JP2019503437A - 改善された結合工程のための材料層を含むフェイスマスク - Google Patents

Abstract

着用者の鼻及び口を覆う大きさの開口を有するフィルタ本体部を備える使い捨て式のフェイスマスクが提供される。フィルタ本体部は、外側マスク層と、内側マスク層と、外側マスク層及び内側マスク層間に配置された１以上の中間層とを含む。中間層の少なくとも１つは、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成された熱可塑性フィラメントを有する不織ウェブ層を含む。
【選択図】図４

Description

本発明は、概して、保護用フェイスマスクの分野に関し、特に、フェイスマスクの各層の熱結合の処理時間を短縮する１以上の層を含むフェイスマスクに関する。

様々な構造の使い捨て式のフィルタリングフェイスマスク、すなわちレスピレータが知られており、これらは、「フェイスマスク」、「レスピレータ（保護マスク）」、「フィルタリングフェイスレスピレータ」などの様々な名称で呼ばれている。本開示の目的のために、これらを「フェイスマスク」と総称する。

自然災害または他の大惨事の発生時には、救援活動従事者、救急隊員、及び一般大衆に対する保護用フェイスマスクの供給能力が重要になる。例えば、パンデミックが発生した場合には、フィルタを介した呼吸を可能にするフェイスマスクの使用が、そのような事態への対応や復旧の重要な点となる。このため、政府や地方自治体は、通常、緊急時に即座に使用できるように、フェイスマスクの備蓄を維持している。しかしながら、フェイスマスクの貯蔵寿命は限られているため、フェイスマスクの有効期限の確認及び補充のために、フェイスマスクの備蓄を継続的にモニタする必要があった。そして、これは、非常にコストのかかる作業であった。

最近、備蓄に頼るのではなく、パンデミックまたは他の災害の発生時に「必要に応じて」フェイスマスクを大量生産することが実現可能か否かについての調査が開始された。例えば、２０１３年に、米国保健福祉省（ＨＨＳ）の事前準備対応次官補局（ＡＳＰＡ）の一部門である生物医学先端研究開発局（ＢＡＲＤＡ）は、米国でのパンデミックの発生時には最大１億個のフェイスマスクが必要となると推定し、備蓄を避けるために、１日当たり１５０万個ないし２００万個のフェイスマスクを大量生産することによって、上記の需要（目標値）を満たすことができるか否かについての研究を提案した。これは、１分間当たり約１５００個のマスクを生産することを意味する。現行のフェイスマスク製造ラインは、現行の技術と装置の限界のために１分間当たり約１００個のマスクしか生産することができず、これは上記の目標値に遠く及ばない。したがって、パンデミック発生時の「オンデマンドの」フェイスマスクの上記の目標値を実現するためには、製造・生産方法の進歩が必要である。

フェイスマスクを所望の速度で製造する能力に対して影響を与える１つの要素は、フィルタ効率、完全性、通気性などのフェイスマスクなどの重要な機能を損なうことなく、フィルタの様々な層を増加した速度（例えば、減少した処理時間）で互いに熱結合させることである。

本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、熱結合の処理時間を従来の材料層よりも短縮することにより生産速度の増加を可能にする材料層の組み合わせを提供することを目的とする。

米国特許出願公開第２００４／０１２１６９０号明細書

本発明の目的及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。

本出願人は、従来のフェイスマスク及びそれに関連する製造ラインでは、フィルタ本体部の様々な従来の中間層を形成するのに使用されるポリマー材料が比較的高いメルトインデックスを有することに起因する結合ステーションでの材料の処理時間（滞留時間）が、パンデミック時のオンデマンド製造に必要なフェイスマスクの全体生産速度の達成目標の阻害要因であると考えた。従来の生産速度を約１０倍ないし約１５倍に増加させることが求められている。この生産速度を実現するためには、結合の完全性及び機能を犠牲にすることなく、超音波結合時間を大幅に短縮する必要がある。本出願人はさらに、フィルタ本体部を画定するエッジ結合の制限事項は、従来の外側スパンボンド層ではなく、フィルタ本体部の中間層を構成する材料であると考えた。これらの中間層は、とりわけ中間層の数が増加するに従って、全ての層間の確実な結合を達成するために追加的な処理時間を必要とする。このことは、折り重ねられた縁部バインダ材料によって、層の数が増加する重要な角部結合に特に当てはまる。これらの問題は、本発明の態様による中間材料層のための材料の組み合わせによって解決される。

したがって、本開示に係る使い捨て式のフェイスマスクは、着用者の鼻及び口を覆う大きさの開口を有するフィルタ本体部を備える。フィルタ本体部は、外側マスク層と、内側マスク層と、外側マスク層及び内側マスク層間に配置された１以上の中間層とを含む。中間層の少なくとも１つないし全ては、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成された熱可塑性フィラメントを有する不織ウェブ層から形成される。例えば、一実施形態では、フィルタ本体部は、複数の中間層を含み、中間層のうちの少なくとも２つが、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成された熱可塑性フィラメントを有する不織ウェブ層を含む。

特定の実施形態では、フィルタ本体部は、上側部分及び下側部分を含み、上側部分及び下側部分は、それらの３つの側縁部に沿って互いに結合され、上側部分及び下側部分の上記の３つの側縁部以外の第４の側縁部に沿って上側部分及び下側部分によって画定される開口部を有するカモノハシ型のフェイスマスクを形成する。

一実施形態では、ランダムコポリマーは、約０．５重量％ないし約１０重量％のエチレンと、約９９．５重量％ないし約９０重量％のプロピレンとを含むエチレン−プロピレンランダムコポリマーを含む。

別の実施形態では、ランダムコポリマーは、約０．５重量％ないし約２０重量％のブチレンと、約９９．５重量％ないし約８０重量％のプロピレンとを含むブチレン−プロピレンランダムコポリマーを含む。

望ましくは、ランダムコポリマーは、約１３７℃ないし１５３℃のピーク融点を有する。

中間層の不織ウェブ層は、スパンボンデッドファイバのウェブ、メルトブローンファイバのウェブ、ファイバのボンデットカーデットウェブ、及び多層材料であって、スパンボンデッドファイバのウェブ、メルトブローンファイバのウェブ、またはファイバのボンデットカーデットウェブのうちの少なくとも１つを含む該多層材料から選択される不織ウェブを含む。

別の実施形態では、熱可塑性フィラメントは、ランダムコポリマーと、ホモポリマーとの混合物を含み、ランダムコポリマーは、１０重量％ないし９０重量％の量で含まれる。

本発明の他の態様及び利点は、以下に詳細に説明される。

当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示（ベストモードを含む）が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。

従来の呼吸用フェイスマスクをユーザに装着した状態を示す斜視図 図１の従来のフェイスマスクの折り畳んだ状態を示す上面図 本開示の一実施形態のフェイスマスクを製造するフェイスマスク製造ラインの概略図 本開示に係るフェイスマスクの断面図であり、図１に示した線に沿って切った断面図 本開示に係るフェイスマスクの別の実施形態の断面図

以下、本発明の様々な実施形態及びその１以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。

本明細書で使用される「不織」または「不織ウェブ」という用語は、個々のファイバ（繊維）またはフィラメント（糸）が、織物のような規則的な繰り返し形態ではない形態で交絡された構造を有する材料及び材料のウェブを意味する。不織布またはウェブは、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、及びボンデッドカーデッドウェブ法などの様々な方法によって形成される。不織布の坪量は、通常はオンス／平方ヤード（ｏｓｙ）またはグラム／平方メートル（ｇｓｍ）の単位で表され、ファイバ径は、通常はミクロン（μｍ）の単位で表される（なお、ｏｓｙ単位をｇｓｍ単位に変換するためには、ｏｓｙの数値に３３．９１を乗ずればよい）。

「ピーク融点」は、最大の融解が生じる見掛けのピーク温度を指す。ピーク融点は、示差走査熱量測定（ＤＳＣ：Differential scanning calorimetry）により測定することができる。より詳細には、ピーク融点は、ＤＳＣサーモグラムにより、容易に評価及び確認することができる。

「ポリマー」は、これに限定しないが、ホモポリマー、コポリマー（例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー、及び交互コポリマー）、ターポリマー、及びこれらの配合物及び変成物を含む。さらに、特に限定しない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能性のある幾何学的構造を含む。そのような構造は、これに限定しないが、アイソタクチック対称、シンジオタクチック対称、及びランダム対称を含む。

「結合」なる語は、２つの要素を互いに結合、接着、接続、連結することを指す。２つの構成要素は、互いに直接的に接続された場合、または互いに間接的に接続された場合（例えば、２つの要素の各々が、中間要素に直接的に接続された場合）に、互いに結合されたと見なされる。

台形状のコーン型マスクや平らなプリーツ付きフェイスマスクなどの、様々な形式及び構造の従来のフェイスマスクがよく知られている。本開示の方法は、これらの従来のマスクの製造ラインにおいて有用性を有する。例示のみを目的として、本明細書では、本開示のフェイスマスク及び方法の態様を、図１に示すような当分野では「カモノハシ型」マスクと一般的に称される特定のタイプの台形状の呼吸用フェイスマスクを参照して説明する。

図１及び２を参照すると、従来のフェイスマスク１１（例えば、カモノハシ型フェイスマスク）を、想像線で示す着用者１２の顔に装着した状態が示されている。マスク１１は、弾性及び伸縮性を有するストラップ、すなわち固定部材１６及び固定部材１８によって着用者１２に固定されるフィルタ本体部１４を含む。フィルタ本体部１４は、上側部分２０及び下側部分２２を含む。上側部分２０及び下側部分２２は、互いに相補的な台形形状を有し、好ましくは、それらの３つの側縁部に沿って例えば熱及び／または超音波シーリングによって互いに結合される。このような結合により、重要な構造的完全性が、マスク１１に付加される。

フェイスマスク１１は、開放された側縁部を有し、例えばアルミニウムストリップまたはワイヤなどの細長い可鍛性ノーズワイヤ２６を受容可能に構成された上側縁部２４を有する。これにより、上側縁部２４を着用者の鼻や頬の外形に密着するように変形させることができる。可鍛性部材２６は、成形可能なプラスチック部材であってもよい。上側部分２０が上側縁部２４に沿って配置されたノーズワイヤ２６を有することを除けば、マスク１１の上側部分２０と下側部分２２は互いに同一であり得、同一の材料層を有し得る。上側部分２０の上側縁部２４と下側部分２２の下側縁部３８は、互いに協働して、着用者の顔に接触するマスク１１の周縁部分を画定する。

図１に示すように、マスク１１は、着用者１２の顔に装着したときには、カップ状または円錐状の全体形状を有する。これにより、使用前には折り畳んだマスク１１をポケットに入れて容易に持ち運びすることができる一方で、使用時には「顔から離れる」という利点を有する円錐状のマスク１１を提供することができる。一般に理解されているように、「顔から離れる」形式のマスクは、着用者の顔の大部分に接触する柔らかいプリーツ付きマスクと比べて、より大きな呼吸チャンバを提供する。そのため、「顔から離れる」マスクは、より落ち着いたより楽な呼吸を可能にするとともに、フィルタ本体部１４内の空気の過度の加熱や、呼気の長時間の再呼吸に起因する目まいを最小限に抑えることができる。

引き続き図１及び２を参照すると、「Ｅ」は、フェイスマスク１１の３つの閉じた側縁部を画定する結合縁部を表す。着用者の顔に接触する上側縁部２４及び下側縁部３８は、結合寸法「Ｆ」を有する。製造ラインでは、これらの結合Ｅ及びＦは、従来の熱及び／または超音波結合システムによって形成され、適切かつ確実に結合にするために、材料層に対する結合処理は所定の「処理時間（滞留時間）」を要する。このような結合処理は、当業者には周知であり、その詳細な説明は、以下により詳細に説明する本発明によるフェイスマスク１１の理解及び認識のためには不要である。

図４及び５に示すように、上側部分２０及び下側部分２２の各々は、好ましくはスパンボンデッドポリプロピレンから構成された外側マスク層３０を含む。外側マスク層３０はまた、二成分及び／または粉末結合材料、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、セルラスティック（cellulastic）組織、またはスパンボンデッドポリエステルから構成され得る。好適な外側マスク層３０は、一般的に、１６．９６グラム／平方メートル（ｇｓｍ）（０．５オンス／平方ヤード（ｏｓｙ））ないし３３．９１ｇｓｍ（１．０ｏｓｙ）の範囲の坪量を有する。上側部分２０及び下側部分２２の各々はまた、二成分ポリエチレン及びポリプロピレンから構成され得る内側マスク層３２を含む。内側マスク層３２はまた、ポリエステルポリエチレン材料またはセルラスティック組織から構成され得る。内側マスク層３２は、一般的に、１３．６５ｇｓｍ（０．４ｏｓｙ）ないし２５．４３ｇｓｍ（０．７５ｏｓｙ）の範囲の坪量を有する。外側マスク層３０と内側マスク層３２との間には、マスク１１のためのフィルタ媒体を含む１以上の中間マスク層３４が配置される。図４では１つの中間層３４のみを示しているが、本発明に係るフェイスマスク１１の実施形態は、互いに同一の種類または互いに異なる種類の材料から構成される複数の中間マスク層３４を含み得ることを理解されたい。中間マスク層３４の詳細については詳述するが、中間マスク層３４は、メルトブローンポリプロピレン、または押出ポリカーボネート、メルトブローンポリエステル、またはメルトブローンウレタンから構成することが好ましい。

図５は、内側マスク層３２と、マスク１００のためのフィルタ媒体の一部を有する中間マスク層３４とを含むフェイスマスクの実施形態１００を示す。例えば、内側マスク層３２及び中間マスク層３４は、別個のメルトブローンフィルタ層であり得る。加えて、マスク１００は、上側部分１２０及び下側部分１２２の両方に、第４の中間層１５０を含む。第４の中間層（バリア層）１５０は、中間マスク層３４の材料と同様の材料から構成され得る。望ましくは、バリア層１５０は、気体透過性を有し、気体がマスクをその両方向に通過することを可能にし、かつ少なくともマスク１００の一方向において液体不透過性を有するバリア材料から構成される。適切なバリア材料は、既知であり、当分野で使用されており、一般に低密度ポリエチレンから構成される。また、適切なバリア材料は、小さなアパーチャ（微孔）を含み、液体の比較的高い表面張力により液体が該開口を通過することを防止する。他の種類の微孔フィルムも、バリア層１５０として十分に使用することができる。

バリア層１５０の使用は、着用者が「体液」に曝され得る環境下でマスク１００が着用される場合に特に重要である。血液、尿、唾液などの体液には、伝染性の高い細菌が含まれ得る。ＡＩＤＳで汚染された体液が他の人の体液源（目、鼻、口など）と接触すると、その病気が伝染する可能性がある。したがって、このような体液が着用者の鼻及び口に接触することを防止するために、体液の一方向への通過に対して耐性を有するバリア層１５０を含むことが必要である。バリア層１５０は、マスク１００の外側に存在する液体が、マスク１００を通過して、マスク１００で覆われた着用者の顔に接触することを防止する。

上側部分２０及び下側部分２２の各々における、外側マスク層３０と内側マスク層３２との間の材料層の様々なバリエーションが、当分野でのフェイスマスクで知られている。例えば、米国ジョージア州アルファレッタ所在のハリヤード・ヘルス（Halyard Health）社から、上側部分２０及び下側部分２２の各々が５つの層（外側マスク層及び内側マスク層を含む）を有する、「レスピレータコード番号４６７７２７」として識別されるカモノハシ型の保護マスクが提供されている。このような内側材料層のバリエーションは全て、本発明の範囲及び精神に含まれるものとする。

マスク１１の上側部分２０の上側縁部２４は、マスク１１の開放端部の全体にわたって延在し、かつ可鍛性ストリップ２６を覆う上側縁部バインダ３６によって取り囲まれている。同様に、マスク１１の下側部分２２の下側縁部３８は、下側縁部バインダ４０によって取り囲まれている。上側縁部バインダ３６及び下側縁部バインダ４０は、好ましくは、スパンレースポリエステル材料から作製され得る。上側縁部バインダ３６及び下側縁部バインダ４０はまた、熱的に結合された様々な二成分材料、またはポリプロピレンもしくはポリエチレンの非多孔質プラスチックフィルムから作製され得る。

図４及び５に示すように、フェイスマスクの３つの閉じた側縁部の周りの超音波結合Ｅが、上側部分２０及び下側部分２２の両方における複数の層の全てをまとめて結合することを必要とすることは、容易に理解できるであろう。したがって、上側部分２０及び下側部分２２の各々が単一の中間フィルタ層３４のみを含む場合は、結合Ｅは合計で６つの層（上側部分２０及び下側部分２２の各々が３つの層を含む）を含むこととなる。また、図５の実施形態では、上側部分２０及び下側部分２２の各々が５つの層を含むので、結合Ｅは合計で１０の層を含む。

結合Ｅは、境界結合Ｅが２つの上側縁部結合Ｆと一致する図２に示した角部結合Ｇにおいて、さらにいっそう重要である。図４及び５から容易に理解できるように、上側縁部結合Ｆの各々は、上側縁部バインダ３６及び下側縁部バインダ４０を折り重ねたことにより形成された２つの追加的な層を含む。したがって、図４の実施形態では、角部結合Ｇの各々は１０個の層（上側縁部バインダ３６及び下側縁部バインダ４０を折り重ねたことにより形成された４つの追加的な層を含む）を有する。同様に、図５の実施形態では、角部結合Ｇの各々は１４の層を有する。

上側部分２０及び下側部分２２の様々な従来の中間層３４、３２、１５０を形成するために使用されるポリマー材料は比較的高いメルトインデックスを有することに起因する結合ステーションでの材料の処理時間（滞留時間）が、パンデミック時のオンデマンド製造に必要なフェイスマスクの全生産速度の達成目標の阻害要因であると考えられる。従来のフェイスマスク生産ラインでは、フェイスマスクの生産速度は約１００マスク／分であった。この生産速度を、その約１０倍ないし約１５倍、例えば約１、５００マスク／分に増加させることが求められている。この速度を実現するためには、結合の完全性及び機能を犠牲にすることなく、熱／超音波結合時間を大幅に短縮する必要がある。

本出願人は、結合Ｅ、Ｆ、Ｇの制限事項は、従来のスパンボンド層３０、３２ではなく、中間層３４、３２を構成する材料であると考えた。これらの中間層は、とりわけ中間層の数が増加するに従って、全ての層間の確実な結合を達成するために追加的な処理時間を必要とする。このことは、折り重ねられた上側縁部バインダ３６及び下側縁部バインダ４０によって、層の数が増加する重要な角部結合Ｇに特に当てはまる。

本発明によれば、上側部分２０及び下側部分２２の各々における外側マスク層３０及び内側マスク層３２間に存在する１以上の中間層（「３４」と総称する）は、相対的に低いピーク融点及び比較的広い融解曲線を有し、強力な個々の点結合及び優れた熱／超音波結合を形成する樹脂から形成された熱可塑性フィラメントから構成された不織ウェブを含む。より詳細には、熱可塑性フィラメントは、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成され得る。ランダムコポリマーは、約１３７℃ないし１５３℃、または約１４２℃ないし約１５３℃、または約１４５℃ないし約１５０℃のピーク融点を有する。

本発明による新規の中間層３４は、ポリマー、坪量、及び結合パターンまたは結合面積の選択により、フェイスマスクに対して所望の柔軟性及びフィルタ能力を提供し、かつ、従来のフェイスマスク製造ラインよりも大幅に速い速度で超音波結合できるように設計されている。

米国特許出願公開第２００４／０１２１６９０号明細書（特許文献１）には、エラストマー層に積層された表面層を有するエラストマーラミネート材料が記載されている。本出願人は、上記特許文献１に記載された表面層が、本発明に係るフェイスマスクの中間層としての使用に適した材料特性を有すると考える。これに関して、上記特許文献１は、全ての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。この表面層の態様（フェイスマスクの中間層３４として使用するための）について、以下に説明する。

中間層３４を構成するランダムコポリマーは、約０．５重量％ないし約１０重量％のエチレンと、約９９．５重量％ないし約９０重量％のプロピレンとを含むエチレン−プロピレンランダムコポリマーであり得る。あるいは、オレフィンコポリマーは、０．５％ないし５．０％のエチレンを主鎖中にランダムに共重合させることによって修飾したポリプロピレンを含み得る。別の代替として、ランダムコポリマーは、約０．５重量％ないし約２０重量％のブチレンと、約９９．５重量％ないし約８０重量％のプロピレンとを含むブチレン−プロピレンランダムコポリマーであり得る。ランダムコポリマーは、優れた柔軟性と向上した結合能力を提供する。一般的に、より柔らかい材料はより弱い引裂強さ及び引張強さを有するが、中間層３４の構成材料にランダムコポリマーを組み込むことによって、結合強度を犠牲にすることなく、より大きな柔軟性を中間層３４に提供することができる。表面層を構成するのに好適な市販のランダムコポリマーの一例としては、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル社（Dow Chemical Company）から入手可能な、ポリプロピレン中に約３％のエチレンを含むＤｏｗ ６Ｄ４３ランダムコポリマーが挙げられる。他の好適なランダムコポリマーとしては、ダウ・ケミカル社から入手可能なＳＲＤ ６５８１及び６Ｄ８２が挙げられる。

別の実施形態では、中間層３４は、ランダムコポリマーとホモポリマーとの混合物を含み得る。この実施形態では、ランダムコポリマーは、表面層の約１０重量％ないし約９０重量％、または約２０重量％ないし約８０重量％、または約２４重量％ないし約４０重量％を構成し得る。例えば、Ｄｏｗ ６Ｄ４３は、米国テキサスベイタウン所在のエクソンモービル・ケミカル社（Exxon-Mobil Chemical Company）から入手可能なＥｘｘｏｎ−Ｍｏｂｉｌ ３４４５のような標準的なポリプロピレンと混合させることができる。他の好適なポリプロピレンホモポリマーとしては、Ｄｏｗ ６８１１、Ｄｏｗ ５Ｄ４９、Ｅｘｘｏｎ−Ｍｏｂｉｌ ３１５５、Ｅｘｘｏｎ−Ｍｏｂｉｌ ３８５４、Ｂａｓｅｌｌ ３０８、Ｂａｓｅｌｌ ３０４、及びＢＰ ７９５４が挙げられる。

フィルタ層またはバリア層として、中間層３４は、好適には、例えば、スパンボンデッドファイバのウェブ、メルトブローンファイバのウェブ、ファイバのボンデットカーデットウェブ、または、多層材料であって、スパンボンデッドファイバのウェブ、メルトブローンファイバのウェブ、またはファイバのボンデットカーデットウェブのうちの少なくとも１つを含む該多層材料（例えば、スパンボンド／メルトブローン／スパンボンドウェブ）などの、ファイバの不織ウェブである。コフォーム材料及び／またはエアレイド材料などの他の不織材料もまた、表面層として使用するのに好適であり得る。中間層３４は、好適には、約２０グラム／平方メートル（ｇｓｍ）未満、または約７ｇｓｍないし約２０ｇｓｍ、または約１２ｇｓｍないし約２０ｇｓｍの坪量を有する。

中間層３４は、結合させるべきファイバの繊維またはウェブを、加熱させたカレンダーロールとアンビルロールとの間に通すことにより、熱的に点結合される。カレンダーロールは一般的に、常にとは限らないが、繊維またはウェブの全体が、該ロールの表面全体にわたって結合されないように何らかの方法でパターンが形成されている。そのため、機能的及び美的な理由から、カレンダーロールのための様々なパターンが開発された。パターンの一例は、複数の点（ポイント）を有し、ハンセン及びペニングスに付与された米国特許第３、８５５、０４６号に教示されているような約１２９０接着部／平方センチメートル（約２００接着部／平方インチ）の、約３０％の結合面積を持つハンセン・ペニングス（Hansen Pennings）すなわち「Ｈ＆Ｐ」パターンである。Ｈ＆Ｐパターンは、四角形の点またはピン結合面積を有し、各ピンは、一辺の寸法が０．９６５ｍｍ（０．０３８インチ）、ピンとピンの間隔が１．７７８ｍｍ（０．０７０インチ）、接着深さが０．５８４ｍｍ（０．０２３インチ）である。これにより得られるパターンは、約２９．５％の結合面積を有する。別の典型的な点結合パターンは、拡張ハンセン・ペニングス（expanded Hansen Pennings）すなわち「ＥＨＰ」接着パターンであり、これは、一辺の寸法が０．９４ｍｍ（０．０３７インチ）、ピン間隔が２．４６４ｍｍ（０．０９７インチ）、深さが０．９９１ｍｍ（０．０３９インチ）の四角形のピンを使用し、１５％の結合面積を有する。「７１４」と呼ばれる別の典型的な点接着パターンは、四角形のピン結合面積を有し、各ピンは、一辺の寸法が０．５８４ｍｍ（０．０２３インチ）、ピンとピンの間隔が１．５７５ｍｍ（０．０６２インチ）、接着深さが０．８３８ｍｍ（０．０３３インチ）である。これにより得られるパターンは、約１５％の結合面積を有する。さらに別の一般的なパターンは、約１６．９％の結合面積を有するＣ星（C-Star）パターンである。Ｃ星パターンは、流れ星によって中断された横方向バーまたは「コーデュロイ（corduroy）」デザインを有する。他の一般的な結合パターンとしては、繰り返し現れる僅かに中心を外れた複数のダイヤモンドを有するダイヤモンドパターンと、その名が示唆するように例えば窓網戸のように見えるワイヤウィーブパターンとが挙げられる。ワイヤウィーブパターンは、約１４．５％ないし約２５％の結合面積を有する。当分野で周知のように、スポットボンド法は、複数のラミネート層をまとめて保持するとともに、各層内のフィラメント及び／またはファイバを結合することによって個々の層に対して完全性を付与する。

好適には、中間層３４は、約１５％ないし約３４％、または約２６％ないし約３１％の結合面積を有する。結合パターンを適用することにより、より低いコスト及びより高い張力を実現することができるが、結合パターンの結合面積があまりにも大きい場合は、柔軟性（及び、フィルタ効率）が損なわれる可能性がある。例えば、Ｈ＆Ｐパターンは、ワイヤウィーブパターンよりも低コスト／高張力を提供するが、ワイヤウィーブパターンよりも結合面積が大きいため、ワイヤウィーブパターンほど柔らかくはない。

不織中間層３４はポリマー組成物であるので、超音波結合に特に有用である。中間層３４は、フェイスマスク製造ラインにおいて、中間層３４と同一の材料または異なる材料から構成され得る別の基体（例えば、スパンボンド層３０、３２、及び１以上の追加的な中間層３４）に対して、従来の生産速度よりも大幅に速い速度で超音波結合することができると考えられる。

上述した中間層３４を製造する一方法では、例えばランダムコポリマーまたはランダムコポリマー混合物から形成された熱可塑性フィラメントを成形ベルト上に、当業者に既知の従来の不織ウェブの作製に用いられる態様でランダムに堆積させて、不織中間層３４を形成する。フィラメントが成形ベルト上に堆積されると、ウェブの形成中にフィラメントを成形ベルトに向けて引っ張るために、成形ユニットの下に真空ユニットを配置する。中間層３４が形成されると、ウェブは、カレンダーローラー及びアンビルローラーを含むカレンダーに通され、ウェブのさらなる形成のためにフィラメントと結合させる。アンビルローラーは適切に平滑であるが、カレンダーローラーは、上述したように、中間層３４に対して結合パターンを付加するために平滑であるかまたはパターン化されている。カレンダーローラー及びアンビルローラーの一方または両方を加熱し、これらの２つのローラー間の圧力を、既知の手段によって所望の温度（もしあれば）を提供するように調節し、結合圧力を加えて不織中間層３４が形成される。

図３は、本開示に係る、１以上の中間層を含むフェイスマスクの例示的な製造ライン１０２を示す。走行するノーズワイヤ１０６が、連続的なストリップ形態で、駆動スプールまたはロール１０４等の供給源から切断ステーション１０７に供給される。そして、切断ステーション１０７において、ノーズワイヤ１０６は、所定の長さを有する個々のノーズワイヤ１０８に切断される。好適な切断ステーション１０７は、既知であり、従来の製造ラインで使用されている。ノーズワイヤ１０８は、キャリアウェブ１１０上に搬送される。キャリアウェブ１１０は、完成品のフェイスマスク１１における、上述したようにして形成された１以上の中間層を有する上側部分２０を画定する層の組み合わせであり得る。個々のノーズワイヤ１０８は、図４のフェイスマスク１１の上側縁部２４に対応するキャリアウェブ１１０の縁部に沿って配置される。

個々のノーズワイヤ１０８を、キャリアウェブ１１０上の所定の位置に配置した後、バインダウェブ１１２が、キャリアウェブ１１０の縁部に沿って製造ライン１０２に導入される。キャリアウェブ１１０、ノーズワイヤ１０８、及びバインダウェブ１１２の組み合わせは、折り重ねステーション１１４に搬送され、折り重ねステーション１１４において、バインダウェブ１１２は、キャリアウェブ１１０の走行する縁部の周りに折り重ねられる。その後、キャリアウェブ１１０、ノーズワイヤ１０８、及びバインダウェブ１１２の組み合わせは、結合ステーション１１６に搬送される。そして、結合ステーション１１６において、バインダウェブ１１２は、キャリアウェブ１１０に対して熱結合され、これにより、図４及び５に示した上側縁部２４及び下側縁部３８が形成される。ノーズワイヤ１０８は、バインダウェブ１１２により、上側縁部２４に沿って実質的に封入される。

結合ステーション１１６からは、キャリアウェブ１１０と、バインダウェブ１１２と、バインダウェブ１１２内に封入されたノーズワイヤ１０８との連続的な組み合わせは、別の結合ステーション１２１に搬送される。この結合ステーション１２１では、図４及び５に示したフェイスマスク１１の下側部分２２に対応する別のウェブ１１８が導入される。上側部分２０と同様に、このウェブ１１８は、上述したようにして形成された１以上の中間層３４を含み得る。このウェブ１１８の縁部には、上流の工程において、バインダウェブが既に結合されている。また、この結合ステーション１２１には、連続的なエラストマー性ストラップ１１９も導入され、図１の上側縁部２４及び下側縁部３８にそれぞれ対応するウェブ１１８及びウェブ１１０の各縁部の間に配置される。これらの材料は、フェイスマスク１００の台形形状に対応する結合パターンで、かつ上側縁部２４及び下側縁部３８で閉鎖端部及び開放端部が形成されるように互いに結合される。

互いに結合されたウェブ１１０及びウェブ１１８（並びにノーズワイヤ１０８及びストラップ１１９）は、切断ステーション１２４に搬送され、切断ステーション１２４において、図３及び４に示した結合線に沿ってウェブから切り取られる。

フェイスマスク１０１はその後、別の結合ステーション１２８に搬送される。そして、結合ステーション１２８において、包装材１２６（例えば、ポリ材料）が導入され、折り畳まれ（必要であれば）、個々のフェイスマスク１０１の周りに結合される。包装材１２６の単一のウェブは、フェイスマスクの周りに折り畳まれ、連続的な長手方向の結合線に沿って密封される。あるいは、図３において破線で示した別の実施形態では、包装材の別のウェブ１２６が結合ステーション１２８に導入され、結合ステーション１２８において、２つのウェブ１２６間にフェイスマスクを挟み込む。そして、２つのウェブ１２６は、その後、それらの結合縁部に沿った連続的な長手方向の結合線に沿って密封される。

包装されたフェイスマスク１３２の連続的なストリームが、結合ステーション１２８から切断ステーション１３０に次々と搬送され、切断ステーション１３０において所定のパターンに切断される。これにより、個々の包装されたフェイスマスク１３４が製造される。製造されたマスク１３４は、例えばスタッキング（積層）やパッケージング（梱包）などのさらなる処理のために、下流の処理ステーション１３６に搬送される。

図示及び上述した特定の内容は、本発明の主題の様々な例示的な実施形態を説明及び教示するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。添付した特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲は、当業者が想到可能な改変形態及び変更形態と共に、本明細書に記載した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方を包含する。

Claims (16)

1. 使い捨て式のフェイスマスクであって、
   着用者の鼻及び口を覆う大きさの開口を有するフィルタ本体部を備え、
   前記フィルタ本体部は、外側マスク層と、内側マスク層と、前記外側マスク層及び前記内側マスク層間に配置された１以上の中間層とを含み、
   前記１以上の中間層は、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成された熱可塑性フィラメントを有する不織ウェブ層を含むことを特徴とするフェイスマスク。
2. 前記フィルタ本体部は、複数の前記中間層を含み、
   前記中間層のうちの少なくとも２つが、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成された熱可塑性フィラメントを有する不織ウェブ層を含むことを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
3. 前記中間層の全てが、ランダムコポリマー、またはホモポリマーと混合されたランダムコポリマーから形成された熱可塑性フィラメントを有する不織ウェブ層を含むことを特徴とする、請求項２に記載のフェイスマスク。
4. 前記フィルタ本体部は、上側部分及び下側部分を含み、
   前記上側部分及び下側部分は、それらの３つの側縁部に沿って互いに結合され、
   前記上側部分及び下側部分の第４の側縁部に沿って前記上側部分及び下側部分によって画定される開口部を有するカモノハシ型のフェイスマスクを形成することを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
5. 前記ランダムコポリマーが、０．５重量％ないし１０重量％のエチレンと、９９．５重量％ないし９０重量％のプロピレンとを含むエチレン−プロピレンランダムコポリマーを含むことを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
6. 前記ランダムコポリマーが、０．５重量％ないし２０重量％のブチレンと、９９．５重量％ないし８０重量％のプロピレンとを含むブチレン−プロピレンランダムコポリマーを含むことを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
7. 前記ランダムコポリマーが、１３７℃ないし１５３℃のピーク融点を有することを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
8. 前記ランダムコポリマーが、１４２℃ないし１５３℃のピーク融点を有することを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
9. 前記ランダムコポリマーが、１４５℃ないし１５０℃のピーク融点を有することを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
10. 前記中間層の前記不織ウェブ層が、スパンボンデッドファイバのウェブ、メルトブローンファイバのウェブ、ファイバのボンデットカーデットウェブ、及び多層材料であって、スパンボンデッドファイバのウェブ、メルトブローンファイバのウェブ、またはファイバのボンデットカーデットウェブのうちの少なくとも１つを含む該多層材料から選択される不織ウェブを含むことを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
11. 前記熱可塑性フィラメントが、ランダムコポリマーとホモポリマーとの混合物を含むことを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
12. 前記熱可塑性フィラメントが、１０重量％ないし９０重量％の前記ランダムコポリマーを含むことを特徴とする、請求項１１に記載のフェイスマスク。
13. 前記熱可塑性フィラメントが、２０重量％ないし８０重量％の前記ランダムコポリマーを含むことを特徴とする、請求項１２に記載のフェイスマスク。
14. 前記熱可塑性フィラメントが、２４重量％ないし４０重量％の前記ランダムコポリマーを含むことを特徴とする、請求項１２に記載のフェイスマスク。
15. 前記中間層の前記不織ウェブ層が、１５％ないし３４％の結合面積を有することを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。
16. 前記中間層の前記不織ウェブ層が、２０ｇ／平方メートル未満の坪量を有することを特徴とする、請求項１に記載のフェイスマスク。

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