JP2019218430A - ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成するシステムおよび方法 - Google Patents

ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成するシステムおよび方法 Download PDF

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【課題】簡便な低圧のシステムを用いながら、高圧発泡方法と同等の均一で良好なポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成するシステムおよび方法を提供する。【解決手段】イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物を用いてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを低圧にて物品上に形成するシステムおよび方法であって、0.5〜10バールでの原料の混合によって得られた液体組成物にガスを混入させて混合物を生成し、混合物をスプレーする、システムおよび方法。【選択図】図2

Description

本発明は、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成するシステムおよび方法に関する。詳細には、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物を低圧にて調製し、物品上にスプレーしてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを形成する際に、特定のタイミングで、混合後の液体組成物に空気または不活性ガスを混合することにより、物性の優れたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを簡便に生成するシステムおよび方法に関する。
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを生成する際には、典型的には原料となるイソシアネートおよびポリオールを発泡剤と混合し、得られたポリウレタンまたはポリイソシアヌレート(あるいはこれらの前駆体)を大気圧下に押し出し発泡させることによって行われる。建築構造物等の物品上にポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを形成する際の方法には、代表的には次の二種類がある。
(1) 原料であるイソシアネート、ポリオールおよび発泡剤を別々に原料保管容器に充填し、発電機またはサービス電源、および高圧混合用のスプレー発泡設備と共にトラック等に積載して施工現場まで運び、高圧下(50〜100Bar)で原料を衝突混合し、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート(あるいはこれらの前駆体)を高圧にて吐出させ建築構造物等に塗布する方法。(高圧発泡方法)
(2) 原料であるイソシアネート及び、予め発泡剤を混合したポリオールを別々にボンベ(閉鎖系圧力容器)に充填し、それぞれのボンベを気体発泡剤や窒素ガス等で加圧し、ボンベの圧力(5〜15Bar程度)によって押し出された原料をスプレーガンに導入し、スプレーガン内で混合されたポリウレタンまたはポリイソシアヌレート(あるいはこれらの前駆体)をスプレー発泡させ建築構造物等に塗布する方法。通常は、室温では気化する沸点の低い発泡剤を用いることにより、原料の混合性を向上させている。(低圧発泡方法)
高圧発泡方法は大掛かりな設備と、発泡をするための技能を修得した職人による作業が必要で、施工コストが高い。一方で低圧発泡方法は大掛かりな設備は必要なく持ち運びも可能で簡易発泡とも呼ばれているが、原料の混合性が悪くフォームの品質が悪くなることがある。また原料容器としてボンベを使用するため、使用に伴いボンベ内の圧力が低下し、原料の押出し速度が変動することで均一で良好なフォームを継続して施工することが難しい。
特表2017−532199号公報
よって、本発明の目的は、大掛りな設備を必要としない低圧のシステムでありながら、高圧発泡方法と同等の均一で良好なフォームを継続して施工することのできる、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成するシステムおよび方法を提供することにある。
本発明の第一の発明は、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物を用いてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを低圧にて物品上に形成するシステムであって、
(A)2以上の原料容器、
(B)前記原料容器と流体連通されており、前記原料容器から供給された原料の混合によって液体組成物を調製する、液体混合装置、
(C)前記液体混合装置内の圧力が0.5〜10バールに調整されるように、前記原料容器内に空気または不活性ガスを供給する、圧力調整ガス供給装置、
(D)前記液体組成物に空気または不活性ガスを混入させて混合物を生成し、前記混合物をスプレー吐出する、スプレー装置、および
(E)前記スプレー装置に前記空気または不活性ガスを供給するスプレーガス供給装置であって、前記圧力調整ガス供給装置を兼ねていてもよい、スプレーガス供給装置、
を有することを特徴とする、システムに関する。
また、本発明の第二の発明は、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成する方法であって、
(I)0.5〜10バールの圧力下で、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物の調製を行って、液体組成物を得る工程、
(II)得られた液体組成物に空気または不活性ガスを混合して混合物を得る工程、および
(III)得られた混合物を物品上にスプレーする工程、
を含む、方法に関する。
本発明によれば、簡便な低圧のシステムを用いながら、高圧発泡方法と同等の均一で良好なポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成することができる。
本発明に係るシステムの一例を示す模式図である。 本発明に係るシステムの別の一例を示す模式図である。 本発明に係るシステムで用いられる液体混合装置およびスプレー装置の一例を示す模式図である。 従来の低圧法で用いられるシステムの一例を示す参考図である。 従来の低圧法で用いられるシステムの別の一例を示す参考図である。 図5Aに示すシステムで用いられるディスペンサーの一例を示す参考図である。 実施例1〜5における送気圧力と得られたフォームの熱伝導率・密度との関係を示す図である。
以下、本発明の例示の態様を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されない。なお本開示の図面で、同一の符号を付した要素は同様の構成または機能を有することを意図する。
本発明の一態様は、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物を用いてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを低圧にて物品上に形成するシステムおよび方法を提供する。
ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートは、いずれも、イソシアネートおよびポリオールを含む原料から得られるものであり、両者の相違は、イソシアネート指数の相違である。本発明のシステムおよび方法は、ポリウレタンフォームおよびポリイソシアヌレートフォームのいずれの形成も包含する。ここで、ポリイソシアヌレートは一般的には、イソシアネート指数150以上で、かつ三量化触媒を使用して得られたものをいう。なおイソシアネート指数とは、ポリオール原料中の全活性水酸基に対するイソシアネート原料中のイソシアネート基の割合であり、ポリオール中の−OH基すべてに反応する−NCO基を含む状態が、イソシアネート指数100である。
本発明の原料の一つであるイソシアネートは、ポリイソシアネートおよびイソシアネート誘導体を包含する概念であり、例としてはポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、変性イソシアネートなどがある。原料組成物中のイソシアネートの含有量は、原料組成物全体の重量に対し、好ましくは35〜65重量%、より好ましくは43〜57重量%である。
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの中から任意のものを用いることができ、これらの化合物は当業者に周知である。原料組成物中のポリオールの含有量は、原料組成物全体の重量に対し、好ましくは35〜65重量%、より好ましくは43〜57重量%である。
本開示で、「液状発泡剤」とは、本開示のシステムの使用時又は本開示の方法の実施時の温度での原料組成物中で液体状態で存在し得る発泡剤を意味する。液状発泡剤は、典型的には沸点が15℃以上のものである。また本開示で、「気体発泡剤」とは、23℃、1気圧において気体である発泡剤を意味する。液状発泡剤としては、水、ハイドロフルオロカーボン(HFC−245fa,HFC−365mfcなど)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO−1233zdなど)、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタンなどのハイドロカーボン、などが挙げられる。当該液状発泡剤の原料組成物中の含有量は、原料組成物全体の重量に対し、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜12重量%である。なお、液状発泡剤は、イソシアネート、またはポリオールのいずれかまたは双方とあらかじめ混合しておくこともできる。本発明の一形態においては、液状発泡剤は、ポリオールとあらかじめ混合しておくことができる。
本発明で用いる原料組成物は、気体発泡剤を実質的に含まないことが特徴である。本開示で、「実質的に含まない」とは、原料組成物中の含有量が3重量%未満、好ましくは1重量%未満であることを意味する。前述のように、通常低圧発泡方法では、二酸化炭素、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロカーボン(HFC−134aなど)、ハイドロフルオロオレフィン (HFO−1234ze、HFO−1234yfなど)、ハイドロカーボン(イソブタン、プロパンなど)などの気体発泡剤(低沸点発泡剤)を用いることにより、原料の混合性を向上させている。しかし本発明では、原料混合後に空気または不活性ガスを混合してからスプレーするため、空気または不活性ガス混合時に原料が攪拌され、よく混合された状態で物品上にスプレーされることとなり、低沸点発泡剤を用いなくても、低圧にて均一で良好なフォームを継続的に施工することができる。なお本開示で「低圧」とは、15バール以下の圧力を意味する。
本発明の原料組成物は、上記成分の他、造核剤、難燃剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、放射低減剤、減粘剤などの当業者に公知の成分を添加剤として含有することができる。これら添加剤は、本開示のシステムまたは方法において、目的に応じた適宜の箇所またはタイミングで当業者の技術常識に従った様式で適宜添加されてよく、したがって本開示で詳細には説明しない。
ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームが形成される物品としては、例えば建築構造物などが挙げられ、具体的には建築物の断熱材として使用するスチレン系樹脂発泡板、構造用合板、またはコンクリートなどの表面に、断熱を目的として吹きつけ施工することができる。
<システム>
図1および2を参照し、一態様において、本開示のシステム100,200は、(A)2つ以上の原料容器11(図1および2中では原料容器が2つである例を示している。)、(B)液体混合装置12、(C)圧力調整ガス供給装置13、(D)スプレー装置14、および(E)スプレーガス供給装置(図1中ではスプレーガス供給装置15として、図2中では圧力調整ガス供給装置13と兼用されるスプレーガス供給装置として、それぞれ示している。)を有する。なお図1〜3では、それぞれ原料容器が2つである例を示しているが、原料容器はそれぞれ3つ以上であり得る。
原料容器11は、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を収容する。一態様において、原料容器は2つであり、イソシアネートを収容する第1の容器と、ポリオールおよび液状発泡剤の混合物を収容する第2の容器とを含む。また一態様において、原料容器は3つであり、イソシアネートを収容する第1の容器と、ポリオールを収容する第2の容器と、液状発泡剤を収容する第3の容器とを含む。
図1および2を参照し、一例として、原料容器11は、圧力調整ガス導入口11Aと、原料流出口11Bとを有する。原料容器11は20バール程度までの加圧に耐えられる構造であることが好ましい。また、原料容器11の内面は、ステンレスなどの材質から形成されることが、原料容器の耐久性の観点から好ましい。
液体混合装置12は、送液管によって原料容器11と流体連通されており、原料容器11から供給された原料流1を混合して液体組成物2を生成する。液体混合装置12としては、静的混合装置が好ましく、具体的にはスタティックミキサー、らせん混合ミキサーなどが挙げられる。本開示のシステムによれば、いわゆる低圧法と同等の圧力での物理的な混合が可能であり、大掛かりな装置を必要としない。
圧力調整ガス供給装置13は、原料容器11内に圧力調整ガス流3を供給する。一態様において、原料容器11内は、圧力調整ガス3の導入によって加圧され、その圧力によって原料が送液管を通り原料流1として液体混合装置12へ送られることができる。一態様において、圧力調整ガス供給装置13は、液体混合装置12内の圧力が0.5〜10バールに調整されるように、原料容器11内に空気または不活性ガスを供給する。コストおよび簡便な装置構成の観点から空気が好ましい。不活性ガスを用いる場合は、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどを用いることができる。空気または不活性ガスは、圧縮した状態で原料容器に供給することが好ましい。一例として、圧力調整ガス供給装置13としてエアーコンプレッサーを用い、空気を0.5〜10バールまで圧縮して原料容器11に供給することができる。原料容器11内を0.5〜10バールの間の一定の圧力に調整し、原料流1を一定の速度で液体混合装置12に送液することが好ましい。
スプレー装置14は、液体混合装置12で生成した液体組成物2にガスを混入させて混合物5を生成し、混合物5を物品上にスプレー吐出する。スプレー装置14としては、エアーローディング装置(エアーノズル)が挙げられる。エアーローディング装置は、エアーの乱流により、液体組成物にガスをより均一に混合し均一な混合物を生成できる観点で好ましい。
スプレーガス供給装置15は、スプレー装置14にガス流4を供給する。スプレーガスとしては、空気、および不活性ガス(窒素、アルゴン、炭酸ガスなど)が挙げられる。スプレーガス供給装置15としてはエアーコンプレッサーが挙げられる。
図1を参照し、一態様において、スプレーガス供給装置15は圧力調整ガス供給装置13と別個である。この態様では、液体組成物に混入されるガスの種類および圧力は、原料容器に供給される圧力調整ガスと同一でも異なってもよい。
図2を参照し、一態様において、圧力調整ガス供給装置13はスプレーガス供給装置を兼ね、圧力調整ガス供給装置13からのガス流4がスプレー装置14に供給される。この態様では、液体組成物に混入されるガスの種類および圧力は、原料容器に供給される圧力調整ガスと略同一である。この態様は、コストおよび簡便な装置構成の観点で好ましい。
図3は、システム100,200における液体混合装置12およびスプレー装置14の一例を示す模式図である。液体混合装置12は、2つ以上の原料11を受入れる原料導入部121と、該原料11の混合および送出を行うミキサー部122とを有する。原料導入部121は、原料11のミキサー部122への導入のオン/オフを切り替える開閉弁などを備えてもよい。ミキサー部122は、2つ以上の流体を混合可能な任意の機構であってよく、例えばスタティックミキサー、らせん混合ミキサーなどであってよい。ミキサー部122で生成した液体組成物2はスプレー装置14に向かって送出される。スプレー装置14は、流体をスプレー吐出可能な機構を有する任意の装置であってよく、例えばエアーローディング装置(例えばエアーノズル)であってよい。スプレー装置14は、液体混合装置12からの液体組成物2と、ガス流4とを受入れてこれらを混合し、混合物5としてスプレー吐出する。液体混合装置12としては、例えばダウケミカル社製「GHAガン」などを使用できる。
図4および5Aは、従来の低圧法で用いられるシステムの一例を示す参考図であり、図5Bは、図5Aに示すシステムで用いられるディスペンサーの構造例を示す参考図である。なお図4および5Aでは、それぞれ原料容器が2つである例を示しているが、原料容器はそれぞれ3つ以上であり得る。
図4に示すシステム400においては、2つ以上の原料容器41からディスペンサー42に原料流1が供給され、これらが混合されて原料混合物2が形成され、次いでそのまま(すなわち、本開示のシステムのような更なるガス供給なしで)スプレーされる。
図5Aに示すシステム500においては、2つ以上の原料容器51から原料が、スプレーガス供給装置55からガス流4が、それぞれディスペンサー52に供給され、これらが混合されて液体組成物2が形成され、次いでそのまま(すなわち、本開示のシステムのような更なるガス供給なしで)スプレーされる。図5Bを参照し、一態様において、ディスペンサー52は、液体混合装置としての静的混合装置を備えたエアーガンであり、供給端2Aおよび分注端2Bを有するハウジング20、スプール30、封止プラグ(図示せず)、ニップル50、留め具60、引き金70、およびバネ80を備える。このようなディスペンサーの詳細は、特表2017−532199号公報に記載されている。
図1〜3を再び参照し、本開示のシステムはいわゆる低圧システムの一種であるが、気体発泡剤を含まない原料組成物を低圧にて調製し液体組成物を得た後に、スプレー用のガス(例えば空気または不活性ガス)を液体組成物に混合し、生じた乱流によって原料をより均一に混合しスプレーする点で、従来の低圧システムとは異なる。更に、一態様においては、圧力調整ガス導入口11Aと原料流出口11Bとを有する原料容器11を用いて、圧力調整ガスの圧力によって原料を一定速度で液体混合装置12へ送ることにより、均一なフォームを形成することができる。
<方法>
本発明は、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成する方法も提供する。該方法は、(I)0.5〜10バールの圧力下で、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物の調製を行って、液体組成物を得る工程、(II)得られた液体組成物に空気または不活性ガスを混合して混合物を得る工程、および(III)得られた混合物を物品上にスプレーする工程、を含む。
工程(I)
工程(I)は、0.5〜10バールの圧力下で、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物の調製を行って、液体組成物を得る工程である。液体組成物は、例えば前述の液体混合装置中での原料の混合によって得ることができる。好ましい態様において、液状発泡剤は、あらかじめポリオールに混合されており、イソシアネートと、ポリオールおよび液状発泡剤とを混合して原料組成物を得る。本方法によれば、0.5〜10バールという低圧の混合で原料組成物を調製しても、後工程(すなわち工程(II))でのスプレーガスの混合によって均一な混合物が得られるため、高品質のフォームを形成できる。原料の混合には、例えば前述のダウケミカル社製GHAガン(すなわち、静的混合装置を内蔵するディスペンサー)を用いることができる。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)における混合によって得られた液体組成物に、空気または不活性ガスを混合して混合物を得る工程である。ガスの混合には、例えば前述のスプレー装置(例えば、エアーローディング装置)を用いることができる。ガスは、液体組成物に対して、0.5〜20バールの圧力で混合することができる。
工程(III)は、工程(II)によって得られた混合物を、物品上にスプレーする工程である。スプレーには、例えば前述のスプレー装置を用いることができる。
(得られたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの特性)
本発明のシステムまたは方法で得られたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームは、多数の独立気泡(セルともいう)を有する。通常独立気泡の大きさは、気泡径の寸法を発泡板の横方向、縦方向および厚み方向で測定した気泡径の平均値(平均独立気泡径)で表し、気泡径にばらつきがある場合には厚み方向の各気泡の平均気泡径の平均値で表す(ASTM D3576による)。本発明のシステムまたは方法で得られるフォームの平均独立気泡径は、0.1〜0.5mmが好ましく、特に好ましくは0.15〜0.4mmである。
本発明のシステムまたは方法で得られたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの密度は、JIS K 7222に準じて測定したときに、好ましくは25〜50kg/m3、より好ましくは30〜45kg/m3である。
本発明のシステムまたは方法で得られたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの熱伝導率は、JIS A 1412に準じて、平均温度23℃で測定したときに、好ましくは18〜26mW/mK、より好ましくは19〜25mW/mKである。
本発明のシステムまたは方法で得られたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの圧縮強度は、JIS K 7220に準じて測定したときに、好ましくは50〜250kPa、より好ましくは80〜200kPaである。
以下の実施例は、本発明の例示であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[原料]
原料として、下記の製剤1および製剤2を用いた。製剤1は、ポリオールに難燃剤、整泡材、触媒、および液体発泡剤を混合したポリオールプレミックスであり、製剤2は、製剤1と混合・反応させるイソシアネートである。
Figure 2019218430
Figure 2019218430
[実施例1〜5]
図2および3に示すシステムを用い、上記製剤1及び2を用いて、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを木材合板上に形成した。製剤1のポリオールプレミックスを収容する第1の容器と、製剤2のイソシアネートを収容する第2の容器とからなる原料容器11のそれぞれから、送液管を液体混合装置12の原料導入部121に接続し、液体混合装置12のミキサー部122(スタティックミキサーを用いた)の先端にスプレー装置14としてエアーノズルを装着した。圧力調整ガス供給装置13としてエアーコンプレッサーを用い、ここで圧縮空気を生成し、送気管を用いそれぞれの原料容器11に接続した。
エアーコンプレッサーから、表3に示す圧力に加圧された空気を送気管を用いて原料容器11へ送気することによって、原料容器11内をそれぞれの圧力に加圧した。原料容器11から、ポリオールプレミックスとイソシアネートとのそれぞれの原料を送液管により液体混合装置12に送液した。送液されたポリオールプレミックスとイソシアネートとを液体混合装置12にて混合し、液体組成物2としてスプレー装置14(エアーノズル)に送出した。エアーノズルでは、液体組成物2をガス流4とさらに混合した後、ミスト状にスプレー吐出し、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成した。
[比較例1〜5]
エアーノズルにガス流4を供給しなかった他は実施例1〜5と同様に、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを木材合板上に形成した。
形成されたポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームの物性を下記のとおり評価した。結果を表3及び図6に示す。
[評価]
フォーム状態
フォームの独立気泡が均一であり、平均独立気泡径が0.1〜0.5mmである場合を良、それ以外の場合を不良とし、フォーム状態が著しく悪く独立気泡が形成しない場合を不可とした。
混合状態
フォームを切断し、未反応のポリオールまたはイソシアネートがフォーム上に縞模様として見られるものを悪い、見られないものを良とした。
密度測定
JIS K 7222に準じて、測定した。
熱伝導率測定
JIS A 1412に準じて、平均温度23℃での熱伝導率を測定した。
圧縮強度
JIS K 7220に準じて、測定した。
Figure 2019218430
本発明に係るシステムおよび方法は、建築構造物、例えば建築物の断熱材として使用するスチレン系樹脂発泡板、構造用合板、またはコンクリートなどの表面に好適に適用され得る。
100,200,400,500 システム
11,41,51 原料容器
11A 圧力調整ガス導入口
11B 原料流出口
12 液体混合容器
121 原料導入部
122 ミキサー部
13 圧力調整ガス供給装置
14 スプレー装置
15,55 スプレーガス供給装置
42,52 ディスペンサー
20 ハウジング
2A 供給端
2B 分注端
30 スプール
50 ニップル
60 留め具
70 引き金
80 バネ

Claims (8)

  1. イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物を用いてポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを低圧にて物品上に形成するシステムであって、
    (A)2以上の原料容器、
    (B)前記原料容器と流体連通されており、前記原料容器から供給された原料の混合によって液体組成物を調製する、液体混合装置、
    (C)前記液体混合装置内の圧力が0.5〜10バールに調整されるように、前記原料容器内に空気または不活性ガスを供給する、圧力調整ガス供給装置、
    (D)前記液体組成物に空気または不活性ガスを混入させて混合物を生成し、前記混合物をスプレー吐出する、スプレー装置、および
    (E)前記スプレー装置に前記空気または不活性ガスを供給するスプレーガス供給装置であって、前記圧力調整ガス供給装置を兼ねていてもよい、スプレーガス供給装置、
    を有することを特徴とする、システム。
  2. 前記スプレー装置がエアーローディング装置である、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記液体混合装置が静的混合装置である、請求項1または2に記載のシステム。
  4. ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成する方法であって、
    (I)0.5〜10バールの圧力下で、イソシアネート、ポリオールおよび液状発泡剤を含有し、気体発泡剤を実質的に含まない原料組成物の調製を行って、液体組成物を得る工程、
    (II)得られた液体組成物に空気または不活性ガスを混合して混合物を得る工程、および
    (III)得られた混合物を物品上にスプレーする工程、
    を含む、方法。
  5. 前記工程(II)における空気または不活性ガスの混合がエアーローディング装置で行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記液状発泡剤はあらかじめポリオールに混合されている、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記液状発泡剤が、水、沸点が15℃以上のハイドロフルオロカーボン、沸点が15℃以上のハイドロフルオロオレフィン、及び沸点が15℃以上のハイドロカーボンからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 物品が建築構造物である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
JP2018114777A 2018-06-15 2018-06-15 ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートフォームを物品上に形成するシステムおよび方法 Active JP7131975B2 (ja)

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