JP2019218230A - ポリウレタン系セメント組成物及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなるポリウレタン系セメント組成物であって、0.2mm以上2.5mm未満に塗付することができ、硬化塗膜の光沢が低く、塗膜硬さが高いポリウレタン系セメント組成物及びその施工方法を提供する。【解決手段】水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなるペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、ポリイソシアネートは、粘度が35〜180mPa・s/23℃のポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであり、60度鏡面光沢度が10以下であり、タイプDデュロメータ硬さが80以上であることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物及びその施工方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、床下地コンクリート表面に0.2mm以上2.5mm未満に塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物及びその施工方法に関する。
従来、均一な混合物となりやすく、施工も容易なセメント組成物として、(a)水硬性セメント、(b)水、(c)セメント減水剤、及び、(d)硬化して樹脂となり得る成分、からなるセメント組成物が提案されている(特許文献1)。また、優れた作業性を確保でき、硬化後は優れた外観仕上がりの床面を得ることができるポリウレタン系セメント組成物として、(a)水硬性セメント、(b)骨材、(c)イソシアネート基を含む化合物、(d)水、(e)3級アミン化合物触媒、および(f)活性水素含有化合物(ただし水および3級アミン化合物触媒を除く)、を必須成分とするポリウレタン系セメント組成物が提案されている(特許文献2)。また、特定のイソシアネート基末端プレポリマーを含有するイソシアネート成分を使用することにより、作業性や硬化塗膜外観、及び塗膜物性を損なうことなく硬化収縮しても反り上がりを生じない耐熱ポリマーセメント組成物として、水硬性セメント、水、ポリオール(a)、イソシアネート化合物、及び骨材を必須成分とするポリマーセメント組成物であって、ポリブタジエン系ポリオール、及び水添ポリブタジエン系ポリオールから選ばれる疎水性のポリオール(b)とジイソシアネート化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有することを特徴する、ポリマーセメント組成物が提案されている(特許文献3)。
また、耐熱性や物性を保持して塗布作業性や表面外観を損なうことなく、塗膜厚みが5mm以下でも、硬化収縮しても反り上がりや表層の亀裂を発生させないポリウレタン系セメント組成物として、少なくとも水分散型ポリオールを含むポリオールと、ポリフェニレンポリメチルポリイソシアネートである疎水性イソシアネートと、水硬性セメントを含む骨材とから成り、コンクリートである基体上に塗布厚み4mmで硬化させた組成物であって、厚み4mmであって95℃5分熱水と20℃10分冷水の養生を1サイクルとして2000サイクル後の収縮応力が4.0±2.0N/mmであり、1300サイクル経過後に反り上がりや表層の亀裂が生じることがないことを特徴とするポリウレタン系セメント組成物が提案されている(特許文献4)。
また、光沢度が5.0以上となり、耐汚染性すなわち汚染除去性が高いポリウレタン系セメント組成物として、水硬性セメント、水、ポリオール、骨材、イソシアネート化合物を含むポリウレタン系セメントを用いる塗り床材において、硬化後の60度鏡面光沢度が5.0以上90以下である塗り床であって、ポリオールが水分散性であり、イソシアネート化合物がポリメリックMDIで、このポリメリックMDIの2,4’−MDI含有率が6%以下でかつNCO重量%が25%以下であることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物が提案されている(特許文献5、請求項2)。
また、高光沢となるポリウレタン系セメント組成物として、水硬性セメント、水、ポリオール、イソシアネート化合物を含むポリウレタン系セメント組成物であって、水とポリオールからポリオール組成物の水比率40〜10重量%であるエマルジョンが形成され、尿素が含まれることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物が提案されている(特許文献6)。
特開平8−169744号公報 特開平11−79820号公報 特開2000−72507号公報 特許第4480964号公報 特開2007−254179号公報 特許第5389399号公報
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に示される組成物は、その実施例で示され配合される骨材の粒径が約3.0mmであり(特許文献1段落0054の珪砂2号の粒径)、また、得られた組成物は5mm厚さに延展するとされ(特許文献2段落0047)、また、塗り厚みは3〜20mmが好ましく、4〜7mmが特に好ましいとされ(特許文献3段落0027)、少なくともこれらの組成物は塗布厚みが3.0mm以上のものに関するという課題がある。
また、特許文献4のポリウレタン系セメント組成物は4mm厚みで硬化させるものであり(特許文献4、請求項1及び段落0030)、特許文献5のポリウレタン系セメント組成物は同様に4mm厚みで硬化させると共に(特許文献5段落0028)、その光沢度は高いもので81.5のものが示されるに留まり、さらには該組成物に使用するイソシアネート化合物のNCO重量%は25重量%以下であるため、塗膜のJIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さは80未満となる場合があるという課題がある(同段落0027表1)。また、特許文献6のポリウレタン系セメント組成物においても同様に、厚さ4mmで硬化させると共に(特許文献6段落0026)、その光沢度は低いもので13.9程度であるという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなるポリウレタン系セメント組成物であって、0.2mm以上2.5mm未満に塗付することができ、硬化塗膜の鏡面光沢度が10以下であり、塗膜表面のタイプDデュロメータ硬さが80以上となるポリウレタン系セメント組成物及びその施工方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールはヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、ポリイソシアネートは、粘度が35〜180mPa・s/23℃のポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであり、1.0mm以上2.5mm未満の厚みの硬化塗膜のJIS K 5600−4−7 60度鏡面光沢度が10以下であり、JIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さが80以上であることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物を提供する。
請求項2記載の発明は、床下地コンクリート表面に、請求項1又は請求項2記載のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上1.0mm未満の厚みに塗付して硬化させた後、さらに該ポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.0mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上ることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物の施工方法を提供する。
本発明のポリウレタン系セメント組成物は、ペースト状で低粘度であるため床下地コンクリート表面に金鏝等を使用して0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付することができる効果がある。また、1.0mm以上2.5mm未満の厚みの硬化塗膜のJIS K 5600−4−7 60度鏡面光沢度は10以下であるため、塗膜表面がギラギラすることがなく非常に落ち着いた状態となる効果があり、JIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さは80以上であるため、塗膜表面は硬く、重量物等が載置されても塗膜が沈み込むことがなく、結果として、該ポリウレタン系セメント組成物で仕上られた床構造は、重量物が置かれたり通行しても塗膜が割れたり剥がれたりすることがない、という効果がある。
また、本発明のポリウレタン系セメント組成物の施工方法は、まず最初に下塗りとして本発明のポリウレタン系セメント組成物を0.2mm以上1.0mm未満の厚みに塗付して硬化させた後、さらに上塗りとして該ポリウレタン系セメント組成物を1.0mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上げるため、床下地コンクリート表面の微細な孔(コンクリートの微細組織構造から生じる細孔)は下塗りの本ポリウレタン系セメント組成物によって充填された状態で硬化しており、一般的に上塗りを直接床下地コンクリート表面に塗付した場合に、上塗りが下地コンクリート表面に浸透して下地コンクリート表面の微細な孔中にある空気を追い出してできる置換泡による上塗りでの泡やピンホールの発生が見られない、という効果があり、本発明のポリウレタン系セメント組成物で形成される塗膜表面は美観に優れるという効果がある。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のポリウレタン系セメント組成物は、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールはヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、ポリイソシアネートは、粘度が35〜180mPa・s/23℃のポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであり、1.0mm以上2.5mm未満の厚みの硬化塗膜のJIS K 5600−4−7 60度鏡面光沢度が10以下であり、JIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さが80以上であることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物であり、必要に応じてこれらの他に、顔料や分散剤、消泡剤等の添加剤を配合することが出来る。
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用される水分散ポリオールは、ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250である。水酸基当量が200未満では硬化物が収縮して下地から剥離することがあり、同250超では塗膜硬度が不十分となる。ヒマシ油変性2官能ポリオール又はヒマシ油変性3官能ポリオールは、ヒマシ油及びその誘導体で、例えばヒマシ油脂肪酸のジグリセライド、モノグリセライド及びそれらの混合物であり、水酸基数が2又は3のポリオールである。
また、本発明に使用される水分散ポリオールは、ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールを乳化剤によって水中に乳化分散させたのちフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)によってこれを希釈することで水酸基当量200〜250とし、さらには粘度が35〜180mPa・s/23℃のポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであるポリイソシアネートとセメントと充填材と混合することによって、まだ固まらない状態の本発明であるポリウレタン系セメント組成物となる。本発明はこれをさらに1.0mm以上2.5mm未満に塗付し硬化さた時の塗膜のJIS K 5600−4−7 60度鏡面光沢度が10以下であり、JIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さが80以上となるポリウレタン系セメント組成物である。60度鏡面光沢度が10以下であると塗膜表面がギラギラすることがなく非常に落ち着いた状態となり、タイプDデュロメータ硬さが80以上あれば塗膜に加わる荷重に対して耐久性を有するポリウレタン系セメント組成物となる。
水分散ポリオールに使用する乳化剤としては、合成界面活性剤、樹脂酸塩系界面活性剤、タンパク系界面活性剤のいずれも使用でき、界面活性剤の種類としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が単独又は併用して使用することが出来る。
水分散ポリオールのフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)の含有量は30〜50重量%であり、30重量%未満ではポリウレタン系セメント組成物として下地に塗布する際の作業性が不良となり、50重量%超では硬化塗膜の硬さが不足する。また水分散ポリオールの水の含有量は30〜40重量%であり、30重量%未満ではポリウレタン系セメント組成物として下地に塗布する際の作業性が不良となる場合があり、40重量%超ではポリウレタン系セメント組成物の硬化塗膜の仕上がりが不良となる場合がある。水分散ポリオールにはこれらの他に着色剤を添加することも出来る。
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用するポリイソシアネートは、作業性が良好となり、また低温での速硬化性さらには硬化後の塗膜の硬さが高いことより、ポリメチルポリフェニルポリイソシアネートを使用することが好ましく、粘度は35〜180mPa・s/23℃、NCO当量は100〜150が好ましい。粘度が35mPa・s未満となると、組成物に顔料を配合して着色した際に色ムラが発生することがあり、180mPa・s超では、塗膜の光沢度が10超となり、表面の仕上がりがギラギラとして落ち着きがない状態になる場合がある。
NCO当量が100未満では硬化塗膜の仕上がりが不良となり、NCO当量が150超では塗膜硬さが不足する。他の脂肪族ポリイソシアネートや芳香族ポリイソシアネートや脂環式ポリイソシアネート等も、1.0mm以上2.5mm未満の厚みの硬化塗膜の60度鏡面光沢度が10以下となり、タイプDデュロメータ硬さが80以上となるのであれば、使用することが可能である。
また、本発明に使用される水分散ポリオールの水酸基1個に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の数は、1.5〜2.0が好ましく、1.5未満では硬化が遅延し、2.0超では硬化塗膜中に炭酸ガスによる微細な発泡が生じる場合がある。
本発明に係るポリウレタン系セメント組成物には、上記のほか希釈剤を配合することができ、下地への塗付作業性と塗付後の塗膜の平滑性に悪影響を与えることのない希釈剤としては、安息香酸グリコールエステルを挙げることが出来る。安息香酸グリコールエステルは、安息香酸とグリコール化合物との縮合化エステル化合物であり、グリコール化合物としてはジエチレングリコールやジプロピレングリコール等を使用することが出来る。市販の安息香酸グリコールエステルとしては、ジエチレングリコールジベンゾエートとジプロピレングリコールジベンゾエートの混合物である、安息香酸グリコールエステル JP120(商品名、株式会社ジェイプラス社製)がある。希釈剤の配合量としては、水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、希釈剤の合計100重量部中の1〜2重量部が好ましく、1重量部未満では希釈効果が不十分であり、2重量部超では23℃硬化塗膜のJIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さが低下する。
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用するセメントは、本発明のポリウレタン系セメント組成物が床下地コンクリートに塗布し美観を付与することを目的としているため、特定の色調が付与できるように、主として白色ポルトランドセメントを使用することが好ましい。他に普通ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、早強ポルトランドセメントを併用することができる。セメントの配合量は組成物全体100重量部中の5〜20重量部である。5重量部未満では塗膜表面の仕上がりが不良となり、20重量部超では下地に塗付する際の作業性が不良となる。
本発明のポリウレタン系セメント組成物に使用する充填材は、重質炭酸カルシウムに代表される炭酸カルシウムやクレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、硅砂等が使用できるが、粒径としては本発明であるポリウレタン系組成物として1.5mm厚みで塗付した際に、塗膜表面に充填材の粒が凹凸となって現われない程度の大きさであれば良く、50%重量積算による平均粒子径D50で100〜500μmが好ましい。平均粒子径D50が100μm未満ではポリウレタン系セメント組成物として下地に塗布する際の作業性が不良となり、平均粒子径D50が500μm超となると、厚さ1.5mmで塗付した際に塗膜表面が凹凸又は該充填材による微小な突起が生じて平滑にならず光沢が低下する場合がある。これらを満たす市販の充填材としては重質炭酸カルシウムK−250(旭鉱末社製、平均粒子径D50:200μm)、東北硅砂6号(商品名、東北硅砂株式会社製、平均粒子径D50:約340μm)がある。
充填材の配合量は、本組成物全体100重量部中の30〜55重量部であり、特に本発明のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上1.0mm未満の厚みに塗付する場合は、30〜45重量部が好ましく、また本発明のポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.0mm以上2.5mm未満の厚みに塗付する場合は、40〜55重量部が好ましい。下塗りとして塗付する場合に充填材が30重量部未満では下地コンクリート表面の微細な孔の充填が不十分となり、45重量部超では塗付作業性が不良となる。上塗りとして塗付する場合に充填材が40重量部未満では組成物の粘度が低すぎて金鏝で塗付する際の塗付作業性が不良となり、55重量部超では硬化塗膜の平滑性が不十分となる。
本発明のポリウレタン系セメント組成物には、上記のほかに消石灰を配合することが好ましい。該消石灰は、ポリイソシアネートと水とのウレア反応で発生する炭酸ガスを吸収し、組成物が床下地コンクリート上に塗布され硬化するまでに発生する炭酸ガスが特定部分に集中し、結果として塗膜を押上げて膨れを生じさせることを抑制する効果がある。消石灰の配合量としては本組成物全体100重量部中の100重量部に対して1〜5重量部が好ましい。1重量部未満では上記効果が不十分となる場合があり、5重量部超では塗付作業性が不十分となる場合がある。
本発明のポリウレタン系セメント組成物を床下地コンクリート上に塗布する際には、まず床下地コンクリート表面にあるレイタンス等の脆弱層をポリッシング等により除去する。次に、本発明のペースト状のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上1.0mm未満の厚みに塗付して硬化させ、その後、本発明のペースト状のポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.0mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上げる。塗付には金鏝等を用いて塗付することが好ましく、硬化後の塗膜厚みはおおよそ1.2mmから3.5mm程度となる。
以下,実施例及び比較例にて具体的に説明する。
[実施例及び比較例]
ヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールの混合物が20重量%とフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)40重量%と水38重量%と乳化剤2重量%とからなり水酸基当量が225の水分散ポリオールA 95重量部に着色トナー(顔料濃度:80重量%)5重量部を加えて主剤100重量部とし、ポリイソシアネートとして粘度が異なる6種類のポリメチルポリフェニルポリイソシアネート(NCO当量が110〜130)を使用して硬化剤100重量部とし、市販白セメント20重量%と東北硅砂6号(商品名、東北硅砂株式会社製、平均粒子径D50:約340μm)75重量%と消石灰5重量%とを均一に混合した粉体部200重量部とし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部200重量部とを均一に混合して実施例及び比較例のポリウレタン系セメント組成物の下塗りとし、主剤100重量部と硬化剤100重量部と粉体部300重量部とを均一に混合して実施例及び比較例のポリウレタン系セメント組成物の上塗りとした。
[評価項目及び評価方法]
[圧縮強度]
JIS K 6911 5.19 圧縮強さ に準じ、実施例、比較例のポリウレタン系セメント組成物のそれぞれの上塗りを25.4×12.7×12.7mmの形状にて硬化させ、23℃7日間養生後に載荷速度1mm/分で圧縮し、圧縮強度(N/mm)を測定した。
[付着性]
23℃下でJISA 5371の300mm×300mm×厚さ60mmの乾燥したコンクリート平板(ケット水分計HI−520コンクリートレンジにて5%以下)の表面に、均一に混合した実施例、比較例のポリウレタン系セメント組成物の下塗りを厚さ0.7mmになるように金ゴテで塗布して24時間養生して硬化させ、その後均一に混合した実施例、比較例のポリウレタン系セメント組成物の上塗りを厚さ1.4mmになるように金ゴテで塗布して24時間養生して硬化させ、その後7日間養生した。その後、建研式接着力試験器により、40×40mm部分の水系ポリウレタン組成物とコンクリート平板との付着強度(N/mm)を測定した。破壊状態は下地コンクリート100%凝集破壊を○と、それ以外を×と評価した。
[鏡面光沢度]
23℃下で0.4mm厚みのJISA 5430の繊維強化セメント板に実施例又は比較例の下塗りをそれぞれ0.7mm厚みに塗付して硬化後、実施例又は比較例の上塗りをそれぞれ1.4mm厚みに塗付して硬化させ24時間養生後に、JISK 5600−4−7に規定する60度鏡面光沢度を測定した。
[塗膜硬さ]
23℃下にて上記圧縮強度を測定前の実施例又は比較例のポリウレタン系セメント組成物の硬化物について、JIS K 7215に規定するタイプDデュロメータ硬さを測定した。
[表面性]
23℃下で20cm×20cm×0.4mm厚みのJISA 5430の繊維強化セメント板に実施例又は比較例の下塗りをそれぞれ0.7mm厚みに塗付して硬化後、実施例又は比較例の上塗りをそれぞれ1.4mm厚みに塗付して硬化させ24時間養生後に塗膜表面の状態を目視にて観察した。平滑で均一なものを○、平滑であっても色ムラがあるものを×とした。
[評価結果]
評価結果を表1に示す。

Claims (2)

  1. 水分散ポリオールと、ポリイソシアネートと、セメント及び充填材を含有してなり、0.2mm以上2.5mm未満の厚みに塗付するペースト状のポリウレタン系セメント組成物であって、水分散ポリオールはヒマシ油変性2官能ポリオールとヒマシ油変性3官能ポリオールとフタル酸ビス(2−ブトキシエチル)と乳化剤と水とからなり、水分散ポリオールの水酸基当量は200〜250であり、ポリイソシアネートは、粘度が35〜180mPa・s/23℃のポリメチルポリフェニルポリイソシアネートであり、1.0mm以上2.5mm未満の厚みの硬化塗膜のJIS K 5600−4−7 60度鏡面光沢度が10以下であり、JIS K 7215 タイプDデュロメータ硬さが80以上であることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物。
  2. 床下地コンクリート表面に、請求項1又は請求項2記載のポリウレタン系セメント組成物を下塗りとして0.2mm以上1.0mm未満の厚みに塗付して硬化させた後、さらに該ポリウレタン系セメント組成物を上塗りとして1.0mm以上2.5mm未満の厚みに塗付して仕上げることを特徴とするポリウレタン系セメント組成物の施工方法。

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