JP2019218994A - 樹脂歯車及び樹脂歯車の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記強化繊維は、各歯の噛み合い面では歯面に沿って繊維方向が揃い、少なくとも歯と歯の繋ぎ部分を含む歯底では繊維方向がランダムにされた樹脂歯車。
この樹脂歯車によれば、少なくとも歯と歯の繋ぎ部分を含む歯底において、成形材料に含まれている強化繊維が、ランダムな向きに配置されている。これにより、歯底において、強化繊維が一方向に沿って配向された場合と比較して、曲げ強度や疲労強度だけでなく、せん断力に対する耐久性を高められる。また、噛み合い面における強化繊維の繊維方向が歯面に沿って揃うことで、強化繊維端面の露出を抑え、相手材への傷付け性を低減できる。
この樹脂歯車によれば、成形材料により歯底が成形される際に、切断跡の位置で成形材料に流れが生じたことにより、成形材料に含まれる強化繊維の繊維方向が乱れ、歯底では繊維方向がランダムとなっている。したがって、強化繊維が一方向に沿って配向された場合と比較して、歯底における耐久性を高められる。
この樹脂歯車によれば、芯金の外周に環状歯部が形成された樹脂歯車であることで、成形材料が芯金によって補強され、高強度な構成にできる。
前記成形材料を前記金型のキャビティ内に充填する工程と、
前記キャビティへの前記成形材料の充填完了後、前記樹脂歯車の少なくとも歯と歯の繋ぎ部分を含む歯底に対応する前記キャビティの領域に充填された前記成形材料を流動させて、前記歯底おける前記強化繊維の配向を乱す工程と、
前記成形材料を硬化させる工程と、
をこの順に実施する樹脂歯車の製造方法。
この樹脂歯車の製造方法によれば、樹脂歯車の少なくとも歯と歯の繋ぎ部分を含む歯底における強化繊維の配向を乱すことにより、歯底における成形材料に含まれる強化繊維の繊維方向をランダムにできる。これにより、歯底で強化繊維が一方向に配向された場合と比較して、曲げ強度や疲労強度だけでなく、せん断力に対しても耐久性を高められる。また、歯の噛み合い面では、成形材料が歯面に沿って流動するため、強化繊維の繊維方向が歯面に沿って揃えられる。このため、強化繊維端面の歯面への露出を抑え、相手材への傷付け性を低減できる。
前記強化繊維の配向を乱す工程は、前記キャビティを画成する前記金型と、前記軸体とを、前記軸体の軸線回りに相対回転させる工程を含む(4)に記載の樹脂歯車の製造方法。
この樹脂歯車の製造方法によれば、金型と軸体とを相対回転させることで、歯底に対応するキャビティの領域に充填された成形材料が流動する。その結果、歯底における成形材料内の強化繊維の配向を乱すことができる。
この樹脂歯車の製造方法によれば、固定した金型に対して軸体を回転させることで、歯底に対応するキャビティの領域に充填された成形材料が、軸体とともに流動する。その結果、歯底における成形材料内の強化繊維の配向を乱すことができる。
この樹脂歯車の製造方法によれば、軸体を回転させることで、軸体に嵌挿された芯金が回転し、これにより、キャビティに充填された成形材料のうち、半径方向外側における歯に近い領域を撹拌できる。このため、各歯の歯底に対応する領域の強化繊維の配向をより確実に乱すことができる。
前記強化繊維の配向を乱す工程は、前記樹脂溜まりに前記成形材料を流入させる工程を含む(4)〜(7)のいずれか一つに記載の樹脂歯車の製造方法。
この樹脂歯車の製造方法によれば、樹脂溜まりに成形材料が流入することにより、キャビティの歯底に対応する領域は、樹脂溜まりが配置された位置で、強化繊維が樹脂溜まりへの流入方向に沿って配向する。その結果、上記の歯底に対応する領域全体としては、強化繊維の配向が乱れ、繊維方向がランダムになる。
(第1実施形態)
図1は実施形態に係る樹脂歯車の正面図である。
樹脂歯車11は、金属製のボス部13と、ボス部13の外周に成形材料で成形された環状歯部15とを有する。この樹脂歯車11は、例えば、電動パワーステアリング装置に用いられるウォームホイール等に好適に用いられる歯車であるが、本発明はこれに限らず、任意の形状、規格の歯車に対しても好適に適用できる。
歯17の噛み合い面18は、歯17の歯先17aから歯元17bに至るまでの領域に形成され、歯底19と連続する面で形成される。歯底19は、互いに隣接する一対の歯17における、一方の歯17の歯元17bから他方の歯17の歯元17bまでの、歯17と歯17との間の繋ぎ部分20を含む。
図2は樹脂歯車を成形する成形装置31の概略断面図である。
射出部33は、シリンダー37と、シリンダー37内に設けられたスクリュー39と、シリンダー37の後端側から成形材料を供給するホッパ41とを備える。シリンダー37にはホッパ41からベース樹脂と強化繊維が供給される。シリンダー37の内部では、ベース樹脂が不図示のヒータにより加熱されて可塑化する。可塑化したベース樹脂は、スクリュー39によって強化繊維と混練されながら、シリンダー37の先端側に送られる。
(充填工程)
まず、図2に示す金型49のキャビティ61に芯金21をセットし、型締め機構によって金型49の固定型51と可動型53とを近接させて型締めする。次いで、射出部33から可塑化した成形材料Rを、流路63を通じてキャビティ61へ射出する。射出された成形材料Rは、金型面に沿ってキャビティ61内を流動する。これにより、キャビティ61内に成形材料Rが充填される。
キャビティ61内への成形材料Rの充填完了後、サーボモータ77を回転させる。軸体73が軸線回り(例えば図3の矢印A方向)に回転駆動されると、軸体73と芯金21とが一体になってキャビティ61内で回転する。すると、キャビティ61内における、芯金21と歯底19となる部位との間に充填された成形材料Rが、芯金21の回転に伴って撹拌(周方向へ流動)される。軸体73の回転方向は、図示した矢印A方向に限らず、A方向及びその逆方向に交互に回転させてもよい。軸体73の回転により、歯底19となる部位に充填された成形材料Rの強化繊維Fは、繊維の配向方向が乱されて、繊維方向がランダムになる。また、歯元17b、及び歯底19と同じ半径(歯底円の半径)位置付近の歯17の根元(図4(a),(b)参照)においても、強化繊維Fの繊維方向がランダムになる。これにより、樹脂歯車11の強度を更に高めることができる。
軸体73を回転させて成形材料Rを撹拌した後、軸体73を停止させる。この状態のまま、成形材料Rを保圧、冷却し、キャビティ61内で成形材料Rを硬化させる。成形材料Rの硬化後、型締め機構によって図2に示す可動側取付板47を固定側取付板45から離間させ、金型49の固定型51と可動型53とを離型させる。そして、成形された樹脂歯車をキャビティ61から取り出す。
キャビティ内に供給された成形材料は、各歯17の噛み合い面18となる金型面に沿って成形材料Rが流動することで、噛み合い面18においては、強化繊維Fの配向方向が歯面に沿って揃えられる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の説明では、第1実施形態と同一の構成部分に対しては同一の符号を付与し、その説明を省略又は簡単化する。
図5は第2実施形態に係る樹脂歯車の製造方法を説明する金型の概略断面図である。
樹脂溜まり81は、樹脂歯車11の歯底19(図1参照)を成形するための歯底成形凸部67にそれぞれ画成される。樹脂溜まり81の内側空間は、キャビティ61に連通される。
樹脂溜まり81は、可塑化した成形材料Rをキャビティ61から流入させる引き込み路83と、引き込み路83に流入した成形材料Rを貯留する溜まり部85とを有する。
上記のように製造された樹脂歯車11Aは、第1実施形態の場合と同様に、各歯17の歯底19において、成形材料R内の強化繊維Fの配向方向が乱され、繊維方向がランダムになる。また、成形された樹脂歯車11Aから、樹脂溜まり81に充填されて硬化した成形材料Rが切断されて、除去される。よって、歯底19には成形材料Rの切断跡87が形成される。切断跡87は、図示例では凸部として示しているが、凹部であってもよい。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図8は第3実施形態に係る樹脂歯車の製造方法を説明する金型の概略断面図である。
17 歯
18 噛み合い面
19 歯底
20 繋ぎ部分
21 芯金(ボス部)
23 貫通孔
49 金型
53,53A 可動型(金型)
61 キャビティ
73 軸体
81 樹脂溜まり
87 切断跡
F 強化繊維
R 成形材料
Claims (8)
- ベース樹脂に強化繊維が配合された成形材料を用いて成形された樹脂歯車であって、
前記強化繊維は、各歯の噛み合い面では歯面に沿って繊維方向が揃い、少なくとも歯と歯の繋ぎ部分を含む歯底では繊維方向がランダムにされた樹脂歯車。 - 前記歯底は、切断跡を有する請求項1に記載の樹脂歯車。
- 中心に貫通孔を有する芯金と、該芯金の外周に一体に設けられ、周方向に沿って複数の前記歯が形成された環状歯部、とを備える請求項1又は2に記載の樹脂歯車。
- ベース樹脂に強化繊維が配合された成形材料を金型で成形する樹脂歯車の製造方法であって、
前記成形材料を前記金型のキャビティ内に充填する工程と、
前記キャビティへの前記成形材料の充填完了後、前記樹脂歯車の少なくとも歯と歯の繋ぎ部分を含む歯底に対応する前記キャビティの領域に充填された前記成形材料を流動させて、前記歯底おける前記強化繊維の配向を乱す工程と、
前記成形材料を硬化させる工程と、
をこの順に実施する樹脂歯車の製造方法。 - 前記金型は、前記キャビティ内で成形される前記樹脂歯車の軸芯位置に配置された軸体を備え、
前記強化繊維の配向を乱す工程は、前記キャビティを画成する前記金型と前記軸体とを、前記軸体の軸線回りに相対回転させる工程を含む請求項4に記載の樹脂歯車の製造方法。 - 前記相対回転させる工程は、前記キャビティを画成する前記金型を固定して、前記軸体を軸線回りに回転させる請求項5に記載の樹脂歯車の製造方法。
- 前記軸体の外周に、中心に貫通孔を有する芯金を嵌挿して、前記軸体と前記芯金とを一体に回転させる請求項6に記載の樹脂歯車の製造方法。
- 前記金型は、前記キャビティの前記歯底に対応する領域に連通し、前記キャビティに充填された前記成形材料が流入する樹脂溜まりが画成され、
前記強化繊維の配向を乱す工程は、前記樹脂溜まりに前記成形材料を流入させる工程を含む請求項4〜7のいずれか一項に記載の樹脂歯車の製造方法。
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