JP2019219030A - クラッチ及びクラッチの制御方法 - Google Patents

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展之 中里
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Abstract

【課題】MR流体等の機能性流体を利用したクラッチの遮断時において駆動抵抗を低減させることである。【解決手段】実施形態に係るクラッチは、入力シャフトから出力シャフトにトルクを伝達する場合には、磁場を与えた磁気粘性流体又は電場を与えた電気粘性流体からなる機能性流体を介して前記入力シャフトから前記出力シャフトに前記トルクを伝達するクラッチ本体と、前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記入力シャフトと前記出力シャフトの間に形成される空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から排出する流体供給系とを備えるものである。【選択図】 図2

Description

本発明の実施形態は、クラッチ及びクラッチの制御方法に関する。
2つの動力伝達軸の間においてトルクを伝達したり遮断したりする機械要素としてクラッチ等の装置が知られている。また、クラッチ等のトルクを伝達する部分に磁気粘性(MR:Magneto Rheological)流体(磁性流体とも呼ばれる)を循環させる技術やMR流体を封入する技術も提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
MR流体は、磁場を与えると粘度が可逆的に変化する機能性流体である。機能性流体としては、MR流体の他、電場を与えると粘度が可逆的に変化する電気粘性(ER:Electro Rheological)流体が知られている。
MR流体に磁場を与えると粘度が増加して硬化するため、MR流体を利用したブレーキやクラッチの開発及び実用化が図られている。
特開平07−259891号公報 特開2010−101409号公報
MR流体を利用したクラッチでは、磁場を印加することによって粘度が増加したMR流体によって入力シャフトの回転運動が出力シャフトに伝達される。一方、クラッチをオフにする場合には磁場が印加されないため、入力シャフトが空転し、回転運動は伝達されない。しかしながら、入力シャフトと出力シャフトとの間にはMR流体が封入されているため、入力シャフトはMR流体の粘性による抵抗を受ける。その結果、クラッチの遮断時において駆動抵抗が生じるという問題がある。
そこで、本発明は、MR流体等の機能性流体を利用したクラッチの遮断時において駆動抵抗を低減させることを目的とする。
本発明の実施形態に係るクラッチは、入力シャフトから出力シャフトにトルクを伝達する場合には、磁場を与えた磁気粘性流体又は電場を与えた電気粘性流体からなる機能性流体を介して前記入力シャフトから前記出力シャフトに前記トルクを伝達するクラッチ本体と、前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記入力シャフトと前記出力シャフトの間に形成される空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から排出する流体供給系とを備えるものである。
また、本発明の実施形態に係るクラッチの制御方法は、磁場を与えた磁気粘性流体又は電場を与えた電気粘性流体からなる機能性流体を介して入力シャフトから出力シャフトにトルクを伝達するクラッチの制御方法であって、前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記入力シャフトと前記出力シャフトの間に形成される空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から排出するものである。
本発明の第1の実施形態に係るクラッチの構成を示す縦断面図。 図1に示すクラッチの遮断状態を示す縦断面図。 本発明の第2の実施形態に係るクラッチの構成を示す縦断面図。 図3に示すクラッチの遮断状態を示す縦断面図。
本発明の実施形態に係るクラッチ及びクラッチの制御方法について添付図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
(構成及び機能)
図1は本発明の第1の実施形態に係るクラッチの構成を示す縦断面図であり、図2は図1に示すクラッチの遮断状態を示す縦断面図である。
クラッチ1は機能性流体を用いて回転運動及びトルクの伝達と遮断を行う機械要素である。ここでは機能性流体が、磁場を与えると粘度が可逆的に変化するMR流体である場合を例に説明するが、機能性流体として、電場を与えると粘度が可逆的に変化するER流体を用いても良い。
クラッチ1は、クラッチ本体2、流体供給系3及び制御装置4で構成することができる。クラッチ本体2は、入力シャフト5及び出力シャフト6で構成され、MR流体を内部に封入できる構造を有する。
図1及び図2に示す例では、入力シャフト5及び出力シャフト6が同軸上に配置されている。入力シャフト5には複数の円盤状のディスク7が設けられている。一方、出力シャフト6には、磁場を発生させるための磁気回路の要素としてコイル8を内蔵し、かつ入力シャフト5に設けられた円盤状のディスク7を出力シャフト6に対して回転可能に空隙を形成させた状態で収納するヨーク9が設けられている。
リング状のコイル8は、円盤状のディスク7とヨーク9との間における空隙に磁場を発生させることができる位置に配置される。従って、図1及び図2に示すように、コイル8の内側に円盤状のディスク7を配置することができる。
そして、入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達する場合には、図1に示すようにMR流体が円盤状のディスク7とヨーク9との間における空隙に封入され、コイル8からMR流体に磁場が印加される。そうすると、コイル8とMR流体を要素とする磁気回路が形成され、MR流体の粘度が増加する。これにより、磁場を与えたMR流体を介して入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達することができる。
つまり、ディスク7とヨーク9との間における空隙がMR流体を封入するための容器として機能する。尚、入力シャフト5に単一の円盤状のディスク7を設けるようにしても良い。また、図1に示す構造例に限らず、入力シャフト5と出力シャフト6にそれぞれ回転盤を設け、MR流体の容器内に配置することによって回転運動及びトルクを入力シャフト5から出力シャフト6に伝達する構造など、様々な構造をクラッチ本体2の構造として採用することができる。
機能性流体としてER流体を用いる場合には、電場を発生させるための電気回路の要素としてコンデンサを用いることができる。そして、コンデンサによって電場を与えられたER流体を介して入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達することができる。
一方、流体供給系3は、クラッチ本体2の内部にMR流体を出し入れするシステムである。具体的には、流体供給系3は、入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達する場合にはMR流体を入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙に供給する一方、入力シャフト5から出力シャフト6への回転運動及びトルクの伝達を遮断する場合にはMR流体を入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙から排出するシステムである。
このような機能を有する流体供給系3は、MR流体を貯留するチャンバ10、ポンプ11及びMR流体の配管12で構成することができる。配管12の一端はヨーク9内にMR流体を封入するための空隙と連結され、配管12の他端はチャンバ10と連結される。また、MR流体の容器として機能するヨーク9とチャンバ10との間における配管12上にポンプ11が設けられる。
そして、入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達する場合にはポンプ11を駆動させることによってMR流体をチャンバ10から配管12を介してクラッチ本体2を構成するヨーク9内の空隙に供給する一方、入力シャフト5から出力シャフト6への回転運動及びトルクの伝達を遮断する場合にはポンプ11を逆方向に駆動することによってMR流体をクラッチ本体2を構成するヨーク9内の空隙から配管12を介してチャンバ10に戻すことができる。
尚、MR流体をヨーク9内の空隙に供給するための配管及びポンプと、MR流体をヨーク9内の空隙から排出するための配管及びポンプを別々に設けても良い。従って、流体供給系3には、単一又は複数のポンプを設けることができる。また、MR流体の流路を形成する配管に逆流防止用の弁を設けるようにしても良い。
また、MR流体をチャンバ10からヨーク9内の空隙に供給して充満させるためには、ヨーク9内の空隙から空気を排出することが必要である。逆に、ヨーク9内の空隙からMR流体を排出するためには、ヨーク9内の空隙に空気を流入させることが必要である。そこで、ヨーク9内の空隙に空気を流入及びヨーク9内の空隙から空気を流出させるための空気穴13をヨーク9の上方に設けることができる。
制御装置4は、クラッチ1を制御するための装置である。具体的には、制御装置4は、クラッチ本体2に封入されるMR流体の粘度及び流体供給系3のポンプ11を制御する装置である。MR流体の粘度は、コイル8に電流を供給して磁場を形成することによって制御することができる。一方、ポンプ11はポンプ11の駆動方式に応じたエア信号、油圧信号又は電気信号等の制御信号で制御することができる。このため、制御装置4は、コイル8に電流を供給するための電源を含む電気回路と、ポンプ11を駆動するためのエア信号回路、油圧信号回路又は電気回路等の必要な信号回路で構成することができる。
制御装置4は、クラッチ本体2において入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達する場合にはポンプ11を駆動させることによってMR流体を入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙に供給し、かつコイル8に電流を供給することによって入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙に封入されたMR流体に磁場を与える一方、クラッチ本体2において入力シャフト5から出力シャフト6への回転運動及びトルクの伝達を遮断する場合にはコイル8への電流の供給を停止することによって磁場を消滅させ、かつポンプ11を駆動させることによってMR流体を入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙から排出させるクラッチ1の統括制御を行う機能を有している。
このような統括制御を行う制御装置4によってクラッチ1の切換を自動的に行うことができる。すなわち、回転運動及びトルクの伝達を行う場合には、磁場を与えることによって粘度が増加したMR流体を介して入力シャフト5から出力シャフト6にトルクを伝達する一方、回転運動及びトルクの伝達を行わない場合には、磁場を消滅させることによって粘度が低下し、流動性を取得したMR流体を入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙から排除することができる。
その結果、回転運動及びトルクの伝達を行わない場合においてクラッチ1の駆動抵抗を飛躍的に低減することができる。磁場が作用していないMR流体は一般的なオイルのように液状であり、ニュートン流体とみなすことができる。そこで、非磁場中におけるMR流体をニュートン流体と仮定すると、非磁場中において流動性を取得したMR流体を仮に入力シャフト5と出力シャフト6の間に形成される空隙に介在させた状態で入力シャフト5を回転させた場合に生じる抵抗は、他のニュートン流体と同様に、非磁場中におけるMR流体の粘性係数に比例する。
非磁場中におけるMR流体の粘性係数は、0.1〜1.0Pa・s程度である。これに対して、空気の粘性係数は、25℃において0.0000182Pa・s程度である。従って、クラッチ1をOFFにしている間は、ヨーク9とディスク7との間の空隙に封入されたMR流体をチャンバ10に戻し、空隙を空気で満たすことで空隙に存在する流体の粘性抵抗を飛躍的に低減することができる。その結果、クラッチ1がOFF状態である場合における駆動抵抗を低減することができる。
以上のようなクラッチ1及びクラッチ1の制御方法は、クラッチ1がON状態である場合には入力シャフト5に設けられたディスク7と出力シャフト6の端部に設けられたヨーク9との間にMR流体を注入し、コイル8に通電することで入力シャフト5の回転を出力シャフト6に伝達する一方、クラッチ1がOFF状態である場合にはディスク7とヨーク9との間に封入されていたMR流体をポンプ11でチャンバ10に戻し、MR流体の粘性抵抗によるクラッチ1の駆動抵抗の増加を回避するようにしたものである。
このような構成を有するクラッチ1は、自動車や航空機のエンジンとトランスミッションとの間、航空機のプロペラのシャフト、航空機の動翼を操舵するためのアクチュエータ等に取付けて使用することができる。
(効果)
クラッチ1及びクラッチ1の制御方法によれば、回転運動及びトルクの伝達を遮断している間における駆動抵抗を低減することができる。このため、クラッチ1をエンジンに取付ける場合であれば、エンジン始動時にMR流体を排除して駆動抵抗を低減できるため、スタータの小型化及びエンジンの始動性の向上を図ることができる。また、クラッチ1を自動車や航空機に搭載すればMR流体の粘性抵抗によるエネルギロスを回避できるため、燃費を改善することができる。
(第2の実施形態)
図3は本発明の第2の実施形態に係るクラッチの構成を示す縦断面図であり、図4は図3に示すクラッチの遮断状態を示す縦断面図である。
図3及び図4に示された第2の実施形態におけるクラッチ1Aでは、流体供給系3をシリンダ機構20と配管12で構成した点が第1の実施形態におけるクラッチ1と相違する。第2の実施形態におけるクラッチ1Aの他の構成及び作用については第1の実施形態におけるクラッチ1と実質的に異ならないため同一の構成又は対応する構成については同符号を付して説明を省略する。
第2の実施形態におけるクラッチ1Aの流体供給系3は、シリンダ機構20と配管12を有する。配管12の一端は、ヨーク9内にMR流体を封入するための空隙と連結され、配管12の他端はシリンダ機構20と連結される。シリンダ機構20は、入力シャフト5から出力シャフト6に回転運動及びトルクを伝達する場合には入力シャフト5と出力シャフト6との間に形成される空隙にMR流体を供給する一方、入力シャフト5から出力シャフト6への回転運動及びトルクの伝達を遮断する場合には入力シャフト5と出力シャフト6との間に形成される空隙からMR流体を回収して貯留するように構成されている。尚、配管12にMR流体の逆流を防止する弁を設けるようにしても良い。
一方、制御装置4には、シリンダ機構20がエア式、油圧式又は電動式であるのかに応じてエア信号、油圧信号又は電気信号からなる制御信号をシリンダ機構20に出力することによってシリンダ機構20を制御する機能が設けられる。このため、制御装置4は、コイル8に電流を供給するための電源を含む電気回路の他、シリンダ機構20を駆動するためのエア信号回路、油圧信号回路又は電気回路等の必要な信号回路で構成することができる。
そして、制御装置4による制御下におけるシリンダ機構20の駆動によって、第1の実施形態と同様なMR流体の供給と排出を行うことができる。このような構成を有する第2の実施形態におけるクラッチ1Aによっても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(他の実施形態)
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
1、1A クラッチ
2 クラッチ本体
3 流体供給系
4 制御装置
5 入力シャフト
6 出力シャフト
7 ディスク
8 コイル
9 ヨーク
10 チャンバ
11 ポンプ
12 配管
13 空気穴
20 シリンダ機構

Claims (6)

  1. 入力シャフトから出力シャフトにトルクを伝達する場合には、磁場を与えた磁気粘性流体又は電場を与えた電気粘性流体からなる機能性流体を介して前記入力シャフトから前記出力シャフトに前記トルクを伝達するクラッチ本体と、
    前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記入力シャフトと前記出力シャフトの間に形成される空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から排出する流体供給系と、
    を備えるクラッチ。
  2. 前記入力シャフトに円盤状のディスクを設ける一方、前記出力シャフトに前記磁場又は前記電場を発生させる回路を内蔵し、かつ前記円盤状のディスクを前記出力シャフトに対して回転可能に前記空隙を形成させた状態で収納するヨークを設けた請求項1記載のクラッチ。
  3. 前記流体供給系は、
    前記機能性流体を貯留するチャンバと、
    前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記チャンバから前記空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から前記チャンバに戻す単一又は複数のポンプと、
    を有する請求項1又は2記載のクラッチ。
  4. 前記流体供給系は、前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から回収して貯留するシリンダ機構を有する請求項1又は2記載のクラッチ。
  5. 前記トルクを伝達する場合には前記流体供給系を制御することによって前記機能性流体を前記空隙に供給し、かつ前記空隙に封入された前記機能性流体に前記磁場又は前記電場を与える一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記磁場又は前記電場を消滅させ、かつ前記流体供給系を制御することによって前記機能性流体を前記空隙から排出させる制御装置を更に有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のクラッチ。
  6. 磁場を与えた磁気粘性流体又は電場を与えた電気粘性流体からなる機能性流体を介して入力シャフトから出力シャフトにトルクを伝達するクラッチの制御方法であって、
    前記トルクを伝達する場合には前記機能性流体を前記入力シャフトと前記出力シャフトの間に形成される空隙に供給する一方、前記トルクの伝達を遮断する場合には前記機能性流体を前記空隙から排出するクラッチの制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112373938A (zh) * 2020-10-14 2021-02-19 张博博 一种生态农业观光用水果磁控固定展示方法

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