールディングした糖タンパク質を、N−グリカン非依存性の分解の標的とする。
低酸素時アップレギュレーション1(HYOU1)は、ヒートショックタンパク質70ファミリーに属している。HYOU1の5’−UTRにおけるシス作動性セグメントは、ストレス依存性誘導に関与し、その結果、低酸素条件下で、ER内にHYOU1を蓄積させる。HYOU1は、タンパク質のフォールディングとER内での分泌において重要な役割を果たす。HYOU1は、腫瘍、特に乳房腫瘍でもアップレギュレーションするとともに、腫瘍の侵襲性と関連付けられている。
ヒートショック70kDAタンパク質5(HSPA5、BIPとしても知られている)は、ヒートショックタンパク質70ファミリーのメンバーである。BIPは、保持目的でER内腔に逆輸送するのに、シスゴルジ内のKDELレセプターとの結合を必要とするER内腔KDELタンパク質である。BIPは、UPRセンサーのPERK、IRE1及びATF6のER内腔ドメインと相互作用して、それらの活性化を防ぐ。BIPのC末端免疫活性の低下により、BIPの誤局在が示され、この誤局在により、BIPがPERK、IRE1及びATF6から解離して、UPRが誘導されると推定されている。
真核生物翻訳開始因子2α(eIF2α)は、メチオニル開始tRNAを40Sリボソームサブユニットに結合させるとともに、ピューロマイシン感受性の80S転写開始前複合体の形成を触媒する。IL−6シグナリング経路とTGF−βレセプターシグナリングは、その関連経路の一部である。
タンパク質フォスファターゼ1調節サブユニット15A(PPP1R15A)は、DNA障害剤による治療と、ストレスによる成長停止状態の結果、mRNAレベルが上昇する遺伝子群に属している。特定の細胞株では、p53の状態にかかわらず、電離性放射線によるPPP1R15Aの誘導が見られ、そのタンパク質応答は、電離性放射線照射後のアポトーシスと相関する。GPCRシグナリングは、PPP1R15A関連経路の1つである。
成長停止及びDNA損傷誘発性45α(GADD45A)は、DNA障害剤による治療と、ストレスによる成長停止状態の結果、mRNAレベルが上昇する遺伝子のファミリーのメンバーである。GADD45Aは、MTK1/MEKK4キナーゼを介してp38/JNK経路の活性化を媒介することによって、環境ストレスに応答する。DNA損傷の誘発による、この遺伝子の転写は、p53依存性の機構とp53非依存性の機構の両方によって媒介される。
腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー1A(TNFRSF1A)は、TNFレセプターファミリーのメンバーである。TNFRSF1Aは、TNF−αに対する主要レセプターの1つである。TNFRSF1Aは、NF−κBを活性化し、アポトーシスを媒介し、炎症を調節する。抗アポトーシスタンパク質BCL2関連athanogene4(BAG4/SODD)と、アダプタータンパク質TRADO及びTRAF2は、TNFRSF1Aと相互作用するので、TNFRSF1Aによって媒介されるシグナル伝達において調節的役割を果たす。アダプター分子FADDは、カスパーゼ8を活性化TNFRSF1Aに動員する。得られた細胞死誘導シグナリング複合体(DISC)は、カスパーゼ8によるタンパク質分解の活性化を行い、この活性化により、システイン−アスパラギン酸プロテアーゼ(カスパーゼ)の媒介による、その後のアポトーシスカスケードが開始される。
腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー1B(TNFRSF1B)も、TNFレセプターファミリーのメンバーである。TNFRSF1Bは、TNFレセプター1と会合し、そのヘテロ複合体は、E3ユビキチンリガーゼ活性を有するc−IAP1とc−IAP2という2つの抗アポトーシスタンパク質を動員する。c−IAP1は、抗アポトーシスシグナルを媒介するTNFレセプター関連因子2のユビキチン化と分解によって、TNF誘導性アポトーシスを促す。
腫瘍壊死因子レセプタースーパーファミリーメンバー10B(TNFRSF10B)は、TNFレセプターファミリーのメンバーであり、細胞内細胞死ドメインを含む。TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TNFSF10/TRAIL/APO−2L)により活性化すると、TNFRSF10Bは、アポトーシスシグナルを伝達する。細胞死ドメインを含むアダプタータンパク質FADDは、TNFRSF10Bによって媒介されるアポトーシスに必要となる。
BH3相互作用ドメイン(BID)は、アゴニストのBAXまたはアンタゴニストのBCL2のいずれかとヘテロ二量体化する細胞死アゴニストである。BIDは、細胞死制御因子のBCL−2ファミリーのメンバーである。BIDは、カスパーゼ8によって誘導されるミトコンドリア損傷を媒介する。カスパーゼ8がBIDを切断してから、BIDのC末端部分がミトコンドリアに移動して、シトクロムcの放出を誘発する。
カスパーゼ8は、カスパーゼファミリーのメンバーである。カスパーゼの連続的な活性化は、アポトーシスにおいて中心的な役割を果たす。カスパーゼは、プロテアーゼ大サブユニットと、プロテアーゼ小サブユニットと、プロドメインとで構成された不活性な酵素前駆体として存在する。カスパーゼの活性化には、この大サブユニットと小サブユニットとからなるヘテロ二量体酵素を生成させるためのタンパク質分解が必要である。カスパーゼ8は、FASと他のアポトーシス刺激によって誘導されるプログラム細胞死に関与する。カスパーゼ8は、N末端FADD様細胞死エフェクタードメインを通じて、Fas相互作用タンパク質FADDと相互作用できる。
カスパーゼ9は、カスパーゼファミリーのメンバーである。カスパーゼ9の活性化は、カスパーゼ活性化カスケードにおいて最も初期に行われるものの1つである。カスパーゼ9では、アポプトソーム(シトクロムcとアポトーシスペプチダーゼ活性化因子1とのタンパク質複合体)によって、タンパク質の分解と活性化が行われる。カスパーゼ9は、腫瘍サプレッサーであり、アポトーシスにおいて中心的な役割を果たす。
カスパーゼ3も、カスパーゼファミリーのメンバーである。カスパーゼ3は、カスパーゼ6、7及び9を切断して、活性化する。カスパーゼ3自体は、カスパーゼ8、9及び10によって処理される。
カスパーゼ7も、カスパーゼファミリーに属している。カスパーゼ7の前駆体は、カスパーゼ3と10によって切断される。カスパーゼ7は、細胞死刺激によって活性化され、アポトーシスを誘導する。
ポリADP−リボースポリメラーゼ(PARP)は、各種の重要な細胞プロセス(分化、増殖及び腫瘍形質転換など)の調節に関与するタンパク質のファミリーである。PARPは、DNA損傷からの細胞の回復に関与する分子イベントも調節する。
Fas細胞表面細胞死レセプター(FAS)は、TNFレセプターファミリーのメンバーである。このレセプターは、細胞死ドメインを含む。FASは、プログラム細胞死の調節において中心的な役割を果たし、各種の悪性腫瘍と免疫系疾患に関与している。FASとそのリガンドとの相互作用により、Fas関連細胞死ドメインタンパク質(FADD)と、カスパーゼ8と、カスパーゼ10とを含む細胞死誘導シグナリング複合体の形成が可能になる。この複合体中のカスパーゼの自己タンパク質分解処理は、下流カスパーゼカスケードを誘発して、アポトーシスを導く。
Fas関連細胞死ドメイン(FADD)は、各種の細胞表面レセプターと相互作用し、細胞アポトーシスシグナルを媒介する。FADDは、そのC末端細胞死ドメインを通じて、FAS、TNFレセプター、TNFRSF25及びTNFSF10/TRAILレセプターによって動員させることができ、これらのレセプターによって開始される死シグナリングに関与する。FADDとレセプターとの相互作用により、FADDのN末端エフェクタードメインが現れ、その結果、カスパーゼ8を動員可能になり、それによって、カスパーゼカスケードを活性化させる。
イノシトール要求性酵素1(IRE1、ERN1としても知られている)は、キナーゼドメインとエンドヌクレアーゼドメインを有する膜貫通ERタンパク質である。IRE1は、UPR経路の一部として、ミスフォールディングしたタンパク質の分解を調節する。IRE1は、XBP1 mRNAのスプライシングを触媒して、活性型のXBP1タンパク質が産生されるようにする。活性XBP1は、転写因子として、ERAD経路に関与する遺伝子をアップレギュレーションし、XBP1の発現と、ERシャペロンの合成を誘導する。
活性化転写因子6(ATF6)は、ERストレスの際に、UPRのための標的遺伝子を活性化する。ATFは、膜貫通ERタンパク質であり、ERストレスセンサー/トランスデューサーとして機能する。ERストレス誘導性のタンパク質分解の後、ATFは、ERシャペロンをコードする遺伝子のプロモーターに存在するERストレス応答エレメント(ERSE)を介して、核転写因子として機能する。
骨髄細胞白血病1(Mcl−1)は、BCL−2ファミリーのメンバーである。BCL−2ファミリーメンバーは、プログラム細胞死の制御因子である。選択的スプライシングによって、複数の転写バリアントが得られる。最長の遺伝子産物(アイソフォーム1)が、アポトーシスを阻害し、細胞の生存を高める一方で、それよりも短い遺伝子産物(アイソフォーム2及びアイソフォーム3)は、アポトーシスを促し、細胞死を誘導する。
一般制御現象必須因子2(General Control Nonderepressible 2)(GCN2、eIF2αキナーゼ4ともいう)は、eIF2αをリン酸化して不活化し、その結果、タンパク質合成を抑制する4つのキナーゼのうちの1つである。アミノ酸欠乏により、GCN2へのアンジャージtRNAの結合によって、GCN2が活性化する。tRNAの結合により、GCN2のコンフォメーション変化が誘導され、それにより、ATPの結合と、GCN2の自己リン酸化が促される。
セリン/アルギニンリッチスプライシング因子3(SRSF3、SFRS3ともいう)は、スプライセオソームの一部を形成するpre−mRNAスプライシング因子のセリン/アルギニン(SR)リッチファミリーのメンバーである。各SRリッチファミリーメンバーは、RNAを結合するためのRNA認識モチーフ(RRM)と、他のタンパク質を結合するためのRSドメインを含む。セリンとアルギニンに富むRSドメインは、これらのスプライシング因子間の相互作用を促す。SRファミリータンパク質は、mRNAのスプライシングと、mRNAの核からの輸送と、翻訳に不可欠である。SRSF3には、完全長機能性タンパク質をコードする正常転写産物と、未成熟終止コドンを含むNMD転写産物(NMD経路を通じて、除去することができる)という少なくとも2つの異なる転写バリアントが見出されている。
セリン/アルギニンリッチスプライシング因子6(SRSF6、SFRS6ともいう)も、pre−mRNAスプライシング因子のセリン/アルギニン(SR)リッチファミリーのメンバーである。SRSF6は、別のファミリーメンバーSRSF12と相互作用することが示されている。選択的スプライシングにより、少なくとも、完全長機能性タンパク質をコードする正常転写産物と、未成熟終止コドンを含むNMD転写産物を含め、SRSF6の異なる転写バリアントが作製される。
本発明で提供する各種方法の特定の実施形態では、バイオマーカーは、例えば、タンパク質間相互作用(例えば、特定のCRBN基質もしくはその下流エフェクター)を通じて、または各種の細胞経路(例えば、シグナル伝達経路)を通じて、セレブロン(CRBN)に直接または間接的に影響されるタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質のmRNAである。別の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質のcDNAである。タンパク質のCRBNには、少なくとも2つのアイソフォームが存在し、それらはそれぞれ、442アミノ酸長と、441アミノ酸長である。CRBNは、最近、サリドマイドに結合して、出生異常を引き起こす重要な分子標的として同定された。Ito et al.,Science 2010,327:1345−1350を参照されたい。損傷DNA結合タンパク質1(DDB1)は、CRBNと相互作用することが分かったので、サリドマイドと間接的に関連付けられた。さらに、サリドマイドは、インビトロで、CRBNの自己ユビキチン化を阻害できたことから、サリドマイドが、E3ユビキチン−リガーゼインヒビターであることが示唆された。上記文献を参照されたい。重要なことに、この活性は、野生型細胞では、サリドマイドによって阻害されたが、CRBN結合部位の変異のうち、サリドマイドの結合を阻止する変異を有する細胞では、阻害されなかった。上記文献を参照されたい。サリドマイド結合部位は、CRBNにおいて、保存性の高い104個のC末端アミノ酸領域にマッピングされた。上記文献を参照されたい。CRBNにおける個々の点変異のY384AとW386Aはいずれも、サリドマイドの結合に関して異常を示し、二重変異では、サリドマイド結合活性が最も低かった。上記文献を参照されたい。CRBNとサリドマイドの催奇性作用との関連性は、ゼブラフィッシュの動物モデルとニワトリ胚で確認された。上記文献を参照されたい。
サリドマイドまたはその他の薬物の有効な作用に、CRBN、CRBN E3ユビキチン−リガーゼ複合体またはCRBNの1つ以上の基質に、それら薬物が結合することが必要なのかは、まだ分かっていない。これらの薬物と、CRBNまたはCRBN関連タンパク質との相互作用に関する理解は、薬物の有効性及び/または毒性の分子機序の解明を促進することになるとともに、有効性と毒性プロファイルの向上した新薬の開発につながることもある。
実施例に示されているように、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3のような特定のCAPのレベルは、化合物DまたはEによる治療に応答して変化する。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択したCAPである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1またはGSPT2のようなeRF3ファミリーメンバーである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1である。特定の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択したCAPである。ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。別の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3もしくはDDIT3の結合パートナー、その下流エフェクター、またはその影響を受ける細胞経路内の因子である。例えば、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、eRF3ファミリーメンバーの結合パートナー、その下流エフェクター、またはその影響を受ける細胞経路内の因子である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、eRF1のような、GSPT1の結合パートナーである。
実施例に示されているように、GSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルは、化合物DまたはEによる治療に応答して、参照よりも低下する。eRF3ファミリーメンバーのダウンレギュレーションにより、タンパク質のミスフォールディング及び/または凝集、タンパク質の誤局在、ならびにタンパク質機能の直接的な変化などの作用が生じる。実施例に示されているように、影響を受ける細胞経路の1つは、小胞体ストレス応答(UPR)(小胞体(ER)に関連する細胞ストレス応答)である。したがって、UPRまたはその下流経路に関与する因子またはタンパク質は、本開示によるバイオマーカーとして使用できる。UPRに関連する経路としては、ATF4シグナリング経路(ATF4関連シグナリング経路)及び関連アポトーシス経路、IRE1シグナリング経路(IRE1関連シグナリング経路)、ならびにATF6シグナリング経路(ATF6関連シグナリング経路)が挙げられるが、これらに限らない。したがって、いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ERストレス経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、UPR経路における機能を有するものである。特定の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものである。別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、FAS/FADD関連シグナリング及びアポトーシス経路における機能を有するものである。
ATF4関連シグナリング経路は、リン酸化eIF2αによって活性化されるシグナリング経路である。ATF4の活性化により、ATF3及びDDIT3などの構成要素を含むその下流シグナリング経路が誘導される。また、これにより、細胞周期に関与するタンパク質機構の翻訳が抑制され、その結果、G1期において細胞周期が停止する。ATF関連シグナリング経路は、ATF4経路に直接または間接的に影響されるいずれかの下流経路を含む。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものである。ATF4関連シグナリング経路に関与する例示的なバイオマーカー(構成要素)としては、ATF4、ATF3、PPP1R15A、TNFRSF10B、DDIT3、GADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS及びFADDが挙げられるが、これらに限らない。
eIF2αは、PERK、GCN2、PKR及びHRIを含む4つの異なるキナーゼによってリン酸化できる。したがって、ATF4関連シグナリング経路は、PERK、GCN2、PKR及び/またはHRIによって活性化できる。実施例に示されているように、GCN2は、化合物D誘導性のATF4シグナリング経路にとって重要である。したがって、特定の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、GCN2関連シグナリング経路における機能を有するものである。GCN2関連シグナリング経路に関与する例示的なバイオマーカー(構成要素)としては、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、PPP1R15A、TNFRSF10B、DDIT3、GADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS及びFADDが挙げられるが、これらに限らない。また、実施例に示されているように、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A及びFASなど、GCN2関連シグナリング経路内のタンパク質のレベルは、化合物DまたはEによる治療に応答して変化する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A及びFASからなる群から選択されている。具体的実施形態では、バイオマーカーは、GCN2である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、eIF2αである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、PPP1R15Aである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、TNFRSF10Bである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GADD45Aである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、FASである。
IRE1関連シグナリング経路は、UPRの際に活性化される別のシグナリング経路である。UPRが活性化すると、IRE1(ER膜貫通レセプター)は、ホモ二量体化とトランス自己リン酸化によって、自己活性化する。活性化IRE1内腔ドメインは、252bpのイントロンをスプライシングすることによって、転写因子XBP1 mRNAを活性化できる。活性化XBP1は、UPR関連遺伝子のストレスエレメントプロモーターに直接結合することによって、これらの標的遺伝子の発現をアップレギュレーションする。特定の実施形態では、バイオマーカーは、IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、XBP1関連シグナリング経路における機能を有するものである。IRE1関連シグナリング経路に関与する例示的なバイオマーカー(構成要素)としては、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、DNAJC6、EDEM1、EDEM2及びHYOU1が挙げられるが、これらに限らない。XBP1関連シグナリング経路に関与する例示的なバイオマーカー(構成要素)としては、XBP1、SEC24D、DNAJB9、DNAJC6、EDEM1、EDEM2及びHYOU1が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9及びEDEM1のような、IRE1関連経路内のタンパク質である。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9及びEDEM1からなる群から選択されている。具体的実施形態では、バイオマーカーは、IRE1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、XBP1である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SEC24Dである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、DNAJB9である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、EDEM1である。
ATF6関連シグナリング経路も、UPRの際に活性化される。PERKとIRE1のように、ATF6は、ER膜貫通レセプターである。UPRの活性化の際に、HSPA5がATF6から解離すると、90kDaのATF6全体がゴルジ体に移動し、ゴルジ体において、プロテアーゼによって切断されて、活性な50kDaの転写因子を形成し、この因子が核に移動する。この50kDaのATF6は、UPRにおいてアップレギュレーションされる遺伝子上流のストレスエレメントプロモーターに結合する。特定の実施形態では、バイオマーカーは、ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものである。ATF6関連シグナリング経路に関与する例示的なバイオマーカー(構成要素)としては、ATF6、XBP1、EDEM1、EDEM2、HYOU1及びHSPA5が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF6、XBP1及びEDEM1のような、ATF6関連経路内のタンパク質である。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF6、XBP1及びEDEM1からなる群から選択されている。具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF6である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、XBP1である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、EDEM1である。
FAS/FADD関連シグナリング及びアポトーシス経路は、UPRの際に活性化することのある下流経路である。UPRの主な目的(タンパク質の翻訳の抑制、ミスフォールディングしたタンパク質の分解、及びシャペロンタンパク質の産生を増大させるシグナリング経路の活性化など)が達成されないと、UPRは、アポトーシスを誘導する。リガンドによって刺激されると、FASレセプターは、三量体化する。アダプタータンパク質のFADDは、アポトーシスの際に、FASをプロカスパーゼ8及び10と結合させて、細胞死誘導シグナリング複合体(DISC)を形成させる。特定の実施形態では、バイオマーカーは、FAS/FADD関連シグナリング及びアポトーシス経路における機能を有するものである。FAS/FADD関連シグナリング及びアポトーシス経路に関与する例示的なバイオマーカー(構成要素)としては、FAS、FADD、カスパーゼ8、BID、カスパーゼ9、カスパーゼ3、カスパーゼ7及びPARPが挙げられるが、これらに限らない。実施例に説明されているように、アポトーシス経路内のタンパク質のレベルは、化合物DまたはEによる治療に応答して変化する。このようなタンパク質としては、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、PARP及びMcl−1が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、PARP及びMcl−1からなる群から選択されている。具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ3である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ7である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ8である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ9である。ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、PARPである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、Mcl−1である。
NMD関連シグナリング経路は、ナンセンスmRNAバリアント、例えば、未成熟終止コドンを含む選択的スプライシング形態のmRNAを除去することによって、遺伝子の発現エラーを低減する、真核生物のサーベイランス経路である。NMD経路における3つの主な構成要素には、UPF1と、UPF2と、UPF3がある。UPF2とUPF3は、mRNAに結合するエキソン接合部複合体(EJC)の一部である。UPF1のリン酸化は、SMG−1、SMG−5、SMG−6及びSMG−7によって媒介される。未成熟終止コドンを含むmRNAの選択的スプライシングバリアント(SRSF3及びSRSF6のNMD転写産物など)をNMD経路によって除去して、異常なタンパク質を軽減できる。NMD関連シグナリング経路に関与する例示的なバイオマーカーとしては、NMD経路沿いの構成要素(例えば、UPF1、UPF2、UPF3、SMG−1、SMG−5、SMG−6及びSMG−7)と、NMD経路のRNA基質(例えば、SRSF3及びSRSF6のNMD転写産物)が挙げられるが、これらに限らない。実施例に説明されているように、NMD経路のRNA基質のレベルは、化合物Dによる治療に応答して変化する。このようなRNA基質としては、SRSF3及びSRSF6のNMD転写産物が挙げられる。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、UPF1、UPF2、UPF3、SMG−1、SMG−5、SMG−6及びSMG−7からなる群から選択されている。別の実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3またはSRSF6のNMD転写産物である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3のNMD転写産物である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6のNMD転写産物である。
いくつかの実施形態では、測定するバイオマーカーには、1つのバイオマーカーが含まれる。特定の実施形態では、測定するバイオマーカーには、2つのバイオマーカーが含まれる。別の実施形態では、測定するバイオマーカーには、3つのバイオマーカーが含まれる。特定の実施形態では、測定するバイオマーカーには、4つのバイオマーカーが含まれる。いくつかの実施形態では、測定するバイオマーカーには、5つのバイオマーカーが含まれる。別の実施形態では、測定するバイオマーカーには、6つのバイオマーカーが含まれる。さらに別の実施形態では、測定するバイオマーカーには、7つのバイオマーカーが含まれる。特定の実施形態では、測定するバイオマーカーには、8つのバイオマーカーが含まれる。別の実施形態では、測定するバイオマーカーには、9つのバイオマーカーが含まれる。別の実施形態では、測定するバイオマーカーには、10個以上のバイオマーカーが含まれる。
また、本発明で提供するのは、本発明で提供する化合物に対する予測因子または診断因子として、バイオマーカー、例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSFSR6 NMD転写産物を用いて、がんを治療または管理方する法である。特定の実施形態では、本発明で提供するのは、予測因子または診断因子として、本発明で示されている1つ以上のバイオマーカー、例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSFSR6 NMD転写産物のレベルを用いて、化合物による治療の対象であるがん患者、例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫、MDSまたは白血病患者をスクリーニングまたは特定する方法である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、予測因子または診断因子として、バイオマーカー(例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSFSR6 NMD転写産物)のレベルを用いて、本発明で提供する化合物による治療に対する応答速度のより高い患者を選択する方法である。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
一態様では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
別の態様では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法のいくつかの実施形態では、がんの対象から得た試料に、治療化合物を投与するのは、インビトロで行う。別の実施形態では、がんの対象から得た試料に、治療化合物を投与するのは、インビボで行う。特定の実施形態では、試料は、細胞である。一実施形態では、その細胞を化合物と、ある期間にわたって、例えば、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日間、3日間、またはそれを超える期間、接触させる。別の実施形態では、細胞は、がんの対象(またはがんの疑いのある対象)から採取する。
いくつかの実施形態では、対象の試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、対象の試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
別の態様では、対象が、治療化合物に応答する可能性が高いと診断されたときに、本発明で提供する方法は、その治療化合物を治療上有効な量、その対象に投与することをさらに含む。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの治療方法であって、
(a)そのがんである対象から試料を採取することと、
(b)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(c)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
(d)その治療化合物を治療上有効な量、その対象に投与することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法の特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
本発明で提供する方法のいくつかの実施形態では、がんの対象に、治療化合物を投与するのは、インビトロで行う。別の実施形態では、がんの対象に、治療化合物を投与するのは、インビボで行う。特定の実施形態では、試料は、細胞である。一実施形態では、その細胞を化合物と、ある期間にわたって、例えば、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日間、3日間、またはそれを超える期間、接触させる。別の実施形態では、細胞は、がんの対象(またはがんの疑いのある対象)から採取する。
いくつかの実施形態では、対象の試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも高い。別の実施形態では、対象の試料中のバイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーの参照レベルよりも低い。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、治療化合物は、その治療化合物に応答する可能性が高い患者に投与する。また、本発明で提供するのは、過去にがんの治療を受けたことがあるが、標準的な療法に応答しない患者と、過去に治療を受けたことがない患者の治療方法である。いくつかの疾患または障害は、特定の年齢群に多く見られるが、本発明は、患者の年齢にかかわらず、患者を治療する方法も含む。本発明はさらに、問題の疾患または状態を治療するために手術を受けたことのある患者と、そのような手術を受けたことのない患者を治療する方法を含む。がん患者は、臨床症状が不均一であるとともに、臨床転帰が様々であるので、患者に行う治療は、その患者の予後に応じて変化し得る。熟練の臨床医であれば、過度の実験なしに、具体的な二次薬剤、手術のタイプ、及び薬物ベースではない標準的な療法のタイプのうち、個々のがん患者の治療に有効に使用できるものを容易に判断できる。
特定の実施形態では、本発明の化合物の治療上または予防上有効な量は、1日当たり約0.005〜約1,000mg、1日当たり約0.01〜約500mg、1日当たり約0.01〜約250mg、1日当たり約0.01〜約100mg、1日当たり約0.1〜約100mg、1日当たり約0.5〜約100mg、1日当たり約1〜約100mg、1日当たり約0.01〜約50mg、1日当たり約0.1〜約50mg、1日当たり約0.5〜約50mg、1日当たり約1〜約50mg、1日当たり約0.02〜約25mgまたは1日当たり約0.05〜約10mgである。
特定の実施形態では、治療上または予防上有効な量は、1日当たり約0.1mg、約0.2mg、約0.5mg、約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mgまたは約150mgである。
一実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の1日当たりの推奨用量範囲は、本明細書に記載されている状態に関しては、1日当たり約0.1mg〜約50mgの範囲内であり、好ましくは、これを1日に1回または1日に数回に分けて投与する。いくつかの実施形態では、投与量は、1日当たり約1mg〜約50mgの範囲である。別の実施形態では、投与量は、1日当たり約0.5mg〜約5mgの範囲である。1日当たりの具体的な用量としては、1日当たり0.1mg、0.2mg、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mgまたは50mgが挙げられる。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
具体的実施形態では、推奨開始投与量は、1日当たり0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mgまたは50mgであってよい。別の実施形態では、推奨開始投与量は、1日当たり0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mgまたは5mgであってよい。用量は、1日当たり10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mgまで段階的に増やしてよい。具体的実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり約25mgの量で、AMLを含む白血病の患者に投与できる。特定的な実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり約10mgの量で、AMLを含む白血病の患者に投与できる。
特定の実施形態では、治療上または予防上有効な量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日または約0.01〜約1mg/kg/日である。
投与量は、mg/kg/日以外の単位で表すこともできる。例えば、非経口投与用の用量は、mg/m/日で表すことができる。当業者であれば、対象の所与の身長もしくは体重、またはこの両方に対して、用量をmg/kg/日からmg/m/日に変換する方法が容易に分かるであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトに対する1mg/kg/日の用量は、38mg/m/日と概ね等しい。
特定の実施形態では、本発明の化合物の投与量は、その化合物の定常状態における血漿中濃度を約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μMまたは約1〜約20μMの範囲にするのに十分なものである。
別の実施形態では、本発明の化合物の投与量は、その化合物の定常状態における血漿中濃度を約5〜約100nM、約5〜約50nM、約10〜約100nM、約10〜約50nMまたは約50〜約100nMの範囲にするのに十分なものである。
本明細書で使用する場合、「定常状態における血漿中濃度」という用語は、本発明で提供する化合物、例えば、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の投与から、ある期間経過後に到達する濃度である。定常状態に達すると、その化合物の血漿中濃度の時間依存性曲線で見られるピークとトラフは微小になる。
特定の実施形態では、本発明の化合物の投与量は、その化合物の最高血漿中濃度(ピーク濃度)を約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μMまたは約1〜約20μMの範囲にするのに十分なものである。
特定の実施形態では、本発明の化合物の投与量は、その化合物の最低血漿中濃度(トラフ濃度)を約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.01〜約25μM、約0.01〜約20μM、約0.02〜約20μM、約0.02〜約20μMまたは約0.01〜約20μMの範囲にするのに十分なものである。
特定の実施形態では、本発明の化合物の投与量は、その化合物の曲線下面積(AUC)を約100〜約100,000ng・hr/mL、約1,000〜約50,000ng・hr/mL、約5,000〜約25,000ng・hr/mLまたは約5,000〜約10,000ng・hr/mLの範囲にするのに十分なものである。
特定の実施形態では、本発明で提供する方法の1つで治療する患者は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の投与前に、抗がん療法で治療したことがない者である。特定の実施形態では、本発明で提供する方法の1つで治療する患者は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の投与前に、抗がん療法で治療したことのある者である。特定の実施形態では、本発明で提供する方法の1つで治療する患者は、抗がん療法に対する薬物耐性を発現した者である。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
治療する疾患と、対象の状態に応じて、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形は、非経口投与経路(例えば、筋内注射、筋内注入、腹腔内注射、腹腔内注入、静脈内注射、静脈内注入、CIV、嚢内注射、嚢内注入、皮下注射もしくは皮下埋入)、吸入投与経路、経鼻投与経路、経腟投与経路、直腸投与経路、舌下投与経路または局所(例えば経皮もしくは局部)投与経路によって投与してよい。式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形は、好適な投与単位で、単独で、または各投与経路に適する製薬学的に許容可能な賦形剤、担体、アジュバント及びビヒクルと組み合わせて調合してよい。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
一実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形は、非経口投与する。別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形は、静脈内投与する。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形は、単回用量(例えば単回ボーラス注射)として、または経時的に(例えば、経時的な持続注入もしくは経時的な分割ボーラス投与で)送達させることができる。本発明の化合物は、必要な場合、例えば、患者の疾患が安定もしくは退縮するまで、または患者の疾患が進行するかまたは許容不能な毒性が見られるまで、反復投与できる。例えば、固形がんに関しては、疾患の安定とは概して、測定可能な病変の垂直直径が、最後の測定値から25%以上増大しないことを意味する。Therasse et al.,J.Natl.Cancer Inst.2000,92(3):205−216。疾患の安定またはその欠乏は、患者の症状の評価、身体診察、及びX線、CAT、PET、MRIスキャンまたはその他の広く認められている評価様式を用いてイメージ化した腫瘍可視化など、当該技術分野において知られている方法によって判断する。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形は、1日に1回(QD)投与することも、1日当たりの用量を複数回(1日に2回(BID)、1日3回(TID)及び1日に4回(QID)など)に分けることもできる。加えて、この投与は、持続的(すなわち、連日または毎日)であることも、間欠的、例えば周期的(すなわち、数日、数週間または数カ月の休薬期間を含む)であることができる。本明細書で使用する場合、「毎日」という用語は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形のような治療用化合物を、例えば、ある期間にわたって、各日に1回または2回以上投与すること意味するように意図されている。「持続」という用語は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形のような治療用化合物を毎日、少なくとも10日間〜52週間連続で投与することを意味するように意図されている。「間欠的な」または「間欠的に」という用語は、本明細書で使用する場合、規則的な間隔または不規則な間隔のいずれかで、停止及び開始することを意味するように意図されている。例えば、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の間欠的な投与は、1週間に1〜6日行うか、周期的に行う(例えば、2〜8週間連続で毎日投与してから、最長で1週間の休薬期間を設ける)か、または1日おきに行うものである。「周期化」という用語は、本明細書で使用する場合、休薬期間を設けながら、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形のような治療用化合物を毎日または持続的に投与することを意味するように意図されている。特定の実施形態では、休薬期間は、治療期間と同じ長さである。別の実施形態では、休薬期間は、治療期間と異なる長さである。いくつかの実施形態では、周期の長さは、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間または10週間である。周期化のいくつかの実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形のような治療用化合物を1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、15日間、20日間、25日間または30日間、毎日投与してから、休薬期間を設ける。特定的な実施形態では、4週間の周期の5日間、治療用化合物を毎日投与する。別の特定的な実施形態では、4週間の周期の10日間、治療用化合物を毎日投与する。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、投与頻度は、ほぼ毎日〜ほぼ毎月の範囲内である。特定の実施形態では、投与は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日おき、1週間に2回、1週間に1回、2週間おき、3週間おきまたは4週間おきである。一実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1日に1回投与する。別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1日に2回投与する。さらに別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1日に3回投与する。さらに別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1日に4回投与する。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
特定の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1日〜6カ月間、1週間〜3カ月間、1週間〜4週間、1週間〜3週間または1週間〜2週間、1日に1回投与する。特定の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1週間、2週間、3週間または4週間、1日に1回投与する。一実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を1週間、1日に1回投与する。別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を2週間、1日に1回投与する。さらに別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を3週間、1日に1回投与する。さらに別の実施形態では、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を4週間、1日に1回投与する。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
また、本発明で提供するのは、バイオマーカー(例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSFSR6 NMD転写産物)を用いて、治療化合物に対する患者の応答性、または治療化合物の有効性を予測またはモニタリングする方法である。特定の実施形態では、本発明で提供するのは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSFSR6 NMD転写産物のレベルのような予測因子または診断因子を用いて、がん(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫、MDSもしくは白血病)であるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測する方法である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、バイオマーカー(例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSFSR6 NMD転写産物)のレベルを予測因子または診断因子として用いて、対象のがん(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫、MDSまたは白血病)の、治療化合物による治療の有効性をモニタリングする方法である。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
したがって、さらに別の態様では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法の特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
本発明で提供する方法のいくつかの実施形態では、がんの対象から得た試料に、治療化合物を投与するのは、インビトロで行う。別の実施形態では、がんの対象から得た試料に、治療化合物を投与するのは、インビボで行う。いくつかの実施形態では、試料は、細胞である。一実施形態では、その細胞を化合物と、ある期間にわたって、例えば、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日間、3日間、またはそれを超える期間、接触させる。例えば,別の実施形態では、細胞は、がんの対象(またはがんの疑いのある対象)から採取する。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、参照試料から得られるそのバイオマーカーのレベルよりも高い。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、試料中のバイオマーカーのレベルは、参照試料から得られるそのバイオマーカーのレベルよりも低い。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、治療化合物による、対象のがん治療の有効性のモニタリング方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルを、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと比較することであって、その参照と比較したときのレベルの変化によって、その対象のがんの治療におけるその治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法の特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、参照よりもレベルが上昇していることによって、対象のがんの治療における治療化合物の有効性が示される。別の実施形態では、参照よりもレベルが低下していることによって、対象のがんの治療における治療化合物の有効性が示される。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、その方法は、第2の活性剤または支持療法剤を治療上有効な量投与することをさらに含む。この第2の活性剤は、大分子(例えばタンパク質)であることも、小分子(例えば、合成無機分子、有機金属分子または有機分子)であることもできる。いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、造血成長因子、サイトカイン、抗がん剤(例えばチェックポイントインヒビター)、抗生物質、cox−2インヒビター、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、がん抗原に特異的に結合する治療抗体、またはそれらの薬理学的に活性な変異体もしくは誘導体である。特定の実施形態では、この抗がん剤は、チェックポイントインヒビターである。
いくつかの実施形態では、第2の活性剤は、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の投与と関連する有害作用を緩和できる小分子である。多くの第2の小分子活性剤は、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形とともに(例えば、その前、その後またはそれと同時に)投与すると、相乗作用をもたらすことができると考えられている。第2の小分子活性剤の例としては、抗がん剤、抗生物質、免疫抑制剤及びステロイドが挙げられるが、これらに限らない。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、参照は、治療化合物を対象に投与する前に、その対象から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、参照は、がんではない健常な対象から得たコントロール試料を用いることによって調製し、そのコントロール試料は、試料と同じ供給源のものである。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、がんは、固形がんまたは血液がんである。いくつかの実施形態では、がんは、固形がんである。いくつかの実施形態では、固形がんは、転移性である。いくつかの実施形態では、固形がんは、肝細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、卵巣癌または神経膠肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、血液腫瘍である。特定の実施形態では、血液腫瘍は、転移性である。本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、がんは、MMである。特定の実施形態では、がんは、白血病である。本発明で示すがんには、CLL、CML、ALLまたはAMLのような各種タイプの白血病が含まれる。具体的実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、白血病は、再発性であるか、難治性であるか、または従来の療法に対して耐性である。特定の実施形態では、本発明で示すがんは、リンパ腫であり、NHLが挙げられるが、これに限らない。いくつかの実施形態では、本発明で示すがんは、NHLであり、DLBCLが挙げられるが、これに限らない。いくつかの実施形態では、本発明で示すがんは、MDSである。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、各種タイプのがんの治療、予防または管理を含む。一実施形態では、本発明で提供する方法は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を治療上有効な量投与することによって、CLL、CML、ALLまたはAMLのような各種タイプの白血病を治療、予防または管理することを含む。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、対象の急性白血病の治療、予防または管理を含む。いくつかの実施形態では、この急性白血病は、AMLであり、AMLとしては、未分化AML(M0)、骨髄芽球性白血病(M1)、骨髄芽球性白血病(M2)、前骨髄球性白血病(M3またはM3亜型[M3V])、骨髄単球性白血病(M4または好酸球増加を伴うM4亜型[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)及び巨核芽球性白血病(M7)が挙げられるが、これらに限らない。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、未分化AML(M0)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、骨髄芽球性白血病(M1)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、骨髄芽球性白血病(M2)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、前骨髄球性白血病(M3またはM3亜型[M3V])である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、骨髄単球性白血病(M4または好酸球増加を伴うM4亜型[M4E])である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、単球性白血病(M5)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、赤白血病(M6)である。一実施形態では、急性骨髄性白血病は、巨核芽球性白血病(M7)である。したがって、対象のAMLの治療、予防または管理方法は、その対象に、急性骨髄性白血病を治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を単独で、または第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に、AMLを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、対象の骨髄異形成症候群(MDS)を治療、予防及び/または管理することを含む。いくつかの実施形態では、MDSは、再発性、耐性または難治性MDSである。いくつかの実施形態では、MDSは、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS)、芽球過剰のRA(RAEB)、多血球系異形成を伴う不応性血球減少症(RCMD)、単一血球系統の異形成を伴う不応性血球減少症(RCUD)、分類不能型骨髄異形成症候群(MDS−U)、del(5q)単独の染色体異常を伴う骨髄異形成症候群、治療関連骨髄性腫瘍及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)から選択されている。したがって、対象のMDSの治療、予防または管理方法は、その対象に、MDSを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を単独で、または第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に、MDSを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、対象のALLを治療、予防または管理することを含む。いくつかの実施形態では、ALLには、骨髄の芽球細胞(B細胞)、胸腺(T細胞)及びリンパ節に由来する白血病が含まれる。急性リンパ性白血病は、French−American−British(FAB)形態分類スキームに従って、L1−成熟した形態を持つリンパ芽球(T細胞またはB前駆細胞)と、L2−未成熟かつ多形性(形状が様々な)リンパ芽球(T細胞またはB前駆細胞)と、L3−リンパ芽球(B細胞またはバーキット細胞)として分類できる。一実施形態では、ALLは、骨髄の芽球細胞(B細胞)に由来するものである。一実施形態では、ALLは、胸腺(T細胞)に由来するものである。一実施形態では、ALLは、リンパ節に由来するものである。一実施形態では、ALLは、成熟した形態を持つリンパ芽球(T細胞またはB前駆細胞)によって特徴付けられるL1型である。一実施形態では、ALLは、未熟かつ多形性(形状が様々な)リンパ芽球(T細胞またはB前駆細胞)によって特徴付けられるL2型である。一実施形態では、ALLは、リンパ芽球(B細胞またはバーキット細胞)によって特徴付けられるL3型である。特定の実施形態では、ALLは、T細胞白血病である。一実施形態では、T細胞白血病は、末梢性T細胞白血病である。別の実施形態では、T細胞白血病は、T細胞リンパ芽球性白血病である。別の実施形態では、T細胞白血病は、皮膚T細胞性白血病である。別の実施形態では、T細胞白血病は、成人T細胞白血病である。したがって、対象のALLの治療、予防または管理方法は、その対象に、ALLを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を単独で、または第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に、ALLを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、対象のCMLを治療、予防または管理することを含む。この方法は、対象に、慢性骨髄性白血病を治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を単独で、または第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に、CMLを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。
いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、対象のCLLを治療、予防または管理することを含む。この方法は、対象に、慢性リンパ性白血病を治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を単独で、または第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に、CLLを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、NHLを含むリンパ腫の治療、予防または管理方法であって、リンパ腫の患者に、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を治療上有効な量、単独でまたは第2の活性剤と組み合わせて投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、この方法は、対象に、リンパ腫を治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、NHL(DLBCLが挙げられるが、これに限らない)の治療または管理方法である。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、腎機能の低下した患者の疾患の治療、予防または管理方法である。特定の実施形態では、本発明で提供するのは、腎機能の低下した患者のがんの治療、予防または管理方法である。特定の実施形態では、本発明で提供するのは、疾患、加齢またはその他の患者因子(これらに限らない)により、腎機能の低下した患者に対して、適切な用量調節を行う方法である。
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、腎機能の低下した患者のMM(再発性/難治性MMを含む)またはその症状の治療、予防または管理方法であって、腎機能の低下した再発性/難治性MM患者に、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を治療上有効な量、単独で、または第2の活性剤と組み合わせて投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、この方法は、腎機能の低下した患者の再発性/難治性MMを治療、予防または管理するのに有効な量で、本発明で提供する化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を第2の活性剤と組み合わせて、その対象に投与する工程を含む。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ATF3、ATF4、ATF6、BID、BIP、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、DDIT3、DNAJB9、EDEM1、eIF2α、eRF1、FAS、GADD45A、GCN2、IKZF1、IRE1、Mcl−1、PARP、PPP1R15A、GSPT1、GSPT2、SEC24D、SRSF3、SRSF6、TNFRSF10B及びXBP1からなる群から選択されている。本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されている。本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、バイオマーカーは、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物からなる群から選択されている。
一実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1である。別の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、eRF1である。一実施形態では、バイオマーカーは、BIPである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、非修飾BIPである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、C末端修飾BIPである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、KDEL抗体によって認識できないC末端修飾BIPである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、BIPの非修飾C末端を認識するBIP抗体によって認識できないC末端修飾BIPである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、KDEL抗体と、BIPの非修飾C末端を認識するBIP抗体の両方によって認識できないC末端修飾BIPである。一実施形態では、バイオマーカーは、GCN2である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、非リン酸化GCN2である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、リン酸化GCN2である。一実施形態では、バイオマーカーは、eIF2αである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、非リン酸化eIF2αである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、リン酸化eIF2αである。一実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF3のスプライシングバリアントである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。一実施形態では、バイオマーカーは、PPP1R15Aである。別の実施形態では、バイオマーカーは、TNFRSF10Bである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、GADD45Aである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、FASである。一実施形態では、バイオマーカーは、IRE1である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、非リン酸化IRE1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、リン酸化IRE1である。一実施形態では、バイオマーカーは、XBP1である。別の実施形態では、バイオマーカーは、SEC24Dである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、DNAJB9である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、EDEM1である。一実施形態では、バイオマーカーは、ATF6である。別の実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ8である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断カスパーゼ8である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、BIDである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ9である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断カスパーゼ9である。一実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ3である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断カスパーゼ3である。別の実施形態では、バイオマーカーは、PARPである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ7である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断カスパーゼ7である。さらなる実施形態では、バイオマーカーは、Mcl−1である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3である。別の実施形態では、バイオマーカーは、未成熟終止コドンを含む、SRSF3のスプライシングバリアント(例えばSRSF3のNMD転写産物)である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、未成熟終止コドンを含む、SRSF6のスプライシングバリアント(例えばSRSF6のNMD転写産物)である。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルは、化合物による治療に応答して低下する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP及びMcl−1からなる群から選択されており、バイオマーカーのレベルは、治療化合物に応答して、参照よりも低下する。
別の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、化合物による治療に応答して上昇する。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されており、バイオマーカーのレベルは、治療化合物に応答して、参照よりも上昇する。別の実施形態では、バイオマーカーは、SEC24D、DNAJB9、XBP1、EDEM1、eIF2α、PPP1R15A、GADD45A、TNFRSF10B、カスパーゼ8の切断形態、BID、カスパーゼ9の切断形態、カスパーゼ3の切断形態、カスパーゼ7の切断形態、切断PARP、FAS、SRSF3のNMD転写産物、SRSF6のNMD転写産物からなる群から選択されており、バイオマーカーのレベルは、化合物による治療に応答して上昇する。
本発明で提供する各種方法の特定の実施形態では、バイオマーカーは、例えば、タンパク質間相互作用(例えば、特定のCRBN基質もしくはその下流エフェクター)を通じて、または各種の細胞経路(例えば、シグナル伝達経路)を通じて、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、CRBN関連タンパク質(CAP)である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質のmRNAである。別の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質のcDNAである。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことであって、そのバイオマーカーがCAPである、前記割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことであって、そのバイオマーカーがCAPである、前記割り出すことと、
(d)その試料中のバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの治療方法であって、
(a)そのがんである対象から試料を採取することと、
(b)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことであって、そのバイオマーカーがCAPである、前記割り出すことと、
(c)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、そのバイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、その対象を、治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
(d)その治療化合物を治療上有効な量、その対象に投与することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことであって、そのバイオマーカーがCAPである、前記割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことであって、そのバイオマーカーがCAPである、前記割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルが、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと異なる場合に、その対象を、その治療化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性のモニタリング方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことであって、そのバイオマーカーがCAPである、前記割り出すことと、
(d)その試料中のそのバイオマーカーのレベルを、参照試料から得たそのバイオマーカーのレベルと比較することであって、その参照と比較したときのレベルの変化によって、その対象のがんの治療におけるその治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法の特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2及びIKZF1からなる群から選択したCAPである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1またはGSPT2のようなeRF3ファミリーメンバーである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1である。別の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2もしくはIKZF1の結合パートナー、その下流エフェクター、またはその影響を受ける細胞経路内の因子である。例えば、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、eRF3ファミリーメンバーの結合パートナー、その下流エフェクター、またはその影響を受ける細胞経路内の因子である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、eRF1のような、GSPT1の結合パートナーである。
実施例に示されているように、GSPT1、GSPT2またはIKZF1などのバイオマーカーのレベルは、化合物DまたはEによる処置に応答して、参照よりも低下する。したがって、いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2及びIKZF1からなる群から選択されており、バイオマーカーのレベルは、化合物DまたはEによる処置に応答して低下する。すなわち、本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2もしくはIKZF1、またはそれらの影響を受けるタンパク質(もしくは因子)であり、このバイオマーカーのレベルは、参照よりも低い。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルが、参照レベルよりも低い場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルが、参照レベルよりも低い場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの治療方法であって、
(a)そのがんである対象から試料を採取することと、
(b)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを割り出すことと、
(c)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルが、参照レベルよりも低い場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
(d)その治療化合物を治療上有効な量、その対象に投与することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルが、参照試料から得たGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルよりも低い場合に、その対象を、その治療用化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルが、参照試料から得たGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルよりも低い場合に、その対象を、その治療用化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性のモニタリング方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルを、参照試料から得たGSPT1、GSPT2またはIKZF1のレベルと比較することであって、その参照よりもレベルが低下していることによって、その対象のがんの治療におけるその治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法の特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1であり、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1であり、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2であり、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2であり、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1であり、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1であり、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、UPRまたはその下流経路に関与する因子またはタンパク質である。特定の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ERストレス経路における機能を有するものである。別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、NMD経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、NMD経路のRNA基質である。
別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングするか、またはがんを治療するのに、ATF4関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF4関連シグナリング経路に関与する因子またはタンパク質であって、ATF4、ATF3、PPP1R15A、TNFRSF10B、DDIT3、GADD45A、TNFRSF1A、TNFRSF1B、FAS及びFADDからなる群から選択した因子またはタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、PPP1R15Aである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、TNFRSF10Bである。ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GADD45Aである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、TNFRSF1Aである。一実施形態では、バイオマーカーは、TNFRSF1Bである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、FASである。別の実施形態では、バイオマーカーは、FADDである。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、GCN−2関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングするか、またはがんを治療するのに、GCN2関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GCN−2関連シグナリング経路に関与する因子またはタンパク質であって、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A及びFASからなる群から選択した因子またはタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、GCN2である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、eIF2αである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、PPP1R15Aである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、TNFRSF10Bである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GADD45Aである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、FASである。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングするか、またはがんを治療するのに、IRE1関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、IRE1関連シグナリング経路に関与する因子またはタンパク質であって、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9及びEDEM1からなる群から選択した因子またはタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、IRE1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、XBP1である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SEC24Dである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、DNAJB9である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、EDEM1である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
さらに別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、XBP1関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングすること、またはがんを治療するのに、XBP1関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、XBP1関連シグナリング経路に関与する因子またはタンパク質であって、XBP1、SEC24D、DNAJB9、DNAJC6、EDEM1、EDEM2及びHYOU1からなる群から選択した因子またはタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、XBP1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SEC24Dである。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、DNAJB9である。一実施形態では、バイオマーカーは、DNAJC6である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、EDEM1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、EDEM2である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、HYOU1である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
さらに別の実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングするか、またはがんを治療するのに、ATF6関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF6関連シグナリング経路に関与する因子またはタンパク質であって、ATF6、XBP1及びEDEM1からなる群から選択した因子またはタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF6である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、XBP1である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、EDEM1である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、FAS/FADD関連シグナリング及びアポトーシス経路における機能を有するものである。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングするか、またはがんを治療するのに、FAS/FADD関連シグナリング経路及びアポトーシス経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、ATF6関連シグナリング及びアポトーシス経路に関与する因子またはタンパク質であって、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、PARP及びMcl−1からなる群から選択した因子またはタンパク質である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ3である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ7である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ8である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、カスパーゼ9である。ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、PARPである。特定的な実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、Mcl−1である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
いくつかの実施形態では、本発明で示されているバイオマーカーは、NMD関連シグナリング経路沿いの構成要素またはNMD関連シグナリングのRNA基質である。いくつかの実施形態では、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するか、がんであるかもしくはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するか、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性をモニタリングするか、またはがんを治療するのに、NMD関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーを用いる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、NMD関連シグナリング経路のRNA基質(例えば、SRSF3またはSRSF6のNMD転写産物)である。具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3のNMD転写産物である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6のNMD転写産物である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病である。一実施形態では、白血病は、急性骨髄性白血病(AML)である。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
いくつかのさらに具体的な実施形態では、GCN2関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーは、ATF4、ATF3またはDDIT3からなる群から選択されており、このバイオマーカーのレベルは、参照よりも上昇する。特定のさらに具体的な実施形態では、FAS/FADD関連シグナリング及びアポトーシス経路に関与するバイオマーカーは、切断PARPであり、このバイオマーカーのレベルは、参照よりも上昇する。別のさらに具体的な実施形態では、NMD関連シグナリング経路に関与するバイオマーカーは、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物からなる群から選択されており、このバイオマーカーのレベルは、参照よりも上昇する。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルが、参照レベルよりも高い場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルが、参照レベルよりも高い場合に、その対象を、その治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんの治療方法であって、
(a)対象から試料を採取することと、
(b)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルを割り出すことと、
(c)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルが、参照レベルよりも高い場合に、その対象を、治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
(d)その治療化合物に応答する可能性が高いと診断された対象に、その治療化合物を治療上有効な量投与することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルが、参照試料から得たATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルよりも高い場合に、その対象を、その治療用化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)その対象から試料を採取することと、
(b)その治療化合物をその試料に投与することと、
(c)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルを割り出すことと、
(d)試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルが、参照試料から得たATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルよりも高い場合に、その対象を、その治療用化合物によるがんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、対象のがんの、治療化合物による治療の有効性のモニタリング方法であって、
(a)その治療化合物をその対象に投与することと、
(b)その対象から試料を採取することと、
(c)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルを割り出すことと、
(d)その試料中のATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルのレベルを、参照試料から得たATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物またはSRSF6 NMD転写産物のレベルと比較することであって、その参照よりもレベルが上昇していることによって、その対象のがんの治療におけるその治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
を含み、
その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成する方法である。
本発明で提供する方法の特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4であり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4であり、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF4であり、治療化合物は、化合物Eである。
具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3であり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3であり、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3であり、治療化合物は、化合物Eである。
別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3であり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3であり、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3であり、治療化合物は、化合物Eである。
ある1つの具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPであり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPであり、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、切断PARPであり、治療化合物は、化合物Eである。
別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3 NMD転写産物であり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3 NMD転写産物であり、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF3 NMD転写産物であり、治療化合物は、化合物Eである。
別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6 NMD転写産物であり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6 NMD転写産物であり、治療化合物は、化合物Dである。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、SRSF6 NMD転写産物であり、治療化合物は、化合物Eである。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、バイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーのタンパク質レベルを割り出すことによって測定する。
本発明で提供する各種方法の別の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーのmRNAレベルを割り出すことによって測定する。
本発明で提供する各種方法のさらに別の実施形態では、バイオマーカーのレベルは、そのバイオマーカーのcDNAレベルを割り出すことによって測定する。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、治療化合物は、下記の5.7項に記載されている化合物である。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、治療化合物は、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRはそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、治療化合物は、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、ハロ置換アリールであり、
とRはそれぞれハロである。
具体的実施形態では、治療化合物は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(「化合物D」)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である。
別の具体的実施形態では、治療化合物は、2−(4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(「化合物E」)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である。
いくつかの実施形態では、治療化合物は、化合物Dであり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。
いくつかの実施形態では、治療化合物は、化合物Eであり、がんは、MM、リンパ腫または白血病である。一実施形態では、がんは、MMである。具体的実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。別の具体的実施形態では、白血病は、CLL、CML、ALLまたはAMLである。一実施形態では、白血病は、AMLである。
いくつかの実施形態では、患者もしくは対象の応答性、または治療の有効性は、がんの患者の全生存期間(OS)、完全寛解率(CRR)、客観的奏効率(ORR)、無増悪期間、無再発生存率(RFS)、無増悪生存期間(PFS)、無イベント生存期間、寛解持続期間、奏効期間及び/または寛解/奏効までの時間によって割り出す。一実施形態では、がんは、血液がんである。特定の実施形態では、ORRには、完全寛解(CR)(すなわち、形態学的な無白血病状態、形態学的なCR、細胞遺伝学的なCR、分子的なCR、及び血液の回復が不完全である形態学的なCR)、ならびに部分寛解のすべての奏効が含まれる。
別の実施形態では、本発明で提供する各種方法は、がん、例えば血液がんである患者の全生存期間(OS)、完全寛解率(CRR)、客観的奏効率(ORR)、無増悪期間、無再発生存率(RFS)、無増悪生存期間(PFS)、無イベント生存期間、寛解持続期間、奏効持続期間及び/または寛解/奏効までの時間を向上させるためのものである。
本明細書で使用する場合、全生存期間(OS)とは、臨床試験において、無作為化時点から、いずれかの理由で死亡するまでの時間を意味する。無増悪生存期間(PFS)とは、臨床試験において、無作為化時点から、憎悪または死亡するまでの時間を意味する。無イベント生存期間(EFS)とは、試験登録時点から、いずれかの治療失敗イベント(疾患の進行、いずれかの理由による治療の中止、または死亡を含む)が見られるまでの時間を意味する。全奏効率(ORR)とは、完全奏効を示した患者と部分奏効を示した患者の割合(%)の合計を意味する。奏効持続期間(DoR)は、奏効を示してから、再発するか、または疾患が進行するまでの時間である。
5.3.バイオマーカーの検出及び定量方法
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、生体試料由来のバイオマーカー(CRBNまたはCRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質など)のタンパク質レベルの検出及び定量方法であって、試料内のタンパク質と、そのバイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する第1の抗体とを接触させることを含む方法である。いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、その第2の抗体が、バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合するとともに、その第2の抗体が、バイオマーカータンパク質上のエピトープのうち、第1の抗体とは異なるエピトープに免疫特異的に結合する、前記接触させることと、(ii)バイオマーカータンパク質に結合した第2の抗体の存在を検出することと、(iii)第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、バイオマーカータンパク質の量を割り出すことをさらに含む。別の実施形態では、本発明で提供する方法は、(i)第1の抗体に結合したバイオマーカータンパク質と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、その第2の抗体が、第1の抗体に免疫特異的に結合する、前記接触させることと、(ii)第1の抗体に結合した第2の抗体の存在を検出することと、(iii)第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、バイオマーカータンパク質の量を割り出すことをさらに含む。
本発明で提供する各種方法のいくつかの実施形態では、この方法は、免疫組織化学二重染色を用いて、CRBNまたはCRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質のようなバイオマーカーのレベルを割り出すことを含む。免疫組織化学二重染色アッセイでは、本発明で示されているバイオマーカーを標的とする第1の標識抗体と、がんのバイオマーカーを標的とする第2の標識抗体を用いて、本発明で示されているバイオマーカーと別のがんバイオマーカーを同時に検出する。このようなアッセイは、本発明で示されているバイオマーカーを検出及び測定する際の特異性、精度及び感受性を向上させることができる。いくつかの実施形態では、上記のがんバイオマーカーは、リンパ腫バイオマーカーである。別の実施形態では、がんバイオマーカーは、NHLバイオマーカーである。特定の実施形態では、がんバイオマーカーは、DLBCLバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、がんバイオマーカーは、MMバイオマーカーである。別の実施形態では、がんバイオマーカーは、白血病バイオマーカーである。さらに別の実施形態では、がんバイオマーカーは、AMLバイオマーカーである。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法は、(i)試料内のタンパク質と、本発明で示されているバイオマーカーに免疫特異的に結合する第1の抗体とを接触させることであって、その第1の抗体が、第1の検出可能な標識と結合している、前記接触させることと、(ii)その試料内のタンパク質と、がんバイオマーカーに免疫特異的に結合する第2の抗体とを接触させることであって、その第2の抗体が、第2の検出可能な標識と結合している、前記接触させることと、(iii)それらのタンパク質に結合したその第1の抗体と第2の抗体の存在を検出することと、(iv)第1の抗体の検出可能な標識の量に基づき、本発明で示されているバイオマーカーのレベルを割り出すとともに、第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、がんバイオマーカーのレベルを割り出すことを含む。いくつかの実施形態では、がんバイオマーカーは、リンパ腫バイオマーカーである。別の実施形態では、がんバイオマーカーは、NHLバイオマーカーである。特定の実施形態では、がんバイオマーカーは、DLBCLバイオマーカーである。いくつかの実施形態では、がんバイオマーカーは、MMバイオマーカーである。別の実施形態では、がんバイオマーカーは、白血病バイオマーカーである。さらに別の実施形態では、がんバイオマーカーは、AMLバイオマーカーである。
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、生体試料由来のバイオマーカー(CRBNまたは本発明で示されているバイオマーカーなど)のRNA(例えばmRNA)レベルの検出及び定量方法であって、(a)その試料からRNAを得ることと、(b)そのRNAと、そのRNA内の配列に特異的に結合するプライマーとを接触させて、前記RNAと相補的な配列を有する第1のDNA分子を生成させることと、(c)上記のバイオマーカーをコードする遺伝子のセグメントに対応するDNAを増幅することと、(d)その増幅したDNAの量に基づき、上記のバイオマーカーのRNAレベルを割り出すことを含む方法である。
いくつかの実施形態では、上記のバイオマーカー(複数可)は、本発明で示されている他のバイオマーカー(複数可)(CRBN、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3など)と組み合わせて評価する。
本発明で提供する各種方法の特定の実施形態では、工程の2つ以上を順次に行う。本発明で提供する方法の別の実施形態では、工程の2つ以上を並行して(例えば同時に)行う。
GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、BID、PARP、Mcl−1、SRSF3、SRSF6またはこれらを組み合わせたものなどのバイオマーカーのタンパク質レベルの検出及び定量方法のためのものとして、本発明で示す例示的なアッセイは、ウエスタンブロット解析及び酵素結合免疫吸着法(ELISA)(例えばサンドイッチELISA)のようなイムノアッセイである。GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、BID、PARP、Mcl−1、SRSF3、SRSF6またはこれらを組み合わせたものなどのバイオマーカーのRNAレベルの検出及び定量方法のためのものとして、本発明で示す例示的なアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えば定量RT−PCR(qRT−PCR)である。
CRBN、CRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質(例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3)、またはこれらを組み合わせたものなどのバイオマーカーのタンパク質レベルの検出及び定量方法のためのものとして、本発明で示す例示的なアッセイは、ウエスタンブロット解析及び酵素結合免疫吸着法(ELISA)(例えばサンドイッチELISA)のようなイムノアッセイである。CRBN、CRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質(例えば、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3)、またはこれらを組み合わせたものなどのバイオマーカーのRNAレベルの検出及び定量方法のためのものとして、本発明で示す例示的なアッセイは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、例えば定量RT−PCR(qRT−PCR)である。
5.4.対象、試料及び細胞のタイプ
特定の実施形態では、本発明で提供する各種方法では、対象または個体(例えば患者)由来の試料(例えば生体試料)を使用する。この対象は、がん(例えば、リンパ腫、MMまたは白血病)の患者のような患者であることができる。対象は、哺乳動物、例えばヒトであることができる。対象は、男性または女性であることができ、成人、小児または乳児であることができる。試料は、がん(例えば、リンパ腫、MMもしくは白血病)の活動期の最中のある時点、またはがん(例えば、リンパ腫、MMもしくは白血病)が不活性なときに解析することができる。特定の実施形態では、対象由来の2つ以上の試料を採取することができる。
特定の実施形態では、本発明で提供する方法で用いる試料は、対象から得た体液を含む。体液の非限定的な例としては、血液(例えば全血)、血漿、羊水、房水、胆汁、耳垢、クーパー液、射精前液、乳び、び汁、膣液、間質液、リンパ液、月経血、母乳、粘液、胸膜液、膿汁、唾液、皮脂、精液、血清、汗、涙、尿、膣潤滑液、嘔吐物、水、糞便、体内液(脳及び脊髄周囲の脳脊髄液を含む)、滑液、細胞内液(細胞内側の流体)、ならびに硝子体液(眼球内の流体)が挙げられる。いくつかの実施形態では、試料は、血液試料である。血液試料は、例えば、Innis et al,eds.,PCR Protocols(Academic Press,1990)に記載されているような従来の技法を用いて採取できる。従来の技法または市販のキット、例えばRosetteSepキット(カナダ、バンクーバーのStein Cell Technologies)を用いて、血液試料から、白血球細胞を分離することができる。従来の技法、例えば、磁気活性化細胞選別(MACS)(カリフォルニア州オーバーンのMiltenyi Biotec)または蛍光活性化細胞選別(FACS)(カリフォルニア州サンノゼのBecton Dickinson)を用いて、白血球細胞のサブ集団、例えば、単核球、B細胞、T細胞、単球、顆粒球またはリンパ球をさらに単離できる。
一実施形態では、血液試料は、約0.1mL〜約10.0mL、約0.2mL〜約7mL、約0.3mL〜約5mL、約0.4mL〜約3.5mLまたは約0.5mL〜約3mLである。別の実施形態では、血液試料は、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1.0mL、約1.5mL、約2.0mL、約2.5mL、約3.0mL、約3.5mL、約4.0mL、約4.5mL、約5.0mL、約6.0mL、約7.0mL、約8.0mL、約9.0mLまたは約10.0mLである。
いくつかの実施形態では、本発明の方法で用いる試料は、生検標本(例えば腫瘍生検標本)を含む。生検標本は、いずれかの器官または組織、例えば、皮膚、肝臓、肺、心臓、大腸、腎臓、骨髄、歯、リンパ節、毛髪、脾臓、脳、乳房またはその他の器官から得たものであることができる。対象から試料を単離するには、当業者に知られているいずれかの生検技法、例えば、開放生検、非切開生検、コア生検、切開生検、切除生検または細針吸引生検を用いることができる。
一実施形態では、本発明で提供する方法で用いる試料は、対象が、疾患または障害に対する治療を受ける前に、対象から採取する。別の実施形態では、試料は、対象が、疾患または障害に対する治療を受けている最中に、対象から採取する。別の実施形態では、試料は、対象が、疾患または障害に対する治療を受けた後に、対象から採取する。各種の実施形態では、その治療には、化合物(例えば、下記の5.7項に示されている化合物)を対象に投与することが含まれる。
特定の実施形態では、本発明で提供する方法で用いる試料は、複数の細胞(がん(例えばリンパ腫、MMまたは白血病)細胞など)を含む。このような細胞としては、いずれかのタイプの細胞、例えば、幹細胞、血液細胞(例えば末梢血単核球(PBMC))、リンパ球、B細胞、T細胞、単球、顆粒球、免疫細胞またはがん細胞を挙げることができる。
B細胞(Bリンパ球)としては、例えば、血漿B細胞、記憶B細胞、B1細胞、B2細胞、辺縁帯B細胞及び濾胞性B細胞が挙げられる。B細胞は、免疫グロブリン(抗体)とB細胞レセプターを発現できる。
特異的細胞集団は、市販の抗体(例えば、Quest Diagnostic(カリフォルニア州サンファンカピストラーノ)またはDako(デンマーク)の抗体)を組み合わせたものを用いて得ることができる。
特定の実施形態では、本発明で提供する方法における細胞は、PBMCである。特定の実施形態では、本発明で提供する方法で用いる試料は、疾患組織、例えば、がん(例えばリンパ腫、MMまたは白血病)の個体から得たものである。
特定の実施形態では、化合物の作用を評価するか、作用機序を調べるか、またはバイオマーカーの参照レベルを確立するなどするための疾患モデルとして、細胞株を使用する。いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法で用いる細胞は、がん(例えばAML)細胞株に由来するものである。一実施形態では、AML細胞株は、KG−1細胞株である。別の実施形態では、AML細胞株は、KG−1A細胞株である。さらに別の実施形態では、AML細胞株は、KASUMI−1細胞株である。さらに別の実施形態では、AML細胞株は、NB4細胞株である。一実施形態では、AML細胞株は、MV−4−11細胞株である。別の実施形態では、AML細胞株は、MOLM−13細胞株である。さらに別の実施形態では、AML細胞株は、HL−60細胞株である。さらに別の実施形態では、AML細胞株は、U−937細胞株である。一実施形態では、AML細胞株は、OCI−AML2細胞株である。別の実施形態では、AML細胞株は、OCI−AML3細胞株である。さらに別の実施形態では、AML細胞株は、HNT−34細胞株である。さらに別の実施形態では、AML細胞株は、ML−2細胞株である。一実施形態では、AML細胞株は、AML−193細胞株である。別の実施形態では、AML細胞株は、F36−P細胞株である。
特定の実施形態では、本発明で提供する方法は、健常な個体から得た細胞において、遺伝子の再構成を検出するのに有用である。特定の実施形態では、本発明で提供する方法で用いる細胞数は、1つの細胞〜約10個の細胞の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、本発明で提供する方法で用いる細胞数は、約1×10個、約5×10個、約1×10個、約5×10個、約1×10個、約5×10個、約1×10個、約5×10個、約1×10個、約5×10個または約1×10個である。
対象から採取する細胞の数とタイプは、例えば、フローサイトメトリー、細胞選別、免疫細胞化学法(例えば、組織特異的抗体もしくは細胞マーカー特異的抗体による染色)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、磁気活性化細胞選別(MACS)のような標準的な細胞検出技法を用いて、細胞表面マーカーの変化を測定することによって、光学顕微鏡もしくは共焦点顕微鏡を用いて、細胞の形態を調べることによって、ならびに/またはPCR及び遺伝子発現プロファイリングのような、当該技術分野において周知である技法を用いて、遺伝子発現の変化を測定することによってモニタリングできる。これらの技法は、1つ以上の特定のマーカーに対して陽性である細胞を特定するのにも用いることができる。
特定の実施形態では、本発明で提供する方法において、細胞サブセットを使用する。特異的細胞集団の選別及び単離方法は、当該技術分野において周知であり、細胞のサイズ、形態、または細胞内マーカーもしくは細胞外マーカーに基づくことができる。このような方法としては、フローサイトメトリー、フローソーティング、FACS、ビーズベースの分離法(磁気細胞選別など)、サイズベースの分離法(例えば、ふるい、障害物の配列またはフィルター)、マイクロフルイディクスデバイスでの選別、抗体ベースの分離法、沈降、親和性吸着、親和性抽出、密度勾配遠心分離、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションなどが挙げられるが、これらに限らない。蛍光活性化細胞選別(FACS)は、細胞を含む粒子を、その粒子の蛍光特性に基づき分離するための周知の方法である(Kamarch,Methods Enzymol.1987,151:150−165)。個々の粒子内の蛍光部分のレーザー励起により、わずかに帯電することで、混合物から陽性粒子と陰性粒子を電磁分離可能になる。一実施形態では、細胞表面マーカー特異的抗体またはリガンドは、別個の蛍光標識で標識されている。細胞をセルソーターで処理して、その細胞が、用いる抗体に結合する能力に基づき、細胞を分離させる。FACSで選別する粒子を96ウェルプレートまたは384ウェルプレートの個々のウェルに直接入れて、分離とクローニングを促してよい。
一実施形態では、RNA(例えばmRNA)またはタンパク質を腫瘍から精製して、遺伝子またはタンパク質発現解析によって、バイオマーカーの有無を測定する。特定の実施形態では、バイオマーカーの有無は、定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリーまたは免疫蛍光法によって測定する。別の実施形態では、バイオマーカーの有無は、ELISAまたは当該技術分野において知られているその他の類似の方法によって測定する。
5.5 試料中のmRNAレベルの検出方法
mRNAレベルを検出または定量するいくつか方法が、当該技術分野において知られている。例示的な方法としては、ノーザンブロット、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、PCRベースの方法などが挙げられるが、これらに限らない。バイオマーカー(例えば、CRBN、もしくはCRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質のmRNA、またはその断片)のmRNA配列を用いて、そのmRNA配列と少なくとも部分的に相補的であるプローブを調製できる。そして、そのプローブを用いて、PCRベースの方法、ノーザンブロッティング、ディップスティックアッセイなどのようないずれかの好適なアッセイによって、試料中のmRNAを検出できる。
別の実施形態では、生体試料中の化合物の活性を試験するための核酸アッセイを準備できる。アッセイは典型的には、固体支持体と、その支持体と接触している少なくとも1つの核酸を含み、その核酸は、バイオマーカー(例えば、CRBNまたはCRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質)のmRNAのように、患者への化合物による治療の際に発現が変化したmRNAの少なくとも一部に対応している。このアッセイは、試料中のそのmRNAの発現の変化を検出するための手段を有することもできる。
このアッセイ方法は、所望のmRNA情報のタイプに応じて変化し得る。例示的な方法としては、ノーザンブロット及びPCRベースの方法(例えばqRT−PCR)が挙げられるが、これらに限らない。qRT−PCRなどの方法は、試料中のmRNAの量を正確に定量することもできる。
いずれかの好適なアッセイプラットフォームを用いて、試料中のmRNAの存在を割り出すことができる。例えば、アッセイは、ディップスティック、膜、チップ、ディスク、テストストリップ、フィルター、マイクロスフィア、スライド、マルチウェルプレートまたは光ファイバーの形態であってよい。アッセイシステムは、mRNAに対応する核酸が結合した固体支持体を有してもよい。固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、膜、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレートまたはスライドを含んでよい。アッセイ構成要素は、mRNAを検出するためのキットとして、一緒に調製及びパッケージ化することができる。
所望の場合、核酸を標識して、標識化したmRNAの集団を作製できる。概して、試料は、当該技術分野において周知である方法を用いて(例えば、DNAリガーゼ、ターミナルトランスフェラーゼを用いるか、またはRNA骨格を標識することによってなど)標識できる。例えば、Ausubel et al.,Short Protocols in Molecular Biology(Wiley & Sons,3rd ed.1995)、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor,N.Y.,3rd ed.2001)を参照されたい。いくつかの実施形態では、試料は、蛍光標識で標識する。例示的な蛍光色素としては、キサンテン色素、フルオレセイン色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、6−カルボキシフルオレセイン(FAM)、6カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE))、ローダミン色素(例えば、ローダミン110(R110)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン6G(R6G5またはG5)、6−カルボキシローダミン6G(R6G6またはG6))、シアニン色素(例えばCy3、Cy5及びCy7)、Alexa色素(例えばAlexa−fluor−555)、クマリン、ジエチルアミノクマリン、ウンベリフェロン、ベンズイミド色素(例えばHoechst33258)、フェナントリジン色素(例えばTexas Red)、エチジウム色素、アクリジン色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素、BODIPY色素、キノリン色素、ピレン、フルオレセインクロロトリアジニル、エオシン色素、テトラメチルローダミン、リサミン、ナフトフルオレセインなどが挙げられるが、これらに限らない。
いくつかの実施形態では、mRNA配列は、本発明で示されているバイオマーカーの少なくとも1つのmRNAを含む。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、BID、PARP、Mcl−1、SRSF3、SRSF6またはその断片のmRNAからなる群から選択されている。
一実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3またはその断片のmRNAからなる群から選択されている。一実施形態では、mRNAは、GSPT1 mRNAである。別の実施形態では、mRNAは、GSPT2 mRNAである。さらに別の実施形態では、mRNAは、IKZF1 mRNAである。別の実施形態では、mRNAは、ATF4 mRNAである。さらに別の実施形態では、mRNAは、ATF3 mRNAである。別の実施形態では、mRNAは、DDIT3 mRNAである。上記の核酸は、固体支持体上の特定のアドレス可能な位置に存在してよく、それぞれ、細胞または患者において、化合物で処置すると示差的に発現するmRNA配列の少なくとも一部に対応している。
典型的なmRNAアッセイ方法は、1)表面に結合させた対象プローブを得る工程と、2)特異的な結合をもたらすのに十分な条件で、mRNA集団を、その表面結合プローブにハイブリダイズさせる工程と、(3)ハイブリダイズ後に洗浄して、その表面結合プローブに特異的に結合しなかった核酸を除去する工程と、(4)ハイブリダイズしたmRNAを検出する工程を含むことができる。これらの各工程で用いる試薬と、その使用条件は、具体的な用途によって変化し得る。
ハイブリダイゼーションは、好適なハイブリダイゼーション条件下で行うことができ、この条件は、所望されるストリンジェンシーの点で異なり得る。典型的な条件は、相補的な結合メンバー間、すなわち、表面に結合させた対象プローブと、試料中の相補的なmRNAとの間のプローブ/標的複合体を固体表面上に生成させるのに十分な条件である。特定の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を使用してよい。
ハイブリダイゼーションは典型的には、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行う。標準的なハイブリダイゼーション技法(例えば、試料中の標的mRNAの、プローブへの特異的な結合をもたらすのに十分な条件下)は、Kallioniemi et al.,Science 1992,258:818−821及び国際特許出願公開第WO93/18186号に記載されている。一般的な技法のいくつかの手引書、例えばTijssen,Hybridization with Nucleic Acid Probes,Parts I and II(Elsevier,Amsterdam 1993)が入手可能である。インサイチュハイブリダイゼーションに適する技法の説明については、Gall et al.,Meth.Enzymol.1981,21:470−480、Angerer et al.,Genetic Engineering:Principles and Methods,Vol 7,pgs43−65(Plenum Press,New York,Setlow and Hollaender,eds.1985)を参照されたい。温度、塩濃度、ポリヌクレオチド濃度、ハイブリダイゼーション時間及び洗浄条件のストリンジェンシーなどを含む適切な条件の選択は、試料の供給源、捕捉物質の同一性、予測される相補性の度合いなどを含む実験設計に左右されることになり、当業者であれば、日常的な実験の要素として決定することができる。
当業者であれば、代替的であるが、同等のハイブリダイゼーション条件と洗浄条件を用いて、同程度のストリンジェンシーの条件をもたらすことができる旨を容易に認識するであろう。
mRNAのハイブリダイゼーション手順後、典型的には、表面に結合したポリヌクレオチドを洗浄して、未結合の核酸を除去する。洗浄は、いずれかの利便的な洗浄プロトコールを用いて行ってよく、その洗浄条件は典型的には、上記のように、ストリンジェントである。続いて、標準的な技法を用いて、標的mRNAのプローブへのハイブリダイゼーションを検出する。
PCRベースの方法のような他の方法を用いて、CRBNまたはCRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質の発現を検出することもできる。PCRの方法の例は、米国特許第6,927,024号で見ることができ、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。RT−PCRの方法の例は、米国特許第7,122,799号で見ることができ、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。蛍光インサイチュPCRの方法は、米国特許第7,186,507号で見ることができ、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
いくつかの実施形態では、RNA標的の検出と定量の両方に、定量逆転写PCR(qRT−PCR)を用いることができる(Bustin et al.,Clin.Sci.2005,109:365−379)。qRT−PCRによって得られる定量結果は概して、定性的データよりも情報量が多い。したがって、いくつかの実施形態では、qRT−PCRベースのアッセイは、細胞ベースのアッセイの際に、mRNAレベルを測定するのに有用であることがある。qRT−PCRの方法は、患者の治療をモニタリングするのにも有用である。qRT−PCRベースの方法の例は、例えば、米国特許第7,101,663号で見ることができ、この特許は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
通常の逆転写酵素PCRと、アガロースゲルによる解析とは対照的に、qRT−PCRでは、定量結果が得られる。qRT−PCRの更なる利点は、使用が比較的容易なことと、簡便であることである。Applied Biosystems7500のようなqRT−PCR用の計器が市販されており、試薬も、TaqMan(登録商標)Sequence Detection Chemistryなどが市販されている。例えば、TaqMan(登録商標)Gene Expression Assaysをメーカーの指示に従って使用することができる。これらのキットは、ヒト、マウス及びラットmRNA転写産物の迅速で信頼性の高い検出と定量を行うための調合済みの遺伝子発現アッセイである。例示的なqRT−PCRプログラムは、例えば、50℃で2分、95℃で10分、95℃で15秒を40サイクル後に、60℃で1分行うものである。
特定のアンプリコンの蓄積と関連する蛍光シグナルが閾値と交差するサイクル数(Cという)を割り出すために、例えば、比較C相対定量算出法を用いる7500 Real−Time PCR System Sequence Detection vs.というソフトウェアを用いて、データを解析できる。この方法を用いる場合、出力は、発現レベルの倍率変化として表される。いくつかの実施形態では、閾値レベルは、ソフトウェアによって自動的に決定されるように選択できる。いくつかの実施形態では、閾値レベルは、ベースラインを上回るが、増幅曲線の指数関数的増加領域の範囲内となるように十分低くなるよう設定する。
5.6 試料中のポリペプチドレベルまたはタンパク質レベルの検出方法
いくつかのタンパク質検出方法と定量方法を用いて、CRBNまたはCRBNに直接もしくは間接的に影響されるタンパク質のようなバイオマーカーのレベルを測定できる。いずれかの好適なタンパク質定量方法を用いることができる。いくつかの実施形態では、抗体ベースの方法を使用する。使用できる例示的な方法としては、イムノブロッティング(ウエスタンブロット)、ELISA、免疫組織化学法、フローサイトメトリー、サイトメトリービーズアレイ、質量分析などが挙げられるが、これらに限らない。直接ELISA、間接ELISA及びサンドイッチELISAを含め、いくつかのタイプのELISAが広く用いられている。
いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、BID、PARP、Mcl−1、SRSF3及びSRSF6のタンパク質からなる群から選択されている。特定の実施形態では、バイオマーカーは、CRBNに直接または間接的に影響されるタンパク質である。一実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2及びIKZF1からなる群から選択されている。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されている。具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1である。別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1である。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。さらに別の具体的実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。
5.7 化合物
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRはそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式IIの化合物、
Figure 2019504063
II
またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、上記の式中、
は、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
の置換基が存在するとき、その基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
一実施形態では、本発明の化合物は、式Iまたは式IIを有し、式中、Rは、任意に置換されたアリールであり、
の置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
一実施形態では、化合物は、式Iまたは式IIのものであり、式中、Rは、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクリルまたは任意に置換されたヘテロアリールであり、Rの置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、ハロ、アルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、−RORまたは−RN(R)(R)であり、各Rは独立して、直接結合またはアルキレンであり、各Rは独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルであり、i)RとRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはii)RとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
一実施形態では、化合物は、式Iまたは式IIを有しており、式中、Rは、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたシクロヘキシル、任意に置換されたピペリジニルまたは任意に置換されたピリジルであり、Rの置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、ハロ、アルキル、−RORまたは−RN(R)(R)であり、各Rは独立して、直接結合またはアルキレンであり、各Rは独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルであり、i)RとRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはii)RとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、5もしくは6員のヘテロシクリル環を形成している。
一実施形態では、化合物は、式Iまたは式IIのものであり、式中、Rは、任意に置換されたフェニル、任意に置換されたシクロヘキシル、任意に置換されたピペリジニルまたは任意に置換されたピリジルであり、Rの置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、ブロモ、フルオロ、クロロ、メチル、イソプロピル、tertブチルトリフルオロメチル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、メトキシエトキシ、イソプロピルオキシエトキシ、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノまたはピペリジニルである。
一実施形態では、化合物は、式Iまたは式IIを有しており、式中、Rは、任意に置換されたアリールであり、Rの置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、ハロ、アルキル、−ROR、−RSRまたは−RORC(O)N(R)(R)であり、各Rは独立して、直接結合またはアルキレンであり、各Rは独立して、水素、ハロ、アルキルまたはハロアルキルであり、RとRはそれぞれ独立して、水素またはアルキルである。
一実施形態では、化合物は、式Iまたは式IIを有しており、式中、Rは、任意に置換されたアリールであり、Rの置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、フルオロ、クロロ、メチル、−ROR、−RN(R)(R)、−RSRまたは−RORC(O)N(R)(R)であり、各Rは独立して、直接結合またはメチレンであり、各Rは独立して、水素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり、RとRはそれぞれ独立して、水素またはメチルである。
一実施形態では、化合物は、式Iまたは式IIを有しており、式中、Rは、任意に置換されたフェニルであり、Rの置換基が存在するとき、その置換基は、1〜3個のQという基であり、各Qは独立して、フルオロ、クロロ、メチル、tertブチル、−ROR、−RN(R)(R)、−RSRまたは−RORC(O)N(R)(R)であり、各Rは独立して、直接結合またはメチレンであり、各Rは独立して、水素、メチル、エチルまたはトリフルオロメチルであり、RとRはそれぞれ独立して、水素またはメチルである。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式IIIの化合物、
Figure 2019504063
III
またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
各Qは独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しており、
nは、0〜3である。
一実施形態では、本発明で提供するのは、式IIIの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、または製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
とRは、
i)それぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、または
ii)それらを置換する窒素原子と一体になって、5もしくは6員のヘテロシクリルを形成しているものとして選択されており、
nは、0〜3である。
一実施形態では、本発明における化合物は、式IIIのものであり、式中、Qは、水素、Br、Cl、F、メチル、イソプロピル、t−ブチル、イソプロピル、シクロプロピル、−CF、−OH、−SCH、−SCF、−C(CHF、−OCH3、−OCF、−OCHCH、−OCH(CH、−OCHCF、−O(CHOCH、−O(CHOCH(CH、−O(CHO(CHOCH、−NHCH、−N(CH、−O(CH−モルホリニル、ピペリジル、モルホリニル、−CH−モルホリニル、−O(CH−4,4−ジフルオロ−1−ピペリジルまたはp−フルオロフェニルである。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式IVの化合物、
Figure 2019504063
IV
またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素またはアルキルである。
一実施形態では、本発明における化合物は、式IVのものであり、式中、Qは、水素、ハロ、アルキル、任意に置換されたアリール、−RORまたは−RN(R)(R)であり、Rは独立して、直接結合またはアルキレンであり、Rは、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、RとRはそれぞれ独立して、水素またはアルキルである。いくつかの実施形態では、Qは、水素、Br、Cl、F、メチル、イソプロピル、t−ブチル、イソプロピル、−OCH、−SCH、−C(CHF、−OCH(CH、−O(CHOCHまたはp−フルオロフェニルである。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式Vの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
とQはそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキルまたはアルコキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素またはアルキルである。
一実施形態では、本発明における化合物は、式Vのものであり、式中、QとQはそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシアルキル、−RORまたは−RN(R)(R)であり、Rは、直接結合またはアルキレンであり、Rは、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、RとRはそれぞれ独立して、水素またはアルキルである。いくつかのこのような実施形態では、QとQはそれぞれ独立して、水素、F、メチル、−CF、−OH、−OCF、−OCHCH、OCH(CH、−OCHCFまたは−NHCHである。
一実施形態では、本発明における化合物は、式Vのものであり、式中、Qは、水素であり、Qは、水素、ハロ、アルキル、アルコキシアルキル、−RN(R)(R)または−RORであり、Rは、直接結合またはアルキレンであり、Rは、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、RとRはそれぞれ独立して、水素またはアルキルである。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式VIの化合物、
Figure 2019504063
VI
またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
とQはそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
一実施形態では、本発明における化合物は、式VIのものであり、式中、QとQはそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシアルキル、−RN(R)(R)または−RORであり、Rは、直接結合またはアルキレンであり、Rは、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、RとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、6員のヘテロシクリルを形成している。いくつかのこのような実施形態では、QとQはそれぞれ独立して、水素、F、Cl、−OH、メチル、−CF、−NHCH、−N(CH、−OCF、−OCHCH、−OCHCF、−OCH(CH、−O(CHOCH、−O(CHOCH(CH、−O(CHO(CHOCH、O(CH−モルホリニル、ピペリジル、モルホリニル、−CH−モルホリニルまたは−O(CH−4,4−ジフルオロ−1−ピペリジルである。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式VIIの化合物、
Figure 2019504063
VII
またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
は、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルコキシアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している。
一実施形態では、本発明における化合物は、式VIIのものであり、式中、Qは、水素、ハロ、アルキル、アルコキシアルキル、−RN(R)(R)または−RORであり、Rは、直接結合またはアルキレンであり、Rは、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、RとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、6員のヘテロシクリルを形成している。いくつかのこのような実施形態では、Qは、水素、F、Cl、メチル、ピペリジル、モルホリニル、−CH−モルホリニル、−N(CH、−O(CHOCH、−O(CHOCH(CH、−O(CHO(CHOCHまたは−O(CH−4,4−ジフルオロ−1−ピペリジルである。
一実施形態では、本発明で提供するのは、下記の式VIIIの化合物、
Figure 2019504063
VIII
またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
とQはそれぞれ独立して、水素、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rは独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jは、OまたはSであり、
とRはそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、6員のヘテロシクリルを形成している。
一実施形態では、本発明における化合物は、式VIIIのものであり、式中、QとQはそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシアルキル、任意に置換されたアリールまたは−RORであり、Rは、直接結合またはアルキレンであり、Rは、水素、アルキルまたはハロアルキルである。いくつかのこのような実施形態では、QとQはそれぞれ独立して、水素、F、Br、Cl、メチル、イソプロピル、t−ブチル、−C(CHF、p−フルオロフェニル、シクロプロピル、−N(CH、−OCH、−OCH(CH、−O(CHOCH、−O(CHOCH(CH、−O(CHOCH、−O(CHO(CHOCH、−OCF、−O(CH−4,4−ジフルオロ−1−ピペリジル、−SCF、モルホリニル、ピペリジルまたはCH−モルホリニルである。
一実施形態では、本発明で提供する化合物は、
2−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メトキシフェニル)アセトアミド、
2−(3−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−p−トリルアセトアミド、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(2−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
2−(4−tert−ブチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−フェニルアセトアミド、
2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル)アセトアミド、
2−(2,6−ジフルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−o−トリルアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(3−ブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(3−クロロ−4−メトキシフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−m−トリルアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
2−(3,4−ジフルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロピルフェニル)アセトアミド、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−メトキシフェニル)アセトアミド、
2−(4−シクロプロピルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロ−2−メチルフェニル)アセトアミド、
2−(3−クロロ−2−メチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
2−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)アセトアミド、
2−(4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−シクロヘキシル−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−クロロ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)アセトアミド、
2−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(ピペリジン−1−イル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−モルホリノフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシ−4−フルオロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(モルホリノメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシ−2−メチルフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシ−3−メチルフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロ−4−イソプロポキシフェニル)アセトアミド、
2−(3−クロロ−4−イソプロポキシフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−メチル−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(5−クロロピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−フルオロピリジン−2−イル)アセトアミド、
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(4−ブロモフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(2−メトキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−ヒドロキシシクロペンチル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−メチル−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(3−エトキシピリジン−2−イル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−メチルピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシ−6−フルオロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4’−フルオロビフェニル−4−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2−(2−エトキシ−5−フルオロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−シクロペンチル−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(3−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(4−クロロ−2−エトキシフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(2−(メチルアミノ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−イソプロポキシ−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルシクロヘキシル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−イソプロポキシエトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−ヒドロキシフェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−((4−メチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−メチル−2−(トリフルオロメチル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(3−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−イソプロピルピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(メチルスルホニル)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(3−(メチルスルホニル)プロピル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(2−フルオロプロパン−2−イル)フェニル)アセトアミド、
2−(1−ベンジル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−メトキシピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル)アセトアミド、
2−(5−tert−ブチルピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
2−(5−シクロプロピルピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−イソプロポキシピリジン−2−イル)アセトアミド、
2−(5−ブロモピリジン−2−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロ−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロシクロヘキシル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(メチルスルホニル)フェニル)アセトアミド、
2−(2−アミノピリミジン−5−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(5−(トリフルオロメチルチオ)ピリジン−2−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(メチルアミノ)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)アセトアミド、
2−(2−アミノピリミジン−4−イル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(ピリミジン−4−イル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−(ピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)アセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(2−モルホリノエトキシ)フェニル)アセトアミド、
2−(3−(2−(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド、
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−4−イル)アセトアミド及び
N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(3−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)アセトアミドからなる群から選択されている。
具体的実施形態では、治療化合物は、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物D)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である。
別の具体的実施形態では、治療化合物は、2−(4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物E)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である。
本発明で提供する各種化合物は、1つ以上のキラル中心を含み、エナンチオマーの混合物(例えばラセミ混合物)またはジアステレオマーの混合物として存在できる。本発明で提供する方法には、上記のような化合物の立体異性体的に純粋な形態と、それらの形態の混合物を使用することが含まれる。例えば、本発明で提供する方法では、特定の化合物のエナンチオマーを等量または不等量含む混合物を使用してよい。これらの異性体は、不斉合成しても、キラルカラムまたはキラル分割剤などの標準的な技法を使用して分割してもよい。Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley−Interscience,New York,1981)、Wilen et al.,Tetrahedron 1977,33:2725−2736、Eliel,Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw−Hill,NY,1962)、Wilen,Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions,p.268(Eliel,ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN,1972)を参照されたい。
また、本発明で提供するのは、本発明で提供する化合物を同位体的に濃縮したアナログである。医薬を同位体的に濃縮して(例えば重水素化して)、薬物動態(「PK」)と、薬力学的作用(「PD」)と、毒性プロファイルを改善することは、いくつかのクラスの薬物で過去に示されている。例えば、Lijinsky et.al.,Food Cosmet.Toxicol.,20:393(1982)、Lijinsky et.al.,J.Nat.Cancer Inst.,69:1127(1982)、Mangold et.al.,Mutation Res.308:33(1994)、Gordon et.al.,Drug Metab.Dispos.,15:589(1987)、Zello et.al.,Metabolism,43:487(1994)、Gately et.al.,J.Nucl.Med.,27:388(1986)、Wade D,Chem.Biol.Interact.117:191(1999)を参照されたい。
いずれかの特定の理論に拘束される訳ではないが、薬物の同位体的な濃縮を用いて、例えば、(1)不要な代謝物を低減もしくは排除したり、(2)親薬物の半減期を延長したり、(3)所望の作用をもたらすのに必要な投与数を減らしたり、(4)所望の作用をもたらすのに必要な投与量を軽減したり、(5)いずれかの活性代謝物が形成される場合、その形成を増大させたり、ならびに/または(6)特定の組織において、有害な代謝物の産生を軽減したり、ならびに/もしくは併用療法(その併用療法が意図的か否かは問わない)のために、有効性の向上した薬物及び/もしくは安全性の向上した薬物を作製したりできる。
原子が、その同位体の1つに置換されると、化学反応の反応速度が変化する場合が多い。この現象は、速度論的同位体効果(「KIE」)として知られている。例えば、C−H結合が、化学反応における律速段階(すなわち、遷移状態のエネルギーが最も高い段階)の際に分断される場合、その水素の重水素への置換により、反応速度が遅くなり、その反応プロセスが遅くなる。この現象は、重水素速度論的同位体効果(「DKIE」)として知られている(例えば、Foster et al.,Adv.Drug Res.,vol.14,pp.1−36(1985)、Kushner et al.,Can.J.Physiol.Pharmacol.,vol.77,pp.79−88(1999))を参照されたい)。
DKIEの程度は、C−H結合が分断される所定の反応の速度と、水素が重水素に置換されている場合の同じ反応との速度の比として表すことができる。DKIEは、約1(同位体効果のない場合)から、非常に大きな数(50を超える数など)までに及ぶことができ、50を超える場合は、水素を重水素に置換すると、その反応が、50倍超遅くなり得ることを意味する。特定の理論に拘束されるものではないが、DKIE値が高いのは、部分的には、不確定性原理の結果であるトンネリングとして知られる現象によるものと見られる。トンネリングは、水素原子の小さい質量に起因するとともに、プロトンの関与する遷移状態が、所要の活性化エネルギーのない状態で形成される場合があり得るために生じる。重水素の質量は水素よりも重いので、統計的には、この現象を起こす可能性が水素よりもかなり低い。
トリチウム(「T」)は、水素の放射性同位体であり、研究、核融合炉、中性子発生装置及び放射性医薬品で用いられている。トリチウムは、核内に中性子を2つ有するとともに、原子量が約3である水素原子である。トリチウムは、天然においては、環境内で最も低い濃度で存在し、TOとして見られることが最も一般的である。トリチウムは、ゆっくり分解し(半減期=12.3年)、ヒトの皮膚の外層を通過できない低エネルギーのβ粒子を放出する。この同位体に関連する主な危険は、内部被ばくであるが、重大な健康リスクを引き起こすには、大量に摂取しなければならない。トリチウムは、危険なレベルに到達するまでに必要な消費量が重水素よりも少ない。水素がトリチウム(「T」)に置換されると、重水素よりも強固な結合が得られ、重水素よりも数値的に大きい同位体効果が得られる。
同様に、他の元素の同位体への置換(炭素の13Cまたは14Cへの置換、硫黄の33S、34Sまたは36Sへの置換、窒素の15Nへの置換、及び酸素の17Oまたは18Oへの置換が挙げられるが、これらに限らない)により、同様の速度論的同位体効果が得られる。
動物の体では、その循環系から、治療剤などの外来物質を除去する目的で、様々な酵素が発現される。このような酵素の例としては、腎排泄のために、これらの外来物質と反応して、極性の向上した中間体または代謝物に変換させるシトクロムP450酵素(「CYP」)、エステラーゼ、プロテアーゼ、レダクターゼ、デヒドロゲナーゼ及びモノアミンオキシダーゼが挙げられる。特に一般的な医薬化合物代謝反応のいくつかは、炭素−水素(C−H)結合を炭素−酸素(C−O)または炭素−炭素(C−C)π結合のいずれかに酸化することを伴う。得られる代謝物は、生理的条件下で安定であることも、不安定であることもあり、親化合物と実質的に異なる薬物動態プロファイル、薬力学プロファイル、及び急性かつ長期的な毒性プロファイルを有し得る。多くの薬物では、このような酸化は急速である。その結果、これらの薬物では、複数回投与したり、または1日当たりの投与量を多くしたりする必要があることが多い。
本発明で提供する化合物の特定の位置で同位体的に濃縮すると、天然の同位体組成を有する同様の化合物と比べて、本発明で提供する化合物の薬物動態プロファイル、薬理学的プロファイル及び/または毒物学的プロファイルに影響を及ぼす検出可能なKIEを得ることができる。一実施形態では、代謝の際のC−H結合切断部位において、重水素濃縮を行う。
化合物を試験して、所望の抗増殖活性を有する化合物を同定するには、標準的な生理学的手順、薬理学的手順及び生化学的手順を利用可能である。
このようなアッセイとしては、例えば、結合アッセイ、放射能取り込みアッセイのような生化学的アッセイと、様々な細胞ベースのアッセイが挙げられる。本発明で提供する化合物は、当業者に知られている方法によって、また、本明細書の実施例の項に示されている手順と同様の手順と、その通常的な修正形態に従って調製できる。
化合物を調製するための例示的な反応スキームを以下に示す。
Figure 2019504063
上記の詳細な説明と付随の例は、例示的なものに過ぎず、主題の範囲を限定するものとして解釈すべきでないことが分かる。開示されている実施形態に対する各種の変更と修正は、当業者には明らかであろう。このような変更と修正(本発明で示す化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、調合及び/または使用方法に関する変更と修正が挙げられるが、これらに限らない)は、本発明の趣旨と範囲から逸脱しなければ、行ってよい。本明細書で参照されている米国特許と文献は、参照により援用される。
5.8 医薬組成物
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本発明で提供する医薬組成物は、本発明で提供する化合物の1つ以上を治療上有効な量と、製薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とを含む。いくつかの実施形態では、化合物は、その組成物における唯一の製薬学的活性成分として調合しても、他の活性成分と組み合わせてもよい。特定の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dまたは化合物Eである。一実施形態では、式Iの化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、式Iの化合物は、化合物Eである。
化合物は、注射、舌下及び口腔内、直腸、経腟、眼局所、耳内、経鼻、吸入、霧状化、皮膚または経皮などの様々な投与経路に適する医薬組成物に調合できる。典型的には、上記の化合物は、当該技術分野において周知である技法と手順を用いて、医薬組成物に調合する(例えば、Ansel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,(7th ed.1999)を参照されたい)。
本発明の組成物では、有効濃度の1つ以上の化合物または製薬学的に許容可能な塩が、好適な製剤用担体またはビヒクルと混合されている。特定の実施形態では、組成物中の化合物の濃度は、投与したときに、固形がんと血液がんを含むがんの症状及び/または進行のうちの1つ以上を治療、予防または改善する量を送達するのに有効な濃度である。
活性化合物は、治療する患者に、望ましくない副作用のない状態で、治療上有用な作用をもたらすのに十分な量にする。治療上有効な濃度は、本明細書に記載されているインビトロ系とインビボ系において、化合物を試験してから、その試験結果から、ヒトへの投与量について推定することによって、実験で定めてよい。医薬組成物中の活性化合物の濃度は、その活性化合物の吸収、組織分布、不活化及び排泄率、その化合物の物理化学的特徴、投与スケジュール、投与量、ならびに当業者に知られているその他の要因に左右されることになる。
製薬学上、治療上活性な化合物とその塩は、単位投与形態または複数回投与形態で調合及び投与する。単位投与形態とは、本明細書で使用する場合、ヒトと動物の対象に適する物理的に別個の単位を指し、当該技術分野において知られているようにして、個別に包装されている。各単位用量には、必要な製剤用担体、ビヒクルまたは希釈剤と併せて、所望の治療作用をもたらすのに十分な所定量の治療上活性な化合物が含まれる。単位投与形態の例としては、アンプル、シリンジ、及び個別包装の錠剤またはカプセル剤が挙げられる。単位投与形態は、それを分割して、または複数で投与してもよい。複数回投与形態は、分割して単位投与形態を投与するために、同じ単位投与形態が複数、1つの容器に包装されているものである。複数回投与形態の例としては、錠剤もしくはカプセル剤の入ったバイアルもしくはボトル、または数パイントもしくは数ガロンのボトルが挙げられる。すなわち、複数回投与形態は、パッケージ内で分割されていない状態で、単位用量が複数集まったものである。
正確な投与量と治療期間は、治療する疾患の相関的要素であり、既知の試験プロトコールを用いて、またはインビボもしくはインビトロ試験データから推定することによって、実験で定めてよいことは分かる。濃度と投与量の値は、緩和対象の状態の重症度によっても変化し得ることに留意されたい。いずれかの特定の対象では、時間の経過とともに、個々のニーズと、組成物を投与するかまたはその投与について指導する専門家の判断に従って、具体的な投与レジメンを調節する必要があることと、本明細書に定められている濃度範囲は、例示的なものに過ぎず、特許請求されている組成物の範囲または実施を限定するようには意図されていないことをさらに理解されたい。
非経口投与、皮内投与、皮下投与または局所投与で用いる液剤または懸濁剤は、滅菌希釈剤(水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジメチルアセトアミドまたはその他の合成溶媒など)、抗菌剤(ベンジルアルコール及びメチルパラベンなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸及び重硫酸ナトリウムなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、緩衝剤(アセテート、シトレート及びフォスフェートなど)、ならびに浸透圧調節剤(ナトリウムクロライドまたはデキストロースなど)のうちの構成要素のいずれかを含むことができる。非経口調製剤は、ガラス、プラスチックまたはその他の好適な材料で作られたアンプル、ペン、使い捨て式シリンジ、または単位投与量もしくは複数回投与量バイアルに入れることができる。
化合物の溶解性が不十分な場合には、化合物を可溶化する方法を用いてもよい。このような方法は、当業者に知られており、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような共溶媒を用いること、TWEEN(登録商標)のような界面活性剤を用いること、または化合物を水酸化ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液もしくは塩酸水溶液に溶解することが挙げられるが、これらに限らない。
徐放調製剤を調製することもできる。徐放調製剤の好適な例としては、本発明で提供する化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスであって、そのマトリックスが、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態であるものが挙げられる。徐放マトリックスの例としては、イオントフォレシスパッチ、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー(LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーとロイプロリドアセテートで構成された注射用マイクロスフィア)など)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−ビニルアセテートのようなポリマーと、乳酸−グリコール酸により、100日にわたって、分子を放出できるようになるが、特定のヒドロゲルは、これよりも短い期間で、タンパク質を放出させる。カプセル化した化合物が、体内に長期間留まるときには、その化合物は、37℃で水分に暴露されると、変性または凝集でき、その結果、生物学的活性が消失し、その構造が変化する可能性がある。関与する作用機序に応じて、安定化のために、合理的な方策を考案できる。例えば、その凝集機序が、チオ−ジスルフィド交換を通じて分子間S−S結合の形成であることを見出した場合には、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分含量を制御し、適当な添加剤を使用し、特定のポリマーマトリックス組成物を作ることによって行ってよい。
本発明で提供する組成物であって、ラクトースを含まない組成物は、当該技術分野において周知であるとともに、例えば、The U.S.Pharmacopeia(USP)に列挙されている賦形剤を含むことができる。概して、ラクトースを含まない組成物は、活性成分と、結合剤/充填剤と、潤沢剤を、製薬学的に適合性があり、製薬学的に許容可能である量で含む。ラクトースを含まない例示的な剤形は、活性成分と、微結晶性セルロースと、アルファ化デンプンと、マグネシウムステアレートを含む。
さらに、本発明で提供する化合物を含む無水の医薬組成物と剤形も含む。本発明で提供する無水の医薬組成物と剤形は、当業者に知られているように、無水または低水分量の成分と、低水分条件または低湿条件を用いて調製できる。無水医薬組成物は、その無水性が保たれるように調製及び保存しなければならない。したがって、無水組成物は、好適な製剤キットに含めることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を用いて包装する。好適な包装材の例としては、密閉ホイル、プラスチック、単位用量用容器(例えばバイアル)、ブリスターパック及びストリップパックが挙げられるが、これらに限らない。
活性成分を0.001%〜100%の範囲で含み、残部が非毒性の担体からなる剤形または組成物を調製してよい。いくつかの実施形態では、想定されている組成物は、活性成分を約0.005%〜約95%含む。別の実施形態では、想定されている組成物は、活性成分を約0.01%〜約90%含む。別の実施形態では、想定されている組成物は、活性成分を約0.1%〜約85%含む。別の実施形態では、想定されている組成物は、活性成分を約0.1%〜約75〜95%含む。
この組成物は、所望の組み合わせの特性を得るために、他の活性化合物を含んでよい。本発明で提供する化合物または本明細書に記載されているようなその製薬学的に許容可能な塩は、有益なことに、治療または予防目的で、上で言及した疾患または病状(固形がんまたは血液がんなど)の1つ以上の治療において有用なことが一般技術分野で知られている別の薬理剤とともに投与してもよい。このような併用療法が、本発明で提供する組成物と治療方法のさらなる態様を構成することを理解されたい。
5.8.1 注射剤、液剤及び乳剤
本発明の組成物の非経口投与としては、静脈内投与、皮下投与及び筋内投与が挙げられる。非経口投与用の組成物としては、すぐに注射できる滅菌液剤、滅菌乾燥可溶性物(使用直前に溶媒と組み合わせる状態になっている凍結乾燥粉末など)、すぐに注射できる滅菌懸濁剤、及び滅菌乳剤が挙げられる。この液剤は、水性であっても、非水性であってもよい。単位投与用の非経口調製剤は、アンプル、バイアルまたは注射針付きシリンジに入っている。非経口投与の調製剤はいずれも、当該技術分野において知られているとともに、実施されているように、滅菌されていなければならない。
非経口調製剤で用いる製薬学的に許容可能な担体としては、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖またはキレート剤、ならびにその他の製薬学的に許容可能な物質が挙げられる。
水性ビヒクルの例としては、ナトリウムクロライド注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、注射用滅菌水、デキストロース及び乳酸リンゲル注射液が挙げられる。非水性非経口ビヒクルとしては、綿実油、コーン油、ゴマ油及びラッカセイ油などの植物油の固定油が挙げられる。複数回投与用容器に入れる非経口調製剤には、静菌濃度または静真菌濃度の抗菌剤を加えなければならず、この抗菌剤としては、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、ベンザルコニウムクロライド、ならびにベンゼトニウムクロライドが挙げられる。等張化剤としては、ナトリウムクロライドとデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、フォスフェートとシトレートが挙げられる。抗酸化剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤としては、プロカインヒドロクロライドが挙げられる。懸濁化及び分散剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。金属イオン封鎖剤または金属イオンのキレート剤としては、EDTAが挙げられる。製剤用担体としては、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール、ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も挙げられる。
注射剤は、局部投与と全身投与用に設計されている。典型的には、治療する組織(複数可)に対して活性化合物を少なくとも約0.1%w/wから、約90%w/w以上までの濃度(1%w/w超など)で含めるように、治療上有効な投与量を調合する。この活性成分は、1回投与しても、時間間隔をあけて、投与量を多くのより少量に分けて投与してもよい。正確な投与量と治療期間は、治療する組織の相関的要素であり、既知の試験プロトコールを用いて、またはインビボもしくはインビトロ試験データから推定することによって、実験で定めてよいことが分かる。濃度と投与量の値は、治療する個体の年齢によって変化し得ることにも留意されたい。いずれかの特定の対象では、時間の経過とともに、個々のニーズと、製剤を投与するかまたはその投与について指導する専門家の判断に従って、具体的な投与レジメンを調節する必要があることと、本明細書に定められている濃度範囲は、例示的なものに過ぎず、特許請求されている製剤の範囲または実施を限定するようには意図されていないことをさらに理解されたい。
5.8.2 凍結乾燥粉末
本発明においてさらに目的とするものは、投与の際に、液剤、乳剤及びその他の混合物として再構成できる凍結乾燥粉末である。この凍結乾燥粉末は、固体またはゲルとして再構成と調合をしてもよい。
滅菌凍結乾燥粉末は、本発明で提供する化合物またはその製薬学的に許容可能な塩を好適な溶媒に溶解することによって調製する。この溶媒は、安定性を向上させる賦形剤、またはその粉末もしくはその粉末から調製した再構成済みの液剤の他の薬理学的構成成分を含んでよい。用いてよい賦形剤としては、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたはその他の好適な賦形剤が挙げられるが、これらに限らない。溶媒は、シトレート、フォスフェートまたは当業者に知られているその他の緩衝剤のような緩衝剤も含んでよい。続いて、上記の溶液を滅菌ろ過してから、当業者に知られている標準的な条件下で凍結乾燥することによって、所望の製剤が得られる。概して、得られた液剤は、凍結乾燥用のバイアルに分けて入れる。各バイアルには、その化合物の単回投与量または複数回投与量を入れることになる。凍結乾燥粉末は、適切な条件(約4℃〜室温など)で保存することができる。
一態様では、この凍結乾燥製剤は、投与前に、好適な希釈剤で適切な濃度に再構成するのに適している。一実施形態では、凍結乾燥製剤は、室温において安定している。一実施形態では、凍結乾燥製剤は、室温において、最長で約24カ月安定している。一実施形態では、凍結乾燥製剤は、室温において、最長で約24カ月、最長で約18カ月、最長で約12カ月、最長で約6カ月、最長で約3カ月または最長で約1カ月安定している。一実施形態では、凍結乾燥製剤は、保存時、40℃/75%RHの加速条件下で、最長で約12カ月、最長で約6カ月または最長で約3カ月安定している。
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、静脈内投与用に水溶液で再構成するのに適している。特定の実施形態では、本発明で提供する凍結乾燥製剤は、水で再構成するのに適している。一実施形態では、再構成済み水溶液は、再構成してから、室温において、最長で約24時間安定している。一実施形態では、再構成済みの水溶液は、再構成してから、室温において、約1〜24時間、2〜20時間、2〜15時間、2〜10時間安定している。一実施形態では、再構成済みの水溶液は、再構成してから、室温において、最長で約20時間、15時間、12時間、10時間、8時間、6時間、4時間または2時間安定している。特定の実施形態では、再構成した凍結乾燥製剤は、pHが約4〜5である。
特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形と、緩衝剤と、充填剤を含む。
一実施形態では、凍結乾燥製剤は、その凍結乾燥製剤の総重量に対して、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を約0.1〜2%と、緩衝剤を約1〜15%と、充填剤を約70〜95%含む。
特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は、その凍結乾燥製剤の総重量に対して、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を約0.1〜約2%で含む。いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤は、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形をバイアル、例えば20mlのバイアル内に、約0.1mg〜約5mgの量で含む。
特定の実施形態では、凍結乾燥製剤は、凍結乾燥製剤の総重量に対して、シトレート緩衝剤を約5%〜約25%の量で含む。一実施形態では、シトレート緩衝剤は、無水クエン酸と無水ナトリウムシトレートを含む。
いくつかの実施形態では、凍結乾燥製剤中の充填剤は、Captisol(登録商標)、マンニトールまたはKleptose(登録商標)、例えば、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン及びメチル化β−シクロデキストリンを含む。
凍結乾燥製剤は、患者に非経口投与する目的で、いずれかの製薬学的に許容可能な希釈剤を用いて再構成できる。このような希釈剤としては、注射用滅菌水(SWFI)、5%デキストロース水溶液(D5W)または共溶媒系が挙げられるが、これらに限らない。いずれかの量の希釈剤を用いて、凍結乾燥製剤を再構成して、好適な注射用液剤を調製するようにしてよい。したがって、希釈剤の量は、凍結乾燥製剤を溶解するのに十分な量でなければならない。一実施形態では、1〜5mLまたは1〜3mLの希釈剤を用いて凍結乾燥製剤を再構成して、式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の終濃度を約0.1〜5mg/mL、約0.1〜1mg/mLまたは約0.5〜1mg/mLにする。特定の実施形態では、再構成済みの液剤中の式Iの化合物、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形の終濃度は、約0.5mg/mLである。特定の実施形態では、0.05〜0.5mg/mLの終濃度を得るための再構成希釈剤の体積は、2ml〜20mlの間で変動する。特定の実施形態では、所要投与量に応じて、複数のバイアルを再構成に用いてよい。
5.8.3 局所投与
局所混合物は、局部投与と全身投与用に、説明されているようにして調製する。得られる混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液などであってよく、その混合物をクリーム、ゲル、軟膏剤、乳剤、液剤、エリキシル剤、ローション剤、懸濁剤、チンキ剤、パスタ剤、発泡剤、エアゾール剤、灌注剤、噴霧剤、坐剤、絆創膏剤、皮膚パッチまたは局所投与に適するいずれかの他の製剤として調合する。
化合物またはその製薬学的に許容可能な塩は、局所投与(吸入によるなど)用のエアゾール剤として調合してよい(例えば、炎症性疾患、特にぜんそくの治療に有用なステロイドを送達するためのエアゾール剤について説明している米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号及び同第4,364,923号を参照されたい)。気道に投与するためのこれらの製剤は、ネブライザー用のエアゾール剤もしくは液剤、または通気用の超微粒粉末の形態であって、単独で、またはラクトースのような不活性担体と組み合わせた形態であることができる。このようなケースでは、製剤の粒径は、50マイクロメートル未満または10マイクロメートル未満となる。
これらの液剤、特に、眼科用途として意図されている液剤は、適度な塩を含むpH約5〜7の0.01%〜10%等張液として調合してよい。
5.8.4 他の投与経路用の組成物
本発明では、経皮パッチ及び直腸投与のような他の投与経路も想定されている。
例えば、直腸投与用の医薬品剤形は、全身作用のための肛門坐剤、カプセル剤及び錠剤である。肛門坐剤とは、本明細書で使用する場合、直腸内に挿入する固形物であって、体温で融解または軟化して、1つ以上の薬理学上または治療上活性な成分を放出する固形物を意味する。肛門坐剤で用いる製薬学的に許容可能な物質としては、基剤(またはビヒクル)と、融点を上昇させる物質が挙げられる。基剤の例としては、例えば、ココアバター(テオブロマ油)、グリセリンゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、ならびに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。各種基剤を組み合わせたものを用いてもよい。坐剤の融点を上昇させる物質としては、例えば、ゲイロウとワックスが挙げられる。肛門坐剤は、圧縮法または成形のいずれかによって調製してよい。肛門坐剤の例示的な重量は、約2〜3グラムである。
5.8.5 徐放組成物
本発明で提供する活性成分は、放出制御手段によって、または当業者に周知である送達器具によって投与できる。例としては、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、同第5,639,480号、同第5,733,566号、同第5,739,108号、同第5,891,474号、同第5,922,356号、同第5,972,891号、同第5,980,945号、同第5,993,855号、同第6,045,830号、同第6,087,324号、同第6,113,943号、同第6,197,350号、同第6,248,363号、同第6,264,970号、同第6,267,981号、同第6,376,461号、同第6,419,961号、同第6,589,548号、同第6,613,358号、同第6,699,500号及び同第6,740,634号(それぞれ、参照により、本明細書に援用される)に記載されているものが挙げられるが、これらに限らない。このような剤形を用いて、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、マイクロスフィアまたはこれらを組み合わせたものによって、1つ以上の活性成分を徐放または制御放出させて、様々な割合で所望の放出プロファイルをもたらすことができる。本明細書に記載されている製剤を含め、当業者に知られている好適な放出制御型製剤は、本発明で提供する活性成分とともに用いる目的で容易に選択できる。
放出制御型の医薬品にはいずれも、非制御型の対応物よりも、薬物療法を改善させるという共通の目的がある。一実施形態では、最適に設計した放出制御型調製剤を医療において用いることは、最低限の薬物を用いて、最小限の期間で、状態を治癒または制御することによって特徴付けられる。特定の実施形態では、放出制御型製剤の利点としては、薬物活性の延長と、投与頻度の軽減と、患者コンプライアンスの向上が挙げられる。加えて、放出制御型製剤を用いて、作用開始時間またはその他の特徴(薬物の血中レベルなど)に影響を及ぼすことができるので、副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
大半の放出制御型製剤は、所望の治療効果を即座にもたらす量の薬物(活性成分)を最初に放出した後に、そのレベルの治療効果または予防効果を長期間保つように、別の量の薬物を徐々に、かつ持続的に放出するように設計されている。体内で薬物をこの一定レベルに保つためには、代謝される薬物と、体内から排泄される薬物の量を補充する速度で、薬物が剤形から放出されなければならない。活性成分の放出制御は、各種条件(pH、温度、酵素、水、その他の生理的条件または化合物が挙げられるが、これらに限らない)によって刺激できる。
特定の実施形態では、この薬剤は、静脈内注入、埋め込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソームまたはその他の投与様式を用いて投与してよい。一実施形態では、ポンプを用いてよい。Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.1987,14:201−240、Buchwald et al.,Surgery 1980,88:507−516、Saudek et al.,N.Engl.J.Med.1989,321:574−579を参照されたい。別の実施形態では、ポリマー材を用いることができる。さらに別の実施形態では、放出制御システムは、治療標的の近くに配置でき、その結果、全身用量の一部しか必要としない。例えば、Goodson,Medical Applications of Controlled Release,vol.2,pp.115−138(1984)を参照されたい。
いくつかの実施形態では、放出制御器具を対象の不適切な免疫応答部位または腫瘍の近くに導入する。他の放出制御システムは、Langerによる論評(Science 1990,249:1527−1533)で考察されている。活性成分は、固体の内部マトリックス(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリビニルクロライド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、親水性ポリマー(アクリル酸とメタクリル酸のエステルのヒドロゲル、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリビニルアセテートなど))に分散させることができる。いくつかの実施形態では、この内部マトリックスは、外側のポリマー膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロライド、ビニルアセテートとのビニルクロライドコポリマー、ビニリデンクロライド、エチレン、プロピレン、アイオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマー及びエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー)によって囲まれている。特定の実施形態では、外側のポリマー膜は、体液に溶解しない。そして、活性成分は、放出速度制御段階において、外側のポリマー膜を通って拡散する。このような非経口用組成物に含まれる活性成分の割合は、その具体的性質と対象のニーズに左右される。
5.8.6 標的化製剤
本発明で提供する化合物またはその製薬学的に許容可能な塩は、治療する対象の特定の組織、レセプターまたは体のその他の区域を標的にするように調合してもよい。このような標的方法は、数多くが当業者に周知である。このような標的方法はいずれも、本発明において、本発明の組成物での使用が想定されている。標的方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号及び同第5,709,874号を参照されたい。
一実施形態では、組織標的化リポソーム(腫瘍標的化リポソームなど)を含むリポソーム懸濁液も、製薬学的に許容可能な担体として適していることがある。これらのリポソームは、当業者に知られている方法に従って調製してよい。例えば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号に記載されているようにして調製してよい。簡潔に述べると、多重膜ベシクル(MLV)のようなリポソームは、卵ホスファチジルコリンと脳ホスファチジルセリン(7:3のモル比)をフラスコの内側で乾燥させることによって形成してよい。二価カチオンのないリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に本発明で提供する化合物を溶解させたものを加え、脂質膜が分散するまで、フラスコを振とうする。得られたベシクルを洗浄して、封入されなかった化合物を除去し、遠心分離によってペレット化してから、PBSに再懸濁する。
5.8.7 製品
本発明の化合物または製薬学的に許容可能な塩は、包装材と、本発明で提供する化合物またはその製薬学的に許容可能な塩であって、固形がんと血液腫瘍を含むがんの1つ以上の症状または進行を治療、予防または改善するために用いる化合物またはその塩と、その化合物またはその製薬学的に許容可能な塩が、固形がんと血液腫瘍を含むがんの1つ以上の症状または進行を治療、予防または改善するために用いるものであることを示しているラベルとを含む製品として包装できる。
本発明で提供する製品は、包装材を含む。医薬品を包装するのに用いる包装材は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号、同第5,052,558号及び同第5,033,252号を参照されたい。医薬用包装材の例としては、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ペン、ボトル、ならびに選択された製剤と、意図されている投与及び治療様式に適するいずれかの包装材が挙げられるが、これらに限らない。本発明で提供する化合物及び組成物の様々な製剤が想定されている。
5.9 キット
一態様では、本発明で提供するのは、がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定するためのキットであって、その治療化合物で処置した試料中のバイオマーカーのレベルを検出するための手段を含み、その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているキットである。
別の態様では、本発明で提供するのは、がんを治療するためのキットであって、治療化合物で処置した試料中のバイオマーカーのレベルを検出する手段を含み、その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているキットである。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するためのキットであって、その治療化合物で処置した試料中のバイオマーカーのレベルを検出するための手段を含み、その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているキットである。
さらに別の態様では、本発明で提供するのは、対象のがんの治療における治療化合物の有効性をモニタリングするためのキットであって、その治療化合物で処置した試料中のバイオマーカーのレベルを検出するための手段を含み、その治療化合物が、下記の式Iの化合物、
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、その置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成しているキットである。
本発明で提供する各種キットの特定の実施形態では、治療化合物は、化合物Dである。別の実施形態では、治療化合物は、化合物Eである。
特定の実施形態では、本発明で提供する各種キットによって検出するバイオマーカーは、CAPである。いくつかの実施形態では、そのバイオマーカーには、1つのCAPが含まれる。別の実施形態では、バイオマーカーには、2つのCAPが含まれる。さらに別の実施形態では、バイオマーカーには、3つのCAPが含まれる。さらに別の実施形態では、バイオマーカーには、4つのCAPが含まれる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーには、5つのCAPが含まれる。特定の実施形態では、バイオマーカーには、6つのCAPが含まれる。別の実施形態では、バイオマーカーには、7つのCAPが含まれる。さらに別の実施形態では、バイオマーカーには、8つのCAPが含まれる。さらに別の実施形態では、バイオマーカーには、9つのCAPが含まれる。いくつかの実施形態では、バイオマーカーには、10個以上のCAPが含まれる。
特定の実施形態では、本発明で提供する各種キットによって検出するバイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、eRF1、BIP、GCN2、eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、PPP1R15A、TNFRSF10B、GADD45A、FAS、IRE1、XBP1、SEC24D、DNAJB9、EDEM1、ATF6、カスパーゼ3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、カスパーゼ9、BID、PARP、Mcl−1、SRSF3及びSRSF6からなる群から選択したCAPである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1、GSPT2、IKZF1、ATF4、ATF3及びDDIT3からなる群から選択されている。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GSPT1である。特定の実施形態では、バイオマーカーは、GSPT2である。別の実施形態では、バイオマーカーは、IKZF1である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4である。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF3である。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、DDIT3である。
特定の実施形態では、本発明で提供する各種キットによって検出するバイオマーカーは、UPRにおける機能を有するものである。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、GCN2関連シグナリング経路における機能を有するものである。別の実施形態では、バイオマーカーは、ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、XBP1関連シグナリング経路における機能を有するものである。特定の実施形態では、バイオマーカーは、ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものである。別の実施形態では、バイオマーカーは、アポトーシス経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、NMD経路における機能を有するものである。さらに別の実施形態では、バイオマーカーは、NMD経路のRNA基質である。
本発明で提供する各種キットの特定の実施形態では、試料は、腫瘍生検標本、節部生検標本、または骨髄、脾臓、肝臓、脳もしくは乳房から採取した生検標本から得る。
本発明で提供する各種キットのいくつかの実施形態では、がんは、血液がんである。特定の実施形態では、血液がんは、多発性骨髄腫、白血病及びリンパ腫からなる群から選択されている。一実施形態では、白血病は、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病または急性骨髄性白血病(AML)である。具体的実施形態では、白血病は、AMLである。特定の実施形態では、白血病は、再発性であるか、難治性であるか、または従来療法に対して耐性である。
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、1つ以上のバイオマーカーのmRNAレベルを検出するためのキットである。特定の実施形態では、このキットは、1つ以上のバイオマーカーのmRNAに特異的に結合する1つ以上のプローブを含む。特定の実施形態では、このキットは、洗浄液をさらに含む。特定の実施形態では、このキットは、ハイブリダイゼーションアッセイを行うための試薬と、mRNAの単離または精製手段と、検出手段と、ポジティブコントロール及びネガティブコントロールをさらに含む。特定の実施形態では、このキットは、キットを使用するための説明をさらに含む。このキットは、家庭用途、臨床用途または研究用途に合わせて作ることができる。
特定の実施形態では、本発明で提供するのは、1つ以上のバイオマーカーのタンパク質レベルを検出するためのキットである。特定の実施形態では、このキットは、タンパク質バイオマーカーを認識する抗体をコートしたディップスティックと、洗浄液と、アッセイを行うための試薬と、タンパク質の単離または精製手段と、検出手段と、ポジティブコントロール及びネガティブコントロールを含む。特定の実施形態では、このキットは、キットを使用するための説明をさらに含む。このキットは、家庭用途、臨床用途または研究用途に合わせて作ることができる。
このようなキットでは、例えば、ディップスティック、膜、チップ、ディスク、テストストリップ、フィルター、マイクロスフィア、スライド、マルチウェルプレートまたは光ファイバーを用いることができる。このキットの固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、膜、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレートまたはスライドであることができる。生体試料は、例えば、細胞培養液、細胞株、組織、器官、細胞小器官、生体液、血液試料、尿試料または皮膚試料であることができる。
別の実施形態では、このキットは、固体支持体、その支持体に結合させる核酸であって、mRNAの少なくとも20塩基、50塩基、100塩基、200塩基、350塩基またはそれを超える塩基と相補的である核酸と、生体試料におけるそのmRNAの発現を検出するための手段を含む。
具体的実施形態では、医薬キットまたはアッセイキットは、容器内に、化合物またはその医薬組成物を含み、さらに、1つ以上の容器内に、RNAを単離するための構成要素を含む。別の具体的実施形態では、医薬キットまたはアッセイキットは、容器内に、化合物または医薬組成物を含み、さらに、1つ以上の容器内に、RT−PCR、qRT−PCR、ディープシーケンシングまたはマイクロアレイを行うための構成要素を含む。
特定の実施形態では、本発明で提供するキットでは、定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリーまたは免疫蛍光法によって、バイオマーカーの発現を検出するための手段を用いる。別の実施形態では、バイオマーカーの発現は、ELISAベースの手法または当該技術分野において知られているその他の類似の方法によって測定する。
別の具体的実施形態では、医薬キットまたはアッセイキットは、容器内に、化合物またはその医薬組成物を含み、さらに、1つ以上の容器内に、タンパク質を単離するための構成要素を含む。別の具体的実施形態では、医薬キットまたはアッセイキットは、容器内に、化合物または医薬組成物を含み、さらに、1つ以上の容器内に、フローサイトメトリーまたはELISAを行うための構成要素を含む。
別の態様では、本発明で提供するのは、バイオマーカーを測定するためのキットであって、本発明で示されているバイオマーカーまたはそのバイオマーカー(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上のバイオマーカー)のサブセットの1つ以上の遺伝子産物の量を測定するのに必要な物質を供給するキットである。このようなキットは、RNAまたはタンパク質を測定するのに必要な物質と試薬を含んでよい。いくつかの実施形態では、このようなキットは、マイクロアレイを含み、このマイクロアレイは、本発明で示されているバイオマーカーもしくはバイオマーカーのサブセット、またはそれらをいずれかに組み合わせたものの1つ以上の遺伝子産物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、DNA及び/またはRNA断片で構成されている。いくつかの実施形態では、上記のようなキットは、バイオマーカーもしくはバイオマーカーのサブセット、またはその両方のRNA産物またはRNA産物のcDNAコピーのいずれかのPCR用プライマーを含んでよい。いくつかの実施形態では、このようなキットは、PCR用のプライマーと、qPCR用のプローブを含んでよい。いくつかの実施形態では、このようなキットは、複数のプライマーと、複数のプローブを含んでよく、本発明で示されているバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの複数の遺伝子産物を同時に測定できるように、そのプローブのいくつかは、異なるフルオロフォアを有する。いくつかの実施形態では、このようなキットは、RNAからcDNAを作製するための物質と試薬をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、このようなキットは、本発明で示されているバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットのタンパク質産物に対して特異的な抗体を含んでよい。加えて、このようなキットは、生体試料からRNA及び/またはタンパク質を単離するための物質と試薬を含んでもよい。加えて、このようなキットは、生体試料から単離したRNAからcDNAを合成するための物質と試薬を含んでよい。いくつかの実施形態では、このようなキットは、コンピューター可読媒体に組み込まれたコンピュータープログラム製品であって、患者が臨床的に、化合物に対する感受性を有するかを予測するための製品を含んでよい。いくつかの実施形態では、このキットは、説明とともに、コンピューター可読媒体に組み込まれたコンピュータープログラム製品を含んでよい。
いくつかの実施形態では、このようなキットは、本発明で示されているバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの1つ以上の核酸産物の発現を測定する。この実施形態に従って、キットは、本発明で示されているバイオマーカーまたは本バイオマーカーのサブセットの特定の核酸産物の発現を測定するのに必要な物質と試薬を含んでよい。例えば、マイクロアレイまたはRT−PCRキットは、特定の条件用に作製してよいとともに、本発明で示されているバイオマーカーまたはバイオマーカーのサブセットの特定のRNA転写産物のレベルを測定して、患者の血液がんが臨床的に、化合物に対する感受性を有するかを予測するのに必要なそれらの試薬と物質のみを含んでよい。あるいは、いくつかの実施形態では、キットは、本発明で示されているバイオマーカー以外の遺伝子の特定の核酸産物の発現を測定するのに必要な物質と試薬を含むことができる。例えば、特定の実施形態では、キットは、本発明で示されているバイオマーカー以外の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個またはそれを超える数の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な試薬と物質に加えて、本発明で示されているバイオマーカーの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個またはそれを超える数の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な物質と試薬を含む。別の実施形態では、キットは、本発明で示されているバイオマーカーの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個またはそれを超える数と、本発明で示されているバイオマーカーではない遺伝子のうちの1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、300個、350個、400個、450個またはこれを超える数の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な試薬と物質を含む。特定の実施形態では、キットは、本発明で示されているバイオマーカーの遺伝子のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個またはこれを超える数の遺伝子と、本発明で示されているバイオマーカーではない遺伝子のうちの1〜10個、1〜100個、1〜150個、1〜200個、1〜300個、1〜400個、1〜500個、1〜1000個、25〜100個、25〜200個、25〜300個、25〜400個、25〜500個、25〜1000個、100〜150個、100〜200個、100〜300個、100〜400個、100〜500個、100〜1000個または500〜1000個の発現レベルを測定するのに必要な試薬と物質を含む。
核酸マイクロアレイキットでは、キットは概して、固体支持体表面に結合させたプローブを含む。このような実施形態の1つでは、プローブは、オリゴヌクレオチドプローブ、または150ヌクレオチド長〜800ヌクレオチド長の範囲であるプローブを含む、さらに長いプローブのいずれかであることができる。プローブは、検出可能な標識で標識してよい。具体的実施形態では、プローブは、本発明で示されているバイオマーカーの遺伝子産物のうちの1つ以上に対して特異的である。マイクロアレイキットは、アッセイ行うための説明と、そのアッセイの実施により得られるデータを解釈及び解析する方法を含んでよい。具体的実施形態では、キットは、患者の血液がんが臨床的に、化合物に対する感受性を有するかを予測するための説明を含む。本発明のキットは、ハイブリダイゼーション試薬、及び/またはプローブが標的核酸配列にハイブリダイズすると生成されるシグナルを検出するのに必要な試薬も含んでよい。概して、マイクロアレイキット用の物質と試薬は、1つ以上の容器に入っている。キットの各構成要素は概して、それぞれ好適な容器に入っている。
特定の実施形態では、核酸マイクロアレイキットは、本発明で示されているバイオマーカーの遺伝子以外の遺伝子のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個またはこれを超える数の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な試薬と物質に加えて、本発明で示されているバイオマーカーまたはそれを組み合わせたものの遺伝子のうちの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個またはこれを超える数の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な物質と試薬を含む。別の実施形態では、核酸マイクロアレイキットは、本発明で示されているバイオマーカーまたはこれらを組み合わせたものの遺伝子のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個またはこれを超える数の遺伝子と、本発明で示されているバイオマーカーの遺伝子ではない遺伝子のうちの1個、2個、3個、4個、5個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、125個、150個、175個、200個、225個、250個、300個、350個、400個、450個またはこれを超える数の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な試薬と物質を含む。別の実施形態では、核酸マイクロアレイキットは、本発明で示されているバイオマーカーまたはこれらをいずれかに組み合わせたものの遺伝子のうちの少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個またはこれを超える数の遺伝子と、本発明で示されているバイオマーカーの遺伝子ではない1〜10個、1〜100個、1〜150個、1〜200個、1〜300個、1〜400個、1〜500個、1〜1000個、25〜100個、25〜200個、25〜300個、25〜400個、25〜500個、25〜1000個、100〜150個、100〜200個、100〜300個、100〜400個、100〜500個、100〜1000個または500〜1000の遺伝子の発現レベルを測定するのに必要な試薬と物質を含む。
定量PCRでは、キットは概して、事前に選択したプライマーであって、特定の核酸配列に対して特異的なプライマーを含む。定量PCRキットは、核酸を増幅するのに適する酵素(例えば、Taqポリメラーゼのようなポリメラーゼ)と、デオキシヌクレオチドと、増殖反応に必要な緩衝剤も含んでよい。定量PCRキットは、ある状態と関連するか、その状態を示す核酸配列に対して特異的なプローブも含んでよい。プローブは、フルオロフォアで標識されていてもいなくてもよい。プローブは、クエンチャー分子で標識されていてもいなくてもよい。いくつかの実施形態では、定量PCRキットは、酵素(例えば、AMV、MMLVなどのような逆転写酵素)と、逆転写用のプライマーとともに、デオキシヌクレオチドと、逆転写反応に必要な緩衝剤を含め、逆転写RNAに適する構成要素も含んでよい。定量PCRキットの各構成要素は概して、それぞれ好適な容器に入っている。したがって、これらのキットは、概して、それぞれ個々の試薬、酵素、プライマー及びプローブに好適な別々の容器を含む。さらに、定量PCRキットは、その反応を行うための説明と、その反応の実施により得られるデータを解釈及び解析する方法も含んでよい。具体的実施形態では、キットは、患者の血液がんが臨床的に、化合物に対する感受性を有するかを予測するための説明を含む。
抗体ベースのキットでは、キットは、例えば、(1)目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に結合する第1の抗体(固体支持体に結合させてもさせなくてもよい)と、任意に応じて、(2)第1の抗体、またはペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質のいずれかに結合するとともに、検出可能な標識(例えば、蛍光標識、放射性同位体または酵素)にコンジュゲートされている第2の異なる抗体とを含むことができる。具体的実施形態では、目的のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、状態(例えば疾患)と関連するか、または状態を示すものである。抗体ベースのキットは、免疫沈降を行うためのビーズも含んでよい。抗体ベースのキットの各構成要素は概して、それぞれ好適な容器に入っている。したがって、これらのキットは概して、各抗体と試薬に好適な別々の容器を含む。さらに、抗体ベースのキットは、アッセイを行うための説明と、そのアッセイの実施によって得られるデータを解釈及び解析する方法を含んでよい。具体的実施形態では、キットは、患者の血液がんが臨床的に、化合物に対する感受性を有するかを予測するための説明を含む。
一実施形態では、本発明で提供するキットは、本発明で提供する化合物、またはその製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を含む。キットは、追加の活性剤(本明細書に開示されている活性剤が挙げられるが、これらに限らない)をさらに含んでよい。
本発明で提供するキットは、活性成分を投与するのに用いる器具をさらに含んでよい。このような器具の例としては、シリンジ、点滴袋、パッチ及び吸入器が挙げられるが、これらに限らない。
キットは、移植用の細胞または血液と、1つ以上の活性成分を投与するのに使用できる製薬学的に許容可能なビヒクルをさらに含んでよい。例えば、非経口投与のために再構成する必要のある固体形態で活性成分を供給する場合、キットは、活性成分を溶解して、微粒子を含まない滅菌溶液であって、非経口投与に適する溶液を形成できる好適なビヒクル用の密閉容器を含むことができる。製薬学的に許容可能なビヒクルの例としては、注射用水のUSP、水性ビヒクル(ナトリウムクロライド注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及びナトリウムクロライド注射液及び乳酸リンゲル注射液などであるが、これらに限らない)、水混和性ビヒクル(エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどであるが、これらに限らない)、ならびに非水性ビヒクル(コーン油、綿実油、ラッカセイ油、ゴマ油、エチルオレエート、イソプロピルミリステート及びベンジルベンゾエートなどであるが、これらに限らない)が挙げられるが、これらに限らない。
本発明で提供する方法とキットの特定の実施形態では、タンパク質の精製、試料の標識または固相アッセイの実施のために固相支持体を使用する。本明細書に開示されている方法を行うのに適する固相の例としては、ビーズ、粒子、コロイド、単一表面、チューブ、マルチウェルプレート、マイクロタイタープレート、スライド、膜、ゲル及び電極が挙げられる。固相が粒子状物質(例えばビーズ)である場合、その固相は、一実施形態では、マルチウェルプレートのウェルに配分して、固相支持体の並行処理を可能にする。
本発明で提供する各種の方法及び/またはキットのいずれかにおいては、例えば、1つ以上の試薬(核酸プライマー、固体支持体などであるが、これらに限らない)に関して、上記の実施形態をいずれかに組み合わせたものも想定されていることに留意する。
本発明の特定の実施形態は、下記の非限定的な例によって例示されている。
下記の実施例は、別段に詳細に説明されている場合を除き、当業者に周知であるとともに、当業者にとって定型的である標準的な技法を用いて行われている。実施例は、単に例示的なものとして意図されている。
6.1 2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物D)の調製
A.メチル4−ブロモ−2−メチルベンゾエート:メタノール(1L)中の4−ブロモ−2−メチル安息香酸(100g、465.02ミリモル)と濃硫酸(52mL)を合わせて、65℃まで18時間加熱した。その反応物を濃縮し、残渣をエチルアセテート(500mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(150mL)、水(200mL)、ブライン(250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を減圧下で濃縮し、高真空下でさらに乾燥して、メチル4−ブロモ−2−メチルベンゾエート(102g、445.27ミリモル、収率95%)を赤色の液体として得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム−d) δ 7.78 (d, J = 8.3 Hz, 1H),7.45 − 7.30 (m, 2H),3.88 (s, 3H),2.57 (s, 3H)。
B.メチル−4−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゾエート:アセトニトリル(600mL)中のメチル4−ブロモ−2−メチルベンゾエート(102g、445.27ミリモル)と、NBS(79.2g、445.27ミリモル)と、アゾイソブチロニトリル(2.58g、16ミリモル)を合わせ、85℃で18時間還流した。その混合物を濃縮し、その残渣に、ジクロロメタン(150mL)を加えた。得られた固体をろ過によって取り出した。このろ液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の0〜4%EtOAc)によって精製した。生成物を含む画分を減圧下で濃縮し、高真空下でさらに乾燥して、メチル−4−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゾエート(100g、324.70ミリモル、収率72.9%)を灰白色の固体として得た。1H NMR (300 MHz, ジメチルスルホキシド−d) δ 7.88 (d, J = 2.2 Hz,1H),7.82 (dd, J = 8.4,2.1 Hz, 1H),7.72 − 7.64 (m, 1H),5.00 (s, 2H),3.88 (s, 3H)。
C.3−(5−ブロモ−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン:メチル−4−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゾエート(100g、324.70ミリモル)と、3−アミノピペリジン−2,6−ジオンヒドロクロライド(53.2g、324.70ミリモル)と、トリエチルアミン(113.29mL、811.75ミリモル)と、乾燥ジメチルホルムアミド(400mL)を合わせ、室温で、不活性雰囲気下において18時間攪拌した。その反応物を5℃まで冷却し、室温で2時間、継続的に攪拌しながら、水(400mL)、酢酸(115mL)、ジエチルエーテル(300mL)で希釈した。得られた固体をろ過し、エーテル(100mL)で洗浄し、高真空下でさらに乾燥して、3−(5−ブロモ−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(46g、142.35ミリモル、収率43.8%)を明るい青色の固体として得た。MS (ESI) m/z 325.0 [M+1]
D.2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−カルボニトリル:3−(5−ブロモ−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(46g、142.35ミリモル)と、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(788mg、1.423ミリモル)と、シアン化亜鉛(25g、213.52ミリモル)と、亜鉛アセテート(7.83g、42.7ミリモル)と、乾燥ジメチルホルムアミド(360mL)を合わせ、脱気してから、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.364g、0.398ミリモル)を加えた。この混合物を脱気し、3回アルゴン置換してから、120℃で20時間攪拌した。この混合物を室温まで冷却し、ろ過し、シリカカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0〜5%メタノール)によって精製した。生成物を含む画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去してから、高真空下でさらに乾燥して、2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−カルボニトリル(22g、81.78ミリモル、収率57.2%)を褐色の固体として得た。MS (ESI) m/z 268.0 [M−H]。
E.3−(5−(アミノメチル)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン:2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−カルボニトリル(10g、37.13ミリモル)と、メタンスルホン酸(2.6mL、40.85ミリモル)と、10%乾燥パラジウム炭(4g)と、ジメチルアセトアミド(320mL)を合わせ、水素化容器中で振とうし、50Psi、40℃に20時間保った。水素雰囲気を脱気し、混合物をセライトパッドでろ過し、水(100mL)で洗浄し、濃縮した。得られた残渣に、1%メタノール−ジクロロメタンを加え、これをろ過し、高真空下で乾燥して、3−(5−(アミノメチル)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオン(5.6g、15.17ミリモル、収率40%)を灰白色の固体として得た。MS (ESI) m/z 272.0 [M−1]。
F.2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド:DMF(3mL)中の3−(5−(アミノメチル)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオンメタンスルホネート(0.200g、0.541ミリモル)に、HATU(0.226g、0.596ミリモル)と、2−(4−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロ酢酸(0.112g、0.541ミリモル)を加えてから、N−エチル−N−イソプロピルプロパン2−アミン(0.262ml、1.624ミリモル)を加えた。25℃で16時間攪拌した。30mLの水を加えて、ろ過した。EtOAcですすぎ、真空下で乾燥して、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(0.080g、0.173ミリモル、収率32.0%)を白色の固体として得た。H NMR (500 MHz, DMSO−d ) δ ppm 10.98 (s, 1 H) 9.68 (t, J = 6.15 Hz,1 H) 7.69 (d, J = 7.88 Hz, 1 H) 7.58 − 7.66 (m, 4 H) 7.33 − 7.44 (m, 2 H) 5.11 (dd, J = 13.24, 5.04 Hz, 1 H) 4.39 − 4.50 (m, 3 H) 4.24 − 4.35 (m, 1 H) 2.85 − 2.98 (m, 1 H) 2.61 (dd, J = 15.29, 2.05 Hz, 1 H) 2.39 (dd, J = 12.93, 4.73 Hz, 1 H) 1.95 − 2.07 (m, 1 H)。MS (ESI) m/z 462.0 [M+1]
6.2 N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)アセトアミド(化合物E)の調製
3−(5−(アミノメチル)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオンは、実施例5.1で示した方法を用いて調製できる。DMF(3mL)中の3−(5−(アミノメチル)−1−オキソイソインドリン−2−イル)ピペリジン−2,6−ジオンメタンスルホネート(0.200g、0.541ミリモル)に、HATU(0.226g、0.596ミリモル)と、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)酢酸(0.103g、0.541ミリモル)を加えてから、N−エチル−N−イソプロピルプロパン2−アミン(0.262ml、1.624ミリモル)を加えた。25℃で16時間攪拌した。30mLの水を加えて、ろ過した。EtOAcですすぎ、真空下で乾燥して、N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)アセトアミド(0.100g、0.225ミリモル、収率41.5%)を白色の固体として得た。 H NMR (500 MHz, DMSO−d) δ ppm 10.98 (br.s., 1 H) 9.66 (t, J = 5.99 Hz, 1 H) 7.58 − 7.73 (m, 3 H) 7.29 − 7.47 (m, 4 H) 5.11 (dd, J = 13.40,5.20 Hz,1 H) 4.38 − 4.53 (m, 3 H) 4.24 − 4.36 (m, 1 H) 2.81 − 3.00 (m, 1 H) 2.56 − 2.67 (m, 1 H) 2.40 (qd, J = 13.19, 4.57 Hz, 1 H) 1.91 − 2.07 (m, 1 H)。
6.3 化合物Dは、AML細胞株にわたって広範な抗増殖作用を有する。
過剰なAML細胞株を化合物Dの段階希釈液で処置した。各細胞株における化合物Dの抗増殖作用のIC50値(72時間のCTGアッセイで割り出したもの)が、表1にまとめられている。
表1.AML細胞株における化合物Dの抗増殖作用のIC50
Figure 2019504063
対照的に、化合物DのIC50値は、非腫瘍形成性ヒト肝細胞株THLE−2では、およそ10μMであったとともに、健常なドナーのPBMCにおけるIC50値は、10μM超であった(データは示されていない)。
図1Aには、代表的なものとして、NB4細胞株において、化合物Dが、GSPT1とIKZF1の分解(プロテアソームインヒビターのMG132によってブロックできる)を誘導したことが示されている。対照的に、ポマリドミドとレナリドミドには、GSPT1レベルに対する有意な作用は見られなかったが、化合物DがIKZF1の分解を誘導した濃度よりもかなり低い濃度で、IKZF1の分解を誘導した。これにより、化合物Dでは、細胞の増殖を阻害する作用機序がポマリドミド及びレナリドミドとは異なることが示唆されている。
図1Bには、化合物Dに4時間曝露した場合のGSPT1タンパク質の減少度が、化合物Dの抗増殖能(表1においてIC50値として示されている)と相関していることが示されている。試験した5つのAML細胞株の中でも、HNT−34細胞株において、化合物Dの抗増殖活性が最も強力であった(IC50は3nMであった)とともに、GSPT1タンパク質の消失の誘導が最も大きかった。その一方で、化合物Dの抗増殖作用に対して比較的非感受性であるOCI−AML3細胞株では、GSPT1タンパク質のレベルは、わずかしか変化しなかった。OCI−AML3細胞では、化合物Dが、GSPT1の減少に対する作用を有さないことから、化合物Dの誘導による、細胞成長の阻害には、GSPT1タンパク質の消失が必須であることが示されている。
6.4 化合物Dの抗増殖作用と、化合物Dの誘導による、GSPT1の分解は、CRBN依存性である。
OCI−AML2とMOLM−13という2つの異なるAML細胞株と、それらのCRBN−/−対応物を化合物Dの段階希釈液で処置した。図2Aと図2Bに示されているように、親OCI−AML2細胞(図2A)と親MOLM−13細胞(図2B)では、化合物Dは、用量依存的な抗増殖作用を示した。CRBNを枯渇したところ、この作用が完全に阻害されたことから、これらの細胞における化合物Dの抗増殖作用は、CRBN依存性であることが示唆された。ウエスタンブロットによって、親細胞(図2C及び2D、左パネル)では、100nMの化合物Dによって、GSPT1の分解が誘導されたことと、CRBN−/− OCI−AML2細胞(図2C、右パネル)と、CRBN−/− MOLM−13細胞(図2D、右パネル)では、同じ濃度の化合物Dによって、GSPT1の分解を誘導できなかったことが示されている。したがって、化合物Dの誘導による、GSPT1の分解も、CRBN依存性である。
異なるCRBN結合化合物の化合物Fであって、AML血液がん細胞株以外の株(多発性骨髄腫など)において抗増殖活性を示した化合物Fは、試験した11個のAML細胞株(化合物Dの成長阻害活性に対する感受性を有していた10個の細胞株を含む)のいずれにおいても、細胞の成長を阻害しなかった(データは示されていない)。しかしながら、化合物Dの存在下で、過剰な化合物FをKG−1 AML細胞培養液に加えたところ、おそらく、化合物DのCRBNに対する結合との競合により、化合物Dの抗増殖活性が低下した。化合物Fが、化合物Dの抗増殖作用に及ぼす相対的な影響は、化合物Fの濃度の向上とともに、漸次的に増大した(表2)。100μMの化合物Fの存在下では、化合物Dが細胞の成長を阻害する能力は、IC50が0.01μM(化合物Fの非存在下)から6.8μM(化合物Fの存在下)に変化したことによって示されているように、およそ60分の1に低下したとともに、化合物Dが、アポトーシスを誘導する能力は、EC50が0.02μM(化合物Fの非存在下)から8μM(化合物Fの存在下)に変化したことによって示されているように、およそ40分の1に低下した(表2)。これらの結果から、化合物DとCRBNとの相互作用が、化合物Dの抗増殖活性における重要な要因であることが明らかになった。
表2.化合物Fとの競合によって、化合物Dが細胞の成長を阻害する能力とアポトーシスを誘導する能力が低下した。
Figure 2019504063
6.5 GSPT1の安定化によって、化合物Dの抗増殖作用が阻害された。
GSPT1の安定化により、化合物Dの抗増殖作用に対する耐性が付与されるのかをさらに調べるために、G575Nの変異を有するHA標識GSPT1(HA−GSPT1−G575N)と、1〜138番目のアミノ酸が欠失しているとともに、G575Nの変異を有するHA標識GSPT1(HA−GSPT1−Δ(1−138)−G575N)をOCI−AML2細胞において過剰発現させた。GSPT1におけるG575Nという変異によって、GSPT1は、CRBNユビキチンE3−リガーゼ複合体による分解に対する耐性を得る。図3Aには、完全長GSPT1と、1〜138番目のアミノ酸が欠失したGSPT1が示されている。図3Bには、親OCI−AML2細胞における野生型GSPT1は、化合物Dによる処置によって分解したが、HA−GSPT1−G575NとHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575Nは、化合物Dの存在下で、インタクトな状態を保ったことが示されている。親OCI−AML2細胞と、EF1a−GSPT1−G575NまたはEF1a−GSPT1−Δ(1−138)−G575NをトランスフェクションしたOCI−AML2細胞において、化合物Dの抗増殖作用を調べた。図3Cには、GSPT1−G575NとGSPT1−Δ(1−138)−G575Nの過剰発現によって、化合物Dの抗増殖作用が阻害されたことが示されており、これにより、OCI−AML2細胞においては、GSPT1を安定化すると、化合物Dの抗増殖作用に対する耐性が付与されることが示唆されている。
6.6 GSPT1の枯渇により、細胞の増殖が阻害された。
各種のGSPT1領域を特異的に標的とするshRNAを発現する293FTヒト胎児腎細胞において、GSPT1の枯渇が、細胞の増殖に及ぼす作用を割り出した。図4Aに示されているように、感染から7日目に、発現ベクターを単独で含むか、またはGSPT1特異的ではないコントロールのshRNAを有する細胞では、正常な細胞増殖が見られたが、GSPT1特異的shRNA(shGSPT1−1、shGSPT1−2、shGSPT1−3及びshGSPT1−4など)を発現する細胞では、細胞の増殖が様々な程度で阻害された。
図4Aでは、感染細胞中の各種遺伝子の発現レベルも測定した。発現ベクター単独またはコントロールshRNAの場合と比べて、4つのGSPT1特異的shRNAはいずれも、GSPT1の発現をブロックした。特に、shGSPT1−4は、eRF1とCRBNの発現を低下させた。したがって、GSPT1を枯渇させたところ、おそらく、eRF1/GSPT1(GSPT1)複合体の不活化により、細胞の増殖が阻害された。
7つのAML細胞株(KG1、U937、NB−4、Kasumi−1、HL−60、MV−4−11及びOCI−AML3)において、GSPT1の枯渇と、抗増殖活性との直接的な関連性を調べた。7つのすべての細胞株において、GSPT1のノックダウンにより、細胞の増殖と生存能が低下した(4つの異なるshRNAはそれぞれ、化合物Dでインキュベートした場合の作用を本質的に模倣するものであった)(図4B〜4K)。OCI−AML3(化合物Dの抗増殖活性に対する感受性が最も低いAML細胞株)でも、GSPT1のノックダウンは、化合物Dの非存在下で、細胞の成長の阻害を誘導するのに有効であった(図4J〜4K)。
6.7 U937細胞、MOLM13細胞及びOCI−AML2細胞において、GSPT1の過剰発現により、化合物Dと化合物Eの抗増殖作用がアンタゴナイズされた。
ヒト組織球性リンパ腫細胞株U937と、ヒト白血病細胞株MOLM13において、GSPT1の過剰発現によって、化合物Dと化合物Eの抗増殖作用にもたらされる作用を割り出した。治療化合物(例えば、化合物Dまたは化合物E)は、0.001μMから10μMまで漸増させた。細胞の増殖は、処置から48時間後に、CellTiter−Glo細胞生存能アッセイによって測定した。図5A〜5Dに示されているように、親細胞では、化合物Dと化合物Eによって、細胞の増殖が阻害された。一方で、CRBN−/−細胞では、この抗増殖作用が完全に妨げられたことから、これらの化合物の抗増殖作用がCRBN依存性であることが示唆されている。しかしながら、図5A〜5Dに示されているように、EF1αプロモーターによって、外因性GSPT1を過剰産生させたところ、化合物Dと化合物Eの抗増殖作用が低下した。この結果から、GSPT1の過剰発現により、化合物Dと化合物Eの抗増殖作用がアンタゴナイズされたことが示唆されている。
2つの異なるプロモーター(EF1αまたはサイトメガロウイルス[CMV])を用いて、OCI−AML2細胞とMOLM−13細胞において、レンチウイルストランスダクションによって、外因性GSPT1の過剰産生を駆動した(図5F及び5H、トランスダクション細胞抽出物のDMSOレーン)。OCI−AML2親細胞(図5F、左パネル)とMOLM−13親細胞(図5H、左パネル)を化合物Dでインキュベートしたところ、内因性GSPT1の活発な分解が誘発された。対照的に、トランスダクション細胞において、EF1αプロモーターによってGSPT1の過剰発現を誘導したところ、化合物Dの誘導による、GSPT1の枯渇が相殺された(図5F、右パネル[OCI−AML2]及び図5H、右パネル[MOLM−13])。トランスダクション細胞における細胞増殖の評価結果から、EF1αプロモーターによってGSPT1の過剰発現を誘導したところ、化合物Dの抗増殖作用が、対応する親細胞で見られた作用よりも実質的に低下したことが明らかになった(図5E[OCI−AML2]及び図5G[MOLM−13])。親細胞と、GSPT1過剰発現細胞との間では、CRBNタンパク質のレベルの有意差は観察されなかった(図5F及び5H)。これらの結果から、AML細胞における、化合物Dの媒介による、GSPT1の低下に対する作用と、成長阻害との関連性が示されている。
6.8 GSPT1の枯渇により、急性骨髄性白血病細胞株AML3とKG1が、化合物Dと化合物Eに感作された。
ヒト急性骨髄性白血病細胞株AMLとKG1でも、GSPT1の枯渇によって、化合物Dと化合物Eの抗増殖作用に及ぶ作用を割り出した。コントロールshRNA、shGSPT1−1またはshGSPT1−3を発現するレンチウイルスベクターに細胞を7日間感染させてから、0.0001μM〜1μMの漸増量のDMSO、化合物Dまたは化合物Eで処置した。処置から2日後に、CellTiter−Glo細胞生存能によって、細胞の増殖を測定した。図6A〜6Dに示されているように、親細胞、またはGSPT1特異的ではないコントロールshRNAに感染させた細胞では、化合物Dと化合物Eは、特に高い濃度において、抗増殖作用を示した。一方で、shGSPT1−1またはshGSPT1−3によって、GSPT1の発現を枯渇させたところ、この抗増殖作用は劇的に向上した。図6Eに示されているように、KG1細胞とAML3細胞において、ノックダウンから7日目に、GSPT1の発現レベルを測定した。shGSPT1−1とshGSPT1−3のいずれも、GSPT1とeRF1の発現を低下させたとともに、CRBNの発現をわずかに低下させた。
6.9 ヒト急性骨髄芽球性白血病細胞株KG1において、化合物Dの誘導による小胞体ストレス応答(UPR)は、アポトーシス細胞死よりも先に生じた。
化合物Dの誘導によってGSPT1が分解される細胞作用を、KG1細胞においてさらに調べた。細胞をDMSO単独または200nMの化合物Dで処置した。2時間後、4時間後または6時間後、UPR経路またはアポトーシス経路沿いの各種の細胞構成要素の発現レベルを測定した。図7Aに示されているように、化合物Dは、GSPT1、GSPT2及びBIP(CT−RmAbによって検出した場合)の分解を誘導した。BIPの低下は、UPRを示している。同様に、図7Bに示されているように、化合物Dは、ATF−4と、その下流標的のATF−3の発現を増大させた。p−eIF2α、DDIT3、切断カスパーゼ3、切断カスパーゼ8、切断カスパーゼ9及び切断PARPのレベルも増大したことから、アポトーシスの開始が示唆された。
6.10 ヒト急性骨髄芽球性白血病細胞株KG1において、化合物Dと化合物Eは、アポトーシスを誘導した。
化合物Dまたは化合物Eの誘導によって、GSPT1が分解される細胞作用を、KG1細胞においてさらに調べた。細胞をDMSO単独、200nMの化合物Dまたは200nMの化合物Eで処置した。8時間後または12時間後に、UPR経路またはアポトーシス経路沿いの各種の細胞構成要素の発現レベルを測定した。図8Aに示されているように、化合物Dまたは化合物Eは、GSPT1、GSPT2及びBIP(CT−Abによって検出した場合)の分解を誘導した。BIPの低下は、UPRを示している。同様に、図8Bに示されているように、化合物Dまたは化合物Eは、ATF3、DDIT3、切断カスパーゼ3、切断カスパーゼ8及び切断PARPのレベルを上昇させたことから、アポトーシスの開始が示唆された。
6.11 KG−1細胞において、化合物Dの誘導による、ATF4経路の活性化は、アポトーシスマーカーの出現よりも先に生じた。
化合物Dで処置した場合の細胞イベントの時系列をさらに調べるために、KG1細胞をDMSO単独または200nMの化合物Dで処置した。2時間、4時間、6時間、8時間、10時間または12時間の時点で、ATF4経路またはアポトーシス経路沿いの各種の細胞構成要素の発現レベルを測定した。図9Aに示されているように、化合物Dによって、2時間という早い時点にGSPT1の分解が誘導されたとともに、ATF4経路沿いの構成要素であるp−eIF2α、ATF4、ATF3及びCHOP(すなわちDDIT3)のレベルが上昇した。図9Bには、切断カスパーゼ8、切断カスパーゼ9、切断カスパーゼ3、切断カスパーゼ7及び切断PARPなどのアポトーシスマーカーのレベルが、およそ6時間の時点に上昇し始めたことが示されている。これらのデータによって、化合物Dによって、ATF4経路の活性化が誘導されてから、アポトーシスに至ったことが示された。
6.12 OCI−AML2細胞において、GSPT1を安定化させたところ、化合物Dによる、ATF4経路の活性化が阻止された。
親OCI−AML2細胞と、HA−GSPT1−G575NまたはHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575Nを発現するOCI−AML2細胞をDMSO単独または200nMの化合物Dで処置した。図10Aには、HA−GSPT1−G575NまたはHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575Nを発現するOCI−AML2細胞が、親OCI−AML2細胞と同じようには、化合物Dに応答しなかったことが示されている。例えば、化合物Dが、親細胞において、p−eIF2α、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3、切断カスパーゼ8、切断カスパーゼ9、切断カスパーゼ3、切断カスパーゼ7及び切断PARPのレベルを誘導したのに対して、それらの細胞構成要素のレベルは、HA−GSPT1−G575NまたはHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575Nを発現する細胞においては、未変化のままであった(図10A及び10B)。HA−GSPT1−G575NまたはHA−GSPT1−Δ(1−138)−G575Nを発現する細胞の、化合物Dによる処置に対する耐性は、図10Aに示されているように、GSPT1の安定化によるものと見られる。
6.13 KG−1細胞において、化合物Dによって、ATF4経路が活性化された。
KG−1細胞をDMSO単独または200nMの化合物Dで処置した。処置から2時間、4時間または6時間の時点で、ATF4経路沿いの各種の細胞構成要素のmRNA発現レベルを測定した。図11には、KG1細胞における、化合物Dの誘導による、ATF−4、ATF−3、DDIT3/CHOP、PPP1R15A、GADD45A及びTNFRSF10B(eIF2αキナーゼ(複数可)/p−eIF2α/ATF4経路沿いの構成要素)の発現が示されている。
6.14 KG−1細胞において、化合物Dによって、IRE1経路とATF6経路が活性化された。
KG−1細胞をDMSO単独または200nMの化合物Dで処置した。処置から2時間、4時間または6時間の時点で、IRE1経路またはATF6経路沿いの各種の細胞構成要素のmRNA発現レベルを測定した。図12には、KG1細胞における、化合物Dの誘導による、SEC24D、DNAJB9、EDEM1及びXBP1(IRE1経路またはATF6経路沿いの構成要素)の発現が示されている。
6.15 PERKの消失によって、TGの誘導によるUPRとアポトーシスが遅延した。
U937細胞において、CRISPRによる遺伝子編集によって、PERK−/−コンストラクト1またはPERK−/−コンストラクト2を用いて、PERK(4つのeIF2αキナーゼのうちの1つ)をノックアウトした。図13には、野生型U937細胞において、0.5μMのTGによって、UPRとアポトーシスが誘導されたが、PERKをノックアウトした細胞では、TGの作用が遅延したことが示されている。例えば、野生型U937細胞では、p−eIF2α、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3、切断カスパーゼ8及び切断カスパーゼ3のレベルは、TGによる処置から4時間後に上昇したが、PERKノックアウト細胞では、p−eIF2α、ATF4、ATF3、CHOP、切断カスパーゼ8及び切断カスパーゼ3のレベルは、TGによる処置から8時間後または16時間後まで上昇しなかった。
6.16 PERKの消失によって、化合物Dの誘導によるアポトーシスは影響を受けなかった。
図14には、野生型U937細胞と、PERKをノックアウトしたU937細胞において、2μMの化合物Dによってアポトーシスが誘導されたことが示されている。例えば、野生型U937細胞とPERKノックアウトU937細胞の両方において、化合物Dによる処置後、GSPT1とMcl−1のレベルは低下し、p−eIF2α、ATF4及び切断カスパーゼ3のレベルは上昇した。このことから、PERKの消失によって、化合物Dの誘導によるアポトーシスは影響を受けなかったので、PERKが、化合物Dによる処置によって活性化されるeIF2αキナーゼではないことが示唆されている。
6.17 U937細胞では、GCN2の消失によって、化合物Dによる、アポトーシスの誘導がブロックされた。
U937細胞において、GCN2 CRISPRコンストラクト1またはGCN2 CRISPRコンストラクト4を用いて、CRISPRによる遺伝子編集によって、GCN2(4つのeIF2αキナーゼのうちの1つ)をノックアウトした。図15には、野生型U937細胞では、4μMの化合物Dによって、ATF4経路とアポトーシスが誘導されたが、GCN2をノックアウトしたU937細胞では、化合物Dのこれらの作用がブロックされたことが示されている。例えば、野生型U937細胞では、化合物Dによる処置後、GSPT1のレベルは低下し、ATF4と切断カスパーゼ3のレベルは上昇した。GCN2ノックアウトU937細胞では、化合物Dによる処置後、ATF4と切断カスパーゼ3の誘導は、有意にブロックされたが、GSPT1のレベルは低下した。このことから、GCN2の消失によって、化合物Dの誘導による、ATF4経路の活性化とアポトーシスがブロックされたので、GCN2が、化合物Dによる処置によって活性化されるeIF2αキナーゼであることが示唆されている。
図16には、U937細胞において、GCN2の枯渇によって、化合物Dによる、アポトーシスの用量依存的な誘導が妨げられたことが示されている。親U937細胞、クローン2細胞及びクローン3細胞では、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3、切断カスパーゼ8及び切断カスパーゼ3のレベルの上昇によって示されているように、0.5〜4.5μMの化合物Dによって、ATF4経路とアポトーシスが誘導された。対照的に、GCN2−/− T1−28細胞とGCN2−/− T4−3細胞では、化合物Dで処理しても、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3、切断カスパーゼ8及び切断カスパーゼ3のレベルは変化しなかったが、GSPT1は、化合物Dに応答して分解された。したがって、U937細胞では、GCN2の除去によって、化合物Dによる、ATF4経路とアポトーシスの用量依存的な活性化がブロックされた。
図17には、U937細胞において、化合物Dによって、ATF4経路とアポトーシスの活性化が時間依存的に誘導されたことと、GCN2の枯渇によって、これらの作用が妨げられたことが示されている。例えば、野生型U937細胞では、4μMの化合物Dによって、GSPT1の分解と、ATF4経路の活性化と、アポトーシスが誘導された(p−eIF2α、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3及び切断カスパーゼ3のレベルの上昇によって示された)。しかし、GCN2をノックアウトしたU937細胞では、化合物Dによって、GSPT1の分解は誘導されたものの、化合物Dで処置しても、p−eIF2α、ATF4、ATF3、CHOP/DDIT3及び切断カスパーゼ3のレベルは、未変化のままであった。したがって、GCN2の消失によって、化合物Dの誘導による、ATF4経路の活性化とアポトーシスがブロックされた。
6.18 AML細胞株OCI−AML2とMV−4−11では、GCN2の消失によって、化合物Dによる、ATF−4経路とアポトーシスの誘導が阻止された。
AML細胞株OCI−AML2クローン14と、OCI−AML2のGCN2ノックアウトクローン1〜13を化合物Dの段階希釈液(0.330nM、1μM、3.3μM)で24時間処置した。図18Aには、GCN2のノックアウトによって、化合物Dの誘導による、GSPT1の分解には影響は及ばなかったが、化合物Dの誘導による、eIF2αのリン酸化が阻止され、その後、ATF−4経路が活性化し(ATF−4とCHOPのレベルの上昇によって示されている)、アポトーシスが生じた(切断カスパーゼ8と切断カスパーゼ3のレベルの上昇によって示されている)ことが示されている。別のAML細胞株のMV−4−11でも、同様の作用が観察された(図18Bに示されている)。
6.19 HRIは、化合物Dによる、アポトーシスの誘導には必須ではない。
U937細胞において、HRI CRISPRコンストラクト3を用いて、CRISPRによる遺伝子編集によって、HRI(4つのeIF2αキナーゼの1つ)をノックアウトした。野生型U937細胞またはHRI CRISPRノックアウトU937細胞を4μMの化合物Dで16時間処置した。図19には、HRIのノックアウトによって、化合物Dの誘導による、p−eIF2αと切断カスパーゼ3のレベルの上昇には影響が及ばなかったことが示されており、これにより、化合物Dによる、ATF4経路の活性化とアポトーシスの誘導には、HRIは必須でないと見られることが示されている。
6.20 PKRは、化合物Dによる、アポトーシスの誘導には必須ではない。
U937細胞において、PKR CRISPRコンストラクト4を用いて、CRISPRによる遺伝子編集によって、PKR(4つのeIF2αキナーゼのうちの別のキナーゼ)をノックアウトした。野生型U937細胞またはPKR CRISPRノックアウトU937細胞を2μMの化合物Dで16時間処置した。図20には、PKRのノックアウトによって、化合物Dの誘導による、ATF4と切断カスパーゼ3のレベルの上昇には影響が及ばなかったことが示されており、化合物Dによる、ATF4経路の活性化とアポトーシスの誘導には、PKRも不要と見られることが示されている。
6.21 IRE1の除去によって、TGまたは化合物Dの誘導による、XBP1の蓄積が防止された。
U937細胞において、IRE1 CRISPRコンストラクトを用いて、CRISPRによる遺伝子編集によって、IRE1(XBP1経路を活性化するキナーゼ)をノックアウトした。野生型U937細胞またはIRE1 CRISPRノックアウトU937細胞を0.5μMのTGで6時間、または4μMの化合物Dで8時間、16時間もしくは32時間処置してから、XBP1アッセイを行った。図21には、IRE1のノックアウトによって、TG(上のパネル)または化合物D(下のパネル)の誘導による、XBP1レベルの上昇が有効にブロックされたことが示されており、TGと化合物Dの両方が、IRE1を通じて、XBP1経路を活性化させることが示された。
6.22 IRE1の消失によって、化合物Dによる、アポトーシスの誘導には影響が及ばなかった。
野生型U937細胞またはIRE1 CRISPRノックアウトU937細胞を4μMの化合物Dで16時間処置した。図22には、IRE1のノックアウトによって、化合物Dの誘導による、ATF4と切断カスパーゼ3のレベルの上昇には影響が及ばなかったことが示されており、化合物Dによる、ATF4経路の活性化とアポトーシスの誘導には、IRE1は不要であることが示されている。
6.23 同じ遺伝的背景を持つU937細胞において、GCN2の消失によって、化合物Dによる、アポトーシスの誘導が妨げられた。
U937クローン3細胞と、GCN2−/− 4−18によってGCN2をノックアウトしたU937クローン3細胞と、GCN2−/− 4−3によってGCN2をノックアウトしたU937細胞を4μMの化合物Dで8時間、16時間または24時間処置した。図23には、U937クローン3細胞とU937細胞の両方において、GCN2のノックアウトによって、化合物Dの誘導によるアポトーシスが妨げられたことが示されている。例えば、化合物Dの誘導による、ATF4と切断カスパーゼ3のレベルの上昇は、GCN2ノックアウトによって妨げられた。しかしながら、eIF2αのリン酸化は、完全にはブロックされなかったが、U937クローン3よりも遅延したことから、GCN2が正常時にeIF2αをリン酸化する時点よりも遅く、別のキナーゼ(GCN2以外)がeIF2αをリン酸化すると見られることが示唆されている。
6.24 GCN2を過剰発現させたところ、おそらく、ATF4経路の低レベルの慢性的活性化により、化合物Dに対する細胞の感度が低下した。
U937クローン3細胞と、GCN2−/− 4−3によるGCN2ノックアウトU937細胞と、EF1a−GCN2をトランスフェクションしたGCN2ノックアウトU937細胞と、PGK−GCN2をトランスフェクションしたGCN2ノックアウトU937細胞を4μMの化合物Dで24時間処置した。トランスフェクション細胞では、EF1aプロモーターまたはPGKプロモーターのいずれかで、外因性GCN2の発現を駆動した。図24には、EF1aプロモーターの駆動によって、GCN2を過剰発現させたところ、化合物Dに対する細胞の感度が低下したことが示されており、これは、ATF4経路の低レベルの慢性的活性化によるものと見られ、この慢性的活性化は、化合物Dで処置しなかった細胞において、ATF4のレベルがわずかに上昇したことによって示されている。対照的に、PGK−GCN2をトランスフェクションした細胞では、GCN2の発現は非常に低レベルであったので、ATF4レベルは、化合物Dで処置しなかった細胞では低かったとともに、それらの細胞では、化合物Dの誘導によるアポトーシスに対する感度がそれほど低下しなかった(化合物Dによる処置後の切断カスパーゼ3レベルの上昇によって示されている)。
6.25 U937 GCN2ヌル細胞において、野生型GCN2の再導入によって、化合物Dの誘導による、アポトーシスの誘導と、化合物Dの抗増殖作用が回復したが、変異GCN2の再導入によっては回復しなかった。
図25Aには、U937クローン3細胞と、GCN2−/− 4−3によるGCN2ノックアウトU937細胞と、EF1a−GCN2をトランスフェクションしたGCN2ノックアウトU937細胞と、PGK−GCN2をトランスフェクションしたGCN2ノックアウトU937細胞を播種した48ウェルプレートにおけるCell TiterGloが示されている。細胞は、化合物Dの段階希釈液(1nM、10nM、100nM、1μM及び10μM)で処置した。Cell TiterGloデータから、GCN2のノックアウトによって、化合物Dの誘導によるアポトーシスに対する耐性が付与されたことと、外因性GCN2の再導入によって、化合物Dの抗増殖作用が回復したことが示されている。実施例6.24の結果と一致することに、EF1aプロモーターによるGCN2の過剰発現によって、PGKプロモーターからGCN2を発現する細胞と比べて、化合物Dの誘導によるアポトーシスに対する細胞の感度が低下した。
T899A/T904A(GCN2の自己リン酸化をブロックする)、K619R(キナーゼ活性を妨げる)及びF1143L/R1144L(tRNAの結合をブロックする)を含む各種のGCN2変異体を作製した。野生型GCN2または上記のような変異体をU937 GCN2ヌル細胞に再導入し、それらの細胞を4μMの化合物Dで24時間処置した。図25Bには、野生型のGCN2の再導入によって、化合物Dの誘導による、ATF−4経路の活性化とアポトーシスが回復したが、変異体の再導入によっては回復しなかったことが示されている。増殖アッセイでは、野生型GCN2または上記のような変異体をU937 GCN2ヌル細胞に再導入し、それらの細胞を化合物Dの段階希釈液(10nM、100nM、1μM及び10μM)で処置した。図25Cには、野生型のGCN2の再導入によって、化合物Dの抗増殖作用が回復したが、変異体の再導入によっては回復しなかったことが示されている。
6.26 翻訳リードスルーは、p−eIF2レベルの上昇の原因ではない。
アミノ酸飢餓が原因で、eIF2αをリン酸化するGCN2が活性化することが知られている。GSPT1は、正常な翻訳の終止を媒介するので、化合物DによりGSPT1が枯渇されると、終止コドンがリードスルーされることがあるという仮説が立てられる。化合物Dによって誘導される翻訳リードスルーが、p−eIF2αレベルの上昇に寄与するのかを調べた。Fluc/Nluc−G36Aリードスルーレポーターを安定的に発現するOCI−AML2細胞を300μg/mLのG418または200nMの化合物Dで、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間または16時間処置した。p−eIF2αのレベルをイムノブロット解析によって測定した。AML2リードスルーアッセイを行って、リードスルーレポーターを測定した。図26Aには、化合物DとG418によって、翻訳リードスルーが同程度のレベルで誘導されたことが示されている。図26Bには、化合物Dによって、p−eIF2αレベルが上昇したが、G418には、p−eIF2αレベルに対する作用がほとんど見られなかったことが示されている。すなわち、図26Aと図26Bに示されている結果を総合すると、翻訳リードスルーは、p−eIF2αレベルの上昇の原因ではないと見られることが示されている。
6.27 GSPT1、p−eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、切断カスパーゼ3及び切断PARPは、化合物Dと化合物Eの誘導によるアポトーシスの予測バイオマーカーとして機能する。
1μMの化合物Dまたは1μMの化合物Eで処置した細胞において、ATF4経路とアポトーシス経路沿いの各種遺伝子の発現レベルを測定した。図27に示されているように、GSPT1のレベルは、化合物Dまたは化合物Eによる処置に応答して低下した。shRNAによってGSPT1をノックダウンした細胞では、化合物Dと化合物Eのいずれによっても、p−eIF2α、ATF4、ATF3及びDDIT3のレベルが上昇し、その結果、切断カスパーゼ3の増大により、カスパーゼ3が活性化した。そして、その切断カスパーゼ3が、PARPを切断することによってPARPを不活化し、アポトーシスを誘導した。
したがって、GSPT1、p−eIF2α、ATF4、ATF3、DDIT3、切断カスパーゼ3及び切断PARPは、化合物Dまたは化合物Eの誘導によるアポトーシスを示すバイオマーカーとして機能できる。
6.28 正常な末梢血単核球(PBMC)における化合物毒性の予測
PBMCにおいて、GSPT1、p−eIF2α、ATF3、DDIT3及び下流のアポトーシス指標のレベルによって、化合物の毒性をモニタリングした。PBMCを1nM、10nM、100nMまたは1000nMの化合物Dまたは化合物Eで20時間処置した。図28Aに示されているように、化合物Dと化合物Eのいずれによっても、GSPT1の発現は低下したが、p−eIF2αと、ATF3(スプライシングバリアント内の可能性が高い)と、DDIT3のレベルは上昇し、その結果、切断カスパーゼ3の増大により、カスパーゼ3が活性化した。そして、その切断カスパーゼ3が、PARPを切断することによってPARPを不活化し、アポトーシスを誘導した。したがって、GSPT1、p−eIF2α、ATF3、DDIT3、切断カスパーゼ3及び切断PARPは、化合物の毒性を予測するバイオマーカーとして機能できる。
正常なヒトPBMC(ID番号4328及び4379)とAML患者PBMC(ID番号11SH及び09P6)において、ウエスタン解析によって、化合物Dの媒介による、GSPT1タンパク質レベルの低下を評価した(図28B)。ウエスタンブロットによる定量によって、正常なPBMC試料と、1つのAML患者PBMC試料(ID番号11SH)の両方において、濃度依存的かつ時間依存的にGSPT1タンパク質が減少したことが示された。ID番号09P6のAML患者PBMC試料では、GSPT1の基底発現は、ほとんど観察されなかった。ID番号11SHのAML患者試料におけるGSPT1の濃度依存的な低下は、感受性AML細胞株で観察されたものと同程度で、100nMの化合物Dによって、8時間時点で、GSPT1が86%低下した(表3)。2つの正常なPBMC試料では、100nMの化合物Dに対するGSPT1の応答性は低く、GSPT1の低下率は、8時間時点で、39%と67%に過ぎなかった(表3)。したがって、GSPT1タンパク質レベルは、PBMCにおいて、化合物毒性のバイオマーカーとして機能できる。
表3.正常なドナーとAML患者から得たPBMCにおける、化合物Dによる、GSPT1レベルの低下
Figure 2019504063
6.29 KG−1細胞とHL−60細胞において、化合物Dによって、UPR経路が誘導されたとともに、NMD経路が阻害された。
化合物Dは、KG−1細胞において、用量依存的かつ時間依存的に、UPRストレスRNA、ATF3及びCHOP、ならびにナンセンス変異依存分解機構(NMD)RNAのSRSF3及びSRSF6を調節する。KG−1細胞を10cm皿に播種し、一晩インキュベートした。翌日、KG−1細胞を6点用量応答(0nM、3nM、10nM、30nM、100nM、300nM)の化合物Dによって処置し、2時間、4時間、8時間及び20時間インキュベートした。細胞をディッシュから取り出し、RNAの単離(Qiagen RNA単離キット)用に細胞ペレットを調製した。NanoDropという分光光度計を用いて、全RNAを定量し、1μgの全RNAを用いて、cDNAを逆転写した。各試料に対して、ATF3、CHOP、ならびにSRSF3及びSRSF6のNMD転写産物と正常転写産物の両方に対するプライマーセットを用いて、定量PCRを反復して行った。データは、18Sハウスキーピング遺伝子と、2時間のDMSOによるコントロールで二重に補正した。各時点において、nM単位の薬物濃度(x軸)に対して、補正済みのRNA発現(y軸)をプロットした。SRSF3−1 NMDは、SRSF3のNMD転写産物の増殖物を、SRSF6−1 NMDは、SRSF6のNMD転写産物の増殖物を示している。SRSF3−3 Normalは、SRSF3遺伝子の正常転写産物の増殖物を、SRSF6−3 Normalは、SRSF6遺伝子の正常転写産物の増殖物を示している。化合物DによってKG−1細胞を処置したところ、ATF3、CHOP、ならびにSRSF3及びSRSF6のNMD転写産物の用量依存的かつ時間依存的な増加が観察された。
図29A〜29Fには、KG−1細胞において、化合物Dによる処置によって、UPR経路とNMD経路に及んだ作用が示されている。図29Aと図29Bには、100nMの化合物Dによって、ATF3(図29A)とDDIT3(CHOP)(図29B)のmRNAレベルが、治療の4時間以内に増加したことが示されている。ATF3とCHOPの増加は、30nM以上の化合物Dでは、治療の8時間以内に観察された。加えて、100nM以上の化合物Dによって、ATF3のmRNAレベルがおよそ100倍に、DDIT3(CHOP)のmRNAレベルがおよそ10倍に誘導された。図29Cと図29Dには、100nMの化合物Dによって、SRSF3−1(NMDの対象となる転写産物)(図29C)のmRNAレベルは上昇したが、SRSF3−3(正常転写産物)(図29D)のレベルは、処置の8時間以内には上昇しなかったことが示されている。図29Eと29Fには、化合物Dによって、SRSF6−1(NMD転写産物)(図29E)のmRNAレベルは上昇したが、SRSF6−3(正常転写産物)(図29F)のレベルは、処置の8時間以内には上昇しなかったことが示されている。したがって、NMD転写産物の蓄積により、化合物Dが、KG−1細胞において、NMD経路を阻害したことが示されている。NMD経路の阻害は、GSPT1の分解によるものと見られる。
ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物(SRSF3−1)及びSRSF6 NMD転写産物(SRSF6−1)が、化合物Dの誘導により、濃度依存的かつ時間依存的に増加することは、別の感受性AML細胞株のHL−60でも同様に観察された。HL−60細胞を100nM以上の化合物Dで処置したところ、ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物の発現が増大したが、非NMD転写産物(SRSF3−3及びSRSF6−3)は、8時間の時点では増大しなかった(図29G〜29J)。30nMの化合物D濃度では、20時間の時点に、ATF3、CHOP及びNMD転写産物の増加が観察されたが、これよりも高い薬物濃度では、ATF3とCHOPの発現の増大は横ばいであった(図29G〜29J)。化合物Dの試験濃度範囲では、2時間及び4時間の時点においては、遺伝子調節の有意な変化は観察されなかった。
6.30 KG−1細胞株とHL−60細胞株におけるGSPT1の減少、UPR経路の活性化及びNMD経路の阻害と、アポトーシス誘導との相関関係
KG−1とHL−60という2つの感受性AML細胞株において、GSPT1タンパク質の濃度依存的な減少と、ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物のRNA発現の8時間時点での増大を、24時間時点(図30A[KG−1]、図30C[HL−60])と、48時間時点(図30B[KG−1]、図30D[HL−60])におけるカスパーゼ3/7の活性化(アポトーシス)と比較した。
HL−60細胞において、30nM以上の化合物Dによって、8時間時点で、GSPT1の完全な低下が観察された一方で、ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物は、100nM以上の化合物Dによって増大した(図30C)。41nM〜123nMの化合物D濃度において、24時間時点で、アポトーシスの誘導が観察され、平均増大率はそれぞれ9%と19%であった(図30C)。48時間時点の方が、高いアポトーシス誘導率が観察された(図30D)。
化合物Dで処置したKG−1細胞でも、同様の結果が観察され、100nM以上の濃度によって、GSPT1タンパク質レベルが90%超低下した一方で、ATF3、CHOP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物のRNAの発現が誘導された(図30A)。24時間時点でアポトーシスの誘導が観察され、アポトーシスの平均増大率は、41nMの化合物Dにおいて11%、123nMの化合物Dにおいて16%であった(図30A)。48時間時点の方が、高いアポトーシス誘導率が観察された(図30B)。
6.31 感受性の最も高いAML細胞株であるHNT−34では、化合物Dによって、インキュベーションから8〜16時間の時点で、アポトーシスが誘導された。
細胞を0.01μM、0.1μMまたは1μMの化合物Dで、所定の時間間隔(例えば、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、24時間、48時間または72時間)でインキュベートした。処置の最後に、細胞を洗浄し、72時間のインキュベーションの残りの期間にわたって、1000倍過剰のグルタルアミドを含む培地において、化合物Dの非存在下で再度インキュベートした。72時間の時点に、アネキシンV/7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)フローサイトメトリーによって、すべての培養液のアポトーシスについて評価した。感受性の最も高いAML細胞株のHNT−34では、細胞は、100nMの化合物Dによる処置から8〜16時間以内にアポトーシスを起こしたとともに、インキュベーションの8〜16時間以内に、アポトーシス率が最も高かった(図31B)。HNT−34細胞における半最大アポトーシス応答に必要な化合物D濃度は、最初の24時間の経過時間で徐々に低下し、この24時間時点の効能は、化合物Dに72時間曝露した培養液で見られた効能と同程度であった(図31A)。
6.32 HNT−34細胞では、化合物Dによって、UPRが誘導され、それに続いて、アポトーシスが誘導されたが、PBMCでは、作用の低下が見られた。
化合物D(1nM、10nM及び100nM)でインキュベーションした後のHNT−34 AML細胞と正常なPBMCのウエスタンブロット解析によって、GSPT1の分解の時間的経過をモニタリングした(図32A〜32D)。HNT−34細胞では、10nMの化合物Dでインキュベーションしてから2時間以内に、GSPT1の分解が明らかに認められ、ATF4タンパク質の誘導は8時間の時点、ATF3タンパク質は12時間の時点に見られ、PARPの切断は24時間の時点に見られた(図32A[ブロット]、図32B〜32E[デンシトメトリー測定結果])。10nMの化合物Dでインキュベートした健常なPBMCにおけるGSPT1の分解は、4時間の時点に明らかに認められた(図32F及び32G)が、UPR経路内のタンパク質の誘導またはPARPの切断は見られなかった。
HNT−34細胞におけるUPR因子ATF3とDDIT3のmRNA誘導動態も、PBMCにおける動態とは大きく異なっていた。HNT−34細胞では、化合物Dによって、8時間以内に、ATF3とDDIT3のmRNAが誘導された(図33A及び33C)。対照的に、化合物Dでインキュベートした健常なPBMCでは、ATF3またはDDIT3のmRNAの誘導は、8時間までには検出されなかった(図33B及び33D)。正常なPBMCでは、GSPT1の分解が明らかに認められたにもかかわらず、アポトーシスが見られなかったことから、この化合物に関して、治療可能時間域の潜在性がさらに裏付けられた。このことは、正常な成人リンパ球における方が、腫瘍細胞よりも、化合物Dで観察される細胞毒性が低いこと(データは示されていない)とも一致している。
6.33 化合物Dで処置したAML細胞株のパネルにおける、GSPT1の減少とアポトーシス応答との相関関係
化合物Dの媒介によるアポトーシスに対する感度が異なる9つのAML細胞株のパネルにおいて、化合物DがGSPT1タンパク質レベルに及ぼす作用を、ウエスタン解析によって評価した。化合物DのアポトーシスEC50値は、表4にまとめられている。GSPT1タンパク質レベルの低下は、9つのAML細胞株のうちの8つにおいては、3〜1000nMの範囲にわたって濃度依存的であったとともに、相対的に感受性の低い1つのAML細胞株においては、300〜1000nMの範囲にわたって濃度依存的であった。化合物Dによる、GSPT1の減少の時間的経過についても、48時間の時点まで調べた。HNT−34細胞、HL−60細胞及びML−2細胞では、試験を行ったすべての濃度(3〜300nM)の化合物Dの存在下で、1〜20時間の期間を通じて、GSPT1の進行性分解が明らかに認められ、HNT−34細胞またはHL−60細胞では、100nMまたは300nMの化合物Dにおいて、GSPT1は、20時間の時点には、ほとんど残っていなかった(図34及び図35C)。KG−1細胞とOCI−AML2細胞では、3〜1000nMの化合物Dにおいて、GSPT1の時間依存的な減少も観察され、KG−1細胞では、100〜300nMにおいて、24時間の時点で、またはOCI−AML2細胞では、300nM及び1000nMにおいて、24時間の時点で、GSPT1は、ほとんど残っていなかった(図35D)。GSPT1の消失は、Kasumi−1細胞、AML−193細胞及びF36−P細胞における方がゆっくりであった。OCI−AML3細胞では、化合物Dによって、GSPT1タンパク質レベルはあまり低下しなかった。OCI−AML3細胞では、300nMと1000nMにおいて、24時間時点と48時間時点で、GSPT1のほんのわずかな消失が観察された。
表4.AML細胞株における、化合物Dの誘導によるアポトーシス
Figure 2019504063
GSPT1のタンパク質レベルは、100nMの化合物Dによって、感受性の高い細胞株HNT−34、HL−60及びKG−1では、4時間の時点に、80%超低下し、細胞株OCI−AML2及びML−2では、8時間の時点に低下した(図35A及び35B、表5)。HNT−34細胞、HL−60細胞及びKG−1細胞では、8時間の時点に、GSPT1の90%超の低下が観察された。感受性が中程度の細胞株のKasumi−1とAML−193においては、GSPT1の低下範囲は、それぞれ51%〜61%であった一方で、非感受性細胞株のF36−PとOCI−AML3においては、GSPT1の低下範囲は、300nMの化合物Dにおいて、8時間の時点で、それぞれ18%〜37%であった。OCI−AML3以外のすべての細胞株では、100nMの化合物Dにおいて、20〜24時間の時点に、GSPT1が80%超低下した。
表5.AML細胞株パネルにおける、化合物Dの媒介による、GSPT1の低下とカスパーゼ3/7の活性化
Figure 2019504063
:F36−PにおけるGSPT1の変化は、8時間時点では、濃度依存的ではなかった。
:3nMと300nMとの間の視覚的補間値
これらの9つのAML細胞株において、化合物Dの媒介による、8時間時点のGSPT1の低下を、12時間、24時間及び48時間の時点におけるカスパーゼ3/7の活性化(アポトーシス)の誘導と比較した。表5に示されているように、8時間時点では、GSPT1タンパク質の低下は、32%(OCI−AML3)〜100%(HL−60及びHNT−34)の範囲であった。5つの細胞株のうちの4つの細胞において、アポトーシスが、24時間の時点で観察されたとともに、GSPT1の低下率が、100nMの化合物Dにおいて80%超であった(HL−60、HNT−34、KG−1、ML−2)が、OCI−AML2細胞株は唯一の例外であった。AML細胞パネルでは、GSPT1の低下レベルと、アポトーシス誘導との間に、正の関連性(R=0.50、R=0.71、p値=4.86E−002)が観察され(図36)、90%超のGSPT1低下率は、アポトーシスの誘導と相関していた。
本明細書では、例示目的で、具体的な実施形態について説明してきたが、本発明で提供するものの趣旨と範囲から逸脱しなければ、各種の修正を行ってよいことは上記から明らかであろう。上で言及した参照文献はいずれも、参照により、その全体が本明細書に援用される。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)前記治療化合物を前記対象に投与することと、
(b)前記対象から試料を採取することと、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化1)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
(構成2)
がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象の特定方法であって、
(a)前記対象から試料を採取することと、
(b)前記治療化合物を前記試料に投与することと、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化2)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
(構成3)
前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも高い、構成1または構成2に記載の方法。
(構成4)
前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも低い、構成1または構成2に記載の方法。
(構成5)
がんの治療方法であって、
(a)前記がんである対象から試料を採取することと、
(b)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(c)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
(d)前記治療化合物を治療上有効な量、前記対象に投与することと、
を含み、
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化3)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
(構成6)
前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも高い、構成5に記載の方法。
(構成7)
前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも低い、構成5に記載の方法。
(構成8)
がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)前記治療化合物を前記対象に投与することと、
(b)前記対象から試料を採取することと、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、参照試料から得た前記バイオマーカーのレベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物による前記がんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化4)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
(構成9)
がんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性の予測方法であって、
(a)前記対象から試料を採取することと、
(b)前記治療化合物を前記試料に投与することと、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、参照試料から得た前記バイオマーカーのレベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物による前記がんの治療に応答する可能性が高いと診断することと、
を含み、
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化5)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
(構成10)
前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも高い、構成8または構成9に記載の方法。
(構成11)
前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも低い、構成8または構成9に記載の方法。
(構成12)
対象のがんの治療における治療化合物の有効性のモニタリング方法であって、
(a)前記治療化合物を前記対象に投与することと、
(b)前記対象から試料を採取することと、
(c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
(d)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを、参照試料から得た前記バイオマーカーのレベルと比較することであって、前記参照と比較したときのレベルの変化によって、前記対象の前記がんの治療における前記治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
を含み、
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化6)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
とRがそれぞれハロであり、
の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
Jが、OまたはSであり、
とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRが、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
(構成13)
前記参照よりもレベルが上昇していることによって、前記対象の前記がんの治療における前記治療化合物の有効性が示される、構成12に記載の方法。
(構成14)
前記参照よりもレベルが低下していることによって、前記対象の前記がんの治療における前記治療化合物の有効性が示される、構成12に記載の方法。
(構成15)
前記治療化合物に応答する可能性が高いと診断された前記対象に、前記治療化合物を治療上有効な量投与することをさらに含む、構成1〜4及び8〜11のいずれか1項に記載の方法。
(構成16)
第2の活性剤または支持療法剤を治療上有効な量投与することをさらに含む、構成5〜7及び15のいずれか1項に記載の方法。
(構成17)
前記第2の活性剤が、造血成長因子、サイトカイン、抗がん剤、抗生物質、cox−2インヒビター、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、がん抗原に特異的に結合する治療抗体、またはそれらの薬理学的に活性な変異体もしくは誘導体である、構成16に記載の方法。
(構成18)
前記治療化合物を前記対象に投与する前に、前記対象から得たコントロール試料を用いることによって、前記参照を調製し、前記コントロール試料が、前記試料と同じ供給源のものである、構成1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(構成19)
がんではない健常な対象から得たコントロール試料を用いることによって、前記参照を調製し、前記コントロール試料が、前記試料と同じ供給源のものである、構成1〜17のいずれか1項に記載の方法。
(構成20)
前記がんが、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である、構成1〜19のいずれか1項に記載の方法。
(構成21)
前記がんが、リンパ腫である、構成1〜19のいずれか1項に記載の方法。
(構成22)
前記がんが、白血病である、構成1〜19のいずれか1項に記載の方法。
(構成23)
前記白血病が、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群(MDS)である、構成22に記載の方法。
(構成24)
前記白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、構成22に記載の方法。
(構成25)
前記白血病が、再発性であるか、難治性であるか、または従来療法に対して耐性である、構成22〜24のいずれか1項に記載の方法。
(構成26)
前記バイオマーカーが、CRBN関連タンパク質である、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成27)
前記バイオマーカーが、小胞体ストレス応答(UPR)における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成28)
前記バイオマーカーが、GCN2関連シグナリング経路における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成29)
前記バイオマーカーが、ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成30)
前記バイオマーカーが、IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成31)
前記バイオマーカーが、XBP1関連シグナリング経路における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成32)
前記バイオマーカーが、ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成33)
前記バイオマーカーが、アポトーシス経路における機能を有するものである、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成34)
前記バイオマーカーが、ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)経路のRNA基質である、構成1〜25のいずれか1項に記載の方法。
(構成35)
前記バイオマーカーが、GSPT1及びGSPT2からなる群から選択したeRF3ファミリーメンバーである、構成1〜34のいずれか1項に記載の方法。
(構成36)
前記バイオマーカーのレベルが、参照よりも低い、構成35に記載の方法。
(構成37)
前記バイオマーカーが、GSPT1である、構成35に記載の方法。
(構成38)
前記バイオマーカーが、GSPT2である、構成35に記載の方法。
(構成39)
前記バイオマーカーが、IKZF1である、構成1〜34のいずれか1項に記載の方法。
(構成40)
前記バイオマーカーのレベルが、参照よりも低い、構成39に記載の方法。
(構成41)
前記バイオマーカーが、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物からなる群から選択されている、構成1〜34のいずれか1項に記載の方法。
(構成42)
前記バイオマーカーのレベルが、参照よりも高い、構成41に記載の方法。
(構成43)
前記バイオマーカーが、ATF4である、構成41に記載の方法。
(構成44)
前記バイオマーカーが、ATF3である、構成41に記載の方法。
(構成45)
前記バイオマーカーが、DDIT3である、構成41に記載の方法。
(構成46)
前記バイオマーカーが、切断PARPである、構成41に記載の方法。
(構成47)
前記バイオマーカーが、SRSF3 NMD転写産物である、構成41に記載の方法。
(構成48)
前記バイオマーカーが、SRSF6 NMD転写産物である、構成41に記載の方法。
(構成49)
前記バイオマーカーのタンパク質レベルを割り出すことによって、前記バイオマーカーのレベルを測定する、構成1〜48のいずれか1項に記載の方法。
(構成50)
前記試料内のタンパク質と、前記バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する第1の抗体とを接触させることを含む、構成49に記載の方法。
(構成51)
(i)前記第1の抗体に結合した前記バイオマーカータンパク質と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、前記第2の抗体が、前記バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合するとともに、前記第2の抗体が、前記バイオマーカータンパク質上のエピトープのうち、前記第1の抗体とは異なるエピトープに免疫特異的に結合する、前記接触させることと、
(ii)前記バイオマーカータンパク質に結合した前記第2の抗体の存在を検出することと、
(iii)前記第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、前記バイオマーカータンパク質の量を割り出すことと、
をさらに含む、構成50に記載の方法。
(構成52)
(i)前記バイオマーカータンパク質に結合した前記第1の抗体と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、前記第2の抗体が、前記第1の抗体に免疫特異的に結合する、前記接触させることと、
(ii)前記第1の抗体に結合した前記第2の抗体の存在を検出することと、
(iii)前記第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、前記バイオマーカータンパク質の量を割り出すことと、
をさらに含む、構成50に記載の方法。
(構成53)
前記バイオマーカーのmRNAレベルを割り出すことによって、前記バイオマーカーのレベルを測定する、構成1〜48のいずれか1項に記載の方法。
(構成54)
前記バイオマーカーのcDNAレベルを割り出すことによって、前記バイオマーカーのレベルを測定する、構成1〜48のいずれか1項に記載の方法。
(構成55)
前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
(化7)
Figure 2019504063

またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
が、ハロ置換アリールであり、
とRがそれぞれハロである、構成1〜54のいずれか1項に記載の方法。
(構成56)
前記治療化合物が、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物D)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である、構成1〜54のいずれか1項に記載の方法。
(構成57)
前記治療化合物が、2−(4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物E)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である、構成1〜54のいずれか1項に記載の方法。

Claims (40)

  1. がんの対象のうち、治療化合物に応答する可能性が高い対象を特定し、またはがんであるかまたはがんの疑いのある対象の、治療化合物に対する応答性を予測するためのデータを取得する方法であって:
    (i)
    (a)前記治療化合物を投与された対象からの試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
    (b)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
    または
    (ii)
    (a)前記対象から試料を採取することと、
    (b)前記治療化合物を前記試料に投与することと、
    (c)前記試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
    (d)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、前記対象を、前記治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
    を含み、前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
    Figure 2019504063
    またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
    が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
    とRがそれぞれハロであり、
    の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
    各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
    各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
    Jが、OまたはSであり、
    とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
  2. 前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、(i)前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも高い;または(ii)前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも低い、請求項1に記載の方法。
  3. 対象のがんの治療における治療化合物の有効性をモニタリングするためのデータを取得する方法であって、
    (a)前記治療化合物を投与された対象からの試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
    (b)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルを、参照試料から得た前記バイオマーカーのレベルと比較することであって、前記参照と比較したときのレベルの変化によって、前記対象の前記がんの治療における前記治療化合物の有効性が示される、前記比較することと、
    を含み、前記治療化合物が、下記の式Iの化合物、
    Figure 2019504063
    またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
    が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
    とRがそれぞれハロであり、
    の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
    各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
    各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
    Jが、OまたはSであり、
    とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記方法。
  4. (i)前記参照よりもレベルが上昇していることによって、前記対象の前記がんの治療における前記治療化合物の有効性が示され;または(ii)前記参照よりもレベルが低下していることによって、前記対象の前記がんの治療における前記治療化合物の有効性が示される、請求項3記載の方法。
  5. がんを治療する方法における使用のための医薬組成物であって、前記方法が:
    (a)がんを有する対象からの試料中のバイオマーカーのレベルを割り出すことと、
    (b)前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが、前記バイオマーカーの参照レベルと異なる場合に、前記対象を、治療化合物に応答する可能性が高いと診断することと、
    (c)前記治療化合物を前記対象に投与することと、
    を含み、前記医薬組成物が、下記の式Iの化合物、
    Figure 2019504063
    またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形を含み、式中、
    が、H、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリールまたは任意に置換されたヘテロシクリルであり、
    とRがそれぞれハロであり、
    の置換基が存在するとき、前記置換基が、1〜3個のQという基であり、各Qが独立して、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルアルキル、任意に置換されたアリール、−ROR、−RSR、−RN(R)(R)、−RORN(R)(R)または−RORC(J)N(R)(R)であり、
    各Rが独立して、アルキレン、アルケニレンまたは直接結合であり、
    各Rが独立して、水素、アルキル、ハロアルキルまたはヒドロキシアルキルであり、
    Jが、OまたはSであり、
    とRがそれぞれ独立して、水素もしくはアルキルであるか、またはRとRは、それらを置換する窒素原子と一体になって、1つもしくは2つのハロ、アルキルもしくはハロアルキルで任意に置換された5もしくは6員のヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成している前記医薬組成物。
  6. 前記試料中の前記バイオマーカーのレベルが:
    (i)前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも高く;または
    (ii)前記バイオマーカーの前記参照レベルよりも低い、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記方法が第2の活性剤または支持療法剤を治療上有効な量投与することを含む、請求項5または6に記載の医薬組成物。
  8. 前記第2の活性剤が、造血成長因子、サイトカイン、抗がん剤、抗生物質、cox−2インヒビター、免疫調節剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、がん抗原に特異的に結合する治療抗体、またはそれらの薬理学的に活性な変異体もしくは誘導体である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 前記治療化合物を前記対象に投与する前に、前記対象から得たコントロール試料を用いることによって、前記参照を調製し、前記コントロール試料が、前記試料と同じ供給源のものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  10. がんではない健常な対象から得たコントロール試料を用いることによって、前記参照を調製し、前記コントロール試料が、前記試料と同じ供給源のものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記がんが、多発性骨髄腫(MM)、リンパ腫または白血病である、請求項1〜4、9、及び10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記がんが、リンパ腫である、請求項1〜4、9、及び10のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記がんが、白血病である、請求項1〜4、9、及び10のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記白血病が、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群(MDS)である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記白血病が、急性骨髄性白血病(AML)である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記白血病が、再発性であるか、難治性であるか、または従来療法に対して耐性である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記バイオマーカーが:
    (i)小胞体ストレス応答(UPR)における機能を有するものであり;
    (ii)CRBN関連タンパク質であり;
    (iii)GCN2関連シグナリング経路における機能を有するものであり;
    (iv)ATF4関連シグナリング経路における機能を有するものであり;
    (v)IRE1関連シグナリング経路における機能を有するものであり;
    (vi)XBP1関連シグナリング経路における機能を有するものであり;
    (vii)ATF6関連シグナリング経路における機能を有するものであり;
    (viii)アポトーシス経路における機能を有するものであり;または
    (ix)ナンセンス変異依存mRNA分解機構(NMD)経路のRNA基質である、請求項1〜4及び9〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記バイオマーカーが、GSPT1及びGSPT2からなる群から選択したeRF3ファミリーメンバーである、請求項1〜4及び9〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記バイオマーカーのレベルが、参照よりも低い、請求項18に記載の方法。
  20. 前記バイオマーカーが、GSPT1である、請求項18に記載の方法。
  21. 前記バイオマーカーが、GSPT2である、請求項18に記載の方法。
  22. 前記バイオマーカーが、IKZF1である、請求項1〜4及び9〜17のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記バイオマーカーのレベルが、参照よりも低い、請求項22に記載の方法。
  24. 前記バイオマーカーが、ATF4、ATF3、DDIT3、切断PARP、SRSF3 NMD転写産物及びSRSF6 NMD転写産物からなる群から選択されている、請求項1〜4及び9〜17のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記バイオマーカーのレベルが、参照よりも高い、請求項24に記載の方法。
  26. 前記バイオマーカーが、ATF4である、請求項24に記載の方法。
  27. 前記バイオマーカーが、ATF3である、請求項24に記載の方法。
  28. 前記バイオマーカーが、DDIT3である、請求項24に記載の方法。
  29. 前記バイオマーカーが、切断PARPである、請求項24に記載の方法。
  30. 前記バイオマーカーが、SRSF3 NMD転写産物である、請求項24に記載の方法。
  31. 前記バイオマーカーが、SRSF6 NMD転写産物である、請求項24に記載の方法。
  32. 前記バイオマーカーのタンパク質レベルを割り出すことによって、前記バイオマーカーのレベルを測定する、請求項1〜4及び9〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記試料内のタンパク質と、前記バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合する第1の抗体とを接触させることを含む、請求項32に記載の方法。
  34. (i)前記第1の抗体に結合した前記バイオマーカータンパク質と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、前記第2の抗体が、前記バイオマーカータンパク質に免疫特異的に結合するとともに、前記第2の抗体が、前記バイオマーカータンパク質上のエピトープのうち、前記第1の抗体とは異なるエピトープに免疫特異的に結合する、前記接触させることと、
    (ii)前記バイオマーカータンパク質に結合した前記第2の抗体の存在を検出することと、
    (iii)前記第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、前記バイオマーカータンパク質の量を割り出すことと、をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  35. (i)前記バイオマーカータンパク質に結合した前記第1の抗体と、検出可能な標識を有する第2の抗体とを接触させることであって、前記第2の抗体が、前記第1の抗体に免疫特異的に結合する、前記接触させることと、
    (ii)前記第1の抗体に結合した前記第2の抗体の存在を検出することと、
    (iii)前記第2の抗体の検出可能な標識の量に基づき、前記バイオマーカータンパク質の量を割り出すことと、をさらに含む、請求項33に記載の方法。
  36. 前記バイオマーカーのmRNAレベルを割り出すことによって、前記バイオマーカーのレベルを測定する、請求項1〜4及び9〜31のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記バイオマーカーのcDNAレベルを割り出すことによって、前記バイオマーカーのレベルを測定する、請求項1〜4及び9〜31のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記治療化合物が、下記の式Iの化合物:
    Figure 2019504063
    またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形であり、式中、
    が、ハロ置換アリールであり、
    とRがそれぞれハロである、請求項1〜4及び9〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記治療化合物が、2−(4−クロロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物D)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である、請求項1〜4及び9〜37のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記治療化合物が、2−(4−フルオロフェニル)−N−((2−(2,6−ジオキソピペリジン−3−イル)−1−オキソイソインドリン−5−イル)メチル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(化合物E)、またはその立体異性体もしくは立体異性体混合物、互変異性体、製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、アイソトポローグ、プロドラッグ、水和物、共結晶、包接化合物もしくは結晶多形である、請求項1〜4及び9〜37のいずれか1項に記載の方法。
JP2018535307A 2016-01-08 2017-01-06 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用 Active JP6880037B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021077686A JP7113942B2 (ja) 2016-01-08 2021-04-30 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用
JP2022118437A JP2022166014A (ja) 2016-01-08 2022-07-26 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201662276700P 2016-01-08 2016-01-08
US62/276,700 2016-01-08
US201662404638P 2016-10-05 2016-10-05
US62/404,638 2016-10-05
PCT/US2017/012496 WO2017120446A1 (en) 2016-01-08 2017-01-06 Methods for treating cancer and the use of biomarkers as a predictor of clinical sensitivity to therapies

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021077686A Division JP7113942B2 (ja) 2016-01-08 2021-04-30 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2019504063A JP2019504063A (ja) 2019-02-14
JP2019504063A5 true JP2019504063A5 (ja) 2020-02-27
JP6880037B2 JP6880037B2 (ja) 2021-06-02

Family

ID=59274055

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018535307A Active JP6880037B2 (ja) 2016-01-08 2017-01-06 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用
JP2021077686A Active JP7113942B2 (ja) 2016-01-08 2021-04-30 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用
JP2022118437A Pending JP2022166014A (ja) 2016-01-08 2022-07-26 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用

Family Applications After (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021077686A Active JP7113942B2 (ja) 2016-01-08 2021-04-30 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用
JP2022118437A Pending JP2022166014A (ja) 2016-01-08 2022-07-26 がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用

Country Status (9)

Country Link
US (3) US10648983B2 (ja)
EP (1) EP3399980A4 (ja)
JP (3) JP6880037B2 (ja)
KR (1) KR20180095094A (ja)
AU (1) AU2017205170B2 (ja)
CA (1) CA3010801A1 (ja)
IL (2) IL296659A (ja)
MX (1) MX2018008421A (ja)
WO (1) WO2017120446A1 (ja)

Families Citing this family (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL278381B1 (en) 2013-12-06 2024-04-01 Celgene Corp Methods for determining the effectiveness of a drug for the treatment of diffuse large B-cell lymphoma, multiple myeloma, and myeloid cancer
EP3304076A4 (en) 2015-06-02 2018-12-19 Celgene Corporation Methods for determining drug efficacy for treatment of cancer using ratios of cereblon associated proteins
AU2016326499A1 (en) 2015-09-25 2018-04-12 Celgene Corporation Methods for treating diffuse large B-cell lymphoma and the use of biomarkers as a predictor of responsiveness to drugs
IL296659A (en) 2016-01-08 2022-11-01 Celgene Corp Cancer treatment methods and the use of biomarkers to predict clinical sensitivity to treatments
WO2019121869A1 (en) * 2017-12-20 2019-06-27 INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) Method of selection of an ire1-inhibitor therapy for patient suffering from cancer
EP3774815A1 (en) 2018-03-30 2021-02-17 Biotheryx Inc. Thienopyrimidinone compounds
US10969381B2 (en) * 2018-05-23 2021-04-06 Celgene Corporation Methods for treating multiple myeloma and the use of companion biomarkers for 4-(4-(4-(((2-(2,6-dioxopiperidin-3-yl)-1-oxoisoindolin-4-yl)oxy)methyl)benzyl)piperazin-1-yl)-3-fluorobenzonitrile
CA3150653A1 (en) * 2019-09-12 2021-03-18 Yunfu Luo FUSED CYCLIC COMPOUND CAPABLE OF DEGRADING A PROTEIN AND ITS USE
BR112022007932A2 (pt) * 2019-10-28 2022-07-12 Celgene Corp Métodos para tratamento de leucemia e uso de uma assinatura de células-tronco leucêmicas para predizer sensibilidade clínica a terapias
CA3156232A1 (en) * 2019-10-28 2021-05-06 Gang Lu Use of biomarkers to predict clinical sensitivity to 2-(4-chlorophenyl)-n-((2-(2,6-dioxopiperidin-3-yl)-1- oxoisoindolin-5-yl)methyl)-2,2-difluoroacetamide
US11031119B2 (en) * 2019-11-13 2021-06-08 Cube Click, Inc. Dental images processed with deep learning for national security
CA3158942A1 (en) * 2019-12-06 2021-06-10 Marie G. Beauchamps Processes for preparing 2-(4-chlorophenyl)-n-((2-(2,6-dioxopiperidin-3-yl)-1-oxoisoindolin-5-yl)methyl)-2,2-difluoroacetamide
KR102311390B1 (ko) * 2020-03-03 2021-10-13 이화여자대학교 산학협력단 교모세포종 예후예측용 조성물
CA3171588A1 (en) * 2020-03-16 2021-09-23 Celgene Corporation Combination therapy for acute myeloid leukemia
WO2021211742A1 (en) * 2020-04-14 2021-10-21 The General Hospital Corporation Use of gcn2 inhibitors in treating mitochondrial myopathies and diseases associated with mitochondrial dysfunction
CN116209439A (zh) * 2020-09-23 2023-06-02 圣裘德儿童研究医院有限公司 作为cereblon蛋白调节剂的取代的N-(2-(2,6-二氧代哌啶-3-基)-1,3-二氧代异吲哚啉-5-基)芳基磺酰胺类似物
EP4278014A1 (en) * 2021-01-13 2023-11-22 Monte Rosa Therapeutics, Inc. Treatment of myc-driven cancers with gspt1 degraders
CA3208313A1 (en) 2021-01-13 2022-07-21 Monte Rosa Therapeutics Ag Isoindolinone compounds
GB202104635D0 (en) * 2021-03-31 2021-05-12 Imperial College Innovations Ltd Methods and compositions for identifying and treating GCN2-dependent cancers
EP4323349A1 (en) * 2021-04-14 2024-02-21 Monte Rosa Therapeutics AG Isoindolinone amide compounds useful to treat diseases associated with gspt1
WO2023085785A1 (ko) 2021-11-09 2023-05-19 한국화학연구원 글루타이미드 모핵을 갖는 이소인돌리논 유도체 및 이의 용도
KR20230068335A (ko) 2021-11-09 2023-05-17 한국화학연구원 글루타이미드 모핵을 갖는 이소인돌리논 유도체 및 이의 용도
WO2024059756A1 (en) * 2022-09-16 2024-03-21 Temple University Of The Commonwealth System Of Higher Education Bag 3 methods and uses for treatment of cardiac amyloidosis

Family Cites Families (57)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1574740A (en) * 1924-04-07 1926-02-23 Raynor John Roscoe Cutting device
US3536809A (en) 1969-02-17 1970-10-27 Alza Corp Medication method
US3598123A (en) 1969-04-01 1971-08-10 Alza Corp Bandage for administering drugs
US4044126A (en) 1972-04-20 1977-08-23 Allen & Hanburys Limited Steroidal aerosol compositions and process for the preparation thereof
GB1429184A (en) 1972-04-20 1976-03-24 Allen & Hanburys Ltd Physically anti-inflammatory steroids for use in aerosols
US3845770A (en) 1972-06-05 1974-11-05 Alza Corp Osmatic dispensing device for releasing beneficial agent
US3916899A (en) 1973-04-25 1975-11-04 Alza Corp Osmotic dispensing device with maximum and minimum sizes for the passageway
US4008719A (en) 1976-02-02 1977-02-22 Alza Corporation Osmotic system having laminar arrangement for programming delivery of active agent
US4522811A (en) 1982-07-08 1985-06-11 Syntex (U.S.A.) Inc. Serial injection of muramyldipeptides and liposomes enhances the anti-infective activity of muramyldipeptides
HU196714B (en) 1984-10-04 1989-01-30 Monsanto Co Process for producing non-aqueous composition comprising somatotropin
IE58110B1 (en) 1984-10-30 1993-07-14 Elan Corp Plc Controlled release powder and process for its preparation
US4683195A (en) 1986-01-30 1987-07-28 Cetus Corporation Process for amplifying, detecting, and/or-cloning nucleic acid sequences
US5033252A (en) 1987-12-23 1991-07-23 Entravision, Inc. Method of packaging and sterilizing a pharmaceutical product
US5052558A (en) 1987-12-23 1991-10-01 Entravision, Inc. Packaged pharmaceutical product
US5073543A (en) 1988-07-21 1991-12-17 G. D. Searle & Co. Controlled release formulations of trophic factors in ganglioside-lipsome vehicle
IT1229203B (it) 1989-03-22 1991-07-25 Bioresearch Spa Impiego di acido 5 metiltetraidrofolico, di acido 5 formiltetraidrofolico e dei loro sali farmaceuticamente accettabili per la preparazione di composizioni farmaceutiche in forma a rilascio controllato attive nella terapia dei disturbi mentali organici e composizioni farmaceutiche relative.
PH30995A (en) 1989-07-07 1997-12-23 Novartis Inc Sustained release formulations of water soluble peptides.
US5120548A (en) 1989-11-07 1992-06-09 Merck & Co., Inc. Swelling modulated polymeric drug delivery device
US5733566A (en) 1990-05-15 1998-03-31 Alkermes Controlled Therapeutics Inc. Ii Controlled release of antiparasitic agents in animals
US5580578A (en) 1992-01-27 1996-12-03 Euro-Celtique, S.A. Controlled release formulations coated with aqueous dispersions of acrylic polymers
WO1993018186A1 (en) 1992-03-04 1993-09-16 The Regents Of The University Of California Comparative genomic hybridization (cgh)
US5323907A (en) 1992-06-23 1994-06-28 Multi-Comp, Inc. Child resistant package assembly for dispensing pharmaceutical medications
TW333456B (en) 1992-12-07 1998-06-11 Takeda Pharm Ind Co Ltd A pharmaceutical composition of sustained-release preparation the invention relates to a pharmaceutical composition of sustained-release preparation which comprises a physiologically active peptide.
US5591767A (en) 1993-01-25 1997-01-07 Pharmetrix Corporation Liquid reservoir transdermal patch for the administration of ketorolac
US6087324A (en) 1993-06-24 2000-07-11 Takeda Chemical Industries, Ltd. Sustained-release preparation
IT1270594B (it) 1994-07-07 1997-05-07 Recordati Chem Pharm Composizione farmaceutica a rilascio controllato di moguisteina in sospensione liquida
ATE268591T1 (de) 1995-06-27 2004-06-15 Takeda Chemical Industries Ltd Verfahren zur herstellung von zubereitungen mit verzögerter freisetzung
TW448055B (en) 1995-09-04 2001-08-01 Takeda Chemical Industries Ltd Method of production of sustained-release preparation
JP2909418B2 (ja) 1995-09-18 1999-06-23 株式会社資生堂 薬物の遅延放出型マイクロスフイア
US5980945A (en) 1996-01-16 1999-11-09 Societe De Conseils De Recherches Et D'applications Scientifique S.A. Sustained release drug formulations
US6264970B1 (en) 1996-06-26 2001-07-24 Takeda Chemical Industries, Ltd. Sustained-release preparation
CA2217134A1 (en) 1996-10-09 1998-04-09 Sumitomo Pharmaceuticals Co., Ltd. Sustained release formulation
DE69730093T2 (de) 1996-10-31 2006-07-20 Takeda Pharmaceutical Co. Ltd. Zubereitung mit verzögerter Freisetzung
AU7871298A (en) 1996-12-20 1998-07-17 Takeda Chemical Industries Ltd. Method of producing a sustained-release preparation
US5891474A (en) 1997-01-29 1999-04-06 Poli Industria Chimica, S.P.A. Time-specific controlled release dosage formulations and method of preparing same
US6248363B1 (en) 1999-11-23 2001-06-19 Lipocine, Inc. Solid carriers for improved delivery of active ingredients in pharmaceutical compositions
GB0103527D0 (en) 2001-02-13 2001-03-28 Eastman Kodak Co Photographic developing composition and use thereof in the development of a photographic element
US7122799B2 (en) 2003-12-18 2006-10-17 Palo Alto Research Center Incorporated LED or laser enabled real-time PCR system and spectrophotometer
MX2007014537A (es) * 2005-05-18 2008-02-12 Wyeth Corp Genes de la enfermedad de la leucemia y sus usos.
RU2527952C2 (ru) * 2008-10-29 2014-09-10 Селджин Корпорейшн Изоиндолиновые соединения для применения при лечении рака
EP2544687A1 (en) 2010-03-12 2013-01-16 Celgene Corporation Methods for the treatment of non-hodgkin's lymphomas using lenalidomide, and gene and protein biomarkers as a predictor
US9090585B2 (en) 2011-03-28 2015-07-28 Deuterx, Llc 2,6-dioxo-3-deutero-piperdin-3-yl-isoindoline compounds
CA2834535A1 (en) 2011-04-29 2012-11-01 Celgene Corporation Methods for the treatment of cancer and inflammatory diseases using cereblon as a predictor
ES2872967T3 (es) 2012-06-29 2021-11-03 Celgene Corp Métodos para determinar la eficacia de fármacos usando IKZF3 (AIOLOS)
US9119854B2 (en) 2013-05-03 2015-09-01 Celgene Corporation Methods for treating cancer using combination therapy
AU2014360316A1 (en) 2013-12-06 2016-06-16 Celgene Corporation Methods of treating hematological cancers and predicting clinical sensitivity to leanlidomide using biomarkers
IL278381B1 (en) 2013-12-06 2024-04-01 Celgene Corp Methods for determining the effectiveness of a drug for the treatment of diffuse large B-cell lymphoma, multiple myeloma, and myeloid cancer
US9499514B2 (en) * 2014-07-11 2016-11-22 Celgene Corporation Antiproliferative compounds and methods of use thereof
EP3207151A4 (en) 2014-10-13 2018-07-04 Celgene Corporation Methods for treating solid tumors and the use of biomarkers as a predictor of clinical sensitivity to immunomodulatory therapies
EP3304076A4 (en) 2015-06-02 2018-12-19 Celgene Corporation Methods for determining drug efficacy for treatment of cancer using ratios of cereblon associated proteins
WO2017024019A1 (en) 2015-08-04 2017-02-09 Celgene Corporation Methods for treating chronic lymphocytic leukemia and the use of biomarkers as a predictor of clinical sensitivity to immunomodulatory therapies
EP3334844A4 (en) 2015-08-12 2019-11-06 Celgene Corporation METHOD FOR THE TREATMENT OF SOLID TUMORS AND USE OF BIOMARKERS AS PREDICTORS OF CLINICAL SENSITIVITY TO IMMUNOMODULATORY THERAPIES
AU2016326499A1 (en) 2015-09-25 2018-04-12 Celgene Corporation Methods for treating diffuse large B-cell lymphoma and the use of biomarkers as a predictor of responsiveness to drugs
US10189808B2 (en) * 2016-01-08 2019-01-29 Celgene Corporation Solid forms of 2-(4-chlorophenyl)-N-((2-(2,6-dioxopiperidin-3-yl)-1-oxoisoindolin-5-yl)methyl)-2,2-difluoroacetamide, and their pharmaceutical compositions and uses
IL296659A (en) 2016-01-08 2022-11-01 Celgene Corp Cancer treatment methods and the use of biomarkers to predict clinical sensitivity to treatments
CN113633634A (zh) * 2016-01-08 2021-11-12 细胞基因公司 2-(4-氯苯基)-n-((2-(2,6-二氧代哌啶-3-基)-1-氧代异吲哚啉-5-基)甲基)-2,2-二氟乙酰胺的制剂
BR112018075206A2 (pt) * 2016-06-06 2019-03-19 Celgene Corporation tratamento de malignidade hematológica com 2-(4-clorofenil)-n-((2-(2,6-dioxopiperidin-3-il)-1-oxoisoindolin-5-il)metil)-2,2-difluoroacetamida

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7113942B2 (ja) がんの治療方法と、治療法に対する臨床的感度の予測因子としてのバイオマーカーの使用
JP2019504063A5 (ja)
JP6585737B2 (ja) セレブロン関連タンパク質の比を使用してがんの治療のための薬物の有効性を決定するための方法
US20180267043A1 (en) Use of biomarkers for predicting clinical sensitivity to cancer treatment
JP7495886B2 (ja) 多発性骨髄腫を治療すること及び4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリルのバイオマーカーの使用
KR20160090345A (ko) 미만성 거대 b-세포 림프종, 다발성 골수종, 및 골수암의 치료를 위한 약물 효능을 결정하는 방법
BR112015026006B1 (pt) Uso de um composto em combinação com um fármaco imunomodulador imid® para tratamento ou prevenção de um câncer, composição farmacêutica e kit compreendendo os referidos compostos
CN105682658A (zh) 使用pi3激酶亚型调节剂的癌症疗法
KR20140025374A (ko) 3-(5-아미노-2-메틸-4-옥소-4h-퀴나졸린-3-일)-피페리딘-2,6-디온을 사용하는 암의 치료 방법
KR20160004305A (ko) Tor 키나제 억제제와 5-치환된 퀴나졸리논 화합물을 포함하는 암 치료용 조합 요법
BR112015026292B1 (pt) Uso de 1-etil-7-(2-metil-6-(1h-1,2,4-triazol-3-il)piridin-3-il)-3,4-dihidropirazino [2,3-b]pirazin-2(1h)- ona e métodos in vitro
KR20230079171A (ko) 전신 홍반성 루푸스의 치료 방법 및 치료법에 대한 임상적 민감도의 예측인자로서의 바이오마커의 용도
JP2022552881A (ja) 2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-4-((2-フルオロ-4-((3-モルホリノアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)アミノ)イソインドリン-1,3-ジオンを用いて慢性リンパ性白血病を治療する方法