以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置としてのカメラ100の構造を模式的に示す断面図である。図1のカメラ100は、カメラ本体1、および交換レンズ2を有するレンズ交換可能な一眼レフタイプのカメラである。交換レンズ2は、交換レンズ2を構成する複数の光学レンズ30a〜30e、絞り31、カメラ本体1との通信に用いられる接点部32、カメラ100に取り付けられるマウント部33、を有する。カメラ本体1は、交換レンズ2を取り付けるマウント部27、交換レンズ2との通信に用いられる接点部28、フラッシュ装置などを取り付けるための接続部29、を有する。カメラ本体1は、記録画像を撮像するために、交換レンズ2の光軸に沿って、フォーカルプレーンシャッタ10、光学ローパスフィルタ11、たとえばCMOSやCCDといったエリアの蓄積型光電変換素子からなる撮像素子12、を有する。交換レンズ2の光軸には、さらに、半透過性の主ミラー13、第1の反射ミラー14、が配置される。記録画像を撮像する場合、主ミラー13と第1の反射ミラー14とは機械的に図1の上側へ跳ね上げられる。これにより、交換レンズ2で集光した被写体の像の光は、撮像素子12へ入射可能になる。カメラ本体1は、焦点検出制御のために、第1の反射ミラー14による反射光を反射する第2の反射ミラー16、赤外カットフィルタ17、2つの開口部を有する絞り18、2次結像レンズ19、焦点検出用センサ20、を有する。ここで、15は第1の反射ミラー14による撮像素子12の受光面と共役な近軸的結像面である。焦点検出用センサ20は、蓄積型光電変換素子がライン状またはエリア状に配列されているものであり、絞り18の2つの開口部に対応して得られる2つの受光位置による像ずれ方式により焦点を検出する。カメラ本体1は、撮像する被写体をファインダで光学的に確認するために、主ミラー13による反射光の進行方向に沿って、拡散性のピント板21、ペンタプリズム22、接眼レンズ23、を有する。カメラ本体1は、撮像する被写体の輝度を測定するために、ピント板21で分けられた光の進行方向に沿って、第3の反射ミラー24、集光レンズ25、測光用センサ26、を有する。主ミラー13を跳ね上げた場合、測光用センサ26には、被写体の光が入射しない。
図2は、図1のカメラ100において撮像する被写体の輝度を測定する測光用センサ26の説明図である。図2(a)は、測光用センサ26の内部構成の一例を示すブロック図である。図2の測光用センサ26は、機能設定回路26A、動作クロック生成回路26B、画素アレイ26C、蓄積制御および画素走査回路26D、読出し制御回路26E、AD変換回路26F、AD変換ゲイン制御回路26G、出力回路26H、を有する。機能設定回路26Aは、後述する制御手段41から送信されるデータにしたがって、センサ内部の動作クロック、蓄積制御、AD変換制御についての機能設定を行う。動作クロック生成回路26Bは、センサ内部の動作クロックを生成する。画素アレイ26Cは、たとえばCMOSなどの蓄積型光電変換素子が数万から数十万の画素数でエリアに配列された画素アレイ26Cである。画素アレイ26Cは、たとえば図2(b)に示すように青色透過フィルターB、緑色透過フィルターG1およびG2、赤色透過フィルターRによるベイヤー配列のカラーフィルターを有する1ベイヤーを配列単位としてよい。この場合、画素アレイ26Cは、画像の輝度の情報ともに色の情報を得ることができる。蓄積制御および画素走査回路26Dは、画素アレイ26Cの蓄積を制御し、読出し時の画素走査を制御する。読出し制御回路26Eは、機能設定回路26Aの設定にしたがって、画素アレイ26Cの各画素が蓄積したアナログ信号を順次読み出す。そして、蓄積制御および画素走査回路26Dと、読出し制御回路26Eとは、たとえば、顔検出が可能な全ラインの情報を蓄積して読み出す場合と、読み出しライン数を間引いて蓄積して読み出す場合とにおいて、異なる読み出し処理を実行する。AD変換回路26Fは、読出し制御回路26Eから出力されたアナログ信号を、デジタルデータへ変換する。AD変換ゲイン制御回路26Gは、AD変換回路26Fの変換ゲインを調節する。出力回路26H、デジタルデータに変換された信号データを、必要に応じてパラレル−シリアル変換や差動信号への変換の処理を実行し、後述する信号処理回路42へ出力する。
図3は、図1のカメラ100の制御系の主な構成を示す説明図である。図3の制御系は、カメラ本体1の制御系と、交換レンズ2の制御系とで構成される。カメラ本体1の制御系は、制御手段41を有する。制御手段41は、たとえばA/Dコンバータ、タイマ41a、ALU、ROM41b、RAM41d、シリアル通信ポート(SPI)、CPU41c、を有するワンチップマイクロコンピュータでよい。CPU41cは、たとえばROM41bに記憶されているカメラ100の制御プログラムをRAM41dに読み込んで実行する。CPU41cは、制御プログラムに基づく処理において必要なデータを取得し、RAM41dに保存する。これにより、カメラ100の全体を制御する制御手段41が実現される。制御手段41としてのワンチップマイクロコンピュータには、焦点検出用センサ20、測光用センサ26、信号処理回路42、メモリ43、第1のモータドライバ46、操作スイッチ48、が接続される。また、ワンチップマイクロコンピュータには、交換レンズ2との接点部28、フラッシュ装置等との接続部29、シャッタ駆動手段49、発振回路50、無線通信回路51、ブレ検出回路53、が接続される。信号処理回路42には、撮像素子12、半導体メモリカードなどの記憶手段45、タッチパネルデバイスなどの表示器44、測光用センサ26、が接続される。信号処理回路42は、制御手段41の指示にしたがって、制御手段41に指示された所定の処理を実行する。信号処理回路42は、撮像素子12を制御し、撮像素子12から出力される撮像信号をA/D変換して画像信号を得る。信号処理回路42は、画像信号に対して圧縮などの必要な画像処理を行い、記憶手段45に記録する。これにより、制御手段41は、信号処理回路42を用いて撮像した画像を記録することができる。信号処理回路42は、制御手段41の指示にしたがって、撮像中の画像、撮像した画像、各種の設定画面などを表示器44に表示させる。信号処理回路42は、制御手段41の指示にしたがって、測光用センサ26の出力信号に基づく処理を実行する。信号処理回路42は、たとえば撮像する被写体の輝度を演算する。メモリ43は、DRAMなどである。メモリ43は、信号処理回路42が種々の信号処理を行う際のワーク用メモリとして使用される。メモリ43は、表示器44に表示する画像データを格納するVRAMとして使用される。第1のモータドライバ46は、制御手段41の指示にしたがって第1のモータ47を駆動し、主ミラー13および第1の反射ミラー14のアップ・ダウン駆動し、フォーカルプレーンシャッタ10のチャージを制御する。操作スイッチ48は、撮像開始を指示するためのレリーズスイッチを含む。操作スイッチ48は、制御手段41へ、ユーザ操作に基づく信号を出力する。シャッタ駆動手段49は、制御手段41の出力端子に接続され、図1のフォーカルプレーンシャッタ10を駆動する。発振回路50は、たとえば水晶発振子などであり、制御手段41の動作や計時に必要なクロックを供給する。クロックに基づいて、制御手段41は、後述する光源フリッカの周波数や位相を検出する。無線通信回路51は、無線アンテナ52を介して他のカメラ100との間で相互にデータ通信する。他のカメラ100との間にデータ通信可能なリンクが成立することにより、複数のカメラ100は協調して動作することが可能になる。これにより、たとえばユーザが1つのカメラ100を操作すると、複数のカメラ100が同時的に操作され得る。ブレ検出回路53は、振動ジャイロなどである。ブレ検出回路53は、制御手段41に対して、カメラ100のブレに関する情報を出力する。制御手段41は、この情報に基づいてカメラ100の安定度を判断することにより、カメラ100が三脚などに固定されていてブレがほぼ生じない状態にあるか、手持ちされていて大きなブレが生じ得る状態にあるかなどが判断できる。交換レンズ2との接点部28は、交換レンズ2がカメラ本体1に装着されることにより、交換レンズ2の接点部32と電気的に接続される。
交換レンズ2の制御系は、ワンチップマイクロコンピュータによるレンズ制御手段71、を有する。レンズ制御手段71のワンチップマイクロコンピュータは、制御手段41としてのワンチップマイクロコンピュータと同様のものでよい。レンズ制御手段71には、第2のモータドライバ72、第3のモータドライバ74、距離エンコーダ76、ズームエンコーダ77、が接続される。レンズ制御手段71は、カメラ本体1の制御手段41とデータ通信する。レンズ制御手段71は、制御手段41の指示にしたがって、制御手段41に指示された所定の処理を実行する。制御手段41の指示がレンズ制御手段71から入力されると、第2のモータドライバ72は、焦点調節を行うための第2のモータ73を駆動する。また、第3のモータドライバ74は、絞り31の制御を行うための第3のモータ75を駆動する。距離エンコーダ76は、焦点調節レンズの繰り出し量、すなわち被写体距離に関する情報を、レンズ制御手段71へ出力する。ズームエンコーダ77は、交換レンズ2がズームレンズである場合に撮像時の焦点距離情報、レンズ制御手段71へ出力する。レンズ制御手段71は、取得した情報を、制御手段41へ送信する。
ところで、カメラ100の撮像環境は、太陽光の下に限られない。カメラ100は、光源に照らされた環境にて撮像することもある。光源に照らされた環境では、撮像する被写体の明るさは、光源の明るさに応じたものになる。したがって、光源の明るさが、たとえば商用電源などに応じて周期的に変動してしまうと、被写体の明るさも周期的に変動することになる。
図4は、光源の明るさの変動により被写体の明るさが変動する光源フリッカについての、撮像画像および撮像期間への影響を説明する図である。図4(a)および図4(b)は、光源フリッカの対策処理を実施しないカメラ100での、撮像環境と撮像処理との対応関係を説明する図である。図4(a)には、画像を記録する撮像時に実施されるカメラ100の通常の撮像処理が、光源フリッカに相当する被写体の輝度の波形と対応付けて図示されている。図4(b)も同様である。そして、図4(a)および図4(b)では図示姿勢での右から左へ時間が流れる。光源フリッカの対策処理を実施しないカメラ100は、撮像処理により画像を撮像して記録する場合、まず、AE期間において測光用センサ26を用いて被写体の輝度を計測する。次に、カメラ100は、メカ駆動期間において主ミラー13などを跳ね上げて、撮像タイミングで記録画像を撮像する。この全体が、1つの画像を記録するための撮像期間となる。そして、図4(a)では、記録画像を得るための撮像タイミングにおいて光源の明るさがピークになる。この場合、被写体は、光源の明位相タイミングで撮像され、適切な輝度で記録画像に明るく撮像され得る。これに対し、図4(b)では、記録画像を得るための撮像タイミングにおいて光源の明るさがボトムになる。この場合、被写体は、光源の暗タイミングで撮像され、被写体の輝度を検出して制御しているにもかかわらず記録画像に暗く撮像されてしまう。このように光源に照らされた環境において撮像する場合、撮像タイミングに応じて被写体の明るさが低下してしまう。カメラ100は、光源フリッカへの対策処理を実施することが望ましい。
図4(c)は、光源フリッカへの対策処理を実施するカメラ100での、撮像環境と撮像処理との対応関係を説明する図である。光源フリッカの対策処理を実施するカメラ100は、AE期間において測光用センサ26を用いて被写体の輝度を計測し、FLK期間において測光用センサ26を用いて光源フリッカを計測し、メカ駆動期間において主ミラー13などを跳ね上げる。その後、カメラ100は、光源フリッカが計測により検出されている場合、明るさがピークとなる付近で撮像するように撮像タイミングの遅延処理を実施し、その撮像タイミングにおいて記録画像を撮像する。この全体が、光源フリッカの対策処理を実施する場合の撮像期間となる。このように光源フリッカへの対策を実施する場合、1つの記録画像を撮像するための撮像期間は、光源フリッカへの対策を実施しない場合に比べて、長期化する。
光源フリッカの明位相タイミング情報を確実に得るためには、光源フリッカの明暗変化(輝度変化)についての1周期分の期間において光源フリッカを計測してサンプリングする必要がある。世界各地の商用電源の周波数は、50Hzまたは60Hzが多い。この場合の光源フリッカは、通常、100Hzまたは120Hzの周波数になる。これらに対応するためには、光源フリッカを計測するFLK期間は、最低でも約10msの期間とする必要がある。また、FLK期間におけるサンプリング間隔が細かいほど、光源フリッカの明位相タイミングの精度も向上する。よって、測光用センサ26は、光源フリッカの周期に対して少なくとも数分の一以下の細かい時間分解能でサンプリングすることが望ましい。また、近年のカメラ100では、被写体の像の輝度を計測する測光用センサ26として、図2に示すように10万画素以上の多画素の受光センサを用いる。これにより、測光用センサ26が生成する像において、被写体の輝度の情報だけでなく、顔検出などの被写体の撮像を改善するための高度な情報を得ることができるようになる。しかしながら、測光用センサ26の画素数が多くなると、測光用センサ26からの読出し時間も長くなる。測光用センサ26は、細かい時間分解能でサンプリングできなくなる。したがって、光源フリッカの周期の数分の一の周期でサンプリングしようとすると、測光用センサ26は、読出し時間を短くするために、たとえば複数の画素のデータを行加算したり行間引きしたりしたものを読みださせることになる。このため、測光用センサ26を用いて被写体の輝度を計測するとともに光源フリッカを計測する場合、カメラ100は、図4(c)に示すようにこれらの処理を別々に実施することになる。
また、近年のデジタルカメラの連続撮像の速度向上は目覚ましく、秒間10コマ(枚)を大きく超える機種も珍しくない。このような高速の連続撮像において、図4(c)に示すように光源フリッカを計測するFLK期間が駒間毎に追加されてしまうことは、連続撮像の高速化の低下を招く。そして、ユーザは、連続撮像の際に、光源フリッカを計測しないカメラ100と比べて速度が低下していると感じてしまう可能性がある。このように、カメラ100といった撮像装置では、連続撮像における撮像間隔の長期化を抑えつつ、光源フリッカを抑制できるようにすることが望まれている。以下に、その対策を実施している本実施形態を詳しく説明する。
図5は、本実施形態に係る撮像システム101の一例の説明図である。図5の撮像システム101は、上述したカメラ100を3台で有する。図5において、各カメラ100の周囲に描画される点線枠は、図3の無線通信回路51による通信範囲を示している。図5に示すように、各カメラ100の通信範囲内にその他のカメラ100が入ることにより、複数のカメラ100は、通信リンクを確立して互いにデータ通信可能になる。なお、撮像システム101を構成するカメラ100の台数は、三台に限られない。複数のカメラ100は、二台であっても、四台以上であってもよい。また、各カメラ100の通信範囲内に、その他のすべてのカメラ100が入る必要はなく、少なくとも1つのカメラ100が入っていればよい。この場合、カメラ100は、通信範囲内のカメラ100を経由して、通信範囲外のカメラ100とデータ通信すればよい。複数のカメラ100は、データをリレーする通信網のノードとして機能してよい。複数のカメラ100は、それぞれの無線通信回路51を用いて、互いにデータ通信が可能な通信リンクを確立する。通信リンクを確立すると、複数のカメラ100は、互いに連携して光源フリッカの影響を抑制する協調フリッカレス撮像を実行するための設定処理を実行する。協調フリッカレス撮像では、一部のカメラ100で光源フリッカを測定し、その一部のカメラ100で測定された光源フリッカの情報を残りのカメラ100の撮像制御で使用する。このため、協調フリッカレス撮像では、まず、通信リンクを確立している複数のカメラ100について、光源フリッカを測定する計測用のカメラ100と、光源フリッカを測定せずに受信する受信用のカメラ100との割り当てを設定する必要がある。
図6は、協調フリッカレス撮像の設定画面の一例である。図6の設定画面は、図5のカメラ100の制御手段41により、ユーザ操作に基づいて、図5のカメラ100の表示器44に表示される。図6(a)は、協調フリッカレス撮像を実行する複数のカメラ100を選択する設定画面である。図6(a)の設定画面には、通信リンクを確立している複数のカメラ100が、個別に選択可能にリスト表示される。図6(a)には、通信リンクを確立している三台のカメラ100として、CAMERA−A、CAMERA−B、CAMERA−C、が表示されている。ユーザは、表示器44としてのタッチパネルデバイスや操作スイッチ48を操作して、協調フリッカレス撮像を実行するカメラ100を選択する。図6(a)では、CAMERA−A、CAMERA−B、CAMERA−Cの3台すべてが、協調フリッカレス撮像を行うカメラ100として設定されている。図6(b)は、協調フリッカレス撮像に選択される複数のカメラ100について、計測用のカメラ100と受信用のカメラ100とを選択する設定画面である。図6(b)の設定画面には、図6(a)の選択画面において選択された複数のカメラ100が、個別に選択可能にリスト表示される。ユーザは、表示器44としてのタッチパネルデバイスや操作スイッチ48を操作して、計測用のカメラ100と、受信用のカメラ100とを選択する。なお、連続撮像開始後に光源フリッカを計測する計測用のカメラ100は、最低限1台設定する必要がある。図6(b)では、CAMERA−Bが、連続撮像開始後に光源フリッカを計測する計測用のカメラ100に設定されている。CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、連続撮像開始後に光源フリッカを計測しない受信用のカメラ100に設定されている。複数のカメラ100は、以上のユーザ操作に基づいて、連続撮像開始後に光源フリッカを計測する計測用のカメラ100と、計測しない受信用のカメラ100と、を設定することができる。
図7は、協調フリッカレス撮像のための計測用のカメラ100と受信用のカメラ100とを自動的に設定する処理を示すフローチャートである。図7の自動設定処理は、図6(a)または図6(b)において自動設定ボタンが操作されることにより、ユーザにより操作されているカメラ100の制御手段41により実行される。ここで、ユーザが操作しているカメラ100をマスタ用のカメラ100とし、それ以外のカメラ100をスレーブ用のカメラ100とする。ステップ(301)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、光源フリッカを複数のカメラ100で計測する。制御手段41は、光源フリッカの計測指示を、マスタ用のカメラ100の無線通信回路51から送信する。通信リンクが確立されているスレーブ用のカメラ100は、光源フリッカの計測処理を実施する。また、制御手段41は、マスタ用のカメラ100において、光源フリッカの計測処理を実施する。これらの光源フリッカの計測処理において、マスタ用のカメラ100の制御手段41およびスレーブ用のカメラ100の制御手段41は、測光用センサ26を用いて、被写体の輝度変動を計測する。ここで、制御手段41は、測光用センサ26に対して、画素数を間引いた蓄積と、短い時間で読み出す信号読み出しとを、光源フリッカの最大の1周期に相当する期間で繰り返すように指示する。測光用センサ26は、光源フリッカ周波数の数倍以上のサイクルにて、電荷蓄積および信号読み出しを繰り返す。信号処理回路42は、測光用センサ26から読み出した信号をA/D変換し、サイクル毎にブロック積分し、被写体の輝度変動を示す計測データを生成する。これにより通信リンクを確立している複数のカメラ100の各々には、光源フリッカを計測可能な被写体の輝度変動データが記録される。
ステップ(302)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41およびスレーブ用のカメラ100の制御手段41は、それぞれで計測した被写体の輝度変動データに基づいて、光源フリッカ情報を生成する。制御手段41は、光源フリッカ情報生成手段として機能する。制御手段41は、被写体の輝度変動データに基づいて、光源フリッカの有無の情報、光源フリッカが有る場合の周波数および位相の情報、を生成する。また、制御手段41は、光源フリッカ情報として、光源フリッカにより被写体の輝度が最大(最も明るくなる)となるタイミングを示す明位相タイミングの情報を生成する。ここで、光源フリッカ情報の演算方法について簡単に述べる。商用交流電源の周波数に起因する光源フリッカの周波数は、100Hzのものと、120Hzのものとに大別できる。よって、被写体をたとえば600回/毎秒の周期で計測した計測データが存在する場合、制御手段41は、6回周期ごとに区切った複数の区分データに含まれる100Hzの周波数成分の一致度を示す評価値F50を演算する。また、制御手段41は、5回周期ごとに区切った複数の区分データに含まれる120Hzの周波数成分の一致度を示す評価値F60を演算する。一致度は、たとえば複数の区分データに含まれる120Hzの周波数成分の振幅の中の、最小の振幅値でよい。そして、光源フリッカが存在しない場合、評価値F50および評価値F60は、ともに小さな値になる。100Hzの光源フリッカが存在する場合、評価値F50は小さくなるが、評価値F60は大きくなる。120Hzの光源フリッカが存在する場合、評価値F50は大きくなるが、評価値F60は小さくなる。また、制御手段41は、計測データに対して内挿補完演算をすることにより、大きな評価値F50に対応する周波数成分の波形を再現し、その再現波形において最大値となるタイミングを、光源フリッカの明位相タイミングとして特定する。また、制御手段41は、再現波形の時間変化における最大値と最小値との差分から、光源フリッカによる受光振幅の情報を演算してもよい。
ステップ(303)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、連続撮像において協調フリッカレス撮像を行う複数のカメラ100が図6(a)において手動で設定されているか否かを判断する。手動で設定されている場合、制御手段41は、処理をステップ(308)へ進める。手動で設定されていない場合、すなわち図6(a)において自動設定が手動で設定されている場合、制御手段41は、処理をステップ(304)へ進める。ステップ(304)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、複数のカメラ100で生成された光源フリッカ情報を取得し、比較する。スレーブ用のカメラ100の制御手段41は、自身で生成した光源フリッカ情報を、無線通信回路51からマスタ用のカメラ100へ送信する。マスタ用のカメラ100の無線通信回路51は、スレーブ用のカメラ100から光源フリッカ情報を受信する。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、無線通信回路51が受信したスレーブ用のカメラ100の光源フリッカ情報を、RAM41dに保存する。
ステップ(305)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、自身を含む光源フリッカ情報を取得している複数のカメラ100について、光源フリッカ情報とを比較する。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、すべてのカメラ100で生成された光源フリッカの周波数を比較する。そして、少なくとも複数の一部のカメラ100で一致する周波数が計測されている場合、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、光源フリッカがあると最終判断し、処理をステップ(306)へ進める。それ以外の場合、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、光源フリッカがないと最終判断し、処理をステップ(313)へ進める。なお、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、周波数以外の光源フリッカ情報を比較して、光源フリッカの有無についての最終判断をしてよい。たとえば、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、複数のカメラ100が光源フリッカの有りと判断している場合に上述した周波数の最終判断をするようにしてもよい。そして、複数のカメラ100が光源フリッカが有ると判断していない場合には、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、処理をステップ(313)へ進めればよい。ステップ(306)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、光源フリッカ情報が一致している複数のカメラ100を、連続撮像中に光源フリッカを計測する候補とする。ステップ(307)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、連続撮像において協調フリッカレス撮像を行う計測用のカメラ100が図6(b)において手動で設定されているか否かを判断する。手動で設定されている場合、制御手段41は、処理をステップ(310)へ進める。手動で設定されていない場合、すなわち図6(b)において自動設定が手動で設定されている場合、制御手段41は、処理をステップ(308)へ進める。
ステップ(308)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、複数のカメラ100の光源フリッカ情報および撮像設定を取得する。スレーブ用のカメラ100の制御手段41は、無線通信回路51からマスタ用のカメラ100へ、光源フリッカ情報および撮像設定を送信する。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、自身の光源フリッカ情報および撮像設定とともに、受信したスレーブ用のカメラ100の光源フリッカ情報および撮像設定を、RAM41dに保存する。ここでの光源フリッカ情報には、たとえば、光源フリッカの評価値、受光振幅の情報が含まれる。また、カメラ100の撮像設定には、たとえば、交換レンズ2の焦点距離、ブレ検出回路53の信号に基づくカメラ100の安定性の情報が含まれる。ステップ(309)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、連続撮像において協調フリッカレス撮像を行う計測用のカメラ100を自動的に設定する。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、連続撮像において協調フリッカレス撮像を行う複数の計測候補のカメラ100から、計測用のカメラ100を設定する。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、たとえば以下の(1)から(4)の処理により、計測用のカメラ100を設定する。その後、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、処理をステップ(312)へ進める。
(1) 制御手段41は、複数台のカメラ100の設定に関する各情報より、安定していると見なすことができるカメラ100があるか否か確認する。たとえば、焦点距離情報が50mm未満の画角が広いレンズを用いて撮像され、且つカメラ100が三脚等に固定されて安定している場合、制御手段41は、安定したカメラ100があると判断する。このような設定のカメラ100は、ブレやパンニングによらずに、光源フリッカを継続して安定的に計測できる可能性が高いためである。
(2) 上記(1)の条件を満たすカメラ100が1台存在し、そのカメラ100の評価値F50と評価値F60との差が充分に大きく、受光振幅情報が所定値を超えている場合、制御手段41は、そのカメラ100を計測用のカメラ100に設定する。評価値F50と評価値F60との差が充分に大きい場合、フリッカによる光源光の明暗変化を精度良く計測できている可能性が高い。
(3) 上記(1)の条件を満たすカメラ100が複数台存在する場合、制御手段41は、その複数台の中から、評価値情報である評価値F50と評価値F60との差が最大のカメラ100を、計測用のカメラ100に設定する。
評価値F50と評価値F60との差が同等であるカメラ100が複数台存在する場合、制御手段41は、受光振幅情報が最も大きいカメラ100を、計測用のカメラ100に設定する。
(4) 上記(1)の条件を満たすカメラ100が存在しない場合、制御手段41は、候補カメラの中で、評価値情報である評価値F50と評価値F60との差が最大であるカメラ100を、計測用のカメラ100に設定する。
評価値F50と評価値F60との差が同等であるカメラ100が複数台存在する場合、制御手段41は、受光振幅情報が最も大きいカメラ100を、計測用のカメラ100に設定する。
ステップ(310)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、図6(b)においてフリッカを計測するように手動設定されているカメラ100が、候補に含まれているか否かを確認する。含まれていれる場合、制御手段41は、処理をステップ(311)へ進める。含まれていない場合、制御手段41は、処理をステップ(313)へ進める。ステップ(311)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、ステップ(310)において図6(b)において手動設定されてかつ候補に含まれているとされたカメラ100を、計測用のカメラ100として設定する。その後、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、処理をステップ(312)へ進める。
ステップ(312)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、計測用のカメラ100に設定したもの以外を受信用のカメラ100とし、それらの自動設定を反映させる処理を実施する。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、無線通信回路51から、自動設定完了情報を送信する。各スレーブ用のカメラ100の制御手段41は、無線通信回路51が受信した自動設定完了情報に基づいて、自身のRAM41dに、計測用のカメラ100の設定値または受信用のカメラ100の設定値を保存する。また、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、自身のRAM41dに、計測用のカメラ100の設定値または受信用のカメラ100の設定値を保存する。以上で、撮像システム101を構成する複数のカメラ100についての、協調連続撮像のための事前準備が完了する。
なお、ステップ(305)において光源フリッカの周波数が複数台のカメラ100で一致しない場合、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、処理をステップ(313)へ進める。また、ステップ(310)においてフリッカを計測するように手動設定されているカメラ100が候補に含まれていない場合、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、処理をステップ(313)へ進める。これらの場合、連続撮像において協調フリッカレス撮像を実施するのは望ましくない。ステップ(313)において、マスタ用のカメラ100の制御手段41は、協調フリッカレス撮像についての自動設定が不成立である通知を行う。マスタ用のカメラ100の制御手段41は、無線通信回路51から、自動設定不成立の情報を送信する。各スレーブ用のカメラ100の制御手段41は、無線通信回路51が受信した自動設定不成立の情報に基づいて、協調フリッカレス撮像による撮像を中止する。各スレーブ用のカメラ100の制御手段41は、連続撮像において、自身の設定に基づいて単独で光源フリッカを計測する。
次に、計測用のカメラ100および受信用のカメラ100による協調フリッカレス撮像について説明する。ここでは、図6に示すように、CAMERA−A、CAMERA−B、CAMERA−Cの3台のカメラ100の中の一部である、CAMERA−Bが計測用のカメラ100として設定される場合を例に説明する。この場合、残部としてのCAMERA−AおよびCAMERA−Cは受信用のカメラ100に設定されることになる。図8は、計測用のカメラ100による連続撮像処理の前半部分を示すフローチャートである。
計測用のカメラ100としてのCAMERA−Bの制御手段41は、連続撮像において図8および図11の処理を実行する。図8には、連続撮像処理において最初の記録画像を撮像する前までの処理が図示されている。
図8のステップ(101)において、CAMERA−Bの制御手段41は、測光開始の指示がされているか否かをチェックする。計測用のカメラ100としてのCAMERA−Bがユーザが直接操作するマスタ用のカメラ100である場合、制御手段41は、自身の操作スイッチ48のうち測光開始用のスイッチが操作されたか否かに基づいて、測光開始の指示を判断すればよい。計測用のカメラ100としてのCAMERA−Bがスレーブ用のカメラ100である場合、制御手段41は、無線通信回路51による測光開始の指示の受信の有無に基づいて、測光開始の指示を判断すればよい。CAMERA−Bの制御手段41は、測光開始の指示があるまで、ステップ(101)の判断処理を繰り返す。CAMERA−Bの制御手段41は、測光開始の指示があると、処理をステップ(102)へ進める。
ステップ(102)において、CAMERA−Bの制御手段41は、測光用センサ26に、被写体の輝度を計測させる。測光用センサ26は、このAE処理において、顔検知等が可能な全画素読み出しのための蓄積をし、信号読み出しを行う。信号処理回路42は、測光用センサ26から順次入力される信号をA/D変換し、メモリ43に保存する。また、信号処理回路42は、全画素の情報から画像情報を生成し、パターンマッチングなどの手法により顔検出を行う。信号処理回路42は、入力信号をロック積分するなどして、被写体の輝度としての測光値を演算する。信号処理回路42は、予め取得しているレンズ情報に基づいて、演算された被写体の測光値に対応する撮像に適したシャッタ速度、絞り値、撮像感度などを決定する。信号処理回路42は、これらの情報を、メモリ43に保存する。ステップ(103)において、CAMERA−Bの制御手段41は、測光用センサ26に、光源フリッカを計測させる。測光用センサ26は、この光源フリッカの計測処理において、画素数を間引いた蓄積をし、短時間での信号読み出しを行う。信号処理回路42は、測光用センサ26から順次入力される信号をA/D変換し、メモリ43に保存する。これにより、メモリ43には、光源フリッカの周波数の数倍以上のサイクルにて取得された複数画素のデータが保存される。また、信号処理回路42は、入力された測光用センサ26の信号をサイクル毎にブロック積分するなどして、時系列での被写体の輝度の変化を示す明るさ情報を得る。ステップ(104)において、CAMERA−Bの制御手段41は、複数サイクルによる時系列での明るさ情報から、光源フリッカの有無、並びに光源フリッカが有る場合の周波数および位相といった光源フリッカ情報を演算する。ステップ(105)において、CAMERA−Bの制御手段41は、演算により生成した光源フリッカ情報を、無線通信回路51から送信する。CAMERA−Bとの間で通信リンクを確立しているCAMERA−AおよびCAMERA−Cの無線通信回路51は、CAMERA−Bで生成された光源フリッカ情報を受信する。ステップ(106)において、CAMERA−Bの制御手段41は、無線通信回路51が、CAMERA−AまたはCAMERA−Cから送信された協調フリッカレス撮像readyの情報を受信しているか否かを判断する。なお、協調フリッカレス撮像readyの情報の送信条件については、図9において説明する。協調フリッカレス撮像readyの情報を受信していた場合、CAMERA−Bの制御手段41は、表示器44に、準備完了のなどの表示を行う。ステップ(107)において、CAMERA−Bの制御手段41は、レリーズ開始の指示がされているか否かを判断する。レリーズ開始は、CAMERA−Bがユーザが直接操作する計測用のカメラ100である場合、制御手段41は、自身のレリーズスイッチ(48)が操作されたか否かで判断すればよい。CAMERA−Bがユーザが直接操作しないスレーブ用のカメラ100である場合、制御手段41は、無線通信回路51が、受信用のカメラ100からレリーズ開始指示を受信したか否かで判断すればよい。未だにレリーズ開始指示が無い場合、CAMERA−Bの制御手段41は、上述したステップを繰り返す。
図9は、受信用のカメラ100による連続撮像処理の前半部分を示すフローチャートである。受信用のカメラ100としてのCAMERA−AおよびCAMERA−Cは、連続撮像において図9および図12の処理を実行する。そして、図9には、連続撮像処理において最初の記録画像を撮像する前までの処理が図示されている。CAMERA−AおよびCAMERA−Cの制御手段41は、たとえば不図示の電源スイッチがオンされたり、通信リンクを確立したりすると、各々のカメラ100において、図9の処理を開始する。ステップ(201)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、測光開始の指示がされているか否かをチェックする。受信用のカメラ100としてのCAMERA−AまたはCAMERA−Cがユーザが直接操作するマスタ用のカメラ100である場合、制御手段41は、自身の測光開始用のスイッチが操作されたか否かに基づいて、測光開始の指示を判断すればよい。計測用のカメラ100としてのCAMERA−AまたはCAMERA−Cがスレーブ用のカメラ100である場合、制御手段41は、無線通信回路51による測光開始の指示の受信の有無に基づいて、測光開始の指示を判断すればよい。CAMERA−Bの制御手段41は、測光開始の指示があるまで、ステップ(201)の判断処理を繰り返す。CAMERA−Bの制御手段41は、測光開始の指示があると、処理をステップ(202)へ進める。ステップ(202)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、測光用センサ26に、被写体の輝度を計測させる。ステップ(203)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、測光用センサ26に、光源フリッカを計測させる。ステップ(204)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、光源フリッカ情報を演算する。これらステップ(202)からステップ(204)の処理は、CAMERA−Bのステップ(102)からステップ(104)の処理と同様である。ステップ(205)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、無線通信回路51により、CAMERA−Bがステップ(105)で送信した光源フリッカ情報を受信しているか否かを確認する。
ステップ(206)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、受信したCAMERA−Bの光源フリッカ情報と、自身で生成した光源フリッカ情報とを比較する。CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、たとえば、光源フリッカの有無と、光源フリッカが有る場合の周波数の情報とを比較する。光源フリッカ情報が一致する場合、制御手段41は、処理をステップ(207)へ進める。ステップ(207)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、受信したCAMERA−Bの明位相タイミングの情報と、自身で生成した明位相タイミングの情報とから、双方のカメラ100間の時差情報を算出する。時差情報を生成すると、CAMERA−AまたはCAMERA−Cは、協調フリッカレス撮像を実行可能な状態になる。ここで、制御手段41は、時差情報生成手段として機能する。ステップ(208)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、準備完了を表すready情報を、無線通信回路51から送信する。CAMERA−Bの無線通信回路51は、ready情報を受信する。
ステップ(209)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、レリーズ開始の指示がされているか否かをチェックする。レリーズ開始は、CAMERA−AまたはCAMERA−Cがユーザが直接操作する計測用のカメラ100である場合、制御手段41は、自身のレリーズスイッチ(48)が操作されたか否かで判断すればよい。CAMERA−AまたはCAMERA−Cがユーザが直接操作しないスレーブ用のカメラ100である場合、制御手段41は、無線通信回路51が、受信用のカメラ100からレリーズ開始指示を受信したか否かで判断すればよい。未だにレリーズ開始指示が無い場合、制御手段41は、上述したステップを繰り返す。
なお、ステップ(206)において光源フリッカの周波数といった光源フリッカ情報が一致しない場合、制御手段41は、処理をステップ(210)へ進める。光源フリッカ情報が一致していない場合、CAMERA−Bが撮像する被写体と、CAMERA−AまたはCAMERA−Cが撮像する被写体とが、異なる光源環境に存在する可能性が高い。ステップ(210)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、準備不全を表すnot ready情報を無線通信回路51から送信する。CAMERA−Bの無線通信回路51は、not ready情報を受信する。その後、制御手段41は、処理をステップ(209)へ進める。この場合、not ready情報を送信したカメラ100は、他のカメラ100と協調しない単独での連続撮像を実施することになる。
図10は、連続撮像の開始前における複数のカメラ100の連携状態の一例を説明するタイミングチャートの一例である。図10(a)は、連続撮像可能なCAMERA−Aのタイミングチャートである。図10(b)は、連続撮像可能なCAMERA−Bのタイミングチャートである。図10(c)は、連続撮像可能なCAMERA−Cのタイミングチャートである。図10(d)は、光源フリッカの一例の波形である。図10において、時間は左から右へ流れる。光源フリッカには、ほぼ一定の周期tfkにて、P1、P2、P3・・・と繰り返しに明位相タイミング(ピーク)が現れる。同図において、CAMERA−Bは、ステップ(103)の処理を繰り返すことにより、FLK_B1、FLK_B2、・・・においてフリッカ測定のための蓄積処理を繰り返し実行する。CAMERA−Aは、ステップ(203)の処理を繰り返すことにより、FLK_A1、FLK_A2、・・・においてフリッカ測定のための蓄積処理を繰り返し実行する。CAMERA−Cは、ステップ(203)の処理を繰り返すことにより、FLK_C1、FLK_C2、・・・においてフリッカ測定のための蓄積処理を繰り返し実行する。図10の3台のカメラ100は、3台のうちのマスタ用のカメラ100が操作されたことにより、測光動作を開始する。ただし、たとえば無線通信のタイムラグ、カメラ100の起動時間のばらつき、などの原因により、3台のカメラ100が完全に同一のタイミングで測光を実施する可能性が低い。また、3台のカメラ100が同一の光源環境下に存在する被写体を撮像している場合、それらの被写体には、光源フリッカの影響が同様に生じていると考えられる。図10において、CAMERA−Aは、自身に備わるタイマ41aにおいて、ステップ(204)の蓄積開始タイミングta0を基準時刻として、FLK_A1の蓄積情報から光源フリッカの周期tfkと明位相タイミングtpaとを演算する。CAMERA−Bは、自身に備わるタイマ41aにおいて、ステップ(204)の蓄積開始タイミングtb0を基準時刻として、FLK_B1の蓄積情報から光源フリッカの周期tfkと明位相タイミングtpbとを演算する。CAMERA−Cは、自身に備わるタイマ41aにおいて、ステップ(204)の蓄積開始タイミングtc0を基準時刻として、FLK_C1の蓄積情報から光源フリッカの周期tfkと明位相タイミングtpcとを演算する。3台のカメラ100のタイマ41aは個別に動作を開始しており、互いに同期していない。したがって、基準時刻ta0、tb0、tc0は、同一の時刻ではなく、それらの間に時差を有する。しかし、3台のカメラ100は、同一の光源環境下に存在する被写体の輝度変化から、同じ光源フリッカの明るいピークタイミング(P2の位置)を、それぞれの明位相タイミングtpa、tpb、tpcとして演算する。そして、CAMERA−Bは、フリッカの周期情報tfkおよびフリッカの明位相タイミング情報tpbを演算し終える毎に、これらを図8のステップ(105)においてCAMERA−AおよびCAMERA−Cへ送信する。CAMERA−Aは、CAMERA−Bからこれらの情報を受信する。CAMERA−Aは、自身で演算したフリッカの明位相タイミング情報tpaと、CAMERA−Bから送信されたフリッカの明位相タイミング情報tpbとの差分から、カメラ100間のタイマ41aの基準時刻ta0とtb0との時差情報を演算し得る。また、CAMERA−Cは、CAMERA−Bからこれらの情報を受信する。CAMERA−Cは、自身で演算したフリッカの明位相タイミングtpcと、CAMERA−Bから送信されたフリッカの明位相タイミング情報tpbの差分から、カメラ100間のタイマ41aの基準時刻tc0とtb0との時差情報を演算し得る。このように、同一光源の環境下であれば、それぞれのカメラ100により計測される光源フリッカによる明位相タイミングは、周期tfkにて繰り返し発生することが自明である。3台のカメラ100の検出ピークの位置が同一ではなくとも、それを含めて時差情報を演算することができる。
以上が、CAMERA−A、CAMERA−B、CAMERA−Cについての、連続撮像開始前の動作の説明である。続いて、連続撮像開始後の各カメラ100の動作を説明する。図11は、計測用のカメラ100による連続撮像処理の後半部分を示すフローチャートである。計測用のカメラ100としてのCAMERA−Bの制御手段41は、連続撮像において、図8の処理に続けて図11の処理を実行する。これにより、計測用のカメラ100は、連続撮像中に、光源フリッカ情報を生成して、受信用のカメラ100へ送信し続ける。図8のステップ(107)においてレリーズ開始の指示を判断すると、CAMERA−Bの制御手段41は、処理をステップ(111)へ進める。ステップ(111)において、CAMERA−Bの制御手段41は、第1のモータドライバ46へ制御信号を出力する。第1のモータドライバ46は、第1のモータ47を駆動し、主ミラー13および第1の反射ミラー14を跳ね上げる。また、CAMERA−Bの制御手段41は、ステップ(102)にて演算した絞り値情報を、レンズ制御手段71へ出力する。レンズ制御手段71は、入力される絞り値情報にしたがって、第3のモータドライバ74に信号を出力する。第3のモータドライバ74は、第3のモータ75を駆動し、交換レンズ2を絞り込み状態にする。ステップ(112)において、CAMERA−Bの制御手段41は、ステップ(104)にて演算した光源フリッカの周波数および位相に基づき、光源フリッカの明位相タイミングに撮像タイミングを合わせる遅延時間の経過を待つ。ステップ(113)において、CAMERA−Bの制御手段41は、シャッタ駆動手段49へ信号を出力し、フォーカルプレーンシャッタ10を開放状態にする。これにより撮像素子12には交換レンズ2からの光線が入射する。撮像素子12は、被写体の光を蓄積可能な状態になる。また、CAMERA−Bの制御手段41は、信号処理回路42に対して指示を出す。撮像素子12は、ステップ(102)にて演算されたシャッタ時間に従った蓄積時間と、所定の撮像感度に従った読み出しゲインとにより、被写体の光を蓄積して読み出し処理を実行する。撮像が終了すると、CAMERA−Bの制御手段41は、シャッタ駆動手段49に対して信号を出力し、フォーカルプレーンシャッタ10を遮光状態にする。これにより撮像素子12に対する交換レンズ2からの光線が遮断される。ステップ(114)において、CAMERA−Bの制御手段41は、レンズ制御手段71へ、絞り31を開放させる信号を出力する。レンズ制御手段71は、第3のモータドライバ74へ信号を出力し、第3のモータ75により絞り31を開放する。また、レンズ制御手段71は、第1のモータドライバ46へ信号を出力し、第1のモータ47により主ミラー13および第1の反射ミラー14をダウンさせる。ステップ(115)において、CAMERA−Bの制御手段41は、信号処理回路42に対して読み出しを指示する。信号処理回路42は、撮像素子12から撮像画像情報を読み出してA/D変換し、必要な補正処理や補間処理を行う。信号処理回路42は、制御手段41からの指示に基づいて、撮像画像のホワイトバランスを調整する。信号処理回路42は、調整後の撮像画像情報を記録ファイルフォーマットに圧縮変換し、記憶手段45に記憶する。記憶手段45は、被写体を撮像した画像データを記録する。ステップ(116)において、CAMERA−Bの制御手段41は、レリーズ開始の指示が継続されているか否かを確認する。レリーズ開始の指示が継続されていない場合、制御手段41は、図8および図11による連続撮像処理を終了する。レリーズ開始の指示が継続している場合、制御手段41は、処理をステップ(102)へ戻し、上述した処理を繰り返す。これにより、CAMERA−Bは、連続して記録画像を撮像する。このように、連続撮像開始後に光源フリッカを計測するカメラ100として設定されているCAMERA−Bは、連続撮像中に、記録画像を撮像するごとに、光源フリッカを計測して光源フリッカ情報を生成し、受信用のカメラ100へ送信する。
図12は、受信用のカメラ100による連続撮像処理の後半部分を示すフローチャートである。受信用のカメラ100としてのCAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、連続撮像において、図9の処理に続けて図12の処理を実行する。これにより、受信用のカメラ100は、連続撮像中に、光源フリッカを計測することなく、計測用のカメラ100として設定されているCAMERA−Bにより継続された光源フリッカ情報を用いて、記録画像を撮像する。図9のステップ(209)においてレリーズ開始の指示を判断すると、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、処理をステップ(221)へ進める。ステップ(221)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、第1のモータドライバ46へ信号を出力して、第1のモータ47により主ミラー13および第1の反射ミラー14を跳ね上げる。制御手段41は、ステップ(202)にて演算した絞り値情報を、レンズ制御手段71へ出力する。レンズ制御手段71は、第3のモータドライバ74に信号を出力し、第3のモータ75により絞り31を駆動する。これにより、交換レンズ2は絞り込み状態になる。ステップ(222)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、光源フリッカの位相情報に基づき、フリッカの明位相タイミングに撮像タイミングを合わせるために必要な遅延時間の経過を待つ。ここで、連続撮像の最初の撮像にあっては、制御手段41は、ステップ(204)にて演算した光源フリッカの周波数および位相情報を用いる。2回目以降の撮像にあっては、制御手段41は、後述するステップ(230)にて演算した光源フリッカの周波数および位相情報を用いる。ステップ(223)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、シャッタ駆動手段49へ信号を出力し、フォーカルプレーンシャッタ10を開放状態にする。これにより撮像素子12には交換レンズ2からの光線が入射する。撮像素子12は、被写体の光を蓄積可能な状態になる。また、制御手段41は、信号処理回路42に対して指示を出す。撮像素子12は、ステップ(202)にて演算されたシャッタ時間に従った蓄積時間と、所定の撮像感度に従った読み出しゲインとにより、被写体の光を蓄積して読み出し処理を実行する。撮像が終了すると、制御手段41は、シャッタ駆動手段49に対して信号を出力し、フォーカルプレーンシャッタ10を遮光状態にする。これにより撮像素子12に対する交換レンズ2からの光線が遮断される。ステップ(224)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、レンズ制御手段71へ、絞り31を開放させる信号を出力する。レンズ制御手段71は、第3のモータドライバ74へ信号を出力し、第3のモータ75により絞り31を開放する。また、レンズ制御手段71は、第1のモータドライバ46へ信号を出力し、第1のモータ47により主ミラー13および第1の反射ミラー14をダウンさせる。ステップ(225)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、信号処理回路42に対して読み出しを指示する。信号処理回路42は、撮像素子12から撮像画像情報を読み出してA/D変換し、必要な補正処理や補間処理を行う。信号処理回路42は、制御手段41からの指示に基づいて、撮像画像のホワイトバランスを調整する。信号処理回路42は、調整後の撮像画像情報を記録ファイルフォーマットに圧縮変換し、記憶手段45に記憶する。記憶手段45は、被写体を撮像した画像データを記録する。ステップ(226)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、レリーズ開始の指示が継続されているか否かを確認する。レリーズ開始の指示が継続されていない場合、制御手段41は、図9および図12による連続撮像処理を終了する。レリーズ開始の指示が継続している場合、制御手段41は、処理をステップ(227)へ進める。
ステップ(227)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、図12のステップ(208)にてready情報を他のカメラ100であるCAMERA−Bへ送信しているか否かを確認する。送信していない場合、制御手段41は、協調フリッカレス撮像動作を行わないので、処理をステップ(231)へ進める。送信している場合、制御手段41は、協調フリッカレス撮像動作を行うために、処理をステップ(228)へ進める。ステップ(228)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、測光用センサ26に、被写体の輝度を計測させる。この処理は、ステップ(102)と同様である。ステップ(229)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、無線通信回路51が受信した光源フリッカ情報を取得して確認する。無線通信回路51は、連続撮像中にCAMERA−Bが光源フリッカ情報を生成すると、CAMERA−Bから光源フリッカ情報を繰り返し受信する。制御手段41は、連続撮像中にCAMERA−Bから受信している最新の光源フリッカ情報を取得して確認する。ステップ(230)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、受信した光源フリッカ情報と、時差情報とに基づいて、光源フリッカの明位相タイミングに合わせるように遅延させた次の撮像タイミングを演算する。CAMERA−Bから受信する光源フリッカ情報は、CAMERA−Bのタイマ41aの基準時刻tb0を基準として生成されたものである。制御手段41は、図9のステップ(207)で演算した時差情報を用いて、受信した計測用のカメラ100の光源フリッカ情報を、自身の基準時刻ta0に合わせるように補正する。これにより、CAMERA−Aは、自身の基準時刻ta0を基準にした光源フリッカ情報を得る。CAMERA−Cは、自身の基準時刻tc0を基準にした光源フリッカ情報を得る。制御手段41は、基準時刻に合わせて補正した光源フリッカ情報を用いて、光源フリッカの明位相タイミングに合わせるように遅延させた次の撮像タイミングを演算する。その後、制御手段41は、処理をステップ(221)へ戻す。これにより、連続撮像開始後に光源フリッカを計測しないカメラ100として設定されているCAMERA−AおよびCAMERA−Cは、協調フリッカレス撮像動作による連続撮像を継続する。CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、連続撮像中に、基本的に記録画像を撮像するごとに光源フリッカを受信して、光源フリッカの影響を抑制するように、撮像タイミングを遅延させる。CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、連続撮像中に、自身で光源フリッカを計測しない。
ステップ(231)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、測光用センサ26に、被写体の輝度を計測させる。この処理は、ステップ(102)と同様である。ステップ(232)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、測光用センサ26に、光源フリッカを計測させる。ステップ(233)において、CAMERA−AまたはCAMERA−Cの制御手段41は、光源フリッカ情報を演算する。これらの処理は、CAMERA−Bのステップ(102)からステップ(104)の処理と同様である。その後、制御手段41は、処理をステップ(221)へ戻し、連続撮像を継続する。
図13は、連続撮像中の1つの撮像タイミングにおける複数のカメラ100の連携状態の一例を説明するためのタイミングチャートである。図13(a)は、CAMERA−Aのタイミングチャートである。図13(b)は、CAMERA−Bのタイミングチャートである。図13(c)は、CAMERA−Cのタイミングチャートである。図13において、時間は左から右へ進む。そして、受信用のカメラ100であるCAMERA−Aは、撮像期間中に、主に、撮像処理、メカ駆動処理(メカ2)、AE処理、メカ駆動処理(メカ1)、撮像タイミングの遅延時間(T)、を繰り返す。ここで、メカ駆動処理(メカ2)は、撮像後に主ミラー13などをダウン駆動する処理である。AE処理は、被写体の輝度を計測する処理である。メカ駆動処理(メカ1)は、主ミラー13などをアップ駆動する処理である。受信用のカメラ100であるCAMERA−Cも、同様である。なお、CAMERA−AおよびCAMERA−Cのタイミングチャートの(T)は図12のステップ(222)に、(撮像)は図12のステップ(223)に、(メカ2)は図12のステップ(224)に、対応する。また、(AE)は図12のステップ(228)に、(メカ1)は図12のステップ(221)に対応する。これらの受信用のカメラ100の撮像期間TcA、TcCは、光源フリッカの対策を実施しない通常の場合と比べて撮像タイミングの遅延時間(T)のみで長期化し、通常の撮像期間と略同じである。これに対し、計測用のカメラ100であるCAMERA−Bは、撮像期間中に、主に、撮像処理、メカ駆動処理(メカ2)、AE処理、光源フリッカを計測する期間(FK)、メカ駆動処理(メカ1)、撮像タイミングの遅延時間(T)、を繰り返す。なお、CAMERA−Bのタイミングチャートの(T)は図13のステップ(112)に、(撮像)は図13のステップ(113)に、(メカ2)は図13のステップ(114)に、(AE)は図13のステップ(102)に、対応する。また、(FK)は図13のステップ(103)に、(メカ1)は図13のステップ(111)に対応する。また、(FK)の後に「送信」と記載しているタイミングは、図13のステップ(105)に対応する。CAMERA−Bは、光源フリッカ情報を生成する毎に、生成した光源フリッカ情報をCAMERA−AおよびCAMERA−Cへ繰り返し送信する。計測用のカメラ100の撮像期間TcBは、光源フリッカの対策を実施しない通常の場合と比べて撮像タイミングの遅延時間(T)と、光源フリッカを計測する期間(FK)とで長期化し、通常の撮像期間に比べて格段に長くなる。
このように、CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、自身において光源フリッカ情報を生成する処理(FK)を実行しないので、その分で連続撮像時の撮像間隔(撮像駒間時間)が短くなる。CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、光源フリッカの対策を実施しない場合と同等の撮像間隔(撮像駒間時間)により、複数の画像を連続的に撮像できる。なお、CAMERA−Bは、光源フリッカの計測処理を実施するため、CAMERA−AおよびCAMERA−Cよりも撮像間隔(撮像駒間時間)が延びる。したがって、連続撮像の期間が長くなると、CAMERA−Bは、CAMERA−AおよびCAMERA−Cの撮像タイミングに間に合うように光源フリッカ情報を生成して送信できなくなる可能性がある。この場合には、CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、前回と同じ光源フリッカ情報を再度用いて、記録画像を撮像すればよい。光源フリッカの明位相タイミングを計測してから0.2秒程度以内の期間であれば、商用交流電源に起因する光源フリッカの周波数の誤差や変動は、撮像結果に対して大きな影響を与えにくい。したがって、連続撮像中のCAMERA−Bの撮像間隔tcbが0.1秒程度に納まっている場合、光源フリッカの影響を好適に抑制した記録画像を撮像し得る。CAMERA−AおよびCAMERA−Cは、前回と同じ光源フリッカ情報(遅延の情報)を再度用いる場合、光源フリッカの影響を好適に抑制した記録画像を撮像し得る。
以上のように、本実施形態では、受信用のカメラ100の制御手段41は、計測用のカメラ100から受信した光源フリッカ情報に基づいて遅延させた撮像タイミングにて、連続撮像中の各撮像を実行する。よって、受信用のカメラ100は、たとえば自ら連続撮像中の各撮像の際に周期的に光源フリッカを計測して光源フリッカ情報を生成しなくてよい。自ら光源フリッカを計測しない場合、受信用のカメラ100での連続撮像の撮像間隔の長期化は、撮像タイミングを調整ためだけの最小限に抑えられる。しかも、受信用のカメラ100は、連続撮像中の各撮像において、撮像する被写体についての光源フリッカによる明るさの周期的な変化に対応した撮像タイミングで撮像を実行できる。よって、連続撮像による複数の画像では、光源フリッカによる被写体の明るさの周期的な変化の影響が抑制され得る。受信用のカメラ100は、連続撮像中の各撮像を、光源フリッカを抑制するようにたとえば被写体が明るくなるタイミングで実行して、明るい画質に均一的に揃った複数の画像を撮像することができる。連続撮像による複数の画像には、被写体が暗く撮像されている画像が含まれ難くなる。
このように本実施形態は、複数のカメラ100を互いに通信可能にして連携させて、計測用のカメラ100から受信用のカメラ100へ、計測用のカメラ100にて生成した光源フリッカ情報を送信する。したがって、受信用のカメラ100は、たとえば自ら光源フリッカ情報を生成するための計測処理を実施することなく、連続撮像中の光源フリッカ情報を得て、光源フリッカを抑制した連続撮像を実施することができる。受信用のカメラ100は、撮像間隔の長期化を抑えつつ、光源フリッカを抑制した連続撮像を実施できる。本実施形態では、受信用のカメラ100は、連続撮像の撮像を開始する前に、受信用のカメラ100で生成した光源フリッカ情報と、計測用のカメラ100で生成した光源フリッカ情報との一致を判断する。受信用のカメラ100は、たとえば受信用のカメラ100で生成した光源フリッカの周波数と、計測用のカメラ100で生成した光源フリッカの周波数との一致を判断する。そして、受信用のカメラ100は、光源フリッカ情報が一致すると判断した場合、受信用のカメラ100で光源フリッカ情報を生成することなく、計測用のカメラ100から受信した光源フリッカ情報に基づいて連続撮像中の撮像を実行する。よって、受信用のカメラ100は、計測用のカメラ100が受信用のカメラ100と同じ光源環境下にて撮像していることを確認できる場合にのみ、計測用のカメラ100と連携して連続撮像を実施できる。本実施形態では、受信用のカメラ100は、連続撮像での撮像を開始する前に、光源の位相を計測する時差を示す時差情報を生成する。光源の位相を計測する時差は、受信用のカメラ100で生成した光源フリッカ情報と、無線通信回路51が受信した計測用のカメラ100の光源フリッカ情報との時間差である。そして、連続撮像中の各撮像を実行する制御手段41は、時差情報と、計測用のカメラ100の光源フリッカ情報とに基づいて、連続撮像中の各撮像のタイミングを、光源の明時位相となるように遅延させて撮像する。よって、連続撮像による複数の記録の画像は、明るい画質に均一的に揃うようになる。連続撮像による複数の画像に、被写体が暗く撮像されている画像が含まれ難くなる。本実施形態では、複数のカメラ100の中の少なくと1つのカメラ100に設けられる制御手段41により、計測用のカメラ100と受信用のカメラ100とを自動的に選択する。計測用のカメラ100は、連続撮像中に光源フリッカ情報を生成して送信するものである。受信用のカメラ100は、連続撮像中に光源フリッカ情報を受信するものである。制御手段41は、連続撮像での撮像を開始する前に、複数のカメラ100の中から計測用のカメラ100および受信用のカメラ100を選択する。制御手段41は、複数のカメラ100の各々において計測される光源フリッカの評価値、光源フリッカの受光振幅、各々のカメラ100の撮像の設定に基づき、カメラ100を選択する。ここでの撮像の設定には、たとえば、交換レンズ2の焦点距離、カメラ100の安定性を用いる。これにより、撮像システム101は、複数のカメラ100について、連続撮像において光源フリッカを計測するのに適したカメラ100を計測用として、それ以外のカメラ100を受信用として、自動的に割り当てることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
たとえば上述した実施形態では、光源フリッカを連続撮像中に計測する計測用のカメラ100としてのCAMERA−Bは、それ自身においても連続撮像中に連続撮像を実施している。この他にもたとえば、計測用のカメラ100としてのCAMERA−Bは、連続撮像中には、連続撮像を実施することなく、光源フリッカを連続撮像中に計測して光源フリッカ情報を他の受信用のカメラ100へ送信してもよい。
また、本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記憶媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータの1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。